(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/537 20060101AFI20220608BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A61F13/537 330
A61F13/15 100
A61F13/537 220
(21)【出願番号】P 2018098754
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】藤本 幸
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-284190(JP,A)
【文献】特開2007-236864(JP,A)
【文献】特開2010-51469(JP,A)
【文献】特開2013-255682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と幅方向とを有し、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前後方向に3等分することにより前側部と後側部とそれらの間の中間部とに区分され、
前記吸収性コアと前記バックシートの間に、
非吸液性かつ液不透過性の厚さ200μm以上のプラスチック板が配されて
おり、
前記プラスチック板は、前記吸収性コアの前記前側部および/または前記後側部と前記バックシートの間に配され、前記吸収性コアの前記中間部と前記バックシートの間には配されていないことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性コアには、前後方向に延びる開口が設けられ、
前記プラスチック板は、前記開口の前側端および/または後側端と重なるように配されている請求項
1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記プラスチック板は、前記吸収性コアよりも前方および後方に延在していない請求項1
または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記プラスチック板は、JIS L 1096に準拠したカンチレバー法による剛軟度が50mm~200mmである請求項1~
3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記プラスチック板は、前記前後方向のJIS L 1096に準拠したカンチレバー法による剛軟度が、前記幅方向の前記剛軟度より大きい請求項1~
4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記プラスチック板の前記吸収性コア側には繊維シートが配されており、
前記繊維シートは、前記プラスチック板の前記吸収性コア側の面の前後方向の中央50%かつ幅方向の中央50%の領域を覆い、かつ当該領域に接合されておらず、それ以外の部分で前記プラスチック板に接合されている請求項1~
5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記繊維シートは不織布から構成され、当該不織布の構成繊維が前記前後方向に配向している請求項
6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記繊維シートはスパンレース不織布またはエアスルー不織布から構成されている請求項
6または
7に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、尿パッド(失禁パッドを含む)、生理用ナプキン等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収体とを有する吸収性物品であって、尿等の拡散性や吸液性を高めるために、吸収体とバックシートの間に拡散シートや拡散層が設けられた吸収性物品が知られている。例えば特許文献1には、貫通する孔部が形成された吸収体の裏面に、当該孔部を覆うように液透過性の高い拡散シートが配された吸収性物品が開示され、特許文献2には、開口を有する吸収体とバックシートの間に、当該開口と重なって不織布製の拡散層が設けられた吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-284190号公報
【文献】特開2012-040260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来、尿等の拡散性や吸液性を高めるために、様々な吸収性物品が提案されている。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、尿等の拡散性に優れた吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、前後方向と幅方向とを有し、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性物品であって、吸収性コアとバックシートの間に厚さ200μm以上のプラスチック板が配されているところに特徴を有する。本発明の吸収性物品は、吸収性コアとバックシートの間に厚さ200μm以上のプラスチック板が配されているため、吸収性物品が受けた尿等が吸収性コアを透過してその一部がプラスチック板に達すると、尿等がその表面で平面方向に広がりやすくなる。この際、プラスチック板として厚さ200μm以上のものを用いることにより、プラスチック板の表面に皺が形成されにくく、表面の平滑性が保たれやすくなる。そのため、本発明の吸収性物品は、尿等の拡散性に優れるものとなる。
