(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】コンタクト・レンズの光学的特性を測定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20220607BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20220607BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
G01M11/02 B
G02C7/04
G02C13/00
(21)【出願番号】P 2020555292
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2017084708
(87)【国際公開番号】W WO2019129347
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】520232895
【氏名又は名称】トランジション オプティカル、リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】591175675
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラックバーン、フォレスト、アール.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズル、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、パトリシア
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-076072(JP,A)
【文献】特開昭57-020636(JP,A)
【文献】特開2000-304653(JP,A)
【文献】特開2005-183655(JP,A)
【文献】特開2014-106516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/02
G02C 1/00 - G02C 13/00
A61B 5/06 - A61B 5/22
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼表面(100)に直接的に接触するコンタクト・レンズ(200)を透過する電磁放射線の透過率を決定するための方法であって、
眼表面(100)の少なくとも一部分によって反射された放射線の第1の強度を強度測定デバイス(400)によって測定するステップと、
前記眼表面(100)の少なくとも一部分をカバーするとともに直接的に接触するように前記コンタクト・レンズ(200)を位置付けるステップと、
前記コンタクト・レンズ(200)によってカバーされた前記眼表面(100)の少なくとも1つの領域(110)によって反射される前記コンタクト・レンズ(200)を透過した放射線の第2の強度を前記強度測定デバイス(400)によって測定するステップと、
前記第1の強度及び前記第2の強度の測定値を使用して、前記コンタクト・レンズ(200)を透過する電磁放射線の透過率を計算するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記強度測定デバイス(400)における暗電流に起因する強度値を決定するステップと、
前記コンタクト・レンズ(200)を透過する前記電磁放射線の透過率を以下の式に従って計算するステップであって、
【数1】
式中、
T
Corrは、前記コンタクト・レンズ(200)を透過する前記電磁放射線の透過率であり、
I
Oは、前記第1の強度の前記測定値であり、
I
Tは、前記第2の強度の前記測定値であり、
dは、前記強度測定デバイス(400)における暗電流に起因する前記強度値である、ステップと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2次的な場所(150)から反射された放射線の第3の強度を、前記第1の強度の測定と同時的に測定するステップであって、前記少なくとも1つの領域(110)は前記2次的な場所(150)とは異なる、ステップと、
前記2次的な場所(150)から反射された放射線の第4の強度を、前記第2の強度の測定と同時的に測定するステップと、
前記第1及び第3の強度の測定時と前記第2及び第4の強度の測定時との間での放射線の強度における変化を決定するために、前記第3の強度を前記第4の強度と比較するステップと、
前記第3の強度と前記第4の強度との前記比較を使用して、前記コンタクト・レンズ(200)を透過する前記電磁放射線の透過率の前記計算における前記第1及び第3の強度の測定時と前記第2及び第4の強度の測定時との間での放射線の強度における前記変化を補正するステップと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記強度測定デバイス(400)は、1nmから1,000nm、好ましくは380~780nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトル内での電磁放射線の強度を測定するように構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記強度測定デバイス(400)は、460±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる電磁放射線の強度を測定するように構成される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記強度測定デバイス(400)は、555±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる電磁放射線の強度を測定するように構成される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記強度測定デバイス(400)は、635±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる電磁放射線の強度を測定するように構成される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の強度の前記測定値は、460±20nm、555±20nm、及び635±20nmから成る群から選択された波長の範囲からのものである、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の強度を測定する前に、前記強度測定デバイス(400)の検知器を覆うようにフィルタ(450)、好ましくは、3波長ノッチ・フィルタ(450)を適用するステップ
を更に含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フィルタ(450)は、460±20nm、555±20nm、及び635±20nmから成る群から選択された波長を中心とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記眼表面(100)は、人間の眼の少なくとも一部分、好ましくは前記眼の強膜(120)の少なくとも一部分を含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記コンタクト・レンズ(200)は、フォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)又はティンテッド・コンタクト・レンズ(200)である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コンタクト・レンズ(200)の略中心部分又は周縁部分にわたって前記第2の強度の前記値を測定するステップ
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンタクト・レンズ(200)は、フォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)であり、
前記眼表面(100)は、眼を構成し、前記少なくとも1つの領域(110)は、前記眼の強膜(120)上に配置され、前記強度測定デバイス(400)は、所望の波長範囲にわたって電磁放射線強度データを記録するように構成された撮像デバイスであり、
前記方法は、
更に、
電磁放射線の
前記所望の波長範囲を選択するステップと、
前記フォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)の活性化の所望のレベルを選択するステップと、
前記フォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)が前記活性化の所望のレベルに到達するまで前記フォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)を化学線に晒すステップ
と、
前記強膜(120)によって構成される前記少なくとも1つの領域(110)の割合をできる限り大きくするステップと、
を含み、
前記眼表面(100)によって反射された放射線の前記第1の強度を前記強度測定デバイス(400)によって測定するステップは、前記強膜(120)の前記領域(110)の第1の画像を前記撮像デバイス(400)によって撮影するステップを含み、
