(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】エファビレンツの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 265/18 20060101AFI20220608BHJP
A61K 31/536 20060101ALN20220608BHJP
A61P 31/18 20060101ALN20220608BHJP
【FI】
C07D265/18
A61K31/536
A61P31/18
(21)【出願番号】P 2019543064
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2018050916
(87)【国際公開番号】W WO2018154414
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-11-24
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518154974
【氏名又は名称】ネルソン マンデラ メトロポリタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ワッツ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】チャダ,スラバンティ
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-513746(JP,A)
【文献】米国特許第06147210(US,A)
【文献】国際公開第2011/007357(WO,A1)
【文献】RADESCA,Lilian A.,Synthetic Communications,1997年,27(24),4373-4384
【文献】CORREIA,Camille A.,Angew.Chem.Int.Ed.,2015年,54,4945-4948
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式8
【化1】
の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造方法であって:
(a)4-クロロアニリンをジ-tert-ブチルジカルバメートと反応させることにより、式26
【化2】
のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを調製し、
(b)式26のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを、トリフルオロアセチル化反応(trifluroacetylation reaction)において、ブチルリチウムおよび式67
【化3】
のピペリジントリフルオロ酢酸と反応させて、式27
【化4】
のtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメートを生成し、
(c)ブチルリチウムの存在下で、式27の化合物を式53のシクロプロピルアセチレンおよび式60の(1R,2S)N-ピロリジニルノルエフェドリン
【化5】
と反応させて、式56
【化6】
の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールを生成し、
(d)式56の化合物を1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンの存在下で式70
【化7】
の化合物と反応させて、式8の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンを生成する工程を含
み、工程(a)~(d)がフロー合成工程である、フロー合成法である方法。
【請求項2】
工程(b)または工程(c)において、ブチルリチウムがn-ブチルリチウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)において、反応がテトラメチルエチレンジアミンの存在下で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)~(d)の反応が、それぞれ独立して、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、水、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ヘプタン中の酢酸エチルの溶液からの再結晶をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式8
【化8】
の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造方法であって:
(a)4-クロロアニリンをジ-tert-ブチルジカルバメートと反応させることにより、式26
【化9】
のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを調製し、
(b)ブチルリチウムの存在下で、式26のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを式29のシクロプロピルエチニルトリフルオロメチルケトンおよび式60の(1R,2S)N-ピロリジニルノルエフェドリン
【化10】
と反応させて、式56
【化11】
の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールを生成し、
(c)式56の化合物を1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンの存在下で式70
【化12】
の化合物と反応させて、式8の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンを生成する工程を含
み、工程(a)~(d)がフロー合成工程である、フロー合成法である方法。
【請求項7】
工程(b)において、ブチルリチウムがn-ブチルリチウムである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)~(c)の反応が、それぞれ独立して、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、水、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で行われる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
ヘプタン中の酢酸エチルの溶液からの再結晶をさらに含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(a)の反応が
5分~
12分の滞留時間を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程(a)において、ジ-tert-ブチルジカルバメートに対する4-クロロアニリンのモル比が
1:1~1:1.2の範囲である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)の反応が
30℃~
60℃の温度で行われる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)の反応が
-60℃~
-40℃の温度で行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程(b)の反応が
5分~
12分の滞留時間を有する、請求項1~5または13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)において、式53のシクロプロピルアセチレンに対する式27のtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメートのモル比が
1:1.2~1:1.4の範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
工程(d)または(c)の反応が、それぞれ
2分~
10分の滞留時間を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
工程(d)または(c)の反応が、それぞれ
80℃~120℃の温度で行われる、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
工程(d)または(c)において、式70の化合物に対する式56の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールのモル比が
1:1.1~1:1.4の範囲である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序文
本発明は、光学的に純粋な(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造方法に関する。特に、本発明は(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造のためのフロー合成方法に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
エファビレンツは、HIV/AIDSの治療および予防のための薬剤の製造に使用される有効医薬成分である。エファビレンツは、(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンと化学的に記述される。一般的には、他の抗レトロウイルス薬との併用、例えばエムトリシタビン、ラミブジン、および/またはテノホビルとの併用が推奨される。エファビレンツは、保健システムに必要な最も効果的で安全な医薬品として、世界保健機関の必須医薬品のリストに掲載されている。
【0003】
先行技術には、エファビレンツの調製のための多数の方法および合成経路が記載されている。しかし、これらの化合物を製造するための既存の合成方法論は、本質的に大量の有機溶媒を利用する標準的な撹拌バッチタイプまたはベンチトップリアクタータイプのプロセスを基盤としていた。これらの方法は、温度および圧力の制御が非効率的であること、ならびに危険な試薬の安全な取り扱いができないことを含む限界を有する。連続フローマイクロリアクターまたはマイクロリアクター技術を、このような反応化学に適用することは、上記の欠点のいくつかを克服するために使用可能な実用的な解決策の可能性を提供し得る。
【0004】
さらに、エファビレンツは、トリフルオロメチル基を有する(S)配置のステレオジェニック四級炭素中心を有する。光学活性エファビレンツの生物学的評価は、(R)エナンチオマーが実質的に活性を示さないことを明らかにした。したがって、(S)配置を有する四級炭素中心を非対称的に確立することは、エファビレンツの合成の主な課題の1つである。
【0005】
非特許文献1は、エファビレンツのフロー合成調製のための方法を開示する。非特許文献1の開示は、エファビレンツのラセミ混合物を合成するための5段階プロセスで、rac-Efavirenzの全収率として45%を与えるプロセスに関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Correia et al., Angew. Chem. Int.版 2015年、54、4945~4948
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、エファビレンツを製造するための改良された方法が必要とされている。特に、エファビレンツの(S)エナンチオマーの製造方法であって、好ましくはフロー合成法である方法が必要とされている。本発明は、光学的に純粋なエファビレンツを製造するための新しい方法を提供することによって、従来技術の欠点のいくつかに対処しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明の第1の態様によって提供されるのは、式8
【0009】
【0010】
の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造方法であって:
(a)4-クロロアニリンをジ-tert-ブチルジカルバメートと反応させることにより、式26
【0011】
【0012】
のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを調製し、
(b)式26のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを、トリフルオロアセチル化反応(trifluroacetylation reaction)において、ブチルリチウムおよび式67
【0013】
【0014】
のピペリジントリフルオロ酢酸と反応させて、式27
【0015】
【0016】
のtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメートを生成し、
(c)ブチルリチウムの存在下で、式27の化合物を式53のシクロプロピルアセチレンおよび式60の(1R,2S)N-ピロリジニルノルエフェドリン
【0017】
【0018】
と反応させて、式56
【0019】
【0020】
の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールを生成し、
(d)式56の化合物を1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンの存在下で式70
【0021】
【0022】
の化合物と反応させて、式8の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンを生成する工程を含む、フロー合成法である方法。
【0023】
好ましくは、前記方法は半連続フロー合成法である。
一実施形態では、工程(b)または工程(c)において、ブチルリチウムがn-ブチルリチウムである。
【0024】
好ましくは、工程(b)において、反応はテトラメチルエチレンジアミンの存在下で行われる。
好ましい実施形態では、工程(a)~(d)の反応がそれぞれ独立して、テトラヒドロフラン(tetrahyroduran)、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、水、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で行われる。
【0025】
この方法は、ヘプタン中の酢酸エチルの溶液からの再結晶をさらに含み得る。
本発明の第2の態様によって提供されるのは、式8
【0026】
【0027】
の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造方法であって:
