(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】照明装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220608BHJP
B60Q 3/14 20170101ALI20220608BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20220608BHJP
B60Q 3/233 20170101ALI20220608BHJP
B60Q 3/20 20170101ALI20220608BHJP
B60Q 3/60 20170101ALI20220608BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20220608BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220608BHJP
【FI】
F21S2/00 412
B60Q3/14
B60Q3/217
B60Q3/233
B60Q3/20
B60Q3/60
F21Y103:00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018100911
(22)【出願日】2018-05-25
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】396019974
【氏名又は名称】冨士ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002206
【氏名又は名称】弁理士法人せとうち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 貴樹
(72)【発明者】
【氏名】三井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 茂樹
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-132688(JP,A)
【文献】特開2009-006668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
B60Q 3/14
B60Q 3/217
B60Q 3/233
B60Q 3/20
B60Q 3/60
F21Y 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板と裏面板とが積層されてなる意匠板と、光照射手段とを備える照明装置であって;
前面板の両面が平坦であり、
前記裏面板の一方の表面が複数の凹凸を有し、他方の表面が平坦であり、
前記意匠板の表面に前記凹凸が配置され、
前記前面板の厚みが1~10mmであり、
前記裏面板における凹部の厚み(A)が0.1~5mmであり、
前記裏面板における、前記凹部の厚み(A)と凸部の厚み(B)の比(A/B)が0.1~0.95であり、
前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに配置されてなり、
前記前面板を構成する樹脂の全光線透過率(X)が20~95%/2mmであり、前記裏面板を構成する樹脂の全光線透過率(Y)が0.01~40%/2mmであり、かつ
全光線透過率(X)と全光線透過率(Y)との差(X-Y)が10%以上であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記凹凸のピッチが1~20mmである請求項
1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記前面板及び前記裏面板の少なくとも一方が、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる請求項1
又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光照射手段が拡散光を照射する請求項1~
3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記光照射手段が光拡散板と光源とを有する請求項
4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光照射手段と前記意匠板との間に、該光照射手段から照射される光の一部を遮光する遮光手段を、さらに有する請求項1~
5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記光照射手段と前記意匠板との間に、該光照射手段から照射される光を着色するカラーフィルタを、さらに有する請求項1~
6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれかに記載の照明装置からなる自動車用内装部品。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれかに記載の照明装置の製造方法であって;
表面に凹凸模様が付された共通型と
平坦な第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程1と、
第1交換型を
平坦な第2交換型に交換する工程2と、
前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程3と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記意匠板を取り出す工程4と、
