(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 326C
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2018168014
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆則
【審査官】後藤 孝平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-187597(JP,A)
【文献】特開2001-170298(JP,A)
【文献】特開2013-094197(JP,A)
【文献】特開2012-065793(JP,A)
【文献】特開2015-013065(JP,A)
【文献】特開2020-031856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が視認可能に立体像を表示可能な遊技機であって、
前記立体像の元となる元像を表示する元像表示部と、
前記元像からの光を遊技者側に伝達する経路である光路と、
前記光路を形成あるいは遮断するために開閉動作を行う開閉部材と、を備え、
該開閉部材が開くと前記光路が形成されて前記立体像が表示され、該開閉部材が閉じると前記光路が遮断されて前記立体像が表示されなくな
り、
前記開閉部材は、遊技の結果を示す遊技領域を取り囲む枠体に設けられ、
該開閉部材は、前記枠体の外表面の一部をなす外表面を有していると共に、光の進行方向を変える光学部材を内表面に有しており、該開閉部材が開いたとき、遊技者側に向かう光路を形成するように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
平面画像を表示する平面表示部と、
該平面表示部による表示、前記元像表示部による表示、及び前記開閉部材のうちの少なくともいずれかを制御する演出制御部と、を備え、
該演出制御部は、前記立体像と前記平面画像との間に関連性が生じるように、前記平面表示部、前記元像表示部、及び前記開閉部材のうちの少なくともいずれかを制御するように構成されている請求項
1に記載の遊技機。
【請求項3】
焦点距離fで光を集める集光部を含み、
前記元像表示部は、前記光路における前記集光部との間隔である距離dが焦点距離fよりも大きくなるように該集光部と対面していることを特徴とする請求項1
または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記元像表示部及び前記集光部のうちの少なくともいずれか一方を前記光路に沿って変位させることにより前記距離dを変化させる機構を備え、該距離dの変化に応じて前記立体像の大きさを変化させることが可能である請求項
3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機では遊技者の遊技への注目度を高くするために様々な演出を実行している。例えば下記の特許文献1には、右目用画像と左目用画像とを元画像として表示する液晶表示パネルの手前側に、視差バリア画像を表示する液晶表示パネルを配置することで、右目用画像と左目用画像に基づく立体像を仮想表示する遊技機が記載されている。この遊技機は、仮想表示技術を用いて立体感のある演出を実行することで、遊技者の遊技に対する注目度を高めようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技機が備える表示エリアにおいて平面像に替えて立体像を表示するのみでは、遊技者の注目度を十分に向上できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、斬新な態様で立体像を表示可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、遊技者が視認可能に立体像を表示する遊技機である。この遊技機は、元像からの光を遊技者側に伝達する経路である光路を形成あるいは遮断するために開閉動作を行う開閉部材を備えている。この開閉部材が開くと光路が形成されて前記立体像が表示され、この開閉部材が閉じると光路が遮断されて立体像が表示されなくなる。
【0007】
このように本発明の遊技機は、開閉部材が開くと立体像が表示されるという斬新な態様で立体像を表示可能であり、これにより遊技者の注目度を向上できる優れた特性の遊技機である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1における、パチンコ遊技機の正面図。
【
図2】実施例1における、パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図。
【
図3】実施例1における、立体表示ユニットの斜視図。
【
図4】実施例1における、立体表示ユニットの断面構造を示す断面図(
図3中のA-A線矢視断面図)。
【
図5】実施例1における、立体像が表示される光学的原理の説明図。
【
図7】実施例1における、特定リーチ演出の説明図。
【
図8】実施例2における、立体表示ユニットの斜視図。
【
図9】実施例2における、立体表示ユニットの断面構造を示す断面図(
図8中のA-A線矢視断面図)。
【
図10】実施例2における、特定リーチ演出の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技者が視認可能に立体像560を表示可能なパチンコ遊技機(遊技機)1に関する例である。この内容について、
図1~
図7を用いて説明する。
【0010】
