(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】防寒構造体
(51)【国際特許分類】
A41D 31/06 20190101AFI20220608BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20220608BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20220608BHJP
A47G 9/02 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A41D31/06 100
A41D31/02 E
A41D31/00 502M
A47G9/02 B
A47G9/02 E
(21)【出願番号】P 2022037824
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2022-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515106583
【氏名又は名称】株式会社コゼット
(74)【代理人】
【識別番号】100149799
【氏名又は名称】上村 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】孔 令璽
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3233325(JP,U)
【文献】特開2021-079549(JP,A)
【文献】登録実用新案第3236318(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D31/00-31/32
A47G 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寒さを防ぐための防寒構造体であって、
前記防寒構造体は、2つの部分積層生地を重ね合わせたものであり、
前記部分積層生地は、第一生地と、前記第一生地の第一面及び第二面の少なくも一方に備えられている防寒積層体とを含み、
前記
防寒積層体は、温度が低くなると縮小するエアロゲル複合体と、樹脂フィルムとを含む
とともに、温度が低くなると、エアロゲル複合体が縮小することにより、前記部分積層生地が屈曲し、2つの部分積層生地の間に空気層を形成し、断熱効果を高めるものである、防寒構造体。
【請求項2】
前記2つの部分積層生地は、それぞれの部分積層生地に配置されている前記防寒積層体同士を接合することにより重ね合わされたものである、請求項1に記載の防寒構造体。
【請求項3】
前記部分積層生地は、防寒積層体を配置する配置部と、防寒積層体を配置しない未配置部とが交互になるように、
防寒積層体が第一生地に配置されている、請求項1に記載の防寒構造体。
【請求項4】
前記防寒積層体は、下から
第二生地と、
第一樹脂層と、
前記エアロゲル複合体と、
樹脂フィルムと、
第二樹脂層と、
第三生地とを積層させた状態で、加熱圧縮させたものである、請求項1に記載の防寒構造体。
【請求項5】
請求項1に記載の防寒構造体を備えた衣類。
【請求項6】
請求項1に記載の防寒構造体を備えた寝具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度が下がることで形状が変化する防寒積層体を用いた防寒構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、保温性の高い材料として、エアロゲルが衣料品や寝装具に用いられることが増えてきた。エアロゲルは、軽量の固体であり、熱伝導率が、空気の熱伝導率よりも極めて低いため、高い断熱特性を有するものである。
【0003】
エアロゲルを衣料品や寝装具に用いられる例としては、羽毛に比べて多くはないものの、実用新案登録第3233325号には、「熱反射生地と遠赤外線発熱生地のうちの1種又は2種を用いて製造される蓄熱層と、化学繊維綿又はバイオ繊維フロックである詰め物を用いて製造される緩衝層と、エアロゲルと発泡材を用いて製造される複合材料で製造される保温層と、化学繊維織物又は不織布裏地を用いて製造される固定層と、防風・防水・透湿生地を用いて製造される保護層と、を含み、前記蓄熱層は人体に近い最内層に位置し、前記緩衝層と前記保温層は前記固定層と前記固定層との間に位置するエアロゲル入り保温衣服」が開示されている(特許文献1)。
【0004】
前記特許文献1に記載のエアロゲル入り保温衣服は、蓄熱層、緩衝層、保温層、固定相、保護層といった複数種の機能層からなり、これらを選択することにより、複雑な条件の寒冷環境下での着用に適した衣服を実現することができ、防風・防雨・保温に優れた衣服となっている。
