(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】加工区画シャッタ装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/08 20060101AFI20220608BHJP
B23Q 7/00 20060101ALN20220608BHJP
【FI】
B23Q11/08 B
B23Q11/08 Z
B23Q7/00 H
(21)【出願番号】P 2018195507
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友泰
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-116940(JP,A)
【文献】実開昭51-137779(JP,U)
【文献】米国特許第6332526(US,B1)
【文献】特開2012-223876(JP,A)
【文献】実開平4-86137(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/08
B23Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の加工区画の出入口に沿って昇降可能なドアパネルと、前記ドアパネルの下端部に形成された開口部と、前記開口部を覆う補助カバーと、を有し、
前記補助カバーは、前記ドアパネルから前記加工区画に延びる一対の側面パネルと、前記側面パネルの間に配置されて前記側面パネルの上縁に沿って延びる上面パネルと、前記側面パネルの間に配置されて前記ドアパネルから離れた端縁に沿って延びる前面パネルと、を有し、
前記上面パネルは、前記ドアパネルに近い上面パネル基端部を前記側面パネルに対して水平な軸まわりに回動自在に支持され、前記ドアパネルから離れた上面パネル先端部が前記上面パネル基端部より低い位置で上下に変位可能であり、
前記前面パネルは、下端にある前面パネル基端部を前記側面パネルに対して水平な軸まわりに回動自在に支持され、上端にある前面パネル先端部が前記前面パネル基端部よりも前記ドアパネルに近い位置で前記ドアパネルに近接離隔するように変位可能とされ、かつ、前記前面パネル先端部が前記上面パネルの下側の表面に摺動自在に当接されていることを特徴とする加工区画シャッタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加工区画シャッタ装置において、
前記前面パネル先端部が前記ドアパネルに近接する向きの前記前面パネルの回動を所定角度位置に規制するストッパを有することを特徴とする加工区画シャッタ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の加工区画シャッタ装置において、
前記前面パネル先端部が前記ドアパネルに近接する向きに前記前面パネルを付勢する付勢手段を有することを特徴とする加工区画シャッタ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加工区画シャッタ装置において、
前記前面パネル先端部に設置されて前記上面パネルの表面に対する摺動抵抗を緩和するスライダを有することを特徴とする加工区画シャッタ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の加工区画シャッタ装置において、
前記上面パネル先端部に設置されて前記前面パネルの表面に対する衝突時の衝撃音を緩和するクッションを有することを特徴とする加工区画シャッタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動パレット交換装置を有する工作機械の加工区画シャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動パレット交換装置を有する工作機械においては、主軸に臨む加工区画に隣接して準備区画を設置し、各々の間で複数のパレットを搬送可能である。そして、複数のパレットの一つに載置されたワークに対して加工を行うと同時に、別のパレットにワークを載置する準備作業(段取り作業)を並行して行うことで、作業の効率化が図られている。
工作機械の加工区画には、ワークの加工時にチップやクーラントが周囲に飛散することを防止するため、加工区画を囲むスプラッシュガードカバー等が設置される。このようなガードカバーの準備区画に臨む出入口には、開閉式の加工区画シャッタが設置される(特許文献1参照)。
【0003】
加工区画シャッタを有する工作機械では、シャッタを開くことで、加工区画と準備区画との間でパレットを入れ替えることができる。一方、シャッタを閉じることで、加工区画から飛散するチップやクーラントを遮断でき、これらから準備区画のパレットやワークを保護することができる。
