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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】断熱充填材料のためのバッフル構築体
(51)【国際特許分類】
   D03D 11/00 20060101AFI20220608BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
D03D11/00 Z
D03D1/00 Z
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2018113537
(22)【出願日】2018-06-14
(62)【分割の表示】P 2016559542の分割
【原出願日】2016-02-29
(65)【公開番号】P2018138714
(43)【公開日】2018-09-06
【審査請求日】2018-06-14
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】62/155,441
(32)【優先日】2015-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503204222
【氏名又は名称】ザ ノース フェイス アパレル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】The North Face Apparel Corp.
【住所又は居所原語表記】3411 Silverside Road,Wilmington,Delaware 19810 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライアン テイラー マッシー
(72)【発明者】
【氏名】コリー マイケル オルソン
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】西村 泰英
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特許第6182617(JP,B2)
【文献】特許第6562952(JP,B2)
【文献】特開2013-155452(JP,A)
【文献】特開2011-202295(JP,A)
【文献】中国実用新案第201785576(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/00-1/04
A41D 3/00-3/08
A41D 13/00-13/12
A41D 31/00-31/02
D03D 1/00-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッフル構築体であって、前記バッフル構築体は、
第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物であって、前記中間層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配設されており、前記層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、すべての部分が同じ製織プロセスにおいて形成され、前記層は、平行な平面上の第1のレベルと第2のレベルとに整合された複数のバッフルを画定するように接合されている、ドレープ可能な柔軟な多層構築物
を含み、
所与の層において、材料特性の観点から互いに異なる複数のゾーンが存在し、
前記複数のゾーンの各々が、前記単一のシームレスに織られた生地構築体内に形成され、隣接するゾーンがシームレスに接合され、
前記バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能であり、前記膨張させられた構成での前記バッフルの前記理論的な長手方向の断面プロファイルは、長円形のような形態、楕円形のような形態、または、四角形のような形態であり、
前記第1のレベルのバッフルは第1の構成を有し、前記第2のレベルのバッフルは前記第1のレベルのバッフルとネスティングされた構成である第2の構成を有し、前記第2の構成のバッフルの各々は、前記第1の構成の複数の完全なバッフル完全に覆い
前記バッフル構築体は、天然ダウンまたは合成ダウンである緩い充填材料を含み、前記第1の層および/または前記第3の層が、ダウンプルーフとなるために十分な密度を有し、前記充填材料が、所定の理論的なプロファイルに向けて前記バッフルを膨張させ、前記バッフル構築体は、前記充填材料を含有するようにシールされ、(1)前記中間層の少なくとも1つは第1および第3の層の全体的な生地密度よりも低い全体的な生地密度を有し、および/または(2)前記中間層の少なくとも1つは、前記第1の層および/または前記第3の層のヤーンデニールサイズよりも大きいヤーンデニールサイズの大部分または主要構成要素を有することを特徴とするバッフル構築体。
【請求項2】
バッフル構築体であって、前記バッフル構築体は、
第1の層、前記第1の層の下の第2の中間層、および、前記中間層の下の第3の層のドレープ可能な柔軟な3層構築物であって、前記層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、すべての部分が同じ製織プロセスにおいて形成され、前記層は、少なくとも4つの膨張可能なバッフルを画定するように接合されており、前記バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能である、ドレープ可能な柔軟な3層構築物
を含み、
所与の層において、材料特性の観点から互いに異なる複数のゾーンが存在し、
前記複数のゾーンの各々が、前記単一のシームレスに織られた生地構築体内に形成され、隣接するゾーンがシームレスに接合され、
前記バッフル構築体は、理論的な長手方向の断面プロファイルを有しており、前記第1の層、第2の層、および第3の層が、起伏のある形態または正弦曲線の形態をそれぞれ有するようになっており、前記第1の層および第3の層は、互いに同相であり、前記中間層は、180度だけ位相がずれており、
前記第1の層の最小またはトラフは、ジョイントを形成するために、前記中間層の最大またはピークに統合しており、前記第3の層の最大またはピークは、ジョイントを形成するために、前記中間層の最小またはトラフに統合しており、
前記第1の層、第2の層、および第3の層は、前記ジョイント同士の間で切り離されており、前記膨張可能なバッフルを画定するようになっており、前記ジョイントの各々が、水平な平面に、平坦な織られた部分を有し、同一の水平レベルにおいて隣接するバッフルを間隔を離して配置し、
前記バッフル構築体は、天然ダウンまたは合成ダウンである緩い充填材料を含み、前記充填材料が、所定の理論的なプロファイルに向けて前記バッフルを膨張させ、前記バッフル構築体は、前記充填材料を含有するようにシールされ、前記第1の層および/または前記第3の層が、ダウンプルーフとなるために十分な密度を有し、(1)前記中間層の少なくとも1つは第1および第3の層の全体的な生地密度よりも低い全体的な生地密度を有し、および/または(2)前記中間層の少なくとも1つは、前記第1の層および/または前記第3の層のヤーンデニールサイズよりも大きいヤーンデニールサイズの大部分または主要構成要素を有することを特徴とする、バッフル構築体。
【請求項3】
バッフル構築体であって、前記バッフル構築体は、
第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物であって、前記1つ以上の中間層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配設されており、前記層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、すべての部分が同じ製織プロセスにおいて形成され、前記層は、複数のバッフルを画定するように接合されている、ドレープ可能な柔軟な多層構築物
を含み、
所与の層において、材料特性の観点から互いに異なる複数のゾーンが存在し、
前記複数のゾーンの各々が、前記単一のシームレスに織られた生地構築体内に形成され、隣接するゾーンがシームレスに接合され、
前記バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能であり、前記バッフル構築体は、前記第1のつぶされた構成になっているときには、平坦な形態を有しており、前記第1の層が、前記中間層の一方の側に隣接しており、前記第3の層が、前記中間層の反対側に隣接しており、前記層は、(i)前記第1の層が中間層に統合する前記中間層の上部側、および、(ii)前記第3の層が前記中間層に統合する前記中間層の底部側における、ジョイントを除いて、互いから切り離されており、前記ジョイントの各々が、水平な平面に、平坦な織られた部分を有し、同一の水平レベルにおいて隣接するバッフルを間隔を離して配置し、
前記バッフルは、2つ以上のレベルに沿ってネスティングされた構成で配置され、
前記バッフル構築体は、天然ダウンまたは合成ダウンである緩い充填材料を含み、前記充填材料が、所定の理論的なプロファイルに向けて前記バッフルを膨張させ、前記バッフル構築体は、前記充填材料を含有するようにシールされ、前記第1の層および/または前記第3の層が、ダウンプルーフとなるために十分な密度を有し、(1)前記中間層の少なくとも1つは第1および第3の層の全体的な生地密度よりも低い全体的な生地密度を有し、および/または(2)前記中間層の少なくとも1つは、前記第1の層および/または前記第3の層のヤーンデニールサイズよりも大きいサイズの大部分または主要構成要素を有することを特徴とする、バッフル構築体。
【請求項4】
バッフル構築体であって、前記バッフル構築体は、
第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物であって、前記中間層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配設されており、前記層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、すべての部分が同じ製織プロセスにおいて形成され、前記層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、前記バッフルは、2つ以上のレベルに沿ってネスティングされた構成で配置され、前記第1の層および第3の層は、互いに同相であり、前記中間層は、180度だけ位相がずれている、ドレープ可能な柔軟な多層構築物
を含み、
所与の層において、材料特性の観点から互いに異なる複数のゾーンが存在し、
前記複数のゾーンの各々が、前記単一のシームレスに織られた生地構築体内に形成され、隣接するゾーンがシームレスに接合され、
前記バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能であり、平坦な織られた部分を有する織られた閉鎖が前記バッフル構築体に配設され、これにより、複数の行のバッフルの各々を前記織られた閉鎖のいずれかの側において2つの部分のバッフルに分割し、前記織られた閉鎖と前記バッフルの部分がお互いに対してシームレスに織られていて、
前記バッフル構築体は、天然ダウンまたは合成ダウンである緩い充填材料を含み、前記充填材料が、所定の理論的なプロファイルに向けて前記バッフルを膨張させ、前記バッフル構築体は、前記充填材料を含有するようにシールされ、前記中間層の少なくとも1つは第1および第3の層の全体的な生地密度よりも低い全体的な生地密度を有し、前記第1の層および/または前記第3の層が、ダウンプルーフとなるために十分な密度を有することを特徴とする、バッフル構築体。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、少なくとも1つの層は、ダウンプルーフまたは繊維プルーフであることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項6】
請求項に記載のバッフル構築体であって、前記第1の層および/または前記第3の層が、ダウンプルーフまたは繊維プルーフであることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項7】
請求項1、2、3、4又に記載のバッフル構築体であって、前記バッフルは少なくとも2つのレベルに配置され、前記複数のバッフルの長さ/高さのアスペクト比は、第1のレベルにおいては少なくとも3であり、第2のレベルにおいては少なくとも1であり、前記長さは、X軸に沿うジョイント同士の間の分離距離であり、前記高さは、Y軸に沿う隣接する層の最大分離距離であることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項8】
請求項2又はに記載のバッフル構築体であって、前記バッフルは、2つのレベルに沿って配置されていることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項9】
請求項に記載のバッフル構築体であって、一方のレベルにおける前記バッフルは、他方のレベルにおけるバッフルとネスティングしていることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、少なくとも5つ以上のバッフルが存在していることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、前記バッフル構築体は、所定の理論的なプロファイルに向けて前記バッフルを膨張させる充填材料をさらに含み、前記バッフル構築体は、前記充填材料を含有するようにシールされていることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項12】
