(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】USP30の阻害剤としての活性を有するシアノピロリジン誘導体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/407 20060101AFI20220608BHJP
C07D 498/04 20060101ALI20220608BHJP
C07D 417/12 20060101ALI20220608BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20220608BHJP
C07D 403/12 20060101ALI20220608BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20220608BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20220608BHJP
A61K 31/427 20060101ALI20220608BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220608BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20220608BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220608BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220608BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220608BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220608BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220608BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220608BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220608BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220608BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220608BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220608BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220608BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220608BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20220608BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220608BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220608BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A61K31/407
C07D498/04 112Q
C07D417/12 CSP
C07D401/12
C07D403/12
A61K31/5383
C07D487/04 137
A61K31/427
A61K31/4439
A61K31/4184
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P25/00
A61P35/02
A61P43/00
A61P27/02
A61P3/10
A61P9/00
A61P3/00
A61P25/18
A61P25/28
A61P21/00
A61P25/16
A61P21/02
A61P25/14
A61P9/10
C07D471/04 102
(21)【出願番号】P 2019517227
(86)(22)【出願日】2017-10-02
(86)【国際出願番号】 GB2017052949
(87)【国際公開番号】W WO2018060742
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-10-01
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517299582
【氏名又は名称】ミッション セラピューティクス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】マーティン リー ストックリー
(72)【発明者】
【氏名】マーク イアン ケンプ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー マディン
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/061247(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/004272(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/065226(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/046530(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/041111(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/054555(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/129370(WO,A1)
【文献】国際公開第01/077073(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリア機能不全又は癌に関する障害又は状態の治療における使用のための、式(I)の化合物:
【化1】
、その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物であって、式中、
R
aは、水素、シアノ及びC
1~C
3アルキルから選択され、
R
b、R
c、R
d及びR
eは、各々独立して、水素及びC
1~C
3アルキルから選択され、
R
f及びR
gは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C
1~C
3アルキル及びC
1~C
3アルコキシから選択され、
R
1は、水素及びC
1~C
3アルキルから選択され、あるいはR
1は、R
gと結合して、構造(IA)を形成し、
【化2】
nは、0又は1であり、
Xは、O、N(R
h)及びC(R
i)(R
j)から選択され、
x位及びy位は、非置換であってもよいし、又は各々、C
1~C
3アルキルによって独立して置換されてもよく、
R
hは、水素、C
1~C
3アルキル、C(O)C
1~C
3アルキル、及び3~6員の単環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環から選択され、
R
i及びR
jは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、及び3~6員の単環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環から選択され、
XがO又はN(R
h)である場合、R
fはフルオロ又はC
1~C
3アルコキシではなく、
R
2は、アリール、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~10員の単環式又は二環式ヘテロアリールから選択され、ここでR
2は、非置換であるか、又は1~4個の同じでも若しくは異なってもよいQ
1a及びQ
1b-R
3から選択される基で置換されており、
Q
1aは、ハロ、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ及びC
1~C
3ハロアルコキシから選択され、
Q
1bは、共有結合であり、
R
3は、フェニル、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式ヘテロアリールから選択され、
ここでR
3は、非置換であってもよいし、又は各々、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、CF
3及びOCF
3から独立して選択される1~3個の置換基で置換されてもよく、
前記ミトコンドリア機能不全に関する障害又は状態が、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、虚血症、脳卒中、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、α-シヌクレイン、パーキン及びPINK1の変異に関連するパーキンソン病、及びパーキンが変異している常染色体劣性若年性パーキンソン病から選択される神経変性疾患;多発性硬化症;ミトコンドリア脳症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群;レーベル遺伝性視神経症;ダノン病;糖尿病;糖尿病性腎症;代謝障害;心不全;心筋梗塞を引き起こす虚血性心疾患;精神疾患;統合失調症、多発性スルファターゼ欠損症;ムコリピドーシスII;ムコリピドーシスIII;ムコリピドーシスIV;GMI-ガングリオシドーシス;神経セロイドリポフスチン症;アルパーズ病;バース症候群;ベータ酸化欠損;カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症;カルニチン欠乏症;クレアチン欠乏症候群:コエンザイムQ10欠損症:複合体I欠損症;複合体II欠損症複合体III欠損症;複合体IV欠損症;複合体V欠損症;COX欠損症;慢性進行性外眼筋麻痺症候群;CPT I欠損症;CPT II欠損症;グルタル酸尿症II型;カーンズ・セイヤー症候群;乳酸アシドーシス;長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症;リー病又は症候群;致死性小児心筋症;ルフト病;中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症;ミオクローヌスてんかん症候群・赤色ぼろ線維症候群;ミトコンドリア細胞変性;ミトコンドリア劣性運動失調症候群;ミトコンドリアDNA枯渇症候群;筋神経胃腸障害及び脳症;ピアソン症候群;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症;ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;POLG変異;中/短鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症;極長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症;認知機能及び筋力の年齢依存性の低下から選択され、そして
前記癌が、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、メラノーマ、骨腫瘍、組織器官の癌、血液細胞の癌、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、大腸癌、非小細胞肺癌、アポトーシス経路が調節不全である癌、及びBCL-2ファミリーのタンパク質が変異している又は過剰発現若しくは過少発現している癌から選択される、医薬組成物。
【請求項2】
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、R
i及びR
jは、各々独立して、水素及びメチルから選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、R
i及びR
jは、各々、水素である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
R
1は、水素及びメチルから選択される、請求項1~3の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
式中、R
1は、R
gと結合して、構造(IA)を形成し、
nは、0又は1であり、
Xは、O、N(R
h)及びC(R
i)(R
j)から選択され、
x位及びy位は、非置換であってもよいし、又は各々、メチルによって独立して置換されてもよく、
R
hは、水素、メチル及びアセチルから選択され、
R
i及びR
jは、各々独立して、水素及びメチルから選択される、
請求項1~3の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
Xは、O及びCH
2から選択され、
x位及びy位は、非置換である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
R
2は、ベンゾイミダゾリル,ベンゾチアゾリル、フェニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルから選択され、R
2は、非置換であるか、又は1~2個の同じでも若しくは異なってもよいQ
1a及びQ
1b-R
3から選択される基で置換された、請求項1~6の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
R
3は、非置換であるか、又はシアノで置換された、請求項1~7の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1-フェニルヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(6-フェニルピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(6-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(4-フェニルピリジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(5-フェニルピリジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(6-フェニルピリジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(4-フェニルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(3aS,6aS)-1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aR)-4-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-カルボニトリル、
3-((5-フェニルチアゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル、
3-(メチル(5-フェニルチアゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル、
3-(メチル(5-フェニルピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル、
(3aR,6aR)-1-(6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル、
2-((3aR,6aR)-5-シアノヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル、
(3aR,6aR)-1-(6-メトキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル、
(R)-3-(メチル(6-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(2’-シアノ-[3,4’-ビピリジン]-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aS,7aR)-4-(6-(2-シアノピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(6-(2-シアノピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピリジン-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピラジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(4-シアノ-[2,3’-ビピリジン]-6’-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
及び
rac-(4aR,7aS)-4-(6-シアノ-[2,3’-ビピリジン]-6’-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
から選択される化合物、それらの互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項10】
(IA)の化合物:
【化3】
、その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩(式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、X、n、x、y及びR
2は、請求項1~8の何れか一項に規定される通りである)。
【請求項11】
R
2は、アリール、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式又は9~10員の二環式ヘテロアリール環から選択され、
R
2は、非置換であるか、又は
(i)ハロ、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、及びC
1~C
3ハロアルコキシ、並びに
(ii)フェニル、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式ヘテロアリール(ここで、フェニル又はヘテロアリール環は、非置換であるか、又は
フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、CF
3
及びOCF
3
から選択される基で置換される)
から選択される基で置換された、請求項10に記載の式(IA)の化合物。
【請求項12】
R
2は、非置換であるか、又は窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式若しくは9~10員の二環式ヘテロアリール環で置換された、請求項11に記載の式(IA)の化合物。
【請求項13】
R
2は、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル及びフェニルから選択され、R
2は、非置換であるか、又はフルオロ、シアノ、メトキシ、CF
3、OCF
3、フェニル、ピリジニル、シアノフェニル及びシアノピリジニルから選択される1個の基によって置換された、請求項11又は12に記載の式(IA)の化合物。
【請求項14】
(IIA)(i)、(IIB)(i)及び(IIC)(i)から選択される請求項10~13の何れか一項に記載の式(IA)の化合物:
【化4】
【化5】
【化6】
、その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項15】
(IB)の化合物:
【化7】
、その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩(式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、及びR
2は、請求項1~8の何れか一項に規定される通りであり、R
1は、水素及びC
1~C
3アルキルから選択される)。
【請求項16】
R
2は、アリール、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式又は9~10員の二環式ヘテロアリール環から選択され、非置換であるか、又は
(i)ハロ、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ及びC
1~C
3ハロアルコキシ、並びに
(ii)フェニル、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式ヘテロアリール(ここで、フェニル又はヘテロアリール環は、非置換であるか、又は
フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、CF
3
及びOCF
3
から選択される基で置換される)
から選択される基で置換された、請求項15に記載の式(IB)の化合物。
【請求項17】
R
2は、非置換であるか、又は窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式若しくは9~10員の二環式ヘテロアリール環で置換された、請求項16に記載の式(IB)の化合物。
【請求項18】
R
2は、ベンゾイミダゾリル、ピリジニル及びチアゾリルから選択され、R
2は、非置換であるか、又はフルオロ、シアノ、メトキシ、CF
3、OCF
3、フェニル、ピリジニル、シアノフェニル及びシアノピリジニルから選択される1個の基によって置換されている、請求項17に記載の式(IB)の化合物。
【請求項19】
(IB)(i)である請求項15~18の何れか一項に記載の式(IB)の化合物:
【化8】
、その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項20】
医薬として使用するための請求項9~19の何れか一項に記載の化合物。
【請求項21】
請求項9~19の何れか一項に記載の化合物を1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱ユビキチン化酵素、特にユビキチンC末端加水分解酵素30又はユビキチン特異的ペプチダーゼ30(USP30)の阻害剤としての活性を有する置換シアノピロリジン類、その使用、その調製方法、及び該阻害剤を含有する組成物に関する。これらの阻害剤は、癌及びミトコンドリア機能不全を伴う状態を含む様々な治療分野において有用性を有する。
【背景技術】
【0002】
ユビキチンは、細胞におけるタンパク質機能の調節に重要な76個のアミノ酸からなる小さなタンパク質である。ユビキチン化及び脱ユビキチン化は、ユビキチンが共有結合され又は脱ユビキチン化酵素(DUB)によって標的タンパク質から切断される、酵素媒介プロセスであり、そのうちの約95種のDUBはヒト細胞中に存在し、配列相同性に基づいてサブファミリーに分けられる。USPファミリーは、そのDUB活性にとって重要なCys及びHis残基を含む共通のCys及びHisボックスによって特徴付けられる。ユビキチン化及び脱ユビキチン化プロセスは、細胞周期の進行、アポトーシス、細胞表面受容体の修飾、DNA転写及びDNA修復の調節を含む、多くの細胞機能の調節に関与している。したがって、ユビキチンシステムは、炎症、ウイルス感染、代謝機能不全、CNS障害及び発癌を含む多くの病状の病因に関与している。
【0003】
ユビキチンは、ミトコンドリア動態のマスターレギュレーターである。ミトコンドリアは動的オルガネラであり、その生合成、融合及び分裂事象は、ミトフシンなどの多くの重要な因子のユビキチン化を介する翻訳後調節によって調節される。パーキン(parkin)などのユビキチンリガーゼが多くのミトコンドリアタンパク質をユビキチン化することは既知であるが、最近まで、脱ユビキチン化酵素はあまり理解されていなかった。USP30は、ミトコンドリア外膜に見出される517個のアミノ酸タンパク質である(Nakamura et al., Mol Biol 19:1903-11,2008)。それはミトコンドリアアドレッシングシグナル(addressing シグナル)を有する唯一の脱ユビキチン化酵素であり、多くのミトコンドリアタンパク質を脱ユビキチン化することが示されている。USP30がパーキン媒介性のマイトファジーを妨害すること、及びUSP30活性の低下によってマイトファジーにおけるパーキン媒介性の欠陥が救済され得ることが実証されている。
【0004】
ミトコンドリア機能不全は、ミトコンドリア含量の減少(マイトファジー又はミトコンドリア生物発生)として、ミトコンドリア活性及び酸化的リン酸化の減少として、さらには活性酸素種(ROS)の生成の調節として定義することができる。したがって、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症)、癌、糖尿病、代謝障害、心血管疾患、精神疾患(例えば、統合失調症)及び変形性関節症を含むがこれらに限定されない、非常に多くの老化及び病理におけるミトコンドリア機能不全において役割を有する。
【0005】
例えば、パーキンソン病は、世界中で約1000万人が罹患しており(パーキンソン病財団)、黒質のドーパミン作動性ニューロンが喪失することを特徴としている。PDの根底にある正確なメカニズムは不明であるが、ミトコンドリア機能不全は、PDにおけるドーパミン作動性ニューロン感受性の重要な決定因子としてますます認識されており、家族性及び散発性疾患の両方並びに毒素誘発性パーキンソニズムの特徴である。パーキンは、早期発症PDと関係があるとされる多くのタンパク質のうちの1つである。ほとんどのPD症例はα-シヌクレインの欠陥と関連しているが、パーキンソン症例の10%は特定の遺伝子欠陥と関連しており、そのうちの1つはユビキチンE3リガーゼパーキンにある。パーキン及びプロテインキナーゼPTEN誘導性推定キナーゼ1(PINK1)は、損傷したミトコンドリアのミトコンドリア膜タンパク質をユビキチン化するように共同して働き、マイトファジーをもたらす。マイトファジーの調節不全は酸化ストレスの増加をもたらし、これはPDの特徴として説明されている。したがって、USP30の阻害は、PDの治療のための潜在的な戦略となり得る。例えば、活性低下を引き起こすパーキン変異を有するPD患者は、USP30の阻害によって治療的に補償され得る。
【0006】
USP30の枯渇は、ミトコンドリアのマイトファジークリアランス(mitophagic clearance)を促進し、またパーキン誘導性の細胞死を促進することも報告されている。USP30はまた、パーキンの過剰発現とは独立してBAX/BAK依存性アポトーシスを調節することが示されている。USP30の枯渇は、パーキン過剰発現を必要とせずに、ABT-737などのBH-3模倣物に対して癌細胞を感作する。このようにUSP30について抗アポトーシスの役割が実証されており、したがってUSP30は抗癌治療のための潜在的な標的である。
【0007】