前記眼表面(100)をカバーするように前記フォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)を位置付けるステップは、前記活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)によって前記強膜(120)の前記領域(110)をカバーするステップを含み、
前記フォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)によってカバーされた前記眼表面(100)の前記領域(110)によって反射された放射線の前記第2の強度を前記強度測定デバイス(400)によって測定するステップは
、前記強膜(120)の前記領域(110)の第2の画像を前記撮像デバイス(400)によって撮影するステップとを含
み、
前記第1の強度及び前記第2の強度の前記測定値を使用して、前記フォトクロミック・コンタクト・レンズ(200)を透過する前記電磁放射線の透過率を計算するステップは、
前記第1の画像から取得された前記所望の波長範囲についての電磁放射線強度データの第1のセットを記録するステップと、
前記第2の画像から取得された前記所望の波長範囲についての電磁放射線強度データの第2のセットを記録するステップと、
前記データの第1及び第2のセットをデータベースに入力するステップと、
プロセッサを使用して、前記フォトクロミック・コンタクト・レンズを透過する前記電磁放射線の透過率を決定するステップと
を含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記コンタクト・レンズ(200)は、前記第1及び第2の強度を測定する前に前記眼表面(100)をカバーするように位置付けられ、前記第1の強度及び前記第2の強度の前記測定値は同一の画像から取得され、前記第1の強度は、前記コンタクト・レンズ(200)によってカバーされていない前記眼表面(100)の部分から測定され、前記第2の強度は、前記コンタクト・レンズ(200)によってカバーされた前記眼表面(100)の部分から測定され、前記方法は、
前記第1の強度の前記測定値をCIE XYZ値に変換するステップと、
前記第2の強度の前記測定値をCIE XYZ値に変換するステップと、
前記透過率を以下の式に従って決定するステップであって、
【数2】
式中、
T
Yは、CIE Y値に従って決定された前記コンタクト・レンズ(200)の前記透過率であり、
Y
uncoveredは、前記眼表面(100)の前記画像の前記部分のY値であって、前記眼表面(100)が前記コンタクト・レンズ(200)によってカバーされていないときのY値であり、
Y
coveredは、前記眼表面(100)の前記画像の前記部分のY値であって、前記眼表面(100)が前記コンタクト・レンズ(200)によってカバーされたときのY値である、ステップと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実世界条件の下での、例えばフォトクロミック・コンタクト・レンズなどのコンタクト・レンズの光学的特性を決定するための方法及び測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁スペクトルの可視領域における電磁放射線を吸収する光学的要素は、例えばコンタクト・レンズなどの様々な物品において使用されている。本明細書において、「コンタクト・レンズ」は、物理的に眼の中に存在する、又は、眼の上に直接的に存在するデバイスとして明示的に定義される。「~の上に直接的に」は、直接的に接触することを意味する。「~の上に直接的に」及び「直接的に接触」という用語は、コンタクト・レンズと眼との間に涙液膜が存在する状態も含むことを理解されたい。
【0003】
電磁放射線吸収コンタクト・レンズは、着用者の目視の快適性を改善し、明るい条件において着用者の見る能力を向上させる。電磁放射線吸収コンタクト・レンズの実例としては、色合い固定的コンタクト・レンズ及びフォトクロミック・コンタクト・レンズがある。
【0004】
フォトクロミック・コンタクト・レンズは、電磁放射線の特定の波長に応じて色合いを変化させる。フォトクロミック・コンタクト・レンズは、明るい光の条件に晒されたときに改善された視覚と、快適さとを着用者に提供するが、光の少ない条件においては吸収のない、又はより吸収の少ない状態へと戻る。フォトクロミック・コンタクト・レンズは、照明条件の範囲にわたって目視の快適さ及び容易さを提供し、室内/光の少ない場所と屋外/明るい光の場所との間で移動するときに眼鏡を交換する必要がないようにする。
【0005】
例えばフォトクロミック・コンタクト・レンズなどのコンタクト・レンズによって透過される光の量をテストし、又は定量化するための知られた方法は、実験室条件の下で従来の光学的ベンチを利用する。フォトクロミック・コンタクト・レンズは、典型的には紫外線に晒されることによって活性化され、テストのために光学的ベンチに固定される。光学的ベンチは実験室条件については非常に適しているが、例えば環境光条件の下で実際に着用されたときなど、実世界条件の下でのフォトクロミック・コンタクト・レンズの光学的特性及び/又は美的特性の正確な決定を提供し得ない。活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズの色又は色合い/暗さは、コンタクト・レンズが実験室条件の下で光学的ベンチ上で測定されたときと比べて、実世界条件の下でユーザによって実際に着用されたときに、異なって見える場合がある。更に、フォトクロミック・コンタクト・レンズの知覚される美観は、人間の眼の色及び陰影特性の違いによって、実際に着用されたときに異なり得る。
【0006】
フォトクロミック・コンタクト・レンズによる光の透過は、受け取られる化学線の量及び期間に基づいて変化する。フォトクロミック・コンタクト・レンズが着用者によって先ず環境条件の下で活性化され、次いで、測定のために実験室の光学的ベンチへと移送された場合、フォトクロミック・コンタクト・レンズの活性化のレベルは、それが活性化されたときと、測定のために光学的ベンチに固定されたときで異なり得る。例えばフォトクロミック・コンタクト・レンズをキセノン・アーク・ランプに晒すなどの、実験室条件の下で活性化を維持する既存の方法は、実世界条件を正確に再現し得ない。
【0007】
従来の実験室環境の外で、コンタクト・レンズ、例えば、活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズの光学的特性を決定することができると、これには、品質管理におけるもの及びマーケッティングにおけるものなどのいくつかの用途がある。実世界条件の下でフォトクロミック・コンタクト・レンズをテストすることは、着用者が体験する快適さ及び信頼性について有用なデータを提供する。加えて、フォトクロミック・コンタクト・レンズの実世界での特性を正確に決定することができると、購入者に対して、彼らのいる地理的場所における使用のため又は彼らの所望の目的のために、様々なフォトクロミック・コンタクト・レンズを判断するための定量的な又は定性的な基準を提供し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
故に、実世界条件の下で、例えばフォトクロミック・コンタクト・レンズなどのコンタクト・レンズの光学的特性を測定するための方法及び/又はシステムを提供することが望ましい。方法及び/又はシステムが可搬性を有することへの更なる需要も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
コンタクト・レンズを透過する電磁放射線の透過率を決定するための方法は、眼表面によって反射された電磁放射線の第1の強度を測定するステップと、眼表面の一部分の上に直接的にこれをカバーするようにコンタクト・レンズを位置付けるステップと、コンタクト・レンズによってカバーされた眼表面の領域によって反射されるコンタクト・レンズを透過した電磁放射線の第2の強度を測定するステップと、第1の強度及び第2の強度の測定値を使用して、コンタクト・レンズを透過する電磁放射線の透過率を計算するステップとを含む。
【0010】
フォトクロミック・コンタクト・レンズを透過する電磁放射線の透過率を決定するための方法は、眼表面の一部分の上に直接的にこれをカバーするように活性化されていないフォトクロミック・コンタクト・レンズを位置付けるステップと、活性化されていないフォトクロミック・コンタクト・レンズによってカバーされた眼表面の領域によって反射された電磁放射線の第1の強度を測定するステップと、眼表面上のフォトクロミック・コンタクト・レンズを活性化させるステップと、活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズによってカバーされた眼表面の領域によって反射されるフォトクロミック・コンタクト・レンズを透過した電磁放射線の第2の強度を測定するステップと、第1の強度及び第2の強度の測定値を使用して、フォトクロミック・コンタクト・レンズを透過する電磁放射線の透過率を計算するステップとを含む。
【0011】
