(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】VISTA及びその結合パートナーの相互作用を遮断することによる癌治療
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20220608BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220608BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220608BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220608BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220608BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
C12N15/12
(21)【出願番号】P 2020544522
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 US2019019186
(87)【国際公開番号】W WO2019165233
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-09
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520030899
【氏名又は名称】トゥルーバインディング,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サン,ドンフ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,キャサリン エー.
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,イ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムス,サムエル エー.エフ.
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0081410(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0239964(US,A1)
【文献】国際公開第2015/187359(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/28
A61K 39/395
A61P 35/00
A61P 35/02
C12N 15/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロイシンリッチリピート及び免疫グロブリン様ドメインタンパク質1(LRIG1
)と特異的に結合し、LRIG1とVISTAの相互作用を破壊する
、ヒト化抗体
又はその結合断片であって、配列番号58のLRIG1のペプチド54の少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する、ヒト化抗体又はその結合断片。
【請求項2】
前記LRIG1
とVISTA
の相互作用が、80%未
満に減少する、請求項1に記載の
ヒト化抗体
又はその結合断片。
【請求項3】
前記ヒト化抗体又はその結合断片が、全長の抗体
、二重特異性抗体
、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変断片(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、又はラクダ抗体
である、請求項1
又は2に記載の
ヒト化抗体
又はその結合断片。
【請求項4】
配列番号81~86の6つの相補性決定領域(CDR)を含
む、請求項1~
3の何れか1項に記載の
ヒト化抗体
又はその結合断片。
【請求項5】
配列番号87及び88から選択される重鎖可変領域(VH)を含む、請求項1~
4の何れか1項に記載の
ヒト化抗体
又はその結合断片。
【請求項6】
配列番号89及び90から選択される軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項1~
5の何れか1項に記載の
ヒト化抗体
又はその結合断片。
【請求項7】
前記ヒト化抗体がmab4、mab5、又はmab6である、請求項1
~6の何れか1項に記載の
ヒト化抗体
又はその結合断片。
【請求項8】
治療を必要とする対象における癌の治療に使用するための、請求項1~
7の何れか1項に記載の
ヒト化抗体
又はその結合断片を含む医薬組成物。
【請求項9】
前記癌が固形腫瘍である、請求項
8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、又は肺癌である、請求項
8又は
9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記癌が血液系腫瘍である、請求項
8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が非経口投与のために製剤化される、請求項
8~
11の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が、追加の治療薬と組み合わせて投与される、請求項
8~
12の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片及び前記追加の治療薬が同時に又は連続して投与される、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記追加の治療薬が、免疫チェックポイント調節因子、化学療法薬、標的治療薬、ホルモン治療薬又は幹細胞に基づく治療薬を含む、請求項
13又は
14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が、外科手術又は放射線治療の前又は後に投与される、請求項
8~
15の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
癌を含む対象の腫瘍微小環境(TME)の腫瘍細胞を減少させるための、請求項1~
7の何れか1項に記載の
ヒト化抗体
又はその結合断片を含む医薬組成物。
【請求項18】
前記腫瘍細胞が、少なくとも5
%減少する、請求項
17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記癌が固形腫瘍である、請求項
17又は18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記癌が、乳癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、又は肺癌である、請求項
17~19の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記癌が血液系腫瘍である、請求項
17又は18に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が非経口投与のために製剤化される、請求項
17~21の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が、追加の治療薬と組み合わせて投与される、請求項
17~22の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片及び前記追加の治療薬が同時に又は連続して投与される、請求項
23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記追加の治療薬が、免疫チェックポイント調節因子、化学療法薬、標的治療薬、ホルモン治療薬又は幹細胞に基づく治療薬を含む、請求項
24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が、外科手術又は放射線治療の前又は後に投与される、請求項
17~25の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
LRIG1と特異的に結合する
ヒト化抗体
又はその結合断片を含む、免疫活性を誘導す
るための医薬組成物であって、サイトカインの産生に影響する条件下で、前記
ヒト化抗体
又はその結合断片がLRIG1発現細胞を含む複数の細胞と接触し、それによって免疫活性を誘導
し、
前記ヒト化抗体又はその結合断片が配列番号58のペプチド54の少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する、医薬組成物。
【請求項28】
前記複数の細胞が、さらにVISTA発現細胞を含む、請求項
27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記
LRIG1と特異的に結合するヒト化抗体
又はその結合断片が、さらにLRIG1及びVISTAの相互作用を阻害又は破壊する、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記LRIG1
とVISTA
の相互作用が、80%未
満に減少する、請求項
29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が
、全長の抗体
、二重特異性抗体
、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変断片(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、又はラクダ抗体
である、請求項
27~
30の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が、配列番号81~86の6つの相補性決定領域(CDR)を含
む、請求項
27~
31の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が、配列番号87及び88から選択される重鎖可変領域(VH)を含む、請求項
27~
32の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が、配列番号89及び90から選択される軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項
27~
33の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記
ヒト化抗体
がmab4、mab5、又はmab6である、請求項
27~34の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記サイトカインがインターフェロンである、請求項
27~
35の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記インターフェロンがIFNγである、請求項
36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記
ヒト化抗体
又はその結合断片が、アイソタイプ抗体よりも高くIFNγを産生する、請求項
37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記免疫活性が、CD3+Tリンパ球、CD4+Tヘルパー細胞、CD8+細胞毒性T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、又はその組み合わせの増殖を含む、請求項
27~
38の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記免疫活性が、前記複数の細胞におけるM1マクロファージ集団の増加及び/又は減少を含む、請求項
27~
39の何れか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月23日に出願された米国特許仮出願第62/634,649号明細書の利益を主張し、参照によりその全体が組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体を使用して、免疫活性を誘導する方法が本明細書に開示される。さらに、いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体を使用して、B細胞、T細胞及び/又はナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を促進する方法が本明細書に開示される。
【0003】
特定の実施形態において、VISTAとLRIG1との相互作用を破壊する方法が本明細書に開示され、LRIG1発現細胞、VISTA発現細胞、又はその組み合わせを含む複数の細胞を、LRIG1に特異的に結合する抗体と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、LRIG1-VISTA相互作用は、80%未満、78%未満、70%未満、72%未満、66%未満、60%未満、56%未満、54%未満、52%未満、50%未満、44%未満、43%未満、40%未満、30%未満、29%未満、27%未満、21%未満、20%未満、19%未満、17%未満、10%未満、5%又は1%未満に減少する。いくつかの実施形態において、相互作用は、領域245-260から選択されるLRIG1の1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号2の位置245-260に対応する。いくつかの実施形態において、相互作用は、領域78-90又は68-92から選択されるVISTAの1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号4の位置78-90又は68-92に対応する。いくつかの実施形態において、抗体は、ペプチド54又はペプチド61の少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、1nM、1.2nM、2nM、5nM、10nM、13.5nM、15nM、20nM、25nM、又は30nM未満のkDを含む。いくつかの実施形態において、抗体はヒト化抗体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、全長の抗体又はその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、二重特異性抗体又はその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変断片(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、又はラクダ抗体若しくはその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、6つの相補性決定領域(CDR)配列番号81~86を含むヒト化抗体である。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、配列番号87及び88から選択される重鎖可変領域(VH)を含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、配列番号89及び90から選択される軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、mab2、mab4、mab5、又はmab6である。いくつかの実施形態において、抗体はIgGフレームワークを含む。いくつかの実施形態において、抗体はIgG1、IgG2、又はIgG4フレームワークを含む。
【0004】
特定の実施形態において、免疫活性を誘導する方法が本明細書に開示され、サイトカインの産生に影響する条件下で、LRIG1発現細胞を含む複数の細胞を抗体と接触させ、それにより免疫活性を誘導することを含み、抗体はLRIG1に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、複数の細胞は、さらにVISTA発現細胞を含む。いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、さらにLRIG1及びVISTAの相互作用を阻害又は破壊する。いくつかの実施形態において、LRIG1-VISTA相互作用は、80%未満、78%未満、70%未満、72%未満、66%未満、60%未満、56%未
満、54%未満、52%未満、50%未満、44%未満、43%未満、40%未満、30%未満、29%未満、27%未満、21%未満、20%未満、19%未満、17%未満、10%未満、5%又は1%未満に減少する。いくつかの実施形態において、相互作用は、領域245-260から選択されるLRIG1の1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号2の位置245-260に対応する。いくつかの実施形態において、相互作用は、領域78-90又は68-92から選択されるVISTAの1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号4の位置78-90又は68-92に対応する。いくつかの実施形態において、抗体は、ペプチド54又はペプチド61の少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、1nM、1.2nM、2nM、5nM、10nM、13.5nM、15nM、20nM、25nM、又は30nM未満のkDを含む。いくつかの実施形態において、抗体はヒト化抗体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、全長の抗体又はその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、二重特異性抗体又はその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変断片(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、又はラクダ抗体若しくはその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、6つの相補性決定領域(CDR)配列番号81~86を含むヒト化抗体である。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、配列番号87及び88から選択される重鎖可変領域(VH)を含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、配列番号89及び90から選択される軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、mab2、mab4、mab5、又はmab6である。いくつかの実施形態において、抗体はIgGフレームワークを含む。いくつかの実施形態において、抗体はIgG1、IgG2、又はIgG4フレームワークを含む。いくつかの実施形態において、サイトカインはインターフェロンである。いくつかの実施形態において、インターフェロンはIFNγである。いくつかの実施形態において、抗体は、アイソタイプ抗体よりも高くIFNγを産生する。いくつかの実施形態において、免疫活性は、CD3+Tリンパ球、CD4+Tヘルパー細胞、CD8+細胞毒性T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、又はその組み合わせの増殖を含む。いくつかの実施形態において、免疫活性は、複数の細胞におけるM1マクロファージ集団の増加を含む。いくつかの実施形態において、免疫活性は、複数の細胞におけるM2マクロファージ集団の減少を含む。
【0005】
特定の実施形態において、対象における腫瘍微小環境(TME)において腫瘍細胞を減少する方法が本明細書に開示され、TMEに位置する複数の細胞をLRIG1に特異的に結合する抗体と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、又は90%減少する。いくつかの実施形態において、対象は癌であると診断されている。いくつかの実施形態において、癌は固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、癌は、乳癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、又は肺癌である。いくつかの実施形態において、癌は血液系腫瘍である。いくつかの実施形態において、癌は転移癌である。いくつかの実施形態において、癌は再発性又は難治性癌である。いくつかの実施形態において、抗体は、全身投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、抗体は、非経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、抗体は、追加の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、抗体及び追加の治療薬は同時に投与される。いくつかの実施形態において、抗体及び追加の治療薬は、連続して投与される。いくつかの実施形態において、抗体は、追加の治療薬を投与する前に投与される。いくつかの実施形態において、抗体は、追加の治療薬を投与された後に投与される。いくつかの実施形態において、追加の治療薬は、免疫チェックポイント調節因子を含む。いくつかの実施形態において、追加の治療薬は、化学療法薬、標的治療薬、ホルモン治療薬又は幹細胞に基づく治療薬を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、外科手術の前又は後に投与される。いくつかの実施形態において、抗体は、放射線治療
