(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】指紋センサに適したカバー部材を製造する方法
(51)【国際特許分類】
G06V 40/13 20220101AFI20220608BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G06V40/13
G06T1/00 400G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017164895
(22)【出願日】2017-08-30
【審査請求日】2020-08-12
(32)【優先日】2016-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502442681
【氏名又は名称】アイデックス バイオメトリクス エーエスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【氏名又は名称】菅野 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】110000132
【氏名又は名称】大菅内外国特許事務所特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エヌ.ライト
(72)【発明者】
【氏名】アン エル.マッカリーア
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-308116(JP,A)
【文献】特開昭46-007363(JP,A)
【文献】特開2004-247486(JP,A)
【文献】特開2015-216206(JP,A)
【文献】特開2011-205068(JP,A)
【文献】特開平07-202115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0014170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06V 40/00-40/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバーモールド成型された複数のカバー部材を形成する方法であって、
a.材料のシートを、複数のそれぞれ分離した別々のカバー部材にシンギュレーションすることと、
b.前記それぞれ分離したカバー部材を固定媒体に剥離可能なように固定
することで、前記個々のカバー部材が互いから分離され、各カバー部材と
それに隣接する各カバー部材との間に隙間があるようにすることと、
c.モールドコンパウンドを、
互いに隣接するカバー部材の間
の前記隙間に適用
することで、前記モールドコンパウンドが、各カバー部材の周辺エッジの少なくとも一部
のみに接着されて、オーバーモールド成型されたカバー部材を形成するようにすることと、
d.前記オーバーモールド成型されたカバー部材を前記固定媒体から剥離することと、
を含
み、
ステップc中に、少なくとも1つの隙間がモールドコンパウンドで完全に満たされ、且つ、前記方法が、ステップdの前に、前記オーバーモールド成型されたカバー部材をシンギュレーションするステップを更に含むか、又は、
ステップcが、各カバー部材間の前記隙間を満たすことなく、各カバー部材の前記周辺エッジに局所的に前記モールドコンパウンドを適用する、パターンモールディングプロセスを含む、方法。
【請求項2】
前記材料のシートは、レーザ切断、レーザアブレーション、機械的加工、ダイシングソー、化学エッチング、及び、水ジェット切断からなるグループから選択された方法によって、複数の別々のそれぞれ分離したカバー部材にシンギュレーションされる、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
ステップc中に、少なくとも1つの隙間がモールドコンパウンドで完全に満たされ、且つ、前記方法が、ステップdの前に、前記オーバーモールド成型されたカバー部材をシンギュレーションするステップを更に含み、
前記オーバーモールド成型されたカバー部材をシンギュレーションする
前記ステップは、レーザ切断、機械的加工、ダイシング、レーザアブレーション、化学エッチング、又は、水ジェット切断を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記固定媒体は、ダイシングテープ、バッキングテープ、真空チャック、溶解可能な支持体、又は、熱剥離式支持体テープである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記
モールドコンパウンドは、ステップc
中に、フィルムアシストモールディングプロセスを用いて適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップdは、前記オーバーモールド成型されたカバー部材を、前記固定媒体から、紫外光を用い
て剥離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シートは、60~140μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップa
中に前記材料のシートをシンギュレーションするステップは、レーザアブレーション、機械的加工、ダイシングソー、化学エッチング、又は、水ジェット切断を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記材料のシートは、ガラスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップcは、各カバー部材間の前記隙間を満たす、ブランケットモールディングプロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記材料のシートは、前記ガラスシートに接着され
た高誘電性セラミックシートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記材料のシートは、セラミックを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<参照>
この出願は、2016年9月2日出願の仮特許出願第62/382,884号の出願日の35 U.S.C. § 119(e)の下の利益を主張し、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
今日のモバイルデバイス、スマートフォン、電子書籍、タブレットコンピュータ、及び、ラップトップコンピュータ(一般に、ここでは、「ホストデバイス」と呼ばれる)は、典型的には、デバイスの表面を構成する大面積のガラス(つまり、ガラスパネル、少なくともその一部は、ディスプレイ及び/あるいは入力デバイスとして機能することが出来る)を備えるホストデバイスパネルを含む。ホストデバイスパネルは、ディスプレイデバイス及び/あるいは入力デバイス(例えば、タッチスクリーン)を備えることが出来る。そのようなデバイスの多くの製造者は、ユーザの認証およびデバイスへのアクセスを容易にするために、それらのデバイスに指紋センサを組み込むことに熱心である。容量型指紋センサは、コスト効率の良い解決法を提供する。熱、超音波、又は、光指紋センサは、別の解決法である。
【0003】
指紋センサは、ホストデバイスに典型的に用いられるタイプのガラスパネルの下に配置された場合、あまりよく機能しないことがありうる。携帯型の実用的消費者デバイスに必要とされる機械的堅固さを提供するガラスは、厚すぎること、及び/あるいは、指紋センサが指定された許容/排除レート(acceptance/rejection rates)を満たすためには必ずしも最適ではない電気的特性を有することがある。
【0004】
幾つかの製造者は、サファイヤウィンドウなどの、指紋センサのみをカバーする専用カバー部材を用いてきた。ホストデバイスのホストデバイスパネルは、専用サファイヤウィンドウに嵌められる。しかし、サファイヤは、非常に高価で、したがって、ホストデバイスの材料費をかなり増加する。
【0005】
幾つかの製造者による開発中の他の解決法は、ガラスホストパネルを採用し、指紋センサをカバーするであろう領域を機械切削またはエッチングにより取り除いて、パネルのその部分の厚さを局所的に減少させる(つまり、「薄くする」)ものである。しかし、これは、薄くされた領域のガラスパネルの強度に悪影響を与え、全厚さを有するガラス板と薄くされた領域との間の遷移領域における実質的な応力集中をもたらしうる。薄くするプロセスも、高価になり、制御が難しい。信号対ノイズ比(「SNR})及びボケの両方の点から、薄くされたこのガラス領域を、指紋画像の過度の劣化を防止するのに十分に薄いものにすることも難しく、薄くするプロセスにおいて作られるガラスの薄い部分から厚い部分への遷移領域の欠陥は、その領域に於ける故障の可能性を劇的に増加することがあり、したがって、ガラスパネルの堅固さを脅かす。
【0006】
本出願人は、サファイヤではなく、強化ボロアルミノシリケート(boroaluminosilicate)ガラスのような、ガラスで出来たカバー部材の背後で、SNR及びボケの点で効果的に動作し、更に、落下テスト、衝撃及び振動テスト、ボールドロップテスト、タンブルテスト(tumble tests)などの機械的堅固さ条件を満たすことが出来る容量型指紋センサを開発してきた。
【0007】
この開示内容では、カバー部材の実用的製造方法を記述する。
【0008】
米国仮出願第62/258,284号、第62/349,256号、第62/374,339号、“Electronic Sensor Supported on Rigid Substrate,”及び、それへの優先権を主張する米国特許出願公開第2017/0147852号は、夫々の開示が、参照により、本明細書に組み込まれるが、それらは、ガラスカバー部材でカバーされた「ラップセンサ(wrapped sensor)」設計を記述する。そのようなラップセンサ設計は、柔軟な回路サブアセンブリに包まれた堅固な基板を備え、この柔軟な回路アセンブリは、導電性トレースセンサ素子と、集積回路又は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)などの回路素子と、センサ素子を回路素子に接続する導電性相互接続とを備え、これら全てが柔軟な基板材料に配置されている。
【0009】
