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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】作業安全管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220608BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G06Q10/06
G05B19/418 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018057785
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019169051
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】大久保 桂一
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-326965(JP,A)
【文献】特開2016-217931(JP,A)
【文献】特開2017-161347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業対象である物体に取りつけられたビーコン発信機と、前記作業対象に対して作業を行う作業者が有し前記ビーコン発信機が出力するビーコン信号の受信機能を備えた携帯端末と、前記携帯端末から前記ビーコン信号を受信した際の前記ビーコン信号に関する情報を取得し管理する管理装置と、を備える作業安全管理システムであって、
前記ビーコン発信機は、加速度センサーを備え、前記ビーコン信号を発信する際に、ビーコン情報として自身の前記加速度センサーの値を含めて発信可能であって、
前記携帯端末は、加速度センサーを備え、前記管理装置に、前記ビーコン発信機から受信した前記ビーコン情報と、前記ビーコン電波の受信電界強度の値と、前記加速度センサーの値を含む携帯端末情報と、を発信可能であって、
前記管理装置は、前記ビーコン発信機の前記加速度センサーの値と、前記携帯端末の前記加速度センサーの値と、前記受信電界強度の値と、をもとに、前記作業者が安全な作業を行っているか否かを判定する
ことを特徴とする作業安全管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記作業者が安全な作業を行っていないと判定した場合に、前記作業者に対して発報処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の作業安全管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記作業者が安全な作業を行っていると判定した場合に、実際に安全作業をしたことの証跡として記録することを特徴とする請求項1または2に記載の作業安全管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記受信電界強度の値から、前記ビーコン発信機から一定範囲に存在する携帯端末の数をカウントし、一定数以下の場合に、作業者数が不足して危険な作業であると判定することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の作業安全管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記携帯端末の加速度センサー値をもとに、前記携帯端末の作業者の動きを推定し、所定の危険動作パターン判定モデルに該当するか否かを判定し、該当する場合に危険な作業であると判定することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の作業安全管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記作業者が行った作業が危険な作業であった場合に、その旨を前記携帯端末の前記加速度センサーの値と関連付けて危険作業時データとして記憶し、複数の危険作業時データをもとに、前記危険動作パターン判定モデルを作成することを特徴とする請求項5に記載の作業安全管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業安全管理システム及び作業安全管理方法に係り、例えば、作業者が安全な作業を行っているかを管理する作業安全管理システム及び作業安全管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保守対象機器に対して保守作業を行う作業者がその保守作業エリア内に入ったとき、その旨を示す情報を発信し、また、保守作業エリア内から退出したとき、その旨を示す情報を発信することで、保守作業の実施を管理する技術がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の技術では、ビーコン端末やセンサー、その他端末を利用してCE側による保守作業時間管理を把握可能としている。