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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】シート供給装置及びシート供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 21/00 20060101AFI20220607BHJP
   B65H 23/188 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
B65H21/00
B65H23/188
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020572274
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2020005341
(87)【国際公開番号】W WO2020166608
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2019023516
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】廣安 正人
【審査官】田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149551(JP,A)
【文献】特開2018-095331(JP,A)
【文献】特開2008-056389(JP,A)
【文献】特開2014-031238(JP,A)
【文献】特開平02-198957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 21/00
B65H 23/188
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して、供給機構により所定の搬送速度で所定の処理装置に供給するシート供給装置であって、
前記第1ロールをその中心位置で支持した状態で回転可能な第1支持軸と、
前記第2ロールをその中心位置で支持した状態で回転可能な第2支持軸と、
前記第1支持軸又は前記第2支持軸の回転に伴って前記第1ロール又は前記第2ロールから送り出されたシートを、所定の搬送速度で前記処理装置へ供給する供給機構と、
前記供給機構の上流側に配置され、前記第1ロール又は前記第2ロールから送り出されたシートを貯留し、そのシート貯留量を変化させることが可能に構成された貯留機構と、
前記貯留機構の上流側に配置され、前記第1ロールのシートと前記第2ロールのシートとを接ぎ合わせる接ぎ処理を行うことにより、前記処理装置へ供給するシートのロールの切換えを可能とする接ぎ機構と、
前記供給機構を介しての前記処理装置へのシートの供給に応じて変化する、前記第1ロール又は前記第2ロールの外径及びシート残量を算出する算出部と、
前記第1支持軸及び前記第2支持軸の回転動作を制御する軸制御部と、を備え、
前記処理装置に対して前記第1ロールのシートの供給後に前記第2ロールのシートを連続的に供給する場合、
前記軸制御部は、
前記第1ロールのシートを前記処理装置へ前記搬送速度で供給する定常状態において、前記貯留機構による前記第1ロールのシートの貯留量を基準の第1貯留量に維持することで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように、前記第1支持軸の回転速度を調整する定常制御を実行し、
前記第1ロールの前記シート残量が所定の目標残量に所定長さを加算した第1残量となったときに、前記貯留機構による前記第1ロールのシートの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度よりも速くなるように前記第1支持軸の回転速度を加速させ、前記第2貯留量の到達後は前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように前記第1支持軸の回転速度を調整する貯留量調整制御を実行し、
前記接ぎ機構は、前記軸制御部による前記貯留量調整制御の実行後において、前記第1ロールの前記シート残量が前記目標残量となった状態で、前記接ぎ処理を行い、
前記算出部は、
前記軸制御部による前記定常制御の実行時には、前記搬送速度と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの前記外径として第1外径を算出すると共に、前記第1ロールの1回転毎の前記第1外径の減少量からシート厚を算出し、その第1ロールの第1外径とシート厚とに基づき前記シート残量を算出し、
前記軸制御部による前記貯留量調整制御の実行時には、この貯留量調整制御に切換える直前の前記第1外径と前記算出されたシート厚と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの前記外径として第2外径を算出し、その第1ロールの第2外径と前記シート厚とに基づき前記シート残量を算出する、シート供給装置。
【請求項2】
前記軸制御部は、前記貯留量調整制御の実行後において、前記第1ロールの前記シート残量が前記第1残量よりも少ない所定の第2残量となったときに、前記第1ロールのシートが前記目標残量となった状態で、前記接ぎ機構の前記接ぎ処理によって前記第2ロールのシートと接ぎ合わせられるように、前記第1支持軸の回転を停止させる停止制御を実行する、請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項3】
前記第1残量は、前記軸制御部による前記貯留量調整制御の実行中に前記供給機構から前記処理装置へ供給されるシートの長さと前記第2貯留量とを加算した第1管理長さと、前記軸制御部による前記停止制御の実行中に前記第1ロールから送り出されるシートの送り長さである第2管理長さとを、前記目標残量に加算した値に設定され、
前記第2残量は、前記第2管理長さを前記目標残量に加算した値に設定される、請求項2に記載のシート供給装置。
【請求項4】
第1支持軸に支持された第1ロールと第2支持軸に支持された第2ロールとから、前記第1支持軸又は前記第2支持軸の回転に伴って順次シートを繰り出して、所定の搬送速度で所定の処理装置へ供給するシート供給方法であって、
前記第1ロールから送り出されたシートを前記処理装置の上流側において基準の第1貯留量に維持することにより、前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように、前記第1支持軸の回転速度を調整しつつ前記処理装置へシートを供給する定常供給ステップと、
前記処理装置へのシートの供給に応じて変化する前記第1ロールのシート残量が所定の目標残量に所定長さを加算した第1残量となったときに、前記処理装置の上流側での前記第1ロールのシートの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度よりも速くなるように前記第1支持軸の回転速度を加速させ、前記第2貯留量の到達後は前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように前記第1支持軸の回転速度を調整する貯留量調整ステップと、
前記第1ロールのシート残量が前記目標残量となった状態で、当該第1ロールのシートと前記第2ロールのシートとを接ぎ合わせる接ぎ処理を行うことにより、前記処理装置へ供給するシートのロールを前記第1ロールから前記第2ロールに切換える接ぎ処理ステップと、を含み、
前記定常供給ステップでは、前記搬送速度と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの外径として第1外径を算出すると共に、前記第1ロールの1回転毎の前記第1外径の減少量からシート厚を算出し、その第1ロールの第1外径とシート厚とに基づきシート残量を算出し、
前記貯留量調整ステップでは、この貯留量調整ステップに移行する直前の前記第1外径と前記算出されたシート厚と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの外径として第2外径を算出し、その第1ロールの第2外径と前記シート厚とに基づきシート残量を算出する、シート供給方法。
【請求項5】
前記貯留量調整ステップと前記接ぎ処理ステップとの間において、前記第1ロールのシート残量が前記第1残量よりも少ない所定の第2残量となったときに、前記第1支持軸の回転を停止させる停止ステップを、更に含む、請求項4に記載のシート供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートが巻き付けられたロールから前記シートを連続供給するためのシート供給装置及びシート供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して、当該シートを下流側の処理装置へ所定の搬送速度で供給するシート供給装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この種のシート供給装置は、シートの供給状態にある第1ロール(供給側ロール)のシートに第2ロール(待機側ロール)のシートを接ぎ合わせる接ぎ処理を行う接ぎ機構と、供給側ロールから送り出されたシートを貯留する貯留機構と、を備えている。
