(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】空調給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/30 20180101AFI20220608BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20220608BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20220608BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20220608BHJP
F24H 15/375 20220101ALI20220608BHJP
F25B 6/02 20060101ALI20220608BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
F24F11/30
F24F11/62
F24F11/72
F24F11/86
F24H4/02 J
F25B6/02 H
F25B13/00 S
(21)【出願番号】P 2019514338
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2017033328
(87)【国際公開番号】W WO2018056177
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2019-03-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-27
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】千頭 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】クーサン,ティム
【合議体】
【審判長】松下 聡
【審判官】槙原 進
【審判官】林 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-97910(JP,A)
【文献】特開2012-7779(JP,A)
【文献】特開2012-13357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24H 4/02
F25B 6/02
F25B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却運転と加熱運転とを選択的に行うように構成された空調給湯システム(10)であって、
圧縮機(111)および室外熱交換器(113)を有する室外ユニット(110)と、
それぞれが、前記室外ユニット(110)と接続され、室内熱交換器を有する、少なくとも1つの室内ユニット(120a、120b)と、
前記少なくとも1つの室内ユニット(120a、120b)と並列に配置されるように前記室外ユニット(110)に接続され、冷媒-水熱交換器を有する給湯ユニット(130)と、
前記少なくとも1つの室内ユニット(120a、120b)のうちの、少なくとも1つの室内ユニットで前記冷却運転が行われている際の、前記給湯ユニット(130)からの給湯の要求の発生を監視し、前記要求に従って前記加熱運転を開始するように構成されたコントローラ(100)と、
を備え、
前記コントローラ(100)は、前記冷却運転がオンされている少なくとも1つの室内ユニットの全てに
、加熱運転
の運転モード中に各室内ユニットに配置されたファンを停止するファン停止コマンドを送信するように構成されている、
空調給湯システム(10)。
【請求項2】
前記コントローラ(100)は、前記圧縮機(111)を停止する圧縮機停止コマンドを前記圧縮機(111)に送信するようにさらに構成され、
前記コントローラ(100)は、前記圧縮機停止コマンドと前記ファン停止コマンドとをほぼ同時に送信するようにさらに構成されている、
請求項1に記載の空調給湯システム(10)。
【請求項3】
前記コントローラ(100)は、前記加熱運転を開始する前に、前記ファン停止コマンドを送信するようにさらに構成されている、
請求項1または2に記載の空調給湯システム(10)。
【請求項4】
複数の弁(122a、122b、132)であって、それぞれが、前記給湯ユニット(130)および前記少なくとも1つの室内ユニット(120a、120b)のそれぞれ用に配置され、対応するユニットに供給される冷媒の量を制御するように構成されている複数の弁をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調給湯システム(10)。
【請求項5】
前記コントローラ(100)は、前記加熱運転中、全ての室内ユニット(120a、120b)のそれぞれに対応する各弁を所定の開度に保つように構成されている、
請求項4に記載の空調給湯システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを備えた空調給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2653805号には、ヒートポンプを備え、空調運転と給湯運転を同時に行うことができる空調給湯システムが提案されている。システムは、圧縮機および室外熱交換器を有する室外ユニットと、室外ユニットに接続され、室内熱交換器を含む少なくとも1つの室内ユニットと、室内ユニットと並列に配置されるように室外ユニットに接続されている少なくとも1つの給湯ユニットを含む。給湯ユニットは、冷媒-水熱交換器を含む。
【0003】
欧州特許出願公開第2653805号に開示された上記のシステムは、冷却運転および加熱運転を行う。冷却運転時、給湯ユニットは水を冷却する。加熱運転時、給湯ユニットは水を加熱する。したがって、冷却運転中に新たな湯が供給されない。
【0004】
一方、キッチンや浴室等、家庭内で使用する湯の需要を満たすために、貯湯タンクに十分な量の湯を目標温度でためる必要がある。例えば、冷却運転の需要が一般的に昼間よりも少ない夜間に新たな湯が供給され得る。給湯ユニットは、時間およびこの給湯ユニットに接続されている貯湯タンクに貯留されている湯の温度に基づき、給湯の要求を出力するように構成され得る。
【0005】
しかし、少なくとも1つの室内ユニットにおいて冷却運転が行われている時に給湯の要求が発生することがある。すると、給湯の要求に応じて加熱運転を開始できるよう、直ちに冷却運転が切られる。これは、ユーザにより冷却運転が設定されているにも関わらず、冷却運転中の室内ユニットがその運転を加熱運転に切り換えてしまうことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、上述の問題を解決し、給湯運転が必要な時でもユーザの快適性が維持される空調給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、添付の請求項1に係る、冷却運転と加熱運転とを選択的に行うように構成された空調給湯システムを提供する。添付の従属請求項によって、有益な効果が得られる。
【0009】
第1の態様に係る、冷却運転と加熱運転とを選択的に行うように構成された空調給湯システムは、圧縮機および室外熱交換器を有する室外ユニットと、それぞれが、室外ユニットに接続され、室内熱交換器を有する、少なくとも1つの室内ユニットと、少なくとも1つの室内ユニットと並列に配置されるように室外ユニットに接続され、冷媒-水熱交換器を有する給湯ユニットと、少なくとも1つの室内ユニットのうちの、少なくとも1つの室内ユニットで冷却運転が行われている際の、給湯ユニットからの給湯の要求の発生を監視し、その要求に従って加熱運転を開始するように構成されたコントローラと、を備える。コントローラは、冷却運転がオンされている少なくとも1つの室内ユニットの全てに、各室内ユニットに配置されているファンを停止するファン停止コマンドを送信するようにさらに構成されている。