米国仮出願第62/354,210号、“Reinforcement Panel for Fingerprint Sensor Cover”及び、これに優先権を主張する米国特許出願第15/628,003号は、これらの開示は参照により、本明細書に組み込まれるが、それらは、堅固さを補強するために、セラミック層で強化されたガラスカバー部材でカバーされる、「ラップセンサ」設計を記述する。
【発明の概要】
【0010】
以下は、本明細書で記述される幾つかの側面の基本的理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、特許請求される主題の広範囲の概観ではない。特許請求される主題のキー又は重要な要素を特定することも、その範囲を詳細に述べることも意図されていない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の序章として、簡単化された形態で、幾つかの概念を提示することである。
【0011】
米国特許出願公開第2017/0147852号は、省略可能な強化層を伴うカバー部材によってカバーし、それから、モバイルデバイスに組み込むことが出来るラップフレキシブルセンサ(wrapped flexible sensor)を記述する。モバイルデバイス上のガラスパネルは、センサ上のカバー部材に嵌まる切り欠きを有する。これは
図1に図示され、この図において、80は、ホストデバイスパネル(例えば、ガラスディスプレイ/インタフェーススクリーン又はモバイルデバイスのパネル)、10は、ホストデバイスパネル内に形成される切り欠き(開口部又は凹部)内に配置される指紋センサアセンブリ、88は、ホストデバイスパネルの切り欠き内の指紋センサアセンブリの周りの省略可能なスペーサフレーム、92は、カバー部材である。(強化層が
図1に示されていないが、これは、カバー部材92とセンサ10の間に挟まれることができる。)
【0012】
強化層を具現化する例示的アセンブリは、米国特許出願第15/628,003号に記述され、この実施形態の1つは、
図2に示されている。アセンブリ40は、指紋センサ又はセンササブアセンブリ16を受けるように形成された開口部14を有するスマートフォン又は同様なデバイスのユーザインタフェーススクリーンのカバーガラス12を備える。一実施形態においては、指紋センサ16は、ガラス又はセラミック基板などの堅固な基板であって、その堅固な基板の上で折り込まれたとき協働してセンサマトリクスを形成する導電線が形成される柔軟な誘電体が周囲にラッピングされる堅固な基板を含む、アセンブリを備えることが出来る。ASICなどの、回路素子18は、柔軟な基板に取り付けられ、導電性素子に接続されることが出来る。このタイプの指紋センサの例示的実施形態は、共有の米国特許出願公開第2017/0147852号に記述されており、その開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。開口部14は、カバーガラス12を貫通して形成されること、又は、カバーガラスを貫通しては延伸しないブラインド穴を形成することができ、そのブラインド穴に指紋センサ16が配置される。指紋センサ16は、指紋センサ16を部分的に、又は、完全に囲むスペーサ素子20内の開口部14内に搭載されることができ、これらスペーサとセンサは、米国特許出願公開第2017/0147852号、及び、米国特許出願第15/628,003号に記述されるように、適切な接着剤によって、開口部14内に固定されることが出来る。
【0013】
アセンブリ40は、ガラスカバー22が、カバーガラス12の上面と同一高になるように、それよりも下にくぼむように、又は、それよりも上に突出するように、構成されることが出来る。高強度で高誘電率(Dk)の強化パネル24が、指紋センサ16とガラスカバー22の間に配置され、接着層26によってガラスカバー22に密接に結合される。更に、強化パネル24は、接着層28によって、指紋センサ16に固定されることが出来る。様々な実施形態においては、強化パネルは、少なくとも、ガラスカバーと同一サイズであり、これにより、ガラスカバーが完全にパネルによって支持され、つまり、支持されていないガラスが、強化パネルに対してオーバハングする事がなくなる。位置合わせ許容公差を考えると、そのことは、幾つかの実施形態において、強化パネルは、わずかに、ガラスカバーより大きいことが必要であることを意味しうる。他の実施形態においては、強化材料及びガラスは、最初に互いに結合され、それから、カバーの形状が、例えば、レーザによって、結合されたこれらの材料から切りかかれ、これにより、ガラスカバーとパネルの間の位置合わせ公差は、本質的にゼロ(つまり、不良位置合わせがない)となる。
【0014】
この開示内容の目的の1つは、指紋センサ(16、10)を覆って嵌めるのに適した、ガラスカバー部材(22、92)、省略可能な強化層(24)、及び高容量のスペーサフレーム(24、88)を製造する構造、材料集合、及び、方法を提供することである。
【0015】