【0006】
吸収性コアは、前後方向に3等分することにより前側部と後側部とそれらの間の中間部とに区分され、プラスチック板は、吸収性コアの前側部および/または後側部とバックシートの間に配され、吸収性コアの中間部とバックシートの間には配されていないことが好ましい。プラスチック板はある程度の剛性を有しているが、プラスチック板が吸収性コアの中間部と重なる位置に配されないことにより、吸収性物品の着用者の股間部でのフィット性を高めることができる。また、吸収性コアの中間部は着用者の排尿口付近に対応する位置にあるため、プラスチック板を設けなくても、尿等が大量に存在することによって尿等が自然に拡散することが期待できる。これに対して吸収性コアの前側部および/または後側部は、中間部に比べて尿等の存在量が少ないために、プラスチック板を設けることによる尿等の拡散効果がより奏効されるようになる。
【0007】
吸収性コアには前後方向に延びる開口が設けられ、プラスチック板は、開口の前側端および/または後側端と重なるように配されていることが好ましい。このようにプラスチック板が配されていれば、吸収性コアの開口部分で拡散した尿等が開口の前側端または後側端に達した後、さらにプラスチック板の表面を伝って開口の前側端よりも前方または後側端よりも後方に広がりやすくなる。
【0008】
プラスチック板は、吸収性コアよりも前方および後方に延在していないことが好ましい。これにより、吸収性物品の前後端部の吸収性コアが存在しない部分で、吸収性物品が必要以上に硬くなって肌触りが低下することを防止することができる。
【0009】
プラスチック板は、JIS L 1096に準拠したカンチレバー法による剛軟度が50mm~200mmであることが好ましい。これにより、プラスチック板に皺や歪みが生じにくくなるとともに、吸収性物品を着用した際にプラスチック板が設けられた部分で過度に剛性が高まらず、着用者が違和感を覚えにくくなる。
【0010】
プラスチック板は、前後方向のJIS L 1096に準拠したカンチレバー法による剛軟度が、幅方向の剛軟度より大きいことが好ましい。これにより、プラスチック板の表面に皺が形成された場合でも、皺は吸収性物品の前後方向に延びるように形成されやすくなり、尿等の前後方向への拡散性が確保される。
【0011】
プラスチック板の吸収性コア側には繊維シートが配されており、繊維シートは、プラスチック板の吸収性コア側の面の前後方向の中央50%かつ幅方向の中央50%の領域を覆い、かつ当該領域に接合されておらず、それ以外の部分でプラスチック板に接合されていることが好ましい。このようにプラスチック板の吸収性コア側に繊維シートを設けることにより、プラスチック板と繊維シートの間の隙間で尿等が広がりやすくなり、尿等の拡散性が高まる。
【0012】
繊維シートは不織布から構成され、当該不織布の構成繊維が前後方向に配向していることが好ましい。この場合、尿等が繊維シート内で前後方向に拡散しやすくなり、またプラスチック板上の尿等が繊維シートに接触した際に、繊維シートの繊維配向方向に沿って尿等が前後方向に拡散しやすくなる。
【0013】
繊維シートはスパンレース不織布またはエアスルー不織布から構成されていることが好ましい。スパンレース不織布やエアスルー不織布は比較的嵩密度を低く形成することができるため、尿等の透過性に優れるものとなる。そのため、吸収性コアを透過した尿等が繊維シートを透過しやすくなり、プラスチック板による尿等の拡散作用をより高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸収性物品は、吸収性コアとバックシートの間に厚さ200μm以上のプラスチック板が配されているため、吸収性物品が受けた尿等が吸収性コアを透過してその一部がプラスチック板に達すると、尿等がその表面で平面方向に広がりやすくなる。この際、プラスチック板として厚さ200μm以上のものを用いることにより、プラスチック板の表面に皺が形成されにくく、表面の平滑性が保たれやすくなる。そのため、本発明の吸収性物品は、尿等の拡散性に優れるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】プラスチック板の吸収性コア側に繊維シートが設けられた積層体の構成例を示し、
図1(a)は当該積層体の斜視図を表し、
図1(b)は
図1(a)に示した積層体のI-I断面図を表す。
【
図2】プラスチック板の吸収性コア側に繊維シートが設けられた積層体の他の構成例を示し、
図2(a)は当該積層体の斜視図を表し、
図2(b)は
図2(a)に示した積層体のII-II断面図を表す。
【