図1に例示のパチンコ遊技機1は、大当たり抽選に当選したとき大当たり状態を発生させる遊技機である。このパチンコ遊技機1では、始動口12への入賞(始動入賞)に応じて大当たり状態(特別遊技状態)の抽選(大当たり抽選、特図判定)が実行され、抽選結果を表す図柄変動が実行される、いわゆるセブン機である。このパチンコ遊技機1では、大当たり状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、特図判定の当選確率が高くなる確率変動状態(確変状態)、大当たり図柄の変動時間が短くなる時短状態等が設定されている。
【0011】
パチンコ遊技機1は、台枠1Bに取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤130Aの表面に略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の右側下部にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には上皿135及び下皿137が遊技者側に張り出すように設けられている。上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れて玉を貯留する受け皿である。下皿137は、上皿135の収容限度を超える玉を受け入れる皿である。上皿135の右下には、上皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
【0012】
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠1Bに固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139が設けられ、透明窓139の上部を取り囲むように庇状をなして遊技者側に張り出す張出部170が設けられている。この張出部170は、遊技の結果を示す遊技領域130を取り囲む枠体の一部を構成している。張出部170の正面のうち透明窓139の両側に当たる箇所には、装飾ランプ部136が設けられている。張出部170の上面は、遊技者側に向かって垂れる傾斜面をなし、その中央には、立体表示のための開閉蓋530が設けられている。なお、開閉部材の一例をなすこの開閉蓋530を含む立体表示ユニット5については、後で詳しく説明する。
【0013】
遊技領域130は、遊技媒体である玉が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する表示装置19を中心として、始動口12、通過ゲート14、大入賞口160等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するための玉排出口138が開口している。始動口12及び大入賞口160は、表示装置19の下側の領域において、始動口12を上にして上下二段で配置されている。通過ゲート14は、遊技者側から見て表示装置19の左側に配置されている。
【0014】
始動口12は、遊技領域130を流下する玉が入賞可能な入賞部であって、大当たり抽選である特図判定の契機となる入賞部である。始動口12に玉が入賞すると、特図判定の抽選用乱数が抽出され大当たり状態を発生させるか否かの特図判定が実行される。始動口12には、一対の可動羽根を備える電動チューリップ121が設けられている。電動チューリップ121が開放すれば、玉が始動口12に誘導されて入賞率が格段に高くなる。なお、始動口12への玉の入賞に応じた玉の払出数は3玉となっている。
【0015】
大入賞口160は、大当たり状態下で開放状態となるアタッカーとも呼ばれる可変入賞装置である。横長の大入賞口160には、開閉可能な蓋部材161が設けられている。大入賞口160は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置したとき、閉鎖状態となる。蓋部材161が手前側に回動すると開放状態となる。大入賞口160が開放すると、玉を導くための受け皿として蓋部材161が機能し、高い入賞率が実現される。なお、大入賞口160に入賞したときの玉の払出は15玉となっている。
【0016】
通過ゲート14は、玉を通過させるのみで賞球の払い出しが設定されていない役物である。通過ゲート14を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)の抽選用乱数が抽出されて普図判定が実行される。この普図判定は、始動口12の電動チューリップ121を開放させるか否かの抽選であり、普図当選(普図判定の当選)に応じて電動チューリップ121が開放される。普図の当選確率は、通常状態で1/30、確変状態を含め時短状態で1/1に設定されている。なお、電動チューリップ121の開放時間は、遊技状態に応じて相違し、通常状態では0.2秒×1回、時短状態及び確変状態の状態では1.5秒×3回となっている。
【0017】
表示装置19(
図1)は、枠199の内側に液晶表示部190が配置された装置である。表示装置19は、図柄変動期間の後、3桁の数字図柄(1~9のいずれか)195を停止させて大当たり抽選である特図判定の抽選結果を報知する報知演出のほか、遊技の興趣を高めるための各種の演出画像を表示する。液晶表示部190は、平面画像の一例である演出画像を表示する平面表示部の一例である。
【0018】