請求項11に記載のバッフル構築体であって、前記充填材料は、ダウンおよび/またはブローされない断熱材および/または発泡断熱材の天然のまたは合成の緩い充填材料を含むことを特徴とするバッフル構築体。
【請求項13】
請求項11に記載のバッフル構築体を含む最終製品であって、前記最終製品は、衣類、スリーピングバッグ、スリーピングパッド、履き物のアッパー、グローブ、ヘッドウェア、枕、クッション、ベッド、または、ベッドの上掛けの群から選択されることを特徴とする最終製品。
【請求項14】
請求項1~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、少なくとも1つの層の中には、通気性、防風性、耐水性、断熱性、湿気移動性、耐摩耗性、切断/引き裂き抵抗、圧縮性の群から選択される属性の観点から互いに異なる複数のゾーンを含むことを特徴とするバッフル構築体。
【請求項15】
請求項14に記載のバッフル構築体であって、少なくとも1つの層は、経糸方向および/または緯糸方向を横切って種々のゾーンを有しており、移行ゾーンが、ゾーン同士の間に配設されており、1つのゾーンから別のゾーンへの属性の漸進的な移行を提供するようになっていることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項16】
請求項1~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、前記第1の層または前記第3の層の一方は、耐久性ゾーンを含み、前記第1の層または前記第3の層の他方は、通気性のあるまたは湿気を逃がす生地層を含むことを特徴とするバッフル構築体。
【請求項17】
請求項3に記載のバッフル構築体であって、前記ジョイントは、水平方向におよび垂直方向に配向されたジョイントを含むことを特徴とするバッフル構築体。
【請求項18】
請求項2~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、前記バッフル構築体は、以下のバッフルパラメーター:長さ、高さ、断面積、および体積の任意の1つ以上に基づいて、複数の断面バッフル形状および/またはサイズを有していることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項19】
請求項17に記載のバッフル構築体であって、前記バッフル構築体は、前記水平方向において複数のジョイント長さおよび/または幅を有していることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項20】
請求項に記載のバッフル構築体であって、前記織られた閉鎖が、その長さに沿って分割されて前記構築体に開口部を形成し、前記閉鎖を選択的に開閉するためのジッパーが前記閉鎖に関連付けられることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項21】
請求項1または2に記載のバッフル構築体であって、前記膨張させられた構成での前記バッフルの前記理論的な長手方向の断面プロファイルは、長円形のような形態または楕円形のような形態であることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項22】
請求項1または2に記載のバッフル構築体であって、前記膨張させられた構成での前記バッフルの前記理論的な長手方向の断面プロファイルは、四角形のような形態であることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項23】
請求項1~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、中間層は、前記第1の層および前記第3の層のうちの一方または両方のものとは異なるデニールを有するヤーンの大部分または主要構成要素を含むことを特徴とするバッフル構築体。
【請求項24】
請求項1~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、中間層は、前記第1の層および前記第3の層のうちの一方または両方のものとは異なる全体的な異なる密度を有していることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項25】
請求項1、1323又は24に記載のバッフル構築体であって、閉鎖を有する細長の平坦な織られた部分が前記バッフル構築体に配置され、これにより、複数の行のバッフルの各々を前記閉鎖のいずれかの側において2つの部分に分割し、前記閉鎖と前記バッフルがお互いに対してシームレスに織られており、前記閉鎖が、前記構築体に開口部を形成するために適していることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項26】
請求項1~のいずれか1項に記載の1つ以上のバッフル構築体を含む衣類であって、前記バッフル構築体は、前記バッフルの中に配設されている充填材料をさらに含み、前記複数のバッフルは、異なる構成を有しており、第1の構成が、対象とするユーザーの第1の身体エリアにマッピングしており、第2の構成が、対象とするユーザーの第2の身体エリアにマッピングしており、構成の相違は、異なる選択された機能的な属性または性能属性を可能にすることを特徴とする衣類。
【請求項27】
請求項26に記載の衣類であって、充填された条件での前記第1のバッフル構成は、相対的に高い断熱性を示しており、充填された条件での前記第2のバッフル構成は、相対的に低い断熱性を示していることを特徴とする衣類。
【請求項28】
請求項27に記載の衣類であって、前記第2の構成に対応する前記バッフルは、肘エリアの関節、肩エリアの関節、または、膝エリアの関節から選択される関節を含む、身体エリアにマッピングされていることを特徴とする衣類。
【請求項29】
請求項26に記載の衣類であって、充填された条件での前記第1のバッフル構成は、相対的に高い通気性を示しており、充填された条件での前記第2のバッフル構成は、相対的に低い通気性を示していることを特徴とする衣類。
【請求項30】
バッフル構築体を作製する方法であって、前記方法は、
複数の緯糸ヤーンおよび経糸ヤーンを提供するステップと、
第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物を製織するステップであって、前記1つ以上の中間層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配設されており、前記層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、前記層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、前記第1の層および第3の層は、互いに同相であり、前記中間層は、180度だけ位相がずれており、前記バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能である、ステップと
を含み、
前記中間層のうちの1つは前記第1の層および前記第3の層の全体的な生地密度よりも低い全体的な生地密度を有し、前記第1の層および/または前記第3の層が、ダウンプルーフとなるために十分な密度を有することを特徴とする、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記バッフルを膨張させるステップと、充填材料で前記バッフルを充填するステップと、前記バッフルをシールするステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記方法は、衣類、スリーピングバッグ、スリーピングパッド、履き物のアッパー、グローブ、ヘッドウェア、枕、クッション、ベッド、または、ベッドの上掛けから選択される最終製品へと前記バッフル構築体を組み立てるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
バッフル構築体を作製する方法であって、前記方法は、
複数の緯糸ヤーンおよび経糸ヤーンを提供するステップと、
第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物を製織するステップであって、前記1つ以上の中間層は、前記第1の層と前記第3の層との間に配設されており、前記層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、前記層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、前記第1の層および第3の層は、互いに同相であり、前記中間層は、180度だけ位相がずれており、前記バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能である、ステップと
を含み、
前記中間層のうちの1つは、前記第1の層および/または前記第3の層のヤーンサイズよりも大きいヤーンサイズの大部分または主要構成要素を有し、前記第1の層および/または前記第3の層が、ダウンプルーフとなるために十分な密度を有する
ことを特徴とする、方法。
【請求項34】
請求項1~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、前記構築体は、選択的に変化するヤーンデニール、ヤーン材料、および/または生地密度を有しており、別の層またはゾーンに対して、1つの層またはゾーンの中に、選択的な通気性、防風性、耐水性、断熱性、湿気移動性、弾力性、耐摩耗性、切断/引き裂き抵抗、抗圧縮抵抗、圧縮性の増加、または純粋に審美的な特徴を提供することを特徴とするバッフル構築体。
【請求項35】
請求項1~のいずれか1項に記載のバッフル構築体であって、前記構築体は、選択的に設置されている熱可塑性のヤーンを有し、前記ヤーンが、身体のパーツにセットされていることを特徴とするバッフル構築体。
【請求項36】
請求項33に記載の方法であって、前記緯糸ヤーンまたは経糸ヤーンは、選択的に設置されている熱可塑性のヤーンを含み、前記方法は、フォーム、モールド、またはパターンの上に前記構築体を設置するステップと、加熱するステップと、前記フォーム、モールド、またはパターンの対応する形状に前記構築体をセットするステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記形状は、身体のパーツを表していることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上着衣類、スリーピングバッグ、および他の物品において使用されるものなどのような、断熱のための生地に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャケットおよび他の衣類などのような製品は、複数の生地から構成される多層の構築物から形成されることが多い。多くの場合、一般にバッフルと称される材料のピースが、構築物のさまざまな層を互いから分離している。たとえば、これらのバッフルは、構築物の2つの最外層の間に設けられ、空気チャンバーを生成することが可能であり、天然ダウンまたは合成ダウンなどのような、断熱用の緩い充填材料が、空気チャンバーの中へ追加され得る。これらのバッフルは、異なるピース(上部層、底部層、および分割壁部)から一緒に縫い合わせられる構築体であり、そのプロセスは、製造における非効率を生成する。それらは、製造および設置の容易性を促進させるために、長方形プロファイルなどのような単純な形状を有している。図1Aは、従来のバッフルの例を示している。上部層および底部層が一緒に縫合されるバッフルステッチ線は、バッフルを圧縮し、断熱用材料を除外する。中断された充填を備えるこれらの圧縮されたエリアは、結果としてコールドスポットを生じさせる。その理由は、(1)充填材料が低減されるかまたは充填材料が存在しないから、および、(2)層を縫合する際に作られた針貫通に起因して空気透過性が増加するからである。図1Bは、従来のバッフリングの別の例を示しており、バッフルは、構築体に沿って充填材のより均一な分配を可能にするように配置されているが、依然として、上部層および底部層、ならびに、分割する壁部を形成するピースを接続するために縫合されたシームの不利益がある。米国特許出願公開第2013/0014317号も参照されたい。図1Cは、米国特許出願公開第2014/0250575号に開示されているバッフリングシステムを示している。‘575公報は、別々に形成された複数の離散的な層が、層セットの中に配置され得るということを開示した。それぞれの層セットの層は、互いに対してキルトステッチ(quilt-stitched)にされ得る。それぞれの層の層同士の間の長円形スペースは、断熱材料を有している。層セットは、互いからオフセットされており、1つの層のステッチは、冷たい空気の流れを遮断するために、別の層のエリアによってカバーされている。しかし、先行技術の中の縫合されたシームは、先述の構築物の中にコールドスポットの供給源を残したままである。米国特許出願公開第2013/0309929号も参照されたい。米国特許出願公開第2013/0309929号は、断熱能力を強化するように構築された不織布の断熱中間層(すなわち、ダウンのような緩い充填材料ではない)を有する多層生地構造に関する。
【0003】