ユビキチン-プロテアソームシステムは、多発性骨髄腫の治療のためのプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))の認可後、癌治療のための標的として関心を集めている。ボルテゾミブによる長期治療は、それに伴う毒性及び薬剤耐性によって制限される。しかしながら、DUBなど、プロテアソーム上流におけるユビキチン-プロテアソーム経路の特定の態様を標的とする治療戦略は、より良好に許容されると予測される(Bedford et al.,Nature Rev 10:29-46,2011)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、USP30の阻害の必要が示される症状の治療のために、USP30の阻害剤である化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一連のシアノ置換複素環は、PCT出願の国際公開第2016/046530号パンフレット、国際公開第2016/156816号パンフレット、国際公開第2017/009650号パンフレット、国際公開第2017/093718号パンフレット、国際公開第2017/103614号パンフレット及び国際出願PCT/GB2017/050830号明細書において脱ユビキチン化酵素阻害剤として開示されている。Falgueyret et al.,J.Med.Chem.2001,44,94-104及びPCT出願の国際公開第01/77073号パンフレットは、骨粗鬆症及び他の骨再吸収関連状態の治療において潜在的な有用性を有する、カテプシンK及びLの阻害剤としてのシアノピロリジンに言及している。PCT出願の国際公開第2015/179190号パンフレットは、潰瘍性大腸炎及びクローン病の治療において潜在的な有用性を有する、N-アシルエタノールアミン加水分解酸アミダーゼ阻害剤について言及している。PCT出願の国際公開第2013/030218号パンフレットは、癌、神経変性疾患、炎症性疾患及びウイルス感染症の治療における潜在的な有用性を有する、ユビキチン特異的プロテアーゼ、例えば、USP7の阻害剤としてのキナゾリン-4-オン化合物に言及している。PCT出願の国際公開第2014/068527号パンフレット、国際公開第2014/188173号パンフレット、国際公開第2015/017502号パンフレット、国際公開第2015/061247号パンフレット、国際公開第2016/019237号パンフレット及び国際公開第2016/192074号パンフレットは、自己免疫疾患、炎症性疾患、及び癌などの疾患の治療において潜在的な有用性を有する、ブルトン型チロシンキナーゼの阻害剤に関する。PCT出願の国際公開第2009/026197号パンフレット、国際公開第2009/129365号パンフレット、国際公開第2009/129370号パンフレット及び国際公開第2009/129371号パンフレットは、COPDの治療において潜在的な有用性を有するカテプシンCの阻害剤としてのシアノピロリジンに言及している。米国特許出願公開第2008/0300268号明細書は、チロシンキナーゼ受容体PDGFRの阻害剤としての多環芳香族化合物に言及している。
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、USP30の阻害が哺乳動物において有益な効果を生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療における使用のための、式(I)の化合物:
【0011】
【0012】
、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Raは、水素、シアノ及び任意選択的に置換されたC1~C3アルキルから選択され、あるいはRaは、Rg又はRbと結合して、任意選択的に置換されたC3~C4シクロアルキル環を形成し、
Rb、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル及び1個以上のスピロ環基から選択され、RbはRcと結合して、若しくはRdはReと結合して、又はRbはRaと結合して、任意選択的に置換されたC3~C4シクロアルキルを形成し、あるいはReはRfと結合して、任意選択的に置換されたC3~C4シクロアルキルを形成し、
Rf及びRgは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシ及びスピロ環基から選択され、Rf及びRgは結合して又はRfはReと結合して、任意選択的に置換されたC3~C4シクロアルキルを形成し、あるいはRgはRaと結合して、任意選択的に置換されたC3~C4シクロアルキルを形成し、
R1は、水素及び任意選択的に置換されたC1~C3アルキルから選択され、あるいはR1はRgと結合して、構造(IA)を形成し、
【0013】
【0014】
nは、0又は1であり、
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
x位及びy位は、任意選択的に置換されてもよく、
Rhは、水素、C(O)R’、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、及び任意選択的に置換された3~6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環から選択され、
R’は、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、及び任意選択的に置換された3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環から選択され、
Ri及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシ、及び任意選択的に置換された3~6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環から選択され、
XがO又はN(Rh)の場合、Rfはフルオロ又は任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシではなく、
R2は、非置換であってもよいし又は1個以上の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R3)m基で置換されてもよい、5~10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール若しくはアリール環であり、
mは、0又は1であり、
Q1は、Q1a又はQ1bから選択され、
Q1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR6、NR6R7、CONR6R7、C0~C3-アルキレン-NR6COR7、NR6CONR7R8、COR6、C(O)OR6、SO2R6、SO2NR6R7、NR6SO2R7、NR6SO2NR7R8、NR6C(O)OR7、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ、及び任意選択的に置換されたC2~C6アルケニルから選択され、
Q1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR9、SO、SO2、CO、C(O)O、C0~C3アルキレン-C(O)NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレン-NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレン-NR6C(O)-C0~C3アルキレン、NR6CONR7、SO2NR6、NR6SO2、NR6SO2NR7、NR6C(O)O、NR6C(O)OR9、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン、及び任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンから選択され、
R3は、3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環であり、
R6、R7及びR8は、各々独立して、水素及び任意選択的に置換されたC1~C6アルキルから選択され、
R9は、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレンであり、
R3は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、Q2a-R13、Q2a-O-Q2b-R13、Q2a-S-Q2b-R13、Q2a-SO-Q2b-R13、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10CONR11-Q2a-R13、Q2a-NR10R11、Q2a-NR10-Q2b-R13、Q2a-COR10、Q2a-CO-Q2b-R13、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10CO-Q2b-R13、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-NR10C(O)O-Q2b-R13、Q2a-SO2R10、Q2a-SO2-Q2b-R13、Q2a-CONR10R11、Q2a-CONR10-Q2b-R13、Q2a-CO2R10、Q2a-CO2-Q2b-R13、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-SO2NR10-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2R11、Q2a-NR10SO2-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2NR11R12、及びQ2a-NR10SO2NR11-Q2b-R13から各々独立して選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、
Q2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン、及び任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンから選択され、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素及び任意選択的に置換されたC1~C6アルキルから選択され、
R13は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたシクロアルキルから選択される。
【0015】
以下の定義及び説明は、明細書及び特許請求の範囲の両方を含むこの文書全体を通して使用されている用語に対するものである。本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)の化合物)への言及は、その任意の準一般的な実施形態、例えば、式II、IIA、IIB、IIC及びIIDを含む、式(I)への言及を含む。
【0016】
特に別段の定めがない限り、置換された、という用語は、1個以上の定義された基によって置換されていることを意味する。基が2個以上の選択肢から選択してもよい場合、選択される基は同じでも又は異なってもよい。この用語は、2個以上の置換基が2個以上の可能な置換基から選択される場合、それらの置換基は同じでも又は異なってもよいことを独立して意味する。
【0017】
特に別段の定めがない限り、対応する二価基を含む、アルキル、アルケニル及びアルコキシ基は、直鎖状又は分枝状でもよく、1~6個の炭素原子、典型的には1~4個の炭素原子を含んでもよい。アルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル及びヘキシルが含まれる。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ及びn-ブトキシが含まれる。
【0018】
「Cx~Cyアルキル」とは、直鎖状又は分枝状でもよい、x~y個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素基を指す。例えば、C1~C6アルキルは、1~6個の炭素原子を含み、C-1、C2、C3、C4、C5及びC6を含む。「分枝状」とは、少なくとも1個の炭素分岐点が基の中に存在することを意味する。例えば、tert-ブチル及びイソプロピルは両方とも分枝基である。C1~C6アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びn-ヘキシルが含まれる。Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、R’、Ri、Rj、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12、Q1aの定義内及びR3の置換基の定義内のC1~C6アルキル、C1~C4アルキル及びC1~C3アルキルは、非置換であってもよいし、又は本明細書で定義される1個以上の置換基で置換されていてもよい。したがって、置換されたC1~C6アルキルの例には、CF3、CH2CF3、CH2CN、CH2OH及びCH2CH2OHが含まれる。
【0019】
「Cx~Cyアルキレン」基又は部分は、直鎖状又は分枝状であってもよく、上記で定義したCx~Cyアルキルから1個少ない水素原子を有する二価炭化水素基をいう。C1~C6アルキレンは、酸素などの介在するヘテロ原子を含んでもよく、したがってアルキレンオキシ基を含む。本明細書で使用されるアルキレンオキシはまた、酸素原子(例えば、単一の酸素原子)がアルキレン鎖内に位置している実施形態に及ぶ(例えば、CH2CH2OCH2又はCH2OCH2)。C1~C6アルキレン基の例には、メチレン、メチレンオキシ、エチレン、エチレンオキシ、n-プロピレン、n-プロピレンオキシ、n-ブチレン、n-ブチレンオキシ、メチルメチレン及びジメチルメチレンが含まれる。特に明記しない限り、R9、Q1b、Q2a、及びQ2bの定義内のC1~C6アルキレン、C1~C4アルキレン及びC1~C3アルキレンは、非置換であってもよいし、又は本明細書で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0020】
「C2~C6アルケニル」は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個の二重結合を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖基を意味し、C2~C4アルケニルを含む。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-メチル-1-プロペニル、1,2-ブタジエニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル及び1-ヘキサジエニルが含まれる。特に明記しない限り、Q1aの定義内及びR3の置換基の定義内のC2~C6アルケニルは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0021】
「C2~C6アルケニレン」とは、上記で定義したC2~C6アルケニルから1個少ない水素原子を有する直鎖状又は分枝状炭化水素基を指す。C2~C6アルケニレンの例には、エテニレン、プロペニレン及びブテニレンが含まれる。特に明記しない限り、Q1b、Q2a、Q2bの置換基の定義内のC2~C6アルケニレン及びC2~C4アルケニレンは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0022】
「C2~C6アルキニル」とは、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個の三重結合を含有する直鎖状又は分枝状炭化水素鎖基を指す。アルケニル基の例には、エチニル、プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル及び1-ヘキシニルが含まれる。別段の定めがない限り、R3の置換基の定義内のC2~C6アルキニルは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0023】
「C1~C6アルコキシ」とは、上記のCx~Cyアルキルの定義に従ったO-Cx~Cyアルキル基を有する基又は基の一部を指す。C1~C6アルコキシは1~6個の炭素原子を含み、C-1、C2、C3、C4、C5及びC6を含む。C1~C6アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペントキシ及びヘキソキシが含まれる。本明細書で使用されるアルコキシはまた、酸素原子(例えば単一の酸素原子)がアルキル鎖内に位置している実施形態にわたって及ぶ(例えば、CH2CH2OCH3又はCH2OCH3)。したがって、アルコキシは炭素を介して分子の残部に結合することができ(例えば、CH2CH2OCH3)、あるいはアルコキシは酸素を介して分子の残部に結合することができる(例えば、OC1~6アルキル)。一例において、アルコキシは酸素を介して分子の残部と結合するが、アルコキシ基はさらなる酸素原子を含む(例えば、OCH2CH2OCH3)。別段の定めがない限り、Rf、Rg、Ri、Rj、Q1aの定義内及びR3の置換基の定義内のC1~C6アルコキシ及びC1~C3アルコキシは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。したがって、置換されたC1~C6アルコキシの例には、OCF3、OCHF2、OCH2CF3、CH2CH2OCH3及びCH2CH2OCH2CH3が含まれる。
【0024】
ハロという用語は、クロロ、ブロモ、フルオロ又はヨード、特に、クロロ又はフルオロを指す。ハロアルキル及びハロアルコキシ基は、1個以上のハロ置換基を含むことができる。例は、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシである。「オキソ」との用語は、=Oを意味する。「ニトロ」との用語は、NO2を意味し、SF5(ニトロの既知の模倣物)を含む。
【0025】
本明細書に開示され、かつRa、Rb、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、R’、R2、R3及びR13の定義内のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリール環は、単環式又は二環式であってもよい。二環系には、架橋、縮合及びスピロ環系が含まれる。特に、二環系は縮合環系である。置換基が存在する場合は、炭素原子、又はヘテロアリール及び複素環系の場合にはヘテロ原子であり得る任意の好適な環原子に結合し得る。
【0026】
「シクロアルキル」とは、全ての環原子が炭素であり、示された数の環原子を有する、単環式飽和又は部分不飽和非芳香族環を指す。例えば、C3~C10シクロアルキルは、3~10個の炭素原子を含有する単環式又は二環式炭化水素環を指す。C3~C10シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びデカヒドロナフタレニルである。二環式シクロアルキル基には、ビシクロヘプタン及びビシクロオクタンなどの架橋環系が含まれる。別段の定めがない限り、Ra、Rb、Re、Rf、Rg、Rh、R’、Ri、Rj、R3、R13の定義内のシクロアルキルは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0027】
「アリール」基/部分とは、少なくとも1個の芳香族基を含み、5~10個の炭素原子の環員を有する、任意の単環式又は二環式炭化水素基を指す。アリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。二環は、両方の環が芳香族である縮合芳香族環、例えばナフタレニルであり得る。好ましいアリール基は、フェニル及びナフチル、より好ましくはフェニルである。別段の定めがない限り、Rh、R’、Ri、Rj、R2、R3及びR13の定義内のアリールは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0028】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択される少なくとも1個から5個以下のヘテロ原子、特に1、2又は3個のヘテロ原子を含有する、多不飽和、単環式又は二環式の5~10員の芳香族部分を意味し、当業者に既知の安定な組合せでは、残りの環原子は炭素原子である。ヘテロアリール環の窒素原子及び硫黄原子は任意選択的に酸化され、窒素原子は任意選択的に四級化される。ヘテロアリール環は、単一の芳香族環又は縮合した二環であることができ、該二環系は芳香族であることができ、又は縮合環の一方が芳香族であり、他方が少なくとも部分的に飽和である。環の一方が芳香族であり、他方が少なくとも部分的に飽和である縮合環の例には、テトラヒドロピリドピラジニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルが含まれる。そのような場合、シアノピロリジンコアに関して、二環が基の置換基である該基への二環の結合、例えばシアノピロリジンコアに直接結合しているアミンへの二環の結合は、二環の芳香族環を介する。特定の例において、二環式ヘテロアリールは、縮合環系全体が芳香族であるものである。二環式ヘテロアリールは、縮合環のいずれかにおいて少なくとも1個のヘテロ原子を有することができる。例えば、部分飽和環に縮合した芳香族環を有する二環は、芳香族環又は部分飽和環中に少なくとも1個のヘテロ原子を含有してもよい。二環が基の置換基である該基への二環の結合は、ヘテロ原子を含有する環又は炭素のみを含有する環のいずれかを介することができる。ヘテロアリールが基の置換基である該基へのヘテロアリールの結合点は、炭素原子又はヘテロ原子(例えば、窒素)を介することができる。R2がヘテロアリール環である場合、シアノピロリジンコアに結合しているアミド窒素への結合は芳香族環を介し、該芳香族環はさらなる芳香族環又は部分飽和環に縮合していてもよい。ヘテロアリールの例には、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル,イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロピリドピラジニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルが含まれる。別段の定めがない限り、Rh、R’、Ri、Rj、R2、R3及びR13の定義内のヘテロアリールは、非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0029】
環の記載において本明細書で使用される「ヘテロシクリル」又は「複素環(heterocyclic)」とは、特に明記しない限り、単環式飽和若しくは部分不飽和非芳香族環又は二環式飽和若しくは部分不飽和環であって、該二環系は、例えば、3~10員又は5~10員の非芳香族の単環若しくは二環であり、環の少なくとも1員から5員以下、特に1、2又は3員がN、O及びSから選択されるヘテロ原子であるものを意味し、当業者に既知の安定な組合せでは、残りの環原子は炭素原子である。複素環の窒素原子及び硫黄原子は任意選択的に酸化され、窒素原子は任意選択的に四級化される。本明細書で使用される場合、複素環は、二環を形成するために別の環系への縮合環であってもよく、すなわち、複素環炭素のうちの1又は2個はさらなる環系と共通する。ヘテロシクリルが二環である場合には、第2の環は芳香族、例えば、縮合フェニル、ピリジニル、ピラゾリル又は同種のものであることができる。二環式ヘテロシクリルは、縮合環のいずれかにおいて少なくとも1個のヘテロ原子を有することができる。例えば、部分飽和環に縮合された芳香族環を有する二環は、芳香族環又は部分飽和環中に少なくとも1個のヘテロ原子を含有することができる。二環が基の置換基である該基への二環の結合は、ヘテロ原子を含有する環又は炭素のみを含有する環のいずれかを介することができる。ヘテロシクリルが基の置換基である該基へのヘテロシクリルの結合点は、炭素原子又はヘテロ原子(例えば、窒素)を介することができる。ピロリジンコアに関して、二環が基の置換基である該基への二環の結合は、非芳香族環からである。ヘテロシクリル基の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル,ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3-ジヒドロフラニル、2,5-ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4-ジヒドロピラニル、3,6-ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H-キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル及びテトラヒドロイソキノリニルが含まれる。別段の定めがない限り、Rh、R’、Ri、Rj、R3及びR13の定義内のヘテロシクリルは、非置換であってもよいし、又は本明細書で定義される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0030】
任意の基に適用される「任意選択的に置換された」とは、該基が、所望する場合、1個以上の同じでも又は異なってもよい置換基(例えば、1、2、3又は4個の置換基)で置換されてもよいことを意味する。
【0031】
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、R’、Ri、Rj、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12、Q1aの定義内及びR3の置換基の定義内の「置換された」及び「任意選択的に置換された」C1~C6アルキル(C1~C4アルキル、C1~C3アルキル、及びC1~C2アルキルを含む)、及びC1~C6アルコキシ(C1~C4アルコキシ、C1~C-3アルコキシ、及びC1~C2アルコキシを含む)、及びC2~C6アルケニル(C2~C4アルケニルを含む)、及びC2~C6アルキニル(C2~C4アルキニルを含む)、並びにR9、Q1b、Q2a及びQ2bの定義内の「置換された」及び「任意選択的に置換された」C1~C6アルキレン(C1~C3アルキレンを含む)及びC2~C6アルケニレンの好適な置換基の例には、C1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロ、特に、ハロ(好ましくは、フルオロ若しくはクロロ)、ヒドロキシル及びシアノが含まれる。
【0032】
Ra、Rb、Re、Rf、Rg、Rh、R’、Ri、Rj、R2、R3及びR13の定義内の「置換された」及び「任意選択的に置換された」環、すなわち、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリール環の好適な置換基の例には、ハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシ、C1~C6アルキル若しくはC1~C3アルキル、C1~C6アルコキシ若しくはC1~C3アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、C3~C6シクロアルキル、C1~C3アルキルアミノ、C2~C6アルケニルアミノ、ジ-C1~C3アルキルアミノ、C1~C3アシルアミノ、ジ-C1~C3アシルアミノ、カルボキシ、C1~C3アルコキシカルボニル、カルボキサミジル、モノ-C1~C3カルバモイル、ジ-C1~C3カルバモイル又はヒドロカルビル部分がそれ自体、ハロ、特にフルオロ、ヒドロキシル、シアノ、アミノ及びニトロによって置換された上記のうちのいずれかが含まれる。ヒドロキシ及びアルコキシなどの酸素原子を含有する基において、酸素原子を硫黄で置き換えて、チオ(SH)及びチオ-アルキル(S-アルキル)などの基にすることができる。したがって、任意選択的な置換基は、S-メチルなどの基を含む。チオ-アルキル基では、硫黄原子をさらに酸化してスルホキシド又はスルホンにすることができ、したがって、任意選択的な置換基には、S(O)-アルキル及びS(O)2-アルキルなどの基が含まれる。
【0033】
「置換された」及び「任意選択的に置換された」環の好適な置換基の例には、特に、ハロ、オキソ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリールが含まれ、ここで、アルキル又はアルコキシは、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上(例えば、1、2又は3個)の置換基で任意選択的に置換される。特に、本明細書に開示される「置換された」及び「任意選択的に置換された」環の好適な置換基には、フルオロ、クロロ、オキソ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシが含まれ、ここで、アルキル又はアルコキシは、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上(例えば、1、2又は3個)の置換基、特に1個以上のフルオロで任意選択的に置換される。