コンタクト・レンズを透過する電磁放射線の透過率を決定するための方法は、活性化されたコンタクト・レンズによってカバーされた眼表面の領域によって反射される活性化されたコンタクト・レンズを透過した電磁放射線の第1の強度を測定するステップと、コンタクト・レンズによってカバーされていない眼表面の領域によって反射された電磁放射線の第2の強度を測定するステップと、第1及び第2の測定値をCIE色座標に変換するステップと、CIE色座標における差異を使用して、コンタクト・レンズを透過する電磁放射線の透過率を計算するステップとを含む。
【0012】
コンタクト・レンズは、眼表面に直接的に接触する。
【0013】
第1及び第2の強度の測定は、写真撮像デバイスを使用して行われ得る。
【0014】
電磁放射線は、可視光の1つ又は複数の波長、又は、可視光の波長の1つ又は複数の範囲であり得る。
【0015】
活性化の所望のレベルにあるフォトクロミック・コンタクト・レンズの透過率を決定するための方法は、電磁放射線の所望の波長範囲を選択するステップと、フォトクロミック・コンタクト・レンズの活性化の所望のレベルを選択するステップと、フォトクロミック・コンタクト・レンズが活性化の所望のレベルに到達するまでフォトクロミック・コンタクト・レンズを所望の波長範囲の化学線に晒すステップと、眼の強膜の領域の可視性を最大化するステップと、強膜の領域の第1の画像を撮像デバイスによって撮影するステップであって、撮像デバイスは選択された波長範囲にわたって光強度データを記録するように構成される、ステップと、第1の画像から取得された選択された波長範囲についての電磁放射線強度データの第1のセットを記録するステップと、活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズによって強膜の領域をカバーするステップと、強膜の領域の第2の画像を撮像デバイスによって撮影するステップと、第2の画像から取得された選択された波長範囲についての電磁放射線強度データの第2のセットを記録するステップと、データの第1及び第2のセットをデータベースに入力するステップと、プロセッサを使用して、フォトクロミック・コンタクト・レンズの透過率を決定するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】眼表面から反射された電磁放射線強度データを測定するための強度測定デバイスを備える強度測定システムの側面概略図である。
【
図3】別の測定領域を示す眼表面の正面概略図である。
【
図4】眼表面の一部分に直接的に接触するコンタクト・レンズを図示する
図2の眼表面の正面概略図である。
【
図5】眼表面の一部分に直接的に接触するコンタクト・レンズを図示する
図3の眼表面の正面概略図である。
【
図6】コンタクト・レンズの別の例示的な位置付けを図示する眼表面の正面概略図である。
【
図7】本発明の例示的な測定方法のブロック図である。
【
図8】本発明の別の例示的な測定方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、文脈がそうでないことを明白に表さない限り、単数形の「a」、「an」、及び「the」は複数の指示対象を含む。
【0018】
例えば「左」、「右」、「上方へ」、「下方へ」などの空間又は方向についての用語は、図面において図示されているとおりの本発明に関する。しかしながら、本発明は、様々な代替的な向きを想定可能であり、それ故、このような用語は限定的なものと見なされるべきではない。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される全ての数は、全ての場合において「約」という用語において修飾されるものと理解されるべきである。「約」は、述べられた値のプラス又はマイナス10パーセントの範囲を意味する。
【0020】
「例えば~など(such as)」という用語は、非限定的なものであると理解されるべきである。すなわち、「例えば~など」とともに記載されている要素は、記載されている特徴の非限定的な実例であると理解されるべきである。
【0021】
本明細書において開示される全ての範囲は、範囲の開始及び終了の値、並びにその中に包含される任意の及び全ての部分範囲を含む。本明細書において開示される範囲は、指定された範囲の平均値を表す。
【0022】
眼表面の実例とコンタクト・レンズの実例との間の位置関係に関する「によってカバーされる」又は「カバーする」という用語の使用は、直接的な接触を意味する。例えば、コンタクト・レンズによってカバーされた眼表面の領域は、コンタクト・レンズが眼表面に直接的に接触することを意味する。
【0023】
眼表面の実例とコンタクト・レンズの実例との間の位置関係に関して使用される「カバーされていない(uncovered又はnot covered)」という用語は、撮像デバイスの基準系から見て眼表面がコンタクト・レンズによって「カバーされ」ていないことを意味する。
【0024】
「ポリマー」又は「ポリマーの」という用語は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー、ポリマー・ブレンド(すなわち、ホモポリマー又はコポリマーの混合物)、及びターポリマー、例えば、2つ以上のタイプのモノマー又はポリマーから形成されたポリマーを含む。
【0025】
「紫外線」という用語は、100ナノメートル(nm)から380nm未満の範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。「可視光線」又は「可視光」という用語は、380nmから780nmの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。「赤外線」という用語は、780nmよりも大きく、1,000,000nmまでの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。
【0026】
本明細書において言及される全ての文書は、それらの全体が「参照によって組み込まれる」。
【0027】
「少なくとも」は、「よりも大きいか又は等しい」ことを意味する。「よりも大きくない」は、「よりも小さいか又は等しい」ことを意味する。
【0028】
波長値は、そうでないことが示されない限り、ナノメートル(nm)単位である。
【0029】
「含む(include)」という用語は、「備える(comprise)」と同義である。
【0030】
「化学線」及び「化学光」という用語は、例えばフォトクロミック材料を1つの活性化状態から別の活性化状態に転換するなど、材料に反応を起こすことが可能な電磁放射線を意味する。
【0031】
「フォトクロミック」という用語は、少なくとも化学線の吸収に反応して変化する、少なくとも可視光線に対する吸収スペクトルを有することを意味する。
【0032】
異なる条件を指すとき、「第1の」「第2の」などの用語は、任意の特定の順番又は時間的順序を指すのではなく、異なる条件又は性質を指すものと企図される。実例としては、フォトクロミック・コンタクト・レンズの第1の状態及び第2の状態は、例えば可視光線及び/又は紫外(UV)線の吸収又は直線偏光に関してなど少なくとも1つの光学的性質に関して異なり得る。例えば、フォトクロミック・コンタクト・レンズは、第1の状態においては透明であり得、第2の状態においては着色され得る。代替的に、フォトクロミック・コンタクト・レンズは、第1の状態においては第1の色を、第2の状態においては第2の色を有し得る。
【0033】
「光学的」という用語は、光及び/又は視覚に関連する又は関連付けられることを意味する。
【0034】
「色合い固定的」という用語は、感光性でない着色剤を有すること、すなわち、その視覚的に観察される色について、電磁放射線に対して物理的又は化学的に反応しないことを意味する。
【0035】
「透明」という用語は、材料が、その向こう側にある物体が視認可能であるように、感知可能なほどの散乱なしに光を透過する性質を有することを意味する。
【0036】
「活性化される」という用語は、光学的デバイスが、コンタクト・レンズが、例えば可視光線及び/又は紫外(UV)線の吸収又は直線偏光に関してなど少なくとも1つの光学的性質に関して第1の活性化状態から第2の活性化状態にシフトするように、例えば化学線などの条件に、十分な期間の間、晒されていることを意味する。
【0037】
「活性化の所望のレベル」という用語は、定量的又は定性的な決定であり得る。フォトクロミック・コンタクト・レンズの活性化の所望のレベルは、選択された期間の間、特定の環境(波長又は波長の範囲)において環境光又は照射された光に晒されることによってそのデバイスが到達した活性化のレベルであり得る。
【0038】
CIE色座標(例えば、X、Y、Z)は、国際照明委員会によって指定された、CIE色マッチング関数xyzを含むCIE XYZ表色系に従った座標を意味する。CIE色座標は、CIE XYZ1931、1664、及び/又は2004フォーマットに則ることができる。
【0039】
本発明の論考は、ある限界内で「特定の」又は「好ましい」ものとして(例えば、ある限界内で、「好ましい」、「より好ましい」又は「更により好ましい」ものとして)ある特徴を説明し得る。本発明は、これらの特定の又は好ましい限界に限定されるものではなく、開示の全体的な範囲を包含するものであることを理解されたい。