【0010】
システムの運転モードは、冷却運転中に発生した給湯の要求(以下、「給湯要求」)の受信後に、冷却運転から加熱運転に切り換わる。加熱運転は、空間の暖房および湯の供給をする運転である。各室内ユニットは、風を発生させる室内ファンと、室内ファンを駆動するファンモータとを有する。ファンモータは、ファン停止コマンドに従って、室内ファンの駆動を停止する。したがって、冷却運転することになっている室内ユニットから温風が吹くことがない。これにより、ユーザの快適性を維持することができる。
【0011】
上述のシステムの好ましい実施形態によると、コントローラは、圧縮機を停止する圧縮機停止コマンドを圧縮機に送信するようにさらに構成され、コントローラは、圧縮機停止コマンドとファン停止コマンドとをほぼ同時に送信するようにさらに構成されている。
【0012】
上述の構成により、冷却運転の停止とほぼ同時に、冷却運転中の各室内ユニットの室内ファンが停止する。言い換えると、冷却運転中の各室内ユニットの室内ファンを冷却運転の終了まで運転させることができる。冷却運転中に、冷却運転中の各室内ユニットの室内ファンが停止すると、冷却運転の効率が低下してしまう。したがって、上述の構成により、冷却運転の効率を維持することができる。
【0013】
上述のいずれか1つのシステムの好ましい別の実施形態によると、コントローラは、加熱運転を開始する前に、ファン停止コマンドを送信するようにさらに構成されている。
【0014】
上記構成により、各ファンモータは、加熱運転の開始前に、対応する室内ファンの駆動を停止する。さもなければ、冷却運転中であるはずが、加熱運転に入る各室内ユニットから温風が吹き出す。これにより、ユーザの快適性が確保される。
【0015】
上述のいずれか1つのシステムの好ましい別の実施形態によると、システムは複数の弁をさらに備え、この弁はそれぞれ、給湯ユニットおよび少なくとも1つの室内ユニット用にそれぞれに配置され、対応するユニットに供給される冷媒の量を制御するように構成されている。
【0016】
上述の構成により、給湯ユニットおよび各室内ユニットに供給される冷媒の量を個別に制御することができる。
【0017】
複数の弁を備えたシステムの好ましい別の実施形態によると、コントローラは、加熱運転中、全ての室内ユニットのそれぞれに対応する各弁を所定の開度に保つように構成されている。
【0018】
コントローラは、全ての室内ユニットに対応する弁をわずかに開いた状態に保つ。この状況で、室内ユニットの中には、冷却運転中であるはずが、加熱運転に入るものがある。オフとなる室内ユニットもある。室内ユニットの運転状態に関わらず、コントローラは、全ての室内ユニットに対応する全ての弁をわずかに開いた状態に制御する。これにより、冷媒回路内で冷媒が滞留して、給湯ユニットへ流入する冷媒の量が不足することが起こりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る空調給湯システムにより形成された冷媒回路の例である。
【
図2】
図1の室外コントローラの機能を示すブロック図である。
【
図3】
図1の室外コントローラに記憶されているレベルテーブルを示す図である。
【
図4A】
図1の室外コントローラに記憶されている状態テーブルの例を示す図である。
【
図4B】
図1の室内コントローラに記憶されている状態テーブルの例を示す図である。
【
図5】
図1の室内ユニットの室内コントローラの機能を示すブロック図である。
【
図6】給湯要求によってトリガされる冷却運転から加熱運転への切り換えのタイムチャートの例である。
【
図7A】
図1の室外コントローラによって行われるメイン処理の例である。
【
図7B】
図1の室外コントローラによって行われるメイン処理の例である。
【
図9】
図1の室内コントローラによって行われるメイン処理の例である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係る空調給湯システムにより形成された冷媒回路の別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る空調給湯システム10により形成された冷媒回路の例を示す。なお、添付した図面に示す構成要素同士の大きさの関係は、構成要素同士の実際の大きさの関係とは異なる場合がある。
【0022】
<システム10の構成>
システム10は、集合住宅、ホテル、オフィスビル、個人住宅等の建物に設置される。システム10は、給湯を伴う加熱運転と、冷却運転とを選択的に行うように構成されている。システム10は、冷媒回路内で冷媒を循環させるヒートポンプ機構を用いて加熱運転及び冷却運転を行う。
【0023】
システム10は、互いに接続されている、室外ユニット110と、少なくとも1つの室内ユニット120a、120bと、給湯ユニット130と、を含む。各室内ユニット120a、120bと給湯ユニット130とは、並列に、熱源ユニットとして機能する室外ユニット110に接続されている。
図1には2つの室内ユニット120a、120bが示されているが、室内ユニットの数は特に限定されない。1つのみの室内ユニット120または複数の室内ユニット120a、120b、……が、室内ユニット120a、120bと同様に、システム10に配置されてもよい。
【0024】
室外ユニット110と、室内ユニット120a、120bと、給湯ユニット130とは、ガス冷媒主管101および液冷媒主管102によって接続されている。ガス冷媒主管101および液冷媒主管102は、冷媒が冷媒回路を循環するように流れる冷媒管として機能する。
【0025】
また、給湯ユニット130には、水回路104から新しい水を受け取り、湯/水を水回路104に供給するために、水配管103が接続されている。水回路104はシステム10の外部にある。水回路104は、給湯ユニット130に新しい水を供給し、湯/水を給湯ユニット130から使用する場所に導く。給湯ユニット130は、供給された水を加熱または冷却し、加熱または冷却した水を貯湯タンク133に貯留するように構成されている。
【0026】
<室外ユニット110>
室外ユニット110は、室外ユニット側で加熱運転または冷却運転を行い、加熱エネルギーまたは冷却エネルギーを室内ユニット120a、120bおよび給湯ユニット130に供給する。室外ユニット110は、圧縮機111と、切換弁112と、室外熱交換器113と、アキュムレータ114と、室外ファン115と、を含む。
【0027】
加熱運転時、室外ユニット110は、液冷媒主管102側からガス冷媒主管101に向かって、室外熱交換器113、切換弁112、アキュムレータ114、圧縮機111、切換弁112がこの順に接続される加熱用冷媒回路(以下、加熱回路と言う)を形成する。
【0028】
冷却運転時、室外ユニット110は、ガス冷媒主管101側から液冷媒主管102に向かって、切換弁112、アキュムレータ114、圧縮機111、切換弁112、室外熱交換器113がこの順に接続される冷却用冷媒回路(以下、冷却回路と言う)を形成する。
【0029】
圧縮機111は、冷媒を吸入して、高温高圧の状態にまで圧縮するように構成されている。圧縮機111は、特定のタイプの圧縮機に限定されない。圧縮機111は、例えば、レシプロ圧縮機、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機、スクリュー圧縮機であってもよい。圧縮機111は、好ましくは、例えばインバータにより、自体の回転数を変更可能に制御できるタイプである。
