(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018071386
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島崎 徳人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 秀城
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲平
【審査官】後藤 孝平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-027428(JP,A)
【文献】特開2017-060607(JP,A)
【文献】特開2007-301223(JP,A)
【文献】特許第6963812(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する表示手段と、
所定条件の成立を契機として当否判定を実行する当否判定手段と、
前記表示領域に表示される識別図柄が変動を開始してから前記当否判定手段による当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出を構成する演出として、当該当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する信頼度示唆演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記信頼度示唆演出は、一の前記報知演出にて前記表示領域に所定の演出画像が規定回数表示されることを条件として発生するものであり、
一の前記報知演出にて前記演出画像が表示される回数は、当否抽選結果にかかわらず決定されるものである
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技の趣向性向上を図る様々な試みがなされている。下記特許文献1には、大当たりの期待度を段階的に変化させる演出を実行することが可能な遊技機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示領域を有する表示手段と、前記表示領域に所定の演出要素が表示される事前演出を実行する事前演出実行手段と、前記事前演出にて表示された前記演出要素の数が所定数に到達することを契機として、当否判定結果を報知する報知演出の状況によらず事後演出を開始させる事後演出実行手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示装置(表示領域)に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】ストック演出の概要を説明するための図である。
【
図4】ルーレット演出の概要を説明するための図である。
【
図5】第二具体例を説明するための図(その一)である。
【
図6】第二具体例を説明するための図(その二)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に上記数値(当否判定情報)が記憶されていることは、保留図柄80として表示される(
図2参照)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0014】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄70(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70g(左識別図柄群70gL、中識別図柄群70gC、右識別図柄群70gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群70gから選択されて停止した識別図柄70の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄70の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄70を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄70として設定することができる。
【0016】
当否判定結果を報知する一連の報知演出(識別図柄70が変動を開始してから当否判定結果を示す組み合わせで停止するまでの演出)の一部として、種々の演出が実行される。本実施形態では、当該演出の一種として、ストック演出10(本願発明における事前演出に相当する)およびルーレット演出20(本願発明における事後演出に相当する)を実行することが可能である。以下、各演出について詳細に説明する。特に明示した場合を除き、以下の説明における「画像」には、静止画と動画の両方が含まれるものとする。また、ストック演出10やルーレット演出20を説明する一部の図においては、必要のない要素の図示を省略する。
【0017】
ストック演出10(
図3参照)は、所定の演出要素の数が増加していく(演出要素がストックされていく)演出である。本実施形態では、当該演出要素として、所定の要素画像11が表示領域911に表示される。当該要素画像11の具体的態様はどのようなものであってもよい。また、要素画像11の数(N)を示すにあたり、要素画像11を当該数(N)分表示する(要素画像11を〇とすれば、当該〇がN個表示される)ようにしてもよいし、別の手法により要素画像11の数を示すものとしてもよい。例えば、「〇×N」(〇は要素画像11であり、Nは要素画像11の数を示す数字である)といった表示を行うことにより、ある時点における要素画像11の数を示すようにしてもよい。また、数字ではなく、メータ等によって、要素画像11の数を示すようにしてもよい。いずれにしても、ある時点における要素画像11の数が視覚的に把握できるものであればよい。
