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特許7084839車用ブラケット及びワイパモータユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】車用ブラケット及びワイパモータユニット
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20220608BHJP
   B60S 1/04 20060101ALI20220608BHJP
   B60S 1/58 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
B60R11/02 S
B60S1/04 850
B60S1/58 100A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018192716
(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2020059434
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 匡隆
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 健太
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-202707(JP,A)
【文献】特開平11-151989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60S 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウガラスを払拭するためのワイパを駆動するワイパモータが固定されるモータ取付部と、
前記モータ取付部と一体に設けられ、スピーカーが固定されるスピーカー取付部と、
前記モータ取付部と一体に設けられ、前記モータ取付部を車体に固定するための複数の取付脚と、
を板状部材を屈曲して形成し、
前記モータ取付部は、一方向に長く形成され、前記ワイパモータが配置される第1平面部を有し、
前記モータ取付部の長手方向一端から屈曲されて立ち上がる第1壁を有し、
前記第1壁における、前記モータ取付部とは反対側端から前記スピーカー取付部が屈曲延出され、
前記スピーカー取付部は、前記第1平面部と交差するように延在され、前記スピーカーが配置される第2平面部を有し、
前記第1壁における、前記モータ取付部の短手方向一端側から前記複数の取付脚のうちの第1取付脚が屈曲延出されており、
前記第1壁における、前記スピーカー取付部と前記第1取付脚との間に、切り欠き部が形成され、
前記第1壁の前記モータ取付部側に形成され、前記第1壁と前記モータ取付部の前記第1平面部とに跨る第1ビードと、
前記第1壁と前記第1取付脚とに跨るように形成された第2ビードと、
を備えたことを特徴とする車用ブラケット。
【請求項2】
前記モータ取付部の短手方向一側に、前記モータ取付部から屈曲延出された第2壁を有し、
前記第2壁における前記モータ取付部とは反対側端から前記複数の取付脚のうちの第2取付脚が屈曲延出され、
前記モータ取付部の長手方向他端から前記複数の取付脚のうちの第3取付脚が屈曲延出され、
前記第2壁は、前記第1平面部よりも長手方向両側に延出されており、
前記第2壁の長手方向両端に、前記第1取付脚と前記第3取付脚とが結合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車用ブラケット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車用ブラケットと、
前記車用ブラケットに固定される前記ワイパモータと、
を備え、
前記ワイパモータは、
モータ部と、
前記モータ部の回転軸の回転を減速して出力する減速部と、
を備え、
前記モータ取付部は、
前記減速部が載置される前記第1平面部と、
前記モータ部のモータケースと前記モータケースの径方向で対向する第3平面部と、
を備え、
前記第3平面部は、前記第1平面部に対して前記モータ部から離間する方向に段差を介して配置されている
ことを特徴とするワイパモータユニット。
【請求項4】
前記第1平面部に、前記減速部から離間する方向に凹む凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のワイパモータユニット。