図3】本発明の吸収性物品の一例として、尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。
【
図4】
図3に示した吸収性物品のIV-IV断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有するとともに、バックシートと吸収性コアとの間にプラスチック板が配されているものである。本発明の吸収性物品は、例えば、使い捨ておむつ、尿パッド(失禁パッドを含む)、生理用ナプキン等に適用できる。
【0017】
吸収性物品は、前後方向と幅方向とを有する。前後方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。幅方向とは、吸収性物品と同一面上にあり前後方向と直交する方向を意味し、吸収性物品を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、前後方向と幅方向から形成される面に対して平行方向を平面方向とし、垂直方向を厚み方向とする。
【0018】
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が、尿パッドや生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、長円形、砂時計形、ひょうたん形等が示される。
【0019】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、前腹部と後背部とこれらの間に位置し吸収性コアが備えられた股部とから構成される。使い捨ておむつとしては、例えば、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有する外層部材の肌面側に、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体が設けられてもよい。使い捨ておむつとしてはまた、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された積層体が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを形成してもよい。前腹部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前腹部と後背部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
【0020】
使い捨ておむつは、後背部の左右側端部に止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するテープタイプ(オープンタイプ)の使い捨ておむつであったり、前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。
【0021】
トップシートは、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0022】
バックシートは、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0023】
トップシートやバックシートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0024】
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コアは、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布シート等の被覆シートで覆われていてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0025】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コアは親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0026】
吸収性コアは、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0027】
吸収性コアは、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってもよい。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、特公昭52-42916号公報に開示されるように、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
【0028】
吸収性コアの形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コアの形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。
【0029】