【0018】
ストック演出10の開始は、要素画像11が表示されることによって遊技者に示されるものとしてもよいし、その他の演出要素が出力されることによって遊技者に示されるものとしてもよい。前者は、要素画像11が全く表示されていない状態から最初(一つ目)の要素画像11が表示された状態に移行することをもってストック演出10が開始されたことを示す設定である。後者は、「ストックチャレンジ中」といった文字や音声が出力されることによりストック演出10が開始されたこと(ストック演出10が実行中であること)を示す設定である。前者は、突発的に要素画像11のストックが発生することになるという点で面白みがある。後者は、これから要素画像11のストックが発生することを前もって遊技者に示すという点で分かりやすいという利点がある。前者のような態様と後者のような態様の両方が発生しうるようにしてもよい。
【0019】
本実施形態では、要素画像11の増加が発生しうるタイミングとして複数のタイミング(以下、候補タイミングと称することもある)が設定されている。候補タイミングは、遊技の進行を示す事象が発生するタイミングと略同じに設定されている。当該事象としては種々のものが考えられる。複数の識別図柄群70gの変動が開始されたとき(変動開始時)、複数の識別図柄群70gのうちのいずれかの変動が停止または擬似停止したとき(図柄停止時)、周知の擬似連続演出が発生したとき(擬似連発生時)等、種々考えられる。本実施形態では、候補タイミングとして、15のタイミングが設定されている。
【0020】
ストック演出10を発生させるかどうかは予め抽選により決定される。また、当該抽選によりストック演出10を実行することが決定された場合、当該ストック演出10において、どのようなタイミングで要素画像11の増加が発生するか、またあるタイミングで要素画像11が増加することが決定されたときには、当該あるタイミングにて幾つの要素画像11が増加するか等のストック演出10の具体的態様は、ある当否判定結果についての報知演出が開始されるよりも前に抽選により決定される。つまり、ストック演出10については、当該演出の実行の有無および演出の内容は予め抽選(直接的な抽選)により決定される。当該抽選は、対応する当否判定結果が大当たりとなるかどうかに影響を受けないものとされる。換言すれば、対応する当否判定結果が大当たりとなるかどうかと、ストック演出10の実行の有無やストック演出10において示される要素画像11の数(ストックされる要素画像11の数)とは関係がないものとされる。さらにいえば、要素画像11の数は、対象の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)を示唆するものではないということである。後述するように、ストック演出10において所定数の要素画像11が示された場合にはルーレット演出20が発生することになるところ、ストック演出10が発生したときに示される要素画像11の数の期待値は、当否判定結果が大当たりとなる場合であってもはずれとなる場合であっても同じである。
【0021】
ルーレット演出20(
図4参照)は、ストック演出10を経て発生しうる演出である(本実施形態では、ストック演出10を経ずにルーレット演出20が発生することはない)。具体的には、ストック演出10にて示される要素画像11の数が所定数に到達することを契機として発生する。本実施形態では、「所定数=10」に設定されている(
図3参照)。所定数=10であることが遊技者に把握できるような表示(例えば、「10個ストックでルーレット発生」といったような表示)がなされるようにしてもよい。ルーレット演出20は、要素画像11の数が所定数に到達した後、即座に発生する。つまり、要素画像11の数が所定数に到達した後、しばらくしてからルーレット演出20が発生するというものではない。つまり、「所定数に到達することを契機として」とは、要素画像11の数が所定数に到達することが、ルーレット演出20の開始タイミングとして設定されているということであり、要素画像11の数が所定数に到達したときにおける報知演出の状況がどのような状況であってもルーレット演出20が開始されることになる。なお、本実施形態では、ストック演出10が開始されても、要素画像11の数が所定数に到達せずにルーレット演出20が発生しないことがあるように設定されている。このように、ルーレット演出20を発生させるか否か、およびルーレット演出20が開始されるタイミングは、直接的な抽選により決定されるものではなく、ストック演出10の内容に依存するということである(ストック演出10の抽選により間接的に決定されるものであるとは言える)。なお、後述するルーレット演出20の具体的な内容(いずれの候補画像21を選択画像22として示すか等)は、当否判定結果に基づく抽選により決定される。
【0022】
要素画像11が所定数に到達した場合には、ストック演出10は終了する。つまり、ルーレット演出20が発生することを契機としてストック演出10は終了する。また、これ以外のストック演出10の終了条件も設定されている。要素画像11が所定数に到達するよりも前に当該終了条件が成立した場合には、ルーレット演出20に発生することなくストック演出10が終了する。当該終了条件としては、対象の当否判定結果の報知が完了したこと(識別図柄70の変動が停止したこと)や、いわゆるスーパーリーチ演出が発生したこと等、種々の観点から設定することができる。