【0040】
本発明は、任意の組み合わせにおいて、本発明の以下の態様を、含み、これらから成り、又は、本質的にこれらから成る。本発明の様々な態様は、個別の図面において例示される。しかしながら、これは単純に例示及び論考を容易にするためであることを理解されたい。本発明の実践において、1つの図面において図示された本発明の1つ又は複数の態様が、他の図面のうちの1つ又は複数において図示された本発明の1つ又は複数の態様と組み合わされ得る。
【0041】
図1は、本発明の測定システム10を概略的に表すものである。測定システム10は、眼表面100と、光源300と、撮像デバイス400とを含む。
【0042】
光源300は、1つ若しくは複数の波長又は1つ若しくは複数の波長の範囲における電磁放射線を出射する。電磁放射線は可視光であってよい。光源300は、例えば赤外(IR)及び/又は紫外(UV)スペクトルなどの、電磁放射線の1つ又は複数の他のスペクトルにおける電磁放射線も出射し得る。図面に図示されていないが、複数の光源300が使用されてよい。複数の光源300が存在する場合、光源300は同一の波長又は波長範囲の電磁放射線を出射してよく、又は、光源300のうちのいくつかは、他の光源300とは異なる波長又は波長の範囲の電磁放射線を出射してもよい。光源300の実例としては、太陽があり、この場合、電磁放射線は環境屋外光である。又は、光源300は、例えば白熱電球、蛍光灯、コンパクト蛍光灯又は所望のスペクトルにおける電磁放射線を出射する他の光源などの人工的光源であってよい。
【0043】
眼表面100は、人間の眼の1つ又は複数の態様、例えば温度、水分含有量、反射率、色、透過率、又は人間の眼の他の物理的若しくは光学的性質などを近似する面であってよい。例えば、眼表面100は人間の眼の表面であってよい。眼表面100は動物の眼の表面であってよい。
【0044】
図1を参照すると、光源300から出射された電磁放射線、例えば可視光は、眼表面100の1つ又は複数の領域で反射される。撮像デバイス400は、眼表面100から反射された電磁放射線の画像データを撮影する。撮像デバイス400は、強度検知デバイスであり、眼表面100の1つ又は複数の部分から反射された電磁放射線の強度を測定する。強度データは、位置の関数として、撮像デバイス400によって取得された画像データに含まれ得る。撮像デバイス400は、眼表面100によって反射された電磁放射線の強度を測定するために高い解像度を有する必要はない。しかしながら、撮像デバイス400は良好な測光直線性を有することが好ましい。撮像デバイス400は高ダイナミック・レンジを有することが更に好ましい。撮像デバイス400の実例としては、デジタル・カメラ、電荷結合素子(CCD)、相補形金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、光ダイオード・アレイ、光電子倍増管アレイ、又は、任意の所与のエリア・サイズに収束させる光学的素子を有する単一のセンサ(1×1アレイ)などがある。撮像デバイス400の追加的な実例としてはハイパースペクトル・イメージャがあり、これにおいては、各ピクセルにおけるイメージ・センサが、フィルタによって狭められた帯域だけでなく、可視光の全体的なスペクトルにわたってデータを取得し得る。撮像デバイス400は、カラー又は白黒の画像を撮影し得る。強度測定デバイスとしての機能を果たす適切な撮像デバイス400の実例としては、Allied Vision Technologies of Exton、Pennsylvaniaから市販されているモデルAVT F-145 B/C Stingrayカメラがある。高ダイナミック・レンジ(「HDR」)機能を使用して撮影された画像も、露光時間及び暗値が既知であり、露光時間と測定された強度値との間に比例関係を仮定するという条件において使用され得る。
【0045】
光強度及び位置についてのデータを含む画像データは、撮像デバイス400の内部メモリに記憶され得る。代替的に、画像データは、着脱式若しくは外部メモリに、又は当技術分野において知られる他の手法において記憶され得る。
【0046】
撮像デバイス400は、電磁放射線の1つ若しくは複数の選択された波長又は1つ若しくは複数の波長範囲の強度データを含む画像データを取得するように構成される。例えば、撮像デバイス400は、1nmから1,000nmの範囲内の電磁放射線の1つ若しくは複数の選択された波長又は1つ若しくは複数の波長範囲の強度データを含む画像データを取得するように構成され得る。例えば、撮像デバイス400は、可視光の1つ若しくは複数の選択された波長又は1つ若しくは複数の波長範囲の強度データを含む画像データを取得するように構成され得る。例えば、撮像デバイス400は、赤、緑、青の範囲の電磁放射線の強度に関するデータを取得し得る。代替的に又は追加的に、撮像デバイス400は、シアン、イエロー、グリーン及び/又はマゼンダの範囲の電磁放射線の強度データを取得し得る。他の波長範囲も使用され得る。様々な製造業者及び撮像デバイスが、これらの色の範囲を異なって定義していること、及び、各色の特定の波長又は波長範囲、及びいくつかの範囲は重複し得ることは、当業者によって理解されよう。赤、緑及び青についての例示的な範囲は、それぞれ635±20nm、555±20nm、460±20nmである。およそ380~780nmの間の波長を含む可視光スペクトルにおける波長範囲の任意の範囲又は組み合わせが使用され得る。
【0047】
データが取得され得る可視光の特定の波長範囲が選ばれ得る。これらの波長範囲は、テストされることになる、例えばフォトクロミック・コンタクト・レンズなどの光学的要素に存在する特定のフォトクロミック染料の色に対応し得る。波長は、波長の任意の組み合わせであり得、フィルタの使用によって定められ得る。電磁放射線、例えば可視光の選択された又は所望の1つ又は複数の波長の範囲に対応するフィルタ450が、眼表面100と撮像デバイス400との間に置かれ得る。フィルタ450は、撮像デバイス400に入る光を、所望の波長又は波長の範囲に限定する。フィルタ450は、撮像デバイス400のレンズを覆うように置かれ得る。フィルタ450の実例としては、帯域透過フィルタ、短波長透過フィルタ、長波長透過フィルタ、又は当技術分野において知られた他のフィルタなどがある。フィルタ450は、任意の所望の波長範囲における電磁放射線の1つ又は複数の波長を中心とするノッチ・フィルタであってよい。ノッチ・フィルタは、所望の波長を中心とする電磁放射線の狭い範囲の波長を透過し得る一方、可視光のスペクトルの残りをブロックする。フィルタ450は3ノッチ・フィルタであってよい。フィルタ450は、635±20nm、555±20nm、及び460±20nmをそれぞれ中心とするノッチを有する3ノッチ・フィルタであってよい。強度値の測定は、光の同一の波長の範囲にわたって行われ得る。フィルタ450は、眼表面100の色に対応するように、又はこれと異なるように選ばれ得る。
【0048】
図2及び
図3は、x軸及びy軸に組み付けられた眼表面100を概略的に表すものである。図面は、コンタクト・レンズによってどの部分もカバーされていない眼表面100を図示する。
図1から
図3を参照すると、眼表面100から反射された電磁放射線の強度の第1の測定値が撮像デバイス400によって取得される。第1の測定値は、眼表面100の選択された部分において取得され得る。例えば、第1の測定値は、眼表面100の領域110にわたって取得され得る。領域110は、人間の眼の強膜120の領域であり得る。領域110は、眼表面100の比較的広い面積を含み得る。例えば、領域110は、1平方ミリメートル(mm
2)から25mm
2を含み得、例えば1mm
2から10平方ミリメートル(mm
2)などである。領域110の面積は、測定されることになるコンタクト・レンズの面積と略同等であってよい。又は、領域110の面積は、測定されることになるコンタクト・レンズの面積よりも大きくてよく、又は小さくてよい。
図2は、眼表面100の虹彩140に隣接する強膜120の一部分に領域110が配置された眼表面100を概略的に表すものである。
図2において示された領域110は、湾曲した細長い領域である。
図3において、領域110は虹彩140から離間されている。
図3において示された領域110は、円形又は楕円形の領域である。領域110は任意の形状であってよいことを理解されたい。領域110は、虹彩140、瞳孔130、強膜120、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない眼表面100の任意の部分に配置されてよいことも理解されたい。
【0049】
図4及び
図5は、コンタクト・レンズ200が、眼表面100をカバーするように、すなわち、直接的に接触するように置かれた眼表面100を概略的に表すものである。例えば、コンタクト・レンズ200は、色合い固定的コンタクト・レンズ200、又はフォトクロミック・コンタクト・レンズ200であってよい。コンタクト・レンズ200がフォトクロミック・コンタクト・レンズであるとき、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200は、活性化されていてもよく、活性化されていなくてもよい。コンタクト・レンズ200は、眼表面に直接的に接触する。以下の実例において、コンタクト・レンズ200は、眼表面100に直接的に接触して配置されたフォトクロミック・コンタクト・レンズ200であると見なされる。コンタクト・レンズ200は、領域110の全ての部分、又はその一部分をカバーし得る。コンタクト・レンズ200がフォトクロミック・コンタクト・レンズ200である場合、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200は、活性化の所望のレベルを達成する期間の間、眼表面100上で化学線に晒され得る。例えば、完全な活性化を達成する期間の間、これに晒される。
