(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/68 20060101AFI20220608BHJP
E06B 9/82 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E06B9/82 Z
(21)【出願番号】P 2018127739
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2017134720
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000252034
【氏名又は名称】株式会社鈴木シャッター
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】望月 博文
(72)【発明者】
【氏名】真野 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】榎本 祐二
(72)【発明者】
【氏名】柳田 聡男
(72)【発明者】
【氏名】大場 広敦
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-125399(JP,U)
【文献】特開2004-92178(JP,A)
【文献】特開2006-9493(JP,A)
【文献】実開平5-21260(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
9/02
9/06- 9/18
9/40- 9/50
9/56- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスラットにより構成されるシャッターカーテンと、
前記シャッターカーテンを巻取可能な巻取部と、
前記巻取部を回転駆動して前記シャッターカーテンを巻取又は繰出する駆動部と、
前記駆動部の巻取又は繰出を指示可能な操作部と、
前記操作部の指示に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、
前記シャッターカーテンの幅方向一側への前記スラットの相対的に小さな変位を検知する第1異常検知部と、
前記シャッターカーテンの幅方向一側への前記スラットの相対的に大きな変位を検知する第2異常検知部と、
を備えるシャッター装置。
【請求項2】
前記第1異常検知部は、前記第2異常検知部よりも前記スラットに接近する側に配置される非接触式センサであり、
前記第2異常検知部は、接触式センサである請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記巻取部から繰り出される前記シャッターカーテンの移動をガイドするガイドレールを更に備え、
前記第1異常検知部及び前記第2異常検知部は、前記巻取部と前記ガイドレールの間に配置される請求項1又は2に記載のシャッター装置。
【請求項4】
前記第1異常検知部及び前記第2異常検知部とともに前記巻取部の軸方向一側に配置され、前記シャッターカーテンの幅方
向他側への前記スラットの変位を検知する第3異常検知部を更に備える請求項1から3の何れかに記載のシャッター装置。
【請求項5】
前記第1異常検知部及び前記第2異常検知部の検知結果に基づいて異常の程度を段階的に区別して報知可能な報知装置を更に備える請求項1から4の何れかに記載のシャッター装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1異常検知部及び前記第2異常検知部の検知結果に基づいて異常の程度を判定し、
異常の程度が高い場合には前記駆動部の駆動を停止し、
異常の程度が低い場合には前記操作部に予め設定される所定操作が行われることを条件として前記駆動部を駆動させる請求項1から5の何れかに記載のシャッター装置。
【請求項7】
前記シャッターカーテンの幅方向他側への前記スラットの相対的に小さな変位を検知する第3異常検知部と、
前記シャッターカーテンの幅方向他側への前記スラットの相対的に大きな変位を検知する第4異常検知部と、を更に備え、
前記第1異常検知部~前記第4異常検知部は、前記巻取部の軸方向一側に配置される請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項8】
前記第1異常検知部~前記第4異常検知部の少なくともいずれか一つは、前記巻取部の軸方向における位置を調整可能なセンサ保持具に保持される請求項7に記載のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッターカーテンの横方向の位置ずれを検知するシャッター装置が知られている。この種のシャッター装置を開示するものとして特許文献1~4がある。
【0003】
特許文献1には、巻取ドラムを支持するブラケットの内側面適宜位置にリミットスイッチ等の検出センサを配置し、当該検出センサによってスラットの横流れを検知した場合は警報を出すシャッター装置が記載されている。特許文献2及び3には、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を備え、該開閉体の一部又は全部が開閉体幅方向の一方へずれた場合に、そのずれ部分を一方側のずれ検知部で検知するようにした開閉装置において、軸の回りの部分や比較的近い部分で開閉体の幅方向へのずれを検知するための構成や双方向のへのずれを開閉体の一方側のみで検知するための構成が記載されている。特許文献4にも、巻き取り部材に巻き取られたシャッターカーテンの左右端部に近接する位置に設けられ、スラットの横ずれや前記シャッターカーテン全体の横ずれが発生しているのを検出する横ずれ検出手段を備えたシャッター装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平4-125399号公報
【文献】特開2012-241342号公報
【文献】特開2012-241343号公報
【文献】特開2005-16058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シャッター装置に異常が生じた場合でも異常の程度によって対応が異なってくる。例えば、シャッターカーテンのスラットが大きく位置ずれしており、異常の程度が高い状態ではシャッター装置を停止して緊急対応しなければならない場合もあるし、スラットの異常の程度が低いと判断される程度であれば一定条件のもとでシャッター開閉を許容した方がいい場合もある。この点、従来技術ではスラットの横ずれを検知できるものの、異常の程度を把握することができなかった。
【0006】
