IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オメガ・エス アーの特許一覧

<>
  • 特許-腕輪を取り付けるためのデバイス 図1a
  • 特許-腕輪を取り付けるためのデバイス 図1b
  • 特許-腕輪を取り付けるためのデバイス 図2
  • 特許-腕輪を取り付けるためのデバイス 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】腕輪を取り付けるためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/14 20060101AFI20220607BHJP
【FI】
A44C5/14 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021517914
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019068148
(87)【国際公開番号】W WO2020043371
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】18191117.3
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】レッチェル,フィリップ
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0262504(US,A1)
【文献】中国実用新案第207613312(CN,U)
【文献】国際公開第2016/145898(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108398873(CN,A)
【文献】特開2014-008408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0037876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計ケース(1)に腕輪ストランド(2)を取り付けるデバイスであって、
当該デバイスは、棒体(4)に取り付けられるように構成しており、
前記腕輪ストランド(2)は、取り付け手段(3)を介して前記棒体に取り付けられ、
前記取り付け手段(3)は、前記腕輪ストランド(2)と一体化され支持体(30)と引出し部品(31)とを備え、
記支持体(30)には、前記棒体(4)を受けるように構成しているチャネル(32)が形成されており、
前記引き出し部品(31)は、前記チャネル(32)を閉じて前記棒体(4)を保持する閉位置と、前記チャネル(32)を解放して前記棒体(4)が自由となる開位置との間を摺動するように構成されており、
前記取り付け手段(3)は、前記支持体(30)と前記引き出し部品(31)に配置される一対の磁石(300、310)を備え、
これによって、着用者による操作力が付加されない状態の前記引き出し部品(31)は、前記閉位置にあるとき前記一対の磁石(300、310)の間の磁力によって前記支持体(30)に対して保持され、かつ前記開位置にあるとき前記磁力によって前記閉位置に戻るように構成されている
ことを特徴とする取り付けデバイス。
【請求項2】
前記支持体(30)の幅は、前記腕輪ストランド(2)の幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の取り付けデバイス。
【請求項3】
前記支持体(30)には、前記引き出し部品をガイドするガイドレール(33)がある
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の取り付けデバイス。
【請求項4】
前記引き出し部品(31)は、操作ボタン(34)を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の取り付けデバイス。
【請求項5】
前記腕輪ストランド(2)には、前記操作ボタン(34)を受けるように構成している空欠部(21)があり、
前記空欠部(21)は、前記磁力によって前記閉位置に戻ることが妨げられる位置まで前記引き出し部品(31)が移動することを防止する止めとしてもはたらく
ことを特徴とする請求項4に記載の取り付けデバイス。
【請求項6】
前記支持体(30)と前記引き出し部品(31)は、ステンレス鋼によって作られている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の取り付けデバイス。
【請求項7】
前記腕輪ストランド(2)は、ゴムのようなフレキシブルなプラスチック材料又は織物によって作られている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の取り付けデバイス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の取り付けデバイスを備える
