(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ガスタービン用フレキシブル燃料燃焼器の動作に関するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F02C 9/40 20060101AFI20220608BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
F02C9/40 A
F02C9/40 B
F02C7/22 A
(21)【出願番号】P 2019549007
(86)(22)【出願日】2018-01-12
(86)【国際出願番号】 IB2018050217
(87)【国際公開番号】W WO2018162994
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-01-07
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ル,シージア
(72)【発明者】
【氏名】フェットベット,ジェレミー イーロン
(72)【発明者】
【氏名】マックグラディ,ピーター マイケル
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-512302(JP,A)
【文献】特開2016-102648(JP,A)
【文献】特開2000-320836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 9/40
F02C 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電プロセスにおいて燃焼を正常化するための方法であって、前記方法は、
燃焼領域および前記燃焼領域から下流にある希釈領域を有する燃焼器
内へ
、燃料、酸化剤、および希釈剤を供給することと、
燃焼器排気流を供給するため
に前記燃焼器内で前
記燃料を燃焼させることと、
電力を生成するために前記燃焼器排気流
をタービン
に通過させることと、
を備え、
前記燃料は、前記発電プロセス中に組成変化を受ける可変燃料であり、
前記希釈剤は、二酸化炭素を備え、
前記希釈剤は、前記燃料と混合され、前記酸化剤と混合され、また前記燃焼器の希釈領域内に別個に注入され、
前記方法は、前記可変燃料の組成が前記発電プロセスの動作中に変化する際、前記燃焼器から出る燃焼器排気流の
少なくとも1つの特性が10%以下しか変化しないように、少なくとも1つの制御機能を実行するこ
とをさらに備え
、前記少なくとも1つの制御機能は、
前記燃料の組成が前記発電プロセスの動作中に変化する際、前記酸化剤と混合される希釈剤の量を変化させることと、
前記燃料の組成が前記発電プロセスの動作中に変化する際、前記燃料と混合される希釈剤の量を変化させることと、
前記燃料の組成が前記発電プロセスの動作中に変化する際、前記燃焼器の希釈領域内に別個に注入される希釈剤の量を変化させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前
記燃料は合成ガスであり、前記合成ガスにおける一酸化炭素と水素との比率は、前記発電プロセスの動作中に変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前
記燃料は、メタン、一酸化炭素、および水素の混合物であり、前記メタン、一酸化炭素、および水素の比率は、前記発電プロセスの動作中に変化する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記
希釈剤は
、前記酸化剤が5質量%乃
至50質量%の酸素を
備え、前記酸化剤のその他の部分が前記希釈剤である
ように前記酸化剤と混合される、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記
希釈剤は
、前記酸化剤が15質量%乃
至30質量%の酸素を
備え、前記酸化剤のその他の部分が前記希釈剤である
ように前記酸化剤と混合される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの制御機能は、前記可変燃料の組成が前記発電プロセスの動作中に変化する
際、前記燃焼器へ入力される酸化剤の温度、前記燃焼器へ入力され
る燃料の温度、前記燃焼器へ入力される酸化剤の流量、および前記燃焼器へ入力され
る燃料の流量の1つ以上を変化させることを
さらに含む、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記燃焼器へ供給され
る燃料は、実質的に一定の組成を有する正常化燃料とブレンドされる、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記正常化燃料は、天然ガスまたは実質的に純粋なメタンである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの制御機能は、前記燃焼器内で燃焼され
る燃料に対する前記正常化燃料の比率を変化させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項10】
前記希釈領域の長さに対する前記燃焼領域の長さの比は
、0.25乃至1.0である、請求項