【0003】
シート供給装置では、供給側ロールのシートを供給する定常状態において、貯留機構によるシートの貯留量が基準の貯留量に維持されるように、すなわち、供給側ロールから貯留機構に送り込まれるシート量と、貯留機構から処理装置へ送り出されるシート量とが一致するように、供給側ロールの回転速度が調整される。供給側ロールからのシートの供給によって当該ロールのシート残量が所定の残量以下となった場合を想定する。この場合、接ぎ機構による接ぎ処理が実行されて、供給側ロールが第1ロールから第2ロールに切換えられる。この接ぎ機構による接ぎ処理の実行前に、貯留機構において供給側ロールのシートが前記基準の貯留量よりも多い所定の貯留量で貯留されるように、供給側ロールの回転速度が加速される。接ぎ機構は、供給側ロールの回転が停止された状態で、供給側ロールのシートに待機側ロールのシートを接ぎ合わせる接ぎ処理を実行する。接ぎ機構による接ぎ処理の実行中においては、貯留機構に多く貯留されたシートが供給される。これにより、下流側の処理装置へのシートの供給が継続される。
【0004】
供給側ロールのシート残量は、供給側ロールの外径とシート厚とから算出することができる。例えば、貯留機構によるシートの貯留量を前記基準の貯留量とする定常状態においては、供給側ロールの周速が前記搬送速度と一致しているので、供給側ロールの1回転当りに送り出されるシート長さから供給側ロールの外径が算出され、回転ごとに減少する外径からシート厚が算出される。しかし、貯留機構によるシートの貯留量を増加させている間は、供給側ロールの周速が前記搬送速度と一致しなくなるため、上記の方法では外径を算出することができず、供給側ロールのシート残量を把握することができない。シート残量を把握するためには、シートの送り出しに応じて変化するロールの外径を算出する必要がある。従来技術では、貯留機構におけるシートの貯留量に基づきロールの外径の算出が可能とされている。
【0005】
従来技術におけるシート貯留量に基づくロール外径の算出は、貯留量の変化を算出部にフィードバックさせながら、供給側ロールの外径を算出するため、前記基準の貯留量よりも多い貯留量に増加させるときには適用することが容易でない。すなわち、前記基準の貯留量よりも多い貯留量とするときには、貯留機構によるシートの貯留量が急激に変化するうえ、供給側ロールはシート残量が少なく小径となっているので、所定長さのシート供給に対し外径の変化量が大きくなるため、これに基づきロール外径を算出することは困難である。このため、ロールのシート残量を精度良く把握することができない。この結果、接ぎ機構による接ぎ処理の実行前における、貯留機構によるシートの貯留量が不足する虞がある。貯留機構によるシートの貯留量が不足すると、接ぎ機構による接ぎ処理の実行中においてシートの供給が停止する虞がある。これを避けるためには、シート残量が多い状態で接ぎ処理を行う必要があり、接ぎ処理後のシート残量が多くなって無駄が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-327354号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、接ぎ機構による接ぎ処理の実行後に残るシート残量を所定量に抑えて無駄を無くすことができるシート供給装置及びシート供給方法を提供することにある。
【0008】
本発明の一の局面に係るシート供給装置は、シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して、供給機構により所定の搬送速度で所定の処理装置に供給する装置である。このシート供給装置は、前記第1ロールをその中心位置で支持した状態で回転可能な第1支持軸と、前記第2ロールをその中心位置で支持した状態で回転可能な第2支持軸と、前記供給機構の上流側に配置され、前記第1ロール又は前記第2ロールから送り出されたシートを貯留し、そのシート貯留量を変化させることが可能に構成された貯留機構と、前記貯留機構の上流側に配置され、前記第1ロールのシートと前記第2ロールのシートとを接ぎ合わせる接ぎ処理を行うことにより、前記処理装置へ供給するシートのロールの切換えを可能とする接ぎ機構と、前記供給機構を介しての前記処理装置へのシートの供給に応じて変化する、前記第1ロール又は前記第2ロールの外径及びシート残量を算出する算出部と、前記第1支持軸及び前記第2支持軸の回転動作を制御する軸制御部と、を備える。前記処理装置に対して前記第1ロールのシートの供給後に前記第2ロールのシートを連続的に供給する場合を想定する。この場合、前記軸制御部は、前記第1ロールのシートを前記処理装置へ前記搬送速度で供給する定常状態において、前記貯留機構による前記第1ロールのシートの貯留量を基準の第1貯留量に維持することで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように、前記第1支持軸の回転速度を調整する定常制御を実行し、前記第1ロールの前記シート残量が所定の目標残量に所定長さを加算した第1残量となったときに、前記貯留機構による前記第1ロールのシートの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度よりも速くなるように前記第1支持軸の回転速度を加速させ、前記第2貯留量の到達後は前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように前記第1支持軸の回転速度を調整する貯留量調整制御を実行する。前記接ぎ機構は、前記軸制御部による前記貯留量調整制御の実行後において、前記第1ロールの前記シート残量が前記目標残量となった状態で、前記接ぎ処理を行う。前記算出部は、前記軸制御部による前記定常制御の実行時には、前記搬送速度と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの前記外径として第1外径を算出すると共に、前記第1ロールの1回転毎の前記第1外径の減少量からシート厚を算出し、その第1ロールの第1外径とシート厚とに基づき前記シート残量を算出し、前記軸制御部による前記貯留量調整制御の実行時には、この貯留量調整制御に切換える直前の前記第1外径と前記算出されたシート厚と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの前記外径として第2外径を算出し、その第1ロールの第2外径と前記シート厚とに基づき前記シート残量を算出する。
【0009】
本発明の他の局面に係るシート供給方法は、第1支持軸に支持された第1ロールと第2支持軸に支持された第2ロールとから、前記第1支持軸又は前記第2支持軸の回転に伴って順次シートを繰り出して、所定の搬送速度で所定の処理装置へ供給する方法である。このシート供給方法は、前記第1ロールから送り出されたシートを前記処理装置の上流側において基準の第1貯留量に維持することにより、前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように、前記第1支持軸の回転速度を調整しつつ前記処理装置へシートを供給する定常供給ステップと、前記処理装置へのシートの供給に応じて変化する前記第1ロールのシート残量が所定の目標残量に所定長さを加算した第1残量となったときに、前記処理装置の上流側での前記第1ロールのシートの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度よりも速くなるように前記第1支持軸の回転速度を加速させ、前記第2貯留量の到達後は前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように前記第1支持軸の回転速度を調整する貯留量調整ステップと、前記第1ロールのシート残量が前記目標残量となった状態で、当該第1ロールのシートと前記第2ロールのシートとを接ぎ合わせる接ぎ処理を行うことにより、前記処理装置へ供給するシートのロールを前記第1ロールから前記第2ロールに切換える接ぎ処理ステップと、を含む。前記定常供給ステップでは、前記搬送速度と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの外径として第1外径を算出すると共に、前記第1ロールの1回転毎の前記第1外径の減少量からシート厚を算出し、その第1ロールの第1外径とシート厚とに基づきシート残量を算出する。前記貯留量調整ステップでは、この貯留量調整ステップに移行する直前の前記第1外径と前記算出されたシート厚と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの外径として第2外径を算出し、その第1ロールの第2外径と前記シート厚とに基づきシート残量を算出する。
【0010】
本発明によれば、接ぎ機構による接ぎ処理に必要なシート量を貯留機構に貯留する間においても、シート残量を精緻に把握できるので、接ぎ処理後のシート残量を所定の目標残量に一致させることができるうえ、接ぎ機構による接ぎ処理の実行中におけるシートの供給に必要なシート量を確実に貯留することができる。
【0011】
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るシート供給装置の構成を模式的に示す正面一部断面図である。
図2】シート供給装置の動作を制御するコントローラの電気的構成を示すブロック図である。