【0005】
また、特許6641061号にもエアロゲルを用いた衣料品が記載されており、具体的には、「化学繊維綿をシート状に形成した中綿で構成される第一中綿層と、第一熱可塑性樹脂フィルム層と、エアロゲル含有中間層と、第二熱可塑性樹脂フィルム層と、化学繊維綿をシート状に形成した中綿で構成される第二中綿層とが、この順で配置されて一体化してなるエアロゲル含有積層シートであって、前記エアロゲル含有中間層は、ポリエステル複合繊維を含むポリエステル複合繊維層と、エアロゲル層とを含む、エアロゲル含有積層シート。」が記載されている(特許文献2)。
【0006】
これは、エアロゲルの極めて軽量でかつ高い断熱特性をポリエステル複合繊維、さらに羽毛やキュプラ繊維と組み合わせることで、その効果をより発揮させたものであり、薄くて軽量で嵩張らず、高い断熱特性を備え、かつ各層を熱溶着で一体化しているので、全体が高い接着性で接着され、上下方向にも左右方向にも弾力性を備えたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3233325号公報
【文献】特許第6641061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エアロゲルは、その構造上の特性から、衝撃に脆く、耐久性に欠け、濡れると性質が変化するという問題点があり、また、エアロゲルは、高価な材料であることから、できるだけ少量で効果的に防寒できるような構造にしたいという要望がある。
さらなる防寒効果の高い衣類や寝具の要望もある。
【0009】
本発明者は、鋭意研究の結果、エアロゲルと発泡体の複合体であるエアロゲル複合体は、内部に多くの空気を含むことから、それ自体の断熱性が高いだけでなく、温度低下により内部の空気体積が減少することから、それを用いることにより、温度に応じて形状が変更する部分積層生地を開発し、それを2枚用いることによりその間に挟まれた空間に多くの空気を内包することができることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明者は上記課題を下記の手段により解決した。
[1] 寒さを防ぐための防寒構造体であって、
前記防寒構造体は、2つの部分積層生地を重ね合わせたものであり、
前記部分積層生地は、第一生地と、前記第一生地の第一面及び第二面の少なくも一方に備えられている防寒積層体とを含み、
前記防寒積層体は、温度が低くなると縮小するエアロゲル複合体と、樹脂フィルムとを含むともに、温度が低くなると、エアロゲル複合体が縮小することにより、前記部分積層生地が屈曲し、2つの部分積層生地の間に空気層を形成し、断熱効果を高めるものである、防寒構造体。
[2] 前記2つの部分積層生地は、それぞれの部分積層生地に配置されている前記防寒積層体同士を接合することにより重ね合わされたものである、[1]に記載の防寒構造体。
[3] 前記部分積層生地は、防寒積層体を配置する配置部と、防寒積層体を配置しない未配置部とが交互になるように、防寒積層体が第一生地に配置されている、[1]に記載の防寒構造体。
[4] 前記防寒積層体は、下から
第二生地と、
第一接着剤と、
前記エアロゲル複合体と、
樹脂フィルムと、
第二接着層剤と、
第三生地とを積層させた状態で、加熱圧縮させたものである、[1]に記載の防寒構造体。
[5] [1]に記載の防寒構造体を備えた衣類。
[6] [1]に記載の防寒構造体を備えた寝具。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下記の効果が発揮される。
すなわち、本発明の防寒構造体は、温度に応じて変形する部分積層生地を用いており、気温が低くなると、2枚の部分積層生地が屈曲し、部分積層生地の間に空隙を形成することができる。この空隙は、防寒構造体の断熱効果を極めて高めることができる。したがって、当該防寒構造体を用いた衣類や寝具は、極めて高い防寒効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、防寒積層体の製造工程を示す図である。
【
図2】
図2は、温度が下がることにより、含有されるエアロゲル複合体の体積が減少し、防寒積層体自体が曲がることを示す図である。
【
図3】
図3は、防寒積層体を用いた部部積層生地から、本発明にかかる防寒構造体を製造する模式図である。
【
図4】
図4は、防寒積層体が曲がることにより、それを用いた防寒構造体が内部に大きな空隙を形成する図である。
【
図5】
図5は、防寒構造体を用いた防寒部材の断面図である。
【
図6】