【0034】
したがって、置換基には、例えばBr、Cl、F、CN、Me、Et、Pr、t-Bu、OMe、OEt、OPr、C(CH3)3、CH(CH3)2、CF3、OCF3、C(O)NHCH3、シクロプロピル、フェニルが含まれる。アリール基の場合、置換は、アリール環中の隣接する炭素原子由来の環形態、例えば、O-CH2-Oなどの環状アセタールであってもよい。
【0035】
本発明において使用するための式(I)の化合物の好ましい実施形態を以下に定義する。
【0036】
Raは、水素を表すことができる。Raは、シアノを表すことができる。Raは、C1~C3アルキルを表すことができる。Raは、C1~C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Raは、メチル又は置換メチルを表すことができる。一実施形態において、Raが水素以外である場合、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、並びにRh又は存在する場合はRi及びRjは、各々、水素を表す。Raの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。特に、アルキルは、フルオロで任意選択的に置換される。
【0037】
Rbは、水素を表すことができる。Rbは、C1~C3アルキルを表すことができる。Rbは、C1~C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Rbは、メチル又は置換メチルを表すことができる。RbがC1~C3アルキルを表す場合、Ra、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、並びにRh又は存在する場合はRi及びRjは、各々、水素を表す。Rbの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。特に、アルキルは、フルオロで任意選択的に置換される。
【0038】
一実施形態において、Rbが水素以外である場合、Rcは水素である。Rb及びRcの一方が水素であるように、Rcが水素以外であるとき、Rbは水素であることができる。
【0039】
別の実施形態において、Rb及びRcは、各々、メチルを表すことができる。
【0040】
Rdは、水素を表すことができる。Rdは、C1~C3アルキルを表すことができる。Rdは、C1~C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Rdは、メチル又は置換メチルを表すことができる。RdがC1~C3アルキルを表す場合、Ra、Rb、Rc、Re、Rf、Rg、並びにRh又は存在する場合はRi及びRjは、各々、水素を表す。Rdの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。特に、アルキルは、フルオロで任意選択的に置換される。
【0041】
一実施形態において、Rdが水素以外である場合、Reは水素である。Rd及びReの一方が水素であるように、Reが水素以外であるとき、Rdは水素であることができる。
【0042】
別の実施形態において、Rd及びReは、各々、メチルを表すことができる。
【0043】
Rfは、水素を表すことができる。Rfは、シアノを表すことができる。Rfは、C1~C3アルキルを表すことができる。Rfは、C1~C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Rfは、メチル又は置換メチルを表すことができる。Rg及びR1が一緒になって構造(IA)を形成し、XがC(Ri)(Rj)である場合、Rfは、フルオロを表すことができる。Rg及びR1が一緒になって構造(IA)を形成し、XがC(Ri)(Rj)である場合、Rfは、任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)を表すことができる。Rfが水素以外である場合、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rg、並びにRh又は存在する場合はRi及びRjは、各々、水素を表す。Rfの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。特に、アルキルは、フルオロで任意選択的に置換される。
【0044】
一実施形態において、Rfが水素以外である場合、Rgは水素である。Rg及びRfの一方が水素であるように、Rgが水素以外であるとき、Rfは水素であることができる。
【0045】
別の実施形態において、Rf及びRgは、各々、フルオロを表すことができる。あるいは、Rf及びRgは、各々、メチルを表すことができる。
【0046】
一実施形態において、R1は、水素及び任意選択的に置換されたC1~C3アルキルから選択される。
【0047】
別の実施形態において、R1は、Rgと結合して、構造(IA)を形成する。
【0048】
【0049】
x位における置換基は、シアノ、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、又は任意選択的に置換された3~6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリール環から選択することができる。y位における置換基は、ハロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシ、又は任意選択的に置換された3~6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリール環から選択することができ、但し、XがO又はN(Rh)である場合、y位はハロ又は任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシで置換することはできない。あるいは、x位及びy位は、任意選択的に置換されてもよい3~6員の縮合ヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を一緒になって形成するように置換されてもよい。
【0050】
x位及び/又はy位における任意選択的なアルキル及びアルコキシ置換基は、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。3~6員の環は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1~C6アルキル若しくはC1~C3アルキル、C1~C6アルコキシ若しくはC1~C3アルコキシから選択される置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0051】
一実施形態において、構造(IA)は、x位及びy位において非置換である。
【0052】
XがN(Rh)を表す場合、Rhは、水素、C(O)R’、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル又は任意選択的に置換された3~6員の環を表す。3~6員の環は、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリール環であってもよい。Rhは、水素を表すことができる。Rhは、C(O)R’を表すことができる。Rhは、C1~C3アルキルを表すことができる。Rhは、C1~C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Rhは、メチル又は置換メチルを表すことができる。Rhは、3~6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表すことができる。Rhが水素以外である場合、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々、水素を表すことができる。特に、Rhは、C1~C3アルキル、又は5若しくは6員のアリール若しくはヘテロアリール環を表すことができる。Rhの定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ、アミド及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0053】
R’は、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、又は任意選択的に置換された3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル若しくはシクロアルキル環を表す。R’は、C1~C3アルキルを表すことができる。R’は、C1~C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。R’は、3~6員のヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環を表すことができる。ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環は、非置換であってもよいし、又は置換されてもよい。R’の定義内のアルキルは、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0054】
XがC(Ri)(Rj)を表す場合、Ri及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシ又は任意選択的に置換された3~6員の環を表す。Riは、水素を表すことができる。Riは、フルオロを表すことができる。Riは、シアノを表すことができる。Riは、C1~C3アルキルを表すことができる。Riは、C1~C2アルキル(例えば、メチル又はエチル)を表すことができる。Riは、メチル又は置換メチルを表すことができる。Riは、C1~C3アルコキシを表すことができる。Riは、C1~C2アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)を表すことができる。Riは、メトキシ又は置換メトキシを表すことができる。Riは、3~6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表すことができる。Ri及びRjの定義内のアルキル及びアルコキシは、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0055】
一実施形態において、Riが水素以外である場合、Rjは水素である。Ri及びRjの一方が水素であるように、Rjが水素以外であるとき、Riは水素であることができる。
【0056】
あるいは、Rb及びRcは一緒になって、スピロ環を形成してもよい。さらに又はあるいは、Rd及びReは一緒になって、スピロ環を形成してもよい。さらに又はあるいは、Rf及びRgは一緒になって、スピロ環を形成してもよい。そのような場合、好ましくは、Rb/Rc、Rd/Re及びRf/Rgのうちの1つのみがスピロ環を形成し、残りの基は、各々、水素を表すことができる。スピロ環は、3、4、5又は6個の炭素環原子、特に3又は4個の炭素環原子を含むことができる。スピロ環は、シアノピロリジンコアと1個の環原子を共有する。スピロ環式環は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1~C6アルキル若しくはC1~C3アルキル、C1~C6アルコキシ若しくはC1~C3アルコキシから選択される置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0057】
シアノピロリジンコアの炭素環原子に結合した隣接するR基は一緒になって、任意に置換されたC3~C4シクロアルキル環を形成してもよい。例えば、RaはRb又はRgと一緒になり、ReはRfと一緒になる。そのような場合、好ましくは1個のシクロアルキル基が存在し、残りのR基は、各々、水素を表す。C3~C4シクロアルキル環は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1~C6アルキル若しくはC1~C3アルキル、C1~C6アルコキシ若しくはC1~C3アルコキシから選択される置換基で置換されてもよく、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0058】
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの1個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0059】
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの2個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0060】
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの3個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0061】
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの4個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0062】
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの5個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0063】
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの6個は水素以外であってもよく、残りは、各々、水素である。
【0064】
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの1、2、3、4、5又は6個は水素以外であり、他のR基は上記の定義に従う基を表す。特に、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの1、2、3又は4個は水素以外であり、残りは、各々、水素を表す。より特定的には、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjのうちの1又は2個は水素以外であり、残りは、各々、水素を表す。
【0065】
一実施形態において、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、及びRg又はRh若しくは存在する場合はRi及びRjは、各々、水素を表す。
【0066】
別の実施形態において、R1はRgと結合して構造(IA)を形成し、ここで、5又は6員環は任意選択的にさらに置換されてもよい。そのような場合、化合物は、式(II):
【0067】
【0068】
、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩であることができ、式中、
nは、0又は1であり、
Xは、O、N(Rh)、C(Ri)(Rj)から選択され、
Raは、水素、シアノ、及び任意選択的に置換されたC1~C3アルキルから選択され、あるいはRaはRg又はRbと結合して、任意選択的に置換されたC3~C4シクロアルキル環を形成し、
Rb、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、及び1個以上のスピロ環基から選択され、RbはRcと結合して、若しくはRdはReと結合して又はRbはRaと結合して、任意選択的に置換されたC3~C4シクロアルキルを形成し、あるいはReはRfと結合して、任意選択的に置換されたC3~C4シクロアルキルを形成し、
Rfは、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシから選択され、
XがO又はN(Rh)である場合、Rfはフルオロ又は任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシではなく、
Rhは、水素、C(O)R’、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、及び任意選択的に置換された3~6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環から選択され、
R’は、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、及び任意選択的に置換された3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環から選択され、
Ri及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル、任意選択的に置換されたC1~C3アルコキシ、及び任意選択的に置換された3~6員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環から選択され、
R2は、非置換であってもよいし又は1個以上の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R3)m基で置換されてもよい、5~10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール若しくはアリール環である。
【0069】
nが1であり、XがC(Ri)(Rj)を表す場合、化合物は、式(IIA):
【0070】
【0071】
、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩であることができ、式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Ri、Rj及びR2は本明細書で定義する通りである。
【0072】
nが1であり、XがOを表す場合、化合物は、式(IIB):
【0073】
【0074】
、その互変異性体、又は前記化合物若しくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩であることができ、式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びR2は本明細書で定義する通りである。
【0075】
nが0であり、Xが存在しない場合、化合物は、式(IIC):
【0076】
【0077】
、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩であることができ、式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びR2は本明細書で定義する通りである。
【0078】
nが1であり、XがN(Rh)を表す場合、化合物は、式(IID):
【0079】
【0080】
、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩であることができ、式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rh、及びR2は本明細書で定義する通りである。
【0081】
R2は、1個以上(例えば、1、2、3又は4個)のQ1(R3)m、特に、1又は2個のQ1(R3)mで置換された5~10員のヘテロアリール又はヘテロシクリル環を表すことができる。
【0082】
特に、R2は、1個以上(例えば、1、2、3又は4個)のQ1(R3)mで置換された5又は6員のヘテロアリール又はヘテロシクリル環を表すことができる。
【0083】
あるいは、R2は、1個以上(例えば、1、2、3又は4個)のQ1(R3)mで置換された9若しくは10員の二環式ヘテロアリール又はヘテロシクリル環を表すことができる。
【0084】
ある種の場合において、R2は、Q1(R3)m部分で任意選択的に置換された5若しくは6員の単環式ヘテロアリール又はアリール環を表すことができ、ここで、mは1であり、あるいはR2は、Q1(R3)m部分で任意選択的に置換された9若しくは10員の二環式ヘテロアリール又はアリール環を表し、ここで、mは0である。Q1及びR3は本明細書で定義する通りである。
【0085】
ある種の場合において、R2は、1個のみのQ1(R3)m部分で任意選択的に置換された5若しくは6員の単環式ヘテロアリール又はアリール環を表すことができ、ここで、mは1であり、あるいはR2は、1個のみのQ1(R3)m部分で任意選択的に置換された9若しくは10員の二環式ヘテロアリール又はアリール環を表し、ここで、mは0である。Q1及びR3は本明細書で定義する通りである。
【0086】
R2は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1個以上(例えば、1、2、3又は4個)のヘテロ原子を含んでもよい。特に、R2は、少なくとも1個の窒素原子、例えば1、2又は3個の窒素原子、好ましくは1又は2個の窒素ヘテロ原子を含む。
【0087】
R2は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3-ジヒドロフラニル、2,5-ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4-ジヒドロピラニル、3,6-ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H-キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロピリドピラジニル、テトラヒドロピリドピラジニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルからなる群から選択することができる。
【0088】
特に、R2は、チアゾリル、フェニル、ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル及びベンゾイミダゾリルから選択され、任意選択的に置換されてもよい。
【0089】
R2の例は、以下に示すものを含む。
【0090】
【0091】
式中、
【0092】
【0093】
は、シアノピロリジンに結合している窒素への結合点を表し、R2は本明細書に定義される通りに置換されてもよい。
【0094】
一実施形態において、R1がRgと結合している場合、R2はピラゾロピリジニル又はピリミドピリミジニルであることはできない。
【0095】
R2は、1個以上のQ1(R3)mで置換されてもよく、Q1(R3)mの各出現は同じでも又は異なってもよく、ここで、
mは、0又は1であり、
Q1は、Q1a又はQ1bを表し(すなわち、mが0である場合にはQ1はQ1aであり、mが0である場合にはQ1はQ1bである)、
Q1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR6、NR6R7、CONR6R7、C0~C3-アルキレン-NR6COR7、NR6CONR7R8、COR6、C(O)OR6、SO2R6、SO2NR6R7、NR6SO2R7、NR6SO2NR7R8、NR6C(O)OR7、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニルから選択され、
Q1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR9、SO、SO2、CO、C(O)O、C0~C3-アルキレン-C(O)NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3-アルキレン-NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3-アルキレン-NR6C(O)-C0~C3アルキレン、NR6CONR7、SO2NR6、NR6SO2、NR6SO2NR7、NR6C(O)O、NR6C(O)OR9、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン、又は任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンから選択され、
R3は、任意選択的に置換された3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環を表し、
R6、R7及びR8は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~C6アルキルを表し、
R9は、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレンを表し、
但し、R1が水素又は任意選択的に置換されたC1~C3アルキルである場合、R2はC(O)NH2で置換されていない。
【0096】
R2は、1、2、3又は4個のQ1(R3)mで任意選択的に置換されてもよい。例えば、R2は、1、2又は3個のQ1(R3)mで置換されてもよい。特に、R2は、1又は2個のQ1(R3)mで置換される。Q1(R3)mの各出現は、同じでも又は異なってもよい。より特定的には、R2は、1個のQ1(R3)mで置換される。Q1、R3及びnは本明細書に定義される通りである。
【0097】
特に、Q1aは、オキソ、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ又はブロモ)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR6(例えば、チオール)、NR6R7(例えば、N,N-ジメチルアミノ)、CONR6R7、C0~C3-アルキレン-NR6COR7(例えば、N-アセチル)、NR6CONR7R8、COR6(例えば、アセチル)、C(O)OR6(例えば、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニル)、SO2R6(例えば、メチルスルホニル)、SO2NR6R7(例えば、ジメチルアミノスルホニル)、NR6SO2R7、NR6SO2NR7R8、NR6C(O)OR7、任意選択的に置換されたC1~C4アルキル(例えば、プロピル、イソブチル又はtert-ブチル)、任意選択的に置換されたC1~C2アルキル(例えば、メチル、エチル又はCF3)、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ又はOCF3)及び任意選択的に置換されたC2~C6アルケニルから選択することができる。アルキル、アルコキシ、アルケニルは、非置換であってもよいし、又はC1~C6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。
【0098】
より特定的には、Q1aは、ハロ、シアノ、任意選択的に置換されたC1~C3アルキル又は任意選択的に置換されたC1-~C3アルコキシから選択することができる。さらにより特定的には、Q1aは、ハロ、シアノ、OCH3、CF3及びOCF3から選択することができる。
【0099】
Q1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR9、SO、SO2、CO、C(O)O、C0~C3-アルキレン-C(O)NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3-アルキレン-NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレンNR6C(O)-C0~C3アルキレン、NR6CONR7、SO2NR6、NR6SO2、NR6SO2NR7、NR6C(O)O、NR6C(O)OR9、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン、又は任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンから選択することができ、但し、R1が窒素含有ヘテロアリール環である場合、Q1bはNHではない。アルキレン又はアルケニレンは、C1~C6アルコキシ,ハロ、ヒドロキシル、チオール、シアノ、アミノ及びニトロから選択される1個以上の置換基で任意選択的に置換されてもよい。
