(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ハーネス用胴ベルト取付具
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A62B35/00 A
(21)【出願番号】P 2018093950
(22)【出願日】2018-05-15
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000223687
【氏名又は名称】藤井電工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上月 章智
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027523(JP,A)
【文献】特開2017-042358(JP,A)
【文献】特開2012-075672(JP,A)
【文献】特開2016-077572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の両肩に掛け回される一対の肩ベルトと、
装着者の両腿に巻き回される一対の腿ベルトとを備えるハーネス型安全帯に、
装着者の胴部に巻き回される胴ベルトを取り付けられるハーネス用胴ベルト取付具であって、
前記肩ベルトに掛止する第1の掛止体と、
前記胴ベルトに掛止する第2の掛止体と、
から構成され、
前記第1の掛止体には第1軸孔を有し、前記第2の掛止体には第2軸孔を有し、前記第1軸孔と前記第2軸孔の位置を合わせ、軸を挿入して前記第1の掛止体と前記第2の掛止体が回動自在に軸着されたこと
を特徴とするハーネス用胴ベルト取付具。
【請求項2】
第1の掛止体は、肩ベルトを挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔を有し、
前記第1ベルト挿通孔を形成する4辺の内、肩ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第1ベルト幅方向辺とし、肩ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第1ベルト長さ方向辺とし、
2つの前記第1ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、前記第1ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第1突起片を具備し、
前記一方の第1ベルト幅方向辺から第1ベルト挿通孔と逆方向に延在する第1連結部材取付片を具備し、前記第1連結部材取付片は第1軸孔を有し、
第2の掛止体は、胴ベルトを挿通可能な略矩形状の第2ベルト挿通孔を有し、
前記第2ベルト挿通孔を形成する4辺の内、胴ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第2ベルト幅方向辺とし、胴ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第2ベルト長さ方向辺とし、
2つの前記第2ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、前記第2ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第2突起片を具備し、
前記一方の第2ベルト長さ方向辺から第2ベルト挿通孔と逆方向に延在する第2連結部材取付片を具備し、前記第2連結部材取付片は第2軸孔を有し、
第1の掛止体の第1軸孔と第2の掛止体の第2軸孔の位置を合わせ、回動自在に軸着された、
請求項1に記載のハーネス用胴ベルト取付具。
【請求項3】
装着者の両肩に掛け回される一対の肩ベルトと、
装着者の両腿に巻き回される一対の腿ベルトとを備えるハーネス型安全帯に、
装着者の胴部に巻き回される胴ベルトを取り付けられるハーネス用胴ベルト取付具であって、
前記肩ベルトに掛止する第1の掛止体と、
前記胴ベルトに掛止する第2の掛止体と、
前記第1の掛止体と前記第2の掛止体を連結する連結部材と、から構成され、
前記連結部材と、前記第1の掛止体及び前記第2の掛止体がそれぞれ回動自在に軸着されたこと
を特徴とするハーネス用胴ベルト取付具。
【請求項4】
第1の掛止体は、肩ベルトを挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔を有し、
前記第1ベルト挿通孔を形成する4辺の内、肩ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第1ベルト幅方向辺とし、肩ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第1ベルト長さ方向辺とし、
2つの前記第1ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、前記第1ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第1突起片を具備し、
前記一方の第1ベルト幅方向辺から第1ベルト挿通孔と逆方向に延在する第1連結部材取付片を具備し、前記第1連結部材取付片は第1軸孔を有し、
第2の掛止体は、胴ベルトを挿通可能な略矩形状の第2ベルト挿通孔を有し、
前記第2ベルト挿通孔を形成する4辺の内、胴ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第2ベルト幅方向辺とし、胴ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第2ベルト長さ方向辺とし、
2つの前記第2ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、前記第2ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第2突起片を具備し、
前記一方の第2ベルト長さ方向辺から第2ベルト挿通孔と逆方向に延在する第2連結部材取付片を具備し、前記第2連結部材取付片は第2軸孔を有し、
両端に第3軸孔を設けた前記連結部材の一方の第3軸孔と第1の掛止体の第1軸孔、連結部材の他方の第3軸孔と第2の掛止体の第2軸孔の位置を合わせ、それぞれ回動自在に軸着された、
請求項3に記載のハーネス用胴ベルト取付具。
【請求項5】
第1の掛止体は、肩ベルトを挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔を有し、
