(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018040088
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕一
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
【審査官】小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】特許第6777945(JP,B2)
【文献】特開2017-108807(JP,A)
【文献】特開2015-097817(JP,A)
【文献】特開2016-150005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否判定手段による当否判定結果を報知する報知演出の一部として事前演出および当該事前演出後に発生しうる特定演出を実行することが可能な演出実行手段と、
実行されている演出に合わせた楽曲を出力する音出力手段と、
を備え、
前記事前演出は、複数種の候補楽曲のうちのいずれかが前記音出力手段より出力されるものであって、当該事前演出中に当該音出力手段より出力される楽曲を、当該複数種の候補楽曲のうちから遊技者が任意に選択することが可能であり、
前記特定演出は、一または複数種の特定楽曲のうちのいずれかが前記音出力手段より出力されるものであり、
前記複数種の候補楽曲のうちの一部は前記特定楽曲でもある重複楽曲であり、前記事前演出において当該重複楽曲が出力されていた場合には、当該事前演出後の前記特定演出にて当該重複楽曲が出力され
、
一または複数種の前記特定楽曲のうちのいずれかが固定楽曲とされており、
前記複数種の候補楽曲のうちの一部は前記特定楽曲ではない非重複楽曲であり、前記事前演出において当該非重複楽曲が出力されていた場合には、当該事前演出後の前記特定演出にて前記固定楽曲が出力されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
出力される楽曲を、複数の楽曲のうちから遊技者が任意に選択することができる遊技機が公知である(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、出力される楽曲を選択可能とする機能を備えた遊技機の趣向性が低下してしまうのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否判定手段による当否判定結果を報知する報知演出の一部として事前演出および当該事前演出後に発生しうる演出であって当該事前演出が実行されているときよりも当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことを示す特定演出を実行することが可能な演出実行手段と、実行されている演出に合わせた楽曲を出力する音出力手段と、を備え、前記事前演出は、複数種の候補楽曲のうちのいずれかが前記音出力手段より出力されるものであり、前記特定演出は、一または複数種の特定楽曲のうちのいずれかが前記音出力手段より出力されるものであり、前記複数種の候補楽曲のうちの一部は前記特定楽曲でもある重複楽曲であり、前記事前演出において当該重複楽曲が出力されていた場合には、当該事前演出後に前記特定演出に移行した後も継続的に当該重複楽曲が出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機は、事前演出において重複楽曲が出力されているときには、特定演出に移行した後も当該重複楽曲がそのまま出力されるから、遊技の趣向性が低下するのを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示装置の表示領域に表示される識別図柄と保留画像を示した図である。
【
図3】事前演出および特定演出の概要を説明するための図である。
【
図4】候補楽曲および特定楽曲の概要(楽曲リスト)を示した図である。
【
図5】事前演出の終了時点において重複楽曲が出力されている場合(a)と、非重複楽曲が出力されている場合(b)とで、特定演出中に出力される楽曲の制御が異なることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい。本実施形態では、第一始動入賞口904aおよび第二始動入賞口904bが設けられている)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、識別図柄80(
図2参照)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。
