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特許7084934タンク洗浄ノズル、該ノズルを含むタンク、及びタンク洗浄方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】タンク洗浄ノズル、該ノズルを含むタンク、及びタンク洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/093 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
B08B9/093
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019540395
(86)(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 DK2018050025
(87)【国際公開番号】W WO2018145711
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】PA201700078
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA201700725
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】519265826
【氏名又は名称】ゲーエーアー トゥシェンハーゲン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン,イェンス
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-206721(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00310185(EP,A1)
【文献】国際公開第99/064175(WO,A1)
【文献】英国特許出願公告第00398788(GB,A)
【文献】特開2000-205521(JP,A)
【文献】特開2001-182888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/00- 9/46
B05B 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク(6)上に取付けられるように構成されるタンク洗浄ノズル(2)であり、前記タンク洗浄ノズル(2)は、入口(42)、出口(26)及び前記入口(42)と前記出口(26)とに流体連通する内部空間(54)を含み、前記タンク洗浄ノズル(2)は、加圧液体(36)を、前記入口(42)を通して受容し、前記液体(36)を前記出口(26)を通して前記タンク(6)内に噴射するように構成され、前記タンク洗浄ノズル(2)は、前記出口(26)を閉じるように構成される、移動可能に配設される閉止構造体(52)を含これにより前記閉止構造体(52)は、前記出口(26)が自由な通路を備え、該通路を通して、前記出口(26)を出た前記液体(36)が、前記閉止構造体(52)と衝突することなく、前記タンク(6)の内部空間内に、且つ前記閉止構造体(52)の移動方向を含む方向に噴射される位置に移動されるように、配設され、構成され、前記閉止構造体(52)は、前記タンク洗浄ノズル(2)の前記内部空間(54)内に移動され、これにより前記出口(26)を開くように、配設され、構成されるタンク洗浄ノズル(2)であって、
前記閉止構造体(52)は、ピストン(52)であること、及び前記ピストン(52)は、前記タンク洗浄ノズル(2)の内部空間(54)に移動され、これにより前記出口(26)を開くように、配設され、構成され、
前記タンク洗浄ノズル(2)の内部空間(54)は、前記出口(26)を備えた狭小化部分(narrowing)を構成する円錐部分(66)を含むことを特徴とする、タンク洗浄ノズル(2)。
【請求項2】
前記閉止構造体(52)は、前記内部空間(54)内にある第1位置に移動され、これにより前記出口(26)を開くように、摺動可能に配設され、構成されること、及び前記閉止構造体(52)は、該閉止構造体(52)が前記出口(26)と密封当接し、これにより前記出口(26)を閉じる第2位置に移動されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のタンク洗浄ノズル(2)。
【請求項3】
前記タンク洗浄ノズル(2)は、ハウジング(44)、及び該ハウジング(44)の内壁に又は前記ハウジング(44)の本体間に取着される膜(56)を含み、前記閉止構造体(52)は、前記膜(56)に取着され、前記内部空間(54)内にある前記液体(36)によって前記膜(56)に加えられる力(A)を変化させた際に、前記第1位置から前記第2位置に変位するように、及び前記第2位置から前記第1位置に変位するように構成されることを特徴とする、請求項に記載のタンク洗浄ノズル(2)。
【請求項4】
前記タンク洗浄ノズル(2)は、ハウジング(44)、及び該ハウジング(44)内に摺動可能に配設される円板を含み、前記閉止構造体(52)は、前記円板に取着され、前記内部空間(54)内にある前記液体(36)によって前記円板に加えられる力(A)を変化させた際に、前記第1位置から前記第2位置に変位するように、及び前記第2位置から前記第1位置に変位するように構成されることを特徴とする、請求項に記載のタンク洗浄ノズル(2)。
【請求項5】
前記膜(56)は、前記内部空間(54)を:
-前記入口(42)及び前記出口(26)と流体連通状態にある第1空間(S1)、及び
-前記第1空間(S1)と分離され、前記入口(42)及び前記出口(26)と流体連通状態にない第2空間(S2)
に分割し、
前記タンク洗浄ノズル(2)は、弾性部材(58)が、前記膜(56)又は前記閉止構造体(52)に力(B)を加える方法で、配設される弾性部材(58)を含むことを特徴とする、請求項に記載のタンク洗浄ノズル(2)。
【請求項6】
記円板は、前記内部空間(54)を:
-前記入口(42)及び前記出口(26)と流体連通状態にある第1空間(S1)、及び
-前記第1空間(S1)と分離され、前記入口(42)及び前記出口(26)と流体連通状態にない第2空間(S2)
に分割し、
前記タンク洗浄ノズル(2)は、弾性部材(58)が、前記円板又は前記閉止構造体(52)に力(B)を加える方法で、配設される弾性部材(58)を含むことを特徴とする、請求項に記載のタンク洗浄ノズル(2)。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載のタンク洗浄ノズル(2)を含むタンク。