(a)4-クロロアニリンをジ-tert-ブチルジカルバメートと反応させることにより、式26
【0028】
【0029】
のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを調製し、
(b)ブチルリチウムの存在下で、式26のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを式29のシクロプロピルエチニルトリフルオロメチルケトンおよび式60の(1R,2S)N-ピロリジニルノルエフェドリン
【0030】
【0031】
と反応させて、式56
【0032】
【0033】
の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールを生成し、
(c)式56の化合物を1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンの存在下で式70
【0034】
【0035】
の化合物と反応させて、式8の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンを生成する工程を含む、フロー合成法である方法。
【0036】
好ましくは、前記方法は半連続フロー合成法である。
一実施形態では、工程(b)において、ブチルリチウムがn-ブチルリチウムである。
好ましい実施形態では、工程(a)~(c)の反応が、それぞれ独立して、テトラヒドロフラン(tetrahyroduran)、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、水、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で行われる。
【0037】
この方法は、ヘプタン中の酢酸エチルの溶液からの再結晶をさらに含み得る。
好ましい実施形態において、工程(a)の反応は、約5分~約12分の滞留時間を有する。
【0038】
好ましくは、工程(a)において、ジ-tert-ブチルジカルバメートに対する4-クロロアニリンのモル比は約1:1~1:1.2の範囲である。
好ましくは、工程(a)の反応が約30℃~約60℃の温度で行われる。
【0039】
一実施形態では、工程(b)の反応が約-60℃~約-40℃の温度で行われる。
工程(b)の反応は、約5分~約12分の滞留時間を有することができる。
好ましい実施形態では、工程(c)において、式53のシクロプロピルアセチレンに対する式27のtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメートのモル比は約1:1.2~1:1.4の範囲である。
【0040】
好ましくは、工程(d)または(c)の反応が、それぞれ、約2分~約10分の滞留時間を有する。
一実施形態では、工程(d)または(c)の反応が、それぞれ、約80℃~120℃の温度で行われる。
【0041】
好ましくは工程(d)または(c)において、式70の化合物に対する式56の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールのモル比は約1:1.1~1:1.4の範囲である。
【0042】
以下の非限定的な実施形態および図面を参照して、本発明をより詳細に説明する:
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は本発明の一般的な合成方法の概略図を示す;
【
図2】
図2は本発明によるバッチ合成方法の概略図を示す;
【
図3】
図3は本発明によるフロー合成プロセスの概略図を示す;
【
図4】
図4はフロー合成反応の工程1のための実験の設定の概略図を示す;
【
図5】
図5は化合物68の転化率に対する滞留時間の影響をグラフの形で示す;
【
図6】
図6は化合物68の転化率に対するジ-tert-ブチルジカルバメートの濃度の影響をグラフの形で示す;
【
図7】
図7は化合物68の転化率に対する温度の影響をグラフの形で示す;
【
図8】
図8はフロー合成反応の工程2のための実験の設定の概略図を示す;
【
図9】
図9はフロー中の化合物26の転化率に対する温度の影響をグラフの形で示す;
【
図10】
図10はフロー中の化合物26の転化率に対する化合物67の濃度の影響をグラフの形で示す;
【
図11】
図11はフロー中の27の転化率に対する滞留時間の影響をグラフの形で示す;
【
図12】
図12はフロー合成反応の工程3のための実験の設定の概略図を示す;
【
図13】
図13はフロー中の化合物27の転化率に対する滞留時間の影響をグラフの形で示す;
【
図14】
図14はフロー中の27の転化率に対する温度の影響をグラフの形で示す;
【
図15】
図15はフロー中の化合物56の転化率に対する化合物53の濃度の影響をグラフの形で示す;
【
図16】
図16はフロー中の化合物56の転化率に対するn-ブチルリチウムの濃度の影響をグラフの形で示す;
【
図17】
図17はフロー合成反応の工程4のための実験の設定の概略図を示す;
【
図18】
図18はフロー中の化合物56の転化率に対する滞留時間の影響をグラフの形で示す;
【
図19】
図19はフローにおける化合物56の転化率に対する温度の影響をグラフの形で示す;
【
図20】
図20はフロー中の化合物56の転化率に対するジエチルカーボネートの濃度の影響をグラフの形で示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、本発明のいくつかの非限定的な実施形態が示されている図面を参照して、本発明を以下により完全に説明する。
以下に記載される本発明は開示される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、本発明は、わずかな修正および他の実施形態もその範囲内に含むものであることが意図される。
【0045】
本明細書では特定の用語を用いているが、それらは、一般的かつ説明的な意味でのみ用いられており、限定するために用いられているのではない。
本明細書全体にわたって、および以下の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈によって他に明確に示されない限り、複数形を含む。
【0046】
本明細書で使用される用語および語法は説明の目的のためであり、限定とみなされるべきではない。本明細書で使用される用語「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「有する(having)」、「含む(including)」、およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される事項、それらと同等の事項、ならびに追加の事項を包含することを意味する。
【0047】
本発明は、光学的に純粋な(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造方法を提供する。特に、本発明は(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造のための半連続フロー合成方法に関するが、これに限定されるものではない。
【0048】
本明細書で使用される場合、文脈によって他に示されない限り、用語「フロー合成」は、特定の(多段階)化学合成の全ての工程が、バッチ生産ではなく連続的に流れる流れとして行われることを意味すると理解されるべきである。換言すれば、ポンプは、流体を管(またはリアクター)内に移し、管が互いに接合する場所で、流体は互いに接触する。これらの流体が反応性である場合、反応が起こる。
【0049】
本明細書で使用される場合、文脈によって他に示されない限り、用語「半連続フロー合成」は、中間体が連続プロセスにおける次の工程に直接流入するのではなく、工程間で単離されることを意味すると理解されるべきである。
【0050】
図1は、エファビレンツとしても知られるキラルな(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンを製造するための本発明の一実施形態の一般的な合成方法および合成工程の概略図を示す。
図2および
図3は、それぞれ、本発明によるバッチプロセスおよび半連続フロー合成方法の特定の概略図を示す。
【0051】
本発明者らは、本発明の方法が従来のバッチ化学技術またはより進歩した半連続フロー合成方法のいずれかを使用して実施され得ることを示した。光学的に純粋なエファビレンツを製造するバッチ法も非常に望ましいが、半連続フロー化学法で光学的に純粋なエファビレンツを製造する方法はさらに大きな利点を提供することを、当業者は理解するであろう。
【実施例】
【0052】
次に、本発明による方法の個々の合成工程を、以下の非限定的な実験例および分析データを参照して、より詳細に説明する。
合成工程1:tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートの調製
【0053】
【0054】
スキーム1は、ジ-tert-ブチルジカルバメート(BOC)基によって化合物68を保護するために、4-クロロアニリン68がバッチプロセスによるジ-tert-ブチルジカルバメートとの反応に供された方法における最初の合成工程を示す。ジ-tert-ブチルジカルバメート反応は、その導入(instalment)および除去の容易さ、メタル化条件下での安定性、および穏やかな無水酸性条件下での開裂の容易さのために、4-クロロアニリン68の保護基として多くの可能な保護反応から選択された。しかし、文献から知られている多くの他の同様の保護基を、前記方法の第1工程において使用し得ると想定する。
【0055】
スキーム1に示すように、式26のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを4-クロロアニリン68から調製した。バッチ反応は、3つの異なる反応条件および溶媒を用いることによって最適化された。
【0056】
1つの実験において、ジクロロメタン(「DCM」)を、穏和な塩基としてのトリエチルアミンと共に溶媒として使用した。DCM中のトリエチルアミンとの反応を約24時間進行させた。反応完了後、反応混合物を氷冷水に注ぎ入れ、tert-ブチル4-クロロフェニルカルバメート26を白色固体として析出させた(収率約40%)。単純な単離プロセスだが、収率を改善することが可能だった。
【0057】
別の実験では、比率1:1のテトラヒドロフラン(「THF」)と水との混合物中で反応が行われた。THF:水中での反応は、約3時間で完了し、約92%というより良好な収率だった。ここでも、化合物は上記のように水から白色固体として析出した。
【0058】
別の実験では、4-クロロアニリン68およびBoc無水物からなる無溶媒反応を、PEG-200(1mL/g)の存在下で行った。この反応は、DCMおよびTHF中での反応と比較して、より高い転化率で急速に進行したことが注目された。反応終了後、水層を蒸発させてPEG-200を回収し、第2の反応に用いたところ、生成物収率(約96%)は維持された。ろ過により生成物を白色の固形物として集め、1H-NMR、13C-NMR、IRおよび元素解析により特性を決定した。
【0059】
【0060】
フロー中でのtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26(スキーム2)の調製を、Chemyx FusionシリンジポンプおよびLTFマイクロリアクターを使用することによって行った。フロー反応は、4-クロロアニリン68とジ-tert-ブチルジカルバメートとを、塩基としての重炭酸ナトリウム水溶液の存在下で反応させることを含んでいた。フロー反応は、
図4に示すように、化合物68およびBoc無水物の濃度をそれぞれ0.78Mおよび0.93Mとして実施した。フロー反応の結果をバッチ反応の結果と比較するために、反応条件(THF:水の溶媒混合物を含む)を選択した。
【0061】
滞留時間、ジ-tert-ブチルジカルバメートの濃度、および温度が化合物68の転化率に及ぼす影響を調べた。
フロー反応について、反応が室温で実施されている間、化合物68の濃度を0.78Mに保ち、Boc無水物を0.93M(1.2当量)に保つことによって、滞留時間の影響を最初に調べた。0.35分~21分の滞留時間が調査された。驚くまでもなく、滞留時間が減少するにつれて、化合物68の転化率が減少することが見出された。滞留時間はリアクターの容積に正比例し、全流量に反比例することは周知である。
図5から、滞留時間が約7分のときに実験の最大転化率が観察されたことが分かる。
【0062】
異なる滞留時間において、ジ-tert-ブチルジカルバメートのモル濃度を0.93Mから0.70Mまで変化させることにより、化合物68(0.78M)の転化率に対するジ-tert-ブチルジカルバメートの濃度の影響を調査した。反応は、室温で、滞留時間を5.25、10.5および21.5分とし、かつ、ジ-tert-ブチルジカルバメートの濃度を0.70M、0.78M、0.93Mとして行った。4-クロロアニリン68の転化率は試薬の利用可能性の減少とともに減少し、それによって、マイクロリアクター中の反応物の比率が不十分になった。これらの実験の結果を
図6に示す。0.78Mのジ-tert-ブチルジカルバメートで最大転化率が達成されることが分かる。
【0063】
5.3、10.5、および21.5分の滞留時間において、30℃~120℃で温度を変化させることによって、温度の影響を調べた。温度が上昇するにつれて、4-クロロアニリン68の転化率は減少した。温度実験の結果を
図7に示す。
【0064】
上記の実験から、化合物68の転化のためのフロー合成の設定における最適条件は、滞留時間が約10.5分、温度が約30℃、および化合物68のBoc無水物に対する濃度比が約1:1~約1:2であると見られる。
【0065】
合成工程2:tert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメートの調製
【0066】
【0067】
スキーム3は、tert-ブチル4-クロロフェニルカルバメート26のtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27への転化のための反応工程を示す。
【0068】
化合物26のオルトリチウム化は、これまで、tert-ブチルリチウムおよびsec-ブチルリチウムで起こるとしか報告されていない。化合物26はまた、より安全で、かつ大規模な使用に一層適した、過剰量のn-ブチルリチウムでリチウム化され得ることが見出された。THF中で化合物26にn-ブチルリチウムを添加した後、反応混合物は白色から黄橙色の懸濁液に変わり、メタル化を-70℃から室温で1時間続け、続いて遊離したジアニオンをトリフルオロアセチル化剤としてピペリジントリフルオロ酢酸67で-55℃でクエンチして、tert-ブチル4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27を得た。反応は、トリフルオロ酢酸エチルなどの別のトリフルオロアセチル化剤を用いて行うこともできることに留意されたい。反応により、淡黄色の固体が得られた(収率約28%)。
