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特許7084550液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20220607BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20220607BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220607BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20220607BHJP
   C08F 299/00 20060101ALI20220607BHJP
   C09J 133/08 20060101ALN20220607BHJP
   C09J 163/02 20060101ALN20220607BHJP
   C09J 163/10 20060101ALN20220607BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
C09K3/10 Z
C09K3/10 B
C09K3/10 E
C09K3/10 L
C09J11/06
C08F2/50
C08F299/00
C09J133/08
C09J163/02
C09J163/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021515229
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2021007996
(87)【国際公開番号】W WO2021177316
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2020035924
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020090414
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020189554
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】梁 信烈
(72)【発明者】
【氏名】山脇 大輝
(72)【発明者】
【氏名】林 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】松井 慶枝
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-527339(JP,A)
【文献】特開2009-227955(JP,A)
【文献】国際公開第2011/122025(WO,A1)
【文献】特開2011-215362(JP,A)
【文献】特開2009-114424(JP,A)
【文献】特開2008-179797(JP,A)
【文献】国際公開第2015/152030(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F、C09J、C08G59
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂と光重合開始剤とを含有する液晶表示素子用シール剤であって、
前記光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする液晶表示素子用シール剤
【化1】
式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、結合手、アリーレン基を有する構造、又は、ヘテロアリーレン基を有する構造である。
【請求項2】
前記光重合開始剤は、下記式(4)で表される化合物を含む請求項1記載の液晶表示素子用シール剤
【化2】
【請求項3】
前記光重合開始剤は、下記式(11)で表される化合物を含む請求項1記載の液晶表示素子用シール剤
【化3】
【請求項4】
前記式(1)で表される化合物の含有量が、前記硬化性樹脂100重量部に対して0.01重量部以上5重量部以下である請求項1、2又は3記載の液晶表示素子用シール剤
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4記載の液晶表示素子用シール剤の硬化物、又は、請求項記載の上下導通材料の硬化物を有する表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる表示素子用シール剤、液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、表示素子、電子部品用接着剤、及び、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を有する表示素子として、液晶表示素子や有機EL表示素子等が広く利用されている。このような表示素子や他の電子装置では、通常、液晶や発光層の封止、各種電子部品の接着等に硬化性樹脂組成物が用いられている。
例えば、液晶表示素子の製造においては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、シール剤として特許文献1、特許文献2に開示されているような硬化性樹脂組成物を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより枠状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を貼り合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-133794号公報
【文献】国際公開第02/092718号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器が普及している現代において、装置の小型化は最も求められている課題である。装置の小型化の手法としては、液晶表示部の狭額縁化が挙げられ、例えば、シール部の位置をブラックマトリックス下に配置することが行われている(以下、狭額縁設計ともいう)。
しかしながら、狭額縁設計ではシール剤がブラックマトリックスの直下に配置されるため、滴下工法を行うと、シール剤を光硬化させる際に照射した光が遮られ、シール剤の内部まで光が到達せず硬化が不充分となるという問題があった。このようにシール剤の硬化が不充分となると、未硬化のシール剤成分が液晶中に溶出し、液晶汚染が発生するという問題があった。
また、通常、シール剤を光硬化させる方法として紫外線の照射が行われているが、特に液晶滴下工法においては、液晶を滴下した後にシール剤を硬化させるため、紫外線を照射することによって液晶が劣化するという問題があった。そこで、紫外線による液晶の劣化を防止するため、長波長の光に対する反応性に優れる光重合開始剤を配合し、カットフィルター等を介した光照射によりシール剤を硬化させることが行われている。また、シール剤に光を照射する際には、表示素子にダメージを与えないように、通常、素子にマスクを被せて露光が行われているが、近年、マスクをせずに露光ができるように、エネルギーの小さい可視光を照射して硬化させることのできるシール剤が求められている。
