(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】光ファイバ成端工具
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
G02B6/36
(21)【出願番号】P 2019502773
(86)(22)【出願日】2017-07-18
(86)【国際出願番号】 US2017042503
(87)【国際公開番号】W WO2018017523
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-08
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593170311
【氏名又は名称】ザ・シーモン・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストロンコフスキー ケビン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】メディロス デイビッド エイ
(72)【発明者】
【氏名】ナーゲル スコット ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゴーゴル ジュニア ジョン イー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーチ アンソニー
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-215545(JP,A)
【文献】特表2009-512897(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0104425(US,A1)
【文献】特開2006-113152(JP,A)
【文献】特開2006-058399(JP,A)
【文献】特開2013-015786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
6/255
6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカニカルスプライス光ファイバコネクタを受け入れるポケットを有する工具基部と、
楔部を含み、前記工具基部にヒンジ接続されたレバーと、
前記レバーに取り付けられたスライドであって、前記レバーに対して摺動可能であり、
前記レバーに対する第1の位置から第2の位置への摺動により、前記レバーを前記ポケットに向けて押して、前記楔部を非係合位置から係合位置へ移動させ
るスライドと、
を備える、光ファイバ成端工具。
【請求項2】
前記工具基部は着脱可能な受台を含み、前記ポケットは
前記受台に形成されている、請求項
1に記載の光ファイバ成端工具。
【請求項3】
前記
工具基部上に形成され、ポケット内での前記メカニカルスプライス光ファイバコネクタの移動を防止するように寸法決めされ配置された停止部をさらに備える、請求項
1に記載の光ファイバ成端工具。
【請求項4】
前記スライドは、上部壁および2つの側壁を含む、請求項
1に記載の光ファイバ成端工具。
【請求項5】
各側壁の内側面はリブを含み、
前記レバーは溝を含み、
前記リブは、前記レバーに対する前記スライドの移動を制限するために、前記溝内に配置される、請求項
4に記載の光ファイバ成端工具。
【請求項6】
各側壁の内側面は傾斜したフィンガを含み、
前記
工具基部は切欠を含み、
前記切欠を通る前記フィンガの移動が、前記楔部を前記ポケットに向かって移動させる、請求項
4に記載の光ファイバ成端工具。
【請求項7】
前記
工具基部上の摺動可能なファイバクランプであって、前記メカニカルスプライス光ファイバコネクタと嵌合する光ファイバに弓形を形成するのを補助するために、前記
工具基部に対して摺動可能である摺動可能なファイバクランプをさらに備える、請求項
1に記載の光ファイバ成端工具。
【請求項8】
前記摺動可能なファイバクランプは、前記光ファイバの周囲で閉じることができるように構成されたカバーを含む、請求項
7に記載の光ファイバ成端工具。
【請求項9】
光ファイバ成端工具を使用して光ファイバをメカニカルスプライス光ファイバコネクタに成端するための方法であって、
前記光ファイバ成端工具は、
前記メカニカルスプライス光ファイバコネクタを受け入れるためにポケットを有する工具基部と、
楔部を含み、前記工具基部にヒンジ接続されたレバーと、
前記レバーに取り付けられたスライドであって、前記レバーに対して摺動可能であり、
前記レバーに対する第1の位置から第2の位置へ摺動により、前記レバーを前記ポケットに向けて押して、前記楔部を非係合位置から係合位置へ移動させ
るスライドと、
を備え、
前記方法は、
前記レバーを開位置に移動させることと、
前記メカニカルスプライス光ファイバコネクタを前記ポケット内に置くことと、
前記レバーを閉位置に移動させることと、
前記スライドを前記第1の位置から前記第2の位置へ
摺動させることと、
光ファイバを前記メカニカルスプライス光ファイバコネクタに挿入することと、
前記スライドを前記第2の位置から前記第1の位置へ
摺動させることと、