と合わせて、前、又は後に投与される。いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、さらにLRIG1及びVISTAの相互作用を阻害又は破壊する。いくつかの実施形態において、LRIG1-VISTA相互作用は、80%未満、78%未満、70%未満、72%未満、66%未満、60%未満、56%未満、54%未満、52%未満、50%未満、44%未満、43%未満、40%未満、30%未満、29%未満、27%未満、21%未満、20%未満、19%未満、17%未満、10%未満、5%又は1%未満に減少する。いくつかの実施形態において、相互作用は、領域245-260から選択されるLRIG1の1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号2の位置245-260に対応する。いくつかの実施形態において、相互作用は、領域78-90又は68-92から選択されるVISTAの1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号4の位置78-90又は68-92に対応する。いくつかの実施形態において、抗体は、ペプチド54又はペプチド61の少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、1nM、1.2nM、2nM、5nM、10nM、13.5nM、15nM、20nM、25nM、又は30nM未満のkDを含む。いくつかの実施形態において、抗体はヒト化抗体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、全長の抗体又はその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、二重特異性抗体又はその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変断片(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、又はラクダ抗体若しくはその結合断片を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、6つの相補性決定領域(CDR)配列番号81~86を含むヒト化抗体である。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、配列番号87及び88から選択される重鎖可変領域(VH)を含む。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、配列番号89及び90から選択される軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、mab2、mab4、mab5、又はmab6である。いくつかの実施形態において、抗体はIgGフレームワークを含む。いくつかの実施形態において、抗体はIgG1、IgG2、又はIgG4フレームワークを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、免疫活性を誘導することを含む。いくつかの実施形態において、免疫活性は、サイトカインの産生を含む。いくつかの実施形態において、サイトカインはインターフェロンであり、任意にIFNγである。いくつかの実施形態において、免疫活性は、CD3+Tリンパ球、CD4+Tヘルパー細胞、CD8+細胞毒性T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、又はその組み合わせの増殖を含む。いくつかの実施形態において、免疫活性は、複数の細胞におけるM1マクロファージ集団の増加を含む。いくつかの実施形態において、免疫活性は、複数の細胞におけるM2マクロファージ集団の減少を含む。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0006】
本開示の様々な態様は、添付の請求項に特に記載される。本開示の特徴及び利点のより良い理解は、本開示の原理が使用される、説明的実施形態を記載する以下の詳細な記述、及び以下の添付の図面を参照することにより得られる。本発明の出願書類は、カラーの少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を有する本発明の出願公開のコピーは、要求し、手数料を支払うことで特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1A~
図1Cは、ヒトLRIG1(hLRIG1)がヒトVISTAを特異的に引き落とすことを示す免疫共沈降アッセイの結果を示す。
図1Aは、HAタグを付けたhVISTAをコードするプラスミド及びFlagタグを付けたhLRIG1をコードするプラスミドで同時導入された293T細胞において、それぞれ、LRIG1及びVISTAの発現を示す。
【
図1B】
図1Bは、HAタグを付けたhVISTAをコードするプラスミド及びFlagタグを付けたhLRIG1をコードするプラスミドで同時導入された293T細胞において、それぞれ、LRIG1及びVISTAの発現を示す。
【
図1C】
図1CはLRIG1が同時導入された293T細胞においてVISTAを引き落とすことを示す。
【
図2】
図2は、抗LRIG1 mAb(IMT-300)の存在下又は非存在下におけるhLRIG1のVISTAとの結合を評価するために実施されたELISAアッセイの結果を示す。
【
図3A】
図3Aは、不活性化PBMC(
図3A)に対するLRIG1発現のフローサイトメトリー分析の結果を示す。
【
図3B】
図3Bは、活性化ヒト末梢血単核球(PBMC)(
図3B)に対するLRIG1発現のフローサイトメトリー分析の結果を示す。
【
図4】
図4は、混合リンパ球反応アッセイのINF-γの産生の測定値を示し、1名のドナーのヒトM2マクロファージは、別のドナーのヒトCD4T細胞と混合され、10ug/mlのコントロールIgG、hPD1遮断抗体EH12((BD bioscience)、hLRIG1 mAb IMT300(mab4としても本明細書に参照される)、又はhPD1及びLRIG1抗体の組み合わせと、8日間、処理された。
【
図5】
図5は、LRIG1結合抗体によるLRIG1-VISTA相互作用遮断のELISA評価を示す。抗体の非存在下におけるLRIG1-VISTA結合の割合が示される。
【
図6】
図6は、LRIG1のペプチド断片に結合する抗LRIG1抗体のELISA評価を示す。
【
図7A】
図7A~7Cは、LRIG1とVISTAとの間の相互作用を媒介するLRIG1及びVISTA領域のMALDI-MS識別を示す。
図7Aは、部位における相互作用部位及び残基を図示する。
【
図7B】
図7Bは、相互作用を媒介する領域を強調するLRIG1の結晶構造を図示する。
【
図7C】
図7Cは、部位における相互作用部位及び残基を図示する。
【
図8】
図8は、ヒト免疫系を移植されたマウスのSCLC異種移植片腫瘍における抗腫瘍活性に対する抗LRIG1抗体を評価するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
腫瘍は、マクロファージに富む反応性ストローマの部分として免疫浸潤物と関連することが多い。腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、血管新生及びマトリクス分解を促進することによって、腫瘍増殖を容易にする重要な役割を担う。腫瘍に関連する場合、マクロファージは、マクロファージ:M1マクロファージ又はM2マクロファージの2つの表現型が異なるサブセットの1つに対して機能的分極化を示す。M1マクロファージは、炎症促進性サイトカインを産生することが知られ、細胞破壊の活動的役割を担い、M2マクロファージは、主にデブリを除去し、血管新生及び創傷の修復を促進する。結果として、大きい数のTAMを有する多くの腫瘍は、腫瘍増殖率の増加、局所的増殖及び遠隔転移を有する。M2マクロファージ集団は、腫瘍増殖及び発現を促進するTAM集団と表現型的に類似している。いくつかの場合において、VISTAを発現する他に、M2マクロファージは、CD206、IL-4r、IL-1ra、デコイIL-1rll、IL-10r、CD23、マクロファージスカベンジャー受容体A及びB、Ym-1、Ym-2、低密度受容体関連タンパク質1(LRP1)、IL-6r、CXCR1/2、CD136、CD14、CD1a、CD1b、CD93、CD226、(FcyR)及びPD-L1から成る群から選択される1つ以上の細胞表面マーカーも発現する。
【0009】
VISTA(T細胞活性のVドメインIg抑制因子)は、単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、樹状細胞、巨核球及び血小板を含む骨髄系細胞において高いレベルで発現される。VISTAレベルは、腫瘍微小環境において高められる。
【0010】
LRIG1(ロイシンリッチリピート及び免疫グロブリン様ドメインタンパク質1)は
、EGFR-ファミリー、MET及びRETの受容体チロシンキナーゼと相互作用することが示された膜貫通タンパク質である。いくつかの例において、LRIG1は、腫瘍抑制因子及び受容体チロシンキナーゼの負の制御因子であることが分かっている。
【0011】
いくつかの実施形態において、VISTAとLRIG1との相互作用に干渉し、免疫反応を活性化する抗LRIG1抗体が本明細書に開示される。いくつかの例において、これらの抗LRIG1抗体は、癌治療又は免疫反応の活性化から利益を得ると思われるその他の疾患の治療に使用される。
【0012】
使用方法
特定の実施形態において、免疫活性を誘導する方法が本明細書に開示され、抗LRIG1抗体をVISTA発現細胞、LRIG1発現細胞、又はその組み合わせを含む複数の細胞に接触させることを含む。
【0013】
いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に結合するときに、LRIG1発現細胞は、免疫活性を誘導するサイトカインを発現する。いくつかの場合において、サイトカインはインターフェロンである。いくつかの場合において、インターフェロンはIFNγである。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、600%以上のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、150%のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、160%のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、170%のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、180%のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、190%のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、200%のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、200%超のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、300%超のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、400%超のIFNγの産生である。いくつかの場合において、IFNγの産生は、アイソタイプ抗体による、500%超のIFNγの産生である。いくつかの場合において、サイトカインはインターロイキンである。いくつかの例において、インターフェロンはIL-2である。
【0014】
いくつかの場合において、免疫活性は、CD3+Tリンパ球、CD4+Tヘルパー細胞、CD8+細胞毒性T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、又はその組み合わせの増殖を含む。いくつかの例において、免疫活性は、CD3+Tリンパ球の増殖を含む。いくつかの例において、免疫活性は、CD4+Tヘルパー細胞の増殖を含む。いくつかの例において、免疫活性は、CD8+細胞毒性T細胞の増殖を含む。いくつかの例において、免疫活性は、B細胞の増殖を含む。いくつかの例において、免疫活性は、NK細胞の増殖を含む。いくつかの例において、免疫活性は、B細胞及びNK細胞の増殖を含む。
【0015】
いくつかの場合において、免疫活性は、複数の細胞におけるM1マクロファージ集団の増加を含む。いくつかの場合において、免疫活性は、複数の細胞におけるM2マクロファージ集団の減少を含む。いくつかの場合において、免疫活性は、複数の細胞におけるM1マクロファージ集団の増加及び複数の細胞におけるM2マクロファージ集団の減少を含む。
【0016】
いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、LRIG1に結合し、VISTAとL
RIG1との間の相互作用を破壊する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用の破壊は、VISTAとLRIG1との間の相互作用の部分的阻害を含む。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用の破壊は、VISTAとLRIG1との間の相互作用の完全な阻害を含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、LRIG1に結合し、VISTAとLRIG1との間の相互作用を減少させる。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、80%未満、78%未満、70%未満、72%未満、66%未満、60%未満、56%未満、54%未満、52%未満、50%未満、44%未満、43%未満、40%未満、30%未満、29%未満、27%未満、21%未満、20%未満、19%未満、17%未満、10%未満、5%又は1%未満に減少する。いくつかの場合において、LRIG1-VISTA相互作用は、70%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、60%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、59%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、50%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、44%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、43%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、40%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、34%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、30%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、21%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、20%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、14%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、10%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、7%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、5%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、4%未満に減少する。いくつかの場合において、VISTA-LRIG1相互作用は、1%未満に減少する。
【0017】
いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、領域245-260から選択されるLRIG1の1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号2の位置245-260に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基245で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置245に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基246で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置246に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基247で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置247に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基248で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置248に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基249で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置249に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基250で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置250に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基251で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置251に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基252で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置252に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基253で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置253に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基254で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置254に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基255で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置255に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基256で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置25
6に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基257で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置257に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基258で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置258に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基259で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置259に対応する。いくつかの場合において、VISTAとLRIG1との間の相互作用は、残基260で生じ、残基の位置は、配列番号2の位置260に対応する。いくつかの場合において、LRIG1はヒトLRIG1である。
【0018】
いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、領域78-90又は68-92から選択されるVISTAの1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号4の位置78-90又は68-92に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、領域78-90からのVISTAの1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号4の位置78-90に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、領域68-92からのVISTAの1つ以上の残基に生じ、残基の位置は、配列番号4の位置68-92に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基68で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置68に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基69で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置69に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基70で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置70に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基71で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置71に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基72で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置72に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基73で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置73に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基74で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置74に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基75で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置75に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基76で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置76に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基77で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置77に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基78で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置78に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基79で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置79に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基80で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置80に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基81で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置81に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基82で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置82に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基83で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置83に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基84で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置84に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基85で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置85に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基86で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置86に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基87で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置87に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基88で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置88に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基89で生じ、残基の
位置は、配列番号4の位置89に対応する。いくつかの例において、LRIG1とVISTAとの間の相互作用は、残基90で生じ、残基の位置は、配列番号4の位置90に対応する。いくつかの例において、VISTAは、ヒトVISTAである。
【0019】
さらなる実施形態において、B細胞又はナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を促進する方法が本明細書に開示され、B細胞、NK細胞、VISTA発現細胞、及びLRIG1発現細胞を含む複数の細胞を抗LRIG1抗体に、複数の細胞においてB細胞又はNK細胞の増殖を促進するのに充分な時間、接触させることを含む。いくつかの実施形態において、B細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を促進する方法が本明細書に開示され、B細胞、NK細胞、LRIG1発現細胞、及びVISTA発現細胞を含む複数の細胞を抗LRIG1抗体に、複数の細胞においてB細胞及びNK細胞の増殖を促進するのに充分な時間、接触させることを含む。いくつかの実施形態において、B細胞又はナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を促進する方法が本明細書に開示され、B細胞、NK細胞、LRIG1発現細胞、及びVISTA発現細胞から成る群から選択される1つ以上の細胞を含む複数の細胞を抗LRIG1抗体に、複数の細胞においてB細胞又はNK細胞の増殖を促進するのに充分な時間、接触させることを含む。いくつかの実施形態において、B細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を促進する方法が本明細書に開示され、B細胞、NK細胞、LRIG1発現細胞、及びVISTA発現細胞から成る群から選択される1つ以上の細胞を含む複数の細胞を抗LRIG1抗体に、複数の細胞においてB細胞及びNK細胞の増殖を促進するのに充分な時間、接触させることを含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、LRIG1に結合し、LRIG1とVISTAとの間の相互作用を破壊する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、LRIG1に結合し、LRIG1とVISTAとの間の相互作用を阻害する。
【0020】
いくつかの例において、LRIG1発現細胞は、腫瘍細胞又は免疫細胞である。いくつかの場合において、免疫細胞は、マクロファージ、樹状細胞、及びIFNγ産生Th1細胞を含む。いくつかの場合において、LRIG1は、腫瘍微小環境(TME)に位置する複数の細胞に発現される。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、TMEにおいて腫瘍細胞の減少を誘導する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、腫瘍細胞の減少を少なくとも又は約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、又は90%減少する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、約5%~約95%、約10%~約90%、約15%~約80%、約20%~約70%、又は約30%~約60%の範囲で腫瘍細胞の減少を誘導する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、少なくとも30%腫瘍細胞の減少を誘導する。
【0021】
いくつかの例において、複数の細胞は、さらに腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの場合において、複数の細胞は、さらにCD3+Tリンパ球、CD4+Tヘルパー細胞、CD8+細胞毒性T細胞、又はその組み合わせを含む。いくつかの場合において、複数の細胞は、さらにCD3+Tリンパ球を含む。いくつかの場合において、複数の細胞は、さらにCD4+Tヘルパー細胞を含む。いくつかの場合において、複数の細胞は、さらにCD8+細胞毒性T細胞を含む。いくつかの場合において、複数の細胞は、さらにCD3+Tリンパ球及びCD4+Tヘルパー細胞を含む。いくつかの場合において、複数の細胞は、さらにCD3+Tリンパ球及びCD8+細胞毒性T細胞を含む。いくつかの場合において、複数の細胞は、さらにCD4+Tヘルパー細胞、CD8+細胞毒性T細胞を含む。いくつかの場合において、複数の細胞は、さらにCD3+Tリンパ球、CD4+Tヘルパー細胞、及びCD8+細胞毒性T細胞を含む。
【0022】
いくつかの例において、接触はさらにTILの増殖を誘導する。いくつかの場合において、接触は、さらにCD3+Tリンパ球、CD4+Tヘルパー細胞、CD8+細胞毒性T
細胞、又はその組み合わせの増殖を誘導する。いくつかの場合において、接触は、さらにCD3+Tリンパ球の増殖を誘導する。いくつかの場合において、接触は、さらにCD4+Tヘルパー細胞の増殖を誘導する。いくつかの場合において、接触は、さらにCD8+細胞毒性T細胞の増殖を誘導する。いくつかの場合において、接触は、さらにCD3+Tリンパ球及びCD4+Tヘルパー細胞の増殖を誘導する。いくつかの場合において、接触は、さらにCD3+Tリンパ球及びCD8+細胞毒性T細胞の増殖を誘導する。いくつかの場合において、接触は、さらにCD4+Tヘルパー細胞及びCD8+細胞毒性T細胞の増殖を誘導する。いくつかの場合において、接触は、さらにCD3+Tリンパ球、CD4+Tヘルパー細胞及びCD8+細胞毒性T細胞の増殖を誘導する。
【0023】
いくつかの例において、接触は、さらにM1マクロファージの増殖の増加を含む。いくつかの例において、接触は、さらにTMEにおけるM2マクロファージ集団の減少を含む。いくつかの例において、接触は、さらにTMEにおけるM1マクロファージの増殖の増加及びM2マクロファージ集団の減少を含む。
【0024】
いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基245-260に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基245に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基246に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基247に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基248に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基249に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基250に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基251に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基252に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基253に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基254に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基255に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基256に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基257に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基258に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基259に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、配列番号2の残基260に対応するLRIG1領域における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。
【0025】
いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、ペプチド1、ペプチド2、ペプチド3、ペプチド4、ペプチド5、ペプチド6、ペプチド7、ペプチド8、ペプチド9、ペプチド10、ペプチド11、ペプチド12、ペプチド13、ペプチド14、ペプチド15、ペプチド16、ペプチド17、ペプチド18、ペプチド19、ペプチド20、ペプチド21
、ペプチド22、ペプチド23、ペプチド24、ペプチド25、ペプチド26、ペプチド27、ペプチド28、ペプチド29、ペプチド30、ペプチド31、ペプチド32、ペプチド33、ペプチド34、ペプチド35、ペプチド36、ペプチド37、ペプチド38、ペプチド39、ペプチド40、ペプチド41、ペプチド42、ペプチド43、ペプチド44、ペプチド45、ペプチド46、ペプチド47、ペプチド48、ペプチド49、ペプチド50、ペプチド51、ペプチド52、ペプチド53、ペプチド54、ペプチド55、ペプチド56、ペプチド57、ペプチド58、ペプチド59、ペプチド60、ペプチド61、ペプチド62、ペプチド63、ペプチド64、ペプチド65、ペプチド66、ペプチド67、ペプチド68、ペプチド69、ペプチド70、ペプチド71、ペプチド72、ペプチド73、ペプチド74、ペプチド75、又はペプチド76における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、ペプチド54の少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、ペプチド61の少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。
【0026】
いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、ペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基に結合し、ペプチドは、配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80に記載される配列を有する。
【0027】
いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、1nM未満、1.2nM未満、2nM未満、5nM未満、10nM未満、13.5nM未満、15nM未満、20nM未満、25nM未満、又は30nM未満のLRIG1に対する結合親和性(例えば、kD)を含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、1nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、1.2nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、2nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、5nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、10nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、13.5nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、15nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、20nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、25nM未満のkDを含む。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、30nM未満のkDを含む。
【0028】
いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、ヒト化抗体を含む。その他の例において、抗LRIG1抗体は、キメラ抗体を含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、全長の抗体又はその結合断片を含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、二重特異性抗体又はその結合断片を含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変断片(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、又はラクダ抗体若しくはその結合断片を含む。
【0029】
いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、二重特異性抗体又はその結合断片を含む。例示的な二重特異性抗体のフォーマットとして、限定されないが、Knobs-into-Holes(KiH)、Asymmetric Re-engineering Technology-immunoglobulin(ART-Ig)、Triomab quadroma、二重特異性モノクローナル抗体(BiMAb、BsmAb、BsAb、bsMab、BS-Mab、又はBi-MAb)、Azymetric、Bisp
ecific Engagement by Antibodies based on
the T-cell receptor(BEAT)、Bispecific T-cell Engager(BiTE)、Biclonics、Fab-scFv-Fc、Two-in-one/Dual Action Fab(DAF)、FinomAb、scFv-Fc-(Fab)-fusion、Dock-aNd-Lock(DNL)、Adaptir(以前はSCORPION)、Tandem diAbody(TandAb)、Dual-affinity-ReTargeting(DART)、ナノボディ、トリプルボディ、tandem型scFv(taFv)、三頭(triple heads)、tandem型dAb/VHH、トリプルdAb/VHH、又は四価dAb/VHHが挙げられる。いくつかの場合において、抗VISTA抗体、抗LRIG1抗体、又はその組み合わせは、Brinkmann and Kontermann、“The making of bispecific antibodies,”MABS9(2):182-212(2017)の
図2に記載される二重特異性抗体フォーマットを含む二重特異性抗体又はその結合断片である。
【0030】
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、以下の表1に記載される相補性決定領域(CDR)を含むヒト化抗体である。
【表1】
【0031】
いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、以下の表2に記載される重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含むヒト化抗体である。
【表2】
【0032】
いくつかの場合において、ヒト化抗LRIG1抗体は、以下の表3に記載されるVH配列及びVL配列を含む。
【表3】
【0033】
いくつかの場合において、ヒト化抗LRIG1抗体は、mab2、mab4、mab5、又はmab6である。
【0034】
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、IgM、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)、IgA、又はIgEから選択されるフレームワーク領域を含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、IgMフレームワークを含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)フレームワークを含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、IgG1フレームワークを含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、IgG2フレームワークを含む。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、IgG4フレームワークを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、フレームワーク領域、例えば、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジ領域、又はその組み合わせに、1つ以上の変異を含む。いくつかの場合において、1つ以上の変異は、Fc受容体相互作用を調節して、例えば、ADCC及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)等のFcエフェクタ機能を増加させる。いくつかの場合において、1つ以上の変異は、抗体を安定にし、及び/又は抗体の半減期を増加する。さらなる場合において、1つ以上の変異は、グリコシル化を調節する。