【0050】
図4及び
図5において概略的に描かれた実例を参照すると、眼表面100よって反射されるコンタクト・レンズ200を透過した電磁放射線、例えば、可視光の強度の第2の測定値が撮像デバイス400によって取得される。第2の測定値は、コンタクト・レンズ200によってカバーされた眼表面100の領域110の少なくとも一部分にわたる強度データを含む。コンタクト・レンズ200の面積は、領域110の面積と略同等であってよい。又は、コンタクト・レンズ200の面積は、領域110よりも大きくてよく、又は領域110よりも小さくてよい。第1の測定値及び第2の測定値のために測定される波長又は波長の範囲は、好ましくは同一である。眼表面100の実例は、強度データが同時に又は順番にそこから測定される複数の領域110を含み得ることを理解されたい。
【0051】
コンタクト・レンズ200の表面エリアの全ての部分又は少なくとも一部分にわたって撮像デバイス400が画像データを撮影するとき、コンタクト・レンズ200全域からの強度値が比較され得る。このような比較は、コンタクト・レンズ200全域の透過率の差異の特定を可能とするので、有用である。これは、コンタクト・レンズ200における特定の画像欠陥の場所を示す。この状況において、眼表面100の領域110は、サイズにおいて、測定されることになるコンタクト・レンズ200の所望のエリアに対応し得る。代替的に、複数の第2の測定値が取得され得、これにおいては、コンタクト・レンズ200は眼表面100の異なる部分をカバーし、強度データは、これらの画像における眼表面100の領域110から取得され得る。
【0052】
図2及び
図4を具体的に参照すると、コンタクト・レンズ200は、コンタクト・レンズ200の中心エリアが瞳孔130を覆うように位置付けられたときでさえも強膜120の部分をカバーし得る。
図2及び
図4における領域110は、虹彩140に隣接する強膜120の部分に配置される。領域110は虹彩140に十分に接近するように配置され、コンタクト・レンズ200の中心エリアが瞳孔130を覆うように位置付けられる向きにおいてコンタクト・レンズ200が眼表面100上に位置付けられたときに、強膜120の領域110がコンタクト・レンズ200の少なくとも一部分によってカバーされる。例えば、コンタクト・レンズ200の周縁部分によってカバーされる。この構成において、第2の測定値が、コンタクト・レンズ200の外側周辺縁部と虹彩140の外側周辺縁部との間に配置された領域110の少なくとも一部分にわたって取得される。
【0053】
図5は、コンタクト・レンズ200が、眼表面100の一部分をカバーするが、コンタクト・レンズ200の中心エリアが虹彩130をカバーしないように位置付けられた実例を示す。この構成において、強膜120の領域110は、コンタクト・レンズ200によって全体的に又は部分的にカバーされ、眼表面100よって反射された電磁放射線、例えば可視光の強度の第2の測定値が撮像デバイス400によって取得される。強度データは、コンタクト・レンズ200の中心エリアからのデータを含み得る。これは、通常の着用中に着用者の瞳孔130を覆うように位置付けられる可能性が最も高いコンタクト・レンズ200の部分であり、故に、着用者の体験に最も影響を及ぼし得る。
【0054】
図1から
図5を参照すると、第1の測定値と第2の測定値との間で強度データを比較するために、眼表面100上の位置データが決定される。上記のように、2つの強度測定値の間での眼表面100上の位置は、各画像における眼表面100の形状を比較することによって決定され得る。これは、画像を映像的に比較し、分析されることになる各画像において座標の範囲を選ぶことによって達成される。撮像デバイス400のメモリ又は外部コンピューティング・デバイスに記憶されたソフトウェアが、コンタクト・レンズ200によってカバーされた領域110を決定するために画像を自動的に比較するためにプロセッサによって適用され得る。プロセッサは、撮像デバイス400に配置されてよく、又は外部プロセッサが使用されてよい。
【0055】
第1及び第2の測定値を分析するときに眼表面100の同一の領域110から取得される強度データが比較されることを保証するために、眼表面100と撮像デバイス400との間の相対運動は、測定間で制限され得る。眼表面100と撮像デバイス400との間の相対運動は、撮像デバイス400を、不図示の固定された又は可搬性を有するスタンドに位置付けることによって制限され得る。眼表面100が人間の眼である場合、着用者の頭部の運動は、ヘッド・レスト、顎レスト、バイト・バー又は当技術分野において知られる他の機構によって制限され得る。
【0056】
図6は、人間の眼の形態の眼表面100をカバーする、すなわちこれと接触するコンタクト・レンズ200、例えばフォトクロミック・コンタクト・レンズ200の位置付けの実例を示す。この実例において、着用者は、第1及び第2の測定中の強膜120の露出を最大化し得る。強膜120によって構成される領域110の比率ができる限り大きくなることが好ましい。着用者は、上を見上げ、次いで左又は右を見ることによって強膜120の露出を最大化し得る。着用者は、例えば左、右、上方、下方又は直接的に撮像デバイス400の方向など、他の方向を見てもよいことを理解されたい。撮像デバイス400は、眼表面100の任意の箇所から反射された電磁放射線の強度に関するデータを含む画像データを取得する。しかしながら、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200の透過率を決定するためには、第2の測定中にフォトクロミック・コンタクト・レンズ200によってカバーされる眼表面100の領域110が特に重要である。このカバーされた部分は、眼の瞳孔130、虹彩140及び/又は強膜120を含み得る。虹彩140及び瞳孔130は相対的に暗いので、強度測定における誤差を低減するためには、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200によってカバーされる眼表面100の領域110は、その大部分又は全体が強膜120によって構成されることが好ましい場合がある。これは、撮像デバイス400のダイナミック・レンジが比較的低いときに好ましい場合がある。
【0057】
更に
図6を参照すると、着用者は、例えば、上を見上げ次いで左を見ること、又は上を見上げ次いで右を見ることによって眼表面100の強膜120の露出を最大化する。眼表面100から反射された電磁放射線の第1の強度測定値が撮像デバイス400によって取得される。第1の測定中の強膜120の露出部分は、好ましくは、領域110を含む。コンタクト・レンズ200は、眼表面100の領域110を覆うように置かれる。コンタクト・レンズ200がフォトクロミック・コンタクト・レンズ200である場合、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200は、フォトクロミック活性化の所望のレベルを達成する期間の間、化学線に晒される。第2の強度測定値が撮像デバイス400によって取得される。強度測定値は、領域110を覆うように配置されたコンタクト・レンズ200を透過したデータを含む。
【0058】
図4~
図6を参照すると、コンタクト・レンズ200がフォトクロミック・コンタクト・レンズ200である場合、第1の強度測定が、眼表面100上の所定位置に置かれた第1の状態にあるコンタクト・レンズ200とともに行われ得る。第1の状態は、活性化されていない状態であってよい。フォトクロミック・コンタクト・レンズ200が第2の状態になった後、撮像デバイス400によって第2の強度測定が行われ得る。第2の状態は活性化された状態であってよい。第2の強度測定値が、コンタクト・レンズ200の中央部分を通じて取得され得る。代替的に、第2の強度測定値は、コンタクト・レンズ200の周縁部分を通じて取得されてもよい。
【0059】
上に述べられたように、虹彩140及び瞳孔130は相対的に暗いので、強度測定位おける誤差を低減するためには、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200によってカバーされる眼表面100の領域110は、その大部分又は全体が強膜120によって構成されることが好ましい場合がある。しかしながら、領域110は虹彩140及び/又は瞳孔130によって構成されてもよいことを理解されたい。この構成によると、第1の画像が虹彩140及び/又は瞳孔130の領域110を含むように撮影され得、次いで、活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズ200が領域110をカバーするように置かれ得、第2の画像が同じ領域110を含むように撮影され得る。このような実例において、例えば従来の光電子倍増管アレイ又はシリコン光電子倍増管アレイなどの、CCD又はCMOS検知器よりも感度の高い撮像デバイス400を使用することが好ましい場合がある。適切なアレイの非限定的な実例としては、SensL of Cork、Irelandによって製造されたシリコン光電子倍増管アレイ、及び日本、浜松市の浜松ホトニクスによって製造されたマルチピクセル光子検出器がある。光電子倍増管アレイを使用するとき、屋外条件に晒されることによる撮像デバイスへの損傷を回避することに注意が払われなければならない。
