(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
G01N35/04 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018074384
(22)【出願日】2018-04-09
【審査請求日】2021-01-22
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ヴェンツラー
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/002953(WO,A1)
【文献】特開2016-109686(JP,A)
【文献】特開2015-152595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの端部毎に把持部(9a、9b)を有する少なくとも2つのヒンジ式アーム(4a、4b)であって、フレーム(3)上に枢動可能に互いに対向して搭載され、センタリング位置(10)の垂直軸が、2つの対向する把持部(9a、9b)間の距離の中央によって決定される、少なくとも2つのヒンジ式アームと、
前記ヒンジ式アーム(4a、4b)の他の端部の各々が、枢動可能に接続されたコネクタ(11)であって、誘導構成要素(13)上に可動に接続された、コネクタと、
さらなるコネクタ(15)であって、前記さらなるコネクタ(15)および前記コネクタが、弾性部材(14)によって互いに弾性的に接続され、前記さらなるコネクタが、前記誘導構成要素(13)上に可動に接続された、さらなるコネクタと、
前記さらなるコネクタを移動させるためのアクチュエータ(16)とを
備
え、
露出端部(20)と前記露出端部と反対側の端部にあるさらなる把持部(21)とを有し、前記フレーム(3)またはさらなる弾性部材を有するさらなるフレーム上の相手側部品(22)に枢動可能に連結され対向する少なくとも1つの回転可能なアーム(18)であって、前記露出端部(20)は、前記回転可能なアーム(18)の回転、および前記さらなる把持部(21)の前記センタリング位置(10)の前記垂直軸から離れる方向への移動が、前記少なくとも2つのヒンジ式アーム(4a、4b)のうちの1つと係合することによってトリガされるように、位置決めされた、少なくとも1つの回転可能なアームをさらに備える、
診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つのヒンジ式アーム(9a、9b)の前記把持部および前記回転可能なアーム(
18)の前記さらなる把持部が、二またに分かれている、請求項
1に記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)。
【請求項3】
前記弾性部材(14)が、ばねである、請求項1
または2に記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)。
【請求項4】
前記さらなる弾性部材が、ねじりばねである、請求項
1から
3のいずれかに記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット。
【請求項5】
前記相手側部品(22)が、露出端部(20)およびさらなる把持部(21)を有するさらなる回転可能なアーム(18)である、請求項
1から
4のいずれかに記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)。
【請求項6】
前記少なくとも2つのヒンジ式アーム(4a、4b)の各々が、それぞれの関節(7a、7b)によって互いに枢動可能に接続された第1のアーム部材(5a、5b)および第2のアーム部材(6a、6b)を備え、前記第1のアーム部材の中央領域で各ヒンジ式アームが、前記フレーム(3)上の枢軸点(8a、8b)に対して枢動可能に接続され、前記把持部(9a、9b)と前記少なくとも2つのヒンジ式アームの各々の前記枢軸点(8a、8b)との間の距離、および前記枢軸点(8a、8b)と前記少なくとも2つのヒンジ式アーム(7a、7b)の各々のそれぞれの関節との間の距離は、1と0.1の間の比を有する、請求項1から
5のいずれかに記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)。
【請求項7】
前記診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)は、少なくとも1つのさらなる診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1a~1g)に接続され、各診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの前記さらなるコネクタは、共通コネクタ(23)に接続され、前記共通コネクタ(23)は、少なくとも2つの誘導構成要素(13)上に可動に接続され、前記共通コネクタは、前記アクチュエータ(16)に連結される、請求項1から
6のいずれかに記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)。
【請求項8】
請求項1から
7に記載の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)と、
異なる寸法の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを受けるように構成された1つまたは複数の可撓性アダプタ(29)を有する少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントホルダ(28)と、
試験試料を含む容器である少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント(25)であって、前記診断試験所内移送コンパートメントホルダ(28)内に挿入される、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントとを
備える、試験所システム(31)。
【請求項9】
少なくとも1つの吸引および/または分注位置(32)を有するピペット装置(33)あるいは少なくとも1つの取扱位置を有する取扱装置であって、前記少なくとも1つの吸引および/または分注位置(32)あるいは前記取扱位置は、前記センタリング位置(10)の前記垂直軸に位置合わせされる、少なくとも1つの吸引および/または分注位置を有するピペット装置あるいは少なくとも1つの取扱位置を有する取扱装置をさらに備える、請求項
8に記載の試験所システム(31)。
【請求項10】
試験所コンベヤシステム(34)に動作可能に連結されることが可能である診断試験所内移送コンパートメントコンベヤ(26)をさらに備える、請求項
8または
9に記載の試験所システム(31)。
【請求項11】
a)前記さらなるコネクタ(15)を第1の移動方向へ移動させるステップであって、それにより前記少なくとも2つのヒンジ式アーム(4a、4b)を伸張させ、前記把持部(9a、9b)を診断試験所内移送コンパートメント受取りおよび解放の位置に位置決めする、ステップと、
b)前記把持部(9a、9b)間の診断試験所内移送コンパートメント(25)を移動させるステップと、
c)前記さらなるコネクタ(15)を第2の移動方向へ移動させるステップであって、それにより前記少なくとも2つのヒンジ式アームを屈曲させ、前記把持部を前記センタリング位置の前記垂直軸の方向へ移動させ、前記把持部は、前記診断試験所内移送コンパートメント(25)を両側から押圧し、前記診断試験所内移送コンパートメント(30)の縦軸を前記センタリング位置(10)の前記垂直軸と位置合わせする、ステップと、
d)前記診断試験所内移送コンパートメント(25)を解放するために、ステップa)を繰り返すステップと、
e)前記把持部(9a、9b)間の前記診断試験所内移送コンパートメント(25)を除去するステップとを
含む、請求項1から
7のいずれかに記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)を使用して、診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための方法。
【請求項12】
ステップa)において、前記ヒンジ式アームのうちの少なくとも1つ(4b)が、前記回転可能なアーム(18)の前記露出端部(20)を押圧し、前記回転可能なアーム(18)の回転をもたらし、それにより前記さらなる把持部(21)を診断試験所内移送コンパートメントホルダの受取りおよび解放の位置に位置決めし、前記さらなる弾性部材上の張力を発生させ、ステップc)において、前記ヒンジ式アームのうちの少なくとも1つ(4b)が、前記回転可能なアーム(18)の前記露出端部(20)を解放し、前記さらなる弾性部材の張力緩和および前記回転可能なアーム(18)の回転をもたらし、それにより、前記さらなる把持部(21)を前記センタリング位置(10)の前記垂直軸の方向へ移動させ、前記把持部(21)は、前記診断試験所内移送コンパートメントホルダ(28)の前記縦軸を前記センタリング位置(10)の縦軸に位置合わせするために、前記診断試験所内移送コンパートメントホルダ(28)と前記相手側部品(22)とを押圧する、請求項
11に記載の診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための方法。
【請求項13】
ステップc)で、前記診断試験所内移送コンパートメント(25)の前記縦軸(30)が前記センタリング位置(10)の前記垂直軸と位置合わせされる前に、前記診断試験所内移送コンパートメントホルダ(28)の前記縦軸は、前記センタリング位置(10)の前記垂直軸に位置合わせされ、ステップd)で前記診断試験所内移送コンパートメント(25)が解放されたあとに解放される、請求項
12に記載の診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための方法。
【請求項14】
ステップb)で、前記少なくとも2つのアーム(4a、4b)の前記把持部(9a、9b)間の前記診断試験所内移送コンパートメント(25)の前記移動、および前記少なくとも2つのアーム(4a、4b)の前記把持部(9a、9b)間の前記診断試験所内移送コンパートメント(25)の前記除去が、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤ(26)によって介在される、請求項
11から
13のいずれかに記載の診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動の試験管内の診断試料処理の分野に関する。この分野において、本発明は、一定の試験試料処理ステップの精度および安全性を保証するために、診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするためのユニット、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
診断試験所環境では、液体試験試料および試験試薬は、試験試料を処理するための予備分析、分析、および後分析のステーションなどの、複数のステーション間を移送される。通常、液体試験試料および試験試薬は、1つのまたは複数のどちらかの診断試験所内移送コンパートメントを受けることができる診断試験所内移送コンパートメントホルダ内に挿入された診断試験所内移送コンパートメントの中に入れて移送される。試験試料のタイプ、試験試料処理ステップ、試験試薬、および製造者により、直径、辺長、高さ、および形状などの診断試験所内移送コンパートメントの寸法は、さまざまである。したがって、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントを受けるために可撓性アダプタを必要とする。診断試験所内移送コンパートメントは、診断試験所内移送コンパートメントホルダ内に、手動で挿入され得て、または挿入は、自動化された診断試験所内移送コンパートメントの取扱または分類装置によって介在される。半自動の試験所では、診断試験所内移送コンパートメントおよびその対応するホルダは、手動で移送され、一方、完全自動の試験所では、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、試験所コンベヤシステム上で移送され、試験試料および試験試薬を、異なる数の試験試料に対する異なる試料処理ステップおよび試験を同時に実行し得る接続されたステーションに分配する。
【0003】
いくつかの試験試料処理ステップは、ピペット装置を使用して、液体試験試料および試験試薬を、診断試験所内移送コンパートメントの外部および/または内部へ、吸引および/または分注するような、ピペット操作を含む。ピペット装置と、診断試験所内移送コンパートメントとの間の物理的接触が、試験試料の相互汚染、試験試薬の相互汚染、および/または診断試験所内移送コンパートメントもしくはピペット装置の損傷の原因となり得るので、これらのピペット操作のために、ピペット装置の吸引/分注位置に対する診断試験所内移送コンパートメントの正確な垂直の向きが重要である。
【0004】
しかしながら、診断試験所内移送コンパートメントは、多くの場合、手動で診断試験所内移送コンパートメントホルダ内に挿入され、診断試験所内移送コンパートメントホルダの可撓性アダプタは、少なくともわずかな挿入の変動性を有し、診断試験所内移送コンパートメントは、診断試験所内移送コンパートメントホルダ内で、常時垂直ではなく、傾斜した配置となる。さらに、診断試験所内移送コンパートメントの垂直の向きのずれは、不適切な手動移送に、および試験所コンベヤシステムの一様でないまたはよごれた表面に、起因し得る。加えて、コンベヤシステムの移送経路は、いくらかの公差をさらに有するので、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、ピペット装置の吸引/分注位置または取扱装置の取扱位置に対して、常時適切にセンタリングされない。
【0005】
米国特許出願第20160159579号は、試験管立て内の試料試験管を2つの把持アームを使用して再配置するための装置を開示している。2つの把持アームの各々は、試料試験管に適合させるために、弾性的に変形可能であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントおよびそれらに対応するホルダを、繊細な試験試料処理ステップのために、簡潔で、信頼性があり、費用効率の高い方法で、センタリングする必要がある。本発明の目的は、従来のセンタリング機構を改善し、特に、自動の試験管内の診断試験試料処理の要求により良く役立つことであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、異なる寸法の1つまたは複数の診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための、センタリングユニット、試験所システム、および方法を開示する。
【0009】