前記レバーを前記開位置へ移動させることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年7月21日に出願された米国仮特許出願第62/364910号の権利を主張し、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本明細書で開示される主題は、広くは、光ファイバのための成端工具に関し、より具体的には、メカニカルスプライスコネクタと共に使用するための光ファイバ成端工具に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバは、多くの場合、コネクタに取り付けられるかまたは成端される。当分野で使用される1つのタイプのコネクタは、メカニカルスプライスコネクタとして知られている。メカニカルスプライスコネクタは、典型的には、ファイバスタブが一端に配置されたV溝を含む。このコネクタに光ファイバを成端するには、V溝を開いて、光ファイバをV溝内でファイバスタブに当接して配置し、V溝を閉じる。光ファイバのメカニカルスプライスコネクタへの成端を容易にするための工具は、当技術分野において歓迎されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6931193号明細書
【文献】米国特許第7258496号明細書
【文献】米国特許第7280733号明細書
【文献】米国特許第7346255号明細書
【文献】米国特許第7346256号明細書
【文献】米国特許第7412145号明細書
【文献】米国特許第7572064号明細書
【文献】米国特許第8401356号明細書
【文献】米国特許第8442375号明細書
【文献】米国特許第9075204号明細書
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】一実施形態における光ファイバ成端工具の斜視図である。
【
図2】一実施形態における光ファイバ成端工具の分解斜視図である。
【
図3】一実施形態における光ファイバ成端工具の上面図である。
【
図4】一実施形態における光ファイバ成端工具の斜視図である。
【
図5】一実施形態における光ファイバ成端工具の端面図である。
【
図6】一実施形態における光ファイバ成端工具の側面図である。
【
図7】一実施形態における光ファイバ成端工具の斜視図である。
【
図9】一実施形態における光ファイバをメカニカルスプライスコネクタに成端するプロセスを示す図である。
【
図10】一実施形態における光ファイバをメカニカルスプライスコネクタに成端するプロセスを示す図である。
【
図11】一実施形態における光ファイバをメカニカルスプライスコネクタに成端するプロセスを示す図である。
【
図12】一実施形態における光ファイバをメカニカルスプライスコネクタに成端するプロセスを示す図である。
【
図13】一実施形態における光ファイバをメカニカルスプライスコネクタに成端するプロセスを示す図である。
【
図14】一実施形態における光ファイバをメカニカルスプライスコネクタに成端するプロセスを示す図である。
【
図15】一実施形態における光ファイバをメカニカルスプライスコネクタに成端するプロセスを示す図である。
【
図16】一実施形態における光ファイバ成端工具の斜視図である。
【
図17】一実施形態における光ファイバ成端工具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで図面を参照する。図面中、同様の構成要素は同じように番号を付している。
【0007】
図1は、一実施形態における光ファイバ成端工具10の斜視図である。光ファイバ成端工具10は、工具基部12、レバー14、およびスライド16を含む。光ファイバ成端工具10は、V溝を有する光ファイバコネクタと共に使用される。当技術分野で知られているように、V溝の一端内には、研磨されたファイバスタブが予め装填されている。光ファイバをV溝内で成端させるには、V溝を開いた状態で、光ファイバを滑り込ませてファイバスタブに接触させる。その後、V溝を閉じる。光ファイバ成端工具10は、これらの作業を容易にするものである。
【0008】
図2は、一実施形態における光ファイバ成端工具10の分解斜視図である。
図2に示すように、工具基部12は、工具基部12の前部に位置する2つのポケット20,22を含む。ポケット20,22は、メカニカルスプライス光ファイバコネクタを受け入れる。ポケット20,22のそれぞれに隣接して停止部24,26があり、停止部24,26は、ポケット20,22に入ったメカニカルスプライス光ファイバコネクタの移動を防止する。ポケット20,22は、別々のタイプのコネクタに合うように輪郭形成し、寸法決めすることができる。一実施形態では、ポケット20はSC型コネクタを収容し、ポケット22はLC型コネクタを収容する。工具10は他のタイプのコネクタと共に使用することができることを理解されたい。
【0009】
ポケット20,22は取り外し可能な受台に形成することができ、据付者が適切なポケットを有する受台を工具基部12と共に使用することができるようになっている。受台はまた、様々なタイプのコネクタと共に使用するために輪郭形成され寸法決めされた複数のポケットを含むこともできる(すなわち、リバーシブル受台)。受台は、正しいポケットが工具基部12で利用可能となるように方向付け(例えば、回転)される。
【0010】
レバー14は、ヒンジピン28によって工具基部12にヒンジ結合される。スライド16は、上部壁および2つの側壁17を含む。各側壁17の内側面は、それぞれリブ30およびフィンガ34を含む。スライド16は、レバー14の溝32に受け入れられたリブ30によってレバー14に摺動可能に係合する。リブ30は、溝32内を移動し、レバー14に対するスライド17の移動を制限する。フィンガ34は、工具基部12の縁側に形成された切欠38を通過する。切欠38は、突出部40によって画定することができる。フィンガ34は、リブ30に対してある角度で配置される。リブ30が溝32を通って移動すると、切欠38を通って移動するフィンガ34の傾斜により、スライド16およびレバー14が、工具基部12に向かって下方に移動する。本明細書でさらに詳細に説明するように、この動作が、メカニカルスプライス光ファイバコネクタのV溝を開く。
【0011】