加工区画シャッタには、床面のレールを必要としない昇降式のパネルドアが好適である。昇降式の加工区画シャッタでは、上方へ引き上げることで出入口が開通状態とされ、下方へ降ろすことで出入口が閉鎖状態とされる。昇降式の加工区画シャッタにおいて、高さが必要なときには、上下に複数段が連結された多段式パネルとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加工区画と準備区画とを有する工作機械では、各々の間にパレットの搬送機構が設置される。搬送機構には、ガイドレールやカムフォロワなどの案内要素と、シリンダやチェーンなどの駆動要素との組み合わせが用いられ、これらの搬送機構の各要素の一部は、準備区画から加工区画シャッタが設置された出入口を通り加工区画まで連続して延びる構成とされる。
搬送機構は、連続方向が加工区画シャッタと交差方向となるため、加工区画シャッタが閉鎖状態で搬送機構のガイドレールなどの連続部分と干渉することになる。そこで、加工区画シャッタに、搬送機構のガイドレールなどの連続部分を挿通させる開口部を形成するとともに、同開口部を覆うように、下面側が開放された箱状の補助カバーを設置した工作機械が提案されている。
このような工作機械では、加工区画シャッタが閉鎖状態でも、搬送機構は開口部を通して加工区画まで到達可能である。そして、搬送機構の加工区画内まで延びた延長部分は、補助カバーで覆われて保護される。
【0006】
前述した補助カバー付き加工区画シャッタにおいては、加工区画で飛散されるチップが箱状の補助カバーの上面に堆積し、シャッタを開く際の振動で落下する。シャッタが低い状態でチップが落下しても、周囲に落下する分には問題がない。しかし、シャッタが上昇して高い位置からチップが落下すると、補助カバーで覆っていた搬送機構や、パレットあるいはワークの上など、広範囲にチップが撒き散らされることになる。
このうち、搬送機構のガイドレールに付着したチップは、搬送動作に影響する可能性があり、パレットやワークに付着したチップは、加工品質に影響する可能性がある。従って、これらの好ましくない影響を避けることが求められている。
なお、補助カバーの上に堆積したまま落下しないチップがあると、シャッタが上昇した際にガードカバーの天井との間に挟み込まれ、ガードカバーや補助カバーの破損を招くこともある。従って、補助カバーに堆積するチップを確実に落下させることも求められている。
【0007】
本発明の目的は、補助カバーに堆積したチップが広範囲に撒き散らされることを防止できる加工区画シャッタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加工区画シャッタ装置は、工作機械の加工区画の出入口に沿って昇降可能なドアパネルと、前記ドアパネルの下端部に形成された開口部と、前記開口部を覆う補助カバーと、を有し、前記補助カバーは、前記ドアパネルから前記加工区画に延びる一対の側面パネルと、前記側面パネルの間に配置されて前記側面パネルの上縁に沿って延びる上面パネルと、前記側面パネルの間に配置されて前記ドアパネルから離れた端縁に沿って延びる前面パネルと、を有し、前記上面パネルは、前記ドアパネルに近い上面パネル基端部を前記側面パネルに対して水平な軸まわりに回動自在に支持され、前記ドアパネルから離れた上面パネル先端部が前記上面パネル基端部より低い位置で上下に変位可能であり、前記前面パネルは、下端にある前面パネル基端部を前記側面パネルに対して水平な軸まわりに回動自在に支持され、上端にある前面パネル先端部が前記前面パネル基端部よりも前記ドアパネルに近い位置で前記ドアパネルに近接離隔するように変位可能とされ、かつ、前記前面パネル先端部が前記上面パネルの下側の表面に摺動自在に当接されていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、加工区画の出入口は、加工区画を囲むガードカバーなどに形成され、この出入口を通して搬送装置によるパレットの出し入れが行われる。
本発明では、ドアパネルを下降させることで出入口が閉鎖される。ドアパネルを閉じる際には、搬送装置の延長部分は、ドアパネルの開口部に通され、補助カバーで覆われる。補助カバーでは、ドアパネルの下降に伴って前面パネルが延長部分に近づき、やがて当接して延長部分で前面パネルが押される。延長部分が摺動しつつ押し続けることで、前面パネルはドアパネルから離れた側へ回動し、補助カバーの前面(ドアパネルから離れた側)に起立した状態となる。この回動により、前面パネル先端部は上面パネルに当接して摺動し、前面パネル先端部で持ち上げることで上面パネルが回動し、やがて上面パネルが補助カバーの上面に沿った状態とされる。
この状態では、加工区画での加工に伴うチップが、補助カバーの上面となる上面パネルの上に堆積する。補助カバーで覆われた搬送装置の延長部にはチップの堆積が生じない。
【0010】
