(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】机システム、及びプログラム。
(51)【国際特許分類】
A47B 9/00 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A47B9/00 Z
(21)【出願番号】P 2017210961
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】城ノ下 朋興
(72)【発明者】
【氏名】高原 良
(72)【発明者】
【氏名】中野 耕助
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-087031(JP,A)
【文献】中国実用新案第204654162(CN,U)
【文献】特開2011-258191(JP,A)
【文献】特開2013-069286(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/031118(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00-41/06
G06T 1/00
G08B 1/00-9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
机と、該机の利用者が携帯する指示装置
であって、前記机と無線通信により接続される指示装置からなる机システムであって、
前記机が、
前記指示装置から指示情報を受信する指示受信部と、
前記受信した指示情報にもとづいて天板を昇降させる昇降部と、
を備え、
前記指示装置が、
前記机の天板を昇降させる指示情報を送信する指示送信部と、
前記指示装置が備えるジャイロセンサ及び加速度センサの値を用いて前記利用者の姿勢が立位又は座位のいずれかにあるか判定する姿勢判定部と、
前記利用者における前記机の使用状況を判定する使用状況判定部と、
前記利用者が所定時間を超えて前記立位又は座位の姿勢をとっている場合に前記利用者に警告する警告部と、
を備え
、
前記警告部は、前記使用状況判定部により前記利用者が前記机を使用していると判定された場合に前記昇降部により前記机の天板を上昇及び/又は下降させることにより前記利用者に警告する
ことを特徴とする、机システム。
【請求項2】
前記利用者が前記机を使用していると判定された場合の前記警告として、前記昇降部が前記天板の上昇及び下降を少なくとも1回以上繰り返すことにより前記天板を小刻みに上下昇降させることを特徴とする、請求項
1記載の机システム。
【請求項3】
前記指示装置が、さらに、
少なくとも前記利用者の身長を含む利用者情報を記録する利用者情報記録部と、
前記利用者情報にもとづいて前記立位及び座位のそれぞれにおける天板高さを算出する天板高さ算出部と、
を備え、
前記指示送信部が、前記算出した天板高さとなるように前記天板を昇降させる指示情報を送信する
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の机システム。
【請求項4】
前記使用状況判定部が、前記利用者が前記机の使用を開始した状況にあると判定した場合に、前記算出した天板高さとなるように前記天板を昇降させる指示情報を前記指示送信部に送信させる
ことを特徴とする、請求項
3記載の机システム。
【請求項5】
前記指示装置が、前記利用者が携帯するスマートフォンまたは前記利用者が装着するウェアラブルデバイスであることを特徴とする、請求項1~
4のいずれかに記載の机システム。
【請求項6】
コンピュータを請求項1~
4のいずれかに記載の指示装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は机システム、及びプログラムに関し、具体的には、机から離席しても利用者の作業姿勢を判定して作業姿勢の変更を促すことができる机システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
天板を上下方向に移動させる昇降機能を有する机として、例えば特許文献1の机システムが知られている。
【0003】