【0069】
【0070】
スキーム4に従うフロー反応は、
図8に示されるような実験設定で実施された。比較を容易にするために、試薬の濃度は対応するバッチ実験に基づいて選択された。マイクロリアクター中での反応の予備確認後、反応条件に関して、化合物26の転化率に対する温度、滞留時間および濃度の影響を調べた。
【0071】
フロー中の化合物26の化合物27への転化に関して、最初に、温度の影響を調べた。反応温度を-70℃から0℃まで変化させた。0.3mL/分の流速で、n-ブチルリチウムを0.5M、化合物26を0.1M、化合物67を0.14Mとする濃度で反応を行った。濃度は、バッチ実験結果(batch results experiments)に基づいて選択した。
【0072】
温度の上昇は化合物26の転化率(conversation)の減少をもたらすことが注目されたが、それはおそらく、THF中でのより高い温度でのn-ブチルリチウムの分解のためである。
図9から、約-70℃~約-40℃の範囲で最大転化率が観察されたことが分かる。半連続フロー法では、反応がより高い温度で進行し、バッチ設定(-78℃、28%転化率)と比較して、比較的大きな転化率(70%)であった。
【0073】
トリフルオロアセチル化剤である化合物67の濃度の影響を調べた。他の2つの試薬の濃度は、n-ブチルリチウムを0.25M、化合物26を0.1Mとして一定に保たれ、流速は0.3mL/分(滞留時間8.6分、温度-45℃)とされた。
図10から、化合物26の転化率は、ある点まで、化合物67の濃度が増加するにつれて増加したことが分かる。この分析から、この一連のパラメーターについて、0.18~0.22Mの範囲、すなわち約2モル当量で最適濃度が見出されたことが明らかである。
【0074】
最適化された濃度条件(0.25Mのn-ブチルリチウム、0.1Mの化合物26、0.2Mの化合物67)および温度(-45℃)を調べた後、化合物26の転化率に対する滞留時間の影響を調べた。これらの実験を通して、上記の濃度および温度は一定に保たれた。26の転化率に対する滞留時間の影響を
図11に示す。滞留時間を17.3分として実験を開始したところ、70%の転化率が達成された。
図11から分かるように、前記の条件では、転化率の損失なしに滞留時間を約8分に短縮することができる。
【0075】
全体として、工程2におけるフロー反応は、バッチで観察されたものとの比較において非常に好ましい結果を与える。合計は、以下の表1に示される。
【0076】
【0077】
合成工程3:(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールの調製
【0078】
【0079】
本発明による方法における工程3は、最終生成物のキラル中心を生成する。スキーム5は、工程2で調製したtert-ブチル4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27にシクロプロピルアセチレン53および(1R,2S)N-ピロリジニルノルエフェドリン60を添加することによる(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オール56の調製のためのバッチ反応を示す。混合物(化合物60および53)を-20℃に冷却し、窒素下でこの溶液にn-ブチルリチウムおよび化合物27を滴下した。得られたオレンジ色の溶液を、その温度で1時間撹拌し、次いで、6NのHClを添加することで反応をクエンチした。混合物を周囲温度に温め、酢酸エチルでの抽出及び蒸発によって、フラッシュカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチルおよびヘキサン)を用いた精製の後に、化合物56の黄色の微粉末として82%の収率で生成物を得た。(1R,2S)N-ピロリジニルノルエフェドリン60を、エナンチオ選択的アルキル化を促進するキラル添加剤としてこの反応に使用した。
【0080】
反応完了後、Cyclobond I 2000キラルカラム、メタノールおよび水(80:20)を移動相として用いて、生成物のキラル純度を分析した。この場合、生成物は主ピーク(2.42分で97.8%)と他の異性体(3.5分で2.2%)のピークを示し、標準(2.42分で99%純度)と比較された。
【0081】
生成物を、10:1のヘプタン:トルエンを用いて25℃で3時間再結晶させることで精製して、純粋な化合物を得た。精製後、化合物56を再びキラル純度について試験したところ、98.9%に増加していた。
【0082】
本発明の別の実施形態において、以下のスキーム6に示される反応に従って、シクロプロピルエチニルトリフルオロメチルケトン29を使用して、化合物26から(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オール56を調製することによって、上記の工程2および3を置き換えられる。
【0083】
【0084】
4-クロロフェニルカルバメート26を-55℃に冷却し、5当量のn-ブチルリチウムを添加した。遊離したジアニオンをシクロプロピルエチニルトリフルオロメチルケトン29でクエンチし、10%酢酸エチルおよびヘキサンで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後、47%の収率で化合物56を得た。化合物のキラル純度をHPLCを用いて試験した。キラルカラム(Cyclobond I 2000)を固定相として使用し、メタノール:水(80:20)を移動相として使用した。クロマトグラムから得られた結果を標準化合物とマッチングさせた。主ピークは2.49分で観察され、86.5%の純度だった。
【0085】
フロー実験は、化合物53を添加してキラル補助剤(axillary)60の存在下で化合物27を化合物56に転化する、以下のスキーム7に従って行った。
【0086】
【0087】
初期フロー反応実験はバッチ反応パラメータに基づくものだったが、その後、滞留時間、濃度および温度の影響を調べることによって反応を最適化した。
初期滞留時間実験は、THF中でn-ブチルリチウムを0.45M、化合物53を0.5M、および化合物27を0.35Mとして行われた。反応温度を-45℃に維持した。滞留時間の調査は、約8.6分~約1.7分の範囲で行った。
図13は、最適な転化率が8.6分で達成されたことを示す。
【0088】
n-ブチルリチウムを0.45M、化合物53を0.5M、および化合物27を0.35Mとし、滞留時間を4.3分として、化合物27の転化率に対する温度の影響を調べた。化合物27の転化率に対する温度の影響を
図14に示す。
【0089】
さらなる実験において、化合物27の転化率に対するシクロプロピルアセチレン53およびn-ブチルリチウムの濃度の影響を調べた。以前、濃度0.45Mの化合物53について、4.8分の滞留時間で85%の転化率が得られた。n-ブチルリチウムを0.45Mおよび化合物27を0.35Mとして、-45℃の温度で研究を行った。シクロプロピルアセチレン53の濃度の転化率に対する影響を
図15に示す。n-ブチルリチウムの濃度の影響についての実験は、0.45M~0.27Mで行った。シクロプロピルアセチレン53の濃度は0.45Mであり、化合物27の濃度は0.35Mであり、温度は-45℃に維持された。転化率に対するn-ブチルリチウムの濃度の影響を
図16に示す。
【0090】
合成工程4:(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オン
【0091】
【0092】
上記スキーム8は、本方法の最終工程のためのバッチ反応を示す。光学的に純粋な(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オール(アミノアルコール)56を1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)の存在下で60℃でカルボニル送達剤(ジエチルカーボネート)と反応させて環化反応を行い、光学的に純粋な(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オン8(エファビレンツ)を与えた。ヘプタン中の5%酢酸エチルで再結晶化させた後、Cyclobond I 2000カラムを用いるHPLCを用いることによって化合物のキラル純度について試験した。クロマトグラムは2.51分で99%の純度を示し、標準化合物クロマトグラム(2.51分、99%の純度)とマッチングされた。
【0093】
フロー中の環化反応は、以下の反応スキーム9に従って、
図17に示す実験設定で行った。
【0094】
【0095】
フロー法における先行する工程と同様に、化合物56の転化率に対する異なる滞留時間、温度、および濃度の影響を調べた。滞留時間実験のために、試薬濃度0.60Mの化合物56、0.40MのDBU、および0.70Mのジエチルカーボネート(DEC)を90℃の温度で使用した。化合物56の転化率に対する滞留時間の影響を
図18に示す。
図18からわかるように、2.8分の滞留時間でもまだ予想外に優れた転化率が得られた。
【0096】
約90℃で、バッチプロセスでの使用と同様にして、温度の影響を調査した。濃度0.60Mの化合物56、0.40MのDBU、および0.70MのDECを、2.41分の滞留時間で使用した。温度の影響の調査は、0℃~120℃の範囲で行われ、0%から約93%に増加した。
【0097】
最後に、化合物56の転化率に対するジエチルカーボネートの濃度の影響を調べた。これらの実験における他の試薬の濃度は、化合物56が0.60M、およにDBUが0.40Mで、温度は90℃に保たれた。化合物56の転化率に対するジエチルカーボネートの濃度の影響を
図20に示す。
【0098】
図3の反応概略図から分かるように、光学的に純粋なエファビレンツの合成のための半連続フロー方法は、方法の各工程で優れた収率を与えるものとして開発された。
バッチ反応の実験パラメーターと分析データ
すべての試薬(分析級)はSigma Aldrichから購入され、精製されずに使用された。空気および水分に感受性な反応を、オーブン乾燥ガラス製品(試薬フラスコ)中で窒素雰囲気下で行い、これを高真空下で室温に冷却した。テトラヒドロフラン(THF)を既知の方法に従って乾燥し、活性化4Å°モレキュラーシーブ上で保存し、カールフィッシャー解析に供した。使用した全ての溶媒は無水状態であり、溶媒はロータリーエバポレーターにより除去した。ブライン溶液とは、飽和塩化ナトリウム溶液をいう。(1R,2S)-N-ピロリジニルノルエフェドリン、シクロプロピルアセチレンおよびピペリジントリフルオロ酢酸を、文献に示されるように調製した。反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)およびガスクロマトグラフィー(GC)によってモニターした。
【0099】
可視化剤としてUV光、並びに現像剤としてニンヒドリン、硫酸セリウム、モリブデン酸セリウムアンモニウム又は過マンガン酸カリウム染色溶液及び熱のいずれかを用いて、0.25mm E.Merckシリカゲルプレート(60F-254)でTLCを行った。
【0100】
水素炎イオン化検出器と超高純度窒素キャリアガスを備えたDB5カラムを用いて、2.8mL/分の流速でAgilent 7820A装置でGCを行った。オーブン温度を100℃で3分間維持し、次いで324℃(保持時間5分)まで35℃/分で上昇させ、合計実行時間は16.4分であった。キラルHPLCはダイオードアレイ検出器を備えたCyclobond I 2000カラムを用いたAgilent 1220 Infinity LC装置を用いて実施した。ここで、流速1mL/分、移動相:メタノール/脱イオン水;80:20とし、DADを用いて252nmで最適な検出を得、合計実行時間は30分だった。
【0101】
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、陽子については400MHz、カーボンについては100MHzで操作したブルカー分光計(Bruker UltrashieldTM 400 plus)を用いて記録した。スペクトルは、1HNMRおよび13CNMR分光法のための内標準として使用したCDCl3(7.26ppm)またはDMSO d6(2.62ppm)中の残留1H化学シフトを使用して較正した。全てのスペクトルの化学シフト値は百万分率(ppm)で与えられる。以下の略語を用いて、NMRデータを説明した:s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項。
【0102】
FTIR特性ピークを、ATRフィッティングを有するBruker Platinum Tensor 27分光光度計で記録した。試料の分析を4000~400cm-1で記録し、ピークを波数(cm-1)で報告する。固体および液体サンプルを、いかなる修飾もせずに分析した。
【0103】
元素分析を、CHNS分析器を用いて行い、データを百分率で報告した。
1.4-シクロプロピルアセチリド(cyclopropylactylide)(化合物53)の調製
三口丸底フラスコに、均圧滴下漏斗(pressure-equalizing addition funnel)と窒素入口を嵌めた還流凝縮器とを装備した。フラスコに5-クロロ-1-ペンチン(5g、49.01mmol)およびシクロヘキサン(50mL)を充填し、混合物を-20℃に冷却した。この反応混合物に、n-ブチルリチウム(49mL、シクロヘキサン中2.5M、122.5mmol)を、温度を-20℃に維持しながら、滴下漏斗を介して1時間かけて滴下した。添加が完了した後、反応混合物は濃厚な沈殿物に変化し、この時点で反応混合物を加熱還流し(78℃)、還流で3時間維持した。反応の完了をTLC(ヘキサン中20%酢酸エチル)およびGCによってモニターした。完了後、反応物を0℃~-10℃に冷却し、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液(35mL)の滴下により注意深くクエンチした。水層を分離し、有機層を分別蒸留した。35~78℃の沸点範囲を収集した。これは、60~80%のシクロプロピルアセチレン53(1.4g、50%)からなる。この画分を2回蒸留し、52~55℃の沸点範囲を収集した。蒸留後、得られた純粋な生成物をNMRおよびIR分光法により分析し、得られたスペクトルは報告された標準化合物スペクトルと対応した。
【0104】
1H-NMR-(400MHz) in CDCl3: δ 0.69-0.80 (m, 4H); 1.21-1.27 (m, 1H); 1.76 (s, 1H).13C-NMR in CDCl3(100 MHz): 2.1.4.0, 11.0, 70.2, 87.4. IR (cm-1) 1157, 2120, 2873, 3302, 3374.