【請求項5】
前記第3平面部において、前記モータ取付部の短手方向一側で、かつ、前記モータ取付部の長手方向全体に渡る箇所に第3ビードが形成されている
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のワイパモータユニット。
【請求項6】
前記第3平面部の少なくとも一部に、開口部が形成されている
ことを特徴とする請求項3~請求項5のいずれか1項に記載のワイパモータユニット。
【請求項7】
前記ウインドウガラスは、前記車体の進行方向後方に配置されたリヤウインドウであり、
前記リヤウインドウを支持する前記車体に、前記車用ブラケットが固定されている
ことを特徴とする請求項3~請求項6のいずれか1項に記載のワイパモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車用ブラケット及びワイパモータユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車のリヤウインドウを払拭するワイパを駆動するためのワイパモータがある。ワイパモータは、ブラケットを介して車体に固定されている(例えば、特許文献1参照)。
また、車室の進行方向後方に、スピーカーを備えたものがある。このようなスピーカーの中には、スピーカーの前面をリヤウインドウ側に向け、リヤウインドウに音を反射させて音の指向性を制御するものがある。このようなスピーカーも、ブラケットを介して車体に固定されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2003-512222号公報
【文献】特開昭62-35799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワイパモータやスピーカーをそれぞれ別々のブラケットに固定すると、部品点数が増大するとともに、ワイパモータやスピーカーの配置スペースも増大するという課題があった。
仮に、1つのブラケットにワイパモータやスピーカーを固定したとしても、ワイパモータやスピーカーをそれぞれ所望の向きに配置するのが困難という課題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、部品点数を減少し、省スペースにワイパモータやスピーカーを配置できるとともに、ワイパモータやスピーカーをそれぞれ所望の向きに容易に配置できる車用ブラケット及びワイパモータユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る車用ブラケットは、ウインドウガラスを払拭するためのワイパを駆動するワイパモータが固定されるモータ取付部と、前記モータ取付部と一体に設けられ、スピーカーが固定されるスピーカー取付部と、前記モータ取付部と一体に設けられ、前記モータ取付部を車体に固定するための複数の取付脚と、を板状部材を屈曲して形成し、前記モータ取付部は、一方向に長く形成され、前記ワイパモータが配置される第1平面部を有し、前記モータ取付部の長手方向一端から屈曲されて立ち上がる第1壁を有し、前記第1壁における、前記モータ取付部とは反対側端から前記スピーカー取付部が屈曲延出され、前記スピーカー取付部は、前記第1平面部と交差するように延在され、前記スピーカーが配置される第2平面部を有し、前記第1壁における、前記モータ取付部の短手方向一端側から前記複数の取付脚のうちの第1取付脚が屈曲延出されており、前記第1壁における、前記スピーカー取付部と前記第1取付脚との間に、切り欠き部が形成され、前記第1壁の前記モータ取付部側に形成され、前記第1壁と前記モータ取付部の前記第1平面部とに跨る第1ビードと、前記第1壁と前記第1取付脚とに跨るように形成された第2ビードと、を備えていることを特徴とする。
【0007】
このように構成することで、1つの車用ブラケットにワイパモータとスピーカーとを固定できるので、部品点数を減少できるとともに、省スペースにワイパモータやスピーカーを配置できる。
また、ワイパモータが配置される第1平面部とスピーカーが配置される第2平面部とが交差しているので、ワイパモータやスピーカーをそれぞれ所望の向きに配置できる。