【0036】
治療方法
いくつかの実施形態において、治療を必要とする対象に、前述の抗LRIG1抗体を投与する方法も本明細書に開示される。いくつかの例において、対象は癌であると診断されている。いくつかの場合において、癌は固形腫瘍である。その他の例において、癌は血液系腫瘍である。追加の例において、癌は転移性、再発性又は難治性癌である。
【0037】
いくつかの例において、癌は固形腫瘍である。いくつかの場合において、癌は乳癌である。いくつかの場合において、癌は結腸直腸癌である。いくつかの場合において、癌は腎臓癌である。いくつかの場合において、癌は肝臓癌である。いくつかの場合において、癌は肺癌である。いくつかの場合において、肺癌は、肺腺癌、扁平上皮癌、又は大細胞癌等の非小細胞肺癌(NSCLC)、又は小細胞肺癌(SCLC)を含む。
【0038】
いくつかの場合において、癌は、血液系腫瘍、例えば、転移性、再発性、又は難治性悪性腫瘍である。
【0039】
いくつかの場合において、抗LRIG1抗体は、全身投与のために製剤化される。いくつかの例において、抗LRIG1抗体は、非経口投与のために製剤化される。
【0040】
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、追加の治療薬と組み合わせて対象に投与される。いくつかの例において、追加の治療薬は、免疫治療薬を含む。いくつかの例において、追加の治療薬は、免疫チェックポイント調節因子を含む。いくつかの例において、追加の治療薬は、化学療法薬、標的治療薬、ホルモン治療薬又は幹細胞に基づく治療薬を含む。
【0041】
いくつかの例において、追加の治療薬は、免疫治療薬を含む。いくつかの例において、免疫療法は、養子細胞療法である。例示的な養子細胞療法として、AFP TCR、MAGE-A10 TCR、又はAdaptimmune由来のNY-ESO-TCR; Unum TherapeuticsのACTR087/リツキシマブ;抗-BCMA CAR-T細胞療法、抗CD19「装甲」CAR-T細胞療法、Juno TherapeuticsのJCAR014、JCAR018、JCAR020、JCAR023、JC
AR024、又はJTCR016;Celgene/Juno TherapeuticsのJCAR017;Intrexonの抗-CD19 CAR-T細胞療法;抗-CD19 CAR-T細胞療法、axicabtagene ciloleucel、Kite PharmaのKITE-718、KITE-439、又は NY-ESO-1 T細胞受容体療法;Sorrento Therapeuticsの抗CEA CAR-T細胞療法;TNK Therapeutics/Sorrento Therapeuticsの抗PSMA CAR-T細胞療法;Atara BiotherapeuticsのATA520;Aurora BioPharmaのAU101及びAU105;Cell Medicaの baltaleucel-T(CMD-003);bluebird bioのbb2121;Bellicum PharmaceuticalsのBPX-501、BPX-601、又はBPX-701;KiromicのBSK01;ImmunocoreのIMCgp100;Jounce TherapeuticsのJTX-2011;Lion BiotechnologiesのLN-144又はLN-145;Mustang BioのMB-101又はMB-102;CelyadのNKR-2;CelgeneのPNK-007;Novartis Pharmaceuticalsのtisagenlecleucel-T;又はTessa TherapeuticsのTT12が挙げられる。
【0042】
いくつかの例において、免疫療法は樹状細胞に基づく療法である。
【0043】
いくつかの例において、免疫療法は、例えば、IL-2、IL-15、又はIL-21等のインターロイキン(IL)、インターフェロン(IFN)-α、又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含むサイトカインに基づく療法を含む。
【0044】
いくつかの例において、免疫療法は、免疫チェックポイント調節因子を含む。例示的な免疫チェックポイント調節因子として、Bristol-Myers Squibbのニボルマブ(Opdivo)等のPD-1調節因子、Merckのペンブロリズマブ(Keytruda)、AgenusのAGEN 2034、BeiGeneのBGB-A317、Boehringer-Ingelheim PharmaceuticalsのBl-754091、CBT PharmaceuticalsのCBT-501(ゲノリムズマブ)、IncyteのINCSHR1210、Janssen Research&DevelopmentのJNJ-63723283、MedImmuneのMEDI0680、MacroGenicsのMGA 012、Novartis PharmaceuticalsのPDR001、PfizerのPF-06801591、Regeneron Pharmaceuticals/SanofiのREGN2810(SAR439684)、TESAROのTSR-042、イピリムマブ(Yervoy)等のCTLA-4調節因子、又はAgenusのAGEN 1884、AstraZenecaのデュルバルマブ(Imfinzi)等のPD-L1調節因子、Genentechのアテゾリズマブ(MPDL3280A)、EMD Serono/Pfizerのアベルマブ、CytomX TherapeuticsのCX-072、Novartis PharmaceuticalsFAZ053、3D Medicine/AlphamabのKN035、Eli LillyのLY3300054、又はEMD SeronoのM7824(抗-PD-L1/TGFベータトラップ);Bristol-Myers
SquibbのBMS-986016等のLAG3調節因子、Novartis PharmaceuticalsのIMP701、Novartis PharmaceuticalsのLAG525、又はRegeneron PharmaceuticalsのREGN3767;Bristol-Myers SquibbのBMS-986178等のOX40調節因子、GlaxoSmithKlineのGSK3174998、Agenus/IncyteのINCAGN1949、MedImmuneのMEDI0562、PfizerのPF-04518600、又はGenentechpのRG788
8;Novartis PharmaceuticalsのGWN323等のGITR調節因子、Agenus/IncyteのINCAGN1876、MedImmuneのMEDI1873、MerckのMK-4166、又はLeap TherapeuticsのTRX518;Bristol-Myers Squibbのリリルマブ等のKIR調節因子;又はNovartis PharmaceuticalsのMBG453又はTesaroのTSR-022等のTIM調節因子が挙げられる。
【0045】
いくつかの例において、追加の治療薬は化学療法薬を含む。例示的な化学療法薬として、限定されないが、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、ダカルバジン、又はニトロソウレア等のアルキル化剤;ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、又はバルルビシン等のアントラサイクリン;パクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン、又はタキソテール等の細胞骨格かく乱物質;エポチロン;ボリノスタット又はロミデプシン等のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤;イリノテカン又はトポテカン等のトポイソメラーゼI阻害剤;エトポシド、テニポシド、又はタフルポシド等のトポイソメラーゼII阻害剤;ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ、又はビスモデギブ等のキナーゼ阻害剤;アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、又はチオグアニン等のヌクレオチド類似体及び前駆体類似体;カルボプラチン、シスプラチン、又はオキサリプラチン等の白金に基づく薬剤;トレチノイン、アリトレチノイン、又はベキサロテン等のレチノイド;又はビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデニシン、又はビノレルビン等のビンカアルカロイド及び誘導体が挙げられる。
【0046】
いくつかの例において、追加の治療薬はホルモンに基づく療法薬を含む。例示的なホルモンに基づく療法薬として、限定されないが、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン、又はアミノグルテチミド等のアロマターゼ阻害剤;リュープロレリン又はゴセレリン等のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類似体;タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、又はフルベストラント等の選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM);フルタミド又はビカルタミド等の抗アンドロゲン;メゲストロール酢酸エステル又はメドロキシプロゲステロン酢酸エステル等のプロゲストーゲン;フルオキシメステロン等のアンドロゲン;エストロゲンジエチルスチルベストロール(DES)、Estrace、又はリン酸ポリエストラジオール等のエストロゲン;又はオクトレオチド等のソマトスタチン類似体が挙げられる。
【0047】
いくつかの例において、追加の治療薬は第一線の治療薬である。
【0048】
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体及び追加の治療薬は同時に投与される。いくつかの例において、抗LRIG1抗体及び追加の治療薬は連続して投与される。そのような例において、抗LRIG1抗体は、追加の治療薬を投与する前に対象に投与される。他の例において、抗LRIG1抗体は、追加の治療薬が投与された後に対象に投与される。
【0049】
いくつかの例において、追加の治療薬及び抗LRIG1抗体は、別々の剤形として製剤化される。
【0050】
いくつかの例において、対象は、外科手術を受けたことがある。いくつかの例において、抗LRIG1抗体及び任意に追加の治療薬は、外科手術の前に対象に投与される。いくつかの例において、抗LRIG1抗体及び任意に追加の治療薬は、外科手術の後に対象に投与される。
【0051】
いくつかの例において、対象は、放射線治療を受けたことがある。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体及び任意に追加の治療薬は、放射線治療の間又は後に対象に投与される。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体及び任意に追加の治療薬は、放射線治療を実施する前に対象に投与される。
【0052】
いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0053】
抗体の産生
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、抗原性組成物を生産動物に注入することによって、標準プロトコルによって産生される。例えば、Harlow and Lane、Antibodies:Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照のこと。タンパク質全体、又はタンパク質のより大きなセクションを使用する場合、抗体は、生産動物をタンパク質及び適切なアジュバント(例えば、フロイント、フロイント完全、水中油型エマルジョン等)で免疫化することによって、産生することができる。より小さなペプチドが使用される場合、ペプチドをより大きい分子と結合して、免疫刺激結合を作製することが利点である。多く使用される結合タンパク質は、ウシ血清アルブミン(BSA)及びキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)を含むこのような使用について、市販されている。特定のエピトープに対して抗体を産生するために、全配列に由来するペプチドを使用することができる。あるいは、タンパク質標的の比較的に短いペプチド部分に対して抗体を生成するために、ポリペプチドが卵白アルブミン、BSA又はKLH等の担体タンパク質に結合される場合、優れた免疫反応が誘発され得る。
【0054】
ポリクローナル又はモノクローナル抗LRIG1抗体は、ヒト免疫グロブリンを産生するように遺伝子改変された動物から産生することができる。トランスジェニック動物は、最初に、動物の自然な抗体を産生しない「ノックアウト」動物を作製し、動物をヒト抗体遺伝子座(例えば、ヒト人工染色体の使用によって)で安定的に形質転換することによって、作製することができる。このような例において、ヒト抗体だけが動物によって作製される。このような動物の生成技術、及びそこから由来する抗体は、米国特許出願第6,162,963号明細書及び6,150,584号明細書に記載され、参照により本明細書に完全に組み込まれる。このような抗体は、ヒト異種移植片抗体として呼ぶことができる。
【0055】
あるいは、抗LRIG1抗体は、ヒト可変領域を含むファージライブラリから産生することができる。参照による本明細書に完全に組み込まれる、米国特許出願第6,174,708号明細書を参照されたい。
【0056】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態のいくつかの態様において、抗LRIG1抗体は、ハイブリドーマによって産生される。
【0057】
モノクローナル抗LRIG1抗体について、ハイブリドーマは、播種された動物の膵臓から刺激免疫細胞を単離することによって、形成することができる。これらの細胞は、その後、骨髄腫細胞又は形質転換細胞等の不死化細胞に融合することができ、細胞培地において無制限に複製することができ、それにより不死の、免疫グロブリン分泌細胞株を産生することができる。使用される不死の細胞株は、特定の栄養素を使用するために必要な酵素が欠乏しているように選択することができる。多くのこのような細胞株(骨髄腫等)は、当業者に知られており、例えば、チミジンキナーゼ(TK)又はヒポキサンチン-グアニンホスホリボキシルトランスフェラーゼ(HGPRT)を含む。これらの欠乏は、例えば、ヒポキサンチンアミノプテリンチミジン培地(HAT)で増殖する能力に従って、融合細胞について選択することができる。
【0058】
さらに、抗LRIG1抗体は、遺伝子編集によって産生することができる。
【0059】
本明細書に開示される抗LRIG1抗体は、例えばアナフィラキシーショックといったヒトに望ましくない免疫反応を誘導する傾向を減少させることができ、抗体治療薬又はイメージング剤の繰り返される投与を防ぐ免疫反応(例えば、ヒト-抗-マウス―抗体「HAMA」反応)をプライミングする傾向を減少させることもできる。このような抗LRIG1抗体として、限定されないが、ヒト化、キメラ、又は異種間ヒト抗LRIG1抗体が挙げられる。
【0060】
キメラ抗LRIG1抗体は、優勢にヒトドメインを有する抗体を産生するために、例えば、マウスの(又はその他の動物由来の)ハイブリドーマクローンから得られるマウス可変軽鎖及び重鎖領域(VK及びVH)を、ヒト定常軽鎖及び重鎖領域と合わせることによって作製することができる。このようなキメラ抗体の産生は、当該技術分野で周知であり、及び標準的な手段(米国特許出願第5,624,659号明細書、参照により本面最初に完全に組み込まれる)によって達成することができる。
【0061】
非ヒト(例えば、げっ歯類又は霊長類)抗体に適用する場合の「ヒト化」という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含むハイブリッド免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片である。大部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ウサギ又は霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基に置換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非ヒト残基に置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDR若しくはフレームワーク配列にも見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに洗練し、最適化し、及びヒトの身体に導入される場合、免疫原性を最小にするようになされる。いくつかの例において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、通常は2つの可変ドメインの全てを実質的に含み、CDR領域の全て又は実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域と対応し、FR領域の全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のFR領域である。ヒト化抗体は、また、通常はヒト免疫グロブリンの定常領域である免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含む。
【0062】
ヒト化抗体は、ヒト様免疫グロブリンドメインを含み、及び動物由来の抗体の相補性決定領域のみを組み込むように設計することができる。これは、モノクローナル抗原結合単位又はモノクローナル抗体の可変領域の高可変ループの配列を注意深く調査し、ヒト抗原結合単位又はヒト抗体鎖の構造に適合することによって達成することができる。例えば、参照により本明細書に完全に組み込まれる、米国特許出願第No.6,187,287号明細書を参照されたい。
【0063】
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該技術分野で知られている。「ヒト化」抗体は、配列の少なくとも部分がその最初の形態から変化して、よりヒト免疫グロブリンのようにする。いくつかのバージョンにおいて、重鎖(H)及び軽鎖(L)定常(C)領域は、ヒト配列に置換される。これは、可変(V)領域及び異種免疫グロブリンC領域を含む融合ポリペプチドであってもよい。いくつかのバージョンにおいて、相補性決定領域(CDR)は、非ヒト抗体配列を含み、Vフレームワーク領域もヒト配列に変換される。例えば、欧州特許出願第0329400号明細書を参照されたい。いくつかのバージョンにおいて、V領域は、ヒト及びマウスV領域の共通配列を設計し、及び共通配列間で異なるCDRの外側の残基を変換することによってヒト化される。
【0064】
原則において、ヒト化抗体のフレームワーク配列は、CDR移植のためのテンプレートとして提供することができるが、しかしながら、このようなフレームワークへの真っ直ぐなCDR置換は、抗原に対する結合親和性の著しい損失になる可能性があることが実証されている。Glaser等(1992)J.Immunol.149:2606;Tempest等(1992)Biotechnology9:266;及びShalaby等(1992)J.Exp.Med.17:217。ヒト抗体(HuAb)がオリジナルのマウス抗体(muAb)に相同するほど、ヒトフレームワークは、親和性を減少させると思われるマウスCDRに歪みを導入する見込みが少なくなる。抗体配列データベースに対する配列相同性の調査に基づいて、その他のかなり相同性のHuAbも同様に、特にヒトサブグループIのカッパL鎖又はヒトサブグループIIIのH鎖に適切であると思われるが、HuAb IC4は、muM4TS.22に対して良好なフレームワーク相同性を提供する。Kabat等(1987)。ENCAD(Levitt等(1983)J.Mol.Biol.168:595)等の様々なコンピュータプログラムは、V領域の理想的な配列を予測するのに利用することができる。本発明は、したがって、異なる可変(V)領域を有するHuAbを含む。適切なV領域配列を決定し、これらの配列を最適化することは当該技術分野の範囲にある。減少した免疫原性を有する抗体を得る方法は、また、米国特許出願第5,270,202号明細書及び欧州特許出願第699,755号明細書に記載される。
【0065】
ヒト化抗体は、親及びヒト化配列の3次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的なヒト化産物の分析工程によって調製することができる。3次元免疫グロブリンモデルは、当業者に知られている。選択される候補の免疫グロブリン配列のありそうな3次元立体構造を図示し、表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を検査することによって、候補の免疫グロブリン配列の機能の残基のありそうな役割の分析、すなわち、抗原に結合する候補の免疫グロブリンの能力に影響する残基の分析が可能になる。このように、FR残基は、標的抗原との増加した親和異性等の所望の抗体の特徴が達成されるように共通配列及び移入配列から選択し、合わせることができる。
【0066】