特許文献1の机システムは、机本体10に、駆動機構21と、情報取得器31と、操作端35と、制御器100と、スピーカ39が備えられている。情報機器31は赤外線センサ31a及びカメラ31bを備えており、利用者Uの姿勢を認識し、当該認識した姿勢に基づいて駆動機構21を駆動させ机本体10の天板11を上下動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、企業等において従業員等の健康状態を把握、維持することは重要な課題である。健康的で創造的な活動は企業の生産性を向上させるとともに、従業員の生活の向上にも寄与するものである。そして、近年では、従業員等が作業を行う際に長時間同じ姿勢を続けるよりも、適度に作業姿勢、例えば立位と座位を変更して作業を行うことで、従業員等の健康を維持し、作業効率を高めることができることが判明している。
【0006】
一方では、オフィス等におけるワークスタイルが様々に変化している。従来の様に一ヵ所で机に座り続けて作業を行う場合以外に、例えば様々な部署との連携を図る場合には一ヵ所に留まらず、さまざまな部署或いは作業場所に赴く必要が生じる場合がある。
【0007】
上記のようなワークスタイルでは、利用者は特定の机で作業を行うこともあれば、当該机から離席して作業を行うこともあるが、従来の技術では離席中の利用者について作業姿勢を判定することができず、効果的な健康管理ができないという問題があった。
【0008】
本発明は前述の問題に鑑み、机から離席していても利用者の姿勢を判定し、作業姿勢の変更を促すことができる机システム、及びプログラムを提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決することを課題としてなされた本発明に係る机システムは、机と、該机の利用者が携帯する指示装置であって、前記机と無線通信により接続される指示装置からなる机システムであって、机が、指示装置から指示情報を受信する指示受信部と、受信した指示情報にもとづいて天板を昇降させる昇降部と、を備え、指示装置が、机の天板を昇降させる指示情報を送信する指示送信部と、前記指示装置が備えるジャイロセンサ及び加速度センサの値を用いて利用者の姿勢が立位又は座位のいずれかにあるか判定する姿勢判定部と、前記利用者における前記机の使用状況を判定する使用状況判定部と、利用者が所定時間を超えて立位又は座位の姿勢をとっている場合に利用者に警告する警告部と、を備え、前記警告部は、前記使用状況判定部により前記利用者が前記机を使用していると判定された場合に前記昇降部により前記机の天板を上昇及び/又は下降させることにより前記利用者に警告することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る机システムは、警告として、昇降部が天板の上昇及び下降を少なくとも1回以上繰り返すことにより天板を小刻みに上下昇降させるようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る机システムは、指示装置が、さらに、少なくとも利用者の身長を含む利用者情報を記録する利用者情報記録部と、利用者情報にもとづいて立位及び座位のそれぞれにおける天板高さを算出する天板高さ算出部と、を備え、指示送信部が、算出した天板高さとなるように天板を昇降させる指示情報を送信するようにしてもよい。また、使用状況判定部が、利用者が机の使用を開始すると、算出した天板高さとなるように天板を昇降させる指示情報を前記指示送信部に送信させるようにすると好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によれば、机システムが机と利用者が携帯する指示装置により構成され、指示装置が備える姿勢判定部により利用者の姿勢が立位又は座位のいずれかを判定する。また、指示装置が備える警告部により、利用者が所定時間を超えて立位又は座位の姿勢をとっている場合には利用者に警告をおこなうので、利用者が机から離席していても利用者の姿勢を判定して、作業姿勢の変更を適切に促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の一例における机システムの構成を示す図である。
【
図2】同実施例における机の斜視図であり、(a)は天板を下降させた状態、(b)は天板を上昇させた状態における斜視図である。
【
図3】同実施例における机操作部の正面拡大図である。
【
図4】同実施例における、指示装置3の操作画面の構成を示す模式図である。
【
図5】同実施例における、利用者の姿勢判定から警告を行うまでの処理のフローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施例における机システム1の構成を示した図である。