【0060】
撮像デバイス400がCCDを備える場合、測定された強度値のうちのいくらかは、CCDにおける暗電流に部分的に起因し得る。暗電流は、CCDにおける温度に依存し得る。撮像デバイス400の製造者は、暗電流に起因するCCDにおける強度値の表又はプロットを提供し得る。様々な温度における暗電流に起因する強度は、シャッターが閉じられた状態で1つ又は複数の測定値を撮像デバイス400によって取得することによって決定され得る。第1及び第2の強度値の測定と同時に、温度測定値が温度測定デバイスによって取得され得る。撮像デバイス400は温度測定デバイスを含んでよく、又は、外部温度測定デバイスが使用されてもよい。
【0061】
第1及び第2の測定において、強度データは、ある波長の範囲にわたって、又は特定の波長について取得され得る。2つの測定についてデータを比較するとき、以下の式が適用され得る。
【数1】
式中、
T
Measは、コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率であり、
I
Oは、第1の強度の測定値であり、
I
Tは、第2の強度の測定値であり、
dは、強度測定デバイスにおける暗電流に起因する強度値である。
【0062】
コンタクト・レンズ200の測定された吸収率A
Measは、
【数2】
と定義される。
【0063】
第2の測定において測定された電磁放射線の強度は、コンタクト・レンズ200を二回通過しており、すなわち、一回は光源300からコンタクト・レンズ200を通過して眼表面100(領域110)へと進行するとき、もう一回は眼表面100(領域110)から反射されて戻り、コンタクト・レンズ200を通過して撮像デバイス400へと至るときである。コンタクト・レンズ200を二回通過する電磁放射線を補正するために、測定された吸収率A
Measを2で割ることで、補正された吸収率値A
Corrが取得され、すなわち、
【数3】
である。
【0064】
補正された透過率T
Corrの値は、以下のように計算される。
【数4】
上記の式は、
【数5】
のように約分される。
【0065】
透過率及び吸収率は密接に関連した値であることを理解されたい。故に、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、透過率を決定することを示す本出願における任意の開示又は教示は、吸収率を決定することも示し、その逆も同様である。
【0066】
透過率及び/又は吸収率における変化が決定され得、このとき、活性化されていないフォトクロミック又は非フォトクロミック・コンタクト・レンズ200が、眼表面100をカバーするように位置付けられることを理解されたい。次いで、第1の測定値が取得される。次いで、コンタクト・レンズ200が化学線によって活性化される。次いで、第2の測定値が取得される。次いで、透過率の変化又は吸収率の変化の値が決定される。
【0067】
光源300によって出射された電磁放射線の強度は時間とともに変化し得る。例えば、光源300が太陽である屋外環境において本発明の方法が実践されたとき、第1及び第2の測定の間に雲が太陽の前を通り、眼表面100への入射電磁放射線の強度に影響を与える場合がある。入射電磁放射線強度の変動を補正するために、撮像デバイス400は、2次的な場所150から測定値を取得し得る。2次的な場所150は、眼表面100上に、又はこれに隣接して、又はこれの近くにあってよい。1つ又は複数の2次的な場所150は、眼表面100上にあってよく、又は、眼表面に隣接する又はその近くのエリアにあってよいが、領域110の外側にある。
図6を参照すると、撮像デバイス400は、第1及び第2の強度測定値が取得されるのと同時に、2次的な場所150から強度データを取得し得る。2次的な場所150は、第1及び第2の測定からの強度データを含む、同一の画像又は画像データのセットの一部であり得る。2次的な場所150は、領域110を含まない眼表面100上に位置付けられ得る。又は、2次的な場所150は、例えば着用者の顔、又は着用者の近く若しくは眼表面100の近くに配置された面上などの他の場所に配置され得る。このような面は、特定の波長範囲の電磁放射線を反射するように構成され得る。2次的な場所150の実例は、着用者の顔に配置された、又は眼表面100の近くに配置された着色されたタブ又はドットであってよく、安定した反射体として働く。2次的な場所150は、白、灰色又は任意の色であってよい。2次的な場所150の別の実例は、着色されたタブ又はドットによってカバーされていない着用者の顔の一部分であり得る。
図6は、2次的な場所150の位置の実例を図示するが、任意の適切な面が2次的な場所150について使用され得ることを理解されたい。
【0068】
第1及び第2の測定の間での2次的な場所150から反射された電磁放射線の測定された値の間の比較は、光源300から出射された電磁放射線強度における変化を補正するために使用され得る。例えば、2次的な場所150から取得された強度データが、第1及び第2の測定の間で光源300から出射された電磁放射線の強度において10パーセントの減少を示す場合、第1の強度(IO)及び/又は第2の強度(IT)の値は、測定された透過率(T)及び吸収率(AMeas)並びに補正された吸収率(ACorr)及び補正された透過率(TCorr)を決定するときにその量だけ調節され得る。この調節は、ソフトウェアを実行するプロセッサによって適用され得る。
【0069】
強度データを分析するために使用され得る例示的なソフトウェアとしては、WaveMetricsに開発されたIgor Pro、National Institutes of Healthによって開発されたImage J、National Instrumentsによって開発されたLabVIEW、OriginLabによって開発されたOrigin及びOriginPro、及びMicrosoft Corporationによって開発されたMicrosoft Excelなどがある。適用可能な技術分野において知られるように、追加的なソフトウェアが、強度データの分析を実施してもよい。
【0070】
なおも別の例示的な方法において、活性化されていないコンタクト・レンズ200が、眼表面100に置かれ得る。「活性化されていない」は、コンタクト・レンズ200が化学線に晒されていないこと、又は、完全に活性化されるために十分な強度の化学線に及び/又は十分な時間晒されていないことを意味する。活性化されていないコンタクト・レンズ200は、領域110の少なくとも一部分をカバーし、すなわち、これに接触している。活性化されていないコンタクト・レンズ200によってカバーされた眼表面100の領域110の強度データの第1のセットが撮像デバイス400によって取得される。コンタクト・レンズ200が活性化、例えば、完全に活性化される。今や活性化されたコンタクト・レンズ200によってカバーされた領域110の強度データの第2のセットが撮像デバイス400によって取得される。強度データの2つのセットを比較することによって、透過率が決定される。
【0071】
別の例示的な方法においては、活性化されたコンタクト・レンズ200が、眼表面100の上にこれをカバーするように置かれるが、コンタクト・レンズ200は全体的な眼表面100をカバーするわけではない。全体的な眼表面100の画像データが撮像デバイス400によって取得される。これらの画像データは、当技術分野において知られる任意のプロセスを使用して、CIE色座標(例えば、CIE XYZ1931フォーマット、CIE XYZ1964フォーマット、又はCIE XYZ2004フォーマット)に変換される。コンタクト・レンズ200によってカバーされた眼表面100の領域、及びコンタクト・レンズ200によってカバーされていない領域からの画像データからのCIE X、Y、及びZ値は、X、Y、及びZ色マッチング関数に対する透過性における変化を計算するために比較される。CIE Y値を使用することが好ましい場合があり、というのは、これは555nm周辺にピークを有するからである。透過率は以下の式に従って決定され得る。
【数6】
式中、T
Yは、CIE Y値に従って決定されたコンタクト・レンズ200の透過率であり、Y
uncoveredは、眼表面100の画像の部分のY値であって、眼表面100がコンタクト・レンズ200によってカバーされていないときのY値であり、Y
coveredは、眼表面100の画像の部分のY値であって、眼表面100がコンタクト・レンズ200によってカバーされたときのY値である。X及びZ値を使用した透過率が、Y値の代わりにX及びX値をそれぞれ使用した同じ式を使用して決定されてもよい。
【0072】
