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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20220607BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220607BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220607BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220607BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20220607BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
H04M1/02 C
G09F9/00 366A
G09F9/30 349Z
G09G3/20 680G
G09G3/20 660Q
G09G3/20 680S
G09G3/20 691Z
G09G3/20 642P
G09G3/34 J
G09G3/20 642F
G09G5/00 550C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020544197
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2018116324
(87)【国際公開番号】W WO2019169899
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】201810193173.8
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】リー、チエ
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0054175(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106775076(CN,A)
【文献】特開2012-070356(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106406600(CN,A)
【文献】特開2012-168340(JP,A)
【文献】特開2013-061555(JP,A)
【文献】特表2008-532185(JP,A)
【文献】特表2008-537615(JP,A)
【文献】特開2017-167203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02- 1/23
G09F 9/00
G09F 9/30- 9/46
G09G 3/00- 3/08
G09G 3/12
G09G 3/16
G09G 3/19- 3/26
G09G 3/30
G09G 3/34
G09G 3/38
G09G 5/00- 5/40
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
G02F 1/133
G02F 1/1333
G02F 1/1334
G02F 1/1339-1/1341
G02F 1/1347
G02F 1/1335-1/13363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(20)と、
前記ハウジング(20)内に受容され、ディスプレイ領域(1311)、および前記ディスプレイ領域(1311)を取り囲むブラックマトリクス領域(1312)を含む光透過性ディスプレイスクリーン(13)であって、前記ブラックマトリクス領域(1312)は第1の窓領域(1320)を含む、光透過性ディスプレイスクリーン(13)であって、電子デバイス(10)のフルスクリーンディスプレイとして構成される光透過性ディスプレイスクリーン(13)と、
前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の側面に配置され、前記ブラックマトリクス領域(1312)の前記第1の窓領域(1320)と対向して配置されるエミッタ(1611)と、
前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の前記側面に配置され、前記エミッタ(1611)と通信するように構成されるレシーバ(1612)とを含む、電子デバイス(10)。
【請求項2】
前記レシーバ(1612)が、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の前記ブラックマトリクス領域(1312)に対向して配置される、請求項1に記載の電子デバイス(10)。
【請求項3】
前記ブラックマトリクス領域(1312)が第2の窓領域を含み、前記レシーバ(1612)が、前記ブラックマトリクス領域(1312)の前記第2の窓領域に対向して配置される、請求項2に記載の電子デバイス(10)。
【請求項4】
前記レシーバ(1612)が、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の前記ディスプレイ領域(1311)に対向して配置される、請求項1に記載の電子デバイス(10)。
【請求項5】
前記ディスプレイ領域(1311)が第2の窓領域を含み、前記レシーバ(1612)が、前記ディスプレイ領域(1311)の前記第2の窓領域に対向して配置される、請求項4に記載の電子デバイス(10)。
【請求項6】
前記エミッタ(1611)および前記レシーバ(1612)が、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の縁と並列に一列に配置され、前記レシーバ(1612)が、前記エミッタ(1611)と隣接して配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子デバイス(10)。
【請求項7】
前記エミッタ(1611)および前記レシーバ(1612)が、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の縁と並列に一列に配置され、前記レシーバ(1612)が、前記エミッタ(1611)から隔置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子デバイス(10)。
【請求項8】
前記レシーバ(1612)が、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の縁に対して前記エミッタ(1611)と交互に配置され、前記レシーバ(1612)が
前記エミッタ(1611)と隣接して配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子デバイス(10)。
【請求項9】
前記レシーバ(1612)が、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の縁に対して前記エミッタ(1611)と交互に配置され、前記レシーバ(1612)が
前記エミッタ(1611)から隔置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子デバイス(10)。
【請求項10】