加工区画での加工の後、ドアパネルを上昇させることで出入口が開通される。ドアパネルが上昇すると、補助カバーに対して延長部分が下方へ変位し、延長部分が前面パネルを押す位置が下方に移動し、前面パネルはドアパネルに近づくように回動する。そして、前面パネル先端部による上面パネルの支持位置がドアパネル寄りに移動することで、上面パネル先端部が下方へ移動するように上面パネルが回動する。これにより、上面パネルは、上面パネル基端部から上面パネル先端部に向けて(ドアパネルに近い側から離れた側に向けて)下向きに傾斜した状態となる。
上面パネルが傾斜することで、その上に堆積していたチップは滑り落ちる。チップの落下が、延長部分と前面パネルとの当接が外れる時点、つまりドアパネルを開く動作の比較的早い時点で生じるため、補助カバーに堆積したチップを低い位置で排出できる。
従って、本発明によれば、補助カバーに堆積したチップが広範囲に撒き散らされることを防止できる。
【0011】
なお、傾斜状態の上面パネルの傾斜角度は、前面パネル先端部との当接により規定することができる。例えば、前面パネル先端部で上面パネルの下面側を支持することで、上面パネルの回動を規制することができ、これにより上面パネルの傾斜角度を規定してもよい。あるいは、上面パネルの一部に係合する別の部材などを設けて上面パネルの回動を直接規制してもよい。さらに、上面パネルの回動軸に係合機構などを設け、上面パネルの回動を所定角度で規制してもよい。
前面パネルを上面パネルに略連続した傾斜状態に保持することで、上面パネルから滑り落ちるチップを前面パネルで中継し、排出することができる。前面パネルを上面パネルと同様な傾斜状態に保持するために、前面パネルの一部に係合する部材などを設けて回動を規制してもよい。
【0012】
本発明の加工区画シャッタ装置において、前記前面パネル先端部が前記ドアパネルに近接する向きの前記前面パネルの回動を所定角度位置に規制するストッパを有することが好ましい。
【0013】
このような本発明では、ドアパネルが上昇して延長部分が前面パネルから離れた状態でも、前面パネルを所定角度の傾斜状態に保持することができる。これにより、ドアパネルが下降した際に延長部分が前面パネルを押す動作を確実に行うことができる。また、上面パネルから滑り落ちるチップが前面パネルの表面を経由して排出される場合でも、チップが滑り落ちるのに適した傾斜(上面パネルと同様の傾斜)に調整することができる。
なお、ストッパとしては、側面パネルから突起して前面パネルに係合するピンやブロックが利用できるほか、前面パネルの回動軸に形成された噛み合い機構などを利用することができる。
【0014】
本発明の加工区画シャッタ装置において、前記前面パネル先端部が前記ドアパネルに近接する向きに前記前面パネルを付勢する付勢手段を有することが好ましい。
【0015】
このような本発明では、ドアパネルが上昇して延長部分が前面パネルから離れた際に、前面パネルを前面パネル先端部がドアパネルに近接する向きに確実に回動させることができ、上面パネルを下向きに回動させる動作を確実に行うことができる。また、前面パネルの回動を規制するストッパが設けられている場合には、前面パネルを回動させてストッパに規制される角度位置に確実に保持することができる。
なお、付勢手段としては、前面パネルと側面パネルとの間に掛け渡されたコイルばねが利用できるほか、前面パネルの回動軸に巻かれたつるまきばねを利用してもよく、電磁気による非接触の付勢手段などを利用してもよい。
さらに、付勢力の方向(例えばコイルばねの前面パネルからの張力方向)を調整することで、前述したストッパなどがなくても、延長部分から離れた状態の前面パネルを所望の傾斜角度に保持することもできる。
【0016】
本発明の加工区画シャッタ装置において、前記前面パネル先端部に設置されて前記上面パネルの表面に対する摺動抵抗を緩和するスライダを有することが好ましい。
【0017】
このような本発明では、前面パネル先端部がスライダを介して上面パネルに摺動するため、ドアパネルが下降して前面パネルが延長部分で押された際の、あるいはドアパネルが上昇して前面パネルから延長部分が離れる際の、前面パネルの回動に伴う上面パネルの回動を円滑に行うことができる。
なお、スライダとしては、低摩擦性の合成樹脂で形成されたパッドやライナが利用できるほか、上面パネルに転動するローラなどを利用してもよい。
【0018】
本発明の加工区画シャッタ装置において、前記上面パネル先端部に設置されて前記前面パネルの表面に対する衝突時の衝撃音を緩和するクッションを有することが好ましい。
【0019】
このような本発明では、ドアパネルが上昇して前面パネルから延長部分が離れ、前面パネルの回動に伴って上面パネルが回動した際に、上面パネルの上面パネル先端部が前面パネルの表面に衝突した場合でも、衝撃音を緩和することができる。
なお、クッションとしては、合成ゴム製スポンジなど、適宜な弾性および柔軟性を有する弾性材料で形成されたパッドやライナが利用できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、補助カバーに堆積したチップが広範囲に撒き散らされることを防止できる加工区画シャッタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の加工区画シャッタ装置が設置される工作機械の要部を示す斜視図。