図1で示すように、机システム1は、机2と、利用者が携帯する指示装置3から構成される。
【0015】
机2は、昇降機能を備える机である。
図2は本実施例の机2の斜視図であり、
図2(a)は天板21を下降限界位置まで下降させた状態、
図2(b)は天板21を上昇限界位置まで上昇させた状態を示す図である。
図1及び
図2で示すように、机2は、天板21、支柱22、脚23、開口部24、昇降部25、机操作部26、指示受信部27、及びビーコン送信部28を備えている。
図2(a)及び
図2(b)は、本実施例における机2の斜視図であり、
図2(a)は天板21を下限限界位置まで下降させた状態、
図2(b)は天板21を上昇限界位置まで上昇させた状態を表す図である。
図2(a)(b)で示すように、本実施例における机2は、外観上、天板21と、該天板21の左右それぞれに設けた支柱22と、支柱22の下端側に設けた脚23により全体が構成されている。
【0016】
天板21は利用者が作業を行う作業台となる部材である。材質は木、樹脂、金属等、周知のものを適宜選択してよい。本実施例の天板21は奥側左右それぞれに開口部24を備えており、ケーブル等を当該開口部24に通すことができる。
【0017】
支柱22は天板21を支持する柱である。本実施例の支柱22は、外筒部と内筒部の二重の筒状部材から構成されており、内筒部の上端側は後述する昇降部25を介して天板21と連結され、外筒部の下端側は脚23と連結されている。
【0018】
昇降部25は、天板21を昇降させるためのアクチュエータとして機能する部材であり、天板21と支柱22の間に配置される。昇降部25が稼働することで支柱22の内筒部が上下方向に移動させる。これにより支柱22の上下方向の長さを伸縮させ、天板21を昇降する。昇降部25は、後述する机操作部26と接続されており、利用者が机操作部26を操作することにより、支柱22を伸縮させて天板21を昇降させる。また、後述するように、指示装置3の支持送信部31から送信された指示情報を机2の指示受信部27が受信した際にも、支柱22を伸縮させて天板21を昇降させる。本実施例における机2の昇降部25は、支柱22の内筒部位置を上下に移動させることにより、天板21を昇降させるが、天板21を昇降させる機構は周知の機構を適宜選択してよい。例えば、固定長の柱と、該柱を上下方向に移動可能なブラケットを介して天板を設け、ブラケット位置を上下に移動させることにより天板の高さを昇降させる構成としてもよい。
【0019】
机操作部26は、天板21に設けられた操作パネルである。
図3は机操作部26の正面拡大図であり、机操作部26は
図3で示すように上昇スイッチ26aと下降スイッチ26bが設けられている。利用者が上昇スイッチ26aを押圧すると昇降部25が駆動して天板21を上昇させ、利用者が下降スイッチ26bを押圧すると、昇降部25が駆動して天板21を下降させる。本実施例では上記のように、上昇スイッチ26aと下降スイッチ26bを備える机操作部26を備えており、利用者が机操作部26を操作することにより天板21を昇降させ、天板21の高さを利用者が所望する高さに調整することができる。なお、机操作部26が操作された場合に天板21の高さをどのように変化させるかは適宜選択してよいが、本実施例では、上昇スイッチ26a又は下降スイッチ26bが押圧されている間、所定の速度で天板21が昇降する。
【0020】
指示受信部27は、天板21の裏面に設けられた無線通信装置を用いて、後述する指示装置3からの指示情報を受信する。指示受信部27が指示情報を受信すると、昇降部25が駆動することにより支柱22が伸縮して天板21を昇降させる。無線通信装置は周知の通信方式を用いる通信装置を適宜選択してよいが、指示装置3と通信可能な通信方式である必要がある。また、本実施例では机2が指示受信部27を備えることにより、指示装置3から送信された指示情報を受信して天板21を昇降させることができるが、指示受信部27が用いる無線通信装置は受信のみを行う装置である必要はなく、適宜任意の情報を指示装置3に送信する机情報送信部をさらに備えるようにしてもよい。例えば、利用者が机操作部26を操作して天板21の高さを調整した場合に、当該調整した天板21の高さを指示装置3に送信し、指示装置3が当該送信された天板21の高さを指示装置3の二次記憶装置に記憶するようにしてもよい。この場合、利用者が所望する天板21の高さを指示装置3に記録することができるので、適宜、利用者は過去に調整した高さに、天板21を調整することができる。
【0021】
