(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】クーポン発行システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220608BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G06Q30/02 354
G07G1/12 321M
(21)【出願番号】P 2018091886
(22)【出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】399105209
【氏名又は名称】カタリナ マーケティング ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】萩原 由衣
(72)【発明者】
【氏名】山岸 純二
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特許第5875167(JP,B1)
【文献】特開2018-032095(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157424(WO,A1)
【文献】特開2016-071483(JP,A)
【文献】特許第5879004(JP,B1)
【文献】特開2015-152974(JP,A)
【文献】小谷 真幸,スマホのクーポンでお得に食事・買い物,日経マネー,日経BP社,No.408,p.144-145
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品買上げによる顧客の精算に基づき購買データを生成する販売管理装置と、クーポン配信装置と、顧客に所持されてクーポンの発行要求を行う情報端末装置と、を備えるクーポン発行システムであって、
前記クーポン配信装置は、
前記情報端末装置を使用する顧客の顧客識別子に関連付けて利用店舗情報を格納する会員情報記憶部と、
前記販売管理装置から送られてくる
前記顧客識別子に係る前記購買データを蓄積する購買データ記憶部と、
前記顧客識別子に基づいて前記会員情報記憶部及び前記購買データ記憶部を検索し、当該顧客識別子の顧客が利用する店舗の売り上げ状況及び前記購買データ記憶部に蓄積された
当該顧客の購買データ
に応じてクーポン対象商品
のクーポンの提供が可能な商品を決定するクーポン商品決定手段と、
決定したクーポン対象商品に関するクーポン情報を前記情報端末装置へ送信するクーポン出力手段と、を有し、
前記情報端末装置が前記クーポン情報を受信することでクーポンが配信されることを特徴とするクーポン発行システム。
【請求項2】
顧客識別子を有する顧客にクーポンを提供するクーポン発行システムであって、
前記情報端末装置は、前記クーポンの発行要求時に前記顧客識別子を送信し、
前記クーポン配信装置は、送られてきた前記顧客識別子に対応する前記情報端末装置に前記クーポン情報を送信することを特徴とする請求項1に記載のクーポン発行システム。
【請求項3】
前記情報端末装置は、事前に前記顧客識別子と当該顧客が利用する利用店舗情報とを前記クーポン商品決定手段に送信しておき、前記クーポン商品決定手段は、送られてきた前記顧客識別子に関連付けて前記利用店舗情報を記憶することを特徴とする請求項
2に記載のクーポン発行システム。
【請求項4】
前記販売管理装置は、売上処理で発生する前記購買データの中の購買金額に応じて前記顧客識別子別に第1ポイントを累積するポイント管理部を備え
、
前記ポイント管理部は、前記情報端末装置に送信された前記クーポン情報が示す第2ポイントを、当該情報端末装置に対応する前記顧客識別子で管理している前記第1ポイント及び前記第2ポイントの累積ポイントに加算する
、
ことを特徴とする請求項1
乃至3の何れかの項に記載のクーポン発行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーポン発行システムに関し、特に、通信ネットワークを通してクーポンを発行するクーポン発行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、小売店等においては、顧客が商品やサービスを購入したとき、事前に発行したクーポンを提示することで、割引等の特典を提供することが行われている。これらのクーポンは、チラシや刊行物等の紙の媒体物に設けられて消費者に配布されるのが一般的である。しかし、こうした配布方法は不特定多数の消費者に大量にクーポンを配布することになるため、実際に消費者によって店頭で使用されるクーポンはごく一部にとどまり、コスト的にも効率的にも無駄が多いという問題がある。