【0005】
一方、他の電子装置に用いられる電子部品用接着剤においても、紫外線を照射して硬化させる際、周辺の他部材に光による劣化等を引き起こすおそれがあるため、該電子部品用接着剤を長波長の光で硬化させることが検討されている。
【0006】
本発明は、可視光硬化性及び接着性に優れ、かつ、液晶表示素子用シール剤に用いた場合には低液晶汚染性にも優れる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を含有する表示素子用シール剤、液晶表示素子用シール剤、及び、上下導通材料、並びに、該表示素子用シール剤の硬化物、該液晶表示素子用シール剤の硬化物、又は、該上下導通材料の硬化物を有する表示素子を提供することを目的とする。更に、本発明は、該硬化性樹脂組成物を含有する電子部品用接着剤、及び、該電子部品用接着剤の硬化物で接着された電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、硬化性樹脂と光重合開始剤とを含有する液晶表示素子用シール剤であって、上記光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物を含む液晶表示素子用シール剤である。
【0008】
【化1】
【0009】
式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。式(1)中、Rは、結合手、アリーレン基を有する構造、又は、ヘテロアリーレン基を有する構造である。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
液晶表示素子用シール剤として用いる硬化性樹脂組成物に長波長の光に対する反応性に優れる光重合開始剤を配合し、波長420nmを超える可視光領域の光により光硬化させた場合、シール剤により液晶が汚染されることがあるという問題があった。また、電子部品用接着剤に長波長の光に対する反応性に優れる光重合開始剤を配合し、波長420nmを超える可視光領域の光により光硬化させた場合、接着性が充分に得られないことがあるという問題があった。
そこで本発明者は、硬化性樹脂組成物に配合する光重合開始剤として特定の構造を有する化合物を用いることを検討した。その結果、可視光硬化性及び接着性に優れ、かつ、液晶表示素子用シール剤に用いた場合には低液晶汚染性にも優れる硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。
上記光重合開始剤は、上記式(1)で表される化合物を含む。上記光重合開始剤として上記式(1)で表される化合物を用いることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、可視光硬化性及び接着性に優れ、かつ、液晶表示素子用シール剤に用いた場合には低液晶汚染性にも優れるものとなる。
【0012】
上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。
上記Rが炭素数1~20のアルキル基である場合、該アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
上記Rがシクロアルキル基である場合、該シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロブチル基等が挙げられる。
上記Rがアラルキル基である場合、該アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記Rが複素環基である場合、該複素環基としては、例えば、2-ベンゾフラニル基等が挙げられる。
上記Rがアリール基である場合、該アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
上記極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、本発明の硬化性樹脂組成物を電子部品の接着等に用いる場合、周辺環境にカチオン成分が多くなることから、該カチオン成分の補足が可能であるという観点でカルボキシル基が好ましい。
【0013】
上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。
上記Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。
上記Rがシクロアルキル基である場合、該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基は、アルキル基を有していてもよい。
上記Rがアラルキル基である場合、該アラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基等が挙げられる。
上記Rが複素環基である場合、該複素環基としては、例えば、2-ベンゾチオフェニル基等が挙げられる。
上記Rがアリール基である場合、該アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
上記極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、本発明の硬化性樹脂組成物を電子部品の接着等に用いる場合、周辺環境にカチオン成分が多くなることから、該カチオン成分の補足が可能であるという観点でカルボキシル基が好ましい。
上記Rが極性基を有するアルキル基である場合、該極性基を有するアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、2-カルボキシエチル基等が挙げられる。
上記Rが極性基を有するシクロアルキル基である場合、該極性基を有するシクロアルキル基としては、例えば、2-カルボキシシクロヘキシル基、2-カルボキシ-4-メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0014】
上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリール基であり、該炭素数1~20のアルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該複素環基、及び、該アリール基は、極性基を有していてもよい。
上記Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。上記アルキル基は、アリール基を有していてもよい。
上記Rがシクロアルキル基である場合、該シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記Rがアラルキル基である場合、該アラルキル基としては、例えば、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記Rが複素環基である場合、該複素環基としては、例えば、2-チエニル基等が挙げられる。
