IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ボンビの特許一覧

<>
  • 特許-ペット用トイレ 図1
  • 特許-ペット用トイレ 図2
  • 特許-ペット用トイレ 図3
  • 特許-ペット用トイレ 図4
  • 特許-ペット用トイレ 図5
  • 特許-ペット用トイレ 図6
  • 特許-ペット用トイレ 図7
  • 特許-ペット用トイレ 図8
  • 特許-ペット用トイレ 図9
  • 特許-ペット用トイレ 図10
  • 特許-ペット用トイレ 図11
  • 特許-ペット用トイレ 図12
  • 特許-ペット用トイレ 図13
  • 特許-ペット用トイレ 図14
  • 特許-ペット用トイレ 図15
  • 特許-ペット用トイレ 図16
  • 特許-ペット用トイレ 図17
  • 特許-ペット用トイレ 図18
  • 特許-ペット用トイレ 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018191840
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2020058290
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000137188
【氏名又は名称】株式会社凡美社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】前川 隆
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-29360(JP,A)
【文献】特開2011-193879(JP,A)
【文献】特開2005-287367(JP,A)
【文献】特開2012-005444(JP,A)
【文献】特開2006-101830(JP,A)
【文献】特開2012-090615(JP,A)
【文献】特開平08-009819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
A01K 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーツを載置する底トレーと、
上記底トレーに載置されたシーツを上方から覆う引っ掻き防止用のメッシュ部を有するカバー部材と、を備えたペット用トイレであって、
上記メッシュ部の下部には、上記シーツを押圧保持するジグザグ形状のリブが形成され、
上記メッシュ部には、上記ジグザグ形状のリブに沿った多角形状の多数の網目が開口形成された
ペット用トイレ。
【請求項2】
上記網目は六角形状に形成された
請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
上記底トレーは、外周縁部に位置する周壁と、該周壁の内端間全域に位置する便床部とを有し、
上記便床部はその全域にわたって平坦状に形成された
請求項1または2に記載のペット用トイレ。
【請求項4】
上記底トレーの外周縁部の少なくとも一辺の外部には、ピン支持部を介してヒンジピンが一体形成され、
該底トレーの外周縁部他辺の外部には、係止部が一体形成されると共に、
上記カバー部材の外周縁部一辺には、上記ヒンジピンに回動可能に装着される装着部が設けられ、
上記カバー部材の外周縁部他辺には、上記係止部に着脱可能に係止されるフック部が設けられた
請求項1~3の何れか一項に記載のペット用トイレ。
【請求項5】
上記メッシュ部は合成樹脂の射出成形にて構成されると共に、
上記ジグザグ状のリブに沿う網目は網目構成部を有しており、
該網目構成部の下端部に上記リブが設けられ、
上記網目構成部の下端部と上記リブの上端部との間に射出成形時のパーティングラインが形成された
請求項1~4の何れか一項に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シーツを載置する底トレーと、上記底トレーに載置されたシーツを上方から覆う引っ掻き防止用のメッシュ部を有するカバー部材と、を備えたペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に上述例のペット用トイレは、シーツを載置する底トレーと、該底トレーに載置されたシーツを上方から覆うと共に、ペットの爪でシーツが引っ掻かれることを防止するためのメッシュ部を有するカバー部材と、から構成されている。
【0003】
上述のシーツは、ペットの挙動により位置ずれしないよう底トレーとカバー部材との間に保持する必要がある。
そこで、本発明者等は、図19に示すペット用トイレを既に発明した(特許文献1参照)。