前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに前記意匠板を配置する工程5を有する照明装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1~
7のいずれかに記載の照明装置の製造方法であって;
平坦な共通型と
平坦な第1交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程1と、
第1交換型を
表面に凹凸模様が付された第2交換型に交換する工程2と、
前記前面板と第2交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程3と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記意匠板を取り出す工程4と、
前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに前記意匠板を配置する工程5を有する照明装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意匠板と光照射手段とを備える照明装置に関する。また本発明は、その照明装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置は室内等を明るくすることを主な目的として用いられてきたが、近年では車両や建物などの装飾品としても使用されるようになっている。
【0003】
特許文献1には、自動車内装に設置された表面に装飾意匠層を施された光拡散板と、該光拡散板の裏面側に設置された光源とを備えてなる自動車内装用照明装置が記載されている。この自動車内装用照明装置は、消灯時(昼間)には金属調等の外観を有しながら、点灯時(夜間)には、光拡散板の作用により光がぼんやり浮かぶ照明となるようなものである。そしてこの照明装置を用いることにより、昼間と夜間とで異なる演出を達成することができるとされている。
【0004】
近年、消費者ニーズの多様化に伴って、消灯時及び点灯時のいずれにおいても高度な意匠性を有する照明装置が求められている。しかしながら、特許文献1に記載の照明装置はこのような要求を十分に満足しているとは言い難いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、消灯時には黒色で平坦な外観を有するとともに、点灯時には立体感のある意匠を表現することのできる照明装置及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、
前面板と裏面板とが積層されてなる意匠板と光照射手段とを備える照明装置であって;
前面板の両面が平坦であり、
前記裏面板の一方の表面が複数の凹凸を有し、他方の表面が平坦であり、
前記意匠板の表面に前記凹凸が配置され、
前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに配置されてなり、
前記前面板を構成する樹脂の全光線透過率(X)が20~95%/2mmであり、前記裏面板を構成する樹脂の全光線透過率(Y)が0.01~40%/2mmであり、かつ
全光線透過率(X)と全光線透過率(Y)との差(X-Y)が10%以上であることを特徴とする照明装置を提供することによって解決される。
【0008】
このとき、前記前面板の厚みが1~10mmであり、前記裏面板における凹部の厚み(A)が0.1~5mmであり、前記裏面板における、前記凹部の厚み(A)と凸部の厚み(B)の比(A/B)が0.1~0.95であることが好ましい。また、前記凹凸のピッチが1~20mmであることが好ましい。
【0009】
また、前記前面板及び前記裏面板の少なくとも一方が、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
【0010】
前記光照射手段が拡散光を照射することが好ましい。前記光照射手段が光拡散板と光源とを有することも好ましい。
【0011】
また、前記光照射手段と前記意匠板との間に、該光照射手段から照射される光の一部を遮光する遮光手段を、さらに有することが好ましい。前記光照射手段と前記意匠板との間に、該光照射手段から照射される光を着色するカラーフィルタを、さらに有することも好ましい。
【0012】
上記照明装置からなる自動車用内装部品が本発明の好適な実施態様である。
【0013】
上記課題は、上記照明装置の製造方法であって;
共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程1と、
第1交換型を第2交換型に交換する工程2と、
前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程3と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記意匠板を取り出す工程4と、
前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに前記意匠板を配置する工程5を有する照明装置の製造方法を提供することによっても解決される。
【0014】
また、上記課題は、上記照明装置の製造方法であって;
共通型と第1交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程1と、
第1交換型を第2交換型に交換する工程2と、