【請求項8】
前記タンク洗浄ノズル(2)は、前記タンク(6)の底部(68)、上部又は側壁に配設されることを特徴とする、請求項に記載のタンク。
【請求項9】
前記タンク洗浄ノズル(2)は、前記タンク(6)に取外可能に取着されることを特徴とする、請求項又はに記載のタンク。
【請求項10】
前記タンク洗浄ノズル(2)は、前記タンク(6)に取着された取着構造体(60)に取外可能に取着されることを特徴とする、請求項に記載のタンク。
【請求項11】
タンク(6)内にある1つ又は複数の構造体(4、4’)又は前記タンク(6)の壁を洗浄するために、前記タンク(6)内に液体(36)を噴射する方法であり、該方法は、入口(42)、出口(26)及び前記出口(26)を閉じるように構成される、移動可能に配設される閉止構造体(52)を含むタンク洗浄ノズル(2)を適用するステップを含これにより前記出口(26)が自由な通路を備え、該通路を通して、前記出口(26)を出た前記液体(36)が、前記閉止構造体(52)と衝突することなく、前記タンク(6)の内部空間内に、且つ前記閉止構造体(52)の移動方向を含む方向に噴射される位置に、前記閉止構造体(52)を移動させるステップを更にみ、前記方法は、前記液体(36)を、前記タンク(6)の前記内部空間に噴射するために、前記閉止構造体(52)を前記タンク洗浄ノズル(2)の内部空間(54)内にある第1位置に移動し、これにより前記出口(26)を開くステップ、及び、前記閉止構造体(52)を第2位置に移動するステップであって、前記閉止構造体(52)は、前記出口(26)と密封当接し、これにより前記出口(26)を閉じるステップを含む方法であって、該方法は、
前記閉止構造体(52)をピストン(52)として準備する工程を含み、
前記ピストン(52)は、前記タンク洗浄ノズル(2)の内部空間(54)に移動され、これにより前記出口(26)を開くように、配設され、構成され、
前記タンク洗浄ノズル(2)の内部空間(54)は、前記出口(26)を備えた狭小化部分(narrowing)を構成する円錐部分(66)を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記方法は、ハウジング(44)及び該ハウジング(44)の内壁に取着される膜(56)を含むタンク洗浄ノズル(2)を適用するステップを含み、前記閉止構造体(52)は、前記膜(56)に取着され、前記内部空間(54)内にある前記液体(36)によって前記膜(56)に加えられる力(A)を変化させた際に、前記第1位置から前記第2位置に変位するように、及び前記第2位置から前記第1位置に変位するように構成されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記内部空間(54)を:
-前記入口(42)及び前記出口(26)と流体連通状態にある第1空間(S1)、及び
-前記第1空間(S1)から分離され、前記入口(42)及び前記出口(26)と流体連通状態にない第2空間(S2)
に分割する膜(56)を適用するステップを含み、
前記方法は、前記膜(56)又は前記閉止構造体(52)に力(B)を加えるように配設される弾性部材(58)を適用するステップを更に含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク洗浄ノズルに関する。また、本発明は、タンク洗浄ノズルを含むタンク又は槽、及びタンク洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク、容器、閉鎖空間、発酵槽、原子炉及び槽(以後、タンクと呼ばれる)の洗浄は、通常、中心に配設される上部取付け洗浄ノズルを用いて、行われる。
【0003】
この上部取付け洗浄ノズルは、タンク内のパイプ構造体、攪拌翼/羽根又は他の構造体の底面を洗浄できないため、更なる底部取付けノズルが、通常、これらの構造体の底部を洗浄するのに適用される。タンクの底部からの効果的な洗浄は、衛生産業において主要な問題である。上部取付け噴霧装置で効果的に洗浄する際には、パイプ構造体、攪拌翼/羽根又は他の構造体の下に影領域が存在することになり、上部取付け噴霧装置から届かない内部構造体に対しては、不十分な洗浄となる。
【0004】
これらの影領域の洗浄は、通常、1つ又は複数のリトラクタ又は固定された設備を使用して行われる。注排(fill and dump)洗浄又は手作業の洗浄が、代替手段としてある。しかしながら、これらの方法は、危険で、高価であり、噴霧装置による制御された洗浄とは比べ物にならない。
【0005】
典型的な従来技術のリトラクタの噴霧ヘッドは、製造中の製品と接触状態にはならず、リトラクタの内部空間への接続部は、キャップ/蓋によって密封されることになる。そのため、リトラクタは、密封キャップによって製品に部分的にのみ接触するようになる。キャップは、噴霧ヘッドに取付けられ、一緒に、洗浄中、タンク内に押込まれる。キャップにより、噴霧される液体の幾何学的形状は、中空円錐形に対応するようになる。従って、洗浄作用は、中空円錐形内では全く達成されない。そのために、リトラクタを適用する場合、不可能ではないにしても、確実に、洗浄媒体が実際に影領域に到達するような方法でリトラクタを位置決めすることは困難である。幾つかのリトラクタを設置することによって、又は精密な、設計された位置にリトラクタを位置決めすることによって、重要な位置に広がる影領域を洗浄することも稀に可能である。
【0006】
一般的なリトラクタの密封キャップは、リトラクタの内部空間を密封するが、リトラクタは、最高の衛生基準に達することはできないだろう。ブッシング及び/又はシールを通り移動するリトラクタ内の内部部品が存在するであろう。これは、外部環境から、汚染物質がリトラクタに浸入する危険性を与え、従って、タンク中の製品に対する危険となるであろう。
【0007】
従って、改良されたタンク洗浄ノズルや、従来技術の上記欠点を軽減又は排除さえもする方法の必要性が存在する。
【0008】
タンクの内部へと延伸する攪拌機及び1つ又は複数のリトラクタを適用するタンクにおいて、特に、複雑な攪拌機、例えば、錨型攪拌機若しくはスクレーパ付き攪拌機を有する場合に、1つ又は複数のリトラクタと、攪拌機の構造体とが衝突する危険性がある。そのために、標準的な攪拌機が洗浄中に通常回転されても、幾つかの複雑な攪拌機は、洗浄プロセス中、停止される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、タンク内にある構造体又はタンクの内壁を一層効率的に洗浄可能にする、タンク洗浄ノズル及び方法を提供することである。