【
図2】前記実施形態の閉鎖状態の加工区画シャッタ装置を示す斜視図。
【
図3】前記実施形態の開通状態の加工区画シャッタ装置を示す斜視図。
【
図4】前記実施形態の閉鎖状態の補助カバーを示す斜視図。
【
図5】前記実施形態の開通状態の補助カバーを示す斜視図。
【
図6】前記実施形態の上面パネルの支持部分を示す拡大断面図。
【
図7】前記実施形態の前面パネルの支持部分を示す拡大断面図。
【
図8】前記実施形態の開通状態の上面パネルおよび前面パネルを示す断面図。
【
図9】前記実施形態の途中状態の上面パネルおよび前面パネルを示す断面図。
【
図10】前記実施形態の閉鎖状態の上面パネルおよび前面パネルを示す断面図。
【
図11】前記実施形態のスライダおよびクッションを示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態の加工区画シャッタ装置10が設置される工作機械1の要部が示されている。
図1において、工作機械1は、オートパレットチェンジャを有するマシニングセンタなどであり、ワークの加工を行う加工区画2と、加工準備を行う準備区画3とを有する。準備区画3では、ワークをパレット4に固定する作業等が行われる。加工区画2では、パレット4に固定されたワークに対して主軸に装着された工具による切削加工が行われる。
【0023】
工作機械1には、準備区画3と加工区画2との間でパレット4を搬送するために、搬送装置5が設置されている。また、加工区画2におけるワークの加工時にチップやクーラントが周囲に飛散することを防止するために、加工区画2を囲むスプラッシュガードカバー6が設置されている。
【0024】
スプラッシュガードカバー6の準備区画3と加工区画2とを仕切る部分には、パレット4を通すための出入口6Eが設置される。
出入口6Eには加工区画シャッタ装置10が設置され、パレット4の通過時には出入口6Eを開通させ、加工区画2での加工時には出入口6Eを閉鎖できる。
【0025】
搬送装置5は、準備区画3から出入口6Eを通って加工区画2に達しており、出入口6Eを境に準備区画3に配置された準備区画部分5Aと、加工区画2に設置された加工区画部分5Bとに分割されている。
ただし、準備区画部分5Aは、加工区画部分5Bへのパレット4の引き渡し性を改善するために、一部が出入口6Eより加工区画2に入り込んだ延長部分5Eとされている。
【0026】
図2および
図3には、加工区画シャッタ装置10が示されている。
図2は加工区画シャッタ装置10の閉鎖状態(出入口6Eを閉じた状態)を示す。
図3は加工区画シャッタ装置10の開通状態(出入口6Eを開いた状態)を示す。
【0027】
加工区画シャッタ装置10は、3枚のドアパネル11,12,13を有する。ドアパネル11,12,13は、それぞれ両側をガイドレールで昇降自在に支持されている。最下段のドアパネル11は、図示しない駆動装置で昇降駆動される。
最下段のドアパネル11が最も下降した状態(
図2に示す閉鎖状態)では、3枚のドアパネル11,12,13が順次連なって加工区画シャッタ装置10の高さが最大となり、この状態で出入口6Eが閉鎖される。
最下段のドアパネル11が最も上昇した状態(
図3に示す開通状態)では、3枚のドアパネル11,12,13が互いに重なり合って加工区画シャッタ装置10の高さが最少となり、この状態では出入口6Eの下側部分が開通される。
なお、本実施形態では3枚のドアパネルを用いるが、ドアパネルは4枚以上であってもよく、2枚あるいは1枚だけであってもよい。
【0028】
最下段のドアパネル11には、下縁から上向きに切欠き状の開口部14が形成されている。開口部14は、ドアパネル11が最も下降した閉鎖状態において、搬送装置5の延長部分5Eを挿通可能な形状寸法とされている。
従って、開口部14により延長部分5Eとの干渉が回避でき、出入口6Eに延長部分5Eがあっても加工区画シャッタ装置10を閉鎖状態とすることができる。
【0029】
最下段のドアパネル11には、加工区画2に臨む側に、開口部14を覆う箱状の補助カバー20が設置されている。
補助カバー20は、箱状の下面側が開放されている。このため、ドアパネル11を下端位置まで移動させた際には、搬送装置5の延長部分5Eを補助カバー20の内部に導入可能である(後述する
図4参照)。
従って、補助カバー20により開口部14を覆うことで、延長部分5Eとの干渉を回避しつつ、開口部14を通してのチップの漏れ出しを防止できる。
【0030】
ドアパネル11の下端縁および補助カバー20の下端縁には、柔軟なゴムシートなどを用いたフラップ15が設置されている。加工区画シャッタ装置10を下限まで下降させた際、床面との間には多少の隙間が残る。しかし、フラップ15により同隙間を閉じることで、チップの漏れ出しを防止することができる。
【0031】
図4および
図5には、補助カバー20が示されている。
図4は加工区画シャッタ装置10が閉鎖状態にあるときの補助カバー20を示す。