【0003】
一方、近年においては、インターネットのウェブ上の小売業者のホームページを訪れた消費者が、そこにアップされているクーポンをプリントアウトすることで入手する方法も採られている(例えば、特許文献1を参照)。このような電子的なクーポンの配布はウェブサイトにアクセスすることで入手でき、クーポンを必要とする消費者に直接配布できるため効率的であると共に、コストも手間も掛らないという利点がある。
【0004】
また、顧客が携帯情報端末により、ネットワークを介してクーポンに関する情報を管理する管理サーバと通信することで入手したクーポン情報を店頭にて表示等することで割引が受けられるクーポンシステムも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-352131号公報
【文献】特開2014-203373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2のクーポンシステムは、クーポンを電子情報で顧客の端末に配信する電子クーポンであり、複数の店舗で共通に使用することもできるため、顧客にとっては大いに利便性が高いものとなっている。
【0007】
しかしながら、複数の店舗で共通のクーポンを発行する場合に店舗によっては、クーポンの対象商品が在庫切れ或いはもともと当該店舗では取り扱っていない商品であると、クーポンを入手してもその顧客がよく利用する店舗では使用できないことも起きる。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、顧客の利用する店舗において、確実に使用可能なクーポンを電子的に発行することができるクーポン発行システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、商品買上げによる顧客の精算に基づき購買データを生成する販売管理装置と、クーポン配信装置と、顧客に所持されてクーポンの発行要求を行う情報端末装置と、を備えるクーポン発行システムであって、前記クーポン配信装置は、前記情報端末装置を使用する顧客の顧客識別子に関連付けて利用店舗情報を格納する会員情報記憶部と、前記販売管理装置から送られてくる前記顧客識別子に係る前記購買データを蓄積する購買データ記憶部と、前記顧客識別子に基づいて前記会員情報記憶部及び前記購買データ記憶部を検索し、当該顧客識別子の顧客が利用する店舗の売り上げ状況及び前記購買データ記憶部に蓄積された当該顧客の購買データに応じてクーポン対象商品のクーポンの提供が可能な商品を決定するクーポン商品決定手段と、決定したクーポン対象商品に関するクーポン情報を前記情報端末装置へ送信するクーポン出力手段と、を有し、前記情報端末装置が前記クーポン情報を受信することでクーポンが配信される、ことを特徴とする。
【0010】
この場合、顧客識別子を有する顧客にクーポンを提供するクーポン発行システムであると、前記情報端末装置は、前記クーポンの発行要求時に前記顧客識別子を送信し、前記クーポン配信装置は、送られてきた前記顧客識別子に対応する前記情報端末装置に前記クーポン情報を送信する。
【0012】
ある実施形態では、前記販売管理装置は、売上処理で発生する前記購買データの中の購買金額に応じて前記顧客識別子別に第1ポイントを累積するポイント管理手段を備えて、前記ポイント管理手段は、前記情報端末装置に送信された前記クーポン情報が示す第2ポイントを、当該情報端末装置に対応する前記顧客識別子で管理している前記第1ポイント及び前記第2ポイントの累積ポイントに加算する。この実施形態によれば、小売企業が実施しているポイントシステムを利用してクーポンの特典付与を実施することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるクーポン発行システムによれば、顧客の利用する店舗での対象商品の売上状況に応じてクーポンを発行するため顧客によって使用される率の高いクーポンを発行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係わるクーポン発行システムの全体構成を説明するブロック図を示す。
【
図2】
図1のクーポン発行システムにおける販売管理装置のシステム構成を説明するブロック図を示す。
【
図3】販売管理装置においてPOS端末で生成される購買データの流れの説明図を示す。
【
図4】
図1のクーポン発行システムにおける情報端末装置の表示画面の例示図を示す。