上記Rがアリール基である場合、該アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。上記極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、本発明の硬化性樹脂組成物を電子部品の接着等に用いる場合、周辺環境にカチオン成分が多くなることから、該カチオン成分の補足が可能であるという観点でカルボキシル基が好ましい。
上記Rが極性基を有するアルキル基である場合、該極性基を有するアルキル基としては、例えば、1-カルボキシエチル基、2-カルボキシエチル基、1-カルボキシプロピル基、3-カルボキシプロピル基、1-カルボキシペンチル基、カルボキシ(フェニル)メチル基等が挙げられる。
【0015】
上記式(1)中、Rは、結合手、アリーレン基を有する構造、又は、ヘテロアリーレン基を有する構造である。
上記Rがアリーレン基を有する構造である場合、該アリーレン基としては、例えば、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基等が挙げられる。上記アリーレン基を有する構造としては、具体的には例えば、下記式(2-1)~(2-5)で表される構造等が挙げられる。
上記Rがヘテロアリーレン基を有する構造である場合、該ヘテロアリーレン基としては、例えば、チエニレン基、フラニレン基、ピリジレン基等が挙げられる。なかでも、チエニレン基が好ましい。上記ヘテロアリーレン基を有する構造としては、具体的には例えば、下記式(3-1)~(3-6)で表される構造等が挙げられる。
【0016】
【化2】
【0017】
式(2-1)~(2-5)中、*は、結合位置を表す。
【0018】
【化3】
【0019】
式(3-1)~(3-6)中、*は、結合位置を表す。
【0020】
上記式(1)で表される化合物としては、可視光に対する反応性及び低液晶汚染性により優れることから、下記式(4)~(9)で表される化合物、上記式(1)中のR及びRの少なくとも一方が下記式(10)で表される基である化合物が好ましく、下記式(4)で表される化合物、上記式(1)中のR及びRの少なくとも一方が下記式(10)で表される基である化合物がより好ましい。
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
式(10)中、Rは、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基、シクロアルキレン基、アラルキレン基、複素環基、又は、エーテル結合若しくはアミド結合を有していてもよいアリーレン基であり、*は、結合位置を表す。
【0029】
上記式(1)中のR及びRの少なくとも一方が上記式(10)で表される基である化合物としては、下記式(11)で表される化合物が好ましい。
【0030】
【化11】
【0031】
上記式(1)で表される化合物の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が5重量部である。上記式(1)で表される化合物の含有量が0.01重量部以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が可視光硬化性により優れるものとなる。上記式(1)で表される化合物の含有量が5重量部以下であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が液晶表示素子用シール剤に用いた場合に低液晶汚染性により優れるものとなる。上記式(1)で表される化合物の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は2重量部である。
【0032】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル化合物を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記(メタ)アクリル化合物は、反応性の観点から1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するものが好ましい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。また、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。更に、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
【0033】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られるもの等が挙げられる。
【0037】
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、スルフィド型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、アルキルポリオール型エポキシ化合物、ゴム変性型エポキシ化合物、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0038】
上記ビスフェノールA型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、jER828EL、jER1004(いずれも三菱ケミカル社製)、EPICLON EXA-850CRP(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、jER806、jER4004(いずれも三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、RE-810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EX-201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、jER YX-4000H(三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-50TE(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-80DE(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP4032、EPICLON EXA-4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N-770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N-670-EXP-S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、NC-3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、ESN-165S(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、jER630(三菱ケミカル社製)、EPICLON 