前記エミッタ(1611)が、前記第1の窓領域(1320)を介して赤外光を放射するように構成され、前記レシーバ(1612)が、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)を介して前記赤外光を受信するように構成され、
前記レシーバ(1612)が、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)を介して可視光を受信するように更に構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の電子デバイス(10)。
【請求項11】
前記第1の窓領域(1320)で被覆され、前記エミッタ(1611)を遮蔽する被覆層(14)を更に含み、前記被覆層(14)が、前記赤外光を通過させることができ、かつ前記可視光をブロックするように構成され、前記エミッタ(1611)が
前記被覆層(14)および前記第1の窓領域(1320)を介して前記赤外光を放射するように構成される、請求項10に記載の電子デバイス(10)。
【請求項12】
前記被覆層(14)が赤外線インクを含み、前記赤外線インクが、前記赤外光に対して85%より大きい光透過率、および前記可視光に対して6%より小さい光透過率を有し、前記赤外線インクは、波長が850nm~940nmの範囲の前記赤外光を通過させることができる、請求項11に記載の電子デバイス(10)。
【請求項13】
近接センサおよび環境光センサを更に含み、
前記近接センサは近接エミッタおよび近接レシーバを含み、前記近接エミッタが、前記被覆層(14)および前記第1の窓領域(1320)を介して前記赤外光を放射するように構成され、前記近接レシーバが、対象物によって反射される前記赤外光を受信するように構成されて、前記対象物から前記電子デバイスまでの距離を検出するようにし、
前記環境光センサは環境光レシーバを含み、前記環境光レシーバが環境光を感知するように構成されて、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の明るさを調整するようにし、
前記近接エミッタは前記電子デバイスの前記エミッタ(1611)として機能し、前記環境光レシーバが前記近接レシーバと一体化され、前記電子デバイスの前記レシーバ(1612)として機能する、請求項11または12に記載の電子デバイス(10)。
【請求項14】
前記電子デバイスは、前記光透過性ディスプレイスクリーン(13)の前記側面を覆う緩衝層(17)を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の電子デバイス(10)。
【請求項15】
前記電子デバイスは、前記緩衝層(17)を覆う金属シート(18)を更に含む、請求項14に記載の電子デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子技術の技術分野に関し、特に電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの電子デバイスでは、携帯電話の上部に近接センサが設けられており、携帯電話が呼び出し状態にあるのか、またはポケットに入っているのかどうかを検出して、ディスプレイスクリーンを制御して自動ロックを行うようにし、これによりユーザの誤操作を防止する。電子デバイスの発達に伴い、フルスクリーンディスプレイは携帯電話の開発の傾向となってきている。しかしながら、フルスクリーンディスプレイの高いスクリーン対ボディ比率により、ディスプレイスクリーン内の近接センサまたはその他の素子には、限られた空間が残される。
【発明の概要】
【0003】
上記の技術的問題を解決するため、本開示の実施形態は、電子デバイスを提供する。
【0004】
本開示の実施形態による電子デバイスは、ハウジングと、ハウジング内に受容され、ディスプレイ領域、およびディスプレイ領域を取り囲むブラックマトリクス領域を含む光透過性ディスプレイスクリーンであって、ブラックマトリクス領域は第1の窓領域を含む、光透過性ディスプレイスクリーンと、光透過性ディスプレイスクリーンの側面に配置され、ブラックマトリクス領域の第1の窓領域と対向して配置されるエミッタと、光透過性ディスプレイスクリーンの側面に配置され、エミッタと通信するように構成されるレシーバとを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、レシーバは、光透過性ディスプレイスクリーンのブラックマトリクス領域に対向して配置される。
【0006】
いくつかの実施形態では、ブラックマトリクス領域は第2の窓領域を含み、レシーバがブラックマトリクスの第2の窓領域に対向して配置される。
【0007】
いくつかの実施形態では、レシーバは、光透過性ディスプレイスクリーンのディスプレイ領域に対向して配置される。
【0008】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ領域は第2の窓領域を含み、レシーバがディスプレイ領域の第2の窓領域に対向して配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、エミッタおよびレシーバは、光透過性ディスプレイスクリーンの縁と並列に一列に配置され、レシーバは、エミッタと隣接して配置される。
【0010】
いくつかの実施形態では、エミッタおよびレシーバは、光透過性ディスプレイスクリーンの縁と並列に一列に配置され、レシーバは、エミッタから隔置される。
【0011】
いくつかの実施形態では、レシーバは、光透過性ディスプレイスクリーンの縁に対してエミッタと交互に配置され、レシーバは、エミッタと隣接して配置される。
【0012】
いくつかの実施形態では、レシーバは、光透過性ディスプレイスクリーンの縁に対してエミッタと交互に配置され、レシーバは、エミッタから隔置される。
【0013】
いくつかの実施形態では、エミッタは、第1の窓領域を介して赤外光を放射するように構成され、レシーバは、光透過性ディスプレイスクリーンを介して赤外光を受信するように構成され、レシーバは更に、光透過性ディスプレイスクリーンを介して可視光を受信するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、第1の窓領域で被覆され、エミッタを遮蔽する被覆層を更に含み、被覆層は、赤外光を通過させることができ、かつ可視光をブロックするように構成され、エミッタは、被覆層および第1の窓領域を介して赤外光を放射するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、被覆層は赤外線インクを含み、赤外線インクは、赤外光に対して85%より大きい光透過率、および可視光に対して6%より小さい光透過率を有し、赤外線インクは、波長が850nm~940nmの範囲の赤外光を通過させることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、近接センサおよび環境光センサを更に含む。近接センサは近接エミッタおよび近接レシーバを含み、近接エミッタは、被覆層および第1の窓領域を介して赤外光を放射するように構成され、近接レシーバは、対象物によって反射される赤外光を受信するように構成されて、対象物から電子デバイスまでの距離を検出するようにする。環境光センサは環境光レシーバを含み、環境光レシーバは環境光を感知するように構成されて、光透過性ディスプレイスクリーンの明るさを調整するようにする。近接エミッタは、電子デバイスのエミッタとして機能し、環境光レシーバは近接レシーバと一体化され、電子デバイスのレシーバとして機能する。