前記前面板と第2交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程3と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記意匠板を取り出す工程4と、
前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに前記意匠板を配置する工程5を有する照明装置の製造方法を提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の照明装置は、消灯時には黒色で平坦な外観を有するとともに、点灯時には立体感のある意匠を表現することができるので、消灯時と点灯時のいずれにおいても高い意匠性を有する。また本発明の製造方法によれば、このような照明装置を簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例及び比較例で作製した意匠板の形状を示した図である。
【
図2】
図1においてAで示す丸で囲んだ箇所を拡大した図である。
【
図4】実施例及び比較例で用いたLED照明の外観写真である。
【
図5】実施例1において照明を点灯させたときの外観写真である。
【
図6】実施例2において照明を点灯させたときの外観写真である。
【
図7】実施例3において照明を点灯させたときの外観写真である。
【
図9】比較例1において照明を点灯させたときの外観写真である。
【
図10】比較例2において照明を点灯させたときの外観写真である。
【
図11】比較例3において照明を点灯させたときの外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、意匠板と光照射手段とを備える照明装置に関するものである。本発明で用いられる意匠板は、前面板と裏面板とが積層されてなるものである。以下、図面を参照しつつ、まず本発明で用いられる意匠板について説明する。
【0018】
図1は本発明で用いられる意匠板1の一例を示した図である。
図1の(a)は意匠板1を裏板面3側から見た図であり、
図1の(b)は意匠板1を側面から見た図である。
図2は、
図1においてAで示す丸で囲んだ箇所を拡大した図であり、
図3は、
図2のB-B線断面図である。
【0019】
図3に示すように、意匠板1は前面板2と裏面板3とが積層されてなるものである。前面板2の両面は平坦である。裏面板3の一方の表面は複数の凹凸を有し、他方の表面は平坦である。そして、この複数の凹凸は意匠板1の表面に配置される。詳細は後述するが、本発明の照明装置においては、凹凸が光照射手段と対向する向きに配置されてなる。そのため、意匠板1における外側の面(前面板2の平坦面)がユーザー側に配置される面となる。意匠板をこのような構成とすることで、消灯時には平坦な外観を有する照明装置を得ることができる。本発明において、意匠板における外側の面が平坦であるということは、当該外側の面が完全な平面でなければならないということを意味するものではない。したがって、意匠板が大きな曲率で湾曲しているような場合であっても、その表面に凹凸が形成されていなければ平坦であるとする。
【0020】
本発明において、前面板を組み合わせず、裏面板のみからなる意匠板を用いた場合、反対側の凹凸に由来する波模様が平坦面に生じることが避けられず、外観が悪化する。この波模様は、裏面板の凸部の厚さと凹部の厚さに大きな差があるために、溶融成形後の冷却時に凸部の収縮量が凹部に比べて大きくなることに由来して生じるものである。このような波模様を隠すために、裏面板と前面板を組み合わせることが好ましい。前面板の厚みは、1~10mmであることが好ましい。前面板の厚みが1mm未満の場合、波模様を十分に隠すことができない上に意匠板の強度が低下するおそれがある。前面板が厚い方が、意匠板の外面をより平坦にして優れた外観とすることができる。したがって、前面板の厚みは1.5mm以上であることがより好ましく、2mm以上であることがさらに好ましい。一方、前面板の厚みが10mmを超える場合、照明装置の重量や製造コストが上昇するおそれがある。前面板の厚みは8mm以下であることがより好ましい。
【0021】
裏面板における凹部の厚み(A)が0.1~5mmであることが好ましい。ここで、凹部の厚み(A)とは、裏面板の平坦面から凹部の底部までの厚みのことをいう。凹部の厚み(A)が上記範囲から外れると、裏面板の成形が困難になるおそれがあるとともに、点灯時に表現される意匠の立体感が不十分になるおそれもある。凹部の厚み(A)は0.2mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることがさらに好ましい。一方、凹部の厚み(A)は、3mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることがさらに好ましい。
【0022】
裏面板における、凹部の厚み(A)と凸部の厚み(B)の比(A/B)が0.1~0.95であることが好ましい。ここで、凸部の厚み(B)とは、裏面板の平坦面から凸部の頂部までの厚みのことをいう。比(A/B)が上記範囲から外れると、点灯時に表現される意匠の立体感が不十分になるおそれがある。比(A/B)は0.15以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。一方、比(A/B)は0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。
【0023】
