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特許7084523臨床パラメータ計算シミュレーション監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】臨床パラメータ計算シミュレーション監視システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
A61M1/16 111
A61M1/16 120
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021039960
(22)【出願日】2021-03-12
(62)【分割の表示】P 2017558654の分割
【原出願日】2016-05-12
(65)【公開番号】P2021087887
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】62/160,689
(32)【優先日】2015-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508031922
【氏名又は名称】マクエット カルディオプルモナリー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドウェイン ケー. ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ポール エー. ニグローニ
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリー スコット アシュトン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0105642(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0100009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外循環システムの酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムであって、前記計算シミュレーション監視システムは、
心肺バイパス手技中に患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量を計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能であり、前記システムは、
患者入力パラメータ、灌流入力パラメータ、酸素送達入力パラメータ、酸素消費量入力パラメータ、および二酸化炭素産生入力パラメータから成る群から選択される1つまたはそれを上回る入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成されるインターフェースであって、前記インターフェースは、ユーザによる前記1つまたはそれを上回る入力パラメータのうちの少なくとも1つの手動入力のために構成される手動入力部分と、機械入力部分とを含む、インターフェースと、
前記心肺バイパス手技中の前記患者の状態に関する実際のデータを提供するようにデータを前記インターフェースの前記機械入力部分に入力するように動作可能に接続される複数のセンサであって、前記複数のセンサは、前記体外循環システムの人工肺から排出される二酸化炭素を測定するように配置されるCOセンサ、患者からの混合静脈血の酸素圧を測定するように配置される静脈血センサ、前記人工肺からの動脈血の酸素圧を測定するように配置される動脈血センサ、および前記人工肺を通って流動する換気ガスの流速を測定するように配置されるガス流量計を含む、複数のセンサと、
前記1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する前記受信されたデータ入力に対応して前記インターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続されるプロセッサであって、前記プロセッサは、前記1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算し、前記1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの患者形態値、少なくとも1つの血管流体値、少なくとも1つの酸素送達値、少なくとも1つの酸素消費量値、および少なくとも1つの二酸化炭素産生値から成る群から選択される、プロセッサと、
前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続されるモニタ表示アセンブリであって、前記モニタ表示アセンブリは、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含み、前記インターフェースはさらに、スナップショット機構を備え、アクティブ化されたときに、前記スナップショット機構は、前記インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入し、前記シミュレータポータルは、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値の前記プロセッサによる前記計算に先立って少なくとも1つの自動投入された値の手動修正を可能にし、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値は、前記少なくとも1つの予測転帰出力値を含む、モニタ表示アセンブリと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記患者入力パラメータは、患者の身長および前記患者の体重を含み、前記少なくとも1つの患者形態値は、前記患者の体表面積値を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記灌流入力パラメータは、患者の単位体重あたりの心臓バイパス前血液量、前記患者の心臓バイパス前ヘマトクリット、プライミング量、およびプライムオフ量を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記灌流入力パラメータはさらに、濃厚赤血球のヘマトクリット、濃厚赤血球注入の量、および新鮮凍結血漿注入および/または増量剤注入の量を含み、前記少なくとも1つの血管流体値は、心臓バイパス内ヘマトクリット値または心臓バイパス内ヘモグロビン値を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記酸素送達入力パラメータは、SaOおよびPaOを含み、前記酸素消費量入力パラメータは、SvOおよびPvOを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの酸素送達値は、心臓バイパスポンプ流量、前記SaO、および前記PaOの関数であり、少なくとも1つの酸素消費量値は、前記心臓バイパスポンプ流量、前記SvO、および前記PvOの関数であり、前記プロセッサはまた、酸素消費量(VO)に対する酸素送達(DO)の比、またはインデックス付き酸素消費量(VO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比、または両方の比を計算する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記二酸化炭素産生入力パラメータは、前記体外循環システムの前記人工肺を通した呼気COおよびスイープガス流量(Qs)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの二酸化炭素産生値は、前記体外循環システムの前記人工肺を通した前記呼気COおよび前記スイープガス流量(Qs)の関数であり、前記プロセッサはまた、二酸化炭素産生(VCO)に対する酸素送達(DO)の比、またはインデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比、または二酸化炭素産生(VCO)に対する酸素送達(DO)の前記比およびインデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の前記比の両方を計算する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記手動入力部分は、前記ユーザによる複数の入力パラメータの手動入力のために構成され、前記入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値はさらに、少なくとも1つの実際の出力値を含み、前記少なくとも1つの実際の出力値および前記少なくとも1つの予測転帰出力値は両方とも、前記ディスプレイ上に表示される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のセンサはさらに、患者に接続される体外血流回路上に配置される、ヘマトクリットセンサまたはヘモグロビンセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記体外循環システムは、人工心肺装置、最小体外循環システム、体外膜型酸素供給システム、またはポンプ支援型肺保護システムである、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には、心臓バイパス手術および同等物の間に使用され得るような患者監視システムの分野に関する。広義には、本開示は、複数の測定された変数の関数である、これらの臨床パラメータ等の複雑な臨床パラメータを計算、シミュレーション、および/または監視するために使用され得るような臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムに関する。例えば、本開示は、酸素送達および酸素消費量の計算、シミュレーション、および/または監視が所望される、心臓バイパス手術および同様の外科的および/または内科的状況の間に患者の酸素送達および酸素消費の計算、シミュレーション、および/または監視を促進する、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムに関する。本開示はまた、患者の灌流ステータスの計算、シミュレーション、および/または監視が要求される、心臓バイパス手術および同様の外科的および/または内科的状況の間に患者のヘマトクリットまたはヘモグロビン値の計算、シミュレーション、および/または監視を促進する、灌流計算シミュレーション監視システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
心臓切開手術は、20世紀の最も重要な医学的進歩のうちの1つと見なされ得、心肺バイパス法が、心臓切開手術の発展の鍵になっている。心肺バイパス法という用語は、天然心臓および肺の迂回が体外デバイスの使用により達成される、技術を説明する。患者の天然心臓および/または肺を迂回し、血液を送出して酸素化するための機械的手段を提供するために使用され得る、体外デバイスの実施例は、心肺バイパス機および体外膜型酸素供給(ECMO)機を含む。一体ハードシェルリザーバを伴う膜型人工肺を使用する、従来の心肺バイパス回路の実施例については、Cardiopulmonary Bypass: Principles and Practices, Third Edition, Glenn P. Gravlee et al. (編者) (2008年)の第5章の図1を参考にされたい。
【0003】
患者の心臓および肺の機能に取って代わるために心肺バイパス機を採用することは、患者の酸素消費必要性が心肺バイパス機によって提供される酸素送達によって満たされることを確実にするために、患者の灌流、酸素送達、および生理学的パラメータの一定の監視を要求する。心肺バイパス機が、十分な機械的灌流を患者に提供するように、および/または患者の酸素消費必要性を上回る酸素送達を提供するように、最適に動作されない場合には、増加した罹患率および死亡率が、患者の組織への不十分な酸素送達および嫌気的代謝に起因して、組織低酸素から生じ得る。
【0004】
科学的研究は、過剰な貧血または低い流量(すなわち、不十分な灌流)のいずれか、または両方に起因する、心肺バイパス法の間の不十分な酸素送達が、多くの場合、腎臓および消化器系を含む多臓器不全に起因する、術後合併症および増加した術後の手術による死亡率に関与することを確立している。これらの論文の精査については、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第US2006/0257283A1号を参考にされたい。ヘマトクリット%(HCT)、ヘモグロビン(g/dL)、動脈血酸素飽和度(%)、動脈血酸素圧(mmHg)等のある患者パラメータが、心肺バイパス法の間に測定され得るが、これらのパラメータに基づいて十分な酸素送達を維持するために講じられる術中対策にもかかわらず、不十分な酸素送達および組織低酸素が、血中乳酸値の術後の上昇したレベルから明白であるように、心肺バイパス手技中に依然として起こり得る。例えば、Marco Ranucci et al. ,Anaerobic Metabolism During Cardiopulmonary Bypass: Predictive Value of Carbon Dioxide Derived Parameters. 81 ANNUALS THORACIC SURGERY 2189-95 (2006年)を参照されたい。
【0005】
上昇した術後血中乳酸値は、低酸素に無関係の高乳酸塩血症(B型高乳酸塩血症)ではなく、心肺バイパス法の間に起こる組織低酸素(A型高乳酸塩血症)を反映し得る。しかしながら、血中乳酸値は、(低灌流および/または不十分な血液酸素化に起因するかどうかにかかわらず)心肺バイパス法の間に組織低酸素の十分な監視パラメータを提供しない。上昇した血中乳酸値は、正規化するために何時間もかかる組織低酸素の後期インジケータである。その結果として、上昇した血中乳酸値は、主に、組織低酸素がすでに起こっているときを識別するため、心肺バイパス手技中に血中乳酸値を監視することは、臨床医が術中組織低酸素からの術後合併症を回避することに役立たない場合がある。組織低酸素の後続の発現は、いったん高乳酸塩血症が存在すると認識することが困難である。したがって、血中乳酸値を監視することは、心肺バイパス手技中に不可逆的な組織損傷を防止することに役立たない場合がある。
【0006】
近年、組織低酸素に起因する上昇した乳酸値の最良の予測因子は、インデックス付き二酸化炭素排除(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比であると仮定されている。Ranucci et al., Anaerobic Metabolism During Cardiopulmonary Bypass: Predictive Value of Carbon Dioxide Derived Parameters. 81 ANNUALS THORACIC SURGERY 2193 (2006年)を参照されたい。しかしながら、本比は、いくつかの測定された変数から導出される複雑な計算であるため、その使用は、遡及的臨床転帰研究に限定されている。さらに、ユーザがそのような複雑な臨床予測因子を監視し、同時に、患者ケアを改善するように、手術室内の原位置シミュレーションを通して1つまたはそれを上回る複雑な臨床予測因子の最適化を促進することを可能にするであろう、システムが利用可能ではない。
【0007】
心肺バイパス手術および他の類似手術および/または内科外科集中治療設定の分野では、リアルタイムで十分な酸素送達および酸素消費量の複雑な計算されたインジケータを計算、シミュレーション、および監視して、より良好な臨床決定をあらかじめ行うために使用されることができる、システムおよび方法の必要性がある。より一般的には、内科および外科の分野では、患者転帰および生存の複雑なインジケータ、すなわち、患者の臨床的に関連するパラメータをリアルタイムで計算、シミュレーション、および監視するために使用されることができる、システムおよび方法の必要性があり、これらの臨床パラメータはそれぞれ、複数のデータ入力パラメータの複雑な関数を構成し、臨床医がより良好な臨床決定をあらかじめ行うことに役立てる際に有用である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Cardiopulmonary Bypass: Principles and Practices, Third Edition, Glenn P. Gravlee et al. (編者) (2008年)
【文献】Marco Ranucci et al. ,Anaerobic Metabolism During Cardiopulmonary Bypass: Predictive Value of Carbon Dioxide Derived Parameters. 81 ANNUALS THORACIC SURGERY 2189-95 (2006年)
【文献】Ranucci et al., Anaerobic Metabolism During Cardiopulmonary Bypass: Predictive Value of Carbon Dioxide Derived Parameters. 81 ANNUALS THORACIC SURGERY 2193 (2006年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によると、患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量を計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムの非限定的実施形態が提供され、本システムは、患者入力パラメータ、灌流入力パラメータ、酸素送達入力パラメータ、酸素消費量入力パラメータ、および二酸化炭素産生入力パラメータから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースと、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する受信されたデータ入力に対応してインターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、プロセッサは、1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算し、1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの患者形態値、少なくとも1つの血管流体値、少なくとも1つの酸素送達値、少なくとも1つの酸素消費量値、および少なくとも1つの二酸化炭素産生値から成る群から選択される、プロセッサと、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、モニタ表示アセンブリは、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、モニタ表示アセンブリとを含む。第1の非限定的システム実施形態の第2の非限定的実施形態によると、患者入力パラメータは、患者の身長および患者の体重を含み、少なくとも1つの患者形態値は、患者の体表面積値を含む。
【0010】
本システムの第3の非限定的実施形態によると、第1および第2の非限定的実施形態は、灌流入力パラメータが、患者の単位体重あたりの心臓バイパス前血液量、患者の心臓バイパス前ヘマトクリット、体外回路プライミング量、およびプライムオフ量を含むように修正される。本システムの第4の非限定的実施形態によると、第1、第2、および第3の非限定的実施形態は、灌流入力パラメータがさらに、濃厚赤血球のヘマトクリット、濃厚赤血球注入の量(RBC量)、および新鮮凍結血漿注入および/または増量剤注入の量を含み、少なくとも1つの血管流体値が、心臓バイパス内ヘマトクリット値または心臓バイパス内ヘモグロビン値を含むように修正される。本システムの第5の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、および第4の非限定的実施形態は、酸素送達入力パラメータが、SaOおよびPaOを含み、酸素消費量入力パラメータが、SvOおよびPvOを含むように修正される。本システムの第6の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、および第5の非限定的実施形態はさらに、少なくとも1つの酸素送達値が、心臓バイパスポンプ流量、SaO、およびPaOの関数であり、少なくとも1つの酸素消費量値が、心臓バイパスポンプ流量、SvO、およびPvOの関数であり、プロセッサがまた、酸素消費量(VO)に対する酸素送達(DO)の比、またはインデックス付き酸素消費量(VO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比、または両方の比を計算するように修正される。本システムの第7の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、および第6の非限定的実施形態は、二酸化炭素産生入力パラメータが、人工心肺装置の人工肺を通した呼気COおよびガス流量(Qs)を含むように修正される。本システムの第8の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、および第7の非限定的実施形態はさらに、少なくとも1つの二酸化炭素産生値が、人工心肺装置の人工肺を通した呼気COおよびガス流量(Qs)の関数であり、プロセッサがまた、二酸化炭素産生(VCO)に対する酸素送達(DO)の比、またはインデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比、または二酸化炭素産生(VCO)に対する酸素送達(DO)の比およびインデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比の両方を計算するように修正される。
【0011】
本システムの第9の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8の非限定的実施形態はさらに、インターフェースが、ユーザによる1つまたはそれを上回る入力パラメータのうちの少なくとも1つの手動入力のために構成される、手動入力部分と、1つまたはそれを上回るセンサからのセンサ導出入力を受信するように構成される、機械入力部分とを含むように修正される。本システムの第10の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、および第9の非限定的実施形態はさらに、手動入力部分が、ユーザによる複数の入力パラメータの手動入力のために構成されるように修正され、入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力である。本システムの第11の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、および第10の非限定的実施形態はさらに、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値が、少なくとも1つの実際の出力値と、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値とを含むように修正され、少なくとも1つの実際の出力値および少なくとも1つの予測転帰出力値は両方とも、ディスプレイ上に表示される。
【0012】