1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの制御機能は、
前記希釈領域において前記燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が、前記燃焼器へ供給され
る燃料の質量流量を上回るように制御すること、
前記希釈領域において前記燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が、前記燃焼器へ供給される酸化剤の質量流量を上回るように制御すること、または
前記希釈領域において前記燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が、前記燃焼器へ供給される可変燃料および前記燃焼器へ供給される酸化剤の両方の質量流量を上回るように制御すること、
を含む、請求項
1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの制御機能は、前
記燃料の組成が前記発電プロセスの動作中に変化すると、前記希釈領域において前記燃焼器内へ注入される希釈剤の温度、流量、および化学性の1つ以上を変化させることを含む、請求項
1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
発電プラントであって、
燃焼領域および前記燃焼領域から下流にある希釈領域を有し、かつ、酸化剤、希釈剤、および発電プラントの動作中に変化する組成を有す
る燃料を受け取るように構成され
る燃焼器であって、前記燃焼器は、前記希釈領域内で前記希釈剤を受け取るように構成され、前記燃焼器は、燃焼器排気流を出力するように構成され
る、燃焼器と、
タービンと、
発電器と、
前
記燃料用の供給システムと、
前記酸化剤用の供給システムと、
前記希釈剤の一部を前記燃焼器から上流にある酸化剤と組み合わせるための導管と、
前記希釈剤の一部を前記燃焼器から上流にある可変燃料と組み合わせるための導管と、
前
記燃料の組成が前記発電プラントの動作中に変化する際、前記燃焼器から出る燃焼器排気流の
少なくとも1つの特性が10%以下しか変化しないように
、1つ以上のパラメータを調整するように構成された制御システム
であって、前記制御システムは、前記燃料の組成が前記発電プラントの動作中に変化する際、前記希釈剤に対する前記酸化剤の比が変化するように前記酸化剤と組み合わせるための導管内で前記希釈剤の量を変化させ、前記燃料の組成が前記発電プラントの動作中に変化する際、前記燃料に対する前記希釈剤の比が変化するように前記燃料と組み合わせるための導管内で前記希釈剤の量を変化させ、前記燃料の組成が前記発電プラントの動作中に変化する際、前記燃焼器の希釈領域内で受け取られる希釈剤の量を変化させるように構成される、制御システムと、
を備える、発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主要部は、電力生成システムの1つ以上の構成要素の動作に関するシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、様々な種類の燃料が1つ以上の条件セットの下で同じ燃焼器内で燃焼され得るような燃焼器の動作に関する。
【背景技術】
【0002】
電力発電の需要が増加するとともに、そのようなニーズを満たす発電プラントの継続的なニーズが存在する。市場需要により、そのような発電は最大限可能な効率で実現されることが望ましいが、炭素の回収に対する増大する要件は、技術的進歩を必要としてきた。たとえば、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる、アラム(Allam)他の米国特許第8,596,075号は、CO2が高圧で比較的純粋な流れとして回収される再循環CO2流を利用する酸素燃料燃焼システムにおいて望ましい効率を提供する。多くの既知の発電システムは、特定の種類の燃料(たとえば天然ガス対合成ガス)の燃焼に関して構成されるが、発電施設は、たとえば使用される燃焼器など発電施設の必要な構成要素への大幅な変更を必要とせずに様々な種類または供給源の燃料による動作を可能にすることによって、更に改善され得る。したがって、当該技術において、発電プロセスを実行するために使用される基本的装置における大幅な変更なしで様々な燃料が利用され得るような発電プラントの動作に関する更なる手段へのニーズが未だ存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、発電のためのシステムおよび方法を提供する。より具体的には、本開示は、動作条件を提供し、それによって発電システムは、発電プロセスを実行する際に使用される燃焼器への大幅な修正を必要とせずに様々な燃料に対応することができる。これは、発電システムのためのパーツの関連するスワッピングを必要とせずに必要に応じて様々な燃料が切り換えられ得ることにより、重要な利益をもたらし得る。
【0004】