また、第1壁を介してモータ取付部とスピーカー取付部とが接続されており、さらに、車用ブラケットを車体に固定するための取付脚とスピーカー取付部との間に、切欠き部が形成されている。このため、第1平面部に対して第2平面部を屈曲させやすくすることができ、ワイパモータやスピーカーをそれぞれ所望の向きに容易に変更できる。
また、板状部材を屈曲させて、第1壁、モータ取付部、及びスピーカー取付部を形成した場合であっても、第1ビード、及び第2ビードによって車用ブラケットの機械的強度を高めることができる。
【0008】
本発明に係る車用ブラケットは、前記モータ取付部の短手方向一側に、前記モータ取付部から屈曲延出された第2壁を有し、前記第2壁における前記モータ取付部とは反対側端から前記複数の取付脚のうちの第2取付脚が屈曲延出され、前記モータ取付部の長手方向他端から前記複数の取付脚のうちの第3取付脚が屈曲延出され、前記第2壁は、前記第1平面部よりも長手方向両側に延出されており、前記第2壁の長手方向両端に、前記第1取付脚と前記第3取付脚とが結合されていることを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、第1取付脚、第2取付脚、及び第3取付脚を一度に形成することができ、車用ブラケットの成形性を向上できる。また、第2壁を介して第1取付脚、第2取付脚、及び第3取付脚を結合することにより、車用ブラケット全体の機械的強度を高めるこができる。
【0010】
本発明に係るワイパモータユニットは、上記に記載の車用ブラケットと、前記車用ブラケットに固定される前記ワイパモータと、を備え、前記ワイパモータは、モータ部と、前記モータ部の回転軸の回転を減速して出力する減速部と、を備え、前記モータ取付部は、前記減速部が載置される前記第1平面部と、前記モータ部のモータケースと前記モータケースの径方向で対向する第3平面部と、を備え、前記第3平面部は、前記第1平面部に対して前記モータ部から離間する方向に段差を介して配置されていることを特徴とする。
【0011】
ここで、ワイパモータの振動源はモータ部である。このモータ部とモータ取付部(第3平面部)との距離をできる限り確保することにより、モータ取付部にモータ部の振動を伝達しにくくすることができる。
【0012】
本発明に係るワイパモータユニットは、前記第1平面部に、前記減速部から離間する方向に凹む凹部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、第1平面部の機械的強度を高めることができる。また、第1平面部に対する減速部の接触面積を減少させることができる。このため、第1平面部に減速部の振動を伝達しにくくすることができる。
【0014】
本発明に係るワイパモータユニットは、前記第3平面部において、前記モータ取付部の短手方向一側で、かつ、前記モータ取付部の長手方向全体に渡る箇所に第3ビードが形成されていることを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、モータ取付部の機械的強度を高めることができる。また、モータ取付部の機械的強度を高めることにより、ワイパモータとモータ取付部との共振を、より確実に防止することができる。
【0016】
本発明に係るワイパモータユニットは、前記第3平面部の少なくとも一部に、開口部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、モータ取付部にモータ部の振動をより伝達しにくくすることができる。
【0018】
本発明に係るワイパモータユニットは、前記ウインドウガラスは、前記車体の進行方向後方に配置されたリヤウインドウであり、前記リヤウインドウを支持する前記車体に、前記車用ブラケットが固定されていることを特徴とする。
【0019】
このように、リヤウインドウを支持するテールゲートに、ワイパモータユニットを好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1つの車用ブラケットにワイパモータとスピーカーを固定できるので、部品点数を減少できるとともに、省スペースにワイパモータやスピーカーを配置できる。
また、ワイパモータが配置される第1平面部とスピーカーが配置される第2平面部とが交差しているので、ワイパモータやスピーカーをそれぞれ所望の向きに配置できる。