【0010】
また、攪拌機が回転中に攪拌機を含むタンクの洗浄を可能にするタンク洗浄ノズル及び方法を提供することも、目的である。
【0011】
従来技術のリトラクタでは、汚染物質がブッシングを通して浸入する危険性がある。従って、また、従来技術のリトラクタより一層衛生的な解決方法を可能にするタンク洗浄ノズル及び方法を提供することも、目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、請求項1で規定されるタンク洗浄ノズル、請求項9で規定されるタンク、及び請求項13で規定される方法によって、達成できる。好適な実施形態は、従属請求項で規定され、以下の記載で説明され、添付図で図説される。
【0013】
本発明によるタンク洗浄ノズルは、タンク上に取付けられるように構成されるタンク洗浄ノズルであって、該タンク洗浄ノズルは、入口、出口、及び入口と出口とに流体連通する内部空間を含み、タンク洗浄ノズルは、加圧液体を、入口を通して受容し、該液体を出口を通してタンク内に噴射するように構成され、タンク洗浄ノズルは、出口を閉じるように構成される、移動可能に配設される閉止構造体を含み、閉止構造体は、出口が自由な通路を備え、該通路を通して、出口を出た液体が、閉止構造体と衝突することなく、内部空間内に噴射される位置に移動されるように、配設され、構成される、タンク洗浄ノズルである。
【0014】
これにより、タンク内にある構造体の一層効率的な洗浄を提供できるタンク洗浄ノズルを提供可能となる。従来技術のリトラクタとは対照的に、タンク洗浄ノズルは、従来技術のリトラクタを使用することによって洗浄されない領域を、洗浄するであろう。従って、タンク洗浄ノズルによって提供される噴流により、洗浄対象の構造体(タンク壁を含む)の全ての部分が洗浄可能になる。
【0015】
閉止構造体の如何なる部分も、タンク内に噴射された噴流に当らない。この理由で、影領域は全く作られない。
【0016】
用語「タンク(tank)」は、液体等の流体を保持又は案内するための槽又はパイプを意味する。従って、用語「タンク」は、容器、受け容器、閉鎖空間、発酵槽、原子炉、遠心分離機、ホッパ又はパイプとされ得る。従って、タンクは、流体(液体又は気体)、顆粒若しくは粉末を、収容又は案内できる任意の構造体とされ得る。
【0017】
用語「タンク上に(on a tank)」は、洗浄ノズルが、流体(例えば、洗浄液)をタンク内に噴射又は噴霧できる位置にあることを意味する。従って、「タンク上に」は、タンクの外部に、タンクの壁に、又はタンクと流体連通状態にある管状構造体に、であり得る。
【0018】
タンク洗浄ノズルは、タンク上に取付けられるように構成される。一実施形態では、タンク洗浄ノズルは、タンクの壁に取着されるように構成される1つ又は複数のフランジを含む。フランジの取着は、溶接によって達成し得る。或いは、フランジの取着は、ボルト、留め金又は磁気構造体等の機械的取着構造体を使用することによって、実行され得る。
【0019】
タンク洗浄ノズルは、液体を、入口を通りタンク洗浄ノズルの内部に流入可能にする任意の適当な形状を有する入口を含む。本発明による一実施形態では、入口は、タンク洗浄ノズルのハウジングから突出するパイプ構造体として設けられる。
【0020】
タンク洗浄ノズルが、入口を形成するフランジを含むことは、利点であり得る。これにより、入口を、対応するフランジをその遠位端に備えるパイプに取着可能になるであろう。
【0021】
タンク洗浄ノズルは、液体が、出口を通りタンク内に噴射可能になるように成形される出口を含む。タンク洗浄ノズルが、出口を囲むフランジを含むことは、有益であり得る。これにより、出口をタンクの壁に直接取着可能になるであろう。
【0022】
タンク洗浄ノズルは、入口及び出口と流体連通状態にある内部空間を含む。内部空間は、任意の適当な形状を有し得る。
【0023】
内部空間が、出口を備えた狭小化部分(narrowing)を成す円錐部分を含むことは、有益であり得る。
【0024】
一実施形態では、内部空間は、出口を備えた狭小化部分を含み、該狭小化部分は、出口を備えた狭小化部分を成す、幾つかの段階の異なる寸法(例えば、直径)の円錐部分を含む。
【0025】
タンク洗浄ノズルは、入口を通して加圧液体を受容し、該液体を出口を通してタンク内に噴射するように構成される。
【0026】
加圧液体は、入口と流体連通状態にある(例えば、1本又は複数のパイプを用いて)加圧装置(例えば、ポンプ又は噴射器)を用いて、入口を通してタンク洗浄ノズルに供給され得る。
【0027】
タンク洗浄ノズルは、出口を閉じるように構成される、移動可能に配設される閉止構造体を含む。好適には、閉止構造体は、出口を密閉するように構成される。
【0028】
閉止構造体は、タンク内にある液体をタンク洗浄ノズルに出入りさせないために、確実に出口を閉じられるようにする。
【0029】
閉止構造体は、出口が自由な通路を備え、該通路を通して、出口を出た液体が、タンク洗浄ノズルの長手方向軸に沿って、タンク内に噴射される位置に移動されるように、配設され、構成される。従って、噴射された液体は、閉止構造体と衝突しない。
【0030】
一実施形態では、閉止構造体は、一片体である。
【0031】
一実施形態では、閉止体と膜は、一片体を構成する。
【0032】
別の実施形態では、閉止体は、互いに対して移動可能に配設される2つ以上の部分を含む。
【0033】
一実施形態では、閉止構造体は、タンク洗浄ノズルのハウジングに摺動可能に配設される扉を含む。
【0034】
別の実施形態では、閉止構造体は、タンク洗浄ノズルのハウジングに回転可能に取着される扉を含む。
【0035】
タンク洗浄ノズルは、出口に対して閉止構造体の位置を変化させるように構成されるアクチュエータを含み得る。
【0036】
該アクチュエータは、電動アクチュエータとされ得る。或いは、該アクチュエータは、磁気アクチュエータとされ得る。
【0037】
一実施形態では、該アクチュエータは、空圧アクチュエータである。
【0038】
別の実施形態では、該アクチュエータは、油圧アクチュエータである。
【0039】
閉止構造体が、内部空間に移動され、これにより出口を開くように、配設され、構成されることは、利点であり得る。
【0040】
これにより、開口を設けることができ、該開口を通して、液体が、タンク洗浄ノズルの構造体に、タンク洗浄ノズルから噴射された液体が当たることによって発生するタンク内の影領域を有すことなく、タンク内に噴射できる。
