IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティーアールダブリュー・オートモーティブ・セーフティ・システムズ・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲーの特許一覧

特許7084920車両乗員安全システムのエアバッグモジュール用の配線ハーネス、この種の配線ハーネスを有するエアバッグモジュール、車両ケーブル配線および車両乗員安全システムならびに製造方法
<>
  • 特許-車両乗員安全システムのエアバッグモジュール用の配線ハーネス、この種の配線ハーネスを有するエアバッグモジュール、車両ケーブル配線および車両乗員安全システムならびに製造方法 図1
  • 特許-車両乗員安全システムのエアバッグモジュール用の配線ハーネス、この種の配線ハーネスを有するエアバッグモジュール、車両ケーブル配線および車両乗員安全システムならびに製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】車両乗員安全システムのエアバッグモジュール用の配線ハーネス、この種の配線ハーネスを有するエアバッグモジュール、車両ケーブル配線および車両乗員安全システムならびに製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/203 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
B60R21/203
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019523045
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2017077145
(87)【国際公開番号】W WO2018082968
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】102016120988.0
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599061833
【氏名又は名称】ティーアールダブリュー・オートモーティブ・セーフティ・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】モルハート,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】トゥミネッロ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】リベイロ,ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】バッハマン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ボット,アレクサンデル
(72)【発明者】
【氏名】ストランスフェルト,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】フレッケンシュタイン,アンドレアス
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0080542(US,A1)
【文献】特開平04-266548(JP,A)
【文献】特開平08-017491(JP,A)
【文献】特開2005-168176(JP,A)
【文献】特開2014-220252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0257557(US,A1)
【文献】国際公開第2017/093313(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0148056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
B60R 16/00-16/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両乗員安全システムのエアバッグモジュール用の配線ハーネス(10)であって、
前記エアバッグモジュールの火工点火器への接続のためのコネクタ(11)と、
車両配線ハーネスに前記コネクタ(11)を接続するために前記コネクタ(11)に接続される少なくとも1つのモジュール接続ケーブル(12)と、
少なくとも1つの作動器ユニット(13)であり、前記エアバッグモジュールとは別の火工作動器(17)および前記作動器ユニット(13)と一体的に形成されかつ前記コネクタ(11)に接続される作動器接続ケーブル(14)を備える作動器ユニット(13)とを備える配線ハーネス(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の配線ハーネス(10)において、
前記作動器接続ケーブル(14)が、前記作動器(17)に非脱着可能に接続される、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の配線ハーネス(10)において、