記述される方法は、容易に取得できる製造装置を用いるので、コスト効率が良い。本明細書で記述される技術により作製される結果製品は、指紋センサ用途に必要なサイズ、厚さ、及び平坦性の必要な公差を満たし、したがって、モバイルデバイス内の指紋センサに一体化されるときのアセンブリ問題を最小化する。この製品は、薄いガラスカバー部材の使用も容易にして、信号対ノイズ比(SNR)などの指紋センサ機能へのこの部材のあらゆる負の影響を最小化する。
【0016】
出願人によってなされたテストは、高誘電性セラミック層で、カバー部材を強化することは利点があると示している。この追加の層は、センサ性能の劣化を最小限にしつつ、センサの機械的堅固性、機能、及び信頼性を改善する。セラミック層は、典型的には、モノリシックセラミック挿入物(つまり、層状材料又は合成材料(高Dkセラミック充填剤を伴うポリマーなど)ではなく、一片の均質なセラミック材料)、高Dkセラミック含有合成挿入物、又は、高Dkセラミック含有充填材料である。この発明は、コスト効率良く、繰り返し可能なプロセスで、この層を製造し、カバー部材にこれを組み込む実用的な方法を記述する。
【0017】
更に、出願人のテストは、カバー部材は、スペーサフレームに囲まれた場合、ホストデバイスパネル内により適切に嵌めることが出来ることを示している。スペーサフレームは、堅固でも柔軟でもよい。スペーサフレームの可能な材料は、機械加工可能な又はモールド成型可能なプラスチック、エポキシ、変性アクリル、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、導電性ポリマー、カーボン又は黒鉛充填剤を有するポリマー、シリコンベース材料、ポリマーフォーム、シリコーンフォーム、導電性熱可塑性の又は熱硬化性のモールドコンパウンド、導電性フォーム、及び、導電性シリコーンからなるグループから選択された1以上の材料を含む。この発明は、カバー部材のエッジの周りにスペーサフレームを提供する方法を記述する。
【0018】
動作の方法、構造及び部品の組み合わせの関連する要素の機能、及び製造経済性と共に、この開示内容の主題の他の特徴及び特性は、添付の図面を参照して、以下の記述と添付の請求項を考慮すれば、より明らかとなる。図面のすべては、この明細書の一部をなし、様々な図において、同様な参照番号は、対応する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成するものであり、本開示内容の主題の様々な実施形態を図示する。
【0020】
【
図1】スペーサフレームが切り欠き内に設けられ、センサアセンブリが、スペーサフレーム内に設けられ、カバー部材が、スペーサフレームとセンサアセンブリの上方に設けられる、ホストデバイスパネルの部分的分解上面斜視図である。
【
図2】本明細書に開示されるように、カバーと強化又は支持パネルを用いる指紋センサ実装の横断面である。
【
図3】それぞれ分離した別々のカバー部材にシンギュレーション(singulate)したガラスシートを示す。
【
図4】それぞれ分離した別々のカバー部材であって、剥離可能な支持体に配置され、ブランケットモールディング又はフィルムアシストモールディングプロセスによってオーバーモールド成型されたカバー部材にシンギュレーションしたガラスシートを示す。
【
図5】
図4に図示されるプロセスのステップをリストアップするフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示内容の主題の側面は、様々な形態に具現化されることが出来るが、以下の記述及び添付の図面は、単に、これらの形態のうちのいくつかを、本主題の具体的例として開示することを意図するのみである。したがって、この開示内容の主題が、そのように記述された、及び、図示された形態又は実施形態に限定されることは意図されていない。
【0022】
他に定義されない限り、本明細書で使用される、全ての専門用語、表現、及び、他の技術用語又は用語は、この開示内容が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で参照する全ての特許、出願、公開出願、及び、他の公開文書は、その全体が、参照により組み込まれる。この節に述べられる定義が、参照により本明細書に組み込まれた特許、出願、公開出願、及び他の公開文書に述べられる定義と一致しない場合、又は、整合しない場合、この節に述べられる定義が、参照によって本明細書に組み込まれた定義に優先する。
【0023】
別段の指示がない限り、又は、文脈により示唆されない限り、本明細書で用いられるように、「a」又は「an」は、「少なくともひとつ」又は、「1つ以上」を意味する。
【0024】
この説明では、コンポーネント、装置、場所、特徴又は、それらの一部の位置及び/あるいは方向を記述するのに、相対的な空間的及び/あるいは方向的語句を用いる場合がある。具体的に述べられない限り、又は、記述の文脈によって指示されない限り、上部(top)、下部(bottom)、~の上方(above)、~の下方(below)、~の下(under)、~の上(on top of)、上方(upper)、下方(lower)、~の左(left of)、~の右(right of)、~の前(infront of)、~の後ろ(behind)、~の隣(next to)、隣接した(adjacnt)、~の間(between)、水平の(horizontal)、垂直の(vertical)、対角線の(diagonal)、縦方向の(longitudinal)、~を横切る(transverse)、径方向の(radial)、軸方向の(axial)などを含む(これらに限定されない)そのような語句は、そのようなコンポーネント、装置、場所、特徴、又は、それらの一部を図面内で参照するのに役立つために用いられ、限定を行うことは意図されてはいない。