先述の公知のバッフルは、異なる製織作業で形成された複数のピースから構築されており、製造の非効率および追加コストを生成する。結合ジョイントが材料を接合するために使用され得るが、結合プロセスは、労働集約型および材料集約型のままである。また、縫合されたシームまたは結合されたシームは、損傷を受けやすい。その理由は、縫合されたシームにおけるスレッドは、緩む可能性があり、または、結合されたジョイントは、分離する可能性があるからである。また、結合されることまたは縫合することを使用することは、製品に重量を加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2013/0014317号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0250575号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0309929号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
要するに、従来のバッフルは、先述の不利益および他の不利益を有しており、均一な充填材分配、コールドスポットの排除、追加的な強度および完全性、設計フレキシビリティー、ならびに/または、より低いコストを可能にする、改善された多層のバッフル構築物に対する要求が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主題は、概して、衣類およびスリーピングバッグなどのような消費者製品において使用するための形状決めされたバッフル構築体に関する。特定の態様では、形状決めされたバッフルは、バッフルのマルチレベルの構築物の中に配置されており、バッフルは、2つ以上のレベルの中でオフセットされている。特定の態様では、構築体全体は、単一の織られたシームレスの構築物である。
【0007】
特定の実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体に関し、バッフル構築体は、第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層の多層構築物を含み、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能であり、膨張させられた構成でのバッフルの理論的な長手方向の断面プロファイルは、長円形のような形態または楕円形のような形態である。バッフルは、他の実施形態では他の形状を有することが可能である。
【0008】
特定の実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体に関し、バッフル構築体は、第1の層、第1の層の下の第2の中間層、および、中間層の下の第3の層の3層構築物であって、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、少なくとも4つの膨張可能なバッフルを画定するように接合されており、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能である、3層構築物を含み、バッフル構築体は、理論的な長手方向の断面プロファイルを有しており、第1の層、第2の層、および第3の層が、起伏のある形態または正弦曲線の形態をそれぞれ有するようになっており、第1の層および第3の層は、概して、互いに同相であり、中間層は、約180度だけ位相がずれており、第1の層の最小またはトラフは、ジョイントを形成するために、中間層の最大またはピークに統合しており、第2の層の最大またはピークは、ジョイントを形成するために、中間層の最小またはトラフに統合しており、第1の層、第2の層、および第3の層は、ジョイント同士の間で切り離されており、膨張可能なバッフルを画定するようになっている。
【0009】
他の実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体に関し、バッフル構築体は、第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な(drapable)柔軟な多層構築物であって、1つ以上の中間層は、第1の層と第3の層との間に配設されており、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されている、ドレープ可能な柔軟な多層構築物を含み、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能であり、バッフル構築体は、第1のつぶされた構成になっているときには、平坦な形態を有しており、第1の層が、中間層の一方の側に隣接しており、第3の層が、中間層の反対側に隣接しており、層は、(i)第1の層が中間層に統合する中間層の上部側、および、(ii)第3の層が中間層に統合する中間層の底部側における、間隔を離して配置されたジョイントを除いて、互いから切り離されており、バッフルは、2つ以上のレベルに沿ってネスティングされた(nested)構成で配置されている。
【0010】
さらに可能性のある実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体に関し、バッフル構築体は、第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物であって、中間層は、第1の層と第3の層との間に配設されており、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されている、ドレープ可能な柔軟な多層構築物を含み、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能であり、層のうちの1つは、別の層の全体的なヤーン密度と異なる全体的なヤーン密度を有している。
【0011】
別の可能性のある実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体に関し、バッフル構築体は、第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物であって、中間層は、第1の層と第3の層との間に配設されており、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能である、ドレープ可能な柔軟な多層構築物を含み、層のうちの1つは、別の層のものと異なるヤーンサイズの大部分または主要構成要素を有している。
【0012】
別の可能性のある実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体に関し、バッフル構築体は、第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物であって、中間層は、第1の層と第3の層との間に配設されており、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能である、ドレープ可能な柔軟な多層構築物を含み、層のうちの1つは、別の層のものと異なるヤーン材料タイプの大部分または主要構成要素を含む。
【0013】
別の可能性のある実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体を作製する方法に関し、方法は、複数の緯糸ヤーンおよび経糸ヤーンを提供するステップと、第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物を製織するステップであって、中間層は、第1の層と第3の層との間に配設されており、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能であり、膨張させられた構成でのバッフルの理論的な長手方向の断面プロファイルは、長円形のような形態、楕円形のような形態、または、四角形のような形態である、ステップとを含む。
【0014】
別の可能性のある実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体を作製する方法に関し、方法は、複数の緯糸ヤーンおよび経糸ヤーンを提供するステップと、第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物を製織するステップであって、中間層は、第1の層と第3の層との間に配設されており、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能である、ステップとを含む。
【0015】
先述の方法のいずれかは、バッフルを膨張させるステップと、充填材料でバッフルを充填するステップと、バッフルをシールするステップとをさらに含むことが可能である。先述の方法のいずれかは、衣類、スリーピングバッグ、スリーピングパッド、履き物のアッパー、グローブ、ヘッドウェア、枕、クッション、ベッド、または、ベッドの上掛けから選択される最終製品へとバッフル構築体を組み立てるステップをさらに含む。先述の方法のいずれかは、構築体の中に熱可塑性のヤーンを選択的に設置するステップと、次いで、フォーム、モールド、またはパターンの上に構築体を設置するステップと、加熱するステップと、フォーム、モールド、またはパターンの対応する形状に構築体をセットするステップとを含むことが可能である。形状は、解剖学的な身体のパーツを表すことが可能である。
【0016】
別の可能性のある実施形態では、本発明の主題は、バッフル構築体に関し、バッフル構築体は、第1の層、1つ以上の中間層、および、第3の層のドレープ可能な柔軟な多層構築物であって、中間層は、第1の層と第3の層との間に配設されており、層は、すべて、単一のシームレスに織られた生地構築体の一部であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されており、バッフルは、第1のつぶされた構成から第2の膨張させられた構成へ膨張可能である、ドレープ可能な柔軟な多層構築物を含む。
【0017】
本明細書で開示されているバッフル構築体のいずれかでは、少なくとも1つの層が、ダウンプルーフまたは繊維プルーフ(fiberproof)であることが可能である。
【0018】
本明細書で開示されているバッフル構築体のいずれかでは、中間層の中のヤーンの大部分または主要構成要素が、第1の層および第3の層のうちの一方または両方の中のヤーンの大部分または主要構成要素よりも高いデニールを有することが可能である。
【0019】
本明細書で開示されているバッフル構築体のいずれかでは、中間層のバッフル構築体は、第1の層および第3の層のうちの一方または両方とは全体的な異なる密度を有することが可能である。
【0020】
本明細書で開示されているバッフル構築体のいずれかでは、構築体は、選択的に変化するヤーンデニール、ヤーン材料、および/または生地密度を有しており、別の層またはゾーンに対して、1つの層またはゾーンの中に、選択的な通気性、防風性、耐水性、断熱性、湿気移動性、弾力性、耐摩耗性、切断/引き裂き抵抗、抗圧縮抵抗、圧縮性の増加、または純粋に審美的な特徴を提供することが可能である。
【0021】
本明細書で開示されているバッフル構築体のいずれかでは、バッフル構築体は、たとえば、TPUを含むヤーンなど、選択的に設置されている熱可塑性のヤーンを有することが可能である。
【0022】
また、本発明の主題は、充填材料で充填されているそのようなバッフル構築体、充填されたバッフル構築体を使用する最終製品、ならびに、バッフル構築体を作製および使用する方法に関する。
【0023】
先述のものは、本発明の主題の実施形態および特徴の包括的なリストであることは意図されていない。当業者は、図面と関連した以下の詳細な説明から、他の実施形態および特徴を理解することができる。これらの実施形態および他の実施形態は、以下の詳細な説明および図において、より詳細に説明されている。
【0024】
以下は、本発明の主題の下でのさまざまな本発明のラインの説明である。当初に出願されたような、または、その後に補正されるような、この文書の中の添付の特許請求の範囲は、直接的に書かれているかのように、本発明の概要の章の中に組み込まれている。
【0025】
添付の図は、先行技術を示すというように注記されていなければ、本発明の主題による実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】先行技術によるバッフル構築物を示す図である。
図1B】先行技術による別のバッフル構築物を示す図である。
図1C】先行技術によるさらなるバッフル構築物を示す図である。
図2】バッフルの端部が閉じられる前の、複数の層を有するバッフル構築物の上部の側面斜視図を概略的に図示する図である。
図3図1のものに一貫するバッフル構築物の断面を示す図である。
図4図1のバッフル構築物の平面図を示す図である。
図5図1の場合と同じ図を示しており、バッフルを画定する層が、つぶされた平面的な状態になっていることを示す図である。
図6】バッフルの中に充填材料を備える図1のものによるバッフル構築物の側面斜視図を示す図である。
図7図6のものによるバッフル構築物の上部斜視図を示す図である。
図8】図に示されているか、または、そうでなければ、本明細書で開示および企図されている、バッフル構築物を組み込むことができる代表的な最終製品、すなわち、スリーピングバッグを示す図である。
図9】図に示されているか、または、そうでなければ、本明細書で開示および企図されている、バッフル構築物を組み込むことができる別の代表的な最終製品、すなわち、パーカーを示す図である。
図10A】生地の幅に沿って2つの別々のバッフルコンパートメントを生成させるように、バッフルのレベルが、どのように閉じられるかということを概略的に示す図である。