図3】第1ロールに巻き付けられたシートについて、第1ロールから繰り出した状態を模式的に示す図である。
図4】コントローラにより定常制御が実行されたときのシート供給装置の動作を説明するための図である。
図5】コントローラにより貯留量調整制御が実行されたときのシート供給装置の動作を説明するための図である。
図6】コントローラにより停止制御が実行されたときのシート供給装置の動作を説明するための図である。
図7】コントローラにより復帰処理が実行されたときのシート供給装置の動作を説明するための図である。
図8】シート供給装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るシート供給装置及びシート供給方法について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。水平面上において互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向とし、これらのX軸方向及びY軸方向の両方向と直交する鉛直方向をZ軸方向とする。また、X軸方向の一方側を「+X側」と称し、X軸方向の前記一方側とは反対の他方側を「-X側」と称する。また、Y軸方向の一方側を「+Y側」と称し、Y軸方向の前記一方側とは反対の他方側を「-Y側」と称する。また、Z軸方向の一方側を「+Z側」と称し、Z軸方向の前記一方側とは反対の他方側を「-Z側」と称する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るシート供給装置1の正面一部断面図である。図2は、シート供給装置1の動作を制御するコントローラ9の電気的構成を示すブロック図である。シート供給装置1は、シート10Sが巻き付けられた第1ロールR1及び第2ロールR2から順次シート10Sを繰り出して、供給機構4を介して所定の処理装置100に供給する装置である。供給機構4は、処理装置100とシート供給装置1との間に設けられ、第1ロールR1又は第2ロールR2から送り出されたシート10Sを、所定のテンションと搬送速度で処理装置100へ供給する機構である。
【0016】
シート供給装置1は、装置本体2と、支持機構3と、貯留機構5と、接ぎ機構6と、操作部8と、コントローラ9とを備えている。
【0017】
装置本体2は、シート供給装置1を構成する各機構を収容する構造体である。支持機構3は、装置本体2に取り付けられると共に、第1ロールR1及び第2ロールR2を支持する機構である。貯留機構5は、供給機構4の上流側に配置され、第1ロールR1又は第2ロールR2から送り出されたシート10Sを貯留し、そのシート貯留量を変化させることが可能に構成された機構である。接ぎ機構6は、貯留機構5の上流側に配置され、第1ロールR1のシート10Sと第2ロールR2のシート10Sとを接ぎ合わせる接ぎ処理を行う機構である。接ぎ機構6は、接ぎ処理を行うことにより、処理装置100へ供給するシート10Sのロールの切換えを可能とする。
【0018】
操作部8は、シート供給装置1の動作に関する各種指令の入力操作を受け付ける。操作部8に対する入力操作は、シート供給装置1を操作する作業者によって行われる。コントローラ9は、処理装置100へのシート10Sの供給に応じて変化する第1ロールR1又は第2ロールR2の外径及びシート残量を算出する演算処理を行うと共に、シート供給装置1を構成する各機構を制御する制御処理を行う。
【0019】
処理装置100に対して第1ロールR1のシート10Sの供給後に、第2ロールR2のシート10Sを連続的に供給する場合を想定する。この場合、シート供給装置1は、第1ロールR1(供給側ロール)から送り出されたシート10Sを、貯留機構5にて貯留しつつ処理装置100へ供給することができる。第1ロールR1からのシート10Sの供給によって当該第1ロールR1のシート残量が所定の残量以下となると、接ぎ機構6によって第2ロールR2(待機側ロール)のシート10Sを第1ロールR1(供給側ロール)のシート10Sに接ぐと共に、接がれた位置の上流側で第1ロールR1から繰り出されているシート10Sを切断する。これにより、シート供給装置1の下流側の処理装置100にシート10Sを連続的に供給することができる。なお、接ぎ機構6による接ぎ処理後においては、コントローラ9は、シート10Sが切断された第1ロールR1に代わって第1支持軸31に挿入される新たなロールを次の待機側ロールとして設定し、シート10Sの供給が開始された第2ロールR2を次の供給側ロールとして設定する。このようなロールの設定変更は、接ぎ機構6による接ぎ処理が行われる毎に繰り返される。
【0020】
次に、シート供給装置1の各構成要素について、それぞれ詳細に説明する。なお、以下の説明では、処理装置100に対して第1ロールR1のシート10Sの供給後に、第2ロールR2のシート10Sを連続的に供給する場合を想定することとする。
【0021】
支持機構3は、第1支持軸31と、第2支持軸32と、軸駆動源33とを含む。第1支持軸31は、Y軸方向に延び、第1ロールR1をその中心位置で支持した状態で回転可能となるように、装置本体2に取り付けられている。第2支持軸32は、Y軸方向に延び、第2ロールR2をその中心位置で支持した状態で回転可能となるように、装置本体2に取り付けられている。図1に示す例では、第1支持軸31と第2支持軸32とは、装置本体2の-Z側の端部において、互いに平行となるように、X軸方向に所定の間隔を置いて配置されている。第1支持軸31及び第2支持軸32は、装置本体2により片持ち支持されるように、装置本体2からY軸方向の一方側(+Y側)に延びている。このため、第1ロールR1及び第2ロールR2を第1支持軸31及び第2支持軸32のそれぞれに挿入することにより、第1ロールR1及び第2ロールR2を支持機構3に装着することができる。
【0022】
軸駆動源33は、第1支持軸31及び第2支持軸32を軸心回りに回転させる駆動力を発生する駆動源である。軸駆動源33は、例えばサーボモータにより構成されており、当該サーボモータの回転駆動力は、ベルトやプーリなどの動力伝達機構を介して第1支持軸31及び第2支持軸32にそれぞれ伝達される。これにより、第1支持軸31及び第2支持軸32を所定の速度で軸心回りに回転させることができる。
【0023】
第1支持軸31及び第2支持軸32の各々を回転させる軸駆動源33であるサーボモータの駆動データは、コントローラ9に入力され、第1支持軸31及び第2支持軸32の回転数などの把握のために利用される。
【0024】
貯留機構5は、供給機構4に対してシート搬送方向の上流側に配置されている。図1に示す例では、貯留機構5は、装置本体2において、第1支持軸31及び第2支持軸32に対して+Z側の位置に取り付けられている。貯留機構5は、固定部材51と貯留用回動部材52と付勢機構53とを含む。
【0025】
固定部材51は、その位置が固定されるように装置本体2に取り付けられている。固定部材51には、複数の貯留用固定ローラ511が、所定の間隔を置いて1列に並ぶように、回転可能に支持されている。複数の貯留用固定ローラ511は、シート10Sを掛けられるようにY軸方向に延びるローラである。
【0026】
貯留用回動部材52は、Y軸方向に延びる回動軸522回りに回動可能となるように装置本体2に取り付けられる回動部材である。貯留用回動部材52は、固定部材51に近接する方向又は固定部材51から離間する方向に、回動軸522回りに回動する。貯留用回動部材52には、複数の貯留用移動ローラ521が、所定の間隔を置いて1列に並ぶように、回転可能に支持されている。複数の貯留用移動ローラ521は、シート10Sを掛けられるようにY軸方向に延びるローラである。
【0027】
付勢機構53は、エアシリンダー等で構成され、貯留用回動部材52を固定部材51から離間する方向に所定の押圧力で付勢する。
【0028】
貯留機構5においては、複数の貯留用固定ローラ511と複数の貯留用移動ローラ521との間にシート10Sが、交互に掛け渡されている。貯留機構5は、複数の貯留用固定ローラ511と複数の貯留用移動ローラ521との間において、第1支持軸31又は第2支持軸32の回転に伴って第1ロールR1又は第2ロールR2から送り出されたシート10Sを貯留する。更に、貯留機構5は、貯留用回動部材52が固定部材51に対して近接又は離間する方向に回動されることにより、シート10Sの経路長を変化させ、シート10Sの貯留量を変化させることが可能である。
【0029】
具体的には、供給機構4により貯留機構5から引き出されるシート量に比べて、第1ロールR1から貯留機構5に供給されるシート量が少ない場合を想定する。この場合、貯留機構5におけるシート貯留量が少なくなって貯留機構5内のシート10Sのテンションが高まり、付勢機構53の押圧力に抗して貯留用回動部材52が固定部材51に近接する方向に回動される。一方、供給機構4により貯留機構5から引き出されるシート量に比べて、第1ロールR1から貯留機構5に供給されるシート量が多くなる場合を想定する。この場合、貯留機構5におけるシート貯留量が多くなって貯留機構5内のシート10Sのテンションが緩和され、付勢機構53の押圧力により貯留用回動部材52が固定部材51から離間する方向に回動される。従って、貯留用回動部材52の位置を検出することで、貯留機構5におけるシート貯留量が把握される。
【0030】