【0017】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、光透過性ディスプレイスクリーンの側面を覆う緩衝層を更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、緩衝層を覆う金属シートを更に含む。
【0019】
本開示の実施形態による電子デバイスでは、フルスクリーンディスプレイの光透過性ディスプレイスクリーンの下にエミッタおよびレシーバを配置することができる。これにより孔を設けるための従来の作業が回避され、従って電子デバイスのブラックマトリクス領域全体の強度の信頼性が確保され、かつ電子デバイスのスクリーン対ボディ比率が更に向上する。ブラックマトリクス領域にエミッタを設けることによって、エミッタによって放射される赤外光がディスプレイ領域のTFTの動作安定性に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0020】
更なる態様および本開示の実施形態の利点は、以下の説明で部分的に示され、以下の説明から部分的に明白となるか、または本開示の実施形態を実行することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
上記および/または添付の態様、ならびに本開示の実施形態の利点は、添付図面を参照してなされた以下の説明から明白となり、より容易に理解されるであろう。
図1】本開示における電子デバイスの斜視図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図3】本開示における光透過性ディスプレイスクリーンの斜視図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図6A】本開示における光透過性ディスプレイスクリーンの斜視図であって、図5に図示される電子デバイスに、この光透過性ディスプレイスクリーンを適用することができる。
図6B】本開示における光透過性ディスプレイスクリーンの斜視図であって、図5に図示される電子デバイスに、この光透過性ディスプレイスクリーンを適用することができる。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図8A】本開示における光透過性ディスプレイスクリーンの斜視図であって、図7に図示される電子デバイスに、この光透過性ディスプレイスクリーンを適用することができる。
図8B】本開示における光透過性ディスプレイスクリーンの斜視図であって、図7に図示される電子デバイスに、この光透過性ディスプレイスクリーンを適用することができる。
図9】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図10】本開示における光透過性ディスプレイスクリーンの斜視図であって、図9に図示される電子デバイスに、この光透過性ディスプレイスクリーンを適用することができる。
図11】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図12】本開示における光透過性ディスプレイスクリーンの斜視図であって、図11に図示される電子デバイスに、この光透過性ディスプレイスクリーンを適用することができる。
図13A】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図13B】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図14A】本開示におけるいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図14B】本開示におけるいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図15】本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの断面図である。
図16】本開示における電子デバイスの製造方法のブロック図である。
図17】更なる動作が図示された、本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの製造方法のブロック図である。
図18】更なる動作が図示された、本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの製造方法のブロック図である。
図19】更なる動作が図示された、本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの製造方法のブロック図である。
図20】更なる動作が図示された、本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの製造方法のブロック図である。
図21】更なる動作が図示された、本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの製造方法のブロック図である。
図22】更なる動作が図示された、本開示のいくつかの実施形態による、電子デバイスの製造方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施形態を、以下で詳細に説明する。実施形態の実施例は、図面にて図示される。同一または類似の要素、および同一または類似の機能を有する要素は、明細書全体にわたって同様の参照番号で表される。図面を参照して本明細書に記載される実施形態は説明的なものであり、一般に本開示を理解するために使用される。実施形態は本開示を限定するものと解釈すべきではない。
【0023】
携帯電話またはタブレットPCなどの電子デバイスは通常、電子デバイスからユーザまでの距離を検出するための赤外線センサが設けられている。携帯電話を例に挙げると、赤外線センサは、携帯電話の上部に配置されている。ユーザが音声通話を行うか、または関連した操作をするときに、携帯電話がユーザの頭部へと移動して、赤外線センサがプロセッサに距離情報をフィードバックし、プロセッサがディスプレイスクリーンの構成部品の照明を消すなどの対応する命令を実行する。関連技術において、電子デバイス内に赤外線センサを配置するために、電子デバイスのハウジングには、赤外光信号を放射し、受信するための対応する孔が設けられていることが必要となる。しかしながら、電子デバイスの発展に伴い、人々は、携帯電話の外観および操作体験に対する要求をますます高まらせている。携帯電話はフルスクリーンディスプレイを備えるように開発されており、フルスクリーンディスプレイを備える携帯電話のディスプレイスクリーンの構成部品とハウジングとの間には、極細のベゼルが存在する。極細のベゼルは幅が非常に小さいため、極細のベゼルには孔を設けるべき十分な空間がない場合がある。極細のベゼルに孔が設けられている場合であっても、極細のベゼル全体の強度が低減することとなり、これにより電子デバイスの信頼性が低下する。
【0024】