すなわち、図19に示すように、平面視方形状の底トレー91の周壁92と便床部93との間に、底トレー91の周壁形状(方形枠状)に対応した環状凹形状の固定溝94を形成し、該固定溝94に複数の突起95(但し、図19では1つの突起95のみを示す)を形成している。
【0004】
また、メッシュ部96を有する平面視方形状のカバー部材97の外枠部97a下面において、上記固定溝94の突起95と上下方向に対向する位置には、環状内壁部97bと、環状外壁部97cと、これら両壁部97b,97c間に形成されて上方に凹む環状凹部97dと、を形成している。
【0005】
そして、図19に示すように、便床部93に敷設したシーツ100の外周縁を、環状内壁部97bと突起95内面との間を通して突起95上端に導びき、突起上端から突起95外面と環状外壁部97cとの間を介して環状凹部97dの外方へ導出することで、シーツ100に抵抗を付与して、当該シーツ100を位置ずれしないように固定していた。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1で開示されたペット用トイレにおいては、シーツ100がその外周縁部のみで固定されており、便床部93でのシーツ100の固定が不充分なうえ、シーツ固定構造が複雑であって、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-92015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、ジグザグ形状のリブによりシーツが動かないように確実に押圧保持することができるペット用トイレの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるペット用トイレは、シーツを載置する底トレーと、上記底トレーに載置されたシーツを上方から覆う引っ掻き防止用のメッシュ部を有するカバー部材と、を備えたペット用トイレであって、上記メッシュ部の下部には、上記シーツを押圧保持するジグザグ形状のリブが形成され、上記メッシュ部には、上記ジグザグ形状のリブに沿った多角形状の多数の網目が開口形成されたものである。
【0010】
上記構成によれば、メッシュ部の下部に形成されたジグザグ形状のリブにより、シーツが動かないように確実に押圧保持することができる。
また、上記ジグザグ形状のリブに沿った網目を開口形成したので、ペット用トイレの洗浄性が向上し、網目の角部の汚物を容易に洗い流すことができ、洗浄時の水の跳ね返りも抑制することができる。
【0011】
因に、特許文献1で開示されたメッシュ部は格子状網目に形成されており、ペット用トイレの洗浄時に、上記格子状網目に強い水圧の水をかけて汚物を洗い流す場合、上記格子状網目の直角の角部の汚物を容易に洗い流すことが困難なうえ、網目が格子状であるため、洗浄時に水が跳ね返る問題点があったが、上記構成により斯る問題点を解消することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記網目は六角形状に形成されたものである。
上記構成によれば、網目を六角形状に形成したので、その内角が120度となり、格子状の網目の内角(90度)に対して大きくなるため、角部の汚物をより容易に洗い流すことができると共に、洗浄時の水の跳ね返りをより一層抑制することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記底トレーは、外周縁部に位置する周壁と、該周壁の内端間全域に位置する便床部とを有し、上記便床部はその全域にわたって平坦状に形成されたものである。
上記構成によれば、上述の便床部がその全域にわたって平坦状に形成されており、特許文献1で開示された固定溝や突起が一切存在しないので、洗浄作業性の向上を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記底トレーの外周縁部の少なくとも一辺の外部には、ピン支持部を介してヒンジピンが一体形成され、該底トレーの外周縁部他辺の外部には、係止部が一体形成されると共に、上記カバー部材の外周縁部一辺には、上記ヒンジピンに回動可能に装着される装着部が設けられ、上記カバー部材の外周縁部他辺には、上記係止部に着脱可能に係止されるフック部が設けられたものである。
【0015】
上記構成によれば、ヒンジピンと装着部とでペット用トイレの一辺にヒンジ機構が形成されるので、上記フック部を上記係止部から外すと、カバー部材を片手操作にて開閉することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記メッシュ部は合成樹脂の射出成形にて構成されると共に、上記ジグザグ状のリブに沿う網目は網目構成部を有しており、該網目構成部の下端部に上記リブが設けられ、上記網目構成部の下端部と上記リブの上端部との間に射出成形時のパーティングラインが形成されたものである。
