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特許7084807電磁誘導型位置センサ用のセンサ基板、および、センサ基板の製造方法
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  • 特許-電磁誘導型位置センサ用のセンサ基板、および、センサ基板の製造方法 図1
  • 特許-電磁誘導型位置センサ用のセンサ基板、および、センサ基板の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】電磁誘導型位置センサ用のセンサ基板、および、センサ基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
G01D5/245 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018130949
(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公開番号】P2020008465
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 康一
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-17533(JP,A)
【文献】特開2016-171270(JP,A)
【文献】特開昭62-274687(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0231194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/243-5/249
H05K 1/02 -3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板であって、
絶縁材を介して積層された偶数個の層を有する基板と、
前記基板に形成され、交流磁束を受信して振幅変化の位相が互いに異なる電磁誘導電圧を出力する複数のコイルと、
を備え、
各コイルは、
前記偶数個の層それぞれに1以上形成されるとともに前記基板内で互いに直列接続された複数の導体パターンを含む第一サブコイルと、
前記偶数個の層それぞれに1以上形成されるとともに前記基板内で互いに直列接続された複数の導体パターンを含む第二サブコイルと、
を含み、
前記導体パターンは、いずれも、正弦波形状であり、
前記偶数個の層のいずれにおいても、前記第一サブコイルに属する一つの導体パターンの前記正弦波形状の振幅方向両側に前記第二サブコイルに属する二つの導体パターンで位置し、前記第二サブコイルに属する一つの導体パターンの前記振幅方向両側に、前記第一サブコイルに属する二つの導体パターンが位置するように、前記第一サブコイルに属する導体パターンと、前記第二サブコイルに属する導体パターンと、は前記振幅方向に交互に並んでおり、
前記第一サブコイルの一端は、第一端子に接続され、
前記第二サブコイルの一端は、前記第一端子と面方向に離間するとともに前記第一端子と同じ層に形成された第二端子に接続されており、
前記第一端子に最初接続される前記第一サブコイルに属する前記導体パターンと、前記第二端子に最初接続される前記第二サブコイルに属する前記導体パターンと、は互いに異なる層に形成されている、
ことを特徴とするセンサ基板。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ基板であって、
前記第一端子と前記第二端子は、前記基板にプリントされた導体以外の導体で電気的に接続されており、
前記第一端子および前記第二端子が、電気的に接続されることで、前記第一サブコイルおよび前記第二サブコイルが直列接続されて、前記コイルを形成する、
ことを特徴とするセンサ基板。
【請求項3】
電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板であって、交流磁束を受信して振幅変化の位相が互いに異なる電磁誘導電圧を出力する複数のコイルを、絶縁材を介して積層された偶数個の層を有する基板に形成したセンサ基板の製造方法であって、
前記基板に、互いに電気的に絶縁された第一サブコイルおよび第二サブコイルを有したコイルを、複数形成する形成ステップと、
前記形成ステップの後で、前記第一サブコイルと前記第二サブコイルとの短絡の有無を検査する検査ステップと、
前記検査ステップにより短絡が無いと判断された場合に、同じ前記コイルに属する前記第一サブコイルと前記第二サブコイルとを電気的に接続する接続ステップと、
を有し、
前記第一サブコイルは、前記偶数個の層それぞれに1以上形成されるとともに基板内で互いに直列接続された複数の導体パターンを含み、
前記第二サブコイルは、前記偶数個の層それぞれに1以上形成されるとともに前記基板内で互いに直列接続された複数の導体パターンを含み、