本開示に係る発電方法において使用され得る様々な燃料源の(燃焼特性を含む)特性は、著しく異なり得る。たとえば天然ガスの燃料特性は、合成ガス(「シンガス」)の燃料特性と著しく異なる。同様に、天然ガスおよび合成ガスの両方の特性は、実質的に純粋なメタンの特性と著しく異なり得る。一例として、天然ガスの発熱量は、石炭ガス化器から得た乾燥合成ガスの発熱量より約5倍高い。他の例として、水素もまた、天然ガス、実質的に純粋なメタン、および/または合成ガスと比べて著しく異なる特性を有する。したがって、所与の質量の各燃料に関して、たとえば火炎特性、下流システム温度プロファイルへ供給される熱エネルギ、排気ガス状態、および排気ガス組成などの特性は著しく変化する。発電施設用の燃焼器は、燃焼器性能を最適化するために、そこで燃料される燃料の特性にカスタマイズされた固定チャンバとして設計される必要がある。よって、狭い範囲の燃料混合物しか燃焼器設計条件(およびそれに従う火炎および燃焼器出口条件)に合致せず、燃焼器における使用に耐えることができない。また、この範囲内の混合物も、厳密に制御される必要のある燃焼器または火炎の作用における摂動の原因になり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つ以上の実施形態において、本開示は、発電プラントが様々な燃料タイプおよび/または燃料混合物を用いる場合でも燃焼特性に関して厳密に制御され得るシステムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態において、ゆえに本発明は、燃料、酸化剤、および希釈剤を受け取るように構成され、様々な燃料組成を燃焼させるように適合される燃焼器と、タービンと、発電器と、燃料用供給システムと、酸化剤用供給システムと、様々な燃料組成の全てに関して規定の動作パラメータのセットの範囲内で燃焼特性が維持されるように燃料、酸化剤、および希釈剤の1つ以上に関する1つ以上のパラメータを調整するように構成された制御システムとを備える発電プラントに関連し得る。本開示のシステムにおいて、制御システムは特に、必要なシステム性能を実現するために重要であり得る。
【0006】
1つ以上の実施形態において、本発明は更に、発電の方法に関してよく、方法は、酸化剤を燃焼器へ供給することと、希釈剤を燃焼器へ供給することと、発電方法の行程を経て変化する物質の混合物である燃料を燃焼器へ供給することと、電力を生成するために燃焼器からの燃焼生成物流にタービンを通過させることと、燃料を形成する様々な物質の混合物に関する規定の動作パラメータのセットの範囲内で燃焼特性が維持されるように、燃料、酸化剤、および希釈剤の1つ以上に関する1つ以上のパラメータを制御することとを備える。
【0007】
いくつかの実施形態において、制御方法は、組成の変動を経ることがある燃料の1つの燃焼を正常化するために2つの異なる燃料をブレンドすることを含んでよい。そのようなブレンドは同様に、同じ燃焼器を用いて2つの異なる燃料の使用における滑らかな移行を提供するためにも用いられ得る。変動する合成ガス組成の燃焼を正常化するための非限定的例として、希釈天然ガス燃料または実質的に純粋なCO2流が、合成ガス燃料の特性を調整するための調整因子として用いられてよく、よってこれは、適切な混合比で希釈天然ガス燃料またはCO2希釈剤流を合成ガス燃料とブレンドすることによって、意図された燃料特性設計点の近くまで正常化される。上述したように、これは特に、燃焼器内へ入来する合成ガスが変動を経る場合、または合成ガス組成が様々なガス化システムから得られたために設計点から著しく逸脱する場合に役立ち得る。いくつかの実施形態において、これは特に、燃焼器へ入る希釈剤の濃度を、燃焼チャンバへ入る酸素および/または燃料の濃度よりも高く維持するために役立ち得る。燃焼器内への酸素流および/または燃料流よりも大幅に大きい希釈剤流を用いることにより、非常に安定した燃焼環境がもたらされ、同時に、燃料化学性の摂動および/または変化が可能になる。
【0008】
また、燃焼器出口条件は、使用される燃料の種類にかかわらず維持され得る。これは、たとえば、拡散火炎領域セクションの下流の希釈剤注入セクションの流量の調整によって実現され得る。出口温度は、このセクションにおける希釈剤注入の質量流量を調整することによって維持され得る。このセクションにおける希釈剤の質量流量はまた、燃料および酸化剤の合計流量を大幅に上回る。また、燃焼器への酸素流および/または燃料流に対する希釈剤流の比率を大きく維持することによって、燃焼器出口組成は、様々な燃料化学性にわたり実質的に安定し得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は特に、発電プロセスにおいて燃焼を正常化するための方法を提供し得る。典型的な実施形態において、方法は、発電プロセスの動作中に変化する組成を有する可変燃料を燃焼器へ供給することと、燃焼器排気流を供給するために酸化剤によって燃焼器内で可変燃料を燃焼させることと、電力を生成するために燃焼器排気流にタービンを通過させることと、可変燃料の組成が発電プロセスの動作中に変化する際、少なくとも1つの燃焼特性(たとえば燃焼器から出る燃焼器排気流の温度および質量流量の一方または両方)が10%以下しか変化しないように少なくとも1つの制御機能を実行することとを備えてよい。更なる実施形態において、方法は、任意の数および順序で組み合わせられ得る、以下の記述の1つ以上に関して更に定義され得る。
【0010】
可変燃料は合成ガスであってよく、合成ガスにおける一酸化炭素と水素との比率は、発電プロセスの動作中に変化してよい。
【0011】
可変燃料は、メタン、一酸化炭素、および水素の混合物であってよく、メタン、一酸化炭素、および水素の比率は、発電プロセスの動作中に変化してよい。