図7は、本発明の例示的な方法のステップを示すブロック図である。ステップ1010は、眼表面によって反射された電磁放射線の第1の強度を測定するステップを含む。このステップは、強度測定デバイス400によって実施され得る。ステップ1020は、面100を覆うようにコンタクト・レンズ200を位置付けるステップを含む。ステップ1030は、眼表面100によって反射されるコンタクト・レンズ200を透過した電磁放射線の第2の強度を測定するステップを含む。ステップ1040は、第1の強度及び第2の強度の測定値を使用して、コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率を計算するステップを含む。
【0073】
図8は、本発明の別の例示的な方法のステップを示すブロック図である。ステップ2010は、電磁放射線の所望の波長範囲を選択するステップを含む。ステップ2020は、コンタクト・レンズ200、好ましくはフォトクロミック・コンタクト・レンズ200の活性化の所望のレベルを選択するステップを含む。ステップ2030は、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200が活性化の所望のレベルに到達するまでフォトクロミック・コンタクト・レンズ200を化学線に晒すステップを含む。ステップ2040は、眼の強膜120の領域110の可視性を最大化するステップを含む。ステップ2050は、強膜120の領域110の第1の画像を撮像デバイス400によって撮影するステップを含む。撮像デバイス400は所望の波長範囲にわたって電磁放射線強度データを記録するように構成され得る。ステップ2060は、第1の画像から取得された所望の波長範囲についての電磁放射線強度データの第1のセットを記録するステップを含む。ステップ2070は、活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズ200によって強膜120の領域110をカバーするステップを含む。ステップ2080は、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200によってカバーされた強膜120の領域110の第2の画像を撮像デバイス400によって撮影するステップを含む。ステップ2090は、第2の画像から取得された所望の波長範囲についての電磁放射線強度データの第2のセットを記録するステップを含む。ステップ2100は、データの第1及び第2のセットをデータベースに入力するステップを含む。ステップ2110は、プロセッサを使用して、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200の透過率を決定するステップを含む。
【0074】
本開示に係る本発明は、以下の実例において更に例示され得る。この実例は、本発明を限定するものではない。これは、本発明を実践するモードを単に示唆することを意図するものである。光学的な知識及び他の専門知識を有する者は、本発明を実践する他のモードを見いだし得る。しかしながら、これらのモードは本発明の範囲内にあるものと見なされるべきである。
【0075】
「実例1」
実例1は、屋外環境におけるフォトクロミック・コンタクト・レンズの透過率及び吸収率の測定に関する。
【0076】
眼表面上のコンタクト・レンズの本発明による測定値が、完全に太陽の出た屋外のテスト・プラットフォームにおいて取得された。撮像デバイスは、Fナンバーが8に設定された未較正のAVTカメラであり、ホワイト・バランス較正された。テストされたフォトクロミック・コンタクト・レンズは、広帯域吸収フォトクロミック染料に含浸され、赤、緑及び青(RGB)平面の値がなおも取得可能であった。眼表面は人間の眼であった。カメラのレンズにRGBフィルタは適用されなかった。対象のレンズのフォトクロミック染料は、広いスペクトルにわたって吸収するものであったので、この実例による測定にRGBフィルタは不必要であると見なされた。画像データは、Igor Pro6.37を使用して分析された。測定されたフォトクロミック・レンズは、測定の前に、環境光において、眼の上で20分間の間、活性化された。フォトクロミック・レンズを透過する透過率値は、対象の眼について取得された2つの画像間の強度データにおける差異に基づいて決定された。透過率値は眼から反射された光に基づいて決定されたので、上述のように、吸収率値は2によって補正された。強度値は、「カウント」によって測定され、これはスケーリングされた電圧の単位である。測定の前に、赤、緑及び青平面の暗値が決定された。
【0077】
画像データは、対象の眼の周囲のエリアも含み、そこから、上述のように、2次的な場所からの強度データを取得することができた。2次的な場所は、対象の眼から外れて配置された。2つの測定の間の環境強度における変化が、2次的な場所から反射された強度データにおけるパーセンテージ変化に基づいて考慮され、この値の逆数に基づいて補正乗数が決定された。2次的な場所からの強度データは、コンタクト・レンズからの第1の強度測定時に取得された画像データに対応する第3の強度測定値として、及びコンタクト・レンズの第2の強度測定時に取得された画像データに対応する第4の強度測定値として参照される。取得された値は、以下の表1に示されている。「補正透過率」は、補正乗数が適用された未補正透過率の値である。「補正吸収率」値は、上述のように2によって補正された、補正透過率値から取得された。
【表1】
【0078】
本発明は、以下の項目のうちの1つ又は複数によって更に特徴付けられ得る。
【0079】
項目1.眼表面100に直接的に接触するコンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率を決定するための方法は、眼表面100の少なくとも一部分によって反射された放射線の第1の強度を測定するステップと、眼表面100の少なくとも一部分をカバーするようにコンタクト・レンズ200を位置付けるステップと、コンタクト・レンズ200によってカバーされた眼表面100の少なくとも1つの領域110によって反射されるコンタクト・レンズ200を透過した放射線の第2の強度を測定するステップと、第1の強度及び第2の強度の測定値を使用して、コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率を計算するステップとを含む。
【0080】
項目2.測定するステップは、強度測定デバイス400、好ましくは撮像デバイスによって達成される、項目1の方法。
【0081】
項目3.強度測定デバイス400における暗電流に起因する強度値を決定するステップと、コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率を以下の式に従って計算するステップであって、
【数7】
式中、T
Corrは、コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率であり、I
Oは、第1の強度の測定値であり、I
Tは、第2の強度の測定値であり、dは、強度測定デバイス400における暗電流に起因する強度値である、ステップとを更に含む、項目2の方法。
【0082】
項目4.眼表面100の第1の場所において第1の強度を測定するステップと、眼表面100の第1の場所において第2の強度を測定するステップとを更に含む、項目1から3までのいずれかの方法。
【0083】
項目5.2次的な場所150から反射された放射線の第3の強度を、第1の強度の測定と同時的に測定するステップであって、少なくとも1つの領域110は2次的な場所150とは異なる、ステップと、2次的な場所150から反射された放射線の第4の強度を、第2の強度の測定と同時的に測定するステップと、第1及び第3の強度の測定時と第2及び第4の強度の測定時との間での放射線の強度における変化を決定するために、第3の強度を第4の強度と比較するステップと、第3の強度と第4の強度との比較を使用して、コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率の計算における第1及び第3の強度の測定時と第2及び第4の強度の測定時との間での放射線の強度における変化を補正するステップとを更に含む、項目4の方法。
【0084】
項目6.強度測定デバイス400は、1nmから1,000nm、好ましくは380~780nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトル内での電磁放射線の強度を測定するように構成される、項目2から5までのいずれかの方法。
【0085】
項目7.強度測定デバイス400は、460±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる電磁放射線の強度を測定するように構成される、項目2から6までのいずれかの方法。
【0086】
項目8.強度測定デバイス400は、555±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる電磁放射線の強度を測定するように構成される、項目2から7までのいずれかの方法。
【0087】
項目9.強度測定デバイス400は、635±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる電磁放射線の強度を測定するように構成される、項目2から8までのいずれかの方法。
【0088】