また、第1壁を介してモータ取付部とスピーカー取付部とが接続されており、さらに、車用ブラケットを車体に固定するための取付脚とスピーカー取付部との間に、切欠き部が形成されている。このため、第1平面部に対して第2平面部を屈曲させやすくすることができ、ワイパモータやスピーカーをそれぞれ所望の向きに容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態におけるワイパモータユニットの斜視図である。
図2】本発明の実施形態におけるワイパモータユニットを、モータ部とは反対側からみた平面図である。
図3】本発明の実施形態における車用ブラケットの斜視図である。
図4】本発明の実施形態における車用ブラケットを、スピーカー取付部側からみた斜視図である。
図5】本発明の実施形態におけるワイパモータユニットの車体への取付状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(ワイパモータユニット)
図1は、ワイパモータユニット60の斜視図である。
図1に示すように、ワイパモータユニット60は、車用ブラケット1と、車用ブラケット1に取り付けられたワイパモータ2と、スピーカー3と、を備えている。
【0024】
車用ブラケット1は、板状の金属板にプレス加工等を施して屈曲形成したものであり、車体100(図5参照)に締結固定される。車用ブラケット1は、ワイパモータ2が取り付けられる一方向(図1における左右方向)に長いモータ取付部4と、モータ取付部4の長手方向一端から立ち上がる第1壁5と、第1壁5におけるモータ取付部4とは反対側の先端で、かつモータ取付部4の短手方向一端側から屈曲延出されるスピーカー取付部6と、を主構成としている。
なお、以下の説明では、モータ取付部4の長手方向をX方向、モータ取付部4の短手方向をY方向、X方向、Y方向に直交する方向、つまり、モータ取付部4の厚さ方向をZ方向と称して説明する。
【0025】
(ワイパモータ)
ワイパモータ2は、モータ部7と、モータ部7に連結されている減速部8と、を備えている。モータ部7は、例えばいわゆるブラシ付き直流モータが用いられる。モータ部7は、有底筒状のヨーク9と、ヨーク9内に回転自在に支持されている不図示のアーマチュアと、を備えている。ヨーク9の内周面には、不図示の永久磁石が複数配置されている。ヨーク9の周壁9aは、不図示の永久磁石の磁路となる箇所である。ヨーク9の底部9bには、不図示のアーマチュアを回転自在に支持するための軸受部10が突設されている。不図示のアーマチュアの軸受部10とは反対側端が、減速部8に連結されている。
【0026】
減速部8は、ヨーク9の開口部側に取り付けられている。減速部8は、ケーシング11と、ケーシング11内に収納されている不図示の減速歯車機構と、この減速歯車機構に連結されている出力軸12と、を備えている。不図示の減速歯車機構は、不図示のアーマチュアの回転を減速して出力軸12に伝達する。出力軸12は、モータ部7の軸方向に直交するように延在されており、ケーシング11から突出されている。この突出した箇所に、不図示のワイパアーム等が連結される。
【0027】
(車用ブラケット)
図2は、ワイパモータユニット60を、モータ部7とは反対側からみた平面図である。図3は、ワイパモータ2、及びスピーカー3を取り外した状態の車用ブラケット1の斜視図である。図3の車用ブラケット1の向きは、図1の車用ブラケット1の向きに対応している。図4は、ワイパモータ2、及びスピーカー3を取り外した状態の車用ブラケット1を、スピーカー取付部6側からみた斜視図である。
【0028】
図1図4に示すように、モータ取付部4は、第1壁5とは反対側に向かうに従って漸次短手方向の幅が狭くなるように、若干先細りに形成されている。そして、モータ取付部4は、X方向略中央よりも第1壁5側に第1平面部13を有している。
第1平面部13は、ワイパモータ2の減速部8が配置される面である。第1平面部13の大部分には、減速部8から離間する方向に凹む凹部14が形成されている。この凹部14の周囲に、第1平面部13にケーシング11を締結固定するための貫通孔15が複数(本実施形態では4個)形成されている。これら貫通孔15に、第1平面部13とは反対側の面からボルト16を挿入し、このボルト16をケーシング11に螺合する。これにより、第1平面部13にケーシング11が締結固定される。第1平面部13にケーシング11が固定された状態では、第1平面部13の法線方向に沿って出力軸12が延在される。
【0029】