【0012】
酸化剤は、酸素および希釈剤(たとえば不活性ガス、二酸化炭素、または水)の混合物であってよい。
【0013】
酸化剤は、約5質量%乃至約50質量%の酸素を含んでよく、酸化剤のその他の部分が希釈剤である。
【0014】
酸化剤は、約15質量%乃至約30質量%の酸素を含んでよく、酸化剤のその他の部分が希釈剤である。
【0015】
少なくとも1つの制御機能は、可変燃料の組成が発電プロセスの動作中に変化すると、酸化剤における酸素と二酸化炭素との比率を変化させることを含んでよい。
【0016】
少なくとも1つの制御機能は、可変燃料の組成が発電プロセスの動作中に変化すると、燃焼器へ入力される酸化剤の温度、燃焼器へ入力される可変燃料の温度、燃焼器へ入力される酸化剤の流量、および燃焼器へ入力される可変燃料の流量の1つ以上を変化させることを含んでよい。
【0017】
燃焼器へ供給される可変燃料は、実質的に一定の組成を有する正常化燃料とブレンドされ得る。
【0018】
正常化燃料は、天然ガスまたは実質的に純粋なメタンであってよい。
【0019】
少なくとも1つの制御機能は、燃焼器内で燃焼される可変燃料に対する正常化燃料の比率を変化させることを含んでよい。
【0020】
燃焼器へ供給される可変燃料は、希釈剤とブレンドされ得る。
【0021】
希釈剤は不活性ガスであってよい。
【0022】
希釈剤は二酸化炭素であってよい。
【0023】
希釈剤は水であってよい。
【0024】
少なくとも1つの制御機能は、燃焼器内で燃焼される可変燃料に対する希釈剤の比率を変化させることを含んでよい。
【0025】
燃焼器は、燃焼領域および希釈領域によって構成されてよく、燃焼領域は希釈領域の上流であってよく、希釈領域は燃焼領域の下流であってよく、希釈剤は、希釈領域において燃焼器内へ注入され得る。
【0026】
希釈領域の長さに対する燃焼領域の長さの比は、約0.1乃至約10、約0.2乃至約5、または約0.25乃至1.0であってよい。
【0027】
少なくとも1つの制御機能は、希釈領域において燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が、燃焼器へ供給される可変燃料の質量流量を上回るように制御すること、希釈領域において燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が、燃焼器へ供給される酸化剤の質量流量を上回るように制御すること、または希釈領域において燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が、燃焼器へ供給される可変燃料および燃焼器へ供給される酸化剤の両方の質量流量を上回るように制御することを含んでよい。
【0028】
少なくとも1つの制御機能は、可変燃料の組成が発電プロセスの動作中に変化すると、希釈領域において燃焼器内へ注入される希釈剤の温度、流量、および化学性の1つ以上を変化させることを含んでよい。
【0029】
希釈剤は不活性ガスであってよい。
【0030】
希釈剤は二酸化炭素であってよい。
【0031】
希釈剤は水であってよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示は更に、発電プラントに関連し得る。たとえばそのような発電プラントは、酸化剤、希釈剤、および発電プラントの動作中に変化する組成を有する可変燃料を受け取るように構成され、燃焼器排気流を出力するように構成された燃焼器と、タービンと、発電器と、可変燃料用の供給システムと、酸化剤用の供給システムと、可変燃料の組成が発電プラントの動作中に変化する際、少なくとも1つの燃焼特性(たとえば燃焼器から出る燃焼器排気流の温度および質量流量の一方または両方)が10%以下しか変化しないように、可変燃料、酸化剤、および希釈剤の1つ以上に関する1つ以上のパラメータを調整するように構成された制御システムとを備えてよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本開示の実施形態に係る発電プラントおよびそれに関連する動作方法の図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る使用に適した燃焼器の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の主要部は、以下、典型的な実施形態を参照してより詳細に説明される。これらの典型的な実施形態は、本開示が徹底した完全なものとなり、主要部の範囲を当業者に完全に伝達するように説明される。実際、主要部は、多くの様々な形式で具体化することができ、本明細書に記載する実施形態に限定されるものとして解釈されてはならず、これらの実施形態は、本開示が適切な法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「一」、「一つ」、「その」は、文脈が特に示さない限り、複数形の指示対象を含む。
【0035】