前記導体パターンは、いずれも、正弦波形状であり、
前記偶数個の層のいずれにおいても、前記第一サブコイルに属する一つの導体パターンの前記正弦波形状の振幅方向両側に前記第二サブコイルに属する二つの導体パターンで位置し、前記第二サブコイルに属する一つの導体パターンの前記振幅方向両側に、前記第一サブコイルに属する二つの導体パターンが位置するように、前記第一サブコイルに属する導体パターンと、前記第二サブコイルに属する導体パターンと、は前記振幅方向に交互に並んでおり、
前記第一サブコイルの一端は、第一端子に接続され、
前記第二サブコイルの一端は、前記第一端子と面方向に離間するとともに前記第一端子と同じ層に形成された第二端子に接続されており、
前記第一端子に最初接続される前記第一サブコイルに属する前記導体パターンと、前記第二端子に最初接続される前記第二サブコイルに属する前記導体パターンと、は互いに異なる層に形成されており、
前記接続ステップでは、前記第一端子と前記第二端子が電気的に接続される、
ことを特徴とするセンサ基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサ基板の検査方法であって、
前記検査ステップでは、前記第一サブコイルと前記第二サブコイル間の導通の有無により、前記短絡の有無を判断する、ことを特徴とするセンサ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板であって、交流磁束を受信して振幅変化の位相が互いに異なる電磁誘導電圧を出力する複数のコイルが、基板に形成されたセンサ基板を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転又は直線的に相対移動する部材の位置を電磁誘導作用により検出する電磁誘導型位置センサとしては、特許文献1に開示されているような電磁誘導型位置センサがある。この位置センサは、位置検出対象物の移動に連動して交流磁束を発生させる交流磁束発生手段と、この交流磁束を受信して誘導電圧を出力するセンサ部と、を備えている。センサ部は、基板上に、複数のコイルを構成する導体パターンをプリントして成るセンサ基板である。この位置センサは、水や油等に対する耐環境性に優れる上、高精度な位置検出を行うことが可能である。また、コイルを構成する導体パターンは、プリント基板製造技術等を用いて作成することができ、製造が容易な既存の設備で製造することが可能である。また、センサ部を、導体パターンをプリントしたセンサ基板とした場合は、センサ部以外の増幅回路等も当該センサ基板上に搭載できるため、微弱な位置センサ信号を配線等による外来ノイズを受けにくい状態で増幅できるというメリットがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-17533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような電磁誘導型位置センサのセンサ部のコイルを、プリント基板製造技術で製造した場合、同一コイルに属するとともに面方向に隣接する2つの導体パターン間がエッチング不良等により、短絡不良が発生する場合があった。こうした同一コイルに属するとともに面方向に隣接する2つの導体パターンは、短絡不良が無くても導通がある。そのため、任意の端子間の短絡と開放のみを検査する一般的なプリント基板用検査装置では、上記の短絡不良を識別することが難しかった。そのため、同一コイルの両端の抵抗値やインダクタンスを測定する検査装置により、検査する必要があった。しかしながら、パターン間の抵抗値が微小な区間で短絡した場合や短絡抵抗値が大きい場合は、同一コイルの両端の抵抗値やインダクタンスの測定では不良品を識別することが難しかった。このような同一コイルの両端の抵抗値やインダクタンスの測定で識別不能な短絡不良が発生した場合、センサ用のプリント基板に回路部品を搭載後の動作検査やセンサユニットとして組み上げた後の最終検査で不良が判明していた。このような不良の発生は、センサ用プリント基板の単価よりも大きな損害が発生する上、プリント基板側の不良であることの証明も困難であり、プリント基板製造業者へのフィードバックも難しかった。そのため、プリント基板製造による短絡不良がロット的に大量発生するような場合を想定すると、不良による損失以上に電磁誘導型位置センサの供給面での大きなリスクとなっていた。
【0005】