【
図5】クーポン実績記憶部の記憶構成の模式的な説明図を示す。
【
図6】初期設定時における情報端末装置とクーポン配信装置との間での処理シーケンスを示す。
【
図7】
図1のクーポン発行システムにおける情報端末装置とクーポン配信装置と販売管理装置示すとの間でのクーポンの発行に関する処理シーケンスを示す。
【
図8】本発明の第2実施形態に係わるクーポン発行システムの全体構成を説明するブロック図を示す。
【
図9】
図8のクーポン発行システムにおける販売管理装置のシステム構成を説明するブロック図を示す。
【
図10】
図8のクーポン発行システムにおける会員番号付きの購買データの処理の流れの説明図を示す。
【
図11】
図8のクーポン発行システムにおける情報端末装置の表示画面の例示図を示す。
【
図12】
図8のクーポン発行システムにおける情報端末装置とクーポン配信装置と販売管理装置示すとの間でのクーポンの発行に関する処理シーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態のクーポン発行システム100の全体構成を示している。クーポン発行システム100は、サーバで構成されるクーポン配信装置1と、顧客が所持する情報端末装置2と、商品買上げによる顧客の精算に基づき購買データを生成する販売管理装置3と、をインターネット、電話回線、移動体通信網等を含む通信ネットワーク10で接続して構成される。
【0016】
この第1実施形態でのクーポンは、予め定められた対象商品を店舗で購入するとき、顧客がこのクーポンを提示するとその価格が値引きされるものである。こういった特定の商品に対するクーポンは、特に、その商品のメーカーが自社製品の販売促進や市場の調査などを目的として発行されることが多い。しかしながら、メーカーには消費者との間に直接的な接点がなく、クーポン配信装置1により消費者の所持する情報端末装置2に直接配信するのが有効である。
【0017】
販売管理装置3は、小売企業内でのPOS(Point Of Sales)管理(販売時点管理)を行う。
図2で示すように、販売管理装置3は、小売業者のセンターに配置されるPOSサーバ3aと、小売りの店舗毎に設置される店舗POSサーバ3bと、店舗内の精算レジカウンタに配置される精算端末機(POS端末)3cとから構成される。尚、ここでの小売企業とは、一般的にはメーカーや卸売業者が販売した商品等を最終消費者に売る業者を意味するが、ここでは広義に飲食業者やサービスを提供するサービス業者、さらには卸売業者も含むものとする。
【0018】
店舗POSサーバ3bは、当該店舗のPOS端末3cから登録される顧客に販売した日時、商品の商品コードやその商品の売上個数、売上金額等の情報を含む、
図3(a)に示す購買データを収集して店舗毎で管理すると共に、この購買データをPOSサーバ3aへ転送する。この転送の際には、
図3(b)に示すように当該店舗の店舗コードを付加して送信する。そして、POSサーバ3aは、
図3(c)に示すように、各店舗POSサーバ3bから送られてくる購買データを集計して、各店舗の購買データをセンター側のPOSデータベース14で統合して管理している。
【0019】
情報端末装置2は、通信ネットワーク10に接続可能なスマートフォン等の移動電話機、携帯情報端末機、パーソナルコンピュータ等であって、店舗で買い物する顧客によって保有される一般的な通信情報機器である。情報端末装置2は、処理部21と、記憶部22と、表示部23と、通信インタフェース24とを有する。処理部21は、所定のアプリケーションプログラム20をインストールすることで、登録手段21aと、クーポン情報表示手段21bと、クーポン使用実行手段21cの各機能を実現する。
【0020】
登録手段21aは、アプリケーションプログラム20のインストール後の初期設定において、新規登録画面を表示部23に表示する。
図4は、スマートフォンでの表示画面を模式的に示している。
図4(a)に示す新規登録画面23aでは、顧客であるユーザによって住所・氏名・生年月日等の個人情報と小売企業の傘下の中での利用する店舗が入力されて、「送信」ボタンがタッチされると、登録手段21aは、これらの入力情報をクーポン配信装置1に送信し、折り返してクーポン配信装置1から送られてくる会員番号(顧客識別子)を記憶部22に記憶する。この個人情報入力欄を特に設けず、個人情報の登録を顧客に求めなくてもよい。
【0021】
クーポン情報表示手段21bは、クーポン配信装置1から送られてくるクーポン情報を表示する。