診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、互いに対向するフレーム上に固定された少なくとも2つの支持部品を備える。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも2つのアームをさらに備える。少なくとも2つのアームの各々は、それぞれの関節を用いて互いに枢動可能に接続された第1のアーム部材および第2のアーム部材を有する。第1のアーム部材の中央領域では、各アームは、各支持部品上の枢軸点に対して枢動可能に接続されている。少なくとも2つのアームの各第1のアーム部材の関節接続の反対側の端部には、把持部が取り付けられている。把持部間の距離の中央が、センタリング位置の垂直軸を決定する。各アームの把持部と枢軸点との間の距離は、同一である。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、各第2のアーム部材の関節接続の反対側の端部が、少なくとも1つの枢軸点に対して枢動可能に接続されたコネクタをさらに備え、コネクタは、誘導構成要素上に可動に接続されている。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、そのコネクタおよびさらなるコネクタに接続された弾性部材をさらに備える。さらなるコネクタは、誘導構成要素上に可動に接続される。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、さらなるコネクタに連結されたアクチュエータをさらに備える。
【0010】
また、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットと、異なる寸法の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを受けるように構成された1つまたは複数の可撓性アダプタを有する少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントホルダと、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを備える、試験所システムに関する。少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントは、試験試料を含む容器であり、診断試験所内移送コンパートメントホルダ内に挿入される。
【0011】
また、本発明は、本明細書に記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットを使用して、診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための方法に関する。方法は、以下の、
・少なくとも2つのアームの枢軸点から離れるようにさらなるコネクタを移動させるステップであって、少なくとも2つのアームの各々の回転をもたらし、それにより把持部を診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置に位置決めする、ステップと、
・把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを移動させるステップと、
・さらなるコネクタを少なくとも2つのアームの枢軸点の方向へ移動させるステップであって、アームの各々の回転をもたらし、それにより把持部をセンタリング位置の垂直軸の方向へ移動させ、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントを両側から押圧し、診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸と位置合わせする、ステップと、
・診断試験所内移送コンパートメントを解放するために第1のステップを繰り返すステップと、
・把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを除去するステップとを
含む。
【0012】
また、本発明は、1つの端部毎に把持部を有する少なくとも2つのヒンジ式アームを備える診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットに関する。少なくとも2つのヒンジ式アームが、フレームに枢動可能に互いに対向して搭載されている。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、ヒンジ式アームの他の端部の各々が、枢動可能に接続されたコネクタをさらに備え、コネクタは、誘導構成要素上に可動に接続されている。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、さらなるコネクタを備える。さらなるコネクタおよびコネクタは、弾性部材を使用して、互いに弾性的に接続されており、さらなるコネクタは、誘導構成要素上に可動に接続されている。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、また、さらなるコネクタを移動させるためのアクチュエータを備える。
【0013】
また、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットと、異なる寸法の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを受けるように構成された1つまたは複数の可撓性アダプタを有する少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントホルダと、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを備える、試験所システムに関する。少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントは、試験試料を含む容器であり、診断試験所内移送コンパートメントホルダ内に挿入される。
【0014】
また、本発明は、本明細書に記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットを使用して、診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための方法に関する。方法は、以下の、
・さらなるコネクタを第1の移動方向へ移動させるステップであって、それにより少なくとも2つのヒンジ式アームを伸張させ、把持部を診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置に位置決めする、ステップと、
・把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを移動させるステップと、
・さらなるコネクタを第2の移動方向へ移動させるステップであって、それにより少なくとも2つのヒンジ式アームを屈曲させ、把持部をセンタリング位置の垂直軸の方向へ移動させ、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントを両側から押圧し、診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸と位置合わせする、ステップと、
・診断試験所内移送コンパートメントを解放するために第1のステップを繰り返すステップと、
・把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを除去するステップとを
含む。
【0015】
本発明は、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットに関する。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、互いに対向するフレーム上に固定された少なくとも2つの支持部品を備える。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも2つのアームをさらに備える。少なくとも2つのアームの各々は、それぞれの関節を用いて互いに枢動可能に接続された第1のアーム部材および第2のアーム部材を有する。第1のアーム部材の中央領域では、各アームは、各支持部品上の枢軸点に対して枢動可能に接続されている。少なくとも2つのアームの各第1のアーム部材の関節接続の反対側の端部には、把持部が取り付けられている。把持部間の距離の中央が、センタリング位置の垂直軸を決定する。各アームの把持部と枢軸点との間の距離は、同一である。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、各第2のアーム部材の関節接続の反対側の端部が、少なくとも1つの枢軸点に対して枢動可能に接続されたコネクタをさらに備え、コネクタは、誘導構成要素上に可動に接続されている。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、そのコネクタおよびさらなるコネクタに接続された弾性部材をさらに備える。さらなるコネクタは、誘導構成要素上に可動に接続される。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、さらなるコネクタに連結されたアクチュエータをさらに備える。
【0016】
この診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの利点は、少なくとも2つのアームが単一の可動コネクタに接続され、ピペット装置の吸引および/または分注位置または取扱装置の取扱位置に対する、診断試験所内移送コンパートメントのより信頼できる良好なセンタリングのための2つのアームの同期回転を可能にすることである。
【0017】
本明細書では、用語「センタリング」は、診断試験所内移送コンパートメントおよび/または診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸を、センタリング位置の垂直軸と位置合わせするプロセスに関する。センタリング位置の垂直軸は、結果として、ピペット装置の吸引/分注位置および/または取扱もしくは分類装置の取扱位置に位置合わせされる。ピペット装置または診断試験所内移送コンパートメント取扱装置は、予備分析、分析、または後分析ステーションの一部であってもよい。予備分析ステーションは、通常、試験試料または試料試験管の予備的な処理に使用され得る。分析ステーションは、例えば、分析物が存在するかどうか、存在する場合濃度はいくらかを判定することが可能な、測定可能な信号を生成するために、試験試料または試験試料の一部および試験試薬を使用するように設計され得る。後分析ステーションは、通常、試験試料の保管などの試験試料の後処理のために使用され得る。予備分析、分析、および後分析ステーションは、例えば、以下のステーション群、試験試料または試験試料試験管を分類するための分類ステーション、試料試験管のキャップを取るまたは閉めるためのキャップ除去ステーション、試料試験管にキャップをはめるまたは閉めるためのキャップ装着ステーション、試料をピペット処理するためのピペットステーション、試料をアリコートするためのアリコートステーション、試料を遠心分離するための遠心分離ステーション、試料を分析するための分析器、試料を保管するための保管ステーション、試料試験管タイプを判定するための試料試験管タイプ判定ステーション、試料品質を判定するための試料品質判定ステーション、の少なくとも1つのステーションを備え得る。
【0018】
本明細書では、用語「センタリングユニット」は、診断試験所内移送コンパートメントおよび/または診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸を、センタリング位置の垂直軸と位置合わせするセンタリングプロセスを実行する装置に関する。
【0019】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの動作中は、周囲に対して動かない固定基礎または組立台であるフレームを備える。フレームは、支持部品をフレーム内外の3次元空間内に位置決めするために、支持部品をしっかりと固定する(例えば、溶接、ボルト止め、など)ように適合される。フレームは、1つの部品または互いに相互接続された複数の部品で構成され得る。フレームは、十分な剛性をもたらす任意の適切な材料からなる(例えば、金属、プラスチック、など)。フレームは、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットまたはコンベヤ、予備分析、分析、および後分析システムなどの他のシステムの他のフレームに接続され得る。
【0020】
さらに具体的な実施形態では、フレームは、診断試験所内移送コンパートメントのための移送経路を包囲する、底部および2つの対向する側壁を備えるスリースを形成し得る。側壁のうちの1つは、移送経路への進入路を提供するために開口している。底部は、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤを収容するように構成される。
【0021】
別の実施形態では、フレームは、センタリングユニットの剛体台座、または予備分析、分析、および後分析システムなどの接続されたシステムの一部であり得る。
【0022】
別の実施形態では、フレームは、センタリングユニットの剛体筐体、または予備分析、分析、および後分析システムなどの接続されたシステムの一部であり得る。
【0023】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、互いに対向するフレーム上に、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントが2つの支持部品間に位置決めされ得る最小距離で固定された少なくとも2つの支持部品を備える。支持部品は、少なくとも1つの他の部品をフレーム内外の3次元空間内に位置決めするために、少なくとも1つの他の部品が可動に(例えば、枢軸点、関節などにより接続され)または不可動に(例えば、溶接、ボルト止め、など)接続され得る担体構成要素であり得る。
【0024】
ある実施形態では、フレームおよび支持部品は、単一の部品として成型される。このことは、センタリングユニットの剛性を改善し、それゆえ診断試験所内移送コンパートメントのセンタリングの精度を改善する。
【0025】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、互いに対向して位置決めされた把持部を有し、アーム対を形成する2つのアームを備える。把持部間の距離の中央が、センタリング位置の垂直軸を決定する。アーム対の把持部は、受取りおよび解放の位置ならびにセンタリング位置に位置決めされ得る。受取りおよび解放の位置では、診断試験所内移送コンパートメントおよび/または診断試験所内移送コンパートメントホルダを2つの把持部間で移動および/または再移動させるために、2つの把持部間の距離は、十分に広い。センタリング位置では、2つの把持部は、両側からセンタリング位置の垂直軸の方向に一様に押圧する。診断試験所内移送コンパートメントが、2つの把持部間に位置決めされる場合、2つの把持部は、両側から診断試験所内移送コンパートメントを一様に押圧し、それにより診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングする。