前記作動器接続ケーブル(14)にはコネクタがない、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の配線ハーネス(10)において、
前記作動器接続ケーブル(14)が、自由ストランド端を持つ少なくとも1つのストランド(15)を有し、前記ストランド端に、前記コネクタ(11)のスロット内へ伸びるプラグ部材(18)が設けられる、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
【請求項5】
請求項4に記載の配線ハーネス(10)において、
前記プラグ部材(18)が、ストランド端スリーブである、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)において、
前記作動器接続ケーブル(14)が、少なくとも部分的に絶縁チューブ(16)で被覆される2つのストランド(15)を備える、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
【請求項7】
請求項6に記載の配線ハーネス(10)において、
前記絶縁チューブ(16)が、前記作動器(17)のハウジングに固く接続される、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)において、
前記モジュール接続ケーブル(12)が、車両側ケーブル端に前記車両配線ハーネスへの電気接続のための少なくとも1つのコネクタ(19)を含む、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
【請求項9】
請求項8に記載の配線ハーネス(10)において、
前記コネクタ(19)が、前記車両配線ハーネスの相補接続要素にプラグ接続されることができる、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)において、
前記火工作動器(17)は、テザー発動ユニット、受動歩行者保護のためのフードプロップ、またはベルト張力機構の一部である、配線ハーネス(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)を備えるエアバッグモジュール。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)および/またはエアバッグモジュールを備える車両ケーブル配線。
【請求項13】
請求項12に記載の車両ケーブル配線において、
前記配線ハーネス(10)が、車両配線ハーネスに電気的に接続される、
ことを特徴とする車両ケーブル配線。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)および/またはエアバッグモジュールおよび/または車両ケーブル配線を備える車両乗員安全システム。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)を製造する方法であって、
一体化作動器接続ケーブル(14)を有する作動器ユニット(13)、モジュール接続ケーブル(12)およびコネクタ(11)を設けるステップと、
前記コネクタ(11)に前記モジュール接続ケーブル(12)および前記作動器接続ケーブル(14)を接続するステップとを含む方法。
【請求項16】
車両配線ハーネスに作動器(17)を電気的に接続する方法であって、
請求項1から10のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)を設けるステップと、
前記車両配線ハーネスに前記モジュール接続ケーブル(12)を接続するステップとを含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記車両配線ハーネスは、ステアリングホイール配線ハーネスである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴を備える、車両乗員安全システムのエアバッグモジュール用の配線ハーネスに関する。更には、本発明は、この種類の配線ハーネスを有するエアバッグモジュール、車両ケーブル配線および車両乗員安全システムに関する。最後に、本発明は、製造方法および車両配線ハーネスに作動器を接続する方法を扱う。
【背景技術】
【0002】
最新の車両は、とりわけ、ガスバッグモジュール、いわゆるエアバッグモジュールを備える複合車両乗員安全システムを含む。エアバッグモジュールは通常、火工点火器を有するインフレータを備える。インフレータは、車両内部の制御部品に電気的に接続される。具体的に言えば、火工点火器は、適切な制御電子機器を介してインフレータに伝送される電気パルスを用いて起動される。
【0003】
エアバッグモジュールに加えて、車両乗員安全システムは、異なる機能を満たしてもよい火工作動器を含んでもよい。例えば、火工作動器は、エアバッグの膨張挙動に影響を与えるために使用される。エアバッグは、より大きいエアバッグ容積を提供する、またはエアバッグの形状が適時に適合されることを可能にするように必要ならば切断される内部テザーを含んでもよい。上記火工作動器は、テザー発動ユニットとも称される。
【0004】