ビーコン送信部28は無線通信によりビーコン情報を送信する。本実施例では、机2は該机2固有の識別情報を含むビーコン情報を無線通信により定期的にブロードキャスト送信する。また、ビーコン情報は、前述の指示受信部27が用いる無線通信装置を用いてブロードキャスト送信してもよいし、ビーコン情報送信のみを行う無線通信装置を別途備えるようにしてもよい。
【0022】
指示装置3は、机システム1の利用者が携帯する端末である。指示装置3は、指示送信部31と、姿勢判定部32と、警告部33と、利用者情報記録部34と、天板高さ算出部35と、使用状況判定部36を備えている。
【0023】
本実施例では指示装置3として、利用者が携帯するスマートフォン、すなわち、電話機能を備えた携帯型のコンピュータを用いており、当該スマートフォンに後述する機能を発揮させるプログラムを実行させることで、当該スマートフォンを指示装置3として稼働させるものである。指示装置3は装置の構成としてCPU、メモリ、二次記憶装置、表示装置、入力装置、音声入出力装置、無線通信装置、ジャイロセンサ及び加速度センサを備えており、二次記憶装置に記録したプログラムをメモリにロードしてCPUが実行することにより、後述する指示送信部31、姿勢判定部32、警告部33、利用者情報記録鵜34、天板高さ算出部35、及び使用状況判定部36の処理を実行してスマートフォンを指示装置3として稼働させる。また、本実施例の指示装置3は入力装置としてタッチパネルを備えており、表示装置上の任意の位置を利用者が押下することで入力操作を行うことができる。なお、本実施例における指示装置3は利用者が携帯するスマートフォンを用いているが、利用者が携帯可能な端末であればスマートフォン以外の装置を用いてもよく、例えば、時計型やリストバンド型、眼鏡型等利用者が身体に装着するウェアラブルデバイスや周知のタブレット型コンピュータやPDA(Personal Data Assistant)端末を用いてもよい。また、本実施例の指示装置3は、汎用の携帯型コンピュータであるスマートフォンに所定のプログラムを実行させることにより指示装置3として稼働させるが、所定の処理の実行のみを行う専用端末を用いてもよい。
【0024】
指示送信部31は、机2の天板を昇降させる指示を示す指示情報を指示装置3から机2に送信する。利用者が後述する操作画面4の任意のボタンを押下した際、或いは、後述する警告部33又は使用状況判定部36が所定の処理を実行した際に、指示装置3は指示装置31により天板21を上昇又は下降させる指示を示す指示情報を机2に送信する。
図4は、本実施例における指示装置3が表示する操作画面4の構成を示した図である。
図4で示すように、操作画面4は、上昇ボタン41と、下降ボタン42と、自動調整ボタン43を備えている。
【0025】
上昇ボタン41は、机2の天板21を上昇させる指示情報を送信するボタンである。利用者が上昇ボタン41を押下すると、指示装置3が指示送信部31により机2に天板21を上昇させる指示を示す指示情報を送信する。送信された指示情報を机2の指示受信部27が受信すると、昇降部25が支柱22の内筒部を上昇させることにより天板21を上昇させる。
【0026】
下降ボタン42は、机2の天板21を下降させる指示情報を送信するボタンである。利用者が下降ボタン42を押下すると、指示装置3が指示送信部31により机2に天板21を下降させる指示情報を送信する。送信された指示情報を机2の指示受信部27が受信すると、昇降部25が支柱22の内筒部を下降させることにより天板21を下降させる。なお、上昇ボタン41又は下降ボタン42が押下された際に天板21の高さをどのように変化させるかは適宜選択してよいが、本実施例では、上昇ボタン41又は下降ボタン42が押下されている間、所定の速度で天板21が昇降するように指示情報が送信される。
【0027】
自動調整ボタン43は、後述する天板高さ算出部35が算出した高さに机2の天板21の位置を調整するボタンである。利用者が自動調整ボタン43を押下すると、指示装置3が指示送信部31により机2に天板21を上昇又は下降させる指示情報を送信する。当該送信する指示情報は、後述する天板高さ算出部35が算出した天板高さとなるように天板21を上昇又は下降させる指示を含む情報である。当該指示情報を机2の指示受信部27が受信すると、昇降部25が支柱22の内筒部を上昇又は下降させることにより、天板21の高さを天板高さ算出部35が算出した天板高さとなるように昇降させる。
【0028】