また、図1に示すように、装置本体2には、貯留用回動部材52の近傍に、貯留位置センサSRが配置されている。この貯留位置センサSRは、固定部材51に対して回動される貯留用回動部材52の位置を検知するセンサである。貯留位置センサSRの検知結果は、コントローラ9に入力され、貯留機構5におけるシート貯留量の把握のために利用される。
【0031】
接ぎ機構6は、貯留機構5に対してシート搬送方向の上流側に配置されている。具体的には、接ぎ機構6は、シート搬送方向において、第1支持軸31及び第2支持軸32と貯留機構5との間に配置されている。図1に示す例では、接ぎ機構6は、装置本体2において、第1支持軸31及び第2支持軸32に対して+Z側であり、且つ貯留機構5に対して+X側の位置に取り付けられている。接ぎ機構6は、押圧部材61と、カッター62と、押圧駆動源611と、カッター駆動源621とを含む。
【0032】
押圧部材61は、第1支持軸31の回転に伴って第1ロールR1から送り出されているシート10Sの途中部と、第2ロールR2から繰り出されたシート10Sの先端部とを互いに押し付ける押付動作を行う部材である。押圧駆動源611は、押圧部材61に前記押付動作を実行させる駆動力を発生する駆動源である。接ぎ機構6においては、押圧部材61が前記押付動作を実行することにより、第1ロールR1のシート10Sと第2ロールR2のシート10Sとを接ぎ合わせる接ぎ処理を行う。接ぎ機構6は、前記接ぎ処理を行うことにより、処理装置100へ供給するシート10Sのロールの切換えを可能とする。
【0033】
カッター62は、押圧部材61による前記押付動作によって第1ロールR1及び第2ロールR2のシート10S同士が接合された後、その接合部の上流位置で第1ロールR1からのシート10Sを切断する切断動作を行う。カッター駆動源621は、カッター62に前記切断動作を実行させる駆動力を発生する駆動源である。
【0034】
また、図1に示すように、シート搬送方向において、第1支持軸31と接ぎ機構6との間、並びに、第2支持軸32と接ぎ機構6との間には、複数の搬送ローラCRが配置されている。更に、シート搬送方向において、接ぎ機構6と貯留機構5との間にも、複数の搬送ローラCRが配置されている。これらの搬送ローラCRは、シート10Sを掛けられるようにY軸方向に延びるローラである。搬送ローラCRは、第1ロールR1又は第2ロールR2から送り出されたシート10Sを、接ぎ機構6に導くと共に、接ぎ機構6から貯留機構5へと導く。
【0035】
供給機構4は、シート供給装置1と処理装置100との間に配置されている。供給機構4は、供給ローラ41と供給駆動源42と張力調整機構7とを含む。供給ローラ41は、シート10Sを掛けられるようにY軸方向に延びるローラである。図1に示す例では、供給ローラ41は、処理装置100の導入部に設けられている。供給駆動源42は、供給ローラ41を軸回りに所定の速度で回転させる駆動力を発生する駆動源である。供給駆動源42は、例えばモータにより構成されている。供給駆動源42の出力によって供給ローラ41の回転速度を調整することにより、所定の搬送速度とテンションで第1ロールR1のシート10Sが処理装置100に供給される。
【0036】
張力調整機構7は、シート搬送方向において供給ローラ41と貯留機構5との間に配置されている。図1に示す例では、張力調整機構7は、装置本体2において、接ぎ機構6に対して+Z側であり、且つX軸方向において供給機構4と貯留機構5との間の位置に取り付けられている。張力調整機構7は、貯留機構5から引き出されたシート10Sが所定のテンションで供給ローラ41へ送り出されるように、コントローラ9を介してフィードバック制御する。張力調整機構7は、複数の張力調整用固定ローラ71と、張力調整用回動部材72と、付勢機構73と、駆動源により回転駆動される引取りロール74とを含む。
【0037】
複数の張力調整用固定ローラ71は、シート10Sを掛けられるようにY軸方向に延びるローラである。複数の張力調整用固定ローラ71は、その位置が固定されるように装置本体2に回転可能に取り付けられている。図1に示す例では、4本の張力調整用固定ローラ71が、X軸方向に並んで配置されている。
【0038】
張力調整用回動部材72は、Y軸方向に延びる回動軸722回りに回動可能となるように装置本体2に取り付けられる回動部材である。張力調整用回動部材72には、張力調整用移動ローラ721が回転可能に支持されている。張力調整用移動ローラ721は、シート10Sを掛けられるようにY軸方向に延びるローラである。張力調整用移動ローラ721は、2本の張力調整用固定ローラ71の間に配置されると共に、シート10Sの張力(テンション)に応じて移動する。張力調整用移動ローラ721は、シート10Sの張力に応じて張力調整用回動部材72が回動軸722回りに回動することにより、移動する。付勢機構73は、エアシリンダー等で構成され、張力調整用回動部材72をシート10Sの経路長が長くなるように所定の押圧力で付勢する。
【0039】
張力調整機構7においては、複数の張力調整用固定ローラ71と張力調整用移動ローラ721との間にシート10Sが、交互に掛け渡されている。シート10Sの張力が予め定められた設定値よりも低い場合には、付勢機構73の押圧力により、シート10Sの経路長が長くなるように張力調整用移動ローラ721が移動する。一方、シート10Sの張力が前記設定値よりも高い場合には、付勢機構73の押圧力に抗して、シート10Sの経路長が短くなるように張力調整用移動ローラ721が移動する。
【0040】
張力調整用回動部材72の回動軸722には、図示しないロータリーエンコーダが付設されている。このロータリーエンコーダから出力される回動軸722の回動角度データは、張力調整用移動ローラ721の位置データとしてコントローラ9に入力される。コントローラ9は、ロータリーエンコーダからの出力結果に基づいて、貯留機構5から引取りロール74により引き取られるシート10Sが所定のテンションと搬送速度で供給ローラ41から処理装置100へ送り出されるように、引取りロール74の回転速度を制御する。つまり、張力調整用回動部材72の位置情報、すなわち張力調整用移動ローラ721の位置情報を、引取りロール74の回転制御にフィードバックすることができる。
【0041】
コントローラ9は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを組み合わせて構成されている。図2に示すように、コントローラ9は、演算処理部91と制御処理部92とを含む。演算処理部91は、処理装置100へのシート10Sの供給に応じて変化する第1ロールR1又は第2ロールR2の外径及びシート残量を算出する演算処理を行う。制御処理部92は、シート供給装置1を構成する各機構を制御する制御処理を行う。
【0042】
演算処理部91は、算出部911と指令部912とを含む。算出部911は、第1ロールR1又は第2ロールR2の外径を算出し、その外径に基づいてシート残量を算出する。算出部911は、後述の制御処理部92における軸制御部922の制御に応じて、第1ロールR1又は第2ロールR2の外径の演算モードを切換える。
【0043】
第1ロールR1のシート10Sを供給する定常状態における、軸制御部922による後述の定常制御が実行されている場合を想定する。この場合、算出部911は、供給機構4から処理装置100への所定の搬送速度と一致した、第1ロールR1におけるシート10Sの送出速度と、第1支持軸31の回転数とに基づき、第1ロールR1の外径として第1外径を算出する。以下の説明では、このときの第1ロールR1の外径の演算モードを「実測モード」と称する。更に、算出部911は、第1ロールR1の1回転毎の外径(第1外径)の減少量から、第1ロールR1から送り出されているシート10Sのシート厚を算出する。本実施形態では、算出部911は、第1ロールR1の外径と第1支持軸31の回転数との関係について、最小二乗法によって1次関数を用いて近似し、その1次関数の傾きに基づく、第1ロールR1の1回転毎の外径の減少量から、第1ロールR1から送り出されているシート10Sのシート厚を算出する。そして、算出部911は、第1ロールR1の外径(第1外径)と、シート10Sのシート厚とに基づいて、第1ロールR1に巻き付けられたシート10Sの残量を算出する。
【0044】
一方、前記定常制御に引き続いて、軸制御部922による後述の貯留量調整制御及び停止制御が実行されている場合を想定する。この場合、算出部911は、前記実測モードにおいて算出した第1ロールR1におけるシート10Sのシート厚と、外径の演算モードを切換える直前、すなわち前記定常制御から前記貯留量調整制御に切換える直前に演算された第1ロールR1の外径(第1外径)と、第1支持軸31の回転数とに基づき、第1ロールR1の外径として第2外径を算出する。すなわち、算出部911は、第1ロールR1の1回転毎に、「シート厚×2」の寸法だけ第1ロールR1の外径が減少していくものとして、第2外径を算出する。以下の説明では、このときの第1ロールR1の外径の演算モードを「推定モード」と称する。そして、算出部911は、第1ロールR1の外径(第2外径)と、シート10Sのシート厚とに基づいて、第1ロールR1に巻き付けられたシート10Sの残量を算出する。
【0045】
指令部912は、操作部8に入力される各種指令を監視すると共に、算出部911によって算出されるシート残量を監視し、それらの監視結果に基づき制御処理部92の制御に関する指令信号を出力する。この指令部912の動作の詳細については後述する。