【0030】
切換弁112は、要求された運転(すなわち加熱運転または冷却運転)に応じて、冷媒の流れを切り換えるように構成されている。切換弁112は、加熱回路と冷却回路との間で冷媒回路の切り換えるように構成されている。
【0031】
室外熱交換器113は、冷却運転時には凝縮器として機能し、加熱運転時には蒸発器として機能するように構成されている。室外熱交換器113は、室外熱交換器113を流れる冷媒を凝縮または蒸発させるため、室外ファン115から送られた空気と熱交換を行う。室外熱交換器113の熱交換量は、例えば室外ファン115の回転数を変化させることにより制御することができる。
【0032】
アキュムレータ114は、圧縮機111の吸入側に配置され、余剰冷媒を貯留するように構成されている。アキュムレータ114は、余剰冷媒を貯留する容器であればよい。
【0033】
室外ファン115は、室外熱交換器113に向けて風を送るため、室外熱交換器113の近傍に配置されている。好ましくは、室外ファン115の風量レベルは、例えば、対応するモータの回転数を変えることによって変更可能である。
【0034】
<室内ユニット120a、120b>
以下、室内ユニット120a、120bに共通する構成および機能について説明する。よって、ある室内ユニットについての説明は他の室内ユニットにも当てはまり、またその逆も成り立つ。
【0035】
室内ユニット120aは、各室内ユニット側で加熱運転(暖房運転)または冷却運転(冷房運転)を行うため、室外ユニット110から加熱エネルギーまたは冷却エネルギーを受け取る機能を有する。室内ユニット120aは、互いに直列に接続される室内熱交換器121aと膨張弁122aとを含む。また、室内熱交換器121の近傍には、室内ユニット120aから温風または冷風を送り出すため、室内ファン123aが配置されている。
【0036】
室内熱交換器121は、加熱運転時に凝縮器として機能し、冷却運転時に蒸発器として機能するように構成されている。室内熱交換器121は、冷媒を凝縮または蒸発させるため、室内熱交換器121を流れる冷媒から室内ファン123aによって供給された空気に熱を伝える。
【0037】
膨張弁122は、冷媒を減圧して膨張させるように構成されている。膨張弁122の開度は変更可能に制御できることが好ましい。このような弁の例には、電子膨張弁などの精密な流量制御手段、およびキャピラリーチューブなどの安価な冷媒流量制御手段が含まれる。
【0038】
室内ユニット120aから温風または冷風を送り出し、室内ユニット120aのハウジング(図示せず)の外から中に空気を取り込むために、室内熱交換器121の近傍には、室内ファン123aが配置されている。好ましくは、室内ファン123aの風量レベルは、例えば、対応するモータの回転数を変えることによって変更可能である。
【0039】
<給湯ユニット130>
給湯ユニット130は、加熱運転または冷却運転を行うため、室外ユニット110からの加熱エネルギーまたは冷却エネルギーを水に伝える機能を有する。給湯ユニット130は、室内水熱交換器131と、膨張弁132と、貯湯タンク133と、を含む。なお、
図1では1つの給湯ユニット130しか図示されていないが、給湯ユニットの数は特に限定されず、2つ以上の給湯ユニットが、給湯ユニット130と同様に、システム10内に設けられてもよい。
【0040】
室内水熱交換器131は、室内水熱交換器131を流れる冷媒から貯湯タンク133に貯留された水に熱を伝えるように、貯湯タンク133によって画定された空間内に配置される。室内水熱交換器131によって加熱または冷却された水は、水回路104に供給される。
【0041】
給湯ユニット130の膨張弁132は、室内ユニット120aの膨張弁122と同じ機能を有する。
【0042】
貯湯タンク133は、水を貯留する。好ましくは、貯湯タンク133は、キッチン、浴室等の家庭内で使用される湯を貯留する。貯湯タンク133は、貯留されている水と外部とを熱的に遮断する。貯湯タンク133内の湯は、好ましくは、後述するように、ユーザが設定した目標温度に保たれる。
【0043】
好ましくは、貯湯タンク133に貯留された水の状態データを検知するセンサ(図示せず)が配置されている。貯留された水の状態データは、例えば、水温および/または水量を含む。このセンサは、貯湯タンク133の空間内、貯湯タンク133の外表面、および/または貯湯タンク133の出口に配置され得る。
【0044】
上述のように、システム10では、圧縮機111、切換弁112、室内熱交換器121a、膨張弁122a、および室外熱交換器113が互いに直列に接続されている。同様に、圧縮機111、切換弁112、室内水熱交換器131、膨張弁132および室外熱交換器113が、互いに直列に接続されている。また、室外熱交換器113に対して、室内熱交換器121aと室内水熱交換器131とが並列に接続されている。このようにして、冷媒を循環させるための冷凍回路が形成されている。
【0045】
図1には図示されていないが、システム10は、冷媒の吐出圧力を検知するセンサ、冷媒の吸入圧力を検知するセンサ、冷媒の吐出温度を検知するセンサ、冷媒の吸入温度を検知するセンサ、室外熱交換器113に流入する冷媒の温度を検知するセンサ、室外熱交換器113から流出する冷媒の温度を検知するセンサ、室外ユニット110に取り込まれる外気の温度を検知するセンサ、室内熱交換器121に流入する冷媒の温度を検知するセンサ、室内熱交換器121から流出する冷媒の温度を検知するセンサ、および貯湯タンク133に貯留されている水の温度を検知するセンサをさらに含んでもよい。これらの各種センサにより得られた測定情報は、後述するコントローラ100、200、300に送信され、システム10内の構成要素を制御するために使用される。
【0046】
<加熱運転および冷却運転>
冷却運転時には、室外ユニット110と、少なくとも1つの室内ユニット120aとが冷却運転を行う。加熱運転時には、室外ユニット110と、少なくとも1つの給湯ユニット130が加熱運転を行う。後述するシステム10のコントローラ100、200、300は、システム10の関係する構成要素を制御して以下の運転を実行する。
【0047】
<加熱運転>
システム10は、加熱運転中、以下の動作を実現するように制御される。低圧のガス冷媒は、圧縮機111に吸入される。冷媒は、圧縮機111で圧縮されて高温高圧の状態になり、圧縮機111から吐出され、切換弁112を通り、ガス冷媒主管101を通って室外ユニット110から流出する。そして、室外ユニット110から流出した高圧のガス冷媒は、室内ユニット120および給湯ユニット130に流入する。室内ユニット120に流入した冷媒は、室内熱交換器121に流入する。給湯ユニット130に流入した冷媒は、室内水熱交換器131に流入する。高圧のガス冷媒は、室内熱交換器121で凝縮して高圧の液冷媒となり、室内熱交換器121から流出する。同様に、高圧のガス冷媒は、室内水熱交換器131で高圧の液冷媒となって室内水熱交換器131から流出する。
【0048】
室内熱交換器121から流出した高圧の液冷媒は、膨張弁122によって減圧されて低圧の気液二相冷媒となり、液冷媒主管102を通って室内ユニット120から流出する。同様に、室内水熱交換器131からの高圧の冷媒は、低圧の気液二相冷媒または低圧の液冷媒となって、液冷媒主管102を通って給湯ユニット130から流出する。そして、低圧の冷媒は室外熱交換器113に流入し、室外ファン115から供給された空気と熱交換を行って低圧のガス冷媒となり、室外熱交換器113から流出する。室外熱交換器113から流出した冷媒は、切換弁112およびアキュムレータ114を通過して再び圧縮機111に吸入される。
【0049】
<冷却運転>