本実施形態は、電子デバイスを提供するものである。電子デバイスは、ハウジング、光透過性ディスプレイスクリーン、エミッタおよびレシーバを含む。光透過性ディスプレイスクリーンは、ハウジング内に受容され、ディスプレイ領域と、ディスプレイ領域を取り囲むブラックマトリクス領域とを含む。ブラックマトリクス領域は第1の窓領域を含む。エミッタは、光透過性ディスプレイスクリーンの側面に配置され、ブラックマトリクス領域の第1の窓領域と対向して配置される。レシーバは、光透過性ディスプレイスクリーンの側面に配置され、エミッタと通信するように構成されている。
【0025】
本実施形態は、別の電子デバイスを更に提供するものである。この電子デバイスは、光透過性ディスプレイスクリーンおよび光学センサを含む。光透過性ディスプレイスクリーンは、第1の表面と、第1の表面に背面する第2の表面とを有する。第2の表面は、ディスプレイ領域と、ディスプレイ領域を取り囲むブラックマトリクス領域とを含む。ブラックマトリクス領域は第1の窓領域を含む。光学センサは、光透過性ディスプレイスクリーンの第2の表面に対向して配置され、第1の窓領域を介して赤外光を放射するように構成されるエミッタと、光透過性ディスプレイスクリーンを介して赤外光を受信するように構成されるレシーバとを含む。
【0026】
図1で図示されるように、本開示の実施形態による電子デバイス100は、携帯電話またはタブレットPCであってよい。本開示の実施形態による電子デバイス100を説明するために、携帯電話を一例として挙げる。もちろん、電子デバイス100は、本明細書において定義されないその他の特定の形態を有していてもよい。
【0027】
図2で図示されるように、電子デバイス100は、光透過性ディスプレイスクリーン13、および光学センサ16を含む。
【0028】
光透過性ディスプレイスクリーン13は、第1の表面131と、第1の表面131に背面する第2の表面132とを含む。第2の表面132は、ディスプレイ領域1311およびブラックマトリクス領域1312を含み、ディスプレイ領域1311をブラックマトリクス領域1312が取り囲んでいる。ディスプレイ領域1311は、画像およびテキストなどの情報を表示するように構成されているが、ブラックマトリクス領域1312は、情報を表示するために使用されていない。ブラックマトリクス領域1312は、第2の表面132の周辺にインクを印刷することによって形成してもよい。ブラックマトリクス領域1312は、第1の窓領域1320を含む。光透過性ディスプレイスクリーン13は、ディスプレイ領域1311および第1の表面131を介して発光するディスプレイのために構成されている。光学センサ16はエミッタ1611およびレシーバ1612を含み、エミッタ1611は、第1の窓領域1320を介して赤外光を放射するように構成され、レシーバ1612は、第2の表面132、すなわちディスプレイ領域1311およびブラックマトリクス領域1312のうちの一方を介して赤外光を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、レシーバ1612は、ディスプレイ領域1311およびブラックマトリクス領域1312のうちの一方を介して、可視光を受信するように更に構成される。
【0029】
光透過性ディスプレイスクリーン13の第1の表面131もまた、機能の観点から、光透過性ディスプレイスクリーン13の第2の表面132のディスプレイ領域に対応するディスプレイ領域、および光透過性ディスプレイスクリーン13の第2の表面132のブラックマトリクス領域に対応するブラックマトリクス領域を含むということが理解されよう。
【0030】
すなわち、第1の表面131は、その周辺がインクで印刷されない可能性があるが、第2の表面132のディスプレイ領域およびブラックマトリクス領域の配置のおかげで、第1の表面131は、実際に、それに応じて機能上のディスプレイ領域およびブラックマトリクス領域を含んでいる。従って、光透過性ディスプレイスクリーン13全体が、第1の表面131から第2の表面132まで延在するディスプレイ領域およびブラックマトリクス領域を含む。
【0031】
エミッタ1611は、赤外光を放射するように構成されている。赤外光は、第1の窓領域1320を通過し、続いて第1の表面131を通って外部に通過する。エミッタ1611によって放射される赤外光が検出方向で障害物に遭遇すると、赤外光の一部が反射して、第1の表面131を通過し、続いて第2の表面132のディスプレイ領域1311またはブラックマトリクス領域1312を通り、最終的にレシーバ1612によって受信される。これにより、赤外光の放射から反射までの時間を算出するプロセッサによって、電子デバイス100から障害物までの距離を測定することができ、その結果、対応する調整を行うことができる。例えば、ユーザが電話をかけるかまたは電話を受けるとき、ユーザの頭部に電子デバイス100が移動し、エミッタ1611が赤外光を放射し、レシーバ1612が頭部から反射される赤外光を受信する。赤外光の放射から反射までの時間をプロセッサが算出した後、対応する命令を生成して、ディスプレイスクリーンのバックライトを消すようにディスプレイスクリーンを制御する。電子デバイス100が頭部から離れると、プロセッサは再びデータのフィードバックに従って計算し、再びディスプレイスクリーンのバックライトをつけるための命令を生成する。このようにして、ユーザの誤操作を防止し、かつ携帯電話のバッテリーの電力を節約することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、レシーバ1612は、電子デバイス100がおかれている環境の光の強度を検出するように更に構成される。電子デバイス100が日差しの中または比較的暗い環境におかれているとき、レシーバ1612は、周囲の環境の光の強度をプロセッサにフィードバックし、プロセッサは、ディスプレイスクリーンのバックライトを調整するように、光の強度に従って対応する命令を生成する。実際の操作では、レシーバ1612は、異なる時に赤外光および可視光を受信する。例えば、電話を受けるなどの関連操作が行われるときに、距離の検出が実行され、表示されたコンテンツの閲覧などの関連操作が行われるときに、周囲の明るさの検出が実行される。
【0033】
いくつかの実施形態では、電子デバイス100はハウジング20を更に含み、ハウジング20は、電子デバイス100の素子を受容するように構成され、そのための保護機能を提供する。電子デバイス100をハウジング20内に配置することによって、電子デバイス100は、電子デバイス100内部の素子を外部要因から生じる直接的な損傷から保護するように囲い込まれる。ハウジング20は、アルミニウム合金を加工するコンピュータ数値制御(CNC)工作機械によって形成してもよく、ポリカーボネート(PC)、またはPCおよびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)材料を射出することによって成形してもよい。
【0034】