前記凹凸のピッチが1~20mmであることが好ましい。ここで凹凸のピッチとは、凹部から隣の凹部までの距離、又は凸部から隣の凸部までの距離のことをいう。前記凹凸のピッチが上記範囲から外れると、点灯時に表現される意匠の立体感が不十分になるおそれがある。前記凹凸のピッチは2mm以上であることがより好ましい。一方、前記凹凸のピッチは10mm以下であることがより好ましい。
【0024】
前記凹凸の形状は、
図1~3に示したような角錐に限定されず、円柱、角柱、円錐などであっても構わないし、曲面で構成された形状であっても構わない。また、前記裏面板の同一面に形状の異なる凹凸が形成されても構わない。
【0025】
本発明において、前記前面板を構成する樹脂の全光線透過率(X)が20~95%/2mmであることが重要である。ここで、全光線透過率(X)は当該樹脂からなる2mm厚の板の全光線透過率である。全光線透過率(X)が20%/2mm未満の場合、光照射手段からの光が意匠板を十分に透過せず、照明装置として十分に機能しない場合がある。全光線透過率(X)は、25%/2mm以上であることが好ましく、30%/2mm以上であることがより好ましい。一方、全光線透過率(X)が95%/2mmを超える場合、消灯時において外観が黒色にならないおそれがある。全光線透過率(X)は、90%/2mm以下であることが好ましい。
【0026】
このとき、全光線透過率(X)を80%/2mm以下とすることで、消灯時における外観が深みのある黒色となる。かかる観点から、全光線透過率(X)は、70%/2mm以下であることがより好ましく、60%/2mm以下であることがさらに好ましい。全光線透過率(X)は、JIS K7361-1(1997)に準じて測定した値であり、表面反射による減少を含んだ値である(以下の全光線透過率(Y)についても同様)。
【0027】
本発明において、前記裏面板を構成する樹脂の全光線透過率(Y)が0.01~40%/2mmであることも重要である。ここで、全光線透過率(Y)は当該樹脂からなる2mm厚の板の全光線透過率である。全光線透過率(Y)が0.01%/2mm未満の場合、光照射手段からの光が意匠板を十分に透過せず、照明装置として十分に機能しない場合がある。全光線透過率(Y)は、0.02%/2mm以上であることが好ましく、0.05%/2mm以上であることがより好ましい。一方、全光線透過率(Y)が40%/2mmを超える場合、消灯時において外観が黒色にならないおそれがある。全光線透過率(Y)は20%/2mm以下であることが好ましく、10%/2mm以下であることがより好ましい。
【0028】
全光線透過率(X)と全光線透過率(Y)との差(X-Y)が10%以上であることも重要である。差(X-Y)が10%未満の場合、消灯時において外観が黒色にならないことがある。差(X-Y)は、20%以上であることが好ましい。一方、差(X-Y)は、通常、95%以下である。
【0029】
全光線透過率(X)及び(Y)は、前面板及び裏面板となる樹脂に、顔料や染料などの着色剤を添加することにより調節することができる。このとき、着色剤の色は特に限定されず、様々な色の着色剤を用いることができる。例えば、前記裏面板を構成する樹脂が黒色の顔料を含む場合には、消灯時に質感と深みのある黒い外観を得ることができる。
【0030】
前記前面板及び前記裏面板の少なくとも一方が、ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂と略記することがある)、ABS樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。耐衝撃性の観点からは、前記前面板及び前記裏面板の少なくとも一方がPC樹脂からなることが好ましい。成形性の観点からは、前記前面板及び前記裏面板の少なくとも一方がABS樹脂からなることが好ましい。透明性の観点からは、前記前面板及び前記裏面板の少なくとも一方がアクリル樹脂からなることが好ましい。
【0031】
ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂及びアクリル樹脂には、本発明の効果が阻害されない範囲で添加剤等が含まれてもよい。また、前面板を構成する樹脂及び裏面板を構成する樹脂のいずれか一方の樹脂が、ポリマーブレンドであっても構わない。好適に用いられるポリマーブレンドとしては、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂がブレンドされたポリマーブレンドが挙げられる。
【0032】
前記前面板が、ASTM D3363に従った鉛筆硬度がHB以上の樹脂からなることが好ましく、F以上の樹脂からなることがより好ましい。意匠板における外側の面を構成する前面板が、上記の鉛筆硬度を有する樹脂からなることで、ユーザーの手が触れたとしても当該外側の面が容易に傷付くことはない。
【0033】
耐熱性及び耐衝撃性を保ちつつ、耐傷性に優れている観点から、前記前面板が、イソソルビドに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂とのアロイ、又はビスフェノールAとビスフェノールCに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂からなることが好ましい。
【0034】