システム10は、冷却運転中、以下の動作を実現するように制御される。低圧のガス冷媒は圧縮機111に吸入される。冷媒は、圧縮機111で圧縮されて高温高圧の状態になり、圧縮機111から吐出される。高温高圧の冷媒は、切換弁112を経由して室外熱交換器113に流入する。室外熱交換器113に流入した高圧のガス冷媒は、室外ファン115から供給された空気と熱交換を行って高圧の液冷媒になる。高圧の液冷媒は、液冷媒主管102を通って室外ユニット110から流出して、少なくとも1つの室内ユニット120aに向かって流れる。室内ユニット120aに向かって流れた冷媒は、低圧の気液二相冷媒または低圧の液冷媒になるように、膨張弁122aによって減圧される。そして、冷媒は室内熱交換器121に流入する。
【0050】
室内熱交換器121に流入した低圧の冷媒は、室内熱交換器121で蒸発して低圧のガス冷媒となり、室内熱交換器121から流出する。室内熱交換器121から流出した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒主管101を通って室外ユニット110に流入する。室外ユニット110に流入した低圧のガス冷媒は、切換弁112およびアキュムレータ114を通過して再び圧縮機111に吸入される。低圧の冷媒が給湯ユニット130に供給される時も、同様である。
【0051】
<コントローラ>
図1に示すように、システム10は、室外コントローラ100と、各室内ユニット120a、120bにそれぞれ対応する2つの室内コントローラ200と、給湯コントローラ300とを含む。室外コントローラ100、室内コントローラ200および給湯コントローラ300は、システム10の全体の運転を制御するように構成されたコントローラを構成する。各コントローラ100、200、300の位置および各コントローラ100、200、300の機能の割り当ては、それらが互いに通信でき、またシステム10の測定装置と通信できるものであれば限定されない。例えば、全てのコントローラを1つのコントローラに集中させて室外ユニット110に配置してもよい。別の実施形態では、室外コントローラ100と各室内コントローラ200の機能が本実施形態とは異なった形で割り当てられる。
【0052】
室外コントローラ100と、室内コントローラ200と給湯コントローラ300とは、無線または有線の通信手段により互いに情報を送信する。本実施形態では、室外コントローラ100は、オンである各室内ユニット120a、120bの室内コントローラ200と、給湯コントローラ300に対して、所定の時間間隔で現在の運転を通知する。オンである室内ユニット120a、120bの室内コントローラ200は、所定の時間間隔でその現在の状態を室外コントローラ100に送信する。給湯コントローラ300は、室外コントローラ100に給湯の要求を送信するように構成されている。
【0053】
<室外コントローラ100>
室外コントローラ100は、室外ユニット110内の冷媒の圧力および温度を制御するように構成されている。室外コントローラ100は、圧縮機111の周波数、切換弁112、および室外ファン115の回転数を制御するようにさらに構成されている。
【0054】
<室内コントローラ200>
室内ユニット120a、120bは、それぞれ室内コントローラ200を有する。以下、室内ユニット120aの室内コントローラ200を例に説明する。システム10の他のどの室内ユニット120bの室内コントローラ200についても同様の説明があてはまる。
【0055】
室内コントローラ200は、冷却運転時に室内ユニット120aの過熱度を制御し、加熱運転時に室内ユニット120aの過冷却度を制御するように構成されている。室内コントローラ200は、室内ファン123aの回転数を制御するように構成されている。室内コントローラ200は、膨張弁122aの開度を制御するように構成されている。
【0056】
<給湯コントローラ300>
給湯コントローラ300は、加熱運転時における給湯ユニット130の過冷却度を制御するように構成されている。給湯コントローラ300は、膨張弁132の開度を制御するように構成されている。給湯コントローラは、バルブやポンプ等を制御するように構成されている。
図1には示されていないが、給湯ユニット130には、水流量を制御するための構成要素が配置されている。
【0057】
給湯コントローラ300は、給湯の要求(以下、給湯要求)を室外コントローラ100に送信するように構成されている。給湯コントローラは、例えば、貯湯タンク133に貯留されている水の温度および/または量、および/または時刻に応じて、給湯要求を送信する。
【0058】
好ましくは、給湯コントローラ300は、貯湯タンク133に貯留されている湯の温度を監視する。給湯コントローラ300は、現在の水温が、ユーザが設定した目標温度未満、または目標温度から算出される閾値温度未満であると判定した場合、給湯要求を送信する。これにより、貯湯タンク133に貯留されている湯はコンスタントに目標温度に保たれる。
【0059】
<加熱運転開始前の室内ファンを停止させるための運転>
上述の機能に加えて、コントローラ100、200、300は、少なくとも1つの室内ユニット120aで冷却運転中に給湯要求が発生したか否かを判定する。判定がイエスの場合、コントローラ100、200、300は、給湯要求が発生した後、所定条件が満たされるまで冷却運転を継続し、その後、加熱運転を開始する。
【0060】
したがって、室内ユニット120aでの冷却運転が、給湯要求によって直ちに中断されることはない。室内ユニット120aが冷却運転を行っているエリアは、給湯要求後であってもさらに冷やされる。よって、冷却運転が停止した後であっても、そのエリアにおいて、ユーザの快適性はしばらく確保される。
【0061】
以下、室外コントローラ100および室内コントローラ200の機能について、さらに詳しく説明する。
【0062】
<室外コントローラ100>
図2は、室外コントローラ100の機能を示すブロック図である。室外コントローラ100は、運転部101と、受信部102と、更新部103と、メモリ104と、圧縮機部105と、サーモオフ部106と、ファン部107と、弁部108とを有する。
【0063】
運転部101は、上述の加熱運転および冷却運転を制御する。
【0064】
運転部101はさらに、給湯コントローラ300からの給湯要求を監視するように構成されている。運転部101は、少なくとも1つの室内ユニット120aで冷却運転中に給湯要求が発生したか否かを判定するように構成されている。判定がイエスである場合、運転部101は給湯要求が発生した後も冷却運転を継続する。運転部101は、冷却運転を継続しながら、所定条件が満たされたか否かを判定するように構成されている。所定条件が満たされていれば、運転部101は、冷却運転を停止して加熱運転を開始する。冷却運転を停止する条件の詳細については後述する。
【0065】
運転部101は、さらに、加熱運転開始前に、冷却運転中の各エリアにおいて送風を停止するように構成されている。したがって、運転部101は、さらに、ファン停止コマンドを、冷却運転にオンになっている少なくとも1つの室内ファンの全てに送信するよう、ファン部107に対して指示するように構成されている。このファン停止コマンドは、室内ユニットに配置された室内ファンを停止するコマンドである。各室内ユニットに配置された室内ファンを制御するためのコマンドは、運転部101の指示に従って、ファン部107により生成され送信される。
【0066】