その結果、作業開始連絡を効率化、作業完了の連絡漏れを失くすことができ、また、システム側における作業内容の確認が可能であって、保守作業工数の低減、作業手順漏れ防止が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-224853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の作業安全管理システムでは、作業者が作業日報を画面から入力するもので、作業人数が規定された危険作業(重量物の運搬作業等)を、規定された定員に満たない人数で行うことを防ぐ未然に防ぐものでは無かった。特許文献1に開示の技術では、このような点が十分には考慮されておらず、新たな技術が求められていた。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業対象である物体に取りつけられたビーコン発信機と、前記作業対象に対して作業を行う作業者が有し前記ビーコン発信機が出力するビーコン信号の受信機能を備えた携帯端末と、前記携帯端末から前記ビーコン信号を受信した際の前記ビーコン信号に関する情報を取得し管理する管理装置と、を備える作業安全管理システムであって、前記ビーコン発信機は、加速度センサーを備え、前記ビーコン信号を発信する際に、ビーコン情報として自身の前記加速度センサーの値を含めて発信可能であって、前記携帯端末は、加速度センサーを備え、前記管理装置に、前記ビーコン発信機から受信した前記ビーコン情報と、前記ビーコン電波の受信電界強度の値と、前記加速度センサーの値を含む携帯端末情報と、を発信可能であって、前記管理装置は、前記ビーコン発信機の前記加速度センサーの値と、前記携帯端末の前記加速度センサーの値と、前記受信電界強度の値と、をもとに、前記作業者が安全な作業を行っているか否かを判定する。
また、前記管理装置は、前記作業者が安全な作業を行っていないと判定した場合に、前記作業者に対して発報処理を行ってもよい。
また、前記管理装置は、前記作業者が安全な作業を行っていると判定した場合に、実際に安全作業をしたことの証跡として記録してもよい。
また、前記管理装置は、前記受信電界強度の値から、前記ビーコン発信機から一定範囲に存在する携帯端末の数をカウントし、一定数以下の場合に、作業者数が不足して危険な作業であると判定してもよい。
また、前記管理装置は、前記携帯端末の加速度センサー値をもとに、前記携帯端末の作業者の動きを推定し、所定の危険動作パターン判定モデルに該当するか否かを判定し、該当する場合に危険な作業であると判定してもよい。
また、前記管理装置は、前記作業者が行った作業が危険な作業であった場合に、その旨を前記携帯端末の前記加速度センサーの値と関連付けて危険作業時データとして記憶し、複数の危険作業時データをもとに、前記危険動作パターン判定モデルを作成してもよい
【発明の効果】
【0007】
本発明よれば、注意喚起による危険作業の未然防止を実現する技術を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る、作業安全管理システムの概略構成を示す図である。
図2】実施形態に係る、ビーコン受信機からの受信データ蓄積処理を示すチャート図である。
図3】実施形態に係る、携帯端末からの受信データ蓄積処理を示すチャート図である。
図4】実施形態に係る、ビーコン移動判定処理を示すチャート図である。
図5】実施形態に係る、ビーコン周辺人数判定処理を示すチャート図である。
図6】実施形態に係る、危険動作判定処理を示すチャート図である。
図7】実施形態に係る、危険動作パターン学習処理を示すチャート図である。
図8】実施形態に係る、危険作業発生時発報処理を示すチャート図である。
図9】実施形態に係る、危険作業事後チェック処理を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は本実施形態に係る作業安全管理システム10の概略構成を示す図である。作業安全管理システム10は、インターネット9に有線ネットワーク8に接続された管理装置20と、インターネット9に無線ネットワーク7で接続された複数の作業者99の携帯端末5、ビーコン発信機4、ビーコン受信機6とを備える。管理装置20は、データ受信サーバ1、データ蓄積データベース2及びデータ解析サーバ3を備える。