【0017】
上記構成によれば、網目構成部の下端部と、リブの上端部との間にパーティングラインを形成したので、メッシュ部の射出成形時にバリが形成されるのを抑制することができ、洗浄性の向上を図ることができる。因に、射出成形時にバリが形成されると、当該バリにより水洗いによる汚物の除去が煩雑となり、洗浄性が悪化するが、上記構成により、このような問題点を解消することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記リブの下端部に、押圧保持する上記シーツに対する滑り止めが設けられたものである。
上記構成によれば、メッシュ部の下部に形成されたジグザグ形状のリブによって押圧保持されるシーツが、上記リブの下端部に設けられた滑り止めによって、さらに確実に動かないようにすることができる。
【0019】
なお、上記リブの下端部に設けられた滑り止めは、例えば、上記リブの下端部の形状をノコギリ歯のような凹凸形状とし、凸部における上記シートに対する凹圧力を集中させてシートが滑らないように構成したり、リブの下端部を下方長く形成するとともに変形可能に構成し、リブでシートを押圧保持する際に、凹圧力でリブ下端部が変形することでシートが滑らないように構成してもよい。さらには、リブの下端部の表面を粗面処理したり、摩擦係数の高い素材でコーティングするなどの表面処理によって構成してもよいし、ゴムなどの摩擦係数の高い別部材をリブの下端部に装着してもよい。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、メッシュ部の下部に形成されたジグザグ形状のリブにより、シーツが動かないように確実に押圧保持することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のペット用トイレを示す斜視図
図2】ペット用トイレをフック部側から見た状態で示す分解斜視図
図3】ペット用トイレをヒンジ側から見た状態で示す分解斜視図
図4】ペット用トイレの平面図
図5】ペット用トイレの底面図
図6】ペット用トイレの正面図
図7】ペット用トイレの背面図
図8】ペット用トイレの左側面図
図9】ペット用トイレの右側面図
図10】カバー部材を単体で示す平面図
図11】カバー部材を単体で示す底面図
図12図4のA-A線矢視断面図
図13】(a)は図12のヒンジ側の拡大断面図、(b)は図12のフック部側の拡大断面図
図14】(a)は図4のB-B線矢視断面図、(b)は図4のC-C線矢視断面図
図15】(a)はリブと網目の構造を示す図11の部分拡大図、(b)は図15の(a)のD-D線で断面した網目構成部、リブおよびパーティングラインの構成を示す実施例の断面図、(c)は比較例のパーティングラインの位置を示す断面図
図16】リブと網目の構造の他の実施例を示す底面図
図17】リブと網目の構造のさらに他の実施例を示す底面図
図18】リブのさらに他の実施例を示す説明図
図19】従来のペット用トイレを示す周縁部の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
ジグザグ形状のリブにより、シーツが動かないように確実に押圧保持するという目的を、シーツを載置する底トレーと、上記底トレーに載置されたシーツを上方から覆う引っ掻き防止用のメッシュ部を有するカバー部材と、を備えたペット用トイレであって、上記メッシュ部の下部には、上記シーツを押圧保持するジグザグ形状のリブが、当該メッシュ部の全長にわたって形成され、上記メッシュ部には、上記ジグザグ形状のリブに沿った多角形状の多数の網目が開口形成されるという構成にて実現した。
【0023】
(実施例)
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はペット用トイレを示し、図1は当該ペット用トイレの斜視図、図2はペット用トイレをフック部側(正面側)から見た状態で示す分解斜視図、図3はペット用トイレをヒンジ側(背面側)から見た状態で示す分解斜視図、図4はペット用トイレの平面図、図5はその底面図、図6は正面図、図7は背面図、図8は左側面図、図9は右側面図である。
【0024】
図2図3に示すように、この実施例のペット用トイレ10は、シーツ50(図13参照)を載置する底トレー20と、当該底トレー20に載置されたシーツ50を上方から覆う引っ掻き防止用のメッシュ部30を有するカバー部材40と、を組合わせて図1に示すように構成される。
【0025】