前記第1ベルト挿通孔を形成する4辺の内、肩ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第1ベルト幅方向辺とし、肩ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第1ベルト長さ方向辺とし、
2つの前記第1ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、前記第1ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第1突起片を具備し、
前記一方の第1ベルト幅方向辺から第1ベルト挿通孔と逆方向に延在する第1連結部材取付片を具備し、前記第1連結部材取付片は第1軸孔を有し、
第2の掛止体は、胴ベルトを挿通
可能で長孔形状の2本の第2ベルト挿通孔が胴ベルトに直交して形成され、前記2本の第2ベルト挿通孔は互いに外側へ向け所定長開口し、
前記2本の第2ベルト挿通孔の間に第2ベルト幅方向辺を具備し、
前記第2ベルト幅方向辺の両端に前記第2ベルト幅方向辺と直角で両方向に延伸した2つの第2ベルト長さ方向辺を具備し、
前記一方の第2ベルト長さ方向辺から第2ベルト挿通孔と逆方向に延在する第2連結部材取付片を具備し、前記第2連結部材取付片は第2軸孔を有し、
第1の掛止体の第1軸孔と第2の掛止体の第2軸孔の位置を合わせ、回動自在に軸着された、
請求項1に記載のハーネス用胴ベルト取付具。
【請求項6】
第1の掛止体は、ベルトを挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔を有し、
前記第1ベルト挿通孔を形成する4辺の内、ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第1ベルト幅方向辺とし、ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第1ベルト長さ方向辺とし、
2つの前記第1ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、前記第1ベルト挿通孔の中心に向けて突出した2つの第1突起片を具備し、
前記一方の第1ベルト幅方向辺からベルト挿通孔と逆方向に延在する第1連結部材取付片を具備し、前記第1連結部材取付片は第1軸孔を有し、
第2の掛止体は、胴ベルトを挿通可能で長孔形状の2本の第2ベルト挿通孔が胴ベルトに直交して形成され、前記2本の第2ベルト挿通孔は互いに外側へ向け所定長開口し、
前記2本の第2ベルト挿通孔の間に第2ベルト幅方向辺を具備し、
前記第2ベルト幅方向辺の両端に前記第2ベルト幅方向辺と直角で両方向に延伸した2つの第2ベルト長さ方向辺を具備し、
前記一方の第2ベルト長さ方向辺から第2ベルト挿通孔と逆方向に延在する第2連結部材取付片を具備し、前記第2連結部材取付片は第2軸孔を有し、
両端に第3軸孔を設けた前記連結部材の一方の第3軸孔と第1の掛止体の第1軸孔、連結部材の他方の第3軸孔と第2の掛止体の第2軸孔の位置を合わせ、それぞれ回動自在に軸着された、
請求項3に記載のハーネス用胴ベルト取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業時に作業員が身体に装着し、墜落の防止を図るハーネス型安全帯に関するものであり、特にはハーネス型安全帯に胴ベルトを結合する結合部に関する。
【背景技術】
【0002】
墜落防止用の安全帯としてはハーネス型安全帯と胴ベルト型安全帯があるが、墜落を阻止するときに、肩、腿などの装着者の身体の主要部分を複数個所保持するハーネス型安全帯は、胴部の一ヵ所で身体の墜落を阻止する胴ベルト型安全帯に比べて墜落阻止時及び墜落阻止後において人体への負担が少ないため、近年では胴ベルト型安全帯に代わりハーネス型安全帯が急速に普及してきた。
このハーネス型安全帯は、肩から背中にかけてのベルト形状の違いにより、X型とY型の2種類のハーネス型安全帯に分類される。
【0003】
X型のハーネス型安全帯は、
図5に示されるように肩ベルトと腿ベルトから構成され、一方の肩ベルトは装着者の右腰部近傍から胸を通って右肩に掛けまわされて背中の中央部を通り左腰部近傍で左腿に巻き回される腿ベルトに連結され、もう一方の肩ベルトは装着者の左腰部近傍から胸を通って左肩に掛けまわされて背中の中央部を通り右腰部近傍で右腿に巻き回される腿ベルトに連結され、装着状態を装着者の後ろから見ると肩ベルトが背中で交差し、ちょうどX字形状となっているハーネス型安全帯である。
Y型のハーネス型安全帯は、X型のハーネス型安全帯と同様、肩ベルトと腿ベルトから構成されるが、装着者の右腿の上部から胸を通って右肩に掛け回される右肩ベルトと、左腿の上部から胸を通って左肩に掛け回される左肩ベルトが背中の中央部で合体して重ねあわされて臀部まで延長し、そこで分離してそれぞれのベルトは左腿の上部で左腿に掛け回される腿ベルトと右腿の上部で右腿に掛け回される腿ベルトと連結され、装着状態を装着者の後ろから見ると右肩ベルトと左肩ベルトは背中で合体して臀部まで延長しているので、背中部分がちょうどY字形状となっているハーネス型安全帯である。
【0004】
作業員は作業に必要な工具や部品がある場合、胴ベルト型安全帯にそれらを装着したり収納することができる工具入れや部品収納袋を取り付けていた。この作業員が高所で作業する場合、装着している胴ベルト型安全帯にランラードを連結するより、安全性能が優れているハーネス型安全帯を装着する方が望まれている。その場合、胴ベルト型安全帯とハーネス型安全帯の二つを同時に装着していた。
【0005】
しかしながら、ハーネス型安全帯の上に胴ベルト、若しくは胴ベルトの上にハーネス型安全帯を装着すると、一体化していないので、胴ベルトに工具をぶら下げてもその荷重を肩ベルトで支えることができず、使い勝手が悪かった。
また、肩ベルトと腿ベルトと胴ベルトが一体化したハーネス型安全帯もあるが、地上での作業においてハーネス型安全帯を装着する必要がない場合や、工具類が不要な高所作業で胴ベルトを装着する必要がない場合など、ハーネス型安全帯と胴ベルトを容易に着脱できない一体型の安全帯は使い勝手が悪かった。
この為、胴ベルトを容易に着脱できるハーネス型安全帯が発明された。
【0006】
胴ベルトをハーネス型安全帯に簡単に着脱できるものとして、特許文献1(実用新案登録第3190133号)のX型のハーネス型安全帯が発明された。この安全帯は、肩ベルトの下端部と腿ベルトの上端部を所定位置すなわち両腰部で重合し、当該重合部に、一端にソケット本体、他端にタングプレートを固定した結束ベルトの中央部を上下方向に重合して縫着する。このハーネス型安全帯に胴ベルトを取り付ける場合、両側重合部に胴ベルトを配置し、結束ベルトのソケット本体にタングプレートを挿入することで結合できる。