【0100】
特に、Q1bは共有結合である。
【0101】
R3は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、デカヒドロナフタレニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル,ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロピリドピラジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3-ジヒドロフラニル、2,5-ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4-ジヒドロピラニル、3,6-ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H-キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルから選択することができる。
【0102】
R3は、任意選択的に置換された5又は6員のヘテロシクリル、シクロアルキル又はアリール環を表すことができる。
【0103】
あるいは、R3は、任意選択的に置換された9若しくは10員の二環式ヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表すことができる。
【0104】
特に、R3は、置換又は非置換フェニル及びピリジニルから選択される。
【0105】
本明細書に記載のすべての場合において、R3は、ハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、Q2a-R13、Q2a-O-Q2b-R13、Q2a-S-Q2b-R13、Q2a-SO-Q2b-R13、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10CONR11-Q2a-R13、Q2a-NR10R11、Q2a-NR10-Q2b-R13、Q2a-COR10、Q2a-CO-Q2b-R13、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10CO-Q2b-R13、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-NR10C(O)O-Q2b-R13、Q2a-SO2R10、Q2a-SO2-Q2b-R13、Q2a-CONR10R11、Q2a-CONR10-Q2b-R13、Q2a-CO2R10、Q2a-CO2-Q2b-R13、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-SO2NR10-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2R11、Q2a-NR10SO2-Q2b-R13及びQ2a-NR10SO2NR11R12、Q2a-NR10SO2NR11-Q2b-R13から独立して選択される1個以上の置換基で任意選択的に置換されてもよく、
Q2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン、又は任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンを表し、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~C6アルキルを表し、
R13は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたシクロアルキルを表す。
【0106】
特に、R13は、非置換であってもよいし又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、C1~C6アルキル若しくはC1~C3アルキル、C1~C6アルコキシ若しくはC1~C3アルコキシから選択される置換基で置換されてもよい、C3~C4シクロアルキル環を表し、ここで、アルキル及びアルコキシは、ハロで任意選択的に置換されてもよい。
【0107】
R3は、ハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10R11、Q2a-COR10、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-SO2R10、Q2a-CONR10R11、Q2a-CO2R10、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-NR10SO2R11及びQ2a-NR10SO2NR11R12から独立して選択される1個以上(例えば、1、2、3又は4個)、特に1又は2個の置換基で置換されてもよく、
Q2aは、共有結合、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン、又は任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンを表し、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~C6アルキルを表す。
【0108】
R3は、非置換であってもよいし、一置換又は二置換であってもよい。
【0109】
ある種の場合において、R3は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、デカヒドロナフタレニル、フェニル、ナフチル、ナフタレニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル,ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロピリドピラジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3-ジヒドロフラニル、2,5-ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4-ジヒドロピラニル、3,6-ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H-キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルから選択される3~10員のヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はアリール環を表し、これらは、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、Q2a-R13、Q2a-O-Q2b-R13、Q2a-S-Q2b-R13、Q2a-SO-Q2b-R13、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10CONR11-Q2a-R13、Q2a-NR10R11、Q2a-NR10-Q2b-R13、Q2a-COR10、Q2a-CO-Q2b-R13、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10CO-Q2b-R13、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-NR10C(O)O-Q2b-R13、Q2a-SO2R10、Q2a-SO2-Q2b-R13、Q2a-CONR10R11、Q2a-CONR10-Q2b-R13、Q2a-CO2R10、Q2a-CO2-Q2b-R13、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-SO2NR10-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2R11、Q2a-NR10SO2-Q2b-R13及びQ2a-NR10SO2NR11R12、Q2a-NR10SO2NR11-Q2b-R13から選択される1個以上(例えば、1、2又は3個)の置換基で置換されるかのいずれかであり、
Q2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンを表し、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~C6アルキルを表し、
R13は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたシクロアルキルを表す。
【0110】
R3は、フェニル又はピリジニルを表すことができ、該環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、Q2a-R13、Q2a-O-Q2b-R13、Q2a-S-Q2b-R13、Q2a-SO-Q2b-R13、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10CONR11-Q2a-R13、Q2a-NR10R11、Q2a-NR10-Q2b-R13、Q2a-COR10、Q2a-CO-Q2b-R13、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10CO-Q2b-R13、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-NR10C(O)O-Q2b-R13、Q2a-SO2R10、Q2a-SO2-Q2b-R13、Q2a-CONR10R11、Q2a-CONR10-Q2b-R13、Q2a-CO2R10、Q2a-CO2-Q2b-R13、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-SO2NR10-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2R11、Q2a-NR10SO2-Q2b-R13及びQ2a-NR10SO2NR11R12、-Q2a-NR10SO2NR11-Q2b-R13から選択される1個以上、特に1又は2個の置換基で置換され、
Q2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンを表し、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~C6アルキルを表し、
R13は、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたシクロアルキルを表す。
【0111】
R3は、フェニル又はピリジニルを表すことができ、ここで、フェニル環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、任意選択的に置換されたC1~C6アルキル、任意選択的に置換されたC1~C6アルコキシ、任意選択的に置換されたC2~C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2~C6アルキニル、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10R11、Q2a-COR10、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-SO2R10、Q2a-CONR10R11、Q2a-CO2R10、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-NR10SO2R11及びQ2a-NR10SO2NR11R12から選択される1個以上、特に1又は2個の置換基で置換され、
Q2aは、共有結合、任意選択的に置換されたC1~C6アルキレン又は任意選択的に置換されたC2~C6アルケニレンを表し、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素又は任意選択的に置換されたC1~C6アルキルを表す。
【0112】
好ましい実施形態によれば、本発明は、USP30の阻害が哺乳動物において有益な効果を生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療における使用のための式(I)の化合物:
【0113】
【0114】
、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Raは、水素、シアノ、及びC1~C3アルキルから選択され、
Rb、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素及びC1~C3アルキルから選択され、
Rf及びRgは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択され、
R1は、水素及びC1~C3アルキルから選択され、又はR1は、Rgと結合して、構造(IA)を形成し、
【0115】
【0116】
nは、0又は1であり、
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
x位及びy位は、非置換であってもよいし、又は各々、C1~C3アルキルで独立して置換されてもよく、
Rhは、水素、C1~C3アルキル、C(O)C1~C3アルキル、及び3~6員の単環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環から選択され、
Ri及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、及び3~6員の単環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環から選択され、
XがO又はN(Rh)である場合、Rfはフルオロ又はC1~C3アルコキシではなく、
R2は、非置換であってもよいし又は1個以上の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R3)m基で置換されてもよい、5~10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール若しくはアリール環であり、
mは、0又は1であり、
Q1は、Q1a又はQ1bから選択され、
Q1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR6、NR6R7、CONR6R7、C0~C3-アルキレン-NR6COR7、NR6CONR7R8、COR6、C(O)OR6、SO2R6、SO2NR6R7、NR6SO2R7、NR6SO2NR7R8、NR6C(O)OR7、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ及びC2~C6アルケニルから選択され、
Q1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR9、SO、SO2、CO、C(O)O、C0~C3アルキレン-C(O)NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレン-NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレン-NR6C(O)-C0~C3アルキレン、NR6CONR7、SO2NR6、NR6SO2、NR6SO2NR7、NR6C(O)O、NR6C(O)OR9、C1~C6アルキレン及びC2~C6アルケニレンから選択され、
R3は、3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環であり、
R6、R7及びR8は、各々独立して、水素及びC1~C6アルキルから選択され、
R9は、C1~C6アルキレンであり、
R3は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、Q2a-R13、Q2a-O-Q2b-R13、Q2a-S-Q2b-R13、Q2a-SO-Q2b-R13、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10CONR11-Q2a-R13、Q2a-NR10R11、Q2a-NR10-Q2b-R13、Q2a-COR10、Q2a-CO-Q2b-R13、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10CO-Q2b-R13、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-NR10C(O)O-Q2b-R13、Q2a-SO2R10、Q2a-SO2-Q2b-R13、Q2a-CONR10R11、Q2a-CONR10-Q2b-R13、Q2a-CO2R10、Q2a-CO2-Q2b-R13、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-SO2NR10-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2R11、Q2a-NR10SO2-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2NR11R12、及びQ2a-NR10SO2NR11-Q2b-R13から各々独立して選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、
Q2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、C1~C6アルキレン及びC2~C6アルケニレンから選択され、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素及びC1~C6アルキルから選択され、
R13は、3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環である。
【0117】
本発明のより好ましい実施形態において、置換基が本発明の第1の態様及びその好ましい実施形態に関して定義した通りである、USP30の阻害が哺乳動物において有益な効果を生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療における使用のための式(I)の化合物、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩が提供され、該置換基は、好ましくは以下のように選択することができる。
【0118】
一実施形態において、R1は、水素及びC1~C3アルキルから選択される。
【0119】
好ましくは、Raは、水素、シアノ、メチル及びエチルから選択される。より好ましくは、Raは、水素及びメチルから選択される。
【0120】
好ましくは、Rb、Rc、Rd、Re及びRgは、各々独立して、水素、メチル、及びエチルから選択される。より好ましくは、Rb、Rc、Rd、Re及びRgは、各々独立して、水素及びメチルから選択される。
【0121】
好ましくは、Rfは、水素、フルオロ、シアノ、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選択される。より好ましくは、Rfは、水素及びメチルから選択される。
【0122】
特に好ましい実施形態において、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々独立して、水素及びメチルから選択される。最も好ましくは、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々、水素である。
【0123】
好ましくは、R1は、水素及びメチルから選択される。
【0124】
別の実施形態において、R1はRgと結合して、構造(IA)を形成する。
【0125】
好ましくは、x位及びy位は、非置換であるか、又は各々、シアノ、メチル、又はエチルによって独立して置換されてもよい。より好ましくは、x位及びy位は、非置換であるか、又は各々、メチルによって独立して置換されてもよい。最も好ましくは、x位及びy位は非置換である。
【0126】
XがN(Rh)である場合、好ましくは、Rhは、水素、メチル及びアセチルから選択される。より好ましくは、Rhは、水素及びメチルから選択される。
【0127】
XがC(Ri)(Rj)である場合、好ましくは、Ri及びRjは、各々独立して、水素及びメチルから選択される。より好ましくは、Ri及びRjは、各々、水素である。
【0128】
特に好ましい実施形態において、R1はRgと結合して構造(IA)を形成し、XはO及びCH2から選択され、x位及びy位は非置換である。
【0129】
R1が水素及びC1~C3アルキルから選択され、R1がRgと結合して構造(IA)を形成する実施形態及びその好ましい実施形態において、好ましくは、R2は、アリール、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~10員の単環式又は二環式ヘテロアリールから選択され、R2は、非置換であるか、又は1~4個、好ましくは1若しくは2個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R3)m基で置換され、最も好ましくは、R2は、非置換であるか、又は1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0130】
より好ましくは、R2は、フェニル、ナフチル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジヒドロフラニル(例えば、2,3-ジヒドロフラニル、2,5-ジヒドロフラニル)、ジオキソラニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、オキサジナニル、インドリニル、イソインドリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4-ジヒドロピラニル、3,6-ジヒドロピラニル)、ホモピペラジニル、ジオキサニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、4H-キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、チアゾリジニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、プリニル、フラザニル、イミダゾリル、インダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル,ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、プテリジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピロロピリジニル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロピリドピラジニル、テトラヒドロピリドピラジニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニルから選択され、R2は、非置換であるか、又は1~4個、好ましくは1又は2個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R3)m基で置換され、最も好ましくは、R2は非置換であるか、又は1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0131】
さらにより好ましくは、R2は、ベンゾイミダゾリル,ベンゾチアゾリル、フェニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルから選択され、R2は、非置換であるか、又は1~4個、好ましくは1又は2個の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R3)m基で置換され、最も好ましくは、R2は、非置換であるか、又は1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0132】
R2の実施形態及び好ましい実施形態において、Q1(R3)m基は、好ましくは以下の通りに選択される。
【0133】
mが0である場合、Q1はQ1aであり、該Q1aは、好ましくはハロ、シアノ、ヒドロキシル、N(C1~C6アルキル)2、CO(C1~C6アルキル)、C(O)O(C1~C6アルキル)、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6アルコキシ、及びC1~C6ハロアルコキシから選択される。より好ましくは、Q1は、ハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシから選択される。より好ましくは、Q1は、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、CF3及びOCF3から選択される。最も好ましくは、Q1は、フルオロ、シアノ、メトキシ、CF3及びOCF3から選択される。
【0134】
mが1である場合、Q1はQ1bであり、該Q1bは、好ましくは共有結合、酸素原子、硫黄原子、SO、SO2、CO、C(O)O、NH、N(C1~C6アルキル)及びC(O)N(C1~C6アルキル)から選択される。より好ましくは、Q1は、共有結合及び酸素原子から選択される。最も好ましくは、Q1は共有結合である。
【0135】
好ましくは、R3は、アリール、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~10員の単環式又は二環式ヘテロアリールから選択され、R3は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、ヒドロキシル、N(C1~C6アルキル)2、CO(C1~C6アルキル)、C(O)O(C1~C6アルキル)、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6アルコキシ及びC1~C6ハロアルコキシから各々独立して選択される1~4個、好ましくは1~3個、最も好ましくは1又は2個の置換基で置換される。より好ましくは、R3は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシから各々独立して選択される1~4個、好ましくは1~3個、最も好ましくは1又は2個の置換基で置換される。さらにより好ましくは、R3は、非置換であるか、又はフルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、CF3、及びOCF3から各々独立して選択される1~4個、好ましくは1~3個、最も好ましくは1又は2個の置換基で置換される。最も好ましくは、R3は、非置換であるか、又はシアノで置換される。
【0136】
好ましくは、R3のアリール環はフェニルであり、ヘテロアリール環は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式ヘテロアリールである。より好ましくは、ヘテロアリール環は、6員であり、1~2個の窒素原子を含む。最も好ましくは、R3の環は、フェニル及びピリジニルから選択される。
【0137】
より好ましい実施形態において、R2は、非置換であるか、又はフルオロ、シアノ、メトキシ、CF3、OCF3、フェニル、ピリジニル、シアノフェニル及びシアノピリジニルから選択される1個のQ1(R3)m基によって置換される。
【0138】
第2の態様によれば、本発明は、(IA)である式(I)の化合物:
【0139】
【0140】
、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Raは、水素、シアノ及びC1~C3アルキルから選択され、
Rb、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素及びC1~C3アルキルから選択され、