【0011】
詳細は後述するが、携帯端末5は携帯電話やスマートフォンであって、近距離無線通信機能としてブルートゥース(登録商標)のBLE通信機能を備え、iBeacon(登録商標)の技術を利用し、ビーコン発信機4やビーコン受信機6と通信する。以下、iBeaconを用いたビーコン信号の送受信(通信)をビーコン通信という。作業安全管理システム10では、ビーコン通信を用いて、携帯端末5を持つ作業者99の作業対象物90に対する作業を管理する。ビーコンとして、赤外線ビーコンや光ビーコン等の技術が用いられてもよい。
【0012】
データ受信サーバ1は、携帯端末5やビーコン受信機6からのデータを受信する。データ蓄積データベース2は、データ受信サーバ1が受信したデータを蓄積する。データ解析サーバ3は、データ蓄積データベース2の蓄積データを解析する。
【0013】
ビーコン発信機4は、ビーコンIDが設定されており、また、加速度センサーが搭載されている。ビーコン発信機4は、作業対象物90に取りつけられ、iBeaconの仕様のビーコン電波(ビーコン信号)により、ビーコンID、加速度センサーの値をビーコン情報として発信する。
【0014】
携帯端末5は、上述のように、近距離無線通信機能や加速度センサーを搭載する。また、携帯端末5には、携帯端末IDが設定されている。携帯端末5は、ビーコン発信機4からビーコン信号を受信し、そのビーコン信号に含まれるビーコンID、ビーコンの加速度センサーの値をネットワーク(無線ネットワーク7、インターネット9、有線ネットワーク8)を介してデータ受信サーバ1に送信する。このとき、携帯端末5は、上述のビーコン情報とともに、携帯端末ID及び携帯端末5の加速度センサーの値を携帯端末情報として、さらに、ビーコン信号の受信電界強度を送信することができる。
【0015】
ビーコン受信機6は、作業対象物90の近くに設置され、ビーコン信号電波を受信して、そのビーコン信号に含まれるビーコンID、ビーコンの加速度センサーの値をデータ受信サーバ1に送信する。
【0016】
管理装置20のデータ解析サーバ3は、ビーコン発信機4の加速度センサーの値と、携帯端末5の加速度センサーの値と、ビーコン信号の受信電界強度の値と、をもとに、作業者が安全な作業を行っているか否かを判定する。
【0017】
データ解析サーバ3は、複数の作業対象物90の種類とビーコンIDと作業必要人数と加速度データを考慮するか否かの情報とを対応付けたテーブルを保持している。例えば、重量が重い作業対象物90を運搬する際は2人以上の作業者99が必要であり、危険度が高い作業を行うための作業対象物90(例えば、はしごや火器類)を使った作業は2人以上の作業者99が必要である。したがって、テーブルには、作業対象物90毎にその種類(重量物、はしご、火器など)を示す情報と、ビーコンIDと、加速度データを考慮するか否かを示す情報(フラグでも可)と、作業必要人数(例えば2人)を示す情報(最低作業者数)とが対応付けられている。作業対象物90が重量物の場合は、その重量物に取り付けられたビーコン発信機4のビーコンIDと、加速度データを考慮することを示す情報と、作業者人数2人を示す情報がデータとして登録される。これにより、データ解析サーバ3は重量物を2人以上で運んでいるかを判定することができる。また、作業対象物90がはしごや火器である場合は、それらに取り付けられたビーコンIDと、加速度データを考慮しないことを示す情報と、作業者人数2人を示す情報がデータとして登録される。これにより、データ解析サーバ3は、作業対象物90の作業を複数人で行っているかを判定することができる。
【0018】
このように、データ解析サーバ3は、上記テーブルに基づいて、携帯端末5やビーコン受信機6から受信した信号に基づいて、作業必要人数の作業者99で作業対象物90の作業を適正に行っているか否かを判断する。
【0019】
以上の構成の作業安全管理システム10による具体的な動作を、図2図9を参照して説明する。図2図7で示す処理を組み合わせて、図8図9に示す処理を行う。
【0020】
図2は、ビーコン受信機4からの受信データ蓄積処理(S20)を示すチャート図である。作業対象物90に取りつけられたビーコン発信機4は、自身のビーコン情報すなわち「ビーコンID」「ビーコン加速度センサー値」を取得して(S21)、ビーコン受信機6に送信する(S22)。
【0021】
ビーコン受信機6は、ビーコン発信機4からのビーコン情報すなわち「ビーコンID」「ビーコン加速度センサー値」を受信して(S23)、データ受信サーバに送信する(S24)。
【0022】
データ受信サーバ1は、ビーコン受信機6から受信データを受信すると(S25)、それを受信時刻とともにデータ蓄積データベース2に書き込む(S26)。データ蓄積データベース2は、データ受信サーバ1から書き込まれた受信データを順次蓄積していく(S27)。