運転部101は、好ましくは、さらに、圧縮機111および冷却運転中の各室内ユニットの室内ファンをほぼ同時に停止するように構成されている。したがって、運転部101は、好ましくは、さらに、それぞれがファン停止コマンドおよび圧縮機停止コマンドをほぼ同時に送信するよう、ファン部107と圧縮機部105に対して指示するように構成されている。圧縮機停止コマンドは、圧縮機111を駆動するモータを停止するコマンドである。圧縮機111を制御するためのコマンドは、運転部101の指示に従って、圧縮機部105により生成され出力される。
【0067】
運転部101は、好ましくは、さらに、加熱運転開始前に、冷却運転中の室内ユニットの各室内ファンを停止するように構成されている。したがって、運転部101は、好ましくは、さらに、加熱運転開始前に、ファン停止コマンドを送信するよう、ファン部107に対して指示するように構成されている。好ましくは、運転部101は、ファン停止コマンドの送信後、切換弁112を冷却運転位置から加熱運転位置へ切り換えるように構成されている。
【0068】
運転部101は、好ましくは、さらに、加熱運転中、全ての室内ユニット120a、120bの室内弁を所定の開度に保つように構成されている。運転部101は、好ましくは、さらに、弁コマンドを全ての室内ユニット120a、120bに送信するよう、弁部108に対して指示するように構成されている。弁コマンドは、全ての室内ユニット120a、120bの各膨張弁122a、122bを所定の開度に保つコマンドである。弁コマンドは、運転部101の指示に従って、弁部108により生成され送信される。
【0069】
ファン停止コマンド、圧縮機停止コマンド、弁コマンドを送信するタイミングの好ましい例は、後述する
図6において示される。
【0070】
運転部101は、好ましくは、さらに、給湯要求が発生した後、冷却運転の能力を増大するように構成されている。冷却運転の能力増大の詳細は後述する。
【0071】
受信部102は、所定の時間間隔で各室内ユニット120a、120bから「要求信号」を受信するように構成されている。受信部102はさらに、センサ310によって検知された室外温度などの測定情報を受信するように構成されている。
【0072】
「要求信号」は、室内ユニットのIDと、好ましくは室内ユニットの現在の状態を含む。現在の状態は、例えば、オン/オフ、室内ユニットでオンになっている運転、目標室温、現在の室温、風量レベル、および「要求レベル」のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。
【0073】
「要求レベル」は、冷却運転の能力に必要とされる変化を示す。「要求レベル」は、例えば、圧縮機111の回転数を増加/減少する所定のステップ幅に対応する数値で表される。運転部101は、「要求レベル」に基づいて、圧縮機111の回転数をどれだけ増加/減少させるかを決定する。
【0074】
更新部103は、受信したデータに従って、メモリ104に記憶されているデータを更新するように構成されている。
【0075】
メモリ104は、状態テーブルとレベルテーブルを記憶する。各テーブルの内容については後述する。
【0076】
圧縮機部105は、運転部101からの指示に従って圧縮機111の回転数を制御するコマンドを生成し、生成したコマンドを圧縮機111のモータのドライバに出力する。
【0077】
サーモオフ部106は、室内ユニットの「サーモオフ」温度を変更するコマンドを生成し、運転部101からの指示に従って、そのコマンドを1つ以上の関係する室内ユニットに送信する。
【0078】
対応する室内ユニットのエリア内の現在の室温が「サーモオフ」温度に達すると、その室内ユニットは「サーモオフ」状態になる。これは、対応する膨張弁を完全に閉じることによって、室内ユニットが冷却運転を停止することを意味する。冷却運転においては、室内ユニットの「サーモオフ」温度は室内ユニットの目標温度よりも低い。加熱運転においては、室内ユニットの「サーモオフ」温度は室内ユニットの目標温度よりも高い。「サーモオフ」温度と目標温度との差は、例えば1~3℃である。給湯要求発生後の冷却運転の「サーモオフ」温度と目標温度との差は、通常の冷却運転の「サーモオフ」温度と目標温度との差よりも大きいことが好ましい。詳細については、後の「冷却運転の能力増大」で述べる。
【0079】
ファン部107は、室内ファンの回転数を変更するコマンドを生成し、運転部101からの指示に従って、そのコマンドを1つ以上の関係する室内ユニットに送信する。
【0080】
弁部108は、室内ユニットの膨張弁の開度を変更するコマンドを生成し、運転部101からの指示に従って、そのコマンドを1つ以上の関係する室内ユニットに送信する。
【0081】
<室外コントローラ100のメモリ104内のレベルテーブル>
図3は、室外コントローラ100のメモリ104に記憶されているレベルテーブルを示す。レベルテーブルは、各要求レベルに対応する数値と、圧縮機111の回転数を増加または減少するステップ幅とを関連付ける。ステップ幅の各値は、圧縮機111の回転数の所定の変化に対応している。
【0082】
「要求レベル0」は、室温が、対応エリアのサーモオフ温度に達したことを示す。言い換えると、「要求レベル0」は、対応エリアの室内ユニットが「サーモオフ」状態になったことを示している。サーモオフ状態になった室内ユニットは、圧縮機111の回転数の変更を要求しない。「要求レベル1、2、3」は、現在の運転の能力を下げる必要があることを示す。「要求レベル4、5、6」は、現在の運転の能力を上げる必要があることを示す。
【0083】
運転部101は、好ましくは、最も大きな絶対値を有する1つの「要求レベル」を選択して圧縮機111の回転数を変更するように構成されている。
【0084】
<メモリ104内の状態テーブル>
図4Aは、室外コントローラ100のメモリ104に記憶されている状態テーブルの例を示す。状態テーブルは、「エリア」、「要求レベル」、「運転状態」、「目標温度」、「風量レベル」、「現在温度」を互いに関連付けて記憶する。
【0085】
「要求レベル」は上述のとおりである。「エリア」は、1のエリアに対応し、そのエリアに設置されている室内ユニットを識別する。運転状態は、室内ユニットがオンかオフか、および室内ユニットでオンになっている運転を示す。目標温度は、対応する室内ユニットのエリアの室温が達すべき温度を示す。風量レベルは、室内ファンの回転数のレベルを示す。現在温度は、室内ユニットのエリアの現在の温度を示す。
【0086】
「要求レベル0」は、室内ユニットが「サーモオフ」状態になったことを意味する。
図4Aにおいて、「エリア1」の室内ユニットでは、冷却運転がオンであり、既に「サーモオフ」状態になっている。一方、「エリア2」および「エリア3」の室内ユニットは、冷却運転がオンであるが、各「要求レベル」が0より大きいため、まだ「サーモオフ」状態にはなっていない。
【0087】
<冷却運転を停止する所定条件>
運転部101は、好ましくは、給湯要求が発生した後、所定の期間P1が経過するまで冷却運転を継続するように構成されている。給湯要求から期間P1が経過した後、運転部101は、冷却運転を停止するように構成されている。
【0088】
運転部101は、好ましくは、冷却運転を行っている全ての室内ユニットが「サーモオフ」状態になるまで冷却運転を継続するように構成されている。運転部101は、冷却運転中の全ての室内ユニットが「サーモオフ」状態になった後、冷却運転を停止する。「要求レベル0」を有する「要求信号」は、室内ユニットが「サーモオフ」状態になったことを示す。運転部101は、冷却運転がオンである全ての室内ユニットから「要求レベル0」を有する「要求信号」を受信した後、冷却運転を停止する。これにより、冷却運転に対するユーザの快適性をさらに確保することができる。
【0089】
運転部101は、好ましくは、上述の冷却運転を停止する条件をいずれか1つ、または組み合わせて採用する。
【0090】
<冷却運転の能力増大>