2.4-シクロプロピル-1,1-トリフルオロ-ブタ-3-イン-2-オン(化合物29)の調製
n-ブチルリチウム(49mL、シクロヘキサン中2.5M)を、-28℃で5-クロロ-1-ペンチン(5g、49.01mmol)を含むTHF(50mL)を充填した250mLの二口丸底フラスコに、滴下漏斗を介してゆっくりと添加し、次いで反応混合物温度を0℃に維持して4時間攪拌した。その後、反応混合物を-55℃に冷却し、ピペリジントリフルオロ酢酸(8.12mL、53.91mmol)をゆっくりと加えた。同温で1時間経過後、反応混合物を2NのHClでクエンチし、有機層と水層とを分離した。ロータリーエバポレーターを用いて有機層を蒸発させた後、残渣を水(100mL)およびブライン溶液(100mL)で洗浄し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、粗生成物を真空中で蒸留した。蒸留後、生成物を淡黄色油29(2.76g、40%)として得た。この得られた化合物を、報告された生成物とマッチングする分析技術(NMRおよびIR)にさらに供した。
【0105】
1H-NMR-(400MHz) in CDCl3: δ 1.20-1.25 (m, 4H);1.55 (m, 1H). 13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): 11.1, 68.2, 72.5, 114.3, 166.3. IR (cm-1) 2209, 1705, 1217, 1163, 1066, 920.
3.N-ピペリジントリフルオロ酢酸(化合物67)の調製
ピペリジン(5.8mL、58.8mmol)を、ジクロロメタン(45mL)およびトリエチルアミン(12.2mL、88.2mmol)の混合物を予め充填した250mLの二口丸底フラスコに添加した。この混合物に、トリフルオロ酢酸無水物(11.5mL、81.8mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で3~4時間撹拌し、反応の完了をTLC(ヘキサン中20%酢酸エチル)およびGCによってモニターした。反応の完了後、反応混合物を水、重炭酸ナトリウムおよび希塩酸で抽出した。有機層を分離し、真空中で乾燥させた。得られた淡黄色の液体(8.5g、79.8%)をNMRおよびIR分光法にかけた。
【0106】
1H-NMR-(400MHz) in CDCl3: δ 1.57-1.63 (m, 6H); 3.47-3.54 (m, 4H).13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 4.5, 26.7, 28.0, 44.5, 130.9, 132.1.IR (cm-1) 1184, 1286, 1465, 1682, 2863.
4.(1R,2S)-N-ピロリジニルノルエフェドリン(化合物60)の調製
機械的撹拌機、ディーンスタークトラップ付き凝縮器および窒素入口を備えた丸底フラスコに、トルエン(20mL)、(1R,2S)ノルエフェドリン(5g、33mmol)、1,4-ジブロモブタン(4.2mL、36.2mmol)、およびNa2CO3(5.6g、68mmol)を充填した。撹拌した不均一反応混合物を窒素雰囲気下で加熱還流した。反応の完了をTLCおよびGCによりモニターした。反応の完了後、反応混合物を周囲温度に冷却し、焼結ガラス漏斗を通して濾過して無機塩を除去し、ケーキをトルエン(3×10mL)で洗浄した。合わせた濾液を水(2×25mL)で洗浄した。有機層を分離し、減圧下で濃縮した。トルエン溶液を10~15℃に冷却し、2-プロパノール(0.275モル)中の塩酸(HCl)をゆっくりと加えた。酸添加の間、生成物はその塩酸塩として沈殿する(5.4g、80%)。塩化合物を1H-NMRおよび13C-NMRおよびIRにより構造的な立体配座について分析した。
【0107】
1H-NMR-(400MHz) in CDCl3: δ 1.14-1.27 (m, 3H); 2.08-2.29 (m, 4H); 3.04 (s, 2H); 3.31 (d, J = 6.24, 1H); 3.85 (d, J = 2.28, 1H); 4.15 (d, J = 4.56, 1H); 5.59 (d, J = 9.36, 1H); 7.42-7.20 (m, 5H); 11.85 (d, J = 2.28, 1H).13C-NMR-(100 MHz) in CDCl3: δ 14.5, 28.0, 56.3, 69.7, 72.7, 130.9, 132.1, 133.1.IR-(cm-1) 960, 1199, 1356, 1467, 1602, 2838, 2985, 3177.
5.tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート(化合物26)の調製
化合物26の調製は反応収率を改善し、反応時間を短縮するために、以下に示す3つの異なる方法を用いて行った。
【0108】
a)方法A
トリエチルアミン(7mL、78.74mmol)を、4-クロロアニリン68(5g、39.3mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に加え、この溶液にZnCl2(5.35g、39.37mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。続いて、ジ-tert-ブチルジカルバメート(9.13mL、43.3mmol)を上記反応混合物に滴下し、24時間撹拌した。反応の完了をTLC(ヘキサン中20%酢酸エチル)およびGCによってモニターした。反応完了後、反応混合物を氷冷水に注ぎ入れ、生成物を塊状クリーム色固体として沈殿させた。これを酢酸エチル(3×50mL)でさらに抽出し、合わせた有機層を水(25mL)、ブライン溶液(25mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。得られた有機層をロータリー式で蒸発させて、生成物26を白色固体として得た(3.56g、40%)。この化合物をNMR、IR分光法および元素分析により分析した。
【0109】
1H-NMR (400 MHz) in CDCl3: δ 1.22 (s, 9H); 7.33 (d, J = 8.44, 2H); 7.69 (d, J = 8.40, 2H): 9.31 (s, 1H). 13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 27.6, 40.2, 81.0, 122.1, 127.1, 128.4, 138.8, 177.0. IR (cm-1): 1172, 1368, 1475, 1652, 2872, 2910, 3290. Anal.calcd for C11H14ClNO2: C 58.03, H 6.20, N 6.15, Found: C 58.08, H 6.16, N 6.11.
b)方法B
4-クロロアニリン68(5g、39.3mmol)を、比率1:1のTHFおよび水(50ml)を充填した100mL丸底フラスコに添加し、化合物が溶解するまで撹拌したものに、ジ-tert-ブチルジカルバメート(9.13mL、43.3mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。反応の完了をTLC(ヘキサン中20%酢酸エチル)およびGCによってモニターした。完了後、反応混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、水(50mL)およびブライン溶液(50mL)で洗浄した。得られた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発させて、生成物を白色の固形物(8.1g、92%)として得、これを方法Aの結果と分析的に比較した。
【0110】
c)方法C
PEG-200(5mL、7.8mmol)中の4-クロロアニリン68(5g、39.3mmol)およびジ-tert-ブチルジカルバメート(9.13mL、43.3mmol)の混合物を、TLCがアニリンの全消失を示すまで(2.5時間)、周囲温度で撹拌した。完了後、反応混合物を氷冷水に注ぎ、生成物をクリーム色の固体として沈殿させた。これを乾燥エーテル(3×25mL)中に抽出し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、化合物26(8.54g、96%)を白色の固形物として得た。化合物をNMR、IR分光法および元素分析により分析し、報告された生成物と比較した。上記のとおり分析した。
【0111】
6.tert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート(化合物27)の調製
機械的撹拌機および窒素入口を備えた250mLの二口丸底フラスコに、化合物26(5g、23.6mmol)、THF(50mL)およびTMEDA(3.9mL、25.9mmol)を充填した。得られた混合物を、固体が完全に消失するまで周囲温度で撹拌した。その後、反応温度を-20℃に下げ、次いでn-ブチルリチウム(84.2mL、106mmol)を滴下した。n-ブチルリチウムの添加は発熱反応であるので、反応温度は添加速度によって制御した。添加が完了した後、反応混合物を0℃~5℃で2時間撹拌し、得られた混合物の温度を再び-15℃に下げ、この温度で、ピペリジントリフルオロ酢酸67(10.17mL、78.74mmol)を一度に添加した(二量体化による副生成物の形成を回避するために、ピペリジントリフルオロ酢酸67を一度に添加)。反応の進行をTLC(ヘキサン中20%酢酸エチル)およびGCによりモニターした。反応終了後、あらかじめ冷却した飽和塩化アンモニウム(25mL)を滴下してクエンチし、有機層を分離して水(50mL)、ブライン溶液(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。得られた有機層をロータリーエバポレーターで蒸発させて、化合物27(1.99g、28%)を黄色固体として得た。得られた生成物のTLCおよびGCは、10%の出発物質の存在を示した。粗生成物を、60~120メッシュのシリカゲルを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。純粋な生成物を酢酸エチルおよびヘキサン(1:9)を移動相として溶出した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空中で蒸発させて、生成物を得た。精製した化合物は、FT-IR、1H-NMRおよび13C-NMR分光法ならびに元素分析により確認した。
【0112】
1H-NMR-(400 MHz) in CDCl3: δ 1.38 (s, 9H); 7.67 (d, 1H); 7.93 (s, 1H); 8.91 (d, J = 9.24, 1H); 11.16 (brs, 1H).13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 27.4, 81.0, 116.7, 122.7, 127.8, 131.0, 137.5, 142.5, 182.5.19FNMR in CDCl3: δ -69.45. IR (cm-1): 1093, 1247, 1411, 1636, 2972, 3374. Anal.calcd for C13H13ClF3NO3C, 48.24; H, 4.05; N, 4.33. Found: C, 48.15; H, 4.11; N, 4.36.