図2図3に示すように、上述の底トレー20はポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂の射出成形にて平面視で略方形状に形成されており、同様に、メッシュ部30を有するカバー部材40も、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂の射出成形により、底トレー20と対応すべく平面視で略方形状に形成されている。
【0026】
図10はカバー部材40を単体で示す平面図、図11はその底面図、図12図4のA-A線矢視断面図、図13の(a)は図12のヒンジ側の拡大断面図、図13の(b)は図12のフック部側の拡大断面図、図14の(a)は図4のB-B線矢視断面図、図14の(b)は図4のC-C線矢視断面図である。
【0027】
図2図3図12図14に示すように、底トレー20は、外周縁部に位置する周壁21と、該周壁21の内端間全域に位置する便床部22とを有し、この便床部22の上面はその全域にわたって平坦状に形成されている。
【0028】
図13に拡大断面図で示すように、上述の周壁21は、上壁21aと、この上壁21aの内端から下方に延びる内壁21bと、上記上壁21aの外端から下方に延びる外壁21cと、外壁21cの下端から外方に延びるフランジ部21dと、を備え、これらの各壁21a~21cおよびフランジ部21dを一体形成したもので、上述の便床部22は、周壁21の内壁21b下端間の全域に位置するよう平坦状(好ましくは、フルフラット形状)に形成されたものである。
この便床部22に対して上述のフランジ部21dが低位置に位置するよう形成されている。
【0029】
図1図9に示すように、上述の底トレー20の周壁21は正面辺部21Fと、背面辺部21Bと、左辺部21Lと、右辺部21Rとを有しており、各辺部の隣接部分は曲率形状のコーナ部21Cで連結されている。
【0030】
図2図12図13の(b)に示すように、上述の正面辺部21Fの長手方向中央部には、切欠き部23が形成されており、この切欠き部23により当該正面辺部21Fの外壁21cには、後述するフック部43(図13の(b)参照)を着脱可能に係合する係止部24が設けられている。
【0031】
図3図13の(a)に示すように、上述の背面辺部21Bの長手方向中央部には、外壁21cおよびフランジ部21dから外方へ突出する一対のピン支持部25,25を離間形成しており、左右方向に離間する一対のピン支持部25,25間には、ヒンジピン26を水平に張架し、ピン支持部25,25とヒンジピン26とを一体形成している。
【0032】
一方、図5に底面図で示すように、底トレー20の便床部22下面には、その下面中央から下方に延びる円筒形状のセンタリブ22aと、下面四隅部から下方に延びる円筒形状の滑り止め部材格納部22bと、が一体形成されている。
また、同図に示すように、上述のセンタリブ22aと滑り止め部材格納部22bとの間を放射状に連結する底面リブ22cを設け、該底面リブ22cを上記便床部22下面に一体形成している。
【0033】
さらに、図5に示すように、上述の便床部22における滑り止め部材格納部22bよりも外側には底面視でL字状のコーナリブ22dを一体形成している。そして、上述の各滑り止め部材格納部22b内には、エラストマ製またはゴム製の滑り止め部材27を格納している。
【0034】
ここで、図12図14に示すように、底トレー20のフランジ部21d下面と、上記センタリブ22aの下端面と、上記滑り止め部材格納部22bの下端面と、は面一になるよう形成されており、滑り止め部材格納部22bに格納固定された滑り止め部材27の底面は、滑り止め部材格納部22bの下端面よりも下方に突出しており、ペット用トイレ10を設置面に設置した場合、その滑り止め効果を確保するよう構成している。
【0035】
図2図3図12図14に示すように、メッシュ部30を有するカバー部材40は、当該メッシュ部30と、その外側に位置する外枠41とを備えている。
この実施例では、外枠41とメッシュ部30とが合成樹脂により一体形成されている。
上述の外枠41はメッシュ部30の外周縁部に位置するもので、図1図11に示すように、該外枠41は正面辺部41Fと、背面辺部41Bと、左辺部41Lと、右辺部41Rとを有しており、各辺部の隣接部分は曲率形状のコーナ部41Cで連結されている。
【0036】
図13に拡大断面図で示すように、上述の外枠41は、上壁41aと、この上壁41aの内端から下方に延びる内壁41bと、上記上壁41aの外端から下方に延びる外壁41cと、を備え、これらの各壁41a~41cを一体形成したものである。
【0037】