本開示は、発電プラントの動作を制御するために適合されたシステムおよび方法に関する。よって本開示は更に、そのような制御機能を含む様々な要素を含む発電プラントに関する。本開示に係る発電プラント(およびその動作方法)に含まれ得る要素の非限定的例は、その開示が参照によって本願に組み込まれる、米国特許第8,596,075号、米国特許第8,776,532号、米国特許第8,869,889号、米国特許第8,959,887号、米国特許第8,986,002号、米国特許第9,062,608号、米国特許第9,068,743号、米国特許第9,410,481号、米国特許第9,416,728号、米国特許公開第2010/0300063号、米国特許公開第2012/0067054号、米国特許公開第2012/0237881号、および米国特許公開第2013/0213049号において説明される。
【0036】
本開示に係る発電プロセスを実行するための典型的な発電プラント100が
図1に示される。そこに示されるように、燃焼器120は、1つ以上の燃料、酸化剤、および希釈剤を受け取るために構成される。より具体的には、空気流101は、燃焼器120へ渡る酸化剤流103を供給するために空気分離ユニット102を通過してよい。空気分離ユニット102は、所望の圧力で酸化剤を供給するために必要な圧縮装置を含んでよく、あるいは個別の圧縮器が空気分離ユニット102と燃焼器120との間に一列に提供され得る。そのような例において、再循環二酸化炭素流184の第1の部分183aは、圧縮の前に、酸化剤流103と混合され得る。第1の燃料流107aおよび任意選択的な第2の燃料流107bは、燃焼器120へ受け渡される圧縮燃料流109を生成するために圧縮器108を通過してよい。再循環二酸化炭素流184も同様に燃焼器120へ受け渡され、希釈剤流として作用し得る。いくつかの実施形態において、再循環二酸化炭素流184の第1の部分183aは取り出され、本明細書において他の点で説明されるようにO
2/CO
2を有する希釈酸化剤流を生成するために酸化剤流103と結合され得る。同様に、いくつかの実施形態において、再循環二酸化炭素流184の第2の部分183bは取り出され、本明細書において他の点で説明されるように燃料/CO
2を有する希釈燃料流を生成するために燃料流109と結合され得る。単一の圧縮器108が例示されるが、理解されるように、複数の圧縮器が用いられてよく、使用される燃料流の各々に個別の圧縮器が用いられてよい。同様に、再循環二酸化炭素流184の第2の部分183bが燃料流109に追加されるものとして示されるが、理解されるように、圧縮の前に燃料流の一方または両方に希釈剤が追加されてよい。また、燃料および酸化剤と併用するための希釈剤は、再循環二酸化炭素流184に限定されない。むしろ、希釈剤は、流れ155、165、171、177、182、および184のいずれか1つ以上から得られてよい。
【0037】
燃焼器排気流130は、タービン135を通過し、そこで、発電器136において電力を生成するために膨張される。タービン排気流137は、熱交換器140を通過し、そこで冷却されて流れ142を生成し、これは、冷却器144において周囲温度付近までさらに冷却される。冷却されたタービン排気流146はその後、水流152および実質的に純粋な二酸化炭素流155を供給するために水分離器150内で処理され、実質的に純粋な二酸化炭素流155は、中間圧縮流165を生成するために圧縮器160内で圧縮される。中間圧縮流165は、二酸化炭素の密度を増加させて密度増加二酸化炭素流171を生成するために冷却器170内で冷却され、これは、燃焼器120への入力のためにポンプ175内で吸い上げられ高圧力になる。二酸化炭素生成物流180は、高圧二酸化炭素流177から取り出され、タービン排気流137に対し加熱されるために熱交換器140を再び通過する二酸化炭素再循環流182が残される。加熱された再循環二酸化炭素流184はその後、希釈剤として使用するために燃焼器120へ再経路付けされる。
【0038】
本開示に係る発電プラントは特に、発電プロセスの燃焼工程の特定の制御のために構成され得る。よって、コントローラ190が発電プラント100内に含まれてよく、コントローラは、可変燃料に適応するように燃焼器120の動作を調整する1つ以上の制御機能を実装する1つ以上の出力191を提供するように構成され得る。出力191はたとえば、1つ以上の流れの流量を効果的に調整し得るたとえば様々な弁、ポンプなどといった発電プラント100の1つ以上の構成要素への命令を提供してよい。同様にコントローラ190は、1つ以上の燃焼特性を調整し実質的に一貫した燃焼プロファイルを維持するために本明細書で説明されるような更なる制御機能をいつ実装すべきであるかを決定するために用いられ得る、可変燃料の可変的化学性に特に関連するデータを提供し得る、たとえばセンサからの1つ以上の入力192を受信してよい。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「可変燃料」は、発電プロセスの動作中に変化する組成を有する燃料を意味することが理解される。本開示は可変燃料を利用するので、動作中、実質的に一貫した燃料組成を維持することは必要ではない。むしろ、燃料の組成は、発電プラントの動作を実質的に中断することなく変化してよい。たとえば可変燃料が合成ガスである場合、合成ガス内の一酸化炭素と水素との比率は変化し得る。たとえば合成ガス内の一酸化炭素対水素比は、発電プロセスの動作中、プロセスの顕著な中断を必要とせず、かつ燃焼装置における変更を必要とせず、約0.8から約3.0まで、約0.85から約2.8まで、または約0.9から約2.6まで変化し得る。他の非限定的例として、可変燃料は、メタン、一酸化炭素、および水素の混合物であってよく、メタン、一酸化炭素、および水素の比率は、発電プロセスの動作中、プロセスの顕著な中断を必要とせず、かつ燃焼装置における変更を必要とせず、変化してよい。同様に、本開示の構成は、燃料の性質における著しい変化を可能にする。たとえば可変燃料は、ミクロ組成(すなわち燃料の組成比)ではなくマクロ組成(すなわち物質の化学的性質)において変化してよい。マクロ組成における相違は、合成ガスを利用することと代わりに天然ガスを利用することとの間の変化、または天然ガスを利用することと代わりに水素を利用することとの間の変化を備えることがある。