このように、この特許文献1に示すハーネス型安全帯を使用すると、工具などを装着している胴ベルトの工具類を胴ベルトから取り外すことなくハーネス型安全帯に取り付けることができる。
【0007】
また、特許文献2(特開2017-42358号)では、ハーネス型安全帯に胴ベルトを結合するための結合具が発明された。
この結合具は、主にY型のハーネス型安全帯に取り付けて使用するもので、ハーネス型安全帯の肩ベルトの腰部近傍に掛止する2ヶの掛止体を連結具で連結した構造であり、掛止体は、外形が略長方形で、連結具に直交し互いに平行な2本の挿通孔を設け、2本の挿通孔間に位置する中央辺に所定長さ開口した開口部を設け、連結具は所定長さの重設する2本の帯体で構成され、2本の帯体の間に胴ベルトを配置する間隙を設けた、ハーネス型安全帯に胴ベルトを結合する結合具である。
2ケの係止体を両方の肩ベルトの腰部近傍にそれぞれ係止し、連結具とハーネス型安全帯の間に形成される間隙または、重設する2本の帯体の間隙に胴ベルトを挟持することによって、ハーネス型安全帯と胴ベルトを結合状態にできる。
このように、この結合具を使用すると、胴ベルトに装着している工具袋や工具類を取り外すことなくハーネス型安全帯に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実用新案登録第3190133号
【文献】特開2017-42358号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のハーネス型安全帯は、ハーネス型安全帯に装備された結束ベルトで胴ベルトを巻き回し、結束ベルト一端のソケット本体に結束ベルト他端のタングプレートを挿入することで胴ベルトにとりつけられた工具類を取り外すことなく胴ベルトの両腰部を結束ベルトで連結することができる。
【0010】
しかし、この胴ベルト取付用の結束ベルトはすべてのハーネス型安全帯に装備されていないので、胴ベルト若しくは胴ベルト型安全帯を保有している作業員は、新たに胴ベルト取付用の結束ベルトが装備されたハーネス型安全帯を購入しなければならない。
【0011】
また、特許文献2に示すハーネス型安全帯に胴ベルトを結合するための結合具は、装着時においてハーネス型安全帯の肩ベルトと胴ベルトが交差する個所に取り付け、結合具の連結部で胴ベルトを挟持することでハーネス型安全帯と胴ベルトを結合状態にすることができる。
【0012】
このハーネス型安全帯は、Y型とX型の2種類があり、Y型のハーネス型安全帯の場合は、ハーネス型安全帯と胴ベルトを装着した状態において、ハーネス型安全帯の肩ベルトと胴ベルトは略直交しているので、結合具の連結部(胴ベルトの挟持個所)と胴ベルトの角度はほぼ直角となり、胴ベルトは肩ベルトと直交した状態で取り付けることができる。
【0013】
しかし、X型のハーネス型安全帯の場合、
図7に示すように、装着状態においては肩ベルトと胴ベルトはおよそ60度の角度がついている。
従って、この結束具によって胴ベルトをハーネス型安全帯に装着すると、結束具はハーネス型安全帯の肩ベルトに平行に配置されるので、結束具に垂直に配置される胴ベルトはハーネス型安全帯のベルトと角度がおよそ30度ずれることになる。
このことにより、この結束具によって胴ベルトをハーネス型安全帯に装着すると、肩ベルトか胴ベルトが捩れた状態となり、使用感が悪くなる。
【0014】
また、ハーネス型安全帯は、装着者の肩から腿にかけてベルトが配置されているため、装着者が作業時や移動時に、前屈した姿勢やしゃがんだ姿勢や上体をねじった姿勢になったとき、肩ベルトと腿ベルトは、通常装着者の腰部で屈曲する。このとき、特許文献1および特許文献2の結束具を用いてハーネス型安全帯と胴ベルトが連結された状態で使用していれば、肩ベルトか胴ベルトが捩れた状態となり、使用感が悪くなる。
【0015】
本発明は、上記の事情に鑑みたものであり、X型やY型を問わず、どのようなタイプのハーネス型安全帯と胴ベルトであっても、ベルトが捩れることなく結合できるハーネス用胴ベルト取付具である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1と請求項2の発明は、装着者の両肩に掛け回される一対の肩ベルトと、装着者の両腿に巻き回される一対の腿ベルトとを備えるハーネス型安全帯に、装着者の胴部に巻き回される胴ベルトを取り付けられるハーネス用胴ベルト取付具である。
このハーネス用胴ベルト取付具は、肩ベルトに掛止する第1の掛止体と、胴ベルトに掛止する第2の掛止体と、から構成されている。この第1の掛止体と第2の掛止体が回動自在に軸着されている。
【0017】
好ましくは、第1の掛止体は、肩ベルトを挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔を有している。第1ベルト挿通孔を形成する4辺の内、肩ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第1ベルト幅方向辺とし、ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第1ベルト長さ方向辺として、2つの第1ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、第1ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第1突起片を具備している。
第1の掛止体は、一方の第1ベルト幅方向辺から第1ベルト挿通孔と逆方向に延在する第1連結部材取付片を具備し、第1連結部材取付片は第1軸孔を有している。
【0018】
また、好ましくは、第2の掛止体は、胴ベルトを挿通可能な略矩形状の第2ベルト挿通孔を有している。第2ベルト挿通孔を形成する4辺の内、胴ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第2ベルト幅方向辺とし、ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第2ベルト長さ方向辺として、2つの第2ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、第2ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第2突起片を具備している。
第2の掛止体は、一方の第2ベルト長さ方向辺からベルト挿通孔と逆方向に延在する第2連結部材取付片を具備し、第2連結部材取付片は第2軸孔を有している。