【0015】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(識別図柄80の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知(識別図柄80の変動)が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0016】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている当否判定結果の報知が開始されていない取得された数値(当否判定情報)のそれぞれに対応するマークである保留画像70が、表示装置91の表示領域911に表示される。具体的には、当否判定を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留画像70が表示装置91の表示領域911に表示される(
図2参照)。本実施形態では、数値が取得されたタイミングが早いものから(いわゆる保留消化が早いものから)順に左から並ぶよう表示される。保留画像70は、静止画であってもよいし動画であってもよい。
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1は、大当たり当選を目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および特定遊技状態が設定されている。本実施形態における特定遊技状態は、通常遊技状態よりも始動入賞口904に遊技球が入賞しやすい時間短縮(時短)遊技状態(高ベース状態)である。時間短縮遊技状態自体は公知であるため詳細な説明を省略する。本実施形態では、遊技領域の右側に設けられた普通始動領域905(いわゆるスルー)に遊技球が通過することを契機として実行される開放抽選に当選しやすい状態が時間短縮遊技状態である。つまり、特定遊技状態においては、遊技者はいわゆる右打ちを行う。開放抽選に当選すると、第二始動入賞口904bの手前側に設けられた開閉部材が閉位置から開位置に変位し、当該第二始動入賞口904bに遊技球が入賞しやすい状態となる。開放抽選に当選する確率は高いため、頻繁に第二始動入賞口904bが開放される。したがって、遊技者は、通常遊技状態に比してあまり遊技球を減らさずに遊技を行うことができる。本実施形態における上記特定遊技状態は、時間短縮遊技状態かつ高確率遊技状態(いわゆる確率変動状態)である。特定遊技状態は、所定回数(本実施形態では150回)連続して当否判定結果がはずれとなったときに終了し、通常遊技状態に移行するいわゆるST機である。所定回数連続して当否判定結果がはずれとなるよりも前に大当たりに当選した場合にはいわゆる連チャンとなる。ただし、時間短縮遊技状態かつ低確率遊技状態である状態が上記特定遊技状態として設定された構成としてもよい。また、いわゆる確変ループ機における通常遊技状態(低ベース状態かつ低確率遊技状態)よりも有利な時間短縮遊技状態かつ低確率遊技状態、または時間短縮遊技状態かつ高確率遊技状態が特定遊技状態として設定された構成としてもよい。
【0018】
本実施形態では、特定遊技状態において、スピーカ10(音出力手段)から出力される楽曲を遊技者が任意に選択することが可能である(以下、当該機能を楽曲選択機能と称することもある)。本実施形態では、特定遊技状態中において所定の禁止条件が成立している場合(例えば後述する特定演出等のリーチ演出が実行されているとき)を除き、当該楽曲選択機能を利用することが可能である(以下、楽曲が選択可能な期間を選択可能期間と称することもある)。本実施形態では、複数種の候補楽曲(
図3(a)、
図4参照)のうちのいずれかが実際に出力される楽曲(以下、選択中楽曲と称することもある)として設定される。つまり、候補楽曲として設定されている楽曲が、遊技者が選択可能な楽曲であるということである。遊技者による楽曲の選択方法はどのようなものであってもよい。本実施形態では、楽曲の選択は、押しボタン等の操作手段20を操作することにより行う。なお、本実施形態では、楽曲の選択は、当否判定結果を報知する報知演出が実行されているとき(識別図柄80の変動中)においても実行することが可能である。上記複数種の候補楽曲には、所定の順番(以下、「リスト順」と称することもある)が設定されている。少なくとも現在の選択中楽曲は、表示領域911に表示される。候補楽曲の全てが表示領域911に表示されるようにしてもよい(
図3(a)等参照)。
【0019】
特定遊技状態中においては、当否判定結果を報知する演出の一部として、特定演出が実行される。本実施形態における特定演出は、その結末により遊技者に有利な事象が発生するか否かを示すものである。本実施形態では、当該有利な事象として「大当たり当選」が設定されている。つまり、特定演出の結末により、大当たりの当選または大当たり非当選(はずれ)が報知されることになる。本実施形態では、特定演出の結末として一または複数種の成功結末と、一または複数種の失敗結末が設定されており、大当たり当選の場合は成功結末が、大当たり非当選の場合は失敗結末が実行されることになる(