本発明は、スラットが適正位置から外れる異常状態を段階的に検知することで、異常の程度に応じた適切な対応を採ることができるシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のスラット(例えば、後述のスラット121)により構成されるシャッターカーテン(例えば、後述のシャッターカーテン12)と、前記シャッターカーテンを巻取可能な巻取部(例えば、後述の巻取装置13)と、前記巻取部を回転駆動して前記シャッターカーテンを巻取又は繰出する駆動部(例えば、後述のモータ141)と、前記駆動部の巻取又は繰出を指示可能な操作部(例えば、後述の操作装置16)と、前記操作部の指示に基づいて前記駆動部を制御する制御部(例えば、後述の制御盤15)と、前記シャッターカーテンの幅方向一側への前記スラットの相対的に小さな変位を検知する第1異常検知部(例えば、後述の第1異常検知センサ31)と、前記シャッターカーテンの幅方向一側への前記スラットの相対的に大きな変位を検知する第2異常検知部(例えば、後述の第2異常検知センサ32)と、を備えるシャッター装置(例えば、後述のシャッター装置1)に関する。
【0008】
前記第1異常検知部は、前記第2異常検知部よりも前記スラットに接近する側に配置される非接触式センサであり、前記第2異常検知部は、接触式センサであることが好ましい。
【0009】
前記シャッター装置は、前記巻取部から繰り出される前記シャッターカーテンの移動をガイドするガイドレール(例えば、後述のガイドレール11)を更に備え、前記第1異常検知部及び前記第2異常検知部は、前記巻取部と前記ガイドレールの間に配置されることが好ましい。
【0010】
前記シャッター装置は、前記第1異常検知部及び前記第2異常検知部とともに前記巻取部の軸方向一側に配置され、前記シャッターカーテンの幅方向一側への前記スラットの変位を検知する第3異常検知部を更に備えることが好ましい。
【0011】
前記シャッター装置は、前記第1異常検知部及び前記第2異常検知部の検知結果に基づいて異常の程度を段階的に区別して報知可能な報知装置を更に備えることが好ましい。
【0012】
前記制御部は、前記第1異常検知部及び前記第2異常検知部の検知結果に基づいて異常の程度を判定し、異常の程度が高い場合には前記駆動部の駆動を停止し、異常の程度が低い場合には前記操作部に予め設定される所定操作が行われることを条件として前記駆動部を駆動させることが好ましい。
【0013】
前記シャッター装置は、前記シャッターカーテンの幅方向他側への前記スラットの相対的に小さな変位を検知する第3異常検知部と、前記シャッターカーテンの幅方向他側への前記スラットの相対的に大きな変位を検知する第4異常検知部と、を更に備え、前記第1異常検知部~前記第4異常検知部は、前記巻取部の軸方向一側に配置されることが好ましい。
【0014】
前記第1異常検知部~前記第4異常検知部の少なくともいずれか一つは、前記巻取部の軸方向における位置を調整可能なセンサ保持具に保持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシャッター装置によれば、スラットが適正位置から外れる異常状態を段階的に検知することで、異常の程度に応じた適切な対応を採ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシャッター装置の概略図である。
【
図2】本実施形態のシャッター装置が備える巻取装置及びその近傍の様子を巻取シャフトの軸方向で見た図である。
【
図3】本実施形態のセンサ保持具、第1異常検知センサ及び第2異常検知センサの位置関係を示す平面図である。
【
図4】本実施形態のセンサ保持具、第1異常検知センサ及び第2異常検知センサの位置関係を示す側面図である。
【
図5】本実施形態のシャッター装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態の第1異常検知センサの異常検知に基づく処理を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態の第2異常検知センサの異常検知に基づく処理を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態のシャッター装置が備える巻取装置及びその近傍の様子を巻取シャフトの軸方向で見た図である。
【
図9】第2の実施形態におけるガイドレールに対する第1異常検知センサの位置関係を概略的に示した平面図である。
【
図10】第2の実施形態におけるガイドレールに対する第2異常検知センサの位置関係を概略的に示した平面図である。
【
図11】第3の実施形態のセンサ保持具、第1異常検知センサ及び第2異常検知センサの位置関係を示す平面図である。
【
図12】第3の実施形態のセンサ保持具、第1異常検知センサ及び第2異常検知センサの位置関係を示す側面図である。
【
図13】第4の実施形態の第1異常検知センサ~第4異常検知センサ及びその近傍の様子を巻取シャフトの軸方向で見た図である。
【
図14】第4の実施形態のセンサ保持具、第1異常検知センサ~第4異常検知センサの位置関係を示す側面図である。
【
図15】第4の実施形態のセンサ保持具、第1異常検知センサ~第4異常検知センサの位置関係を示す側面図である。
【
図16】第4の実施形態の第5異常検知センサに含まれる反射板の位置関係を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るシャッター装置1の概略図である。
【0018】
まず、シャッター装置1の全体構成について説明する。本実施形態のシャッター装置1は、ガイドレール11と、シャッターカーテン12と、ケース20と、連動中継器21と、巻取装置13と、駆動装置14と、制御盤15と、操作装置16と、報知装置17と、を含んで構成される。
【0019】
ガイドレール11は、シャッターカーテン12の左右それぞれに配置される。ガイドレール11は、横断面が略U字状に形成されており、U字の内側に相当する部分で昇降するシャッターカーテン12の左右端部をガイドする。
【0020】
シャッターカーテン12は、複数のスラット121が上下方向に連設されて構成される。シャッターカーテン12がガイドレール11に案内されながら上昇/降下することにより、建物開口部の開放/閉鎖が行われる。
【0021】
ケース20は、シャッターカーテン12を巻き取る巻取装置13等を収容する。連動中継器21は、感知器等の信号を図示せぬ連動制御器を経由してシャッターカーテン12が全閉するまで自動閉鎖装置150に電源を供給する。
【0022】
巻取装置13は、シャッターカーテン12の巻取/繰出を行う装置である。
図2は、巻取装置13及びその近傍の様子を示す側面図であり、ケース20等の一部の構成の図示を省略している。
【0023】
巻取装置13は、駆動装置14によって回転駆動される巻取シャフト131と、シャッターカーテン12を巻取可能な巻取ドラム132と、を備える。
【0024】