【0041】
タンク洗浄ノズルがタンク内に液体を噴射している際に、閉止構造体の如何なる部分も、タンクの外側に配設されないことは、有益であり得る。
【0042】
閉止構造体が、内部空間内にある第1位置に移動され、これにより出口を開くように、摺動可能に配設され、構成されること、及び閉止構造体が、出口と密封当接し、これにより出口を閉じる第2位置に移動されるように構成されることは、有利であり得る。
【0043】
これにより、タンク洗浄ノズルは、第1位置と第2位置との間で閉止構造体を摺動することによって、制御できる。
【0044】
閉止構造体は、任意の適当な形状を有し得る。
【0045】
一実施形態では、閉止構造体は、棒の遠位端に取着される丸みを帯びたピストン部材として形成される。
【0046】
タンク洗浄ノズルが、ハウジング及び該ハウジングの内壁に取着される膜を含み、このとき、閉止構造体が、膜に取着され、内部空間内にある液体によって膜に加えられる力を変化させた際に、第1位置から第2位置に変位するように、及び第2位置から第1位置に変位するように構成されることは、利点であり得る。
【0047】
或いは、タンク洗浄ノズルは、ハウジング及び該ハウジングの内壁に取着される1つ又は複数の構造体に取着される膜を含む。或いは、膜は、ハウジングの本体間に取着され得る。
【0048】
これにより、タンク洗浄ノズルは、液体の圧力に基づいて制御できる。従って、タンク洗浄ノズルは、簡単な方法で制御できる。
【0049】
膜が、内部空間を:
-入口及び出口と流体連通状態にある第1空間、及び
-第1空間と分離され、入口及び出口と流体連通状態にない第2空間
に分割し、
タンク洗浄ノズルは、弾性部材が膜に力を加える方法で配設される弾性部材を含む、ことは有益であり得る。
【0050】
これにより、膜を移動可能になり、これにより、タンク洗浄ノズルのハウジングに入る加圧液体の圧力を制御することによって、閉止構造体(膜に取着されている)を変位可能になる。「圧力を制御すること」は、液体の圧力に関するあらゆる調整を意味する。従って、「圧力を制御すること」は、圧力を切る、圧力を入れる、時間に応じて圧力を変化させることを含み得る。
【0051】
用語「膜に力を加える」は、力が直接又は間接的に膜に加えられることを意味する。これは、膜と接触状態にすることによって、又は膜と接触状態にある中間部材を用いて、弾力が、圧縮力又は引張力を膜に加えることを意味する。
【0052】
第2空間が第1空間と分離されると、第2空間は、第1空間から隔離されることになる。これにより、衛生的に安全なタンク洗浄ノズルを提供可能になる。
【0053】
一実施形態では、円板(好適には、剛性の円板)は、内部空間を:
-入口及び出口と流体連通状態にある第1空間、及び
-第1空間と分離され、入口及び出口と流体連通状態にない第2空間
に分割し、
タンク洗浄ノズルは、弾性部材が円板に力を加える方法で配設される弾性部材を含む。
【0054】
用語「円板に力を加える」は、力が直接又は間接的に円板に加えられることを意味する。これは、円板と接触状態にすることによって、又は円板と接触状態にある中間部材を用いて、弾力が、圧縮力又は引張力を膜に加えることを意味する。
【0055】
一実施形態では、摺動可能に配設された円板(好適には、剛性の隆起した円板)は、内部空間を、入口及び出口と流体連通状態にある第1空間と、第1空間から分離され、入口及び出口と流体連通状態にない第2空間とに分割する。
【0056】
別の実施形態では、タンク洗浄ノズルは、弾性部材が閉止構造体に力を加える方法で配設される弾性部材を含む。
【0057】
用語「閉止構造体に力を加える」は、力が直接又は間接的に閉止構造体に加えられることを意味する。これは、閉止構造体と接触状態にすることによって、又は閉止構造体と接触状態にある中間部材を用いて、弾力が、圧縮力又は引張力を閉止構造体に加えることを意味する。
【0058】
更なる実施形態では、タンク洗浄ノズルは、弾性部材が閉止構造体に接続された棒に力を加える方法で配設される弾性部材を含む。
【0059】
弾性部材がバネであることは、利点であり得る。バネは、ハウジングの内部に取着され得る。
【0060】
一実施形態では、バネは、ハウジング又は該ハウジングに接続された構造体の内部に当接し得るが、バネは、上記ハウジングにも、上記構造体にも固定されない。
【0061】
一実施形態では、タンク洗浄ノズルは、第1本体部分と第2本体部分に分離され、タンク洗浄ノズルは、第1本体部分を第2本体部分に取着するように構成される取着構造体を含む。
【0062】
タンク洗浄ノズルが、第1本体部分を第2本体部分に密封取着するように構成される取着構造体を含むことは、好適であり得る。
【0063】
一実施形態では、タンク洗浄ノズルは、第1本体部分、第2本体部分、及び1つ又は複数の更なる本体部分に分離され、タンク洗浄ノズルは、本体部分を一緒に取着するように構成される取着構造体を含む。
【0064】
本発明によるタンク洗浄ノズルを含むタンクを有することは、有利であり得る。
【0065】
タンク洗浄ノズルは、溶接によって、タンク壁に取着され得る。
【0066】
別の実施形態では、タンク洗浄ノズルは、ボルト等の機械的な取着構造体を用いて、タンクに取着される。
【0067】
タンクが、該タンクの底部に配設されるタンク洗浄ノズルを含むことは、利点であり得る。これは、タンクが、洗浄液をタンクの上部に対して噴霧するように構成された1つ又は複数の上部取付けノズルを含むために、必要となることが多い。
【0068】
一実施形態では、タンクは、タンクの上部に配設されるタンク洗浄ノズルを含む。
【0069】
一実施形態では、タンクは、タンクの側部(例えば、側壁)に配設されるタンク洗浄ノズルを含む。
【0070】
タンク洗浄ノズルが、タンクに取外可能に取着されることは、有利であり得る。これにより、タンク洗浄ノズルを、容易な方法で交換可能となる。これは、タンク洗浄ノズルの保守点検中又は更なる容量を有するタンク洗浄ノズルが必要となった場合に、有利であり得る。
【0071】
タンク洗浄ノズルが、タンクに取着された取着構造体に取外可能に取着されることは、有益であり得る。これにより、様々なタンク洗浄ノズルを、タンクに取着された取着構造体に取着可能となる。従って、タンク洗浄ノズルの迅速、容易で正確な取着及び位置決めが、達成できる。
【0072】
一実施形態では、タンク洗浄ノズルは、タンクに取着された構造体に取着された構造体に取着される。
【0073】