液晶表示部190の上側に当たる枠199の前面には、普図表示部192及び普図保留表示部193が配置されている。普図表示部192は、上記の普図判定の当否を○か×で表示する表示部である。普図表示部192は、○の点灯により普図判定の当選(普図当選)を表示し、×の点灯によりハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30秒、時短状態で1秒となっている。普図保留表示部193は、普図保留として記憶(保留)する保留数を表示できるよう、4つのLEDが連設された表示部である。普図保留表示部193は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
【0019】
液晶表示部190の下側に当たる枠199の前面には、4個のLEDが水平方向に配列された特図保留表示部194が配置されている。特図保留表示部194は、始動口12への玉の入賞を契機とした特図保留(保留情報)の表示部である。特図保留表示部194は、4個のLEDのうちの点灯個数により特図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
【0020】
液晶表示部190は、数字図柄195を所定時間に亘って変動表示した後、停止表示された数字図柄195の組合せに応じて大当たり抽選である特図判定の当否を報知する。特図判定の当否としては、大当たり状態の契機となる大当たり(大当たり当選、特図当選)のほか、ハズレがある。
【0021】
大当たりの場合には、所定の図柄変動時間(図柄変動の実行時間)に亘る図柄の変動表示後、ゾロ目の3桁の数字図柄(1~9のいずれか)195が表示される。特に、奇数の数字図柄195のゾロ目は、確変大当たり状態の契機となる確変大当たり図柄となっており、偶数の数字図柄195のゾロ目は、通常大当たり状態の契機となる通常大当たり図柄となっている。
【0022】
なお、液晶表示部190による特図判定結果の報知演出では、左と右で同じ数字図柄195が停止し、中央の図柄の変動表示が継続しているリーチ状態を含むリーチ演出が実行される場合がある。さらに、このリーチ演出の中には、立体像560が表示される特別演出である期待度の高い特定リーチ演出が含まれている。この特定リーチ演出の内容については後で説明する。
【0023】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、
図2を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、玉の払出を制御する払出制御回路33、玉の打込を制御する発射制御回路34、遊技演出を制御する演出制御部35、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ311~313、始動口12の電動チューリップ121を駆動する電チューソレノイド321、大入賞口160を開放させる大入賞口ソレノイド324、外部に各種信号を出力する信号出力部38、電力供給のための電源回路328、普図表示部182、普図保留表示部183、特図保留表示部194等が電気的に接続されている。
【0024】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、始動口12への入賞玉を検出する特図始動センサ311、通過ゲート14の通過玉を検出する普図始動センサ312、及び大入賞口160への入賞玉を検出する大入賞センサ313がある。特図始動センサ311は、始動口12に入賞した玉を検出できるように取り付けられている。大入賞センサ313は、大入賞口160に流入した入賞玉を検出できるように取り付けられている。
【0025】
払出制御回路33は、始動口12あるいは大入賞口160への玉の入賞が発生したとき、玉を払い出す払出手段の一例である払出装置331を制御し、所定数の玉の払出により入賞に対して特典を付与する。
発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作量に応じて、上皿135の玉を発射する発射手段の一例である発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0026】
演出制御部35は、遊技演出動作を制御するための副制御部としての機能を有し、後述する主回路20と同様、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含んで構成されている。演出制御部35には、スピーカ131を駆動するアンプ351や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、表示制御回路36が通信可能に接続されている。表示制御回路36には、液晶表示部190のほか、立体表示ユニット5を構成する後述する小型の液晶表示ユニット51や、同様の開閉蓋530を開閉駆動する駆動モータ531等が接続されている。
【0027】
演出制御手段の一例である演出制御部35は、液晶表示部(平面表示部)190による表示、後述の液晶表示ユニット(元像表示部)51による表示、及び開閉蓋(開閉部材)530のうちの少なくともいずれかを制御する。演出制御部35は、立体像560と、液晶表示部190による平面画像との間に関連性が生じるように、液晶表示部190、液晶表示ユニット51、及び開閉蓋530のうちの少なくともいずれかを制御する。
【0028】
演出制御部35のROMは、CPUに実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、特図判定の当否を報知するための報知演出の種類を決定するための演出抽選テーブルを記憶している。演出抽選テーブルは、上記の特定リーチ演出を含む各種の演出の当選乱数が規定された抽選テーブルである。演出制御部35は、立体像560の表示を含む特定リーチ演出を実行するか否か、及び実行する演出の種類等を抽選により決定する演出抽選手段としての機能を備えている。