【0026】
ある実施形態では、少なくとも2つのアームの各々は、第1のアーム部材および第2のアーム部材を備える。第1のアーム部材は、第2のアーム部材と比較して、異なるまたは同一の形状および/または寸法(例えば、長さ、直径、幅など)を有する。十分な剛性を有する任意の適切な材料(例えば、金属またはプラスチック)からなる第1および第2のアーム部材は、それぞれの関節を用いて互いに枢動可能に接続される。
【0027】
さらに具体的な実施形態では、それぞれの関節は、第1および第2のアーム部材が互いの方向および離れる方向へ枢動し、それにより2つのアームを屈曲および伸張させることを可能にする、ピン継手である。
【0028】
ある実施形態では、2つのアームの各々は、2つのアームの各々の第1のアーム部材の中央領域にある2つの支持部品の各々の上の枢軸点に対して枢動可能に接続されている。
【0029】
さらに具体的な実施形態では、把持部と少なくとも2つのアームの各々の枢軸点との間の距離、および枢軸点と少なくとも2つのアームの各々のそれぞれの関節との間の距離は、1と0.1の間の比を有する。この配置の利点は、第1および第2のアーム部材の長い回転動作が、短くさらに高精度な把持部動作へと変換されることである。したがって、第1および第2のアーム部材の製造公差は、補償され、試験所内移送コンパートメントのさらに正確なセンタリングをもたらし得る。
【0030】
ある実施形態では、各アームはまた、第1のアーム部材の関節接続の反対側の端部に、把持部がセンタリング位置にあるとき把持部が水平に位置決めされるようにある角度で取り付けられた把持部を備える。
【0031】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントの高さに対する把持部の位置は、信頼できる試験試料処理が可能であるように選択される。
【0032】
さらに具体的な実施形態では、把持部は、把持部による汚染を回避することによって試験試料を高信頼性において処理するために、試験所内移送コンパートメントの上部開口下の高さが少なくとも20%の位置で診断試験所内移送コンパートメントを把持するように構成され得る。さらに、診断試験所内移送コンパートメントの表面に対する把持部の接触点、ライン、または領域のサイズは、貼付されたバーコードまたはRFIDタグを損傷するリスクを最小限にするためにできるだけ小さくされている。
【0033】
ある実施形態では、少なくとも2つのアームの把持部は、二またに分かれている。各二またに分かれた把持部は、2つの左右対称な同一の長さの、互いに1°と179°の間の角度を有するフィンガを備え、2つのフィンガ先端は、把持部がセンタリング位置にあるとき、水平面上に位置決めされる。2つのフィンガは、直線のまたは湾曲した形状、あるいはその組合せを有する。2つの直線のフィンガおよび互いに90°の角度を有する二またに分かれた把持部の一例は、診断試験所内移送コンパートメントと2つの分離した接点で接触するV字形状把持部である。センタリングされることになる診断試験所内移送コンパートメントの寸法の範囲により、2つのフィンガ間の角度は、選択されるべきである。診断試験所内移送コンパートメントの寸法が大きいほど、選択される角度は、より大きくなる。把持部と診断試験所内移送コンパートメントとの間の接点は、センタリング安定性を改善する湾曲形状を有するフィンガによって、増大され得る。二またに分かれた把持部は、円筒状の診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0034】
別の実施形態では、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントに2つの対向する接触ラインまたは接触領域で接触する平坦なクランプであってもよい。平坦なクランプは、直方体の診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0035】
ある実施形態では、センタリング位置の垂直軸は、2つの対向する把持部間の距離の中央によって決定される。把持部が、二またに分かれているとき、センタリング位置の垂直軸は、二またに分かれた把持部の2つの対向するフィンガ先端間の距離の中央によってさらに決定される。
【0036】
ある実施形態では、センタリング位置の垂直軸は、ピペット装置の吸引および/または分注位置に位置合わせされ、正確かつ安全なピペット操作を可能にする。
【0037】
別の実施形態では、センタリング位置の垂直軸は、診断試験所内移送コンパートメント取扱装置の取扱位置に位置合わせされ、正確かつ安全な取扱操作を可能にする。
【0038】
ある実施形態では、各アームの把持部と枢軸点との間の距離は、第1のアーム部材の全体の製造精度の範囲内で、同一である。このことは、把持部の接触点、ライン、または領域が、センタリング位置の垂直軸に関して互いに対向することを保証する。
【0039】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、2つのアームが枢動可能に接続されるコネクタをさらに備える。
【0040】
さらに具体的な実施形態では、2つの第2のアーム部材の関節接続の反対の端部が、コネクタ上の2つの枢軸点に対して枢動可能に接続される。
【0041】
代替の実施形態では、2つの第2のアーム部材の関節接続の反対の端部が、コネクタ上の1つの枢軸点に対して枢動可能に接続される。
【0042】
ある実施形態では、ピペット装置が、アーム対の把持部間に配置されるときの診断試験所内移送コンパートメントの開口上部に直接進入路を有するように、コネクタは、アーム対の下方に配置される。このことにより、診断試験所内移送コンパートメントが2つのアームの把持部間に位置決めされ、センタリングされた位置に維持されるとき、安全なピペット処理が可能になる。
【0043】
ある実施形態では、取扱装置が、アーム対の把持部間に配置されるとき、診断試験所内移送コンパートメントの上部に直接進入路を有するように、コネクタは、アーム対の下方に配置される。このことにより、診断試験所内移送コンパートメントが2つのアームの把持部間に位置決めされ、センタリングされた位置に維持されるとき、安全な取扱操作が可能になる。
【0044】
ある実施形態では、診断試験所内移送用センタリングユニットは、また、コネクタが可動に接続された誘導構成要素を備える。誘導構成要素は、第1の移動方向と、第1の方向と反対の第2の移動方向と、コネクタの移動距離とを規定する。コネクタの二方向移動は、把持部を受取りおよび解放の位置、ならびにセンタリング位置に導くために、2つのアームの同期した回転に変換される。2つのアームの同期は、それゆえ、有利に、診断試験所内移送コンパートメントを正確にセンタリングすることができる。
【0045】
具体的な実施形態では、コネクタの二方向移動は、直線的な下方/上方への移動または前方/後方への移動である。
【0046】
さらに具体的な実施形態では、誘導構成要素は、コネクタに関してセンタリングされた垂直の向きを有するコネクタの上方および下方への移動のためのロッドである。コネクタの上方への移動は、2つのアーム部材の互いに対する回転をもたらす。それにより、アームは屈曲し、把持部は、センタリング位置の垂直軸の方向へ同期して移動する。コネクタの下方への移動は、2つのアーム部材の互いから離れる回転をもたらす。それにより、アームは伸張し、把持部は、センタリング位置の垂直軸の方向から離れる方向へ、かつ診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置へ、同期して移動する。
【0047】
ある実施形態では、コネクタは、コネクタを誘導構成要素に沿って下方に移動させるために十分に重い材料(例えば、鉄または重い合金)からなる。
【0048】
さらに具体的な実施形態では、誘導構成要素は、把持部間に配置されている診断試験所内移送コンパートメントの上部への直接進入路を提供するために、コネクタの下方に配置され得る。
【0049】
ある実施形態では、診断試験所内移送用センタリングユニットは、そのコネクタおよびさらなるコネクタに接続された弾性部材をさらに備える。さらなるコネクタは、誘導構成要素上に可動に接続される。コネクタとさらなるコネクタとの間の弾性部材が、さらなるコネクタの移動を、コネクタ、少なくとも2つのアーム、および把持部の弾性的移動に変換する。したがって、コネクタとさらなるコネクタとの間に接続された弾性部材は、診断試験所内移送コンパートメントの多様な寸法を補償し得る。それゆえ、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントの適合およびセンタリングは、単一の弾性部材に依存する。このことにより、2つの分離したまたは複数の弾性部材の不均一な劣化が生じないようにし得るので、維持活動およびコストが最小化され、可動停止時間が削減されることにより、毎日数百の診断試験所内移送コンパートメントが、センタリングされなければならない場合、困難な環境での長い稼働時間中、診断試験所内移送コンパートメントの正確で信頼性の高いセンタリングが可能になる。
【0050】
具体的な実施形態では、弾性部材は、ばねである。ばねは、線形特性ばねであり、誘導構成要素を取り囲んでもよい。
【0051】
ある実施形態では、さらなるコネクタは、誘導構成要素上に可動に接続される。把持部間に配置されている診断試験所内移送コンパートメントの上部への直接進入路を提供するために、さらなるコネクタは、コネクタの下方で誘導構成要素上に可動に接続される。
【0052】
ある実施形態では、さらなるコネクタは、互いに接続された上部構成要素および下部構成要素を備え、誘導構成要素に関して上方および下方からコネクタを取り囲む。さらなるコネクタの上部構成要素は、さらなるコネクタが下方へ移動しているとき、コネクタの下方への移動を支援する。
【0053】
ある実施形態では、診断試験所内移送用センタリングユニットは、さらなるコネクタに連結されたアクチュエータをさらに備える。アクチュエータは、センタリングユニットのさらなるコネクタを、誘導構成要素に沿って、第1の移動方向および第1の方向と反対の第2の移動方向へ移動させる。アクチュエータは、さらなるコネクタに歯付きベルトを用いて連結されている、能動的に回転するロータを有する電気モータであってもよい。
【0054】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも1つのさらなる支持部品と、把持部を有するさらなるアームと、診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸と位置合わせするための相手側部品とを、備える。少なくとも1つのさらなる支持部品は、フレーム上に、または少なくとも2つの支持部品のうちの1つと誘導構成要素との間のさらなるフレーム上に、固定される。さらなるアームが、さらなる弾性部材を有するさらなる支持部品上の枢軸点に対して枢動可能に接続される。さらなるアームは、露出端部と、露出端部の反対側の端部に取り付けられ、少なくとも2つのアームの把持部のうちの1つと誘導構成要素との間に配置された、さらなる把持部とを、有する。相手側部品は、フレーム上、またはさらなる把持部がセンタリング位置にあるときにさらなる把持部に対向するさらなるフレーム上に固定される。
【0055】
具体的な実施形態では、さらなるアームの露出端部は、少なくとも2つのアームのうちの1つの第1のアーム部材および第2のアーム部材によって画定された平面状の三角形内に配置される。この配置により、1つのアームが、1つのアームの2つのアーム部材が互いから離れるように回転することによって伸張されるとき、少なくとも2つのアームのうちの1つは、さらなるアームの露出端部を押圧する。露出端部上に結果として得られた圧力は、さらなるアームの回転をもたらし、それによりさらなる把持部を診断試験所内移送コンパートメントホルダの受取りおよび解放の位置に位置決めする。さらなるアームの回転を介して、さらなる弾性部材上の張力を発生させる。1つのアームの2つのアーム部材が、互いの方向へ回転し、1つのアームが屈曲するとき、さらなるアームの露出端部は、解放され、さらなる弾性部材の張力緩和をもたらし、さらなる把持部は、センタリング位置の垂直軸の方向へ移動する。2つのアームのうちの1つが、さらなるアームの回転動作と、さらなる把持部の位置決めとを制御するので、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、診断試験所内移送コンパートメントと、その対応する診断試験所内移送コンパートメントホルダとを単一のアクチュエータを使用して同時に、有利にセンタリングすることができる。
【0056】
さらに具体的な実施形態では、さらなる弾性部材は、ねじりばねである。
【0057】
さらなる具体的な実施形態では、さらなる把持部は、二またに分かれた把持部である。これは、円筒状の診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0058】
代替実施形態では、さらなる把持部は、平坦なクランプである。これは、直方体の診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0059】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、診断試験所内移送コンパートメントホルダのセンタリングを支援するために使用される相手側部品をさらに備える。相手側部品は、フレーム上、またはさらなる把持部がセンタリング位置にあるときにさらなる把持部に対向するさらなるフレーム上に固定される。相手側部品およびさらなる把持部は、互いに対する第2の最小距離を有し、その結果、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントホルダは、さらなる把持部と相手側部品との間に位置決めされ得るようになる。簡潔な相手側部品の使用は、同一の寸法の標準化された診断試験所内移送コンパートメントがセンタリングされなければならないとき、有利である。
【0060】
ある実施形態では、相手側部品は、第2のさらなる支持部品およびさらなる把持部を有する第2のさらなるアームによって置換される。
【0061】