図10B】生地の幅に沿って2つの別々のバッフルコンパートメントを生成させるように、バッフルのレベルが、どのように閉じられるかということを概略的に示す図である。
図10C】生地の幅に沿って2つの別々のバッフルコンパートメントを生成させるように、バッフルのレベルが、どのように閉じられるかということを概略的に示す図である。
図11】第1の構成の上部バッフルのセットと、異なる構成の底部バッフルのセットとを有する、代替的なバッフル構築物の上部の側面斜視図を概略的に図示しており、バッフルは、充填された状態で表されている図である。
図12図11の実施形態の底部の斜視立面図を概略的に図示する図である。
図13A図11のものに対応するバッフル構築物の底部側の平面図を示す図である。
図13B図13Aのバッフル構築物の上部側の平面図を示す図である。
図13C図13A~Bのバッフル構築物の立面図を示す図である。
図14A】さらなる別の代替的なバッフル構築物の底部側の平面図を示す図である。
図14B図14Aのバッフル構築物の上部側の平面図を示す図である。
図14C図14A~Bのバッフル構築物の立面図を示す図である。
図15】1つの可能性のある複数のゾーン生地構築体構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の主題による代表的な実施形態が、図2図15に示されており、同じ特徴または概して同様の特徴は、共通の参照番号を共有している。
【0028】
図2図7および図10A図10Cは、断熱材料を保持するためのバッフル構築体10を示している。バッフル構築体は、衣類、スリーピングバッグ、スリーピングパッド、履き物のアッパー、グローブ、ヘッドウェア、枕、クッション、ベッド、ベッドの上掛け、および、他のそのような物体を含む、さまざまな製品において使用され得る。バッフル構築体は、シームレスに接合された異なる層を備える単一の織られた物品である。換言すれば、すべての部分は、同じ製織プロセスにおいて形成され、それぞれが織られた後に一緒に接合される別々のパネルではない。
【0029】
バッフル構築体10は、第1の層またはフェイス層12、1つ以上の第2の層または中間層14、および、第3の層またはバック層16の多層構築物を有している。層12、16のラベル付けは任意である。その理由は、いずれかが、一方または他方とみなされ得るからである。ラベル付けは、最終製品、または、最終製品に関するコンポーネントの文脈において重要性を有することとなる。(i)フェイス層は、通常、周囲環境に向かって外向きに向いており、(ii)バック層は、基体に対して内向きに向いており、たとえば、ジャケットまたはスリーピングバッグのケースでは、フェイス層は、ユーザーの身体から離れる方を向いており、バック層は、ユーザーの身体の方を向いている。それぞれの層は、織られた生地を含み、それは、製織プロセスにおいて他の層とシームレスに形成された、単一の織られた構築体である。
【0030】
層は、ヤーンまたは他の織られたフィラメントの同じまたは異なる組成を有することが可能である。フェイス層12は、所望の性能属性および/または審美的な属性を提供するように選択され得る。たとえば、それは、タフタなどのような軽量の材料であることが可能である。または、それは、40Dポリエステルまたはリップストップナイロンなどのような、耐久性のある材料もしくは耐摩耗性の材料;水または風を遮断する耐候性の材料;弾性材料;または、そのような属性の組み合わせを提供する材料であることが可能である。フェイスは、さまざまなドビーパターンで織られ得る。
【0031】
バック層16は、タフタなどのような快適な材料;湿気を逃がす材料;または、そのような属性の組み合わせを提供する材料であることが可能である。中間層14は、他の層、または、他の層で使用される材料の組み合わせと同じかまたは異なっていることが可能である。フェイス層は、撥水性に関するDWRまたはCIREなどのような仕上げを有し、生地をダウンプルーフにし、空気浸透性を低くすることが可能である。
【0032】
1つの代表的な非限定的な例では、フェイス層12は、ドビー、ジャッカードなどのような織られた構築物を有し、所望の織り方タイプ(たとえば、リップストップ、ツイルなど)を作り出し、一方、バック層16は、基本的なタフタ構築物を有することが可能である。また、中間層14も、バック層のように、基本的なタフタ構築物を有することが可能である。代替的に、それは、フェイス層と同様であることが可能である(たとえば、リップストップ、ツイルなど)。
【0033】
公知の属性を備えるさまざまな従来の材料が、上記に列挙されているものなどのような所望の属性を提供するように選択され得、それは、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、エラステイン、シルク、綿、ウール、アセテート、アクリル、アラミド、麻、ジュート、リヨセル、カシミア、トリエクスタ(triexta)、ポリエチレン、レーヨン、および、先述のもののブレンド、ならびに、先述のもの、または、先述のもののブレンドのいずれかのすべてのリサイクルされたバージョンを含む。層に関するデニールは、5D以上であることが可能であり、任意の層は、デニールのブレンドであることが可能である。たとえば、典型的なスリーピングバッグ用途およびアパレル用途に関して、10D、15D、20D、30D、40D、50D、60D、70D、75D、80D、90D、100D、120D、140D、150D、160D、180D、もしくは200Dのデニール、ならびに、リップストップ構築物、または、他の公知のもしくは発見されたドビーパターンが、任意の層とともに使用され、追加的な引き裂き抵抗および強度を付与することが可能である。
【0034】
また、所与の層は、異なるゾーンの中で種々の属性を有することが可能であり、より詳細に下記に開示されているように、漸進的な属性の変化を可能にする移行ゾーンが、異なるゾーンの間に存在することが可能である。
【0035】
特定の実施形態では、本発明の主題は、第1の層、1つ以上の中間層、および第3の層の、ドレープ可能な柔軟な多層構築物を有するバッフル構築体に関し、中間層は、第1の層と第3の層との間に配設されている。層は、単一のシームレスに織られた生地構築体のすべての部分であり、層は、複数のバッフルを画定するように接合されている。換言すれば、生地は、連続的に織られており、それは、製織プロセスにおいて、たった1つの織られたピースとして形成されるようになっている。その構築体は、つぶされた平坦な形態で織機から外れる。そのような形態では、第1の層は、中間層の一方の側に隣接しており、第3の層は、中間層の反対側に隣接している。層は、(i)第1の層が中間層と統合される中間層の上部側における、および、(ii)第3の層が中間層と統合される中間層の底部側における、間隔を離して配置されたジョイントを除いて、互いから切り離されている。バッフルは、2つ以上のレベルに沿って、ネスティングされた構成で配置され得る。換言すれば、構築体の長手方向軸線にしたがう第1の線は、全体的に、第1のレベルにあるバッフルだけを二等分することが可能であり、第2のレベルにあるバッフルの長手方向軸線にしたがう第2の平行な線は、全体的に、そのレベルにあるバッフルだけを二等分することが可能である。
【0036】
図2図3は、それぞれのバッフルが充填されているときの構築体10の理論的な形状を示している。それぞれのバッフル18a~bは、概して長円形のようなまたは楕円形のような断面プロファイルを有しており、多層生地構築体の長手方向軸線(X軸)にしたがっている。他の実施形態では、バッフルは、三角形、五角形、六角形、または他の多角形、円形、および、境界を定められたエリアを画定する他の形状のような、他の体積形状を有することが可能である。実際は、バッフルが完全には充填されていない場合、または、バッフルが、たとえば、バッフルの中で均一に分配しない塊状の材料で充填されている場合には、バッフルは、それらのドレープ可能な柔軟な生地性質に起因して、いくらかの形状の変化を有する可能性がある。図に示されている構造を例にとると、変化は、バッフルの中に充填されていない平坦な状態から、バッフルを詰め込み過ぎている丸い状態であることが可能である。図6図7は、バッフルを示しており、バッフルは、充填材料を有しており、いくらかの変化を有するが、それにもかかわらず、概して長円形のような形状または楕円形の形状を有している。示されている長円形のような構造は、詰め込み過ぎていない中間レベルの充填を使用して実現される中間形状を表している。バッフルの理論的な形状は、平坦な形状と(示されているバッフルのケースでは)丸い形状まで詰め込まれ過ぎた形状との間の中間形状においてバッフル構築体がとることとなる体積形状である。たとえば、多角形などのような他の形状に構造化されたバッフルのケースでは、全体的に多角形を表しまたは多角形として認識できる、期待される中間形状からバッフルが膨張するときに、角部が湾曲し、丸みを帯びた形状を生成させることとなる。理論的な形状を見るための別の方式は、バッフルのアレイが非弾性的な空気不浸透性の生地から作製され、それが緊張状態にちょうど到達するまで空気によって膨らませられたことを想像するということである。これは、示されている長円形のような構造であるべきである。以下の議論では、バッフル形状および幾何学形状を参照することは、別段の指示がなければ、バッフル構築体がその理論的な膨張させられた状態になっているということを仮定している。
【0037】
それぞれのバッフルは、充填材料20を受け入れるための中空のコンパートメントとして、構築体を通って短手方向に(Z軸(ラベル付けされていない))延在している。また、バッフルは、ひし形または偏菱形の形態などのような、長円形または楕円を近似する直線的な形態を有することが可能である。図は、先述の説明に一貫するバッフルに関する代表的な幾何学形状を示している。しかし、本発明の主題は、長円形のようなまたは楕円形のような幾何学形状に限定されず、たとえば、矩形から三角形に至るまでの台形の任意のバージョンが使用され、図に示されている長円形のようなバッフルに置換されるということを企図している。そして、留意されるように、任意の所望の境界を定められたエリアを表す形状が、特定の実施形態において使用され得る。
【0038】
それぞれのバッフルは、中間層14および(i)対向する第1の層12または(ii)対向する第3の層16によって画定されている。たとえば、バッフル18aは、中間層14および対向する第1の層12によって画定されており、バッフル18bは、中間層14および対向する第3の層16によって画定されている。それぞれの層は、その理論的な形状に膨張させられるときに、起伏のあるまたは正弦曲線のような形態を有している。示されている実施形態では、充填されていないときに、図5に示されているように、それぞれの層に関して使用されているテキスタイルの非剛体の柔軟な性質を前提として、バッフル構築体は、平面的な形態へとつぶれることができる。つぶされた形態において、それぞれの層は、その隣接する層に対抗して平坦になっている。バッフルコンパートメント18a、18bが充填されるときに、ジョイント19は、それぞれのX軸に沿って互いに向かって集まり、中間材料が最大および最小に向かって移動することを可能にし、起伏のあるまたは正弦曲線の断面形態を作り出す。
【0039】
図3を見ると、それぞれのバッフルは、ジョイント19を有しており、ジョイント19において、対向する層の最大(ピーク)Mnおよび最小(トラフ)Mnが整合し、単一の織られたシームレス構造へと統合している。示されている実施形態では、ジョイントは、水平方向の平面において、平坦な織られたセクションである。他の実施形態では、ジョイントは、垂直方向の平面または横断方向の平面にあることが可能である。そのようなケースでは、最大および最小は、統合することとならないが、最大および最小を分離する支柱構造の性質を持って、ジョイントによって接続されることとなる。いずれかのジョイントから所与のバッフルの中心に向かってX軸(示されている実施形態では、長軸)に沿って移動すると、層は、概して整合させられた最大/最小に到達し、そこでは、Y軸(短軸)に沿って、層同士の間に最大の分離が存在している。バッフルは、交差線同士の間に長さLを有しており、最大同士の間に高さHを有している。バッフルは、LがH以上である場合に、アスペクト比を有している。L/Hのアスペクト比は、1よりも大きいことが可能である。たとえば、それは、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.25、4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、6.25、6.5、6.75、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または、それ以上であることが可能である。また、先述のアスペクト比の逆数も企図され、すなわち、Hは、Lよりも大きいことが可能である。図3は、3つの完全なバッフルを備えるバッフル構築体を示しており、また、それぞれの端部において、バッフルの部分的な半分の図を示している。しかし、バッフル構築体は、任意の数のバッフルを有することが可能であり、図3および他の図に示されている数は、単に、本発明の主題の原理を伝えることを意図しているだけである。
【0040】