本システムの第12の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の非限定的実施形態はさらに、データをインターフェースのマシンインターフェース部分に入力するように動作可能に接続される、複数のセンサを含むように修正される。本システムの第13の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、および第12の非限定的実施形態はさらに、複数のセンサが、人工肺から排出される二酸化炭素を測定するように配置されるCOセンサ、患者からの混合静脈血の酸素圧を測定するように配置される静脈血センサ、人工肺からの動脈血の酸素圧を測定するように配置される動脈血センサ、および換気ガスの流速を測定するように配置されるガス流量計から成る群から独立して選択される、2つまたはそれを上回るセンサを含むように修正される。本システムの第14の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、および第13の非限定的実施形態は、複数のセンサがさらに、患者に接続される体外血流回路上に配置される、ヘマトクリットセンサまたはヘモグロビンセンサを含むように修正される。本開示の第15の非限定的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、および第14の非限定的実施形態は、複数のセンサが、データをインターフェースのマシンインターフェース部分に入力するように動作可能に接続されるように修正され、インターフェースはさらに、スナップショット機構を備え、アクティブ化されたスナップショット機構は、インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入し、シミュレータポータルは、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値のプロセッサによる計算に先立って、仮想データ入力をプロセッサに提供するよう、自動投入値のうちの少なくとも1つの手動修正を可能にする。
【0013】
本開示の第16の非限定的実施形態によると、患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量を計算、シミュレーション、および/または監視するための計算シミュレーション監視方法が提供され、本方法は、(a)データ入力を受信するように構成されるインターフェースを介してデータを入力するステップであって、入力されたデータは、患者入力パラメータ、灌流入力パラメータ、酸素送達入力パラメータ、酸素消費量入力パラメータ、および二酸化炭素産生入力パラメータから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する、ステップと、(b)1つまたはそれを上回る入力パラメータに対応してインターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサを使用して、1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算するステップであって、1つまたはそれを上回る出力値は、1つまたはそれを上回る患者形態値、1つまたはそれを上回る血管流体値、1つまたはそれを上回る酸素送達値、1つまたはそれを上回る酸素消費量値、および1つまたはそれを上回る二酸化炭素産生値から成る群から選択される、ステップと、(c)モニタ表示アセンブリを使用して、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値を表示するステップであって、モニタ表示アセンブリは、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、ステップとを含む。本開示の第17の非限定的実施形態によると、第16の非限定的実施形態は、インターフェースを介して入力される、あるデータが、インターフェースの手動インターフェース部分を介して手動で入力され、インターフェースを介して入力される、あるデータが、インターフェースのマシンインターフェース部分を介して入力される、センサ導出データであるように修正される。本開示の第18の非限定的実施形態によると、第16および第17の非限定的実施形態は、手動入力部分が、ユーザによる複数の入力パラメータの手動入力のために構成されるように修正され、入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力である。本開示の第19の非限定的実施形態によると、第16、第17、および第18の非限定的実施形態はさらに、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値が、両方ともディスプレイ上に表示される、少なくとも1つの実際の出力値と、少なくとも1つの予測転帰出力値とを含むように修正され、少なくとも1つの予測転帰出力値は、患者ケアの一部としてリアルタイムで行われる臨床シミュレーションに対応する。本開示の第20の非限定的実施形態によると、第16、第17、第18、および第19の非限定的実施形態はさらに、複数のセンサが、データをインターフェースのマシンインターフェース部分に入力するように動作可能に接続されるように、かつインターフェースがさらに、スナップショット機構を備え、本方法がさらに、スナップショット機構をアクティブ化し、インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入するステップと、仮想データ入力をプロセッサに提供するよう、自動投入値のうちの少なくとも1つを修正し、次いで、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を計算するためにプロセッサを採用するステップとを含むように修正される。
【0014】
本開示の第21の非限定的実施形態によると、患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量に関する、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する転帰パラメータを連続的に計算して表示するように動作可能である、酸素送達および消費量計算および監視システムが提供され、本システムは、複数のセンサから複数の入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースであって、複数の入力パラメータは、1つまたはそれを上回る灌流入力パラメータ、1つまたはそれを上回る酸素送達入力パラメータ、1つまたはそれを上回る酸素消費量入力パラメータ、および1つまたはそれを上回る二酸化炭素産生入力パラメータを含む、インターフェースと、複数の入力パラメータに関する受信されたデータ入力に対応してインターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、プロセッサは、複数の入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算し、1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの酸素送達値、少なくとも1つの酸素消費量値、および少なくとも1つの二酸化炭素産生値から成る群から選択される、プロセッサと、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、モニタ表示アセンブリは、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つの連続監視を可能にするように構成される、ディスプレイを含み、プロセッサによって計算され、ディスプレイ上で連続的に監視可能である、1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも計算された二酸化炭素産生値に対する計算された酸素送達値の比(DO2/VCO2またはDO2i/VCO2i)を含む、モニタ表示アセンブリとを含む。本開示の第22の非限定的実施形態によると、第21の非限定的実施形態は、モニタ表示アセンブリのディスプレイが、第1の色で各計算された出力値の正常値を表示するように、および第1の色と実質的に異なる第2の色で第1の逸脱範囲内の異常値を表示するように、および第1の色および第2の色と実質的に異なる第3の色で第2の逸脱範囲内の異常値を表示するように、プロセッサによって制御される、液晶ディスプレイを含むように修正される。
【0015】
本開示の第23の非限定的実施形態によると、患者の1つまたはそれを上回る臨床パラメータを計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムが提供され、これらの臨床パラメータはそれぞれ、複数のデータ入力パラメータの関数であり、本システムは、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースと、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する受信されたデータ入力に対応してインターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、プロセッサは、1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて1つまたはそれを上回る出力値を計算し、1つまたはそれを上回る出力値は、臨床的に関連する転帰パラメータに関する、プロセッサと、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、モニタ表示アセンブリは、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、モニタ表示アセンブリとを含む。本開示の第24の非限定的実施形態によると、第23の非限定的実施形態は、入力パラメータのうちのいくつかが、実際のデータ入力であり、入力パラメータのうちのいくつかが、仮想データ入力であり、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値が、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を含むように修正され、少なくとも1つの予測転帰出力値は、ディスプレイ上に表示される。本開示の第25の非限定的実施形態によると、第23および第24の非限定的実施形態はさらに、プロセッサがまた、少なくとも1つの実際の出力値が監視され、少なくとも1つの予測転帰値と比較され得るように、少なくとも1つの予測転帰出力値とともにディスプレイ上に同様に表示される、少なくとも1つの実際の出力値も計算するように修正される。本開示の第26の非限定的実施形態によると、第23、第24、および第25の非限定的実施形態はさらに、インターフェースが、手動インターフェース部分と、マシンインターフェース部分とを含み、インターフェースを介して入力される、あるデータが、手動インターフェース部分を介して手動で入力され、インターフェースを介して入力される、あるデータが、マシンインターフェース部分を介して1つまたはそれを上回るセンサから入力される、センサ導出データであるように修正される。本開示の第27の非限定的実施形態によると、第23、第24、第25、および第26の非限定的実施形態は、インターフェースが、手動インターフェース部分と、マシンインターフェース部分とを含み、インターフェースを介して入力される、あるデータが、手動インターフェース部分を介して手動で入力され、インターフェースを介して入力される、あるデータが、マシンインターフェース部分を介して1つまたはそれを上回るセンサから入力される、センサ導出データであり、インターフェースがさらに、スナップショット機構を備えるように、修正され、アクティブ化されたスナップショット機構は、インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入し、シミュレータポータルは、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値のプロセッサによる計算に先立って、仮想データ入力をプロセッサに提供するよう、自動投入値のうちの少なくとも1つの手動修正を可能にする。
【0016】
本開示の第28の非限定的実施形態によると、ヘモグロビン、またはヘマトクリット、またはヘモグロビンおよびヘマトクリットを含む、患者の灌流パラメータを計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、灌流計算シミュレーション監視システムが提供され、本システムは、患者入力パラメータおよび灌流入力パラメータから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースと、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する受信されたデータ入力に対応してインターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、プロセッサは、1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算し、1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの患者形態値および少なくとも1つの血管流体値から成る群から選択される、プロセッサと、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、モニタ表示アセンブリは、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、モニタ表示アセンブリとを含む。本開示の第29の非限定的実施形態によると、第28の非限定的実施形態は、入力パラメータのうちのいくつかが、実際のデータ入力であり、入力パラメータのうちのいくつかが、仮想データ入力であり、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値が、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を含むように、修正され、少なくとも1つの予測転帰出力値は、ディスプレイ上に表示される。本開示の第30の非限定的実施形態によると、第28および第29の非限定的実施形態はさらに、プロセッサがまた、少なくとも1つの実際の出力値が監視され、少なくとも1つの予測転帰値と比較され得るように、少なくとも1つの予測転帰出力値とともにディスプレイ上に同様に表示される、少なくとも1つの実際の出力値も計算するように修正される。本開示の第31の非限定的実施形態によると、第28、第29、および第30の非限定的実施形態はさらに、少なくとも1つの予測転帰出力値が、患者の心肺バイパス内ヘモグロビンまたはヘマトクリットであるように修正される。本開示の第32の非限定的実施形態によると、第28、第29、第30、および第31の非限定的実施形態は、インターフェースが、手動インターフェース部分と、マシンインターフェース部分とを含み、インターフェースを介して入力される、あるデータが、手動インターフェース部分を介して手動で入力され、インターフェースを介して入力される、あるデータが、マシンインターフェース部分を介して1つまたはそれを上回るセンサから入力される、センサ導出データであり、インターフェースがさらに、スナップショット機構を備えるように、修正され、アクティブ化されたスナップショット機構は、インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入し、シミュレータポータルは、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値のプロセッサによる計算に先立って、仮想データ入力をプロセッサに提供するよう、自動投入値のうちの少なくとも1つの手動修正を可能にする。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量を計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムであって、 患者入力パラメータ、灌流入力パラメータ、酸素送達入力パラメータ、酸素消費量入力パラメータ、および二酸化炭素産生入力パラメータから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースと、
前記1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する前記受信されたデータ入力に対応して前記インターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、前記プロセッサは、前記1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算し、前記1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの患者形態値、少なくとも1つの血管流体値、少なくとも1つの酸素送達値、少なくとも1つの酸素消費量値、および少なくとも1つの二酸化炭素産生値から成る群から選択される、プロセッサと、
前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、前記モニタ表示アセンブリは、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、モニタ表示アセンブリと、
を備える、システム。
(項目2)
前記患者入力パラメータは、患者の身長および前記患者の体重を含み、前記少なくとも1つの患者形態値は、前記患者の体表面積値を含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記灌流入力パラメータは、患者の単位体重あたりの心臓バイパス前血液量、前記患者の心臓バイパス前ヘマトクリット、プライミング量、およびプライムオフ量を含む、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記灌流入力パラメータはさらに、濃厚赤血球のヘマトクリット、濃厚赤血球注入の量、および新鮮凍結血漿注入および/または増量剤注入の量を含み、前記少なくとも1つの血管流体値は、心臓バイパス内ヘマトクリット値または心臓バイパス内ヘモグロビン値を含む、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記酸素送達入力パラメータは、SaOおよびPaOを含み、前記酸素消費量入力パラメータは、SvOおよびPvOを含む、項目1に記載のシステム。
(項目6)
少なくとも1つの酸素送達値は、心臓バイパスポンプ流量、前記SaO、および前記PaOの関数であり、少なくとも1つの酸素消費量値は、前記心臓バイパスポンプ流量、前記SvO、および前記PvOの関数であり、前記プロセッサはまた、酸素消費量(VO)に対する酸素送達(DO)の比、またはインデックス付き酸素消費量(VO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比、または両方の比を計算する、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記二酸化炭素産生入力パラメータは、人工心肺装置の人工肺を通した呼気COおよびスイープガス流量(Qs)を含む、項目1に記載のシステム。
(項目8)
少なくとも1つの二酸化炭素産生値は、前記人工心肺装置の前記人工肺を通した前記呼気COおよび前記スイープガス流量(Qs)の関数であり、前記プロセッサはまた、二酸化炭素産生(VCO)に対する酸素送達(DO)の比、またはインデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比、または二酸化炭素産生(VCO)に対する酸素送達(DO)の前記比およびインデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の前記比の両方を計算する、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記インターフェースは、ユーザによる前記1つまたはそれを上回る入力パラメータのうちの少なくとも1つの手動入力のために構成される、手動入力部分と、1つまたはそれを上回るセンサからのセンサ導出入力を受信するように構成される、機械入力部分とを含む、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記手動入力部分は、前記ユーザによる複数の入力パラメータの手動入力のために構成され、前記入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、前記入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力である、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの実際の出力値と、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値とを含み、前記少なくとも1つの実際の出力値および前記少なくとも1つの予測転帰出力値は両方とも、前記ディスプレイ上に表示される、項目10に記載のシステム。
(項目12)
データを前記インターフェースのマシンインターフェース部分に入力するように動作可能に接続される、複数のセンサをさらに備える、項目9に記載のシステム。
(項目13)
前記複数のセンサは、人工肺から排出される二酸化炭素を測定するように配置されるCOセンサ、患者からの混合静脈血の酸素圧を測定するように配置される静脈血センサ、前記人工肺からの動脈血の酸素圧を測定するように配置される動脈血センサ、および前記人工肺を通って流動する換気ガスの流速を測定するように配置されるガス流量計から成る群から独立して選択される、2つまたはそれを上回るセンサを含む、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記複数のセンサはさらに、患者に接続される体外血流回路上に配置される、ヘマトクリットセンサまたはヘモグロビンセンサを含む、項目13に記載のシステム。
(項目15)
データを前記インターフェースの前記マシンインターフェース部分に入力するように動作可能に接続される複数のセンサをさらに備え、前記インターフェースはさらに、スナップショット機構を備え、アクティブ化されたときに、前記スナップショット機構は、前記インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入し、前記シミュレータポータルは、前記臨床シミュレーションに対応する前記少なくとも1つの予測転帰出力値の前記プロセッサによる計算に先立って、仮想データ入力を前記プロセッサに提供するよう、前記自動投入値のうちの少なくとも1つの手動修正を可能にする、項目11に記載のシステム。
(項目16)
患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量を計算、シミュレーション、および/または監視するための計算シミュレーション監視方法であって、
データ入力を受信するように構成されるインターフェースを介してデータを入力するステップであって、前記入力されたデータは、患者入力パラメータ、灌流入力パラメータ、酸素送達入力パラメータ、酸素消費量入力パラメータ、および二酸化炭素産生入力パラメータから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する、ステップと、
前記1つまたはそれを上回る入力パラメータに対応して前記インターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサを使用して、前記1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算するステップであって、前記1つまたはそれを上回る出力値は、1つまたはそれを上回る患者形態値、1つまたはそれを上回る血管流体値、1つまたはそれを上回る酸素送達値、1つまたはそれを上回る酸素消費量値、および1つまたはそれを上回る二酸化炭素産生値から成る群から選択される、ステップと、
モニタ表示アセンブリを使用して、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値を表示するステップであって、前記モニタ表示アセンブリは、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、ステップと、