本発明による方法は、タンク内にある1つ又は複数の構造体又はタンクの壁を洗浄するために、タンク内に液体を噴射する方法であり、該方法は、入口、出口及び出口を閉じるように構成される、移動可能に配設される閉止構造体を含む、タンク洗浄ノズルを適用するステップを含む方法であって、該方法は、出口が自由な通路を備え、該通路を通して、出口を出た液体が、閉止構造体と衝突することなく、内部空間内に噴射される位置に、閉止構造体を移動させるステップを含む、方法である。
【0074】
これにより、一層効率的な方法で、タンク内にある構造体を洗浄する方法を提供可能になる。本方法は、リトラクタを適用する従来技術のタンク洗浄方法とは対照的に、影領域を作らない。従って、タンク洗浄ノズルによって提供される噴流は、洗浄される構造体の全ての部分を洗浄するために、より適用しやすい。
【0075】
本方法が、閉止構造体を内部空間内に移動し、これにより出口を開くステップを含むことは、利点であり得る。
【0076】
これにより、タンク内にある構造体のより効率的な洗浄を提供するタンク洗浄ノズルを提供可能になる。本方法は、リトラクタを適用する従来技術の方法とは対照的に、影領域を作らないであろう。従って、本方法を使用することによって提供される噴流により、洗浄される構造体の全ての部分又はタンク壁を洗浄するのが、一層容易になる。
【0077】
本方法が、以下のステップ:
a)液体をタンクの内部空間に噴射するために、閉止構造体を、内部空間内にある第1位置に移動し、これにより出口を開くステップ、及び
b)閉止構造体を第2位置に移動するステップであって、閉止構造体は、出口と密封当接し、これにより出口を閉じるステップ
を含むことは、有利であり得る。これにより、本方法は、第1位置と第2位置との間で閉止構造体を摺動することによって、実行できる。
【0078】
本方法が、ハウジング、及び該ハウジングの内壁に、又は該ハウジングの内壁に取着された構造体に、又はハウジングの本体間に取着される膜を含むタンク洗浄ノズルを適用するステップを含み、閉止構造体が、膜に取着され、内部空間内にある液体によって膜に加えられる力を変化させた際に、第1位置から第2位置に変位するように、及び第2位置から第1位置に変位するように構成されることは、有益であり得る。これにより、タンク洗浄ノズルに入る加圧液体の圧力を調整することによって洗浄プロセスを制御可能になる。
【0079】
本方法が、内部空間を:
-入口及び出口と流体連通状態にある第1空間、及び
-第1空間から分離され、入口及び出口と流体連通状態にない第2空間
に分割する膜を適用するステップを含み、
該方法が、膜又は閉止構造体に力を加えるように、第2空間に配設される弾性部材を適用するステップを更に含むことは、利点であり得る。これにより、加圧液体の圧力を調整することによって洗浄プロセスを制御可能になり、それと同時に、液体(又は低圧の液体)がタンク洗浄ノズルのハウジング内に全くないときに、確実に、タンク洗浄ノズルが閉止可能になる。
【0080】
本方法が、閉止構造体に接続された棒に力を加えるように配設される弾性部材を適用するステップを含むことは、有益であり得る。
【0081】
本方法が、タンク洗浄ノズルの入口に入る加圧液体の圧力を単に調整することによって、タンク洗浄ノズルを制御するステップを含むことは、有利であり得る。これにより、簡単で、使い勝手の良いタンク洗浄法を提供可能になる。
【0082】
「圧力を調整すること」は、液体の圧力に関するあらゆる調整を意味する。従って、「圧力を制御すること」は、圧力を切る、圧力を入れる、時間に応じて圧力を変化させることを含み得る。
【0083】
本発明は、本明細書の以下に提示される詳細な記載から、より完全に理解されるであろう。添付図は、説明目的のみで提示されたものであり、従って、添付図は、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1A】上部取付け洗浄ノズルを備えたタンクを示している。
図1B】タンク内にある構造体を洗浄するように構成された従来技術のリトラクタを、閉形態で示している。
図1C図1Bで示された従来技術のリトラクタを開形態で示している。
図2A】垂直に配設された攪拌機、及び複数の従来技術のリトラクタを備えたタンクを示している。
図2B】垂直に配設された攪拌機及び底部取付けの従来技術のリトラクタを備えたタンクを示している。
図2C】本発明による垂直に配設された攪拌機及び底部取付けタンク洗浄ノズルを備えたタンクを示している。
図3A】閉形態における本発明によるタンク洗浄ノズルの断面図を示している。
図3B】開形態における図3Aで示されたタンク洗浄ノズルの断面図を示している。
図3C】洗浄液の噴流を噴射している図3Bで示されたタンク洗浄ノズルの断面図を示している。
図4A】閉形態における本発明によるタンク洗浄ノズルの断面図を示している。
図4B】洗浄液の噴流がタンク洗浄ノズルによって噴射される開形態における、図4Aに示されたタンク洗浄ノズルの断面図を示している。
図4C】本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズルの断面図を示している。
図5A】分解形態における、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズルのハウジングの断面図を示している。
図5B】組立形態における、図5Aに示されたハウジングの断面図を示している。
図5C】棒の遠位端に取着されるプラグピストンとして形成された閉止構造体を変位するように配設されたアクチュエータを含む本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズルの、閉形態の断面図を示している。
図5D図5Cに示されたタンク洗浄ノズルの閉形態における、断面図を示している。
図5E】閉形態における、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズルの断面図を示している。
図5F図5Eに示されたタンク洗浄ノズルの開形態における、断面図を示している。
図6A】分解形態における、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズルのハウジングの断面図を示している。
図6B図6Aに示されたハウジングの組立形態における、断面図を示している。
図6C】棒の遠位端に取着されるプラグピストンとして形成された閉止構造体を変位するように配設されたアクチュエータを含む本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズルの、閉形態の断面図を示している。