バッフル構築体10は、バッフルの2つ以上の隣接するレベルを有することが可能である。図に示されている例示目的の実施形態では、バッフル18aは、それらのX軸に沿って、第1のレベルL1において整合させられており、バッフル18bは、それらのX軸に沿って、第2のレベルL2において整合させられている。それぞれの層12、14、16の起伏または波形は、第1の層12および第3の層16が概して同相になるようになっており、それらの層のそれぞれにおける最大またはピークが、互いに整合している。中間層14は、概して、第1の層および第3の層の両方と180度だけ位相がずれている。この構成は、1つの層のバッフルが別の層のバッフル同士の間の中にネスティングするということを結果として生じさせる。このネスティングは、バッフル構築体の長手方向軸線に沿って、途切れることのない充填材料の分配を可能にし、有利にはたった1つの製織プロセスで実施され得るシームレス構築物の利益を有しながら、コールドスポットを排除し、製造ステップ、材料、およびコストを節減する。特に、バッフル構築体の全体的な断面プロファイルは、第1の層12および第3の層16が同相になっていることに基づいて、起伏のある形態または正弦曲線のような形態を有することが可能である。この構成の1つの可能性のある利点は、それが、身体に対して、より暖かい空気ポケットを可能にするということである。それぞれのバッフルの体積は、必要性に応じて変化することが可能である。図3は、スリーピングバッグ(理論的な形状では、8.25の長さ)のためのバッフル構築体に関する代表的な長さ寸法を示している。第1の層12または第2の層16が中間層14と単一に接合されている、織られたエリアは、0.325インチの幅である。強調するために、これらは、非限定的な例であり、寸法は、性能ニーズ、審美的なニーズ、製造ニーズ、およびコストニーズに適合するために、かなり変化させられ得る。同様に、コンパートメントの深さ(Z軸(ラベル付けされていない))は、製品のニーズにしたがって変化することが可能である。それは、たとえば、典型的なアパレル用途またはスリーピングバッグ用途に関して、0.25インチから6インチの長さであることが可能であるが、繰り返しになるが、これは非限定的な例である。バッフルサイズおよび幾何学形状は、特定のニーズおよび最終使用を実現するために変化することが可能である。
【0041】
所与のバッフル構築体において、バッフルは、バッフルの長さ、高さ、断面、または体積における相違に基づいて、種々の構成、すなわち、サイズ、形状、または体積を有するように織られ得る。種々のバッフルパラメーターの1つの利点は、構築体が、性能ニーズに関してチューニングされ得るということである。たとえば、パーカーに関して、より高い体積のバッフルが、より多くの断熱が望ましい可能性のある、ユーザーの胸部に位置決めされ得る。より低い体積のバッフルが、ユーザーの腕または脇の下に位置決めされ得、そこでは、より少ない断熱が必要とされ、より多くの可動性を可能にする。より低い体積のバッフルが、より多くのフレキシビリティーが必要とされる関節エリアに位置決めされ得る。また、より多くの耐候性(水および/または風)または通気性を可能にする生地によって構成されているバッフルは、身体ゾーンにマッピングされ得る。たとえば、ユーザーの脇の下エリアにマッピングしているバッフルは、より大きい多孔性および通気性のある生地の層から作製され得る。例えば、第2の構成に対応するバッフルは、肘エリアの関節、肩エリアの関節、または、膝エリアの関節から選択される関節を含む、身体エリアにマッピングされている。
【0042】
図8は、代表的な最終製品、すなわち、スリーピングバッグを示しており、それは、図に示されているか、または、そうでなければ、本明細書で開示および企図されている、バッフル構築物を組み込むことが可能である。図9は、別の代表的な最終製品、すなわち、パーカーを示しており、それは、図に示されているか、または、そうでなければ、本明細書で開示および企図されている、バッフル構築物を組み込むことが可能である。本発明の主題によるバッフルは、そのような最終製品を通して部分的にまたは完全に組み込まれ得る。
【0043】
本明細書の教示によるバッフル構築体は、二重製織技法もしくは3次元の製織技法、または、単一のシームレスの3次元の織られた構造に関する他の公知の技法もしくは発見された技法に基づくことが可能である。1つのそのようなアプローチを図示するために、図に図示されている3層生地などのような、多層生地は、複数の経糸ビームおよび複数の緯糸挿入を使用して3層生地を織ることによって作製され得る。経糸ヤーンは制御されることとなり、ヤーンのいくつかが、生地の異なるセクションにおいて、製織平面の上部および底部の両方の中へ織られることとなるようになっている。これは、断熱材を適切な場所に保持することとなるバッフルの形成を可能にすることとなる。上部層は、最終製品において外側層またはシェル層として役目を果たすことが可能であり、底部層は、伝統的なバッフル構築物において見られるように、身体に面するライナーとしての役目を果たすことが可能である。中間の層は、上部層および底部層の両方の中へ織られ、充填材料を適切な場所に保持するそれぞれのバッフルの壁部を形成する。ドビーまたはジャッカード織機システムが使用され、経糸スレッド高さを選択的に制御し、所望のバッフルまたは生地構築物を実現することが可能である。示されているように、これは、バッフルのための3次元の構造を生成するための1つのアプローチの非限定的な例である。
【0044】
バッフル構築体10が織られると、充填材料20が、バッフルコンパートメントの中に設置され得る。第1に、バッフル構築体10の一方の側における開口部が、公知の手段を使用して閉じられる。たとえば、開口部は、バッフル構築体の1つのセルビッジ縁部に沿って縫合することによって閉じられ得る。これは、閉鎖のための単に1つの代表的な非限定的なアプローチである。たとえば、縫合することに加えて、バッフル端部は、織られて閉じられることも可能である。同様に、バッフルは、織られた閉鎖によって、生地の幅を横切って画定され得、織られた閉鎖は、中央に配設されており、または、そうでなければ、生地のセルビッジ縁部から間隔を離して配置され、バッフルを2つのセクションへと分割しており、それぞれは、セルビッジ縁部において開口部を伴っている(図10A~Bを参照)。充填材は、セルビッジ縁部におけるそれぞれの開口部において導入され得る。セルビッジ縁部同士の間の閉鎖は、それぞれのコンパートメントをシールする。そのような構築体では、分割する閉鎖は、バッフルを2つのコンパートメントへと分離する生地の平坦な層であることが可能である。第1の層12および第3の層16は、閉鎖の層において一緒に集まることが可能である。閉鎖は、長さ方向にカットされ、それぞれのカットされた半分が、衣類、スリーピングバッグなどに関する開口部を画定することが可能である。図10Cにおいて見られるように、ジッパーが、それぞれの半分に関連付けられ得る。バッフル構築体は、図10Cに示されているものなどのような衣類の上で、身体エリアにマッピングされ得る。
【0045】
天然ダウンまたは合成ダウンなどのような、緩い充填材料が、バッフルを充填するための公知の技法を使用して中にブローされ得る。一般的に、ブローイングシステムは、充填材料の供給部を含み、ブローイングシステムからの1つ以上のチューブが、バッフル構築体のシールされていない側の開口部の中に設置される。次いで、充填材料20が、コンパートメントの中へブローされ、コンパートメントを部分的にまたは完全に充填する。代替的に、ブローされない合成断熱用材料が、バッフルの中へ設置され得る。充填材料が供給された後に、バッフル構築体のシールされていない側が、縫合することによって、または、他の公知の手段によって、シールされ得る。
【0046】
充填およびシーリングの後に、バッフル構築体は、他の材料とともに組み立てられ、完成した最終製品またはそのコンポーネントを作製することが可能である。材料の追加的な層が、バッフル構築体に追加され得る。たとえば、耐久性のある材料または耐摩耗性の材料の層が追加され得る。耐水性/通気性のある材料の層が追加され得る。快適なライナーが追加され得る。バッフル構築体は、シューアッパーとして使用され得、ソールまたはソールコンポーネントが追加され得る。
【0047】
本明細書で開示および企図されているバッフル構築体とともに使用するように企図される緩い充填材は、ダウンもしくはフェザー、野菜繊維もしくは動物繊維、もしくは毛皮、または、先述のものの組み合わせなどのような、任意の天然の充填材料であることが可能である。合成ダウンの1つの例は、Thermoball(商標)(VF Outdoor、Inc.,Alameda,California,USAの部門、The North Face(登録商標)からの製品において入手可能である)であり、それは、Primaloft,Inc.,Latham,New York,USAからのラウンドファイバークラスターに基づいている。また、断熱材は、合成ダウンブレンド、一般的な合成物質、発泡材、もしくは、任意の他の公知の断熱材料、または、アパレル、スリーピングバッグ、および本明細書で企図される他の最終製品のためのバッフルの中で使用するのに適切な発見された断熱用材料から構成され得る。
【0048】
フィルパワー(または、合成断熱材の等価量)は、フィルパワーを決定するための任意の一般的に受け入れられている業界プロトコルに基づいて、100、200、300、400、500、550、600、650、700、750、800、850、900、もしくは、それ以上からの任意の所望の範囲、または、中間にある任意の範囲にあることが可能である。
【0049】
図11は、第1の構成の上部バッフル118aのセットと、異なる構成の底部バッフル118bのセットとを有する、代替的なバッフル構築物110の上部の側面斜視図を概略的に図示しており、バッフルは、充填された状態で表されている。この実施形態では、底部バッフルに対する上部バッフルの1:1の比率は存在していない。図12は、図11の実施形態の底部の斜視立面図を概略的に図示している。1つの底部バッフル当たり複数の上部バッフルが、繰り返しパターンで存在することが可能であり、または、1つの上部バッフル当たり複数の底部バッフルが存在することが可能である。上部バッフルおよび底部バッフルは、形状、体積長さ、幅、充填材料の量、充填材料のタイプなどの点で相違することが可能である。たとえば、上部レベル全体は、同じバッフル構成を有することが可能であり、底部レベル全体は、同じバッフル構成を有するが、それは、上部レベルとは異なっていることが可能である。別の例として、所与のレベルを横切るバッフルが、種々の構成を有することが可能である。
【0050】
上記に開示されている他のバッフル構築物と同様に、図11図14Cのバッフル構築物は、バッフルの上部レベル、中間のレベル、および底部レベルを形成する生地層112/114/116または212/214/216を有しており、すべては、シームレスの単一の織られた構築物または編まれた構築物になっている。外側生地層112/212および116/216は、起伏のある形態を有することが可能である。このケースでは、それは、楕円形の形態または長円形の形態というよりも、むしろ、正方形の形態である。
【0051】
図11図13Cの例において見られるように、それぞれの底部バッフル118bに対して複数の上部バッフル118aが存在している。たとえば、図13A図13Cの実施形態では、3つの完全な上部バッフル118aが、繰り返しパターンで、それぞれの底部バッフルを覆っている。バッフル118aは、ジョイント119aによって分離されており、ジョイント119aは、バッフルとともにシームレスに織られている。バッフル118bは、ジョイント119bによって分離されており、ジョイント119bは、バッフルとともにシームレスに織られている。それぞれのジョイント119aに関して、ジョイントを覆うバッフル118bが存在している。それぞれのジョイント119bに関して、ジョイントを覆うバッフル118aが存在している。したがって、バッフル118aおよび119bの配置は、異なるレベルにおいてバッフルがネスティングされた配置の形態であると考慮され得る。(上部および底部という用語は、相対的な用語であり、使用時に、バッフルの一方のレベルまたは他方のレベルは、上または下に配向され得るということが認識されることとなる。)
【0052】
図14A~Cは、上記に説明されているもの(バッフル218a/218b)と同様のバッフル218aおよび218bの配置を示している。図14A~Cの実施形態では、第1の完全な上部バッフル218aは、第1の底部バッフル218bの上に概して中心を合わせられている。そのような第1の完全に覆っている上部バッフル218aの左および右には、左および右の隣接する上部バッフル218aがある。それらの隣接するバッフルのそれぞれの約3分の2から約2分の1が、第1の底部バッフル218bを覆っており、上部バッフルを部分的に覆っているそれらの他の部分が、ジョイント219bの上に延在し、第1の底部バッフルに隣接している左および右の底部バッフル218bの少なくとも縁部を覆っている。したがって、バッフル218aおよび218bの配置は、異なるレベルにおいてバッフルがネスティングされた配置の別の形態であると考慮され得る。
【0053】
本明細書で開示されている他の実施形態と同様に、図11図14Cの実施形態では、バッフルの上部レベル、中間のレベル、および底部レベルを形成する生地層112/116または212/216は、異なる起伏のある形態を有している。中間の層114/214は、図13A図14Cの理論的な形状から見られるように、直線状のまたは平坦な起伏のない形態を有している。しかし、他の可能性のある実施形態では、中間の層は、起伏のある形態を有することが可能である。示されている実施形態では、バッフル118/218は、形態が直線的である。本明細書で企図されているように、それらは、四角形であることが可能である。示されている実施形態では、理論的な形態は、台形である。
【0054】