結論として、本開示の実施形態による電子デバイス100では、フルスクリーンディスプレイの光透過性ディスプレイスクリーン13の下に光学センサ16を配置することができる。これにより孔を設けるための従来の作業が回避され、従って電子デバイス100のブラックマトリクス領域全体の強度の信頼性が確保され、かつ電子デバイス100のスクリーン対ボディ比率が更に向上する。ブラックマトリクス領域1312に光学センサのエミッタ1611を設けることによって、エミッタ1611によって放射される赤外光がディスプレイ領域1311の薄膜トランジスタ(TFT)の動作安定性に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、光透過性ディスプレイスクリーン13は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイスクリーンを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、OLEDディスプレイスクリーンは優れた透明度を有し、可視光および赤外光がそれを通して通過することができる。従って、OLEDディスプレイスクリーンは、コンテンツを表示させながら、赤外光を放射および受信する際に光学センサに影響を及ぼさない。光透過性ディスプレイスクリーン13は、マイクロ発光ダイオード(LED)ディスプレイスクリーンを採用してもよい。マイクロLEDディスプレイスクリーンもまた、可視光および赤外光に対して優れた光透過率を有する。もちろん、これらのディスプレイスクリーンは単に例示的なものにすぎず、本開示の実施形態はこれに限定されるものではない。
【0037】
図4で図示されるように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、光透過性タッチパネル12および光透過性カバープレート11を更に含む。光透過性カバープレート11は、光透過性タッチパネル12上に配置され、光透過性タッチパネル12は、光透過性ディスプレイスクリーン13上に配置され、光透過性ディスプレイスクリーン13の第1の表面131は、光透過性タッチパネル12に面する。光透過性タッチパネル12および光透過性カバープレート13は、可視光に対して90%より大きい光透過率、および赤外光に対して90%より大きい光透過率をそれぞれ有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、光透過性タッチパネル12は主に、ユーザが光透過性タッチパネル12に触れる特定の位置を取得するように、ユーザが光透過性タッチパネル12に触れるときに生成される入力信号を受信して、入力信号をデータ処理用の回路基板に伝送するように構成される。インセル型の積層技術またはオンセル型の積層技術を使用して、光透過性タッチパネル12を光透過性ディスプレイスクリーン13と積層してもよい。これにより、ディスプレイスクリーンの重量および全体的な厚さが効果的に低減される。
【0039】
加えて、光透過性カバープレート11が光透過性タッチパネル12上に配置されているので、光透過性タッチパネル12およびその内部構造体を効果的に保護することができ、これにより光透過性タッチパネル12および光透過性ディスプレイスクリーン13が外力によって損傷を受けることを防止する。光透過性カバープレート11および光透過性タッチパネル12は、可視光に対して90%より大きい光透過率、および赤外光に対して90%より大きい光透過率をそれぞれ有し、これにより、光透過性ディスプレイスクリーン13がコンテンツを表示することをより容易にし、また、光透過性ディスプレイスクリーン13の下に配置される光学センサ16が安定して赤外光を放射および受信することを容易にする。それによって、光学センサ16の通常動作が確実なものとなる。
【0040】
図3で図示されるように、いくつかの実施形態では、光透過性ディスプレイスクリーン13はディスプレイ領域1311を介して発光するディスプレイのために構成されており、ディスプレイ領域1311の面積と光透過性カバープレート11の面積との比率は90%より大きい。
【0041】
ディスプレイ領域1311の面積と光透過性カバープレート11の面積との比率を設定することにより、光透過性ディスプレイスクリーン13を光透過性カバープレート11と積層した後に、ディスプレイ領域1311は比較的大きな面積寸法でコンテンツを表示することができる。これにより、ユーザ体験が向上し、電子デバイス100のスクリーン対ボディ比率が増大して、よってフルスクリーンディスプレイが達成される。また、ブラックマトリクス領域1312は、光透過性ディスプレイスクリーン13の下に位置するその他の素子および金属線を隠蔽するように構成されていてもよい。これにより、電子デバイス100の外観を一貫させることができる。ブラックマトリクス領域1312は、光遮蔽機能を確実なものとしながら、一方で優れた視覚効果をもたらすように、インク印刷によって光透過性ディスプレイスクリーン13の光学密度を増大させてもよい。
【0042】
図5で図示されるように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、被覆層14を更に含み、被覆層14は、第1の窓領域1320で被覆され、エミッタ1611を覆っている。
【0043】
いくつかの実施形態では、ブラックマトリクス領域1312は通常、光透過性ディスプレイスクリーン13の下に位置するその他の素子および金属線を見えなくするように、光遮蔽用の黒色インクで印刷されている。エミッタ1611は、ブラックマトリクス領域1312の第1の窓領域1320に対向して配置されるか、あるいはそこに位置しているため、エミッタ1611の通常動作を確実なものとするために、ブラックマトリクス領域1312の第1の窓領域1320を黒色インクで印刷しない一方で、可視光をブロックする特徴を有し、それを通して赤外光が通過することができる被覆層14を第1の窓領域1320に被覆する必要がある。従って、光学センサ16が光透過性ディスプレイスクリーン13と積み重ねられる方向において、赤外光を放射する際に被覆層14がエミッタ1611に影響を及ぼすことなくエミッタ1611を十分に遮蔽することが正常にできるよう、第1の窓領域1320の被覆層14の正投影領域が第1の窓領域1320のエミッタ1611の正投影領域を覆う。これにより、電子デバイス100を外部から観察したときにエミッタ1611が見えないという効果が達成される。
【0044】
いくつかの実施形態では、被覆層14は、それを通して赤外光を通過させることができ、かつ可視光をブロックするように構成され、エミッタ1611は、被覆層14および第1の窓領域1320を介して赤外光を放射するように構成される。
【0045】
被覆層14が、それを通して赤外光を通過させることを可能にするため、エミッタ1611が検出用の赤外光を発信するとき、赤外光が被覆層14を通過した後の赤外光の強度減少は比較的小さいか、または、赤外光の強度減少は検出過程に影響を及ぼすことがない。これにより、エミッタ1611の通常動作が確実なものとなる。被覆層14が可視光をブロックすることができるので、可視光が被覆層14を通過することができず、その結果、エミッタ1611が視覚的に遮蔽される。これにより、電子デバイス100を外部から観察したときにエミッタ1611が見えなくなるという効果が達成される。
【0046】
いくつかの実施形態では、被覆層14は赤外線(IR)インクを含み、IRインクは赤外光に対して85%より大きい光透過率、および可視光に対して6%より小さい光透過率を有し、IRインクは、波長が850nm~940nmの範囲の赤外光をそれを通して通過させることができる。
【0047】
IRインクが可視光に対して低い光透過率を有するため、電子デバイス100を外部から観察したときに、人間の目に基づく視覚を介して被覆層14の下に配置されているエミッタ1611を確認することはできない。また、IRインクは更に、赤外光に対して高い光透過率を有するため、エミッタ1611が赤外光を安定的に放射することができる。これにより、エミッタ1611の通常動作が確実なものとなる。
【0048】