火工作動器は、同様に車両の制御電子機器に電気的に結合され、そして解放するための適切な電気制御パルスを受信する。車両ケーブル配線への火工作動器の組込みは通常、火工作動器と車両配線ハーネスとの間のプラグ接続によって実現される。代替例として、プラグ接続によって火工作動器を関連するエアバッグモジュールに電気的に結合することが慣例から知られている。運転者のエアバッグモジュールに割り当てられる火工作動器では、火工作動器は通常、ステアリングホイール配線ハーネスと火工作動器との間のプラグ接続によって車両側解放制御に接続される。
【0005】
車両組立中に、車両配線ハーネスへの火工作動器のこの接続は、組立費の増加を要する。一方では、組立中に、エアバッグモジュールは、ステアリングホイール配線ハーネスなどの、車両配線ハーネスに電気的に接続されなければならない。その上、火工作動器と車両配線ハーネスまたはエアバッグモジュールとの間に、別の電気接続がなされなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、車両乗員安全システムのための組立費を削減する配線ハーネスを提案することである。その上、本発明の目的は、この種類の配線ハーネスを備えるエアバッグモジュール、車両ケーブル配線および車両乗員安全システムを述べることである。本発明の更なる目的は、組立費および関連費用の削減を伴う、配線ハーネスを製造する方法および車両配線ハーネスに作動器を電気的に接続する方法を述べることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の主題による配線ハーネスに関して、請求項8の主題によるエアバッグモジュールに関して、請求項9の主題による車両ケーブル配線に関して、請求項11の主題による車両乗員安全システムに関して、請求項12の主題による製造方法に関して、および請求項13の主題による車両配線ハーネスに作動器を電気的に接続する方法に関して、本発明によって達成される。上述の解決策の好適な展開がそれぞれの下位請求項に述べられる。
【0008】
具体的には、上述の目的を達成するために、本発明は、車両乗員安全システムのエアバッグモジュール用の、特に運転者のエアバッグモジュール用の配線ハーネスであって、エアバッグモジュールの火工点火器への接続のためのコネクタと、車両配線ハーネスにコネクタを接続するためにコネクタに接続される少なくとも1つのモジュール接続ケーブルと、少なくとも1つの作動器ユニットであり、火工作動器および作動器ユニットと一体的に形成されかつコネクタに接続される作動器接続ケーブルを有する作動器ユニットとを含む配線ハーネスを提案する。
【0009】
本発明の基本理念は、したがって、エアバッグモジュールの配線ハーネスに火工作動器を一体化することにある。作動器接続ケーブルは、その限りにおいて、好ましくは、コネクタに固く接続される、特にラッチングまたはクランピングによって接続される。モジュール接続ケーブルは、等しく、コネクタに固く接続されてもよい。それ故、全体で、車両乗員安全システムの組立中に、一方では、コネクタによってエアバッグモジュールにおよび、他方では、車両配線ハーネスに接続されなければならない配線ハーネスになり、同時に火工作動器が車両乗員安全システムに組み込まれる。
【0010】
このように、例えばステアリングホイール配線ハーネスなどの車両配線ハーネスへの火工作動器の別個の接続は過剰である。車両乗員安全システムの、または車両の組立中に、したがって、エアバッグモジュールと車両配線ハーネスとの間に、単に1つの単一の接続だけが確立されなければならない。このように、エアバッグモジュールへのおよび車両配線ハーネスへのモジュール接続ケーブルの接続は、エアバッグモジュールも火工作動器も車両乗員安全システムの対応する制御システムに電気的に接続されるのを達成するのに役立つ。
【0011】
結果的に、本発明は、車両乗員安全システムに対する組立労力、特に組立時間を低減するのに役立ち、結果として製造費用の削減になる。エアバッグモジュールにまたは車両配線ハーネスに火工作動器を接続するために先行技術で設けられるような追加のプラグ接続の減少はその上、作動器ユニットのために必要とされる空間を削減する。
【0012】
プラグ接続は、通常振動が発生する車両では振動により騒音を発する傾向が頻繁にある。車両配線ハーネスにまたはエアバッグモジュールに火工作動器を接続するための追加のプラグ接続の減少は、したがって、騒音のおそれを軽減する。その上、車両乗員安全システムの機能の制限になる可能性がある誤ったケーブル位置決めまたは不十分な電気接続が防止される。それ故、車両乗員安全システムの運用安全性が全体的に上昇される。同時に、不平のおそれが軽減される。
【0013】
本発明に係る配線ハーネスに関して、作動器接続ケーブルは、作動器ユニットと一体的に形成されて設けられる。言い換えれば、作動器接続ケーブルは、火工作動器とユニット、すなわち作動器ユニットを形成する。作動器接続ケーブルおよび火工作動器は、互いから非破壊的に分離されることができない。この点で、好ましくは、作動器接続ケーブルが作動器に非脱着可能に、特にコネクタがなく接続されると規定される。
【0014】