吸収性物品には、トップシートの幅方向の両側に一対の立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、前後方向に延びるように設けられる。立ち上がりフラップは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
【0030】
立ち上がりフラップは、立ち上がる起点となる基部と立ち上がった先端となる自由端を有する。そして、基部と自由端の間に前後方向に延びる起立用弾性部材が設けられることが好ましい。起立用弾性部材は伸張状態で立ち上がりフラップに固定され、起立用弾性部材の収縮力によって、立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって立ち上がるように形成される。起立用弾性部材は、例えば接着剤等の公知の接合手段により、立ち上がりフラップに固定される。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、前後方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向の内方部に起立用弾性部材を設けることにより形成される。
【0031】
吸収性コアとバックシートの間にはプラスチック板が設けられている。吸収性コアが被覆シートで覆われている場合は、プラスチック板は、吸収性コアと被覆シートの間に設けられてもよく、この場合も吸収性コアとバックシートの間にプラスチック板が設けられることとなる。もちろん、被覆シートとバックシートの間にプラスチック板が設けられるものであってもよい。
【0032】
プラスチック板は200μm以上の厚さを有しており、これにより尿等の拡散性を高めることができる。これについて説明すると、吸収性物品が着用者から排泄された尿等を受けると、尿等は吸収性コアを透過してその一部がプラスチック板に到達する。このとき、吸収性コアとバックシートの間に設けるプラスチック板として厚さ200μm以上のものを選定することにより、プラスチック板の表面に皺が形成されにくく、表面の平滑性が保たれやすくなる。そのため、プラスチック板に到達した尿等がその表面で平面方向に広がりやすくなる。
【0033】
プラスチック板はある程度の剛性を有していることが好ましく、このような観点から、プラスチック板の厚さは250μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましく、350μm以上がさらに好ましく、400μm以上がさらにより好ましい。プラスチック板の厚さの上限は特に限定されないが、例えば1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、1.0mm未満がさらに好ましい。プラスチック板の厚さは、シックネスゲージを(厚さ測定機)を用いて測定することができる。例えば、株式会社テクロック社製のシックネスゲージを用いて、プラスチック板をシックネスゲージのアンビルと測定子の間に挟んで、終圧が2.2N以下となるように測定する。なお、アンビルと測定子は、測定対象との接触面が直径10mmの円形であり、接触面が平らなものを用いる。
【0034】
プラスチック板は、硬く形成され、折り曲げたりすることができないものであってもよく、ある程度軟らかく形成され、折り曲げたりすることができるものであってもよい。なお、プラスチック板が硬すぎると、吸収性物品の破損(例えば、バックシートの破断)の原因になったり、プラスチック板が配置された部分で吸収性物品の着用者の肌へのフィット性が低下するおそれがあることから、プラスチック板はある程度軟らかく形成され、曲げたりすることができるものが好ましい。
【0035】
なおプラスチック板は、スポンジなどの発泡体から構成されるのではなく、ソリッドな材料から構成されているものである。従って、プラスチック板は非吸液性であることが好ましく、また液不透過性であることが好ましい。プラスチック板は、親水性であってもよく、疎水性や撥水性であってもよい。いずれの場合も、プラスチック板の表面を液体が流れたり移動可能であることが好ましい。
【0036】
プラスチック板は、JIS L 1096に準拠したカンチレバー法による剛軟度が50mm~200mmであることが好ましい。プラスチック板がこのような剛軟度を有していれば、プラスチック板に皺や歪みが生じにくくなるとともに、吸収性物品を着用した際にプラスチック板が設けられた部分で過度に剛性が高まらず、着用者が違和感を覚えにくくなる。プラスチック板の剛軟度は75mm以上がより好ましく、100mm以上がさらに好ましく、また175mm以下がより好ましく、150mm以下がさらに好ましい。プラスチック板は、幅方向と前後方向の両方の剛軟度がこのように形成されていることが好ましい。なお、JIS L 1096(2010)の8.21.1のA法のカンチレバー法によれば、試験片は長さ約150mmのものを用いると規定されているが、試験に供する補強シートの長さは適宜調整すればよい。カンチレバー法による剛軟度は、試験片の長さが150mmを超えるものであっても剛軟度の値は基本的に変わらないため、必要に応じて、長さが150mmを超える補強シートを試験片に用いることができる。
【0037】