【0023】
上述したように、ストック演出10において要素画像11が増加しうるタイミングとして15の候補タイミングが設定されており、各タイミングにおいて増加する要素画像11の数もその都度変化する。したがって、要素画像11が所定数に到達するにしても、そのタイミングは不定期である。本実施形態では、ストック演出10が実行された後は、要素画像11の数をリアルタイムに監視しており、要素画像11の数が所定数に到達した後即座にルーレット演出20が発生するようにしている。厳密には、候補タイミングのいずれかにて発生することになるため、当該候補タイミングの数を多くすればするほど、ルーレット演出20が不定期で訪れるという遊技者が受ける印象を高めることが可能である。また、上述したように、対応する当否判定結果が大当たりとなるかどうかと、ストック演出10において示される要素画像11の数は関係がないものとされるから、大当たりに期待ができる状況(いわゆる大当たり信頼度が高い演出が発生している状況等)であってもルーレット演出20が発生しない、大当たりにあまり期待ができない状況であってもルーレット演出20が発生する、といったことが頻繁に発生しうるものとなる。
【0024】
ルーレット演出20は、複数種の候補画像21が変動表示され、そのうちの一つが最終的に選択された選択画像22(本願発明における示唆要素に相当する)として表示されるものである。選択画像22は、対象の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する。つまり、ルーレット演出20は、ストック演出10とは異なり、いわゆる大当たり信頼度を示唆する演出である。いずれの候補画像21が選択画像22として示されるかは、対象の当否判定結果を踏まえて抽選により決定される。本実施形態では、候補画像21として、「?」「チャンス」「期待」「激熱」の四種類が設定されており、当該順で選択画像22として示されたときの大当たり信頼度が高くなるように(「?」が最も低く、「激熱」が最も高い)設定されている(
図4参照)。遊技者は、最終的に示された選択画像22の種類を見ることにより、対象の当否判定結果が大当たりとなることに対する期待度を知ることが可能となる。
【0025】
なお、ルーレット演出20にて示される候補画像21の種類(変動表示される候補画像21の組み合わせ)は常に一定(常に上記四種類が候補画像21として変動表示される)であってもよいし、その都度変化しうるものであってもよい。後者のような設定とする場合には、同じ種類の候補画像21が複数変動表示されることがある設定としてもよい。このように、変動表示される候補画像21の組み合わせが変化する構成とする場合には、当該組み合わせにより、いずれの画像が選択画像22として選ばれる蓋然性が高いかを示唆することができる。つまり、選択画像22が選ばれる前の状態にて、遊技者にとって好ましい候補画像21が選択画像22として選ばれる蓋然性の高低を示唆することができる。
【0026】
また、本実施形態では、いずれかの候補画像21が大当たり信頼度を示唆する選択画像22(示唆要素)として示されることになるが、選択画像22が表示されない結末が発生しうるものとしてもよい。すなわち、大当たり信頼度が示唆されることなくルーレット演出20が終了する態様が発生しうるものとしてもよい。
【0027】
また、上記の通り、本実施形態におけるルーレット演出20は、複数種の候補画像21が変動表示された上で、いずれかの画像が選択画像22として示される構成であるが、演出の具体的態様は当該態様に限られない。例えば、複数種の候補画像21の全てが表示された上で、いずれかの候補画像21が他の候補画像21に比して強調される状態(例えば、カーソルが合わせられる状態)となることをもって当該強調された候補画像21が選択画像22として選択されたことが示されるようにしてもよい。また、ルーレット演出20中に、最終的に示される選択画像22の種類が遊技者に有利なものとなる蓋然性が高まったことを示す演出(いわゆるチャンスアップ演出等)が発生するようにしてもよい。
【0028】
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1では、ストック演出10にて示される要素画像11の数が所定数に到達することによりルーレット演出20が発生する。ルーレット演出20が発生するタイミングは不定期であるため、いつでもルーレット演出20の発生(ルーレット演出20によって大当たり信頼度の高い選択画像22が示されることによるチャンスアップ)に期待がもてる遊技性を実現することが可能である。
【0029】
また、ストック演出10それ自体は、大当たり信頼度を示唆するものではない。したがって、どのような態様で要素画像11が増加していくかは、対象の当否判定結果に関係がない。そのため、ルーレット演出20が発生するかどうかや、発生するタイミングが予測のつかないものとなり、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0030】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能であれば、以下の具体例を用いて説明する技術的事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0031】
○第一具体例