第1の掛止体の第1軸孔と第2の掛止体の第2軸孔の位置を合わせ、それぞれ回動自在に軸着されている。
【0019】
請求項3と請求項4の発明は、装着者の両肩に掛け回される一対の肩ベルトと、装着者の両腿に巻き回される一対の腿ベルトとを備えるハーネス型安全帯に、装着者の胴部に巻き回される胴ベルトを取り付けられるハーネス用胴ベルト取付具である。
このハーネス用胴ベルト取付具は、肩ベルトに掛止する第1の掛止体と、胴ベルトに掛止する第2の掛止体と、第1の掛止体と第2の掛止体を連結する連結部材と、から構成されている。この連結部材と、第1の掛止体及び第2の掛止体がそれぞれ回動自在に軸着されている。
【0020】
好ましくは、第1の掛止体は、肩ベルトを挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔を有している。第1ベルト挿通孔を形成する4辺の内、肩ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第1ベルト幅方向辺とし、肩ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第1ベルト長さ方向辺として、2つの第1ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、第1ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第1突起片を具備している。
第1の掛止体は、一方の第1ベルト幅方向辺からベルト挿通孔と逆方向に延在する第1連結部材取付片を具備し、第1連結部材取付片は第1軸孔を有している。
【0021】
また、好ましくは、第2の掛止体は、胴ベルトを挿通可能な略矩形状の第2ベルト挿通孔を有している。第2ベルト挿通孔を形成する4辺の内、胴ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第2ベルト幅方向辺とし、胴ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第2ベルト長さ方向辺として、2つの第2ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、第2ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第2突起片を具備している。
第2の掛止体は、一方の第2ベルト長さ方向辺からベルト挿通孔と逆方向に延在する第2連結部材取付片を具備し、第2連結部材取付片は第2軸孔を有している。
また、両端に第3軸孔を設けた連結部材の一方の第3軸孔と第1の掛止体の第1軸孔、連結部材の他方の第3軸孔と第2の掛止体の第2軸孔の位置を合わせ、それぞれ回動自在に軸着されている。
【0022】
請求項5の発明は、装着者の両肩に掛け回される一対の肩ベルトと、装着者の両腿に巻き回される一対の腿ベルトとを備えるハーネス型安全帯に、装着者の胴部に巻き回される胴ベルトを取り付けられるハーネス用胴ベルト取付具である。
このハーネス用胴ベルト取付具は、肩ベルトに掛止する第1の掛止体と、胴ベルトに掛止する第2の掛止体と、から構成されている。第1の掛止体及び第2の掛止体が回動自在に軸着されている。
【0023】
好ましくは、第1の掛止体は、肩ベルトを挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔を有している。第1ベルト挿通孔を形成する4辺の内、肩ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第1ベルト幅方向辺とし、肩ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第1ベルト長さ方向辺として、2つの第1ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、第1ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第1突起片を具備している。
第1の掛止体は、一方の第1ベルト幅方向辺からベルト挿通孔と逆方向に延在する第1連結部材取付片を具備し、第1連結部材取付片は第1軸孔を有している。
【0024】
また、好ましくは、第2の掛止体は、胴ベルトを挿通可能で長孔形状の2本の第2ベルト挿通孔を胴ベルトに直交して形成され、この2本の第2ベルト挿通孔は互いに外側に向け所定長開口している。2本の第2ベルト挿通孔の間に第2ベルト幅方向辺を具備し、第2ベルト幅方向辺の両端に第2ベルト幅方向辺と直角で両方向に延伸した2つの第2ベルト長さ方向辺を具備している。
第2の掛止体は、一方の第2ベルト長さ方向辺から第2ベルト挿通孔と逆方向に延在する第2連結部材取付片を具備し、前記第2連結部材取付片は第2軸孔を有している。
第1の掛止体の第1軸孔と、第2の掛止体の第2軸孔の位置を合わせ、それぞれ回動自在に軸着されている。
【0025】
請求項6の発明は、装着者の両肩に掛け回される一対の肩ベルトと、装着者の両腿に巻き回される一対の腿ベルトとを備えるハーネス型安全帯に、装着者の胴部に巻き回される胴ベルトを取り付けられるハーネス用胴ベルト取付具である。
このハーネス用胴ベルト取付具は、肩ベルトに掛止する第1の掛止体と、胴ベルトに掛止する第2の掛止体と、第1の掛止体と第2の掛止体を連結する連結部材と、から構成されている。この連結部材と、第1の掛止体及び第2の掛止体がそれぞれ回動自在に軸着されている。
【0026】
好ましくは、第1の掛止体は、肩ベルトを挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔を有している。第1ベルト挿通孔を形成する4辺の内、肩ベルトの長尺方向に直交する2つの辺を第1ベルト幅方向辺とし、肩ベルトの長尺方向に平行な2つの辺を第1ベルト長さ方向辺として、2つの第1ベルト長さ方向辺のほぼ中央に、第1ベルト挿通孔の中心に向けて対向して突出した第1突起片を具備している。
第1の掛止体は、一方の第1ベルト幅方向辺からベルト挿通孔と逆方向に延在する第1連結部材取付片を具備し、第1連結部材取付片は第1軸孔を有している。
【0027】
また、好ましくは、第2の掛止体は、胴ベルトを挿通可能で長孔形状の2本の第2ベルト挿通孔を胴ベルトに直交して形成され、この2本の第2ベルト挿通孔は互いに外側に向け所定長開口している。2本の第2ベルト挿通孔の間に第2ベルト幅方向辺を具備し、第2ベルト幅方向辺の両端に第2ベルト幅方向辺と直角で両方向に延伸した2つの第2ベルト長さ方向辺を具備している。