さらに具体的な実施形態では、さらなるアームおよび第2のさらなるアームは、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするために、互いに対向して配置される。相手側部品は、フレーム上に、または少なくとも2つの支持部品のうちの1つと誘導構成要素との間のさらなるフレーム上に、固定された、第2のさらなる支持部品を備える。相手側部品は、さらなる弾性部材を有する第2のさらなる支持部品上の枢軸点に対して枢動可能に接続された、第2のさらなるアームを備える。第2のさらなるアームは、露出端部と、露出端部の反対側の端部に取り付けられ、少なくとも2つのアームの把持部のうちの1つと誘導構成要素との間に配置された、さらなる把持部とを、有する。さらなるアームおよび第2のさらなるアームのさらなる把持部間の距離の中央が、センタリング位置の垂直軸を決定する。さらなるアームおよび第2のさらなるアームの各々のさらなる把持部と枢軸点との間の距離は、さらなるアームの全体の製造精度の範囲内で、同一である。このことは、診断試験所内移送コンパートメントホルダの表面上の2つのさらなる把持部の接触点、ライン、または領域が、診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸に関して互いに対向することを保証する。
【0062】
具体的な実施形態では、第2のさらなるアームの露出端部は、少なくとも2つのアームのうちの1つの第1のアーム部材および第2のアーム部材によって画定された平面状の三角形内に配置される。この配置により、1つのアームが、1つのアームの2つのアーム部材が互いから離れるように回転することによって伸張されるとき、少なくとも2つのアームのうちの1つは、第2のさらなるアームの露出端部を押圧する。露出端部上に結果として得られた圧力は、第2のさらなるアームの回転をもたらし、それによりさらなる把持部を診断試験所内移送コンパートメントホルダの受取りおよび解放の位置に位置決めする。第2のさらなるアームの回転を介して、さらなる弾性部材上の張力を発生させる。1つのアームの2つのアーム部材が、互いの方向へ回転し、1つのアームが屈曲するとき、第2のさらなるアームの露出端部は、解放され、さらなる弾性部材の張力緩和をもたらし、さらなる把持部は、センタリング位置の垂直軸の方向へ移動する。この配置により、少なくとも2つのアームは、さらなるアームおよび第2のさらなるアームの回転動作、ならびに2つのさらなる把持部の位置決めを制御する。したがって、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントおよび異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントホルダを、単一のアクチュエータを使用して同時に、有利にセンタリングすることができる。
【0063】
さらに具体的な実施形態では、第2のさらなるアームのさらなる弾性部材は、ねじりばねである。
【0064】
さらなる具体的な実施形態では、第2のさらなるアームのさらなる把持部は、二またに分かれた把持部である。これは、異なる寸法の円筒状の診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0065】
代替実施形態では、第2のさらなるアームのさらなる把持部は、平坦なクランプである。これは、異なる寸法の直方体の診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0066】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも2つのアーム間を移動するとき診断試験所内移送コンパートメントまたは診断試験所内移送コンパートメントホルダに起因する光ビームの遮断を検出するように適合された光バリアをさらに備える。光ビームの遮断は、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのさらなるコネクタを移動させるために、信号を解釈し命令をアクチュエータに送信するように構成されたソフトウェアを実行するように適合されたコンピュータデバイスを備える制御装置に伝送される信号を生成する。信号の1つの解釈は、診断試験所内移送コンパートメントホルダが、2つの把持部間に位置決めされ、アクチュエータが、センタリング位置に2つの把持部を位置決めするために、さらなるコネクタを移動させることである。
【0067】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤ上で移送される診断試験所内移送コンパートメントホルダを停止させるように構成されたストッパをさらに備え得る。ストッパは、診断試験所内移送コンパートメントホルダの移送経路を遮断および解放するための、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤの移送経路に対して垂直の向きを有する、フレーム上またはさらなるフレーム上に固定された枢動障壁であり得る。結果的に、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットに対して固定して維持され得て、その結果、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントおよび診断試験所内移送コンパートメントホルダをセンタリングすることができる。
【0068】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも1つのさらなる診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットに接続される。各診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのさらなるコネクタは、共通コネクタに接続される。共通コネクタは、少なくとも2つの誘導構成要素上に可動に接続され、アクチュエータに連結される。
【0069】
ある実施形態では、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの数は、ピペット装置の吸引/分注位置、および/または診断試験所内移送コンパートメント取扱装置の取扱位置の数に等しい。したがって、複数のアーム対を作動させることが可能であり、それにより、複数の診断試験所内移送コンパートメントおよび/または診断試験所内移送コンパートメントホルダを単一のアクチュエータで同時にセンタリングする。さらに、この配置により、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのさらなるアームは、試験試料試験管立てまたは試験試薬カセットラックを共にセンタリングすることができる。
【0070】
さらなる実施形態では、共通コネクタは、アクチュエータの拡張された能動的に回転するロータに、共通コネクタの各端部に配置された2つの歯付きベルトを介して、連結され得る。この構成により、共通コネクタの誘導および移動が、最適化される。
【0071】
ある具体的な実施形態では、共通コネクタは、第3の移動方向と、第3の方向と逆方向の第4の移動方向と、さらに共通コネクタの移動距離とを規定する追加の誘導構成要素上に可動に接続され、追加の誘導構成要素の第3の移動方向は、誘導構成要素の第1の移動方向と平行であり、追加の誘導構成要素の第4の移動方向は、誘導構成要素の第2の移動方向と平行である。追加の誘導構成要素は、共通コネクタの誘導および移動を支援し、さらに最適化する。
【0072】
さらに具体的な実施形態では、追加の誘導構成要素は、共通コネクタを取り囲む所定の長さを有する2つの平行なレールまたは切欠きを備える。
【0073】
ある実施形態では、共通コネクタは、互いに接続された上部構成要素および下部構成要素を備え、誘導構成要素に関して上方および下方から各センタリングユニットのコネクタを取り囲む。共通コネクタの上部構成要素は、共通コネクタが下方へ移動しているとき、各センタリングユニットのコネクタの下方への移動を支援する。
【0074】
また、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットと、異なる寸法の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを受けるように構成された1つまたは複数の可撓性アダプタを有する少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントホルダと、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを備える、試験所システムに関する。少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントは、試験試料を含む容器であり、診断試験所内移送コンパートメントホルダ内に挿入される。
【0075】
本明細書では、用語「診断試験所内移送コンパートメントホルダ」は、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを、受けること、保持すること、移送すること、および/または解放することに適合された任意の装置に関する。
【0076】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、円筒状の形状と、閉鎖底部と、1つの診断試験所内移送コンパートメントを直立体勢で挿入するための挿入領域を有する開口上部とを有する。診断試験所内移送コンパートメントホルダは、その水平断面と垂直で、中間点にある縦軸を有する。そのような円筒状の診断試験所内移送コンパートメントホルダの一例は、単一の試料試験管ホルダである。
【0077】
別の実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、直方体の形状と、閉鎖底部と、1つまたは複数の診断試験所内移送コンパートメントを直立体勢で挿入するための1つまたは複数の挿入領域を有する上部とを有する。直方体のホルダは、1つまたは複数の挿入領域の中間点に、その水平断面と垂直な1つまたは複数の縦軸を有する。そのような直方体の診断試験所内移送コンパートメントホルダの一例は、試験試料試験管立てである。そのような直方体の診断試験所内移送コンパートメントホルダの他の例は、試薬カセットラックである。
【0078】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントホルダの挿入領域は、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントを受けるように構成された可撓性アダプタを備える。
【0079】
本明細書では、用語「診断試験所内移送コンパートメント」は、試験試料(例えば、血液、尿、血清、血漿、または溶解された生検試料など)、試験試薬(例えば、免疫化学検査用試薬、臨床化学検査、凝固検査、血液検査、分子生物学の試験など)、またはその組合せなどの内容物を、受けること、貯蔵すること、移送すること、および/または解放することに適合された容器に関する。診断試験所内移送コンパートメントの内容物、試料処理ステップ、および製造者により材料は、直径、辺長、高さ、および形状などの診断試験所内移送コンパートメントの寸法と共に、さまざまである。
【0080】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントは、円筒形状、閉鎖底部、およびに開口上部を有する容器であり、円筒状の容器は、その水平断面と垂直で、中間点にある縦軸を有する。別法として、円筒状の容器の閉鎖底部は、丸みを帯びていてもよい。そのような円筒状の診断試験所内移送コンパートメントの一例は、試験試料を含む容器である。
【0081】
別の実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントは、直方体の形状と、閉鎖底部と、1つのまたは複数のピペット処理用開口を有する上部とを有する容器である。直方体の容器は、1つまたは複数のピペット処理用開口の中間点に、その水平断面と垂直な1つまたは複数の縦軸を有する。そのような直方体の診断試験所内移送コンパートメントの一例は、試験試薬を含む試薬カセットである。そのような直方体の診断試験所内移送コンパートメントの他の例は、試験試料または試験試薬、あるいはその混合物を含む反応キュベットである。
【0082】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントは、診断試験所内移送コンパートメントに接続された、または独立で提供された、キャップまたは蓋を備えている。
【0083】
ある実施形態では、試験所システムは、少なくとも1つの吸引および/または分注位置を有するピペット装置をさらに備える。少なくとも1つの吸引および/または分注位置は、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのセンタリング位置の垂直軸に位置合わせされる。この配置により、試料および/または試薬の正確で安全なピペット処理が保証される。
【0084】
別の実施形態では、試験所システムは、少なくとも1つの取扱位置を有する取扱装置をさらに備える。少なくとも1つの取扱位置は、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのセンタリング位置の垂直軸に位置合わせされる。この配置により、試験所内移送コンパートメントの正確で安全な取扱いが保証される。
【0085】
ある実施形態では、ピペット装置および/または取扱装置は、予備分析、分析、または後分析ステーションの一部である。
【0086】
ある実施形態では、試験所システムは、試験所コンベヤシステムに動作可能に連結されることが可能である診断試験所内移送コンパートメントコンベヤをさらに備える。したがって、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤは、把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを移動および除去するために、試験所システムの予備分析、分析、および/または後分析ステーションなどのステーションに接続された試験所コンベヤシステムから、または試験所コンベヤシステムへ、診断試験所内移送コンパートメントを受け取り、解放することが可能である。
【0087】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤは、試験所コンベヤシステムの一部である。
【0088】
ある実施形態では、試験所コンベヤシステムは、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの前側に配置され、試験所コンベヤシステム上で移送される診断試験所内移送コンパートメントホルダを停止させるように構成されたストッパを、さらに備え得る。ストッパは、診断試験所内移送コンパートメントホルダの移送経路を遮断および解放するための、試験所コンベヤシステムの移送経路に対して垂直の向きを有する、枢動障壁であり得る。結果的に、診断試験所内移送コンパートメントは、試験所コンベヤシステム上で固定して維持され得て、その結果、所定数の後続の診断試験所内移送コンパートメントが一番目の診断試験所内移送コンパートメントホルダに追いつくことができ、一群の診断試験所内移送コンパートメントが、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットへさらに移送され得る。