上記実施形態におけるストック演出10は、ある当否判定結果を報知する報知演出の一部、すなわちある当否判定結果を報知する識別図柄70の変動が開始された後発生すること(一変動中に発生すること)を説明したが、ある当否判定結果を報知する識別図柄70の変動が開始されるよりも前に発生しうるものとしてもよい。つまり、複数の変動に跨って実行されるものであってもよい。換言すれば、ある当否判定結果を報知する報知演出が開始されるよりも前に実行される、一または複数の先の当否判定結果を報知する報知演出中にストック演出10が発生するようにする。このようにすることで、ストック演出10を、いわゆる先読み演出(先読み演出それ自体は公知であるから説明を省略する)として機能させることが可能である。
【0032】
○第二具体例
表示装置91の表示領域911に表示される画像は、複数のレイヤ(画像レイヤ)が積層されたものが出力される。識別図柄70を表示するレイヤ(以下、図柄レイヤと称することもある)と、ルーレット演出20の画像を表示するレイヤ(以下、事後演出レイヤと称することもある)は別のレイヤとされる(
図5(特に、
図5(b-1)および(b-2))参照)。上述した通り、ルーレット演出20が開始されるタイミングはストック演出10に依存しており、突発的に発生するものであるため、報知演出がどのような状況であっても(識別図柄70の状態がどのような状況であっても)要素画像11の数が所定数に到達したときにはルーレット演出20を発生させる必要がある。これに対応するため、図柄レイヤと事後演出レイヤを異なるレイヤとすることが好ましい。つまり、識別図柄70は当否判定結果を報知するために表示されるものであって重要なものであるから、当該識別図柄70の表示に関する制御とは別にルーレット演出20の表示に関する制御がなされるようにするとよい。
【0033】
また、変動する識別図柄70の背景として示される背景画像60を表示するレイヤ(以下、背景レイヤと称することもある)が設定されている場合、当該背景レイヤと事後演出レイヤとを異なるレイヤとすることが好ましい(
図5(特に、
図5(b-1)および(b-3))参照)。背景画像60は、報知演出の進行によって逐次変化するものであるから、突発的に発生させる必要があるルーレット演出20とは異なるレイヤで表示されることが好ましい。
【0034】
また、保留図柄80を表示するレイヤ(以下、保留レイヤと称することもある)が設定されている場合、当該保留レイヤと事後演出レイヤとを異なるレイヤとすることが好ましい(
図5(特に、
図5(b-1)および(b-4))参照)。保留図柄80の数や態様は、新たな当否判定情報の取得(始動入賞口904への新たな遊技球の入賞)等により逐次変化するものであるから、突発的に発生させる必要があるルーレット演出20とは異なるレイヤで表示されることが好ましい。
【0035】
また、図示しないが、ストック演出10の画像を表示するレイヤ(以下、事前演出レイヤと称することもある)が設定されている場合、当該事前演出レイヤと事後演出レイヤとを異なるレイヤとすることが好ましい。ストック演出10の態様は、当否判定結果に拘わらない抽選により決定されるものであって、どのような状況で要素画像11の数が所定数に到達するか分からないから、かかるストック演出10の画像を表示するレイヤと、ルーレット演出20の画像を表示するレイヤを別のレイヤとすることが好ましい。
【0036】
なお、本例のように、事後演出レイヤと他のレイヤを設定する場合、事後演出レイヤは他のレイヤよりも手前に位置するレイヤとすることが好ましい(
図6参照)。このようにすることで、ルーレット演出20が他の演出の画像(他のレイヤの画像)に覆われて分かりにくくなってしまうことが抑制される。
【0037】
○第三具体例(第二具体例をさらに発展させた例)
ルーレット演出20の画像を表示する事後演出レイヤは、ルーレット演出20が実行されている最中において、他の演出の画像を含まないものとされる。つまり、事後演出レイヤは、ルーレット演出20中においては、「ルーレット演出20専用のレイヤ」とされる。上述した通り、ルーレット演出20は突発的に発生するものであるから、事後演出レイヤを「ルーレット演出専用のレイヤ」として表示される画像の制御を容易にするとよい。
【0038】
なお、ルーレット演出20が実行されていないときには、事後演出レイヤにルーレット演出20とは関係がない演出用の画像(以下、装飾画像50と称することもある)が表示されるようにしてもよい(
図7参照)。つまり、ルーレット演出20が実行されていないときには、事後演出レイヤに各種演出の趣向性向上に資するような画像を表示する等して、当該レイヤを有効に活用するとよい。ただし、当該装飾画像50は、当否判定結果の示唆に用いられない画像(装飾機能を発現する画像)であることが好ましい。当該装飾画像50により大当たり信頼度示唆等の演出が発生しうる設定とすると、ルーレット演出20を発生させるために当該装飾演出が途中で打ち切られてしまう事態が発生しうることになり、このような事態の発生は遊技者の混乱を招くおそれがあるからである。例えば、遊技者が複数種のキャラクタのうちから好みのキャラクタを選択することが可能な遊技機において、当該装飾画像50は選択されたキャラクタを表示するものとすることが考えられる。
【0039】
○第四具体例
上記実施形態では、ストック演出10にて要素画像11の数が所定数に到達することもあれば到達しないこともある設定であること、すなわちストック演出10が発生したとしてもルーレット演出20が発生しないケースが生じうる設定であることを説明したが、ストック演出10が開始された場合、必ず要素画像11が所定数に到達する、すなわち必ずルーレット演出20が発生する設定とする。
【0040】