第2の掛止体は、一方の第2ベルト長さ方向辺から第2ベルト挿通孔と逆方向に延在する第2連結部材取付片を具備し、前記第2連結部材取付片は第2軸孔を有している。
両端に第3軸孔を設けた前記連結部材の一方の第3軸孔と第1の掛止体の第1軸孔、連結部材の他方の第3軸孔と第2の掛止体の第2軸孔の位置を合わせ、それぞれ回動自在に軸着されている。
【発明の効果】
【0028】
本発明を使用すると、胴ベルトは、X型、Y型を含めたすべてのハーネス型安全帯にベルトが捩れることなく連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明であるハーネス用胴ベルト取付具の正面図(a)と右側面図(b)
【
図2】本発明であるハーネス用胴ベルト取付具をハーネス型安全帯の肩ベルトに装着し、胴ベルトを取り付けた状態の詳細図
【
図5】本発明であるハーネス用胴ベルト取付具をX型のハーネス型安全帯の肩ベルトに装着した状態の説明図
【
図6】本発明であるハーネス用胴ベルト取付具をX型のハーネス型安全帯の肩ベルトに装着し、胴ベルトを取り付けた状態の説明図
【
図7】X型のハーネス型安全帯を装着した装着者が本発明であるハーネス用胴ベルト取付具を用いて胴ベルトを取り付けた状態の説明図
【
図8】他の実施形態のハーネス用胴ベルト取付具の正面図(a)と右側面図(b)
【
図9】他の実施形態のハーネス用胴ベルト取付具をハーネス型安全帯の肩ベルトに装着し、胴ベルトを取り付けた状態の詳細図
【
図10】他の実施形態のハーネス用胴ベルト取付具の正面図(a)と右側面図(b)
【
図11】他の実施形態のハーネス用胴ベルト取付具の正面図(a)と右側面図(b)
【
図12】他の実施形態のハーネス用胴ベルト取付具の正面図(a)と右側面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施例)
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明であるハーネス用胴ベルト取付具1の図面であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。尚、この図中において、水平方向をX軸、垂直方向をY軸、表裏方向をZ軸とする。
【0031】
第1の掛止体10は平板状で、肩ベルト51のベルト幅より広く、かつ肩ベルト51を挿通可能な矩形状の第1ベルト挿通孔11と、この第1ベルト挿通孔11のベルト幅方向(X軸方向)に延伸している第1ベルト幅方向辺12a,12bと、ベルト幅方向辺と直交し、ベルト長さ方向(Y軸方向)に延伸している第1ベルト長さ方向辺13a,13bで形成されている。更に、上記の第1ベルト長さ方向辺13a,13bのほぼ中央には、第1突起片17,17が互いに対向する位置で前記第1ベルト挿通孔11の中心に向けて突出している。すなわち、第1ベルト幅方向辺12a,12bと第1ベルト長さ方向辺13a,13bと第1突起片17,17で囲まれた第1ベルト挿通孔11は、略エの字形状となっている。
図1(a)に示すように、第1突起片17,17の間隙は、肩ベルト51を折り曲げて挿入できて、肩ベルト51を折り曲げた状態から元の状態に戻した時、肩ベルト51は第1突起片17,17に掛かる隙間とする。すなわち、肩ベルト51の右端を右側に具備した第1ベルト長さ方向辺13bに接触するまで移動させた時でも肩ベルト51の左端は左側の第1突起片17に掛かる隙間とする。
【0032】
図1(b)に示すように、第1ベルト幅方向辺12bの下端部をY軸下方方向に延伸して第1連結部材取付片15,15を設ける。この第1連結部材取付片15,15は、X軸方向に後述する平板形状の第2の掛止体20の第2連結部材取付片25が挿入できる幅の挿入孔19を挟んで平行に対峙している。この第1連結部材取付片15,15にZ軸方向に貫通している第1軸孔16,16を設ける。
【0033】
第2の掛止体20は平板状で、胴ベルト55のベルト幅より広く、かつ胴ベルト55を挿通可能な略矩形形状の第2ベルト挿通孔21と、この第2ベルト挿通孔21のベルト幅方向(Y軸方向)に延伸している第2ベルト幅方向辺22a,22bと、ベルト幅方向辺と直交し、ベルト長さ方向(X軸方向)に延伸している第2ベルト長さ方向辺23a,23bで形成されている。更に、上記の第2ベルト長さ方向辺23a,23bのほぼ中央には、第2突起片27,27が互いに対向する位置で前記第2ベルト挿通孔21の中心に向けて突出している。すなわち、第2ベルト幅方向辺22a,22bと第2ベルト長さ方向辺23a,23bと第2突起片27,27で囲まれた第2ベルト挿通孔21は、略エの字形状となっている。
図1(a)に示すように、第2突起片27,27の間隙は、胴ベルト55を折り曲げて挿入できて、胴ベルト55を折り曲げた状態から元の状態に戻した時、胴ベルト55は第2突起片27,27に掛かる隙間とする。すなわち、胴ベルト55の上端を第2ベルト長さ方向辺23aに接触するまで移動させた時でも胴ベルト55の下端は、下側の第2突起片27に掛かる隙間とする。
第2ベルト長さ方向辺23aの上端部をY軸上方方向に延伸して第2連結部材取付片25を設ける。この第2連結部材取付片25は、前に記載した第1の掛止体10の挿入孔19に挿入できる幅とし、平板形状である。この第2連結部材取付片25には、Z軸方向に貫通した第2軸孔26を設ける。
【0034】
第1の掛止体10の挿入孔19に第2の掛止体20の第2連結部材取付片25を挿入し、第1の掛止体10の第1連結部材取付片15の第1軸孔16,16と第2連結部材取付片25の第2軸孔26とを合致させて軸41を挿入して軸着することで、第1の掛止体10と第2の掛止体20は回動自在に連結できる。
【0035】
図2は、本発明であるハーネス用胴ベルト取付具1を用いてハーネス型安全帯(肩ベルト51)と胴ベルト55を連結した状態を示す説明図、
図3は、
図2の肩ベルト51に第1の掛止体10を取り付けた状態におけるA矢視図、
図4は、
図2の胴ベルト55に第2の掛止体20を取り付けた状態におけるB矢視図である。
図5は本発明であるハーネス用胴ベルト取付具1をX型のハーネス型安全帯の肩ベルト51に装着した状態の説明図、
図6は本発明のハーネス用胴ベルト取付具1をX型のハーネス型安全帯に装着し、胴ベルト55を取り付けた状態の説明図である。
【0036】
図5、
図6に示すように、ハーネス用胴ベルト取付具1は、第1の掛止体10をハーネス型安全帯50の肩ベルト51に装着し(
図5参照)、次に第2の掛止体20に胴ベルト55を装着する(
図6参照)。
第1の掛止体10を肩ベルト51に取り付ける方法は、