【0089】
また、本発明は、本明細書に記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットを使用して、診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための方法に関する。方法は、以下の、
a)少なくとも2つのアームの枢軸点から離れるようにさらなるコネクタを移動させるステップであって、少なくとも2つのアームの各々の回転をもたらし、それにより把持部を診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置に位置決めする、ステップと、
b)把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを移動させるステップと、
c)さらなるコネクタを少なくとも2つのアームの枢軸点の方向へ移動させるステップであって、アームの各々の回転をもたらし、それにより把持部をセンタリング位置の垂直軸の方向へ移動させ、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントを両側から押圧し、診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸と位置合わせする、ステップと、
d)診断試験所内移送コンパートメントを解放するために第1のステップを繰り返すステップと、
e)把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを除去するステップとを
含む。
【0090】
その方法は、試験試料のピペット処理などの試料処理ステップが開始される前に、短時間で実行されなければならない。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットが、診断試験所内移送コンパートメントの開口上部への直接進入路を提供するので、その方法は、ピペット装置の直ぐ前で、またはまさにピペット装置において実行され得る。試験所内移送コンパートメントは、さらに、試料のピペット処理中、センタリングユニットの把持部によって、センタリング位置に維持され得て、このことが、試料処理ステップの安全性を顕著に改善する。
【0091】
ステップc)において、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントを両側から押圧し、診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸と位置合わせする。両方の把持部が、同一の弾性部材にコネクタを介して弾性的に連結されているので、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントを均一に両側から押圧する。このことは、複数の弾性部材の製造公差が回避されるので、異なる寸法を有する診断試験所内移送コンパートメントの、センタリング信頼性だけでなく、センタリング精度をも改善する。診断試験所内移送コンパートメントの正確なセンタリングは、試験試料分析のプロセスで通常実行されるピペット操作中の、診断試験所内移送コンパートメントとピペット装置との間の任意の接触を回避する。したがって、正確で信頼できるセンタリングの主要な利点は、診断試験所内移送コンパートメントおよびピペット装置の任意の試験試料相互汚染および損傷が、回避され、試験試料分析結果が、必要な品質および時間内でもたらされることである。
【0092】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングする方法は、診断試験所内移送コンパートメントホルダをセンタリングするステップa)およびステップc)における以下のステップをさらに含む。
・ステップa)において、回転するアームのうちの少なくとも1つが、さらなるアームの露出端部を押圧し、さらなるアームの回転をもたらし、それによりさらなるアームのさらなる把持部を診断試験所内移送コンパートメントホルダの受取りおよび解放の位置に位置決めする。そして、さらなるアームの回転が、さらなる弾性部材上の張力を発生させる。
・ステップc)において、回転するアームのうちの1つが、さらなるアームの露出端部を解放し、さらなる弾性部材の張力緩和およびさらなるアームの回転をもたらし、それにより、さらなる把持部をセンタリング位置の垂直軸の方向へ移動させる。把持部は、診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の縦軸に位置合わせするために、診断試験所内移送コンパートメントホルダと相手側部品とを押圧する。
【0093】
その方法のある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントの縦軸がセンタリング位置の垂直軸と位置合わせされる前に、診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸がセンタリング位置の垂直軸に位置合わせされ、診断試験所内移送コンパートメントが解放されたあとに解放される。
【0094】
その方法のさらなる実施形態では、少なくとも2つのアームの把持部間の診断試験所内移送コンパートメントの移動、および少なくとも2つのアームの把持部間の診断試験所内移送コンパートメントの除去は、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤによって介在される。
【0095】
また、本発明は、1つの端部毎に把持部を有する少なくとも2つのヒンジ式アームを備える診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットに関する。少なくとも2つのヒンジ式アームが、フレームに枢動可能に互いに対向して搭載されている。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、ヒンジ式アームの他の端部の各々が、枢動可能に接続されたコネクタをさらに備え、コネクタは、誘導構成要素上に可動に接続されている。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、さらなるコネクタを備える。さらなるコネクタおよびコネクタは、弾性部材を使用して、互いに弾性的に接続されており、さらなるコネクタは、誘導構成要素上に可動に接続されている。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、また、さらなるコネクタを移動させるためのアクチュエータを備える。
【0096】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの動作中は、周囲に対して動かない固定基礎または組立台であるフレームを備える。フレームは、支持部品をフレーム内外の3次元空間内に位置決めするために、支持部品をしっかりと固定する(例えば、溶接、ボルト止め、など)ように適合される。フレームは、1つの部品または互いに相互接続された複数の部品で構成され得る。フレームは、十分な剛性をもたらす任意の適切な材料からなる(例えば、金属、プラスチック、など)。フレームは、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットまたはコンベヤ、予備分析、分析、および後分析システムなどの他のシステムの他のフレームに接続され得る。
【0097】
さらに具体的な実施形態では、フレームは、診断試験所内移送コンパートメントのための移送経路を包囲する、底部および2つの対向する側壁を備えるスリースを形成し得る。側壁のうちの1つは、移送経路への進入路を提供するために開口している。底部は、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤを収容するように構成される。
【0098】
別の実施形態では、フレームは、センタリングユニットの剛体台座、または予備分析、分析、および後分析システムなどの接続されたシステムの一部であり得る。
【0099】
別の実施形態では、フレームは、センタリングユニットの剛体筐体、または予備分析、分析、および後分析システムなどの接続されたシステムの一部であり得る。
【0100】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、互いに対向するフレーム上に、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントが2つの支持部品間に位置決めされ得る最小距離で固定された少なくとも2つの支持部品を備える。支持部品は、少なくとも1つの他の部品をフレーム内外の3次元空間内に位置決めするために、少なくとも1つの他の部品が可動に(例えば、枢軸点、関節などにより接続され)または不可動に(例えば、溶接、ボルト止め、など)接続され得る担体構成要素であり得る。
【0101】
ある実施形態では、フレームおよび支持部品は、単一の部品として成型される。このことは、センタリングユニットの剛性を改善し、それゆえ診断試験所内移送コンパートメントのセンタリングの精度を改善する。
【0102】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、1つの端部毎に把持部を有する少なくとも2つのヒンジ式アームを備える。少なくとも2つのヒンジ式アームが、アーム対を形成するフレームに枢動可能に互いに対向して搭載されている。アーム対の把持部は、少なくとも2つのヒンジ式アームの各々を屈曲および伸張させることによって、受取りおよび解放の位置ならびにセンタリング位置に位置決めされ得る。受取りおよび解放の位置では、診断試験所内移送コンパートメントおよび/または診断試験所内移送コンパートメントホルダを2つの把持部間で移動および/または再移動させるために、2つの把持部間の距離は、十分に広い。センタリング位置では、2つの把持部は、両側からセンタリング位置の垂直軸の方向に一様に押圧する。診断試験所内移送コンパートメントが、2つの把持部間に位置決めされる場合、2つの把持部は、両側から診断試験所内移送コンパートメントを一様に押圧し、それにより診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングする。
【0103】
ある実施形態では、少なくとも2つのヒンジ式アームの各々は、それぞれの関節を用いて互いに枢動可能に接続された第1のアーム部材および第2のアーム部材を有する。第1のアーム部材は、第2のアーム部材と比較して、異なるまたは同一の形状および/または寸法(例えば、長さ、直径、幅など)を有する。第1および第2のアーム部材は、十分な剛性を有する任意の適切な材料(例えば、金属またはプラスチック)からなる。各ヒンジ式アームはまた、第1のアーム部材の関節接続の反対側の端部に、把持部がセンタリング位置にあるとき、把持部が水平に位置決めされる角度で取り付けられた把持部を備える。
【0104】
さらに具体的な実施形態では、それぞれの関節は、ピン継手であり、各ヒンジ式アームの第1および第2のアーム部材が互いの方向および離れる方向へ枢動し、それにより少なくとも2つのヒンジ式アームの各々を屈曲および伸張させることを可能にする。
【0105】
ある実施形態では、それぞれの関節は、伸縮性のある継手であり、各ヒンジ式アームの第1および第2のアーム部材が互いの方向および離れる方向へ枢動し、それにより少なくとも2つのヒンジ式アームの各々を屈曲および伸張させることを可能にする。
【0106】
ある実施形態では、各ヒンジ式アームの第1のアーム部材の中央領域は、フレーム上の枢軸点に対して枢動可能に接続されている。
【0107】
さらに具体的な実施形態では、把持部と少なくとも2つのヒンジ式アームの各々の枢軸点との間の距離、および枢軸点と少なくとも2つのヒンジ式アームの各々のそれぞれの関節との間の距離は、1と0.1の間の比を有する。この配置の利点は、第1および第2のアーム部材の長い回転動作が、短くさらに高精度な把持部動作へと変換されることである。したがって、第1および第2のアーム部材の製造公差は、補償され、試験所内移送コンパートメントのさらに正確なセンタリングをもたらし得る。
【0108】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントの高さに対する把持部の位置は、信頼できる試料処理が可能であるように選択される。
【0109】
さらに具体的な実施形態では、把持部は、把持部による汚染を回避することによって試験試料を高信頼性において処理するために、試験所内移送コンパートメントの上部開口下の高さが少なくとも20%の位置で診断試験所内移送コンパートメントを把持するように構成され得る。さらに、診断試験所内移送コンパートメントの表面に対する把持部の接触点、ライン、または領域のサイズは、貼付されたバーコードまたはRFIDタグを損傷するリスクを最小限にするためにできるだけ小さくされている。
【0110】
ある実施形態では、少なくとも2つのヒンジ式アームの把持部は、二またに分かれている。各二またに分かれた把持部は、2つの左右対称な同一の長さの、互いに1°と179°の間の角度を有するフィンガを備え、2つのフィンガ先端は、把持部がセンタリング位置にあるとき、水平面上に位置決めされる。2つのフィンガは、直線のまたは湾曲した形状、あるいはその組合せを有する。2つの直線のフィンガおよび互いに90°の角度を有する二またに分かれた把持部の一例は、診断試験所内移送コンパートメントと2つの分離した接点で接触するV字形状把持部である。センタリングされることになる診断試験所内移送コンパートメントの寸法の範囲により、2つのフィンガ間の角度は、選択されるべきである。把持部と診断試験所内移送コンパートメントとの間の接点は、センタリング安定性を改善する湾曲形状を有するフィンガによって、増大され得る。二またに分かれた把持部は、円筒状の診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0111】
さらなる実施形態では、ヒンジ式アームの把持部は、診断試験所内移送コンパートメントに2つの対向する接触ラインまたは接触領域で接触する平坦なクランプであってもよい。平坦なクランプは、直方体の診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0112】
ある実施形態では、センタリング位置の垂直軸は、2つの対向する把持部間の距離の中央によって決定される。把持部が、二またに分かれた把持部であるとき、センタリング位置の垂直軸は、二またに分かれた把持部の2つの対向するフィンガ先端間の距離の中央によってさらに決定される。
【0113】
ある実施形態では、センタリング位置の垂直軸は、ピペット装置の吸引および/または分注位置に位置合わせされ、正確かつ安全なピペット操作を可能にする。
【0114】
別の実施形態では、センタリング位置の垂直軸は、診断試験所内移送コンパートメント取扱装置の取扱位置に位置合わせされ、正確かつ安全な取扱操作を可能にする。
【0115】