このようにしても、ルーレット演出20が開始されるタイミングはストック演出10の態様に依存することには変わりはないため、遊技者はストック演出10がどのように進行するか(どのタイミングでルーレット演出20が開始されるか)に注目することになる。
【0041】
○第五具体例
上記実施形態では、ルーレット演出20の結末(選択画像22の種類)は、対象の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)を示唆するものであることを説明したが、ルーレット演出20の結末により示唆される内容は大当たり信頼度の示唆に限られない。
【0042】
その一例としては、ルーレット演出20が終了した後に発生する事象を予告するような構成とすることが考えられる(
図8参照)。例えば、「保留変化」「チャンスアップ」「ボタン」といった画像が候補画像21として設定されるものとする。「保留変化」が選択画像22として選択された場合には、ルーレット演出20後に保留変化(保留変化演出自体は公知であるため説明を省略する)が必ず発生するものとする。「チャンスアップ」が選択画像22として選択された場合には、ルーレット演出20後に所定のチャンスアップ演出が必ず発生するものとする。「ボタン」が選択画像22として選択された場合には、ルーレット演出20後に操作手段(押しボタン)の操作が促される操作演出が必ず発生するものとする。なお、予告対象の各演出が大当たり信頼度の上昇に繋がる演出であるとすれば、本例のような構成とする場合には、ルーレット演出20はその後の大当たり信頼度(大当たり信頼度の上昇)を示唆するものであるといえる。なお、ルーレット演出20の結末として、上記のような予告がなされないケースが発生しうるようにすることが好ましい。例えば、「はずれ」といった候補画像21を設定し、当該画像が選択画像22として選択されたときには、いずれの事象の発生も予告されなかったという結末であることが示される。
【0043】
○第六具体例
上記実施形態では、ストック演出10において示される要素画像11の数が所定数に到達することを契機としてルーレット演出20が開始されることを説明したが、ルーレット演出20が開始される契機となる要素画像11の数が、一定ではなくその都度変化しうるものとする。このようにすれば、ルーレット演出20が開始されるタイミングの遅早がその都度大きく変化することになるため、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0044】
○第七具体例
ストック演出10の態様として基本態様(デフォルトの態様)と特殊態様が設定されているものとする。基本態様は、ストック演出10において要素画像11の数が所定数に到達したときにルーレット演出20が発生するものである。特殊態様は、ストック演出10において要素画像11の数が所定数に到達してもルーレット演出20が発生せず、所定数+αに到達したときにルーレット演出20が発生するものである。特殊態様は、基本態様よりも発生する蓋然性が低いものとされる。このように、要素画像11の数が所定数に到達してもルーレット演出20が発生しない場合があるようにすることで、遊技の趣向性をさらに高めることが可能である。
【0045】
上記αの値を不定にし(αの値がその都度変化しうるものとし)、かつ、αの値が遊技者に把握できないようにすれば、所定数を超えた後は、残り幾つの要素画像11が表示されたときにルーレット演出20が発生するのかということ等を遊技者が想像しつつ楽しむという面白みが生まれる。
【0046】
上記αの値として一または複数の規定値が設定されているものとしてもよい。例えばαの値として、5、10、15・・・というように5刻みで増加するいずれかの値が設定されるようにする。このようにすれば、要素画像11の数が所定数を超えた後は、要素画像11が5増加する度に、ルーレット演出20の発生に期待がもてる演出態様となる。
【0047】
○第八具体例
上記実施形態では、ストック演出10にて表示される要素画像11の数が所定数に到達したときにはルーレット演出20が発生するとともに、ストック演出10は終了することを説明したが、要素画像11の数が所定数に到達してルーレット演出20が発生してもストック演出10が再開される(継続する)ことがあるものとする(
図9参照)。例えば、所定数=10に設定されている場合において、ストック演出10にて表示される要素画像11の数が10に到達したときには一回目のルーレット演出20が発生する。その後、ストック演出10が再開されることがあり、当該ストック演出10において再び表示される要素画像11の数が10に到達したとき(一回目のストック演出10の開始から数えて表示される要素画像11の数が計20に到達したとき。
図9においては要素画像11の数がリセットされる例を示しているが、要素画像11の数がリセットされない構成としてもよい)には二回目のルーレット演出20が発生するようにする。このようにすることで、一の当否判定結果についての報知演出中に(一変動中に)、複数回のルーレット演出20が発生しうる構成となる。
【0048】
○第九具体例
上記実施形態では、ストック演出10は、直接的には大当たり信頼度を示唆するものではないことを説明したが、ストック演出10自体が大当たり信頼度を示唆するものとしてもよい。例えば、ストック演出10にて表示される要素画像11の数が多いほど、大当たり信頼度が高くなるような設定としてもよい。
【0049】
○第十具体例
ストック演出10において演出効果を高めるものとして機能する演出部材30を備えた構成とする(