図3図4図7図10図11図13の(a)に示すように、カバー部材40の外枠41における外壁41cの長手方向中央には、底トレー20側のピン支持部25およびヒンジピン26に対応して、当該ヒンジピン26に回動可能に装着される装着部42が設けられている。
【0038】
図13の(a)に示すように、上述の装着部42は、上記外壁41cから外方に延びる上片部42aと、この上片部42aの外端から下方に延びる垂下片42bと、この垂下片42bの上下方向中間から内方に延びてヒンジピン26の下部に当接される当接片42cと、上片部42aの内外方向中間から下方に延びる外れ防止片42dと、を一体形成したものである。
【0039】
上記装着部42のヒンジピン26に対する装着時、上片部42aはヒンジピン26の上部に当接し、上記垂下片42bはヒンジピン26の外部に当接または近接し、上記当接片42cはヒンジピン26の下部に当接し、上記外れ防止片42dはヒンジピン26とは当接しないが、該外れ防止片42dの下端はヒンジピン26の下端位置と上下方向で同等の位置となるよう形成されている。
【0040】
また、外れ防止片42dの外面と当接片42cの内端面との間には、ヒンジピン26の直径よりも大きい着脱用の空間部42eが形成されている。
さらに、図3に示すように、上述の装着部42の長手方向両側部には、ピン支持部25との干渉を回避する切欠き部41dとが形成されている。
【0041】
図13の(b)に示すように、カバー部材40における外枠41の外壁41c下部には、底トレー20側の係止部24に対応して、該係止部24に着脱可能に係止されるフック部43が設けられている。
このフック部43は外枠41の外壁41c下部から内方に延びるもので、上記外壁41c下部には、フック部43と内外方向に連続するように当該外壁41c下部から外方に延びる取手部44が一体形成されている。
【0042】
カバー部材40を底トレー20に取付ける際には、外枠41の空間部42eを介して底トレー20側のヒンジピン26が装着部42内に位置するように、当該装着部42をヒンジピン26に装着すると共に、外枠41下部のフック部43を底トレー20側の係止部24に係止させると、底トレー20に対するカバー部材40の取付けが完了する(図3の(a)、図3の(b)参照)。
【0043】
カバー部材40を開放する場合には、図12に仮想線で示すように、底トレー20側の係止部24からフック部43を外した後に、ヒンジピン26を支点として当該カバー部材40の遊端側(正面辺部41F側)を上方に開放することができるものである。
すなわち、上記カバー部材40は、底トレー20に対して着脱可能かつ開閉可能に構成されている。
また、図11図13に示すように、カバー部材40の外枠41における内壁41b下部と、メッシュ部30との境界部には、下方に延びる方形枠状の外リブ45が一体形成されている。
【0044】
図15の(a)はリブと網目の構造を示す図11の部分拡大図、図15の(b)は図15の(a)のD-D線で断面した網目構成部、リブおよびパーティングラインの構成を示す実施例の断面図、図15の(c)は比較例のパーティングラインの位置を示す断面図である。
【0045】
なお、図15の(a)において、矢印Fはペット用トイレの正面側を示し、矢印Bはペット用トイレの背面側を示し、矢印Lはペット用トイレの左側面側を示し、矢印Rはペット用トイレの右側面側を示す。
【0046】
図11図15の(a)に示すように、メッシュ部30の下部には、シーツ50(図13参照)を押圧保持する複数条かつジグザグ形状のリブ31…が互いに平行に形成されている。この実施例では、図11に示すように合計4条のリブ31がメッシュ部30の長手方向全長にわたって形成されている。すなわち、外枠41の左辺部41Lに対応するメッシュ部30の左側端部から外枠41の右辺部41Rに対応するメッシュ部30の右側端部にかけて上記ジグザグ形状のリブ31が形成されたものである。
【0047】
図15の(a)に示すように、上述のリブ31は、左方から右方にかけて右前(図面上の右上)に延びる第1リブ片31aと、左方から右方にかけて右後(図面上の右下)に延びる第2リブ片31bと、これらの各リブ片31a,31bの端部間を連結するアール部31cとを有し、第1リブ片31aと第2リブ片31bとの開角が120度に設定されている。また、上記角リブ片31a,31bの長さは等しくなるように設定されている。
【0048】
そして、同図に示すように、上述のメッシュ部30には、上記ジグザグ形状のリブ31に沿った多角形状の多数の網目32…が開口形成されている。この実施例では、該網目32は正六角形状に形成されており、多数の網目32…がハニカム状に配列されている。また、上記リブ31はカバー部材40を射出成形する際において溶融樹脂材料の流れ(いわゆる湯流れ)をよくする作用をも兼ねるものである。
【0049】