図4(b)は、クーポン情報表示画面23bを例示しており、クーポンの対象商品の画像とクーポンの使用による割引金額を表示している。この例においては、複数のメーカーがそれぞれクーポンに表示されている当該メーカーの製品を顧客が購入するとき、使用可能なクーポンをそれぞれ表示している。
【0022】
クーポン使用実行手段21cは、クーポン情報表示画面23bにおいて、クーポン対象商品が「選択」ボタンのタッチで選択されて、且つ「決定」ボタンがタッチされるとクーポンが使用されたとして、通信インタフェース24を通してクーポン配信装置1へ、選択されたクーポンのクーポンコードと、記憶部22に記憶している会員番号と、このときの日付であるクーポン使用日時データとを送信する。これによって、POS端末3cにおいては、レジ担当者がクーポン情報表示画面23bの確認により、クーポンの対象商品の精算であることが入力されて、クーポンによる値引き販売の処理が行われる。
【0023】
図1に戻って、クーポン配信装置1は、所定のプログラムを処理することで、会員番号発行手段1aと、クーポン商品決定手段1bと、クーポン出力手段1cと、クーポン実績受付手段1dの各機能を実現する。そして、クーポン配信装置1は、購買データ記憶部11と、会員情報記憶部12と、クーポン実績記憶部13と、クーポン情報記憶部16とを備える。尚、新規登録画面23aで個人情報の登録を求めないときは、会員情報記憶部12は必要ない。
【0024】
そして、購買データ記憶部11は、POSサーバ3aから送られてくる日時データ,商品コード・個数,売上金額,店舗コードを含む購買データを購買データ記憶部11に蓄積する。すなわち、クーポン配信装置1においても、
図3(c)で示した販売管理装置3のPOSデータベース14と同様の各店舗の購買データを蓄積している。また、クーポン情報記憶部16は、クーポン種類ごとに、クーポンの対象となる商品の画像やクーポン使用による割引金額情報等のクーポン情報をクーポンコードに割り付けて格納している。
【0025】
会員番号発行手段1aは、情報端末装置2の初期設定時でのやり取りの中で、会員番号を作成して送信し、これに応答して返信されてくるこの会員番号と、これと共に送られてくる個人情報と利用店舗情報とを会員情報記憶部12に格納する。
【0026】
クーポン商品決定手段1bは、情報端末装置2からクーポン発行の要求があると、この情報端末装置2に対応する会員番号で検索した顧客が利用する店舗におけるクーポン対象商品の売上状況からクーポンが提供可能な商品であるか否かを判定する。具体例として、購買データ記憶部11に蓄積している直近の2週間以内の過去の購買データから少なくとも1個の販売実績のある商品をクーポンが提供可能な商品とする。
【0027】
クーポン出力手段1cは、クーポン商品決定手段1bが決定したクーポン種類に関しての対象商品の画像や当該クーポン使用による割引金額情報等のクーポン情報をクーポン情報記憶部16から読み出して情報端末装置2へ送信する。クーポン情報を受信した情報端末装置2は、その表示部23にクーポン情報表示画面23bを表示する。
【0028】
クーポン実績受付手段1dは、情報端末装置2が表示部23に生じているクーポン情報表示画面23b上で、「選択」ボタンのタッチでクーポン対象商品が選択されて、且つ「決定」ボタンがタッチされたときに送信されてくる選択されたクーポン対象商品の商品コードと会員番号とクーポン使用日時データとを、
図5に示すようにクーポン実績記憶部13に蓄積する。
【0029】
上記構成のクーポン発行システム100の全体動作を、
図6及び
図7に示す処理シーケンスに基づき説明する。先ず、顧客が商品のメーカーが実施しているクーポンサービスを受けるには、所持する情報端末装置2にクーポンサービスのアプリケーションプログラム20をインストールして実行する。
【0030】
図6は、情報端末装置2にアプリケーションプログラム20をインストールした後の初期設定における処理シーケンスを示し、登録手段21aは、新規登録画面23aから顧客によって入力される住所・氏名・生年月日等の個人情報と利用店舗とが入力されて、「送信」ボタンがタッチされると、これらの入力情報をクーポン配信装置1に送信する(ステップS1)。これを受信したクーポン配信装置1は、会員番号発行手段1aによって会員番号を作成し(ステップS2)、送られてきた個人情報と利用店舗の店舗コードとをこの会員番号に関連付けて会員情報記憶部12に格納する(ステップS3)。そして、会員番号を作成したとき、会員番号発行手段1aは、この会員番号を情報端末装置2に送信する。情報端末装置2は、送られてきた会員番号を記憶部22に格納して(ステップS4)、初期設定である会員登録が終了する。