作動器接続ケーブルは、本発明の好適な構成で自由ストランド端を有する少なくとも1つのストランドを含んでもよい。ストランド端は、ストランド端スリーブなどのプラグ部材が設けられてもよい。プラグ部材、特にストランド端スリーブは、好ましくは、コネクタのスロット内へ伸びる。具体的に言えば、ストランド端は、コネクタのスロットに固く固定されることができる。コネクタにストランドを接続するためのプラグ部材の使用は、柔軟性を増加させ、そして配線ハーネスの製造を容易にする。特に、配線ハーネスの製造中に、ストランドは、簡単な方法でかつほとんど時間消費なくいかなるコネクタにも結合されることができる。要件に応じて、例えば異なる数のスロットを有する異なるコネクタが使用されることができる。稼働中の製造工程では、これは、ストランドにコネクタを接続する装着ステップのために含まれる時間を適合させる必要なく顧客要求に応じて容易に変更されることができる。これは、効率的でかつ低費用の連続製造のために有利である。
【0015】
一般に、作動器接続ケーブルは、2つのストランドを有して設けられてもよい。2つのストランドの各々は、例えば各ストランド端に設けられるプラグ部材を介してコネクタのスロットと固定されてもよい。好適には、2つのストランドが、少なくとも部分的に、絶縁チューブで被覆されると規定される。絶縁チューブ内に更なるストランドが配置されることは排除されない。絶縁チューブでのストランドの被覆は、配線ハーネスの取扱いを容易にし、作動器接続ケーブルの電気絶縁を改善し、そしてストランドを損傷から保護する。
【0016】
好適な実施形態において、絶縁チューブは、作動器のハウジングに固く接続されても、特にクランピングによって接続されてもよい。これは、絶縁チューブがストランドに沿って移動可能であるのを防止するが、さもなければストランドが損傷のおそれの増加した所々で露出されることになるであろう。作動器のハウジングに固く接続される絶縁チューブは、他方では、その位置を保持し、したがって製造業者によって規定される作動器ユニットの部分でストランドに対する保護を確実にする。
【0017】
本発明に係る配線ハーネスのモジュール接続ケーブルに関しては、上記モジュール接続ケーブルは、好ましくは、車両側ケーブル端に車両配線ハーネスへの電気接続のための少なくとも1つのコネクタを有して設けられる。モジュール接続ケーブルは、等しく、コネクタが設けられる車両側端の各々で2つ以上のストランドを含んでもよい。コネクタは、相補接続要素にプラグ接続可能であってもよい。モジュール接続ケーブルが、車両配線ハーネスへの接続のために単に1つの単一のプラグ接続だけが確立されなければならないようにモジュール接続ケーブルの全てのストランドが終端する単に1つの単一のコネクタだけを有することも可能である。
【0018】
独立態様によれば、本発明は理念に基づいて、上記の配線ハーネスを有するエアバッグモジュールを述べる。特に、エアバッグモジュールおよび配線ハーネスは、均一な包装単位として配布されてもよい。したがって、配線ハーネスは、エアバッグモジュールでコネクタに既に事前接続されていてもよい。
【0019】
本発明の別の態様は、上記の配線ハーネスおよび/または上記のエアバッグモジュールによる車両ケーブル配線に関する。本発明に係る車両ケーブル配線のために、配線ハーネス、特にモジュール接続ケーブルは、車両配線ハーネス、特にステアリングホイール配線ハーネスに電気的に接続されて設けられてもよい。
【0020】
本出願の範囲内で、その上、本明細書に記載される配線ハーネスおよび/または本明細書に記載されるエアバッグモジュールおよび/または本明細書に記載される車両ケーブル配線を含む車両乗員安全システムが開示および特許請求される。
【0021】
本発明の別の態様は、上記の配線ハーネスを製造する方法であって、
- 一体化作動器接続ケーブルを有する作動器ユニット、モジュール接続ケーブルおよびコネクタを設けるステップと、
- コネクタにモジュール接続ケーブルおよび作動器ケーブルを接続するステップとを含む方法に関する。
【0022】
提案された製造方法が上記配線ハーネスの製造を有意に容易にすることは明白である。特に、作動器接続ケーブルを一体部品として備える作動器ユニットは既に、配線ハーネスの製造中に追加の装着ステップを回避するのに役立つ。この点で、エアバッグモジュールの配線ハーネスに作動器ユニットを接続するために作動器ユニットに追加のコネクタを設けることは必要でない。むしろ、モジュール接続ケーブルおよび作動器ユニットは、コネクタを共有する。したがって、配線ハーネスのための材料費用が削減され、同時に重量軽減を伴う。
【0023】
本発明は、その上、車両配線ハーネス、特にステアリングホイール配線ハーネスに作動器を電気的に接続する方法を提案し、本方法において、
- 上記の配線ハーネス、特に一体化火工作動器を有する配線ハーネスを設けるステップと、
- 車両配線ハーネスにおよび/またはエアバッグモジュールにモジュール接続ケーブルを接続するステップとが実施される。
【0024】