上述の網目32は、図15の(a)、図15の(b)に示すように、六角枠状をハニカム構造に連結した網目構成部33により形成されており、この網目構成部33の下端部に上記ジグザグ形状のリブ31が一体形成されている。また、上記網目32の各コーナ部には網目構成部33によりコーナアール部33aがそれぞれ形成されている。
【0050】
このように、メッシュ部30に、ジグザグ形状のリブ31に沿った正六角形状の多数の網目32を形成したものである。これにより、ジグザグ形状のリブ31は、一直線状のリブに対してその総全長が長くなり、総全長が長くなったリブ31で、図13に示すように、シーツ50の上面が下方に凹むよう当該シーツ50を押圧保持して、シーツ50の動きを確実に抑制すべく構成したものである。
【0051】
ここで、図13の(a)、図13の(b)に示すように、シーツ50の前後左右方向の中間部は、上記複数条のジグザグ形状のリブ31により下方に凹むように押圧保持されると共に、シーツ50の周縁部は、方形枠状の外リブ45により下方に凹むように押圧保持される。つまり、上記シーツ50はジグザグ形状のリブ31と、外リブ45とにより、シーツ中間部とシーツ周縁部とが下方に凹んで、ペットの挙動により位置ずれしないよう押圧保持すべく構成している。なお、上記各リブ31,45下端の上下方向の高さ位置は、同等になるよう形成されている。
【0052】
また、上記リブ31はメッシュ部30の長手方向に沿って複数条形状しており、これにより、単に一条のリブ31のみを形成する場合と比較して、リブ31によるシーツ50の押圧保持効果の向上を図るよう構成している。
【0053】
さらに、上記ジグザグ形状のリブ31に沿った網目32を六角形状に形成することで、ペット用トイレ10の洗浄性向上を図り、網目32の角部の汚物を容易に洗い流すと共に、洗浄時の水の跳ね返りも抑制するよう構成したものである。
【0054】
詳しくは、網目32を六角形状と成すことで、その内角が120度となり、格子状の網目の内角90度に対して大きくなり、これにより、角部の水洗い洗浄時の水の跳ね返りをより一層抑制するように構成している。
【0055】
加えて、上述の網目32の各コーナ部には網目構成部33によりコーナアール部33a(図15の(a)参照)を形成し、網目32の角部を丸めることで、角部の水洗い洗浄時の水の跳ね返りをさらに抑制するよう構成したものである。
さらにまた、図12図14で示したように、上記便床部22の上面をその全域にわたって平坦状に形成し、特許文献1で開示された固定溝や突起を廃止することで、洗浄作業性の向上を図るよう構成している。
【0056】
一方、図13に示すように、ヒンジピン26と装着部42とでペット用トイレ10の一辺としての背面辺部にヒンジ機構を形成し、フック部43と係止部24とをペット用トイレ10の他辺としての正面辺部に形成することで、カバー部材40の開閉操作の容易化を図るよう構成したものである。
【0057】
ところで、図15の(b)に示すように、網目構成部33の下端部にジグザグ状のリブ31を備えたメッシュ部30を、合成樹脂の射出成形にて構成する際、上記網目構成部33の下端部とリブ31の上端部との間に射出成形時のパーティングラインPL1(例えば、固定型と可動型とからなる金型の分割面)が形成されている。
これにより、メッシュ部30の射出成形時にバリが形成されることを抑制し、洗浄性の向上を図るよう構成している。
【0058】
因に、図15の(c)に示すように、網目構成部33の上下方向中間部にパーティングラインPL2を設けると、メッシュ部30の射出成形時にバリが形成され、このバリにより水洗いによる汚物の除去が煩雑となって、洗浄性が悪化するが、図15の(b)で示した構成にて、このような問題点を解消するよう構成したものである。
【0059】
図16はリブと網目の構造の他の実施例を示す底面図である。
図16に示すリブ31は、左方から右方にかけて右前(図面上の右上)に延びる第1リブ片31aと、左方から右方にかけて右後(図面上の右下)に延びる第2リブ片31bと、これらの各リブ片31a,31bを直線状に連結する第3リブ片31dと、各リブ片31a,31b,31dの端部間を連結するアール部31cとを有し、各リブ片31a,31d間、31d,31b間、31b,31d間、31d,31a間の開角がそれぞれ120度に設定されている。また上記各リブ片31a,31bの長さは等しく、リブ片31dの長さはリブ片31a,31bに対して長くなるよう設定されている。
【0060】
そして、図16に示すように、上述のメッシュ部30には、略ジグザグ形状のリブ31に沿った横長六角形状の多数の網目32…が開口形成されている。