【0046】
制御処理部92は、供給機構4の供給駆動源42を制御する供給制御部921を含む。この供給制御部921は、供給駆動源42を構成するモータの回転及びその停止を制御する。これにより、供給機構4から処理装置100へシート10Sが所定の搬送速度で供給されるように、供給ローラ41の回転動作が制御される。
【0047】
また、制御処理部92は、指令部912から出力された指令信号に基づき、シート供給装置1を構成する各機構を制御する制御処理を行う。制御処理部92は、軸制御部922と、押圧制御部923と、カッター制御部924とを含む。
【0048】
軸制御部922は、軸駆動源33を構成するモータの回転及びその停止を制御する。これにより、第1ロールR1を支持する第1支持軸31と、第2ロールR2を支持する第2支持軸32との回転動作が制御される。
【0049】
押圧制御部923は、押圧駆動源611を構成するエアシリンダーへのエアの供給及びその停止を制御する。これにより、押圧部材61の押付動作が制御され、接ぎ機構6による第1ロールR1のシート10Sと第2ロールR2のシート10Sとを接ぎ合わせる接ぎ処理が行われる。カッター制御部924は、カッター駆動源621を構成するエアシリンダーへのエアの供給及びその停止を制御する。これにより、カッター62の切断動作が制御され、第1ロールR1及び第2ロールR2のシート10S同士が接合された後、その接合部の上流位置で第1ロールR1からのシート10Sが切断される。
【0050】
次に、コントローラ9により実行される処理に基づくシート供給方法について、図3図8を参照して説明する。図3は、第1ロールR1に巻き付けられたシート10Sについて、第1ロールR1から繰り出した状態を模式的に示す図である。図4は、コントローラ9により定常制御が実行されたときのシート供給装置1の動作を説明するための図である。図5は、コントローラ9により貯留量調整制御が実行されたときのシート供給装置1の動作を説明するための図である。図6は、コントローラ9により停止制御が実行されたときのシート供給装置1の動作を説明するための図である。図7は、コントローラ9により復帰処理が実行されたときのシート供給装置1の動作を説明するための図である。図8は、シート供給装置1の動作を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、第1支持軸31により支持された第1ロールR1から現在シートが供給され、第2支持軸32に新たな第2ロールR2が装着される場面、つまり、第1ロールR1が供給側ロールであり、第2ロールR2が待機側ロールである場面について説明する。
【0051】
第1ロールR1のシート10Sを供給する定常状態の運転を開始する前に、作業者による操作部8に対する入力操作によって、第1ロールR1に巻き付けられたシート10Sの残量に関する目標残量LA、第1残量L1及び第2残量L2が設定される(図3参照)。
【0052】
第1ロールR1に巻き付けられたシート10Sの目標残量LAは、第1ロールR1及び第2ロールR2の各シート10Sが接ぎ機構6によって接ぎ合わされ、カッター62により切断された後の、第1ロールR1のシート10Sの残量の目標値を表す。
【0053】
第1ロールR1における第1残量L1は、下記式(1)に基づく値であって、第1管理長さLL1と第2管理長さLL2とを、目標残量LAに加算した値に設定される。
第1残量L1=
目標残量LA+第1管理長さLL1+第2管理長さLL2 ・・・(1)
【0054】
第1管理長さLL1は、下記式(2)に基づく値であって、軸制御部922による後述の貯留量調整制御の実行中に貯留機構5から供給機構4により処理装置100へ供給されると想定されるシート10Sの長さである貯留調整時送り長さLB1と、貯留機構5におけるシート貯留量を示す後述の第2貯留量LB2と、を加算した値に設定される。
第1管理長さLL1=
貯留調整時送り長さLB1+第2貯留量LB2 ・・・(2)
【0055】
第2管理長さLL2は、下記式(3)に基づく値であって、軸制御部922による後述の停止制御の実行中に第1ロールR1から送り出されると想定されるシート10Sの送り長さに設定される。すなわち、第2管理長さLL2は、軸制御部922の停止制御によって第1支持軸31の回転の停止動作が開始されてから完全に停止するまでの間に、第1ロールR1から送り出されるシート量である。
第2管理長さLL2=
シートの搬送速度×1/2×支持軸の停止に必要な時間 ・・・(3)
【0056】
第1ロールR1における第2残量L2は、下記式(4)に基づく値であって、前記第2管理長さLL2を目標残量LAに加算した値に設定される。
第2残量L2=目標残量LA+第2管理長さLL2 ・・・(4)
【0057】
第1ロールR1のシート10Sを供給する定常状態の運転を開始する指令が操作部8に入力されると、指令部912は、定常運転開始の指令を示す定常運転指令信号を出力する(ステップs1)。指令部912から定常運転指令信号が出力されると、算出部911は、第1ロールR1の外径を算出する際の外径演算モードを前記実測モードに設定する(ステップs2)。また、指令部912から定常運転指令信号が出力されると、軸制御部922は、定常制御を実行する(ステップs3、定常供給ステップ)。
【0058】
軸制御部922による定常制御の実行中において、供給制御部921は、供給機構4から処理装置100へシート10Sが所定の搬送速度で供給されるように、供給ローラ41の回転動作を制御する。このとき、軸制御部922は、第2支持軸32の回転を停止させた状態で、貯留機構5において貯留されているシート量が前記第1貯留量に維持されるように、第1支持軸31の回転速度を調整する(図4参照)。すなわち、軸制御部922は、貯留位置センサSRにより検知される貯留用回動部材52の位置情報を、第1支持軸31の回転制御にフィードバックする。これにより、貯留機構5から供給機構4に向けて送り出されるシート量が、第1ロールR1から貯留機構5に送り込まれるシート量と一致し、第1ロールR1の周速が前記搬送速度と一致する。また、貯留機構5から供給ローラ41に向けて所定のテンションでシート10Sが搬送されるように、張力調整用回動部材72の位置情報、すなわち張力調整用移動ローラ721の位置情報が、引取りロール74の制御部にフィードバックされる。
【0059】
軸制御部922による定常制御の実行中において、算出部911は、前記搬送速度と第1支持軸31の回転数とに基づき第1ロールR1の外径を算出すると共に、第1ロールR1の1回転毎の外径の減少量からシート厚を算出する(実測モード)。第1ロールR1の外径及びシート厚を算出する際に、算出部911は、軸駆動源33の回転状態から第1支持軸31の回転数を把握する。そして、算出部911は、第1ロールR1の外径とシート厚とに基づいて、第1ロールR1におけるシート残量を算出する。このような第1ロールR1の外径及びシート残量の算出は、第1支持軸31の1回転毎に継続して実施される。
【0060】
軸制御部922による定常制御の実行中において、指令部912は、算出部911により算出される第1ロールR1のシート残量を監視する。指令部912は、第1ロールR1のシート残量が上記式(1)で示される第1残量L1になったか否かを判定する(ステップs4)。第1残量L1になったと判定した場合には、指令部912は、貯留調整指令信号を出力する(ステップs5)。貯留調整指令信号は、貯留機構5におけるシート貯留量の調整開始の指令を示す指令信号である。
【0061】
指令部912から貯留調整指令信号が出力されると、算出部911は、第1ロールR1の外径を算出する際の外径演算モードを前記推定モードに設定する(ステップs6)。また、指令部912から貯留調整指令信号が出力されると、軸制御部922は、貯留量調整制御を実行する(ステップs7、貯留量調整ステップ)。
【0062】
軸制御部922による貯留量調整制御の実行中において、算出部911は、定常制御の実行中において算出したシート厚と、外径演算モードを実測モードから推定モードに切換える直前に算出された第1ロールR1の外径と、第1支持軸31の回転数とに基づき第1ロールR1の外径を算出する(推定モード)。第1ロールR1の外径を算出する際に、算出部911は、軸駆動源33の回転状態から第1支持軸31の回転数を把握する。そして、算出部911は、第1ロールR1の外径とシート厚とに基づいて、第1ロールR1におけるシート残量を算出する。
【0063】
貯留量調整制御において軸制御部922は、貯留機構5による第1ロールR1のシート10Sの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、第1支持軸31の回転速度を加速させる(図5参照)。このとき、軸制御部922は、算出部911により算出された第1ロールR1の外径に基づく周速が、前記搬送速度よりも速い貯留量調整時速度となるように、第1支持軸31の回転速度を加速させる。前記貯留量調整時速度は、1よりも大きい係数(例えば1.4)を前記搬送速度に乗算した値に設定される。また、軸制御部922は、貯留位置センサSRの検知結果に基づいて、貯留機構5におけるシート貯留量が前記第2貯留量に到達したことを把握する。そして、軸制御部922は、前記第2貯留量の到達後は第1ロールR1の外径に基づく周速が前記搬送速度と一致するように、第1支持軸31の回転速度を調整する。