図6D図6Cに示されたタンク洗浄ノズルの開形態における、断面図を示している。
図6E】閉形態における、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズルの断面図を示している。
図6F図6Eに示されたタンク洗浄ノズルの開形態における、断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0085】
次に、本発明の好ましい実施形態を図説する目的で、図面を詳しく参照すると、本発明のタンク洗浄ノズル2が、図2Cに示されている。
【0086】
図1Aは、上部取付け洗浄ノズル8を備えたタンク6を示しており、該ノズルは、洗浄液が洗浄ノズル8に提供されるパイプ14に接続されている。洗浄ノズル8は、洗浄液36をタンク6の内部20に噴霧している。これにより、回転可能に取付けられた(タンクの上部12で)攪拌機4を含むタンク6の内部構造体は、洗浄されている。
【0087】
排水装置は、タンク6の下部10に設けられる。弁18は、タンク6の下部10に接続された出口パイプ16を通る洗浄液の流れを制御するように、配設される。ポンプ22は、出口パイプ16に接続される。
【0088】
攪拌機4の羽根の下側は、上部取付け洗浄ノズル8によって洗浄されない。洗浄されない下側は、影領域と呼ばれる。従って、更なる種類の洗浄ノズルが、影領域を洗浄するために、タンク6の下部10に必要となる。
【0089】
図1Bは、タンク内にある構造体を洗浄するように構成された従来技術のリトラクタ50を示しており、リトラクタ50は、閉形態にある。図1Cは、図1Bで示された従来技術のリトラクタ50を開形態で、示している。
【0090】
リトラクタ50は、本体部分28及びリトラクタ50にある開口26を被覆する被覆部材34を含む。リトラクタ50は、タンク(図示せず)の壁24に取着される。
【0091】
図1Cでは、リトラクタ50の被覆部材34は、本体部分28からタンク(図示せず)内に変位されており、洗浄液が、タンク内に噴霧されている。洗浄液は、開口26’を通して流れ、斜線部分として示された噴霧領域30に噴霧される。被覆部材34を延伸することで、被覆部材34の延伸時に被覆部材34の前方に延伸する(本体部分28の長手方向軸に沿って)円錐形をした影領域32が発生する。
【0092】
リトラクタ50が影領域32を作ることは、該影領域が、タンク内にある構造体の所望される洗浄を提供するのを困難にするため、大きな欠点である。
【0093】
図2Aは、垂直に配設された攪拌機4、及び複数の従来技術のリトラクタ50を備えたタンク6を示している。リトラクタ50は、タンク6の側壁24に取付けられる。2つの上部取付け洗浄ノズル8は、タンク6の上部12に設けられる。
【0094】
攪拌機4は、垂直方向に配設された棒部材、及び棒部材に直交して延伸する4組の側部構造体を含む。4つのリトラクタ50が、攪拌機4の側部構造体の下側を洗浄するように配設されていても、各リトラクタ50は、洗浄液36を、タンクの内部に噴霧し、影領域32が作られることが分かる。影領域32は、確実に満足の行く洗浄プロセスが行われるのを非常に難しくする。その上、リトラクタ50がタンク6の内部に延入するため、リトラクタ50と攪拌機4の構造体とが衝突する危険性がある。そのために、複雑な攪拌機は、洗浄プロセス中に停止される必要がある。
【0095】
図2Bは、垂直に配設された攪拌機4及び底部取付けの従来技術のリトラクタ50を備えたタンク6を示している。攪拌機4は、回転可能に取付けられた棒及び該棒に取着された羽根形をした攪拌構造体を含む。リトラクタ50には、パイプ64を通してリトラクタ50に接続されたポンプ62によって、液体(好ましくは、適当な洗浄液)を供給される。リトラクタ50が、液体36を、タンク6の側部に位置する噴霧領域30に噴射すること、及び影領域32が作られることが分かる。影領域32は、円錐形をしており、リトラクタ50の被覆部材34から延伸している。
【0096】
図2Cは、垂直に配設された攪拌機4及び本発明による底部取付けタンク洗浄ノズル2を備えたタンク6を示している。タンク6は、基本的に、図2Bに示されたタンクに対応する。しかしながら、リトラクタ50は、本発明によるタンク洗浄ノズル2によって置換えられている。
【0097】
本発明によるタンク洗浄ノズル2が、図2Bの影領域であった円錐形をした部分に液体を噴射しているのが分かる。従って、タンク洗浄ノズル2は、図2Bに示された影領域と同じ位置にあるタンク6の内部に位置する噴霧領域30に、液体を噴射している。所望であれば、幾つかのタンク洗浄ノズル2を適用でき、該ノズルをタンク上の適切な位置に配置して、より大きな被洗浄領域をカバーできる。また、円錐形をした噴霧領域30の角度範囲も変更可能である。
【0098】
攪拌機4は、垂直に配設された棒を含み、該棒は、棒に取着された羽根形をした2つの攪拌部材を有する。タンク洗浄ノズル2は、タンク6の壁の外側に取着される。ポンプ62は、パイプ64を通して、タンク洗浄ノズル2に接続される。これにより、ポンプ62は、タンク洗浄ノズル2に、加圧液体を送給できる。
【0099】
図3Aは、閉形態における本発明によるタンク洗浄ノズル2の断面図を示し、図3Bは、図3Aで示されたタンク洗浄ノズル2の開形態においての、断面図を示している。
【0100】
タンク洗浄ノズル2は、ステンレス鋼等の適当な任意の材料で作製し得るハウジング44を含む。ハウジング44は、フランジ38によって囲まれる開口26を備えた遠位端を有する。フランジ38は、溶接によってタンクの壁に取着され得る。或いは、フランジ38は、例えば、ボルトを用いて、タンクの壁に機械的に取着され得る。
【0101】
タンク洗浄ノズル2は、棒53の遠位端に設けられるピストン52として形成された閉止構造体を含む。棒53は、ハウジング44の近位端に設けられた穴70を通り延伸する。棒53は、穴70内で摺動可能に配設され、該棒の長手方向軸Xに沿って変位するように構成される。これにより、タンク洗浄ノズル2をそれぞれ開閉するために、ピストン52を変位可能になる。
【0102】
可撓性で液密の膜56は、ハウジング44の内壁に取着される。膜56は、ハウジング44の内部空間54を、第1空間Sと第2空間Sに分離する。棒53は、膜56と棒53との密封取着を提供する取着構造体71を用いて、膜56に取着される。従って、膜が移動されると、その移動により、棒53と該棒に取着されたピストン52の変位が発生することになる。
【0103】