イソソルビドに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂は、イソソルビドと炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより製造することができる。イソソルビドは、デンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得ることができる。また、炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ-t-ブチルカーボネートなどが挙げられる。上記ポリカーボネートを構成する単量体単位のモル数に対するイソソルビドに由来する構造単位のモル数は特に限定されず、通常、20mol%以上であり、好適には40mol%以上である。イソソルビドに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂は、例えば、三菱化学株式会社から商品名「DURABIO」の名称で販売されており、市販品を容易に入手することが可能である。
【0035】
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂とのアロイとは、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂がブレンドされたポリマーブレンドである。このポリマーブレンドには添加剤等がさらに含まれてもよい。
【0036】
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂とのアロイにおける、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(PC-A)とビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂(PC-C)との質量比[(PC-A)/(PC-C)]は特に限定されないが、通常、90/10~10/90である。上記アロイにおける、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂以外の成分の含有量は、特に限定されないが、通常、20質量%以下であり、好適には10質量%以下であり、より好適には5質量%以下である。ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂及びビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂は、通常、ビスフェノールとホスゲンとをアルカリ触媒存在下に界面重縮合させる方法、ビスフェノールとジフェニルカーボネートとを溶融重縮合させる方法などの公知の方法により得ることができる。ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂とのアロイは、例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社から「ユーピロン」の名称で販売されており、市販品を容易に入手することが可能である。
【0037】
また、耐熱性及び耐衝撃性を保ちつつ、耐傷性に優れている観点から、前記前面板が、ビスフェノールAとビスフェノールCに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂からなることも好ましい。このとき、当該ポリカーボネート樹脂を構成する全単量体単位のモル数に対する、ビスフェノールAに由来する構造単位及びビスフェノールCに由来する構造単位の合計のモル数は、特に限定されないが、通常、80モル%以上であり、好適には90モル%以上であり、より好適には95モル%以上である。当該ポリカーボネート樹脂における、ビスフェノールAに由来する構造単位とビスフェノールCに由来する構造単位とのモル比[(BPA)/(BPC)]は、特に限定されないが、通常、90/10~10/90である。上記ポリカーボネート樹脂には、添加剤等の他の成分が含まれていてもよい。他の成分の含有量は、通常、10質量%以下であり、好適には5質量%以下である。
【0038】
ビスフェノールAとビスフェノールCに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂の製造方法は特に限定されず、通常、ジオール成分(ビスフェノールA及びビスフェノールC)と炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより製造することができる。ビスフェノールAとビスフェノールCに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂は、例えば、帝人株式会社から商品名「パンライト」の名称で販売されており、市販品を容易に入手することが可能である。
【0039】
イソソルビドに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂とのアロイ、及びビスフェノールAとビスフェノールCに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂は、適宜使い分けることができる。耐薬品性を重視する場合には、イソソルビドに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
【0040】
前面板を構成する樹脂及び裏面板を構成する樹脂は同じ種類の樹脂であってもよいし、異なる種類の樹脂であってもよい。前面板と裏面板との接着性の観点から、前面板を構成する樹脂及び裏面板を構成する樹脂は同じ種類の樹脂(例えばPC樹脂同士)であることが好ましい。
【0041】