【0029】
図2に示す主回路20は、CPU21、記憶素子であるROM22・RAM24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0030】
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない特図判定用の抽選テーブル及び普図判定用の抽選テーブルを記憶している。
特図判定用の抽選テーブルでは、通常状態及び時短状態での特図当選の当選乱数と、確変状態での特図当選の当選乱数と、が規定されている。確変状態での特図当選の当選乱数の数は、通常状態等での特図当選の当選乱数よりも多く設定され、これにより、確変状態における特図当選の確率が1/60となり、通常状態及び時短状態の当選確率1/300よりも高くなっている。なお、特図当選の当選乱数の振分割合は、確変大当たりが50%、通常大当たりが50%となっている。
【0031】
普図判定用の抽選テーブルでは、通常状態での普図当選の当選乱数と、時短状態及び確変状態での普図当選の当選乱数と、が規定されている。通常状態での普図当選の当選乱数の数よりも、時短状態等での普図当選の当選乱数の方が多く設定され、通常状態での普図当選1/30に対して、時短状態及び確変状態での普図当選の当選確率が1/1となっている。
【0032】
RAM24は、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、特図保留エリア241、普図保留エリア243、及び各1データ分の特図読出エリア245、普図読出エリア246が割り当てられている。RAM24は、始動口12への始動入賞に応じた特図判定の抽選結果を記憶する後述の記憶手段としての機能を備えている。
【0033】
特図保留エリア241は、特図判定の当否を表す保留乱数の記憶領域である。普図保留エリア243は、普図判定の保留乱数の記憶領域である。特図保留エリア241、普図保留エリア243には、それぞれ4データ分の保留エリアが設定されている。
【0034】
主回路20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の各機能を実現している。
(1)抽選手段:予め定められた抽選条件が成立した場合に、大当たり状態を発生させるか否かの抽選処理である特図判定(大当たり抽選)を実行する手段。抽選手段は、始動口12への玉の入賞という抽選条件が成立したとき、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで、遊技者に有利な大当たり状態を発生させるか否かの特図判定を実行する。
(2)記憶手段:特図判定用に抽出された抽選用乱数を保留乱数として記憶する手段。記憶手段は、始動口12への始動入賞に応じた特図判定用の抽選用乱数を上記特図保留エリア241に記憶する。なお、上限である4データ分の保留乱数が保留された状態で対応する抽選用乱数が新たに抽出された場合、記憶手段は、その抽選用乱数を保留することなくそのまま消去する。このような抽選用乱数の保留処理は、普図判定についても同様である。
(3)読出手段:特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数を、特図読出エリア245あるいは普図読出エリア246に読み出す手段。読出手段は、特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数である特図保留あるいは普図保留を1つずつ読み出し、保留数を減少させる。
(4)特典付与手段:特図判定の当否が大当たり状態の発生という特典の付与に対応する特図当選(大当たり)である場合に、大当たり状態の発生という特典を遊技者に付与する手段。
【0035】
次に、
図3及び
図4を用いて立体表示ユニット5について説明する。この立体表示ユニット5は、遊技者の頭上辺りに立体像560を表示するためのパチンコ遊技機1用の演出装置である。立体表示ユニット5は、庇状をなす張出部170の内部空間500を利用して形成されている。立体表示ユニット5は、張出部170の傾斜状の上面に設けられた開閉蓋530が開いたとき、立体像560を表示可能である。
図3は、立体表示ユニット5が形成された張出部170の内部空間500を正面上方から斜めに見込む斜視図である。
図4は、
図3におけるA-A線矢視断面の構造を示す断面図である。
【0036】
この立体表示ユニット5が形成された張出部170の内部空間500は、開閉蓋530により封止可能な開口部506を介して斜め上方に向けて開口している。この内部空間500は、遊技者側に対面する内壁面505と、この内壁面に隣接する底面507と、遊技者側に向けてせり上がるように傾斜して開口部506に連なる傾斜面503と、を含めて形成されている。内壁面505には、表示画面が内部空間500に面する状態で小型の液晶表示ユニット(元像表示部)51が取り付けられている。また、液晶表示ユニット51の表示画面が対面する傾斜面503には、シート状の第1のミラーパネル55が貼り付けられている。
【0037】
開閉蓋530の内側面には、薄いシート状の第2のミラーパネル533が貼り付けられている。開閉部材の一例である開閉蓋530は、枠体の一部である張出部170の外表面の一部をなす外表面を有していると共に、光の進行方向を変える第2のミラーパネル(光学部材)533を内表面に有している。この開閉蓋530が開いたとき、遊技者側に向かう光路590が形成される。
【0038】