430(DIC社製)、TETRAD-X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、ZX-1542(日鉄ケミカル&マテリアル社製)、EPICLON 726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX-611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、YR-450、YR-207(いずれも日鉄ケミカル&マテリアル社製)、エポリードPB(ダイセル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX-147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC-1312、YSLV-80XY、YSLV-90CR(いずれも日鉄ケミカル&マテリアル社製)、XAC4151(旭化成社製)、jER1031、jER1032(いずれも三菱ケミカル社製)、EXA-7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
【0039】
上記エポキシ(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、ダイセル・オルネクス社製のエポキシ(メタ)アクリレート、新中村化学工業社製のエポキシ(メタ)アクリレート、共栄社化学社製のエポキシ(メタ)アクリレート、ナガセケムテックス社製のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ダイセル・オルネクス社製のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、EBECRYL860、EBECRYL3200、EBECRYL3201、EBECRYL3412、EBECRYL3600、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL3708、EBECRYL3800、EBECRYL6040、EBECRYL RDX63182等が挙げられる。
上記新中村化学工業社製のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、EA-1010、EA-1020、EA-5323、EA-5520、EA-CHD、EMA-1020等が挙げられる。
上記共栄社化学社製のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシエステルM-600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA等が挙げられる。
上記ナガセケムテックス社製のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、デナコールアクリレートDA-141、デナコールアクリレートDA-314、デナコールアクリレートDA-911等が挙げられる。
【0040】
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多官能イソシアネート化合物に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0041】
上記多官能イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0042】
また、上記多官能イソシアネート化合物としては、ポリオールと過剰の多官能イソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長された多官能イソシアネート化合物も使用することができる。
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0043】
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記三価のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0044】
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、東亞合成社製のウレタン(メタ)アクリレート、ダイセル・オルネクス社製のウレタン(メタ)アクリレート、根上工業社製のウレタン(メタ)アクリレート、新中村化学工業社製のウレタン(メタ)アクリレート、共栄社化学社製のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記東亞合成社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、M-1100、M-1200、M-1210、M-1600等が挙げられる。
上記ダイセル・オルネクス社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、EBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL1290、EBECRYL2220、EBECRYL4827、EBECRYL4842、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL6700、EBECRYL8402、EBECRYL8803、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260等が挙げられる。
上記根上工業社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、アートレジンUN-330、アートレジンSH-500B、アートレジンUN-1200TPK、アートレジンUN-1255、アートレジンUN-3320HB、アートレジンUN-7100、アートレジンUN-9000A、アートレジンUN-9000H等が挙げられる。
上記新中村化学工業社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、U-2HA、U-2PHA、U-3HA、U-4HA、U-6H、U-6HA、U-6LPA、U-10H、U-15HA、U-108、U-108A、U-122A、U-122P、U-324A、U-340A、U-340P、U-1084A、U-2061BA、UA-340P、UA-4000、UA-4100、UA-4200、UA-4400、UA-5201P、UA-7100、UA-7200、UA-W2A等が挙げられる。
上記共栄社化学社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、AH-600、AI-600、AT-600、UA-101I、UA-101T、UA-306H、UA-306I、UA-306T等が挙げられる。
【0045】