いくつかの実施形態では、光学センサ16は、近接センサおよび環境光センサを含む。近接センサは近接エミッタおよび近接レシーバを含み、近接エミッタは、被覆層14および第1の窓領域1320を介して赤外光を放射するように構成され、近接レシーバは、対象物によって反射される赤外光を受信するように構成されて、対象物から電子デバイス100までの距離を検出するようにする。環境光センサは環境光レシーバを含み、環境光レシーバは環境光を感知するように構成されて、光透過性ディスプレイスクリーン13の明るさを調整するようにする。
【0049】
いくつかの実施形態において、ユーザが電話をかけるかまたは電話を受けるとき、ユーザの頭部に電子デバイス100が移動し、近接エミッタが赤外光を放射し、近接レシーバが反射された赤外光を受信する。赤外光の放射から反射までの時間をプロセッサが算出し、対応する命令を生成して、ディスプレイスクリーンのバックライトを消すようにディスプレイスクリーンを制御する。電子デバイス100が頭部から離れると、プロセッサは再びデータのフィードバックに従って計算し、再びディスプレイスクリーンのバックライトをつけるための命令を生成する。このようにして、ユーザの誤操作を防止し、かつ携帯電話のバッテリーの電力を節約することができる。加えて、環境光レシーバは、電子デバイス100がおかれている環境の光の強度を検出するように構成される。電子デバイス100が日差しの中または比較的暗い環境におかれているとき、環境光レシーバは、周囲の環境の光の強度をプロセッサにフィードバックし、プロセッサは、ディスプレイスクリーンのバックライトを調整するように、光の強度に従って対応する命令を生成する。
【0050】
いくつかの実施形態では、近接レシーバおよび環境光レシーバは多重化されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、近接レシーバおよび環境光レシーバは、素子の全体のサイズを効果的に低減し、電子デバイス100の空間利用率を向上させ、また、その他の素子に可能な位置を提供して、その結果、様々な素子の空間的位置を電子デバイス100が十分に割り当てることができるように、全体として一体化されている。実際の操作では、近接レシーバは、異なる時に赤外光および可視光を受信する。例えば、電話を受けるなどの関連操作が行われるときに、距離の検出が実行され、表示されたコンテンツの閲覧などの関連操作が行われるときに、周囲の明るさの検出が実行される。
【0052】
図5~6B、または図7~8Bで図示されるように、いくつかの実施形態では、ディスプレイ領域1311が第2の窓領域1330を含み、レシーバ1612が、第2の窓領域1330を介して赤外光および/または可視光を受信するように構成されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、レシーバ1612は、ディスプレイ領域1311の第2の窓領域1330に対向して配置されていても、あるいはそこに位置していてもよい。第2の窓領域1330は、それを通して赤外光および可視光を通過させることが可能でなくてはならないため、第2の窓領域1330にインクまたはその他の被覆材を被覆する必要はない。
【0054】
図9および10、または図11および12で図示されるように、いくつかの実施形態では、ブラックマトリクス領域1312が第2の窓領域1330を更に含み、レシーバ1612が、第2の窓領域1330を介して赤外光および/または可視光を受信するように構成されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、レシーバ1612は、ブラックマトリクス領域1312の第2の窓領域1330に対向して配置していても、あるいはそこに位置していてもよい。第2の窓領域1330は、それを通して赤外光および可視光を通過させることが可能でなくてはならないため、第2の窓領域1330にインクまたはその他の被覆材を被覆する必要はない。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態では、図10で図示されるように、エミッタ1611およびレシーバ1612は、光透過性ディスプレイスクリーン13の縁と並列に一列に配置され、レシーバ1612は、エミッタ1611と隣接して配置される。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態では、図8Aおよび12で図示されるように、エミッタ1611およびレシーバ1612は、光透過性ディスプレイスクリーン13の縁と並列に一列に配置され、レシーバ1612は、エミッタ1611から隔置される。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態では、図6Aで図示されるように、レシーバ1612は、光透過性ディスプレイスクリーン13の縁に対してエミッタ1611と交互に配置され、レシーバ1612は、エミッタ1611と隣接して配置される。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態では、図6Bおよび8Bで図示されるように、レシーバ1612は、光透過性ディスプレイスクリーン13の縁に対してエミッタ1611と交互に配置され、レシーバ1612は、エミッタ1611から隔置される。
【0060】
図13Aまたは13Bで図示されるように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100は、第2の表面132を覆う緩衝層17を更に含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、緩衝層17は、光透過性タッチパネル12および光透過性ディスプレイスクリーン13、ならびにそれらの内部構造体を保護するように、衝撃力を緩衝し、よって耐震性となるように構成される。これにより、ディスプレイスクリーンが外部衝撃の影響によって損傷を受けるのを防止する。緩衝層17は、発泡体、発泡プラスチック、ゴムまたはその他の軟質材料でできていてもよい。もちろん、これらの緩衝材料は単に例示的なものにすぎず、本開示の実施形態はこれに限定されるものではない。加えて、レシーバ1612がディスプレイ領域に配置される場合、緩衝層17がレシーバ1612の信号受信をブロックするのを防止するために、緩衝層17を設ける過程でレシーバ1612を避け、レシーバ1612が赤外光および/または可視光を受信する際に影響を受けないようにする。
【0062】
図14Aまたは14Bで図示されるように、更に、そのような実施形態では、電子デバイス100は緩衝層17を覆う金属シート18を更に含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、金属シート18は電磁干渉を遮蔽するため、また、接地のために構成され、上昇温度を拡散する機能を更に有する。金属シート18は、銅箔およびアルミニウム箔などの金属材料を切断することによって形成してもよい。もちろん、これらの金属材料は単に例示的なものにすぎず、本開示の実施形態はこれに限定されるものではない。加えて、レシーバ1612がディスプレイ領域に配置される場合、金属シート18がレシーバ1612の信号受信をブロックするのを防止するために、金属シート18を設ける過程でレシーバ1612を避け、レシーバ1612が赤外光および/または可視光を受信する際に影響を受けないようにする。
【0064】