【0025】
更に、特に指示のない限り、この記述において述べられる任意の特定の寸法は、この開示内容の側面を具現化するデバイスの例示的実装形態を単に表現すものであり、限定することは意図されていない。
【0026】
「約」という語の使用は、明示的に示されているか否かに関わらず、本明細書で指定された全ての数値に適用される。この語は、一般的に、当業者が、本開示内容の文脈中で、記載された数値に対して合理的な量のずれであると(つまり、等価な機能又は結果を有すると)考えるだろう数字の範囲をさす。例えば、この語は、そのようなずれが、その値の最終的な機能又は結果を変更しない限り、与えられた数値の±10%のずれを含むとして、解釈されてもよいが、これに限定することは意図されない。したがって、当業者によって理解されるはずの幾つかの状況においては、約1%の値は、0.9%~1.1%の範囲であると解釈されることが出来る。
【0027】
本明細書で用いられるように、「集合(set)」という語は、1以上の対象の集まりをさす。したがって、例えば、対象の集合と言った場合、それは、単一の対象又は複数の対象を含むことが出来る。1つの集合のうちの複数の対象は、また、その集合のメンバーとも呼ばれることが出来る。1つの集合のうちの複数の対象は、同一であっても、異なっていてもよい。幾つかの例においては、1つの集合のうちの複数の物体は、1以上の共通特性を共有することが出来る。
【0028】
本明細書で用いられるように、「隣接(adjacent)」という語は、近くにあること、又は、隣り合うことを指す。互いに隣接する物体は、相互から離間されていること、相互に実際に、又は、直接的に接触していることがある。幾つかの例においては、互いに隣接する物体は、相互に結合されること、又は、相互に一体形成されることがある。
【0029】
本明細書で用いられるように、「実質的に」及び「実質的」という語は、かなりの度合い又は程度をさす。例えば、イベント、状況、特性、又は、性質と共に用いられる場合、この語は、厳密にこれらイベント、状況、特性、又は、性質が発生する例、ならびに、本明細書で記述する実施形態の典型的な許容レベル又は、可変性を考慮する場合などに、これらイベント、状況、特性、又は、性質に近いものが発生する例を指すことが出来る。
【0030】
本明細書で用いられるように、「省略可能な(optional)」及び「省略可能に(optionally)」という語句は、この後に記述される、コンポーネント、構造、要素、イベント、状況、特性、性質などが、含まれても含まれなくてもよく、又は、発生しても発生しなくてもよいこと、及び、この記述は、こうしたコンポーネント、構造、要素、イベント、状況、特性、性質などが、含まれる又は発生する例、及び、それが含まれない、及び、発生しない例を含むこと、を意味する。
【0031】
本明細書で記述する概念は、ファンアウトウエハレベルパッケージング(FO-WLP)の概念から借りる。ファンアウトウエハレベルパッケージングは、典型的には、以下のステップを含むプロセスをさす:
【0032】
1.半導体ウエハを別々のダイに切る。これは、多くの場合、ウエハプローブテスト(電気的な試験)の後に行われる場合がある。
【0033】
2.ダイを拾い、ウエハテープ又は他の適切な支持体上に配置して、ダイの間隔がより広くなったウエハを再構成する。前もってウエハにプローブテストが行われている場合、プローブテストを通過したユニットのみ再構成ウエハに含まれるはずである。
【0034】
3.再構成ウエハは、ダイ間のギャップを満たすためにオーバーモールド成型される。フィルムアシストモールディングを用いて、モールドコンパウンドが、ダイの表面上に進入しないようにすることも出来る。
【0035】
4.ダイの元のフットプリントを超えて延伸する再分配回路層(「再分配層パターニング」)を用いて相互接続を作る。これは、しばしば、パッケージング基板又は印刷回路素子にダイを相互接続するのに、より大きな相互接続ピッチを可能とするためになされる。
【0036】
様々な実施形態において、幾つかのFO-WLP原理は、ガラスカバー部材であって、そのカバー部材のいくつか周辺エッジ又は全ての周辺エッジをモールド成型されたスペーサフレーム(又は、ガスケット/バンパ/エッジプロテクタ)が覆ったガラスカバー部材を作るために用いられる。これは、本明細書中では、モールド成型されたカバー部材と呼ばれる。これは、ガラスに対して有利な特性を有することが出来、それは、例えば、保護的周囲「バンパ」を提供すること、圧縮可能な「バンパ」材料が用いられる場合に、結果として得られるカバー部材への厳格な寸法公差を得る助けになることなどであり、これらは、後の一体化の助けとなりうる。
【0037】
本明細書で記述される手法の1つは、上記した一般的なFO-WLPプロセスの最初の3ステップ、ならびに、以下のように、モールド成型されたカバー部材を作る追加のステップを用いる。
【0038】
1.