上記硬化性樹脂は、得られる硬化性樹脂組成物の接着性を向上させること等を目的として、エポキシ化合物を含有してもよい。上記エポキシ化合物としては、例えば、上述したエポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物や、部分(メタ)アクリル変性エポキシ化合物等が挙げられる。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ化合物とは、例えば、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の一部のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とをそれぞれ1つ以上有する化合物を意味する。
【0046】
上記硬化性樹脂として上記(メタ)アクリル化合物と上記エポキシ化合物とを含有する場合、又は、上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ化合物を含有する場合、上記硬化性樹脂中の(メタ)アクリロイル基とエポキシ基との合計中における(メタ)アクリロイル基の比率を30モル%以上95モル%以下になるようにすることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基の比率がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、液晶表示素子用シール剤に用いた場合の液晶汚染の発生を抑制しつつ、接着性により優れるものとなる。
【0047】
上記硬化性樹脂は、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤に用いた場合の低液晶汚染性により優れるものとする観点から、-OH基、-NH-基、-NH基等の水素結合性のユニットを有するものが好ましい。
【0048】
上記硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0049】
本発明の硬化性樹脂組成物は、増感剤を含有してもよいが、液晶表示素子用シール剤に用いた場合の低液晶汚染性等の観点からは、上記増感剤を含有しないことが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤として上記式(1)で表される化合物を含有することにより、増感剤を含有しなくても、可視光硬化性に優れるものとなる。
【0050】
上記増感剤としては、例えば、4-(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、9,10-ジブトキシアントラセン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ベンゾフェノン、2,4-ジクロロベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等が挙げられる。
【0051】
上記増感剤を含有する場合の上記増感剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が3重量部である。上記増感剤の含有量が0.01重量部以上であることにより、増感効果がより発揮される。上記増感剤の含有量が3重量部以下であることにより、吸収が大きくなり過ぎずに深部まで光を伝えることができる。上記増感剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は1重量部である。
【0052】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、熱重合開始剤を含有してもよい。
上記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等からなるものが挙げられる。なかでも、高分子アゾ化合物からなる高分子アゾ開始剤が好ましい。
上記熱重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
なお、本明細書において上記「高分子アゾ化合物」とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイルオキシ基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
【0053】
上記高分子アゾ化合物の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量がこの範囲であることにより、硬化性樹脂と容易に混合することができる。特に、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤に用いた場合には、液晶汚染を抑制しつつ、硬化性樹脂と容易に混合することができる。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
【0054】
上記高分子アゾ化合物としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
上記高分子アゾ化合物としては、具体的には例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、VPE-0201、VPE-0401、VPE-0601、VPS-0501、VPS-1001(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ化合物としては、例えば、V-65、V-501(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
【0055】
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0056】
上記熱重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が10重量部である。上記熱重合開始剤の含有量が0.05重量部以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物が熱硬化性により優れるものとなる。上記熱重合開始剤の含有量が10重量部以下であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物が保存安定性により優れるものとなり、液晶表示素子用シール剤に用いた場合には低液晶汚染性にもより優れるものとなる。上記熱重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0057】
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化剤を含有してもよい。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0058】
上記有機酸ヒドラジドとしては、例えば、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、大塚化学社製の有機酸ヒドラジド、味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