対象の抗原結合単位のヒト化工程は、以下のようにすることができる。最適な生殖細胞系アクセプター重鎖及び軽鎖可変領域は、移植についてのヒト抗体生殖細胞系の相同性、基準の構造及び物理特性に基づいて選択される。mVH/VL対移植されたhVH/VLのコンピュータモデルが実施され、プロトタイプのヒト化抗体配列が生成される。モデリングがフレームワークの逆突然変異の必要性を示した場合、示されたFWの変化を有する第2のバリアントが生成される。選択された生殖細胞系フレームワーク及びマウスCDRをコードするDNA断片が合成される。合成されたDNA断片はIgG発現ベクターにサブクローンされ、配列は、DNAシークエンシングによって確認される。ヒト化抗体は293F等の細胞に発現され、タンパク質は、例えば、MDM食作用アッセイ及び抗原結合アッセイにおいて試験される。ヒト化抗原結合単位は、例えば、標的抗原を発現する細胞におけるFACSによって、抗原結合親和性において親抗原結合単位と比較される。親和性が2倍より大きく、親抗原結合単位より小さい場合、ヒト化バリアントの第2ラウンドが生成され、前述のように試験がなされる。
【0067】
前述のように、抗LRIG1抗体は、「一価」又は「多価」の何れかであってもよい。一価の抗LRIG1抗体が抗原結合単位につき1つの結合部位を有する一方、多価の抗LRIG1抗体は、同じ又は異なる種類の1つ以上の抗原に結合することができる複数の結合部位を含む。結合部位の数に依存して、抗原結合単位は、(2つの抗原結合部位を有する)二価、(3つの抗原結合部位を有する)三価、(4つの抗原結合部位を有する)四価等であってもよい。
【0068】
多価抗LRIG1抗体は、さらに結合特異性に基づいて分類することができる。「単一
特異性」抗LRIG1抗体は、同じ種類の1つ以上の抗原に結合することができる分子である。「多重特異性」抗LRIG1抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に結合特異性を有する分子である。このような分子は、通常、2つの固有の抗原(すなわち二重特異性抗LRIG1抗体)にのみ結合し、三重特異性抗体等の追加の特異性を有する抗体は、本明細書に使用される場合、この発現によって含まれる。本開示は、さらに多重特異性抗LRIG1抗体を提供する。多重特異性抗LRIG1抗体は、少なくとも2つの固有の抗原に結合することができる多価分子、例えば、2つの抗原に結合特異性を示す二重特異性分子及び3つの抗原に結合特異性を示す三重特異性分子である。
【0069】
ポリヌクレオチド及びベクター
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に開示される任意の抗LRIG1抗体をコードする単離された核酸を提供する。別の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される任意の抗LRIG1抗体をコードする核酸配列を含むベクターを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に開示される抗LRIG1抗体の軽鎖CDR及び重鎖CDRをコードする単離された核酸を提供する。
【0070】
対象の抗LRIG1抗体は、組み換えDNA技術、合成化学技術、又はその組み合わせによって調製することができる。例えば、抗LRIG1抗体の所望の成分をコードする配列は、軽鎖CDR及び重鎖CDRを含み、通常、当該技術分野で知られている標準的な分子技術を使用して発現ベクターに構築クローンされる。これらの配列は、個別のテンプレート核酸を使用するPCR生成断片から、又は所望の配列をコードする合成オリゴヌクレオチドを構築することによって、所望のタンパク質配列をコードするその他のベクターから構築することができる。発現システムは、適切な細胞に目的の抗LRIG1抗体を含む発現ベクターをトランスフェクトすることによって作製することができる。
【0071】
既存の抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域に対応するヌクレオチド配列は、限定されないが、ハイブリダイゼーション、PCR、及びDNAシークエンシングを含む通常の技術を使用して、容易に得ることができ、及び配列決定することができる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、抗体ヌクレオチド配列の好ましい源として役に立つ。モノクローナル抗体のアレイを生成する膨大な数のハイブリドーマ細胞は、公的又は私的リポジトリから得ることができる。最大の寄託機関は、American Type Culture Collection(atcc.org)であり、良く特徴付けられたハイブリドーマ細胞株の多様なコレクションを提供する。あるいは、抗体ヌクレオチドは、免疫化若しくは非免疫化げっ歯類又はヒトから、並びに脾臓及び末梢血リンパ球等の臓器から得ることができる。抗体ヌクレオチドを抽出し、合成するために適用可能な特定の技術は、Orlandi等(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A86:3833-3837;Larrick等(1989)Biochem.Biophys.Res.Commun.160:1250-1255;Sastry等(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.86:5728-5732;及び米国特許出願第5,969,108号明細書に記載される。
【0072】
抗LRIG1抗体をコードするポリヌクレオチドも、例えば、相同性非ヒト配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常領域についてのコード配列を置換することによって、修飾することができる。このように、元来の抗LRIG1抗体の結合特異性を保持するキメラ抗体が調製される。
【0073】
宿主細胞
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に開示される抗LRIG1抗体の何れか1つを発現する宿主細胞を提供する。対象の宿主細胞は、通常、本明細書に開示される抗LRIG1抗体の何れか1つをコードする核酸を含む。
【0074】
本発明は、ポリヌクレオチド、ベクター又は前述のベクターのライブラリでトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。ベクターは、エレクトロポレーション、微粒子銃、リポフェクション、(ベクターが感染病原体に結合される場合の)感染、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、又はその他の物質を使用するトランスフェクションを含むいくつかの適切な手段の何れかによって適切な原核生物又は真核生物細胞に導入することができる。ベクターを導入するための手段の選択は、宿主細胞の特徴に依存することが多い。
【0075】
多くの動物細胞について、前述の手段の何れかがベクター送達に適している。好ましい動物細胞は、大量、例えば、ミリグラムのレベルで、外因性に導入される遺伝子産物を発現することができる脊椎動物の細胞、好ましくは哺乳動物の細胞である。好ましい細胞の非限定的な例は、NIH3T3細胞、COS、HeLa及びCHO細胞である。
【0076】
適切な宿主細胞に導入されると、抗LRIG1抗体の発現は、当該技術分野で知られている任意の核酸又はタンパク質アッセイを使用して決定することができる。例えば、軽鎖CDR若しくは重鎖CDRの転写されたmRNA又は抗LRIG1抗体の存在は、通常のハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンブロット分析)、増幅手順(例えば、RT-PCR)、SAGE(米国特許出願第5,695,937号明細書)、及びアレイに基づく技術(例えば、米国特許出願第5,405,783号明細書、第5,412,087号明細書、及び第5,445,934号明細書)、抗LRIG1抗体をコードするポリヌクレオチドの任意の領域に相補的なプローブを使用することによって、検出及び/又は定量化することができる。
【0077】
ベクターの発現は、発現された抗LRIG1抗体を調査することによって決定することもできる。タンパク質の分析技術において様々な技術を使用することができる。その技術として、限定されないが、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素免疫測定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫放射定量測定法、(例えば、コロイド金、酵素又はラジオアイソトープ標識を使用する)in situ イムノアッセイ、ウエスタンブロット分析、免疫沈降アッセイ、免疫蛍光染色アッセイ、及びSDS-PAGEが挙げられる。
【0078】
ペイロード
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、さらにペイロードを含む。いくつかの場合において、ペイロードは、小分子、タンパク質若しくはその機能的断片、ペプチド、又は核酸ポリマーを含む。
【0079】
いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に結合されるペイロードの数(例えば、薬剤-抗体比又はDAR)は、約1:1であり、1つの抗LRIG1抗体に対して1つのペイロードである。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に対するペイロードの比は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1又は20:1である。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に対するペイロードの比は約2:1である。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に対するペイロードの比は約3:1である。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に対するペイロードの比は約4:1である。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に対するペイロードの比は約6:1である。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に対するペイロードの比は約8:1である。いくつかの場合において、抗LRIG1抗体に対するペイロードの比は約12:1である。
【0080】
いくつかの実施形態において、ペイロードは小分子である。いくつかの例において、小分子は細胞毒性ペイロードである。例示的な細胞毒性ペイロードとして、限定されないが、微小管破壊剤、DNA修飾剤、又はAkt阻害剤が挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態において、ペイロードは、微小管破壊剤を含む。例示的な微小管破壊剤として、限定されないが、2-メトキシエストラジオール、オーリスタチン、カルコン、コルヒチン、コンブレタスタチン、クリプトフィシン、ジクチオスタチン、ディスコデルモリド、ドラスタチン、エリュテロビン、エポチロン、ハリコンドリン、ラウリマライド、マイタンシン、ノスカピノイド、パクリタキセル、ペロルシド、ホモプシン、ポドフィロトキシン、リゾキシン、スポンジスタチン、タキサン、チューブリシン、ビンカアルカロイド、ビノレルビン又はその誘導体若しくは類似体が挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態において、マイタンシンはマイタンシノイドである。いくつかの実施形態において、マイタンシノイドは、DM1、DM4、又はアンサミトシンである。いくつかの実施形態において、マイタンシノイドは、DM1である。いくつかの実施形態において、マイタンシノイドは、DM4である。いくつかの実施形態において、マイタンシノイドは、アンサミトシンである。いくつかの実施形態において、米国特許第5208020号明細書、第5416064号明細書、第7276497号明細書、及び第6716821号明細書、又は米国特許出願公開第2013029900号明細書、及びUS20130323268に記載されるマイタンシノイド誘導体又は類似体である。
【0083】
いくつかの実施形態において、ペイロードは、ドラスタチン、又はその誘導体若しくは類似体である。いくつかの実施形態において、ドラスタチンはドラスタチン10又はドラスタチン15又はその誘導体若しくは類似体である。いくつかの実施形態において、ドラスタチン10類似体は、アウリスタチン、ソブリドチン、シンプロスタチン1又はシンプロスタチン3である。いくつかの実施形態において、ドラスタチン15類似体は、セマドチン又はタシドチンである。
【0084】
いくつかの実施形態において、ドラスタチン10類似体は、オーリスタチン又はオーリスタチン誘導体である。いくつかの実施形態において、オーリスタチン又はオーリスタチン誘導体は、オーリスタチンE(AE)、オーリスタチンF(AF)、オーリスタチンE5-ベンゾイル吉草酸エステル(AEVB)、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)、又はモノメチルオーリスタチンD(MMAD)、オーリスタチンPE、又はオーリスタチンPYEである。いくつかの実施形態において、オーリスタチン誘導体は、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態において、オーリスタチン誘導体は、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である。いくつかの実施形態において、オーリスタチンは、米国特許第6884869号明細書、第7659241号明細書、第7498298号明細書、第7964566号明細書、第7750116号明細書、第8288352号明細書、第8703714号明細書、及び第8871720号明細書に記載されるオーリスタチン誘導体又は類似体である。
【0085】
いくつかの実施形態において、ペイロードはDNA修飾剤を含む。いくつかの実施形態において、DNA修飾剤は、DNAクリーバー(DNA cleaver)、DNA介入物、DNA転写阻害剤、又はDNA架橋剤を含む。いくつかの例において、DNAクリーバーは、ブレオマイシンA2、カリチアマイシン、又はその誘導体若しくは類似体を含む。いくつかの例において、DNA介入物は、ドキソルビシン、エピルビシン、PNU-159682、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、オリゴマイシンC、ダウノルビシン、バルルビシン、トポテカン又はその誘導体若しくは類似体を含む。いくつかの例において、DNA転写阻害剤は、ダクチノマイシンを含む。いくつかの例において、D
NA架橋剤は、マイトマイシンCを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、DNA修飾剤は、アムサクリン、アントラサイクリン、カンプトテシン、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、エンジイン、エトポシド、インドリノベンゾジアゼピン、ネトロプシン、テニポシド、又はその誘導体若しくは類似体を含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、アントラサイクリンは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、ミスラマイシン、ネモルビシン、ピクサントロン、サバルビシン、又はバルルビシンである。
【0088】
いくつかの実施形態において、カンプトテシンの類似体は、トポテカン、イリノテカン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ラルトテカン、ジャイマテカン、ベロテカン、ルビテカン、又はSN-38である。
【0089】
いくつかの実施形態において、デュオカルマイシンは、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンB1、デュオカルマイシンB2、デュオカルマイシンC1、デュオカルマイシンC2、デュオカルマイシンD、デュオカルマイシンSA、又はCC-1065である。いくつかの実施形態において、エンジインは、カリチアマイシン、エスペラミシン、又はダイネミシンAである。
【0090】
いくつかの実施形態において、ピロロベンゾジアゼピンは、アントラマイシン、アベイマイシン、チカマイシン、DC-81、マゼトラマイシン、ネオトラマイシンA、ネオトラマイシンB、ポロトラマイシン、プロトラカルシン、シバノマイシン(DC-102)、シビロマイシン又はトメイマイシンである。いくつかの実施形態において、ピロロベンゾジアゼピンは、米国特許第8404678号明細書及び第8163736号明細書に記載されるように、トメイマイシン誘導体である。いくつかの実施形態において、ピロロベンゾジアゼピンは、米国特許第8426402号明細書、第8802667号明細書、第8809320号明細書、第6562806号明細書、第6608192号明細書、第7704924号明細書、第7067511号明細書、米国特許第7612062号明細書、第7244724号明細書、第7528126号明細書、第7049311号明細書、第8633185号明細書、第8501934号、及び第8697688号明細書並びに米国特許公開第20140294868号明細書に記載される。
【0091】
いくつかの例において、ピロロベンゾジアゼピンは、ピロロベンゾジアゼピン二量体である。いくつかの実施形態において、PBD二量体は対称二量体である。対称PBD二量体の例として、限定されないが、SJG-136(SG-2000)、ZC-423(SG2285)、SJG-720、SJG-738、ZC-207(SG2202)、及びDSB-120(表2)が挙げられる。いくつかの実施形態において、PBD二量体は非対称二量体である。非対称PBD二量体の例として、限定されないが、米国特許第8697688号明細書及び第9242013号明細書及び米国特許公開第20140286970号明細書に記載されるSJG-136誘導体が挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態において、ペイロードはAkt阻害剤を含む。いくつかの例において、Akt阻害剤は、イパタセルチブ(GDC-0068)又はその誘導体を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、ペイロードは、限定されないが、a-アマニチン等のポリメラーゼII阻害剤及びポリ(ADP-リボーゼ)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤を含むポリメラーゼ阻害剤を含む。例示的なPARP阻害剤として、限定されないが、イニパリブ(BSI 201)、タラゾパリブ(BMN-673)、オラパリブ(AZD-2
281)、オラパリブ、ルカパリブ(AG014699、PF-01367338)、ベリパリブ(ABT-888)、CEP9722、MK4827、BGB-290又は3-アミノベンズアミドが挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態において、ペイロードは、検出可能部分を含む。例示的な検出可能な部分として、蛍光染料、酵素、基質、化学発光部分、ストレプトアビジン、アビジン、又はビオチン等の特異的結合部分、又は放射性同位体を含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、ペイロードは、免疫調節剤を含む。有用な免疫調節剤として、腫瘍に対するホルモン作用を遮断する抗ホルモン剤、及びサイトカインの産生を抑制し、自己抗原発現を下方制御し、又はMHC抗原をマスクする免疫抑制剤を含む。代表的な抗ホルモンは、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、4(5)-イミダゾールを阻害ずるアロマターゼ、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン、並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド及びゴセレリン等の抗アンドロゲン、並びに抗副腎剤が挙げられる。例示的な免疫抑制剤として、限定されないが、2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原及びMHC断片についての抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、グルココルチコイド、ストレプトキナーゼ又はラパマイシン等のステロイドが挙げられる。
【0096】
いくつかの実施形態において、ペイロードは免疫調節剤を含む。例示的な免疫調節剤として、限定されないが、ガンシクロビエル、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキストル酸、グルココルチコイド及びその類似体、キサンチン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、腫瘍壊死因子(TNF)(例えば、TNFα)、インターロイキン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、及びIL-21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ)、「S1因子」として示される幹細胞増殖因子、エリスロポエチン及びトロンボポエチン、又はその組み合わせが挙げられる。
【0097】
いくつかの実施形態において、ペイロードは免疫毒素を含む。免疫毒素として、限定されないが、リシン、放射性核種、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、シュードモナス属外毒素A、ジフテリア毒素、リシンA鎖、レストリクトシン等の真菌毒及びホスホリパーゼ酵素が挙げられる。概して、“Chimeric Toxins、”Olsnes and Pihl、Pharmac.Ther.15:355-381(1981);及び“Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy,”eds.Baldwin and Byers、pp.159-179、224-266、Academic Press(1985)を参照のこと。