プラスチック板は、吸収性物品の前後方向よりも幅方向に曲がりやすいことが好ましい。具体的には、プラスチック板は、吸収性物品の前後方向のJIS L 1096に準拠したカンチレバー法による剛軟度の値が、吸収性物品の幅方向の同法による剛軟度の値よりも大きいことが好ましい。これにより、プラスチック板の表面に皺が形成された場合でも、皺は吸収性物品の前後方向に延びるように形成されやすくなる。そのため、尿等の前後方向への拡散性が確保されやすくなる。プラスチック板は、例えば、前後方向の剛軟度の値が幅方向の剛軟度の値よりも3mm以上大きいことが好ましく、5mm以上大きいことがより好ましい。プラスチック板を前後方向よりも幅方向に曲がりやすく形成する方法としては、例えば、プラスチック板に前後方向に延びる溝や凸条を設けたり、プラスチック板に前後方向に延びる切れ目を設ける方法が挙げられる。
【0038】
プラスチック板の形状は特に限定されないが、略矩形状であることが好ましい。プラスチック板は、吸収性物品の幅方向と前後方向にある程度の長さを有していることが好ましい。具体的には、プラスチック板は、幅方向の長さが30mm以上であることが好ましく、50mm以上がより好ましく、70mm以上がさらに好ましい。プラスチック板はまた、前後方向の長さが30mm以上であることが好ましく、50mm以上がより好ましく、70mm以上がさらに好ましい。
【0039】
プラスチック板は、吸収性コアを前後方向に3等分することにより前側部と後側部とそれらの間の中間部とに区分したとき、前側部に配されていてもよく、後側部に配されていてもよく、中間部に配されていてもよい。プラスチック板は、吸収性コアの前側部から中間部を経て後側部に延びるように配されていてもよい。なお、プラスチック板は吸収性コアの中間部とバックシートの間には配されず、吸収性コアの前側部および/または後側部とバックシートの間に配されていることが好ましい。プラスチック板はある程度の剛性を有しているが、プラスチック板が吸収性コアの中間部と重なる位置に配されないことにより、吸収性物品の着用者の股間部でのフィット性を高めることができる。また、吸収性コアの中間部は着用者の排尿口付近に対応する位置にあるため、プラスチック板を設けなくても、尿等が大量に存在することによって尿等が自然に拡散することが期待できる。これに対して吸収性コアの前側部および/または後側部は、中間部に比べて尿等の存在量が少ないために、プラスチック板を設けることによる尿等の拡散効果がより奏効されるようになる。
【0040】
なお本発明において、吸収性物品の様々な長さや位置は、吸収性物品を完全に広げた状態で規定されるものとする。例えば吸収性物品に弾性部材が設けられる場合は、弾性部材を完全に伸張させた状態、すなわち、弾性部材を除去した状態あるいは弾性部材を細かく切断して弾性部材の収縮力が発現しない状態で、吸収性物品の様々な長さや位置を測定する。
【0041】
プラスチック板は、吸収性物品の幅方向の中心線(前後方向に延びる中心線)を含んで配置されることが好ましい。すなわちプラスチック板は、吸収性物品の幅方向の中心線から幅方向の一方側と他方側に延在していることが好ましい。プラスチック板はまた、幅方向の一方側と他方側に設けられた立ち上がりフラップの基部間に設けられ、立ち上がりフラップの基部よりも幅方向の外方には設けられないことが好ましい。
【0042】
プラスチック板は、吸収性コアよりも前方および後方に延在していないことが好ましい。すなわち、吸収性コアの前側端よりも前方に延在せず、吸収性コアの後側端よりも後方に延在していないことが好ましい。これにより、吸収性物品の前後端部の吸収性コアが存在しない部分で、吸収性物品が必要以上に硬くなって肌触りが低下することを防止することができる。プラスチック板は、より好ましくは、吸収性コアの外縁よりも外方に延在しない。
【0043】
吸収性コアには前後方向に延びる開口が設けられていることが好ましい。吸収性コアに開口を設けることにより、開口が設けられた部分で尿等の拡散性が高まり、吸収性コアがより広範囲にわたって尿等の吸収に寄与できるようになる。開口は、吸収性コアの前後方向に延びるように形成されていることが好ましく、これにより吸収性コアの前後方向への拡散性が高まり、吸収性コアの全体が尿等の吸収により効果的に寄与できるようになる。なお、前後方向に延びる開口とは、幅方向よりも前後方向に長い形状を有する開口を意味する。開口は、吸収性コアを厚み方向に貫通して設けられる。
【0044】
吸収性コアには、開口が1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよいが、吸収性コアに設けられる開口の数は、3つ以下が好ましく、2つ以下がより好ましく、1つのみがさらに好ましい。吸収性コアに開口が1つのみ設けられる場合は、開口は、吸収性コアの幅方向の中央部に、前後方向に延びるように設けられることが好ましい。吸収性コアに開口が2つ設けられる場合は、開口は、吸収性コアの幅方向の中央部には設けられず、吸収性コアの幅方向の中央部を挟んだ一方側と他方側に、それぞれ前後方向に延びるように設けられることが好ましい。吸収性コアに開口が3つ設けられる場合は、開口は、吸収性コアの幅方向の中央部とその両側に、それぞれ前後方向に延びるように設けられることが好ましい。なお、吸収性コアの幅方向の中央部とは、吸収性コアの幅方向の中心線を含み、当該中心線に沿って前後方向に延びる部分を意味する。