また、第1平面部13には、凹部14を挟んで両側に、第1クリップ用孔17と、コネクタ用孔18とが形成されている。第1クリップ用孔17は、ワイパモータ2から延びる不図示のハーネスを車用ブラケット1に固定するための不図示のクリップが取り付けられる。コネクタ用孔18は、減速部8のケーシング11に一体的に設けられたコネクタ19を、第1平面部13とは反対側に露出させるためのものである。
【0030】
また、モータ取付部4は、第1平面部13の第1壁5とは反対側から段差部21を介して屈曲延出された第3平面部22を有している。第3平面部22と第1平面部13とは略平行である。第3平面部22は、第1平面部13よりもワイパモータ2から離間して延在されている。第3平面部22は、ワイパモータ2のモータ部7と、このモータ部7の径方向で対向している。第3平面部22には、ヨーク9の径方向の投影領域に、開口部23が形成されている。開口部23は、ヨーク9の軸方向に沿って長い長円形状に形成されている。
【0031】
また、第3平面部22には、Y方向でスピーカー取付部6とは反対側の端部に、第3ビード24が第3平面部22から突出するように形成されている。第3ビード24は、第3平面部22の一辺(X方向)に沿って、かつ段差部21から後述の第3壁20に跨るように延びている。
さらに、第3平面部22には、開口部23と第3ビード24との間に、第2クリップ用孔26が形成されている。第2クリップ用孔26も、第1クリップ用孔17と同様に、ワイパモータ2から延びる不図示のハーネスを車用ブラケット1に固定するための不図示のクリップが取り付けられる。
【0032】
第3平面部22の段差部21とは反対側端には、第3壁20が屈曲延出されている。第3壁20は、第3平面部22の上方(第1壁5の立ち上がり方向)に向かって斜めに延出されている。第3壁20は、第3平面部22とは反対側の先端に向かうに従って先細りとなるように、第3平面部22の法線方向からみて略三角形状に形成されている。このような第3壁20のX方向略中央に至るまで、第3ビード24が形成されている。
また、第3平面部22と第3壁20との間には、Y方向でスピーカー取付部6側に、第3平面部22と第3壁20とに跨る第7ビード57が形成されている。第7ビードは、第3ビード24と並んで配置されている。
【0033】
第3壁20の第3平面部22とは反対側の先端部には、第3ビード24が形成されている側の一辺から屈曲延出する第3取付脚25が一体成形されている。
第3取付脚25は、車用ブラケット1を車体100(図5参照)に固定するためのものである。第3取付脚25は、厚さ方向からみて略四角形状に形成されている。第3取付脚25の中央には、ダンパ取付孔27が形成されている。ダンパ取付孔27と第3取付脚25の第3壁20とは反対側の先端との間には、これらダンパ取付孔27と第3取付脚25の先端とを連通する受入れ口28が形成されている。受入れ口28は、第3取付脚25の先端に向かうに従って末広がりとなるように形成されている。この受入れ口28を介し、ダンパ取付孔27にゴム製のダンパ29が取り付けられる。
【0034】
このように形成されたモータ取付部4、第3壁20、及び第3取付脚25には、Y方向のスピーカー取付部6側の一辺に、第1壁5の立ち上がり方向とは反対側に向けてリブ35が屈曲延出されている。リブ35は、第3取付脚25の先端からモータ取付部4のX方向中央よりもややスピーカー取付部6側に至る間まで、連続的に形成されている。リブ35は、車用ブラケット1の機械的強度を高めるためのものである。
【0035】
スピーカー取付部6は、第1壁5の先端から第1壁5に対して略直角に屈曲延出されている。また、スピーカー取付部6は、モータ取付部4の第1平面部13と同じ外側の面に、第2平面部34を有している。スピーカー取付部6は、第2平面部34の法線方向と、第1平面部13の法線方向とが交差するように、第1壁5の先端から屈曲延出されている。
【0036】
スピーカー取付部6は、厚さ方向からみて略四角形状に形成されている。スピーカー取付部6の中央の大部分には、厚さ方向からみて略円形のスピーカー取付開口部32が形成されている。スピーカー取付開口部32とスピーカー取付部6の第1壁5とは反対側の角部との間には、これらスピーカー取付開口部32とスピーカー取付部6の角部とを連通する切欠き部33が形成されている。
スピーカー取付部6の周縁には、切欠き部33、及びこの切欠き部33の近傍を除く全体に、第1壁5の立ち上がり方向と同じ方向に向けてリブ36が屈曲延出されている。リブ36は、スピーカー取付部6の機械的強度を高めるためのものである。