Rfは、水素、フルオロ、シアノ、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択され、
nは、0又は1であり、
Xは、O、N(Rh)及びC(Ri)(Rj)から選択され、
x位及びy位は、非置換であってもよいし、又は各々、C1~C3アルキルによって独立して置換されてもよく、
Rhは、水素、C1~C3アルキル、C(O)C1~C3アルキル、及び3~6員の単環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環から選択され、
Ri及びRjは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、及び3~6員の単環式ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル環から選択され、
XがO又はN(Rh)である場合、Rfはフルオロ又はC1~C3アルコキシではなく、
R2は、非置換であってもよいし又は1個以上の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R3)m基で置換されてもよい、5~10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール若しくはアリール環であり、
mは、0又は1であり、
Q1は、Q1a又はQ1bから選択され、
Q1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR6、NR6R7、CONR6R7、C0~C3-アルキレン-NR6COR7、NR6CONR7R8、COR6、C(O)OR6、SO2R6、SO2NR6R7、NR6SO2R7、NR6SO2NR7R8、NR6C(O)OR7、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ及びC2~C6アルケニルから選択され、
Q1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR9、SO、SO2、CO、C(O)O、C0~C3アルキレン-C(O)NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレン-NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレン-NR6C(O)-C0~C3アルキレン、NR6CONR7、SO2NR6、NR6SO2、NR6SO2NR7、NR6C(O)O、NR6C(O)OR9、C1~C6アルキレン及びC2~C6アルケニレンから選択され、
R3は、3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環であり、
R6、R7及びR8は、各々独立して、水素及びC1~C6アルキルから選択され、
R9は、C1~C6アルキレンであり、
R3は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C2~C6アルケニル、C2-C6アルキニル、Q2a-R13、Q2a-O-Q2b-R13、Q2a-S-Q2b-R13、Q2a-SO-Q2b-R13、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10CONR11-Q2a-R13、Q2a-NR10R11、Q2a-NR10-Q2b-R13、Q2a-COR10、Q2a-CO-Q2b-R13、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10CO-Q2b-R13、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-NR10C(O)O-Q2b-R13、Q2a-SO2R10、Q2a-SO2-Q2b-R13、Q2a-CONR10R11、Q2a-CONR10-Q2b-R13、Q2a-CO2R10、Q2a-CO2-Q2b-R13、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-SO2NR10-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2R11、Q2a-NR10SO2-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2NR11R12、及びQ2a-NR10SO2NR11-Q2b-R13から各々独立して選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、
Q2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、C1~C6アルキレン及びC2~C6アルケニレンから選択され、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素及びC1~C6アルキルから選択され、
R13は、3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環である。
【0141】
本発明の第2の態様の式(IA)の化合物の置換基Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、X、n、x、y及びR2の好ましい実施形態は、本発明の第1の態様及びその好ましい実施形態に関して本明細書で定義される通りである。
【0142】
式(IA)の化合物の好ましい一実施形態において、
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfは、各々、水素であり、
x位及びy位は、非置換であり、
R2は、アリール、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~6員の単環式又は9~10員の二環式ヘテロアリール環から選択され、R2は、非置換であるか、又は
(i)(mが0である)ハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシ、並びに
(ii)(mが1である)フェニル、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員の単環式ヘテロアリールであり、ここで、フェニル又はヘテロアリール環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシから選択される基で置換される、
から各々独立して選択される1~4個のQ1(R3)m基、好ましくは1又は2個のQ1(R3)m基、最も好ましくは1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0143】
式(IA)の化合物のより好ましい実施形態において、
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfは、各々、水素であり、
x位及びy位は、非置換であり、
R2は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式又は9~10員の二環式ヘテロアリール環であり、R2は、非置換であるか、又は
(i)(mが0である)ハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシ、並びに
(ii)(mが1である)フェニル、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員の単環式ヘテロアリール(ここで、フェニル又はヘテロアリール環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシから選択される基で置換される)
から各々独立して選択される1~4個のQ1(R3)m基、好ましくは1又は2個のQ1(R3)m基、最も好ましくは1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0144】
式(IA)の化合物のより好ましい実施形態において、
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfは、各々、水素であり、
x位及びy位は、非置換であり、
R2は、ベンゾイミダゾリル,ベンゾチアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル、及び任意選択的にフェニルから選択され、R2は、非置換であり、
(i)(mが0である)ハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシ、並びに
(ii)(mが1である)フェニル及びピリジニル(ここで、フェニル又はピリジニル環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシから選択される基で置換される)
から各々独立して選択される1~4個のQ1(R3)m基、好ましくは1又は2個のQ1(R3)m基、最も好ましくは1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0145】
式(IA)の化合物のより好ましい実施形態において、
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfは、各々、水素であり、
x位及びy位は、非置換であり、
R2は、ベンゾイミダゾリル,ベンゾチアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル、及び任意選択的にフェニルから選択され、R2は、非置換であるか、又はフルオロ、シアノ、メトキシ、CF3、OCF3、フェニル、ピリジニル、シアノフェニル及びシアノピリジニルから選択される1個のQ1(R3)m基によって置換される。
【0146】
式(IA)の化合物の好ましい一実施形態は、(IIA)(i):
【0147】
【0148】
式中、R2は、本発明の第1及び第2の態様並びにそれらの好ましい実施形態に関して本明細書で定義される通りであり、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩である。
【0149】
(IA)の化合物の別の好ましい実施形態式は、(IIB)(i):
【0150】
【0151】
式中、R2は、本発明の第1及び第2の態様並びにそれらの好ましい実施形態に関して本明細書で定義される通りであり、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩である。
【0152】
(IA)の化合物の別の好ましい実施形態式は、(IIC)(i):
【0153】
【0154】
式中、R2は、本発明の第1及び第2の態様並びにそれらの好ましい実施形態に関して本明細書で定義される通りであり、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩である。
【0155】
第3の態様によれば、本発明は、(IB)である式(I)の化合物:
【0156】
【0157】
、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Raは、水素、シアノ及びC1~C3アルキルから選択され、
Rb、Rc、Rd及びReは、各々独立して、水素及びC1~C3アルキルから選択され、
Rf及びRgは、各々独立して、水素、フルオロ、シアノ、C1~C3アルキル及びC1~C3アルコキシから選択され、
R1は、水素及びC1~C3アルキルから選択され、
R2は、非置換であってもよいし又は1個以上の同じでも若しくは異なってもよいQ1(R3)m基で置換されてもよい、5~10員の単環式若しくは二環式ヘテロアリール若しくはアリール環であり、
mは、0又は1であり、
Q1は、Q1a又はQ1bから選択され、
Q1aは、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、SR6、NR6R7、CONR6R7、C0~C3-アルキレン-NR6COR7、NR6CONR7R8、COR6、C(O)OR6、SO2R6、SO2NR6R7、NR6SO2R7、NR6SO2NR7R8、NR6C(O)OR7、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ及びC2~C6アルケニルから選択され、
Q1bは、共有結合、酸素原子、硫黄原子、OR9、SO、SO2、CO、C(O)O、C0~C3アルキレン-C(O)NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレン-NR6-C0~C3アルキレン、C0~C3アルキレン-NR6C(O)-C0~C3アルキレン、NR6CONR7、SO2NR6、NR6SO2、NR6SO2NR7、NR6C(O)O、NR6C(O)OR9、C1~C6アルキレン及びC2~C6アルケニレンから選択され、
R3は、3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環であり、
R6、R7及びR8は、各々独立して、水素及びC1~C6アルキルから選択され、
R9は、C1~C6アルキレンであり、
R3は、非置換であってもよいし、又はハロ、シアノ、オキソ、ニトロ、ヒドロキシル、SR10、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、Q2a-R13、Q2a-O-Q2b-R13、Q2a-S-Q2b-R13、Q2a-SO-Q2b-R13、Q2a-NR10CONR11R12、Q2a-NR10CONR11-Q2a-R13、Q2a-NR10R11、Q2a-NR10-Q2b-R13、Q2a-COR10、Q2a-CO-Q2b-R13、Q2a-NR10COR11、Q2a-NR10CO-Q2b-R13、Q2a-NR10C(O)OR11、Q2a-NR10C(O)O-Q2b-R13、Q2a-SO2R10、Q2a-SO2-Q2b-R13、Q2a-CONR10R11、Q2a-CONR10-Q2b-R13、Q2a-CO2R10、Q2a-CO2-Q2b-R13、Q2a-SO2NR10R11、Q2a-SO2NR10-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2R11、Q2a-NR10SO2-Q2b-R13、Q2a-NR10SO2NR11R12、及びQ2a-NR10SO2NR11-Q2b-R13から各々独立して選択される1個以上の置換基で置換されてもよく、
Q2a及びQ2bは、各々独立して、共有結合、C1~C6アルキレン及びC2~C6アルケニレンから選択され、
R10、R11及びR12は、各々独立して、水素及びC1~C6アルキルから選択され、
R13は、3~10員の単環式若しくは二環式ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアリール環である。
【0158】
本発明の第2の態様の式(IB)の化合物の置換基Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、R1及びR2の好ましい実施形態は、本発明の第1の態様及びその好ましい実施形態に関して本明細書で定義される通りである。
【0159】
式(IB)の化合物の好ましい一実施形態において、
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々、水素であり、
R1は、水素及びC1~C3アルキルから選択され、好ましくは水素及びメチルから選択され、
R2は、アリール、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式又は9~10員の二環式ヘテロアリール環から選択され、R2は、非置換であり、
(i)(mが0である)ハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシ、並びに
(ii)(mが1である)フェニル、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員の単環式ヘテロアリール(ここで、フェニル又はヘテロアリール環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシから選択される基で置換される)
から各々独立して選択される1~4個のQ1(R3)m基、好ましくは1又は2個のQ1(R3)m基、最も好ましくは1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0160】
式(IB)の化合物の好ましい実施形態において、
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々、水素であり、
R1は、水素及びC1~C3アルキルから選択され、好ましくは水素及びメチルから選択され、
R2は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む、5~6員の単環式又は9~10員の二環式ヘテロアリール環であり、R2は、非置換であるか、又は
(i)(mが0である)ハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシ、並びに
(ii)(mが1である)フェニル、及び窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員の単環式ヘテロアリール(ここで、フェニル又はヘテロアリール環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシから選択される基で置換される)
から各々独立して選択される1~4個のQ1(R3)m基、好ましくは1又は2個のQ1(R3)m基、最も好ましくは1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0161】
式(IB)の化合物のより好ましい実施形態において、
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々、水素であり、
R1は、水素及びC1~C3アルキルから選択され、好ましくは水素及びメチルから選択され、
R2は、ベンゾイミダゾリル、ピリジニル及びチアゾリルから選択され、R2は、非置換であるか、又は
(i)(mが0である)ハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシ、並びに
(ii)(mが1である)フェニル及びピリジニル(ここで、フェニル又はピリジニル環は、非置換であるか、又はハロ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3ハロアルコキシから選択される基で置換される)
から各々独立して選択される1~4個のQ1(R3)m基、好ましくは1又は2個のQ1(R3)m基、最も好ましくは1個のQ1(R3)m基で置換される。
【0162】
式(IB)の化合物のより好ましい実施形態において、
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf及びRgは、各々、水素であり、
R1は、水素及びC1~C3アルキルから選択され、好ましくは水素及びメチルから選択され、
R2は、ベンゾイミダゾリル、ピリジニル、及びチアゾリルから選択され、R2は、非置換であるか、又はフルオロ、シアノ、メトキシ、CF3、OCF3、フェニル、ピリジニル、シアノフェニル及びシアノピリジニルから選択される1Q1(R3)m基によって置換される。
【0163】
式(IB)の化合物の好ましい一実施形態は、(IB)(i):
【0164】
【0165】
(式中、R1及びR2は、本発明の第1及び第3の態様並びにそれらの好ましい実施形態に関して本明細書で定義される通りである。)、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩である。
【0166】
本発明のすべての態様による式(I)の好ましい化合物は、
1-フェニルヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(6-フェニルピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(6-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(4-フェニルピリジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(5-フェニルピリジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(6-フェニルピリジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(4-フェニルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(3aS,6aS)-1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aR)-4-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジンe-6-カルボニトリル、
3-((5-フェニルチアゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル、
3-(メチル(5-フェニルチアゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル、
3-(メチル(5-フェニルピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル、
(3aR,6aR)-1-(6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル、
2-((3aR,6aR)-5-シアノヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル、
(3aR,6aR)-1-(6-メトキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル、
(R)-3-(メチル(6-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(2’-シアノ-[3,4’-ビピリジン]-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(2’-シアノ-[3,4’-ビピリジン]-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aS,7aR)-4-(6-(2-シアノピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
(4aR,7aS)-4-(6-(2-シアノピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピリジン-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピラジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
rac-(4aR,7aS)-4-(4-シアノ-[2,3’-ビピリジン]-6’-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、及び
rac-(4aR,7aS)-4-(2-シアノ-[2,3’-ビピリジン]-6’-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル、
それらの互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩から選択される。
【0167】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、その酸付加塩及び塩基塩(二塩を含む)を含む。
【0168】
好適な酸付加塩は、無毒性の塩を形成する酸から形成される。
【0169】
例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプ酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、リン酸水素塩、イセチオン酸塩、D-及びL-乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、パーム酸塩(palmate)、リン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D-及びL-酒石酸塩及びトシル酸塩が含まれる。
【0170】
好適な塩基塩は、無毒性の塩を形成する塩基から形成される。例には、アルミニウム、アンモニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン及び亜鉛の塩が含まれる。
【0171】
好適な塩についての概説については、Stahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, Wiley-VCH, Weinheim, Germany (2002)を参照されたい。
【0172】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、必要に応じて、式(I)の化合物と所望の酸又は塩基の溶液とを一緒に混合することによって容易に調製することができる。塩は溶液から沈殿し、濾過により回収することができ、又は溶媒を蒸発させることにより回収することができる。
【0173】
本発明による薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体置換されてもよい水和物及び溶媒和物、例えば、D2O、アセトン-d6、DMSO-d6が含まれる。
【0174】
包摂化合物、薬物-ホスト包接錯体はまた、本発明の範囲内であり、前述の溶媒和物とは対照的に、薬物及びホストは非化学量論量で存在する。そのような錯体の概説についてはJ.Pharm Sci,64(8),1269-1288 by Haleblian(August 1975)を参照のこと。
【0175】
以下、式(I)の化合物についての全ての言及は、式(I)の化合物の塩、並びに式(I)の化合物及びその塩の溶媒和物及び包摂化合物への言及を含む。
【0176】
本発明は、上記で定義した式(I)の化合物の全ての多形体を包む。
【0177】
式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」はまた、本発明の範囲内である。したがって、薬理活性をそれ自体はほとんど又は全く持たない式(I)の化合物のある種の誘導体は、体内又は体表面に投与されて代謝されると、所望の活性を有する式(I)の化合物を生じることができる。そのような誘導体は「プロドラッグ」と呼ばれる。
【0178】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば“Design of Prodrugs” by H Bundgaard (Elsevier,1985)に記載される「プロ部分」として当業者に知られるある種の部分で置き換えることによって作製することができる。
【0179】
ある種の式(I)の化合物はそれ自体、他の式(I)の化合物のプロドラッグとして作用することができる。
【0180】
窒素原子を含有する式(I)の化合物のある種の誘導体はまた、対応するN-オキシドを形成することができ、そのような化合物はまた本発明の範囲内である。
【0181】
1個以上の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2つ以上の光学異性体として存在することができる。式(I)の化合物がアルケニル又はアルケニレン基を含有する場合、シス/トランス(又はZ/E)幾何異性体が可能であり、化合物が例えばケト又はオキシム基を含む場合、互変異性(tautomeric isomerism)(「互変異性(tautomerism)」)が生じ得る。したがって、単一の化合物が2種以上の異性を示し得る。
【0182】