図2および16、または図15および16で図示されるように、本開示の実施形態は、電子デバイス100の製造方法30を提供するものであり、製造方法30は下記ブロックにおける動作を含む。
【0065】
ブロックS301において、光透過性ディスプレイスクリーン13が設けられる。光透過性ディスプレイスクリーン13は、第1の表面131および第2の表面132を含み、第2の表面132は、第1の表面131に背面している。第2の表面132は、ディスプレイ領域1311と、ディスプレイ領域1311を取り囲むブラックマトリクス領域1312とを含み、ブラックマトリクス領域1312は第1の窓領域1320を含む。光透過性ディスプレイスクリーン13は、ディスプレイ領域および第1の表面131を介して発光するディスプレイのために構成されている。
【0066】
ブロックS302において、光学センサ16が設けられる。光学センサ16は、第1の窓領域1320を介して赤外光を放射するように構成されるエミッタ1611と、第2の表面132、すなわちディスプレイ領域1311およびブラックマトリクス領域1312のうちの一方を介して赤外光(いくつかの実施形態では可視光も)を受信するように構成されるレシーバ1612とを含む。
【0067】
本開示の実施形態による製造方法では、フルスクリーンディスプレイの光透過性ディスプレイスクリーン13の下に光学センサ16を配置することができるように、光透過性ディスプレイスクリーン13を使用する。これにより孔を設けるための従来の作業が回避され、従って電子デバイス100のブラックマトリクス領域全体の強度の信頼性が確保され、電子デバイス100のスクリーン対ボディ比率が更に向上する。ブラックマトリクス領域1312に光学センサのエミッタ1611を設けることによって、エミッタ1611によって放射される赤外光がディスプレイ領域1311の薄膜トランジスタ(TFT)の動作安定性に影響を及ぼすことを防止することができる。光透過性ディスプレイスクリーン13は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイスクリーンであってもよい。OLEDディスプレイスクリーンは優れた透明度を有し、可視光および赤外光がそれを通して通過することができる。従って、OLEDディスプレイスクリーンは、コンテンツを表示させながら、赤外光を放射および受信する際に赤外線センサに影響を及ぼさない。光透過性ディスプレイスクリーン13は、マイクロ発光ダイオード(LED)ディスプレイスクリーンを採用してもよい。マイクロLEDディスプレイスクリーンもまた、可視光および赤外光に対して優れた光透過率を有する。もちろん、これらのディスプレイスクリーンは単に例示的なものにすぎず、本開示の実施形態はこれに限定されるものではない。その上、光透過性ディスプレイスクリーン13の第1の表面131は、一方では、コンテンツを表示するために、それを通して可視光を通過させることができ、また、他方では、光学センサ16が正常に赤外光を放射して受信することができるように、それを通して赤外光を通過させることができる。
【0068】
図5および17、または図7および17で図示されるように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100の製造方法30は、次のブロックにおける動作を更に含む。
【0069】
ブロックS303において、光透過性タッチパネル12を光透過性ディスプレイスクリーン13に結合する。いくつかの実施形態では、光透過性タッチパネル12が光透過性ディスプレイスクリーン13の第1の表面131上に配置される。
【0070】
ブロックS304において、光透過性カバープレート11を光透過性タッチパネル12に結合する。いくつかの実施形態では、光透過性カバープレート11は、光透過性ディスプレイスクリーン13に背面する光透過性タッチパネル12の側面に配置される。
【0071】
いくつかの実施形態では、光透過性タッチパネル12は主に、ユーザが光透過性タッチパネル12に触れる特定の位置を取得するように、ユーザが光透過性タッチパネル12に触れるときに生成される入力信号を受信して、入力信号をデータ処理用の回路基板に伝送するように構成される。インセル型の積層技術またはオンセル型の積層技術を使用して、光透過性タッチパネル12を光透過性ディスプレイスクリーン13と積層する。これにより、ディスプレイスクリーンの重量および全体的な厚さが効果的に低減される。加えて、光透過性カバープレート11が光透過性タッチパネル12上に配置されているので、光透過性タッチパネル12およびその内部構造体を保護することができ、これにより光透過性タッチパネル12が外力によって直接損傷を受けることを防止する。
【0072】
図5~6Bおよび18、または図7~8Bおよび18で図示されるように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100の製造方法30は、次のブロックにおける動作を更に含む。
【0073】
ブロックS305において、第1の窓領域1320に被覆層14を被覆する。被覆層14がエミッタ1611を覆い、エミッタ1611は被覆層14および第1の窓領域1320を介して赤外光を放射するように構成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、ブラックマトリクス領域1312は通常、光透過性ディスプレイスクリーン13の下に位置するその他の素子および金属線を見えなくするように、光遮蔽用の黒色インクで印刷されている。エミッタ1611がブラックマトリクス領域1312の第1の窓領域1320に位置しているため、エミッタ1611の通常動作を確実なものとするために、ブラックマトリクス領域1312の第1の窓領域1320を黒色インクで印刷しない一方で、可視光をブロックする特徴を有し、それを通して赤外光が通過することができる被覆層14を第1の窓領域1320に被覆する必要がある。従って、光学センサ16が光透過性ディスプレイスクリーン13と積み重ねられる方向において、赤外光を放射する際に被覆層14がエミッタ1611に影響を及ぼすことなくエミッタ1611を十分に遮蔽することが正常にできるよう、第1の窓領域1320の被覆層14の正投影領域が第1の窓領域1320のエミッタ1611の正投影領域を覆う。これにより、電子デバイス100を外部から観察したときにエミッタ1611が見えないという効果が達成される。被覆層14は、赤外線(IR)インクを使用してもよい。IRインクが可視光に対して低い光透過率を有するため、電子デバイス100を外部から観察したときに、人間の目に基づく視覚を介して被覆層14の下に配置されているエミッタ1611を確認することはできない。また、IRインクは更に、赤外光に対して高い光透過率を有するため、エミッタ1611が赤外光を安定的に放射することができる。これにより、エミッタ1611の通常動作が確実なものとなる。
【0075】
図5~6Bおよび19、または図7~8Bおよび19で図示されるように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100の製造方法30は、次のブロックにおける動作を更に含む。
【0076】
ブロックS306において、ディスプレイ領域1311に第2の窓領域1330を設け、レシーバ1612を第2の窓領域1330に対向して配置する。
【0077】