シャッター装置1の左右には軸受ブラケット135が配置されており、該軸受ブラケット135に巻取ドラム132と略同径のベアリング(図示省略)を介して巻取シャフト131が回転可能に支持される。巻取ドラム132は、その軸心が巻取シャフト131の軸心に一致しており、巻取シャフト131と一体的に回転する。巻取ドラム132の周面には、シャッターカーテン12の上端部が固定される。なお、
図2中の符号136は、スラット121(シャッターカーテン12)を巻取シャフト131に全て巻き取った状態(最大巻径)を示す線である。
【0025】
巻取シャフト131が所定方向(巻取方向)に回転するとシャッターカーテン12が巻取ドラム132に巻き取られ、建物開口部が開放される。巻取シャフト131が所定方向と逆向きに回転するとシャッターカーテン12が巻取ドラム132から繰り出され、最終的に開口部が閉鎖される。
【0026】
駆動装置14は、開閉機としてのモータ(駆動部)141と、モータ141の回転力を巻取シャフト131に機械的に伝達する伝達機構143と、を備える。
【0027】
伝達機構143は、モータ141の出力軸に接続されるモータ側スプロケット144と、巻取シャフト131に接続される巻取側スプロケット145と、モータ側スプロケット144及び巻取側スプロケット145に巻き回されるローラチェーン146と、を備える。モータ141の回転力は、モータ側スプロケット144、ローラチェーン146、巻取側スプロケット145を介して巻取シャフト131に伝達される。
【0028】
制御盤15は、操作装置16から入力される信号に基づいてモータ141の駆動を制御する制御回路を有する。操作装置16は、制御盤15に電気的に接続される。制御盤15は、操作装置16の操作信号に基づいてシャッターカーテン12を動作させる制御を行う。また、シャッター装置1の制御の他にシャッター装置1の異常により検知信号を出力させたり、警報信号を出力させたりする回路も併せ持っている。
【0029】
報知装置17は、シャッター装置1の異常を使用者や作業者に報知するための手段である。本実施形態の報知装置17は、電源が入っていることを示す電源灯171、シャッター装置1が異常状態であることを示す警告灯172、シャッター装置1が異常状態になる兆候を示す注意灯173、コード断線が生じていることを示すコード断線灯174、シャッター装置1が操作可能であることを示す操作可否灯175と、を備える。
【0030】
次に、シャッター装置1の異常状態を検知するための手段について説明する。
図2に示すように、シャッター装置1は、センサ保持具30と、センサ保持具30に固定される第1異常検知センサ31と、第2異常検知センサ32と、をシャッター装置1の異常を検知する手段として備える。
【0031】
第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32からなる異常を検知するための構成は、左右の軸受ブラケット135のそれぞれに配置される。以下の説明では左右方向一側に配置される第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32を説明する。なお、左右方向他側に配置される第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32も同様の構成である。
【0032】
図3は、本実施形態のセンサ保持具30、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の位置関係を示す平面図であり、
図4は、センサ保持具30、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の位置関係を示す側面図である。
【0033】
センサ保持具30は、軸受ブラケット135の内側面に固定される。本実施形態のセンサ保持具30は、平面視において略U字状の形状となっており、U字の開口側がシャッターカーテン12側を向いている。
【0034】
第1異常検知センサ31は、スラット121(シャッターカーテン12)の正常位置から軸受ブラケット135側への横方向(シャッターカーテン12の幅方向)の小さな片寄りを注意検知するためのものである(
図4の鎖線参照)。第1異常検知センサ31は、センサ保持具30の先端側(シャッター装置1の中央側)に固定されている。
【0035】
本実施形態の第1異常検知センサ31は、投光部31a及び受光部31bからなる透過型の光電センサである。投光部31aと受光部31bは、シャッターカーテン12の厚み方向(見込方向)で対向するようにセンサ保持具30に保持される。第1異常検知センサ31は、センサ保持具30の内側にスラット121が入って投光部31aと受光部31bを結ぶ光路31cが遮られると、検知信号を制御盤15に送信する。
【0036】
第2異常検知センサ32は、スラット121(シャッターカーテン12)の正常位置から軸受ブラケット135側への横方向(シャッターカーテン12の幅方向)の大きな片寄りを警告検知するためのものである(
図4の鎖線参照)。第2異常検知センサ32は、センサ保持具30の基端側(軸受ブラケット135側)に固定されている。
【0037】
本実施形態の第2異常検知センサ32は、触覚子32a及びスイッチ部32bからなる接触式の触覚センサである。触覚子32aは、投光部31aと受光部31bを結ぶ光路よりも軸受ブラケット135側に位置するようにセンサ保持具30に保持される。第2異常検知センサ32は、センサ保持具30の内側に入ったスラット121が触覚子32aに接触して圧力を受けると検知信号を制御盤15に送信する。
【0038】
第2異常検知センサ32の検知位置(触覚子32aの位置)は、平面視においてガイドレール11よりも軸受ブラケット135側になっており、ガイドレール11の内側面にシャッターカーテン12が接触し続けてしまうような異常状態を検知可能となっている。これに対して第1異常検知センサ31の検知位置(光路31c)は、左右方向において第2異常検知センサ32よりも軸受ブラケット135の内側面から離れた場所に位置するので、第2異常検知センサ32よりも先にスラット121の軸受ブラケット135側へのずれを検知することになる。第2異常検知センサ32によって検知されるスラット121の大きなずれ(以下、大変位とする)が検知される前に第1異常検知センサ31によってスラット121の小さなずれ(以下小変位)を検知することで、異常状態になりつつある兆候を検知可能となっている。
【0039】
図5は、本実施形態のシャッター装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図5に示すように、操作装置16からの操作信号が入力された制御盤15は、操作信号に基づいてモータ141に動作信号を出力する。本実施形態では、制御盤15によるモータ141の駆動制御が第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の検知信号に基づいて行われる。