図3に示されるように、半導体ウエハではなく、本プロセスは、ガラスシート101(
図3(a))を用いる。指紋カバー用途においては、ガラスの厚さは、60~140μm、好ましくは、70~100μmである場合がある。ガラスシート101は、切断又はシンギュレーション
(個片化)され(ステップ102)(
図3(b))、それぞれ分離した別々のカバー部材103(
図3(c))とされる。このコンテキストにおいて、「シンギュレーション
(個片化)」は、1つにまとめられたユニットを個別のパーツ又は片に分離する動作又はプロセス、たとえば、1つにまとめられたより大きなユニット、群、又は、生産工程のパーツを個別のユニットに分離する動作又はプロセスを意味する。1つの方法は、レーザでシートをシンギュレーションして(つまり、レーザで破壊及び切断する)、個別のカバー部材103を作るものである。別の方法は、これらには限定されないが、レーザアブレーション(ablation)、機械的加工、ダイシングソー、化学エッチング、及び水ジェット切断を含む。それぞれ分離した別々のカバー部材の全てが、図示されているように、同一のサイズ及び/あるいは形状である必要はない。
【0039】
2.
図4及び
図5に示されるように、ステップ108において、個別のカバー部材103を拾い、ガラス「シート」を再構成するための支持体などの剥離可能な固定媒体104上に配置する。チップパッケージングアセンブリ及び/あるいは表面実装技術アセンブリに用いられるものなど、カバー部材を拾って配置する装置には標準的なものを使用でできるが、それは、他の多くの供給元の中でもとりわけ、Universal Instruments, Juki Automation, Fuji, Hitachi, Manncorp, Panasonic, 及び Essemtecによって製造されるものなどである。適切な剥離可能な支持体は、紫外線剥離式テープ(UV-releasable tape)などのダイシングテープ又はバッキングテープとすることが出来るが、真空チャック、溶解可能な支持体、加熱剥離式の支持体テープなどの他のオプションがある。こうしたテープ又は他の剥離可能な支持体は、正確な位置にそれぞれの片を保持し、並列して行われる処理の間、相互に対して位置を整合させるが、製造プロセスの後のステージにおいては、ダイシングテープからの容易な除去を可能にする。紫外線テープは、接着剤結合が、適切な波長と強度の紫外光へ曝すことによって、破壊、又は、かなり弱体化され、ダイシングの後に強化されるダイシングテープの一種であり、これにより、切断の間、接着剤をより強くすることが可能になり、紫外線剥離の後、綺麗、且つ、容易な除去が可能になる。
【0040】
ステップ108において、個々のセンサガラスカバー部材103は、固定媒体104上に配置されて、互いから分離され、これにより、各カバー部材と各隣接カバー部材との間に間隔ができる。
【0041】
3.カバー部材103のエッジを包むためにモールディングプロセスを用い、好ましくは、フィルムアシストモールディングプロセス109を用いるが、このプロセス109では、シールフィルム及び/あるいは接着フィルムを用いて、モールドコンパウンドが、モールディングの間、カバー部材の表面上に流れ出るのを防ぐことになる:
【0042】
a.グローバル(「ブランケット」)モールディング105(ステップ109a)又は、パターンモールディング106(ステップ109b)が用いられることが出来る。ブランケットモールディングは、モールドコンパウンドが、カバー部材間の全ての空間を満たすこと、つまり、隣接するそれぞれのガラスカバー部材の間隔の全体が満たされることを意味し、その後に、モールド成型されたガラスカバー部材のシンギュレーション動作(ステップ110aに示す)を必要とするが、この動作は、モールディングの後のカバー部材をシンギュレーションし、モールド成型されたカバー部材外形の完成物を作るために、硬化されたモールドコンパウンドをレーザカットするなどして行われる。他のシンギュレーション方法がまた、用いられることが出来、これは、機械的加工、ダイシング、レーザアブレーション、化学エッチング、又は、水ジェット切断を含む。あるいは、パターンモールディング手法106においては、モールドコンパウンドは、個々のカバー部材のエッジに局所的に適用され、それぞれのガラスカバー部材間の隙間を完全には包まず、したがって、シンギュレーションの必要性を回避し、1ステップで、完成した部品外形を作る。ブランケットモールディング手法とパターンモールディング手法の両方において、フィルムアシストモールディングプロセス109は、モールディングプロセスの間、モールドコンパウンドのカバー部材の表面上への漏れを防止するのに有利になりうる。