運転部101は、好ましくは、加熱運転を開始する前に冷却運転の能力を増大するように構成されている。能力増大の好ましい例を以下に説明する。
【0091】
例1:運転部101は、好ましくは、給湯要求が発生した後かつ加熱運転が開始される前に、給湯要求発生時に既に冷却運転がオンである全ての室内ユニットにおいて、冷却運転を行うように構成されている。
【0092】
本願において、「冷却運転がオンである室内ユニット」とは、「サーモオフ」状態になった室内ユニット、及び、冷却運転を行っている室内ユニット、のいずれかである。「冷却運転中の室内ユニット」は、「冷却運転がオンである室内ユニット」と同じ意味である。
【0093】
給湯要求が発生した時に、冷却運転中の全ての室内ユニットが既に「サーモオフ」状態になっていたとしても、好ましくは、室内ユニットは強制的に冷却運転させられる。これにより、サーモオフ状態のエリアで強制的に冷却運転が行われ、冷却運転の能力が増大する。給湯要求が発生した時に、冷却運転中の室内ユニットのうちの1つが依然として冷却運転を行っており、他の室内ユニットがサーモオフ状態になっている場合、後者の室内ユニットは強制的に冷却運転させられる。
【0094】
例2:運転部101は、好ましくは、給湯要求が発生した後かつ加熱運転が開始される前に、全ての室内ユニット120a、120bで冷却運転を行うように構成されている。
【0095】
室内ユニット120aのみ冷却運転がオンであり、室内ユニット120bはオフである場合であっても、室内ユニット120aだけでなく、室内ユニット120bも強制的に冷却運転させられる。上述のように、室内ユニット120aが作動中で、既に「サーモオフ」状態になっている場合にも、室内ユニット120aは強制的に冷却運転をさせられる。これにより、システム10の全ての室内ユニットで強制的に冷却運転が行われ、冷却運転の能力が増大する。室内ユニット120bは、給湯要求発生の前に既にオフになっていても、対応エリアにおいて強制的に冷却運転させられる。したがって、冷却運転が既に停止し加熱運転が開始された後であっても、ユーザの適合性をどのエリアにおいても確保することができる。
【0096】
例3:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ給湯要求が発生した後に、回転数を上げるコマンドを出力するよう、圧縮機部105に対し指示するように構成されている。運転部101は、好ましくは、回転数量を増やす所定の値を記憶している。圧縮機部105は、運転部101の指示に基づいてコマンドを生成し、そのコマンドを圧縮機111のモータのドライバに出力する。
【0097】
例4:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ要求が発生した後に、冷却運転を行っている各室内ユニットのサーモオフ温度を下げるコマンドを送信するよう、サーモオフ部106に対し指示するように構成されている。その指示において、好ましくは、対応する室内ユニットの各目標温度に基づき、サーモオフ温度の変化量が特定される。あるいは、運転部101は、好ましくは、サーモオフ温度を所定値だけ下げる。このような所定値は、好ましくは、通常の冷却運転時のサーモオフ温度に対して設定される別の所定値よりも大きい。通常の冷却運転とは、給湯要求に際して冷却運転の能力を増大するために行われる運転以外の冷却運転である。例えば、給湯要求に際して冷却運転の能力を増大する場合、運転部101は、サーモオフ温度を目標温度よりも2度低い温度に設定する。その他の場合、サーモオフ温度は目標温度よりも1度低い温度に設定される。サーモオフ部106は、好ましくは、冷却運転を行っている全ての室内ユニットにそのコマンドを送信する。
【0098】
例5:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ要求が発生した後に、冷却運転を行っている各室内ユニットの回転数の増加量を示すコマンドを送信するよう、ファン部107に対し指示するように構成されている。その指示において、好ましくは、例えば、室外温度、増加量の所定値、および現在の室温と目標温度との差に基づき、回転数の増加量が特定される。ファン部107は、その指示に従ってコマンドを生成し、冷却運転を行っている全ての室内ユニットにそのコマンドを送信する。
【0099】
例6:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ要求が発生した後に、冷却運転を行っている全ての室内ユニット120aに各膨張弁122aの開度を小さくするコマンドを送信するよう、弁部108に対し指示するように構成されている。その指示において、好ましくは、各膨張弁の開度または開度の変化量が識別される。弁部108は、その指示に従ってコマンドを生成し、冷却運転を行っている全ての室内ユニットにそのコマンドを送信する。
【0100】
例7:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ要求が発生した後、コマンドを生成して圧縮機111に出力するよう、圧縮機部105に対し指示するように構成されている。その指示において、圧縮機111の回転数の増加量が、メモリ104内の状態テーブルに記憶されている各「要求レベル」とは独立した所定値によって特定される。言い換えると、冷却運転がオンである室内ユニットがいずれも、冷却運転の能力を増大する「要求レベル」を送信していない場合であっても、圧縮機111の回転数は増加する。これにより、冷却運転の能力が強制的に増大される。
【0101】
運転部101は、冷却運転の能力を増大するために、上述の例をいずれか1つまたは組み合わせて実行してもよい。
【0102】
<室内コントローラ200>
図5は、室内ユニット120aの室内コントローラ200の機能を示すブロック図である。以下の説明は他の室内ユニットにも当てはまる。室内コントローラ200は、運転部201と、受信部202と、更新部203と、メモリ204と、要求部205と、ファン部206と、弁部207とを有する。
【0103】
運転部201は、上述の加熱運転および冷却運転を制御する。
【0104】
受信部202は、室外コントローラ100からコマンドを受信する。受信部202は、入力装置(図示せず)から室内ユニット120aを制御する入力を受信する。受信部202は、温度センサ320によって検知された現在の室温を受信する。
【0105】
更新部203は、受信部202が受信したデータに基づいて、メモリ204に記憶されている状態テーブルを更新する。
図5Bは、室内コントローラ200のメモリ204に記憶されている状態テーブルを示す。状態テーブルは、室外コントローラ100のメモリ104内の状態テーブルに記憶されているデータに加えて、サーモオフ温度を記憶する。室外コントローラ100に記憶されているデータについての説明は、室内コントローラ200に記憶されている共通のデータにも当てはまる。
【0106】
要求部205は、状態テーブルに記憶されているデータに基づいて「要求信号」を生成する。要求部205は、所定の時間間隔で「要求信号」を室外コントローラ100に送信する。「要求信号」は、上述のように、室内ユニットのIDと、好ましくはその室内ユニットの現在の状態を含む。
【0107】
ファン部206は、室外コントローラ100からのファン停止コマンドに従って、対応する室内ファン123aのモータのドライバに、モータを停止する信号を出力する。ファン部206は、入力装置からの入力に従って、対応する室内ファン123aのモータのドライバに、モータの回転数を変更する信号を出力する。
【0108】