を含む、方法。
(項目17)
前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記インターフェースの手動インターフェース部分を介して手動で入力され、前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記インターフェースのマシンインターフェース部分を介して入力される、センサ導出データである、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記手動入力部分は、前記ユーザによる複数の入力パラメータの手動入力のために構成され、前記入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、前記入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力である、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値は、両方とも前記ディスプレイ上に表示される、少なくとも1つの実際の出力値と、少なくとも1つの予測転帰出力値とを含み、前記少なくとも1つの予測転帰出力値は、臨床シミュレーションに対応する、項目18に記載の方法。
(項目20)
複数のセンサは、データを前記インターフェースの前記マシンインターフェース部分に入力するように動作可能に接続され、前記インターフェースはさらに、スナップショット機構を備え、前記方法はさらに、
前記スナップショット機構をアクティブ化し、前記インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入するステップと、
仮想データ入力を前記プロセッサに提供するよう、前記自動投入値のうちの少なくとも1つを修正し、次いで、前記臨床シミュレーションに対応する前記少なくとも1つの予測転帰出力値を計算するために前記プロセッサを採用するステップと、
を含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量に関する、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する転帰パラメータを連続的に計算して表示するように動作可能である、酸素送達および消費量計算および監視システムであって、
複数のセンサから複数の入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースであって、前記複数の入力パラメータは、1つまたはそれを上回る灌流入力パラメータ、1つまたはそれを上回る酸素送達入力パラメータ、1つまたはそれを上回る酸素消費量入力パラメータ、および1つまたはそれを上回る二酸化炭素産生入力パラメータを含む、インターフェースと、
前記複数の入力パラメータに関する前記受信されたデータ入力に対応して前記インターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、前記プロセッサは、前記複数の入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算し、前記1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの酸素送達値、少なくとも1つの酸素消費量値、および少なくとも1つの二酸化炭素産生値から成る群から選択される、プロセッサと、
前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、前記モニタ表示アセンブリは、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つの連続監視を可能にするように構成される、ディスプレイを含み、前記プロセッサによって計算され、前記ディスプレイ上で連続的に監視可能である、前記1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも計算された二酸化炭素産生値に対する計算された酸素送達値の比(DO2/VCO2)を含む、モニタ表示アセンブリと、
を備える、システム。
(項目22)
前記モニタ表示アセンブリの前記ディスプレイは、第1の色で各計算された出力値の正常値を表示するように、および前記第1の色と実質的に異なる第2の色で第1の逸脱範囲内の異常値を表示するように、および前記第1の色および前記第2の色と実質的に異なる第3の色で第2の逸脱範囲内の異常値を表示するように、前記プロセッサによって制御される、液晶ディスプレイを含む、項目21に記載のシステム。
(項目23)
患者の1つまたはそれを上回る臨床パラメータを計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムであって、これらの臨床パラメータはそれぞれ、複数のデータ入力パラメータの関数であり、前記システムは、
複数の入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースと、
前記複数の入力パラメータに関する前記受信されたデータ入力に対応して前記インターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、前記プロセッサは、前記複数の入力パラメータに基づいて1つまたはそれを上回る出力値を計算し、前記1つまたはそれを上回る出力値は、臨床的に関連する転帰パラメータに関する、プロセッサと、
前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、前記モニタ表示アセンブリは、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、モニタ表示アセンブリと、
を備える、システム。
(項目24)
前記入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、前記入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力であり、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値は、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を含み、前記少なくとも1つの予測転帰出力値は、前記ディスプレイ上に表示される、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記プロセッサはまた、前記少なくとも1つの実際の出力値が監視され、前記少なくとも1つの予測転帰値と比較され得るように、前記少なくとも1つの予測転帰出力値とともに前記ディスプレイ上に同様に表示される、少なくとも1つの実際の出力値も計算する、項目24に記載のシステム。
(項目26)
前記インターフェースは、手動インターフェース部分と、マシンインターフェース部分とを含み、前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記手動インターフェース部分を介して手動で入力され、前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記マシンインターフェース部分を介して1つまたはそれを上回るセンサから入力される、センサ導出データである、項目24に記載のシステム。
(項目27)
前記インターフェースは、手動インターフェース部分と、マシンインターフェース部分とを含み、前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記手動インターフェース部分を介して手動で入力され、前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記マシンインターフェース部分を介して1つまたはそれを上回るセンサから入力される、センサ導出データであり、前記インターフェースはさらに、スナップショット機構を備え、アクティブ化されたときに、前記スナップショット機構は、前記インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入し、前記シミュレータポータルは、前記臨床シミュレーションに対応する前記少なくとも1つの予測転帰出力値の前記プロセッサによる計算に先立って、仮想データ入力を前記プロセッサに提供するよう、前記自動投入値のうちの少なくとも1つの手動修正を可能にする、項目25に記載のシステム。
(項目28)
ヘモグロビン、またはヘマトクリット、またはヘモグロビンおよびヘマトクリットを含む、患者の灌流パラメータを計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、灌流計算シミュレーション監視システムであって、
患者入力パラメータおよび灌流入力パラメータから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースと、
前記1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する前記受信されたデータ入力に対応して前記インターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、前記プロセッサは、前記1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算し、前記1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの患者形態値および少なくとも1つの血管流体値から成る群から選択される、プロセッサと、
前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、前記モニタ表示アセンブリは、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、モニタ表示アセンブリと、
を備える、システム。
(項目29)
前記入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、前記入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力であり、前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る出力値は、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を含み、前記少なくとも1つの予測転帰出力値は、前記ディスプレイ上に表示される、項目28に記載のシステム。
(項目30)
前記プロセッサはまた、前記少なくとも1つの実際の出力値が監視され、前記少なくとも1つの予測転帰値と比較され得るように、前記少なくとも1つの予測転帰出力値とともに前記ディスプレイ上に同様に表示される、少なくとも1つの実際の出力値も計算する、項目29に記載のシステム。
(項目31)
前記少なくとも1つの予測転帰出力値は、患者の心肺バイパス内ヘモグロビンまたはヘマトクリットである、項目28に記載のシステム。
(項目32)
前記インターフェースは、手動インターフェース部分と、マシンインターフェース部分とを含み、前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記手動インターフェース部分を介して手動で入力され、前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記マシンインターフェース部分を介して1つまたはそれを上回るセンサから入力される、センサ導出データであり、前記インターフェースはさらに、スナップショット機構を備え、アクティブ化されたときに、前記スナップショット機構は、前記インターフェースによって受信される複数の入力パラメータの値をシミュレータポータルの中へ自動投入し、前記シミュレータポータルは、前記臨床シミュレーションに対応する前記少なくとも1つの予測転帰出力値の前記プロセッサによる計算に先立って、仮想データ入力を前記プロセッサに提供するよう、前記自動投入値のうちの少なくとも1つの手動修正を可能にする、項目30に記載のシステム。
(項目33)
患者監視中に原位置で患者の1つまたはそれを上回る臨床的に関連するパラメータを計算、シミュレーション、および/または監視するための計算シミュレーション監視方法であって、これらの臨床的に関連するパラメータのうちの少なくとも1つは、複数のデータ入力パラメータの関数であり、前記方法は、
複数の入力パラメータのデータ入力を受信するように構成されるインターフェースを介してデータを入力するステップであって、前記インターフェースを介して入力される、あるデータは、前記インターフェースの手動インターフェース部分を介して手動で入力される、患者データであり、複数の患者監視センサは、前記インターフェースを介して入力される、あるデータが、前記マシンインターフェース部分を介して入力されるセンサ導出データであるように、データを前記インターフェースのマシンインターフェース部分に入力するように動作可能に接続され、前記インターフェースはさらに、スナップショット機構を備える、ステップと、
モニタ表示アセンブリ上に前記複数の入力パラメータの値を表示するステップであって、前記複数の入力パラメータは、前記手動で入力された患者データと、前記センサ導出入力データとを含む、ステップと、
前記スナップショット機構をアクティブ化し、前記複数の入力パラメータの表示された値をシミュレータポータルの中へ自動投入するステップと、
仮想データ入力をプロセッサに提供するよう、前記シミュレータポータルの前記自動投入値のうちの少なくとも1つを修正し、次いで、前記仮想データ入力に基づいて、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を計算するために前記プロセッサを採用するステップと、
前記モニタ表示アセンブリ上に前記プロセッサによって計算される前記少なくとも1つの予測転帰出力値を表示するステップと、
を含む、方法。
(項目34)
前記複数の入力パラメータを備える前記入力されたデータに基づいて、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する出力値を計算するステップであって、前記プロセッサは、前記1つまたはそれを上回る臨床的に関連する出力値の計算を行う、ステップと、
前記モニタ表示アセンブリ上に前記プロセッサによって計算される前記1つまたはそれを上回る臨床的に関連する出力値を表示するステップと、
をさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記少なくとも1つの予測転帰出力値に基づいて臨床介入を開始するステップをさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目36)
前記1つまたはそれを上回る臨床的に関連する出力値に基づいて臨床介入を開始するステップをさらに含む、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記臨床介入は、前記1つまたはそれを上回る臨床的に関連する転帰値および前記少なくとも1つの予測転帰値に基づいて開始される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記スナップショット機構は、体外循環バイパス手技中にアクティブ化され、前記体外循環バイパス手技は、心肺バイパス手技、体外膜型酸素供給手技、最小体外循環手技、ポンプ支援型肺保護手技、および透析手技から成る群から選択される、項目33に記載の方法。
(項目39)
前記スナップショット機構は、体外循環バイパス手技中にアクティブ化される、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記体外循環バイパス手技は、心肺バイパス手技である、項目39に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1Aは、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムを提供された心肺バイパスシステムの斜視図であり、図1Bは、本開示のある実施形態による、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムを提供された心肺バイパスシステムの概略図である。
図1B図1Aは、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムを提供された心肺バイパスシステムの斜視図であり、図1Bは、本開示のある実施形態による、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムを提供された心肺バイパスシステムの概略図である。
【0018】
図2図2は、本開示のある実施形態による、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムの概略図である。
【0019】
図3図3は、本開示のある実施形態による、種々の計算回路を備えるプロセッサに入力された入力パラメータ、およびこれらの回路の出力を図示する、概略データフロー図である。
【0020】
図4図4は、本開示のある実施形態による、患者臨床パラメータを監視し、仮想作用および転帰を実際の作用および転帰の結果と比較するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)ディスプレイの非限定的構成である。
【0021】
図5図5は、本開示のある実施形態による、患者の酸素送達および酸素消費量をシミュレーションするための方法のステップを示す、相互作用フロー図である。
【0022】
図6A図6Aは、本開示のある実施形態による、酸素送達および消費量監視システムの概略図であり、図6Bは、図6Aの実施形態による、酸素送達および消費量監視システムに対応するグラフィカルユーザインターフェースである。
図6B図6Aは、本開示のある実施形態による、酸素送達および消費量監視システムの概略図であり、図6Bは、図6Aの実施形態による、酸素送達および消費量監視システムに対応するグラフィカルユーザインターフェースである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示による種々の実施形態は、同様の部品が同様の参照番号によって指定される、図を参照して説明される。本明細書に説明される図面は、非限定的例証を構成する。
【0024】
図1Aおよび1Bに示されるように、体外循環システム10(人工心肺装置、または心臓バイパスシステム、または心肺バイパスシステムとも称され、広義には、心肺バイパス(CPB)システム、最小体外循環(MECC)システム、体外膜型酸素供給(ECMO)システム(呼吸器および心臓)、およびポンプ支援型肺保護(PALP)システムを含むと解釈されるべきである)は、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システム12、および静脈リザーバ14、血液ポンプ16、および人工肺18を含む。静脈リザーバ14、血液ポンプ16、および人工肺18は、患者の循環系の静脈側、例えば、大静脈および/または心臓Hの右心房の中に挿入された大静脈心房カニューレ20から抽出される静脈血が、管類22を介して静脈リザーバ14に流入し、そこから、血液ポンプ16を介して人工肺18の中に送出され、今や酸素化された血液が管類24を通って心臓Hの大動脈基部の中に挿入された動脈カニューレ26に流入する前に血液を酸素化するように、従来の様式でともに接続される。血液ポンプ16は、ローラポンプまたは遠心ポンプであってもよい。
【0025】
静脈血センサ28は、センサ入力(すなわち、SvO、PvO)を計算シミュレーション監視システム12に提供するように、管類22に接続されてもよい。動脈血センサ29は、センサ入力(すなわち、SaO、PaO)を計算シミュレーション監視システム12に提供するように、管類24に接続されてもよい。血液センサ28、29はそれぞれ、血液によって搬送される酸素の量に関する血液酸素化パラメータSaO、PaO等を測定する限り、単一のセンサとして、または複数のセンサとして構築されてもよい。流量計30は、血液ポンプ16から退出する血液の流速を測定するように、かつ血液流速データQpを計算シミュレーション監視システム12に入力するように、血液ポンプ16と人工肺18との間に提供されてもよい。血液ポンプ16がローラポンプである場合には、ローラポンプのRPMベースの流速測定システムが、流速データを計算シミュレーション監視システム12に入力してもよい、流量計30が、省略されてもよい、またはRPMベースの流速測定システムおよび流量計30が両方とも、二重流速測定能力を提供するように流速データを計算シミュレーション監視システム12に入力してもよい。
【0026】
COセンサまたはカプノグラフ32は、呼気中二酸化炭素(expCO)データが連続的に測定され、計算シミュレーション監視システム12に入力され得るように、人工肺18のガス逃散口に接続されてもよい。種々の好適なCOセンサ32が、市販されており、呼気中二酸化炭素(expCO)データをシステム12に提供するために採用されてもよい。そのような好適なCOセンサ32は、再利用可能であり得る。
【0027】
ヘマトクリット(HCT)センサ34は、管22および24を通した血流回路の静脈または動脈側に留置されてもよい。例えば、HCTセンサ34は、リザーバ14と血液ポンプ16との間または血液ポンプ16と人工肺18との間のいずれかにおいて静脈側に留置されてもよい、またはHCTセンサ34は、人工肺18の下流の動脈側に留置されてもよい。これに関連して、血流回路の静脈側は、大静脈心房カニューレ20、リザーバ14、血液ポンプ16、および管類22から流動する非酸素化血液を指し、血流回路の動脈側は、人工肺18、管類24、および動脈カテーテル26から流動する酸素化血液を指す。HCTセンサ34は、HCTデータを計算シミュレーション監視システム12に入力するように動作可能に接続される。CRIT-LINE(R)(HemaMetrics(Kaysville, UT))等の任意の好適な市販のHCTセンサが使用されてもよい。そのようなHCTセンサ34は、好ましくは、使い捨てである。
【0028】
代替案では、HCTセンサ34は、Hbデータを計算シミュレーション監視システム12に入力するように修正される、Masimo Radical-7 Pulse CO-Oximeter(Masimo Corporation(Irvine, CA))等の非侵襲ヘモグロビン(Hb)センサと置換されてもよい。当然ながら、HCTセンサ34およびHbセンサの両方の使用は、HCTデータおよびHbデータが両方とも計算シミュレーション監視システム12に連続的に入力されるように、本開示の範囲内に入る。
【0029】
図2を参照すると、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システム12は、手動インターフェース部分42と、マシンインターフェース部分44とを備える、インターフェース40を含む。インターフェース40は、患者の状態を示す出力値または仮想または計画臨床介入の転帰をシミュレーションする出力値の計算でデータを採用する、プロセッサ46にデータ入力を提供するように、動作可能に接続される。プロセッサ46は、プロセッサ46によって計算される出力値を表示するために使用される表示アセンブリ48、およびプロセッサ46によって計算される出力値および非出力値を記憶するために使用されるメモリアセンブリ50に接続される。メモリアセンブリ50は、RAMおよびROMコンポーネントの両方および/またはデータ記憶に好適な他のデバイスを含んでもよい。本開示のある実施形態によると、プロセッサ46は、一般的なコンピュータではない。対照的に、プロセッサ46は、計算シミュレーション監視システム12のより大型の電気システム内の特定の専用機能(すなわち、本明細書に説明されるもの等)を伴う組み込みシステムであってもよい。
【0030】