そこで、本明細書では、導体パターンの短絡不良を簡易に識別可能な電磁誘導型位置センサ用のセンサ基板、および、センサ基板の製造方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示するセンサ基板は、電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板であって、絶縁材を介して積層された偶数個の層を有する基板と、前記基板に形成され、交流磁束を受信して振幅変化の位相が互いに異なる電磁誘導電圧を出力する複数のコイルと、を備え、各コイルは、前記偶数個の層それぞれに1以上形成されるとともに前記基板内で互いに直列接続された複数の導体パターンを含む第一サブコイルと、前記偶数個の層それぞれに1以上形成されるとともに前記基板内で互いに直列接続された複数の導体パターンを含む第二サブコイルと、を含み、前記導体パターンは、いずれも、正弦波形状であり、前記偶数個の層のいずれにおいても、前記第一サブコイルに属する一つの導体パターンの前記正弦波形状の振幅方向両側に前記第二サブコイルに属する二つの導体パターンで位置し、前記第二サブコイルに属する一つの導体パターンの前記振幅方向両側に、前記第一サブコイルに属する二つの導体パターンが位置するように、前記第一サブコイルに属する導体パターンと、前記第二サブコイルに属する導体パターンと、は前記振幅方向に交互に並んでおり、前記第一サブコイルの一端は、第一端子に接続され、前記第二サブコイルの一端は、前記第一端子と面方向に離間するとともに前記第一端子と同じ層に形成された第二端子に接続されており、前記第一端子に最初接続される前記第一サブコイルに属する前記導体パターンと、前記第二端子に最初接続される前記第二サブコイルに属する前記導体パターンと、は互いに異なる層に形成されている、ことを特徴とする。
【0007】
この場合、前記第一端子と前記第二端子は、前記基板にプリントされた導体以外の導体で電気的に接続されており、前記第一端子および前記第二端子が、電気的に接続されることで、前記第一サブコイルおよび前記第二サブコイルが直列接続されて、前記コイルを形成されてもよい。
【0008】
本明細書で開示するセンサ基板の製造方法は、電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板であって、交流磁束を受信して振幅変化の位相が互いに異なる電磁誘導電圧を出力する複数のコイルを、絶縁材を介して積層された偶数個の層を有する基板に形成したセンサ基板の製造方法であって、前記基板に、互いに電気的に絶縁された第一サブコイルおよび第二サブコイルを有したコイルを、複数形成する形成ステップと、前記形成ステップの後で、前記第一サブコイルと前記第二サブコイルとの短絡の有無を検査する検査ステップと、前記検査ステップにより短絡が無いと判断された場合に、同じ前記コイルに属する前記第一サブコイルと前記第二サブコイルとを電気的に接続する接続ステップと、を有し、前記第一サブコイルは、前記偶数個の層それぞれに1以上形成されるとともに基板内で互いに直列接続された複数の導体パターンを含み、前記第二サブコイルは、前記偶数個の層それぞれに1以上形成されるとともに前記基板内で互いに直列接続された複数の導体パターンを含み、前記導体パターンは、いずれも、正弦波形状であり、前記偶数個の層のいずれにおいても、前記第一サブコイルに属する一つの導体パターンの前記正弦波形状の振幅方向両側に前記第二サブコイルに属する二つの導体パターンで位置し、前記第二サブコイルに属する一つの導体パターンの前記振幅方向両側に、前記第一サブコイルに属する二つの導体パターンが位置するように、前記第一サブコイルに属する導体パターンと、前記第二サブコイルに属する導体パターンと、は前記振幅方向に交互に並んでおり、前記第一サブコイルの一端は、第一端子に接続され、前記第二サブコイルの一端は、前記第一端子と面方向に離間するとともに前記第一端子と同じ層に形成された第二端子に接続されており、前記第一端子に最初接続される前記第一サブコイルに属する前記導体パターンと、前記第二端子に最初接続される前記第二サブコイルに属する前記導体パターンと、は互いに異なる層に形成されており、前記接続ステップでは、前記第一端子と前記第二端子が電気的に接続される、ことを特徴とする。
【0009】
この場合、前記検査ステップでは、前記第一サブコイルと前記第二サブコイル間の導通の有無により、前記短絡の有無を判断してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本明細書で開示するセンサ用基板では、少なくとも導体パターンの作成直後は、隣接する導体パターン間は絶縁されているため、導通が無い。そのため、隣接する導体パターン間に短絡不良が発生しても、一般的なプリント基板用検査装置等で短絡不良を検出できる。これにより、短絡不良が発生したセンサ用導体パターンを、後工程に流すことを防止することができる。また、導体パターンの作成後のサブコイル間の直列接続を、基板にプリントされた導体以外の導体(例えば半田やゼロ―オーム抵抗など)の実装で行うことが可能なため、回路部品実装工程でサブコイル間の接続を容易に行うことができ、余計な製造工程を付加することなく、既存の製造工程で可能である。また、従来行っていた同一コイルの両端の抵抗値やインダクタンスを測定する検査工程も不要となり、製造コストの削減も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板の一例を示す図である。