2種以上の異性を示す化合物を含む、式の化合物の全ての光学異性体、幾何異性体及び互変異性体、並びにそれらの1つ以上の混合物が本発明の範囲内に含まれる。
【0183】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来の技術、例えば分別結晶法及びクロマトグラフィーによって分離することができる。
【0184】
個々の鏡像異性体の調製/単離のための従来の技術には、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(又は塩若しくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。あるいは、ラセミ体(又はラセミ前駆体)を好適な光学活性化合物、例えばアルコール、又は式(I)の化合物が酸性若しくは塩基性部分を含む場合は1-フェニルエチルアミン又は酒石酸などの塩基若しくは酸と反応させることができる。得られたジアステレオマー混合物を、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶により分離し、ジアステレオ異性体の一方又は両方を、当業者に周知の手段により、対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。本発明のキラル化合物(及びそのキラル前駆体)は、イソプロパノールの0~50体積%、典型的には2~20体積%、及びアルキルアミンの0~5体積%、典型的には0.1%ジエチルアミンを含有する、炭化水素、典型的にはヘプタン又はヘキサンからなる移動相を有する不斉樹脂上でのクロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、鏡像異性的に濃縮された形態で得ることができる。溶出液を濃縮することにより、濃縮混合物が得られる。本発明は、ラセミ体及びそのラセミ混合物(コングロメレート)を含む式(I)の化合物のすべての結晶形を含む。立体異性体のコングロメレートは、当業者に既知の従来の技術によって分離することができる(例えば、“Stereochemistry of Organic Compounds” by E.L. Eliel and S.H. Wilen (Wiley, New York,1994)を参照のこと)。
【0185】
本発明のさらなる態様によれば、式(III)のアミンを臭化シアンと反応させて、式(I)のN-CN化合物を形成する工程を含む、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の調製方法を提供する:
【0186】
【0187】
式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、R1及びR2は、本明細書で定義される通りである。
【0188】
本発明のさらなる態様によれば、式(III)の化合物、ここで、式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、R1及びR2は、本明細書に定義される通りであり、及びその個々の異性体を提供する。
【0189】
本発明はまた、式(I)の化合物の全ての薬学的に許容される同位体バリエーションを含む。同位体バリエーションは、少なくとも1個の原子が同じ原子番号を有するが天然に通常見出される原子質量とは異なる原子質量を有する原子によって置き換えられるバリエーションとして定義される。
【0190】
本発明の化合物に含めるのに好適な同位体の例には、2H及び3Hなどの水素の同位体、13C及び14Cなどの炭素の同位体、15Nなどの窒素の同位体、17O及び18Oなどの酸素の同位体、32Pなどのリンの同位体、35Sなどの硫黄の同位体、18Fなどのフルオロの同位体及び36CIなどのクロロの同位体が含まれる。
【0191】
同位体は、放射性でも又は非放射性でもよい。一実施形態において、化合物は、放射性同位体を含まない。そのような化合物は治療的使用に好ましい。しかしながら、別の実施形態において、化合物は1つ以上の放射性同位体を含有してもよい。そのような放射性同位体を含有する化合物は、診断の関係で有用であり得る。
【0192】
ある種の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだ化合物は、薬物及び/又は基質の組織分布の研究に有用である。放射性同位元素、すなわち3H及び14Cは、その組み込みの容易さ及び迅速な検出手段の観点から、この目的に特に有用である。より重い同位体、すなわち2Hでの置換は、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増加又は投与量要件の低減からもたらされるある種の治療上の利点を与えることがあり、したがっていくつかの状況では好ましいものとなり得る。11C、18F、15O及び13Nなどの陽電子放出同位体での置換は、受容体占有率を調べるための陽電子放射断層撮影法(PET)研究に有用であり得る。式(I)の同位体標識化合物は、概して、当業者に既知の従来の技術によって、又はこれまで使用されている非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いた付随する実施例及び調製例に記載されているものと同様の方法によって調製することができる。
【0193】
式(I)の化合物は結晶形態又は非晶質形態で存在することができ、結晶形態のいくつかは多形体として存在することができ、これらは本発明の範囲内に含まれる。式(I)の化合物の多形形態は、赤外線スペクトル、ラマンスペクトル、X線粉末回折、示差走査熱量測定、熱重量分析及び固体核磁気共鳴を含むがこれらに限定されない、多くの従来の分析技術を使用して特徴付けし、区別することができる。
【0194】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、任意の記載された実施形態による結晶形態の化合物を提供する。化合物は、50%~100%の結晶性、より特定的には少なくとも50%の結晶性、若しくは少なくとも60%の結晶性、若しくは少なくとも70%の結晶性、若しくは少なくとも80%の結晶性、若しくは少なくとも90%の結晶性、若しくは少なくとも95%の結晶性、若しくは少なくとも98%結晶、若しくは少なくとも99%の結晶性、若しくは少なくとも99.5%の結晶性、又は少なくとも99.9%の結晶性、例えば100%の結晶性であってもよい。あるいは、化合物は非晶質形態であってもよい。
【0195】
本明細書に記載される本発明は、そのように調製されたいずれかの開示化合物の全ての結晶形態、溶媒和物及び水和物に関する。本明細書に開示されたいずれかの化合物がカルボン酸塩又はアミノ基などの酸性又は塩基性中心を有する限りにおいて、該化合物のすべての塩形態が本明細書に含まれる。薬学的用途の場合、塩は薬学的に許容される塩であると解すべきである。
【0196】
本発明は、化合物及びその塩の任意の溶媒和物に関する。好ましい溶媒和物は、無毒性の薬学的に許容される溶媒(以下、溶媒和溶媒と称する)の分子が本発明化合物の固体状態構造(例えば結晶構造)に取り込まれることによって形成される溶媒和物である。そのような溶媒の例には、水、アルコール(エタノール、イソプロパノール及びブタノールなど)及びジメチルスルホキシドが含まれる。溶媒和物は、溶媒和溶媒を含む溶媒又は溶媒混合物とともに、本発明の化合物を再結晶することによって調製することができる。任意の所与の例において溶媒和物が形成されたか否かは、熱重量分析(TGE)、示差走査熱量測定(DSC)及びX線結晶学などの周知の標準的な技術を用いて、化合物の結晶を分析にかけることによって決定することができる。
【0197】
溶媒和物は、化学量論的又は非化学量論的溶媒和物であることができる。特定の溶媒和物は水和物であってもよく、水和物の例には半水和物、一水和物及び二水和物が含まれる。溶媒和物及びその製造及び特徴付けのために使用される方法のより詳細な考察については、Bryn et al., Solid-State Chemistry of Drugs, Second Edition, published by SSCI,Inc of West Lafayette,IN,USA,1999,ISBN 0-967-06710-3を参照のこと。
【0198】
本発明の化合物は、インビボで代謝され得る。式(I)の化合物の代謝産物はまた、本発明の範囲内である。「代謝産物」という用語は、細胞又は生物、好ましくは哺乳動物において、本発明による化合物のいずれかから得られるすべての分子を指す。この用語は、生理学的条件下で任意のそのような細胞又は生物に存在する任意の分子とは異なる分子に関することが好ましい。
【0199】
本明細書で定義される治療は、唯一の療法として適用してもよいし、又は本発明の化合物に添加して、従来の手術又は放射線療法又は化学療法を伴ってもよい。さらに、式(I)の化合物はまた、小分子治療薬又は抗体ベースの治療薬を含む、癌に関連する状態の治療のための既存の治療剤と組み合わせて使用してもよい。
【0200】
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書で定義される式(I)の化合物又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を薬学的に許容される希釈剤又は担体と共に含む、医薬組成物を提供する。
【0201】
本発明の医薬組成物は、任意の薬学的に許容される担体、アジュバント又はビヒクルと組み合わせた、本発明の化合物のいずれかを含む。薬学的に許容される担体の例は当業者に知られており、投与様式及び剤形の性質に応じて、保存剤、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤及び分散剤が含まれるが、これらに限定されない。組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、ロゼンジ剤、坐剤、シロップ剤、並びに懸濁剤及び液剤を含む液体製剤の形態であり得る。本発明の文脈における「医薬組成物」という用語は、活性剤を含み、さらに1つ以上の薬学的に許容される担体を含む組成物を意味する。組成物は、投与方法及び剤形の性質に応じて、例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、ビヒクル、保存剤、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤及び分散剤から選択される成分をさらに含有することができる。
【0202】
式(I)の化合物は、脱ユビキチン化酵素USP30の阻害剤である。
【0203】
さらなる態様によれば、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に定義する式(I)の化合物、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0204】
さらなる態様によれば、本発明は、哺乳動物においてUSP30の阻害により有益な効果が生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態の治療方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の、本明細書中で定義される式(I)の化合物、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0205】
さらなる態様によれば、本発明は、USP30の阻害により有益な効果が生ずることが既知である又は示され得る障害又は状態を治療するための医薬の調製における、本明細書で定義される式(I)の化合物、その互変異性体、又は該化合物若しくは該互変異性体の薬学的に許容される塩の医薬としての使用を提供する。
【0206】
「治療する(treat)」又は「治療すること(treating)」又は「治療)(treatment)」という用語は、予防を含み、一時的又は恒久的のいずれかで症状を改善し、軽減し、症状の原因を排除するため、又は指定された障害又は状態の発症(appearance)を予防若しくは遅らせるための手段を含む。本発明の化合物は、ヒト及び非ヒト動物の治療に有用である。
【0207】
化合物の用量は、障害の症状の発生を防ぐため、又は患者が罹患している障害のいくつかの症状を治療するために有効な量である。「有効量」又は「治療有効量」又は「有効用量」とは、所望の薬理学的又は治療的効果を生じさせ、したがって障害の有効な予防又は治療をもたらすのに充分な量を意味する。障害の予防は、医学的に有意な程度まで障害の症状の発症を遅らせることによって明らかになる。障害の治療は、障害に関連する症状の減弱又は障害の症状再発の改善によって明らかになる。
【0208】
USP30活性から利益を得る障害又は状態は、ミトコンドリア機能不全を伴う状態及び癌から選択される。
【0209】
本発明のすべての態様の好ましい一実施形態において、USP30活性から利益を得る障害又は状態は、ミトコンドリア機能不全を伴う状態である。
【0210】
ミトコンドリア機能不全は、赤血球を除く身体のあらゆる細胞に存在する特殊な区画であるミトコンドリアの欠陥に起因する。ミトコンドリアが機能しなくなると、細胞内で生成されるエネルギーが次第に少なくなり、その後に細胞傷害又は細胞死さえ起こる。この過程が身体全体にわたって繰り返されると、このことが起こっている対象の生命はひどく損なわれる。ミトコンドリア疾患は、脳、心臓、肝臓、骨格筋、腎臓、並びに内分泌系及び呼吸器系など、エネルギーを非常に必要とする臓器に最も頻繁に現れる。
【0211】
ミトコンドリア機能不全を伴う状態は、マイトファジー欠陥を伴う状態、ミトコンドリアDNAの突然変異を伴う状態、ミトコンドリア酸化ストレスを伴う状態、ミトコンドリア膜電位の欠陥を伴う状態、ミトコンドリア生合成、ミトコンドリア形状又はモルフォロジーの欠陥を伴う状態及びリソソーム蓄積欠陥を伴う状態から選択され得る。
【0212】
特に、ミトコンドリア機能不全を伴う状態は、神経変性疾患;多発性硬化症(MS);ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作(mitochondrial myopathy;encephalopathy;lactic acidosis; stroke-like episodes)(MELAS)症候群;レーベル遺伝性視神経症(LHON);癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、メラノーマ、骨腫瘍又は組織器官の他の癌、及びリンパ腫及び白血病などの血液細胞の癌、多発性骨髄腫、大腸癌、並びに非小細胞肺癌);神経性薄弱・運動失調・網膜色素変性症・母性遺伝性リー症候群(NARP-MILS);ダノン病;糖尿病;糖尿病性腎症;代謝障害;心不全;心筋梗塞を引き起こす虚血性心疾患;精神疾患、例えば、統合失調症、多発性スルファターゼ欠損症(MSD);ムコリピドーシスII(ML II);ムコリピドーシスIII(ML III);ムコリピドーシスIV(ML IV);GMI-ガングリオシドーシス(GM1);神経セロイドリポフスチン症(NCL1);アルパーズ病;バース症候群;ベータ酸化欠損;カルニチン-アシル-カルニチン欠乏症;カルニチン欠乏症;クレアチン欠乏症候群:コエンザイムQ10欠損症:複合体I欠損症;複合体II欠損症複合体III欠損症;複合体IV欠損症;複合体V欠損症;COX欠損症;慢性進行性外眼筋麻痺症候群(CPEO);CPT I欠損症;CPT II欠損症;グルタル酸尿症II型;カーンズ・セイヤー症候群;乳酸アシドーシス;長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCHAD);リー病又は症候群;致死性小児心筋症(lethal infantile cardiomyopathy)(LIC);ルフト病;グルタル酸尿症II型:中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD;ミオクローヌスてんかん症候群・赤色ぼろ線維(MERRF)症候群;ミトコンドリア細胞変性(mitochondrial cytopathy);ミトコンドリア劣性運動失調症候群;ミトコンドリアDNA枯渇症候群;筋神経胃腸障害及び脳症(myoneurogastointestinal disorder and encephalopathy);ピアソン症候群;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症;ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;POLG変異;中/短鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ(M/SCHAD)欠損症;極長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(VLCAD)欠損症;認知機能及び筋力の年齢依存性の低下から選択することができる。
【0213】
ミトコンドリア機能不全を伴う状態は、CNS障害、例えば、神経変性疾患であり得る。
【0214】
神経変性疾患には、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、虚血、脳卒中、レビー小体型認知症及び前頭側頭型認知症が含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
特に、本発明の化合物は、α-シヌクレイン、パーキン及びPINK1の変異に関連するPD、パーキンが変異している常染色体劣性若年性パーキンソン病(AR-JP)を含むがこれらに限定されない、パーキンソン病の治療に有用であり得る。
【0216】
本明細書に記載の本発明の化合物又はその医薬組成物は、ミトコンドリア機能不全を伴う状態の治療に使用される場合、1つ以上の追加の剤と組み合わせることができる。該化合物は、レボドパ、ドーパミン作動薬、モノアミノオキシゲナーゼ(MAO)B阻害薬、カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬、抗コリン薬、リルゾール、アマンタジン、コリンエステラーゼ阻害薬、メマンチン、テトラベナジン、抗精神病薬、ジアゼパム、クロナゼパム、抗鬱薬及び抗てんかん薬から選択される1つ以上の追加の剤と組み合わせることができる。
【0217】
本発明のすべての態様の別の好ましい実施形態において、USP30活性から利益を得る障害又は状態は癌である。癌は、ミトコンドリア機能不全に関連している可能性がある。好ましい癌には、例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、メラノーマ、骨腫瘍又は他の組織器官の癌、並びに血液細胞の癌、例えばリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、大腸癌及び非小細胞肺癌が含まれる。
【0218】
特に、本発明の化合物は、アポトーシス経路が調節不全である、より特定的には、BCL-2ファミリーのタンパク質が変異している又は過剰発現若しくは過少発現している癌の治療に有用であり得る。
【0219】
「治療」への言及は、治癒、緩和及び予防を含み、一時的又は恒久的のいずれかで症状を改善し、軽減し、症状の原因を排除するため、又は指定された障害又は状態の発症を予防若しくは遅らせるための手段を含む。本発明の化合物は、ヒト及び他の哺乳動物の治療に有用である。
【0220】
本明細書に記載の本発明の化合物又はその医薬組成物は、単独で又は1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用することができる。該化合物は、追加の抗腫瘍治療剤、例えば、化学療法薬又は他の調節タンパク質の阻害剤と組み合わせることができる。一実施形態において、追加の抗腫瘍治療薬はBH-3模倣薬である。さらなる実施形態において、BH-3模倣薬は、ABT-737、ABT-199、ABT-263及びオバトクラックスのうちの1つ以上から選択することができるが、これらに限定されない。さらなる実施形態において、追加の抗腫瘍剤は化学療法剤である。化学療法剤は、オラパリブ、マイトマイシンC、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、電離放射線(IR)、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、テモゾロミド、タキサン、5-フルオロピリミジン、ゲムシタビン及びドキソルビシンから選択することができるが、これらに限定されない。
【0221】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、局所、吸入、鼻腔内、直腸内、膣内、眼内及び耳内(andial)などの任意の好適に有効な方法で投与することができる。本発明の化合物の送達に好適な医薬組成物及びその調製方法は当業者には容易に明らかになるであろう。そのような組成物及びその調製方法は、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,19th Edition(Mack Publishing Company,1995)に見出すことができる。
【0222】
経口投与
本発明の化合物は経口投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように飲み込むことを伴ってもよく、又は化合物が口から直接血流に入る口腔内又は舌下投与を用いてもよい。
【0223】
経口投与に好適な製剤には、錠剤などの固体製剤、粒子、液体又は粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、咀嚼剤(chews)、多粒子及びナノ粒子剤(multi-and nano-particulates)、ゲル剤、フィルム剤(粘膜付着剤を含む)、オビュール剤(ovules)、スプレー剤並びに液体製剤が含まれる。
【0224】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟カプセル剤又は硬カプセル剤の充填剤として用いることができ、典型的には担体、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は好適な油、並びに1つ以上の乳化剤及び/又は懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、固体、例えばサシェからの再構成によって調製することができる。
【0225】
本発明の化合物はまた、Expert Opinion in Therapeutic Patents,11 (6),981-986 by Liang and Chen (2001)に記載されているものなどの速溶解性及び速崩壊性剤形に使用できる。
【0226】
典型的な錠剤は、製剤化学者に既知の標準的な方法を用いて、例えば直接圧縮、造粒(乾式、湿式又は溶融)、溶融凝固又は押出しによって調製することができる。錠剤製剤は、1つ以上の層を含んでもよく、コーティングされていても又はコーティングされていなくてもよい。
【0227】
経口投与に好適な賦形剤の例には、担体、例えば、セルロース、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、マンニトール及びクエン酸ナトリウム、造粒結合剤、例えば、ポリビニルピロリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びゼラチン、崩壊剤、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、ケイ酸塩、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸、湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、保存剤、酸化防止剤、風味剤、並びに着色剤などが含まれる。
【0228】
経口投与のための固体製剤は、即時放出及び/又は調節放出となるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、二重制御放出、ターゲット放出及びプログラム放出が含まれる。高エネルギー分散液、浸透性コーティング粒子などの好適な調節放出技術の詳細は、Verma et al, Pharmaceutical Technology On-line,25 (2),1-14 (2001)に見出される。他の調節放出製剤は、米国特許第6106864号明細書に記載されている。
【0229】
非経口投与
本発明の化合物はまた、血流中、筋肉中又は内臓中に直接投与することができる。非経口投与に好適な手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内及び皮下が含まれる。非経口投与に適したデバイスには、針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器及び注入技術を含む。
【0230】
非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物及び緩衝剤(好ましくはpH3~9にする)などの賦形剤を含有することができる水溶液であるが、いくつかの用途では、滅菌非水溶液として、又は発熱物質不含の滅菌水などの好適なビヒクルと組み合わせて使用するための乾燥形態として、より好適に製剤化することができる。
【0231】
例えば滅菌条件下での凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術を使用して容易に達成することができる。
【0232】
非経口液剤の調製に使用される式(I)の化合物の溶解度は、好適な処理加工、例えば高エネルギー噴霧乾燥分散液の使用(国際公開第01/47495号パンフレットを参照のこと)により、及び/又は溶解度向上剤の使用などの適切な製剤化技術の使用により増加させることができる。
【0233】
非経口投与用の製剤は、即時放出及び/又は調節放出となるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、二重制御放出、ターゲット放出及びプログラム放出が含まれる。
【0234】
本発明の医薬組成物はまた、血液脳関門をバイパスするための当技術分野において既知の組成物及び方法を含み、又は脳に直接注入することができる。注入に好適な領域には、大脳皮質、小脳、中脳、脳幹、視床下部、脊髄及び心室組織、並びに頚動脈小体及び副腎髄質を含むPNS領域が含まれる。
【0235】
投与量
化合物の有効用量の大きさは、当然ながら、治療される状態の重症度の性質及び投与経路によって異なるであろう。適切な投与量の選択は、医師の職務範囲内である。1日用量の範囲は、ヒト及び非ヒト動物の体重1kgあたり約10μg~約100mgであり、概して、1回用量あたり体重1kgあたり約10μg~30mgであり得る。該用量を1日に1~3回与えることができる。
【0236】
例えば、経口投与は、5~500mgなどの5mg~1000mgの1日の総用量を必要とし得るが、静脈内投与は、体重あたり0.1~10mg/kg、より好ましくは0.1~1mg/kgなどの体重あたり0.01~30mg/kgのみを必要とし得る。1日の総用量は、単回投与又は分割投与で投与することができる。
【0237】
当業者はまた、ある種の状態の治療において、本発明の化合物を「必要に応じて」(すなわち必要に際し又は所望に応じて)単回用量として摂取することができることを理解するであろう。
【0238】
全ての化合物を液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)若しくは1H NMR又はその両方によって特徴付けした。
【0239】
合成スキーム
略記:
AcOH 酢酸
BINAP (2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル)
CDI カルボニルジイミダゾール
d 二重項(NMRシグナル)
dba ジベンジリデンアセトン
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMSO ジメチルスルホキシド
dppf 1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