【0045】
開口は、幅方向の長さが、吸収性コアの最も幅狭な部分の幅方向の長さの5%以上となることが好ましく、8%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましく、また30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。開口が2つ以上設けられる場合は、吸収性コアの最も幅狭な部分における開口の合計の幅方向の長さがこのような割合にあることが好ましい。なお、吸収性コアの最も幅狭な部分とは、吸収性コアの前後方向の両端部を除いて最も幅狭となる部分を意味し、例えば、吸収性コアを前後方向に5等分したときに、前後方向の一方側の1/5と他方側の1/5の部分を除いて、幅方向に最も狭く形成された部分を意味する。開口の幅はまた、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、35mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましい。開口が2つ以上設けられる場合は、各開口の幅がこのような範囲にあることが好ましい。
【0046】
開口は、前後方向の長さが、吸収性コアの前後方向の長さの40%以上となることが好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、また85%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、75%以下がさらに好ましい。なお、開口は、吸収性コアの外縁に接しないように設けられることが好ましく、これにより吸収性コアの保形性が高められる。
【0047】
吸収性コアが砂時計形に形成される場合は、開口は、少なくとも砂時計形状のくびれ部に設けられることが好ましい。すなわち、吸収性コアは前側部と後側部が中間部よりも幅広に形成され、開口が少なくとも中間部に設けられることが好ましい。開口は、さらに前側部および/または後側部に延在していてもよい。
【0048】
上記のように吸収性コアに開口が設けられる場合、プラスチック板は、吸収性コアの開口の少なくとも一部と重なるように配されることが好ましい。吸収性コアの開口部分では尿等の拡散性が高まることから、プラスチック板が吸収性コアの開口と重なって配されていれば、吸収性コアの開口部分で拡散した尿等がプラスチック板を伝って吸収性コアとバックシートの間をさらに拡散しやすくなる。
【0049】
プラスチック板は、吸収性コアの開口の前側端および/または後側端と重なるように配されることが好ましい。このようにプラスチック板が配されていれば、吸収性コアの開口部分で拡散した尿等が開口の前側端または後側端に達した後、さらにプラスチック板の表面を伝って開口の前側端よりも前方または後側端よりも後方に広がりやすくなる。プラスチック板は、例えば、吸収性コアの開口の前側端よりも1cm以上前方に延在するように設けられることが好ましく、また吸収性コアの開口の後側端よりも1cm以上後方に延在するように設けられることが好ましい。
【0050】
プラスチック板が吸収性コアの開口の前側端および/または後側端と重なるように配される場合、開口は吸収性コアの中間部から前側部および/または後側部に延在するように設けられ、プラスチック板は、吸収性コアの中間部には配されず、吸収性コアの前側部および/または後側部に配されることが好ましい。吸収性コアの中間部に形成された開口は、プラスチック板がなくても十分な拡散性を有するため、尿等の拡散性を高める観点からは、当該部分にプラスチック板を設けなくてもよい。
【0051】
プラスチック板の吸収性コア側には繊維シートが配されていることが好ましい。吸収性コアとバックシートの間にプラスチック板を設け、その吸収性コア側に繊維シートを配することにより、プラスチック板上での尿等の拡散性を高めることができる。これについて説明すると、吸収性物品が着用者から排泄された尿等を受けると、尿等は吸収性コアを透過してその一部がプラスチック板に到達する。このとき、吸収性コアの下側にプラスチック板が直接設けられる場合は、プラスチック板に到達した尿等は、プラスチック板の表面で平面方向に広がるより先に、再び吸収性コアに吸収されやすくなる。これに対してプラスチック板の吸収性コア側に繊維シートを設けた場合は、プラスチック板と繊維シートの間の隙間で尿等が広がりやすくなり、尿等の拡散性が高まる。なお、プラスチック板上での尿等の拡散性を高める点から、プラスチック板は吸収性コア側の面の少なくとも一部が繊維シートと接合されていないことが好ましい。また、繊維シートはプラスチック板のいずれかの部分に接合され、プラスチック板と一体的に取り扱えるように構成されていることが好ましい。
【0052】
図1および
図2には、プラスチック板の吸収性コア側に繊維シートを配した積層体の構成例を示した。
図1および