図2に示すように、肩ベルト51をY軸方向(ベルトの長さ方向)に小さな輪を作るようにして折り曲げ、第1の掛止体10の第1突起片17,17の下方からその隙間を通過させて上方へ通し、肩ベルト51の左側部分を左側の第1突起片17に掛け、右側部分を右側の第1突起片17に掛ける。
この結果、肩ベルト51は
図3に示すように、第1の掛止体10の第1ベルト幅方向辺12aの裏面、第1突起片17,17の表面、第1ベルト幅方向辺12bの裏面で挟持されるので、
図5に示すように、ハーネス用胴ベルト取付具1は、肩ベルト51に取り付けられる。
【0037】
次に胴ベルト55を第2の掛止体20に取り付けるのであるが、第1の掛止体10を肩ベルト51に取り付けるのと同様、
図2に示すように、胴ベルト55をX軸方向に小さな輪を作るように折り曲げ、第2の掛止体20の第2突起片27,27の下方からその隙間を通過させて上方へ通し、胴ベルト55の上側部分を上側の第2突起片27に掛け、下側部分を下側の第2突起片27に掛ける。この結果、胴ベルト20は
図4に示すように、第2の掛止体20の第2ベルト幅方向辺22aの裏面、第2突起片27,27の表面、第2ベルト幅方向辺22bの裏面で挟持される。従って、第2の掛止体20は胴ベルト55に装着することができる。(
図6参照)
【0038】
このようにして、本発明のハーネス用胴ベルト取付具1を用いてハーネス型安全帯と胴ベルトを結合することができる。そして、装着者は、胴ベルト55が腰部の取付位置になるように、第1の掛止体10を肩ベルト51上を摺動させて位置決めを行う。
X型のハーネス型安全帯にハーネス用胴ベルト取付具1を取り付け、更に胴ベルト55を取り付けた状態は、
図6に示す。
【0039】
このハーネス用胴ベルト取付具1は、肩ベルトを取り付ける第1の掛止体10と胴ベルトを取り付ける第2の掛止体20とを軸4
1を介し
て回動自在に取り付けていることから、
図2に示すように、肩ベルト51はY軸と平行ではないが、軸41を中心に第1の掛止体10と第2の掛止体20が回動することにより、胴ベルト55は、X軸方向に取り付けられる。従って、
図7に示す装着状態において、肩ベルト51は胸前から腰へと延伸していて、胴ベルト55と直交していないが、肩ベルト51に取り付けた第1の掛止体10と胴ベルト55に取り付けた第2の掛止体20を軸41を介して回動自在に軸着しているので、胴ベルト55は装着者の胴部分になじんだ角度で装着できる。
【0040】
ハーネス型安全帯は、装着者の肩から腿にかけてベルトが配置されている。
装着者が胴ベルトの無いハーネス型安全帯を装着している場合、作業時や移動時に、前屈した姿勢やしゃがんだ姿勢になったとき、肩ベルトと腿ベルトは、装着者の腰部より上側から徐々に屈曲するため、装着感は大きく損なわれない。
しかしハーネス型安全帯と胴ベルトを合わせて装着した場合には、胴ベルトは装着者の腰骨の高さに略水平にしっかりと装着されており、装着者の作業中の姿勢が変わっても、胴ベルトの装着位置は動かないため、ハーネス型安全帯の腿ベルトは、胴ベルトの下側から大きな角度で屈曲することになり、装着感が悪い。
【0041】
例えば、通常のハーネス型安全帯の場合、腿ベルトは幅約45mmの平ベルトであるため、厚みの方向には自由に屈曲するが、幅方向には屈曲しない。従って装着者が胴ベルトとハーネス型安全帯を装着し、前屈した姿勢となった場合には、腿ベルトは、全面が腿に密着した状態とはならず、幅方向の片側の縁が前側に引っ張られて腿に押し付けられた状態となり、もう一方の腿ベルトの縁は腿から離れて折れ曲がった状態となる。この状態は装着者にとっては装着感が悪い。また、腿を曲げるときに腿が腿ベルトに引っ張られることになり、抵抗感がある。
【0042】
特許文献1および特許文献2の結束具を用いた場合においても、ハーネス型安全帯と胴ベルトが腰部で直交して固定的に連結されるため、作業者が作業時や移動時に前屈した姿勢やしゃがんだ姿勢になったとき、上記のように腿ベルトが装着者の腰部の下側から大きな角度で屈曲することになり、装着感が悪く、腿が腿ベルトに引っ張られて抵抗感がある。
【0043】
このハーネス用胴ベルト取付具1は、肩ベルト51に取り付けた第1の掛止体10と胴ベルト55に取り付けた第2の掛止体20を、軸41を介して回動自在に軸着し、第1の掛止体10が胴ベルトの装着位置より上方の肩ベルト51に取り付けているので、装着者の作業時や移動時に前屈した姿勢やしゃがんだ姿勢になったときでも、胴ベルトが第1の掛止体10の取付位置から、作業員の姿勢に合わせて動くことができるため、装着感が損なわれず、腿が腿ベルトに引っ張られるという抵抗感もない。
【0044】
図示していないが、Y型のハーネス型安全帯は、装着状態において肩ベルトはY軸とほぼ平行になっているので、胴ベルトは、X軸方向に取り付けることができる。
このように、ハーネス型安全帯の形状が変更となっても、本発明のハーネス用胴ベルト取付具1を使用すると、胴ベルトは装着者の胴回りを確実に巻き回して取り付けられる。
【0045】
このハーネス用胴ベルト取付具1の材料は、樹脂を用いても、鉄鋼、アルミ合金等の金属材料を用いてもよい。
【0046】
(第2実施例)
第1実施例のハーネス用胴ベルト取付具1において、第2の掛止体20は平板形状であり、それを軸着するための第1の掛止体10の第1連結部材取付片15,15は、その中央部分に第2の掛止体の第2連結部材が挿入できる挿入孔19を設けた構造である。
第2実施例は、
図12に示すように、第1の掛止体10を平板形状とし、第1の掛止体10の第1連結部材取付片15を軸着するための第2の掛止体20の第2連結部材取付片25は、その中央部分に第1の掛止体10の第1連結部材取付片15が挿入できる挿入孔29を設けた構造である。
第1連結部材取付片15を第2連結部材取付片25の中央部分の挿入孔29に挿入し、第1連結部材取付片15に設けた第1軸孔16と第2連結部材取付片25,25に設けた第2軸孔26,26を合致させ、軸41を挿入し、回動自在に軸着することで、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0047】
(第3実施例)
図8に示すように、第3実施例のハーネス用胴ベルト取付具3は、ハーネス型安全帯50の肩ベルト51に取り付けられる第1の掛止体60と、胴ベルト55に取り付けられる第2の掛止体70と、第1の掛止体60と第2の掛止体70を連結する連結部材30から構成される。
【0048】
第1の掛止体60は平板状で、肩ベルト51のベルト幅より広く、かつ肩ベルト51を挿通可能な略矩形状の第1ベルト挿通孔611と、この第1ベルト挿通孔611のベルト幅方向(X軸方向)に延伸している第1ベルト幅方向辺612a,612bと、第1ベルト幅方向辺と直交し、ベルト長さ方向(Y軸方向)に延伸している第1ベルト長さ方向辺613a,613bで形成されている。