ES エレクトロスプレー
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
m 多重項(NMRシグナル)
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
NMP N-メチル-2-ピロリドン
PE 石油エーテル
rt 室温
RT 保持時間
s 一重項(NMRシグナル)
t 三重項(NMRシグナル)
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0240】
分析方法:
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
一般的方法A
【0252】
【0253】
一般的方法B
【0254】
【0255】
X=O又はCH2;n=0又は1;Hal=F、Cl、Br、I
【0256】
一般的方法C
【0257】
【0258】
一般的方法D
【0259】
【0260】
X=N又はCH
【0261】
実施例1 1-フェニルヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル
(一般的方法Aに従って調製)
【0262】
【0263】
工程a.DCM(2ml)中の1-フェニルオクタヒドロピロロ[3,4-b]ピロール(CAS番号128758-05-4;0.050g、0.260mmol)の溶液に、TEA(0.070ml、0.520mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で10分間撹拌した。臭化シアン(0.028g、0.260mmol)を室温で反応混合物に添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。得られた反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中15%EtOAc)により精製して、1-フェニルヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル(0.040g、0.187mmol)を得た。LCMS:方法B、3.051分、MS:ES+213.99;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:7.16-7.19(m、2H)、6.63-6.67(m、1H)、6.52-6.54(m、2H)、4.10-4.18(m、1H)、3.63-3.67(m、1H)、3.47-3.54(m、2H)、3.30-3.34(m、1H)、3.16-3.24(m、2H)、3.00-3.04(m、1H)、2.08-2.16(m、1H)、1.81-1.99(m、1H)。
【0264】
実施例2 cis-4-(6-フェニルピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル
(一般的方法Bに従って調製)
【0265】
【0266】
工程a.トルエン(1ml)中のcis-tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(CAS番号138027-02-8;0.2mmol)、3-クロロ-6-フェニルピリダジン(0.2mmol)及びCs2CO3(0.6mmol、3当量)の溶液に、Pd2(dba)3(0.2当量)及びBINAP(0.06当量)を窒素雰囲気下、室温で添加した。反応混合物を110℃に加熱し、16時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLC(PE/EtOAc=1:1)により精製して、cis-tert-ブチル4-(6-フェニルピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレートを得た。MS:ES+383.4。
【0267】
工程b.EtOAc(1ml)中のcis-tert-ブチル4-(6-フェニルピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレートの溶液に、HCl/EtOAc(4M、1ml)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣であるcis-4-(6-フェニルピリダジン-3-イル)オクタヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジンを次の工程で使用した。MS:ES+283.3。
【0268】
工程c.EtOH(2ml)中のcis-4-(6-フェニルピリダジン-3-イル)オクタヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジンの溶液に、臭化シアン(0.2mmol)及びNaHCO3(0.6mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣を分取逆相HPLC(A:水中0.078%CH3CO2NH4、B:MeCN)により精製し、cis-4-(6-フェニルピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル(14.51mg、0.047mmol)を得た。LCMS:方法E、2.083分、MS:ES+308.1。
【0269】
表1中の化合物は、cis-tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(CAS番号138027-02-8)を使用して、実施例2によって例示される一般的方法Bに従って合成した。
【0270】
【0271】
【0272】
実施例8 cis-1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル
(工程b~dは一般的方法Bに従う)
【0273】
【0274】
工程a.HCl(40ml)及びAcOH(40ml)中の5-フェニルチアゾール-2-アミン(5.0g、28.3mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、水(10ml)中のNaNO2(2.3g、33.9mmol、1.2当量)を0℃でゆっくり添加した。0℃で0.5時間撹拌した後、CuCl2(7.6g、56.5mmol、2.0当量)を溶液に添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をDCM(400ml×3)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=100:1~40:1)により精製して、2-クロロ-5-フェニルチアゾール(3.0g、純度99.0%)を黄色結晶として得た。
【0275】
工程b.トルエン(3ml)中のcis-tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボキシレート(CAS番号180975-51-3;0.4mmol)、2-クロロ-5-フェニルチアゾール(0.48mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(0.44mmol、1.1当量)の溶液に、Pd(OAc)2(0.05当量)及びPPh3(0.05当量)を窒素下、室温で添加した。反応混合物を110℃で16時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣を分取TLC(PE/EtOAc=1:1)により精製して、cis-tert-ブチル1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボキシレートを得た。MS:ES+372.5。
【0276】
工程c.EtOAc(3ml)中のcis-tert-ブチル1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボキシレートの溶液に、HCl/EtOAc(4M、3ml)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣であるcis-2-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-5-フェニルチアゾールを次の工程に直接使用した。MS:ES+272.3。
【0277】
工程d.EtOH(4mL)中のcis-2-(ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-5-フェニルチアゾールの溶液に、臭化シアン(0.4mmol)及びNaHCO3(1.2mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。粗製物を分取逆相HPLC(A:水中0.078%CH3CO2NH4、B:MeCN)によって精製し、cis-1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル(20.2mg、0.068mmol)を得た。LCMS:方法G、11.206、MS:ES+296.8。
【0278】
実施例9 cis-4-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル
【0279】
【0280】
工程bのcis-tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(CAS番号138027-02-8/中間体1)を使用し、実施例8について記載したものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法H、13.659、MS:ES+312.9;1H NMR(400MHz、CD3OD)δ ppm:7.49-7.51(m、3H)、7.35-7.39(m、2H)、7.24-7.28(m、1H)、4.63-4.88(m、1H)、4.19-4.21(m、1H)、4.06-4.10(m、1H)、3.74-3.85(m、3H)、3.50-3.57(m、3H)、3.39-3.46(m、1H)。
【0281】
実施例10 trans-4-(5-フェニルチアゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル
【0282】
【0283】
工程bのtrans-tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(CAS番号138026-93-4)を使用し、実施例8について記載したものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法I、15.077、MS:ES+312.8;1H NMR(400MHz、CD3OD)δ ppm:7.50-7.52(m、3H)、7.36-7.39(m、2H)、7.26-7.28(m、1H)、4.47-4.51(m、1H)、4.13-4.16(m、1H)、3.95-3.96(m、1H)、3.82-3.85(m、1H)、3.69-3.73(m、2H)、3.57-3.59(m、1H)、3.37-3.40(m、1H)、3.21-3.25(m、1H)。
【0284】
実施例11 1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-カルボニトリル
(一般的方法Bに従って調製)
【0285】
【0286】
工程a.トルエン(5ml)中の2-ブロモ-5-フェニルチアゾール(CAS番号133311-51-0;0.158g、0.660mmol)の溶液に、tert-ブチルオクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-カルボキシレート(CAS番号186203-81-6;0.150g、0.660mmol)を室温で添加した。ナトリウムtert-ブトキシド(0.120g、1.30mmol)を室温で反応混合物に添加した。得られた反応混合物を15分間脱気し、次いでPd2(dba)3(0.030g、0.033mmol)及びCy-JohnPhos(0.011g、0.033mmol)で処理した。得られた反応混合物を110℃で16時間加熱し、次いで室温に冷却し、水(50ml)に注いだ。得られた混合物をEtOAc(3×20ml)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(DCM中2%MeOH)によって精製して、tert-ブチル1-(5-フェニルチアゾール-2-イル)オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6-カルボキシレート(0.163g、0.422mmol)を得た。LCMS:方法C、2.766分、MS:ES+386.38.
【0287】
工程b~c.実施例8の工程c~dについて記載したものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成した。LCMS:方法A、4.926分、MS:ES+310.93;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:7.71(s、1H)、7.56-7.69(m、2H)、7.34-7.48(m、2H)、7.20-7.28(m、1H)、4.72-4.78(m、1H)、3.58-3.66(m、3H)、3.42-3.46(m、1H)、3.01-3.24(m、2H)、2.28-2.32(m、1H)、1.77-1.80(m、2H)、1.35-1.56(m、2H)。
【0288】
実施例12 3-((5-フェニルチアゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル
【0289】
【0290】
実施例11について記載したものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.944分、MS:ES+271.33;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:8.18(s、1H)、7.52(s、1H)、7.44-7.46(m、2H)、7.33-7.37(m、2H)、7.19-7.23(m、1H)、4.27-4.30(m、1H)、3.62-3.66(m、1H)、3.45-3.55(m、2H)、3.31-3.35(m、1H)、2.11-2.20(m、1H)、1.92-1.98(m、1H)。
【0291】
実施例13 3-(メチル(5-フェニルチアゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル
【0292】
【0293】
実施例11について記載したものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法B、4.149分、MS:ES+285.18;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:7.62(s、1H)、7.46-7.49(m、2H)、7.34-7.38(m、2H)、7.20-7.23(m、1H)、4.86-4.89(m、1H)、3.55-3.64(m、2H)、3.44-3.50(m、2H)、3.00(s、3H)、2.10-2.17(m、2H)。
【0294】
実施例14 3-(メチル(5-フェニルピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル
【0295】
【0296】
実施例11について記載したものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法B、3.265分、MS:ES+279.33;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:8.45(d、J=2.4Hz、1H)、7.87(dd、J=8.8、2.4Hz、1H)、7.60-7.62(m、2H)、7.41-7.44(m、2H)、7.28-7.31(m、1H)、6.81(d、J=9.2Hz、1H)、5.38-5.42(m、1H)、3.53-3.61(m、2H)、3.42-3.48(m、1H)、3.34-3.37(m、1H)、2.93(s、3H)、2.01-2.08(m、2H)。
【0297】
実施例15 (3aR,6aR)-1-(6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル
(一般的方法Cに従って調製)
【0298】
【0299】
工程a.DMF(5ml)中の4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼン-1,2-ジアミン(CAS番号658-89-9;0.45g、2.34mmol)の溶液に、尿素(0.28g、4.66mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を150℃で20時間加熱した。反応混合物を水(5ml)で希釈し、褐色の沈殿物を真空濾過により回収し、減圧下で乾燥して、5-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(0.28g、1.28mmol)を得た。LCMS:方法C、2.118分、MS:ES+219。
【0300】
工程b.POCl3(2ml)中の5-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(0.25g、1.14mmol)の混合物の溶液を130℃で2時間加熱した。得られた反応混合物を室温に冷却し、K2CO3水溶液(10ml)をゆっくり添加しることにより中和した。得られた混合物をEtOAc(3×60ml)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテル:ヘキサン(9:1)の混合物で洗浄し、減圧下で乾燥して、2-クロロ-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(0.18g、0.76mmol)を得た。LCMS:方法C、1.969分、MS:ES+237.18;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:13.63(s 1H)、7.56-7.62(m、2H)、7.23-7.25(m、1H)。
【0301】
工程c.NMP(2ml)中の(3aR,6aR)-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピロール-5-カルボン酸tert-ブチルエステル(CAS番号370882-39-6;0.194g、0.91mmol)の溶液に、DIPEA(0.245g、1.90mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で10分間撹拌した。2-クロロ-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(0.18g、0.76mmol)を室温で反応混合物に添加し、次いで160℃で16時間加熱した。得られた反応混合物を室温に冷却し、水(30ml)に注いだ。得られた混合物をEtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を塩水溶液(100ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%EtOAc)により精製して、tert-ブチル(3aR,6aR)-1-(6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボキシレート(0.16g、0.38mmol)を得た。LCMS:方法C、1.616分、MS:ES+413.37。
【0302】
工程d.DCM(2ml)中のtert-ブチル(3aR,6aR)-1-(6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボキシレート(0.16g、0.38mmol)の溶液に、TFA(0.16ml、1.94mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をジエチルエーテル(10ml)でさらに洗浄して、2-((3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾールTFA塩(0.16g、0.37mmol)を得た。LCMS:方法C、1.766分、MS:ES+313.2。
【0303】
工程e.THF(2ml)中の2-((3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾールTFA塩(0.16g、0.37mmol)の溶液に、K2CO3(0.155g、1.12mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で10分間撹拌した。臭化シアン(0.05g、0.48g)を反応混合物に添加し、室温で30分間撹拌した。得られた反応混合物を水(10ml)に注ぎ入れ、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を塩水溶液(100ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中40%EtOAc)により精製し、(3aR,6aR)-1-(6-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル(0.04g、0.11mmol)を得た。LCMS:方法A、3.904分、MS:ES+338、1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:11.54-11.56(m、1H)、7.11-7.26(m、2H)、6.84-6.94(m、1H)、4.38-4.42(m、1H)、3.33-3.65(m、5H)、3.31-3.32(m、1H)、3.05-3.09(m、1H)、2.12-2.17(m、1H)、1.87-1.92(m、1H)。
【0304】
実施例16 2-((3aR,6aR)-5-シアノヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル
(一般的方法Cに従って調製)
【0305】
【0306】
工程a.トルエン(5ml)中の3,4-ジアミノベンゾニトリル(CAS番号17626-40-3;0.400g、3.00mmol)の溶液に、CDI(0.633g、3.907mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を125℃で2時間加熱した。得られた反応混合物を水(100ml)で希釈し、1M NaOH溶液を使用して塩基性にした。得られた混合物をEtOAc(3×100ml)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(0.211g、1.327mmol)を得た。LCMS:方法F、4.066分、MS:ES-158.00;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:11.19(s、1H)、11.06(s、1H)、7.40(dd、J=8.0、1.2Hz、1H)、7.31(d、J=1.2Hz、1H)、7.07(d、J=8.0Hz、1H)。
【0307】
工程b-e.実施例15について記載したものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物を合成して、表題化合物を得た。LCMS:方法B、2.363分、MS:ES+279.53;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:11.81-11.83(m、1H)、7.55-7.58(m、1H)、7.30-7.34(m、2H)、4.43-4.45(m、1H)、3.54-3.69(m、5H)、3.28-3.31(m、1H)、3.05-3.12(m、1H)、2.10-2.17(m、1H)、1.86-1.95(m、1H)。
【0308】
実施例17 (3aR,6aR)-1-(6-メトキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボニトリル
(一般的方法Cに従って調製)
【0309】
【0310】
実施例16に記載されているものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法B、2.494分、MS:ES+284.53;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:11.07-11.18(m、1H)、7.02-7.11(m、1H)、6.74-6.82(m、1H)、6.48-6.50(m、1H)、4.33-4.37(m、1H)、3.70(s、3H)、3.51-3.64(m、5H)、3.28-3.31(m、1H)、3.02-3.06(m、1H)、2.09-2.18(m、1H)、1.87-1.90(m、1H)。
【0311】
実施例18 (R)-3-(メチル(6-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-カルボニトリル
【0312】
【0313】
工程Cの(R)-tert-ブチル3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-カルボキシレート(CAS番号199336-83-9)を使用し、実施例16に記載されているものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法A、3.855分、MS:ES+309.99;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm:11.70-11.75(m、1H)、7.22-7.47(m、3H)、5.01-5.2(m、1H)、3.59-3.61(m、2H)、3.34-3.45(m、2H)、3.01(s、3H)、2.06-2.14(m、2H)。
【0314】
中間体1 cis-tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート
【0315】
【0316】
工程a.エチレングリコール(30mL)中のtert-ブチル2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(CAS番号73286-70-1;10.00g、59.17mmol)の撹拌溶液に、N-ブロモスクシンイミド(10.84g、60.95mmol)を窒素下、室温で数回に分けて添加し、16時間撹拌した。得られた混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%EtOAc)により精製して、tert-ブチル3-ブロモ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)ピロリジン-1-カルボキシレート(11.74g、37.99mmol)を得た。LCMS:方法C、1.704分、MS:ES+254.1、256.1(M-56)。
【0317】
工程b.トルエン(30mL)中のtert-ブチル3-ブロモ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)ピロリジン-1-カルボキシレート(11.74g、37.99mmol)の撹拌溶液に、TEA(6.34mL、45.6mmol)及びDMAP(0.139g、1.14mmol)を室温で添加した。反応混合物を0℃に冷却し、トルエン(20mL)中の塩化p-トルエンスルホニル(8.69g、45.59mmol)の溶液を滴加した。反応物をゆっくり室温に温め、16時間撹拌した。得られた反応混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中25%EtOAc)により精製して、tert-ブチル3-ブロモ-4-(2-(トシルオキシ)エトキシ)ピロリジン-1-カルボキシレート(13.43g、29.01mmol)を得た。LCMS:方法C、2.367分、MS:ES+464.2、466.1.