【0040】
本開示の利点は、燃焼器の動作に対する規定の制御の実行によって実現され得る。上述したように、発電プロセスは、希釈剤(好適にはCO2)の含有および酸化剤(好適には実質的に純粋なO2)の含有を前提として燃焼器内で可変燃料を燃焼させることを備えてよい。よって、可変燃料、希釈剤、および酸化剤の3つ全てが、燃焼器への入力となる。好適には、可変燃料および酸化剤は、実質的に化学量論比で入力される(ただし、約0.1モル%乃至約5モル%、約0.25モル%乃至約4モル%、約0.5モル%乃至約3モル%、または約1モル%乃至約2モル%の範囲内の余分な酸化剤が、燃焼器への全燃料入力の実質的に完全な燃焼を確実にするために提供され得る)。可変燃料、希釈剤、および酸化剤のいずれか1つ以上は、実質的に純粋な(すなわち更なる物質と混合されていない)状態で燃焼器へ入力され得る。あるいは、可変燃料、希釈剤、および/または酸化剤は、任意の組み合わせ(すなわち可変燃料と希釈剤との混合物および/または希釈剤と酸化剤との混合物)で燃焼器へ入力され得る。1つ以上の燃焼特性は、燃焼器へ入力される流れの1つ以上の特性を変化させることによって制御され得る。したがって、変化する燃料化学性を有することを前提とする可変燃料が、燃料化学性が変化するにもかかわらずシステム構成要素への顕著な変更を必要とせずに利用され得る。
【0041】
希釈剤の使用は特に、燃焼プロセスの様々なパラメータを制御するために有益であり得る。希釈剤は、可変燃料および/または正常化燃料、および/または酸化剤、および/または燃焼生成物と混合され得る。実質的に純粋な二酸化炭素は特に、希釈剤として用いられ得る。不活性ガスは希釈剤として用いられ得る。水(たとえば水蒸気)が希釈剤として用いられてもよい。希釈剤は、物質(たとえば二酸化炭素および水)の混合物であってよい。同じ希釈剤が、可変燃料、正常化燃料、酸化剤、および燃焼生成物のいずれかとの混合に用いられてよい。あるいは、上記流れのいずれかとの混合のために2つ以上の異なる希釈剤が用いられてもよい。
【0042】
1つ以上の実施形態において、燃焼器排気流の圧力、燃焼器排気流の温度、および燃焼器排気流の化学性の任意の1つ以上は、可変燃料の化学性における変化にもかかわらず、燃焼器の再構成の必要なく規定のパラメータ内で維持されるように制御され得る。たとえば燃焼器排気流は、約150バール乃至約500バール、約200バール乃至約400バール、または約250バール乃至約350バールの範囲内の圧力を有し得る。燃焼器排気流の温度は、約700℃乃至約1500℃、約900℃乃至約1400℃、または約1000℃乃至約1300℃の範囲内であってよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、本開示はこのように、可変燃料を利用する発電プロセスにおいて燃焼を正常化するための方法を提供し得る。たとえばそのような方法は、燃焼器に可変燃料を供給することと、燃焼器排気流を供給するために酸化剤によって燃焼器内で可変燃料を燃焼させることと、電力を生成するために燃焼器排気流にタービンを通過させることと、発電プロセスの動作中の燃料の化学性における変化にもかかわらず、燃焼器から出る燃焼器排気流の1つ以上の特性が規定の範囲内で制御された状態を保つように、少なくとも1つの制御機能を実装することとを備えてよい。たとえばいくつかの実施形態において、制御機能は、発電プロセスの動作中に可変燃料の組成が変化した時に、燃焼器から出る燃焼器排気流の温度が、40%以下、20%以下、15%以下、10%以下、8%以下、6%以下、4%以下、2%以下、または1%以下しか変化しないように構成され得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、燃焼器の動作に重要な他のパラメータを制御するために希釈剤が可変燃料および/または酸化剤流に追加され得る。非限定的例として、燃料注入ノズルを通過する可変燃料のジェット速度は、燃料流への希釈剤の追加率を変更することによって修正され得る。
【0045】
燃焼を制御し可変燃料の利用を可能にする能力は更に、