【0023】
図3は携帯端末5からの受信データ蓄積処理(S30)を示すチャート図である。作業対象物90に取りつけられたビーコン発信機4は、自身のビーコン情報すなわち「ビーコンID」「ビーコン加速度センサー値」を取得して(S31)、携帯端末5に送信する(S32)。
【0024】
携帯端末5は、ビーコン発信機4からのビーコン情報すなわち「ビーコンID」「ビーコン加速度センサー値」を受信し(S33)、その際の「受信電界強度」を取得し(S34)、さらに携帯端末5自身の携帯端末IDすなわち「携帯端末ID」「携帯端末加速度センサー値」を取得する(S35)。
【0025】
携帯端末5は、ビーコン情報(「ビーコンID」「ビーコン加速度センサー値」)、「受信電界強度」、携帯端末情報(「携帯端末ID」「携帯端末加速度センサー値」)をデータ受信サーバ1に送信する(S36)。
【0026】
データ受信サーバ1は、携帯端末5からの受信データを受信すると(S37)、それを受信時刻とともにデータ蓄積データベース2に書き込む(S38)。データ蓄積データベース2は、データ受信サーバ1から書き込まれた受信データを順次蓄積していく(S39)。
【0027】
図4はビーコン移動判定処理(S40)を示すチャート図である。前提として、図2のビーコン受信機4からの受信データ蓄積処理(S20)によって、ビーコン発信機4に関するデータがデータ蓄積データベース2に蓄積されている。データ解析サーバ3は、データ蓄積データベース2から蓄積データ、ここではビーコン情報である「ビーコンID」と「ビーコン加速度センサー値」を取り出す(S41)。さらに、データ解析サーバ3は、「ビーコン加速度センサー値」から当該ビーコン発信機4が動いたかどうか判定する(S42)。
【0028】
図5はビーコン周辺人数判定処理(S50)を示すチャート図である。前提として、図3の携帯端末5からの受信データ蓄積処理(S30)によって、携帯端末5に関するデータがデータ蓄積データベース2に蓄積されている。データ解析サーバ3は、データ蓄積データベース2から蓄積データ、ここでは「ビーコンID」「携帯端末ID」及び「受信電界強度値」を取り出す(S51)。
【0029】
データ解析サーバ3は、「受信電界強度値」からビーコン発信機4と携帯端末5間の距離を推定する(S52)。データ解析サーバ3は、特定のビーコンIDの一定距離内にいくつの携帯端末5が存在するかをカウントする(S53)。つまり、データ解析サーバ3は、作業対象物90の作業をしている作業者99の数を受信電界強度に基づいて推定する。
【0030】
図6は危険動作判定処理(S60)を示すチャート図である。前提として、図3の携帯端末5からの受信データ蓄積処理(S30)によって、携帯端末5に関するデータがデータ蓄積データベース2に蓄積されている。データ解析サーバ3は、データ蓄積データベース2から蓄積データ、ここでは、「携帯端末ID」及び「携帯端末加速度センサー値」を取り出す(S61)。データ解析サーバ3は、取り出した「携帯端末加速度センサー値」から作業者99の動きを推定し(S62)、次で説明する危険動作パターン判定モデルに該当する作業中であるか否かを判定する(S63)。
【0031】
図7は危険動作パターン学習処理(S70)を示すチャート図である。前提として、図3の携帯端末5からの受信データ蓄積処理(S30)によって、携帯端末5に関するデータがデータ蓄積データベース2に蓄積されている。データ解析サーバ3は、データ蓄積データベース2から蓄積データ、特に危険動作時の携帯端末加速度センサー値を複数取り出し(S71)、それらの値を用いて機械学習を行い(S72)、危険動作パターン判定モデルを作成し、データ蓄積データベース2に蓄積する(S73)。ここで、危険動作とは作業対象物90を持ち上げて運ぶ動作であったり、作業対象物90としてのはしごを上り下りする動作であったり、作業物を使用した作業動作である。危険動作時の携帯端末加速度センサー値は、図9で後述する処理で得られる。
【0032】
図8は危険作業発生時発報処理(S80)を示すチャート図である。データ解析サーバ3は、以下に示す一連の処理を定期的に繰り返し、作業者99が安全に作業をしているか否かを監視する。なお、図8の例は上記テーブルにおいて加速度センサーの値を考慮する作業対象物90に対する判定処理である。加速度センサーの値を考慮しない作業対象物90に対する判定処理は、後述するステップS81、S82の処理を行わない。
【0033】