図6は、衣類における防寒部材を用いる配置部分を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる防寒構造体及び防寒構造体の製造方法を実施するための形態を、実施例の図に基づいて説明する。
【0014】
[防寒積層体]
防寒構造体について説明する前に、防寒構造体に用いる防寒積層体について説明する。防寒積層体1は、防寒積層体1は、下から第二生地22と、第一熱可塑性ポリレタン層31と、エアロゲル複合体6と、樹脂フィルムである熱可塑性ポリウレタンフィルム7と、第二熱可塑性ポリレタン層32、第三生地22とを積層させ、加熱圧縮させたものである。
【0015】
図1は防寒積層体1の製造方法について説明する図である。まず、第二生地22を用意し、その上に第一熱可塑性ポリウレタン層31を配置する(
図1(a))。ここで、第二生地22は、天然繊維、化学繊維のいずれであってもよく、一般的に衣服や寝装具の生地となり得る素材を採用できる。特に、保温性、断熱性の効果を高めたい場合には、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機質繊維などの化学繊維で、特にポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの合成繊維が好適であり、複数の素材の繊維を複合したものであってもよい。また、第二生地22は、伸縮性であっても、伸縮性でなくてもよい。
【0016】
第二生地22は、目付(平方メートルあたりの重量)が10~200g/m2であり、薄く軽量にする場合には、目付が20~40g/m2程度となるように薄い生地を使うこともできる。
なお、本明細書における生地(第一生地21,第二生地22,第三生地23,表生地24,中生地25,裏生地26)は、上記材料及び目付を適宜採用することができる。
【0017】
また、第一熱可塑性ポリウレタン31は伸縮性及び柔軟性に富む層を形成するためのものである。第二生地22に接するように第一熱可塑性ポリウレタン31を配置することにより、積層体全体が生地の動きに追随できるようになる。また、耐衝撃性もあるから、エアロゲル複合体6を保護する機能もある。
また熱可塑性であるため、加熱により軟化し、第二生地22の面全体に広がり、後述するエアロゲル複合体6とまとまりやすくなる。材料としては、ペレット状、粒子状、液体状のものを使用することができる。例えば、粒子状であれば、粒子状の第一熱可塑性ポリウレタン31を第二生地22の上に配置する。
加熱により軟化し、その後、冷却により硬化することになるため、防寒積層体1の一体化に寄与することができる。
さらに、粘着性を高める目的で粘着剤や増粘剤と併用して熱可塑性ポリウレタンを使用することもできる。
【0018】
次に、熱可塑性ポリウレタン層31の上に発泡材料4を配置する(
図1(b))。発泡材料4は、熱可塑性ポリウレタン層31の全面に塗布する必要がなく、少なくとも一部に配置する。
【0019】
発泡材4の材料は、天然ゴム、ポリイミド、ポリウレタン、ニトリルゴム、又は他の発泡材料と、未発泡の発泡剤とを含むものであることが好ましく、扱いやすさの観点から天然ゴムの発泡材が好ましく、引張強さ、弾性、耐摩耗性、耐寒性などの観点から、特にイソプレンゴムが好ましい。
【0020】
次に、発泡材料4の上にエアロゲル5を配置する(
図1(c))。エアロゲルとしては、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲルなどが挙げられるが、本発明では、シリカエアロゲルが好適に用いることができる。
エアロゲルの材料の形状としては、特に制限されるものではないが、エアロゲル5を防寒積層体1に均一に配置することにより、防寒性能を高めることができる観点から、細かい粒状(粉体状)のものが好ましく用いられる。前記エアロゲルの粒径は、およそ1.0~50.0μmであり、好ましくは、10.0~50.0μmであり、さらに好ましくは20.0~50.0μmである。
本実施例で使用されるエアロゲル5は、非常に低密度な個体で、液体中で調製した多孔体、即ちゲルを、超臨界乾燥を用いて空隙を維持して乾燥多孔体としたもので、該エアロゲルを用いることにより、加熱圧縮後も、あたかも防寒積層体1自体に中空層を形成するように機能する。また、エアロゲルは極めて軽量の固体である。
そして、前記エアロゲルは熱伝導率が、空気の熱伝導率よりも低いため、高い断熱特性を有する。
【0021】
従来より、高空隙率のエアロゲルは非常に脆弱であり、破砕しやすく、粉砕されて粉塵を生じやすい傾向があり、生地状に成形すると割れや崩壊を生じやすく、使用用途が大きく制限されている。
そこで、本発明では、上記のような衣服品用の生地に使うのは難しいとされるエアロゲルの問題点を、本実施例の構成にすることにより解消している。