図2では、矢印xが吸収性物品の幅方向を表し、矢印yが吸収性物品の前後方向を表し、矢印zが吸収性物品の厚み方向を表す。厚み方向zに対して、z1が吸収性コア側を表し、z2がバックシート側を表す。
図1および
図2のいずれにおいても、プラスチック板11の吸収性コア側に繊維シート12が配されている。
図1では、繊維シート12がプラスチック板11の吸収性コア側のみに設けられ、
図2では、繊維シート12がプラスチック板11の吸収性コア側に設けられるとともに、繊維シート12の幅方向xの両端部がプラスチック板11のバックシート側に折り返されている。
【0053】
繊維シート12は、プラスチック板11の吸収性コア側の面の前後方向yの中央50%かつ幅方向xの中央50%の領域14を覆い、かつこの領域14に少なくとも接合されておらず、それ以外の部分でプラスチック板11に接合されていることが好ましい。これにより、プラスチック板11の前後方向yの中央50%かつ幅方向xの中央50%の領域14で、プラスチック板11と繊維シート12の間に隙間が形成され、当該領域14での尿等の拡散性を高めることができる。プラスチック板11の前後方向yの中央50%の領域とは、プラスチック板11の前後方向yの相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたときに、25%~75%の範囲にある領域を意味する。プラスチック板11の幅方向xの中央50%の領域とは、プラスチック板11の幅方向xの相対位置として一方端を0%とし他方端を100%としたときに、25%~75%の範囲にある領域を意味する。
【0054】
上記の場合、繊維シート12は、プラスチック板11の吸収性コア側の面の前後方向yの中央50%かつ幅方向xの中央50%の領域14を取り囲む周縁部の少なくとも一部に接合されるか、プラスチック板11のバックシート側の面に接合されればよい。
図1(b)では、繊維シート12が、プラスチック板11の吸収性コア側の面の接合部13で接合されており、
図2(b)では、繊維シート12が、プラスチック板11のバックシート側の面の接合部13で接合されている。繊維シート12のプラスチック板11への接合は、例えば接着剤の塗布や熱溶着により行うことができる。
【0055】
尿等はプラスチック板11上で前後方向yへの拡散性が高められることが好ましく、このような観点から、繊維シート12がプラスチック板11の吸収性コア側の面を非接合状態で覆う領域の前後方向yの範囲は、プラスチック板11の前後方向yの中央60%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。繊維シート12は、プラスチック板11の吸収性コア側の面の幅方向xの中央50%の領域を前後方向yの略全体にわたって覆い、かつ当該領域に接合されておらず、それ以外の部分でプラスチック板11に接合されていてもよい。
【0056】
図1では、繊維シート12が、プラスチック板11の吸収性コア側の面において、前後方向yの全体にわたってプラスチック板11の幅方向xの中央50%の領域に接合されず、プラスチック板11の幅方向xの両側50%の領域(すなわち幅方向xの一方端を含む一方側25%と他方端を含む他方側25%の領域)の一部または全部に接合されている。
図2では、繊維シート12が、プラスチック板11の吸収性コア側の面に接合されず、プラスチック板11のバックシート側の面の一部(または全部)に接合されている。繊維シート12は、幅方向xの両端部がプラスチック板11に直接接合されていることが好ましく、特に
図2では、繊維シート12の幅方向xの両端部がプラスチック板11のバックシート側の面に直接接合され、かつプラスチック板11のバックシート側の面で繊維シート12の幅方向xの両端部が離間していることが好ましい。
【0057】
繊維シート12としては、織布、編布、不織布等を用いることができる。なお、尿等の前後方向yへの拡散性を高める観点からは、繊維シート12は不織布から構成され、当該不織布の構成繊維が前後方向yに配向していることが好ましい。これにより、尿等が繊維シート内で前後方向yに拡散しやすくなり、またプラスチック板11上の尿等が繊維シート12に接触した際に、繊維シート12の繊維配向方向に沿って尿等が前後方向yに拡散しやすくなる。なお繊維シート12は、液透過性であることが好ましい。
【0058】
構成繊維が一方向に配向した不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。不織布の構成繊維の配向方向は、不織布の表面を顕微鏡等で観察することにより確認できる。例えばスパンボンド不織布では、構成繊維の配向方向について次のように説明される。スパンボンド不織布は、例えば、ポリマー原料を溶融し、紡糸口金から押し出して延伸し、これをコンベアベルト等の上に集積して、ウェブ状に形成することにより得られるが、この際、コンベアベルト上に集積されたウェブ(繊維)はコンベアベルトの進行方向に沿って配列されることとなる。従って、この場合、ウェブ(繊維)はコンベアベルトの進行方向(MD方向)に沿って配向することとなる。エアスルー不織布では、不織布を製造するに当たり、繊維塊形成の際の原料短繊維の集積方法やウェブ形成の際の開繊方法を適宜設定することにより、構成繊維の配向方向を揃えることができる。スパンレース不織布では、不織布を形成する際に、短繊維が分散した水流の流れを制御して繊維を堆積させることで、構成繊維の配向方向を揃えることができる。