手動インターフェース部分42は、ユーザがデータを計算シミュレーション監視システム12に手動で入力し得るように構成される。例えば、患者に関する、あるデータは、行われる心肺バイパス手技に関する実質的に静的なデータである。そのような静的患者データの実施例は、心肺バイパス手技中に実質的に変化しないであろう、身長および体重等の患者形態学的データを含む。心肺バイパス手技の開始時の患者に関する、そのような静的データは、患者入力パラメータと称されてもよい。したがって、本開示によると、静的データは、内科的および/または外科的手技の前に、またはその開始時に収集されるデータを構成し、内科的および/または外科的手技の経過中に感知できるほど変化しないデータを構成する。
【0031】
ユーザがインターフェース40の手動インターフェース部分42を介して入力し得る、他の静的データは、患者の単位体重あたりの心臓バイパス前血液量および患者の心臓バイパス前ヘマトクリット等の灌流入力パラメータを含む。これらの灌流入力パラメータは、心肺バイパス手技の開始時の患者の初期状態に関する。例えば、ヘマトクリットは、心肺バイパス手技中に変化し得るが、手技の開始時のその初期値は、変化しない。その結果として、これは、ユーザが手動インターフェース部分42を介してシステム12に手動で入力し得る、データを構成する。
【0032】
手動インターフェース部分42を介して手動で入力され得る、他の灌流入力パラメータは、体外プライミング量およびプライムオフ量を含む。プライミング量は、管22および24および種々の安全特徴等に関するシステムのサブ回路に概して含まれる他の管等の心肺バイパスシステム10の管類をプライミングするために使用される、流体の量を構成する。プライミング量は、心肺バイパス手技の開始時に固定される静的データであり、いったん心肺バイパス手技が始まると変化しないパラメータである。プライムオフ量は、心肺バイパス手技の開始に先立って体外回路から回収される、そのプライミング流体の量を構成し、手技中に以降で変化しない、手技の開始時に設定される別のパラメータである。
【0033】
手動インターフェース部分42を介して手動で入力され得る、別の灌流入力パラメータは、濃厚赤血球の組織的ヘマトクリット(HCT)を含む。当技術分野で公知であるように、患者輸血のために種々の病院および同様の施設によって使用される濃厚赤血球のHCTは、施設によって変動する。心肺バイパス手技の開始時に、ユーザは、計算シミュレーション監視システム12用のデータ入力として使用するために、インターフェース40の手動インターフェース部分42を介して、特定の施設における濃厚赤血球のHCTに関する本データを手動で入力してもよい。
【0034】
ユーザはまた、手動インターフェース部分42を使用して、計算シミュレーション監視システム12用の動的データを入力することが可能であり得る。動的データは、心肺バイパス手技中に変化する変数に関する。動的データ変数の実施例は、心肺バイパス手技中に患者に輸血される濃厚赤血球および注入される他の入力流体の量、ポンプ流量Qp(l/分)、動脈酸素圧PaO(mmHg)、混合静脈血酸素飽和度SvO(%)、混合静脈酸素圧PvO(mmHg)、呼気中二酸化炭素expCO(mmHg)、および換気Qs(l/分)を含む。実際のPvOデータは、インラインで、または離散血液ガスサンプリングを用いて、測定されてもよい。好ましくは、連続様式で直接測定され、および/または連続様式で直接測定される1つまたはそれを上回る変数から計算され得る、そのような動的データ変数に関するデータ入力は、動的データを生成する責任があるセンサおよび/またはプロセッサからマシンインターフェース部分44に入力される。しかしながら、手動インターフェース部分42は、計算シミュレーション監視システム12に接続されたセンサおよびプロセッサによって収集されるデータと相関する目的のために、ユーザが、マシンインターフェース部分44を介した本別様の自動データ流を二次ソース(例えば、病院検査室)から収集されるデータで補完することを可能にする。加えて、動的データの値を手動で入力する能力をユーザに提供することは、リアルタイムシミュレーションを行うため、および/または心肺バイパス手技中、または他の外科的手技中、または心肺バイパス技術を伴う他の救命救急状況中の「仮説の場合」のシナリオを試験するために、ユーザが動的データの仮想値および/または推定値を入力すること、および/または推測値を入力することを可能にする。
【0035】
インターフェース40のマシンインターフェース部分44は、心肺バイパス手技中に患者の状態の予測インジケータの値を計算、シミュレーション、および/または監視するために使用されるデータを生成する、種々のセンサおよび/またはプロセッサからデータを受信するように動作可能に接続される。例えば、図1Bおよび2から明白であるように、静脈血センサ28は、混合静脈酸素圧PvOデータおよび/または混合静脈血酸素飽和度SvOデータのために、連続データ入力をマシンインターフェース部分44に提供するように動作可能に接続される。HCTセンサ34は、連続HCTデータ入力をマシンインターフェース部分44に提供するように動作可能に接続される。随意に、HCTセンサ34に加えて、またはその代替として、Hbセンサが、連続Hbデータ入力をマシンインターフェース部分44に提供するように動作可能に接続されてもよい。血液ポンプが遠心ポンプであるときには、流量計30が提供され、連続ポンプ流量Qpデータ入力をマシンインターフェース部分44に提供するように動作可能に接続される。血液ポンプがローラポンプであるときには、血液ポンプが遠心ポンプであるときと同様に、流量計30が依然として使用されてもよい、または流量計30が省略されてもよく、ポンプ流量Qpデータが、ローラポンプアセンブリと一体であるRPMベースの流速測定システムから、または外部流量プローブを介して、マシンインターフェース部分44に連続的に入力されてもよい。
【0036】
図1Bおよび2から明白であるように、COセンサ32は、連続expCOデータ入力を提供するよう、マシンインターフェース部分44に動作可能に接続されてもよい。種々のセンサ28、32、および34、および流量計30は、連続データ入力を計算シミュレーション監視システム12に提供するためにマシンインターフェース部分44に動作可能に接続され得る、センサおよび同様のデバイスの非限定的実施例にすぎない。例えば、体外循環システム10は、血中乳酸値が連続的に監視され、表示アセンブリ48によって表示されるように、比較目的のためにデータ入力をプロセッサ46に提供する、インラインセンサ(図示せず)を提供され得る。
【0037】
図3は、以下で説明されるように、種々の計算および仮想シミュレーションを行う、計算シミュレーション監視システム12のプロセッサ46の種々の構成要素を図示する。プロセッサ46は、BSA計算回路52(「BSA回路」)と、流体計算回路54(「流体回路」)と、酸素送達/酸素消費量および呼気CO計算回路56(「酸素/CO回路」)とを含む。これに関連して、これらの回路はそれぞれ、物理的に別個の回路を構成してもよい、またはそれらは、全体的または部分的に、回路52、54、および56を相互と区別するようにプログラミングコードに依拠して、それらの回路構成要素を共有および/または重複してもよい。
【0038】
BSA回路52は、手動インターフェース部分42から患者の身長および体重データ入力を受信し、次いで、本データに基づいて患者の体表面積(BSA)を計算するように動作する。BSAは、BSAのための既知の方程式のうちの1つ、すなわち、デュボア方程式、またはボイド方程式、またはモステラー方程式のいずれかを使用して、計算される。好ましくは、BSA回路52は、手動インターフェース部分42を介してユーザによって選択される、これらの方程式のうちの1つに基づいて、BSAの計算を選択的に実施するようにプログラムされる。3つの方程式は、以下のように下記に列挙される。
(1)デュボア:BSA(m)=0.007184×身長(cm)0.725×体重(kg)0.425
(2)ボイド:BSA(m)=0.0003207×身長(cm)0.3×
[体重(kg)×1,000]0.7285-0.0188log[体重(kg)×1,000]
(3)モステラー:BSA(m)=([身長(cm)×体重(kg)]1/2)/60
【0039】
BSA回路52は、好ましくは、上記で説明されるBSA方程式を採用するが、BSA回路52は、BSAを計算するための任意の有効な数学的モデルを採用してもよい。BSA回路52は、酸素/CO2回路56による計算で使用するために、計算されたBSAを酸素/CO回路56に出力する。計算されたBSAはまた、表示するために表示アセンブリ48に出力されてもよい。
【0040】
流体回路54は、複数のデータ入力を受信し、これらの複数のデータ入力に基づいて心肺バイパス内(CPB内)Hb(g/dl)を計算するようにプログラムされる。流体回路54によって行われる計算は、心肺バイパス法の間に患者に注入される流体および輸血される血液製剤に照らして、または心肺バイパス法の間に患者にそれぞれ注入および輸血されることが考慮される流体および血液製剤に照らして、どのように患者のヘモグロビンが変化したか、または変化するべきかに関する貴重な情報を提供する。
【0041】
より具体的には、流体回路54は、患者の体重および患者の単位体重(kg)あたりの心肺バイパス前(CPB前)血液量(ml)等の手動ユーザインターフェース42から入力されるデータを受信する。患者のCPB前血液量は、それ自体が、以下の式を使用して判定され得る、計算された値である。
(4)CPB前血液量(ml)=[血液量(ml)/単位体重(kg)]×体重(kg)
血液量/単位体重は、(ml/kg)という単位を有し、特定の患者の体重に対する血液量の仮定比である。例えば、正常な成人は、70ml/kgの血液量/単位体重比を有するが、本比は、鬱血性心不全等のある病状とともに変化し得る。例えば、Robert K. Funkhouser et al. ,Change in Relationship of Blood Volume to Weight in Congestive Heart Failure, 16 CIRCULATION 548-557 (1957年)を参照されたい。患者が小児患者である場合、85ml/kgの血液量/単位体重比が、成人に採用される血液量/単位体重比の代わりに採用され得る。CPB前血液量は、好ましくは、体重に対する血液量の仮定比に基づいて計算されるが、患者の身長および体重の両方を採用するこれらの方法および患者のBSAを採用するこれらの方法等のCPB前血液量を推定するための他の一般的に容認されている計算を採用することも、本開示の範囲内である。さらに、成人の70ml/kgおよび小児患者の85ml/kg以外の他の血液量/単位体重比を採用することも、本開示の範囲内である。
【0042】
患者の心肺バイパス前HCT(%)は、手動インターフェース部分42を介して流体回路54に入力される、測定値である。患者のCPB前HCTは、心肺バイパス手技の開始に先立った患者のHCTの測定値を構成する。流体回路54によって計算される、流体計算に関する他のデータ入力は、プライミング量(ml)およびプライムオフ量(ml)を含む。プライミング量は、循環空間のこの新しい延在部から空気を変位させるための心肺バイパス(CPB)システム10の管22、24等の体外血液回路に追加される流体の量である。プライミング量は、CPBシステム10のアクティブ化に応じて、空気塞栓症を誘発することなく、十分な血液流速の急速な達成を確実にするために必要である。プライムオフ量は、ある場合には、プライミング溶液との患者の血液の混合を伴って心肺バイパス法が開始される前に、灌流技師によって体外血液回路から回収される、プライミング溶液の量である。プライミング溶液を回収することは、心肺バイパス法の間に患者によって受けられる血液希釈の量を低減させることに役立つ。プライミング量およびプライムオフ量は、概して、CPBシステム10を動作させる灌流技師によって判定されるため、プライミング量およびプライムオフ量は、流体回路54によって使用するために手動インターフェース部分42を介して手動で入力されなければならない、静的データを構成する。
【0043】
心肺バイパス手技が行われる施設のための濃厚赤血球(pRBC)のHCTは、流体回路54によって使用するために手動インターフェース部分42を介して手動で入力される。pRBC HCTは、pRBC輸血を提供する各施設によって判定される、静的データを構成する。
【0044】
CPB手技中に手動インターフェース部分42を介してユーザによって入力される必要があり得る、2つの動的データパラメータは、心肺バイパス手技中に輸血されるpRBCの量(ml)および心肺バイパス手技中に患者に注入される他の流体の量(ml)である。CPB手技中に患者に注入され得、計算されたCPB内HbおよびHCT結果に影響を及ぼし得る、pRBC以外の他の流体の実施例は、新鮮凍結血漿等の他の血液製剤、および乳酸リンゲル液、生理食塩水(NS)、D5W、D5W NS、D5Wおよび1/2NS等を含むが、それらに限定されない、晶質液等の増量剤を含む。
【0045】
これらの入力に照らして、流体回路54は、CPB内Hbを計算し、本計算されたHb値は、その回路の計算で使用するために酸素/CO回路56に入力されてもよい。加えて、流体回路54によって提供される、計算されたHb値は、出力され、表示アセンブリ48によって表示されてもよい。流体回路54は、CPB内HbがCPB内HCTの3分の1であるという関係を使用して、CPB内HCT(%)からCPB内Hbを計算する。本近似値は、計算されたHb値の実施形態で採用されるが、本開示によると、HCT値をHb値に変換するための他の有効な関係および/または表が使用されてもよい。
【0046】
CPB内HCT(%)は、以下の式によって計算される。
(5)CPB内HCT(%)=
[CPB内RBC細胞量(ml)/[CPB内血液量(ml)]×100
CPB内RBC細胞量(ml)は、CPB手術中の任意の実質的な血液細胞損失を差し引いた、CPB前RBC細胞量(ml)および輸血RBC細胞量(ml)の合計である。CPB前RBC細胞量は、以下の式から判定される。
(6)CPB前RBC細胞量(ml)=
[CPB前血液量(ml)]×[CPB前HCT(%)]
輸血RBC細胞量(ml)は、単純に、その時点まで心肺バイパス手技中に患者に輸血されているpRBCの総量、およびpRBCのHCT(%)の積である。
【0047】
換言すると、輸血RBC細胞量(ml)は、以下の式によって表される。
(7)輸血RBC細胞量(ml)=
[輸血される全pRBC量(ml)]×[pRBC HCT(%)]
血液損失細胞量は、[推定される全血液損失(ml)]×[CPB前HCT(%)]の積によって推定され得る。心肺バイパス手術中の外科的血液損失を考慮することは、本開示のある実施形態によると、随意である。さらに、CPB内細胞量は、以下の合計によって判定され得る。
(8)CPB内細胞量(ml)=CPB前RBC細胞量(ml)+輸血RBC細胞量(ml)-血液損失細胞量(ml)
【0048】
心肺バイパス手技中の任意の時点におけるCPB内血液量(ml)は、以下の式によって判定される。
(9)CPB内血液量(ml)=CPB前血液量(ml)+輸血される全pRBC量(ml)+注入される全流体量(ml)+プライミング量(ml)-プライムオフ量(ml)-推定外科的血液損失
輸血される全pRBC量および注入される全流体量に関する量は、CPB内血液量が計算される、心肺バイパス手技中の時点まで判定される総量である。同様に、推定外科的血液損失量は、CPB内血液量が計算される、心肺バイパス手技中の時点まで判定される量である。本開示のある実施形態によると、CPB内血液量は、推定外科的血液損失を考慮することなく計算されてもよい。上記で議論されるように、注入される全流体量は、新鮮凍結血漿等のpRBC以外の流体、および乳酸リンゲル液、生理食塩水(NS)、D5W、D5W NS、D5Wおよび1/2NSを含むが、それらに限定されない、晶質液に関する。
【0049】
したがって、測定値および/または測定値から判定される計算された値から、患者のCPB内HCT(%)および患者のCPB内Hb(g/dl)が計算されてもよい。これらの計算された結果は、プロセッサ46によって、表示のために表示アセンブリ48に、かつ記憶および以降の使用および/または照会のためにメモリアセンブリ50に出力されてもよい。本開示のある実施形態によると、計算シミュレーション監視システムは、計算シミュレーション監視システム12のサブアセンブリ、すなわち、灌流計算機として特徴付けられ得る、BSA計算回路52および流体計算回路54に限定され得る。灌流計算機は、CPB内HCT、および/またはCPB内Hb、および/または患者のBSAに関する、計算された値を表示アセンブリ48に直接出力してもよい。したがって、本開示のある実施形態によると、灌流計算機は、酸素/CO回路56を伴わない独立型モジュールを構成し、ヘモグロビン、またはヘマトクリット、またはヘモグロビンおよびヘマトクリットを含む、患者の灌流パラメータを計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、灌流計算シミュレーション監視システムを構成する。
【0050】
本開示のある実施形態によると、灌流計算機は、患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量を計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システム12を形成するように、酸素/CO回路56と統合される。本実施形態では、流体回路54は、付加的計算で使用するために、酸素/CO回路56への入力としてCPB内Hb(g/dl)の計算された値を出力する。
【0051】
計算シミュレーション監視システム12は、酸素/CO回路56に入力されるCPB内Hb(g/dl)の値の2つのソース、すなわち、流体回路54によって提供される計算された値と、HCTセンサ34またはHbセンサによって提供される、および/またはそこから導出される値とを有することを理解されたい。これに関連して、HCTセンサまたはHbセンサによって提供される、および/またはそこから導出される値は、センサ導出値と称され得る。実施形態では、計算シミュレーション監視システム12は、流体計算回路54とHCTセンサ34(またはHbセンサ)との間のCPB内Hbに関する入力を選択的に切り替えるために使用される、Hbソースセレクタスイッチを提供されてもよい。計算シミュレーション監視システム12の別の実施形態では、流体計算回路54およびHCTセンサ/Hbセンサ34は両方とも、HCTおよび/またはHbデータ入力を酸素/CO回路56の中へ提供し、酸素/CO回路56が、ユーザ制御入力に基づいて、いずれのHCTおよび/またはHbデータ入力のソースが酸素/CO回路56によって行われる計算で使用されるかを決定する。
【0052】
CPB内Hb値のこれらの二重ソースを有することの利点は、以下の通りである。第1に、センサ導出Hb値は、より直接、測定値に基づいて、患者のヘモグロビンおよびHCT値の連続監視を提供するために使用され得る。第2に、流体回路54によって提供される計算されたHb値は、実際および/または予備入力および出力に基づく、予測ヘモグロビンおよびHCT値に関する。その結果として、プロセッサ46は、センサ導出Hbおよび/またはHCT値を、流体回路54によって計算されるこれらの理論的な実際のHbおよび/またはHCT値と比較して相関させる、統計回路60を提供され得る。相関が所定の閾値を下回り、それによって、乏しい相関を示す場合には、プロセッサ46は、表示アセンブリ48によって表示される警告を出力し得る。一実施形態では、表示アセンブリ48は、灌流技師、看護師、または医師等のシステム12のユーザによる目視比較のために、流体回路54によって計算されるHbおよび/またはHCT値とともにセンサ導出Hbおよび/またはHCTを表示する。別の実施形態では、相関係数rおよび/または決定係数r等の統計相関値もまた、相関値が所定の閾値を下回るときに、表示された視覚警告を伴って、または伴わずに、センサ34から、および流体回路54から導出されるHbおよび/またはHCT値とともに表示される。相関値がHbおよび/またはHCTのセンサ導出値と流体回路導出値との間の乏しい相関を示すとき、これは、患者の組織の中への流体の第3の間隔および/または乏しい相関を引き起こしている潜血損失等の別様に検出されていない問題に対して医療チームに警告し得る。
【0053】
CPB内Hbおよび/またはHCTの値の二重ソースを有することの別の利益は、治療介入を実装することに先立って、最善策を予測するように仮定として計画介入を試験するオプションである。例えば、灌流技師は、心肺バイパス手技中の特定の時点までの実際の全pRBC輸血量および実際の全流体注入量のデータ入力に基づいて、本予測CPB内Hbおよび/またはHCTを算出するために、計算シミュレーション監視システム12を採用してもよい。一方で、灌流技師は、輸血、流体ボーラス注入、および/または心臓ポンプ速度の変化等の特定の治療介入が導入された場合に、予測Hbおよび/またはHCT値がどのようになるであろうかを確認するように、仮想全pRBC輸血量および/または仮想全流体量を表すデータ入力を入力してもよい。
【0054】
例えば、心肺バイパス手技中の時間T(例えば、図4の例証的実施例、時間T=17:49を参照)において、患者は、500mlのpRBC全輸血および250mlの流体を受容している場合があり、9.1のセンサ測定Hbおよび/または27.3のHCTに容認可能に相関する、9.1の計算されたHbおよび/または27.3の計算されたHCTを有する。外科チームは、pRBCの別の輸血を患者に与えることを考慮し得、2単位(500ml)のpRBCで患者に輸血することと比較して、1単位(250ml)のpRBCが輸血されるかどうかに応じて、Hbおよび/またはHCTの予測される変化、おそらく、可変流速における導出された送達酸素(DO2)またはインデックス付き送達酸素(DO2i)への転帰または影響も把握することを所望する。システム12のユーザは、流体回路54が第1のシミュレーションされたHbおよび/またはHCT値(例えば、図4のSCNR#4参照)を算出し得るように、750mlの仮想pRBC全輸血量および250mlの実際の全流体注入量を含む、仮想データセットを入力するために手動インターフェース部分42を使用してもよい。次いで、システム12のユーザは、流体回路54が第2のシミュレーションされたHbおよび/またはHCT値を算出し得るように、1000mlの仮想pRBC全輸血量および250mlの実際の全流体注入量を含む、別の仮想データセットを入力するために手動インターフェース部分42を使用してもよい。これら2つのシミュレーションされた値は、いずれのpRBCの量が、pRBC輸血の危険性を最小限にしながら臨床目標を達成することを予測されるかに関して、臨床決定を促進するために、ユーザが計算された結果を比較し得るように、流体回路54によって表示アセンブリ48に出力される。流体回路54はまた、記憶および以降の参考のために、これら2つのシミュレーションされた値をメモリアセンブリ50に出力してもよく、手動インターフェース部分42を介して入力されるデータ入力は、同様に、以降の参考のために、メモリアセンブリ50によって記憶されてもよい。
【0055】
シミュレーションされた計算は、pRBC輸血に限定されない。例えば、心肺バイパス手技中に、外科チームは、500mlのpRBC全輸血および250mlの流体をすでに受容している、上記で説明される患者の血圧を維持するように、1000mlの乳酸リンゲル液の注入を考慮し得る。システム12のユーザは、流体回路54が、シミュレーションとして、対応する予測Hbおよび/またはHCTを計算するために使用するであろう、計画注入に対応する仮想データ、すなわち、1250mlの仮想全流体注入量および500mlの実際の全pRBC輸血量を入力するために、手動インターフェース部分42を使用してもよい。そのような介入が患者のHbおよび/またはHCTを容認不可能なほどに低い値(例えば、8.3g/dlを下回るHbおよび/または25%を下回るHCT)まで希釈するであろうことを外科チームが決定する場合には、外科チームは、1000mlの乳酸リンゲル液の最初に考慮された注入の代わりに、pRBCの250ml輸血および750mlの流体の両方を与えるように介入することを考慮し得る。この場合、本システムのユーザは、輸血および注入の両方を含む代替的介入に対応する仮想データを入力するために手動インターフェース部分42を使用するであろうため、入力された値は、1,000mlの仮想全注入量および750mlの仮想全pRBC輸血量を含むであろう。次いで、流体回路54は、本代替的臨床介入に対応する、シミュレーションされたHbおよび/またはHCT値を算出するであろう。