上記大塚化学社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、SDH、ADH等が挙げられる。
上記味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアVDH-J、アミキュアUDH、アミキュアUDH-J等が挙げられる。
【0059】
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の塗布性等を悪化させることなく、熱硬化性により優れるものとすることができる。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
【0060】
本発明の硬化性樹脂組成物は、粘度の向上、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等を目的として充填剤を含有することが好ましい。
【0061】
上記充填剤としては、無機充填剤や有機充填剤を用いることができる。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、例えば、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等が挙げられる。
上記充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0062】
上記充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が30重量部、好ましい上限が80重量部である。上記充填剤の含有量がこの範囲であることにより、塗布性等を悪化させることなく、接着性の改善等の効果により優れるものとなる。上記充填剤の含有量のより好ましい下限は45重量部、より好ましい上限は65重量部である。
【0063】
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主に硬化性樹脂組成物と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
【0064】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらは、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤に用いた場合には、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができる。
上記シランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0065】
本発明の硬化性樹脂組成物100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が接着性により優れるものとなる。特に、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤に用いた場合には、液晶汚染の発生を抑制しつつ、接着性により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0066】
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、必要に応じて、反応性希釈剤、揺変剤、スペーサー、硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤等の添加剤を含有してもよい。
【0067】
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、硬化性樹脂と、光重合開始剤と、必要に応じて添加するシランカップリング剤等とを混合する方法等が挙げられる。
【0068】
本発明の硬化性樹脂組成物は、表示素子用シール剤として好適に用いられ、液晶表示素子用シール剤としてより好適に用いられる。本発明の硬化性樹脂組成物を含有する表示素子用シール剤、及び、本発明の硬化性樹脂組成物を含有する液晶表示素子用シール剤もまた、それぞれ本発明の1つである。
【0069】
本発明の硬化性樹脂組成物に導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。本発明の硬化性樹脂組成物と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
【0070】
上記導電性微粒子としては、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
【0071】
本発明の表示素子用シール剤の硬化物、本発明の液晶表示素子用シール剤の硬化物、又は、本発明の上下導通材料の硬化物を有する表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の表示素子としては、本発明の液晶表示素子用シール剤を用いてなる液晶表示素子が好ましく、狭額縁設計の液晶表示素子がより好ましい。具体的には、液晶表示部の周囲の枠部分の幅が2mm以下であることが好ましい。
また、本発明の表示素子として液晶表示素子を製造する際の本発明の液晶表示素子用シール剤の塗布幅は1mm以下であることが好ましい。
【0072】
本発明の表示素子として液晶表示素子を製造する方法としては、液晶滴下工法が好適に用いられ、具体的には例えば、以下の各工程を有する方法等が挙げられる。
まず、ITO薄膜等の電極及び配向膜を有する2枚の透明基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布して枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の液晶表示素子用シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を基板のシールパターンの枠内に滴下塗布し、真空下で他方の透明基板を重ね合わせる工程を行う。その後、本発明の液晶表示素子用シール剤のシールパターン部分にカットフィルター等を介して光を照射することにより、シール剤を光硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。また、上記シール剤を光硬化させる工程に加えて、シール剤を加熱して熱硬化させる工程を行ってもよい。
【0073】
本発明の硬化性樹脂組成物は、電子部品の接着にも好適に用いられる。本発明の硬化性樹脂組成物を電子部品用接着剤として用れば、硬化時の光照射に低エネルギーの光を用いることができるため、他部材の劣化等を抑制することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を含有する電子部品用接着剤、及び、本発明の電子部品用接着剤の硬化物で接着された電子部品もまた、それぞれ本発明の1つである。
【発明の効果】
【0074】