【0043】
b.モールド成型されたカバー部材107のサイズ(長さ及び幅)は、モールド成型されたカバー部材のホストデバイスパネルへの一体化の方法に応じて、モールド成型されたカバー部材を受けるためのホストデバイスパネルの切り欠きに軽く締まり嵌め(interference fit)されるように選択されることが出来る。あるいは、モールド成型されたカバー部材は、CG開口部(CG opening)よりわずかに小さいサイズとされることが出来る。
【0044】
c.モールディングプロセス105、106のいずれのタイプのプロセスについても、モールドコンパウンドの熱膨張係数(CTE)は、モールディングプロセス、ならびに、その後のモールドコンパウンドの硬化又は固体化及びアセンブリの冷却中の応力やゆがみを最小化するために、ガラスと一致することが好ましいこともある。低収縮モールドコンパウンド(つまり、硬化の間、比較的小さい量の収縮を示すもの)は、また、ガラスの歪み、応力、及びゆがみを防止するのに有利な場合がある。
【0045】
シンギュレーション(ステップ110a)後、又は、パターンモールディング(ステップ109b)の後、支持体104からモールド成型されたカバー部材103を剥離する。紫外線テープで作られた支持体の場合、
図5のステップ110b及び111aにあるように、紫外光が、テープからモールド成型されたカバー部材を剥離するために当てられる。
【0046】
5.モールド成型されたカバー部材107を拾い、トレイ内又はテープ支持体およびリール支持体内に配置し(
図5のステップ110c及び111b)、こうすることで、製造プロセスの次のステップの準備ができる。モールド成型されたカバー部材は、例えば、米国仮出願第62/382,864号に記述されているようなモバイルデバイスカバーガラスなどのホストデバイスパネルに一体化されることが出来るが、同出願の開示内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0047】
モールド成型されたカバー部材を作るのではなく、上記のステップ1~5は、カバー部材に接着可能な、モールド成型された高誘電性のセラミック補強層を作るために、実行されることもある。
【0048】
あるいは、ステップ1の前に、高誘電性セラミックシートを、ガラスシートに接着することもでき、そして、ステップ1~5を、上記したように実行して、モールド成型された二層カバー部材を作る。モールドコンパウンドは、二層を包み、これにより、プロセスの最後に単一部品(モールド成型された二層カバー部材)が作られる。高誘電率セラミックシートの結合は、適切な接着剤を用いて、又は、陽極(静電)接合などの他のプロセスによってなされることも可能である。
【0049】
あるいは、カバー部材の全体は、ジルコニアなどのセラミック材料から作られることもでき、上記のように処理されて、デバイスカバーへの一体化のために、ポリマー「バンパ」を有するモールド成型されたジルコニアカバー部材を生成することも出来る。
【0050】
この開示内容の主題が、特徴の様々な組み合わせ及びサブコンビネーションを含む、特定の例示的実施形態を参照して、かなり詳しく記述され、示されたが、当業者は、本開示の範囲に含まれる他の実施形態ならびにその変形形態及び改変形態を容易に理解するだろう。更に、そのような実施形態、組み合わせ、及びサブコンビネーションの記述は、特許請求された主題が、請求項に明示的に記載されたもの以外の特徴、又は、特徴の組み合わせ、を必要とするということを伝えることを意図していない。したがって、この開示内容の範囲は、以下の添付の請求項の精神と範囲内に含まれる全ての改変形態及び変形形態を含むことが意図されている。