図2】電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板の一例を示している。なお、図1は、完成状態のセンサ基板ではなく、製造過程のセンサ基板を示している。
【0013】
センサ基板は、絶縁材を介して積層された偶数の層(本例では2層)を有する多層プリント基板40と、多層プリント基板40に形成された複数(本例では2つ)のコイルと、を有する。複数のコイルは、交流磁束を受信して振幅変化の位相が互いに異なる電磁誘導電圧を出力する。多層プリント基板40の各層には、コイルを構成するとともに、正弦波状の導体パターンが形成されている。なお、図1では、多層プリント基板40の1層目(表面層)に形成された導体パターンを実線で、2層目に形成された導体パターンを破線で示している。
【0014】
図1の例では、センサ基板は、多層プリント基板40の上半分に形成された上側コイルと、多層プリント基板40の下半分に形成された下側コイルと、を有している。はじめに、上側コイルの構成について説明する。スルーホール1は、2層目の正弦波状導体パターン21の右端に接続されている。導体パターン21の左端は、スルーホール31を介して、2層目の導体パターン21とは逆相となる正弦波形状の導体パターン11の左端と接続されている。導体パターン11の右端は、スルーホール2を介して導体パターン21と同相の正弦波形状の導体パターン22と接続されている。導体パターン22の左端は、スルーホール32を介して導体パターン11と同相の正弦波形状の導体パターン12と接続されている。導体パターン12の右端は、スルーホール5と配線42を介して2層目の2端子のショートランド41の一方の端子(第一端子)と接続されている。
【0015】
また、ショートランド41の他方の端子(第二端子)は、2層目の配線43とスルーホール3を介して、導体パターン21と同相の正弦波形状の導体パターン23の右端と接続されている。導体パターン23の左端は、スルーホール33を介して、導体パターン11と同相の正弦波形状の導体パターン13の左端と接続されている。導体パターン13の右端は、スルーホール4を介して導体パターン21と同相の正弦波形状の導体パターン24の右端と接続されている。導体パターン24の左端は、スルーホール34を介して、導体パターン11と同相の正弦波形状の導体パターン14の左端と接続されている。導体パターン14の右端はスルーホール44に接続されている。
【0016】
以上の説明から明らかなとおり、導体パターン21,11,22,12は、スルーホール31,2,32を介して直列接続され、第一サブコイルを構成する。また、導体パターン23,13,24,14は、スルーホール33,4,34を介して直列接続されて、第二サブコイルを構成する。また、この第一サブコイルの一端は、スルーホール5および配線42を介してショートランド41の一方の端子(第一端子)に接続されている。第二サブコイルの一端は、スルーホール3および配線43を介してショートランド41の他方の端子(第二端子)に接続されている。そして、一方の端子(第一端子)と他方の端子(第二端子)は、同じ層(2層目)に形成されるとともに、面方向に離間されている。その結果、この二つの端子を別の導体で接続しない限り、第一サブコイルと第二サブコイルは、互いに絶縁されることになる。
【0017】
また、図1から明らかなとおり、第一サブコイルに属する導体パターンと、第二サブコイルに属する導体パターンは、面方向に交互に並んでいる。例えば、1層目に着目すると、第一サブコイルに属する導体パターン11,12と、第二サブコイルに属する導体パターン13,14は、面方向に交互に並んでいる。同様に、2層目に着目すると、第一サブコイルに属する導体パターン21,22と、第二サブコイルに属する導体パターン23,24は、面方向に交互に並んでいる。
【0018】
多層プリント基板40の下半分に形成された下側コイルは、その導体パターンの横方向の位相が、上側コイルの導体パターンに対して、90度ずれている点を除けば、上側コイルとほぼ同様の構成である。すなわち、下側コイルも、上側コイルと同様に、第一サブコイルと第二サブコイルを有している。第一サブコイルは、導体パターン26,16,27,17がスルーホール36,7,37を介して直列接続されており、第二サブコイルは、導体パターン28,18,29,19がスルーホール38,9,39を介して直列接続されている。
【0019】
第一サブコイルの一端は、スルーホール10および配線47を介してショートランド46の一方の端子(第一端子)に接続され、第二サブコイルの一端は、スルーホール8および配線48を介してショートランド46の他方の端子(第二端子)に接続されている。そして、一方の端子(第一端子)と他方の端子(第二端子)は、同じ層(2層目)に形成されるとともに、面方向に離間されている。その結果、この二つの端子を別の導体で接続しない限り、第一サブコイルと第二サブコイルは、互いに絶縁されることになる。