上記の第1ベルト長さ方向辺613a,613bのほぼ中央には、第1突起片617,617が互いに対向する位置で前記第1ベルト挿通孔611の中心に向けて突出している。この第1ベルト幅方向辺612a,612bと第1ベルト長さ方向辺613a,613bと第1突起片617,617で囲まれた第1ベルト挿通孔611は、略エの字形状となっている。
【0049】
図8(a)に示すように、第1突起片617,617の間隙は、肩ベルト51を折り曲げて挿入できて、肩ベルト51を折り曲げた状態から元の状態に戻した時、肩ベルト51は第1突起片617,617に掛かる隙間とする。すなわち、肩ベルト51の右端を右側の長さ方向部材613aに接触するまで移動させた時でも肩ベルト51の左端は左側の第1突起片617に掛かる隙間とする。
図8の(b)に示すように、第1ベルト幅方向辺612bの下端部をY軸下方方向に延伸して第1連結部材取付片615,615を設ける。この第1連結部材取付片615,615は、X軸方向に後述する平板形状の連結部材30が挿入できる幅の挿入孔619を挟んで平行に対峙している。この第1連結部材取付片615,615にZ軸方向に貫通している第1軸孔616,616を設ける。
【0050】
第2の掛止体70は平板状で、胴ベルト55のベルト幅より広く、かつ胴ベルト55を挿通可能な略矩形形状の第2ベルト挿通孔721と、この第2ベルト挿通孔721のベルト幅方向(Y軸方向)に延伸している第2ベルト幅方向辺722a,722bと、第2ベルト幅方向辺722a,722bと直交し、ベルト長さ方向(X軸方向)に延伸している第2ベルト長さ方向辺723a,723bで形成されている。更に、上記の第2ベルト長さ方向辺723a,723bのほぼ中央には、第2突起片727,727が互いに対向する位置で前記第2ベルト挿通孔721の中心に向けて突出している。すなわち、第2ベルト幅方向辺722a,722bと第2ベルト長さ方向辺723a,723bと第2突起片727,727で囲まれた第2ベルト挿通孔721は、略エの字形状となっている。
第2突起片727,727の間隙は、胴ベルト55を折り曲げて挿入できて、胴ベルト55を折り曲げた状態から元の状態に戻した時、胴ベルト55は第2突起片727,727に掛かる隙間とする。すなわち、胴ベルト55の上端を第2ベルト長さ方向辺23aに接触するまで移動させた時でも胴ベルト55の下端は、下側の第2突起片727に掛かる隙間とする。
【0051】
第2ベルト長さ方向辺723aの上端部をY軸上方方向に延伸して第2連結部材取付片725,725を設ける。この第2連結部材取付片725,725は、後述する平板形状の連結部材30が挿入できる幅の挿入孔729を挟んで平行に対峙している。この第2連結部材取付片725,725にZ軸方向に貫通している第2軸孔726,726を設ける。
【0052】
図8に示すように、連結部材30は平板状で、両端に第1の掛止体10と第2の掛止体20とを連結する為の掛止体取付片35,35を設ける。この掛止体取付片35,35の厚みは、第1の掛止体60の挿入孔619の幅よりも短い寸法とする。掛止体取付片35,35には、第1連結部材取付片15,15に設けた貫通した第1軸孔16,16に合致する第3軸孔36と、第2連結部材取付片725,725に設けた貫通した第2軸孔726,726に合致する第3軸孔36とを設ける。
【0053】
図8(b)に示すように、第1の掛止体60の挿入孔619に連結部材30の一端の掛止体取付片35を挿入し、第1連結部材取付片615,615の第1軸孔616,616と掛止体取付片35の第3軸孔36とを合致させて軸41を挿通させることで、第1の掛止体60と連結部材30を連結できる。
第2の掛止体70の挿入孔729に連結部材30に他端の掛止体取付片35を挿入し、第2連結部材取付片725,725の第2軸孔726,726と掛止体取付片35の第3軸孔36とを合致されて軸41を挿通させることで、第2の掛止体70と連結部材30を連結でき、ハーネス用胴ベルト取付具3が形成される。
【0054】
(第4実施例)
第3実施例では第1の掛止体60の第1連結部材取付片615および第2の掛止体70の第2連結部材取付片725は、連結部材30の掛止体取付片35が挿入できる幅の挿入孔619および挿入孔729を挟んで平行に対峙した2片で構成されているが、第1連結部材取付片615および第2連結部材取付片725は、1片でもよい。
図示しないが、第4実施例は、第1の掛止体の第1連結部材取付片と連結部材の一方の掛止体取付片を重合配置し、第1連結部材取付片に具備した第1軸孔と掛止体取付片に具備した第3軸孔を合致させて回動自在に軸着し、第2の掛止体の第2連結部材取付片と連結部材の他方の掛止体取付片を重合配置し、第2連結部材取付片に具備した第2軸孔と掛止体取付片に具備した第3軸孔を合致させて回動自在に軸着する。この結果、第4実施例は、第1実施例から第3実施例に記載のハーネス用ベルト取付具と同様の効果が得られる。
【0055】
また、図示しないが、第1の掛止体の第1連結部材取付片と第2の掛止体の第2連結部材取付片は1片の平板状で、連結部材の一端に設けた一方の掛止体取付片は第1連結部材取付片が挿入できる幅の挿入孔を挟んで平行に対峙した2片で構成され、他方の掛止体取付片は第2連結部材取付片が挿入できる幅の挿入孔を挟んで平行に対峙した2片で構成されてもよい。
この実施例も第1の掛止体の第1連結部材取付片と連結部材の一方の掛止体取付片、第2の掛止体の第2連結部材取付片と連結部材の他方の掛止体材取付片とを回動自在に軸着することで、段落[0054]に記載のハーネス用ベルト取付具と同様の効果が得られる。
【0056】
(第5実施例)
図10に示すように、第5実施例のハーネス用胴ベルト取付具5は、第1の掛止体10と第2の掛止体90とから構成される。尚、説明に用いる部材番号は、従来と同じ部材に関しては同一の部材番号を使用し、違う部材は違う部材番号を使用する。
【0057】
第1の掛止体10は、第1実施例と同様の構造である。
第2の掛止体90は、平板状で、両側部に平行に胴ベルト55が挿入できる長さで、Y軸方向に互いに外側に向け所定長開口した2本の第2ベルト挿通孔921,921を設けた構造である。この第2ベルト挿通孔921,921の外側部の所定長開口した個所の上下部に、対向して第2突起片927,927が形成されている。この第2ベルト挿通孔921は、略Cの字形状となる。
又、2本の第2ベルト挿通孔921,921の間に第2ベルト幅方向辺922bが形成され、第2ベルト幅方向辺922の上下に第2ベルト幅方向辺922と直交しX軸方向に第2ベルト長さ方向辺923a,923bが形成される。