【0040】
図6は、本実施形態の第1異常検知センサ31の異常検知に基づく処理を示すフローチャートである。シャッターカーテン12が上限位置(全開位置)又は下限位置(閉鎖位置)にある状態で制御盤15が操作装置16の押しボタンが押されたことを検知するとモータ141の駆動制御に移行する(ステップS101)。制御盤15は、シャッターカーテン12を巻き上げる又は繰り出すためのシャッター動作が開始されるようにモータ141に動作信号を出力する(ステップS102)。
【0041】
制御盤15は、シャッター動作の開始後、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の検知信号に基づいて小変位を検知する(ステップS103)。
【0042】
本実施形態では、第1異常検知センサ31の検知信号がONで第2異常検知センサ32の検知信号がOFFの場合に小変位が生じていると判定される。従って、第1異常検知センサ31の検知信号がOFFの場合は小変位が検知されないことになる。また、本実施形態では、第1異常検知センサ31の検知信号がONであって第2異常検知センサ32の検知信号がONである場合は、ステップS111の処理に移行し、ここで大変位を検知する流れとなっている。
【0043】
ステップS103の処理で小変位が検知されると、制御盤15はモータ141の駆動を停止してシャッター動作を停止させるとともに注意灯173を点灯する(ステップS104、ステップS105)。そして、押し切り操作制御に移行する(ステップS106)。ここでいう押し切り操作は、操作装置16の押しボタンを押し続けている間のみ、シャッターが動作する状態である。この状態で第1異常検知センサ31の検知信号に基づいて信号復旧がされた否かを検知する(ステップS107)。ステップS107で信号復旧が検知されるまでステップS104~S107の処理が繰り返される。
【0044】
ステップS107の処理で信号復旧が検知されると注意灯173を消灯する処理に移行する(ステップS108)。注意灯173の消灯後も押し切り操作を継続する(ステップS109)。
【0045】
次に、異常除去されたか否かを検知し、異常除去が行われていない場合はステップS104の処理に戻ってステップS105以降の処理が繰り返される(ステップS110)。ステップS110で異常除去が行われたことが検知されるとステップS101の処理に戻る。なお、異常除去は、メンテナンス作業や修理等によって行われるものである。異常除去が行われたことを検知する方法は適宜の手段を用いることができる。例えば、制御盤15内部のスイッチ(図示省略)や操作装置16に対して作業者が所定の操作を行うことで検知される構成としてもよい。
【0046】
図7は、本実施形態の第2異常検知センサ32の異常検知に基づく処理を示すフローチャートである。ステップS103の小変位が検知されなかった場合やステップS110の異常除去で異常が除去されたと判定された場合はステップS111に移行する。ステップS111では、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の検知信号に基づいて大変位が検知される。本実施形態では、少なくとも第2異常検知センサ32の検知信号がONになっている場合に大変位と判定される。即ち、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の両方の検知信号がONである場合や、第2異常検知センサ32のみがONになっている場合も大変位が生じていると判定される。
【0047】
ステップS111の処理で大変位が検知されると、シャッターカーテン12の巻き上げ又は繰り出しを停止するシャッター動作停止制御を行うとともに警告灯172を点灯する(ステップS112,ステップS113)。そして、不動作状態制御に移行する(ステップS114)。この不動作状態では、シャッターを動作させるための操作を受け付けない状態となる。
【0048】
ステップS115では、不動作状態での第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の検知信号に基づいて信号復旧しているか否かを判定する。ここでは第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の両方の検知信号がOFFになっている場合に信号復旧と判定される。ステップS115で信号復旧と判定されない場合はステップS113からステップS115の処理が繰り返される。
【0049】
ステップS115の処理で信号復旧と判定された場合、警告灯172を消灯するとともに不動作状態を継続する(ステップS116、ステップS117)。そして、ステップS117の不動作状態が継続された状態で異常復旧が行われた否かを判定する(ステップS118)。ステップS118の処理で異常復旧が行われていないと判定された場合はステップS113~ステップS118の処理が繰り返される。
【0050】
ステップS118の処理で異常復旧が行われたと判定されるとステップS101の処理に戻る。なお、異常復旧は、メンテナンス作業や修理等によって行われるものである。異常復旧が行われたことを検知する方法は適宜の手段を用いることができる。例えば、制御盤15内部のスイッチ(図示省略)や操作装置16に対して作業者が所定の操作を行うことで検知される構成としてもよい。
【0051】
ステップS118の処理で異常復旧されていると判定された場合はステップS101の処理に戻り、操作装置16からの操作を受け付ける状態となる。シャッターカーテン12が下限位置(閉鎖位置)又は上限位置(開放位置)になったところでフローが終了する。
【0052】
上記実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
シャッター装置1は、複数のスラット121により構成されるシャッターカーテン12と、シャッターカーテン12を巻取可能な巻取ドラム132と、巻取ドラム132を回転駆動してシャッターカーテン12を巻取又は繰出するモータ141と、巻取又は繰出を指示可能な操作装置16と、操作装置16の指示に基づいてモータ141を制御する制御盤15と、シャッターカーテン12の幅方向(横方向)一側へのスラット121の相対的に小さな変位を検知する第1異常検知センサ31と、シャッターカーテン12の幅方向(横方向)一側へのスラット121の相対的に大きな変位を検知する第2異常検知センサ32と、を備える。
【0053】
これにより、スラット121の横ずれを段階的に検知することが可能となり、異常の程度に応じて適切な対応を行うことができる。また、現段階では緊急停止する必要がないものの放置すれば故障原因となるような異常の兆候を検知できるので、スラット121の横ずれによるシャッターカーテン12の損傷前にメンテナンスを行うことにより故障原因を予め除去できる。