補助カバー20は、最下段のドアパネル11から加工区画2に向けて延びる一対の側面パネル21を有する。
側面パネル21の間には、側面パネル21の上縁に沿って上面パネル30が設置され、側面パネル21のドアパネル11から離れた側の端縁に沿って前面パネル40が設置されている。前面パネル40はドアパネル11の開口部14に対向して配置されている。
上面パネル30に対向する補助カバー20の下面は開放され、下方から延長部分5Eが導入可能である。
【0032】
上面パネル30は、側面パネル21の上縁に沿って延びる板状の部材であり、ドアパネル11に近い側の端部が上面パネル基端部31とされ、遠い側の端部が上面パネル先端部32とされている。
上面パネル30は、上面パネル基端部31を側面パネル21に対して水平な軸まわりに回動自在に支持されている。このために、側面パネル21の間には、ドアパネル11の開口部14の上縁に沿って支持部材33が掛け渡されている。
【0033】
図6に示すように、支持部材33の下面側にはヒンジ34が接続され、ヒンジ34の回動軸を挟んで反対側は上面パネル30の上面に接続されている。
これにより、上面パネル30は、ドアパネル11に近い上面パネル基端部31を中心に回動可能であり、ドアパネル11から離れた上面パネル先端部32が上面パネル基端部31より低い位置で上下に変位可能である。
【0034】
前面パネル40は、側面パネル21のドアパネル11から離れた側の端縁に沿って延びる板状の部材であり、下側の端部が前面パネル基端部41とされ、上側の端部が前面パネル先端部42とされている。
前面パネル40は、前面パネル基端部41を側面パネル21に対して水平な軸まわりに回動自在に支持されている。このために、側面パネル21の間には、ドアパネル11から離れた側の端縁の下端を連結するように支持部材43が掛け渡されている。
【0035】
図7に示すように、支持部材43の表面(補助カバー20の外側でありドアパネル11と離れた側)にはヒンジ44が接続され、ヒンジ44の回動軸を挟んで反対側は前面パネル40の裏面(補助カバー20の内側となる側でありドアパネル11に近い側の面)に接続されている。
これにより、前面パネル40は、上端にある前面パネル先端部42が前面パネル基端部41よりもドアパネル11に近い位置で、ドアパネル11に近接離隔するように変位可能である。
【0036】
図4においては、上面パネル30が側面パネル21の上縁に沿った位置に支持されて補助カバー20の上面を形成し、かつ前面パネル40が側面パネル21のドアパネル11から遠い側縁に沿って支持されて補助カバー20の前面を形成し、これにより補助カバー20は箱型とされて内部に延長部分5Eが収容されていた。
本実施形態では、上面パネル30が上面パネル基端部31を中心に上面パネル先端部32が下方へ変位するように回動し、前面パネル40が前面パネル基端部41を中心に前面パネル先端部42がドアパネル11に近接する方向に回動することで、
図5に示すように上面パネル30および前面パネル40を略一連の傾斜面とすることが可能である。
【0037】
図5は加工区画シャッタ装置10が開通状態にあるときの補助カバー20を示す。
図5において、上面パネル30は、前述した
図4の位置から上面パネル基端部31を中心に上面パネル先端部32が下方へ変位するように回動しており、上面パネル基端部31から上面パネル先端部32に向けて下る傾斜面となる状態で支持されている。
一方、前面パネル40は、前述した
図4の位置から前面パネル基端部41を中心に前面パネル先端部42がドアパネル11に近接する方向に回動しており、前面パネル先端部42から前面パネル基端部41に向けて下る傾斜面となる状態で支持されている。
ここで、前面パネル40は、上面パネル30の下面側で、上面パネル30の傾斜角度と略同じ角度に支持されている。
従って、
図4の状態で上面パネル30の上面にチップが堆積しても、
図5の状態とすることで上面パネル30および前面パネル40からなる傾斜面に沿って落下させることができる。
【0038】
本実施形態の補助カバー20においては、前述した
図4の状態と
図5の状態との切り替えに、加工区画シャッタ装置10の開閉動作(ドアパネル11の昇降)を利用する。
そのために、前面パネル40は、前面パネル先端部42が上面パネル30の下側の表面に摺動自在に当接され、上面パネル30を前面パネル40で支持することで相互の連携がとられ、上面パネル30の回動角度位置が前面パネル40の回動角度位置で規定される構成とされている。
さらに、前面パネル40は、ドアパネル11の昇降に伴う延長部分5Eとの当接ないし摺動により回動角度位置が規定される構成とされている。
【0039】
図8ないし
図10には、延長部分5Eとの当接ないし摺動による前面パネル40および上面パネル30の回動角度位置の変化が示されている。
図8は加工区画シャッタ装置10が開通状態での上面パネル30および前面パネル40を示す。
図9は加工区画シャッタ装置10が開通状態から閉鎖状態へ移行する途中の上面パネル30および前面パネル40を示す。