【0059】
繊維シート12はスパンレース不織布またはエアスルー不織布から構成されていることが好ましい。スパンレース不織布やエアスルー不織布は比較的嵩密度を低く形成することができるため、尿等の透過性に優れるものとなる。そのため、吸収性コアを透過した尿等が繊維シート12を透過しやすくなり、プラスチック板11による尿等の拡散作用をより高めることができる。スパンレース不織布とエアスルー不織布は、当該不織布の構成繊維が前後方向yに配向していることが好ましい。
【0060】
次に、本発明の吸収性物品について、尿パッドを例に挙げ、
図3および
図4を参照して説明する。
図3は、本発明の吸収性物品の一例として、尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。
図4は、
図3に示した吸収性物品のIV-IV断面図を表す。図面では、矢印xが幅方向を表し、矢印yが前後方向を表し、矢印zが厚み方向を表す。なお本発明の吸収性物品は、図面に示された実施態様に限定されない。
【0061】
吸収性物品1は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に配された吸収性コア4とを有する。トップシート2は、着用者の股部の肌に面するように配置され、尿等の液体の排泄物を透過する。トップシート2を通過した尿等の排泄物は吸収性コア4に収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0062】
吸収性物品1は、吸収性コア4とバックシート3の間に厚さ200μm以上のプラスチック板11が配されている。このようなプラスチック板11を吸収性コア4とバックシート3の間に配することにより、プラスチック板11の表面に皺が形成されにくく、表面の平滑性が保たれやすくなり、吸収性コア4を透過しプラスチック板11に到達した尿等が、プラスチック11の表面で平面方向に広がりやすくなる。そのため、吸収性コア4のより多くの部分が尿等の吸収に寄与できるようになる。
【0063】
プラスチック板11は、吸収性コア4を前後方向yに前側部Fと後側部Rとそれらの間の中間部Mとに3等分したときに、吸収性コア4の前側部Fおよび/または後側部Rとバックシート3の間に配され、吸収性コア4の中間部Mとバックシート3の間には配されていないことが好ましい。プラスチック板11はある程度の剛性を有しているが、プラスチック板11が吸収性コア4の中間部Mと重なる位置に配されないことにより、吸収性物品1の着用者の股間部でのフィット性を高めることができる。また、吸収性コア4の中間部Mは、プラスチック板11が配されなくても、着用者の排尿口近傍に位置することによって尿等が自然に拡散することが期待できる。これに対して吸収性コア4の前側部Fおよび/または後側部Rは中間部Mに比べて尿等の存在量が少ないために、プラスチック板11を設けることによる尿等の拡散効果がより奏効されるようになる。
【0064】
吸収性コア4には、前後方向yに延びる開口5が設けられ、プラスチック板11は開口5の前側端および/または後側端と重なるように配されていることが好ましい。
図3では、吸収性コア4の幅方向xの中央部に前後方向yに延びるように開口5が1つのみ設けられている。このようにプラスチック板11が配されていれば、吸収性コア4の開口5で拡散した尿等が開口5の前側端または後側端に達した後、さらにプラスチック板11の表面を伝って開口5の前側端よりも前方または後側端よりも後方に広がりやすくなる。
【0065】
吸収性物品1は、肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ6が設けられることが好ましい。立ち上がりフラップ6を設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップ6は、例えば、トップシート2の幅方向xの両側に、前後方向yに延在するサイドシート7を接合し、サイドシート7の幅方向xの内方部分(立ち上がりフラップ6が立ち上がったときの上端近傍)に弾性部材8を設けることにより形成される。このようにサイドシート7と弾性部材8とを設けることにより、弾性部材8の収縮力によりサイドシート7の幅方向xの内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップ6が形成される。
【0066】
プラスチック板11は、立ち上がりフラップ6の基部6B間に設けられ、立ち上がりフラップ6の基部6Bよりも幅方向xの外方には設けられないことが好ましい。これにより、吸収性物品1を着用者が着用した際に、プラスチック板11を設けることによる違和感を覚えにくくなる。
【符号の説明】
【0067】
1: 吸収性物品(尿パッド)
2: トップシート
3: バックシート
4: 吸収性コア
5: 開口
6: 立ち上がりフラップ
11: プラスチック板
12: 繊維シート
F: 前側部
R: 後側部
M: 中間部