【0054】
また、本実施形態のように、第1異常検知センサ31は、第2異常検知センサ32よりもスラット121に接近する側に配置される非接触式センサであり、第2異常検知センサ32は、接触式センサが好ましい。
【0055】
これにより、第1異常検知センサ31が非接触式なため、小変位を検知している状態でも第1異常検知センサ31とシャッターカーテン12(スラット121)が接触していないので、第1異常検知センサ31が接触した状態でシャッターカーテン12が移動して第1異常検知センサ31が故障することもない。また、第2異常検知センサ32が相対的にコストが低い接触式によって構成されるので、スラット121の変位を段階的に検知できる構成を低コストで実現できる。
【0056】
また、本実施形態では、シャッター装置1は、巻取ドラム132から繰り出されるシャッターカーテン12の移動をガイドするガイドレール11を更に備え、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32は、巻取ドラム132とガイドレール11の間に配置される。
【0057】
これにより、ガイドレール11から巻取ドラム132までシャッターカーテン12のガイドが行われないため、スラット121の変位が生じ易くなるエリアに第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32が配置されるので、スラット121の変位を精度良く検知し、シャッターカーテン12の損傷を確実に防止することができる。
【0058】
また、本実施形態では、シャッター装置1は、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の検知結果に基づいて異常の程度を段階的に区別して報知可能な報知装置17を更に備える。
【0059】
これにより、使用者がシャッター装置1の異常の程度を速やかに把握することができ、適切かつ迅速な対応が行われることになる。また、異常の程度によって操作方法が変わっている場合もそのことを把握することができる。
【0060】
また、本実施形態では、制御盤15は、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32の検知結果に基づいて異常の程度を判定し、異常の程度が高い場合にはモータ141の駆動を停止し、異常の程度が低い場合には操作装置16に予め設定される所定操作(押しボタンを継続して押し下げる操作)が行われることを条件としてモータ141を駆動させる。
【0061】
これにより、異常の程度に応じてモータ141の駆動が制御されるので、過剰に安全側の制御が行われることもなく、実情に応じたシャッター装置1の動作制御が行われることになる。
【0062】
次に、上記実施形態(第1の実施形態)と異なる構成でシャッター装置1の異常検知を行う第2の実施形態及び第3の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態及び第3の実施形態の何れの実施形態の説明においても、既に説明した構成と同一又は同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0063】
図8から
図10を参照して第2の実施形態について説明する。
図8は、第2の実施形態のシャッター装置1が備える巻取装置13及びその近傍の様子を巻取シャフト131の軸方向で見た図である。
図9は、第2の実施形態におけるガイドレール11に対する第1異常検知センサ231の位置関係を概略的に示した平面図であり、
図8のA-A線矢視図である。
図10は、第2の実施形態におけるガイドレール11に対する第2異常検知センサ232の位置関係を概略的に示した平面図であり、
図8のB-B線矢視図である。なお、
図9及び
図10は、第1異常検知センサ231、第2異常検知センサ232及びガイドレール11以外のシャッターカーテン12等の構成の図示が省略されている。
【0064】
図8に示すように、第2の実施形態では、第1異常検知センサ231及び第2異常検知センサ232が上下に離れた位置に配置される。
【0065】
第1異常検知センサ231は、投光部231a及び受光部231bからなる光電センサである。投光部231aはセンサ保持具241を介して軸受ブラケット135に固定される。受光部231bはセンサ保持具242及び保持金物243を介して軸受ブラケット135に固定される。本実施形態では、投光部231aと受光部231bを結ぶ光路231cが巻取ドラム132の最も高い位置又はその近傍を通るように設定されている。
【0066】
第2異常検知センサ232は、投光部232a及び受光部232bからなる光電センサである。投光部232aはセンサ保持具251を介して軸受ブラケット135に固定される。受光部232bはセンサ保持具252及び保持金物243を介して軸受ブラケット135に固定される。本実施形態では、投光部232aと受光部232bを結ぶ光路232cが巻取ドラム132の最も低い位置又はその近傍を通るように設定されている。
【0067】
また、
図9及び
図10に示すように、第1異常検知センサ231の光路231cは、第2異常検知センサ232の光路232cよりもガイドレール11側に位置している(
図9の線分αと
図10の線分βではα<βが成立する)。従って、第1異常検知センサ231はスラット121の軸受ブラケット135側への相対的に小さなずれ(小変位)を検知し、第2異常検知センサ232はスラット121の軸受ブラケット135側への相対的に大きなずれ(大変位)を検知することになる。
【0068】
また、第2の実施形態では、センサ保持具241には切欠部241aが形成され、当該切欠部241aには投光部231aが保持される。また、センサ保持具242には切欠部242aが形成され、当該切欠部242aには受光部231bが保持される。同様に、センサ保持具251には投光部232aが保持される切欠部251aが形成され、センサ保持具252には受光部232bが保持される切欠部252aが形成される。いずれの切欠部241a,242a,251a,252aについても、左右方向中央側から軸受ブラケット135側に切り欠かれており、第1異常検知センサ231の光路231c及び第2異常検知センサ232の光路232cの位置を投光部231a(投光部232a)及び受光部231b(受光部232b)の取付位置により変更可能となっている。
【0069】
以上説明した第2の実施形態の構成によっても第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2の実施形態では、巻取ドラム132の上下で生じるスラット121のずれを検知することができる。