【0056】
本開示のある実施形態によると、表示アセンブリ48は、それらの対応するデータ入力とともに、少なくとも2つのシミュレーションされたHbおよび/またはHCT値を表示するように構成される。本開示の別の実施形態によると、表示アセンブリ48は、それらの対応するデータ入力とともに、少なくともいくつかのシミュレーションされたHbおよび/またはHCT値を表示するように構成される。
【0057】
図3に示されるように、酸素/CO回路56は、流体回路54からの入力として、計算されたCPB内Hbを受信してもよく、また、HCTセンサ34またはHbセンサによって提供されるセンサ導出Hbおよび/またはHCT測定を受信してもよい。一実施形態では、酸素/CO回路56は、センサ導出Hbおよび/またはHCT値を、流体回路54によって計算されるこれらのHbおよび/またはHCT値と比較して相関させる、統計回路60を含む。一実施形態では、酸素/CO回路56は、酸素送達および/または酸素消費量および/または呼気二酸化炭素に関する計算された値に関して、そのさらなる計算でセンサ導出Hb値のみを採用する。一実施形態では、酸素/CO回路56は、酸素送達および/または酸素消費量および/または呼気二酸化炭素に関する計算された値に関して、そのさらなる計算で、流体回路54によって計算されるHb値のみを採用する。一実施形態では、酸素/CO回路56は、酸素送達および/または酸素消費量および/または呼気二酸化炭素に関する1つまたはそれを上回る計算された値に関して、そのさらなる計算で、流体回路54によって計算されるセンサ導出Hb値およびHb値の両方を採用し、Hbデータ入力のソースが、流体計算回路54からの計算されたHbデータ入力と、HCTまたはHbセンサ34からのセンサ導出Hbデータ入力との間で切り替えられ得るように、仮想Hb値であるか、または実際の測定されたHb値であるかどうかに応じて、手動インターフェース部分42から作動可能なHbソースセレクタスイッチが提供される。
【0058】
酸素/CO回路56は、患者への酸素送達、患者による酸素消費量、および/または患者による二酸化炭素産生に関する値を計算するために、センサ導出されるか、または流体回路54によって計算されるかにかかわらず、CPB内Hbを採用する。図3に示されるように、酸素/CO回路56は、ローラポンプまたは遠心ポンプのいずれかが使用されるときに流量計30によって、またはローラポンプが使用されるときにローラポンプのRPMベースの流速測定システムによってのいずれかにおいて提供される、血液ポンプ16の動脈ポンプ流量Qp(L/分)に関する付加的データ入力を受信する。酸素/CO回路56はまた、人工心肺装置10に戻る静脈血中の溶解酸素の分圧の尺度である、混合静脈酸素圧PvO(mmHg)に関する入力データを提供する、静脈血センサ28から入力を受信する。酸素/CO回路56はまた、人工肺18からの排出ガス中に存在する呼気/呼気中二酸化炭素(expCO)に関する入力データを提供する、COセンサまたはカプノグラフ32から入力を受信する。
【0059】
酸素/CO回路56は、以下の式に基づいて、心肺バイパス法の間の患者への酸素送達(DO2、ml/分)を計算するように構築および/またはプログラムされる。
(10)DO2(ml/分)=Qp(L/分)×CaO2(ml/dl)×10(dl/L)
CaO2は、以下の式によって定義される動脈酸素含有量(ml/dl)である。
(11)CaO2(ml/dl)=
Hb(g/dl)×1.34(mlO/gHb)×SaO(%)+PaO(mmHg)×0.003(mlO/dl・mmHg)
したがって、心肺バイパス法の間の酸素送達の計算は、Hbセンサを使用して測定され得る、またはHCTセンサ34からの測定されたHCTから導出され得る、または流体回路54によって計算され得る、手技中の患者のヘモグロビンレベルに依存する。SaOは、心肺バイパス手技中に約99~100%である、動脈Hb酸素飽和度(%)である。実施形態では、動脈Hb酸素飽和度が99~100%であることを仮定する代わりに、心肺バイパスシステム10の動脈側は、動脈血センサ29の一部であり得、SaO(%)データを酸素/CO回路56に入力する、酸素飽和度センサを提供される。
【0060】
実施形態では、動脈血センサ29は、少なくとも動脈酸素圧PaO(mmHg)を測定し、測定されたPaOデータを酸素/CO回路56に入力する。実施形態では、動脈血センサ29は、動脈酸素圧PaO(mmHg)および動脈SaOを測定し、測定されたPaOデータおよび測定されたSaOを酸素/CO回路56に入力する、センサ構成要素を含む。実施形態では、静脈血センサ28は、少なくとも混合静脈酸素圧PvO(mmHg)を測定し、測定されたPvOデータを酸素/CO回路56に入力する。実施形態では、静脈血センサ28は、静脈酸素圧PvO(mmHg)および静脈Hb酸素飽和度(SvO、%)を測定し、測定されたPvOデータおよび測定されたSvOを酸素/CO回路56に入力する、センサ構成要素を含む。実施形態では、溶解酸素を表すPvOが、上記の方程式(11)の中のCaO2の場合に類似する静脈酸素含有量CvO2(ml/dl)の微量成分を構成するため、静脈血センサ28は、PvOではなくSvOを測定する。次いで、溶解静脈酸素は、患者が重度に貧血になるこれらの場合を除いて、無視され得る。
【0061】
したがって、患者への酸素送達(DO2、ml/分)は、センサ導出データである、動脈ポンプ流量Qp、動脈Hb酸素飽和度SaO、および動脈酸素圧PaOを含む、動的データから、およびセンサ導出データまたは流体回路54によって計算される値であり得る、CPB内Hbから、酸素/CO回路56によって計算される。酸素/CO回路56は、患者のBSAにインデックスを付けられる、インデックス付き酸素送達(DO2i、ml/分/m)を計算してもよい。換言すると、酸素/CO回路56は、計算された酸素送達DO2(ml/分)を、BSA回路52によって計算される患者のBSAで除算してもよく、計算されたBSAは、インデックス付き酸素送達(DO2i)値を生成するように、BSA回路52から酸素/CO回路56に入力されている。次いで、酸素/CO回路56は、自動および連続表示および/または自動および断続的表示のために、計算された酸素送達DO2および/または計算されたインデックス付き酸素送達DO2iを表示アセンブリ48に出力する。同様に、動脈ポンプ流量Qp、動脈Hb酸素飽和度SaO、動脈酸素圧PaO、およびCPB内Hbの値は、連続または断続的表示のために、表示アセンブリ48に伝送されてもよい。本開示のある実施形態によると、動脈ポンプ流量Qp、動脈Hb酸素飽和度SaO、動脈酸素圧PaO、CPB内Hb、計算された酸素送達DO2、および計算されたインデックス付き酸素送達DO2iの値は、記憶および将来の参照のために、メモリアセンブリ50に伝送される。
【0062】
本開示の目的のために、パラメータは、患者のBSAによって加重されたパラメータを表すときに「インデックス付き」と言われる。例えば、インデックス付き酸素送達DO2iは、BSAで除算された酸素送達DO2に等しい(すなわち、DO2i=DO2/BSA)。別の実施例として、インデックス付き酸素消費量VO2iは、BSAで除算された酸素消費量VO2に等しい(すなわち、VO2i=VO2/BSA)等である。
【0063】
酸素/CO回路56はまた、以下の式に基づいて、心肺バイパス法の間の患者酸素消費量(VO2、ml/分)を計算するように構築および/またはプログラムされる。
(12)VO2(ml/分)=Qp(L/分)×[CaO2(ml/dl)-CvO2(ml/dl)]×10(dl/L)
CvO2は、静脈酸素含有量である。静脈酸素含有量CvO2は、以下の式によって定義される。
(13)CvO2(ml/dl)=Hb(g/dl)×1.34(mlO/gHb)×SvO(%)+PvO(mmHg)×0.003(mlO/dl・mmHg)
SvOは、静脈血センサ28の一部であり得、SvO(%)データを酸素/CO回路56に入力する、静脈血酸素飽和度センサによって測定される混合静脈Hb酸素飽和度(%)である。混合静脈Hb酸素飽和度SvOは、人工心肺装置10に戻る静脈血中のヘモグロビンに結合された酸素の量の尺度である。PvO(mmHg)は、人工心肺装置10に戻る静脈血中の溶解酸素の分圧の尺度であり、静脈血センサ28または静脈血センサ28の構成要素によって測定され、次いで、PvOデータとして酸素/CO回路56に入力される。
【0064】
したがって、患者酸素消費量(VO2、ml/分)は、センサ導出データである、動脈ポンプ流量Qp、混合静脈Hb酸素飽和度SvO、および混合静脈酸素圧PvOを含む、動的データから、およびセンサ導出データまたは流体回路54によって計算される値であり得る、CPB内Hbから、酸素/CO回路56によって計算される。酸素/CO回路56は、患者のBSAにインデックスを付けられる、インデックス付き酸素消費量(VO2i、ml/分/m)を計算してもよい。換言すると、酸素/CO回路56は、インデックス付き酸素消費量(VO2i)値を生成するように、計算された酸素消費量VO2(ml/分)を、BSA回路52から酸素/CO回路56に入力されている、BSA回路52によって計算される患者のBSAで除算してもよい。次いで、酸素/CO回路56は、自動および連続表示および/または自動および断続的表示のために、計算された酸素消費量VO2および/または計算されたインデックス付き酸素消費量VO2iを表示アセンブリ48に出力する。同様に、動脈ポンプ流量Qp、混合静脈Hb酸素飽和度SvO、混合静脈酸素圧PvO、およびCPB内Hbの値は、連続または断続的表示のために、表示アセンブリ48に伝送されてもよい。本開示のある実施形態によると、動脈ポンプ流量Qp、混合静脈Hb酸素飽和度SvO、混合静脈酸素圧PvO、CPB内Hb、計算された酸素消費量VO2、および計算されたインデックス付き酸素消費量VO2iの値は、記憶および将来の参照のために、メモリアセンブリ50に伝送される。
【0065】
酸素/CO回路56はまた、酸素消費量に対する酸素送達の比(DO2/VO2)を計算するように構築および/またはプログラムされる。次いで、本計算された比DO2/VO2は、酸素/CO回路56によって、連続または断続的表示のために表示アセンブリ48に、かつ記憶および将来の参照のためにメモリアセンブリ50に出力される。BSA/BSA=1という事実に照らして、比DO2/VO2が比DO2i/VO2iに等しいため、インデックス付き酸素送達DO2iをインデックス付き酸素消費量VO2iに対比させる必要はない。
【0066】
酸素/CO回路56はまた、以下の式に基づいて、心肺バイパス法の間に患者二酸化炭素産生(VCO2、ml/分)を計算するように構築および/またはプログラムされる。
(14)VCO2(ml/分)=
Qs(L/分)×[expCO(mmHg)/760(mmHg)]×1000(ml/L)
expCOは、人工肺18からの排出ガス中の二酸化炭素の分圧に関するCOセンサまたはカプノグラフ32によって提供されるセンサ導出データであり、Qsは、ガス源62から人工肺18の中へ送給する換気ガスG(すなわち、スイープガス)のガス流速である。スイープガス流速Qsは、灌流技師によって設定され、典型的には、心肺バイパス手技の開始時に設定される。この場合、スイープガス流速Qsは、静的データを構成し、灌流技師は、インターフェース40の手動インターフェース部分42を使用して、ガス流速Qsの値を酸素/CO回路56に入力してもよい。一方で、本開示のある実施形態によると、人工肺18は、スイープガス流速Qsを連続的に測定するように、かつマシンインターフェース部分44を介してスイープガス流速Qsデータを酸素/CO回路56に入力するように、ガス流量計64を提供されてもよい。酸素/CO回路56はまた、患者二酸化炭素産生VCO2をBSA回路52によって計算される患者のBSAで除算することによって、インデックス付き患者二酸化炭素産生VCO2iを計算してもよい。
【0067】
したがって、患者二酸化炭素産生(VCO2、ml/分)は、センサ導出データである、呼気中二酸化炭素expCOを含む動的データ、および本質的に静的または動的であり得るセンサ導出データである、人工肺18の中へのスイープガス流速Qsから、酸素/CO回路56によって計算される。酸素/CO回路56は、患者のBSAにインデックスを付けられる、インデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i、ml/分/m)を計算してもよい。次いで、酸素/CO回路56は、自動および連続表示および/または自動および断続的表示のために、計算された二酸化炭素産生VCO2および/または計算されたインデックス付き酸素消費量VCO2iを表示アセンブリ48に出力する。同様に、呼気中二酸化炭素expCOおよび換気ガス流速Qs(ml/分またはL/分で報告される、「ブレンダ流速」としても公知である)値は、連続または断続的表示のために、表示アセンブリ48に伝送されてもよい。本開示のある実施形態によると、呼気中二酸化炭素expCO、換気ガス流速Qs、計算された二酸化炭素産生VCO2、および計算されたインデックス付き二酸化炭素産生VCO2iの値は、記憶および将来の参照のために、メモリアセンブリ50に伝送される。
【0068】
酸素/CO回路56はまた、二酸化炭素産生に対する酸素送達の比(DO2/VCO2)を計算するように構築および/またはプログラムされる。次いで、本計算された比DO2/VCO2は、酸素/CO回路56によって、連続表示または断続的表示のために表示アセンブリ48に、かつ記憶および将来の参照のためにメモリアセンブリ50に出力される。BSA/BSA=1という事実に照らして、比DO2/VCO2が比DO2i/VCO2iに等しいため、インデックス付き酸素送達DO2iをインデックス付き二酸化炭素産生VCO2iに対比させる必要はない。
【0069】
計算された酸素送達DO2、インデックス付き酸素送達DO2i、酸素消費量VO2、およびインデックス付き酸素消費量VO2iが、CPB内Hbおよび動脈ポンプ流量Qpの関数であるため、プロセッサ46は、例えば、患者の酸素送達DO2、インデックス付き酸素送達DO2i、酸素消費量VO2、およびインデックス付き酸素消費量VO2iの変化を引き起こし得る、pRBC輸血および/または流体注入および/またはポンプ流量の変化に対する仮想介入に基づいて、シミュレーションを行うように動作可能である。加えて、計算された二酸化炭素産生VCO2およびインデックス付き二酸化炭素産生VCO2iが、換気ガス流速Qsおよび呼気中二酸化炭素expCOの関数であるため、プロセッサは、これらのパラメータを改変し得る仮想介入に基づいて、および/または心肺バイパス手技中にこれらのパラメータがどのように変動し得るかという推定および/または推測に基づいて、シミュレーションを行うように動作可能である。計算シミュレーション監視システム12のシミュレーション機能の1つまたはそれを上回る非限定的実施例が、図4および5に関して以下に提供される。
シミュレーション実施形態およびグラフィカルユーザインターフェース
【0070】
図4は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を形成するように表示アセンブリ48と統合された手動インターフェース部分42の非限定的実施形態を図示する。手動インターフェース部分42は、静的パラメータの値を計算シミュレーション監視システム12に手動で入力するために使用される、静的パラメータ部分70を含む。静的パラメータ部分70は、タッチスクリーン技術を用いたキーボード、または数値データを入力するための他のデバイスのいずれかを使用して、特定の静的パラメータ値を手動でそれぞれ投入される、複数のデータポータル72を含む。図4に示されるように、複数のデータポータル72は、身長データポータル74と、体重データポータル76と、患者の単位体重あたりのCPB前血液量用のデータポータル78と、患者のCPB前HCT用のデータポータル80と、プライミング量用のデータポータル82と、プライムオフ量用のデータポータル84と、輸血に使用されるpRBCの組織的HCT用のデータポータル86と、ヘモグロビン酸素飽和度SaO用のデータポータル88とを含んでもよい。本開示の図4に示されるデータポータルは、図4に示されるものに限定されない。例えば、換気ガスの流速Qsが心肺バイパス手技中に変更されず、したがって、CPB手技中に静的パラメータを構成するであろう場合に、換気ガスの流速Qs用のデータポータルが、静的パラメータ部分70に含まれてもよい。一方で、動脈血センサ29が動脈Hb酸素飽和度SaOを測定するためのセンサ構成要素を含むように構築されるため、本パラメータが動的パラメータを構成するであろう場合には、複数のデータポータル72は、ヘモグロビン酸素飽和度用のデータポータル88を含まないよう修正されてもよく、動脈Hb酸素飽和度SaOの測定値は、動脈血センサ29からマシンインターフェース部分44に、次いで、監視パラメータウィンドウによる自動表示のために表示アセンブリ48に自動的に伝送されてもよい。
【0071】
表示アセンブリ48、および図2のグラフィカルユーザインターフェースのマシンインターフェース部分44および手動インターフェース部分42は、複数のデータウィンドウ92および/またはデータポータル94を含む、監視されたパラメータ部分90を提供するように、図4に示されるように統合される。これに関連して、データポータルは、データを手動で入力するために使用され、データをプロセッサ46に入力するように接続される手動インターフェース部分42に動作可能に接続される、グラフィカルユーザインターフェース上のフィールドである。一方で、データウィンドウは、データをプロセッサ46に入力するように接続されるマシンインターフェース部分44にデータを入力するように動作可能に接続される、センサまたはデバイスのうちの1つから導出されるデータを自動的に投入される、グラフィカルユーザインターフェース上のフィールドである。したがって、各データポータル94は、心肺手技中に間隔を置いて変化し得る特定の動的パラメータを手動で投入され、各データウィンドウ92は、心肺バイパス手技中に連続的に監視される特定の動的パラメータを自動的に投入される。
【0072】
図4に示されるように、監視されたパラメータ部分90は、患者に輸血されているpRBCの総量(ml)を入力するためのデータポータル96を含んでもよい。監視されたパラメータ部分90はまた、患者に注入される体積膨張流体の総量(ml)を入力するためのデータポータル98を含んでもよい。心肺バイパス手技中に患者に輸血される血液の量および注入される流体の量は、手技が進行するにつれて変化し得るため、計算シミュレーション監視システム12のユーザは、患者が付加的輸血および/または付加的注入を受容する度に、これらのデータフィールドを手動で定期的に更新しなければならない。
【0073】
監視されたパラメータ部分90はまた、動脈ポンプ流量Qp(L/分)用のデータウィンドウ100と、動脈酸素圧PaO(mmHg)用のデータウィンドウ102と、静脈Hb酸素飽和度(%)用のデータウィンドウ104と、静脈酸素圧PvO(mmHg)用のデータウィンドウ106と、呼気中二酸化炭素expCO(mmHg)用のデータウィンドウ108と、換気スイープガスの流速Qs用のデータウィンドウ110とを含んでもよい。これらのウィンドウのそれぞれに投入するデータは、センサ導出される、または機械(例えば、ローラ血液ポンプ)から導出されるため、連続的に入力されるデータは、これらのウィンドウ内で連続的に変動し得る。ユーザにとっての利便性として、グラフィカルユーザインターフェースは、アクティブ化されたときに、30秒~2分または30秒~1分等の短い時間期間にわたって監視されたパラメータ部分90のポータルおよびウィンドウ内に表示されるデータ出力をフリーズするようにプロセッサ46に命令する、フレームをフリーズするボタン112を提供される。これは、所望されるときに、監視されたパラメータ部分90の表示された出力を要約するように、より多くの時間をユーザに許容する。フリーズされている表示された出力は、以下で説明されるであろうように、プロセッサ46によって制御されるシミュレータのデータフィールドに自動投入するために使用されてもよい。当然ながら、その間に監視されたパラメータ部分90によって表示されるデータ出力が、フレームをフリーズするボタン112のアクティブ化に続いてフリーズされる、時間期間を修正することは、本開示の実施形態の範囲内である。
【0074】
本開示の実施形態では、フレームをフリーズするボタン112をアクティブ化することは、フレームをフリーズするボタン112の後続のアクティブ化が監視されたパラメータ部分90によるデータの表示をフリーズ解除するまで、監視されたパラメータ部分90内のデータの表示をフリーズする。例えば、フレームをフリーズするボタン112を1回クリックすることは、プロセッサ46に監視されたパラメータ部分90へのデータ出力をフリーズさせてもよく、続いて、フレームをフリーズするボタン112を再びクリックすることは、監視されたパラメータ部分90による監視されたデータの連続表示が再開されるように、プロセッサ46に監視されたパラメータ部分90へのデータ出力をフリーズ解除させてもよい。
【0075】
監視されたパラメータ部分90は、センサ導出データまたは流体回路54によって計算されるデータのいずれかであり得る、CPB内Hbを表示するための1つまたは2つのウィンドウ114を含んでもよい。その結果として、CPB内Hbは、測定された出力または導出された出力のいずれかであってもよい。したがって、本開示のある実施形態によると、監視されたパラメータ部分90は、センサ導出Hbデータ値を表示する、1つだけのウィンドウを含む。本開示の一実施形態によると、監視されたパラメータ部分90は、流体回路54によって計算される、計算されたHbデータ値を表示する、1つだけのウィンドウを含む。本開示の一実施形態によると、監視されたパラメータ部分90は、2つのウィンドウ114を含み、これらのウィンドウのうちの一方は、センサ導出Hbデータ値を表示し、他方のウィンドウは、流体回路54によって計算されるHbデータ値を表示する。センサ導出Hbデータ値および流体回路導出Hbデータ値が両方とも並んでウィンドウ114内に表示される、本実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースの表示アセンブリはまた、センサ導出Hbおよび/またはHCT値を、流体回路54によって計算されるこれらの理論的な実際のHbおよび/またはHCT値と比較して相関させる、統計回路60によって計算される、統計学の分野で周知であるような相関係数r値または相関係数r等の統計相関値を表示するウィンドウを提供されてもよい。
【0076】
監視されたパラメータ部分90は、他の計算された着目値またはパラメータを灌流技師、看護師、医師、またはシステム12の他のユーザに表示するための付加的ウィンドウを含んでもよい。例えば、監視されたパラメータ部分90は、インデックス付き送達酸素DO2iを表示するためのウィンドウ115、および/または消費される酸素に対する送達酸素の比(DO2/VO2)または消費されるインデックス付き酸素に対するインデックス付き送達酸素の比(DO2i/VO2i)を表示するためのウィンドウ116を含んでもよい。監視されたパラメータ部分90はまた、産生される二酸化炭素に対する送達酸素の比(DO2/VCO2)または産生されるインデックス付き二酸化炭素に対するインデックス付き送達酸素の比(DO2i/VCO2i)を表示するためのウィンドウ118を含んでもよい。したがって、監視されたパラメータ部分90は、計算シミュレーション監視システム12のユーザが、以前は連続的に監視されることができなかった、臨床的に関連する計算されたパラメータを連続的に監視することを可能にする。そのような計算されたパラメータを連続的に監視する能力を有することは、臨床転帰と相関することが公知である、これらの計算されたパラメータの臨床値を有する。したがって、DO2/VO2、DO2i/VO2i、DO2/VCO2、DO2i/VCO2i等の連続的に監視される計算されたパラメータは、計算された臨床的に関連する転帰パラメータと称されてもよい。監視されたパラメータ部分90はまた、監視されたパラメータ部分90を監視するユーザが、監視されたパラメータが表示される時間を把握するように、時間を表示するための時計119を提供されてもよい。