ことを特徴とする腕時計(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計製造又は宝飾品の分野に関する。本発明は、特に、物体、特に、腕時計ケース、に腕輪を取り付けるためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、管によって形成される棒体によって腕時計ケースのホーンに皮革や金属で作られる腕輪が取り付けられ、この管に、並進運動可能な2つのピストンと、これらのピストンの間に配置されそれらのピストンを管の外側に押す傾向のある弾性部材が取り付けられる。この棒体は、この目的のために腕輪の一端に形成されたハウジング内に取り付けられ、ケースの2つのホーンにて互いに対向するように形成される非貫通ボア穴内にてピストンが係合する。
【0003】
この取り付け態様を用いる腕輪を取り付けたり取り外したりするには、ピストンを収縮させて保持するための道具を用いる必要がある。このような操作には、特定のスキルが必要である。また、棒体がホーンの間に導入されるときに、ホーンに形成された穴を見つけて、その穴の中にばねがピンを入れることができるようにする必要がある。
【0004】
例えば、国際特許文献WO2016148800は、ストランドと、ストランドの一端において一体化された取り付け機構とを備える腕時計の腕輪を開示している。このクラスプ機構は、ストランドの端部にてチャネルを形成する凹状要素と、及び閉じプレートとを備え、この閉じプレートは、プレートがチャネルを覆う第1の位置と、プレートが収縮されていてチャネルの少なくとも一部がプレートによってカバーされないようになっている第2の位置との間で変位するように構成している。
【0005】
このような取り付けデバイスにおいては部品が多すぎ、このことによって、デバイスの適切な動作を妨げることがあり、また、1つの部品が壊れたときに腕輪を交換する必要性が発生してしまう。
【0006】
また、このような取り付け態様では腕輪をケースミドル部に良好に連結することができず、ケース/腕輪の連結部において開いた機構や欠陥が視認可能であるようになることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、腕時計ケースに腕輪ストランドを取り付けるデバイスであって、棒体に取り付けられるように構成しており、腕輪ストランドが、取り付け手段を介して前記棒体に取り付けられるような取り付けデバイスを提供することによって、これらの課題を解決することを可能にする。
【0008】
本発明によると、前記取り付け手段は、前記腕輪ストランドと一体化された支持体によって形成され、引き出し部品が、前記支持体と連係して前記支持体を閉じるように構成しており、前記支持体には、前記棒体を受けることができるチャネルが形成されており、前記取り付け手段は、前記支持体と前記引き出し部品に配置される一対の磁石を備え、これによって、前記引き出し部品を前記支持体に対して保持し、前記棒体が前記チャネル内に保持される閉位置から前記棒体が自由である開位置へと前記引き出し部品が切り換わることを可能にする。
【0009】
本発明の他の好ましい代替形態は、以下の特徴を有する。
支持体の幅は、腕輪ストランドの幅よりも小さい。
支持体は、引き出し部材をガイドするためのガイドレールを備える。
引き出し部品は、操作ボタンを備える。
ストランドには、操作ボタンを受けるように構成している空欠部があり、この空欠部は、引き出し部品が開位置にあるときに止めとしてもはたらく。
支持体と引き出し部品は、ステンレス鋼によって作られている。
腕輪ストランドは、ゴムのようなフレキシブルな材料又は織物によって形成されている。
【0010】
このような取り付けデバイスは、特に、非磁性である腕時計に備えられることを意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面を参照しながら純粋に例としてのみ示される本発明に係る腕輪を取り付けるためのデバイスの実施形態についての以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴や利点を理解することができるであろう。なお、これに限定されない。
【0012】
図1図1a及び1bはそれぞれ、本発明に係る取り付けデバイスを備える腕時計ケースについての上方から見た斜視図及び下方から見た斜視図である。
図2】本発明に係る取り付けデバイスを備える腕時計ケースの断面図である。
図3】腕時計ケースに備えられる本発明の取り付けデバイスについての分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~3は、腕時計とともに、本発明の好ましい実施形態に係る腕時計ケース1に腕時計を取り付けるためのデバイスについての詳細な図を示している。腕輪を腕時計ケース1に取り付けるためのデバイスは、腕輪ストランド2と取り付け手段3を備える。腕輪ストランド2は、織物、ゴム、皮革、又は他のプラスチック材料によって作ることができる。
【0014】