次に、本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は、上述した意匠板と、光照射手段とを備えるものである。本発明の照明装置は、前記意匠板の表面に配置された前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに配置されてなる。
【0042】
前記光照射手段の種類は特に限定されず、例えば発光ダイオード(light emitting diode: LED)のような点光源、蛍光灯のような線光源などを用いることができる。
【0043】
本発明においては、前記光照射手段が拡散光を照射するものであることが好ましい。拡散光を照射する光照射手段を用いることにより、点灯時に、明りょうで立体感のある意匠を表現することがきる。拡散光を照射する光照射手段としては、光拡散板と光源とを有する光照射手段が好適に用いられる。
【0044】
また、前記光照射手段と前記意匠板との間に、該光照射手段から照射される光の一部を遮光する遮光手段を、さらに有することが好ましい。後述する実施例でも実証されているように、光拡散板に遮光テープを貼って、光照射手段から照射される光の一部を遮光した場合、当該遮光テープを貼った部分が黒い線となり、その両側に凹凸形状が浮かび上がったように見えた。遮光手段を用いることによって、より立体感に富んだ模様を容易に表現することができる。
【0045】
前記光照射手段と前記意匠板との間に、該光照射手段から照射される光を着色するカラーフィルタを、さらに有することも好ましい。カラーフィルタを用いることにより点灯時の色を容易に変えることができる。
【0046】
本発明の照明装置の製造方法は特に限定されないが、生産効率の観点から、下記の方法(i)又は(ii)が好適である。生産コストや生産効率などを考慮して方法(i)又は(ii)を適宜選択する。
【0047】
・方法(i)
方法(i)は、共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程1と、
第1交換型を第2交換型に交換する工程2と、
前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程3と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記意匠板を取り出す工程4と、
前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに前記意匠板を配置する工程5を有する方法である。
【0048】
工程1において、共通型と第1交換型の間に形成される裏面用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する。裏面用キャビティに樹脂を射出することにより、意匠板における裏面板に相当する一次成形体が成形される。このとき、表面に凹凸模様が付された共通型を用いる。表面に凹凸模様が付された共通型を用いることにより、裏面板の一方の表面に凹凸模様が転写される。
【0049】
射出成形時の成形条件は特に限定されるものではないが、シリンダー設定温度を200~330℃にして成形することが好ましい。共通型や第1交換型は、それぞれ複数の金型から構成されていてもよい。
【0050】
そして、樹脂が裏面用キャビティに充填され型締め圧縮され冷却された後、続く工程2において、第1交換型が第2交換型に交換される。
【0051】
工程3において、前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する。前面板用キャビティに樹脂を射出することにより意匠板における前面板に相当する二次成形体が一次成形体上に成形される。射出成形時の成形条件は特に限定されるものではないが、シリンダー設定温度を180~350℃にして成形することが好ましい。
【0052】
そして、工程4において、共通型及び第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から意匠板を取り出し、続く工程5において、意匠板の凹凸が前記光照射手段と対向する向きに当該意匠板を配置することにより照明装置を得る。
【0053】
本発明の製造方法においては、工程4の後、又は工程5の後に、前面板の表面に対して表面処理を行うこともできる。例えば、前面板の表面に対して、塗装やめっきなどを施すことができる。塗装としては、スプレー塗装、刷毛塗り、電着塗装、静電塗装、紫外線硬化塗装などが挙げられる。めっきとしては、電気めっき、無電解めっき、蒸着などが挙げられる。また、前面板の表面にフィルムをラミネートすることもできる。このとき用いられるフィルムとしては、アンチグレアフィルム(反射防止フィルム)やアンチフィンガーフィルム(指紋付着防止フィルム)などが挙げられる。
【0054】
・方法(ii)
方法(ii)は、共通型と第1交換型の間に形成される前面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記前面板を形成する工程1と、
第1交換型を第2交換型に交換する工程2と、
前記前面板と第2交換型の間に形成される裏面板用キャビティに樹脂を射出して充填して前記裏面板を形成する工程3と、
前記共通型及び前記第2交換型を冷却して、該共通型及び第2交換型から前記意匠板を取り出す工程4と、
前記凹凸が前記光照射手段と対向する向きに前記意匠板を配置する工程5を有する方法である。
【0055】