内部空間500の開口部506には、フレネルレンズ57が配設されている。フレネルレンズ57は、凸レンズの機能を有し、焦点距離fで光を集める集光部の一例をなす矩形シート状のレンズである。矩形シート状のフレネルレンズ57は、張出部170の先端側に当たる一辺(第1辺という)が回動可能に軸支されている一方、反対側の一辺(第2辺という)が開閉蓋530の内側面に進退可能に係止されている。開閉蓋530が閉じているとき、フレネルレンズ57は、開閉蓋530に沿うような傾斜角を呈する(
図4(b))。開閉蓋530が開くと、第1辺を中心としてフレネルレンズ57が回動して第2辺の側が持ち上がって引き起こされる(
図4(a)参照。)。このようなフレネルレンズ57の回動によってその傾斜角度が変化し、これによりフレネルレンズ57が光路590と直交する状態を実現できる。
【0039】
立体表示ユニット5は、内部空間500をなす内壁面505の液晶表示ユニット51と、内部空間500をなす傾斜面503の第1のミラーパネル55と、開口部506のフレネルレンズ57と、開閉蓋530の内側面の第2のミラーパネル533と、により構成されている。この立体表示ユニット5では、開閉蓋530が開いたとき、液晶表示ユニット51からの光が第1のミラーパネル55によって反射してフレネルレンズ57を通過し、さらに第2のミラーパネル533によって反射されて遊技者側に向けて斜め下方に向かう略クランク状の光路590が形成される(
図4(a))。
【0040】
略クランク状の光路590は、元像からの光を遊技者側に伝達する経路である。開閉蓋530は、光路590を形成あるいは遮断するために開閉動作を行う開閉部材の一例をなしている。開閉蓋(開閉部材)530が開くと光路590が形成されて立体像560が表示され(
図4(a))、開閉蓋530が閉じると光路590が遮断されて立体像560が表示されなくなる(
図4(b))。
【0041】
立体表示ユニット5における液晶表示ユニット51は、立体像560の元となる元像を表示する元像表示部の一例をなしている。元像からの光は、上記の略クランク状の光路590を経由して実像の立体像560を結像する。この略クランク状の光路590では、元像からの光が、第1のミラーパネル55によって反射されてフレネルレンズ57を通過した後、第2のミラーパネル533で反射される。特に、この略クランク状の光路590では、フレネルレンズ57と液晶表示ユニット51の表示画面との距離が、凸レンズの機能を備えるフレネルレンズ57の焦点距離fの2倍に設定されている。
【0042】
ここで、立体表示ユニット5が実現する光学的な機能について
図5を用いて説明する。同図は、遊技者に相当する観者69が凸レンズ61を介して火のついたロウソク62を見込む状況を例示している。ロウソク62と凸レンズ61との距離dが、凸レンズ61の焦点距離fよりも長ければ、観者69の側に実像63が結像する(
図5(a)~(c))。一方、距離dが焦点距離fよりも短いと、観者69とは反対側、すなわちロウソク62の側に虚像が現れる(図示略)。
【0043】
例えば
図5(a)のロウソク62は、凸レンズの焦点距離fの2倍の位置(距離d=2fの位置)に配置されている。このロウソク62の光は、凸レンズ61を通過する際に屈折し、観者69側の焦点距離fの2倍に当たる位置に集められる。これにより観者69は、凸レンズ61の焦点距離fの2倍に当たる位置に結像する実像63を観察できる。この実像63は、ロウソク62の上下が逆さまになっており、実際のロウソク62と等しい大きさの倒立像である。
【0044】
ロウソク62と凸レンズ61との距離dが変化すると、実像63が結像する位置と、実像63の大きさに変化が生じる。
図5(b)のようにf<d<2fの場合、実際のロウソク62よりも大きな実像63が、焦点距離fの2倍よりも離れた位置に結像する。また、
図5(c)のようにd>2fのときは、実際のロウソク62よりも小さい実像63が、焦点距離fの2倍よりも近い位置に結像する。
【0045】
本例で集光部として例示するフレネルレンズ57は、上記のごとく、凸レンズの機能を備えている。そのため、立体表示ユニット5においても、液晶表示ユニット51にて表示した元像とフレネルレンズ57により形成された光路590によって、実像を結像させることができる。本例の立体表示ユニット5の構成は、
図5(a)の構成に対応している。すなわち本例の構成では、元像表示部である液晶表示ユニット51は、光路590におけるフレネルレンズ(集光部)57との間隔である距離dが焦点距離fよりも大きくなるように光路590においてフレネルレンズ57と対面して配置されている。特に、本例の構成では、距離d=2fであるので、
図5(a)と同様、焦点距離fの2倍に当たる位置に、元像と同じ大きさの立体像560(
図1参照。)が現れる。なお、
図5(b)、(c)は、参考例となっている。
【0046】
本例の立体表示ユニット5では、光路590の途中にある第1及び第2のミラーパネル55・533の反射により、遊技者側に向かう略クランク状の光路590を形成できる。これらの部材を配置する位置や角度を調整することにより、遊技者の頭上辺りに立体像560を結像させることができる(
図1参照。)。
【0047】
(パチンコ遊技機の動作)
次に、以上のような構成のパチンコ遊技機1の動作について、遊技の流れに沿って説明する。
パチンコ遊技機1は、操作ハンドル15が右回転方向に操作されたとき、その操作量に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、始動口12等が配置された遊技領域130を流下する。始動口12や大入賞口160等に入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられた玉排出口138から回収される。