7.tert-ブチル-4-クロロ-2-(4-シクロプロピル-1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシブタ-3-イン-2-イル)フェニルカルバメート(化合物56)の調製
N-ピロリジニルノルエフェドリン60(7.3g、35.75mmol)を、あらかじめ乾燥脱気THF(50mL)を充填した丸底フラスコ(窒素入口を有する)に加えた。得られた混合物を-25℃に冷却した。この混合物に、シクロプロピルアセチレン53(3.55mL、35.78mmol)およびn-ブチルリチウム(34.75mL、69.5mmol)を滴下した。その後、反応混合物の温度を0℃に上げ、30分間撹拌した。再び、反応混合物を-55℃に冷却し、この温度で、乾燥THF(25mL)中の化合物27(5g、16.25mmol)を窒素下で反応混合物に添加した。添加後、得られたオレンジ色の溶液を同じ温度で1時間撹拌した。反応の進行をTLCおよびGCでモニターし、完了後、6NのHClを滴下して反応を停止させ、最終反応混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、無水Na2SO4で乾燥させた。合わせた有機層を蒸発させて、生成物を黄色固体56(4.62g、84%)として得た。生成物のキラル純度を、HPLCを用いて決定した。キラルカラムCyclobond I 2000を固定相、メタノール:水(80:20)を移動相とし、流速を1mL/分として、DADを用いて252nmで最適な検出を得た。最終生成物は、FT-IR、1H-NMRおよび13C-NMRおよび元素分析により確認した。
【0113】
1H-NMR-(400 MHz) in CDCl3: δ 0.74 (t, J = 3.36, 2H); 0.83 (t, J = 5.96, 2H); 1.21-1.55 (m, 1H) 4.17 (s, 1H); 7.25 (d, J = 8.92, 1H); 7.61 (s, 1H); 8.30 (d, J = 8.96, 1H); 9.41 (s, 1H).13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 0.003, 9.1, 14.1, 27.1, 70.1, 75.2, 94.2, 120.5, 121.3, 125.0, 128.9, 130.9, 177.19FNMR in CDCl3: δ -79.72 IR (cm-1) 1262, 1360, 1487, 2235, 2794, 3330, 3419. Anal.calcd for C13H11ClF3NO; C, 53.90; H, 3.83; N, 4.84; Found: C, 53.87; H, 3.89; N, 4.81.
あるいは、飽和塩化アンモニウムを用いて反応混合物をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、真空中で蒸発させて、化合物51を得た。生成物のキラル純度を、HPLCを用いて決定した。キラルカラムCyclobond I 2000を固定相、メタノール:水(80:20)を移動相とし、流速を1mL/分として、DADを用いて252nmで最適な検出を得た。最後に、FT-IR、1H-NMR、13C-NMRおよび元素解析により生成物を確認した。
【0114】
1H-NMR-(400 MHz) in CDCl3: δ 0.74 (t, J = 3.36, 2H); 0.83 (t, J = 5.96, 2H); 1.14 (m, 9H); 1.21-1.55 (m, 1H); 4.17 (s, 1H); 7.25 (d, J = 8.92, 1H); 7.61 (s, 1H); 8.30 (d, J = 8.96, 1H); 9.41 (s, 1H).13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 0.003, 9.2, 14.7, 27.9, 70.5, 77.9, 85.7, 122.6, 124.3, 124.8, 128.8,130.7, 137.4, 177.5, .19FNMR in CDCl3: δ -79.72 IR (cm-1) 1262, 1360, 1487, 2235, 2794, 3330, 3419. Anal.calcd for C13H11ClF3NO; C, 59.76; H, 5.83; N, 4.27; Found: C, 59.77; H, 5.84; N, 4.27.
別の実施形態では、化合物56が、化合物26から、化合物53を使用することによって調製された。N-Boc-4-クロロアニリン26(5g、21.27mmol)をTHF(50mL)に溶解させ、得られた混合物を-55℃に冷却し、この温度でn-ブチルリチウム(42mL、106.3mmol)をゆっくりと加えた。混合物を同温で1時間保持した。乾燥THF(10mL)中の化合物29および60の混合物を上記反応に加え、反応が完了するまで撹拌した。反応の進行をTLCおよびGCによってモニターした。反応の完了後、反応混合物を6NのHClを滴下してクエンチし、混合物を周囲温度に温め、MTBEで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で蒸発させて、化合物を黄色の固形物56(1.8g、47%)として得た。ヘキサンでの再結晶によって分析的に純粋な試料が得られた。生成物のキラル純度を、HPLCを用いて決定した。キラルカラムCyclobond I 2000を固定相、メタノール:水(80:20)を移動相とし、流速を1mL/分として、DADを用いて252nmで最適な検出を得た。最後に、化合物の構造をFT-IR、1H-NMR、13C-NMRおよび元素解析によって確認した。
【0115】
1H-NMR-(400 MHz) in CDCl3: δ 0.74 (t, J = 3.36, 2H); 0.83 (t, J = 5.96, 2H); 1.21-1.55 (m, 1H) 4.17 (s, 1H); 7.25 (d, J = 8.92, 1H); 7.61 (s, 1H); 8.30 (d, J = 8.96, 1H); 9.41 (s, 1H).13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 0.003, 9.1, 14.1, 27.1, 70.1, 75.2, 94.2, 120.5, 121.3, 125.0, 128.9, 130.9, 177.19FNMR in CDCl3: δ -79.72 IR (cm-1) 1262, 1360, 1487, 2235, 2794, 3330, 3419. Anal. calcd for C13H11ClF3NO; C, 53.90; H, 3.83; N, 4.84; Found: C, 53.87; H, 3.89; N, 4.81
8.6-クロロ-2-(4-シクロプロピルエチニル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-(4H)-オン(エファビレンツ、化合物8)の調製
(S)-アミノアルコール56(5g、17.3mmol)を、予めTHF(50mL)を充填した丸底フラスコに添加し、ここにDBU(5.67mL、11.42mmol)を室温で添加した。この上記の撹拌混合物に、ジエチルカーボネート70(7.5mL、19.38mmol)を加え、混合物をさらに60℃で2時間撹拌した。反応の完了をTLCおよびGCによってモニターした。完了後、反応混合物をロータリーエバポレーターで蒸発させ、水で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を塩酸水溶液、脱塩水で連続的に洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、シリカゲル(60~120メッシュ)カラムクロマトグラフィーで精製した。化合物は、酢酸エチルおよびヘキサン(10:90)を移動相として溶出させた。溶媒を蒸発させて、化合物を白色固体(5.8g、84.4%)として得た。生成物のキラル純度を、HPLCを用いて決定した。キラルカラムCyclobond I 2000を固定相、メタノール:水(80:20)を移動相として、流速を1mL/分とし、DADを用いて310nmで最適な検出を得た。最後に、化合物の構造をFT-IR、1H-NMR、13C-NMRおよび元素分析によって確認した。
【0116】
1H-NMR-(400 MHz) in CDCl
3: δ 0.85-0.96 (m, 4H); 1.38-1.45 (m, 1H); 6.85 (d, J= 8.52, 1H); 7.39 (dd, J = 8.52, 2.2 1H); 7.5 (s, 1H); 9.1 (s, 1H).
13C-NMR in CDCl
3 (100 MHz): δ 0.003, 9.4, 66.7, 77.9, 96.5, 116.8, 121.3, 124.1, 128.4, 133.8, 149.5,
19FNMR in CDCl
3: δ -80.9. IR (cm
-1) 1165, 1261, 1315, 1428, 1742, 2249, 3311. Anal.calcd for C
14H
9ClF
3NO
2; C, 53.27; H, 2.87; N, 4.44; Found C, 53.21; H, 2.89; N, 4.49.