いくつかの実施形態では、レシーバ1612を、ディスプレイ領域1311の第2の窓領域1330に配置してもよい。第2の窓領域1330は、それを通して赤外光および可視光を通過させることが可能でなくてはならないため、第2の窓領域1330にインクまたはその他の被覆材を被覆する必要はない。
【0078】
図9、10、および20、または図11、12および20で図示されるように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100の製造方法30は、次のブロックにおける動作を更に含む。
【0079】
ブロックS307において、ブラックマトリクス領域1312に第2の窓領域1330を設け、レシーバ1612を第2の窓領域1330に対向して配置する。
【0080】
いくつかの実施形態では、レシーバ1612を、ブラックマトリクス領域1312の第2の窓領域1330に配置してもよい。第2の窓領域1330は、それを通して赤外光および可視光を通過させることが可能でなくてはならないため、第2の窓領域1330にインクまたはその他の被覆材を被覆する必要はない。
【0081】
図13Aおよび21、または図13Bおよび21で図示されるように、いくつかの実施形態では、電子デバイス100の製造方法30は、次のブロックにおける動作を更に含む。
【0082】
ブロックS308において、緩衝層17を第2の表面132に結合し、緩衝層17が第2の表面132を覆う。
【0083】
いくつかの実施形態では、緩衝層17は、光透過性タッチパネルおよび光透過性ディスプレイスクリーン、ならびにそれらの内部構造体を保護するように、衝撃力を緩衝し、よって耐震性であるように構成される。これにより、ディスプレイスクリーンが外部衝撃の影響によって損傷を受けるのを防止する。緩衝層17は、発泡体、発泡プラスチック、ゴムまたはその他の軟質材料でできていてもよい。もちろん、これらの緩衝材料は単に例示的なものにすぎず、本開示の実施形態はこれに限定されるものではない。加えて、緩衝層17がレシーバ1612の信号受信をブロックするのを防止するために、緩衝層17を設ける過程でレシーバ1612を避け、レシーバ1612が赤外光を受信する際に影響を受けないようにする。
【0084】
図14Aおよび22、または図14Bおよび22で図示されるように、更に、いくつかの実施形態では、電子デバイス100の製造方法30は、次のブロックにおける動作を更に含む。
【0085】
ブロックS309において、金属シート18を緩衝層17の下に設け、金属シート18が緩衝層17を覆う。
【0086】
いくつかの実施形態では、金属シート18は電磁干渉を遮蔽するため、また、接地のために構成され、上昇温度を拡散する機能を更に有する。金属シート18は、銅箔およびアルミニウム箔などの金属材料を切断することによって形成してもよい。もちろん、これらの金属材料は単に例示的なものにすぎず、本開示の実施形態はこれに限定されるものではない。加えて、金属シート18がレシーバ1612の信号受信をブロックするのを防止するために、金属シート18を設ける過程でレシーバ1612を避け、レシーバ1612が赤外光を受信する際に影響を受けないようにする。
【0087】
本開示の説明において、第1の特徴が第2の特徴の「上に」、または「真下に」ある構造体は、特に明記しない限り、第1の特徴が第2の特徴に直接接触する実施形態を含んでもよく、また、第1の特徴が第2の特徴に直接接触しないように、第1の特徴と第2の特徴の間に付加的な特徴が形成される実施形態を含んでもよい。更に、第2の特徴の「上に」、「上方に」、または「上部に」ある第1の特徴は、第1の特徴が第2の特徴のちょうど「上に」、「上方に」、または「上部に」ある実施形態を含んでもよく、また、第1の特徴が第2の特徴のちょうど「上に」、「上方に」、または「上部に」ないか、または第1の特徴が第2の特徴の海抜高度より高い海抜高度を有することを単に意味する実施形態を含んでもよい。一方で、第2の特徴の「真下に」、「下に」、または「底部に」ある第1の特徴は、第1の特徴が第2の特徴のちょうど「真下に」、「下に」、または「底部に」ある実施形態を含んでもよく、また、第1の特徴が第2の特徴のちょうど「真下に」、「下に」、または「底部に」ないか、または第1の特徴が第2の特徴の海抜高度より低い海抜高度を有することを単に意味する実施形態を含んでもよい。
【0088】
以下の開示は、本開示の異なる構造体を実現するために、多くの異なる実施形態または実施例を提供するものである。本開示の開示を簡潔にするために、特定の実施例の構成要素および構成が詳しく述べられている。当然のことながら、それらは例示的なものであり、本開示を限定することを意図するものではない。その上、簡潔かつ明快にするために、参照番号および/または文字が本開示の異なる実施例において繰り返される場合があるが、様々な実施形態および/または構成間の関係を示すように構成されるべきではない。加えて、本開示では、様々な特定のプロセスおよび材料の例を提供してはいるものの、当業者にとってはその他のプロセスの適用および/またはその他の材料の利用が想定され得る。
【0089】
説明中、「上側」、「下側」、「前」、「後ろ」、「上部」、「底部」などの用語は、続いて記載されるように、または説明のもとで図面において示されるように、方向を指すものと解釈すべきであることを理解すべきである。これらの相対的な語句は、説明の便宜上のものであり、本開示を特定の方向において構成するかまたは動作することを要求するものではない。加えて、「第1の」および「第2の」などの用語は、説明の目的で本明細書において使用され、相対的な重要度もしくは有意性を示す、または暗示するようには意図されておらず、先に述べた技術的特徴の数を暗に示すように意図されていない。従って、「第1の」および「第2の」で限定される特徴は、これらの特徴の1つまたは2つ以上を含むことを示す、または暗示することが意図される。本開示の説明において、「複数の」は、特に明記されない限り、2つまたは3つ以上を意味する。
【0090】
本開示において、特に明記または限定されない限り、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」等の用語は広義の意味で使用され、例えば、固定接続、着脱可能な接続、または一体接続であってもよく、また、機械的接続または電気的接続であってもよく、また、直接接続または介在する構造体を介した間接接続であってもよく、また、2つの要素の内部通信または2つの要素間の相互関係であってもよい。上記の用語は、特定の状況に従って、当業者によって理解され得る。
【0091】
本明細書全体にわたる「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「別の実施例」、「実施例」、「特定の実施例」または「いくつかの実施例」への言及は、実施形態または実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、もしくは特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態または実施例に含まれることを意味する。従って、本明細書全体にわたる、様々な箇所におけるそのような句の出現は、必ずしも本開示の同一の実施形態または実施例を参照しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1もしくは複数の実施形態または実施例において、任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22