方法(ii)は、上述した方法(i)と異なり、工程1において、共通型と第1交換型の間に形成される前面板用キャビティに、樹脂を射出して充填し、後の工程3において、前記前面板と第2交換型の間に形成される裏面用キャビティに樹脂を射出して充填する方法である。当該方法(ii)においては、表面に凹凸模様が付された第2交換型を用いることにより、裏面板の一方の表面に凹凸模様が転写される。
【0056】
方法(ii)の工程2、4及び5は、上述した方法(i)における工程2、4及び5にそれぞれ相当するものであるので説明は省略する。この方法(ii)によって得られた照明装置の前面板の表面に対して、上述した表面処理を行うこともできる。
【0057】
ここで、本発明で用いられる意匠板は前面板と裏面板とが積層されてなるものであるが、当該意匠板はインサート成形により製造することもできる。一般的にインサート成形は、二色成形に比べて設備費や金型の製作費などが安価であるという利点があるため、多品種・少量生産の場合にはこの成形法が好適な場合がある。
【0058】
また、本発明における意匠板の製造方法として、前面板及び裏面板とをそれぞれ別に成形した後、それらを接着剤により貼り合わせる方法も挙げられる。しかしながら、この方法では、接着剤に含まれる有機溶剤によって前面板や裏面板にクラックが発生するおそれがある。また、接着剤が前面板を通して視認されることがあり照明装置の見栄えが悪化するおそれもある。また、熱融着により前面板及び裏面板を貼り合わせる方法も挙げられる。しかしながら、この方法では、熱による歪みが発生し寸法精度が低下するおそれがある。
【0059】
こうして得られる、本発明の照明装置は消灯時には黒色で平坦な外観を有するとともに、点灯時には立体感のある意匠を表現することができる。黒色かつ平坦な外観(ピアノブラック、ピアノ調と称されることもある)は高級感と落ち着きのある印象を与える。一方、立体感のある意匠は独特の存在感を放つ。したがって、本発明の照明装置は消灯時と点灯時のいずれにおいても高い意匠性を有する。
【0060】
本発明の照明装置は、上記の特徴を活かして、車両(自家用車、商用車)、建物(住宅、飲食店などの店舗)、民生用機器(映像や音響などの電子機器)などにおいて、装飾用照明に用いることができる。中でも、自動車用内装部品が本発明の好適な実施態様である。自動車用内装部品はユーザーの目に触れるものであるとともに、昼間も夜間も使用されるものであるため、本発明の照明装置をオーディオパネル、エアコンパネル、ドアトリム、センターコンソール、シート周りのスイッチ、天井などに用いれば、昼間(消灯時)と夜間(点灯時)とで異なった雰囲気を演出することができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0062】
(樹脂の種類)
・PC-1:帝人株式会社製の、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂「パンライト L1225Y(ブラック)」 鉛筆硬度:2B
・PC-2:帝人株式会社製の、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂「パンライト L1225Y(クリア)」 鉛筆硬度:2B
・PC-3:三菱化学株式会社製の、イソソルビドに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂「DURABIO D7340(スモーク)」 鉛筆硬度:F
ABS-1:日本エイアンドエル株式会社のABS樹脂「クララスティック(ブラック)」
ABS-2:日本エイアンドエル株式会社のABS樹脂「クララスティック(クリア)」
【0063】
実施例1
(意匠板の作製)
一色目用の樹脂射出路と二色目用の成形樹脂射出路を有する共通型と、第1交換型と、第2交換型とを備える二色成形用射出成形機を用いた。共通型の表面には凹凸模様が付されている。表面に凹凸模様が付された共通型を用いることにより、裏面板の一方の表面に凹凸模様が転写される。
【0064】
まず、一色目用の樹脂として上記「PC-1」10質量部及び「PC-2」100質量部をブレンドしてホッパー(一色目用)に投入し、次いで二色目用の樹脂として上記「PC-1」をホッパー(二色目用)に投入した。そして、共通型と第1交換型の間に形成される裏面板用キャビティに、上記「PC-1」と「PC-2」との混合組成物を射出することにより、裏面板に相当する一次成形体を成形した(シリンダー設定温度:280℃、金型温度:60℃、射出スピード:160mm/sec、射出圧力:220MPa)。
【0065】
次いで、40秒間冷却してから、第1交換型を第2交換型に交換した。次いで、前記裏面板と第2交換型の間に形成される前面板用キャビティに上記「PC-2」を射出することにより、前面板に相当する二次成形体を裏面板上に成形した(シリンダー設定温度:280℃、金型温度:60℃、射出スピード:80mm/sec、射出圧力:220MPa)。次いで、共通型及び第2交換型を冷却して、共通型及び第2交換型から意匠板を取り出した。
【0066】
図1に、得られた意匠板1の形状を示す。
図1の(a)は意匠板1を裏板面3側から見た図であり、
図1の(b)は意匠板1を側面から見た図である。また、
図2は、
図1においてAで示す丸で囲んだ箇所の拡大図であり、
図3は、
図2のB-B線断面模式図である。
図3に示すように、前面板2の両面は平坦であり、裏面板3の一方の表面が複数の凹凸を有し、他方の表面が平坦である。
【0067】
ここで、意匠板1の各寸法について説明する。
図1及び2において長さの単位はmmである。
図1の(a)に示すように得られた意匠板1の縦の長さは100mmであり、横の長さは80mmである。