弁部207は、運転部201からの指示に従って膨張弁122aの開度を制御する。また、弁部207は、受信部202が受信したデータに従って、対応する膨張弁122aに、膨張弁122aの開度を変更する信号を出力する。受信データは、例えば、室外コントローラ200から送信された特定の開度を指定するコマンドである。
【0109】
<タイムチャート>
図6は、給湯要求によってトリガされる冷却運転から加熱運転への切り換えのタイムチャートの好ましい例を示す。冷却運転中の時間t0に発生した給湯要求により、運転モードが冷却運転から加熱運転に切り換わる。
【0110】
室外コントローラ100の圧縮機部105は、時間t1において、圧縮機111を停止する圧縮機停止コマンドを出力する。ここで、時間t1は、好ましくは時間t0から少し経過した時間である。これにより、圧縮機111は停止し、冷却運転が終了する。圧縮機部105はさらに、時間t1から短い期間Pwが経過した時間t2において、圧縮機111を駆動する第2コマンド(以下、圧縮機起動コマンド)を出力する。
【0111】
室外コントローラ100の運転部101は、切換弁112を冷却運転位置から加熱運転位置へと切り換える切換コマンドを出力する。切換弁112は、圧縮機111が冷却運転のために停止した時間t1の後であって、圧縮機111が再び運転を開始する時間t2の前または遅くとも時間t2に、切り換えられる。切換コマンドは、好ましくは、圧縮機111が再び運転を開始する時間t2と実質的に同時に出力される。これにより、期間Pwの終了時に加熱回路が加熱冷媒回路に切り換えられる。
【0112】
室外コントローラ100のファン部107は、室内ファンを停止するファン停止コマンドを送信する。ファン停止コマンドは、最も早くて時間t1に、遅くとも圧縮機111が再び運転を開始する時間t2までに送信される。好ましくは、ファン停止コマンドは、圧縮機停止コマンドが出力される時間t1と実質的に同時に送信される。ファン停止コマンドは、冷却運転を行っている全ての室内ユニットに送信される。したがって、各室内ユニットのファン部206は、対応する室内ファンを停止する信号を出力する。
【0113】
これにより、室内ユニットの冷却運転がオンになっているエリアにおいて、加熱運転中に温風が吹き出すことがない。
【0114】
<処理の流れ>
<室外コントローラ100のメイン処理>
図7Aおよび
図7Bは、室外コントローラ100によって行われるメイン処理の例を示す。メイン処理は、室外ユニットの電源がオンになると開始される。
【0115】
室外コントローラ100は、給湯コントローラから給湯要求があるか否かを監視する(ステップS1)。給湯要求があった場合、処理はステップS2に進む。
【0116】
室外コントローラ100は、現在の運転モードが冷却運転であるか否かを判定する(ステップS2)。冷却運転であれば、処理はステップS3へ進む。冷却運転でなければ、処理は後述するステップS8へ進む。
【0117】
室外コントローラ100は、冷却運転中の全ての室内ユニットが「サーモオフ」状態になったか否か判定する(ステップS3)。これにより、確実に、冷却運転中の各エリアの現在の室温が目標温度に達した後にのみ、加熱運転を開始することができる。冷却運転中の室内ユニットが全てサーモオフ状態である場合、処理は後述するステップS6に進む。そうでない場合、ステップS4に進む。
【0118】
室外コントローラ100は、ステップS4で増大処理を行う。この増大処理により、現在行われている冷却運転の能力が増大する。これにより、加熱運転の開始前に、冷却運転中の各エリアを急速に冷やすことができる。
【0119】
室外コントローラ100は、冷却運転中の全ての室内ユニットが「サーモオフ」状態になるまで(ステップS3)、あるいは、給湯要求の発生から所定の期間P1が経過するまで(ステップS5)、ステップS4の増大処理を繰り返す。ステップS5により、給湯要求後であっても、冷却運転を有効に維持する最小の期間P1を確保することができる。ステップS3およびS5のいずれか1つで条件が満たされた場合、処理はステップS6に進む。
【0120】
室外コントローラ100は、圧縮機停止コマンドを出力して圧縮機111の回転を停止する(ステップS6)。これにより、冷却運転が終了する。また、室外コントローラ100は、冷却運転がオンになっていた全ての室内ユニットに、室内ファンを停止するファン停止コマンドを送信する(ステップS6)。これにより、後に続く加熱運転中に、冷却運転にオンになっていた室内ユニットから温風が吹き出すことがない。
【0121】
室外コントローラ100は、圧縮機停止コマンドを出力してから所定の期間Pwが経過したか否か判定する(ステップS7)。期間Pwが経過した後、処理はステップS8へ進む。
【0122】
室外コントローラ100は、全ての室内ユニットに、対応する膨張弁をわずかに開いた状態に保つ弁コマンドを送信する(ステップS8)。これにより、後に続けて行われる加熱運転中に、各室内ユニットに少量の冷媒が流れる。したがって、加熱運転中に冷媒が滞留することなく、全量の冷媒が冷媒回路を循環する。
【0123】
圧縮機停止コマンドから期間Pwが経過した後、室外コントローラ100は、切換弁112を加熱運転の状態に切り換え、圧縮機111のモータの駆動を開始する(ステップS9)。これにより、加熱運転が開始される。加熱運転中に給湯が行われ、貯湯タンク133に貯留されている水が加熱される。
【0124】
室外コントローラ100は、任意の目標温度と室外温度との差が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS10)。いずれかのエリアにおいて、その差が閾値よりも大きくなった時が、冷却運転を再開する時である。差が閾値よりも大きい場合、処理はステップS11に進む。
【0125】
室外コントローラ100は、圧縮機111のモータの回転を停止する(ステップS11)。これにより、加熱運転および給湯が終了する。
【0126】
室外コントローラ100は、切換弁112を冷却運転の状態に切り換え、圧縮機111のモータを駆動して冷却運転を再開する(ステップS12)。
【0127】
室外ユニットコントローラ100は、室外ユニットの電源がオフになるまで、上述のステップS1からステップS12を繰り返す(ステップS13)。
【0128】
以上の処理の流れは例であり、これに限定されない。例えば、別の実施形態では、冷却運転を停止する条件は、ステップS3およびステップS5のいずれか一方あっても、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0129】
別の実施形態では、ステップS4の増大処理は省略されてもよい。
【0130】
加熱運転を中止する条件として、ステップ10の代わりに、いずれかの現在の室温と対応する目標温度との差を用いてもよい。
【0131】
<室外コントローラ100の増大処理>
図8は、
図7A、7Bのメイン処理中に、室外コントローラ100によって行われる増大処理の流れの例を示す。メイン処理のステップS4において、室外コントローラ100は、給湯要求後の時点で行われている冷却運転の能力を増大させる増大処理を行う。
【0132】
室外コントローラ100は、冷却運転を行っている各室内ユニットそれぞれのサーモオフ温度を下げるコマンドを送信する(ステップS41)。
【0133】
室外コントローラ100は、冷却運転を行っている各室内ユニットの室内ファンの回転数を上げるコマンドを送信する(ステップS42)。これにより、各室内ユニットからの風量が増加する。
【0134】
室外コントローラ100は、冷却運転を行っている各室内ユニットの膨張弁をわずかに閉めるコマンドを送信する(ステップS43)。これにより、各室内ユニットの蒸発温度が低くなり、冷却運転の能力が増大する。
【0135】