【0031】
図7は、情報端末装置2を利用して顧客がクーポンを使用するときの処理シーケンスを示しており、販売管理装置3は、生成した購買データをバッチ処理又はリアルタイムでクーポン配信装置1にPOSサーバ3aから適宜、送信しており(ステップS01)、クーポン配信装置1は受信した購買データを購買データ記憶部11に格納している(ステップS02)。
【0032】
情報端末装置2は、アプリケーションプログラム20を起動することで、クーポン情報表示手段21bは、会員番号をクーポン配信装置1へ送信し、クーポン情報の送信を要求する(ステップS11)。
【0033】
クーポン配信装置1は、この要求に応答してクーポン情報を送信する処理を行う。先ず、クーポン商品決定手段1bは、この情報端末装置2に対応する会員番号の顧客の利用店舗を会員情報記憶部12から検索する(ステップS12)。そして、クーポン商品決定手段1bは、クーポン対象商品毎に購買データ記憶部11に蓄積している直近の過去の購買データによるクーポン対象商品毎の売上状況に基づいて、クーポン適用期間内での当該店舗での販売が可能な対象商品を判別する(ステップS13)。そして、クーポン適用期間内での販売が可能な対象商品をクーポンの発行が可能な商品とする。
【0034】
クーポン配信装置1は、クーポンの発行が可能な対象商品を決定すると、クーポン出力手段1cによって、対象商品の画像及びクーポンによる特典内容、例えば対象商品の購入時に割引される金額等を含むクーポン情報と、これに対応するクーポンコードと、をクーポンの要求のあった情報端末装置2へ送信する(ステップS14)。
【0035】
情報端末装置2は、送られてきたクーポン情報に基づくクーポン情報表示画面23bを表示部23に表示する(ステップS15)。これにより、顧客は、情報端末装置2に表示されている対象商品を利用店舗として登録している店で購入するとき、精算時にクーポン情報表示画面23bを提示する。このとき、顧客自身又は店のレジの担当者によってクーポン対象商品の「選択」ボタンのタッチと、その後の「決定」ボタンのタッチでクーポンが選択されると、精算レジの担当者がPOS端末3cのクーポン処理を実行させることで、割引金額が引かれた精算金額が算出されて顧客は支払う。
【0036】
そして、クーポン情報表示画面23bからクーポンが選択されたとき、クーポン使用実行手段21cは、「選択」ボタンがタッチされたクーポンのクーポンコードと、記憶部22に記憶している会員番号と、このときの日時であるクーポン使用日時データとを含むクーポン使用情報をクーポン配信装置1へ送信する(ステップS16)。同時に、クーポン使用実行手段21cは、選択された商品の画像データを含むクーポン情報を消去する。
【0037】
クーポン配信装置1は、クーポン使用情報が送られてくると、クーポン使用日時データとクーポンコードと会員番号とをクーポン実績記憶部13に記憶する(ステップS17)。これにより、クーポン実績受付手段1dは、適宜、クーポン実績記憶部13に記憶しているクーポンコードからクーポン対象商品のメーカーを識別して、クーポン使用日時データから所定期間内で対象商品毎に設定している割引金額を合計することで、メーカー別のクーポン発行による負担金額を演算することができる。
【0038】
加えて、事前に顧客によって個人情報が登録されているときには、クーポン配信装置1は、会員情報記憶部12に格納されている個人情報の顧客の属性データから、クーポンが使用された対象商品の会員顧客の購買動向を分析して、メーカーに提供することができる。
【0039】
上記実施形態でのクーポンは、クーポン対象商品に対して精算時に割引を行うものであるが、小売企業が独自に実施しているポイントサービスと連携させてポイントを提供するクーポンであってもよい。ここでの小売企業によるポイントサービスとは、ポイント会員登録を行った顧客に対して、買上げ時の精算額に応じたポイントを提供することで、顧客がポイントの累積数に応じた特典を店舗から得ることのできるようにしたプログラムである。よって、小売企業が提供するポイント(以下、「第1ポイント」と称す)に、メーカーが対象商品の店舗での購入時に提供するポイント(以下、「第2ポイント」と称す)を加えて提供することで、小売企業は第1及び第2ポイントの合計ポイントで顧客に特典を提供する。
【0040】
図8は、第2実施形態のクーポン発行システム200の全体構成を示している。クーポン発行システム200は、クーポンによる特典の付与を小売企業が実施しているポイントサービスと連携させたシステムである。尚、