図16で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、図1図15で示した先の実施例と略同様であるから、図16において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0061】
図17はリブと網目の構造のさらに他の実施例を示す底面図である。
図17に示すリブ31は、左方から右方にかけて右前(図面上の右上)に延びる第1リブ片31aと、左方から右方にかけて右後(図面上の右下)に延びる第2リブ片31bと、第1リブ片31aの右端と第2リブ片31bの左端とを直線状に連結する第3リブ片31dと、各リブ片31a,31b,31dの端部間を連結するアール部31cとを有し、各リブ片31a,31d間、31d,31b間の開角を135度に設定すると共に、各リブ片31b,31a間の開角を90度に設定している。また、上記各リブ片31a,31b,31dの長さはそれぞれ等しくなるよう形成されている。
【0062】
そして、図17に示すように、上述のメッシュ部30には、略ジグザグ形状のリブ31に沿った八角形状の多数の網目32A…と、四角形状の多数の網目32B…とが開口形成されている。
図17で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、図1図15で示した先の実施例と略同様であるから、図17において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0063】
このように、上記実施例のペット用トイレ10は、シーツ50を載置する底トレー20と、上記底トレー20に載置されたシーツ50を上方から覆う引っ掻き防止用のメッシュ部30を有するカバー部材40と、を備えたペット用トイレであって、上記メッシュ部30の下部には、上記シーツ50を押圧保持するジグザグ形状のリブ31が形成され、上記メッシュ部30には、上記ジグザグ形状のリブ31に沿った多角形状の多数の網目32,32A,32Bが開口形成されたものである(図2図11図13図15図17参照)。
【0064】
この構成によれば、メッシュ部30の下部に形成されたジグザグ形状のリブ31により、シーツ50が動かないように確実に押圧保持することができる。
また、上記ジグザグ形状のリブ31に沿った網目32,32A,32Bを開口形成したので、ペット用トイレ10の洗浄性が向上し、網目の角部の汚物を容易に洗い流すことができ、洗浄時の水の跳ね返りも抑制することができる。
【0065】
因に、特許文献1で開示されたメッシュ部は格子状網目に形成されており、ペット用トイレの洗浄時に、上記格子状網目に強い水圧の水をかけて汚物を洗い流す場合、上記格子状網目の直角の角部の汚物を容易に洗い流すことが困難なうえ、網目が格子状であるため、洗浄時に水が跳ね返る問題点があったが、上記構成により斯る問題点を解消することができる。
なお、上記実施例においては、ジグザグ形状のリブ31がメッシュ部30の全長にわたって連続した構造を例示したが、これは間欠的な構造であってもよい。
【0066】
また、この発明の一実施形態においては、上記網目32は六角形状に形成されたものである(図15の(a)参照)。
この構成によれば、網目32を六角形状に形成したので、その内角が120度となり、格子状の網目の内角(90度)に対して大きくなるため、角部洗浄時の水の跳ね返りをより一層抑制することができる。
【0067】
さらに、この発明の一実施形態においては、上記底トレー20は、外周縁部に位置する周壁21と、該周壁21の内端間全域に位置する便床部22とを有し、上記便床部22(特に、その上面)はその全域にわたって平坦状に形成されたものである(図12図14参照)。
この構成によれば、上述の便床部22がその全域にわたって平坦状に形成されており、特許文献1で開示された固定溝や突起が一切存在しないので、洗浄作業性の向上を図ることができる。
【0068】
さらにまた、この発明の一実施形態においては、上記底トレー20の外周縁部の少なくとも一辺(背面辺部参照)の外部には、ピン支持部25を介してヒンジピン26が一体形成され、該底トレー20の外周縁部他辺(正面辺部参照)の外部には、係止部24が一体形成されると共に、上記カバー部材40の外周縁部一辺(外枠41の背面辺部参照)には、上記ヒンジピン26に回動可能に装着される装着部42が設けられ、上記カバー部材40の外周縁部他辺(外枠41の正面辺部参照)には、上記係止部24に着脱可能に係止されるフック部43が設けられたものである(図13参照)。
この構成によれば、ヒンジピン26と装着部42とでペット用トイレ10の一辺にヒンジ機構が形成されるので、上記フック部43を上記係止部24から外すと、カバー部材40を片手操作にて開閉することができる。
【0069】