【0064】
なお、軸制御部922による貯留量調整制御の実行中において、供給制御部921は、供給機構4により貯留機構5から処理装置100へシート10Sが前記搬送速度で供給されるように、供給ローラ41の回転動作を制御する。これにより、第1ロールR1から貯留機構5へシート10Sを供給する貯留量調整時速度と、貯留機構5から処理装置100へシート10Sを供給する前記搬送速度との速度差に基づくシート量だけ、貯留機構5でのシート貯留量が増加される。
【0065】
軸制御部922による貯留量調整制御の実行中において、貯留機構5でのシート貯留量が前記第2貯留量に到達した後、指令部912は、算出部911により算出される第1ロールR1のシート残量を監視する。指令部912は、第1ロールR1のシート残量が上記式(4)で示される第2残量L2になったか否かを判定する(ステップs8)。第2残量L2になったと判定した場合には、指令部912は、接ぎ指令信号を出力する(ステップs9)。接ぎ指令信号は、接ぎ機構6による接ぎ処理の開始の指令を示す指令信号である。
【0066】
指令部912から接ぎ指令信号が出力されると、軸制御部922は、停止制御を実行する(ステップs10、停止ステップ)。停止制御において軸制御部922は、第1ロールR1のシート10Sが前記目標残量LAとなった状態で、接ぎ機構6の接ぎ処理によって第2ロールR2のシート10Sと接ぎ合わせられるように、第1支持軸31の回転を停止させる(図6参照)。軸制御部922の停止制御によって第1支持軸31の回転の停止動作が開始されてから完全に停止するまでの間には、上記式(3)で示される第2管理長さLL2に相当する量のシート10Sが、第1ロールR1から送り出される。すなわち、第1支持軸31の回転が完全に停止されたときには、第1ロールR1のシート残量は、第2残量L2から第2管理長さLL2を差し引いた目標残量LAとなっている。
【0067】
第1支持軸31の回転が停止されると、押圧制御部923は、押圧駆動源611を制御して押圧部材61に押付動作を実行させる。これにより、第1ロールR1のシート10Sが目標残量LAとなった状態で、当該第1ロールR1のシート10Sと第2ロールR2のシート10Sとを接ぎ合わせる接ぎ処理が実行される(ステップs11、接ぎ処理ステップ)。第1ロールR1及び第2ロールR2のシート10S同士が接合された後、カッター制御部924は、カッター駆動源621を制御してカッター62に切断動作を実行させる。これにより、接合部の上流位置で第1ロールR1からのシート10Sが切断される。
【0068】
なお、軸制御部922による停止制御の実行中、並びに、接ぎ機構6による接ぎ処理の実行中においては、供給制御部921は、供給機構4から処理装置100へシート10Sが前記搬送速度で供給されるように、供給ローラ41の回転動作を制御する。すなわち、指令部912からの接ぎ指令信号の出力後においても、軸制御部922による定常制御及び貯留量調整制御の実行中と同様に、供給機構4により貯留機構5から処理装置100への前記搬送速度でのシート10Sの供給が継続される。この場合、貯留機構5に貯留されたシート10Sが処理装置100へ供給されることとなる。このため、図5図6との比較から明らかなように、貯留機構5におけるシート貯留量は、前記第2貯留量から減少する。
【0069】
第1ロールR1のシート10Sが切断されると、指令部912は、ロールの設定を変更する(ステップs12)。具体的には、指令部912は、シートが切断された第1ロールR1に代わって後ほど第1支持軸31に装着される新たなロールを次の待機側ロールとして設定し、第2ロールR2を次の供給側ロールとして設定する。そして、第2ロールR2を支持する第2支持軸32の回転が開始され、第2ロールR2からのシート10Sの供給が開始される。第2ロールR2の外径は、第2支持軸32に装着された際に予め図示しないセンサ等で計測されており、この外径に基づく第2ロールR2の周速が前記搬送速度に一致するまで、前記第2支持軸32の回転が加速される。なお、第2ロールR2の周速が前記搬送速度に達するまで、貯留機構5におけるシート貯留量は引き続き減少する。従って、前記所定の第2貯留量は、第1ロールR1の停止制御の開始から第2ロールR2の周速が前記搬送速度に達するまでの間に、貯留機構5において減少する貯留量よりも多い貯留量とされる。
【0070】
次に、軸制御部922及び押圧制御部923は、復帰処理を実行する(ステップs13)。具体的には、押圧制御部923は、押圧駆動源611を制御して押圧部材61を押付動作前の所定位置に戻す。また、軸制御部922は、第1支持軸31を逆回転させることにより、第1ロールR1における切断位置よりも上流側のシート10Sを巻き取る(図7参照)。その後、第1ロールR1が第1支持軸31から取り外され、新たなロールを次の待機側ロールとして第1支持軸31に装着する。
【0071】
次に、指令部912は、第2ロールR2のシート10Sを供給する定常状態の運転を開始する指令を示す定常運転指令信号を出力する(ステップs14)。指令部912から定常運転指令信号が出力されると、算出部911は、第1ロールR1からのシート10Sの供給の場合と同様に、第2ロールR2の外径を算出する際の外径演算モードを前記実測モードに設定する(ステップs15)。また、指令部912から定常運転指令信号が出力されると、軸制御部922は、第1ロールR1からのシート10Sの供給の場合と同様に、定常制御を実行する(ステップs16)。このようにして、処理装置100へ供給するシート10Sのロールの切換えが行われる。そして、軸制御部922による第1支持軸31及び第2支持軸32の回転制御に関して、定常制御、貯留量調整制御及び停止制御が繰り返される。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るシート供給装置1では、軸制御部922は、第1ロールR1のシート10Sを供給する定常状態において定常制御を実行し、第1ロールR1のシート残量が第1残量L1となったときに貯留量調整制御を実行する。定常制御において軸制御部922は、貯留機構5にて基準の第1貯留量のシート10Sが貯留されるように第1支持軸31の回転速度を調整する(図4参照)。これにより、第1ロールR1のシート10Sを供給する定常状態において、貯留機構5から処理装置100へのシート10Sの送り量と第1ロールR1から貯留機構5へのシート10Sの送り量とが一致し、第1ロールR1の周速が前記搬送速度と一致することとなる。貯留量調整制御において軸制御部922は、貯留機構5によるシート10Sの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、第1ロールR1の周速が前記搬送速度よりも速くなるように第1支持軸31の回転速度を加速させる(図5参照)。このような軸制御部922の定常制御及び貯留量調整制御の実行によって、第1支持軸31の回転に伴って第1ロールR1から送り出されたシート10Sを、貯留機構5にて貯留しつつ処理装置100へ供給することができる。
【0073】
第1ロールR1からシート10Sが送り出されると、その送り出しに応じて第1ロールR1の外径が変化する。第1ロールR1の外径は、算出部911によって算出される。算出部911は、軸制御部922による定常制御の実行時には、第1ロールR1から貯留機構5を介しての処理装置100へのシート10Sの搬送速度と第1支持軸31の回転数とに基づき第1ロールR1の外径を算出すると共に、第1ロールR1の1回転毎の外径の減少量からシート厚を算出する。一方、軸制御部922による貯留量調整制御の実行時には、算出部911は、定常制御の実行時に予め算出された前記シート厚と貯留量調整制御に切換える直前に算出された外径と第1支持軸31の回転数とに基づいて、第1ロールR1の外径を算出する。これにより、貯留機構5によるシート10Sの貯留量が急激に変化する貯留量調整制御の実行中においても、第1ロールR1の外径の迅速な算出が可能である。
【0074】
算出部911により算出された第1ロールR1の外径は、第1ロールR1のシート残量の算出に利用される。上記の通り、軸制御部922による貯留量調整制御の実行中においても、第1ロールR1の外径が迅速に算出されるので、貯留機構5によるシート貯留量や外径が急激に変化する場合でも、その算出された外径に基づきシート残量を正確に算出することができる。これにより、接ぎ機構6による接ぎ処理に必要な第2貯留量LB2のシート10Sを貯留機構5に貯留する貯留量調整制御の実行中においても、第1ロールR1のシート残量を精緻に把握することができる。このため、軸制御部922による貯留量調整制御の実行後において、接ぎ機構6が接ぎ処理を行ったときに、その接ぎ処理後のシート残量を所定の目標残量LAに一致させることができる。また、第1ロールR1の外径とシート残量とが精緻に把握されるので、接ぎ機構6による接ぎ処理の実行前において、必要なシート残量を確保しつつ、貯留機構5に所定の第2貯留量LB2のシート10Sを確実に貯留することができる。この結果、貯留機構5によるシート10Sの貯留量の不足に起因した、接ぎ処理中でのシート供給の停止を防止することができる。
【0075】