【0037】
このようなスピーカー取付部6のスピーカー取付開口部32に、スピーカー3が挿通される。そして、第2平面部34に、スピーカー3が配置される。スピーカー3が配置された状態では、スピーカー3の前面3aが第2平面部34の上方に向いている。また、スピーカー3の前面3aを除く大部分は、スピーカー取付部6の第2平面部34とは反対側に突出している。
【0038】
スピーカー取付部6には、スピーカー取付開口部32を挟んで両側で、かつスピーカー取付部6の角部に対応する位置に、2つの貫通孔43が形成されている。また、スピーカー取付部6の第2平面部34とは反対側の面に、これら貫通孔43に連通するナット44が溶接等により接合されている。
スピーカー3には、各貫通孔43に対応する位置に、ボルト取付部45が設けられている。これらボルト取付部45にボルト46を挿入し、このボルト46を貫通孔43を介してナット44に螺合することにより、スピーカー取付部6にスピーカー3を締結固定する。
【0039】
第1壁5のスピーカー取付部6とは反対側の端部には、第1取付脚37がモータ取付部4とは反対側に向けて、かつX方向に沿って長くなるように屈曲延出されている。また、第1取付脚37は、第1平面部13と同じ外側の面が、第1平面部13の向きと交差し、かつスピーカー取付部6の第2平面部34の向きとは反対側に向くように屈曲延出されている。
【0040】
第1取付脚37は、車用ブラケット1を車体100(図5参照)に固定するためのものである。第1取付脚37の第1壁5の反対の先端側には、ダンパ取付孔38が形成されている。ダンパ取付孔38と第1取付脚37の先端との間には、これらダンパ取付孔38と第1取付脚37の先端とを連通する受入れ口39が形成されている。受入れ口39は、第1取付脚37の先端に向かうに従って末広がりとなるように形成されている。この受入れ口39を介し、ダンパ取付孔38にゴム製のダンパ41が取り付けられる。
【0041】
第1取付脚37のスピーカー取付部6側の一辺には、スピーカー取付部6側に向けてリブ42が屈曲延出されている。
ここで、第1壁5に対し、スピーカー取付部6と第1取付脚37とは、それぞれ第1壁5のY方向両端から別々に延出されている。このため、第1壁5における、スピーカー取付部6と第1取付脚37との間に、切欠き部47が形成された形になる。
【0042】
モータ取付部4(第1平面部13)と第1壁5との間には、これら第1平面部13と第1壁5とに跨る2つの第1ビード31が、第1平面部13側に向かって突出するように形成されている。また、第1壁5と第1取付脚37との間には、これら第1壁5と第1取付脚37とに跨る1つの第2ビード48が、スピーカー取付部6側に向かって突出するように形成されている。さらに、第1壁5には、この第1壁5における第1平面部13の近傍から第1壁5とスピーカー取付部6との接続部に至る間に、Z方向に延びる1つの第4ビード49が、スピーカー取付部6側に向かって突出するように形成されている。
【0043】
このように形成されたモータ取付部4、第1壁5、第3壁20、第3取付脚25、及び第1取付脚37には、Y方向でスピーカー取付部6とは反対側の一辺に、第2壁50が一体成形されている。第2壁50は、第1壁5の立ち上がり方向とは反対側に向けて第2壁50が屈曲延出されている。第2壁50は、第3取付脚25の先端からモータ取付部4、及び第1壁5を介して第1取付脚37の先端に至るまで、連続的に、かつ平坦に形成されている。これにより、第2壁50のX方向両端に、第1取付脚37と第3取付脚25とが結合される。
【0044】
第2壁50の第1平面部13に対応する位置には、第2取付脚51が第2壁50の延出方向に沿って延出されている。第2取付脚51は、車用ブラケット1を車体100(図5参照)に固定するためのものである。第2取付脚51は、第2壁50から離間するに従って先細りとなるように、Y方向からみて略三角形状に形成されている。
第2取付脚51の先端側には、ダンパ取付孔52が形成されている。ダンパ取付孔52と第2取付脚51の先端との間には、これらダンパ取付孔52と第2取付脚51の先端とを連通する受入れ口53が形成されている。受入れ口53は、第2取付脚51の先端に向かうに従って末広がりとなるように形成されている。この受入れ口53を介し、ダンパ取付孔52にゴム製のダンパ54が取り付けられる。
【0045】