図2に例示した燃焼器に関連して明らかである。1つ以上の実施形態において、燃焼は、可変燃料の異なる化学性によって生じる燃焼特性の変化にもかかわらず、正常化され得る。これはたとえば、燃焼器へ入力される流れの1つ以上の1つ以上の特性を調整することによって実現され得る。よって、異なる様々な合成ガス組成の燃焼ならびにたとえば天然ガス、実質的に純粋なメタン、水素などの異なる様々な気体燃料の燃焼に単一の燃焼器が用いられ得る。燃焼の正常化は、たとえば燃料発熱量、火炎温度、燃焼圧、燃焼器出口温度、燃焼器からの質量流量、タービン入口流化学性、タービン速度、および他のそのような変数のいずれか1つ以上に関して量子化され得る。いくつかの実施形態において、たとえば燃焼器内で実現された実際の発熱量は、本明細書において他の点で説明されるような正常化機能によって、所与の燃料化学性に基づく理論上の発熱量と異なり得る。典型的な実施形態において、燃焼器動作に関して規定の発熱量範囲が設定されてよく、規定の発熱量範囲は、発電プロセスの動作の行程中に可変燃料の実際の発熱量が規定の発熱量範囲より上まで増加および/または可変燃料の実際の発熱量が規定の発熱量範囲より下まで減少し得る場合でも、維持され得る。具体的には、正常化機能は、可変燃料の燃料化学性における変化にもかかわらず、燃焼器における発熱量を所定の値の40%以内、20%以内、15%以内、10%以内、5%以内、2%以内、または1%以内で効果的に維持し得る。すなわち、燃焼器内で燃焼された燃料の発熱量は、発電プロセスの動作中、上述した値以下で変化し得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、燃焼器内の火炎温度および/または燃焼器排気流出口温度は、本明細書で説明される正常化機能の1つ以上を実行することによって(所与の燃料化学性に基づいて予想される範囲を下回り、または所与の燃料化学性に基づいて予想される範囲を上回り得る)規定の範囲内で維持され得る。典型的な実施形態において、燃焼器内の規定の火炎温度および/または燃焼器排気流に関する規定の出口温度は、燃焼器動作に関して設定されてよく、規定の温度は、可変燃料の燃料化学性における変化が温度を著しく変化させることが予想される場合でも、維持され得る。具体的には、正常化機能は、燃焼器内の規定の火炎温度および/または燃焼器排気流に関する規定の出口温度を既定の温度の40%以内、20%以内、15%以内、10%以内、5%以内、2%以内、または1%以内で効果的に維持し得る。すなわち、燃焼器内の火炎温度および/または燃焼器排気流に関する出口温度は、発電プロセスの動作中、上述した値以下で変化し得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、燃焼器から出る燃焼器排気流の質量流量は、本明細書で説明される正常化機能の1つ以上を実行することによって、規定の範囲内で維持され得る。典型的な実施形態において、燃焼器から出る燃焼器排気流の質量流量(または質量流量範囲)は、燃焼器動作に関して設定されてよく、規定の質量流量(または質量流量範囲)は、可変燃料の燃料化学性における変化が質量流量を著しく変化させることが予想される場合でも、維持され得る。具体的には、正常化機能は、燃焼器から出る排気流の規定の質量流量を、規定の質量流量の40%以内、20%以内、15%以内、10%以内、5%以内、2%以内、または1%以内で効果的に維持し得る。すなわち、燃焼器から出る燃焼器排気流に関する質量流量は、発電プロセスの動作中、上述した値以下で変化し得る。
【0048】
1つ以上の実施形態において、燃焼器220へ入力される可変燃料207aの変化する化学性は、好適な実施形態において実質的に純粋な二酸化炭素を備え得る希釈剤283bとブレンドされることによって正常化され得る。希釈剤283bは、その後、可変燃料207aの燃料化学性が発電プロセスの動作中に変化すると1つ以上の方法で調整され得る正常化機能として制御され得る。この機能を制御することは、希釈剤283bとブレンドされた可変燃料207aの燃焼によって燃焼器220の燃焼領域221内で発生した火炎が、燃焼のために利用される可変燃料の実際の化学性にかかわらず、実質的に変化せずにいられることの効果的な要因であり得る。いくつかの実施形態において、希釈剤を可変燃料とブレンドすることによって付与される制御機能は、以下のいずれか1つ以上に基づいてよい。
【0049】
燃焼の前に可変燃料とブレンドされる希釈剤の希釈率。希釈率は、希釈時における可変燃料の実際の発熱量に基づいて変化し得る。たとえば、可変燃料の化学性が比較的低い発熱量をもたらす場合、希釈率(すなわち追加される希釈剤の量)は低くなり、可変燃料の化学性が比較的高い発熱量をもたらす場合、希釈率は高くなり得る。このように、平均発熱量が実現され得る。いくつかの実施形態において、可変燃料に対する希釈剤の比は、約0.1乃至約2、約0.5乃至約1.5、または約0.8乃至約1.2であってよい。
【0050】
可変燃料に追加される時の希釈剤の温度。希釈剤の温度はたとえば、燃焼器内の火炎温度を制御するために用いられ得る。たとえば可変燃料の化学性が比較的低い発熱量をもたらす場合、希釈剤は、火炎温度を人工的に下げないように高い温度で供給され得る。しかし、可変燃料の化学性が比較的高い発熱量をもたらす場合、希釈剤の温度は、火炎温度が所望の範囲を超えないように低くなり得る。可変燃料に追加される時の希釈剤の温度は、可変燃料の全体温度を効果的に変化させてよく、その温度自体が制御機能であってよい。
【0051】
可変燃料に追加される時の希釈剤の流量。可変燃料への希釈剤の追加は、可変燃料に対する多種多様な変更を容易にし得る。たとえば可変燃料の発熱量は、上述したように修正され得る。また、容積流量および質量流量は、必要な(すなわち、質量および発熱量の関数として)可変燃料の総量に作用し得る。そのような流量は同様に、注入ノズルによる圧力降下ならびにノズルを通る燃料およびジェット速度にも作用し得る。希釈剤に関する追加流量は更に、形成される任意の不純物(たとえばNOxおよび/またはSOx)の性質、発生するCOバーンアウトの範囲、およびCO2解離速度に作用し得るピーク火炎温度にも影響を及ぼし得る。