【0098】
いくつかの例において、ペイロードは核酸ポリマーを含む。このような例において、核酸ポリマーは、短干渉核酸(siNA)、短干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。その他の例において、核酸ポリマーは、例えば、細胞毒性タンパク質若しくはペプチド又はアポトーシストリガータンパク質若しくはペプチドをコードするmRNAを含む。例示的な細胞毒性タンパク質又はペプチドとして、α孔
形成毒素(例えば、E.coliからの細胞溶解素A)、β孔形成毒素(例えば、α溶血素、Panton-Valentineロイコシジン(PVL)、アエロリジン、クロストリジウムエプシロン毒素、クロストリジウム・ウェルシュエンテロトキシン)、二成分毒素(炭疽毒素、浮腫毒素、クロストリジウム・ボツリヌムC2毒素、クロストリジウム・スピロフォルム毒素、クロストリジウム・ウエルシュイオタ毒素、クロストリジウム・ディフィシル細胞致死性毒素(A及びB))、プリオン、パラスポリン、コレステロール依存性細胞溶解素(例えばニューモリシン)、小孔形成毒素(例えば、グラミシジンA)、シアノトキシン(例えば、ミクロシスチン、ノジュラリン)、ヘモトキシン、神経毒(例えば、ボツリヌム神経毒)、細胞毒素、コレラ毒素、ジフテリア毒素、シュードモナス属外毒素A、破傷風毒素、又は免疫毒素(イダルビシン、リシンA、CRM9、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、DT)が挙げられる。例示的なアポトーシストリガータンパク質又はペプチドとして、アポトーシスプロテーゼ活性因子-1(Apaf-1)、チトクロム-c、カスパーゼ開始タンパク質(CASP2、CASP8、CASP9、CASP10)、アポトーシス誘導因子(AIF)、p53、p73、p63、Bcl-2、Bax、グランザイムB、ポリ-ADPリボースポリメラーゼ(PARP)、及びP 21-活性化キナーゼ2(PAK2)が挙げられる。さらなる例において、核酸ポリマーは核酸デコイを含む。いくつかの例において、核酸デコイは、RNAに基づくタンパク質結合模倣物等のタンパク質結合核酸の模倣物である。例示的な核酸デコイとして、トランス活性化領域(TAR)デコイ及びRev反応要素(RRE)デコイが挙げられる。
【0099】
いくつかの例において、ペイロードはアプタマーである。アプタマーは、特異的標的分子に結合する小オリゴヌクレオチド又はペプチド分子である。例示的な核酸アプタマーとして、DNAアプタマー、RNAアプタマー、又は1つ以上の非天然ヌクレオチドを含むRNA及び/若しくはDNAアプタマーであるXNAアプタマーが挙げられる。例示的な核酸アプタマーの例として、ARC19499(Archemix Corp.)、REG1(Regado Biosciences)、及びARC1905(Ophthotech)が挙げられる。
【0100】
本明細書に記載の実施形態に記載の核酸は、任意に、天然核酸、若しくは1つ以上のヌクレオチド類似体を含み、又はさもなければ天然核酸の構造と異なる構造を有する。例えば、2’-修飾はハロ、アルコキシ、及びアリルオキシ基を含む。いくつかの実施形態において、2’-OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2又はCNから選択される基によって置換され、RはC1-C6アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ハロはF、Cl、Br、又はIである。修飾された結合の例として、ホスホロチオエート及び5’-ホスホラミダイト結合が挙げられる。
【0101】
様々な異なるヌクレオチド類似体、修飾された骨格、又は非天然のヌクレオチド間結合を有する核酸は、本明細書に記載の実施形態に従って使用される。いくつかの場合において、核酸として、天然ヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン及びデオキシシチジン)又は修飾ヌクレオシドが挙げられる。修飾ヌクレオチドの例として、塩基修飾ヌクレオシド(例えば、アラシチジン、イノシン、イソグアノシン、ネブラリン、シュードウリジン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、2-チオチミジン、3-デアザ-5-アザシチジン、2’-デオキシウリジン、3-ニトルピロール、4-メチルインドール、4-チオウリジン、4-チオチミジン、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、2-チオウリジン、5-ブロモシチジン、5-ヨードウリジン、イノシン、6-アザウリジン、6-クロロプリン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-アザアデノシン、8-アジドアデノシン、ベンゾイミダゾール、M1-メチルアデノシン、ピロロ-ピリミジン、2-アミノ-6-クロロプリン、3-メチルアデノシン、5-プロピニルシチジン、5-プロピニルウリジン、5-ブロモウリジン、5-フルオロウリ
ジン、5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、及び2-チオシチジン)、化学又は生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基)、修飾糖類(例えば、2’-フルオロリボース、2’-アミノリボース、2’-アジドリボース、2’-O-メチルリボース、L-エナンチオマーヌクレオシドアラビノース、及びヘキソース)、修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエート及び5’-N-ホスホラミダイト結合)、及びその組み合わせが挙げられる。核酸の化学合成のための天然及び修飾ヌクレオチドモノマーは、容易に入手できる。いくつかの場合において、このような修飾を含む核酸は、天然ヌクレオチドのみから成る核酸に対して改善された特性を示す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の核酸修飾は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ等)による消化を減少及び/又は防ぐために使用される。例えば、核酸の構造は、消化を減少させるために、1つ又は両方の鎖の3’末端にヌクレオチド類似体を含むことによって、安定化することができる。
【0102】
異なるヌクレオチド修飾及び/又は骨格構造は、核酸の様々な位置に存在し得る。このような修飾として、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、メチルホスホン酸ヌクレオチド、チオールホスホン酸ヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)又はその組み合わせが挙げられる。
【0103】
結合化学
いくつかの例において、ペイロードは、天然型ライゲーションによって本明細書に記載される抗LRIG1抗体に結合される。いくつかの例において、結合は、以下に記載される。Dawson等“Synthesis of proteins by native chemical ligation,”Science 1994、266、776-779;Dawson等“Modulation of Reactivity in Native Chemical Ligation through the Use of Thiol Additives,”J.Am.Chem.Soc.1997、119、4325-4329; Hackeng等“Protein synthesis by native chemical ligation:Expanded
scope by using straightforward methodology.,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999、96、10068-10073;又はWu等“Building complex glycopeptides:Development of a cysteine-free native chemical ligation protocol,”Angew.Chem.Int.Ed.2006、45、4116-4125。いくつかの例において、結合は、米国特許第8,936,910号明細書に記載される。
【0104】
いくつかの例において、ペイロードは、「トレースレス」カップリング技術(Philochem)を使用する部位特異的方法によって、本明細書に記載される抗LRIG1抗体に結合される。いくつかの例において、「トレースレス」カップリング技術は、結合部分にN末端1,2-アミノチオール基を使用し、その後、アルデヒド基を含む多核酸分子と結合される。(Casi等、“Site-specific traceless coupling of potent cytotoxic drugs to recombinant antibodies for pharmacodelivery,”JACS134(13):5887-5892(2012)を参照のこと)。
【0105】
いくつかの例において、ペイロードは、結合部分に組み込まれる非天然アミノ酸を使用する部位特異的方法によって、本明細書に記載される抗LRIG1抗体に結合される。いくつかの例において、非天然アミノ酸は、p-アセチルフェニルアラニン(pAcPhe
)を含む。いくつかの例において、pAcPheのケト基は、アルコキシ-アミン誘導体化結合部分に選択的に結合されて、オキシム結合を形成する。(Axup等、“Synthesis of site-specific antibody-drug conjugates using unnatural amino acids,”PNAS109(40):16101-16106(2012)を参照のこと)。
【0106】
いくつかの例において、ペイロードは、酵素触媒工程を使用する部位特異的方法によって、本明細書に記載される抗LRIG1抗体に結合される。いくつかの例において、部位特異的方法は、SMARTag(商標)技術(Redwood)を使用する。いくつかの例において、SMARTag(商標)技術は、アルデヒドタグの存在下における酸化工程及び続くhydrazino-Pictet-Spengler(HIPS)ライゲーションを介したFGlyのアルキルヒドライン機能化多核酸分子への結合によって、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)によって、システインからホルミルグリシン(FGly)残基を生成することを含む。(Wu等、“Site-specific chemical modification of recombinant proteins produced in mammalian cells by using the genetically encoded aldehyde tag,”PNAS106(9):3000-3005(2009);Agarwal等、“A Pictet-Spengler ligation for protein chemical modification,”PNAS110(1):46-51(2013)を参照のこと)。
【0107】
いくつかの例において、酵素触媒工程は、微生物トランスグルタミナーゼ(mTG)を含む。いくつかの例において、ペイロードは、微生物トランスグルタミナーゼ酵素触媒工を使用して、抗LRIG1抗体に結合される。いくつかの例において、mTGは、認識配列のグルタミンのアミド側鎖と機能化多核酸分子の一級アミンとの間の共有結合の形成を触媒する。いくつかの例において、mTGは、ストレプトマイセス‐モバラエンシスから産生される。(Strop等、“Location matters:site of conjugation modulates stability and pharmacokinetics of antibody drug conjugates,”Chemistry and Biology 20(2)161-167(2013)を参照のこと)。
【0108】
いくつかの例において、ペイロードは、配列特異的トランスペプチダーゼを使用する、国際公開第2014/140317号明細書に記載される方法によって抗LRIG1抗体に結合される。
【0109】
いくつかの例において、ペイロードは米国特許出願第2015/0105539号及び第2015/0105540号明細書に記載される方法によって、本明細書に記載の抗LRIG1抗体に結合される。
【0110】
リンカー
いくつかの例において、前述のリンカーは、分岐若しくは非分岐モノマー、及び/又は2次元若しくは3次元のモノマーの架橋ネットワークから成る、天然又は合成ポリマーを含む。いくつかの例において、リンカーとして、多糖、リグニン、ゴム、又はポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール)が挙げられる。
【0111】
いくつかの例において、リンカーとして、限定されないが、α-、ω-ジヒドロキシルポリエチレングリコール、生分解性ラクトンに基づくポリマー、例えば、ポリアクリル酸、ポリラクチド酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリシアノアクリル酸塩、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート(PET、PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PETE)、ポリテトラメチレングリコール(PTG)、又はポリウレタン及びその混合物が挙げられる。本明細書で使用される場合、混合物は、同化合物の異なるポリマーの使用を指し、ブロックコポリマーに関連する。いくつかの場合において、ブロックコポリマーは、ポリマーの少なくとも1つのセクションが別のポリマーのモノマーから構築される。いくつかの例において、リンカーはポリアルキレンオキシドを含む。いくつかの例において、リンカーはPEGを含む。いくつかの例において、リンカーは、ポリエチレンイミド(PEI)又はヒドロキシエチルスターチ(HES)を含む。
【0112】
いくつかの場合において、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)は多分散又は単一分散化合物である。いくつかの例において、多分散材料は、平均重量(重量平均)サイズ及び分散度を特徴とする異なる分子量の材料の分散分布を含む。いくつかの例において、単分散PEGは1つの大きさの分子を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは多分散又は単分散ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)であり、及び指示される分子量がポリアルキレンオキシド、例えば、PEG分子の分子量の平均を示す。
【0113】
いくつかの実施形態において、リンカーは、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)を含み、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)の分子量は、約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3250、3350、3500、3750、4000、4250、4500、4600、4750、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、10,000、12,000、20,000、35,000、40,000、50,000、60,000、又は100,000Daである。
【0114】
いくつかの実施形態において、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)は分散PEGであり、分散PEGは、1つ以上の反復エチレンオキシド単位を含む高分子PEGである。いくつかの例において、分散PEG(dPEG)は、2~60、2~50、又は2~48個の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例において、dPEGは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40、42、48、50個以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの例において、dPEGは、約2個以上の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの場合において、dPEGは、純粋(例えば、約95%、98%、99%又は99.5%)な原材料から段階的に単一の分子量の化合物として合成される。いくつかの場合において、dPEGは、平均分子量よりも特定の分子量を有する。いくつかの場合において、本明細書に記載のdPEGは、Quanta Biodesign、LMDのdPEGである。
【0115】
いくつかの場合において、リンカーは分散PEGであり、任意に2~60、2~50、又は2~48個の反復エチレンオキシド単位を含む。いくつかの場合において、リンカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40、42、48、50個以上の反復エチレンオキシド単位を含むdPEGを含む。いくつかの場合において、リンカーは、Quanta Biodesign、LMDのdPEGである。
【0116】
いくつかの実施形態において、リンカーはポリペプチドリンカーである。いくつかの例において、ポリペプチドリンカーは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100個以
上のアミノ酸残基を含む。いくつかの例において、ポリペプチドリンカーは少なくとも2、3、4、5、6、7、8個以上のアミノ酸残基を含む。いくつかの場合において、ポリペプチドリンカーは最大で2、3、4、5、6、7、8以下のアミノ酸残基を含む。いくつかの場合において、ポリペプチドリンカーは(例えば、酵素的又は化学的の何れかで)切断可能なポリペプチドリンカーである。いくつかの場合において、ポリペプチドリンカーは、切断することができないポリペプチドリンカーである。いくつかの例において、ポリペプチドリンカーは、Val-Cit(バリン-シトルリン)、Gly-Gly-Phe-Gly、Phe-Lys、Val-Lys、Gly-Phe-Lys、Phe-Phe-Lys、Ala-Lys、Val-Arg、Phe-Cit、Phe-Arg、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp-Cit、Phe-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu、又はGly-Phe-Leu-Glyを含む。いくつかの例において、ポリペプチドリンカーは、いくつかの例において、ポリペプチドリンカーは、Val-Cit(バリン-シトルリン)、Gly-Gly-Phe-Gly、Phe-Lys、Val-Lys、Gly-Phe-Lys、Phe-Phe-Lys、Ala-Lys、Val-Arg、Phe-Cit、Phe-Arg、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp-Cit、Phe-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu、又はGly-Phe-Leu-Gly等のペプチドを含む。いくつかの場合において、ポリペプチドリンカーは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、又はL-及びD-アミノ酸の両方の混合物を含む。
【0117】
いくつかの例において、リンカーはホモ二官能性(homobifuctional)リンカーを含む。例示的なホモ二官能性リンカーとして、限定されないが、Lomant試薬ジチオビス(スクシンイミジルプロピオン酸)DSP、3’3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロプリオン酸)(DTSSP)、スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベリン酸(BS)、酒石酸ジスクシンイミジル(DST)、酒石酸ジスルホスクシンイミジル(スルホDST)、エチレングリコビス(スクシンイミジルコハク酸)(EGS)、グルタル酸ジスクシンイミジル(DSG)、炭酸N,N’-ジスクシンイミジル(DSC)、アジプイミド酸ジメチル(DMA)、ピメルイミド酸ジメチル(DMP)、スベルイミド酸ジメチル(DMS)、ジメチル-3,3’-ジチオビスプロピオンイミド酸(DTBP)、1,4-ジ-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ブタン(DPDPB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、ハロゲン化アリール含有化合物(DFDNB)、例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン又は1,3-ジフルオロ-4,6-ジニトロベンゼン、4,4’-ジフルオロ-3,3’-ジニトロフェニルスルホン(DFDNPS)、ビス-[β-(4-アジドサリチルアミド)エチル]二硫化物(BASED)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、o-トルイジン、3,3’-ジメチルベンジジン、ベンジジン、α,α’-p-ジアミノジフェニル、ジヨード-p-キシレンスルホン酸、N,N’-エチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、又はN,N’-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)が挙げられる。
【0118】