第2取付脚51のX方向略中央には、Z方向に沿って延びる第5ビード55がモータ取付部4側に向かって突出形成されている。第5ビード55は、第2取付脚51のダンパ取付孔52のやや手前から第2壁50を介し、モータ取付部4の第2壁50寄りに至る間に延在されている。また、第2壁50、及び第2取付脚51には、第5ビード55よりも第3壁20側に、第6ビード56がモータ取付部4側に向かって突出形成されている。第6ビード56は、第2取付脚51の一辺に沿うように、Z方向に対して斜めに延在されている。
【0046】
次に、図5に基づいて、ワイパモータユニット60の車体100への取付状態について説明する。
図5は、ワイパモータユニット60の車体100への取付状態を示す説明図である。図5において、上下方向は、重力方向上下方向と一致している。また、紙面手前、奥方向は、車幅方向と一致している。
図5に示すように、ワイパモータユニット60の車用ブラケット1は、車体100の進行方向後方で、かつリヤウインドウ101の真下近傍に配置される。車用ブラケット1は、各ダンパ29,41,54に第1平面部13とは反対側からそれぞれボルト58を挿入し、これらボルト58を車体100に螺合する。これにより、車体100に車用ブラケット1が締結固定される。
【0047】
車体100に車用ブラケット1を締結固定した状態では、第1平面部13は、リヤウインドウ101側を向いている。そして、車用ブラケット1に締結固定されたワイパモータ2の出力軸12の先端が、車体100及びリヤウインドウ101から外部に向けて突出される。この突出した出力軸12の先端に、不図示のワイパアーム等が連結される。
【0048】
一方、車体100に車用ブラケット1を締結固定した状態では、第2平面部34は、第1平面部13よりも天井側を向いている。つまり、車用ブラケット1に締結固定されたスピーカー3は、前面3aがリヤウインドウ101側を向きつつ、第1平面部13よりも天井側に向いている。このような構成のもと、スピーカー3から発せられる音は、リヤウインドウ101を介して外部に伝搬されたり、リヤウインドウ101に反射して車室内へ伝搬されたりする。
【0049】
このように、上述の車用ブラケット1は、板状の金属板にプレス加工等を施して屈曲形成したものであり、モータ取付部4と、モータ取付部4のY方向一端から立ち上がる第1壁5と、第1壁5におけるモータ取付部4とは反対側の先端で、かつモータ取付部4の短手方向一端側から屈曲延出されるスピーカー取付部6と、を主構成としている。モータ取付部4は、ワイパモータ2が締結固定される第1平面部13を有している。スピーカー取付部6は、スピーカー3が締結固定される第2平面部34を有している。このため、ワイパモータユニット60は、1つの車用ブラケット1にワイパモータ2とスピーカー3とを固定できるので、部品点数を減少できるとともに、省スペースにワイパモータ2やスピーカー3を配置できる。
【0050】
また、第1平面部13の法線方向と第2平面部34の法線方向とが交差している。このため、ワイパモータ2やスピーカー3をそれぞれ所望の向きに配置できる。
また、第1壁5には、第1取付脚37が屈曲延出されている。第1壁5における、スピーカー取付部6と第1取付脚37との間に、切欠き部47が形成されている。このため、第1平面部13に対して第2平面部34を屈曲させやすくすることができ、ワイパモータ2やスピーカー3をそれぞれ所望の向きに容易に変更できる。
【0051】
また、モータ取付部4(第1平面部13)と第1壁5との間には、これら第1平面部13と第1壁5とに跨る2つの第1ビード31が、第1平面部13側に向かって突出するように形成されている。また、第1壁5と第1取付脚37との間には、これら第1壁5と第1取付脚37とに跨る1つの第2ビード48が、スピーカー取付部6側に向かって突出するように形成されている。
このため、板状部材を屈曲させて、第1壁5、モータ取付部4、及びスピーカー取付部6を形成した場合であっても、第1ビード31、及び第2ビード48によって車用ブラケット1の機械的強度を高めることができる。さらに、第1ビード31と第2ビード48とがアンバランスに配置されているので、ワイパモータ2と車用ブラケット1との共振位置をずらすことができ、ワイパモータ2の駆動時の振動や騒音を低減できる。
【0052】