室外コントローラ100は、冷却運転を行っているいずれか1つの室内ユニットから、冷却運転の増大が要求されているか否かを判定する(ステップS44)。この判定は、メモリ104の状態テーブルに保存されている各室内ユニットの「要求レベル」に基づいて行われる。もし、増大が要求されている場合、処理はステップS45に進む。そうでない場合には、処理はステップS46へ進む。
【0136】
室外コントローラ100は、メモリ104内の状態テーブルの最も高い要求レベルに従って、圧縮機111の回転数を上げる(ステップS45)。
【0137】
室外コントローラ100は、所定のステップ増加幅に基づいて圧縮機111の回転数を上げる(ステップS46)。これにより、冷却運転中の室内ユニットがいずれも冷却運転の能力増大を要求していない場合であっても、冷却運転の能力が増大する。
【0138】
ステップS41からステップS46の順序は、上述したものに限定されない。ステップS41からステップS46のうちのいずれか1つ、またはそれ以上のステップが省略されてもよい。
【0139】
<室内コントローラ200のメイン処理>
図9は、室内コントローラ200によって行われるメイン処理の例を示している。室内のメイン処理は、室内ユニットの電源がオンになると開始される。
【0140】
室内コントローラ200は、室外コントローラ100から送信される現在の運転を所定の時間間隔で監視する(ステップS201)。現在の運転モードを受信すると、この処理はステップS202へ進む。
【0141】
室内コントローラ200は、現在の運転が冷却運転から加熱運転に切り換わるか否かを判定する(ステップS202)。加熱運転に切り換わる場合、処理はステップS203に進む。そうでない場合、この処理はステップS201に戻る。
【0142】
室内コントローラ200は、室外コントローラ100からのコマンドに従って、現在行っている冷却運転の能力を増大する(ステップS203)。例えば、室内コントローラ200は、コマンドに基づいて、対応する室内ファンの回転数、サーモオフ温度、および/または対応する膨張弁の開度を変更する。
【0143】
室内コントローラ200は、室外コントローラ100から、対応する室内ファンを停止するファン停止コマンドを受信する。室内コントローラ200は、ファン停止コマンドに従って、対応する室内ファンを停止する(ステップS204)。これにより、後に続けて行われる加熱運転中に室内ユニットから温風が吹き出すことがない。
【0144】
室内コントローラ200は、室外コントローラ100からの弁コマンドを受信し、その弁コマンドに従って、対応する膨張弁の開度を制御する(ステップS205)。これにより、確実に、加熱運転中に全量の冷媒を冷媒回路内で循環させることができる。
【0145】
室内コントローラ200は、室内ユニットの電源がオフになるまで(ステップS206)、上述のステップ201からステップ205を繰り返す。
【0146】
上述の室内コントローラ200のメイン処理において、室外コントローラ100のメイン処理で増大処理が行われない場合は、ステップ203を省略してもよい。
【0147】
<変形例>
以下は、本発明のシステムに係る他の好ましい実施形態である。
【0148】
<変形例1>
図10は、上述の実施形態のシステム10の変形例に係るシステム10’を示す。システム10’は、各室内ユニットまたは給湯ユニットにそれぞれ対応する膨張弁が、室外ユニットに配置されている点でシステム10と相違する。
図1および
図10中、システム10とシステム10’において同じ参照符号で表す構成要素は、同じまたは対応する機能を有する。よって、システム10とシステム10’の相違点のみを以下に説明する。システム10とシステム10’に共通の構成要素および/または機能については、上述のシステム10についての説明を参照することができる。
【0149】
図10のシステム10’は、互いに接続されている、室外ユニット110’と、少なくとも1つの室内ユニット120a’、120b’と、給湯ユニット130’とを有する。システム10’の各ユニットは互いに、システム10と同じように接続されている。
【0150】
室外ユニット110’は、各室内ユニット120a’、120b’および給湯ユニット130’のためにそれぞれ配置された膨張弁122a、122b、132を有する。各膨張弁122a、122b、132の構造は、システム10の膨張弁と同じである。各膨張弁122a、122b、132とシステム10’の他の構成要素との接続は、システム10の膨張弁と同じである。
【0151】
室外ユニット110’は室外コントローラ100’を有する。室外コントローラ100’は、システム10の室外コントローラ100と同じ機能を有し、さらに各膨張弁122a、122b、132の開度を制御する機能を有する。
【0152】
各室内ユニット120a’、120b’は室内コントローラ200’を有する。室内コントローラ200’は、対応する膨張弁を制御する機能を除いて、システム10の室内コントローラ200と同じ機能を有する。
【0153】
給湯ユニット130は、給湯コントローラ300’を有する。給湯コントローラ300’は、対応する膨張弁を制御する機能を除いて、システム10の給湯コントローラ300と同じ機能を有する。
【0154】
<変形例2>
室外コントローラ100、100’、各室内コントローラ200、200’、および給湯コントローラ300の機能を、上述のシステム10、10’とは異なるように割り当ててもよい。例えば、室内コントローラ200、200’によって行われる制御の一部は、代わりに、対応する室外コントローラ100、100’により行われてもよいし、またその逆でもよい。システム10、10’のいずれかの構成要素の制御を、所定の条件に従って、室外コントローラ100、100’と室内コントローラ200、200’とで取り換えてもよい。
【0155】
例えば、室外コントローラ100、100’が、膨張弁122a、122b、132を制御するコマンドを生成し、そのコマンドを膨張弁122a、122b、132に直接送信してもよい。同様に、室外コントローラ100、100’は、室内ファン123a、123bを制御するコマンドを生成し、そのコマンドを室内ファン123a、123bに直接送信してもよい。冷却運転中の給湯要求後、後に続く加熱運転終了までは、室外コントローラ100,100’によって膨張弁122a、122b、132および室内ファン123a、123bを制御することが好ましい。
【0156】
通常運転期間の間は、膨張弁122a、122b、132および室内ファン123a、123bが、対応する室内コントローラ200または給湯コントローラ300によって独立して制御されることがさらに好ましい。通常運転期間とは、「冷却運転中の給湯要求後、かつ冷却運転の後に続いて行われる加熱運転の終了まで」の期間を除く期間である。
【0157】
選抜された実施形態のみを選んで本発明の説明を行ったが、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更な修正が行われうることは、当業者にとってこの開示から明らかであろう。例えば、特に明記しない限り、様々な構成要素の大きさ、形状、位置または姿勢は、それらの意図された機能に実質的に影響しない限り、必要および/または所望に応じて変更され得る。特に明記しない限り、互いに直接接続または接触するように示される構成要素は、それらの意図された機能に実質的に影響を及ぼさない限り、それらの間に配置される中間構造を有してもよい。特に明記しない限り、1つの構成要素の機能は2つの構成要素によって行われてもよく、またその逆であってもよい。一実施形態の構造および機能を、別の実施形態で採用してもよい。特定の実施形態において存在する全ての利点が同時に存在する必要はない。よって、以上の本発明に係る実施形態の説明は、例示のためにのみ提供されている。