【0070】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、巻取ドラム132の右側(一側)に配置される第1異常検知センサ及び第2異常検知センサによってスラット121の右側への変位を段階的に検知し、他側(左側)に配置される第1異常検知センサ及び第2異常検知センサによってスラット121の左側への変位を段階的に検知する構成であるが、この構成に限定されない。次に、巻取ドラム132の左右方向の一側に配置される構成により、左右両方のずれを検知可能な第3の実施形態について説明する。
【0071】
図11は、第3の実施形態のセンサ保持具330、第1異常検知センサ31、第2異常検知センサ32及び第3異常検知センサ331の位置関係を示す平面図である。
図12は、第3の実施形態のセンサ保持具330、第1異常検知センサ31、第2異常検知センサ32及び第3異常検知センサ331の位置関係を示す側面図である。
【0072】
図11及び
図12に示すように、第3の実施形態では、第1の実施形態の第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32に加えて第3異常検知センサ331が異常検知手段として配置される。
【0073】
第3実施形態では、第1異常検知センサ31は相対的に小さな右片寄りを注意検知するためのものであり、第2異常検知センサ32は相対的に大きな右片寄りを警告検知するためのものである。
【0074】
第3異常検知センサ331は、投光部331a及び受光部331bを備える光電センサであり、左片寄りを注意検知する(
図12の鎖線参照)。投光部331a及び受光部331bは、適正位置のスラット121をシャッターカーテン12の厚み方向(見込方向)で挟むようにセンサ保持具330によって保持される。そして、投光部331aと受光部331bを結ぶ光路331cは、適正位置のスラット121の軸受ブラケット135側の端部よりも中央側を通るように設定される。
【0075】
従って、異常や故障が生じておらず、スラット121が適正位置にある状態では投光部331aと受光部331bの光路331cが遮断され続けることになる。第3異常検知センサ331は、スラット121が光路331cを遮断している状態が通常であり、光路331cが遮断されなくなった状態が異常として検知される。この構成において、スラット121が左右方向中央側(近傍の軸受ブラケット135から離れる側)に移動した場合、第3異常検知センサ331の光路331cを遮るもの(スラット121)がなくなり、投光部331aと受光部331bが対面した状態となる。この異常状態は制御盤15に送られ、第1の実施形態と同様の処理が行われる。
【0076】
以上説明した第3の実施形態のシャッター装置1は、第1異常検知センサ31及び第2異常検知センサ32とともに巻取ドラム132の軸方向一側に配置され、スラット121の軸方向他側(シャッターカーテン12の幅方向他側)への変位を検知する第3異常検知センサ331を更に備える。
【0077】
これにより、上述の第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、スラット121の左右方向の変位を検知する構成を巻取ドラム132の片側(軸方向一側)に集約できるので、配線の取り回しもシンプルにでき、メンテナンス作業の効率性も向上できる。
【0078】
次に、上記の第1の実施形態~第3の実施形態とは異なる構成でシャッター装置1の異常検知を行う第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態の説明において、既に説明した構成と同一又は同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0079】
図13から
図16を参照して第4の実施形態について説明する。
図13は、第4の実施形態のシャッター装置1が備える第1異常検知センサ~第4異常検知センサ及びその近傍の様子を巻取シャフトの軸方向で見た図である。
図14は、第4の実施形態のセンサ保持具及び第1異常検知センサ~第5異常検知センサに含まれる投受光部の位置関係を概略的に示した側面図であり、
図13のA-A線矢視図である。
図15は、第4の実施形態のセンサ保持具及び第1異常検知センサ~第4異常検知センサに含まれる反射板の位置関係を概略的に示した側面図であり、
図13のB-B線矢視図である。
図16は、第4の実施形態の第5異常検知センサに含まれる反射板の位置関係を概略的に示した正面図である。
【0080】
第4の実施形態では、巻取ドラム132の軸方向一側に第1異常検知センサ(第1異常検知部)431、第2異常検知センサ(第2異常検知部)432、第3異常検知センサ(第3異常検知部)433、第4異常検知センサ(第4異常検知部)434の全てが設置され、これら第1異常検知センサ431~第4異常検知センサ434により、シャッターカーテン12の幅方向一側及び他側双方への、スラット121の相対的に小さな変位及び大きな変位を検知する。
【0081】
より詳細には、シャッター装置1の左右に設置される軸受ブラケット135のいずれかの下端部に、シャッターカーテン12の厚さ方向を長手方向とする保持金物410が設置され、保持金物410の長手方向端部において、保持金物410からぶら下がる姿勢で、センサ保持具430a及びセンサ保持具430bと、センサ保持具430cとが、当該長手方向を挟むように対向して、保持金物410に固定される。
【0082】
第1異常検知センサ431は、投受光部431aと反射板431bとからなり、投受光部431aはセンサ保持具430aに、反射板431bはセンサ保持具430cに固定される。第2異常検知センサ432は、投受光部432aと反射板432bとからなり、投受光部432aはセンサ保持具430aに、反射板432bはセンサ保持具430cに固定される。第3異常検知センサ433は、投受光部433aと反射板433bとからなり、投受光部433aはセンサ保持具430bに、反射板433bはセンサ保持具430cに固定される。第4異常検知センサ434は、投受光部434aと反射板434bとからなり、投受光部434aはセンサ保持具430bに、反射板434bはセンサ保持具430cに固定される。なお、投受光部431a~434aは、ビームを照射する機能とビームの受光を検知する機能を有する投受光器である。また、反射板431b~434bは、ビームを反射する適宜の材料によって構成される板状部材である。
【0083】
ここで、センサ保持具430aは、水平方向の断面が略L字状の形状となっており、当該L字を構成する二辺のうち一辺が、シャッターカーテン12の厚さ方向に延伸し、他辺がシャッターカーテン12の面と平行に延伸する。投受光部431aは、センサ保持具430aのシャッターカーテン12の厚さ方向に延伸する面の内側面(一側)に固定され、投受光部432aは、センサ保持具430aのシャッターカーテン12の厚さ方向に延伸する面の外側面(他側)に固定される。
【0084】