ある実施形態では、各ヒンジ式アームの把持部と枢軸点との間の距離は、第1のアーム部材の全体の製造精度の範囲内で、同一である。このことは、把持部の接触点、ライン、または領域が、センタリング位置の垂直軸に関して互いに対向することを保証する。
【0116】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、2つのヒンジ式アームが枢動可能に接続されるコネクタをさらに備える。
【0117】
さらに具体的な実施形態では、ヒンジ式アームの2つの第2のアーム部材の関節接続の反対の端部が、コネクタ上の2つの枢軸点に対して枢動可能に接続される。
【0118】
代替の実施形態では、2つの第2のアーム部材の関節接続の反対の端部が、コネクタ上の1つの枢軸点に対して枢動可能に接続される。
【0119】
ある実施形態では、コネクタは、ピペット装置または取扱装置が、ヒンジ式アーム対の把持部間に配置された診断試験所内移送コンパートメントの開口上部への直接進入路を有するように、ヒンジ式アームの下方に配置される。このことにより、診断試験所内移送コンパートメントが2つのヒンジ式アームの把持部間に位置決めされ、センタリングされた位置に維持されるとき、ピペット操作または取扱操作が可能になる。
【0120】
ある実施形態では、診断試験所内移送用センタリングユニットは、また、コネクタが可動に接続された誘導構成要素を備える。誘導構成要素は、第1の移動方向と、第1の方向と反対の第2の移動方向と、コネクタの移動距離とを規定する。コネクタの二方向移動は、把持部を受取りおよび解放の位置、ならびにセンタリング位置に導くために、2つのヒンジ式アームの同期した回転に変換される。2つのヒンジ式アームの同期は、それゆえ、有利に、診断試験所内移送コンパートメントを正確にセンタリングすることができる。
【0121】
具体的な実施形態では、コネクタの二方向移動は、直線的な下方/上方への移動または前方/後方への移動である。
【0122】
ある実施形態では、誘導構成要素は、コネクタに関してセンタリングされた垂直の向きを有するコネクタの上方および下方への移動のためのロッドである。コネクタの上方への移動は、2つのヒンジ式アームの屈曲をもたらす。それにより、把持部は、センタリング位置の垂直軸の方向へ同期して移動する。コネクタの下方への移動は、ヒンジ式アームの伸張をもたらす。それにより、ヒンジ式アームは伸張し、把持部は、センタリング位置の垂直軸の方向から離れる方向へ、かつ診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置へ、同期して移動する。
【0123】
ある実施形態では、コネクタは、コネクタを誘導構成要素に沿って下方に移動させるために十分に重い材料(例えば、鉄または重い合金)からなる。
【0124】
さらに具体的な実施形態では、誘導構成要素は、把持部間に配置されている診断試験所内移送コンパートメントの上部への直接進入路を提供するために、コネクタの下方に配置され得る。
【0125】
ある実施形態では、診断試験所内移送用センタリングユニットは、さらなるコネクタおよび弾性部材を備える。さらなるコネクタおよびコネクタは、弾性部材を使用して、互いに弾性的に接続される。さらなるコネクタおよびコネクタは、誘導構成要素上に可動に接続される。コネクタとさらなるコネクタとの間の弾性部材が、さらなるコネクタの移動を、コネクタ、少なくとも2つのヒンジ式アーム、および把持部の弾性的移動に変換する。したがって、コネクタとさらなるコネクタとの間に接続された弾性部材は、診断試験所内移送コンパートメントの多様な寸法を補償し得る。それゆえ、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントの適合およびセンタリングは、単一の弾性部材に依存する。このことにより、2つの分離したまたは複数の弾性部材の不均一な劣化が生じないようにし得るので、維持活動およびコストが最小化され、可動停止時間が削減されることにより、毎日数百の診断試験所内移送コンパートメントが、センタリングされなければならない場合、困難な環境での長い稼働時間中、診断試験所内移送コンパートメントの正確で信頼性の高いセンタリングが可能になる。
【0126】
具体的な実施形態では、弾性部材は、ばねである。ばねは、線形特性ばねであり、誘導構成要素を取り囲んでもよい。
【0127】
ある実施形態では、さらなるコネクタは、誘導構成要素上に可動に接続される。把持部間に配置されている診断試験所内移送コンパートメントの上部への直接進入路を提供するために、さらなるコネクタは、コネクタの下方で誘導構成要素上に可動に接続される。
【0128】
ある実施形態では、さらなるコネクタは、互いに接続された上部構成要素および下部構成要素を備え、誘導構成要素に関して上方および下方からコネクタを取り囲む。さらなるコネクタの上部構成要素は、さらなるコネクタが下方へ移動しているとき、コネクタの下方への移動を支援する。
【0129】
ある実施形態では、診断試験所内移送用センタリングユニットは、さらなるコネクタを移動させるためのアクチュエータをさらに備える。アクチュエータは、さらなるコネクタに歯付きベルトを用いて連結されている、能動的に回転するロータを有する電気モータであってもよい。
【0130】
ある実施形態では、診断試験所内移送用センタリングユニットは、露出端部と露出端部の反対側の端部にあるさらなる把持部とを有する少なくとも1つの回転可能なアームを備える。少なくとも1つの回転可能なアームは、フレームまたはさらなる弾性部材を有するさらなるフレーム上の相手側部品に枢動可能に連結され対向する。露出端部は、回転可能なアームの回転、およびさらなる把持部のセンタリング位置の垂直軸から離れる方向への移動、をトリガするように適合される。
【0131】
ある実施形態では、回転可能なアームは、把持部が少なくとも2つのヒンジ式アームの把持部のうちの1つと誘導構成要素との間に配置されるように、フレームまたはさらなるフレーム上に枢動可能に連結される。
【0132】
ある実施形態では、露出端部は、回転可能なアームの回転、およびさらなる把持部のセンタリング位置の垂直軸から離れる方向への移動が、少なくとも2つのヒンジ式アームのうちの1つと係合することによってトリガされるように、位置決めされる。
【0133】
さらに具体的な実施形態では、回転可能なアームの露出端部は、少なくとも2つのヒンジ式アームのうちの1つの第1のアーム部材および第2のアーム部材によって画定された平面状の三角形内に配置される。この配置により、少なくとも2つのヒンジ式アームのうちの1つは、1つのヒンジ式アームが伸張するとき、回転可能なアームの露出端部を押圧する。露出端部上に結果として得られた圧力は、回転可能なアームの回転をもたらし、それによりさらなる把持部を診断試験所内移送コンパートメントホルダの受取りおよび解放の位置に位置決めする。回転可能なアームの回転を介して、さらなる弾性部材上の張力を発生させる。1つのヒンジ式アームが屈曲するとき、回転可能なアームの露出端部は、解放され、さらなる弾性部材の張力緩和をもたらし、さらなる把持部は、センタリング位置の垂直軸の方向へ移動する。2つのヒンジ式アームのうちの1つの屈曲および伸張が、さらなるアームの回転動作と、さらなる把持部の位置決めとを制御するので、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、診断試験所内移送コンパートメントと、その対応する診断試験所内移送コンパートメントホルダとを単一のアクチュエータを使用して同時に、有利にセンタリングすることができる。
【0134】
具体的な実施形態では、さらなる弾性部材は、ねじりばねである。
【0135】
さらなる具体的な実施形態では、さらなる把持部は、二またに分かれた把持部である。これは、円筒状の診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0136】
代替実施形態では、さらなる把持部は、平坦なクランプである。これは、直方体の診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするのに有利である。
【0137】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、診断試験所内移送コンパートメントホルダのセンタリングを支援するために使用される相手側部品をさらに備える。相手側部品は、フレーム上、または回転可能なアームのさらなる把持部がセンタリング位置にあるときにさらなる把持部に対向するさらなるフレーム上に固定される。相手側部品およびさらなる把持部は、互いに対する第2の最小距離を有し、その結果、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントホルダは、さらなる把持部と相手側部品との間に位置決めされ得るようになる。簡潔な相手側部品の使用は、同一の寸法の標準化された診断試験所内移送コンパートメントがセンタリングされなければならないとき、有利である。
【0138】
ある実施形態では、相手側部品は、露出端部および上述したようなさらなる把持部を有するさらなる回転可能なアームである。
【0139】
具体的な実施形態では、把持部を有する2つの回転可能なアームは、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸に位置合わせするために、互いに対向して配置される。相手側部品は、さらなる弾性部材を有するさらなる支持部品上の枢軸点に対して枢動可能に接続された、回転可能なアームを備える。回転可能なアームは、露出端部と、露出端部の反対側の端部に取り付けられ、少なくとも2つのアームの把持部のうちの1つと誘導構成要素との間に配置された、さらなる把持部とを、有する。2つの回転可能なアームの把持部間の距離の中央が、センタリング位置の垂直軸を決定し、把持部と2つの回転可能なアームの各々の枢軸点との間の距離は、さらなるアームの全体の製造精度の範囲内で、同一である。このことは、診断試験所内移送コンパートメントホルダの表面上の2つのさらなる把持部の接触点、ライン、または領域が、診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸に関して互いに対向することを保証する。この配置により、少なくとも2つのヒンジ式アームの屈曲および伸張は、2つの回転可能なアームの回転動作、ならびに2つのさらなる把持部の位置決めを制御する。したがって、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントおよび異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントホルダを、単一のアクチュエータを使用して同時に、有利にセンタリングすることができる。
【0140】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも2つのアーム間を移動するとき診断試験所内移送コンパートメントまたは診断試験所内移送コンパートメントホルダに起因する光ビームの遮断を検出するように適合された光バリアをさらに備える。光ビームの遮断は、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのさらなるコネクタを移動させるために、信号を解釈し命令をアクチュエータに送信するように構成されたソフトウェアを実行するように適合されたコンピュータデバイスを備える制御装置に伝送される信号を生成する。信号の1つの解釈は、診断試験所内移送コンパートメントホルダが、2つの把持部間に位置決めされ、アクチュエータが、センタリング位置に2つの把持部を位置決めするために、さらなるコネクタを移動させることである。
【0141】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤ上で移送される診断試験所内移送コンパートメントホルダを停止させるように構成されたストッパをさらに備え得る。ストッパは、診断試験所内移送コンパートメントホルダの移送経路を遮断および解放するための、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤの移送経路に対して垂直の向きを有する、フレーム上またはさらなるフレーム上に固定された枢動障壁であり得る。結果的に、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットに対して固定して維持され得て、その結果、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントおよび診断試験所内移送コンパートメントホルダをセンタリングすることができる。
【0142】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、少なくとも1つのさらなる診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットに接続される。各診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのさらなるコネクタは、共通コネクタに接続される。共通コネクタは、少なくとも2つの誘導構成要素上に可動に接続され、アクチュエータに連結される。接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの数は、ピペット装置の吸引/分注位置、および/または診断試験所内移送コンパートメント取扱装置の取扱位置の数に等しい。したがって、複数のアーム対を作動させることが可能であり、それにより、複数の診断試験所内移送コンパートメントおよび/または診断試験所内移送コンパートメントホルダを単一のアクチュエータで同時にセンタリングする。さらに、この配置により、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのさらなるアームは、試験試料試験管立てまたは試験試薬カセットラックを共にセンタリングすることができる。
【0143】
さらなる実施形態では、共通コネクタは、アクチュエータの拡張された能動的に回転するロータに、共通コネクタの各端部に配置された2つの歯付きベルトを介して、連結され得る。この構成により、共通コネクタの誘導および移動が、最適化される。
【0144】
ある具体的な実施形態では、共通コネクタは、第3の移動方向と、第3の方向と逆方向の第4の移動方向と、さらに共通コネクタの移動距離とを規定する追加の誘導構成要素上に可動に接続され、追加の誘導構成要素の第3の移動方向は、誘導構成要素の第1の移動方向と平行であり、追加の誘導構成要素の第4の移動方向は、誘導構成要素の第2の移動方向と平行である。追加の誘導構成要素は、共通コネクタの誘導および移動を支援し、さらに最適化する。
【0145】
さらに具体的な実施形態では、追加の誘導構成要素は、共通コネクタを取り囲む所定の長さを有する2つの平行なレールまたは切欠きを備える。
【0146】