図10は加工区画シャッタ装置10の閉鎖状態での上面パネル30および前面パネル40を示す。
【0040】
上面パネル30および前面パネル40の動作説明に先立って、各々の動作を補助する構成について説明する。
図8において、加工区画シャッタ装置10の開通状態では、最下段のドアパネル11が上昇した状態にあり、搬送装置5の延長部分5Eは開口部14および補助カバー20から下方へ離脱した状態にある。
前述の通り、前面パネル40は、前面パネル基端部41を中心に回動自在に支持されており、前面パネル先端部42が前面パネル基端部41の上方にある起立状態(
図8の2点鎖線の状態)から、ドアパネル11に近い方向へ回動可能である。
【0041】
側面パネル21の内側面には、ストッパとしての係止ピン51が固定されている。
係止ピン51は、前面パネル40の側縁に係合可能な突起状の部材であり、前面パネル40がドアパネル11に近い方向へ回動した際にこれを係止可能である。
この係止ピン51により、前面パネル40のドアパネル11に近づく方向への回動が、所定の角度位置までに規制される。
【0042】
側面パネル21と前面パネル40の前面パネル先端部42に近い側縁との間には、付勢手段としてのコイルばね52が掛け渡されている。
このコイルばね52により、前面パネル40は、前面パネル先端部42がドアパネル11に近づく方向へ回動するように付勢されている。
その結果、前面パネル40は、他の外力がない限り、コイルばね52によってドアパネル11に近づく方向へ回動し、係止ピン51で係止された傾斜状態(
図8の実線の状態)に保持される。
【0043】
側面パネル21の内側面の前縁近傍には、補助ストッパとしての係止ピン53が固定されている。
係止ピン53は、前面パネル40の側縁に係合可能な突起状の部材であり、前面パネル40がドアパネル11から離れる方向へ回動した際にこれを係止可能である。
この係止ピン53により、前面パネル40がドアパネル11から離れる方向への回動が規制され、前面パネル40が補助カバー20の外側に逸脱することが防止されている。
【0044】
前述の通り、上面パネル30は、上面パネル基端部31を中心に回動自在に支持されており、上面パネル30が略水平で上面パネル先端部32が上面パネル基端部31よりやや下方にある平坦状態(
図8の2点鎖線の状態)から、上面パネル先端部32が下方へ変位した傾斜状態(
図8の実線の状態)まで回動可能である。
【0045】
さらに、前述の通り、上面パネル30の下側の表面には前面パネル先端部42が摺動自在に当接され、上面パネル30が前面パネル40に支持される状態とされ、上面パネル30の回動角度位置が前面パネル40の回動角度位置で規定される。
すなわち、前面パネル40が起立状態にあるとき、上面パネル30は前面パネル40で支えられて略水平な状態となる(
図8の2点鎖線の状態)。そして、前面パネル40が回動して傾斜状態となると、上面パネル30も回動して傾斜状態となる(
図8の実線の状態)。
【0046】
このような上面パネル30および前面パネル40の連携した回動は、上面パネル30の下側の表面に、前面パネル先端部42が摺動自在に当接されることで行われる。この動作を円滑に行うために、前面パネル先端部42の低摩擦化が図られている。
【0047】
図11において、前面パネル40の前面パネル先端部42は、先端縁が折り曲げられて立ち上がった状態とされ、その端縁は4フッ化エチレンなどの低摩擦性樹脂製で被覆され、この被覆によりスライダ54が形成されている。
前面パネル40の前面パネル先端部42は、このスライダ54を介して上面パネル30の表面に当接され、摺動する際の摩擦抵抗が小さい状態とされている。
【0048】
図11において、上面パネル30の上面パネル先端部32の先端縁には、ブチルゴムスポンジなどの弾性材料で形成されたクッション55が設置されている。
上面パネル30が前面パネル先端部42と急激に当接する状況にあっては、上面パネル先端部32が前面パネル40の表面に衝突する可能性があるが、このクッション55により衝突に伴う衝撃音などが緩和できるようになっている。
【0049】
次に、加工区画シャッタ装置10の開通状態から閉鎖状態に至るまでの上面パネル30および前面パネル40の動作について説明する。
再び
図8において、加工区画シャッタ装置10の開通状態では、搬送装置5の延長部分5Eは開口部14および補助カバー20から下方へ離脱した状態にある。
従って、前面パネル40および上面パネル30はそれぞれ傾斜状態とされ、略一連の傾斜面を形成している。
【0050】
図8の開通状態から、加工区画シャッタ装置10を下降させると、ドアパネル11および補助カバー20が下降し、搬送装置5の延長部分5Eが下方から開口部14および補助カバー20の内部へ導入される。
前面パネル40は、開通状態で傾斜状態、つまり前面パネル基端部41に対して前面パネル先端部42がドアパネル11に近い側に傾斜しており、補助カバー20の内部へ導入された延長部分5Eは、その先端上縁が前面パネル40の表面に当接される。