フロー合成反応の実験パラメータと解析データ
1.tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート(化合物26)の調製
フロー中のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート(化合物26)の調製は、
図4に示すマイクロリアクターの設定を用いて行った。このマイクロリアクターの設定はChemyx Fusionシリンジポンプ、5mL SGEガラスシリンジ、およびLTFリアクタープレートを用いて構築した。Chemyx融合シリンジポンプは、PTFEチューブを介して4つのLTFマイクロリアクタープレートに接続され、そのうちの2つは、2種類の試薬を混合するために使用されるLTF-MXリアクタープレートであり、別の2つは、滞留時間を増加させるために使用されるLTF-Vリアクターである。
【0117】
原液Aは、4-クロロアニリン68(5g、39.3mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって調製した。ジ-tert-ブチルジカルバメート(9.13mL、43.3mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって、原液Bを調製した。原液Cは、重炭酸ナトリウム(5g、78mmol)を水(50mL)に溶解させることによって調製した。
【0118】
原液A、BおよびCを、Chemyx Fusionシリンジポンプおよび3つの5mL SGEガラスシリンジでポンピングしてLTFマイクロリアクタープレートに送り込んだ。これらのリアクタープレートを30℃の温度に保ち、マイクロリアクターチューブの末端で収集したサンプルをオフラインガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析した。完了後、反応混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、水(50mL)およびブライン溶液(50mL)で洗浄した。得られた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、減圧下で蒸発させ、最後に、化合物をFT-IR、1H-NMRおよび13C-NMR分光法ならびに元素分析により分析した。GCの結果に基づいて、68の転化率に対する滞留時間、濃度および温度の影響を調べることによって、反応を、最適化のためにさらに精査した。
【0119】
1a.化合物68の転化率に対する滞留時間の影響
4-クロロアニリン68(5g、39.3mmol)、ジ-tert-ブチルジカルバメート(9.13mL、43.3mmol)を、無水脱気テトラヒドロフランにそれぞれ0.78Mの濃度で溶解させて、重炭酸ナトリウム(5g、78mmol)を水に1.1Mの濃度で溶解させた。これらの試薬溶液を、3つの5mLSGEガラスシリンジを用いて、LTF-MXリアクターに0.35分から21分の範囲の様々な滞留時間でマイクロリアクターに供給し、1つのシリンジを4-クロロアニリン68で充填し、別のシリンジを重炭酸ナトリウム水溶液で充填し、最後のシリンジをジ-tert-ブチルジカルバメートで充填した。反応の滞留時間を増加させるために、滞留プレートリアクターを設定(LTF-Vリアクター)に加えた。その後、サンプルを収集し、オフラインGCによって分析した。
【0120】
サンプル収集後、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。得られた有機相を減圧下で蒸発させて、白色の固形物を生成物として得、これを精製せずに工程-2で使用し、最後に、1HNMR、13CNMR、赤外分光法および元素解析を使用して特性を決定した。
【0121】
1H-NMR (400 MHz) in CDCl3: δ 1.22 (s, 9H); 7.33 (d, J = 8.44, 2H); 7.69 (d, J = 8.40, 2H): 9.31 (s, 1H). 13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 27.6, 40.2, 81.0, 122.1, 127.1, 128.4, 138.8, 177.0. IR (cm-1): 1172, 1368, 1475, 1652, 2872, 2910, 3290. Anal.calcd for C11H14ClNO2: C 58.03, H 6.20, N 6.15, Found: C 58.08, H 6.16, N 6.11.
1b.化合物68の転化率に対するジ-tert-ブチルジカルバメートの濃度の影響
4-クロロアニリン68(5g、39.3mmol)を無水脱気テトラヒドロフランに0.78Mの濃度で溶解させ、重炭酸ナトリウムを水に1.1Mの濃度で溶解させて、ジ-tert-ブチルジカルバメート(9.13mL、43.3mmol)も無水脱気テトラヒドロフランに溶解させて0.70M~0.98Mの範囲の濃度を得た。これらの試薬溶液を、0.93M~0.70Mのジ-tert-ブチルジカルバメートの範囲の様々な濃度で、5mLのSGEガラスシリンジを用いて、一定の滞留時間(10.5分)および温度で、LTF-MXリアクターに供給した。1つのシリンジには4-クロロアニリン68を充填し、別のシリンジには重炭酸ナトリウム水溶液を充填し、第3のシリンジにはジ-tert-ブチルジカルバメートを充填した。反応の滞留時間を増加させるために、滞留プレートリアクターを設定(LTF-Vリアクター)に加えた。その後、マイクロリアクターの末端で収集したサンプルを、オフラインGCによって分析し、ピーク面積を用いて生成物の転化率(%)を計算した。サンプル収集後、反応混合物をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。得られた有機相を減圧下で蒸発させて、白色の固形物を生成物として得、これを精製することなく、工程-2で直接的に使用し、最後に、1HNMR、13CNMR、赤外分光法および元素解析を使用することによって特性を決定した。上記のとおり分析した。
【0122】
1c.化合物68の転化率に対する温度の影響
4-クロロアニリン68(5g、39.3mmol)、ジ-tert-ブチルジカルバメート(9.13mL、43.3mmol)を、無水脱気テトラヒドロフランにそれぞれ0.78Mの濃度で溶解させ、重炭酸ナトリウムを水に1.1Mの濃度で溶解させた。これらの試薬溶液を、室温~60℃の範囲の様々な温度で、一定の滞留時間(10.5分)および濃度で、3つの5mL SGEガラスシリンジを用いてマイクロリアクターに供給し、1つのシリンジには4-クロロアニリン68を充填し、別のシリンジには重炭酸ナトリウム水溶液を充填し、第3のシリンジにはジ-tert-ブチルジカルバメートを充填した。その後、マイクロリアクターの末端で試料を収集し、オフラインGCによって分析し、ピーク面積を用いて生成物の転化率(%)を計算した。試料収集後、反応混合物をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。得られた有機層を減圧下で蒸発させて、白色の固形物を生成物として得、これを、精製することなく工程2で使用し、最後に、1HNMR、13CNMR、赤外分光法および元素解析を使用することによって特性を決定した。上記のとおり分析した。
【0123】
2.tert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート(化合物27)の調製
本明細書におけるtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27の調製は、トリフルオロアセチル化反応とも呼ばれる。この反応はマイクロリアクターを用いて行われた。マイクロリアクターの設定はMR-Qポンプ、Chemyx Fusionシリンジポンプ、PTFEチューブ、LTFリアクタープレートおよびクエンチカラムを用いて構築された。クエンチカラムは、調節可能な端部フィッテイングを備え、必要量のシリカで充填されたユニクシスガラスカラムリアクターを用いて作製した。4つのLTFリアクタープレート(2つのLTF-MXリアクタープレートおよび2つのLTF-VSリアクタープレート)をこの設定のために使用した。これらのプレートは、2つのビーカーに、各ビーカーに1つの混合プレートと1つの滞留プレートとが存在するように配置され、2つのビーカーはビーカー1およびビーカー2と印されている。MR-Qポンプは、n-ブチルリチウムをポンピングするために使用され、THF中のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26、及びピペリジントリフルオロ酢酸67はChemyx Fusionシリンジポンプによってポンピングされる。2つのLTF-MXマイクロリアクタープレートおよび2つのLTF-VSマイクロリアクタープレートを使用した。
【0124】
原液Aは、tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26(5g、23.6mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって調製した。原液Bは、2.5Mのn-ブチルリチウム(42.4mL、106.2mmol)を乾燥脱気HPLC級ヘキサン(50mL)で希釈することによって調製した。原液Cは、ピペリジントリフルオロ酢酸67(10.17mL、78.74mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって調製した。
【0125】
原液AをMR-QシリンジポンプでポンピングしてLTFマイクロリアクタープレートに注入し、原液Bを、Chemyx FusionシリンジポンプおよびSGEガラスシリンジでポンピングして同じリアクタープレートに注入した。このマイクロリアクタープレートでは、n-ブチルリチウムが化合物26と反応してジアニオンが生成し、これがLTF-Vマイクロリアクタープレートに進入し、ここで、これら2つのリアクタープレートは-75℃に保たれており、これらのプレートは別のLTF-MXマイクロリアクタープレートに接続され、そこで原液Cが他のChemyx Fusionシリンジポンプに補助されてプレートに進入し、最初のプレートで生成したジアニオンは原液Cでクエンチされる。クエンチカラムに接続された末端マイクロリアクタープレートにおいて、これらのリアクタープレートは-45℃の温度で維持される。クエンチカラムは、ピペリジン副生成物と結合するシリカで作製された。クエンチカラムの末端で収集されたサンプルは、オフラインガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析された。反応の進行の確認後(After conformation of reaction Progress)、溶媒を真空中で蒸発させ、化合物をFT-IR、1H-NMR、13C-NMR分光法および元素分析により分析した。
【0126】
1H-NMR-(400 MHz) in CDCl3: δ 1.38 (s, 9H); 7.67 (d, 1H); 7.93 (s, 1H); 8.91 (d, 1H); 11.16 (brs, 1H).13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 27.4, 81.0, 116.7, 122.7, 127.8, 131.0, 137.5, 142.5, 182.5.19FNMR in CDCl3: δ -69.45. IR (cm-1): 1093, 1247, 1411, 1636, 2972, 3374. Anal.calcd for C13H13ClF3NO3C, 48.24; H, 4.05; N, 4.33. Found: C, 48.15; H, 4.11; N, 4.36.