ある実施形態では、共通コネクタは、互いに接続された上部構成要素および下部構成要素を備え、誘導構成要素に関して上方および下方から各センタリングユニットのコネクタを取り囲む。共通コネクタの上部構成要素は、共通コネクタが下方へ移動しているとき、各センタリングユニットのコネクタの下方への移動を支援する。
【0147】
また、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットと、異なる寸法の少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを受けるように構成された1つまたは複数の可撓性アダプタを有する少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントホルダと、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを備える、試験所システムに関する。少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントは、試験試料を含む容器であり、診断試験所内移送コンパートメントホルダ内に挿入される。
【0148】
本明細書では、用語「診断試験所内移送コンパートメントホルダ」は、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメントを、受けること、保持すること、移送すること、および/または解放することに適合された任意の装置に関する。
【0149】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、円筒状の形状と、閉鎖底部と、1つの診断試験所内移送コンパートメントを直立体勢で挿入するための挿入領域を有する開口上部とを有する。診断試験所内移送コンパートメントホルダは、その水平断面と垂直で、中間点にある縦軸を有する。そのような円筒状の診断試験所内移送コンパートメントホルダの一例は、単一の試料試験管ホルダである。
【0150】
別の実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントホルダは、直方体の形状と、閉鎖底部と、1つまたは複数の診断試験所内移送コンパートメントを直立体勢で挿入するための1つまたは複数の挿入領域を有する開口上部とを有する。直方体のホルダは、1つまたは複数の挿入領域の中間点に、その水平断面と垂直な1つまたは複数の縦軸を有する。そのような直方体の診断試験所内移送コンパートメントホルダの一例は、試験試料試験管立てである。そのような直方体の診断試験所内移送コンパートメントホルダの他の例は、試薬カセットラックである。
【0151】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントホルダの挿入領域は、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントを受けるように構成された可撓性アダプタを備える。
【0152】
本明細書では、用語「診断試験所内移送コンパートメント」は、試験試料(例えば、血液、尿、血清、血漿、または溶解された生検試料など)、試験試薬(例えば、免疫化学検査用試薬、臨床化学検査、凝固検査、血液検査、分子生物学の試験など)、またはその組合せなどの内容物を、受けること、貯蔵すること、移送すること、および/または解放することに適合された容器に関する。診断試験所内移送コンパートメントの内容物、試料処理ステップ、および製造者により材料は、直径、辺長、高さ、および形状などの診断試験所内移送コンパートメントの寸法と共に、さまざまである。
【0153】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントは、円筒形状、閉鎖底部、およびに開口上部を有する容器であり、円筒状の容器は、その水平断面と垂直で、中間点にある縦軸を有する。
【0154】
別法として、円筒状の容器の閉鎖底部は、丸みを帯びていてもよい。そのような円筒状の診断試験所内移送コンパートメントの一例は、試験試料を含む容器である。
【0155】
別の実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントは、直方体形状、閉鎖底部、およびに開口上部を有する容器であり、容器は、その水平断面と垂直で、中間点にある縦軸を有する。そのような直方体の診断試験所内移送コンパートメントの一例は、試験試薬を含む試薬カセットである。そのような直方体の診断試験所内移送コンパートメントの他の例は、試験試料または試験試薬、あるいはその混合物を含む反応キュベットである。
【0156】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントは、診断試験所内移送コンパートメントに接続された、または独立で提供された、キャップまたは蓋を備えている。
【0157】
ある実施形態では、試験所システムは、少なくとも1つの吸引および/または分注位置を有するピペット装置をさらに備える。少なくとも1つの吸引および/または分注位置は、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのセンタリング位置の垂直軸に位置合わせされる。この配置により、試料および/または試薬の正確で安全なピペット処理が保証される。
【0158】
別の実施形態では、試験所システムは、少なくとも1つの取扱位置を有する取扱装置をさらに備える。少なくとも1つの取扱位置は、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのセンタリング位置の垂直軸に位置合わせされる。この配置により、試験所内移送コンパートメントの正確で安全な取扱いが保証される。
【0159】
ある実施形態では、ピペット装置および/または取扱装置は、予備分析、分析、または後分析ステーションの一部である。
【0160】
ある実施形態では、試験所システムは、試験所コンベヤシステムに動作可能に連結されることが可能である診断試験所内移送コンパートメントコンベヤをさらに備える。したがって、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤは、把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを移動および除去するために、試験所システムの予備分析、分析、および/または後分析ステーションなどのステーションに接続された試験所コンベヤシステムから、または試験所コンベヤシステムへ、診断試験所内移送コンパートメントを受け取り、解放することが可能である。
【0161】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤは、試験所コンベヤシステムの一部である。
【0162】
ある実施形態では、試験所コンベヤシステムは、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの前側に配置され、試験所コンベヤシステム上で移送される診断試験所内移送コンパートメントホルダを停止させるように構成されたストッパを、さらに備え得る。ストッパは、診断試験所内移送コンパートメントホルダの移送経路を遮断および解放するための、試験所コンベヤシステムの移送経路に対して垂直の向きを有する、枢動障壁であり得る。結果的に、診断試験所内移送コンパートメントは、試験所コンベヤシステム上で固定して維持され得て、その結果、所定数の後続の診断試験所内移送コンパートメントが一番目の診断試験所内移送コンパートメントホルダに追いつくことができ、一群の診断試験所内移送コンパートメントが、少なくとも1つの診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットへさらに移送され得る。
【0163】
また、本発明は、本明細書に記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットを使用して、診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングするための方法に関する。方法は、以下の、
a)さらなるコネクタを第1の移動方向へ移動させるステップであって、それにより少なくとも2つのヒンジ式アームを伸張させ、把持部を診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置に位置決めする、ステップと、
b)把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを移動させるステップと、
c)さらなるコネクタを第2の移動方向へ移動させるステップであって、それにより少なくとも2つのヒンジ式アームを屈曲させ、把持部をセンタリング位置の垂直軸の方向へ移動させ、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントを両側から押圧し、診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸と位置合わせする、ステップと、
d)診断試験所内移送コンパートメントを解放するために第1のステップを繰り返すステップと、
e)把持部間の診断試験所内移送コンパートメントを除去するステップとを
含む。
【0164】
その方法は、試験試料のピペット処理などの試料処理ステップが開始される前に、短時間で実行されなければならない。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットが、診断試験所内移送コンパートメントの開口上部への直接進入路を提供するので、その方法は、ピペット装置の直ぐ前で、またはまさにピペット装置において実行され得る。試験所内移送コンパートメントは、さらに、試料のピペット処理中、センタリングユニットの把持部によって、センタリング位置に維持され得て、このことが、試料処理ステップの安全性を顕著に改善する。
【0165】
ステップc)において、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントを両側から押圧し、診断試験所内移送コンパートメントの縦軸をセンタリング位置の垂直軸と位置合わせする。両方の把持部が、同一の弾性部材にコネクタを介して弾性的に連結されているので、把持部は、診断試験所内移送コンパートメントを均一に両側から押圧する。このことは、複数の弾性部材の製造公差が回避されるので、異なる寸法を有する診断試験所内移送コンパートメントの、センタリング信頼性だけでなく、センタリング精度をも改善する。診断試験所内移送コンパートメントの正確なセンタリングは、試験試料分析のプロセスで通常実行されるピペット操作中の、診断試験所内移送コンパートメントとピペット装置との間の任意の接触を回避する。したがって、正確で信頼できるセンタリングの主要な利点は、診断試験所内移送コンパートメントおよびピペット装置の任意の試験試料相互汚染および損傷が、回避され、試験試料分析結果が、必要な品質および時間内でもたらされることである。
【0166】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングする方法は、診断試験所内移送コンパートメントホルダをセンタリングするステップa)およびステップc)における以下のステップをさらに含む。
・ステップa)において、ヒンジ式アームのうちの少なくとも1つが、回転可能なアームの露出端部を押圧し、回転可能なアームの回転をもたらし、それによりさらなる把持部を診断試験所内移送コンパートメントホルダの受取りおよび解放の位置に位置決めし、さらなる弾性部材上の張力を発生させる。
・ステップc)において、ヒンジ式アームのうちの少なくとも1つが、回転可能なアームの露出端部を解放し、さらなる弾性部材の張力緩和および回転可能なアームの回転をもたらし、それにより、さらなる把持部をセンタリング位置の垂直軸の方向へ移動させる。把持部は、診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の縦軸に位置合わせするために、診断試験所内移送コンパートメントホルダと相手側部品とを押圧する。
【0167】
ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメントの縦軸がセンタリング位置の垂直軸と位置合わせされる前に、診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸がセンタリング位置の垂直軸に位置合わせされ、診断試験所内移送コンパートメントが解放されたあとに解放される。
【0168】
その方法のさらなる実施形態では、少なくとも2つのヒンジ式アームの把持部間の診断試験所内移送コンパートメントの移動、および少なくとも2つのヒンジ式アームの把持部間の診断試験所内移送コンパートメントの除去は、診断試験所内移送コンパートメントコンベヤによって介在される。
【0169】
本明細書で開示した、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット、試験所システム、および診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットを用いて診断試験所内移送コンパートメントをセンタリングする方法の、特徴の具体的な実施形態は、本明細書で説明されたようなものである。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【
図1】本明細書に記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの断面図である。
図1Aは、センタリング位置にある把持部を有する、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの断面図である。
図1Bは、診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置にある把持部を有する、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの断面図である。
【
図2】本明細書に記載の接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの側面図である。
図2Aは、診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置にある診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの把持部の側面図である。
図2Bは、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの把持部によってセンタリングされた同一の直径および高さを有する診断試験所内移送コンパートメントの側面図である。
図2Cは、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの把持部によってセンタリングされた異なる直径を有する診断試験所内移送コンパートメントの側面図である。
【
