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  • 特許-発光装置及びこれを備えた警光灯 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】発光装置及びこれを備えた警光灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20220608BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20220608BHJP
   F21S 43/15 20180101ALI20220608BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220608BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220608BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20220608BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220608BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/14
F21S43/15
F21V5/00 510
F21V5/04 500
F21V5/04 600
F21V5/00 320
F21W103:00
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018224943
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020087861
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】594067025
【氏名又は名称】嶋田プレシジョン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504354405
【氏名又は名称】宝永ゴム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000149103
【氏名又は名称】株式会社大阪サイレン製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】関 克彦
(72)【発明者】
【氏名】二俣 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】石川 武史
(72)【発明者】
【氏名】武田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中咲 寛士
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-130001(JP,A)
【文献】特開2018-081806(JP,A)
【文献】特開2018-181644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
F21S 43/14
F21S 43/15
F21V 5/00
F21V 5/04
F21W 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDユニットと、
前記LEDユニットが取り付けられる拡散部材と、を備え、
前記LEDユニットは、基板と、前記基板に実装されたLEDと、を有し、
前記拡散部材は透明樹脂製であって、前記LEDからの光を導入する導入部と、前記導入部から導入された光を内部反射させる反射部と、前記導入部から導入された光を出射する拡散レンズ部と、を有し、
前記導入部は、集光レンズ部と、凹レンズ部と、を有し、
前記LEDから発せられる一部の光は、前記集光レンズ部から前記拡散部材に導入されて前記拡散レンズ部から出射され、
前記LEDから発せられる他の一部の光は、前記凹レンズ部から前記拡散部材に導入されて前記反射部により内部反射され、前記拡散レンズ部から出射されることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記凹レンズ部は前記LEDを曲率中心とする球面レンズ部であり、前記反射部は前記LEDを焦点位置とする放物面レンズ部であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記球面レンズ部の曲率半径は約13mmであり、前記放物面レンズ部の頂点における曲率半径は約12.5mmであることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記拡散部材は、前記拡散レンズ部の周縁から延出する周壁部を更に有し、
前記周壁部の内面には複数本の溝が設けられていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の発光装置。
【請求項5】
透光グローブと、
前記透光グローブに収容された発光装置と、を備え、
前記発光装置は請求項1~4の何れかに記載の発光装置であることを特徴とする警光灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びこれを備えた警光灯に関する。
【背景技術】
【0002】
警察車両や消防車両等の緊急車両の屋根に搭載される警光灯は、投光グローブ内に発光装置を収容して構成されている。このような発光装置として、特許文献1には基板に配列された複数個のLEDからの光を集光レンズ素子部により平行光束とした後に、縦シリンドリカルレンズ素子部で所定の角度に拡散させるものが開示されている。また、図7に示すように、LED142からの光を集光レンズ106により集光又はリフレクタ107により反射させて拡散カバー108により拡散させるものが実用に供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-63782