【0048】
主回路20は、通過ゲート14を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定用の抽選用乱数を抽出する抽選を実行する。主回路20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブル(図示略)と照合し、普図判定の当否を決定する。普図判定に当選したとき、普図表示部192による図柄変動の後、○が点灯する。ハズレの場合には、図柄変動の後、×が点灯する。普図判定に当選すると、主回路20は、電動チューリップ121を開放し、これにより、始動口12が開放されて入賞確率が高められる。
【0049】
始動口12に玉が流入して始動入賞が発生した場合には、主回路20は、特図判定の抽選用乱数を抽出することで特図判定(大当たり抽選)を実行する。主回路20は、抽出した特図判定用の抽選用乱数を特図保留として記憶する。抽選用乱数は、上限保留数の一例である4個を限度として保留される。保留数が4個となっている場合、始動口12への入賞に応じて抽出された新たな抽選用乱数は特図保留として記憶されることなく消去される。なお、特図保留の個数は、特図保留表示部194のLEDの点灯個数により表示される。
【0050】
主回路20は、液晶表示部190に表示される図柄変動が停止しており、かつ、大当たり状態の発生中でもないとき、特図保留エリア241に記憶された保留乱数を1つずつ読み出し、図示しない特図判定用の抽選テーブルと照合して特図判定の当否を判定する。保留乱数の読み出しに当たっては、記憶時点(入賞時点)が古い保留乱数から順番に1つずつ読み出される。
【0051】
主回路20が特図判定の当否を判定したとき、図柄変動が実行されるように表示装置19が制御される。液晶表示部190の表示エリアでは、演出用の3つの数字図柄195の変動表示がスタートし、その後、演出抽選により決定された報知演出の実行を経て停止表示された3桁の数字図柄195の組み合わせによって特図判定の当否(大当たり抽選の結果)が報知される。
【0052】
このとき、演出抽選によってリーチ演出の実行が決定していれば、左→右→中央の順番で数字図柄195が停止する過程において、左と右で同じ数字図柄195が停止し、中央の図柄が変動表示中というリーチ状態が発生する(
図6(a)参照。)。その後、中央に同じ数字図柄195が停止すれば大当たりとなるので、リーチ演出では遊技者の期待感が高揚される。特図判定の結果が大当たり(特図当選)の場合には、大当たり図柄の停止表示によって大当たりが報知される(
図6(b))。一方、特図当選の結果がハズレの場合には、中央に異なる数字図柄195が停止して、ハズレが確定する(
図6(c))。
【0053】
さらに、演出抽選により特定リーチ演出が決定していれば、リーチ状態に移行した後、図柄変動途中でのシーン切替等により、例えばストーリー性のある動画による演出が開始される。特定リーチ演出としては、ストーリー展開の種類などが異なる複数種類の演出が用意されている。なお、立体表示ユニット5による立体像560の表示を含む特定リーチ演出の内容については、後で詳しく説明する。
【0054】
大当たり状態の契機となる特図当選(大当たり)のとき、液晶表示部190には、ゾロ目の組合せである大当たり図柄(例えば
図6(b)参照。)が停止表示されて特図当選が報知される。なお、確変大当たりが当選した場合の大当たり図柄は奇数のゾロ目であり、通常大当たりの場合の大当たり図柄は偶数のゾロ目である。
【0055】
大当たり図柄の停止表示によって特図当選が報知されると、まず、15秒間に亘ってオープニング演出が実行され、その後、大当たり状態が開始される。大当たり状態では、大入賞口160が開放されて玉が入賞可能になるラウンドが繰り返し実行される。なお、主回路20は、大当たり状態の発生中に、その旨を表す大当たり信号を外部出力する。
【0056】
大当たり状態の実行中に大入賞口160が開放されるラウンドの繰返し回数は、確変大当たり状態であるか通常大当たり状態であるかによらず15回となっている。1回のラウンドは、大入賞口160に玉が10玉入賞するか、30秒経過したときに終了する。ラウンド15回分の平均的な出玉は約1500玉となっている。大当たり状態においてラウンドが15回消化されると、10秒間に亘るエンディング演出が実行されて大当たり状態が終了する。
【0057】
確変大当たり状態の終了後には、特図当選の確率が高くなる確変状態が発生する。この確変状態は、通常大当たり状態に対応する通常大当たり(通常大当たりの特図当選)に応じて終了し、確変大当たり(確変大当たりの特図当選)の場合には、対応する確変大当たり状態の終了後に確変状態が再開されて継続する。通常大当たり状態の終了後には、図柄変動50回転に亘る時短状態が発生し、50回転の図柄変動を消化すると通常状態に復帰する。
【0058】
(特定リーチ演出)
次に、立体表示ユニット5による立体像560の表示を含む特定リーチ演出の演出内容について説明する。
図7に例示する特定リーチ演出は、花火の打ち上げシーンを含む特定リーチ演出である。この特定リーチ演出は、
図7(a)のリーチ状態が発生した後、花火の打ち上げシーンへの切替に応じて開始される(同図(b))。この特定リーチ演出では、液晶表示部190の表示エリアで花火が打ち上がった後、予め用意された2通りの演出パターンのうちのいずれかが実行される。
【0059】