図4(b)参照)。なお、本実施形態にかかる遊技機1はいわゆるST機であるから、特定遊技状態中における大当たり当選はいわゆる連チャンの発生であるということができる。また、上記有利な事象としては、大当たり当選に限られるものではない。例えば、特定演出の結末により、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)が示唆されるものとしてもよい。
【0020】
特定演出は、特定遊技状態中に発生するものであるが、当該特定演出中はスピーカ10から出力される楽曲を選択することができる選択可能期間ではない。特定演出中には、一または複数種の特定楽曲のうちのいずれかが出力される(
図3(b)、
図4参照)。本実施形態では、第一特定楽曲~第四特定楽曲という四種類の楽曲が設定されている。特定演出中は当該四種類の特定楽曲のうちのいずれが出力されるかが自動的に(遊技者の選択によらず)決定されることになる。
【0021】
このように、特定演出中は遊技者が任意の楽曲を選択することができない一方、特定演出が発生する前の状態においては遊技者が任意の楽曲を選択することができる(楽曲選択機能が利用可能である)。特定演出が発生する前の演出を形式的に「事前演出」とすると、当該事前演出中は上記複数種の候補楽曲のうちから実際に出力される楽曲を遊技者が任意に選択可能であるということである(
図3(a)参照)。本実施形態では、事前演出と特定演出は連続するものである。したがって、特定遊技状態中に事前演出から特定演出に移行するということは、楽曲選択機能が利用可能な状態から、当該機能が利用不可能な状態に移行するということでもある(
図3(a)、(b)参照)。なお、事前演出は、特定演出よりも前の状態(楽曲選択機能が利用可能な状態)をいうものであって、当該事前演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。
【0022】
事前演出中(特定遊技状態中)に選択可能な複数種の候補楽曲の数は、上記特定楽曲の数よりも多くされる。本実施形態における特定楽曲の数は上述した四種類であるから、候補楽曲の数は五種類以上とされる。本実施形態では、第一候補楽曲~第十候補楽曲の十種類が選択可能とされる(
図4参照)。なお、特定楽曲の数以上であるのであれば、候補楽曲の数が増減しうる設定としてもよい。例えば、大当たりに当選する(いわゆる連チャンを重ねる)ことにより、候補楽曲の数が増加しうる設定としてもよい。
【0023】
事前演出において選択可能な複数種の候補楽曲(第一候補楽曲~第十候補楽曲)のうちの一部は、複数種の特定楽曲(第一特定楽曲~第四特定楽曲)の少なくともいずれかと同じ楽曲(以下、重複楽曲と称することもある)である。本実施形態では、第一候補楽曲~第四候補楽曲は、それぞれ、第一特定楽曲~第四特定楽曲と同じ楽曲である重複楽曲とされる。一方、第五候補楽曲~第十候補楽曲は、第一特定楽曲~第四特定楽曲のいずれとも異なる楽曲(以下、非重複楽曲と称することもある)である(
図4参照)。
【0024】
事前演出から特定演出に移行したとき、当該特定演出時に出力される楽曲は以下のように制御される。具体的には、事前演出の終了時点において出力されていた候補楽曲(選択中楽曲)が、重複楽曲であるか非重複楽曲であるかによって制御態様が異なる。
【0025】
事前演出の終了時点において出力されていた楽曲が重複楽曲である場合(本実施形態では、第一候補楽曲~第四候補楽曲である場合)、特定演出時には、出力されていた重複楽曲と同じ楽曲が継続して出力される(
図5(a)参照)。例えば、事前演出の終了時点において第一候補楽曲が出力されていた場合には、特定演出中にはそれと同じ楽曲である第一特定楽曲が継続して出力されることになる。ここで、「継続して出力」とは、事前演出の終了時点においてある時点まで進行していた楽曲が、特定演出の開始時に別の時点から(例えば最初から)出力されるということではなく、当該ある時点からそのまま継続して出力されるということである。端的にいえば、事前演出から特定演出に移行したとしても、同じ楽曲が途切れることなく出力され続けるということである。
【0026】
一方、事前演出の終了時点において出力されていた楽曲が非重複楽曲である場合(本実施形態では、第五候補楽曲~第十候補楽曲である場合)、特定楽曲として設定されている楽曲と同じ楽曲は存在しないため、特定演出時には、複数種の特定楽曲のいずれかが出力されることになる。本実施形態では、複数種の特定楽曲のうちの一つが固定楽曲(デフォルトの楽曲)として設定されており、当該固定楽曲が特定演出の開始とともに最初(演出用に構築された楽曲の「最初」という意味であって、原曲の「最初」であることを要しない)から出力されることになる(
図5(b)参照)。本実施形態では、第一特定楽曲が固定楽曲として設定されている(
図4参照)ため、事前演出の終了時点において出力されていた楽曲が第五候補楽曲~第十候補楽曲のいずれである場合であっても、特定演出中には第一特定楽曲が出力されることになる。
【0027】