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の発光装置では、LEDから発せられる光のうち所定範囲(約60°の範囲)の光のみしか前方へ出射する光として利用されていない。
【0005】
また、図7に示す構成では、集光レンズ106とリフレクタ107と拡散カバー108とを組み立てる必要があり、製造に手間がかかるという問題があった。また、LED142から発せられた一部の光L101については、集光レンズ106に入射する箇所P1、集光レンズ106から出射される箇所P2、拡散カバー108に入射する箇所P3、及び拡散カバー108から出射する箇所P4において、それぞれ4%程度の透明体透過損失が発生し、合計で16%(4%×4箇所)程度の光量が損失される。同様に、他の一部の光L102については、リフレクタ107において10%~15%程度(リフレクタ107の反射率に依存する)の反射損失が発生すると共に、拡散カバー108に入射する箇所P5及び拡散カバー108から出射する箇所P6においてそれぞれ4%程度の透明体透過損失が発生し、合計で18%~23%程度の光量が損失される。
【0006】
本発明は、組み立てが容易な発光装置及びこれを備えた警光灯の提供を目的とする。
【0007】
本発明は、光の損失を抑制できる発光装置及びこれを備えた警光灯の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置は、LEDユニットと、前記LEDユニットが取り付けられる拡散部材と、を備え、前記LEDユニットは、基板と、前記基板に実装されたLEDと、を有し、前記拡散部材は透明樹脂製であって、前記LEDからの光を導入する導入部と、前記導入部から導入された光を内部反射させる反射部と、前記導入部から導入された光を出射する拡散レンズ部と、を有し、前記導入部は、集光レンズ部と、凹レンズ部と、を有し、前記LEDから発せられる一部の光は、前記集光レンズ部から前記拡散部材に導入されて前記拡散レンズ部から出射され、前記LEDから発せられる他の一部の光は、前記凹レンズ部から前記拡散部材に導入されて前記反射部により内部反射され、前記拡散レンズ部から出射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光装置によれば、前記LEDから発せられる一部の光は、前記集光レンズ部から前記拡散部材に導入されて前記拡散レンズ部から出射され、前記LEDから発せられる他の一部の光は、前記凹レンズ部から前記拡散部材に導入されて前記反射部により反射され、前記拡散レンズ部から出射されるので、レンズ部品にリフレクタ部品や拡散レンズ部品を組み立てる必要がなく、製造工程を容易にできる。また、光の透過箇所を減らすことができるので、光の透明体透過損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る警光灯を示す概略斜視図。
図2図1に示す警光灯が備える発光装置を示す図であって、(a)は表面側斜視図、(b)は表面側分解斜視図。
図3図2(a)のIII-III線端面図。
図4図2(a)のIV-IV線端面図。
図5図2に示す発光装置が備える拡散部材の裏面側斜視図。
図6】実施例に係る発光装置の発光状態を示す写真図。
図7】従来の発光装置の端面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る警光灯について説明する。図1を参照して、本実施形態の警光灯1は、消防車両等の緊急車両(図示せず)の屋根等に搭載されて使用されるものであって、透光グローブ2と、透光グローブ2に収容された複数個の発光装置3と、を備える。
【0012】
図2に示す様に、各発光装置3は、LEDユニット4と、LEDユニット4が取り付けられる拡散部材5と、LEDユニット4を拡散部材5に取り付ける取付手段(図示せず)と、を備え、LEDユニット4は、基板41と、基板41に横方向D1に一列に実装された3個のLED42と、を有する。拡散部材5は透明樹脂製であって、LED42からの光を導入し、その光を導いて外部に出射するものである。図3に示す様に、拡散部材5は、LED42からの光を拡散部材5内に導入する導入部6と、導入部6から導入された光を内部反射させるリフレクタ部7と、拡散部材5内に導入された光を出射する拡散レンズ部8と、拡散レンズ部8の周縁部から延びる環状の周壁部9と、を有し、これらは樹脂成形により一体に形成されている。
【0013】
導入部6は、LED42からの光を集光させる第1レンズ部61と、高さ方向D2において第1レンズ部61とLEDユニット4の間に位置する第2レンズ部62と、第1レンズ部61と第2レンズ部62の間に位置する第3レンズ部63と、を有する。図4に示す様に、第1レンズ部61は、3個のLED42に対応して長さ方向D1に一列に並ぶ3個の凸レンズ部(集光レンズ部)61aを有し、各凸レンズ部61aの中心は各LED42と高さ方向D2に対向する。各凸レンズ部61aは非球面形状を有し、長さ方向D1における曲率よりも幅方向D3における曲率の方が小さく設定されている。詳細は後述する。
【0014】
図5に示す様に、第2レンズ部62は、3個の凸レンズ部61aに対応して第1凹レンズ部62aと、一対の第2凹レンズ部62b,62bと、第3凹レンズ部62cと、を有する。第1凹レンズ部62a及び第3レンズ部62cはC字状横断面を有し、一対の第2凹レンズ部62b,62bは幅方向D3に相互に対向している。第2レンズ部62の一方の側縁62A(高さ方向D2においてLEDユニット4に近い方の側縁(下側縁))は、高さ方向D2においてLED42とほぼ同じ高さ位置に位置している。換言すると、図3に示す様に、LED42の光軸C1に対するLED42と側縁62Aとを結ぶ仮想線C2の角度θ1は略180°である。また、各凹レンズ部62a,62b,62b,62cは、対応のLED42(LED42の中心)を曲率中心とする球面レンズ部である。