第1の演出パターンは、打ち上げられた花火が展開する演出である。この演出パターンでは、液晶表示部190により花火が表示されると共に、立体表示ユニット5によって遊技者の頭上辺りに一輪の花火の立体像560が表示される(
図7(c))。
第2の演出パターンは、打ち上げられた花火が展開せずに不発となる演出である。この演出パターンでは、液晶表示部190の表示エリアに不発の様子が表示される一方、立体表示ユニット5による立体像560は表示されない(
図7(d))。
【0060】
なお、第1の演出パターン及び第2の演出パターンの実行の際には、予め、立体表示ユニット5の開閉蓋530を開いた状態にすると良い。この場合には、開閉蓋530の動作によって、遊技者の期待感を高揚できる。さらに、第2の演出パターンの実行時にも立体像560を表示することも良い。第2の演出パターンにおいて、例えば、花火に代えて「残念!」の文字等を立体的に表示することも良い。
【0061】
上記の特定リーチ演出における2通りの演出パターンは、大当たり当選の期待値を示唆する演出となっている。花火が展開する演出パターン(
図7(c))は、大当たりの確率が高い(期待値が高い)ことを示唆する演出のパターンである。一方、不発の演出パターン(
図7(d))は、大当たりの確率が低い(期待値が低い)ことを示唆する演出のパターンである。どちらの演出パターンも、特定リーチ演出の終了に応じて図柄変動表示に復帰し、その後、停止表示された数字図柄195の組み合わせにより特図判定の当否が報知される。
【0062】
花火が展開する演出パターン(
図7(c))が現れた場合には、その後、
図7(e)のように大当たり図柄が停止表示される期待度が高く、不発の演出パターン(
図7(d))が現れた場合には、その後、
図7(f)のハズレ図柄が停止表示される可能性が高いということになる。ただし、特定リーチ演出の演出パターンが
図7(c)及び(d)のうちのいずれであるかに応じて特図判定結果が確定する訳ではない。花火が展開する特定リーチ演出が実行された場合であってもその後、ハズレが報知される場合が設けられている。同様に、不発の特定リーチ演出についてもその後、大当たりが報知される場合が設定されている。
【0063】
以上のように、本例のパチンコ遊技機1によれば、遊技台の上部に設けられた庇状の張出部170の開閉蓋530が開き、遊技者の頭上辺りに立体像560が表示されるという斬新な演出が可能である。表示装置などが設けられていない空間に立体像560を表示すれば、遊技者の意表を突くことができ、高い演出効果を期待できる。さらに、このパチンコ遊技機1が備える立体表示ユニット5では、通常、開閉蓋530が閉まっているので、遊技者にとっては、立体表示機能を具備しない通常の遊技機と同じように見える。遊技者が通常のタイプと認識して遊技していたパチンコ遊技機1が、突然、開閉蓋530を開けて立体像560を遊技者の頭上辺りに表示すれば、遊技者の想定を超える演出となり、遊技者を楽しませることができる。
【0064】
パチンコ遊技機1は、開閉部材の一例である開閉蓋530が開くと立体像560が現れるという斬新な態様で立体像560を表示可能な遊技機である。パチンコ遊技機1によれば、このように立体像560を表示することで、遊技者の注目度を向上できる優れた特性の遊技機である。このパチンコ遊技機1では、遊技者の頭上辺りに突然、表示エリアが出現して立体像560が表示されるという遊技者の意表を突く演出が可能であり、長い期間に亘って遊技者を楽しませることができる。
【0065】
特に、本例のパチンコ遊技機1では、開閉部材の一例である開閉蓋530が、遊技の結果を示す遊技領域130を取り囲む枠体の一部をなす張出部170に設けられている。遊技領域130を取り囲むように形成された張出部170に開閉蓋530を設ける場合、遊技領域130に意識を集中している遊技者が開閉蓋530の動作に気付き難くなる。このような遊技者にとっては、突然、立体像560が頭上辺りに出現するように感じられ、立体像560の表示演出が意表を突く斬新な演出となり得る。
【0066】
このパチンコ遊技機1が備える立体表示ユニット5は、元像表示部の一例である液晶表示ユニット51に対して集光部の一例であるフレネルレンズ57を対面させるという極めて簡単な構成によって立体的な表示が可能な表示装置である。この立体表示ユニット5によれば、上記の簡単な構成によって立体的な表示が可能であり、低コストで立体像560の表示を実現できる。そして、この立体表示ユニット5が組み込まれたパチンコ遊技機1は、コスト上昇を抑えながら立体表示を可能とした価格競争力の高い遊技機となっている。
【0067】
特に、立体表示ユニット5は、立体像560を光学的に結像させる原理のため、立体像560を視認する際の遊技者の視線方向の変動に対して、立体像560の見え方や位置の変動が少ないという利点を備えている。立体表示ユニット5の原理は、例えば右目用画像と左目用画像とを表示する液晶表示パネルの手前側に、視差バリア画像を表示する液晶表示パネルや、レンチキュラーレンズ等を配置し、立体像を仮想的に知覚させる構成とは原理が異なっている。そのため、本例の立体像560は、遊技者の視線の方向が変動しても揺らぎ等が生じるおそれが少ない。本例の立体表示ユニット5では、立体像560を見て遊技者が目を回してしまったり、船酔いのような不快感を遊技者側に誘発するおそれが少なくなっている。
【0068】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、パチンコ遊技機1について例示したが、その他の遊技機に適用しても良い。例えば玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機や、メダルを消費して抽選を行うことでゲームが進行するスロットマシンや、得点を消費して抽選を行うことでゲームが進行するクレジット式スロットマシン等が考えられる。