本発明によれば、可視光硬化性及び接着性に優れ、かつ、液晶表示素子用シール剤に用いた場合には低液晶汚染性にも優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を含有する表示素子用シール剤、液晶表示素子用シール剤、及び、上下導通材料、並びに、該表示素子用シール剤の硬化物、該液晶表示素子用シール剤の硬化物、又は、該上下導通材料の硬化物を有する表示素子を提供することができる。更に、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を含有する電子部品用接着剤、及び、該電子部品用接着剤の硬化物で接着された電子部品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0076】
(式(4)で表される化合物の合成)
N-エチルカルバゾール5重量部と、2,5-チオフェンジカルボン酸ジクロリド2.81重量部と、塩化アルミニウム3.76重量部とを、ジクロロメタン40mLに加え、室温にて終夜撹拌した。得られた反応液に、アセチルクロリド2.21重量部と、塩化アルミニウム3.76重量部とを加え、室温で更に4時間撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出した溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(A1)を得た。
得られた生成物(A1)3重量部と、塩化ヒドロキシルアンモニウム0.76重量部と、ピリジン0.86重量部とを、エタノール30mLに加え、10時間還流撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、濾過した。濾物を水で洗浄した後、酢酸エチルに溶解し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(B1)を得た。
得られた生成物(B1)1.5重量部をN,N-ジメチルホルムアミド25重量部に溶解した後、アセチルクロリド0.59重量部を加えた。得られた溶液を10℃以下に冷却しながらトリエチルアミン0.78重量部を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた反応液を水へと注いだ後、濾過した。濾物を、ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒(ジクロロメタン:ヘキサン=2:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、上記式(4)で表される化合物を得た。
なお、得られた上記式(4)で表される化合物の構造は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IRにより確認した。
【0077】
(式(9)で表される化合物の合成)
N-(2-エチルヘキシル)カルバゾール5重量部と、2,5-チオフェンジカルボン酸ジクロリド2.81重量部と、塩化アルミニウム3.76重量部とを、ジクロロメタン40mLに加え、室温にて終夜撹拌した。得られた反応液に、アセチルクロリド2.21重量部と、塩化アルミニウム3.76重量部とを加え、室温で更に4時間撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出した溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(A2)を得た。
得られた生成物(A2)3重量部と、塩化ヒドロキシルアンモニウム0.76重量部と、ピリジン0.86重量部とを、エタノール30mLに加え、10時間還流撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、濾過した。濾物を水で洗浄した後、酢酸エチルに溶解し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(B2)を得た。
得られた生成物(B2)1.5重量部をN,N-ジメチルホルムアミド25重量部に溶解した後、アセチルクロリド0.59重量部を加えた。得られた溶液を10℃以下に冷却しながらトリエチルアミン0.78重量部を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた反応液を水へと注いだ後、濾過した。濾物を、ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒(ジクロロメタン:ヘキサン=2:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、上記式(9)で表される化合物を得た。
なお、得られた上記式(9)で表される化合物の構造は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IRにより確認した。
【0078】
(式(11)で表される化合物の合成)
3-(9H-カルバゾール-9-イル)プロピオン酸エチル5重量部と、ヘキサノイルクロリド2.64重量部と、塩化アルミニウム2.62重量部とを、ジクロロメタン80mLに加え、室温にて終夜撹拌した。得られた反応液に、2,5-チオフェンジカルボン酸ジクロリド1.84重量部と、塩化アルミニウム5.24重量部とを加え、室温で更に4時間撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出した溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(A3)を得た。
エタノール20mL中の生成物(A3)4.0重量部に、20%水酸化ナトリウム水溶液2.77重量部を加え、3時間還流した。反応終了後、水50mLを加え、濃塩酸で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水及び食塩水で洗浄し、その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、生成物(B3)を得た。
得られた生成物(B3)3重量部と、塩化ヒドロキシルアンモニウム0.58重量部と、ピリジン0.65重量部とを、エタノール30mLに加え、10時間還流撹拌した。得られた反応液を氷水へと注いだ後、濾過した。濾物を水で洗浄した後、酢酸エチルに溶解し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させて濃縮し、生成物(C3)を得た。
得られた生成物(C3)1.5重量部をN,N-ジメチルホルムアミド20量部に溶解した後、アセチルクロリド0.45重量部を加えた。得られた溶液を10℃以下に冷却しながらトリエチルアミン0.59重量部を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた反応液を水へと注いだ後、ろ過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより化合物を単離することにより、上記式(11)で表される化合物を得た。