図3は、一実施形態における光ファイバ成端工具10の上面図である。
図3では、レバー14の下面の楔部46,48が明らかになっている。2つの楔部46はポケット20と整列して設けられ、また2つの楔部48はポケット22と整列して設けられている。楔部46は、特定のタイプのコネクタと共に機能するように構成されてもよい。例えば、ポケット20が、SC型コネクタを受け入れるように輪郭形成され寸法決めされている場合には、2つの楔部46は、SCコネクタのV溝と係合してV溝を開くように、寸法決めされ隔置されている。同様に、ポケット22が、LC型コネクタを受け入れるように輪郭形成され寸法決めされている場合には、2つの楔部48は、LCコネクタのV溝と係合してV溝を開くように、寸法決めされ隔置されている。2つの楔部46および2つの楔部48が示されているが、V溝を開くのに1つの楔部のみが必要となる実施形態もあり得る。実施形態は、2種の楔部46,48を使用することに限定されない。
図4は、一実施形態における光ファイバ成端工具10の斜視図である。
図5は、一実施形態における光ファイバ成端工具10の端面図である。
図6は、一実施形態における光ファイバ成端工具10の側面図である。
【0012】
図7は、レバー14が閉じる途中の状態の光ファイバ成端工具10の斜視図である。
図8は、
図7の部分拡大図である。SCコネクタ50がポケット20内に配置され、LCコネクタ52がポケット22内に配置されている。
図8では、楔部46および楔部48が、ポケット20内に配置されたSCコネクタ50およびポケット22内に配置されたLCコネクタ52と整列していることが明らかになっている。楔部46および楔部48は、別々のタイプのコネクタと共に機能するように、別々の形状を有している。
【0013】
図9~
図15は、一実施形態において光ファイバをメカニカルスプライスコネクタ100に成端するプロセスを示す。
図9に示すように、SCコネクタ100をポケット20内に装填するために、レバー14を開位置にする。コネクタ100の窓102が、コネクタ100内部のV溝へのアクセスを提供する。窓102は、レバー14に向かって、上方に向いている。
【0014】
図10を参照すると、レバー14は閉じてコネクタ100をポケット20内の定位置に保持している。次いで、スライド16が、第1の位置から第2の位置へ移動される。
図11は、第1の位置にあるスライド16を示し、
図12は、第2の位置にあるスライド16を示す。フィンガ34と切欠38との間の相互作用によりレバー14が下方に引っ張られ、スライド16が第2の位置になると楔部46がコネクタ100のV溝と係合してV溝を開くようになる。スライド16が
図11に示すように第1の位置にあるときには、楔部46は非係合位置にあり、これは、楔部46がコネクタ100のV溝を開いていないことを意味する。
【0015】
次いで、
図13に示すように、光ファイバ200をコネクタ100のV溝に滑り込ませる。光ファイバ200とは、コネクタ100で成端するために準備された被覆ファイバの光ケーブルを指してもよい。光ファイバ200は、コネクタ100内に配置されたファイバスタブに突き当たるまでV溝内に挿入される。
図14に示すように、光ファイバ200に弓形を形成して、光ファイバ200がコネクタ100内のファイバスタブに確実に押し付けられるようにすることができる。光ファイバ200の弓形の形成を容易にするために、工具基部12に傾斜部13を設けることができる。光ファイバ200が適切に配置されると、スライド16は第2の位置(
図12)から第1の位置(
図11)へ移動され、レバー14は
図15に示すように開かれる。これにより、光ファイバ200をコネクタ100に固定するコネクタのV溝から、楔部48が外れる。
【0016】
図16は、別の実施形態における工具300を示す。工具300は、工具10に類似しているが、
図14に示す光ファイバ200の弓形を形成するのを補助するために、摺動可能なファイバクランプ302を含む。このファイバクランプ302は、光ファイバを保持し、弓形を作成するのに役立つことを目的としている。光ファイバ200をファイバクランプ302のスロット304内に置き、次いでファイバクランプ302を指で動かす。これにより、光ファイバ200の上のスロット304の壁が閉じられ、光ファイバ200を停止位置まで前進させて光ファイバ200の弓形を作成する。
【0017】
図17は、別の実施形態における工具400を示す。工具400は、
図14に示す光ファイバ200の弓形を形成するのを補助するために、摺動可能なファイバクランプ402を含む。このファイバクランプ402は、光ファイバを保持し、弓形を作成するのに役立つことを目的としている。光ファイバ200をファイバクランプ402の基部403内に置き、次いで、カバー404を閉じて光ファイバ200を固定する。次いで、ファイバクランプ402を指で動かし、光ファイバ200を停止位置まで前進させて光ファイバ200の弓形を作成することができる。
【0018】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の記載は、例示および説明の目的で提示されたものだが、本発明を開示した形態に終止させることや限定することを意図するものではない。本明細書に記載されていない多くの修正、変形、変更、置換、または均等な構成が、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者には明らかであろう。これに加えて、本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の態様は記載された実施形態のいくつかだけを含んでもよいことを理解されたい。したがって、本発明は、上記の説明によって限定されると見なされるべきではない。