【0077】
例えば、比DO2i/VCO2iは、組織低酸素および不良な患者転帰のインジケータである、心肺バイパス手技中の患者の乳酸値の上昇と相関性を持っている。Marco Ranucci et al., Anaerobic Metabolism During Cardiopulmonary Bypass: Predictive Value of Carbon Dioxide Derived Parameters. 81 ANNUALS THORACIC SURGERY 2189, 2193-94 (2006年)を参照されたい。理想的には、比DO2i/VCO2iは、組織低酸素および乳酸アシドーシスを回避するよう、患者への酸素供給が二酸化炭素産生を十分に超えることを確実にするために5を上回って維持される。計算シミュレーション監視システム12は、比DO2i/VCO2iを連続的に計算し、本比を連続的に監視する目的のために、表示アセンブリ48を介してその値を連続的に表示することができる。
【0078】
好ましくは、グラフィカルユーザインターフェースは、種々のデータウィンドウによって表示されるデータが色で表示され得るように、複数の異なる色付きピクセル(例えば、赤、緑、および青)を提供する液晶ディスプレイ(LCD)として実装される。例えば、本開示のある実施形態によると、データウィンドウ102、106、108、114、115、116、118は、緑色で正常または所望の範囲内の値を表示するように、および黄色で正常または所望の範囲からわずかに外れる値を表示するように、および赤色で正常または所望の範囲から実質的に外れる値を表示するように構築される。このようにして、表示されたデータの色は、(緑色で)正常または所望の値、および(黄色で)わずかに逸脱した値、および(赤色で)実質的に逸脱した値に関するデータのステータスに関して、付加的通知をユーザに与える。例えば、比DO2i/VCO2iの表示された値がデータウィンドウ118内で5を上回るときには、表示された値は、緑色である。比DO2i/VCO2iの表示された値が4~5であるときには、データウィンドウ118内の表示された値は、黄色である。比DO2i/VCO2iの表示された値が4を下回るときには、ウィンドウ118内の表示された値は、赤色である。
【0079】
別の実施例として、CPB内Hbの好ましい範囲は、7~8.33gm/dlであり(例えば、K. Karkouti et. al., HemodilutionD uring Cardiopulmonary Bypass is an Independent Risk Factor for Acute Renal Failure in AdultCardiac Surgery. 129 JOURNAL OF THORACIC CARDIOVASCULAR SURGERY 391-400 (2005年)の抜粋を参照)であり、本範囲よりも高いCPB内Hbレベルは、急性腎不全の危険性の軽微な増加と関連付けられ、本範囲を下回るCPB内Hbレベルは、急性腎不全の実質的により高い危険性を伴う。したがって、ウィンドウ114内に表示されるCPB内Hb値が7~8.33gm/dlであるとき、値は、緑色で表示される。ウィンドウ114内に表示されるCPB内Hb値が8.33gm/dlを上回るとき、値は、黄色で表示される。ウィンドウ114内に表示されるCPB内Hb値が7.0gm/dlを下回るとき、値は、赤色で表示される。正常または所望の値に対する表示された値のステータスに関して、色表示通知のこれらの実施形態は、例証的にすぎず、非限定的であることを理解されたい。説明される色表示通知方式は、センサ導出データであるか、またはプロセッサ46または流体回路54および/または酸素/CO回路56等のその構成要素回路のうちの1つによって計算されるデータであるかにかかわらず、監視されたデータを表示する任意のウィンドウに適用されてもよい。これに関連して、次いで、データの監視は、(i)正常値、(ii)中間優先順位値または閾値最小値、および(iii)臨界値に基づいて階層化され得る、リアルタイムシステムで規範値および閾値アラームを表示することを含んでもよい。
【0080】
図4のグラフィカルユーザインターフェースは、実際のデータおよび仮想データに基づいてシミュレーションを起動するために使用される、予備パラメータ部分120を提供され、仮想データは、推定データおよび/または推測データを構成する。これに関連して、実際のデータは、測定に基づいてデータを収集するように構築されるセンサおよび/または他のデバイスによって実際に収集されるデータであり、手動インターフェース部分42またはマシンインターフェース部分44のいずれかを介してプロセッサ46に提供されてもよい。したがって、実際のデータはまた、患者に輸血されるpRBCの総量または患者に注入される流体の総量等のユーザによってコンパイルされ、手動インターフェース部分42を介して手動で入力される実際のデータも含む。推定データは、事実に基づく推定値に基づく、仮想データである。例えば、外科チームが300mlのpRBCの輸血を考慮している場合には、本計画輸血に関するデータは、事実に基づき、推定データを構成する。別の実施例として、患者の病歴データが、推定データを生成するために事実の基礎として使用されてもよい。図4に示されるように、8.2g/dlおよび9.1g/dlのHb値に対応する、16:43および17:15における患者の測定されたPvO値に基づいて、ユーザは、計画輸血が9.4g/dlを上回るまで患者のHbを上昇させることが予期される、仮想シナリオSCNR#4について、40mmHgのPvO値を推定してもよい。
【0081】
推定の別の実施例として、患者の体温が低下した場合、患者の身長および体重に基づく推定酸素消費率が、ユーザによって、またはグラフィカルユーザインターフェースの患者体温ポータル(図示せず)からのデータ入力を提供されるプロセッサ46によって、計算されてもよい。この場合、推定消費率は、VO2データポータル(図示せず)を使用して、手動入力データとして入力され、VO2データの値は、Shingi Ninomiya et al., Virtual Patient Simulator for Perfusion Resource Management Drill, 41 JECT 206-212 (2009)によって報告された式、すなわち、以下に従って計算される。
(15)VO2=h(体重Kg、体温℃)=[(-0.00001624)(体重)+(0.036248)(体重)-(0.27653)(体重)+(10.834)(体重)]・[(-0.00029)(体温)+(0.0284)(体温)-(0.8509)(体温)+8.2832]
【0082】
患者体重および体温に基づくVO2の本計算された推定値を使用して、PvOの値は、PaOへの患者の体温の影響がないことを仮定し、SvOが変化しないことを仮定するか、またはヘモグロビン飽和度曲線に基づくPvOの関数としてSvOを推定することによってのいずれかにおいて、上記の式(11)、(12)、および(13)を使用してプロセッサ46によって推定されてもよい。温度変化に基づく患者のPvO2の変化の推定値は、予備パラメータ部分120のデータポータル134に入力されてもよい。このようにして、患者の体温の変化に関するシミュレーションが、推定仮想データに基づいて行われてもよい。
【0083】
推測データは、一方で、事実に基づいていない仮想データであるが、直感に基づいてもよい。例えば、患者の二酸化炭素産生が10度の体温の上昇に続いて増加し得ると外科チームが考える場合には、チームは、患者の二酸化炭素産生expCOが10%上昇し得ると推測してもよい。前の基準よりも10%高い仮想二酸化炭素産生expCOに対応する、予備パラメータ部分120のデータポータル136に手動で入力されるデータが、例えば、推測データを構成するであろう。
【0084】
予備パラメータ部分120は、番号順の指標によって自動的に投入されるシナリオIDウィンドウ122を含む。したがって、ユーザによって試験される第1のシナリオは、「SCNR#1」と指定され、ユーザによって試験される第2のシナリオは、「SCNR#2」と指定される等となる。計算シミュレーション監視システム12の予備パラメータ部分120は、ユーザが、1つまたはそれを上回るシミュレーションを起動して仮説を試験すること、および計算に基づいて異なるシミュレーションの対応する予測結果を視覚的に比較することを可能にする。シミュレーションパラメータ部分120は、空間によって所定数のシナリオIDウィンドウ122に限定され得るが、計算シミュレーション監視システム12は、以降の使用または想起のために付加的シナリオをメモリアセンブリ50に記憶してもよい。このようにして、全ての試験されたシナリオは、たとえ限定数のシナリオのみが表示アセンブリ48によって一度に表示され得ても、精査のためにアクセス可能であり得る。
【0085】
予備パラメータ部分120は、監視されたパラメータ部分90と同一種類のデータフィールドの多くを含む。しかしながら、予備パラメータ部分120のデータフィールドは全て、データが各フィールドに手動で入力されなければならないように、データポータルであってもよい。例えば、予備パラメータ部分120は、輸血された、または輸血されるpRBCの量を入力するためのデータポータル124と、注入された、または注入される他の流体の量を入力するためのデータポータル126とを含んでもよい。シミュレーションされたパラメータ部分120はさらに、動脈ポンプ流量Qp(ml/分)データを入力するためのデータポータル128と、動脈酸素圧PaO(mmHg)データを入力するためのデータポータル130と、混合静脈Hb酸素飽和度(%)データを入力するためのデータポータル132と、混合静脈酸素圧PvO(mmHg)を入力するためのデータポータル134と、呼気中二酸化炭素expCO(mmHg)データを入力するためのデータポータル136と、換気スイープガスの流速Qsを入力するためのデータポータル138とを含んでもよい。これらのデータポータルのそれぞれでは、ユーザは、ユーザの所望に応じて、実際のデータまたは仮想データのいずれかを入力する能力を有する。
【0086】
例えば、SNCR#1と指定された図4の第1の仮想試験では、データフィールド124-138は、監視されたパラメータ部分90からの1つまたはそれを上回る実際の値を投入されるが、これらの値のうちの少なくとも1つは、計画または想定臨床介入および/または臨床経過進行および同等物に対応する仮想値と手動で置換されなければならない。データフィールド124-138はそれぞれ、上記で説明されるように、ユーザによって手動で投入されてもよい。しかしながら、利便性として、本開示のある実施形態によると、グラフィカルユーザインターフェースの監視されたパラメータ部分90は、いったんアクティブ化されると、監視されたパラメータ部分90のデータフィールドのスナップショットを撮影し、予備パラメータ部分120の次の利用可能な行の対応するデータフィールドに投入するためにスナップ撮影されたデータを使用する、「スナップショット」ボタンを提供されてもよい。したがって、本実施形態は、タッチスクリーンセンサまたはボタンと、プロセッサ46の関連付けられる回路および組み込みシステムとを含む、スナップショット機構を含む。ユーザがスナップショットボタン146をアクティブ化するとき、プロセッサ46は、スナップショットが撮影される時間に、監視されたパラメータ部分120からのデータを予備パラメータ部分120の次の利用可能な行全体に自動的に投入する。スナップショットが撮影される時間は、シナリオIDウィンドウ122内に記録される。したがって、図4の非限定的実施例によると、16:43、17:15、および17:49と指定された行は、これらの時間に監視されたパラメータ部分120からスナップ撮影されている全ての実際のデータを投入される。これらのスナップ撮影された行に対応するウィンドウ140内のHb値は、HCTセンサ34またはHbセンサによってリアルタイムで測定されるセンサ導出値である。ウィンドウ141、142、および144によって表示される値は、酸素/CO回路56からの計算された値である。
【0087】
一方で、少なくとも1つのデータフィールドが仮想データを投入される、各データ行は、「SCNR#X」によってシナリオIDウィンドウ122内で指定され、Xは、追求される仮想シナリオが順番に識別されるように、次の順次整数を投入される。したがって、図4に示されるように、SCNR#1、SCNR#2、SCNR#3、およびSCNR#4と指定された行は、1つまたはそれを上回るデータフィールド内で仮想データを投入される。上記で説明されるように、データフィールド124-138はそれぞれ、少なくとも1つのデータフィールドが仮想データを投入されるように、ユーザによって実際のデータまたは仮想データのいずれかを手動で投入されてもよい。当然ながら、1つを上回るデータフィールドが、仮想データを投入されてもよい。したがって、ユーザの所望に応じて、データフィールド124-138のうちの1つ、2つ、3つ、いくつか、または全てが、仮想データを投入されてもよい。
【0088】
利便性として、スナップショットボタン146は、データフィールド124-138のうちのいくつかの中に実際のデータを投入するために使用されてもよい。より具体的には、予備パラメータ部分120の次の利用可能な行が、監視されたパラメータ部分90の対応するデータフィールド96-110からの全ての実際のデータを自動投入されるように、ユーザがスナップショットボタン146をアクティブ化するとき、本自動投入された行は、最初にスナップショットの時間によって指定されるであろう。しかしながら、ユーザは、それぞれ、データポータル124-138を使用して、実際のデータ値のそれぞれを仮想データ値と手動で置換してもよい。いったんスナップショットの時間(XX:XX)によって指定された行に投入するスナップショットデータの実際の値のうちの少なくとも1つが仮想データによって置換されると、時間は、シナリオIDウィンドウ122内で次の順次「SCNR#X」指定と自動的に置換される。いったんスナップショットの時間(XX:XX)から次の順次「SCNR#X」への遷移が起こると、たとえユーザが仮想データを元の実際のデータと置換しても逆転させられることができない。このようにして、純粋なスナップショットのみがスナップショットの時間によって指定され、全ての他のデータ行がシナリオとして指定されることが保証される。
【0089】
付加的利便性として、本開示のある実施形態によると、フレームをフリーズするボタン112およびスナップショットボタン146は、以下のようにともに使用されてもよい。ユーザは、フレームをフリーズするボタン112をアクティブ化し、それによって、監視されたパラメータ部分90によって表示されるデータをフリーズしてもよい。監視されたパラメータ部分90によって表示されるデータがフリーズされるが、ユーザは、スナップショットボタン146を複数回アクティブ化し、それによって、監視されたパラメータ部分90からの同じスナップショットされたデータを予備パラメータ部分120の複数の連続行に自動投入してもよい。予備パラメータ部分120内のこれらのスナップショットされたデータの行はそれぞれ、監視されたパラメータ部分90のフリーズに対応する時間である、同時指定によって指定されるであろう。次いで、ユーザは、これらのスナップショットされたデータの行のデータフィールド124-138のうちの1つまたはそれを上回るものを修正し、それによって、それらを「SCNR#X」指定によって順次指定された仮想シナリオに変換してもよい。
【0090】
図4の非限定的実施例を参照すると、「16:43」として指定されている行は、スナップショットボタン146のアクティブ化に続いて生成された、監視されたパラメータ部分90のデータフィールド96-110および114、および対応する計算されたデータフィールド115、116、および118の16:43におけるスナップショットを構成する。したがって、データフィールド124-138および140は、実際のデータを投入され、データフィールド141、142、および144は、対応する計算されたデータを投入される。「SCNR#1」、「SCNR#2」、および「SCNR#3」として指定されている行は全て、フレームをフリーズするボタン112のアクティブ化に続いて、監視されたパラメータ部分90がフリーズされていた間に、監視されたパラメータ部分90の16:43に撮影されたスナップショットである。しかしながら、いったんユーザが250mlの仮想pRBC輸血を反映するようにデータポータル124のRBC量データを修正すると、シナリオIDは、SCNR#1を指定するようにプロセッサ46によって自動的に修正された。続いて、いったんユーザが500mlの仮想pRBC輸血を反映するように(データアレイとも称される)次のデータの行のデータポータル124のRBC量データを修正すると、本後続の行のシナリオIDは、SCNR#2を指定するようにプロセッサ46によって自動的に修正された。さらに、続いて、いったんユーザが750mlの仮想pRBC輸血を反映するようにSCNR#2に続いてデータの行のデータポータル124のRBC量データを修正すると、本なおも後続の行のシナリオIDは、SCNR#3を指定するようにプロセッサ46によって自動的に修正された。
【0091】
したがって、図4は、続いて、複数のデータアレイがそれぞれ、異なる臨床介入シナリオを追求するよう修正され得るように、どのようにしてスナップショットデータがこれらのデータアレイに自動投入するために使用され得るかを図示する。図4は、仮想シナリオを相互と区別し、スナップショットの時間によって指定される、実際のデータのみを自動投入されたスナップショットと区別するために、どのようにしてこれらの異なる予備介入シナリオがプロセッサ46によって自動的に指定されるであろうかを図示する。このようにして、全ての実際のデータおよび仮想シナリオのスナップショットの間の比較が、システム12のユーザによって促進される。
【0092】
再度、図4を参照すると、CPB手技中に、または体外循環を使用する任意の外科的および/または内科的手技中に、リアルタイムで臨床意思決定を促進するために、どのようにしてシステム12が使用され得るかが、理解されることができる。例えば、時間T=16:43における監視されたパラメータ部分90のデータアレイのスナップショットに対応する、予備パラメータ部分122の第1の行のデータアレイは、データフィールド141、142、および144の対応する計算された値を伴って、データフィールド124-138および140内の全ての実際のデータを構成する。SCNR#1と指定された予備パラメータ部分120の第2の行のデータアレイは、データポータル124内の仮想データと、データポータル126-138内の実際のデータとを含む。250pRBCの仮想輸血に対応する、本仮想に基づいて、流体回路54によって計算される、データウィンドウ140内の患者の計算されたHb値は、16:43において8.2g/dlのセンサ導出Hb値から8.8g/dlまで上昇することが予期される。インデックス付き酸素送達DO2i、インデックス付き酸素消費量に対するインデックス付き酸素送達の比(DO2i/VO2i)、およびインデックス付き二酸化炭素産生に対するインデックス付き酸素送達の比(DO2i/VCO2i)等の付加的パラメータの計算された対応する変化は、それぞれ、データウィンドウ141、142、および144内に表示される。
【0093】
SCNR#2と指定された予備パラメータ部分120の第3の行のデータアレイは、データポータル124および128内の仮想データと、データポータル126および130-138内の実際のデータとを含む。500pRBCの仮想輸血および4.0L/分から5.0L/分までの動脈ポンプ流量Qpの増加に対応する、本仮想に基づいて、流体回路54によって計算される、データウィンドウ140内の患者の計算されたHb値は、16:43において8.2g/dlのセンサ導出Hb値から9.5g/dlまで上昇することが予期される。インデックス付き酸素送達DO2i、インデックス付き酸素消費量に対するインデックス付き酸素送達の比(DO2i/VO2i)、およびインデックス付き二酸化炭素産生に対するインデックス付き酸素送達の比(DO2i/VCO2i)等の付加的パラメータの計算された対応する変化は、それぞれ、データウィンドウ141、142、および144内に表示される。
【0094】
SCNR#3と指定された予備パラメータ部分120の第4の行のデータアレイは、データポータル124および128内の仮想データと、データポータル126および130-138内の実際のデータとを含む。750pRBCの仮想輸血および4.0L/分から5.0L/分までの動脈ポンプ流量Qpの増加に対応する、本仮想に基づいて、流体回路54によって計算される、データウィンドウ140内の患者の計算されたHb値は、16:43において8.2g/dlのセンサ導出Hb値から10.1g/dlまで上昇することが予期される。インデックス付き酸素送達DO2i、インデックス付き酸素消費量に対するインデックス付き酸素送達の比(DO2i/VO2i)、およびインデックス付き二酸化炭素産生に対するインデックス付き酸素送達の比(DO2i/VCO2i)等の付加的パラメータの計算された対応する変化は、それぞれ、データウィンドウ141、142、および144内に表示される。したがって、予備パラメータ部分122は、ユーザが患者のための複数の可能な臨床介入を追求し、臨床意思決定を補助するために計算された結果を使用することを可能にする、シミュレータとして動作する。
【0095】
図4から明白であるように、システム12のユーザは、臨床決定を行う補助として、グラフィカルユーザインターフェースの表示アセンブリ48によって表示される、SCNR#1、SCNR#2、およびSCNR#3等の種々のシミュレーションされたシナリオの予測結果を比較してもよい。具体的には、予備パラメータ部分120のデータ行列構成または表形式構成は、いずれの仮想シナリオが最も所望の結果を提供することが予測されるかを判定するために、ユーザが複数の仮想シナリオを試験することを可能にする。
【0096】
本開示の実施形態では、いったんデータポータル124-138の全てが、いくつかの仮想データおよびいくつかの実際のデータであるか、または全ての仮想データであるかにかかわらず、投入されると、次いで、プロセッサ46は、結果ウィンドウ140内の計算されたCPB内Hb、および結果ウィンドウ141内の計算されたインデックス付き酸素送達DO2i、および結果ウィンドウ142内のインデックス付き酸素消費量に対するインデックス付き酸素送達の計算された比(DO2i/VO2i)、および結果ウィンドウ144内のインデックス付き二酸化炭素産生に対するインデックス付き酸素送達の計算された比(DO2i/CO2i)等の結果ウィンドウ140、141、142、および144内に表示されるパラメータの結果を自動的に計算する。ウィンドウ140、141、142、および144が計算された仮想結果を表示するため、これらのデータフィールドは、それらが計算された結果を表示し、データを入力するために使用されることができないため、ポータルではなくウィンドウとして構築される。本開示の実施形態では、ユーザは、結果ウィンドウ140、141、142、および144内に表示されるパラメータの結果をプロセッサ46に計算させるために、いくつかの仮想データおよびいくつかの実際のデータであるか、または全ての仮想データであるかにかかわらず、データポータル124-138に投入した後に、起動ボタン148をアクティブ化しなければならない。
【0097】