【0058】
別の言い方をすれば、第2の掛止体90は、外形が略日の字形の板状で、平行する2条の第2ベルト挿通孔921,921が形成され、第2ベルト挿通孔921,921はベルトの長尺方向に対して直交して配置されている。この第2ベルト挿通孔921,921を形成する3つの辺を第2ベルト幅方向辺922a,922b,922cとし、ベルトと長尺方向に平行な2つの辺を第2ベルト長さ方向辺923a,923bとすると、第2ベルト幅方向辺922cはY軸方向に、第2ベルト長さ方向辺923a,923bはX軸方向に形成されている。
両側の第2ベルト幅方向辺922a,922cは、それぞれの中央部で所定長切断されて上下部に第2突起片927,927と略Cの字形状の第2ベルト挿通孔921,921が形成される。
第2突起片927、927の長さは、胴ベルト55を幅方向に折り曲げて挿入し、挿入後は抜けないように挟持する必要があるので、胴ベルト55の幅の1/2~2/3程度の長さとなる。
【0059】
一方の第2ベルト長さ方向辺923aの上端部をY軸上方方向に延伸し、第2連結部材取付片925を設ける。この第2連結部材取付片925にZ軸方向に貫通している第2軸孔926を設ける。
【0060】
第5実施例は、第1実施例と同様、第1の掛止体10の挿入孔19に第2の掛止体90の第2連結部材取付片925を挿入し、第1の掛止体10の第1連結部材取付片15の第1軸孔16,16と第2連結部材取付片925の第2軸孔926とを合致させて軸41を挿入して軸着することで、第1の掛止体10と第2の掛止体90は回動自在に連結できる。
【0061】
(第6実施例)
図11に示すように、第6実施例のハーネス用胴ベルト取付具6は、第1の掛止体10と第2の掛止体90と連結部材30とから構成される。尚、説明に用いる部材番号は、従来と同じ部材に関しては同一の部材番号を使用し、違う部材は違う部材番号を使用する。
【0062】
第1の掛止体10は、第1実施例、第3実施例、第5実施例と同様の構造である。
連結部材30は、第3実施例と同様の構造である。
【0063】
第2の掛止体90は、平板状で、両側部に平行に胴ベルト55が挿入できる長さで、Y軸方向に互いに外側に向け所定長開口した2本の第2ベルト挿通孔921,921を設けた構造である。この第2ベルト挿通孔921,921の外側部の所定長開口した個所の上下部に、対向して第2突起片927,927が形成されている。この第2ベルト挿通孔921は、略Cの字形状となる。
又、2本の第2ベルト挿通孔921,921の間に第2ベルト幅方向辺922bが形成され、第2ベルト幅方向辺922の上下に第2ベルト幅方向辺922と直交しX軸方向に第2ベルト長さ方向辺923a,923bが形成される。
【0064】
別の言い方をすれば、第2の掛止体90は、外形が略日の字形の板状で、平行する2条の第2ベルト挿通孔921,921が形成され、第2ベルト挿通孔921,921はベルトの長尺方向に対して直交して配置されている。この第2ベルト挿通孔921,921を形成する3つの辺を第2ベルト幅方向辺922a,922b,922cとし、ベルトと長尺方向に平行な2つの辺を第2ベルト長さ方向辺923a,923bとすると、第2ベルト幅方向辺922cはY軸方向に、第2ベルト長さ方向辺923a,923bはX軸方向に形成されている。
両側の第2ベルト幅方向辺922a,922cは、それぞれの中央部で所定長切断されて上下部に第2突起片927,927と略Cの字形状の第2ベルト挿通孔921,921が形成される。
第2突起片927、927の長さは、胴ベルト55を幅方向に折り曲げて挿入し、挿入後は抜けないように挟持する必要があるので、胴ベルト55の幅の1/2~2/3程度の長さとなる。
【0065】
一方の第2ベルト長さ方向辺923aの上端部をY軸上方方向に延伸し、第2連結部材取付片925,925を設ける。この第2連結部材取付片925,925は、平板形状の連結部材30が挿入できる幅の挿入孔929を挟んで平行に対峙している。この第2連結部材取付片925,925にZ軸方向に貫通している第2軸孔926,926を設ける。
【0066】
第1の掛止体10の挿入孔19に連結部材30の一端の掛止体取付片35を挿入し、第1連結部材取付片15,15の第1軸孔16,16と掛止体取付片35の第3軸孔36とを合致させて軸41を挿通して軸着することで、第1の掛止体10と連結部材30は回動自在に連結できる。
第2の掛止体90の挿入孔929に連結部材30に他端の掛止体取付片35を挿入し、第2連結部材取付片925,925の第2軸孔926,926と掛止体取付片35の第3軸孔36とを合致させて軸41を挿通して軸着することで、第2の掛止体90と連結部材30は回動自在に連結でき、ハーネス用胴ベルト取付具6が形成される。
【0067】
このようにして、本発明のハーネス用胴ベルト取付具は、X型のハーネス型安全帯、Y型のハーネス型安全帯を問わず、どのようなタイプのハーネス型安全帯にも胴ベルトに装着している工具袋や工具類を取り外すことなく、胴ベルトが捩れることなくハーネス型安全帯に取り付けることができる。
また、ハーネス型安全帯と胴ベルトが本発明のハーネス用胴ベルト取付具を介して、回動自在に連結されているため、装着者の姿勢の変化に追随してハーネス型安全帯と胴ベルトが独自に動くことができるため、装着感を損なわない。
【符号の説明】
【0068】
1 ハーネス用胴ベルト取付具
10 第1の掛止体
11 第1ベルト挿通孔
12a、12b 第1ベルト幅方向辺
13a、13b 第1ベルト長さ方向辺
15 第1連結部材取付片
16 第1軸孔
17 第1突起片
19 挿入孔
20 第2の掛止体
21 第2ベルト挿通孔
22a、22b 第2ベルト幅方向辺
23a、23b 第2ベルト長さ方向辺
25 第2連結部材取付片
26 第2軸孔
27 第2突起片
29 挿入孔
30 連結部材
35 掛止体取付片
36 第3軸孔
41 軸
50 ハーネス型安全帯
51 肩ベルト
52 腿ベルト
55 胴ベルト
60 第1の掛止体
611 第1ベルト挿通孔
612a、612b 第1ベルト幅方向辺
613a、613b 第1ベルト長さ方向辺
615 第1連結部材取付片
616 第1軸孔
617 第1突起片
619 挿入孔
70 第2の掛止体
721 第2ベルト挿通孔
722a、722b 第2ベルト幅方向辺
723a、723b 第2ベルト長さ方向辺
725 第2連結部材取付片
726 第2軸孔
727 第2突起片
90 第2の掛止体
921 第2ベルト挿通孔
922 第2ベルト幅方向辺
923a、923b 第2ベルト長さ方向辺
925 第2連結部材取付片
926 第2軸孔
927 第2突起片