【0318】
工程c.NMP(80mL)中のtert-ブチル3-ブロモ-4-(2-(トシルオキシ)エトキシ)ピロリジン-1-カルボキシレート(13.43g、29.01mmol)の撹拌溶液に、(R)-1-フェニルエタン-1-アミン(CAS番号3886-69-9;10.52g、87.0mmol)を室温で添加し、得られた混合物を140℃に16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(100mL)で希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をさらに水(5×100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%EtOAc)により精製して、tert-ブチル4-((R)-1-フェニルエチル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(6.80g、20.48mmol)を得た。LCMS:方法K、26.753、27.019分、MS:ES+333.2。
【0319】
工程d.MeOH(90mL)中のtert-ブチル4-((R)-1-フェニルエチル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(6.70g、20.18mmol)の撹拌溶液をParrオートクレーブ内に入れ、該撹拌溶液に10%(w/w)パラジウム炭素(50%水湿潤品、2.68g)を室温で添加し、得られた混合物を250psiの水素下、室温で16時間撹拌した。得られた反応混合物をセライトベッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(DCM中5~7%MeOH)により精製して、tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(2.78g、1.22mmol)を得た。LCMS:方法C、1.369分、MS:ES+229.19。
【0320】
実施例19 cis-4-(2’-シアノ-[3,4’-ビピリジン]-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル(鏡像異性体1)、及び
実施例20 cis-4-(2’-シアノ-[3,4’-ビピリジン]-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル(鏡像異性体2)
【0321】
【0322】
工程a.乾燥トルエン(15mL)中のtert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(中間体1、0.6g、2.63mmol)及び5-ブロモ-2-ヨードピリジン(CAS番号223463-13-6;0.971g、3.42mmol)の混合物に、ナトリウムtert-ブトキシド(0.379g、3.945mmol)、Pd2(dba)3(0.048g、0.053mmol)及びキサントホス(0.091g、0.158mmol)を窒素下、室温で順次添加し、得られた混合物を100℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(40mL)で希釈し、EtOAc(2×40mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中12%EtOAc)により精製して、tert-ブチル4-(5-ブロモピリジン-2-イル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(0.880g、2.30mmol)を得た。LCMS:方法C、2.324分、MS:ES+328.07、330.07(M-56)。
【0323】
工程b.DMF-水(5:1.5、6.5mL)中のtert-ブチル4-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(0.230g、0.60mmol)及び4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピコリノニトリル(CAS番号741709-62-6;0.207g、0.90mmol)の混合物に、NaHCO3(0.151g、1.802mmol)を室温で添加した。反応溶液を通して窒素を15分間パージすることによって反応混合物を脱気した後、PdCl2(dppf)(0.044g、0.06mmol)を添加した。反応混合物を100℃で1.5時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水(40mL)で希釈し、EtOAc(2×40mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中60%EtOAc)により精製して、tert-ブチル4-(2’-シアノ-[3,4’-ビピリジン]-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(0.190g、0.47mmol)を得た。LCMS:方法C、2.069分、MS:ES+352.22(M-56)。
【0324】
工程c及びd.実施例15の工程d及びeについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物をラセミ体として合成した。LCMS:方法B、3.441分、MS:ES+333.3;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm 8.77(d、J=2.4Hz、1H)、8.72(d、J=5.2Hz、1H)、8.44(d、J=1.2Hz、1H)、8.19(dd、J1=2.4Hz及びJ2=8.8Hz、1H)、8.09(dd、J1=2.0Hz及びJ2=5.2Hz、1H)、7.05(d、J=9.2Hz、1H)、4.98-4.92(m、1H)、4.11-4.09(m、1H)、4.04-3.99(m、2H)、3.75-3.71(m、1H)、3.62-3.58(m、2H)、3.46-3.34(m、2H)、3.17-3.10(m、1H)。
【0325】
ラセミ混合物を、UV検出器を備えるWaters SFC200、326ラムダマックス(lambda max)Chiralcel OJ-H250×21.0mm、5ミクロン、カラム流量80.0ml/分、ABPR100barとした、分取キラルSFCで分離した。移動相(A)液体二酸化炭素;(B)0.1%ジエチルアミン/IPA、16分間にわたる30%(A)を用いたアイソクラティック溶出。
【0326】
第1の溶出異性体を実施例19とした;LCMS:方法B、3.443分、MS:ES+333.4;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm8.78(d、J=2.4Hz、1H)、8.72(d、J=5.2Hz、1H)、8.45(s、1H)、8.20(dd、J1=2.4Hz及びJ2=8.8Hz、1H)、8.09(dd、J1=2.0Hz及びJ2=5.2Hz、1H)、7.06(d、J=9.2Hz、1H)、4.98-4.94(m、1H)、4.13-4.11(m、1H)、4.06-4.06(m、2H)、3.76-3.72(m、1H)、3.65-3.60(m、2H)、3.46-3.34(m、2H)、3.18-3.12(m、1H);Chiral SFC:6.96分、カラム:Chiralcel OJ-H、溶出液:液体二酸化炭素/IPA中0.1%ジエチルアミン。
【0327】
第2の溶出異性体を実施例20とした;LCMS:方法B、3.427分、MS:ES+333.35;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm8.78(d、J=2.0Hz、1H)、8.71(d、J=5.2Hz、1H)、8.43(s、1H)、8.18(dd、J1=2.4Hz及びJ2=9.2Hz、1H)、8.07-8.06(m、1H)、7.04(d、J=9.2Hz、1H)、4.98-4.92(m、1H)、4.10-4.09(m、1H)、4.02-3.98(m、2H)、3.72(dd、J1=3.6Hz及びJ2=10.8Hz、1H)、3.63-3.58(m、2H)、3.44-3.36(m、2H)、3.15-3.05(m、1H);Chiral SFC:7.72分、カラム:Chiralcel OJ-H、溶出液:液体二酸化炭素/IPA中0.1%ジエチルアミン。
【0328】
実施例21 cis-4-(6-(2-シアノピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル(鏡像異性体1)、及び
実施例22 cis-4-(6-(2-シアノピリジン-4-イル)ピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル(鏡像異性体2)
【0329】
【0330】
工程a.DMSO(20mL)中の3-クロロ-6-ヨードピリダジン(0.800g、3.33mmol)及びtert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(中間体1、0.758g、3.33mmol)の撹拌溶液に、KI(1.104g、6.65mmol)及びK2CO3(1.377g、9.98mmol)を室温で順次添加し、得られた反応混合物を100℃で24時間加熱した。反応混合物を水(30mL)に注ぎ、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を氷水(3×50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中45%EtOAc)により精製して、tert-ブチル4-(6-ヨードピリダジン-3-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(0.340g、0.79mmol)を得た。LCMS:方法C、1.605分、MS:ES+433.45。
【0331】
工程b~d.実施例19/20の工程b~dについて記載されたものと同様の手順を使用して、上記中間体から表題化合物をラセミ体として合成した。LCMS:方法A、2.945分、MS:ES+334.0;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm 8.86(d、J=5.2Hz、1H)、8.69(s、1H)、8.43(dd、J1=1.6Hz、J2=5.2Hz、1H)、8.29(d、J=9.6Hz、1H)、7.52(d、J=9.6Hz、1H)、5.04-5.03(m、1H)、4.18-4.06(m、3H)、3.76-3.65(m、2H)、3.49-3.40(m、2H)、3.29-3.23(m、2H)。
【0332】
ラセミ混合物を、UV検出器を備えるShimadzu LC-20AP、312ラムダマックス(lambda max)Chiralpak AD-H 250×21.0mm、5ミクロン、カラム流量18.0ml/分とした、分取キラルHPLCにより分離した。移動相(A)0.1%ジエチルアミン/ヘキサン;(B)0.1%ジエチルアミン/IPA、40分間にわたる50%(A)を用いたアイソクラティック溶出。
【0333】
第1の溶出異性体を実施例21とした;LCMS:方法A、2.966分、MS:ES+334.2;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm8.86(d、J=5.2Hz、1H)、8.68(s、1H)、8.43(dd、J1=1.6Hz、J2=5.2Hz、1H)、8.29(d、J=10Hz、1H)、7.52(d、J=10Hz、1H)、5.06-5.02(m、1H)、4.18-4.05(m、3H)、3.76-3.65(m、2H)、3.49-3.40(m、2H)、3.29-3.22(m、2H);ChiralHPLC:13.97分、カラム:Chiralpak AD-H、溶出液:ヘキサン中0.1%ジエチルアミン/IPA中0.1%ジエチルアミン。
【0334】
第2の溶出異性体を実施例22とした;LCMS:方法A、2.965分、MS:ES+334.2;1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ ppm 8.86(d、J=5.2Hz、1H)、8.68(s、1H)、8.42(dd、J1=1.6Hz、J2=5.2Hz、1H)、8.29(d、J=9.6Hz、1H)、7.52(d、J=9.6Hz、1H)、5.06-5.01(m、1H)、4.18-4.05(m、3H)、3.76-3.65(m、2H)、3.49-3.35(m、2H)、3.29-3.22(m、2H);Chiral HPLC:17.5分、カラム:Chiralpak AD-H、溶出液:ヘキサン中0.1%ジエチルアミン/IPA中0.1%ジエチルアミン。
【0335】
実施例23 rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピリジン-6-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル
【0336】
【0337】
実施例19/20について記載されたものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法Hを30°Cで実施した、10.731分、MS:ES+332.0;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:8.85(s、1H)、7.72(s、1H)7.66(m、2H)、7.53(dd、1H)、7.48(dd、1H)、6.64(d、1H)、4.90(m、1H)、4.06(m、2H)、3.66(m、4H)、3.51(m、1H)、3.33(m、1H)、3.14(m、1H)。
【0338】
実施例24 rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル
【0339】
【0340】
実施例19/20について記載されたものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法Iを30°Cで実施した、13.070分、MS:ES+333.0;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:8.57(s、2H)、7.77(s、1H)7.72(dd、1H)、7.66(dd、1H)、7.59(m、1H)、5.11(m、1H)、4.43(m、1H)、4.09(m、2H)、3.71(m、3H)、3.60(m、1H)、3.50(m、1H)、3.22(m、1H)。
【0341】
実施例25 rac-(4aR,7aS)-4-(5-(3-シアノフェニル)ピラジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル
【0342】
【0343】
実施例19/20について記載されたものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法Iを30°Cで実施した、12.751分、MS:ES+332.9;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:8.58(s、1H)、8.25(s、1H) 8.22(s、1H)、8.14(dd、1H)、7.66(dd、1H)、7.58(m、1H)、4.91(m、1H)、4.17(m、2H)、3.79(m、4H)、3.62(m、1H)、3.45(m、1H)、3.32(m、1H)。
【0344】
実施例26 rac-(4aR,7aS)-4-(4-シアノ-[2,3’-ビピリジン]-6’-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル
【0345】
【0346】
工程a.トルエン(20.0mL)中のtert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(中間体1、1.12g、4.91mmol)、5-ブロモ-2-ヨード-ピリジン(1.81g、6.38mmol)、Pd2(dba)3(89.8mg、0.098mmol)、キサントホス(170mg、294μmol)及びt-BuONa(707mg、7.36mmol)の混合物を脱気し、N2で3回パージし、次いで混合物をN2雰囲気下、100℃で8時間撹拌した。TLCにより、中間体1が完全に消費され、1つの新しいスポット(DCM:MeOH=10:1、Rf=0.71)が形成されたことが示された。TLCによれば、反応物は純粋(clean)であった。水相をEtOAc(3×20ml)で抽出した。合わせた有機相を塩水(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0~50%EtOAc/PE勾配)により精製して、ラセミ体であるtert-ブチル(4aS,7aR)-4-(5-ブロモピリジン-2-イル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(1.5g、3.90mmol、収率79.5%)を黄色の固形物として得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:8.15-8.12(m、1H)、7.53-7.48(m、1H)、6.47-6.44(m、1H)、4.68-4.58(m、1H)、4.00-3.97(m、2H)、3.65-3.44(m、5H)、3.14-3.08(m、2H)、1.37(s、9H)。
【0347】
工程b.ジオキサン(10mL)中のtert-ブチル(4aS,7aR)-4-(5-ブロモピリジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボキシレート(700mg、1.82mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(925mg、3.64mmol)、Pd(dppf)Cl2(53.3mg、0.073mmol)及びKOAc(536mg、5.46mmol)の混合物を脱気し、N2で3回パージし、次いで混合物をN2雰囲気下、100℃で12時間攪拌した。LCMSにより反応が完了したことが示され、所望のMSを有する1つの主ピーク(MS=350)が検出された。粗生成物(700mg、1.62mmol、収率89.0%)をさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0348】
工程c.ジオキサン(15mL)中の上記中間体(600mg、1.39mmol)及び2-ブロモピリジン-4-カルボニトリル(254mg、1.39mmol)、Pd(PPh3)4(129mg、111μmol)及び水(2mL)中のCs2CO3(1.36g、4.17mmol)の混合物を脱気し、N2で3回パージし、次いで混合物をN2雰囲気下、105℃で20時間攪拌した。水相をEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0~60%EtOAc/PE勾配)により精製して、所望の中間体(300mg、0.74mmol、収率52.9%)を白色の固形物として得た。
【0349】
工程d.EtOAc(3mL)中の上記中間体(650mg、1.60mmol)の溶液に、HCl/EtOAc(10mL)を添加した。混合物を25℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮して残渣を得て、これを凍結乾燥して粗生成物(200mg、736μmol、収率98.9%)を得て、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。
【0350】
工程e.EtOH(10mL)中の上記粗中間体(200mg、0.65mmol)の溶液に、NaHCO3(409mg、4.88mmol)及び臭化シアン(124mg、1.17mmol)を添加した。混合物を20℃で20時間撹拌した。混合物を濃縮して残渣を得て、これを分取HPLC(CH3CH2ONH4条件)により精製した。表題化合物を黄色の固形物として得た(80.0mg、収率24.6%)。LCMS:方法Hを30℃で実施した、8.701分、MS:ES+333.0;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:8.83(m、2H)、8.22(dd、1H)、7.87(s、1H)、7.41(d、1H)、6.74(d、1H)、5.03(m、1H)、4.15(m、2H)、3.76(m、4H)、3.60(m、1H)、3.43(m、1H)、3.25(m、1H)。
【0351】
実施例27 rac-(4aR,7aS)-4-(2-シアノ-[2,3’-ビピリジン]-6’-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン-6(2H)-カルボニトリル
【0352】
【0353】
実施例26に記載されているものと同様の手順を使用して、表題化合物を合成した。LCMS:方法J、7.182分、MS:ES+333.0;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm:8.83(s、1H)、8.30(dd、1H)、7.87(m、2H)、7.59(dd、1H)、6.74(d、1H)、5.03(m、1H)、4.14(m、2H)、3.76(m、4H)、3.60(m、1H)、3.43(m、1H)、3.25(m、1H)。
【0354】
本発明の化合物の生物活性
略記:
TAMRA カルボキシテトラメチルローダミン
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PBS リン酸緩衝生理食塩水
EDTA エチレンジアミン四酢酸
Tris 2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール
NP-40 NonidetP-40、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール
BSA ウシ血清アルブミン
PNS 末梢神経系
BH3 Bcl-2相同性ドメイン3
PTEN ホスファターゼ及びテンシンホモログ
【0355】
インビトロUSP30阻害アッセイ
USP30生化学反応速度論アッセイ。黒色の384ウェルプレート(small volume、Greiner784076)において、21μLの最終反応体積で、二つ組で反応を行った。USP30CD(57-517、#64-0057-050 Ubiquigent)を反応緩衝液(40mM Tris、pH7.5、0.005%Tween20、0.5mg/mlBSA、5mM β-メルカプトエタノール)中で0、0.005、0.01、0.05、0.1及び0.5μl/ウェルの当量に希釈した。緩衝液を、至適温度、pH、還元剤、塩、インキュベーション時間及び洗浄剤について最適化した。イソペプチド結合を介してユビキチンに結合した50nMのTAMRA標識ペプチドを蛍光偏光基質として添加することにより、反応を開始した。反応物を室温でインキュベートし、2分間毎に120分間読み取った。読み取りはPherastar Plus(BMG Labtech)で行った。λ励起光540nm;λ蛍光590nm。
【0356】
USP30生化学IC50アッセイ
希釈プレートを、96ウェルポリプロピレンV底プレート(Greiner#651201)において、50%DMSO中、最終濃度の21倍(100μMの最終濃度に対して2100μM)で調製した。典型的な8点希釈系列は、100、30、10、3、1、0.3、0.1、0.03μM最終であろう。黒色の384ウェルプレート(small volume、Greiner784076)において、21μLの最終反応体積で、二つ組で反応を行った。1μlの50%DMSO又は希釈化合物のいずれかをプレートに添加した。USP30を反応緩衝液(40mM Tris、pH7.5、0.005%Tween20、0.5mg/mlBSA、5mMβ-メルカプトエタノール)中で0.05μl/ウェルの当量に希釈し、10μLの希釈USP30を化合物に添加した。酵素及び化合物を30分間室温でインキュベートした。イソペプチド結合を介してユビキチンに結合した50nMのTAMRA標識ペプチドを蛍光偏光基質として添加することにより、反応を開始した。基質添加直後及び室温で2時間のインキュベーション後に反応を読み取った。読み取りはPherastar Plus(BMG Labtech)で行った。λ励起光540nm;λ蛍光590nm。
【0357】
USP30生化学IC50アッセイにおける例示化合物の活性
範囲:
0.001<A*<0.01μM、
0.01A<0.1μM、
0.1<B<1μM、
1<C<10μM、
10<D<30μM
【0358】