加えて、この発明の一実施形態においては、上記メッシュ部30は合成樹脂の射出成形にて構成されると共に、上記ジグザグ状のリブ31に沿う網目32は網目構成部33を有しており、該網目構成部33の下端部に上記リブ31が設けられ、上記網目構成部33の下端部と上記リブ31の上端部との間に射出成形時のパーティングラインPL1が形成されたものである(図15の(a)、図15の(b)参照)。
【0070】
この構成によれば、網目構成部33の下端部と、リブ31の上端部との間にパーティングラインPL1を形成したので、メッシュ部30の射出成形時にバリが形成されるのを抑制することができ、洗浄性の向上を図ることができる。因に、射出成形時にバリが形成されると、当該バリにより水洗いによる汚物の除去が煩雑となり、洗浄性が悪化するが、上記構成により、このような問題点を解消することができる。
【0071】
上記実施例においては、ジグザグ状のリブ31をメッシュ部30の長手方向に沿って形成したが、このリブ31はメッシュ部30の短辺方向に沿って形成してもよい。また、上記リブ31は合計4条形成したが、該リブ31は1条または4条以外の複数条であってもよい。さらに、上記リブ31をメッシュ部30の長手方向と短辺方向との双方に形成してもよく、さらには上記リブ31は連続構造または間欠構造の何れの構造を採用してもよい。
【0072】
また、上記実施例においては、図13で示したように底トレー20に対してカバー部材40を着脱可能かつ片開き構造に形成したが、特許文献1で開示した両開き構造を採用してもよい。
【0073】
さらに、上記実施例においては、カバー部材40において、外枠41とメッシュ部30とを一体形成して、部品点数および組付け工数の削減を図ったが、外枠41とメッシュ部30とを別部材にて形成し、これらを一体的に組付ける構造を採用してもよい。
【0074】
さらには、図18(a)に示すように、ジグザグ状リブ31の先端(図18(a)では上端)をジグザグ状の延長方向に沿ってノコギリ歯のように凹凸形状のノコギリ先端部34を形成してもよい。
【0075】
このように、リブ31の下端にノコギリ先端部34を形成したことにより、底トレー20にシーツ50を載置するとともにカバー部材40を組付けたペット用トイレ10では、上記底トレー20に載置されたシーツ50を押圧するが、ノコギリ先端部34の凸部で局所的にシーツ50を押圧する、つまりノコギリ先端部34の凸部によってシーツ50を押圧する押圧力がノコギリ先端部34が形成されていない場合に比べて増大するため、底トレー20に対してシーツ50が動かないように確実に押圧保持することができる。
なお、ノコギリ先端部34は滑らかな凹凸形状で形成してもよいし、ジグザグ状の延長方向に沿って方向性のない凹凸形状を形成してもよい。
【0076】
また、さらには、リブ31の下端を、上述のリブ31(図18(b)において破線で示す長さ)より下方に伸ばすとともに、押圧によって変形可能な変形先端部35を設けてもよい。変形先端部35は、リブ31の下端を、ジグザグ状のリブ31の延長方向及び断面幅方向において複数に分割するとともに、下端である先端に向かってわずかに先細り状となるように形成している。このように、ジグザグ状のリブ31の延長方向及び断面幅方向において複数に分割するとともに、下端である先端に向かってわずかに先細り状となるように形成した変形先端部35のそれぞれは、組付け状態において、上記底トレー20に載置されたシーツ50を押圧するが、その圧力によって図18(c)に示すように変形する。
【0077】
このように押圧力によって変形し、シーツ50に当接する変形先端部35は、シーツ50に対して当接する部分の圧力が増大するため、底トレー20に対してシーツ50が動かないように確実に押圧保持することができる。なお、変形先端部35の形状は、リブ31の底トレー20を押圧保持する押圧力によって変形する形状であれば、上記形状に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本発明は、シーツを載置する底トレーと、上記底トレーに載置されたシーツを上方から覆う引っ掻き防止用のメッシュ部を有するカバー部材と、を備えたペット用トイレについて有用である。
【符号の説明】
【0079】
10…ペット用トイレ
20…底トレー
21…周壁
22…便床部
24…係止部
25…ピン支持部
26…ヒンジピン
30…メッシュ部
31…リブ
32,32A,32B…網目
33…網目構成部
34…ノコギリ先端部
35…変形先端部
40…カバー部材
42…装着部
43…フック部
50…シーツ
PL1…パーティングライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19