エアロゲル5の配置は、まんべんなく配置することができれば限定されるものではないが、エアロゲル5が小さい粒子の場合は、扱いが難しい場合もある。そのようなときは、以下の方法で配置することが好ましい。例えば、発泡材4を配置したあと、得られる積層体に静電高圧発生機で高電圧の印加し、積層体を帯電させ、その状態でエアロゲル5を噴霧することにより、発泡材4の上にエアロゲル5を配置することができる。これにより、エアロゲル5は静電的に吸着する。まんべんなく均一に吸着できる点で大量のエアロゲルを固着することができるため、好ましい。
なお、帯電させる具体的な方法は、第二生地層22を鉄板等の導電性のある板体の上面に配置し、発泡材4又は第一熱可塑性ポリウレタン層31の上にから静電高圧発生機で高電圧を印加することにより、鉄板と静電高圧発生機間を帯電させるなどがある。
【0022】
発泡材4の上にエアロゲル5を配置した状態で、高温炉に投入し、発泡材4を発泡させ、エアロゲルと発泡材4との複合体であるエアロゲル複合体6を形成する(
図1(d))。
図1では、エアロゲル複合体6は、エアロゲル5の周りに発泡した発泡材が付着したものとして記載されているが、これはあくまでも簡便に示すために例示であり、この態様に限ったものではない。例えば、発泡材4の量が多ければ、発泡材4を構成する材料のマトリックスにエアロゲル5が点在するような態様であってもよい。
発泡温度は、130~250℃であることが好ましい。
エアロゲル5をエアロゲル複合体6にすることにより、容易に溢れず、自由に洗濯することができ、粉落ちし、手触りが硬く、洗濯しにくいなど、従来の衣服用エアロゲル複合材料のさまざまな問題を解決することができる。
【0023】
エアロゲル複合体6を形成した後、樹脂フィルムである熱可塑性ポリウレタンフィルム7をエアロゲル複合体6の上に配置させる(
図1(e))。
熱可塑性ポリウレタンフィルム7は、第二生地22と第三生地23とを接触させない役割を有し、かつ、得られる防寒積層体1に柔軟性を付与することができる。熱可塑性ポリウレタンフィルムとしては、市販のものを使用することができ、厚さは特に制限されないが、0.01mm~5mmのものを使用することができる。
【0024】
熱可塑性ポリウレタンフィルム7の上に、第二熱可塑性ポリウレタン32を配置させる(
図1(f))。第二熱可塑性ポリウレタン32は、第一熱可塑性ポリウレタン31と同じ機能を有し、同じ材料でも異なる材料でもよい。第二熱可塑性ポリウレタンも必要に応じ粘着剤を併用することができる。
【0025】
第二熱可塑性ポリウレタン32を熱可塑性ポリウレタンフィルム7の上に配置したあと、その上に第三生地23を配置する。
第三生地23の種類は制限されるものではなく、第二生地22と同じのであっても、異なっていてもよい。また、伸縮性の生地であっても、伸縮しにくい生地であってもよい。
【0026】
そして、第三生地23を配置した積層体を加熱圧縮する(
図1(h))。図中の上下の矢印は圧縮することを示すものである。加熱圧縮することにより、防寒積層体1が得られる(
図1(i))。加熱圧縮工程の温度及び圧力は特に限定されるものではないが、第一熱可塑性ポリウレタン31及び第二熱可塑性ポリウレタン32が融けて広がる温度が好ましい。また圧力は、
図1(i)に示すように積層体が一体化している状態になるような圧力であればよい。特に、エアロゲル複合体6が圧力によりつぶれて少し扁平状態になるような圧力が好ましい。
【0027】
得られた防寒積層体1は、あたかも一枚の生地として使用できるような積層体であり、エアロゲル複合体6を含有するため、それ自体、防寒効果があるものである。したがって、防寒積層体1を用いた衣類や寝具も優れた防寒機能を有する。
【0028】
防寒積層体1は、温度が低下すると
図2のように湾曲する特性を有する。防寒積層体1は、エアロゲル複合体6の内部に多くの空気(例えば、体積あたり90%以上の空気)を有していため、冷気に接触すると内部の空気が激しく収縮し、エアロゲル複合体6が収縮する(
図2(a))。それにより、エアロゲル複合体6から近い側の第二生地22が縮む。一方、第三生地23は、エアロゲル複合体6との間に熱可塑性ポリウレタンフィルム7があるため、空気の収縮があっても第三生地23は縮みにくい。その結果、防寒積層体1は、冷気と接すると、それ自体が湾曲する(
図2(b))。つまり、当該防寒積層体1は、温度が高い場合は熱膨張し、直線状になり、温度が低い場合は、収縮することを用いて湾曲する生地である。
【0029】
[部分積層生地及び防寒構造体]