上記に示されているように、バッフル構築体の中の任意の1つ以上の層、たとえば、層12、14、および16は、種々の属性の複数のゾーンを有することが可能であり、すべてが、単一の織られた構築体で、シームレスに接合されている。本出願と同一出願人によって2014年5月9日に出願された米国仮出願第61/991,293号の「UNITARY WOVEN FABRIC CONSTRUCT OF MULTIPLE ZONES」(代理人整理番号第NOR-2.009.PR号、現在はPCT/US2015/027975)は、そのような複数のゾーンを有する生地構築体を開示しており、それは、すべての目的のために、その全体が本願に引用して援用されている。そのような構築体の原理を図示するために、図15は、1つの可能性のある複数のゾーン生地構築体構成を概略的に示しており、それは、より詳細に下記に議論されている。
【0055】
層の中に複数のゾーンを有する実施形態では、織られた生地は、緯糸ヤーンおよび経糸ヤーンから構成されており、生地は、第1のゾーンタイプの少なくとも1つのゾーンと、第2のゾーンタイプの少なくとも1つのゾーンと、随意的に、第3のゾーンタイプの少なくとも1つのゾーンとからなる、複数のゾーンによって画定されたエリアを有している。第3のゾーンは、第1のおよび/または第2のゾーンに隣接して配設されている移行ゾーンであることが可能である。すべてのゾーンは、単一の織られた構築体で形成されており、隣接するゾーンが、一緒にシームレスに接合されている。移行ゾーンは、緯糸ヤーンおよび/または経糸ヤーンのセットの複数のバンドを含み、それは、第1のゾーンタイプから、少なくとも移行ゾーンを通って、存在する場合には、第2のゾーンタイプへの、属性に関する漸進的な移行を集合的に提供する。生地構築体は、さまざまな最終製品において使用され得、それは、とりわけ、アパレル用途での使用に適している。そのような用途では、生地構築体に対して、アパレルアイテムなどのような製品に関するパターンのマッピングが存在することが可能であり、生地構築体の中のゾーンが、アパレルアイテムまたは他の製品の上のエリアに異なるものをそれぞれマッピングするようになっており、それは、選択される機能的効果および/または視覚的効果の属性に関して、それぞれ相違を提供する。生地構築体の中のそれぞれのゾーンは、アパレルアイテムまたは他の最終製品の上の2つ以上の別々のエリアに分配され得る。それぞれのエリアは、選択される機能的効果および/または視覚的効果の属性に対して、相違を提供するように構成されている。
【0056】
所与の製織タイプの機能的なゾーンは、以下の属性のうちの1以上に関している。
・ 耐久性(強度および/または耐久性によって測定される)
・ 通気性(透過性)
・ 弾力性(たとえば、良好なフィット感のゾーン、伸縮性のゾーン、性能ゾーンを提供する)
・ 快適性(手)
・ 断熱
・ 耐水性
・ 難燃性
・ 視覚的効果(たとえば、カラー、パターン、表面テクスチャー)
ゾーンは、以下に基づいて変化することが可能である。
・ 使用されるヤーンのタイプ
・ ヤーンのデニール
・ 織り方のタイプを含む織り方属性、または、たとえば、生地カウントなど、所与の織り方でのヤーンの数および/もしくは空間的関係。
【0057】
したがって、例として図15を参照すると、本発明の主題は、1以上の属性の点において異なる少なくとも第1のゾーンタイプ(Z1)および第2のゾーンタイプ(Z2)を企図している。第1および第2のゾーンタイプの中間には、第3のゾーンタイプがあることが可能であり、第3のゾーンタイプは、それぞれに隣接しているが、第1および第2のゾーンとは異なっている。いくつかの実施形態では、数値的に測定可能な属性に関して、別のゾーンタイプと比較したときに、1つのゾーンタイプにおいて使用される所与の属性の比較は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%、5000%、10,000%、または、それ以上の相対的な相違を示している。
【0058】
本発明の主題の下で、第3のゾーンタイプは、移行ゾーン(ZT)であることが可能であり、移行ゾーン(ZT)は、第1および第2のゾーンタイプの1以上の属性の選択されたブレンドを有しており、第1および第2のゾーンタイプは、移行ゾーンに隣接しているか、または、移行ゾーンの近くに間隔を置いて配置されている。移行ゾーンは、異なるタイプの2つ以上の隣接するゾーンを備える単一のシームレスの織り方の一部である。移行ゾーンは、1つの隣接するゾーンタイプのいくつかまたはすべての属性の、1以上の他の異なる隣接するゾーンタイプへの漸進的な移行を提供することが可能である。典型的に、移行ゾーンは、中間において間隔を置いて配置されており、移行ゾーンに隣接している2つの異なるゾーンタイプを全体的にまたは部分的に分離している。最も典型的には、図15において見られるように、異なるゾーンタイプが、移行ゾーンに隣接しており、移行ゾーンの両側にある。
【0059】
移行ゾーンは別として、所与の移行ゾーンに隣接しているか、または、所与の移行ゾーンに極めて接近している、他のゾーンタイプが、ゾーンを横切って均一または一定のままである1つ以上の選択された属性を有することが可能である。移行ゾーンは、それらが対応するゾーンの1つ以上の選択される属性に関して異なっており、選択される1つ以上の属性は、より詳細に下記に説明されているように、移行ゾーンを横切って漸進的に変化させられる。
【0060】
たとえば、層12、14、および/または16など、1つ以上の層としての役目を果たすことができる生地構築体は、長手方向のヤーンおよび横断方向のヤーンのセットを含み、それは、緯糸ヤーンおよび経糸ヤーンとして当業者に知られており、それは、織り合わされて交差し、複数のセルを形成する。生地は、任意の適切な材料から作製され得る。形成後のステップにおいて、生地構築体は、たとえば、ポリエステル;ナイロン;綿、シルク;ナノウェブ;ポリプロピレン;膨張させられたPTFE膜、ポリウレタンフィルム、ポリエステルフィルムなどのような、耐水性-通気性のある膜;または、他のポリマーベースの織られた構築体、不織構築体、または、編まれた構築体などの、構築体または材料の1つ以上の層によって積層され得る。生地構築体は、他の材料のプライによって積層され、多層構築物を形成することが可能である。生地構築体は、その構築体が使用されることとなる物体または衣類の性質に依存し得るということが企図されている。たとえば、ベース生地構築体の組成は、アスリートのための弾性ベースの伸縮可能な材料、消防士のための耐火性材料、または、キャンピング機器および/もしくは軍事目的のための高い耐久性の材料であることが可能である。生地構築体における使用に適切な他の材料は、本明細書の教示から容易に当業者に明らかになることとなる。
【0061】
典型的な実施形態では、緯糸ヤーンおよび経糸ヤーンは、互いに対して直交しており、生地構築体において斜交平行線の陰影を付けられているものを結果として生じさせている。また、たとえば、さまざまなダイヤモンド形状などのような他の適切な構成も、本発明の主題の範囲および精神の中にある。いくつかの実施形態では、ヤーンは、物体または衣類に応じて、約5デニールから約1050デニールの範囲にあるデニール等級を有している。より高いデニールのヤーン(たとえば、850デニール)が、たとえば、より重いキャンバス材料から構成される物体にとって適当であり、一方、より低いデニールのヤーン(たとえば、40~70デニール)が、たとえば、軽量のジャケットおよびキャンピング機器にとってより適当である。
【0062】
さまざまな製造技法が、上述の異なる生地特性のいずれかを有する生地構築体の異なるエリアを作製するために使用され得る。たとえば、1つの可能性のある実施形態では、ナイロンベースのヤーンが、画定されたスペーシングで生地の中に散りばめられ、耐久性ゾーンを生成している。耐久性ゾーンは、ナイロンCordura(商標)ヤーンなどのような強力ヤーンに基づくことが可能である。代替的に、耐久性ゾーンは、リップストップ生地構築物に基づくことが可能である。いくつかの可能性のある実施形態では、リップストップラインのために使用されるヤーンは、たとえば、シリコン含浸処理されたリップストップ、ポリウレタンコーティングされたリップストップ、反射リップストップ、熱および太陽反射リップストップを含むことが可能である。当業者に容易に明らかである他の処理が、本開示に基づく本発明の範囲および精神の中にある。
【0063】
特定の実施形態では、生地構築体ゾーンZ1は、生地の単一の織り方で、たとえば、より低い耐久性であるが、より高い透過性など、異なる属性の隣接するゾーンにシームレスに接続されている。換言すれば、ゾーンは、同じ製織プロセスにおいて形成されており、それぞれが織られた後に一緒に接合される別々のパネルではない。たとえば、すべての他のものが等しいということを参照すると、生地構築体のゾーンは、異なる性質のセルから形成されている構築体の一部分と比較してより大きい耐久性を付与するセルから形成され得る。多様な耐久性は、たとえば、ヤーンの密度、製織パターン、材料(たとえば、ヤーン構造および/または材料タイプの観点から)、製造プロセス(化学的な製造プロセス、機械的な製造プロセスなど)の変化によって実現され得る。
【0064】
上記に示されているように、いくつかの実施形態では、マルチゾーンの単一の生地が、異なる層を横切って、または、所与の層の中のゾーンを横切って、通気性などのような種々の特性を有することが可能である。たとえば、ゾーンZ2は、経糸および緯糸ヤーン交差のより大きいセルから形成され得る。また、多様な通気性が、たとえば、ヤーンの密度、異なる製織パターン、異なる材料、および/または、異なる製造プロセス(化学的な製造プロセス、機械的な製造プロセスなど)の変化によって実現され得る。
【0065】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている生地およびバッフル構築体は、長方形構造として製織マシンから外れ、長方形構造は、経糸方向のヤーンのセットの長さによって画定されている経糸長さ、および、緯糸方向のヤーンのセットの長さによって画定されている緯糸幅を有している。生地の中の異なるゾーンが経糸方向に直交して走る場所では、ゾーンは、連続的な緯糸ヤーンのセットの変化によって画定され得る。そして、逆の場合も同じであり、生地の中の異なるゾーンが緯糸方向に直交して走る場所では、ゾーンは、連続的な経糸ヤーンのセットの変化によって画定され得る。換言すれば、図において見られるように、異なるゾーンZ1、ZT、およびZ2は、緯糸方向および/または経糸方向に沿って縁部から縁部まで走る平行なヤーンの観点から画定され得る。示されてはいないが、緯糸スレッドおよび経糸スレッドの両方を変化させることによって、他のゾーンタイプとは異なる全体的な性質の格子縞のパターンのような直線的なゾーン、または他の幾何学的なゾーンが、緯糸および経糸ヤーン配向に基づくゾーンの中に生成され得る。そのような直線的なゾーンでは、ゾーンは、生地のグリッドの任意のセクションにおいて隔離され得、他の実施形態と同様に、縁部から縁部まで延在してはいない。
【0066】
生地構築体、および、結果的に、生地構築体の中のゾーンは、用途および意図した使用に応じて、種々の寸法を有することが可能である。一般的に、アパレルの中に透過性または快適性を提供するために、所与のゾーンタイプは、相対的に大きい表面積を有することが可能である。たとえば、少なくとも4平方インチの表面積が、脇の下のエリアに通気性を提供することが可能である。25平方インチ以上のゾーンが、衣類の他のエリアに良好な通気性または保護を提供することが可能である。本発明の主題は、生地の中のゾーンの平方インチは、それが製織マシンから外れるときに、典型的に、衣類用途に関して、1から900平方インチ以上の範囲にあることが可能であるが、所望の結果に応じて、より高い面積またはより低い面積が適用され得るということを企図している。特定の実施形態では、ゾーンは、構築体の中を縁部から縁部まで走る平行なエリアである。生地構築体は、2つ以上のゾーンタイプの任意の数のゾーンを有することが可能である。例に関して、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または、それ以上の異なるゾーンタイプが存在することが可能であり、それぞれが、異なる機能的な属性および/または視覚的効果の属性を表している。属性は、ヤーンタイプの性質および/またはゾーンタイプの織り方特質によって付与され得る。
【0067】
生地構築体の中のゾーンは、衣類に関するパターンとともに使用可能でなければならないので、製織マシンから外れる生地構築体の緯糸方向または経糸方向の、ゾーンの縁部から縁部までの幅は、少なくとも1インチになることとなり、衣類などのような最終製品の中の機能的なゾーンにとって十分な表面積の最小寸法を提供するようになっているということが一般的に企図されている。
【0068】
本明細書で使用されているように、「高さ」は、ゾーンの幅に直交する寸法を意味している。また、ゾーンの高さは、少なくとも1インチであることが可能である。いくつかの用途では、ゾーンの幅は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、48、50、52、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84インチ、または、約それらの値であることが可能である。多くの用途では、ゾーンの高さは、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、48、50、52、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84インチ、または、約それらの値であることが可能である。