また、既述の通り、算出部911は、軸制御部922による定常制御の実行中において第1ロールR1の外径及びシート厚を算出する。更に、算出部911は、軸制御部922による貯留量調整制御の実行中においても、第1ロールR1の外径を算出する。算出部911は、軸制御部922による定常制御及び貯留量調整制御の実行中において、第1ロールR1の外径とシート厚とに基づいて、第1ロールR1のシート残量を算出することができる。
【0076】
軸制御部922は、貯留量調整制御の実行後において、算出部911により算出されたシート残量が所定の第2残量L2となったときに停止制御を実行し、接ぎ機構6による接ぎ処理が可能となるように第1支持軸31の回転を停止させる。これにより、第1ロールR1のシート10Sが目標残量LAとなった状態で、第1ロールR1及び第2ロールR2の各シート10Sを接ぎ合わせることができる。このため、各シート10Sの接ぎ時において、第1ロールR1に巻き付けられたシート10Sの残量を一定の目標残量LAとすることができる。
【0077】
ここで、第1残量L1は、上記式(1)で示されるように、第1管理長さLL1と第2管理長さLL2とを目標残量LAに加算した値に設定される。第1管理長さLL1は、上記式(2)で示されるように、貯留調整時送り長さLB1と第2貯留量LB2とを加算したものであって、軸制御部922による貯留量調整制御の実行中において第1ロールR1からの送り出しが想定されるシート量である。第2管理長さLL2は、上記式(3)で示されるように、軸制御部922による停止制御の実行中において第1ロールR1からの送り出しが想定されるシート量である。すなわち、第1残量L1は、接ぎ機構6による接ぎ処理の実行前に、貯留機構5にて第2貯留量LB2のシート10Sを貯留するために必要な最小限のシート量を、目標残量LAに加算した値となる。このため、第1ロールR1のシート残量が第1残量L1となり、軸制御部922による貯留量調整制御の実行によって第1支持軸31の回転速度が加速されるときには、第1ロールR1が可能な範囲で軽量となる。これにより、第1支持軸31の回転速度を加速させるときの軸駆動源33の負荷を可及的に軽減することができる。
【0078】
また、第2残量L2は、上記式(4)で示されるように、前記第2管理長さLL2を目標残量LAに加算した値に設定される。すなわち、第2残量L2は、第1支持軸31の回転の停止動作が開始されてから完全に停止するまでの間に第1ロールR1から送り出されるシート量を、目標残量LAに加算した値となる。このため、第1ロールR1のシート残量が第2残量L2となり、軸制御部922による停止制御の実行によって第1支持軸31の回転が停止されたときには、第1ロールR1のシート残量が目標残量LAとなっている。これにより、第1ロールR1のシート10Sが目標残量LAとなった状態で、接ぎ機構6の接ぎ処理によって第1ロールR1及び第2ロールR2の各シート10Sを接ぎ合わせることができる。
【0079】
また、第2残量L2は、第1残量L1から第1管理長さLL1を減算した値とされている。この場合、第1ロールR1のシート残量が第1残量L1となり、軸制御部922による貯留量調整制御の実行によって貯留機構5にて第2貯留量LB2のシート10Sが貯留された後、速やかに、第1ロールR1のシート残量が第2残量L2となる。すなわち、貯留機構5にて第2貯留量LB2のシート10Sが貯留された後、速やかに、軸制御部922による停止制御が実行されて第1支持軸31の回転が停止され、接ぎ機構6による接ぎ処理の実行が可能となる。
【0080】
接ぎ機構6による接ぎ処理が実行される際は、第1支持軸31の回転が停止されるので、貯留機構5におけるシート貯留量は、前記第2貯留量LB2から減少する。これにより、貯留機構5にて第2貯留量LB2のシート10Sが貯留された後、直ちに接ぎ機構6による接ぎ処理が実行されると、速やかに、その貯留機構5におけるシート貯留量を減少させることができる。このため、貯留機構5に多量のシート10Sが貯留されている時間を短くすることができる。この結果、複数の貯留用固定ローラ511と複数の貯留用移動ローラ521との間にシート10Sが交互に掛け渡され、前記第2貯留量LB2に対応してシート経路長が長くされた場合のシート10Sの蛇行の発生を、可及的に防止することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形実施形態を採ることができる。
【0082】
上記実施形態では、貯留機構5が固定部材51と貯留用回動部材52とを備え、貯留用回動部材52の固定部材51に対する回動によってシート貯留量を変化させる構成について説明したが、貯留機構5の構成はこれに限定されるものではない。貯留機構5は、貯留用回動部材52の代わりに、固定部材51に対して近接又は離間する方向に平行に移動する移動部材を備える構成であってもよい。この移動部材に、複数の貯留用移動ローラ521を取り付けるようにすればよい。このような構成の貯留機構5では、移動部材が固定部材51に対して近接又は離間する方向に移動されることにより、シート10Sの経路長を変化させ、シート10Sの貯留量を変化させることが可能である。また、複数の貯留用移動ローラ521を貯留用回動部材52や移動部材に取り付けることなく、複数の貯留用移動ローラ521をそれぞれ個別に、貯留用固定ローラ511に対して移動させる構成であってもよい。また、固定部材と回動部材や移動部材に代えて、互いに近接又は離間する一対の回動部材や移動部材を備える構成であってもよい。
【0083】
上記実施形態では、支持機構3が第1支持軸31及び第2支持軸32を備える構成について説明したが、支持機構3が3つ以上の支持軸を備えると共に、各支持軸がそれぞれロールを支持していてもよい。
【0084】
また、シート供給装置1を構成する各機構の配置は、上記実施形態のものに限定されず、シート10Sの搬送を妨げない範囲で任意に設定することができる。
【0085】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0086】
本発明の一の局面に係るシート供給装置は、シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して、供給機構により所定の搬送速度で所定の処理装置に供給する装置である。このシート供給装置は、前記第1ロールをその中心位置で支持した状態で回転可能な第1支持軸と、前記第2ロールをその中心位置で支持した状態で回転可能な第2支持軸と、前記供給機構の上流側に配置され、前記第1ロール又は前記第2ロールから送り出されたシートを貯留し、そのシート貯留量を変化させることが可能に構成された貯留機構と、前記貯留機構の上流側に配置され、前記第1ロールのシートと前記第2ロールのシートとを接ぎ合わせる接ぎ処理を行うことにより、前記処理装置へ供給するシートのロールの切換えを可能とする接ぎ機構と、前記供給機構を介しての前記処理装置へのシートの供給に応じて変化する、前記第1ロール又は前記第2ロールの外径及びシート残量を算出する算出部と、前記第1支持軸及び前記第2支持軸の回転動作を制御する軸制御部と、を備える。前記処理装置に対して前記第1ロールのシートの供給後に前記第2ロールのシートを連続的に供給する場合を想定する。この場合、前記軸制御部は、前記第1ロールのシートを前記処理装置へ前記搬送速度で供給する定常状態において、前記貯留機構による前記第1ロールのシートの貯留量を基準の第1貯留量に維持することで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように、前記第1支持軸の回転速度を調整する定常制御を実行し、前記第1ロールの前記シート残量が所定の目標残量に所定長さを加算した第1残量となったときに、前記貯留機構による前記第1ロールのシートの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度よりも速くなるように前記第1支持軸の回転速度を加速させ、前記第2貯留量の到達後は前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように前記第1支持軸の回転速度を調整する貯留量調整制御を実行する。前記接ぎ機構は、前記軸制御部による前記貯留量調整制御の実行後において、前記第1ロールの前記シート残量が前記目標残量となった状態で、前記接ぎ処理を行う。前記算出部は、前記軸制御部による前記定常制御の実行時には、前記搬送速度と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの前記外径として第1外径を算出すると共に、前記第1ロールの1回転毎の前記第1外径の減少量からシート厚を算出し、その第1ロールの第1外径とシート厚とに基づき前記シート残量を算出し、前記軸制御部による前記貯留量調整制御の実行時には、この貯留量調整制御に切換える直前の前記第1外径と前記算出されたシート厚と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの前記外径として第2外径を算出し、その第1ロールの第2外径と前記シート厚とに基づき前記シート残量を算出する。
【0087】