なお、得られた上記式(11)で表される化合物の構造は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IRにより確認した。
【0079】
(実施例1~11及び比較例1~3)
表1に記載された配合比に従い、各材料を遊星式撹拌機を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1~11及び比較例1~3の硬化性樹脂組成物を調製した。遊星式撹拌機としては、あわとり練太郎(シンキー社製)を用いた。
【0080】
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0081】
(UV硬化性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物100重量部にスペーサー微粒子1重量部を分散させた。スペーサー微粒子としては、ミクロパールSI-H050(積水化学工業社製)を用いた。次いで、シール剤をディスペンス用のシリンジに充填し、脱泡処理を行ってから、ディスペンサーにてガラス基板上に塗布した。ディスペンス用のシリンジとしては、PSY-10E(武蔵エンジニアリング社製)を用い、ディスペンサーとしては、SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。シール剤を塗布した基板に、真空貼り合わせ装置にて5Paの減圧下にて同サイズのガラス基板を貼り合わせた。貼り合わせたガラス基板のシール剤部分にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの光を10秒照射した。光照射は、波長340m以下の光をカットするカットフィルター(340nmカットフィルター)を介して行った。
赤外分光装置を用いてシール剤のFT-IR測定を行い、(メタ)アクリロイル基由来ピークの光照射前後での変化量を測定した。赤外分光装置としては、FTS3000(BIORAD社製)を用いた。光照射後に(メタ)アクリロイル基由来のピークが95%以上減少した場合を「◎」、90%以上95%未満減少した場合を「○」、70%以上90%未満減少した場合を「△」、光照射後の(メタ)アクリロイル基由来のピークの減少が70%未満であった場合を「×」としてUV硬化性を評価した。
【0082】
(可視光硬化性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物100重量部にスペーサー微粒子1重量部を分散させた。スペーサー微粒子としては、ミクロパールSI-H050(積水化学工業社製)を用いた。次いで、シール剤をディスペンス用のシリンジに充填し、脱泡処理を行ってから、ディスペンサーにてガラス基板上に塗布した。ディスペンス用のシリンジとしては、PSY-10E(武蔵エンジニアリング社製)を用い、ディスペンサーとしては、SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。シール剤を塗布した基板に、真空貼り合わせ装置にて5Paの減圧下にて同サイズのガラス基板を貼り合わせた。貼り合わせたガラス基板のシール剤部分にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの光を10秒照射した。光照射は、波長420m以下の光をカットするカットフィルター(420nmカットフィルター)を介して行った。
赤外分光装置を用いてシール剤のFT-IR測定を行い、(メタ)アクリロイル基由来ピークの光照射前後での変化量を測定した。赤外分光装置としては、FTS3000(BIORAD社製)を用いた。光照射後に(メタ)アクリロイル基由来のピークが95%以上減少した場合を「◎」、90%以上95%未満減少した場合を「○」、70%以上90%未満減少した場合を「△」、光照射後の(メタ)アクリロイル基由来のピークの減少が70%未満であった場合を「×」としてUV硬化性を評価した。
【0083】
(低液晶汚染性)
サンプル瓶に液晶(チッソ社製、「JC-5001LA」)0.5gを入れ、実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物0.1gを加えて振とうした後、120℃で1時間加熱し、室温(25℃)に戻した。透明電極と配向膜(日産化学社製、「SE7492」)とを有するガラス基板の配向膜上に、実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を正方形の枠を描くようにディスペンサーで塗布した。続いて、上記サンプル瓶から取り出した液晶の微小滴を基板上の枠内全面に滴下塗布し、真空中にて別のガラス基板を重ね合わせた。真空を解除し、メタルハライドランプを用いて100mW/cmの光を10秒照射した。光照射は、波長420m以下の光をカットするカットフィルター(420nmカットフィルター)を介して行った。その後、120℃で1時間加熱することによりシール剤を熱硬化させて液晶表示素子を得た。得られた液晶表示素子について、1.5Vの交流電圧を印加しながら1Vの直流電圧を印加した際の残像の発生具合を目視にて確認した。その結果、残像が全く確認されなかった場合を「○」、わずかに残像が確認された場合を「△」、酷い残像が確認された場合を「×」として液晶表示素子の表示性能を評価した。
【0084】
(接着性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物100重量部にスペーサ微粒子1重量部を分散させ、2枚のITO薄膜付きガラス基板(30×40mm)のうちの一方に微小滴下した。スペーサ微粒子としては、ミクロパールSI-H050(積水化学工業社製)を用いた。これにもう一方のITO薄膜付きガラス基板を十字状に貼り合わせ、メタルハライドランプにて100mW/cmの光を30秒照射した後、120℃で60分加熱することによって接着性試験片を得た。
得られた接着性試験片について、上下に配したチャックにて引っ張り試験(5mm/sec)を行った。得られた測定値(kgf)をシール塗布断面積(cm)で除した値が、1.5kgf/cm以上であった場合を「○」、1.5kgf/cm未満であった場合を「×」として接着性を評価した。
【0085】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、可視光硬化性及び接着性に優れ、かつ、液晶表示素子用シール剤に用いた場合には低液晶汚染性にも優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を含有する表示素子用シール剤、液晶表示素子用シール剤、及び、上下導通材料、並びに、該表示素子用シール剤の硬化物、該液晶表示素子用シール剤の硬化物、又は、該上下導通材料の硬化物を有する表示素子を提供することができる。更に、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を含有する電子部品用接着剤、及び、該電子部品用接着剤の硬化物で接着された電子部品を提供することができる。