車両配線ハーネスへの作動器の電気接続のための本発明に係る方法において、好適な変形が、排他的に上記のステップが実施されると規定する。特に、例えば火工作動器と車両配線ハーネスとの間のまたは作動器とエアバッグモジュールの配線ハーネスとの間の追加のプラグ接続などの更なるステップが不要とされることができる。むしろ、車両配線ハーネスにモジュール接続ケーブルを、特に少なくとも1つのコネクタおよび車両配線ハーネスでの相補接続要素を用いて接続するステップによって、エアバッグモジュールおよび火工作動器は、車両配線ハーネスに同時に接続される。たとえ配線ハーネスが車両側の車両配線ハーネスに既に接続されているとしても、本発明の利点は明白になる。次いで、車両配線ハーネスへの火工点火器の電気接続が、すなわちコネクタとエアバッグモジュールとの間の唯一のプラグ接続を介して同時に実現されることができる。
【0025】
一般に、本発明の理解のために、配線ハーネスのコネクタがプラグ部材であってもソケット部材であってもよいことが指摘される。用語「コネクタ」は概して、適切に相補的な対抗素子にプラグ接続されることができる接続要素を示し、ここでプラグ接続可能な部分の一方がプラグ部材を形成し、そして他方のプラグ接続可能な部分がソケット部材を形成する。
【0026】
以下、本発明は、同封の略図を参照しつつ実施形態例を通じて詳細に例示されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】好適な実施形態例に記載される本発明に係る配線ハーネスの上面図を図示する。
図2図1に係る配線ハーネスの作動器ユニットの詳細図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図に図示される配線ハーネス10は、モジュール接続ケーブル12および作動器接続ケーブル14が終端するコネクタ11を備える。配線ハーネス10は特に、配線ハーネス10が車両乗員安全システムのエアバッグモジュールに接続可能となるモジュール接続ケーブル12を備える。この目的で、モジュール接続ケーブル12は、それらのストランド端がコネクタ11に、特にコネクタ11のスロットに終端するストランド15を有する。ストランド15は、コネクタ11に固く接続される。
【0029】
コネクタ11に対向するストランド端で、モジュール接続ケーブル12のストランド15の各々は、コネクタ19に接続される。したがって、図示された実施形態例は、2つのストランド15が1つのコネクタ19に一度に終端すると規定する。コネクタ19は、配線ハーネス10が車両配線ハーネスに接続されることを可能にする。このために、コネクタ19は、特に車両配線ハーネスの相補接続要素にプラグ接続可能であってもよい。
【0030】
更には、配線ハーネス10の一体部分が、図2に詳細に図示される作動器ユニット13である。作動器ユニット13は、火工作動器17を備える。火工作動器17は、例えば、テザー発動ユニットを形成してもよい。この点で、火工作動器17は、例えば、エアバッグのテザーを切断するために使用されてもよい。火工作動器17は、他の機能も有してもよい。例えば、作動器17は、受動歩行者保護のためのフードプロップとして使用されてもよい。ベルト張力機構の一部として作動器17を設計することも想像可能である。
【0031】
更に、作動器ユニット13は、作動器ユニット13と一体的に形成される作動器接続ケーブル14を備える。具体的に言えば、作動器接続ケーブル14は、火工作動器17に固く接続される。作動器接続ケーブル14と作動器17との間の接続は、特に非破壊的に解放されることができない。この点で、作動器ユニット13は、全体的にコネクタがないように設計される。
【0032】
作動器接続ケーブル14は、少なくとも部分的に絶縁チューブ16内に配置される2つのストランド15を備える。絶縁チューブ16は、作動器17に接続される。特に、絶縁チューブ16は、作動器17であるようにクランピングによって固く接続されてもよい。ストランド15が絶縁チューブ16から突出して、少なくとも部分的に露出されることが図2から明らかに見える。ストランド15は、内部導電線、または絶縁部によって外装される内部導電線束を有する。絶縁チューブ16は、少なくとも部分的に追加の絶縁部を形成する。絶縁チューブ16は、この目的で収縮チューブまたは円形圧着チューブとして形成されてもよい。
【0033】
作動器接続ケーブル14のストランド15の自由ストランド端の各々は、プラグ部材18が設けられる。プラグ部材18は特に、ストランド15の露出線に圧着によって接続されるケーブル端子の形態であってもよい。プラグ部材18は、接合コネクタ11に作動器ユニット13を接続するのに役立つ。コネクタへのプラグ部材18の接続は通常、配線ハーネス10の製造中に実施されて、密接した接続を形成する。特に、プラグ部材18は、好ましくは、プラグ部材18の偶然の解放が防止されるようにコネクタに係止される。
【0034】
配線ハーネス10を製造するために、作動器ユニット13は、好ましくは、均一な部分組立品として設けられる。更には、コネクタ11およびコネクタ19を含むモジュール接続ケーブルは、好ましくは、均一な部分組立品として設けられる。この点で、特に配線ハーネス10の最終組立のために、単に、一体化作動器接続ケーブル14を含む作動器ユニット13およびモジュール接続ケーブル12だけが設けられ、モジュール接続ケーブル12は、コネクタ11に既に固く接続されており、ここでモジュール接続ケーブル12は、コネクタ11の全てのスロットを占有するわけではない。