具体的には、データ解析サーバ3は、図4のビーコン移動判定処理(S40)または図5の携帯端末5から受信したビーコン発信機4の加速度センサー情報に基づく移動判定処理を行い、物体(作業対象物90)に取り付けたビーコン発信機4が移動しているか判定する(S81)。移動ありと判定された場合(S82のYes)、データ解析サーバ3は図6の危険動作判定処理(S60)を行い、「危険作業」のパターンに合致するか判定する(S83)。移動なしと判定された場合(S82のNo)、データ解析サーバ3を処理の先頭に戻り、定期的に繰り返す。
【0034】
危険作業と判定された場合は(S84のYes)、データ解析サーバ3は図5のビーコン周辺人数判定処理(S50)を行い、「危険作業」時に周辺に上記テーブルに基づき規定人数である作業必要人数がいるか判定する(S85)。規定人数がいないと判定された場合(S86のNo)、データ解析サーバ3は危険作業を行っていると判定し、発報(メール、表示灯点灯等)を行う(S87)。規定人数がいると判定された場合(S86のYes)、データ解析サーバ3は危険作業を行っていないと判定し、処理の先頭に戻り、定期的に繰り返す。
【0035】
図9は危険作業事後チェック処理(S90)を示すチャート図である。この処理は、作業者99がビーコン発信機4を取りつけた作業対象物90に対して何らかの作業を行った場合に、その作業時刻の作業について適切であったか否かを事後的にチェックするものである。
【0036】
データ解析サーバ3は、データ蓄積データベース2から作業時刻のデータを取得し(S91)、図4のビーコン移動判定処理(S40)により作業対象物90に取り付けたビーコン発信機4が移動しているか否かを判定する(S92)。
【0037】
移動ありと判定された場合(S93のYes)、データ解析サーバ3は、図6の危険動作判定処理(S60)を行い「危険作業」のパターンに合致するか判定する(S94)。移動なしと判定された場合(S93のNo)、処理を終了する。
【0038】
危険動作判定処理(S60、S94)で危険作業と判定された場合、データ解析サーバ3は図5のビーコン周辺人数判定処理(S50)を行、「危険作業」時に周辺に規定人数(必要作業人数)がいるか判定する(S96)。
【0039】
規定人数がいないと判定された場合は(S97のNo)、データ解析サーバ3はその作業は「危険作業」であった判定する(S98)。判定結果はデータ蓄積データベース2に蓄積され、上述した図7の危険動作パターン学習処理(S70)において理容さえる。規定人数がいると判定された場合(S97のYes)、データ解析サーバ3は「規定どおりの作業」として証跡利用する(S99)。
【0040】
以上、本実施形態によると、作業者99が作業対象物90に対し作業を行う場合に、規定人員以下での危険作業を検知して、危険作業を行おうとしている作業者に注意喚起して危険作業を未然防止することができる。また、規定された人数以下の危険作業していないか後からチェックできるため、規定された人数で作業を行っている安全作業の証跡として利用できる。また、規定された人数以下で危険作業への心理的な抑止効果がある。規定人数以下しかいない状態で作業対象物を作業が動かした場合、危険作業をしていると判定して、作業者や監視者にメール通知や表示灯による発報をして注意喚起して、危険作業を未然防止することができる。作業を行ったときのデータをデータ蓄積データベース2に蓄積して、後日、違反作業が無いかのチェックおよび証跡利用ができるようにする。危険作業の判定は上述の「ビーコン発信機周辺人数判定(S50)」「ビーコン発信機移動判定(S40)」「危険動作判定(S60)」により行う。
【0041】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0042】
上述した実施形態では、作業者99が危険動作パターンに該当する動作を行っているかを図7に示す危険動作パターン学習処理で作成したモデルに基づいて判定した。しかし、データ解析サーバ3は、機械学習で作成した危険動作パターンモデルに基づいて判定しなくてもよく、例えば作業対象物90の運搬を複数人で行っているか否かを判断する場合には、作業対象物90の加速度データと作業者99の加速度データとが類似しているか否かを判定し、類似していれば作業者99が当該作業対象物90で作業していると推定して危険作業パターンに該当すると判定してもよい。これによっても上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 データ受信サーバ
2 データ蓄積データベース
3 データ解析サーバ
4 ビーコン発信機
5 携帯端末
6 ビーコン受信機
7 無線ネットワーク
8 有線ネットワーク
9 インターネット
10 作業安全管理システム
20 管理装置
90 作業対象物
99 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9