図3】診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの斜視および拡大図である。
図3は、診断試験所内移送コンパートメントおよび診断試験所内移送コンパートメントホルダの縦軸をセンタリング位置の垂直軸と位置合わせされた診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの把持部の図である。
【
図4】診断試験所内移送コンパートメントおよび診断試験所内移送コンパートメントホルダをセンタリングするための試験所システムの図である。
【
図5】診断試験所内移送コンパートメントホルダおよび診断試験所内移送コンパートメントの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0171】
図1は、本明細書に記載の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)の一実施形態の断面図を示す。
図1Aでは、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)の把持部(9aおよび9b)は、診断試験所内移送コンパートメントのセンタリング位置にある。
図1Bでは、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)の把持部(9aおよび9b)は、診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置にある。図に示すように、センタリングユニット(1)は、所定の距離で互いに対向するフレーム(3)に固定された2つの支持部品(2aおよび2b)を備える。センタリングユニット(1)は、2つのアーム(4a、4b)をさらに備える。各アームは、それぞれの関節(7aおよび7b)を用いて互いに枢動可能に接続された第1のアーム部材(5aおよび5b)および第2のアーム部材(6aおよび6b)を有する。
図1に示すように、第1のアーム部材の中央領域では、各アームは、各支持部品(2aおよび2b)上の枢軸点(8aおよび8b)に対して枢動可能に接続されている。各第1のアーム部材の関節接続の反対側の端部には、把持部(9aおよび9b)が取り付けられている。2つの把持部間の距離の中央が、センタリング位置(10)の垂直軸を決定する。各アームの把持部(9aおよび9b)と枢軸点(8aおよび8b)との間の距離は、同一であり、その結果、2つの把持部間の接点が、センタリング位置(10)の垂直軸と正確に位置合わせされる。
図1は、また、各第2のアーム部材の関節接続の反対側の2つの端部が、2つの枢軸点(12aおよび12b)に対して枢動可能に接続されているコネクタ(11)を示し、コネクタ(11)は、誘導構成要素(13)上に可動に接続されている。示した実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)は、そのコネクタ(11)およびさらなるコネクタ(15)に接続された弾性部材(14)を備える。さらなるコネクタ(15)は、誘導構成要素(13)上に可動に接続される。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)は、さらなるコネクタを枢軸点(8a、8b)から遠ざけたり近づけたりするように移動させるための、アクチュエータ(16)を有する。
【0172】
図1Bに示すように、さらなるコネクタ(15)は、
図1Aと対照的に、枢軸点(8a、8b)から離れるように移動されている。枢軸点(8a、8b)から離れるさらなるコネクタ(15)の移動は、第1のアーム部材(5a、5b)および第2のアーム部材(6a、6b)を互いから離す回転、ならびに2つのアーム(4a、4b)の同期した拡張をもたらす。それにより、把持部(9a、9b)は、診断試験所内移送コンパートメントの受取りおよび解放の位置に配置される。さらなるコネクタ(15)が、
図1Aに示すように再び枢軸点(8a、8b)の方向へ移動されるとき、第1のアーム部材(5a、5b)および第2のアーム部材(6a、6b)は、互いの方向へ回転し、2つのアーム(4a、4b)は、屈曲する。それにより、把持部(9a、9b)は、センタリング位置(10)の垂直軸の方向へ移動する。
【0173】
図1に示すように、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)は、2つの支持部品のうちの1つ(2b)の下にあるフレーム(3)上に固定されたさらなる支持部品(17)を備える。さらなるアーム(18)が、さらなる支持部品上の枢軸点(19)に対して枢動可能に接続される。さらなるアーム(19)は、2つのアームのうちの1つ(4b)の第1のおよび第2のアーム部材によって画定された平面状の三角形内に配置された露出端部(20)を有する。露出端部の反対側の端部では、さらなるアーム(19)はさらなる把持部(21)を有し、このさらなる把持部は、2つのアームのうちの1つの把持部(9b)の下部に配置される。
図1Aは、また、フレーム(3)の一部であり、2つの支持部品のうちの1つ(2a)の下部に配置され、さらなる把持部がセンタリング位置にあるとき、さらなる把持部(21)に対向する、相手側部品(22)を示す。アーム(4aおよび4b)は、
図1Bに示すように拡張されるとき、2つのアームのうちの1つの第1のアーム部材(5b)が、さらなるアーム(18)の露出端部(20)上を押圧し、さらなるアームの回転をもたらし、それにより、さらなるアームのさらなる把持部(21)を診断試験所内移送コンパートメントホルダの受取りおよび解放の位置に位置決めし、さらなる弾性部材上の張力を発生させる。アーム(4aおよび4b)は、
図1Aに示すように再び屈曲するとき、2つのアームのうちの1つの第1のアーム部材(5b)が、さらなるアーム(18)の露出端部(20)を解放し、さらなる弾性部材の張力緩和およびさらなるアームの回転をもたらし、それにより、さらなる把持部(21)をセンタリング位置(10)の垂直軸の方向へ移動させる。
図1でさらに示したように、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、センタリングユニットのアーム対間の診断試験所内移送コンパートメントホルダまたは診断試験所内移送コンパートメントの存在および/または不在を検出するための、光バリア(27)を備える。
【0174】
図2A~Cは、最大で8つの診断試験所内移送コンパートメントを同時にセンタリングするために、7つのさらなる診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1a~1g)に接続された、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1)の一実施形態の側面図を示す。
図2Aは、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1~1g)を示し、それらは、診断試験所内移送コンパートメントの受取り/解放の位置にある、それらの把持部(9a~9o)を有する。示した実施形態では、把持部(9a~9o)は、二またに分かれており、その結果、センタリング位置での診断試験所内移送コンパートメントとの接触面は、上面視でUまたはV字状に形成される。さらに示すように、各診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットのさらなるコネクタは、1つの共通コネクタ(23)に接続される。共通コネクタ(23)は、各センタリングユニットの誘導構成要素(13)上に可動に接続される。
図2Aに示すように、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1~1g)は、共通コネクタ(23)に2つの歯付きベルト(24a、24b)で連結されている単一のアクチュエータ(16)を有する。このことが、複数の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1~1g)の簡潔で、費用効率の高い作動を提供する。当然、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1~1g)の数は、異なるピペット装置の吸引および/または分注位置の数あるいは異なる取扱装置の取扱位置の数に応じて、スケーラブルである。
【0175】
図2Bは、同一の直径および高さを有する8つの診断試験所内移送コンパートメント(25a~h)がセンタリングユニットの把持部間に配置されているときの、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1~1g)を示し、
図2Cでは、診断試験所内移送コンパートメント(25a~j)は、2つの異なる直径を有する。診断試験所内移送コンパートメント25iおよび25jは、診断試験所内移送コンパートメント25a、25b、25d、25f、25g、および25hと比較してより小さい直径を有する。診断試験所内移送コンパートメントの直径により、弾性部材(14~14g)は、より大きい診断試験所内移送コンパートメントの直径では、より高い弾性部材の圧縮となる、異なる圧縮を受ける。したがって、弾性部材14、14a、14c、14e、14f、および14gは、弾性部材14bおよび14dと比較してより高い圧縮を受ける。
【0176】
図3は、可撓性アダプタ(29)を有する診断試験所内移送コンパートメントホルダ(28)が、さらなる把持部(21)によってセンタリングされ、診断試験所内移送コンパートメント(25)が、二またに分かれた把持部(9o、9p)によってセンタリングされているときの、
図2の診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット1gの斜視図および拡大図を提供する。接続されたセンタリングユニット1gの把持部(9o、9p)の反対側の位置が、診断試験所内移送コンパートメント(25)および診断試験所内移送コンパートメントホルダ(28)の縦軸(30)を、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット1gの横方向の軸(35)に沿ったセンタリング位置(10)の垂直軸と位置合わせすることを可能にする。示した実施形態では、センタリングユニットの把持部(9o、9p)は、二またに分かれている。二またに分かれた把持部は、診断試験所内移送コンパートメント(25)および診断試験所内移送コンパートメントホルダ(28)の縦軸(30)の、センタリングユニットの横方向の軸(36)に垂直な軸に沿ったセンタリング位置(10)の垂直軸と位置合わせすることを可能にする。ある実施形態では、診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットは、把持部(9o、9n)間で診断試験所内移送コンパートメントを移動および除去するための診断試験所内移送コンパートメントコンベヤ(26)に接続されている。
【0177】
図4は、異なる直径を有する8つの診断試験所内移送コンパートメント(25)を、ピペット装置(33)の8つの吸引/分注位置(32)に、同時にセンタリングする試験所システムの一実施形態(31)を示す。異なる直径を有する8つの診断試験所内移送コンパートメント(25)は、可撓性アダプタを使用して、8つの診断試験所内移送コンパートメントホルダ内に挿入される(
図3の29)。各吸引および/または分注位置(32)は、対応する診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1~1g)のセンタリング位置(10)の垂直軸に位置合わせされる。診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニット(1~1g)のアーム対間の診断試験所内移送コンパートメントホルダを移動および除去するために、試験所システムは、試験所コンベヤシステム(34)に動作可能に連結された診断試験所内移送コンパートメントコンベヤ(26)を備える。診断試験所内移送コンパートメントホルダおよび対応する診断試験所内移送コンパートメントが、アーム対間に配置されるとき、光ビームの遮断が、光バリア(
図1の27)によって検出され、制御装置(36)に伝送される信号を生成する。制御装置(36)は、さらなるコネクタを枢軸点の方向へ移動させ、それにより把持部をセンタリング位置(10)の垂直軸の方向へ移動させるために、信号を解釈し、命令をアクチュエータに送信するように構成されたソフトウェアを実行するように適合されたコンピュータデバイス(37)を備える。
図4でさらに示したように、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットの前側では、診断試験所内移送コンパートメントをグループ化するためのストッパ(35)が、センタリングされることになり、次に、接続された診断試験所内移送コンパートメント用センタリングユニットに移送される。
【0178】
図5A~Bは、診断試験所内移送コンパートメントホルダの実施形態を示す。
図5Aは、円筒状の形状と、閉鎖底部(39)と、1つの診断試験所内移送コンパートメントを直立体勢で挿入するための挿入領域(40)を有する開口上部とを含む、診断試験所内移送コンパートメントホルダ(38)を示す。診断試験所内移送コンパートメントホルダ(38)は、その水平断面と垂直で、中間点にある縦軸(41)を有する。診断試験所内移送コンパートメントホルダの挿入領域は、異なる寸法の診断試験所内移送コンパートメントを受けるように構成された可撓性アダプタ(42)を備える。
図5Bは、直方体の形状と、閉鎖底部(44)と、複数の診断試験所内移送コンパートメントを直立体勢で挿入するための5つの挿入領域(45)を有する上部とを含む、診断試験所内移送コンパートメントホルダ(43)を示す。直方体の診断試験所内移送コンパートメントホルダ(43)は、5つの挿入領域の中間点に、その水平断面と垂直な5つの縦軸(46)を有する。
図5C~Gは、診断試験所内移送コンパートメントの実施形態を示す。
図5Cは、円筒状の形状と、閉鎖底部(48)と、開口上部(49)とを含む、診断試験所内移送コンパートメント(47)を示す。円筒状の診断試験所内移送コンパートメントは、その水平断面と垂直で、中間点にある縦軸(50)を有する。別法として、円筒状の診断試験所内移送コンパートメント(47)の閉鎖底部(51)は、
図5Dに示すように、丸みを帯びていてもよい。
図5Eは、キャップ(52)を備えている診断試験所内移送コンパートメント(47)を示す。
図5Fでは、直方体の形状(53)と、閉鎖底部(54)と、1つのピペット処理用開口(55)を有する上部とを含む、診断試験所内移送コンパートメントを示す。診断試験所内移送コンパートメントは、1つのピペット処理用開口の中間点にあり、その水平断面と垂直な1つの縦軸(56)を有する。
図5Gでは、2つのピペット処理用開口(58)を有する上部を含む直方体の診断試験所内移送コンパートメント(57)を示す。したがって、診断試験所内移送コンパートメントは、2つのピペット処理用開口の中間点にありその水平断面と垂直な2つの縦軸(59)を有する。