モータ取付部4、第1壁5、第3壁20、第3取付脚25、及び第1取付脚37には、Y方向でスピーカー取付部6とは反対側の一辺に、第1壁5の立ち上がり方向とは反対側に向けて第2壁50が屈曲延出されている。第2壁50は、第3取付脚25の先端からモータ取付部4、及び第1壁5を介して第1取付脚37の先端に至るまで、連続的に、かつ平坦に形成されている。そして、第2壁50に、第2取付脚51が第2壁50の延出方向に沿って延出されている。このため、車用ブラケット1を形成する際、第1取付脚37、第2取付脚51、及び第3取付脚25を一度に形成することができ、車用ブラケット1の成形性を向上できる。また、第2壁50を介して第1取付脚37、第2取付脚51、及び第3取付脚25を結合することにより、車用ブラケット1月全体の機械的強度を高めるこができる。
【0053】
また、モータ取付部4は、第1平面部13の第1壁5とは反対側から段差部21を介して屈曲延出された第3平面部22を有している。第3平面部22は、第1平面部13よりもワイパモータ2から離間して延在されている。このため、ワイパモータ2の振動源であるモータ部7とモータ取付部4(第3平面部22)との距離をできる限り確保することにより、モータ取付部4にモータ部7の振動を伝達しにくくすることができる。
さらに、第3平面部22には、ヨーク9の径方向の投影領域に、開口部23が形成されている。開口部23は、ヨーク9の軸方向に沿って長い長円形状に形成されている。このため、第3平面部22にモータ部7の振動をより伝達しにくくすることができる。
【0054】
また、第1平面部13の大部分には、減速部8から離間する方向に凹む凹部14が形成されている。このため、第1平面部13の機械的強度を高めることができる。
さらに、第1平面部13に対する減速部8の接触面積を減少させることができる。このため、第1平面部13に減速部8の振動を伝達しにくくすることができる。
【0055】
また、第3平面部22には、Y方向でスピーカー取付部6とは反対側の端部に、第3ビード24が第3平面部22から突出するように形成されている。第3ビード24は、第3平面部22の一辺(X方向)に沿って、かつ段差部21から後述の第3壁20に跨るように延びている。このため、第3ビード24によって、モータ取付部4の機械的強度を高めることができる。また、モータ取付部4の機械的強度を高めることにより、ワイパモータ2とモータ取付部4との共振を、より確実に防止することができる。
【0056】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、車用ブラケット1は、車体100の進行方向後方で、かつリヤウインドウ101の真下近傍に配置される場合について説明した。しかしながら、リヤウインドウ101の近傍に限られるものではなく、さまざまなウインドウの近傍に配置することが可能である。
【0057】
また、上述の実施形態では、第1平面部13の大部分には、減速部8から離間する方向に凹む凹部14が形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第1平面部13に凹部14を形成しなくてもよい。このような場合であっても、第3平面部22がモータ部7から離間しているので、車用ブラケット1にワイパモータ2の振動を伝達しにくくすることができる。
また、上述の実施形態では、第3平面部22には、ヨーク9の径方向の投影領域に、開口部23が形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第3平面部22の少なくとも一部に、開口部23が形成されていればよい。開口部23を形成することで、第3平面部22にモータ部7の振動を伝達しにくくすることができる。
【0058】
また、上述の実施形態では、モータ部7は、いわゆるブラシ付き直流モータが用いられる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータ部7は、いわゆるブラシレスモータが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…車用ブラケット、2…ワイパモータ、3…スピーカー、4…モータ取付部、5…第1壁、6…スピーカー取付部、7…モータ部、8…減速部、13…第1平面部、14…凹部、21…段差部(段差)、22…第3平面部、23…開口部、24…第3ビード、25…第3取付脚、31…第1ビード、34…第2平面部、37…第1取付脚、47…切欠き部、48…第2ビード、50…第2壁、51…第2取付脚、60…ワイパモータユニット、100…車体、101…リヤウインドウ
図1
図2
図3
図4
図5