また、センサ保持具430bは、センサ保持具430aを挟んで軸受ブラケット135と反対側に設置される。センサ保持具430bもセンサ保持具430aと同様に、水平方向の断面が略L字状の形状となっており、当該L字を構成する二辺のうち一辺が、シャッターカーテン12の厚さ方向に延伸し、他辺がシャッターカーテン12の面と平行に延伸する。投受光部433aは、センサ保持具430aのシャッターカーテン12の厚さ方向に延伸する面の外側面(一側)に固定され、投受光部434aは、センサ保持具430aのシャッターカーテン12の厚さ方向に延伸する面の内側面(他側)に固定される。
【0085】
また、センサ保持具430cには、反射板431b~434bが設置される。より詳細には、センサ保持具430cにおいて、反射板431bは投受光部431aに対向した位置に、反射板432bは投受光部432aに対向した位置に、反射板433bは投受光部433aに対向した位置に、反射板434bは投受光部434aに対向した位置に設置される。
【0086】
これらにより、投受光部431aと反射板431bを結ぶ光路431c、投受光部432aと反射板432bを結ぶ光路432c、投受光部433aと反射板433bを結ぶ光路433c、及び投受光部434aと反射板434bを結ぶ光路434cにおいては、投受光部431a~434a側から、反射板431b~434b側に向かってビームが照射され、反射板431b~434bにおいて反射されたビームが、投受光部431a~434aにおいて受光される。また、これらの光路431c~434cは、光路432c、光路431c、光路433c、光路434cの順に、軸受ブラケット135側からシャッターカーテン12の中央部に向かって並ぶ位置関係となっている。
【0087】
第1異常検知センサ431は、スラット121が軸受ブラケット135方向に移動して、投受光部431aと反射板431bとの間の光路431cが遮られると、検知信号を制御盤15に送信する。第2異常検知センサ432は、スラット121が軸受ブラケット135方向に移動して、投受光部432aと反射板432bとの間の光路432cが遮られると、検知信号を制御盤15に送信する。
【0088】
第1異常検知センサ431は、スラット121(シャッターカーテン12)の正常位置から軸受ブラケット135側への横方向(シャッターカーテン12の幅方向)の相対的に小さな片寄りを警告検知するためのものである(
図14参照)。より詳細には、第1異常検知センサ431が検知信号を制御盤15に送信することにより、スラット121の正常位置から軸受ブラケット135側への横方向の相対的に小さな片寄りを警告検知する。なお、
図14及び
図15において、シャッターカーテン12の端部を示す仮想線12aを二点鎖線で示す。
【0089】
第2異常検知センサ432は、スラット121(シャッターカーテン12)の正常位置から軸受ブラケット135側への横方向(シャッターカーテン12の幅方向)の相対的に大きな片寄りを警告検知するためのものである(
図14参照)。より詳細には、第2異常検知センサ432が検知信号を制御盤15に送信することにより、スラット121の正常位置から軸受ブラケット135側への横方向の相対的に大きな片寄りを警告検知する。
【0090】
第3異常検知センサ433は、スラット121が正常位置にあるときにはスラット121によって光路433cが遮られるように配置されるが、投受光部433aと反射板433bとの間からスラット121が外れて光路433cを遮るものが無くなると、検知信号を制御盤15に送信する。第4異常検知センサ434は、スラット121が正常位置にあるときにはスラット121によって光路434cが遮られるように配置されるが、投受光部434aと反射板434bとの間からスラット121が外れて光路434cを遮るものが無くなると、検知信号を制御盤15に送信する。
【0091】
第3異常検知センサ433は、スラット121(シャッターカーテン12)の正常位置から軸受ブラケット135と反対側への横方向(シャッターカーテン12の幅方向)の相対的に小さな片寄りを警告検知するためのものである(
図14参照)。より詳細には、第3異常検知センサ433が検知信号を制御盤15に送信することにより、スラット121の正常位置から軸受ブラケット135側と反対側への横方向の相対的に小さな片寄りを警告検知する。
【0092】
第4異常検知センサ434は、スラット121(シャッターカーテン12)の正常位置から軸受ブラケット135と反対側への横方向(シャッターカーテン12の幅方向)の相対的に大きな片寄りを警告検知するためのものである(
図14参照)。より詳細には、第4異常検知センサ434が検知信号を制御盤15に送信することにより、スラット121の正常位置から軸受ブラケット135側と反対側への横方向の相対的に大きな片寄りを警告検知する。
【0093】
即ち、第1異常検知センサ431が検知信号を制御盤15に送信した場合には、スラット121の正常位置から軸受ブラケット135側への横方向の相対的に大きな偏りが検知される。
【0094】
第1異常検知センサ431が検知信号を制御盤15に送信せず、第2異常検知センサ432が検知信号を制御盤15に送信した場合には、スラット121の正常位置から軸受ブラケット135側への横方向の相対的に小さな片寄りが検知される。
【0095】
第1異常検知センサ431、第2異常検知センサ432、第3異常検知センサ433、第4異常検知センサ434が検知信号を制御盤15に送信しない場合には、スラット121が正常位置にあることが検知される。
【0096】
第1異常検知センサ431、第2異常検知センサ432が検知信号を制御盤15に送信せず、第3異常検知センサ433が検知信号を制御盤15に送信し、第4異常検知センサ434が検知信号を制御盤15に送信しない場合には、スラット121の正常位置から軸受ブラケット135と反対側への横方向の相対的に小さな片寄りが検知される。
【0097】
第1異常検知センサ431、第2異常検知センサ432が検知信号を制御盤15に送信せず、第3異常検知センサ433、第4異常検知センサ434が検知信号を制御盤15に送信する場合には、スラット121の正常位置から軸受ブラケット135と反対側への横方向の相対的に大きな片寄りが検知される。
【0098】
なお、センサ保持具430a及びセンサ保持具430bは、ネジによって保持金物410に固定されるが、
図14に示すように、センサ保持具430aには、水平方向に細長い長円状のネジ孔441a及びネジ孔441bが設けられる。センサ保持具430aの保持金物410に対するネジ孔441a及びネジ孔441bの内側のネジ止め位置を変更することにより、第1異常検知センサ431及び第2異常検知センサ432の、巻取ドラム132の軸方向(シャッターカーテン12の幅方向)における位置を調整することが可能である。
【0099】