図10参照)。演出部材30は、動かないように固定されたものであってもよいし、所定の範囲を動作するものであってもよい。図示しないが、本例における演出部材30は、遊技機1のタイトルを示す装飾文字を含む部材である。当該演出部材30は、所定の態様で発光することが可能な複数の発光部31を有する。当該発光部31の数は、ストック演出10においてルーレット演出20が発生する条件として設定されている要素画像11の数、すなわち上記所定数以上である。本例では、上記所定数と同数(10個)の発光部31が設けられている。各発光部31は装飾文字の一つ一つと対応する。つまり、ある発光部31が発光することで、それに対応づけられた文字が点灯されるという演出効果が発現される。また、各発光部31は装飾文字の一つ一つと対応づけられているため、発光部31同士は明確に区分けされているといえる。
【0050】
ストック演出10においては、一の要素画像11が表示される度に、一の発光部31が発光する。つまり、「表示される要素画像11の数=発光する発光部31の数」となるように設定されている。本例においては、新たな要素画像11が表示されると、当該要素画像11が演出部材30(発光部31)に向かって変位するような表示がなされた上で、非発光状態あった発光部31が発光状態となるように制御される。遊技者からみれば、演出部材30に設けられた複数の発光部31の全てが発光することにより、ルーレット演出20が発生するという演出態様となる。本例のようにすることで、ストック演出10の進行状況(すでにストックされている要素画像11の数)を容易に把握することが可能となる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0052】
上記実施形態では、事前演出としてストック演出10が、事後演出としてルーレット演出20が発生するものであることを説明したが、事前演出や事後演出として発生する演出の態様は適宜変更可能である。事前演出は、演出の進行の度合(事後演出が発生する条件成立の有無)が視覚的に把握されるものであればよい。また、事後演出は、事前演出が所定の段階まで進行したことを契機として発生し、その結末により大当たり信頼度が示唆されるものであればよい。
【0053】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0054】
・手段1
表示領域を有する表示手段と、
前記表示領域に所定の演出要素が表示される事前演出を実行する事前演出実行手段と、
前記事前演出にて表示された前記演出要素の数が所定数に到達することを契機として事後演出を実行する事後演出実行手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、事前演出にて示される演出要素の数が所定数に到達することにより事後演出が発生するという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0055】
・手段2
前記事前演出は当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものではない一方、前記事後演出は当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する示唆要素が示される場合があるものであることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このように、事前演出を当否判定結果に関係がない態様とすることで、事後演出が発生するタイミングが予測のつきにくいものとなる。
【0056】
・手段3
前記表示領域に表示される画像は、複数のレイヤが積層されてなるものであり、
当否判定結果を報知する識別図柄を表示するレイヤと前記事後演出の画像を表示するレイヤは異なるレイヤとされることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
当否判定結果を示す識別図柄は遊技者が注目するものであって重要なものであるから、識別図柄の表示に関する制御と、事後演出の表示に関する制御が別になされるようにするとよい。
【0057】
・手段4
前記事後演出の画像を表示するレイヤは、当該事後演出中において、他の演出の画像を含むものではないことを特徴とする手段3に記載の遊技機。
事後演出の発生するタイミングはランダムであるから、当該事後演出の画像を表示するレイヤは「事後演出専用」のものとすることが好ましい。
【0058】
・手段5
前記事前演出の発生の有無および演出の内容は予め抽選により決定される一方、前記事後演出の発生の有無および発生するタイミングは前記演出要素の数が所定数に到達するか否かによるものであることを特徴とする手段1から4のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、事後演出が発生するか否かや発生するタイミングは事前演出に依存するものとなり、予測のつきにくいものとなる。
【0059】
・手段6
複数の発光部を有する演出部材を備え、
前記事前演出において、一の前記演出要素が表示される度に、一の前記発光部が発光するように構成されていることを特徴とする手段1から手段5のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、事前演出の進行の度合(表示される演出要素の数)が分かりやすくなる。
【符号の説明】
【0060】
1 遊技機
10 ストック演出(事前演出)
11 要素画像
20 ルーレット演出(事後演出)
21 候補画像
22 選択画像
30 演出部材
31 発光部
70 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域