このように、本実施形態では、事前演出において重複楽曲が出力されているときには、特定演出に移行したときも、同じ楽曲が継続して出力されることになるから、演出の流れを円滑にみせることができる。また、同じ楽曲の同じ部分が繰り返されること等による趣向性の低下を抑制することが可能となる。
【0028】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0029】
○第一具体例
上記実施形態では、事前演出中は、出力される楽曲を複数種の候補楽曲のうちから遊技者が任意に選択することが可能であることを説明したが、当該事前演出中に出力される楽曲が複数種の候補楽曲のうちから自動的に(遊技者が関与せずに)決定される構成であってもよい。この場合であっても、事前演出の終了時点において出力されている楽曲が重複楽曲であれば、その後特定演出に移行したときには当該楽曲が継続して出力されることになるから、趣向性の低下が抑制される。
【0030】
○第二具体例
上記実施形態における楽曲の制御は、特定遊技状態中に発生する事前演出の後に発生する特定演出時におけるものであることを説明したが、通常遊技状態(低ベース状態かつ低確率遊技状態)中における制御として適用することも可能である。つまり、通常遊技状態中に、出力される楽曲を遊技者が選択可能な事前演出およびその後に実行される特定演出が発生しうる構成であるのであれば、当該特定演出における楽曲の制御を上記実施形態と同様のものとしてもよい。
【0031】
○第三具体例
上記実施形態では、特定演出中に出力される楽曲は遊技者が関与せずに自動的に決定されるものであることを説明したが、特定演出中に出力される楽曲についても、遊技者が選択可能である構成としてもよい。例えば、上記実施形態に則していえば、特定演出中に出力される楽曲が、第一特定楽曲~第四特定楽曲のうちから遊技者が任意に選択できるものとする。
【0032】
このような構成において、特定演出の開始時に出力される楽曲について、上記実施形態と同様の制御がなされるようにする。つまり、事前演出の終了時に出力される楽曲が重複楽曲であれば、特定演出の開始時にはそれと同じ楽曲が出力されるものとする。事前演出の終了時に出力される楽曲が非重複楽曲であれば、特定演出の開始時には固定楽曲(デフォルトの楽曲)が出力されるものとする。つまり、遊技者が楽曲の選択行動をとる前の状態である特定演出の開始時における楽曲が、上記実施形態と同様の制御により自動的に決定されるものとする。
【0033】
○第四具体例
上記実施形態では、事前演出の終了時点で出力されている楽曲が非重複楽曲である場合、特定演出時には複数種の特定楽曲の一つである固定楽曲が出力されることを説明したが、当該固定楽曲が、特定演出の種類に応じて変化しうるものとする。例えば、第一特定演出~第四特定演出という四種の特定演出が発生しうるものとした上で、第一特定演出の固定楽曲として第一特定楽曲が、第二特定演出の固定楽曲として第二特定楽曲が、第三特定演出の固定楽曲として第三特定楽曲が、第四特定演出の固定楽曲として第四特定楽曲が設定されたものとする(
図6参照)。つまり、各特定演出のそれぞれに対応づけられたデフォルトの楽曲が設定されたものとする。
【0034】
このようにすれば、事前演出の終了時点で重複楽曲が出力されていた場合には、いずれの種類の特定演出が発生する場合であっても、特定演出では同じ楽曲が継続して出力されることになる一方、事前演出の終了時点で非重複楽曲が出力されていた場合には、特定演出では各特定演出の種類に応じた楽曲が出力されることになる。
【0035】
○第五具体例
上記実施形態では、事前演出の終了時点で重複楽曲が出力されていた場合には、特定演出では同じ楽曲(特定楽曲のうちのいずれか)が継続して出力されることを説明したが、特定演出の開始時に当該重複楽曲が最初から出力されるようにしてもよい。このようにしても、事前演出にて選択されていた楽曲(遊技者が選択行動をとった場合には遊技者の好みの楽曲であるといえる)と同じ楽曲が特定演出中に出力されることになるから、特定演出に移行することで楽曲の種類が変化する(好みの楽曲ではなくなる)ことによる趣向性の低下が抑制される。また、上記実施形態とは異なり、特定演出時に重複楽曲が最初から出力されることになるため、事前演出と特定演出の区切りが明確になるという作用が奏される。つまり、上記実施形態では、同じ楽曲の同じ部分が繰り返されることが抑制されるという作用が奏されるものである一方、本例は記実施形態とは異なる作用が奏されるものである。
【0036】
○第六具体例
上記実施形態では、事前演出と特定演出が連続しているものであることを説明した。このようにすることで、事前演出の終了時点で出力されている非重複楽曲は、特定演出に移行した後も継続して出力されることになる。これに対し、事前演出と特定演出とが連続していない構成であっても、上記実施形態と同様に制御されるものとしてもよい。
【0037】
事前演出と特定演出との間にこれらとは別の演出である中間演出が介在されるものとする。中間演出中は、複数種の候補楽曲や複数種の特定楽曲のいずれも出力されないものとする。例えば、中間演出中は、演出用の楽曲が出力されないものとする(