【0020】
また、図1から明らかなとおり、第一サブコイルに属する導体パターンと、第二サブコイルに属する導体パターンは、面方向に交互に並んでいる。例えば、1層目に着目すると、第一サブコイルに属する導体パターン16,17と、第二サブコイルに属する導体パターン18,19は、面方向に交互に並んでいる。同様に、2層目に着目すると、第一サブコイルに属する導体パターン26,27と、第二サブコイルに属する導体パターン28,29は、面方向に交互に並んでいる。
【0021】
なお、図示はされていないが、上側コイルの第一、第二サブコイルの他端に接続されたスルーホール1,44、および、下側コイルの第一、第二サブコイルの他端に接続された6,49は、多層プリント基板40の2層目に形成されたセンサ増幅回路用の異なる部品実装用のランド(図示せず)にそれぞれ接続されている。これにより、4つのサブコイルは、互いに絶縁された接続となっている。そのため、1層目と2層目の隣接する正弦波形状の導体パターン11と13,13と12,12と14,14と16,16と18,18と17,17と19,21と23,23と22,22と24,24と26,26と28,28と27,27と29の其々の間には導通が無いように接続されている。このため、隣接する導体パターン間に短絡不良があれば、ショートランド41の2つの端子間、または、ショートランド46の2つの端子間に、導通があるため、容易に一般的なプリント基板用検査装置で導体パターンの不良を検出することが可能となる。
【0022】
ここで、上述したとおり、図1のセンサ基板は、製造途中である。プリント基板製造技術で、上述の第一、第二サブコイルが形成できれば、第一サブコイルと第二サブコイルとの短絡の有無を検査する。検査の結果、短絡がないと判断されれば、第一サブコイルと第二サブコイルが電気的に接続される。具体的には、多層プリント基板40は、プリント基板用検査装置等での検査後は、2層目のショートランド41,46を含めた電子部品と搭載するランドに半田ペーストが塗布される。その後、ランドにセンサ増幅回路等の電子部品がマウントされ、リフローによる半田付けを行う。この過程で、ショートランド41の2つの端子およびショートランド46の2つの端子が、多層プリント基板にプリントされる導体とは別の導体である半田により電気的に接続される。そして、これにより、上側コイルの第一サブコイルと第二サブコイルが直列に接続され、一つのコイルを構成する。また、下側コイルの第一サブコイルと第二サブコイルも直列に接続され、一つのコイルを構成する。
【0023】
次に、電磁誘導型位置センサに用いられるセンサ基板の他の例について図2を参照して説明する。図2は、センサ用基板の構成を示す図である。図2図1と同じ機能のものは、同じ番号を付して説明を省略する。図2の多層プリント基板50は、図1の多層プリント基板40のショートランド41,46をチップ抵抗実装用ランド51,52に置き換えただけであり、その他は全く同じである。多層プリント基板50では、プリント基板用検査装置等での短絡検査後は、チップ抵抗実装用ランド51,52を含めた電子部品と搭載するランドに半田ペーストが塗布され、その後、ランドにセンサ増幅回路等の電子部品がマウントされ、リフローによる半田付けを行う。この過程で、チップ抵抗実装用ランド51,52それぞれには、ゼロオームのチップ抵抗(図示せず)がマウントされ、リフローによる半田付けが行なわれる。そして、これにより、上側コイルの第一サブコイルと第二サブコイルが直列に接続され、一つのコイルを構成する。また、下側コイルの第一サブコイルと第二サブコイルも直列に接続され、一つのコイルを構成する。
【0024】
なお、これまで説明した構成は、一例であり、プリント基板に、互いに絶縁されるとともに、面方向に交互に並ぶ、第一、第二サブコイルを形成した後に、短絡検査を行い、その後に、第一、第二サブコイルを電気的に接続するのであれば、その他の構成は、適宜、構成されてもよい。例えば、本例では、2層構成の多層プリント基板を用いたが、多層プリント基板は、偶数層であれば、より多層であってもよい。また、第一、第二サブコイルを構成する導体パターンの個数は、適宜、変更されてもよい。また、第一、第二サブコイルを最終的に電気的に接続する部材は、基板にプリントされた導体以外の導体であれば、半田やゼロオームのチップ抵抗に限らず、他の部材、例えば、金ワイヤボンドなどでもよい。
【符号の説明】
【0025】
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,31,32,33,34,36,37,38,39,44,49 スルーホール、11,12,13,14,16,17,18,19,21,22,23,24,26,27,28,29 導体パターン、42,43,47,48 配線、41,46 ショートランド、51,52 チップ抵抗実装用ランド、40,50 多層プリント基板。
図1
図2