いくつかの実施形態において、リンカーはヘテロ二官能性リンカーを含む。例示的なヘテロ二官能性リンカーとして、限定されないが、N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸(sPDP)等のアミン反応性及びスルフヒドリル架橋リンカー、長鎖N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸(LC-sPDP)、水溶性長鎖N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(スルホ-LC-sPDP)、スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン(sMPT)、スルホスクシンイミジル-6-[α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサン酸(スルホ-LC-sMPT)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(sMCC)、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カル
ボン酸(スルホ-sMCC)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBs)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MBs)、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸(sIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸(スルホ-sIAB)、スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)酪酸(sMPB)、スルホスクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)酪酸(スルホ-sMPB)、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル(GMBs)、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBs)、スクシンイミジル6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサン酸(sIAX)、スクシンイミジル6-[6-(((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ]ヘキサン酸(sIAXX)、スクシンイミジル4-(((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(sIAC)、スクシンイミジル6-((((4-ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボニル)アミノ)ヘキサン酸(sIACX)、p-ニトロフェニルヨード酢酸塩(NPIA)、カルボニル反応性及びスルフヒドリル反応性架橋剤、例えば4-(4-N-マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド-8(M2C2H)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(PDPH)、アミン反応性及び光反応性架橋剤、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(NHs-AsA)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(スルホ-NHs-AsA)、スルホスクシンイミジル-(4-アジドサリチルアミド)ヘキサン酸(スルホ-NHs-LC-AsA)、スルホスクシンイミジル-2-(ρ-アジドサリチルアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸(sAsD)、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジド安息香酸(HsAB)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジド安息香酸(スルホ-HsAB)、N-スクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸(sANPAH)、スルホスクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸(スルホ-sANPAH)、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド(ANB-NOs)、スルホスクシンイミジル-2-(m-アジド-o-ニトロベンズアミド)-エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸(sAND)、N-スクシンイミジル-4(4-アジドフェニル)1,3’-ジチオプロピオン酸(sADP)、N-スルホスクシンイミジル(4-アジドフェニル)-1,3’-ジチオプロピオン酸(スルホ-sADP)、スルホスクシンイミジル4-(ρ-アジドフェニル)酪酸(スルホ-sAPB)、スルホスクシンイミジル2-(7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセトアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸(sAED)、スルホスクシンイミジル7-アジド-4-メチルクマイン-3-アセテート(スルホ-sAMCA)、ρ-ニトロフェニルジアゾピルビン酸(ρNPDP)、ρ-ニトロフェニル-2-ジアゾ-3,3,3-トリフルオロプロピオン酸(PNP-DTP)、スルフヒドリル反応性及び光反応性架橋剤、例えば、1-(ρ-アジドサリチルアミド)-4-(ヨードアセトアミド)ブタン(AsIB)、N-[4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチル]-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)、ベンゾフェノン-4-ヨードアセトアミド、ベンゾフェノン-4-マレイミドカルボニル反応性及び光反応性架橋剤、例えばρ-アジドベンゾイルヒドラジド(ABH)、カルボン酸反応性及び光反応性架橋剤、例えば、4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチルアミン(AsBA)、及びアルギニン反応性及び光反応性架橋剤、例えばρ-アジドフェニルグリオキサール(APG)が挙げられる。
【0119】
いくつかの実施形態において、リンカーは、安息香酸基、又はその誘導体を含む。いくつかの例において、安息香酸基又はその誘導体は、パラアミノ安息香酸(PABA)を含む。いくつかの例において、安息香酸基又はその誘導体は、ガンマアミノ酪酸(GABA)を含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、リンカーは、任意の組み合わせで、マレイミド基、ペプチド部分及び/又は安息香酸基の1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、マレイミド基、ペプチド部分及び/又は安息香酸基の組み合わせを含む。いくつかの例において、マレイミド基は、マレイミドカプロイル(mc)である。いくつかの例において、ペプチド基は、val-citである。いくつかの例において、安息香酸基はPABAである。いくつかの例において、リンカーはmc-val-cit基を含む。いくつかの場合において、リンカーは、val-cit-PABA基を含む。追加の場合において、リンカーは、mc-val-cit-PABA基を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、リンカーは、自壊性リンカー又は自己消去(self-elimination)リンカーである。いくつかの場合において、リンカーは、自壊性リンカーである。その他の場合において、リンカーは自己消去リンカー(例えば、環化自己消去リンカー)である。いくつかの例において、リンカーは米国特許第9,089,614号明細書又は国際公開第2015038426号明細書に記載されるリンカーを含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、リンカーは樹状タイプのリンカーである。いくつかの例において、樹状タイプのリンカーは、分岐、多機能性リンカー部分を含む。いくつかの例において樹状タイプのリンカーは、PAMAMデンドリマーを含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、リンカーはトレースレスリンカー又は切断後に、抗体又はペイロードに対するリンカー部分(例えば、原子又はリンカー基)に残らないリンカーである。例示的なトレースレスリンカーとして、限定されないが、ゲルマニウムリンカー、ケイ質リンカー、硫黄リンカー、セレニウムリンカー、窒素リンカー、リン酸リンカー、ホウ素リンカー、クロムリンカー又はフェニルヒドラジドリンカーが挙げられる。いくつかの場合において、リンカーは、Hejesen等、“A traceless aryl-triazene linker for DNA-directed chemistry,”Org Biomol Chem 11(15):2493-2497(2013)に記載されるトレースレスアリールトリアゼンリンカーである。いくつかの例において、リンカーは、Blaney等、“Traceless solid-phase organic synthesis,”Chem.Rev.102:2607-2024(2002)に記載されるトレースレスリンカーである。いくつかの場合において、リンカーは、米国特許第6,821,783号明細書に記載のトレースレスリンカーである。
【0124】
医薬組成物
いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、医薬組成物としてさらに製剤化される。いくつかの例において、医薬組成物は、限定されないが、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、皮膚内、腹腔内、硝子体内、脳内、又は脳室内)、経口、鼻腔内、頬側、直腸、又は経皮的投与経路を含む複数の投与経路によって、対象に投与するために製剤化される。いくつかの例において、本明細書に記載される医薬組成物は、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、皮膚内、腹腔内、硝子体内、脳内、又は脳室内)投与のために製剤化される。その他の例において、本明細書に記載される医薬組成物は、経口投与のために製剤化される。さらにその他の例において、本明細書に記載される医薬組成物は、鼻腔内投与のために製剤化される。
【0125】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、限定されないが、水性液体分散液、自己乳化性分散液、固形溶液、リポソーム分散液、エアロゾル、固形剤形、粉末、即放性製剤、制御放出製剤、早く融解する製剤、錠剤、カプセル、丸剤、遅延放出製剤、持続放出製
剤、パルス放出製剤、多粒状製剤(例えば、ナノ粒子製剤)、並びに混合された即放性及び制御放出製剤が挙げられる。
【0126】
いくつかの例において、医薬組成物は、さらに、pH調節剤又は緩衝剤を含み、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸及び塩酸等の酸を含み、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリス-ヒドロキシメチルアミノメタン等の塩基、並びにクエン酸/ブドウ糖、炭酸水素ナトリウム及び塩化アンモニウム等の緩衝液を含む。このような酸、塩基及び緩衝液は、許容される範囲の組成物のpHを維持するために必要とされる量で含まれる。
【0127】
いくつかの例において、医薬組成物は、組成物の浸透圧を許容範囲にするために必要とされる量で1つ以上の塩を含む。このような塩として、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムカチオン及び塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩又は亜硫酸水素塩アニオンを有する塩を含み、適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び硫酸アンモニウムを含む。
【0128】
いくつかの例において、医薬組成物は、より安定した環境を提供することができるため、化合物を安定にするために使用される希釈剤をさらに含む。緩衝液に溶解される塩(pH調整又はpH維持を提供することもできる)は、限定されないが、当該技術分野の希釈剤として使用され、リン酸塩緩衝生理食塩水溶液を含む。特定の例において、希釈剤は、圧縮を容易にするために組成物のバルクを増加し、又はカプセル充填について均一なブレンドのための充分なバルクを作製する。このような成分として、例えば、ラクトース、スターチ、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖、Avicel(登録商標)等の結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、無水ラクトース、噴霧乾燥されたラクトース、アルファ化デンプン、Di-Pac(登録商標)(Amstar)等の圧縮可能な糖、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸ステアリン酸塩、ショ糖に基づく希釈剤、粉砂糖、一塩基硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、デキストル酸塩、加水分解された穀類固形物、アミロース、粉末セルロース、炭酸カルシウム、グリセリン、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、イノシトール、ベントナイト等を挙げることができる。
【0129】
治療レジメン
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗LRIG1抗体は、治療的適用のために投与される。いくつかの実施形態において、抗LRIG1抗体は、1日1回、1日2回、1日3回以上投与される。抗LRIG1抗体は、毎日、毎隔日、1週間に5日、1週間に1回、隔週、1か月に2週間、1か月に3週間、1か月に1回、1か月に2回、1か月に3回以上投与される。抗LRIG1抗体は、少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、2年、3年以上の間投与される。
【0130】
医師の裁量で患者の状態が正に改善する場合、抗LRIG1抗体の投与は連続的に与えられ、あるいは、抗LRIG1抗体の用量は、測定の期間(すなわち、「休薬日」)、一時的に減少又は維持的に中止される。いくつかの例において、休薬日の長さは、2日~1年の間で変化し、例示に過ぎないが、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日又は365日を含む。休薬日の間の用量の減少は、10%~100%であり、例示に過ぎないが、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、
60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%を含む。
【0131】
患者の病態の改善が生じた場合、必要な場合維持用量が投与される。続いて、投与量又は投与頻度、又はその両方は、症状を関数として、改善された疾患、障害又は病態が維持されるレベルまで減少することができる。
【0132】
いくつかの実施形態において、量等に対応する所与の薬剤の量は、特定の化合物、治療を必要とする対象又は宿主の疾患の重症度、独自性(例えば、重量)等の要因に依存して変化するが、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、及び治療を受ける対象又は宿主を含む症例を取り囲む特定の状況に従って、当該技術分野で知られているように、ルーチン的に決定される。いくつかの例において、所望の用量は、単回用量に、又は同時に(又は短期間に渡って)、又は例えば、1日つき2、3、4回以上のサブ用量として適切な間隔で、投与される分割量として便利に示される。
【0133】
個別の治療レジメンについて変数の数が大きいため、前述の範囲は示唆に過ぎず、これらの推奨される値からの相当な可動域はまれではない。この用量は、変数の数、限定されないが、使用される化合物の作用、治療を受ける疾患又は病態、投与様式、個別の対象の必要条件、治療対象の疾患又は病態の重症度、及び実施者の判断に依存して変化する。
【0134】
いくつかの実施形態において、このような治療レジメンの毒性及び治療有効性は、細胞培養物又は実験動物の標準的な製剤手順によって決定され、限定されないが、LD50(集団の50%を死亡させる用量)及びED50(集団の50%に治療効果的な用量)の決定を含む。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、LD50とED50との間の比として表される。高い治療指数を示す化合物が好まれる。細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトに使用される用量範囲を公式化するときに使用される。このような化合物の用量は、好ましくは、最小毒性でED50を含む濃度を循環する範囲にある。用量は、使用される剤形及び使用される投与経路に依存して、この範囲で変化する。
【0135】
製造のキット/物品
特定の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の組成物及び方法で使用するための製造のキット及び物品が本明細書に開示される。このようなキットは、担体、パッケージ、又はバイアル、管等の1つ以上の容器を受け取るように区画される容器を含み、容器のそれぞれは、本明細書に記載される方法に使用される個別の要素の1つを含む。適切な容器として、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管が挙げられる。一実施形態において、容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成される。
【0136】
本明細書に提供される製造の物品は、包装材料を含む。医薬的包装材料の例として、限定されないが、ブリスターパック、ボトル、管、バッグ、容器、ボトル及び選択される製剤並びに意図された投与及び治療様式に適する包装材料が挙げられる。
【0137】
例えば、容器は、本明細書に開示される抗LRIG1抗体、本明細書に記載される1つ以上の抗体を産生する宿主細胞、及び/又は本明細書に記載される抗体をコードする核酸分子を含むベクターを含む。このようなキットは、任意に、本明細書に記載される方法に使用に関係する識別の記述又はラベル又は説明書を含む。
【0138】
キットは、通常、内容物及び/又は使用説明書を挙げるラベル、使用説明書を有する包装挿入物を含む。一組の説明書も通常含まれる。
【0139】
一実施形態において、ラベルは、容器の上にある又は容器に関連する。一実施形態において、ラベルを形成する文字、数字又はその他の文字が容器それ自体に貼られる、作られる又はエッチングされる場合、ラベルは容器の上にあり、例えば、パッケージ挿入物として、ラベルが容器又は容器を保持もする担体に存在する場合、ラベルは容器に関連する。一実施形態において、ラベルは、内容物が、特定の治療的適用に使用されることを示すために使用される。ラベルは、また、本明細書に記載される方法において、内容物を使用するための説明書を示す。
【0140】
特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に提供される化合物を含む1つ以上の剤形を含むパック又はディスペンサ装置に存在する。パックは、例えば、ブリスターパック等の金属又はプラスチックホイルを含む。一実施形態において、パック又はディスペンサ装置は投与についての説明書を伴う。一実施形態において、パック又はディスペンサ装置は、また、医薬品の製造、使用又は販売を管理する政府機関によって規定される形態の容器に関連する通知を伴い、通知は、ヒト又は動物への投与のための薬剤の形態の機関の承認を反映している。このような通知は、例えば、処方薬又は承認された製品挿入物について、米国食品医薬品局によって承認されたラベリングである。一実施形態において、適合する医薬担体に製剤化される本明細書で提供される化合物を含む組成物は、また、指示される条件の治療について調製され、適切な容器に置かれ、及び標識される。
【0141】
特定の用語
他に断りの無い限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、請求の主題が属する技術分野の当業者によって、共通して理解される意味と同じ意味を有する。前述の一般的な記述及び以下の詳細な記述は、例示であり、説明に過ぎず、請求の任意の主題に制約されないことが理解される。
【0142】
この出願において、単数は、他に断りの無い限り、複数を含む。明細書及び添付の請求項に使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が明白にそうではないと記載していない限り、複数の参照対象を含む。この出願において、他に断りのない限り、「又は」の使用は、「及び/又は」を意味する。さらに、「含む」(「include」、「includes」及び「included」等)という用語の使用は、その他の形態と同じく、限定しない。
【0143】