本発明によると、取り付け手段は、腕輪ストランド2と一体化された支持体30と、支持体30と連係して支持体30を閉じるように構成している引き出し部品31とを備え、この支持体30には、棒体4を受けることができるチャネル32が形成されており、取り付け手段は、対の磁石300、310を備え、これらの磁石300、310は、支持体30と引き出し部品31に配置されて、引き出し部品31を支持体30に対して保持し、棒体4がチャネル32内にて保持される閉位置から、棒体4が自由である開位置へと、引き出し部品31を切り換えることを可能にする。
【0015】
腕輪ストランド2の端部は、取り付け手段3が下方からのみ視認可能であるように取り付け手段3を覆い、したがって、腕時計が着用されているときには取り付け手段3が視認可能ではない。特定の実施形態において、腕輪ストランド2は、取り付け手段3上にオーバーモールドされる。当業者であれば、ストランドを取り付け手段に接着することも考えることができることは明らかである。
【0016】
同様に、腕輪には、その端部において、チャネル32の形状に対して相補的な形状の部分20があり、チャネル32が隠れる。当業者であれば、チャネル32を視認可能のままにすることを考えることもあるであろう。
【0017】
取り付け手段3は、好ましくはステンレス鋼によって作られる、支持体30を備え、この支持体30には、棒体4を受け腕輪ストランドを棒体4上に保持するように構成しているチャネル32が形成されている。
【0018】
好ましいことに、支持体30の幅は、腕輪ストランド2の幅よりもわずかに小さく、したがって、腕時計が着用されているときに支持体30は視認可能ではない。
【0019】
支持体30を閉じるために引き出し部品31が設けられており、この閉じるための引き出し部品もステンレス鋼によって作られている。
【0020】
引き出し部品31は、支持体30の各側方縁部にあるガイドレール33を用いて支持体30に取り付けられ、これによって、引き出し部品31が支持体30と同一面上に揃い、引き出し部品31が支持体30上で変位することができ、ガイドレール33は、腕輪ストランド2によって覆われた端部から始まり、チャネル32によって形成される溝にて終わる。
【0021】
好ましいことに、支持体30と引き出し部品31はそれぞれ、一対の磁石300、310を備え、引き出し部品31がチャネル32を覆うときの閉位置と、引き出し部品31が引っ込められチャネル32を解放するときの開位置を定める。
【0022】
磁石を受けるように、引き出し部品31と支持体30にそれぞれ空欠部が形成される。引き出し部品31の磁石310と、支持体30の磁石300はそれぞれ、磁極が逆であり、引き出し部品31が閉位置にあるときに対向するように配置される。したがって、磁石300、310は、ロックを形成し、また、着用者が引き出し部品31を操作したときに、引き出し部品31が閉位置から開位置へと摺動し、着用者が引き出し部品を解放したときに引き出し部品31が閉位置に戻ることを可能にする。
【0023】
したがって、デバイスが正常に動作するために、引き出し部品31と支持体30は、磁石との相互作用を避けるように磁気の影響を受けない材料によって作られている。
【0024】
腕輪ストランド2を棒体4から解放するために、ユーザーは、操作ボタン34を用いて引き出し部品31を操作し、引き出し部品31を開位置に変位させる。
【0025】
このように、これらの磁石によって、好ましいことに、従来技術のデバイスにおいて伝統的に用いられているばねを置き換えることができ、このことによって、用いられる構成要素の数を減らし、構成要素が破損してしまうリスクをなくすことができる。
【0026】
操作ボタン34は、着用者によってアクチュエートされ当該デバイスを開くように設計されている。操作ボタン34は、腕時計が着用されているときに着用者の皮膚に接触している。好ましいことに、ボタン34は、例えば、ステンレス鋼のような引き出し部品31と同じ材料によって作られ、この引き出し部品と一体化された要素を形成する。操作ボタン34の縁部は、研磨されており、これによって、腕時計が着用されるときの快適性を向上させる。
【0027】
ストランド2は、着用者と接触する側の面上に、ボタンの形状に対して相補的な形状の空欠部21を備え、この空欠部21は、引き出し部品が開位置にあるときに操作ボタンを受けるように構成しており、この空欠部21は、引き出し部品が開位置にあるときに止めとしてはたらき、したがって、開位置へと切り替わる際の引き出し部品の可能なトラベルを定める。
【0028】
ストランド2を腕時計1に取り付けるために、着用者は、ボタン34を介して引き出し部品31を操作し、ボタン34を引いたり押したりして、引き出し部品31を摺動させ、チャネル32にアクセス可能にする。そして、着用者は、棒体4をチャネル32内に配置し、ボタン34を解放して、磁石300、310のおかげで引き出し部品31が閉位置へと戻るようにする。
【0029】
当然、本発明は、図示している例に限定されず、当業者に明白な様々な変形態様や変更が可能である。
図1a
図1b
図2
図3