2a.化合物26の転化率に対する滞留時間の影響
tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26(5g、23.6mmol)を無水脱気THFに0.1Mの濃度で溶解させ、n-ブチルリチウム(Sigma-Aldrich製、ヘキサン中2.5M)を乾燥脱気ヘキサンで0.25Mの濃度に希釈し、トリフルオロアセチル化剤であるピペリジントリフルオロ酢酸67(10.17mL、78.74mmol)を乾燥脱気THFに0.14Mの濃度で溶解させた。全ての試薬溶液を乾燥窒素雰囲気下で保持した。ドライアイスを用いて、第1のビーカーの温度を-45℃に維持し、第2のビーカーの温度を-10℃に維持した。クエンチカラムおよびリアクターループを最初に無水脱気溶媒THFですすいだ。試薬の濃度および温度を一定に保って、試薬を17.3分~4.3分の範囲の異なる滞留時間でリアクターに注入した。tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26およびピペリジントリフルオロ酢酸67を、Chemyx Fusionシリンジポンプおよび10mLのSGEガラスシリンジでリアクターに注入した。n-ブチルリチウムはMR-Qシリンジポンプでリアクターに供給された。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。溶媒の蒸発後に得られた生成物を、1HNMR、13CNMR、IRおよび元素解析に供した。上記のとおり分析した。
【0127】
2b.化合物26の転化率に対するn-ブチルリチウムの濃度の影響
tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26(5g、23.6mmol)を無水脱気THFに0.1Mの濃度で溶解させ、n-ブチルリチウム(Sigma-Aldrich製、ヘキサン中2.5M)を乾燥脱気ヘキサンで0.5~0.25Mの濃度に希釈し、トリフルオロアセチル化剤であるピペリジントリフルオロ酢酸67(10.17mL、78.74mmol)を乾燥脱気THFに0.14Mの濃度で溶解させた。全ての試薬溶液を乾燥窒素下で保持した。ドライアイスを用いて、第1のビーカーの温度を-45℃に維持し、第2のビーカーの温度を-10℃に維持した。クエンチカラムおよびリアクターループを最初に無水脱気溶媒THFですすいだ。一定の滞留時間(8.6分)、及び温度(ビーカー1を-45℃、ビーカー2を-10℃)で、n-ブチルリチウムの濃度を0.5Mから0.25Mまで変化させて、リアクターに試薬を注入した。tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26およびピペリジントリフルオロ酢酸67を、Chemyx Fusionシリンジポンプおよび10mLのSGEガラスシリンジでリアクターに注入した。n-ブチルリチウムをMR-Qシリンジポンプでリアクターに供給した。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。溶媒の蒸発後に得られた生成物を、1HNMR、13CNMR、IRおよび元素解析に供した。前述の通りに分析を行った。
【0128】
2c.化合物26の転化率に対するトリフルオロアセチル化剤の濃度の影響
tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26(5g、23.6mmol)を無水脱気THFに0.1Mの濃度で溶解させた。n-ブチルリチウム(Sigma-Aldrich製、ヘキサン中2.5M)を乾燥脱気ヘキサンで0.25Mの濃度に希釈し、トリフルオロアセチル化剤であるピペリジントリフルオロ酢酸67(10.17mL、78.74mmol)を乾燥脱気THFに0.14~0.3Mの濃度で溶解させた。全ての試薬溶液を乾燥窒素下で保持した。ドライアイスを用いて、第1のビーカーの温度を-45℃に維持し、第2のビーカーの温度を-10℃に維持した。クエンチカラムおよびリアクターループを最初に無水脱気溶媒ですすいだ。一定の滞留時間(8.6分)、及び温度(ビーカー1を-45℃、ビーカー2を-10℃)において、0.14M~0.3Mの範囲の異なる濃度のピペリジントリフルオロ酢酸67でリアクターに試薬を導入した。tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26およびピペリジントリフルオロ酢酸67を、Chemyx Fusionシリンジポンプおよび10mLのSGEガラスシリンジでリアクターに導入し、n-ブチルリチウムはMR-Qシリンジポンプでリアクターに供給された。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。溶媒の蒸発後に得られた生成物を、1HNMR、13CNMR、IRおよび元素解析に供した。上記の通りに分析を行った。
【0129】
2d.化合物26の転化率に対する温度の影響の調査
tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26(5g、23.6mmol)を無水脱気THFに0.1Mの濃度で溶解させた。n-ブチルリチウム(Sigma-Aldrich製、ヘキサン中2.5M)を乾燥脱気ヘキサン中で0.25Mの濃度に希釈し、トリフルオロアセチル化剤であるピペリジントリフルオロ酢酸67(10.17mL、78.74mmol)を乾燥脱気THFに0.14Mの濃度で溶解させた。全ての試薬溶液を乾燥窒素下で保持した。ビーカーの温度は、ドライアイスを使用することによって、より低い温度に維持した。クエンチカラムおよびリアクターループを最初に無水脱気溶媒ですすいだ。一定の滞留時間(8.6分)、及び濃度において、室温~-70℃の範囲の異なる温度で、リアクターに試薬を導入した。tert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメート26およびピペリジントリフルオロ酢酸67を、Chemyx Fusionシリンジポンプおよび10mLのSGEガラスシリンジでリアクターに導入し、n-ブチルリチウムをMR-Qシリンジポンプでリアクターに供給した。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。溶媒の蒸発後に得られた生成物を、1HNMR、13CNMR、IRおよび元素解析に供した。上記の通りに分析を行った。
【0130】
3.tert-ブチル-4-クロロ-2-(4-シクロプロピル-1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシブト-3-イン-2-イル)フェニルカルバメート(化合物56)の調製
フロー中の反応は、MR-Qポンプ、Chemyxシリンジポンプ、PTFEチューブ、およびLTFリアクタプレートを含むマイクロリアクターの設定を用いて行われた。4つのLTFリアクタープレート(2つのLTF-MXリアクタープレートおよび2つのLTF-VSリアクタープレート)をこの設定で使用した。これらのプレートは、2つのビーカーに配置され、各ビーカーは1つの混合プレート及び1つの滞留プレートを有し、ビーカー1およびビーカー2と印されている。
図41に示すように、MR-Qポンプがn-ブチルリチウムをポンピングするために使用され、THF中のN-ピロリジニルノルエフェドリン60、シクロプロピルアセチレン53、およびtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27をポンピングするためにChemyx Fusionシリンジが使用された。
【0131】
原液Aは、N-ピロリジニルノルエフェドリン60(7.3g、35.75mmol)およびシクロプロピルアセチレン53(3.35mL、35.78mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって調製した。2.5Mのn-ブチルリチウム(26mL、41.25mmol)を乾燥脱気HPLC級ヘキサン(50mL)で希釈することによって、原液Bを調製した。原液Cは、tert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27(5g、16.25mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって調製した。
【0132】
原液BをLTFマイクロリアクタープレートにポンピングして注入するためにMR-Qシリンジポンプが使用され、原液Aもまた、同じリアクタープレートに、Chemyx FusionシリンジポンプおよびSGEガラスシリンジでポンピングすることによって注入された。このマイクロリアクタープレートにおいて、n-ブチルリチウムが化合物60および53と反応し、複合体74が生成してLTF Vマイクロリアクタープレートに入る。ここで、これら2つのリアクタープレートは-45℃に維持されており、これらのプレートは別のLTF MXマイクロリアクタープレートに接続され、ここで、原液Cは別のChemyx Fusionシリンジポンプに補助されてプレートに進入し、生成された複合体74は第1のプレートにおいて、化合物27を攻撃して、化合物56が得られる。これらのリアクタープレートは、リザーバに接続された末端のマイクロリアクタープレートにおいて、-45℃の温度に保たれた。リザーバから回収したサンプルをオフラインガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析し、ピーク面積を用いて転化率(%)を計算した。GCでの確認後(After conformation with GC)、反応混合物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、無水Na2SO4で乾燥させた。合わせた有機層を蒸発させて生成物を得た。化合物の構造は、FT-IR、1H-NMR、13C-NMR分光法、および元素分析によって確認された。
【0133】
1H-NMR-(400 MHz) in CDCl3: δ 0.74 (t, J = 3.36, 2H); 0.83 (t, J = 5.96, 2H); 1.21-1.55 (m, 1H) 4.17 (s, 1H); 7.25 (d, J = 8.92, 1H); 7.61 (s, 1H); 8.30 (d, J = 8.96, 1H); 9.41 (s, 1H).13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 0.03, 9.1, 14.1, 27.1, 70.1, 75.2, 94.2, 120.5, 121.3, 125.0, 128.9, 130.9, 177.19FNMR in CDCl3: δ -79.72 IR (cm-1) 1262, 1360, 1487, 2235, 2794, 3330, 3419. Anal.calcd for C13H11ClF3NO; C, 53.90; H, 3.83; N, 4.84; Found: C, 53.87; H, 3.89; N, 4.81
3a.化合物27の転化率に対する滞留時間の影響
tert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27(5g、16.25mmol)を無水脱気THFに0.35Mの濃度で溶解させた。n-ブチルリチウム(Sigma-Aldrich製、ヘキサン中2.5M)を乾燥脱気ヘキサンで0.45Mの濃度に希釈し、N-ピロリジニルノルエフェドリン60(7.3g、35.75mmol)、シクロプロピルアセチレン53(3.55mL、35.78mmol)をTHFに0.45Mの濃度に溶解させた。全ての試薬溶液を乾燥窒素下で保持した。ドライアイスを用いて、第1のビーカーの温度を-45℃に維持し、第2のビーカーを-10℃に維持した。試薬の濃度および温度を一定に保つことによって、8.6分~1.7分の範囲の異なる滞留時間で試薬をリアクターに導入した。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。反応から得られた生成物を、1HNMR、13CNMR、IRおよび元素分析により分析した。上記の通りに分析を行った。
【0134】
3b.化合物27の転化率に対するn-ブチルリチウムの濃度の影響
tert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27(5g、16.25mmol)を無水脱気THFに0.35Mの濃度で溶解させた。n-ブチルリチウム(Sigma-Aldrich製、ヘキサン中2.5M)を乾燥脱気ヘキサンで0.25M~0.45Mの範囲の濃度に希釈し、N-ピロリジニルノルエフェドリン60(7.3g、35.75mmol)、シクロプロピルアセチレン53(3.55mL、35.78mmol)をTHFに0.45Mの濃度で溶解させた。全ての試薬溶液を乾燥窒素下で保持した。ドライアイスを用いて、第1のビーカーの温度を-45℃に維持し、第2のビーカーを-10℃に維持した。一定の滞留時間(4.3分)、温度(ビーカー1を-45℃、ビーカー2を-10℃)で、n-ブチルリチウムの濃度を0.27Mから0.45Mまで変化させて、試薬をリアクターに導入した。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。精製後、反応により得られた生成物を1HNMR、13CNMR、IR及び元素分析に供した。上記の通りに分析を行った。
【0135】
3c.化合物27の転化率に対するシクロプロピルアセチレンの濃度の影響の調査
tert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27(5g、16.25mmol)を無水脱気THFに0.35Mの濃度で溶解させた。n-ブチルリチウム(Sigma-Aldrich製、ヘキサン中2.5M)を乾燥脱気ヘキサンで0.45Mの濃度まで希釈し、N-ピロリジニルノルエフェドリン60(7.3g、35.75mmol)、シクロプロピルアセチレン53(3.55mL、35.78mmol)をTHFに0.5M~0.65Mの範囲の濃度で溶解させた。全ての試薬溶液を乾燥窒素下で保持した。ドライアイスを用いて、第1のビーカーの温度を-45℃に維持し、第2のビーカーを-10℃に維持した。クエンチカラムおよびリアクターループを最初に無水脱気溶媒ですすいだ。一定の滞留時間(4.3分)、及び温度(ビーカー1を-45℃、ビーカー2を-10℃)において、0.5M~0.65Mの範囲の異なる濃度のシクロプロピルアセチレン53で、試薬をリアクターに導入した。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。精製後、反応によって得られた生成物を1HNMR、13CNMR、IR及び元素分析に供した。上記の通りに分析を行った。