図7参照)。このような構成とする場合であっても、事前演出の終了時に重複楽曲が出力されているときには、中間演出を介して開始される特定演出時に特定楽曲の一つである当該重複楽曲が継続して出力されるようにすればよい。このようにすれば、事前演出中に聴こえていた重複楽曲が、中間演出時に一旦聴こえなくなるものの、特定演出に移行した後再び聴こえる状態となるという演出形態となる。つまり、事前演出と特定演出の間で、重複楽曲が一旦聴こえない状態となるようなものとしても、当該時間がある程度短ければ(中間演出の時間がある程度短ければ)、実質的には重複楽曲が継続的に出力されるものとする。
【0038】
○第七具体例
上記実施形態では、事前演出の終了時点で出力されている楽曲が非重複楽曲である場合、特定演出時には複数種の特定楽曲の一つである固定楽曲が出力されることを説明したが、二以上の特定楽曲のうちのいずれかが出力される構成とし、当該二以上の特定楽曲のうちのいずれが出力されるかに応じて、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)が示唆されるものとする。
【0039】
上記実施形態に則していえば、例えば、事前演出の終了時点で出力されている楽曲が非重複楽曲である場合、第一特定楽曲~第四特定楽曲のうちのいずれもが出力される可能性がある構成とする。そして、第一特定楽曲(最も低い)、第二特定楽曲、第三特定楽曲、第四特定楽曲(最も高い)の順で大当たり信頼度が高くなるものとする(
図8参照)。このようにすれば、事前演出にて非重複楽曲を選択することで、特定演出時に出力される楽曲による信頼度示唆を享受できる遊技性が実現される。別の見方をすれば、重複楽曲を選択することで当該楽曲が継続して出力されるようにするか、非重複楽曲を選択することで信頼度示唆を享受するかについて遊技者が選択可能な遊技性が実現されるともいえる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0041】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0042】
・手段1
当否判定手段による当否判定結果を報知する報知演出の一部として事前演出および当該事前演出後に発生しうる特定演出を実行することが可能な演出実行手段と、
実行されている演出に合わせた楽曲を出力する音出力手段と、
を備え、
前記事前演出は、複数種の候補楽曲のうちのいずれかが前記音出力手段より出力されるものであり、
前記特定演出は、一または複数種の特定楽曲のうちのいずれかが前記音出力手段より出力されるものであり、
前記複数種の候補楽曲のうちの一部は前記特定楽曲でもある重複楽曲であり、前記事前演出において当該重複楽曲が出力されていた場合には、当該事前演出後に前記特定演出に移行した後も継続的に当該重複楽曲が出力されることを特徴とする遊技機。
上記祐樹によれば、事前演出において重複楽曲が出力されているときには特定演出時にもそのまま継続して同じ楽曲が出力されることになるから、遊技の趣向性の低下を抑制することが可能である。
【0043】
・手段2
前記事前演出中に前記音出力手段より出力される楽曲を、前記複数種の候補楽曲のうちから遊技者が任意に選択することが可能であることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記のような構成とする場合、事前演出中に出力される楽曲は遊技者が好みのものである可能性がある。したがって、当該選択された楽曲が重複楽曲である場合には、特定演出中も同じ楽曲が継続して出力されるようにすることが好ましい。
【0044】
・手段3
前記事前演出において前記重複楽曲ではない前記候補楽曲が出力されていた場合には、当該事前演出後に前記特定演出に移行したときには前記特定楽曲が最初から出力されることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このように、事前演出において重複楽曲ではない楽曲が出力されているときには、特定楽曲が最初から出力されるようにすればよい。
【0045】
・手段4
前記事前演出において前記重複楽曲ではない前記候補楽曲が出力されていた場合には、当該事前演出後に前記特定演出に移行したときには前記一または複数種の特定楽曲のうちの一つである固定楽曲が最初から出力されることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
このように、事前演出において重複楽曲ではない楽曲が出力されているときには、一の特定楽曲である固定楽曲(決まった楽曲)が最初から出力されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0046】
1 遊技機
10 スピーカ
20 操作手段
91 表示装置
911 表示領域