【0035】
したがって、最終組立中に、単にプラグ部材18がコネクタ11の残りのスロットに挿入されて固く固定されさえすればよい。この目的で、コネクタ11は、モジュール接続ケーブル12および/または作動器接続ケーブル14が切り離されるのを防止するケーブル止めを含んでもよい。
[形態1]
車両乗員安全システムのエアバッグモジュール用の、特に運転者のエアバッグモジュール用の配線ハーネス(10)であって、
前記エアバッグモジュールの火工点火器への接続のためのコネクタ(11)と、
車両配線ハーネスに前記コネクタ(11)を接続するために前記コネクタ(11)に接続される少なくとも1つのモジュール接続ケーブル(12)と、
少なくとも1つの作動器ユニット(13)であり、火工作動器(17)および前記作動器ユニット(13)と一体的に形成されかつ前記コネクタ(11)に接続される作動器接続ケーブル(14)を備える作動器ユニット(13)とを備える配線ハーネス(10)。
[形態2]
形態1に記載の配線ハーネス(10)において、
前記作動器接続ケーブル(14)が、前記作動器(17)に非脱着可能に接続され、特にコネクタがない、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
[形態3]
形態1または2に記載の配線ハーネス(10)において、
前記作動器接続ケーブル(14)が、自由ストランド端を持つ少なくとも1つのストランド(15)を有し、前記ストランド端に、前記コネクタ(11)のスロット内へ伸びるプラグ部材(18)、特にストランド端スリーブが設けられる、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
[形態4]
形態1から3のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)において、
前記作動器接続ケーブル(14)が、少なくとも部分的に絶縁チューブ(16)で被覆される2つのストランド(15)を備える、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
[形態5]
形態4に記載の配線ハーネス(10)において、
前記絶縁チューブ(16)が、前記作動器(17)のハウジングに固く接続される、特にクランピングによって接続される、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
[形態6]
形態1から5のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)において、
前記モジュール接続ケーブル(12)が、車両側ケーブル端に前記車両配線ハーネスへの電気接続のための少なくとも1つのコネクタ(19)を含む、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
[形態7]
形態6に記載の配線ハーネス(10)において、
前記コネクタ(19)が、前記車両配線ハーネスの相補接続要素にプラグ接続されることができる、
ことを特徴とする配線ハーネス(10)。
[形態8]
形態1から7のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)を備えるエアバッグモジュール。
[形態9]
形態1から8のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)および/またはエアバッグモジュールを備える車両ケーブル配線。
[形態10]
形態9に記載の車両ケーブル配線において、
前記配線ハーネス(10)、特に前記モジュール接続ケーブル(12)が、車両配線ハーネスに、特にステアリングホイール配線ハーネスに電気的に接続される、
ことを特徴とする車両ケーブル配線。
[形態11]
形態1から10のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)および/またはエアバッグモジュールおよび/または車両ケーブル配線を備える車両乗員安全システム。
[形態12]
形態1から6のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)を製造する方法であって、
一体化作動器接続ケーブル(14)を有する作動器ユニット(13)、モジュール接続ケーブル(12)およびコネクタ(11)を設けるステップと、
前記コネクタ(11)に前記モジュール接続ケーブル(12)および前記作動器接続ケーブル(14)を接続するステップとを含む方法。
[形態13]
車両配線ハーネスに、特にステアリングホイール配線ハーネスに作動器(17)を電気的に接続する方法であって、
形態1から6のいずれか一項に記載の配線ハーネス(10)を設けるステップと、
前記車両配線ハーネスに前記モジュール接続ケーブル(12)を接続するステップとを特に排他的に含む方法。
【符号の説明】
【0036】
1 配線ハーネス
11 コネクタ
12 モジュール接続ケーブル
13 作動器ユニット
14 作動器接続ケーブル
15 ストランド
16 絶縁チューブ
17 作動器
18 プラグ部材
19 コネクタ
図1
図2