【0136】
3d.化合物27の転化率に対する温度の影響の調査
tert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメート27(5g、16.25mmol)を無水脱気THFに0.35Mの濃度で溶解させた。n-ブチルリチウム(Sigma-Aldrich製、ヘキサン中2.5M)を乾燥脱気ヘキサンで0.45Mの濃度に希釈し、N-ピロリジニルノルエフェドリン60(7.3g、35.75mmol)、シクロプロピルアセチレン53(3.55mL、35.78mmol)をTHFに0.5Mの濃度で溶解させた。全ての試薬溶液を乾燥窒素下で保持した。ビーカーの温度は、ドライアイスを使用することによって、より低い温度に維持された。一定の滞留時間(4.3分)、及び濃度において、室温~-70℃の範囲の異なる温度で、試薬をリアクターに導入した。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。精製後、反応によって得られた生成物を1HNMR、13CNMR、IR及び元素分析に供した。上記の通りに分析を行った。
【0137】
4.(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オン8の調製
このフロー中の反応は、2つのChemyx Fusionシリンジポンプ、3つのSGEガラスシリンジ、PTFEチューブ、および4つのLTFマイクロリアクターを含むマイクロリアクターの設定を使用することによって行われた。LTFマイクロリアクターを2つのビーカーに配置し、各ビーカーには1つの混合プレート(LTF-MXマイクロリアクター)および1つの滞留プレート(LTF-MSマイクロリアクター)を収容した。Chemyx Fusionシリンジポンプを、PTFEチューブを通してLTFマイクロリアクターに接続した。
【0138】
原液Aは、(S)-アミノアルコール56(5g、17.3mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって調製した。原液Bは、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(5.67mL、11.42mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって調製した。原液Cは、炭酸ジエチル(7.5mL、19.38mmol)をTHF(50mL)に溶解させることによって調製した。
【0139】
原液AおよびBが、Chemyx FusionシリンジポンプおよびSGEガラスシリンジでポンピングされてLTFマイクロリアクタープレートに注入され、そこで混合されてから、別の組のマイクロリアクタープレートに進入すると、そのプレートに原液Cが別のChemyx Fusionシリンジポンプの補助を受けて進入した。環化は、このマイクロリアクタープレート中で起こる。2組目のマイクロリアクタープレートは60℃の温度に維持された。マイクロリアクターの端部は、背圧レギュレーターおよびリザーバに接続されている。リザーバから収集されたサンプルを、オフラインガスクロマトグラフィー(GC)を使用して分析した。リアクターの末端で集めた有機層を塩酸水溶液、脱塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲル(60~120メッシュ)カラムクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチルおよびヘキサン(10:90)を移動相として化合物を溶出させた。溶媒を蒸発させて、化合物を白色固体として得た。化合物の構造は、FT-IR、1H-NMR、13C-NMRおよび元素分析によって確認された。
【0140】
1H-NMR-(400 MHz) in CDCl3: δ 0.85-0.96 (m, 4H); 1.38-1.45 (m, 1H); 6.85 (d, J= 8.52, 1H); 7.39 (dd, J = 8.52, 2.2 1H); 7.5 (s, 1H); 9.1 (s, 1H).13C-NMR in CDCl3 (100 MHz): δ 0.003, 9.4, 66.7, 77.9, 96.5, 116.8, 121.3, 124.1, 128.4, 133.8, 149.5, 19FNMR in CDCl3: δ -80.9. IR (cm-1) 1165, 1261, 1315, 1428, 1742, 2249, 3311. Anal.calcd for C14H9ClF3NO2; C, 53.27; H, 2.87; N, 4.44; Found C, 53.21; H, 2.89; N, 4.49.
4a.化合物56の転化率に対する滞留時間の影響の調査
(S)-アミノアルコール56(5g、17.3mmol)を無水THFに0.60Mの濃度で溶解させ、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(5.67mL、11.42mmol)を無水THFに0.40Mの濃度で溶解させ、ジエチルカーボネート(7.5mL、19.38mmol)を無水THFに0.70Mの濃度で溶解させた。第1のビーカーの温度を室温で維持し、第2のビーカーの温度を60℃で維持した。17.3分~0.43分の範囲の種々の滞留時間で、一定の濃度および温度で試薬をリアクターに導入した。マイクロリアクターの末端でサンプルを収集し、オフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。反応から得られた生成物を1H-NMR、13C-NMR、IRおよび元素分析により分析した。上記の通りに分析を行った。
【0141】
4b.化合物56の転化率に対する温度の影響の調査
(S)-アミノアルコール56(5g、17.3mmol)を無水THFに0.60Mの濃度で溶解させ、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(5.67mL、11.42mmol)を無水THFに0.40Mの濃度で溶解させ、ジエチルカーボネート(7.5mL、19.38mmol)を無水THFに0.70Mの濃度で溶解させた。一定の滞留時間(2.4分)、及び濃度において、ビーカー1の温度を一定に保ちながら、室温から120℃までの範囲でビーカー2の温度を変化させて、試薬をビーカーに導入した。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。反応で得られた生成物を1H-NMR、13C-NMR、IRおよび元素分析により分析した。上記の通りに分析を行った。
【0142】
4c.化合物56の転化率に対する濃度の影響の調査
(S)-アミノアルコール56(5g、17.3mmol)を無水THFに0.60Mの濃度で溶解させ、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(5.67mL、11.42mmol)を無水THFに0.40Mの濃度で溶解させ、ジエチルカーボネート(7.5mL、19.38mmol)を無水THFに溶解させて0.40M~1Mの濃度を得た。一定の滞留時間(2.4分)、及び温度において、0.40M~1Mの範囲で濃度を変化させて、試薬をリアクターに導入した。マイクロリアクターの末端で収集したサンプルをオフラインGCによって分析し、ピーク面積を測定することによって転化率(%)を計算した。反応で得られた生成物を1H-NMR、13C-NMR、IRおよび元素分析により分析した。
【0143】
上記の通りに分析を行った。
本発明の例示的な実施形態のいくつかに関する上記の説明は、本発明をどのように作成し、実行することができるかを示すためのものである。当業者であれば、様々な詳細を変更して、さらなる実施形態に到達することができるが、これらの実施形態の多くは本発明の範囲内にとどまることが理解されるであろう。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1] 式8
【化22】
の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造方法であって:
(a)4-クロロアニリンをジ-tert-ブチルジカルバメートと反応させることにより、式26
【化23】
のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを調製し、
(b)式26のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを、トリフルオロアセチル化反応(trifluroacetylation reaction)において、ブチルリチウムおよび式67
【化24】
のピペリジントリフルオロ酢酸と反応させて、式27
【化25】
のtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメートを生成し、
(c)ブチルリチウムの存在下で、式27の化合物を式53のシクロプロピルアセチレンおよび式60の(1R,2S)N-ピロリジニルノルエフェドリン
【化26】
と反応させて、式56
【化27】
の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールを生成し、
(d)式56の化合物を1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンの存在下で式70
【化28】
の化合物と反応させて、式8の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンを生成する工程を含む、フロー合成法である方法。
[2] 工程(b)または工程(c)において、ブチルリチウムがn-ブチルリチウムである、[1]に記載の方法。
[3] 工程(b)において、反応がテトラメチルエチレンジアミンの存在下で行われる、[1]または2に記載の方法。
[4] 工程(a)~(d)の反応が、それぞれ独立して、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、水、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で行われる、[1]~[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] ヘプタン中の酢酸エチルの溶液からの再結晶をさらに含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 式8
【化29】
の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンの製造方法であって:
(a)4-クロロアニリンをジ-tert-ブチルジカルバメートと反応させることにより、式26
【化30】
のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを調製し、
(b)ブチルリチウムの存在下で、式26のtert-ブチル-4-クロロフェニルカルバメートを式29のシクロプロピルエチニルトリフルオロメチルケトンおよび式60の(1R,2S)N-ピロリジニルノルエフェドリン
【化31】
と反応させて、式56
【化32】
の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールを生成し、
(c)式56の化合物を1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンの存在下で式70
【化33】
の化合物と反応させて、式8の(S)-6-クロロ-(シクロプロピルエチニル)-1,4-ジヒドロ-4-(トリフルオロメチル)-2H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オンを生成する工程を含む、フロー合成法である方法。
[7] 工程(b)において、ブチルリチウムがn-ブチルリチウムである、[6]に記載の方法。
[8] 工程(a)~(c)の反応が、それぞれ独立して、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、水、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒または溶媒混合物中で行われる、[6]または7に記載の方法。
[9] ヘプタン中の酢酸エチルの溶液からの再結晶をさらに含む、[6]~[8]のいずれか1項に記載の方法。
[10] 工程(a)の反応が約5分~約12分の滞留時間を有する、[1]~[9]のいずれか1項に記載の方法。
[11] 工程(a)において、ジ-tert-ブチルジカルバメートに対する4-クロロアニリンのモル比が約1:1~1:1.2の範囲である、[1]~[10]のいずれか1項に記載の方法。
[12] 工程(a)の反応が約30℃~約60℃の温度で行われる、[1]~[11]のいずれか1項に記載の方法。
[13] 工程(b)の反応が約-60℃~約-40℃の温度で行われる、[1]~[5]のいずれか1項に記載の方法。
[14] 工程(b)の反応が約5分~約12分の滞留時間を有する、[1]~[5]または[13]のいずれか1項に記載の方法。
[15] 工程(c)において、式53のシクロプロピルアセチレンに対する式27のtert-ブチル-4-クロロ-2-(2,2,2-トリフルオロアセチル)フェニルカルバメートのモル比が約1:1.2~1:1.4の範囲である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の方法。
[16] 工程(d)または(c)の反応が、それぞれ約2分~約10分の滞留時間を有する、[1]~[15]のいずれか1項に記載の方法。
[17] 工程(d)または(c)の反応が、それぞれ約80℃~120℃の温度で行われる、[1]~[16]のいずれか1項に記載の方法。
[18] 工程(d)または(c)において、式70の化合物に対する式56の(S)-2-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロ-3-ブチン-2-オールのモル比が約1:1.1~1:1.4の範囲である、[1]~[17]のいずれか1項に記載の方法。