【0069】
別のゾーンに対する1つのゾーンの相対的な高さは、それが製織マシンから外れるときに、生地構築体の中で変化することが可能である。しかし、それらは、一般的に、同様のスケールまたは大きさのものになることとなる。たとえば、隣接するゾーンのセットは、一方から他方へ0.25倍から10倍、または、約それらの値の中にある、相対的な高さを有することが可能である。
【0070】
経糸ヤーンのスペーシングは、均一であることが可能であり、または、変化することも可能である。スペーシングは、あるパターンで起こることが可能である。たとえば、スペーシングは、所与の第1の複数の経糸ヤーンに関して均一であることが可能であり、次いで、第2の複数の経糸ヤーンに関して変化することが可能である。先述のことは、緯糸方向のヤーンに関しても当てはまる。経糸ヤーンのスペーシングは、緯糸ヤーンのスペーシングと同じであるか、または異なっていることが可能である。優先的には、生地は、所与の側部の経糸ヤーンまたは緯糸ヤーンの上に示すことが可能である。たとえば、ツイル構築物の生地は、優先的には、経糸ヤーンの上に浮かせられている1つの表面緯糸ヤーンの上に示すことが可能である。
【0071】
別の例として、ドビー織り方またはジャッカード織り方では、生地は、優先的には、相対的なスペーシングおよび所与のヤーンタイプの数を変化させることによって、フェイス表面において、経糸ヤーンまたは緯糸ヤーンを示すことが可能である。たとえば、経糸フェイスまたは緯糸フェイスは、経糸ヤーンおよび緯糸ヤーンの相対的なカバーを変化させることによって決定され得る。
【0072】
本発明の主題は、任意の1つ以上のゾーンにおいて使用される織り方タイプは、多数の標準的な織り方タイプのいずれかであることが可能であるということを企図している。たとえば、企図されている織り方タイプは、平織、斜子織、リブ織、ツイル、サテン織、ドビー織、ファイユ織、リップストップ織、および(アンバランスな)絡み織、ならびに、それらの組み合わせを含む。生地構築体およびその中のゾーンは、構築体の中の異なるそれぞれのレベルにおいて、ヤーンの3つの2つ以上のセットを使用して、織り合わされた生地から全体的にまたは部分的に形成され得る。織られた生地は、ジャッカード、コンピューター化されたジャッカード、ドビー、および自動ドビーなどを含む、任意のタイプの標準的な織機の上で作り出され得る。緯糸挿入は、空気ジェット、ウォータージェット、またはレピアなどを含む、さまざまな方法を通して達成され得る。生地は、パイリングまたはナッピングによって加工され得る。
【0073】
1つ以上の実施形態では、本開示にしたがって製造される単一のマルチゾーン構造を備える生地は、異なるパターンを使用し、マルチゾーン構造を示すことが可能である。たとえば、1つの実施形態は、カラーパターンを有することが可能であり、多様な色合いが使用され、マルチゾーン構造を示すことが可能である。別の実施形態は、反復的なパターンを使用することが可能であり、反復的なパターンの多様な密度が使用され、マルチゾーン構造、および、カラー変化またはシェーディング変化を示すことが可能である。さらなる実施形態では、本開示にしたがって製造されるマルチゾーン構造を備える生地は、視覚的パターンを使用せず、マルチゾーン構造を示すことが可能である。
【0074】
バッフル構築体、たとえば構築体10は、任意の1つ以上の層の中に実装され得る。1つの可能性のある実施形態では、構築体は、中間の層の上に積層され得る。別の可能性のある実施形態では、マルチゾーン構造は、層を形成する、プリントされた材料またはそうでなければ蒸着された材料を含むことが可能である。より具体的には、任意のバッフル構築体、または、その一部分は、1層(1L)、1.5層、2層(2L)、2.5層(2.5L)、または3層(3L)の構築物として使用され、または、それらの中に組み立てられ得る(バッフル構築体は、単層として処理されているが、それは、実際には多層構築体である)。上部の(最も外側の)層は、(たとえば、外側に露出される)外部使用に適切な材料(たとえば、テキスタイルまたは蒸着された化学的な材料)の1つのタイプであることが可能であり、底部の最も内側の層は、(たとえば、人間の身体に接触している)内部使用に適切な材料(たとえば、テキスタイル)の1つのタイプであることが可能である。
【0075】
任意の実施形態では、所与の層またはその中のゾーンの織り方タイプは、少なくとも4つの方式で変化させられ得、それは、(i)異なるヤーンタイプの使用、(ii)所与のスレッドまたはヤーンに関するデニールの相違、および、(iii)交差点のより高い密度である。追加的に、デニールは、マルチフィラメントヤーンの使用によって、たとえば、同じまたは異なるスレッドまたはヤーンタイプを一緒に捩じることによって、効果的に変化させられ得る。所与の層またはゾーンの中において、層またはゾーンは、全体的な層またはゾーンの大部分または主要構成要素である所与のヤーンタイプまたはヤーンデニールによって、最も影響を受けることとなる。(複数のタイプまたはデニールが所与の層またはゾーンの中で使用される場合には、1つのタイプまたはデニールは、大部分の形態で存在していなくてもよく、そのケースでは、主要構成要素を表すヤーンの影響が、最も影響力が大きいこととなる。)ヤーンは、全体的な層またはゾーンの中のスレッドカウントおよび/または重量を見ることによって、大部分または主要構成要素であることが可能である。主な考慮事項は、異なるヤーンタイプまたはヤーンデニールを有する所与の層ゾーンが、別の層またはゾーンのものと比較したときに、所与の全体的な層またはゾーンの中で使用されるヤーンタイプまたはデニールの大部分または主要構成要素の相違に基づいて、別の層またはゾーンから全体的な相違を有するかどうかということである。
【0076】
示されているように、いくつかの実施形態では、層またはその中のゾーンの属性は、使用される緯糸ヤーンタイプおよび/または製織タイプにしたがって変化することが可能である。他の実施形態では、緯糸スレッドは、層/ゾーンを横切って一定であることが可能であり、経糸スレッドは、変化させられ得る。他の実施形態では、経糸スレッドおよび緯糸スレッドの両方が、変化させられ得る。したがって、層/ゾーン属性は、緯糸ヤーンタイプ、経糸ヤーンタイプ、および/または異なる層/ゾーンの中の織り方タイプの性質に依存する。さらに図示するために、任意の所与の構築体では、経糸ヤーンが一定のままであることが可能であるが、それらは、必ずしも、経糸方向を横切って同じヤーンタイプである必要はない。たとえば、ヤーンタイプは、経糸を横切って移動するときに変化することが可能である。変化は、ヤーン材料、デニール、または、任意の他のヤーン属性の観点から生じることが可能である。変化は、パターンを有することが可能であり、たとえば、1つのヤーンタイプは、ベースヤーンタイプであることが可能であり、異なるヤーンタイプが、所与の複数のベースヤーンタイプの後に存在している。任意の複数の異なるヤーンタイプは、経糸方向に配置され得る。
【0077】
移行することが使用される場合には、移行することは、所与の層/ゾーン、または、層もしくはゾーンのセットのすべての属性に関するものである必要はない。たとえば、第1の層またはゾーンが、ヤーンタイプに基づく特有の耐久性の属性、および、視覚的効果の属性を有しており、第2のゾーンが、織り方タイプの開放性に基づく特有の通気性の属性、および、特有の視覚的効果の属性を有している場合には、移行することのさまざまな形態が可能である。たとえば、移行ゾーンは、第1のゾーンの中のより重いヤーンタイプが第2のゾーンの中のより軽いヤーンタイプに滑らかに移行することだけを提供することが可能である。代替的に、それは、第1のゾーンタイプの中のより目の詰まった織り方が第2のゾーンタイプの中のより目が粗い織り方に移行することだけを可能にすることができる。または、それは、たとえば、第1のゾーンタイプの中の黒色に着色されたヤーンが第2のゾーンタイプの中の白色に着色されたヤーンに移行することだけを可能にすることができる。また、属性移行の組み合わせも可能である。たとえば、移行ゾーンは、織り方開放性およびヤーンカラーが滑らかに移行することを可能にすることができる。または、それは、例の中のすべての属性、すなわち、ヤーンタイプのデニール、織り方開放性、およびヤーンカラーが移行することを可能にすることができる。要するに、任意の1つ以上の属性が、単独で、または、任意の選択された組み合わせで、移行させられ得る。
【0078】
移行することは、ベースにされる任意の数の方式で実現され得る。たとえば、経糸ヤーンが一定であり、第1のゾーンから第2のゾーンへ移行ゾーンを横切る場合に、移行ゾーンは、あるパターンの1つ以上の緯糸ヤーンの複数のバンドの観点から画定され得る。ヤーンタイプの組成、または、バンドからバンドへのヤーンの空間的関係が変化させられ、ゾーン同士の間の漸進的な移行を集合的に提供する。緯糸ヤーンの漸進的なバンディングの代わりに、または、それに加えて、経糸ヤーンは、上記に(または、下記に)説明されているような方式でバンドを付けられ、画定されている移行ゾーンを横切って漸進的な移行を生成することが可能である。
【0079】
緯糸ヤーンの漸進的なバンドの例として、第1のゾーンZ1に最も近いバンドは、第1のゾーンと同じタイプの緯糸ヤーンの相対的に高いパーセンテージと、第2のゾーンと同じタイプの緯糸ヤーンの相対的に低いパーセンテージとを有することが可能であり、パーセンテージは、バンドからバンドへ変化する。それぞれの連続的なバンドが第2のゾーンに近づくにつれて、パーセンテージは、より第2のゾーンのものになるようにシフトする。また、漸進的なバンディングは、ゾーンに関する他の特性の変化に基づいて、第1および第2のゾーンのヤーンタイプのブレンドではなく、1つだけのヤーンタイプを使用して実現され得る。たとえば、バンドは、第1のゾーンタイプのヤーンタイプだけを有することができ、第2のゾーンタイプをいずれも含まないことが可能である。第1のヤーンタイプは、第2のゾーンの緯糸タイプとは異なる別のヤーンタイプと組み合わせられ得る。たとえば、他のヤーンタイプは、経糸スレッドにおいて使用される同じヤーンタイプであることが可能であり、または、第1および第2のゾーンにおいて使用される任意のヤーンタイプとはまったく異なることが可能である。
【0080】
他の可能性の範囲を図示するために、経糸ヤーンがポリプロピレンなどのような軽量のヤーンである場合には、第1のゾーンは、それに限定されないが、70Dナイロン6,6などのような強力ヤーンの耐久性ゾーンであり、第2のゾーンは、40Dナイロンなどのような軽量のナイロンを含む、通気性のあるより軽量のゾーンである。移行ゾーンは、移行ゾーンを横切って漸進的にシフトするバンドの中の3つのヤーンタイプのいずれかの組み合わせに基づくことが可能である。たった1つのヤーンタイプだけが使用される場合には、たとえば、通気性は、本明細書の他の場所で議論されているように、織り方タイプを変化させることによって実現され得る。
【0081】
ヤーンタイプおよびブレンドの変化と組み合わせて、または、漸進的な移行の独立した形態として、織り方タイプは、1つのゾーンタイプから別のゾーンタイプへ行くときに変化させられ得る。たとえば、第1および第2のゾーンは、同じタイプのヤーンを有することが可能であるが、織り方タイプの点で異なっている。移行は、目の詰まった織り方(高い生地カウント)のゾーンから相対的に緩い織り方のゾーンへ行くときの観点になっていることが可能である。ヤーンタイプおよび/または織り方タイプを変化させることによって、漸進的な移行の中の連続的なバンドのそれぞれは、隣接するバンドまたは連続的なバンドにおけるものと同じヤーンタイプまたは織り方タイプの使用に基づいてもよく、または、基づかなくてもよい。
【0082】
さらに、バンドの中のヤーンタイプは、第1または第2のゾーンタイプの中で使用される任意のヤーンタイプと同じである必要はない。その代わりに、それらは、異なっていることが可能であるが、依然として、1つのゾーンタイプから別のゾーンタイプへの属性の漸進的な移行を提供することが可能である。図示するために、経糸スレッドがたとえばポリプロピレンであり、第1のゾーンは、70Dナイロン6,6などのような強力ヤーンの耐久性ゾーンであり、第2のゾーンは、40Dナイロンなどのような相対的に軽量のナイロンの、通気性のあるより軽量のゾーンである場合には、移行ゾーンは、バンドのセットから構築され得、それは、第1および第2のゾーンにおけるものと同じではないが、種々のデニールおよび引っ張り強さを有することが可能であり、それは、それらのゾーンの中間である。たとえば、第1のゾーンの近位の第1のバンドは、65Dナイロンであることが可能であり、第2のゾーンにより近い連続的なバンドは、55Dナイロンであることが可能であり、第2のゾーンにさらに近い第3のバンドは、50Dナイロンであることが可能である、などである。
【0083】
移行ゾーンの中のバンドの数は、所望の特性に応じて、数個から多数まで変化することが可能である。しかし、一般的に、アパレル用途において漸進的な移行を提供するために、少なくとも3つのバンドの移行ゾーンが、適切である可能性がある。しかし、より細かい粒度が望ましい可能性があり、特性の連続的な進行をそれぞれ提供するバンドの数は、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100、200、300、400、500、1000、10,000、もしくは、それ以上、または、中間にある任意の値または範囲であることが可能である。
【0084】