本明細書で使用される場合、範囲及び量は、「約」として、特定の値又は範囲として表すことができる。約は、また、厳密な量を含む。したがって、「約5μL」は、「おおよそ5μL」を意味し、「5μL」も意味する。概して、「約」という用語は、実験誤差の範囲内、例えば、15%、10%、又は5%以内にあることが予想される量を含む。
【0144】
本明細書に使用される見出しは、組織立てるためにだけにあり、記載の主題を限定するものとして考えられない。
【0145】
本明細書で使用される場合、用語「個体」、「対象」及び「患者」は任意の哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態において、哺乳動物は非ヒトである。いかなる用語も医療従事者(例えば、医師、正看護師、上級看護師、臨床医のアシスタント、又は用務員若しくはホスピスワーカー)の監督(例えば、常に又は断続の)によって特徴付けされる状況に必要とされない又は限定されない。
【0146】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では同義に使用されて、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、線形、環状、又は分岐鎖であってもよく、修飾アミノ酸を含み得、非アミノ酸によって中断されてもよい。
この用語は、例えば、硫酸化、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、ヨウ素化、メチル化、酸化、タンパク質プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、 セレン化(selenoylation)、アルギニル化、ユビキチン化、又はラベリング成分との結合等の任意のその他の操作等の、転移RNAを媒介するタンパク質へのアミノ酸の付加によって、修飾されるアミノ酸ポリマーも含む。
【0147】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然及び/又は非天然若しくは合成アミノ酸を指し、グリシン及びD又はL光学異性体の両方、並びにアミノ酸類似体及びペプチド模倣物を含む。
【0148】
示されるタンパク質「に由来する」ポリペプチド又はアミノ酸配列は、ポリペプチドの起源を指す。好ましくは、ポリペプチドは、本質的に、配列又はその部分にコードされるポリペプチドと本質的に同一であるアミノ酸配列を有し、この部分は、少なくとも10~20個のアミノ酸、又は少なくとも20~30個のアミノ酸、又は少なくとも30~50個のアミノ酸から成り、又は配列にコードされるポリペプチドと免疫学的に同定可能である。この用語は、また、示される核酸配列から表されるポリペプチドを含む。
【0149】
非ヒト(例えば、げっ歯類又は霊長類)抗体に適用する場合の「ヒト化」という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含むハイブリッド免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片である。
【実施例】
【0150】
これらの実施例は、例示目的のために提供されるに過ぎず、本明細書に提供される請求項の範囲を限定しない。
【0151】
実施例1 VISTAへのLRIG1結合
この実施例は、LRIG1とVISTAとの間の相互作用を評価するために実施されるアッセイを記載する。
【0152】
結合アッセイ-免疫共沈降
【0153】
免疫共沈降実験は、VISTAが特異的にLRIG1と相互作用するかどうかを試験するために実施された。293T細胞は、HAタグ付けされたVISTAをコードするプラスミド及びFlagタグ付けされたLRIG1をコードするプラスミドを同時導入された。トランスフェクションは、製造者のプロトコルに従ってリポフェクタミン3000(Life Technologies)を使用して実施された。トランスフェクトされた細胞は、一晩で増殖され、その後、洗浄され、溶解された。溶解された細胞は、遠心分離にかけられ、上清(溶解物)が回収された。溶解物は、SDS-PAGE試料バッファと混合して調製され、SDS-PAGEで分離された。SDS-PAGEゲルは、その後、抗Flag抗体(
図1A)及び抗HA抗体(
図1B)でそれぞれプローブされた。抗Flagと抗HA抗体の両方は、Sigmaから購入された。
図1A及び
図1Bの矢印は、それぞれ、LRIG1及びVISTAの存在を示す。
【0154】
免疫沈降のために、抗HA抗体及びタンパク質Gビーズ(Santa Cruz biotech)は、前述で生成された上清(溶解物)に加えられた。ビーズ及び溶解物は、4℃で一晩回転することによってインキュベートされて、HAタグ付けされたタンパク質を付着させることができた。ビーズは、その後、溶解バッファで3回洗浄され、1倍のSDS PAGE試料バッファと混合され、煮沸され、SDS PAGEで分離された。SDS PAGEゲルは、メンブレンに移され、その後、抗Flag抗体(
図1C)でプローブされた。
図1Cの矢印は、LRIG1の存在を指し、ヒトVISTAがヒトLRIG
1を特異的に引き落とすことを示す。
【0155】
遮断アッセイ-ELISA
【0156】
ELISAアッセイも実施されて、VISTAとLRIG1との間の相互作用を評価した。96ウェルELISAプレート(ThermoFisher Scientific)は、PBSにおいてhLRIG1タンパク質(R&D systems)で被覆され、4℃で一晩インキュベートされた。プレートは、TBSTで3回洗浄され、その後、室温で1時間、2%のBSAを含むPBSバッファで遮断された。
図2において、抗hLRIG1 mAb(IMT-300)がhLRIG1で被覆されたウェルに加えられた。抗体は、10分間インキュベートされ、その後、hVISTA Fc(R&D Systems)がプレートに加えられ、さらに1時間インキュベートされた。プレートは、その後、3回洗浄され、次に、抗ヒトIgG-HRP(Jackson Immuno Research)で、室温で1時間インキュベーションされた。TBSTによる3回の洗浄後、TMB subtract(GeneTex)で色が発生し、反応は、1NのHClで中断された。光学濃度(OD)は450nmで読まれた。二重の±SDの平均ODとして、結果が表された。
図2の結果は、hLRIG1に対するモノクローナル抗体IMT300(mab4)は、VISTAとLRIG1(
図2)との間の相互作用を遮断したことを示した。
【0157】
実施例2 LRIG1発現アッセイ
フローサイトメトリーを使用して、ヒト末梢血単核球(PBMC)におけるLRIG1の発現を検出した。活性化のために、hCD3及びhCD28(Biolegend)で5日間被覆されたプレートにヒトPBMCが播種された。活性化され、又は新鮮なPBMCは、氷上で200μg/mlのhIgGで10分間遮断され、続いて、氷上で、ヒツジ抗hLRIG1ポリクローナル抗体(R&D Systems)又はアイソタイプのコントロール抗体で20分間インキュベートされ、続いて、氷上で、抗ヒツジIgG APC抗体(JacksonImmuno Research)で20分間インキュベートされた。洗浄後、染色された細胞は、MACSquant Analyzer10(Miltenyi Biosci)を使用して分析された。
図3A-3Bの結果は、LRIG1の発現が、活性化(
図3B)では検出されたが、アイソタイプのコントロール染色された試料(暗灰色の線)に対してナイーブPBMC(淡灰色の線)(
図3A)では検出されなかったことを示した。
【0158】
実施例3 LRIG1機能混合リンパ球反応(MLR)
あるドナーのヒトM2マクロファージは、別のドナーのヒトCD4 T細胞と混合され、10ug/mlのコントロールIgG、hPD1遮断抗体EH12(BD bioscience)、hLRIG1 mAb IMT300(mab4)、又はhPD1及びLRIG1抗体の組み合わせと、8日間、処理された。分泌されたIFNガンマ(IFNγ)は、eBioscienceのELISAキットで検出された。
図4の結果は、PD1抗体と組み合わせたhLRIG1 mAb IMT300がIFNγの分泌をかなり増加させたことを示した。
【0159】
実施例4 LRIG1-VISTA遮断作用のある場合とない場合のLRIG1結合抗体の識別
LRIG1とVISTAとの相互作用を遮断する能力を有するLRIG1標的抗体を識別するために、精製LRIG1及びVISTAタンパク質は、様々なLRIG1標的抗体又はコントロール抗体の存在下、又は抗体の無い場合に、インキュベートされ、タンパク質の相互作用がELISAによって評価された。HISタグ(R&D Systems)に融合された精製ヒトLRIG1細胞外ドメインは、3μg/mlの濃度まで、リン酸緩
衝食塩水(PBS)(Corning)に希釈され、96ウェルELISAプレート(Thermo Fisher、44-2404-21)のそれぞれのウェルに100ul加えられた。プレートを4℃で一晩インキュベートした後に、プレートは、ウェルにつき、0.05%のTWEEN(登録商標)(VWR)(PBST)を有する300μlのPBSTで3回洗浄された。プレートは、その後、室温で穏やかに振動しながら、ウェルにつきPBSTにおける200μlの2%のウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma)で1時間遮断された。その後、PBSTにおける2%のBSAが除去され、PBSTの2%のBSAに3.3ug/mlで50ulの抗体がウェルに加えられた。プレートは、室温で穏やかに振動しながら10分間インキュベートされた。その後、100ulのPBS緩衝液の50nMのオリゴマー化されたVISTAがウェルにつき加えられた。VISTAオリゴマー化はKlickmer形成によって実施された。端的には、5nMのKlickmer(Immudex)がPBSの200nMのhVISTA-Fc-Avi-ビオチンでインキュベートされ、1時間インキュベートされた。プレートは、室温で穏やかに振動しながら1時間インキュベートされた。その後、プレートは、ウェルにつき300μlのPBSTで3回洗浄され、100ulのアビジン-HRP(1:1000)(Jackson ImmunoResearch)が各ウェルに加えられ、プレートは室温で30分間穏やかに振動しながらインキュベートされた。その後、プレートは、ウェルにつき300μlのPBSTで3回洗浄された。100ulのTMB基質(Fisher Scientific、34029)がその後各ウェルに加えられた。反応は、ウェルにつき50ulの1MのHCl(VWR)で停止された。プレートは450nmの吸光度でプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して読まれた。LRIG1-VISTA相互作用の遮断率は、各実験試料で得られたシグナルのうち、抗体の無い試料のシグナルからバックグラウンドシグナルを差し引いた割合として、計算された。
【0160】
図5に示されるように、LRIG1結合抗体は、LRIG1及びVISTAの相互作用を遮断する差示的能力を示した。LRIG1標的mab2は、強力に結合を阻害し、任意の抗体のない状態で観察されるVISTA及びLRIG1の結合を、21%まで減少した。mab4、mab5、及びma6も遮断されていない試料に対して、それぞれ、44%、60%、及び43%までLRIG1及びVISTAの結合を減少した。対照的に、LRIG1結合抗体mab1及びmab3は、それほどLRIG1のVISTAとの結合を減少しなかった。
【0161】
実施例5 VISTA-LRIG1遮断活性のある場合及びない場合のLRIG1標的抗体は、LRIG1の固有のエピトープに結合する
VISTA-LRIG1遮断活性のある場合及びない場合のLRIG1抗体が結合されるエピトープを識別するために、LRIG1の部分を表す20個のアミノ酸ペプチドのライブラリが作製され、LRIG1抗体を結合する能力がELISAによって評価された。少なくとも50ulのPBSにおける少なくとも2ug/mlのhLRIG1ペプチド又は100ulのPBSにおける0.1ug/mlの全長ヒトLRIG1タンパク質(R&D Systems)が96ウェルプレート(Thermo Fisher、44-2404-21)のウェルに加えられた。プレートを4℃で一晩インキュベートした後に、プレートは、ウェルにつき、300μlのPBSTで3回洗浄された。プレートは、その後、室温で穏やかに振動しながら、ウェルにつき200μlのPBSTの2%BSAで1時間遮断された。その後、PBSTの2%BSAが除去され、PBSTの2%BSAにおける0.1ug/mlの100ulの抗体がウェルに加えられた。プレートは、穏やかに振動しながら室温で1時間インキュベートされ、その後ウェルにつき、300μlのPBSTで3回洗浄された。その後、100ulの抗マウス IgG-HRP(1:4000)(Jackson ImmunoResearch)又は抗ラットIgG HRP(1:4000)(Jackson ImmunoResearch)がウェルに加えられた。プレートは、穏やかに振動しながら室温で30分間インキュベートされ、その後ウェルに
つき、300μlのPBSTで3回洗浄された。100ulのTMB基質(Fisher
Scientific、34029)がその後各ウェルに加えられた。反応は、ウェルにつき50ulの1M HCl(VWR)で停止された。プレートは450nmの吸光度でプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して読まれた。
【0162】
ペプチド配列は、表4に列挙される。
【表4-1】
【表4-2】
【0163】
図6に示されるように、VISTA-LRIG1遮断活性mab2、mab4、及びmab6を有するLRIG1標的化抗体は、配列番号2のアミノ酸565-584に対応するペプチド54に結合した。別々に、mab3は、配列番号2のアミノ酸635-654に対応するペプチド61に結合されるVISTA-LRIG1遮断活性を示さなかった。mab1は、VISTA-LRIG1遮断活性も欠いており、どのLRIG1ペプチドにも結合せず、この抗体について乏しい親和性又は非線形エピトープを示唆する。同様に、mab5は、LRIG1及びVISTA結合を最も弱く遮断し、どのLRIG1ペプチドにも結合することができず、乏しい親和性又は非線形エピトープを示唆する。ペプチド54は、VISTA-LRIG1遮断活性を有する抗体を決定するために、LRIG1のエピトープを示す。
【0164】
実施例6 遮断活性を有するLRIG1-VISTA抗体は、LRIG1への結合に競合する
LRIG1-VISTA遮断活性を有するLRIG1結合抗体がLRIG1分子の同じ又は重なる領域に結合するかどうかを決定するために、抗体ビニングアッセイが実施されて、LRIG1に同時に結合する抗体の能力を評価した。アミン反応性プローブは、Gatorバイオセンサー(Probe Life、Palo Alto、CA)に装填され、dH20に60秒間平衡化され、100ulのEDC 0.2M/NHS 0.05Mの活性バッファに30秒間浸され、その後、結合が飽和され、1MのエタノールアミンpH8.5に300秒間クエンチされるまで、10mMのNaOAcバッファ、pH5の20ug/ulのヒトLRIG1-Hisの溶液に浸された。LRIG1-Hisの充填後、先端が20ug/mLの飽和抗体に浸され、その後、引き続いて5ug/mLの競合抗体に浸された。
【0165】
表5~6に記載されるように、任意の個別の抗体によるhLRIG1-Hisの先端の飽和は、競合試験において、同抗体との結合を防いだ。別個の抗体の対の間の競合は競合ビンの1つのクラスを明らかにした。mab2、mab4、mab5、及びmab6は、hLRIG1-Hisについて相互の競合結合を示したが、mab1またはmab3に競合せず、そのためビンAを規定する。mab5のmab2、mab4及びmab6との競合の観察は、ペプチド54にそれほど結合することができないという観点で予想されず、一方で、mab2、mab4、及びmab6はまさにペプチド54に結合した。対照的に、mab1及びmab3は、互いに、又は任意のその他の抗体とビニングすることができなかった。重要なこととして、ビンAにおける抗体の結合は、
図5に記載されるように、LRIG1及びVISTAの結合を遮断する能力と相関し、一方で、ビニングされない抗体mab1及びmab3は、この相互作用を遮断することができなかった。したがって、ビンAを規定するmab2、mab4、mab5、及びmab6との結合について競合する抗体の能力は、VISTA及びLRIG1の相互作用を破壊する同抗体の能力を予測する。
【表5】
【表6】
【0166】
実施例7 VISTA-LRIG1の結合表面の識別
LRIG1とVISTAとの間の相互作用を媒介する残基を識別するために、架橋された質量分析方法が使用された。5ulの精製3.2uM LRIG1及び5ulの精製0.6uM VISTAは混合され、K200 MALDI MS分析キット(CovalX)との架橋に供された。9μlの混合物は、1μlのK200安定化試薬(2mg/ml)と混合され、室温でインキュベートされた。インキュベーション時間(180分)の後、試料は、コントロール実験についてMALDI分析のために調製された。試料は、結晶化の直ぐ後に高質量MALDI分析によって分析された。分析について、以下のパラメーターが適用された:質量分析計:線形及びポジティブモード、イオン源1:20kV、イオン源2:17kV、レンズ:12kV、パルスイオン抽出:400nsのHM4:ゲイン電圧:3.14kV、加速電圧:20kV。架橋LRIG1-VISTA産物がMH+=207.154kDaと識別された。試料は、トリプシン、キモトリプシン、ASPN-N、エラスターゼ又はサーモリシンで消化され、LRIG1及びVISTAアミノ酸配列の両方で架橋されたペプチドが決定された。
【0167】
図7A~7Cに記載されるように、LRIG1アミノ酸245~260の近傍の残基がVISTAアミノ酸68~92の近傍の残基に架橋結合されることが分かった。これらのアミノ酸は、それぞれの分子の露出領域に置かれ、これらの領域は、LRIG1及びVISTAのタンパク質間相互作用に関与することを示唆する。MALDI-MSによって決定されるアミノ酸246~260のLRIG1結合インターフェースが、LRIG1-VISTA遮断抗体mab2、mab4、及びmab6によって結合されるエピトープと異なることは注目すべきである。これらの抗体の結合は、構造的再配置を生じる立体構造の変化を誘導し、それによって結合に影響を与える可能性がある。LRIG1アミノ酸245~260によって媒介される異なる結合インターフェースの識別は、ペプチド52によって規定される領域以外の領域に結合する抗体がLRIG1及びVISTAの相互作用を破壊することもできることを示唆する。
【0168】
実施例8 LRIG1-VISTA遮断は、ヒト化マウス腫瘍モデルにおける腫瘍増殖を減少する
癌の環境におけるLRIG1-VISTA遮断の有用性を評価するために、ヒト免疫システムを移植され、ヒトSCLC腫瘍を有するマウスが使用された。全ての動物実験は、適用可能な米国農務省の動物福祉法(Animal Welfare Act)(9 CFR Parts 1、2及び3)を遵守して実施され、IACUC承認動物プロトコルによって対象とされた。端的には、NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1SugTg(SV40/HTLV-IL3,CSF2)10-7Jic/JicTacマウスは、NOG-EXLマウス(Taconic)としても知られ、ヒトCD34+造血幹細胞を移植され、100ulの合計量に50,000のCultrex ECM(Trevigen)と混合された等量のヒト小細胞肺癌(SCLC)患者由来異種移植片(PDX)モデルLU5173腫瘍細胞が26G7/8(0.5mm×22mm)針に適合される凍結された1mlのLuer-lokシリンジで、後側に経皮的に注入された。動物の触知できる腫瘍又は見た目若しくは振る舞いの任意の変化は毎週モニタリングされ、病的状態又は死亡の任意の徴候を示すマウスについて毎日のモニタリングが実施された。腫瘍量は、以下の等式:(最長の直径*最短の直径2)/2を使用して計算された。平均の
腫瘍量が60~100mm3に達した場合、12頭のマウスは、A)HuIgG4コントロール抗体、10mg/kgのBIW×3週間、B)抗PD1オプジーボ(OPDIVO)抗体、10mg/kgのBIWx3週間、C)10mg/kgの抗LRIG1抗体IMT300(mab4)BIW×3週間の何れかを投与されるそれぞれの治療群にランダムに割り当てられた。
【0169】
図8及び表7に示されるように、huIgG4コントロール抗体で治療を受けた動物の腫瘍増殖は、治療から25日後に、1760mm
3の平均腫瘍量にまで増殖し、オプジーボで治療を受けた動物の腫瘍は、2068mm
3の平均腫瘍量にまで増殖し、-16%の腫瘍増殖阻害(TGI)を反映する。対照的に、IMT300で治療を受けた動物の腫瘍は、同じ期間で1188mm
3しか増殖せず、34%のTGIを反映する。さらに、頂端成長キネティックがコントロール治療された動物は72mm
3/日減少したのに対し、IMT300処理された動物は32mm
3/日減少した。まとめると、これらのデータは、LRIG1結合抗体IMT300によるLRIG1-VISTAの遮断がPD1-PDL1遮断抗体オプジーボ(OPDIVO)よりも効果的に、ヒト腫瘍増殖を阻害することを示す。
【表7】
【0170】
実施例9 使用される抗体
以下の表8は、本明細書に記載される試験について抗体の情報を挙げる。
【表8】
【0171】
実施例10 配列
以下の表9は、前述の配列を示す。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【0172】
本発明の好ましい実施形態が示され、本明細書に記載されるが、このような実施形態が単なる例示として提供されることは当業者に明らかである。多数の変化例、変化及び置き換えが本発明から逸脱することなく当業者に思い浮かぶだろう。本明細書に記載の実施形態に対する様々な代替物が本発明の実施に使用され得ることが理解されるはずである。以下の請求項は本発明の範囲を規定し、これらの請求項及びその等価物の範囲内の方法及び構造がそれによって網羅される。
【配列表】