【0015】
第3レンズ部63は第1レンズ部61の周縁からLEDユニット4に向かって高さ方向D2に沿って延び、第2レンズ部62の他方の周縁(上側縁)62Bと連続している。
【0016】
図5を参照して、リフレクタ部7は略3段雪だるま状の横断面を有し、3個の凸レンズ部61aに対応して第1の反射部71と、一対の第2の反射部72,72と、第3の反射部73と、を有し、一対の第2の反射部72,72は幅方向D3に相互に対向している。各反射部71,72,72,73は、対応のLED42(LED42の中心)を焦点位置とする放物面レンズ部である。
【0017】
図4に示す様に、拡散レンズ部8は幅方向D3に直線状に延びる複数本のシリンドリカルレンズ部81が長さ方向D1に並列されたレンチキュラーレンズ部である。
【0018】
図5に示す様に、周壁部9の内面には複数本の溝91が設けられている。周壁部9を含む拡散部材5が透明樹脂製であるため、周壁部9に溝91を設けることによって外部から内部を視認しにくくすることができる。
【0019】
かかる構成において、図3に示す様に、LED42から発せられた光のうち、一部の光L1は第1レンズ部61(凸レンズ部61a)から拡散部材5に導入され、拡散部材5を構成する樹脂内を伝播し、拡散レンズ部8から拡散されて出射される。このとき、第1レンズ部61を構成する凸レンズ部61aは、長さ方向D1における曲率よりも幅方向D3における曲率の方が小さい非球面レンズ部であるから、凸レンズ部61aを球面レンズ状とした場合と比較して長さ方向D1における光の拡散角度をより広くできる。なお、本実施形態においては、長さ方向D1における凸レンズ部61aのレンズ面を放物面レンズ面とし、幅方向D3における凸レンズ部61aのレンズ面を球面レンズ面としている。
【0020】
また、LED42から発せられた光のうち、他の一部の光L2は、第2レンズ部62から拡散部材5に導入され、リフレクタ部7により内部全反射されて略平行光束となり、拡散レンズ部8から拡散されて出射される。LED42から発せられた光のうち、更に他の光L3は、第3レンズ部63から拡散部材5に導入され、拡散部材5の樹脂内を伝播して拡散レンズ部8から拡散されて出射される。
【0021】
このように、本実施形態においては、LED42から発せられた光は樹脂成形により一体形成された拡散部材5に導入されて拡散レンズ部8から拡散されて出射されるので、図7に示す従来のものと異なり、レンズやリフレクタを組み立てる工程が不要となり、発光装置3の製造工程を簡略化できる。
【0022】
また、拡散部材5を樹脂により一体形成しているから、図7に示す従来のものと比較して光の損失を抑制できる。即ち、図3を参照して、光L1については、第1レンズ部61から入射する箇所Q1と拡散レンズ部8から出射される箇所Q2においてそれぞれ4%程度の透明体透過損失が発生するのみであるから、合計の損失量を8%程度に押さえることができる。光L2についても、リフレクタ部7における反射損失はなく、第2レンズ部62から入射する箇所Q3と拡散レンズ部8から出射される箇所Q4においてそれぞれ4%程度の透明体透過損失が発生するのみであるから、合計の損失量を8%程度に押さえることができる。
【0023】
なお、LED42の中心を通り長さ方向D1に平行な縦断面において、第1レンズ部61から導入される光の角度範囲(図4に示す角度θ2)は約42°であるのが好ましい。また、LED42の中心を通り幅方向D3に平行な縦断面において、第1レンズ部61から導入される光の角度範囲(図3に示す角度θ3)は約34°とするのが好ましく、第3レンズ部63から導入される光の角度範囲(図3に示す角度θ4)は約15°とするのが好ましく、第2レンズ部62から導入される光の角度範囲(図3に示す角度θ5)は約42°とするのが好ましい。
【0024】
[実施例]
上記実施形態に係る発光装置3を下記のパラメータで製造したところ、発光装置3を図6に示す様に良好に光らせることができた。
【0025】
まず、非球面形状は、「z」をレンズ面の頂点からの光軸方向における距離(サグ量)、「x」を光軸からの距離(光軸方向に垂直な方向における距離)、「r」を頂点における曲率半径(曲率の逆数)、「k」を円錐定数(コーニック定数)とすると、以下の数式1によって定義される(高次項省略)。
【0026】
【数1】
数式1において、長さ方向D1における凸レンズ部61aの曲率半径rを25mm、コーニック定数Kを-1(放物面)、幅方向D3における凸レンズ部61aの曲率半径rを10mm、コーニック定数Kを0(球面)とした。
【0027】
また、数式1において、第1~第3反射部71~73を、対応のLED42(LED42の中心)を焦点位置とする放物面レンズ部(即ち、コーニック定数K=-1)とし、当該放物面の頂点における曲率半径rを約12.5mmとした。更に、第2レンズ部62は、対応のLED42(LED42の中心)を曲率中心とする曲率半径rが約13mmの球面レンズ部とした。
【0028】
以上、本発明の実施形態に係る発光装置および警光灯について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0029】
例えば、LEDユニット4に搭載されるLED42の個数は3個に限定されず、2個以下であっても4個以上であっても良く、凸レンズ部61a等の個数はLED42の個数に応じて増減させればよい。
【符号の説明】
【0030】
1 警光灯
2 透光グローブ
3 発光装置
4 LEDユニット
5 拡散部材
6 導入部
7 リフレクタ部
8 拡散レンズ部
42 LED
62 第2レンズ部
71,72,73 反射部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7