このシート供給装置によれば、軸制御部は、第1ロールのシートを処理装置へ所定の搬送速度で供給する定常状態において定常制御を実行し、第1ロールのシート残量が第1残量となったときに貯留量調整制御を実行する。定常制御において軸制御部は、貯留機構におけるシート貯留量が基準の第1貯留量に維持されるように、第1支持軸の回転速度を調整する。これにより、第1ロールのシートを供給する定常状態において、貯留機構から処理装置へのシートの送り量と第1ロールから貯留機構へのシートの送り量とが一致し、第1ロールの周速が前記搬送速度と一致することとなる。貯留量調整制御において軸制御部は、貯留機構によるシートの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、第1ロールの周速が前記搬送速度よりも速くなるように第1支持軸の回転速度を加速させる。このような軸制御部の定常制御及び貯留量調整制御の実行によって、第1支持軸の回転に伴って第1ロールから送り出されたシートを、貯留機構にて貯留しつつ処理装置へ供給することができる。
【0088】
第1ロールからシートが送り出されると、その送り出しに応じて第1ロールの外径が変化する。第1ロールの外径は、算出部によって算出される。算出部は、軸制御部による定常制御の実行時には、第1ロールから貯留機構を介しての処理装置へのシートの搬送速度と第1支持軸の回転数とに基づき第1ロールの外径を算出すると共に、第1ロールの1回転毎の外径の減少量からシート厚を算出する。一方、軸制御部による貯留量調整制御の実行時には、算出部は、定常制御の実行時に予め算出された前記シート厚と貯留量調整制御に切換える直前の外径と第1支持軸の回転数とに基づいて、第1ロールの外径を算出する。これにより、貯留機構によるシートの貯留量が急激に変化する貯留量調整制御の実行中においても、第1ロールの外径の迅速な算出が可能である。
【0089】
算出部により算出された第1ロールの外径は、第1ロールのシート残量の算出に利用される。上記の通り、軸制御部による貯留量調整制御の実行中においても、第1ロールの外径が迅速に算出されるので、貯留機構によるシート貯留量や外径が急激に変化する場合でも、その算出された外径に基づきシート残量を正確に算出することができる。これにより、接ぎ機構による接ぎ処理に必要な第2貯留量のシートを貯留機構に貯留する貯留量調整制御の実行中においても、第1ロールのシート残量を精緻に把握することができる。このため、軸制御部による貯留量調整制御の実行後において、接ぎ機構が接ぎ処理を行ったときに、その接ぎ処理後のシート残量を所定の目標残量に一致させることができる。また、第1ロールの外径とシート残量とが精緻に把握されるので、接ぎ機構による接ぎ処理の実行前において、必要なシート残量を確保しつつ、貯留機構に所定の第2貯留量のシートを確実に貯留することができる。
【0090】
上記のシート供給装置において、前記軸制御部は、前記貯留量調整制御の実行後において、前記第1ロールの前記シート残量が前記第1残量よりも少ない所定の第2残量となったときに、前記第1ロールのシートが前記目標残量となった状態で、前記接ぎ機構の前記接ぎ処理によって前記第2ロールのシートと接ぎ合わせられるように、前記第1支持軸の回転を停止させる停止制御を実行する構成であってもよい。
【0091】
既述の通り、算出部は、軸制御部による定常制御の実行中において第1ロールの外径及びシート厚を算出する。更に、算出部は、軸制御部による貯留量調整制御の実行中においても、第1ロールの外径を算出する。算出部は、軸制御部による定常制御及び貯留量調整制御の実行中において、第1ロールの外径とシート厚とに基づいて、第1ロールのシート残量を算出することができる。
【0092】
軸制御部は、貯留量調整制御の実行後において、算出部により算出されたシート残量が所定の第2残量となったときに停止制御を実行し、接ぎ機構による接ぎ処理が可能となるように第1支持軸の回転を停止させる。これにより、第1ロールのシートが目標残量となった状態で、第1ロール及び第2ロールの各シートを接ぎ合わせることができる。このため、各シートの接ぎ時において、第1ロールに巻き付けられたシートの残量を一定の目標残量とすることができる。
【0093】
上記のシート供給装置において、前記第1残量は、前記軸制御部による前記貯留量調整制御の実行中に前記供給機構から前記処理装置へ供給されるシートの長さと前記第2貯留量とを加算した第1管理長さと、前記軸制御部による前記停止制御の実行中に前記第1ロールから送り出されるシートの送り長さである第2管理長さとを、前記目標残量に加算した値に設定され、前記第2残量は、前記第2管理長さを前記目標残量に加算した値に設定される構成であってもよい。
【0094】
この態様では、第1残量は、第1管理長さと第2管理長さとを目標残量に加算した値に設定される。第1管理長さは、供給機構から処理装置へ供給されるシートの長さと前記第2貯留量とを加算したものであって、軸制御部による貯留量調整制御の実行中において第1ロールからの送り出しが想定されるシート量である。第2管理長さは、軸制御部による停止制御の実行中において第1ロールからの送り出しが想定されるシート量である。すなわち、第1残量は、接ぎ機構による接ぎ処理の実行前に、貯留機構にて第2貯留量のシートを貯留するために必要な最小限のシート量を、目標残量に加算した値となる。このため、第1ロールのシート残量が第1残量となり、軸制御部による貯留量調整制御の実行によって第1支持軸の回転速度が加速されるときには、第1ロールが可能な範囲で軽量となる。これにより、第1支持軸の回転速度を加速させるときの駆動源の負荷を可及的に軽減することができる。
【0095】
また、第2残量は、前記第2管理長さを目標残量に加算した値に設定される。第2管理長さは、上記の通り、軸制御部による停止制御の実行中において第1ロールからの送り出しが想定されるシート量である。すなわち、第2残量は、第1支持軸の回転の停止動作が開始されてから完全に停止するまでの間に第1ロールから送り出されるシート量を、目標残量に加算した値となる。このため、第1ロールのシート残量が第2残量となり、軸制御部による停止制御の実行によって第1支持軸の回転が停止されたときには、第1ロールのシート残量が目標残量となっている。これにより、第1ロールのシートが目標残量となった状態で、接ぎ機構の接ぎ処理によって第1ロール及び第2ロールの各シートを接ぎ合わせることができる。
【0096】
また、第2残量は、第1残量から第1管理長さを減算した値とされている。この場合、第1ロールのシート残量が第1残量となり、軸制御部による貯留量調整制御の実行によって貯留機構にて第2貯留量のシートが貯留された後、速やかに、第1ロールのシート残量が第2残量となる。すなわち、貯留機構にて第2貯留量のシートが貯留された後、速やかに、軸制御部による停止制御が実行されて第1支持軸の回転が停止され、接ぎ機構による接ぎ処理の実行が可能となる。
【0097】
本発明の他の局面に係るシート供給方法は、第1支持軸に支持された第1ロールと第2支持軸に支持された第2ロールとから、前記第1支持軸又は前記第2支持軸の回転に伴って順次シートを繰り出して、所定の搬送速度で所定の処理装置へ供給する方法である。このシート供給方法は、前記第1ロールから送り出されたシートを前記処理装置の上流側において基準の第1貯留量に維持することにより、前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように、前記第1支持軸の回転速度を調整しつつ前記処理装置へシートを供給する定常供給ステップと、前記処理装置へのシートの供給に応じて変化する前記第1ロールのシート残量が所定の目標残量に所定長さを加算した第1残量となったときに、前記処理装置の上流側での前記第1ロールのシートの貯留量が前記第1貯留量よりも多い所定の第2貯留量に到達するまで、前記第1ロールの周速が前記搬送速度よりも速くなるように前記第1支持軸の回転速度を加速させ、前記第2貯留量の到達後は前記第1ロールの周速が前記搬送速度と一致するように前記第1支持軸の回転速度を調整する貯留量調整ステップと、前記第1ロールのシート残量が前記目標残量となった状態で、当該第1ロールのシートと前記第2ロールのシートとを接ぎ合わせる接ぎ処理を行うことにより、前記処理装置へ供給するシートのロールを前記第1ロールから前記第2ロールに切換える接ぎ処理ステップと、を含む。前記定常供給ステップでは、前記搬送速度と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの外径として第1外径を算出すると共に、前記第1ロールの1回転毎の前記第1外径の減少量からシート厚を算出し、その第1ロールの第1外径とシート厚とに基づきシート残量を算出する。前記貯留量調整ステップでは、この貯留量調整ステップに移行する直前の前記第1外径と前記算出されたシート厚と前記第1支持軸の回転数とに基づき前記第1ロールの外径として第2外径を算出し、その第1ロールの第2外径と前記シート厚とに基づきシート残量を算出する。
【0098】
上記のシート供給方法は、前記貯留量調整ステップと前記接ぎ処理ステップとの間において、前記第1ロールのシート残量が前記第1残量よりも少ない所定の第2残量となったときに、前記第1支持軸の回転を停止させる停止ステップを、更に含む構成であってもよい。
【0099】
以上説明した通り、本発明によれば、接ぎ機構による接ぎ処理に必要なシート量を貯留機構に貯留する間においても、シート残量を精緻に把握できるので、接ぎ処理後のシート残量を所定の目標残量に一致させることができるうえ、接ぎ機構による接ぎ処理の実行中におけるシートの供給に必要なシート量を確実に貯留することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8