項目10.第1及び第2の強度の測定値は、460±20nm、555±20nm、及び635±20nmから成る群から選択された波長の範囲からのものである、項目1から9までのいずれかの方法。
【0089】
項目11.第1及び第2の強度の測定の前に、強度測定デバイス400の検知器を覆うようにフィルタ450を適用するステップを更に含む、項目2から10までのいずれかの方法。
【0090】
項目12.フィルタ450は、460±20nm、555±20nm、及び635±20nmから成る群から選択された波長を中心とする、項目11の方法。
【0091】
項目13.フィルタ450は、3波長ノッチ・フィルタである、項目11又は12の方法。
【0092】
項目14.眼表面100は、人間の眼を含む、項目1から13までのいずれかの方法。
【0093】
項目15.眼表面100は、眼の強膜の少なくとも一部分を含む、項目14の方法。
【0094】
項目16.コンタクト・レンズ200の中心部分又は周縁部分にわたって第2の強度の値を測定するステップを更に含む、項目15の方法。
【0095】
項目17.コンタクト・レンズ200は、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200又はティンテッド・コンタクト・レンズ200である、項目1から16までのいずれかの方法。
【0096】
項目18.活性化の所望のレベルにあるフォトクロミック・コンタクト・レンズ200の透過率を決定するための方法は、電磁放射線の所望の波長範囲を選択するステップと、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200の活性化の所望のレベルを選択するステップと、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200が活性化の所望のレベルに到達するまでフォトクロミック・コンタクト・レンズ200を化学線に晒すステップと、眼の強膜120の領域110の可視性を最大化するステップと、強膜120の領域110の第1の画像を撮像デバイス400によって撮影するステップであって、撮像デバイス400は所望の波長範囲にわたって電磁放射線強度データを記録するように構成される、ステップと、第1の画像から取得された所望の波長範囲についての電磁放射線強度データの第1のセットを記録するステップと、活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズ200によって強膜120の領域110をカバーするステップと、強膜120の領域110の第2の画像を撮像デバイスによって撮影するステップと、第2の画像から取得された所望の波長範囲についての電磁放射線強度データの第2のセットを記録するステップと、データの第1及び第2のセットをデータベースに入力するステップと、プロセッサを使用して、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200の透過率を決定するステップとを含む。
【0097】
項目19.第1及び第2の画像を撮影する前に、撮像デバイス400を覆うようにフィルタ450を適用するステップを更に含む、項目18の方法。
【0098】
項目20.フィルタ450は、460±20nm、555±20nm、及び635±20nmから成る群から選択された波長を中心とする、項目19の方法。
【0099】
項目21.フィルタ450は、3波長ノッチ・フィルタである、項目19又は20の方法。
【0100】
項目22.コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率を決定するための方法は、眼表面100の一部分の上に活性化されていないコンタクト・レンズ200を位置付けるステップと、コンタクト・レンズ200によってカバーされた眼表面100の領域110によって反射された放射線の第1の強度を測定するステップと、コンタクト・レンズ200を活性化させるステップと、コンタクト・レンズ200によってカバーされたコンタクト・レンズ200の領域110によって反射された放射線の第2の強度を測定するステップと、第1の強度及び第2の強度の測定値を使用して、コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率を計算するステップとを含む。
【0101】
項目23.コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率を決定するための方法は、活性化されたフォトクロミック・コンタクト・レンズ200によってカバーされた眼表面100の領域110によって反射された放射線の第1の強度を測定するステップと、コンタクト・レンズ200によってカバーされていない眼表面100の領域によって反射された放射線の第2の強度を測定するステップと、第1及び第2の測定値をCIE色座標に変換するステップと、CIE色座標における差異を使用して、コンタクト・レンズ200を透過する電磁放射線の透過率を計算するステップとを含む。
【0102】
項目24.コンタクト・レンズ200は、眼表面100に直接的に接触する、項目1から23までのいずれかの方法。
【0103】
項目25.コンタクト・レンズ200は、第1及び第2の強度を測定する前に眼表面100上にこれをカバーするように位置付けられ、第1の強度及び第2の強度の測定値は同一の画像から取得され、第1の強度は、コンタクト・レンズ200によってカバーされていない眼表面100の部分から測定され、第2の強度は、コンタクト・レンズ200によってカバーされた眼表面100の部分から測定され、方法は、第1の強度の測定値をCIE XYZ値に変換するステップと、第2の強度の測定値をCIE XYZ値に変換するステップと、透過率を以下の式に従って決定するステップであって、
【数8】
式中、T
Yは、CIE Y値に従って決定されたコンタクト・レンズ200の透過率であり、Y
uncoveredは、眼表面100がコンタクト・レンズ200によってカバーされていないときの眼表面100の画像の部分のY値であり、Y
coveredは、眼表面100がコンタクト・レンズ200によってカバーされたときの基準面の画像の部分のY値である、ステップとを更に含む、項目1の方法。
【0104】
項目26.フォトクロミック・コンタクト・レンズ200の透過率を決定するための測定システム100は、光源300と、強度測定デバイス400とを備える。
【0105】
項目27.眼表面100を更に含む、項目26の測定システム10。
【0106】
項目28.光源300は、自然光源又は人工的光源である、項目26又は27の測定システム10。
【0107】
項目29.強度測定デバイス400は撮像デバイスを備える、項目26から28までのいずれかの測定システム10。
【0108】
項目30.強度測定デバイス400は、380~780nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる放射線の強度を測定するように構成される、項目27から29までのいずれかの測定システム10。
【0109】
項目31.強度測定デバイス400は、460±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる放射線の強度を測定するように構成される、項目27から30までのいずれかの測定システム10。
【0110】
項目32.強度測定デバイス400は、555±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる放射線の強度を測定するように構成される、項目27から31までのいずれかの測定システム10。
【0111】
項目33.強度測定デバイス400は、635±20nmの波長範囲を有する電磁放射線のスペクトルにわたる放射線の強度を測定するように構成される、項目27から32までのいずれかの測定システム10。
【0112】
項目34.強度測定デバイス400の検知器を覆うフィルタ450を更に備える、項目27から33までのいずれかの測定システム10。
【0113】
項目35.フィルタ450は、460±20nm、555±20nm、及び635±20nmから成る群から選択された波長を中心とする、項目34の測定システム10。
【0114】
項目36.フィルタ450は、3波長ノッチ・フィルタである、項目34又は35の測定システム10。
【0115】
項目37.眼表面100は、人間の眼を含む、項目27から36までのいずれかの測定システム10。
【0116】
項目38.コンタクト・レンズ200は、フォトクロミック・コンタクト・レンズ200、好ましくはフォトクロミック・コンタクト・レンズであり、方法は、第1の強度の測定と第2の強度の測定との間でフォトクロミック・コンタクト・レンズ200を少なくとも部分的に活性化させるステップを含む、項目1から17までのいずれかの方法。
【0117】
本開示は、現在のところ最も実践的で好ましいと見なされる態様に基づいて、例示を目的として詳細に説明されたが、このような詳細は、単にその目的のためのものであること、及び本開示は、開示された態様に限定されるものではなく、修正及び同等構成をカバーするものと企図されることを理解されたい。例えば、本開示は、可能な限り、任意の態様の1つ又は複数の特徴が、任意の他の態様の1つ又は複数の特徴と組み合わされ得ることを意図することを理解されたい。