図3に示すように、前面板2の厚みは3mmであり、裏面板3の凹部の厚み(A)は0.5mmであり、凸部の厚み(B)は1.47mmである。凹部の厚み(A)と凸部の厚み(B)の比(A/B)は、0.34である。凹凸のピッチは5mmである。表1に各寸法をまとめて示す。
【0068】
(照明装置の作製)
図4(a)に示すLED照明を準備した。このLED照明は、光拡散板の裏側に白色LED光源を配してなり、拡散光を照射することのできる照明である。本実施例では光拡散板から照射される光の一部を遮光するために、光拡散板の表面に遮光テープを2本貼り付けた(
図4(b)の矢印)。そして、このLED照明と前記意匠板を用い、意匠板の凹凸とLED照明とを対向する向きに設置することにより照明装置を得た。
【0069】
[評価]
(全光線透過率の測定)
裏面板又は前面板となる樹脂を用い、射出成形機で射出成形して厚さ2mmの試験片を作製した。そして、JIS K7361-1(1997)に準じて全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
(外観評価:照明を点灯しなかったとき)
LED照明を点灯させずに意匠板を目視にて観察し下記の評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
【0071】
・黒色
A:深みのある黒色であった。
B:黒色であったが、若干白っぽく見えた。
C:黒色ではなかった。
【0072】
・外面の平坦性
A:外面は平坦であり、凹凸に由来する波模様はほとんど確認されなかった。
B:凹凸に由来する波模様が少し確認された。
C:凹凸に由来する波模様が目立ち、意匠板自体も撓んでいた。
【0073】
(外観評価:照明を点灯したとき)
LED照明を点灯させて意匠板を目視にて観察し下記の評価基準にて評価した。結果を表1に示す。また、当該評価時に撮影した意匠板における外側の面(ユーザー側に配置される面)の写真を
図5に示す。
図5の(a)は当該外側の面を真上から撮影したときの写真であり、
図5の(b)は当該外側の面を斜め上から撮影したときの写真である(以下の写真において同様)。
A:立体感のある凹凸模様が確認された。
B:凹凸模様が立体感を有するものの、その立体感は不十分であった。
C:立体感のある凹凸模様を確認することができなかった。
【0074】
実施例2
樹脂の種類を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして意匠板及び照明装置を得た。そして、実施例1と同様にして照明装置を評価した。結果を表1に示すとともに、外観評価において拡散光を照射したときの外観写真を
図6に示す。
【0075】
実施例3
樹脂の種類を表1に示すように変更し、シリンダー設定温度、金型温度、射出スピード、射出圧力を表2に示すように変更し、前面板の厚さを1.5mmとした以外は実施例1と同様にして意匠板及び照明装置を得た。そして、実施例1と同様にして照明装置を評価した。結果を表1に示すとともに、外観評価において拡散光を照射したときの外観写真を
図7に示す。
【0076】
比較例1
実施例1と同様にして裏面板に相当する一次成形体を成形した後、共通型から一次成形体を取り出した。そして、表面が平滑な共通型に取り替えた後、上記一次成形体を、その平滑な面が共通型に接する向きになるようにして、この共通型にセットした。その後、実施例1と同様にして意匠板及び照明装置を得た。このとき得られた意匠板の断面図を
図8に示す。
図8に示すように凹凸は意匠板の表面に配置されておらず前面板と裏面板との境界に配置されている。そして、裏面板とLED照明とが対向する向きになるように意匠板を設置した。照明装置の評価結果を表1に示すとともに、外観評価において拡散光を照射したときの外観写真を
図9に示す。
【0077】
比較例2
樹脂の種類を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして意匠板及び照明装置を得た。そして、実施例1と同様にして照明装置を評価した。結果を表1に示すとともに、外観評価において拡散光を照射したときの外観写真を
図10に示す。
【0078】
比較例3
樹脂の種類を表1に示すように変更し、二次成型体を裏面板上に成形しなかった以外は実施例1と同様にして意匠板を得た。得られた意匠板は一次成形体のみからなるものである。そして、実施例1と同様にして照明装置を作製し評価した。結果を表1に示すとともに、外観評価において拡散光を照射したときの外観写真を
図11に示す。
【0079】
表1に示すように、本発明の構成を満足する照明装置は、消灯時の外観は平坦かつ黒色であった。また、表1及び
図5~7に示すように、点灯時には立体的な凹凸模様が確認された。さらに、
図5~7に示すように、光拡散板に遮光テープを貼って、LED照明から照射される光の一部を遮光した場合、当該遮光テープを貼った部分が黒い線となり、その両側に凹凸形状が浮かび上がったように見えた(実施例1~3)。
【0080】
一方、凹凸が前面板と裏面板との境界に配置されている場合、点灯時に立体的な凹凸模様を確認することができなかった(比較例1)。全光線透過率(X)及び(Y)が所定の値を満足しない場合、消灯時に黒色の外観を有する照明装置を得ることができなかった(比較例2)。一次成形体のみからなるものを意匠板として用いた場合、平坦な外観を有する照明装置を得ることができなかった(比較例3)。
【0081】
【0082】
【符号の説明】
【0083】
1 意匠板
2 前面板
3 裏面板