姿勢判定部32は、指示装置3を携帯する利用者の姿勢が立位または座位のいずれかであるかを判定する。本実施例の指示装置3はスマートフォンを用いており、当該スマートフォンが備えるジャイロセンサ、及び、加速度センサを用いて利用者の姿勢が立位または座位のいずれにあるか判定する。
【0029】
警告部33は、利用者が所定時間を超えて立位又は座位の姿勢をとっている場合に、利用者に対して警告を行う。
本実施例における警告部33は、利用者が所定時間を超えて立位又は座位の姿勢をとっていると判定された場合に、指示送信部31を介して机2に天板21を小刻みに上下昇降させるよう指示情報を送信する。
【0030】
図5は、姿勢判定部32による利用者の姿勢判定、及び、警告部33による警告の処理を行うフローを示した図である。
図5で示すように、姿勢判定部32はジャイロセンサから角速度、及び、加速度センサから加速度をそれぞれ示す値を取得する(ステップS01及びステップS02)。
【0031】
前述したように、本実施例における指示装置3は利用者が携帯するスマートフォンであり、ジャイロセンサから角速度、加速度センサから加速度を値として取得する。姿勢判定部32は、ステップS01で取得した角速度を示す値と、ステップS02で取得した加速度を示す値に基づいて、利用者の姿勢が立位又は座位のいずれかであるか判定する(ステップS03)。判定した姿勢は、当該判定を行った日時を示す日時情報とともに姿勢情報として指示装置3の二次記録装置に記録される(ステップS04)。なお、本実施例ではジャイロセンサから取得した角速度と加速度センサから取得した加速度を用いて利用者の姿勢が立位又は座位のいずれかであるか判定しているが、例えば、角速度と加速度に加えて、指示装置3の位置を示す情報をさらに用いてもよい。
【0032】
次いで、指示装置3は二次記録装置に記録された姿勢情報から、利用者が立位又は座位の姿勢とっている時間を算出する。前述のように本実施例における姿勢情報には判定した姿勢と、該姿勢を判定した日時を示す情報が含まれており、所定時間ごとに記録された姿勢情報の履歴に基づいて、立位又は座位の姿勢とっている時間を算出する(ステップS05)。如何なる条件を満たした場合に上記姿勢をとっているとみなすかは任意であり、例えば、一時的な離席や移動等による姿勢の変更を上記時間の算出において考慮せず、一の姿勢をとっているものとみなしてもよい。
【0033】
利用者が立位又は座位の姿勢をとっている時間を算出した後、指示装置3は当該算出した時間を予め二次記憶装置に記録した所定の時間と比較する(ステップS06)。比較の結果、算出した時間が所定の時間を超える場合には、警告部33による警告処理を実行する(ステップS07~S09)。
【0034】
警告部33による警告処理が実行されると、指示装置3は所定時間を超えて立位又は座位の姿勢をとっている旨を所定のメッセージとして表示装置に表示する(ステップS07)。次いで、指示装置3は指示送信部31を介して机2の天板21を上昇させる指示情報を送信する(ステップS08)。当該送信された指示情報を机2の指示受信部27が受信すると、机2の昇降部25が支柱22の内筒部を上昇させることにより、天板21を上昇させる。
【0035】
次いで、指示装置3は指示送信部31を介して机2の天板21を下降させる指示情報を送信する(ステップS09)。当該送信された指示情報を机2の指示受信部27が受信すると、机2の昇降部25が支柱22の内筒部を下降させることにより、天板21を下降させる。
【0036】
指示装置3は上記ステップS08及びS09の処理を所定回数行うことで、机2の天板21を小刻みに上下昇降させる。本実施例では、警告部33による警告として、指示装置3の表示装置に所定のメッセージを表示させ、また、机2の天板を小刻みに上下昇降させるが、本実施例の指示装置3は後述する使用状況判定部36を備えており、利用者が机2を使用している状況にあるか、又は、使用していない状況にあるかを判定することができる。この使用状況判定部36の判定結果を用いて、利用者が机2を使用している状況にある場合は机2の天板21を上下昇降させることにより警告を行い、利用者が机2を使用していない状況にある場合は指示装置3の表示装置に所定のメッセージを表示するようにしてもよい。また、ステップS08において天板21の高さの変化量、ステップS09における天板21の高さの変化量、或いは、天板21の上昇と下降の時間間隔等は適宜選択してよい。
【0037】