同様に、センサ保持具430bには、水平方向に細長い長円状のネジ孔442a及びネジ孔442bが設けられる。センサ保持具430bの保持金物410に対するネジ孔442a及びネジ孔442bの内側のネジ止め位置を変更することにより、第3異常検知センサ433及び第4異常検知センサ434の、巻取ドラム132の幅方向(シャッターカーテン12の幅方向)における位置を調整することが可能である。
【0100】
更に、シャッター装置1は、シャッターカーテン12の過巻きを防止するための構成として第5異常検知センサ435を有する。
【0101】
具体的には、
図14に示すように、保持金物410において、センサ保持具430a及びセンサ保持具430bを挟んで、軸受ブラケット135と反対側(シャッターカーテン12の中央側)にセンサ保持具430dが設置され、センサ保持具430dの下端部に第5異常検知センサ435の一部である投受光部435aが設置される。
【0102】
また、
図16に示すように、シャッターカーテン12の裏側下部に、第5異常検知センサ435の一部である反射板435b及び反射板435cが固定される。反射板435bは座板122に固定される。反射板435bは、座板122の水平方向を向く面(室内側の見付面)に接着固定される。反射板435cは接着面を有する薄膜のシール部材である。
【0103】
反射板435bの設置場所は、シャッターカーテン12の過巻きが生じる位置と投受光部435aの高さに基づいて設定される。例えば、シャッターカーテン12の巻取動作中に反射板435bが投受光部435aの高さに位置したときに過巻きが生じ始めている又は過巻きが生じる直前と判断できる位置が設置場所となる。
【0104】
反射板435cは、スラット121の凹部121bの内側に位置する。本実施形態では、座板122は、スラット121の裏面に沿って上側に延びる延出片122aを有しており、当該延出片122aの水平方向を向く面(室内側の見付面)に反射板435cが接着固定される。反射板435cは、適宜の材料によって構成される板状部材である。反射板435cは、延出片122aに固定された状態においても、スラット121の凹部121bの内側に納まる厚みのものが用いられる。
【0105】
反射板435cの設置場所は、巻取動作中にシャッターカーテン12の過巻きが生じる位置よりも前段階で投受光部435aに検知される位置である。例えば、シャッターカーテン12の巻取動作中に反射板435cが投受光部435aの高さに位置したときに過巻きが生じる前段階と判断できる位置が設置場所であり、反射板435cは、反射板435bの上方に位置する。従って、巻取動作中に過巻きが生じるときは、反射板435bよりも反射板435cが先に投受光部435aの高さにくることになる。
【0106】
反射板435bは、反射板435cに対して相対的に過巻き状態の蓋然性が高い状態を検知できる位置に設置されている。また、全体から見れば反射板435b及び反射板435cは、シャッターカーテン12の下端部に位置している。
【0107】
巻取動作が進行し、シャッターカーテン12に固定された反射板435cの位置が投受光部435aの高さまで上昇すると、投受光部435aの照射したビームが反射板435cで反射し、投受光部435aに戻る状態となる。そして、投受光部435aの検知信号(第1の検知信号)が制御盤15に送信される。
【0108】
巻取動作が更に進行し、シャッターカーテン12に固定された反射板435bの位置が投受光部435aの高さまで上昇すると、投受光部435aの照射したビームが反射板435bで反射し、投受光部435aに戻る状態となる。これによって投受光部435aの検知信号(第2の検知信号)が制御盤15に送信される。
【0109】
第2の検知信号の方が第1の検知信号に比べて過巻きの蓋然性が高い状態を示すことになる。
【0110】
なお、図示はしないが、シャッターカーテン12の裏側上部に1枚以上の反射板を設置することにより、シャッターカーテン12の過降下を検知することが可能である。
【0111】
以上説明した第4の実施形態のシャッター装置1は、シャッターカーテン12の幅方向他側(軸受ブラケット135と反対側)へのスラット121の相対的に小さな変位を検知する第3異常検知センサ433と、シャッターカーテン12の幅方向他側(軸受ブラケット135と反対側)へのスラット121の相対的に大きな変位を検知する第4異常検知センサ434と、を更に備え、第1異常検知センサ431~第4異常検知センサ434は、巻取ドラム132の軸方向一側(軸受ブラケット135側)に配置される。
【0112】
これにより、上述の第3の実施形態と同様の効果を奏するとともに、スラット121の左右方向の変位を段階的に検知する構成を巻取ドラム132の片側(軸方向一側)に集約できるので、配線の取り回しもシンプルにでき、メンテナンス作業の効率性も向上できる。
【0113】
また、第4の実施形態のシャッター装置1において、第1異常検知センサ431~第4異常検知センサ434の少なくともいずれか一つは、巻取ドラム132の軸方向における位置を調整可能なセンサ保持具430に保持される。
【0114】
これにより、巻取ドラム132の軸方向における位置調整が可能となり、シャッター装置1の組付性及びメンテナンス性をより一層向上させることができる。
【0115】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では、段階的検知として、作動に支障がなく許容する範囲での第1検知部と、許容範囲を超える第2検知部との2段階検知としているが、第1検知部と第2検知部との間に複数の検知部を設けることで、検知信号を細かくできるとともに変位の具合(程度)をより細かく確認することもできる。即ち、上記実施形態の構成をより多段にしてスラットの変位量を計測できるようにすることもできる。
【0116】
上記実施形態では、制御盤15、操作装置16及び報知装置17の配置場所は、ガイドレール11や巻取装置13等の近傍であってもよいし、シャッターカーテン12から離れた同一施設内の集中管理室や施設から地理的に離れた遠隔監視室等であってもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、報知装置17は、複数の表示灯(電源灯171、警告灯172、注意灯173、コード断線灯174)によってシャッター装置1の状態を報知する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、ブザーやスピーカー等の発音装置、画像を表示する表示装置、又はこれらの組み合わせによって報知装置を構成してもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 シャッター装置
11 ガイドレール
12 シャッターカーテン
15 制御盤(制御部)
16 操作装置(操作部)
121 スラット
132 巻取ドラム(巻取部)
141 モータ(駆動部)