このような防寒積層体1を用いて部分積層生地91を得ることができ、部分積層生地91を用いて防寒構造体92を得ることができる。まず、第一生地21の表と裏の両面に防寒積層体1を配置し、部分積層生地91を得る。防寒積層体1を第一生地21に貼りつける方法は、
図3(a)のように、配置部と未配置部ができるように配置する。このようにすることにより、冷気と接触した際に第一生地21が湾曲するようになる。
好ましくは、第一生地21において、一方の面に防寒積層体1を配置した場合、その裏面における対応する場所には防寒積層体1は配置しないようにする。防寒積層体1は、第一生地21に接着剤を用いて貼り付けてもよいし、糸などの接続部材を用いて接続してもよい。
なお、防寒積層体1の配置面は、一方の面は、第二生地22が第一生地に接触するように配置し、もう一方の面は、第三生地23が第一生地22に接触するように配置することができる。このようにすることにより、冷却と接触した際、部分積層生地91が大きく湾曲することができる。
【0030】
このように得られた部分積層生地91を2つ用意し、
図3(a)のように、対面する防寒積層体1同士を接続部材である糸8によりそれぞれ接続する。このように接続されて得られるものが、防寒構造体92である。接続は糸8だけでなく、接着剤などで接続してもよい。
なお、部分積層生地91同士の接続は、第二生地22、第三生地23ごと接続することが好ましい。
【0031】
防寒構造体92は、2枚の部分積層生地91の間に大きな空隙を形成することができる。
図4のように、部分積層生地91を構成する防寒積層体1に冷気と接すると上記したように湾曲するがそれを用いることにより、防寒構造体92は大きな空隙Aを形成する。このように、大きな空隙Aを形成することができるため、防寒構造体92を内部に備えた衣類や寝具類は、家などの温かいところでは空隙を形成せずコンパクトであり、冷気と接するような場所、例えば、寒冷地などでは、空隙を形成し、空気による断熱効果の高い衣類、寝具類となる。
【0032】
防寒構造体92は単独で衣類の表生地と裏生地の間に配置することにより、防寒効果を高めることができるが、
図5に示すように、衣類の表生地24と、裏生地26との間に中生地26を設け、表生地24と中生地25の間に防寒構造体92を配置し、また、中生地25と裏生地26との間にはエアロゲル中綿101を配置することができる。
また、
図5に示すような構造を有するコンパクトタイプの防寒部材を製造しておき、それをジャケットなどの生地や、体と生地の間に配置し、防寒性を高めることができる。
【0033】
図6は防寒構造体92を配置したジャケットJを示す。
図6のSは、防寒構造体92やそれを含む防寒部材を配置する場所を意味し、具体的にはジャケットJの胸部や、背部に設けることができる。
【0034】
そして、このような防寒構造体92は、ジャケットやズボン、スカート、シャツ、防寒用インナーや帽子などの衣料品、掛け布団や敷布団、寝袋などの寝装具などに用いることができる。
【0035】
本発明のエアロゲルを含有する防寒構造体や防寒部材等は上記の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にかかるエアロゲルを含有する防寒構造体や防寒部材等は、内部に多くの空気を含むことを利用して、冷気に触れたときに内部に空隙を形成することができる。そのため、保温性が極めて高く、かつ薄くて軽量である。本発明の防寒構造体や防寒部材は、シャツやズボン、スカート、インナーや帽子、手袋、ブーツのアッパー部やバッグ、布団、毛布、シーツなど布製品一般に使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 防寒積層体
21 第一生地
22 第二生地
23 第三生地
24 表生地
25 中生地
26 裏生地
31 第一熱可塑性ポリウレタン層
32 第二熱可塑性ポリウレタン層
4 発泡材
5 エアロゲル
6 エアロゲル複合体
7 熱可塑性ポリウレタンフィルム
8 接続部材
91 部分積層生地
92 防寒構造体
101 エアロゲル中綿
P 圧力
J ジャケット
【要約】
【課題】 衣類や寝具類に用いることができるものであて、エアロゲルを用いており、さらなる防寒効果の高い防寒部材やその材料を提供することを目的とする。
【解決手段】 寒さを防ぐための防寒構造体であって、前記防寒構造体は、2つの部分積層生地を重ね合わせたものであり、前記部分積層生地は、第一生地と、前記第一生地の第一面及び第二面の少なくも一方に備えられている防寒積層体とを含み、前記
防寒積層体は、温度が低くなると縮小するエアロゲル複合体と、樹脂フィルムとを含むともに、温度が低くなると、エアロゲル複合体が縮小することにより、前記部分積層生地が屈曲し、2つの部分積層生地の間に空気層を形成し、断熱効果を高めるものである、防寒構造体。
【選択図】
図1