搬送装置5の上面には、パレット4を搬送するためのローラ5Rが設置されており、これらのローラ5Rのうち延長部分5Eの先端上縁に配置されるものを介して前面パネル40の表面に当接される。
【0051】
図9において、補助カバー20が延長部分5Eに対して更に下降すると、ローラ5Rが転動しつつ前面パネル40を押し上げ、前面パネル基端部41を中心に前面パネル先端部42がドアパネル11から離れる方向へ前面パネル40を回動させる。
前面パネル40が回動することで、前面パネル先端部42で上面パネル30が押し上げられる。これにより、上面パネル30は、
図8の傾斜状態から、上面パネル基端部31を中心に上面パネル先端部32が上方へ変位するように回動する。
【0052】
図10において、加工区画シャッタ装置10が閉鎖状態に達すると、搬送装置5の延長部分5Eは補助カバー20の内部に収容される。
この際、ローラ5Rが前面パネル40を押すことで、前面パネル40は更に回動して起立状態(前面パネル先端部42が前面パネル基端部41の上方にある状態)に達する。
さらに、前面パネル先端部42で持ち上げられることで、上面パネル30は更に回動して略水平な状態(上面パネル30が略水平で上面パネル先端部32が上面パネル基端部31よりやや下方にある状態)に達する。
【0053】
以上により、補助カバー20は、加工区画シャッタ装置10が下降することで、
図8の開通状態から
図9の途中状態を経て
図10の閉鎖状態へと移行することができる。
逆に、
図10の閉鎖状態から加工区画シャッタ装置10が上昇することで、
図9の途中状態を経て
図8の開通状態に移行することができる。
【0054】
加工区画2で加工を行う際には、加工区画シャッタ装置10を下降させて出入口6Eを閉鎖しておく。加工の間に、閉鎖状態の補助カバー20にはチップが降りかかり、略水平な状態の上面パネル30にチップが堆積する。
加工の後、加工区画シャッタ装置10を上昇させると、補助カバー20は
図10の閉鎖状態(上面パネル30が略水平な状態)から
図8の開通状態(上面パネル30が傾斜状態)へと移行する。
図8の開通状態に到達する際には、上面パネル30を支えていた前面パネル40がストッパである係止ピン51で係止され、衝突の際の振動が前面パネル先端部42を介して上面パネル30にも伝播する。
このため、上面パネル30に堆積していたチップは、伝播した振動で崩落して上面パネル30と略連続した前面パネル40の傾斜に沿って補助カバー20から落下する。
【0055】
以上のような本実施形態によれば、下記に述べる効果を得ることができる。
本実施形態においては、加工区画2の出入口6Eを通して搬送装置5によるパレット4の出し入れを行うことができる。
本実施形態では、加工区画シャッタ装置10(ドアパネル11)を下降させることで出入口6Eが閉鎖される。ドアパネル11を閉じる際には、搬送装置5の延長部分5Eは、ドアパネル11の開口部14に通され、補助カバー20で覆われる。補助カバー20では、ドアパネル11の下降に伴って前面パネル40が延長部分5Eに近づき、やがて当接して延長部分5Eで前面パネル40が押される。延長部分5Eが摺動しつつ押し続けることで、前面パネル40はドアパネル11から離れた側へ回動し、補助カバー20の前面(ドアパネル11から離れた側)に起立した状態(起立状態)となる。この回動により、前面パネル先端部42は上面パネル30に当接して摺動し、前面パネル先端部42で持ち上げることで上面パネル30が回動し、やがて上面パネル30が補助カバー20の上面に沿った状態(略水平な状態)とされる。
この状態では、加工区画2での加工に伴うチップが、補助カバー20の上面となる上面パネル30の上に堆積する。補助カバー20で覆われた搬送装置5の延長部分5Eにはチップの堆積が生じない。
【0056】
加工区画2での加工の後、加工区画シャッタ装置10(ドアパネル11)を上昇させることで出入口6Eが開通される。ドアパネル11が上昇すると、補助カバー20に対して延長部分5Eが下方へ変位し、延長部分5Eが前面パネル40を押す位置が下方に移動し、前面パネル40はドアパネル11に近づくように回動する。そして、前面パネル先端部42による上面パネル30の支持位置がドアパネル11寄りに移動することで、上面パネル先端部32が下方へ移動するように上面パネル30が回動する。これにより、上面パネル30は、上面パネル基端部31から上面パネル先端部32に向けて(ドアパネル11に近い側から離れた側に向けて)下向きに傾斜した状態(傾斜状態)となる。
上面パネル30が傾斜することで、その上に堆積していたチップは滑り落ちる。チップの落下が、延長部分5Eと前面パネル40との当接が外れる時点、つまりドアパネル11を開く動作の比較的早い時点で生じるため、補助カバー20に堆積したチップを低い位置で排出できる。
従って、本実施形態によれば、補助カバー20に堆積したチップが広範囲に撒き散らされることを防止できる。
【0057】