製織マシンから外れる生地構築体の緯糸方向または経糸方向の、ゾーンの縁部から縁部まで幅は、少なくとも1インチになることとなり、衣類などのような最終製品の中の機能的なゾーンにとって十分な表面積の最小寸法を提供するようになっているということが一般的に企図されている。多くの用途では、バンドに関する平行なスレッドのセットの高さによって画定されるようなバンドの高さは、バンドを含有する移行ゾーンの全体的な高さのパーセンテージであることが可能である。多くの用途では、所与のバンドの高さは、移行ゾーンの高さの.001%、.01%、.1%、1%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、25%、%、26%、28%、30%、32%、33%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、48%、50%、または、約それらの値であることが可能である。
【0085】
たとえば、スリーピングバッグなど、いくつかの用途では、移行ゾーンの中の任意のタイプまたはバンドのゾーンのさまざまな寸法は、アパレル用途のときよりもかなり大きくなっていることが可能である。
【0086】
いくつかの実施形態では、移行の中に切替点が存在しており、そこでは、1つのヤーンタイプのフローティングまたはフェイシングの選択的な変化が存在している。たとえば、(i)第1のゾーンの近位の移行ゾーンの第1の部分では、第1のゾーンの中の緯糸ヤーンの反射的である緯糸ヤーンは、生地のフェイスにそれらを置くように浮かせられており、および/または、(ii)第2のゾーンの近位の移行ゾーンの第2の部分では、第2の部分の反射的である緯糸ヤーンは、生地のフェイスにそれらを置くように浮かせられている。特定の実施形態では、属性の漸進的な移行は、ヤーンを選択的に浮かせることによって生成され得る。たとえば、ヤーンは、連続的な列で浮かせられ、移行ゾーンを横切って漸進的に変化する離散的な形状のパターンを画定し、それによって、少なくとも部分的に、移行ゾーンの中の属性の漸進的な移行を画定することが可能である。選択的なフローティングを使用することにより、移行ゾーンは、生地構築体の中で縁部から縁部までになることが可能であり、または、それは、生地構築体のグリッドの中のどこかで、生地構築体の縁部から間隔を置いて配置されている離散的なエリアの中に画定され得る。
【0087】
パターンは、ピクセルサイズ、形状、および/またはスペーシングの漸進的な変化を伴うピクセル化されたパターンであることが可能である。ジャッカード制御は、生地のフェイスにおいて、緯糸スレッドを選択的に浮かせるように使用され得る。ドットまたは他のパターンエレメントの密度、サイズ、または形状は、機能的効果および/または視覚的効果の観点から漸進的な移行に、移行ゾーンの中で漸進的に変化させられ得る。ツイル製織プロセスは、生地の所望の側部において、緯糸ヤーンの選択的なフローティングを提供するために使用され得る。他の実施形態では、緯糸スレッドまたは経糸スレッドは、異なるカバーを有することが可能であり、一方または他方が、生地のフェイスに選択的に設置されるようになっている。
【0088】
生地構築体の中のヤーンのフロートの変化は、生地構築体の機能的属性および視覚的属性に影響を及ぼす可能性がある。たとえば、低いフロート密度のエリアは、より高いフロート密度のエリアと比較して、より耐久性があり、より伸縮抵抗があり、および/または、より浸透性が低くなっていることが可能である。
【0089】
いくつかの実施形態では、1つ以上の層は、熱可塑性のヤーンを組み込むことが可能である。1つ以上の層は、選択された形状またはパターン化された表面のフォームまたは成形されたものの上に設置され、加熱され得る。加熱することは、フォームのパターン、モールド、またはパターンの対応する形状によって生地をセットすることとなる。たとえば、フォームは、解剖学的な身体のパーツを表すことが可能であり、身体のパーツの形状に生地をセットすることは、解剖学的に良好にパーツに一致する衣類を提供することとなる。
【0090】
いくつかの用途では、バッフル構築体は、層またはゾーンを横切って、種々のヤーンサイズまたは材料タイプを有することが可能である。たとえば、1つの層は、別の層の中で使用されているヤーンの大部分(または、主要構成要素)のヤーンサイズよりも大きい第1のヤーンサイズ(デニール)のヤーンの大部分(または、主要構成要素)から作製され得る。図示するために、天然ダウンまたは近い変異物が充填材料として使用される用途に関して、最も外向きのフェイシング生地層がダウンプルーフであること、すなわち、ダウン充填材による貫通を受けないことが望ましい。外向きのフェイシング層、たとえば、層12は、ユーザーの身体に対抗するライニング層であることが可能であり、対向する外向きのフェイシング層、たとえば、層16は、周囲環境の方を向くシェル層であることが可能である。ダウンプルーフ性は、一般的に、スレッドカウントの関数であり、スレッドカウントが高いほど、ダウンプルーフ性が大きいということを意味しており、したがって、外向きの層が十分に高いスレッドカウントを有することが重要であり、充填材料貫通が防止されるかまたは許容可能に最小となるようになっている。残念ながら、製織マシンは、緯糸寸法および経糸寸法においてスレッドカウント限界を有している。結果的に、いくつかの用途に関して、生地の2つ、3つ、または、それ以上の層の単一のシームレスに織られた生地構築体において、ダウンプルーフであることを必要とする層は、十分に高いスレッドカウントによって作製されることはできない。(他の用途では、当業者が認識することとなるように、より高いデニールのヤーンを使用するいくつかの3層生地は、等しい密度の層を有し、かつ、依然としてダウンプルーフであることが可能であり、すなわち、外側層のダウンプルーフ性を助けるために、すべての生地が、より大きいヤーンを中間に必要とするわけではない。)
【0091】
本発明の主題によれば、ダウンプルーフ性が外向きのフェイシング層の中に実現され得る1つの方式は、所望の層の中にヤーンを選択的に置くための、緯糸方向に沿ったヤーンサイズの変化である。本発明の主題は、ダウンプルーフであることを必要としない層、たとえば、層14、中間層の中で、より高いデニールの緯糸ヤーンを使用することによって、スレッドカウント限界の障害を克服する。これは、より低いデニールの緯糸ヤーンが、スレッドカウント限界または所与の製織マシンの中で、外側層の中への挿入に利用可能であるということを意味している。換言すれば、提供されている例では、このスキームは、より大きいサイズのより少ないヤーンの挿入が、より小さいサイズのより多いヤーンと同じ密度を実現することを可能にする。したがって、密度を維持することは、ダウンプルーフ性の手段を中間層に提供する。
【0092】
いくつかの用途では、バッフル構築体は、層またはゾーンを横切って、種々のスレッド密度を有することが可能である。たとえば、多くの用途では、完全にダウンプルーフであることを必要とする層は、外側層、たとえば、層12、16だけである。中間層、たとえば、層114は、ダウンの大部分を適切な場所に保持するのに十分に密度が高いことを必要とするだけである(すなわち、いくらかのフェザーがバッフルからバッフルへ移るとしても、それは、一般的には問題ではない)。中間層から密度を減じるということは、外側層におけるより高い密度、および、構築体の全体的な重量の低減を可能にする。したがって、この例では、中間層の中の密度の低減は、重量節減の目的のためのものであり、上記に説明されているダウンプルーフの目的のためのものではない。重量節減手段として、中間層は、低い密度のタフタ、または、オープンメッシュのような格子状の構造であることが可能であるということが企図されている。
【0093】
選択的に変化するヤーンデニール、ヤーン材料(たとえば、疎水性のヤーン材料、親水性のヤーン材料、弾性的なヤーン材料など)、または生地密度の先述のアプローチは、他の用途において使用され得る。たとえば、先述の原理は、別の層またはゾーンに対して、1つの層またはゾーンの中に、選択的な通気性、防風性、耐水性、断熱性、湿気移動性、弾力性、耐摩耗性、切断/引き裂き抵抗、抗圧縮抵抗、圧縮性の増加、なかでもカラーなどのような純粋に審美的な特徴、および、他の所望の属性を提供するために使用され得る。
【0094】
ダウンプルーフ性を提供するための先述のアプローチに加えて、独立したアプローチまたは補助的なアプローチは、ワックス仕上げ、コーティング、および/またはラミネートなどのような、外部仕上げ技法を含む。
【0095】
ダウンプルーフ性を評価するための1つの標準は、International Down and Feather Laboratory Institute(IDFL)によって設定されており、それは、そのウェブサイトwww.idfl.comにおいて見つけることが可能であり、現在のテストは、http://www.idfl.com/media/pdfs/IDFL%20Downproof%20vs%20Air%20Permeability.pdfにある。
【0096】
上記のリンクにおける2008テストの下で、ダウンプルーフ性は、ダウンおよびフェザーを含有する生地の能力である。テストは、テストピローをタンブリングボックスの中へ設置することを必要とし、タンブリングボックスにおいて、それは、30分にわたってタンブリングされ、その時間の間に、それは、ゴムストッパーによって打たれる(完全な手順は、要求に応じて利用可能である)。この手順は、製品の実際の使用を模倣することを試みる。多くの繊維および/またはフェザーが生地を通過することができるとき、ダウンプルーフ性は、乏しいと考えられる。
【0097】
等級は、1~5のスケールに基づく(1が最も悪く、5が最も良い)。等級は、テストピローの生地を通過する繊維および/またはフェザーの数に基づく。
【0098】
等級システム:
5 = 合格(生地を通るリーケージがほとんどないかまったくない)
4 = 合格(生地を通るリーケージが最小または通常である)
3 = ボーダーライン
2 = 不合格(生地を通る平均リーケージを超えている)
1 = 極端に不合格(生地を通るかなりのリーケージがある)
【0099】
充填材料を含有する生地の適格性を評価するための別の標準は、繊維プルーフ性である。これは、ダウンプルーフ性と同様の評価であるが、合成繊維充填材に適用する。繊維プルーフ生地は、ダウンプルーフよりもわずかに空気浸透性が大きいが、依然として、基本的なプリマロフト断熱材のような合成断熱材の移動を防止することが可能である。
【0100】
本明細書で使用されているように、「および/または」は、「および」または「または」、ならびに、「および」および「または」を意味している。そのうえ、本明細書で引用されているすべての特許文献および非特許文献は、すべての目的のために、その全体が本願に引用して援用されている。任意の特定の例に関連して上記に説明されている原理は、他の例のうちの任意の1つ以上に関連して説明されている原理と組み合わせられ得る。したがって、この詳細な説明は、限定する意味で解釈されるべきではなく、本開示の再検討に続いて、当業者は、本明細書で説明されているさまざまな概念を使用して考案され得る多種多様な流体熱交換システムを理解することとなる。そのうえ、当業者は、本明細書で開示されている例示的な実施形態が、開示されている原理から逸脱することなく、さまざまな構成に適合され得るということを理解することとなる。開示されている実施形態の以前の説明は、任意の当業者が開示されている革新を作製または使用することを可能にするように提供されている。それらの実施形態に対するさまざまな変形が、当業者に容易に明らかになることとなり、本明細書で画定されている包括的な原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。したがって、開示されている発明は、本明細書で示されている実施形態に限定されることは意図されていないが、本開示の文言に一貫する完全な範囲に与えられるべきであり、たとえば、冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」を使用することなど、単数形でエレメントを参照することは、具体的にそのように述べられていなければ、「1つおよび1つだけ」を意味するように意図されておらず、むしろ、「1つ以上の」を意味するように意図されている。当業者に知られているまたは当業者に後に知られることとなる、開示の全体を通して説明されているさまざまな実施形態のエレメントのすべての構造的な均等物および機能的な均等物は、特許請求の範囲のエレメントによって包含されることが意図されている。そのうえ、本明細書で開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に開放されることは意図されていない。エレメントが「のための手段(means for)」または「のためのステップ(step for)」という語句を使用して明示的に記載されていなければ、エレメントは、米国特許法第112条第6段落の規定の下で解釈されるべきではない。
【0101】
したがって、開示されている原理が適用され得る多くの可能性のある実施形態を考慮して、上述の実施形態は、単なる例であり、範囲を限定するものとして受け取られるべきではないということが認識されるべきである。したがって、我々は、それに限定されないが、以下の特許請求の範囲の範囲および精神の中に入るすべてを含む、本明細書で説明されている主題の任意のおよびすべての組み合わせを主張する権利を含む、本明細書で開示されている主題に対する権利を留保する。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15