バネ58として形成された弾性部材は、ハウジング44の底部68に取着される。或いは、バネ58は、ハウジング44の底部68に、取着されることなく、支承され得る。図3Aでは、バネ58は、上向きの力B(矢印で示された)を膜56に加えるのが分かる。
【0104】
タンク洗浄ノズル2は、対応する接続部材(例えば、タンク洗浄ノズル2の入口42に設けられたフランジに対応するフランジを備えたパイプ)に接続されるように構成された入口42を含む。加圧液体が入口42に入ると、液体は、下向きの力Aを膜56に加えるであろう。
【0105】
図3Aでは、液体は、入口42を通りタンク洗浄ノズル2に全く入っていない。従って、その結果膜に印加された力は、真直ぐな形態で膜を維持し、このとき、ピストン52は、該ピストンの最高位置に提供され、最高位置では、タンク洗浄ノズル2が取着されたタンク(図示せず)内の流体(例えば、液体)によってピストン52に加えられる下向きの力Cが、上向きの力Bを超えない限り、タンク洗浄ノズル2は、閉止される。
【0106】
従って、確実にタンク洗浄ノズル2が閉止状態に保たれるためには、以下の関係(数1)が満たされなければならない:
【0107】
【数1】
【0108】
これは、力Bの大きさが力Cの大きさより大きくなければならないことを意味する。
【0109】
しかしながら、図3Bでは、液体36は、入口42を通り、ハウジング44の内部空間54の第1空間Sに流入する。従って、液体36の圧力は、下向きの力Aを膜56に加える。下向きの力Aの大きさが、バネ58によって膜56に加えられた上向きの力Bの大きさを超えるため、その結果発生する力は、図3Bで見られるように、膜56を下方に押圧するであろう。棒53は、膜56に取着されているため、棒53は、バネ58に向かう方向に変位され、バネ58は、圧縮されるであろう。従って、以下の式(数2)が、満たされる。
【0110】
【数2】
【0111】
従って、棒53及び棒53の遠位端に設けられたピストン52は、下方に変位され、これにより、タンク洗浄ノズル2の遠位端に、開口26を作るであろう。加圧液体36は、開口26を通して噴射され、これにより影領域を全く含まない円錐形をした噴霧領域30を形成するであろう。
【0112】
図3Cは、タンク洗浄ノズル2が取着された壁24を含むタンクの内部に、洗浄液36の噴流を噴射している図3Bで示されたタンク洗浄ノズル2の断面図を示している。
【0113】
タンク洗浄ノズル2は、溶接によって壁24の外面に取着されたフランジ38を含み、ハウジング44から突出する入口42に入る液体36が、膜を下方に押圧し、それによりピストン52は、下方に変位され、その結果、液体36が噴射できる開口26が作られる。
【0114】
図4Aは、閉形態における本発明によるタンク洗浄ノズル2の断面図を示している。タンク洗浄ノズル2は、ハウジング44から突出する管状構造体の端部に設けられたフランジ部分によって囲まれる入口42を備えたワンピースのハウジング44を含む。ハウジング44は、平板形状の扉40によって、被覆され、閉止される出口開口を囲むフランジ38を備えた遠位部を備える。フランジ38は、タンク(図示せず)の壁24に取着される。
【0115】
扉40は、フランジ38に設けられた案内軌道に、摺動可能に配設される。アクチュエータ46は、フランジ38の周縁部付近に配設される。一実施形態では、アクチュエータ46は、電動アクチュエータ46とされ得る。別の実施形態では、アクチュエータ46は、空圧アクチュエータ46とされ得る。更なる実施形態では、アクチュエータ46は、油圧アクチュエータ46とされ得る。
【0116】
アクチュエータ46は、扉40が被覆し、これにより開口を密閉する、第1位置(図4Aで示された)から、扉40が、開口から除去された第2位置(図4Bで示された)に変位するように、配設され、構成される。
【0117】
ハウジング44は、ハウジング44の遠位端に設けられた円錐部分66を含む。円錐部分66の近位端の幅(直径)Dは、円錐部分66の遠位端の幅(直径)Dより大きい。従って、円錐部分66は、その遠位端に設けられた開口に向かい先細になっている。
【0118】
図4Bは、洗浄液36の噴流がタンク洗浄ノズル2によって噴射される、図4Aに示されたタンク洗浄ノズル2の開形態における、断面図を示している。扉40は、フランジ38の左側に移動されているのが分かる。これにより、液体36がタンク(図示せず)内に噴霧される開口が、確立される。
【0119】
図4Cは、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズル2の断面図を示している。タンク洗浄ノズル2は、基本的に、図4A及び図4Bに示されたタンク洗浄ノズルのハウジングの対応部分として形成された部分を含むハウジング44を有する。しかしながら、ハウジング44は、タンク(図示せず)の壁24に取着されるように適合された取着構造体60に取着されるように構成される部分を含む。
【0120】
取着構造体60は、任意の適当な手段、例えば、溶接又は機械的取着技術を用いて、壁24に取着され得る。
【0121】
ハウジング44は、ハウジング44と取着構造体60との密封取着を提供する任意の適当な取着手段(図示せず)を使用することによって、取着構造体60に取外可能に取着され得る。ハウジング44は、点検修理(service)の場合、又は用途において、別の容量を持つタンク洗浄ノズル2が必要となる若しくは望ましい場合に、別のハウジング44と交換可能である。
【0122】
図5Aは、分解形態における、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズルハウジング44の断面図を示している。ハウジング44は、フランジ38によって囲まれる開口26を備えた遠位部を含む。更に、遠位部は、ボルト76を取付けできる貫通孔を備えた取着フランジ72を備える。
【0123】
ハウジング44は、フランジによって囲まれた入口42を備えた近位部を含む。近位部は、ボルト76を受容するように構成されたネジ孔を備えた取着フランジ74を含む。密封要素78は、フランジ72、74の対向接触面間に配設される。密封要素78は、軸方向に圧縮された際に、径方向に拡張されるように構成される。これにより、ハウジング44の近位部と遠位部との密封取着が、達成できる。密封要素78は、エラストマ、又は別の適当な材料で作製され得る。密封要素78は、一例として、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)又は別のゴム材料で、作製できる。
【0124】