図1と同じ構成部には同一の符号で示して説明を省略する。
【0041】
販売管理装置30は、
図1の販売管理装置3と同様の販売管理機能に加えて、ポイント管理機能を有する。ポイントサービスは、ポイント会員に対してポイント会員カードを発行し、そこに付番されているポイント会員の会員番号(顧客識別子)で顧客のポイント管理を行う、よく知られている特典プログラムである。
【0042】
図9は販売管理装置30のシステム構成を示しており、ポイント会員の顧客は、精算時にポイント会員カードを提示することで、POS端末3cに付属しているスキャナーにより会員番号が読み取られて、POS端末3cは
図10(a)に示すように会員番号を購買データに付加して店舗POSサーバ3bへ送信する。そして、店舗POSサーバ3bは、
図10(b)に示すように、店舗コードと共に購買データに含まれる売上金額に応じて演算したポイント数(第1ポイント)をさらに追加してPOSサーバ3aへ送信する。POSサーバ3aは、
図10(c)に示すように、送られてきた購買データをPOSデータベース14に格納する。
【0043】
販売管理装置30は、売上処理で発生する前記購買データの中の購買金額に応じて、会員番号別に第1ポイントを累積するポイント管理部15を備えており、POSサーバ3aは、この購買データに会員番号と売上金額に基づく第1ポイント数とが付加されているときには、ポイント管理部15に
図10(d)に示すように、会員番号に関連付けて管理しているポイント累計に送られてきたポイント数を加算してポイントを更新する。
【0044】
図8に戻って、クーポン配信装置1Aは、
図1のクーポン配信装置1とそれぞれ同様の購買データ記憶部11と、会員情報記憶部12と、クーポン実績記憶部13とを備える。ここでの会員情報記憶部12に格納されているポイント会員の会員番号と個人情報とは、小売企業がポイント会員の入会時に顧客から届出の個人情報が会員番号に関連付けて保持しているデータであり、予め小売企業から提供されて格納している。個人情報の提供を小売企業から特に求める必要はなく、その場合には会員情報記憶部12は不要となる。
【0045】
また、クーポン配信装置1Aは、プログラムの処理により、クーポン商品決定手段1bと、クーポン出力手段1cと、クーポン実績受付手段1dの各機能を実現する。しかし、本実施形態においては、ポイント会員カードの会員番号を顧客の識別子に利用するために、クーポン配信装置1Aは、クーポン配信装置1におけるような会員番号発行手段1aは備えない。
【0046】
情報端末装置2は、アプリケーションプログラム20Aをインストールすることで、登録手段21a´と、クーポン情報表示手段21b´と、クーポン使用実行手段21c´とを備える。登録手段21a´は、表示部23に
図11(a)に示す新規登録画面23a´でポイント会員の会員番号と利用店舗の入力欄を表示する。そして、入力された会員番号と利用店舗情報とはクーポン配信装置1Aに送信されて、クーポン配信装置1Aは、送られてきた利用店舗情報をその会員番号に関連付けて店舗コードで会員情報記憶部12に格納する。また、登録手段21a´は、入力された会員番号を記憶部22に記憶する。
【0047】
クーポン情報表示手段21b´は、クーポン配信装置1Aから送られてくるクーポン情報を表示する。
図11(b)は、クーポン情報表示画面23b´を例示しており、クーポンの対象商品の画像とクーポンの使用による提供する第2ポイント数を表示している。この例においては、複数のメーカーがそれぞれクーポンに表示されている当該メーカーの製品を顧客が購入するとき、使用可能なクーポンをそれぞれ表示している。
【0048】
クーポン使用実行手段21c´は、クーポン情報表示画面23b´において、クーポン対象商品が「選択」ボタンのタッチで選択されて、且つ「決定」ボタンがタッチされるとクーポンが使用されたとして、通信インタフェース24を通してクーポン配信装置1Aへ、この対象商品の商品コードと、記憶部22に記憶している会員番号と、このときの日付であるクーポン使用日時データとを送信する。これによって、POS端末3cにおいては、レジ担当者がクーポン情報表示画面23bの確認により、クーポンの対象商品の精算であることが入力されて、クーポンによる第2ポイントの提供処理が行われる。
【0049】
図12は、クーポン発行システム200において、情報端末装置2を利用して顧客がクーポンを使用するときの処理シーケンスを示している。
図12の処理シーケンスにおいても
図7と同様、販売管理装置30は、生成した購買データをバッチ処理又はリアルタイムでクーポン配信装置1Aに適宜、送信して(ステップS01)、クーポン配信装置1Aは受信した購買データを購買データ記憶部11に格納している(ステップS02)。