【0069】
立体像560を表示する位置として、本例の構成では、遊技領域130の上方であって、遊技者の頭上辺りの位置を例示している。立体像560の表示位置は、本例の構成には限定されない。遊技領域130の右方であっても、左方であっても、下方であっても良い。表示装置19の液晶表示部190による表示エリアに重ねて立体像560を表示することも良い。このとき、表示装置19による表示内容に連動して立体像560を表示することも良い。
【0070】
さらに例えば、遊技台の左右あるいは上下に一対の立体表示ユニット5を設けることも良い。この場合には、上側の立体像と、下側の立体像と、を連動させることが可能になる。例えば、下方の立体像により花火が打ち上がる様子を表示した後、所定期間の間を置いて、上方の立体像により展開する花火の立体像を表示することも良い。さらに、上記の所定期間において、表示装置19により中間的なシーンを表示することも良い。
【0071】
本例では、開閉蓋530の内側面に第2のミラーパネル533を設けることで、開閉蓋530が開いたとき、遊技者側に向かう光路590が形成されるように構成している。開閉蓋530が開いたとき、立体像を表示するための遊技者側に向かう光路を形成できれば、第2のミラーパネル533を保持していない単なる開閉蓋であっても良い。
【0072】
本例では、立体像560を表示するために凸レンズとしてのフレネルレンズ57を利用したが、立体像を表示する方法は、凸レンズを利用して立体像を結像させる方法に限らず、他の方法であっても良い。直交反射板や、再帰反射板等を利用して立体像を結像させる方法であっても良い。左目用画像と右目用画像とを利用して像を立体的に知覚させる方法であっても良い。
【0073】
(実施例2)
本例は、実施例1のパチンコ遊技機1に基づいて、立体像の大きさを変動可能なように立体表示ユニットの構成を変更した例である。この内容について、
図5、
図7及び
図8~
図10を参照して説明する。
【0074】
立体像の大きさを変動させるに当たって、実施例1において
図5を参照して説明した光学的な原理を利用している。すなわち、液晶表示ユニット51が表示する元像と、フレネルレンズ57と、の距離dに応じて、結像する実像の大きさ及び位置が変動するという光学的な原理を利用している。
【0075】
本例の
図8及び
図9の立体表示ユニット5では、張出部170の底面507に取り付けられたスライドレール510を介して、液晶表示ユニット51が前後方向に進退可能に保持されている。液晶表示ユニット51は、光路590の方向に対して垂直をなす姿勢を維持しつつ、光路590の方向に進退可能である。
【0076】
液晶表示ユニット51が光路590の方向に進退すると、光路590中において、液晶表示ユニット51とフレネルレンズ57との距離dが変動する。フレネルレンズ57の焦点距離fの2倍よりもこの距離dが短くなれば、立体像560の大きさが、液晶表示ユニット51の元像よりも大きくなる(
図5(b)参照。)。このとき、立体像560が結像する位置は、光路590において、フレネルレンズ57から離れる下流側の位置に移動する。一方、この距離dが焦点距離fの2倍よりも長くなると、立体像560の大きさが液晶表示ユニット51の元像よりも小さくなる(
図5(c)参照。)。このとき、立体像560が結像する位置は、光路590において、フレネルレンズ57に近づく上流側の位置に移動する。
【0077】
つまり、本例の立体表示ユニット5は、液晶表示ユニット(元像表示部)51を光路590に沿って変位させることにより距離dを変化させる機構を備え、距離dの変化に応じて立体像560の大きさを変化させることが可能である。なお、これに代えて、あるいは加えて、フレネルレンズ(集光部)57を光路590に沿って変位させることにより距離dを変化させる機構を設けることも良い。この場合にも、距離dの変化に応じて立体像560の大きさを変化させることが可能になる。
【0078】
例えば、実施例1で例示した
図7(c)の花火が展開する演出パターンの実行中に、液晶表示ユニット51をフレネルレンズ57側に前進させることも良い。このように液晶表示ユニット51を前進させると、
図10に例示するように、立体像560の花火がどんどん大きくなりながら、遊技者側に迫って来る演出を実現できる(同図(c1)→(c2)の流れ。)。例えば、花火の大きさや、どこまで迫って来るか、によって大当たりの期待度を示唆することも良い。例えば、花火の大きさが
図9(c2)の大きさに達した場合には、同図(c1)の花火の大きさで立体像560の表示が終了した場合よりも、大当たりの期待度が高いと判断できる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0079】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0080】
1 パチンコ遊技機(遊技機)
12 始動口(始動部)
130 遊技領域
160 大入賞口(入賞部)
13 開閉扉
170 張出部(枠体)
19 表示装置
190 液晶表示部(平面表示部)
20 主回路(抽選手段、記憶手段、読出手段、特典付与手段)
35 演出制御部(演出制御手段、演出抽選手段)
5 立体表示ユニット
51 液晶表示ユニット(元像表示部)
510 スライドレール
530 開閉蓋(開閉部材)
533 第2のミラーパネル(光学部材)
55 第1のミラーパネル
57 フレネルレンズ(集光部)
590 光路