本実施形態では、ストッパとしての係止ピン51を設けたので、加工区画シャッタ装置10(ドアパネル11)が上昇して延長部分5Eが前面パネル40から離れた状態でも、前面パネル40を所定角度の傾斜状態(前面パネル先端部42がドアパネル11に近い側に傾いた状態)に保持することができる。
これにより、ドアパネル11が下降した際に延長部分5Eが前面パネル40を押す動作を確実に行うことができる。また、上面パネル30から滑り落ちるチップが前面パネル40の表面を経由して落下される場合でも、チップが滑り落ちるのに適した傾斜(上面パネル30と同様の傾斜)に調整することができる。
【0058】
本実施形態では、付勢手段としてのコイルばね52を設けたので、加工区画シャッタ装置10(ドアパネル11)が上昇して延長部分5Eが前面パネル40から離れた際に、前面パネル40を前面パネル先端部42がドアパネル11に近接する向きに確実に回動させることができ、上面パネル30を下向きに回動させる動作を確実に行うことができる。また、前面パネル40の回動を規制するストッパである係止ピン51に対して、前面パネル40を回動させて係止ピン51に規制される角度位置に確実に保持することができる。
【0059】
本実施形態では、前面パネル先端部42に低摩擦樹脂製のスライダ54を設け、前面パネル先端部42がスライダ54を介して上面パネル30に摺動するようにしたため、加工区画シャッタ装置10(ドアパネル11)が下降して前面パネル40が延長部分5Eで押された際の、あるいはドアパネル11が上昇して前面パネル40から延長部分5Eが離れる際の、前面パネル40の回動に伴う上面パネル30の回動を円滑に行うことができる。
【0060】
本実施形態では、上面パネル先端部32に衝突時の衝撃音を緩和するクッション55を設けたため、加工区画シャッタ装置10(ドアパネル11)が上昇して前面パネル40から延長部分5Eが離れ、前面パネル40の回動に伴って上面パネル30が回動した際に、上面パネル30の上面パネル先端部32が前面パネル40の表面に衝突した場合でも、衝撃音を緩和することができる。
【0061】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、前面パネル先端部42で上面パネル30の下面側を支えることで、前面パネル40の回動に従って上面パネル30を回動させつつ、上面パネル30の傾斜状態の角度を規定していた。あるいは、上面パネル30の一部に係合する別の部材などを設けて上面パネル30の回動を直接規制してもよい。さらに、上面パネル30の回動軸に係合機構などを設け、上面パネル30の回動を所定角度で規制してもよい。いずれの構成を採用する場合でも、前面パネル先端部42が上面パネル30の下面側に当接することで、上面パネル30から前面パネル40までの間に隙間が生じないようにする。
【0062】
前記実施形態では、ストッパとして係止ピン51を設けたが、側面パネル21から突起して前面パネル40に係合するピンやブロックであれば利用できるほか、前面パネル40の回動軸に形成された噛み合い機構などを利用することができる。
【0063】
前記実施形態では、付勢手段としては、前面パネル40と側面パネル21との間に掛け渡されたコイルばね52を設けたが、前面パネル40の回動軸に巻かれたつるまきばねを利用してもよく、電磁気による非接触の付勢手段などを利用してもよい。
さらに、付勢力の方向(例えばコイルばね52の前面パネルからの張力方向)を調整することで、前述したストッパである係止ピン51がなくても、延長部分5Eから離れた状態の前面パネル40を所望の傾斜角度に保持することもできる。
【0064】
前記実施形態では、スライダ54としては、低摩擦性の合成樹脂で先端縁の被覆(ライナ)を形成したが、前面パネル40の表面に張られたパッド状などでもよく、上面パネル30に転動するローラなどを利用してもよい。
前記実施形態では、クッション55としてブチルゴムスポンジを用いたが、他のエラストマ材料製スポンジなど、適宜な弾性および柔軟性を有する弾性材料で形成されたパッドやライナが利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、自動パレット交換装置を有する工作機械の加工区画シャッタ装置に利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1…工作機械、10…加工区画シャッタ装置、11…ドアパネル、14…開口部、15…フラップ、2…加工区画、20…補助カバー、21…側面パネル、3…準備区画、30…上面パネル、31…上面パネル基端部、32…上面パネル先端部、33…支持部材、34…ヒンジ、4…パレット、40…前面パネル、41…前面パネル基端部、42…前面パネル先端部、43…支持部材、44…ヒンジ、5…搬送装置、51…ストッパである係止ピン、52…付勢手段であるコイルばね、53…係止ピン、54…スライダ、55…クッション、5A…準備区画部分、5B…加工区画部分、5E…延長部分、5R…ローラ、6…スプラッシュガードカバー、6E…出入口。