【0050】
情報端末装置2は、アプリケーションプログラム20Aを起動することで、クーポン情報表示手段21b´は、記憶部22に記憶されている会員番号をクーポン配信装置1Aへ送信することで、クーポン情報の送信を要求する(ステップS31)。
【0051】
クーポン配信装置1Aは、この要求に応答してクーポン情報を送信する処理を行う。先ず、クーポン商品決定手段1bは、この情報端末装置2に対応する会員番号の顧客の利用店舗を会員情報記憶部12から検索する(ステップS32)。そして、クーポン商品決定手段1bは、クーポン対象商品毎に購買データ記憶部12に蓄積している直近の過去の購買データによるクーポン対象商品毎の売上状況に基づいて、クーポン適用期間内での当該店舗での販売が可能な対象商品を判別する(ステップS33)。そして、クーポン適用期間内での販売が可能な対象商品をクーポンの発行が可能な商品とする。
【0052】
クーポン配信装置1Aは、クーポンの発行が可能な対象商品を決定すると、クーポン出力手段1cによって、対象商品の画像及びクーポン使用時にポイント会員の顧客に提供するポイント数(第2ポイント)の情報等を含むクーポン情報と、これに対応するクーポンコードと、をクーポンの要求のあった情報端末装置2へ送信する(ステップS34)。
【0053】
情報端末装置2においては、クーポン情報表示手段21b´が送られてきたクーポン情報に基づくクーポン情報表示画面23b´を表示部23に表示する(ステップS35)。
図11(b)は、クーポン情報表示画面23b´を例示している。そして、顧客は、利用店舗として登録している店で、情報端末装置2に表示されている対象商品を購入するとき、クーポン情報表示画面23b´を提示する。これにより、顧客は、利用店舗として登録している店で、情報端末装置2に表示されている対象商品を購入するとき、クーポン情報表示画面23b´を提示することで、精算レジの担当者が販売管理装置30のPOS端末3cのクーポン処理を実行させることで、金額の精算と共に第2ポイントの加算処理が行われる(ステップS38)。よって、小売企業が実施しているポイントシステムに第2ポイントを加算することで、クーポンの特典がポイントに反映されることになる。
【0054】
このような店舗での商品の精算時に、顧客自身又は店のレジの担当者によってクーポン対象商品の「選択」ボタンのタッチと、その後の「決定」ボタンのタッチでクーポンが選択される。この操作でクーポン使用実行手段21c´は、「選択」ボタンがタッチされたクーポンのクーポンコードと、記憶部22に記憶している会員番号と、クーポン使用日時データとを含むクーポン使用情報をクーポン配信装置1Aへ送信する(ステップS36)。このとき、クーポン使用実行手段21c´は、選択された商品の画像データを含むクーポン情報を消去する。
【0055】
クーポン実績受付手段1dは、クーポン配信装置1Aへ送られてきたクーポン使用情報をクーポン実績記憶部13に記憶する(ステップS37)。クーポン実績受付手段1dは、クーポン実績記憶部13に記憶しているクーポンコードからクーポン対象商品のメーカーを識別して、クーポン使用日時データから所定期間内で対象商品毎に設定している第2ポイント数を合計することで、メーカー別のクーポン発行による負担金額を演算することができる。そして、予め情報端末装置2から顧客によって登録された個人情報を格納する会員情報記憶部12を備えるクーポン発行システム100であれば、顧客の属性データから、クーポンが使用された対象商品の会員顧客の購買動向を分析して、メーカーに提供することができる。
【0056】
上記したように、本発明に係るクーポン発行システムは、顧客の情報端末装置にクーポンを配信するものであるが、顧客の利用する店舗での対象商品の売上状況に応じて、クーポン期間内で販売可能な対象商品のクーポンを配信するため、顧客のクーポンへの期待を裏切ることがない。したがって、それぞれ対象商品の売上状況が異なる複数の店舗にも適用しても不具合が生じることのない確実なクーポン発行システムである。尚、小売企業は1社に限定されるものではなく、クーポン配信装置は複数の小売企業の各販売管理装置とで本発明に係るクーポン発行システムを構築することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、1A クーポン配信装置
1b クーポン商品決定手段
1c クーポン出力手段
2 情報端末装置
3、3A 販売管理装置
15 ポイント管理部