ユーザが一連の仮想シナリオ(例えば、SCNR#1、SCNR#2、SCNR#3)を追求した後、所望および/または好ましい臨床介入が、医療チームによって実装されてもよく、観察の期間に続いて、実際のデータの追跡スナップショットが、患者の前の状態と比較するために収集されてもよい。図4の非限定的実施例では、監視されたパラメータ部分90から時間T=17:15において撮影された実際のデータのスナップショットは、データフィールド124-138および140内の全ての実際のデータを予備パラメータ部分122のデータの第5の行に自動投入するために使用される。したがって、T=17:15では、患者のセンサ導出Hbレベルが9.4g/dlまで改善し、DO2i、DO2i/VO2i、およびDO2i/VCO2iの計算された値が、それぞれ、413ml/分/m、3.88、および5.23まで改善したという結果を伴って、患者は、500mlのpRBCを受容し、動脈ポンプ流量Qpは、5.0L/分まで増加されている。患者のHbが改善しているため、かつ患者のDO2i/VCO2i比が5を上回って上昇しているため、医療チームは、さらなる介入が正当化されるまで、監視されたパラメータ部分90を使用して患者の臨床状態を監視し続けることを選定してもよい。
【0098】
例えば、CPB手技が進行するにつれて、患者は、静脈内流体を受容し続けてもよい。予備パラメータ部分120の第6の行に順次表示される、T=17:49における監視されたパラメータ部分120のスナップショットによると、患者は、経脈管的に250mlの全入力流体を受容しており、これは、9.1g/dlまでのセンサ導出Hbの減少と、依然として5を上回るが下向きに動向している、5.06までの患者のDO2i/VCO2i比の減少とをもたらしている。上記で説明されるようにフレームをフリーズするボタン112およびスナップショットボタン146を使用して、ユーザは、T=17:49に対応する監視されたパラメータ部分96からの実際のデータを予備パラメータ部分120の第7の行のデータフィールドに自動投入し、次いで、仮想データを反映するようにデータフィールド124-138のうちの1つまたはそれを上回るものを修正してもよい。この場合、pRBCの全輸血が750としてデータポータル124に入力されるように、ユーザは、付加的な250mlのpRBCの潜在的輸血を反映するようにデータポータル124を修正している。より正確な仮想計算を所望するユーザはまた、250mlのpRBCの付加的輸血に続いて増加したHbレベルを伴って起こることが予期される、SvOおよびPvOの推定される改善を反映するように、データポータル132および134を修正してもよい。本推定値のユーザの基準は、患者の前のHb値、およびT=16:43およびT=17:15における前のスナップショットからの対応するSvOおよびPvO値である。予備パラメータ部分120の第7のデータアレイの仮想シナリオによると、250mlのpRBCの付加的輸血は、患者のHbレベルを9.7g/dlまで上昇させるように計算され、DO2i、DO2i/VO2i、およびDO2i/VCO2iの計算された値の対応する変化は、それぞれ、425ml/分/m、4.58、および5.37まで上昇することが予期される。
【0099】
したがって、図4は、患者ケアを最適化するために、リアルタイムで仮想介入を原位置で追求し、理論上の転帰を確認しながら、CPB手技中に患者の状態を監視するために、ユーザがどのようにして監視パラメータ部分90および予備パラメータ部分122からのデータを採用し得るかを図示する。加えて、予備パラメータ部分122は、手技が進行するにつれて、および介入が行われるにつれて、および介入への患者の応答が記録されるにつれて、ユーザが患者の状態を追跡することを可能にする。システム12は、以前に達成されたことがない、または考慮さえされたことがない様式で、体外循環を採用するCPB手技等の外科的および/または内科的手技中に原位置で臨床シミュレーションを適用することを可能にする。結果として、システム12が、限定された教育の分野から複雑な臨床シミュレーションを行い(例えば、Elizabeth H. Lazzara et al., Eight Critical Factors in Creating and Implementing a Successful Simulation Program, 40 THE JOINT COMMISSION JOURNAL ON QUALITY AND PATIENT SAFETY 21-29 (2014年)を参照)、手術室または集中治療設定において、原位置かつリアルタイムで患者ケアを改善するようにそれを直接適用することを可能にする。
【0100】
図4の非限定的な例証的実施形態に関して、SCNR#1、SCNR#2、およびSCNR#3では、これらの仮想シナリオは、患者の計算されたHbレベルへの異なる考慮されたpRBC輸血量の影響を追求することが指摘される。これらの仮想シナリオでは、SvOおよびPvOへのpRBC輸血の影響は、推定されなかった。これは、インデックス付き酸素消費量に対するインデックス付き送達酸素の比(DO2i/VO2i)等のあるパラメータの計算に関して、ある程度の誤差を生成する。SCNR#1、SCNR#2、およびSCNR#3のためのDO2i/VO2iの計算された値から明白であるように、これらの値は、pRBC輸血の量の実質的な差にもかかわらず、感知できるほど変化しない。これらの仮想シナリオでは、SvOおよびPvOの値が一定に保たれており、これは、患者のインデックス付き酸素消費量VO2iが、仮想輸血に続いて患者の増加したインデックス付き酸素送達DO2iと比例して増加する場合のみ起こるであろうため、本結果が見られる。しかしながら、SCNR#1、SCNR#2、およびSCNR#3に関して、ユーザは、SvOおよびPvOの値が輸血に続いて本患者にとってどのように変化するであろうかを推定するための容易に明白な事実の基礎を有していない。しかしながら、SCNR#4に関して、ユーザは、そのような推定を行うための事実の基礎、すなわち、T=16:43およびT=17:15におけるデータアレイスナップショットの測定されたHb値に対応する、測定されたSvOおよびPvO値を有する。本開示によると、ユーザは、例えば、DO2i/VO2iの予測値の正確度を改善しようとして、これらのシナリオSCNR#1、SCNR#2、およびSCNR#3のそれぞれのためのSvOおよびPvOの推測値を有し得る。
【0101】
図4のT=17:49において撮影されたスナップショットに関して、入力流体データポータル126は、T=17:15において撮影されたスナップショット以降に患者が250ml注入を受容していることを反映するように、「250」と読める。スナップショットボタン146がアクティブ化される前に、本スナップショットのためのデータポータル126のデータが、ユーザによって監視されたパラメータ部分90のデータポータル98に入力される必要があったことが指摘される。これは、本データが、あるスナップショットに追加され、予備パラメータ部分122のデータアレイ行に自動投入する場合には、プロセッサ46が、変化を仮想シナリオとして解釈し、「SCNR#X」という指定を使用して、スナップショットをシナリオとして自動的に再指定するであろうためである。
【0102】
実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースは、ユーザが、全体として監視されたパラメータ部分90フィールドを選択し、次いで、タッチスクリーンアクティブ化ボタンでもある「スナップショット」ボタン146を押して、プロセッサ46が、監視されたパラメータ部分90の対応するデータフィールドから予備パラメータ部分120のデータフィールドに自動投入する、自動投入特徴をアクティブ化し得るように、タッチスクリーン能力を提供されてもよい。同様に、フレームをフリーズするボタン112は、タッチスクリーンアクティブ化ボタンであってもよい。さらに、スナップショットボタン146が、予備パラメータ部分122のデータアレイに投入する際に使用するために説明されているが、本開示の実施形態では、タッチスクリーンは、予備パラメータ部分122の次の順次行に自動投入するために、ユーザがデータアレイのうちのいずれかに触れて選択することを可能にする。例えば、ユーザは、SCNR#3に対応する予備パラメータ部分122の行に触れ、それによって、それを選択し、これは、画面上で選択された行を強調表示することによって示されてもよく、次いで、スナップショットボタン146をアクティブ化し、それによって、プロセッサ46にSCNR#3のデータアレイからのデータを次の利用可能な行のデータフィールド124-138に自動投入させてもよい。予備パラメータ部分122のそのような自動投入された行は、Xが次の利用可能な順次整数である、次の利用可能な「SCNR#X」指定を受信するであろう。例えば、図4に基づいて、そのような仮想のための次の利用可能な指定は、SCNR#5であろう。次いで、ユーザは、SCNR#3からのデータに基づいて異なる仮想シナリオを作成するように、自動投入されたデータのうちのいずれかまたは全てを修正し得る。
【0103】
一実施形態では、プロセッサ46は、シナリオのための行の各データポータルがデータを投入されるとすぐに、結果ウィンドウ140、141、142、および144に投入するために使用される結果を自動的に計算する。別の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースは、シナリオのための行の各データポータルがデータを投入された後のみ、かつ「起動」ボタン148がアクティブ化された後のみ、プロセッサ46が結果ウィンドウ140、141、142、および144に投入するために使用される結果を計算するように、「起動」ボタン148を提供される。この場合、起動ボタン148、フリーズボタン112、およびスナップショットボタン146のアクティブ化は、タッチスクリーンアクティブ化によるものであってもよく、および/またはグラフィカルユーザインターフェースは、カーソルまたは同様の手段を使用してボタン148、112、146をアクティブ化するためのグラフィカルユーザインターフェースと統合されたキーボード、キーパッド、および/またはカーソルを提供されてもよい。キーボードは、数値データを種々のデータポータルに入力するため、かつ当技術分野で公知であるようにデータポータルの間でカーソルを移動させるために、システム12のユーザによって使用されてもよい。実施形態では、キーボードは、LCD画面を備えるグラフィカルユーザインターフェースの中へ統合されたタッチスクリーンキーボードである。実施形態では、キーボードは、電子回路を介してグラフィカルユーザインターフェースと動作可能に接続された別個のデバイスである。実施形態では、起動、スナップ、およびフリーズボタン148、146、112は、最初にフリーズボタン112を作動させることなく、スナップボタン146の動作が起こり得るように、独立して動作可能である。しかしながら、本開示の他の実施形態では、スナップボタン146は、スナップショットデータがフリーズされたデータであるように、フリーズボタン112の後に作動させられてもよい。
【0104】
本開示の一実施形態では、予備パラメータ部分120は、1つまたはそれを上回る仮想データ値を含む少なくとも1つのシミュレーションされた行、または実際のデータの少なくとも1つのスナップショット行、または1つまたはそれを上回る仮想データ値を含む少なくとも1つのシミュレーションされた行および実際のデータの少なくとも1つのスナップショット行の両方を含む、データの2つまたはそれを上回る行を表示することができる。一実施形態では、予備パラメータ部分120は、データのいくつかの行を表示することができ、1つまたはそれを上回る行は、1つまたはそれを上回る仮想データ値を含む、シミュレーション行であり、および/または1つまたはそれを上回る行は、実際のデータのスナップショット行である。一実施形態では、予備パラメータ部分120は、全ての行が1つまたはそれを上回る仮想データ値を含むシミュレーション行であるかどうか、または全ての行が実際のデータのスナップショット行であるかどうか、または1つまたはそれを上回る仮想データ値を含むシミュレーション行および実際のデータのスナップショット行の混合物があるかどうかにかかわらず、データの複数の行を表示することができる。本実施形態では、予備パラメータ部分120は、データの複数の行の全てが、予備パラメータ部分120の可視部分を通して行をスクロールすることによって視認可能であるように、スクローリング特徴を提供され、現在可視ではない、予備パラメータ部分120の残りの部分は、表示の中へスクロールされるまでメモリアセンブリ50に記憶される。加えて、予備パラメータ部分120は、表形式で、またはデータ行列として表示されるデータがまた、ユーザのために動向を強調表示するよう経時的にグラフとして表示され得るように、付加的表示空間または付加的表示モニタを提供されてもよい。
方法実施形態
【0105】
第1の非限定的方法実施形態によると、計算シミュレーション監視方法が、患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量を計算、シミュレーション、および/または監視するために提供され、本方法は、(a)データ入力を受信するように構成されるインターフェースを介してデータを入力するステップであって、入力されたデータは、患者入力パラメータ、灌流入力パラメータ、酸素送達入力パラメータ、酸素消費量入力パラメータ、および二酸化炭素産生入力パラメータから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する、ステップと、(b)1つまたはそれを上回る入力パラメータに対応してインターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサを使用して、1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算するステップであって、1つまたはそれを上回る出力値は、1つまたはそれを上回る患者形態値、1つまたはそれを上回る血管流体値、1つまたはそれを上回る酸素送達値、1つまたはそれを上回る酸素消費量値、および1つまたはそれを上回る二酸化炭素産生値から成る群から選択される、ステップと、(c)モニタ表示アセンブリを使用して、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値を表示するステップであって、モニタ表示アセンブリは、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、ステップとを含む。第2の非限定的な例証的方法実施形態では、第1の非限定的方法実施形態は、インターフェースを介して入力される、あるデータが、インターフェースの手動インターフェース部分を介して手動で入力され、インターフェースを介して入力される、あるデータが、インターフェースのマシンインターフェース部分を介して入力される、センサ導出データであるように、修正される。
【0106】
第3の非限定的な例証的方法実施形態によると、第1および第2の非限定的方法実施形態はさらに、患者入力パラメータが、患者の身長および患者の体重を含み、少なくとも1つの患者形態値が、患者の体表面積値を含むように修正される。第4の非限定的な例証的方法実施形態によると、第1、第2、および第3の非限定的方法実施形態はさらに、灌流入力パラメータが、患者の単位体重あたりの心臓バイパス前血液量、患者の心臓バイパス前ヘマトクリット、プライミング量、およびプライムオフ量を含むように修正される。第5の非限定的な例証的方法実施形態によると、第1、第2、第3、および第4の非限定的方法実施形態はさらに、灌流入力パラメータがさらに、濃厚赤血球のヘマトクリット、濃厚赤血球注入の量、および新鮮凍結血漿注入および/または体積膨張流体の量を含み、少なくとも1つの血管流体値が、心臓内バイパスヘマトクリット値または心臓内バイパスヘモグロビン値を含むように修正される。
【0107】
第6の非限定的な例証的方法実施形態によると、第1、第2、第3、第4、および第5の非限定的方法実施形態は、酸素送達入力パラメータが、SaOおよびPaOを含み、酸素消費量入力パラメータが、SvOおよびPvOを含むように修正される。第7の非限定的な例証的方法実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、および第6の非限定的実施形態はさらに、少なくとも1つの酸素送達値が、心臓バイパスポンプ流量、SaO、およびPaOの関数であり、少なくとも1つの酸素消費量値が、心臓バイパスポンプ流量、SvO、およびPvOの関数であり、プロセッサがまた、酸素消費量(VO)に対する酸素送達(DO)の比、またはインデックス付き酸素消費量(VO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比、または両方の比を計算するように修正される。
【0108】
第8の非限定的な例証的方法実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、および第7の非限定的方法実施形態は、二酸化炭素産生入力パラメータが、人工心肺装置の人工肺の呼気COおよびスイープガス流量(Qs)を含むように修正される。第9の非限定的な例証的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8の非限定的実施形態はさらに、少なくとも1つの二酸化炭素産生値が、人工心肺装置の人工肺の呼気COおよびスイープガス流量(Qs)の関数であり、プロセッサがまた、二酸化炭素産生(VCO)に対する酸素送達(DO)の比、またはインデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比、または二酸化炭素産生(VCO)に対する酸素送達(DO)の比およびインデックス付き二酸化炭素産生(VCO2i)に対するインデックス付き酸素送達(DO2i)の比の両方を計算するように修正される。
【0109】
第10の非限定的な例証的方法実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、および第9の非限定的実施形態は、インターフェースが、ユーザによる1つまたはそれを上回る入力パラメータのうちの少なくとも1つの手動入力のために構成される、手動入力部分を含むように修正される。第11の非限定的な例証的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、および第10の非限定的実施形態はさらに、手動入力部分が、ユーザによる複数の入力パラメータの手動入力のために構成されるように修正され、入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力である。第12の非限定的な例証的実施形態によると、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の非限定的実施形態はさらに、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値が、両方ともディスプレイ上に表示される、少なくとも1つの実際の出力値と、少なくとも1つの予測転帰出力値とを含むように修正され、少なくとも1つの予測転帰出力値は、臨床シミュレーションに対応する。
【0110】
したがって、本明細書に開示される1つまたはそれを上回る方法実施形態によると、手動で入力される実(実際の)および仮想データは、患者に対応する臨床パラメータの実際の出力値を判定するとともに、リアルタイムで(すなわち、心肺バイパス手術の経過中に)臨床シミュレーションに基づいて仮想予測転帰出力値を原位置で判定するために、計算においてセンサ導出データと組み合わせられてもよい。このようにして、臨床シミュレーションに関する仮想情報が計算されるのと同時に、患者の臨床ステータスに関する実際の情報が、心肺バイパス手技中に収集されて監視されてもよい。仮想情報の選択は、心肺バイパス手術の経過中または別の種類の体外バイパス循環手技中等の外科的および/または内科的手技中に、リアルタイムで収集される監視されたデータに基づく。センサ導出データおよび計算されたデータの組み合わせは、心肺バイパス手技および他の体外バイパス循環手技に続く罹患率および死亡率を最小限にするよう、心肺バイパス手技または体外バイパス循環手技中の患者の臨床管理を最適化することに関して、外科/内科チームを誘導してもよい。
【0111】
図5は、本明細書に開示されるシミュレーション方法の実施形態に関するフロー図を提供する。図5のフロー図によると、グラフィカルユーザインターフェースは、第1のステップ150において準備完了モードである。そのようなグラフィカルユーザインターフェースは、図4のグラフィカルユーザインターフェースの特徴を有するように構築されるものであってもよい。第2のステップ152では、ユーザは、シミュレータ120と称され得る、シミュレーションされたパラメータ部分120のデータフィールド122にシナリオIDを入力する。続いて、ステップ154では、実際の患者パラメータが、静的パラメータ部分70およびシミュレータ120の適切なデータポータルに入力される。例えば、身長および体重等の患者パラメータは、それぞれ、データポータル74および76に手動で入力される。実際のデータに関する全ての静的および動的パラメータが入力されるまで、単位体重あたりのCPB前血液量およびCPB前HCT等の他のパラメータが、それぞれ、データポータル78および80に手動で入力される等である。本ステップ154では、実際のデータのスナップショットが、センサ導出データを、または前もって手動で入力されたデータを、シミュレータのあるデータフィールドに適切に投入するために使用され得るときを除いて、データポータルは、手動入力データを投入される。データがデータポータル124、126、128、130、132、134、136、および138に自動投入されるとき、これらのデータポータルおよびデータウィンドウのためのデータのソースは、それぞれ、連続的に監視されるデータフィールドである、監視されたパラメータ部分90の対応するデータフィールド96、98、100、102、104、106、108、および110である。
【0112】
ステップ156では、仮想流体および輸血パラメータは、pRBC輸血および/または流体注入および/または心臓ポンプ速度の変化に関するシミュレーションが追求され、計算された臨床的に関連する転帰パラメータへのそれらの予測される影響が判定され得るように、シミュレータ120のデータポータルを介して入力されてもよい。ステップ158では、SaO、PaO、SvO、およびPvO等の動脈および静脈血ガスパラメータに関する仮想データ、およびexpCOおよびQs等の換気に関するパラメータに関する仮想データは、血液ガスパラメータおよび/または換気パラメータの変化に関するシミュレーションが起動され、計算された臨床的に関連する転帰パラメータへのそれらの予測される影響が判定されることができるように、シミュレーションされたパラメータ部分120の適切なデータポータルに入力されてもよい。ステップ156および158は、別個のステップとして示されているが、これら2つのステップは、本開示の実施形態では、組み合わせられてもよい。ステップ160では、複数のシミュレーションを起動することの結果が比較される。例えば、患者のBSAにインデックスを付けられる、計算された酸素化および二酸化炭素産生変数は、DO2i/VO2iおよびDO2i/VCO2i等のインデックス付き比に関して図4に示されるように、種々の異なる仮想シナリオの比として比較されてもよい。当然ながら、本開示の他の実施形態では、DO2、VO2、およびVCO2、および/またはDO2i、VO2i、およびVCO2iの計算された値が、比を用いることなく視覚的に比較され得るように、これらの値は、ステップ160の一部として表示アセンブリ48によって表示されてもよい。
【0113】
ステップ162では、シミュレータ方法は、ユーザがシミュレーションのための別のシナリオを開始することを可能にし、それによって、ステップ152に戻る。この場合、本方法は、ステップ152-160を繰り返す。ステップ162で、ユーザが別のシナリオを開始しないことを選定する場合には、シミュレータ120は、ステップ150のように、準備完了モードのままであってもよい。
【0114】