前述のステップS06により利用者が立位又は座位の姿勢をとっている時間が所定時間を超えていないと判定した場合、及び、前述のステップS07~S09による警告を終了した場合は、所定時間待機したのち、再度ステップS01から処理を再開する(ステップS10)。
【0038】
本実施例における指示装置3は、前述のステップS01~S06の処理を実行することにより、利用者の姿勢が立位又は座位のいずれにあるかを判定し、当該判定した姿勢を所定時間以上とっている場合に所定のメッセージを出力し、また、机2の天板21を上下昇降させることにより利用者に警告する。指示装置3は利用者が携帯する端末であり、利用者が机2を使用している場合でも、机2から離席している場合でも、利用者の姿勢を判定することができるので、頻繁に離席する業務を行う等様々なワークスタイルにおいても、利用者に姿勢の変更を適切に促すことができる。また、警告部33は机2の天板21を小刻みに上下昇降させる指示は、ステップS08による天板21の上昇とステップS09による天板21の下降を繰り返すことで実現される。警告の具体的な手段は周知の手段を任意に選択してよく、例えばランプ等の発行手段の点滅、バイブレータ等の発振手段の振動、スピーカからの発音を専用警告手段として使用することも可能であるが、本実施例の机システム1は机2が備える昇降機能を用いて警告を行うので、机2は天板の上昇及び下降のそれぞれの指示情報を随時指示装置3から受信し、天板21の位置を上下に移動させることができるのみでよく、警告のための専用の装置等を机2に設ける必要がない点で好適である。なお、本実施例では天板21を小刻みに上下昇降させることにより警告を行うが、警告の具体的な内容としては、単に天板21を上昇又は下降させるのみとしてもよく、また、上昇及び下降を繰り返す場合に、繰り返し回数は適宜選択してよい。
【0039】
利用者情報記録部34は、所定の画面から利用者が入力した身長を含む情報を利用者情報として指示装置3の二次記録装置に記録する。また、天板高さ算出部35は、上記利用者情報が指示装置3の二次記録装置に記録された際に指示装置3により実行され、上記利用者情報に基づいて立位及び座位のそれぞれにおける天板高さの推奨値を算出する。前述の自動調整ボタン43が利用者に押下されると、指示装置3は算出した推奨値に机2の天板21を移動させるよう、指示送信部31を介して机2に指示情報を送信する。指示情報は、現在の天板21の高さから、移動量とともに上昇又は下降させる指示を示す情報であっても良いし、例えば、天板21を下限位置まで下降させた上で、改めて指定位置まで天板21を上昇させる指示を示す情報であっても良い。
【0040】
使用状況判定部36は、利用者の机2に対する使用状況を判定する。前述の通り、本実施例の机2はビーコン送信部28を備えており、机2固有の識別情報を含むビーコン情報を無線通信によりブロードキャスト送信する。当該送信されたビーコン情報は、机2に近接した指示装置3が受信する。指示装置3がビーコン情報を受信することにより、指示装置3は利用者が机2の使用を開始した状況にあると判定する。
指示装置3は、上記使用状況判定部36により利用者が机2の使用を開始したと判定した場合に、前述の天板高さ算出部35が算出した天板高さとなるように机2の天板21を上昇又は下降させる指示を指示情報として送信する。当該送信された指示情報を机2の指示受信部25が受信すると、昇降部23が支柱22の内筒部を上昇又は下降させ、天板21の高さを上昇又は下降させる。
【0041】
本実施形態の一例の構成は以上であるが、本発明の実施の形態はこれに限られない。例えば、前述のように、机2の通信装置が天板21の高さを含む情報を送信して指示装置3の二次記憶装置に記録するようにしてもよい。この場合には、自動調整ボタン43が押下された場合に、天板高さ算出部35が算出した天板高さに替えて記録された天板高さに基づいて指示情報を送信するようにしてもよいし、算出した天板高さを記録した情報に基づいて補正し、当該補正した天板高さとなるように天板21を昇降させるようにしてもよい。
【0042】
その他の具体的な構成も本実施形態の一例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 机システム
2 机
21 天板
22 支柱
23 脚
24 開口部
25 昇降部
26 机操作部
27 指示受信部
28 ビーコン送信部
3 指示装置
31 指示送信部
32 姿勢判定部
33 警告部
34 利用者情報記録部
35 天板高さ算出部
36 使用状況判定部
4 操作画面
41 上昇ボタン
42 下降ボタン
43 自動調整ボタン