図5Bは、ハウジング44の近位部と遠位部それぞれの合わせフランジ72、74が、ボルト76を用いて一緒に螺着された、図5Aに示されたハウジング44の組立形態における、断面図を示している。
【0125】
図5Cは、棒53の遠位端に取着されるプラグピストン52として形成された閉止構造体を変位するように配設されたアクチュエータ80を含む本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズル2の断面図を、示している。タンク洗浄ノズル2は、閉形態にある。
【0126】
膜56は、タンク洗浄ノズル2のハウジング44の内壁に取着される。棒53は、膜56を通り延伸し、密封構造体73は、膜56に対して棒53を密封する。従って、第2空間Sは、ハウジング44の入口42を通り、ハウジング44の第1空間Sに入る液体を受容しないようになる。従って、第1空間Sは、第2空間Sから汚染物質を受容しないようになる。
【0127】
図5Dは、図5Cに示されたタンク洗浄ノズル2の開形態における、断面図を示している。棒53と、該棒53の遠位端に取着されたプラグピストン52は、ハウジング44の近位端から延伸するアクチュエータ80を用いて、ハウジング44の内部に引込まれる。従って、取着されたプラグピストン52は、第1空間S内の位置に移動され、それにより開口26が、ハウジング44の遠位部に現れる。アクチュエータ80は、制御ユニット82によって制御され得る。アクチュエータ80は、制御ユニット82によって、又は別のエネルギ源(図示せず)によって稼働され得る。ハウジング44の内部空間にある液体36は、開口26を通して噴霧される。
【0128】
図5Eは、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズル2の閉形態における、断面図を示している。タンク洗浄ノズル2は、タンク洗浄ノズル2のハウジング44の近位端に設けられた受容部分84を含む。受容部分84は、ハウジング44に摺動可能に配設された棒53の端部を受容するように構成される。半球状ピストン52は、棒53の他端部に取着される。膜56は、ハウジング44の内部空間を、第1空間Sと第2空間Sとに分割する。
【0129】
入口42は、ハウジング44の壁の1つから突出するフランジ付き管状構造体の端部に設けられる。入口42を通りハウジングに入る液体は、第1空間Sを通り流れ、このとき、液密膜56は、液体が第2空間Sに入るのを防ぐ。従って、第1空間Sは、第2空間Sから汚染物質を受容しないようになる。
【0130】
膜56は、取着構造体71を用いて、棒53に取着される。バネ58は、膜56とハウジング44の近位内壁部分との間に配設される。バネは、棒53周りに巻回される。
【0131】
図5Eでは、ピストン52は、ハウジング44の遠位部に当接し、ハウジング44の出口開口を封止する。液体は、ハウジング中に全く存在せず、そのため、バネ58によって膜56に加えられる上向きの力は、タンク(図示せず)の内部にある液体によってピストン52の遊離端に加えられる下向きの力を上回る。従って、タンク洗浄ノズル2は、閉形態になる。
【0132】
図5Fは、図5Eに示されたタンク洗浄ノズル2の開形態における、断面図を示している。ハウジング44の第1空間Sは、タンク洗浄ノズル2が取着されているタンク(図示せず)内に噴射される洗浄液36で充填されている。液体36の圧力により、下向きの力が発生して、該力は、膜56を移動し、バネ58を圧縮する。従って、棒53は、受容部分84内に更に移動される。棒53の運動は、ピストン52を変位させ、ハウジング44の遠位部で開口26(フランジ38によって囲まれた)を作成した。そうして、液体36は、開口26から延伸する円錐形をした噴流を形成しながら、タンク内に噴射される。
【0133】
図6Aは、基本的に、図5Aに示されたものに対応するハウジング44の断面図を示している。ハウジング44は、フランジ38によって囲まれる開口26を備えた遠位部を含む。更に、遠位部は、取着フランジ72を備える。フランジ72、74は、図6Bに示されたようなホース留め金を用いて、互いに取着されるように構成される。
【0134】
図6Bは、ハウジング44の近位部と遠位部それぞれの合わせフランジ72、74が、留め金77を用いて、互いに取着される、図6Aに示されたハウジング44の組立形態における、断面図を示している。
【0135】
図6Cは、基本的に、図5Cに示されたものに対応する、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズル2の断面図を示している。ハウジング44の近位部と遠位部の合わせフランジ72、74は、留め金77を用いて、互いに取着される。
【0136】
図6Dは、図6Cに示されたタンク洗浄ノズル2の開形態における、断面図を示している。図6Dは、基本的に、図5Dに対応する。しかしながら、ハウジング44の近位部と遠位部の合わせフランジ72、74は、留め金77を用いて、互いに取着される。
【0137】
図6Eは、閉形態における、本発明によるツーピースのタンク洗浄ノズル2の断面図を示している。図6Eは、基本的に図5Eに対応する。しかしながら、ハウジング44の近位部と遠位部の合わせフランジ72、74は、留め金77を用いて、互いに取着される。
【0138】
図6Fは、図6Eに示されたタンク洗浄ノズル2の開形態における、断面図を示している。図6Fは、基本的に図5Fに対応する。しかしながら、ハウジング44の近位部と遠位部の合わせフランジ72、74は、留め金77を用いて、互いに取着される。
【符号の説明】
【0139】
2 タンク洗浄ノズル
4 攪拌機
5 棒
6 タンク
8 ノズル
10 下部
12 上部
14 パイプ
16 パイプ
18 弁
20 内部(空間)
22 ポンプ
24 壁
26 開口
26’ 開口
28 本体
30 噴霧領域
32 影領域
34 被覆部材
36 液体
38 フランジ
40 扉
42 入口
44 ハウジング
46 アクチュエータ
50 リトラクタ
52 ピストン(閉止構造体)
53 棒
54 内部空間
56 膜
58 バネ
60 取着構造体
62 ポンプ
64 パイプ
66 円錐部分
68 底部
70 穴
71 取着構造体
72 フランジ
73 密封構造体
74 フランジ
76 ボルト
77 留め金
78 密封要素
80 アクチュエータ
82 制御装置
84 受容部分
X 軸
、D 幅(直径)
第1空間
第2空間
A、B、C 力
図1A-1C】
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F