本開示の別の方法実施形態によると、患者監視中に原位置で患者の1つまたはそれを上回る臨床的に関連するパラメータを計算、シミュレーション、および/または監視するための計算シミュレーション監視方法が提供され、これらの臨床的に関連するパラメータのうちの少なくとも1つは、複数のデータ入力パラメータの関数であり、本方法は、(a)複数の入力パラメータのデータ入力を受信するように構成されるインターフェースを介してデータを入力するステップであって、インターフェースを介して入力される、あるデータは、インターフェースの手動インターフェース部分を介して手動で入力される、患者データであり、複数の患者監視センサは、インターフェースを介して入力される、あるデータが、マシンインターフェース部分を介して入力されるセンサ導出データであるように、データをインターフェースのマシンインターフェース部分に入力するように動作可能に接続され、インターフェースはさらに、スナップショット機構を備える、ステップと、(b)モニタ表示アセンブリ上に複数の入力パラメータの値を表示するステップであって、複数の入力パラメータは、手動で入力された患者データと、センサ導出入力データとを含む、ステップと、(c)スナップショット機構をアクティブ化し、複数の入力パラメータの表示された値をシミュレータポータルの中へ自動投入するステップと、(d)仮想データ入力をプロセッサに提供するよう、シミュレータポータルの自動投入値のうちの少なくとも1つを修正し、次いで、仮想データ入力に基づいて、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を計算するためにプロセッサを採用するステップと、(e)モニタ表示アセンブリ上にプロセッサによって計算される少なくとも1つの予測転帰出力値を表示するステップとを含む。本方法によって採用されるセンサは、図1Bのセンサのうちのいずれかまたは全てを含んでもよい。スナップショット機構は、心肺バイパス手技または他の体外循環バイパス手技(例えば、MECC手技、ECMO手技、PALP手技、および透析)中等の内科的および/または外科的手技中の特定の時間に選択される複数の入力パラメータを伴う表示された値を自動投入するように、灌流技師、臨床医、または他の医療提供者によって選択的にアクティブ化されてもよい。
【0115】
実施形態では、本計算シミュレーション監視方法はさらに、(f)少なくとも1つの予測転帰出力値に基づいて臨床介入を開始するステップを含むように修正されてもよい。本開示の別の実施形態では、計算シミュレーション監視方法は、代わりに、(f)複数の入力パラメータを備える入力されたデータに基づいて、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する出力値を計算するステップであって、プロセッサは、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する出力値の計算を行う、ステップと、(g)モニタ表示アセンブリ上にプロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る臨床的に関連する出力値を表示するステップとを含むように修正されてもよい。本修正された方法はさらに、(h)臨床介入が、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する転帰値および少なくとも1つの予測転帰値に基づいて開始されるように、さらに修正され得る、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する出力値に基づいて臨床介入を開始するステップを含むように修正されてもよい。本開示によると、臨床介入は、濃厚RBC輸血、流体の注入、および動脈ポンプ速度Qp、換気ガスの流速Qs等の体外循環システムの変化する動作パラメータ、または患者の臨床的に関連する転帰パラメータに影響を及ぼすことが臨床医によって合理的に知られる、または考えられる任意の介入を含むが、それらに限定されない、本明細書に説明される臨床介入およびそれらの組み合わせのうちのいずれかを含む。
モニタ実施形態
【0116】
図6Aおよび6Bに示されるような実施形態によると、患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量に関する、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する転帰パラメータを連続的に計算して監視するように動作可能である、酸素送達および消費量計算および監視システム168が提供され、システム168は、図1Bに示されるような計算シミュレーション監視システム12と同様に、静脈血センサ28、動脈血センサ29、流量計30(または心臓ポンプがローラポンプである場合はローラポンプのRPMベースの流速測定システム)、COセンサまたはカプノグラフ32、HCTセンサ34(またはHbセンサ)、およびスイープガス流量計64に接続される。したがって、静脈血センサ28は、SvOおよびPvOを酸素送達および消費量計算および監視システム168のプロセッサ170に入力するよう、マシンインターフェース部分44に接続され、静脈血センサ28は、SvOを測定するセンサ構成要素を伴って、かつPvOを測定するセンサ構成要素を伴って構築される。動脈血センサ29は、SaOおよびPaOを酸素送達および消費量計算および監視システム168のプロセッサ170に入力するよう、マシンインターフェース部分44に接続され、動脈血センサ29は、SaOを測定するセンサ構成要素を伴って、かつPaOを測定するセンサ構成要素を伴って構築される。
【0117】
システム168はまた、動脈ポンプ速度Qpに関するデータがプロセッサ170に連続的に入力されるように、マシンインターフェース部分44を介して流量計30(または心臓ポンプがローラポンプである場合はローラポンプの流速測定システム)に接続される。システム168は、人工肺18から排出される二酸化炭素に関するデータがプロセッサ170に連続的に入力されるように、マシンインターフェース部分44を介してCOセンサまたはカプノグラフ32に接続される。システム168は、患者のヘマトクリットおよび/またはヘモグロビンに関するデータがプロセッサ170に連続的に入力されるように、マシンインターフェース部分44を介してHCTセンサ34(またはHbセンサ)に接続される。システム168は、人工肺18に供給される換気ガスの流速Qsに関するデータがプロセッサ170に連続的に入力されるように、マシンインターフェース部分44を介してスイープガス流量計64に接続される。
【0118】
プロセッサ170は、センサ28、29、30、32、34、および64からの種々のデータ入力に基づいて、患者の酸素送達、または酸素消費量、または酸素送達および酸素消費量に関する1つまたはそれを上回る臨床的に関連する転帰パラメータを計算するように構築および/またはプログラムされる。式(10)、(11)、(12)、(13)、および(14)を使用して、プロセッサ170は、酸素送達DO2、酸素消費量VO2、および二酸化炭素産生VCO2に関して、連続様式で値を計算して出力する。さらに、プロセッサ170は、酸素消費量に対する酸素送達の比、すなわち、DO2/VO2、および/または二酸化炭素産生に対する酸素送達の比、すなわち、DO2/VCO2等の臨床的に関連する転帰パラメータに関して、連続様式で値を計算して出力してもよい。実施形態では、システム168のグラフィカルユーザインターフェースが、それぞれ、患者の体重および身長を入力するためのデータポータル74および75を提供されるため、患者のBSAにインデックスを付けられる値が、プロセッサ170によって提供される。
【0119】
実施形態では、システム168は、計算された出力が、即時監視目的のために表示されるとともに、医療専門家または他のユーザによる以降の参照、精査、および/または読出のために記憶され得るように、表示アセンブリ48およびメモリアセンブリ50の両方を提供される。実施形態では、本システムは、即時監視目的のために表示アセンブリ48を提供されるが、しかしながら、メモリアセンブリ50は、計算を行う目的のためのみに十分である。計算された値は、医療専門家または他のユーザによる以降の精査および/または参照のために記憶されないが、即時および連続監視目的のために一過性の様式で表示アセンブリ48によって表示されるのみである。実施形態では、メモリアセンブリ50は、長期メモリ記憶能力を含み、表示アセンブリ48は、計算された出力が、経時的な計算された出力データの中のユーザ動向について強調表示するために経時的にグラフで表示され得るように、付加的表示空間および/または付加的表示モニタを含む。
【0120】
図6Aおよび6Bに示されるように、酸素送達および消費量計算および監視システム168のグラフィカルユーザインターフェースの実施形態は、身長データを入力するためのデータポータル74と、体重データを入力するためのデータポータル76とを含む、静的パラメータ部分180を含む、手動インターフェース部分42を含んでもよい。カーソル、キーパッド、または他のデータ入力デバイスを伴うキーボードが提供されてもよいため、ユーザは、適切なデータポータルに数値身長データおよび数値体重データを入力してもよい。キーボードは、システム168に動作可能に接続された物理的に別個のデバイスであってもよい、またはLCD画面等の電子グラフィカルユーザインターフェースの中へ統合されたタッチスクリーンキーボードであってもよい。グラフィカルユーザインターフェースはまた、データウィンドウのみを含む、監視されたパラメータ部分190も含む。各データウィンドウは、適切なセンサからのセンサ導出データを自動的に投入される。例えば、データウィンドウ192は、流量計30からの(または心臓ポンプがローラポンプである場合はローラポンプのRPMベースの流速測定システムからの)心臓ポンプ流量データを投入される。データウィンドウ194は、動脈血センサ29のセンサ構成要素からのSaOデータを投入され、データウィンドウ196は、動脈血センサ29の別のセンサ構成要素からのPaOデータを投入される。データウィンドウ198は、静脈血センサ28のセンサ構成要素からのSvOデータを投入され、データウィンドウ200は、静脈血センサ29の別のセンサ構成要素からのPvOデータを投入される。データウィンドウ202は、COセンサまたはカプノグラフ32からのexpCOデータを投入される。データウィンドウ204は、スイープガス流量計64からの換気ガス流速Qsデータを投入される。データウィンドウ206は、HCTセンサ34(またはHbセンサ)によって提供される、またはそこから導出される、HCTデータまたはHbデータを投入される。
【0121】
監視されたパラメータ部分190は、プロセッサ170からの計算された結果パラメータが連続監視目的のために表示される、複数の結果ウィンドウを含む。例えば、結果ウィンドウ208は、計算された酸素送達DO2またはインデックス付き酸素送達DO2iを表示する。結果ウィンドウ210は、計算された酸素消費量VO2またはインデックス付き酸素消費量VO2iを表示する。結果ウィンドウ212は、計算された二酸化炭素産生VCO2またはインデックス付き二酸化炭素産生VCO2iを表示する。結果ウィンドウ214は、酸素消費量に対する酸素送達の比DO2/VO2を表示し、結果ウィンドウ216は、二酸化炭素産生に対する酸素送達の比DO2/VCO2を表示する。BSA/BSA=1であるため、比がインデックス作成を脱落させるため、ウィンドウ214および216内に表示される結果はまた、それぞれ、インデックス付き比DO2i/VO2iおよびDO2i/VCO2iにも対応する。ウィンドウ208、210、212、214、および216内に表示される結果は、連続的に計算されて連続的に表示され、それによって、1つまたはそれを上回る臨床的に関連する転帰パラメータの連続監視、および1つまたはそれを上回る臨床的に関連する転帰パラメータを計算するために使用されるセンサ導出データの連続監視を可能にするシステム168を臨床医に提供する。
【0122】
システム168が患者CPB HCTおよび/またはCPB Hbのそのソースに関するセンサ導出データのみを利用するため、プロセッサ170は、血液量、注入される流体の量等に関する患者の灌流パラメータに基づいてCPB HCTおよび/またはCPB Hbを計算する回路および/またはプログラミングを含む必要はない。プロセッサ170はまた、システム168がシステム12のように臨床シミュレーションを行わないため、シミュレーションを行う回路および/またはプログラミングを含む必要もない。
【0123】
実施形態では、システム168は、データウィンドウによって表示されるセンサ導出データおよび結果ウィンドウによって表示される計算された結果値が色で表示されるように、グラフィカルユーザインターフェースの表示アセンブリ48の構成要素としてLCDディスプレイを採用する。本構造を用いると、個別の正常範囲内に入るセンサ導出データおよび計算された結果値が、1つの色、例えば、緑で表示されてもよい一方で、正常範囲外になるが第1の着目範囲(すなわち、第1の逸脱範囲)内に入る、データウィンドウによって表示されるセンサ導出データおよび計算された結果値は、例えば、黄等の第2の色で表示される。さらに、正常範囲外かつ第1の着目範囲外になる、センサ導出データおよび計算された結果値は、正常からのさらなる逸脱(すなわち、第2の逸脱範囲)を示すように、赤等の第3の色で表示される。このようにして、システム168は、センサ導出データ入力から判定される臨床的に関連する転帰パラメータに関する、正常、異常、および漸進的に逸脱したセンサ導出データ値および計算された結果値に関して、監視機能および警告機能を果たす。
【0124】
酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムに関する1つまたはそれを上回る実施形態が説明されているが、本開示は、そのようなシステムに限定されない。例えば、図1Bおよび3に図示されるシステムは、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システムに関するが、しかしながら、本開示のある実施形態によると、本システムが、CPB内ヘモグロビン等の患者の灌流パラメータを計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、灌流計算シミュレーション監視システムを構成するように、本システムは、BSA計算回路52および流体計算回路54、およびこれらの回路に対応する入力のみを採用するように修正されてもよい。そのような灌流計算シミュレーション監視システムは、患者入力パラメータおよび灌流入力パラメータから成る群から選択される、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースと、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する受信されたデータ入力に対応してインターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、プロセッサは、1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて、1つまたはそれを上回る出力値を計算し、1つまたはそれを上回る出力値は、少なくとも1つの患者形態値および少なくとも1つの血管流体値から成る群から選択される、プロセッサと、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、モニタ表示アセンブリは、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、モニタ表示アセンブリとを含んでもよい。
【0125】
本灌流計算シミュレーション監視システムの実施形態によると、入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力であり、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値は、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を含み、少なくとも1つの予測転帰出力値は、ディスプレイ上に表示される。灌流計算シミュレーション監視システムのプロセッサはまた、少なくとも1つの実際の出力値が監視され、少なくとも1つの予測転帰値と比較され得るように、少なくとも1つの予測転帰出力値とともにディスプレイ上に同様に表示される、少なくとも1つの実際の出力値を計算してもよい。灌流計算シミュレーション監視システムの実施形態では、少なくとも1つの予測転帰出力値は、患者のCPB内ヘモグロビンまたはヘマトクリットである。
【0126】
より広義には、本開示のある実施形態によると、患者の1つまたはそれを上回る臨床パラメータを計算、シミュレーション、および監視することを対象とした1つまたはそれを上回る機能を果たすように動作可能である、臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムが提供され、これらの臨床パラメータはそれぞれ、複数のデータ入力パラメータの関数である。本臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムは、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関するデータ入力を受信するように構成される、インターフェースと、1つまたはそれを上回る入力パラメータに関する受信されたデータ入力に対応してインターフェースからデータ信号を受信するように動作可能に接続される、プロセッサであって、プロセッサは、1つまたはそれを上回る入力パラメータに基づいて1つまたはそれを上回る出力値を計算し、1つまたはそれを上回る出力値は、臨床的に関連する転帰パラメータに関する、プロセッサと、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値を受信するように動作可能に接続される、モニタ表示アセンブリであって、モニタ表示アセンブリは、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値のうちの少なくとも1つを監視するために構成されるディスプレイを含む、モニタ表示アセンブリとを含んでもよい。
【0127】
本臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムの実施形態によると、入力パラメータのうちのいくつかは、実際のデータ入力であり、入力パラメータのうちのいくつかは、仮想データ入力であり、プロセッサによって計算される1つまたはそれを上回る出力値は、臨床シミュレーションに対応する少なくとも1つの予測転帰出力値を含み、少なくとも1つの予測転帰出力値は、ディスプレイ上に表示される。少なくとも1つの実際の出力値が監視され、少なくとも1つの予測転帰値と比較され得るように、そのプロセッサがまた、少なくとも1つの予測転帰出力値とともにディスプレイ上に同様に表示される、少なくとも1つの実際の出力値も計算するため、上記で説明される灌流計算シミュレーション監視システムは、臨床パラメータ計算シミュレーション監視の非限定的実施例として特徴付けられてもよい。このようにして、臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムは、リアルタイムで複数のデータ入力パラメータの関数である臨床的に関連する転帰パラメータを計算して監視することができるため、計算および監視された臨床的に関連する転帰パラメータは、以前に利用可能ではなかった様式で、臨床意思決定において臨床医によって採用されてもよい。さらに、より一般的に具現化された臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムは、予備治療介入に基づいて、複数のデータ入力パラメータの複雑な関数である、臨床的に関連する転帰パラメータに関してシミュレーションされた転帰を計算することができるため、計算されるシミュレーションされた臨床的に関連する転帰パラメータは、以前に利用可能ではなかった様式で、リアルタイムで臨床意思決定において臨床医によって採用されてもよい。
【0128】
したがって、本開示は、CPB内ヘモグロビンまたはヘマトクリットを計算、シミュレーション、および監視する、灌流計算シミュレーション監視システム等、酸素送達(DO2またはDO2i)、および/または酸素消費量(VO2またはVO2i)、および/または酸素送達および酸素消費量比(DO2/VO2、DO2i/VO2i、DO2/VCO2、DO2i/VCO2i)に関する臨床的に関連する転帰パラメータを計算、シミュレーション、および監視する、酸素送達および消費量計算シミュレーション監視システム等の、臨床的に関連する転帰パラメータを計算、シミュレーション、および監視する、臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムの非限定的な例証的実施形態を含むが、本開示は、これらの特定の実施形態に限定されない。本開示によると、プロセッサに入力される入力パラメータを適切に修正することによって、複数の入力パラメータの関数である、任意の臨床的に関連する転帰パラメータを計算、シミュレーション、および監視し、次いで、臨床的に関連する転帰パラメータを計算し、それに関してシミュレーションを行う、臨床パラメータ計算シミュレーション監視システムが構築されてもよい。このようにして、以前に可能ではなかったリアルタイムでの様式で、複数の入力変数の複雑な関数である、臨床的に関連する転帰パラメータを計算、シミュレーション、および監視することが可能になる。
【0129】
システムおよび方法が、本開示内で、ある実施形態を参照して説明されているが、当業者は、添付の請求項によって定義されるような本発明の範囲および精神内に留まりながら、追加、削除、代用、および改良が行われ得ることを認識するであろう。
定義および略称
【0130】
本開示に関して、以下の定義および略称が採用される。
【0131】
動脈酸素圧PaO(mmHg)は、動脈血中の溶解酸素の分圧の尺度である。正常なPaOは、85~100mmHgである。
【0132】
動脈血酸素飽和度SaO(%)は、人工心肺装置の人工肺から出て行く動脈血中のヘモグロビンに結合された酸素の量の尺度である。
【0133】
体表面積(BSA、m)は、人体の表面積であり、外科または救命救急設定において患者の血流要件を判定する際に使用される補助である。
【0134】
心肺バイパス法(CPB)は、血液の酸素化および/または二酸化炭素の除去が、患者の天然肺による代わりに人工心肺装置の人工肺によって行われるように、患者内の血流が、全体的または部分的のいずれかにおいて、心臓への静脈流入から大動脈基部または左心室へ方向転換される、外科的技術に関する。本開示の目的のために、心肺バイパス法という用語は、血液の酸素化および/または二酸化炭素の除去が、患者の天然肺による代わりにECMOシステムの人工肺によって行われるように、同様に、全体的または部分的のいずれかにおいて、心臓への静脈流入を患者の動脈循環に方向転換する、体外膜型酸素供給(ECMO)技術を範囲に包含する。
【0135】
呼気中二酸化炭素(expCO、mmHg)は、人工肺から吐き出される排出ガス中の二酸化炭素の尺度である。
【0136】
ヘマトクリット(HCT、%)は、赤血球(RBC)から成る血液の体積百分率(%)である。正常なHCTは、男性については約45%、女性については約40%である。
【0137】
ヘモグロビン(Hb、g/dl)は、血液中のヘモグロビンの量である。正常は、男性については13.8gm/dl~17.2gm/dl、女性については12.1gm/dl~15.1gm/dlである。
【0138】
混合静脈酸素圧PvO(mmHg)は、人工心肺装置に戻る静脈血中の溶解酸素の分圧の尺度である。正常なPvOは、35~42mmHgである。
【0139】
混合静脈血酸素飽和度SvO(%)は、人工心肺装置に戻る静脈血中のヘモグロビンに結合された酸素の量の尺度である。正常なSvOは、60~80%である。
【0140】
ポンプ流量(Qp、l/分)は、遠心ポンプであるか、またはローラポンプであるかにかかわらず、動脈血ポンプによって提供される血液の流量である。
【0141】
換気ガス流速Qs(l/分)は、人工肺内で、血液を酸素化し、血液から二酸化炭素を除去するために、人工肺に進入する換気ガス(スイープガスとも称される)の流速である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B