【0052】
1つ以上の実施形態において、燃焼器220へ入力される可変燃料207aの変化する化学性によって生じる燃焼特性の変化は、燃焼器へ入力される酸化剤203を制御することによって正常化され得る。好適には、酸化剤は、酸素と希釈剤(たとえば不活性ガス、二酸化炭素、または水)との混合物である。
図2に例示するように、実質的に純粋な酸素流203は、燃焼器220へ入力するために実質的に純粋な二酸化炭素流283aとブレンドされる。いくつかの実施形態において、燃焼器220へ入る酸化剤流は、約5質量%乃至約95質量%の酸素、約5質量%乃至約75質量%の酸素、約5質量%乃至約50質量%の酸素、約10質量%乃至約40質量%の酸素、または約15質量%乃至約30質量%の酸素を含んでよく、酸素以外の部分が希釈剤である。特に典型的な実施形態において、混合物は、約20質量%のO
2および約80質量%のCO
2であってよい。場合によっては、酸化剤における希釈剤含有量は、燃焼質量制御、火炎形状制御、および火炎温度制御のいずれか1つ以上のための調整パラメータであってよい。いくつかの実施形態における希釈剤(たとえばCO
2)は、燃料流および酸化剤流の両方に供給され得る。よってどちらかの流れ(または両方の流れ)が、低いNOx発生量のための適度な火炎温度を確実にするための調整体として機能し得る。そのような燃焼実施形態において、約1~2モル%の余分な酸素が、完全な燃料バーンアウトを確実にするために燃焼器内へ供給され得る。いくつかの実施形態において、燃焼はこのように、発電プロセスの動作中に可変燃料の組成が変化すると、酸化剤における酸素と二酸化炭素との比を変化させることを含み得る制御機能を実装することによって正常化され得る。
【0053】
発電プロセスの動作中に可変燃料の燃料化学性が変化した際に燃焼を正常化することは、更なる実施形態において、燃料および酸化剤に関連する更なるパラメータを調整することによって実現され得る。いくつかの実施形態において、燃焼特性を制御するための制御機能は、燃焼器へ入力される酸化剤の温度を変化させることを含んでよい。したがって、燃料化学性が変化すると、酸化剤温度は、1つ以上の燃焼特性を規定の許容可能な範囲内に維持するために調整され得る。いくつかの実施形態において、燃焼特性を制御するための制御機能は、燃焼器へ入力される可変燃料の温度を変化させることを含んでよい。したがって、燃料化学性が変化すると、燃料温度は、1つ以上の燃焼特性を既定の許容可能な範囲内に維持するために調整され得る。いくつかの実施形態において、燃焼特性を制御するための制御機能は、燃焼器へ入力される酸化剤の流量を変化させることを含んでよい。したがって、燃料化学性が変化すると、酸化剤流量は、1つ以上の燃焼特性を既定の許容可能な範囲内に維持するために調整され得る。いくつかの実施形態において、燃焼特性を制御するための制御機能は、燃焼器へ入力される可変燃料の流量を変化させることを含んでよい。したがって、燃料化学性が変化すると、燃料流量は、1つ以上の燃料特性を既定の許容可能な範囲内に維持するために調整され得る。
【0054】
1つ以上の実施形態において、燃焼器220へ入力される可変燃料207aの変化する化学性は、既知の実質的に一貫した化学性の追加燃料とブレンドされることによって正常化され得る。既知の実質的に一定または一貫した化学性の燃料は、発電プロセスの動作中に可変燃料の化学性における変化の影響を薄めるために十分な比率で可変燃料とブレンドされ得る点で、「正常化燃料」として特徴付けられ得る。たとえば正常化燃料207bは、燃焼器220への燃料(複数も可)の注入より上流の何らかの点で、可変燃料207aとブレンドされ得る。ブレンド比、正常化燃料の温度、および本明細書においてすでに説明したような同様の特性は、正常化燃料207bが、可変燃料207aの燃料化学性が発電プロセスの動作中に変化すると1つ以上の方法で調整され得る正常化機能として制御され得るように用いられ得る。この機能を制御することは、結合燃料(可変燃料207aおよび正常化燃料207b)の燃焼によって燃焼器220の燃焼領域221において発生した火炎が、燃焼に利用される可変燃料の実際の化学性にかかわらず、実質的に変化せずにいられることの効果的な要因であり得る。いくつかの実施形態において、正常化燃料は、天然ガスまたは実質的に純粋なメタンであってよい。他の実施形態において、正常化燃料は、一酸化炭素、水素、または実質的に一定または一貫した化学性の合成ガス組成であってよい。正常化燃料は好適には、可変燃料の燃料化学性が変化すると発電プロセスの動作中に正常化燃料対可変燃料の比が変えられることによって実質的に一定の燃焼特性を維持することができるように、既知の発熱量を有する。いくつかの実施形態において、可変燃料に対する正常化燃料の比は、約0.1乃至約2、約0.5乃至約1.5、または約0.8乃至約1.2であってよい。
【0055】
燃焼の正常化は、上述した制御機能の1つ以上によって実現され得るが、燃焼の下流で発電プロセスを制御することが更に可能である。いくつかの実施形態において、これは、燃焼器220内で実現され得る。たとえば燃焼器220は、燃料および酸化剤が混ざり合い燃料が燃焼される燃焼領域221、および燃焼生成物が燃焼器から出る前に1つ以上の変化を経得る希釈領域222を含むように構成され得る。
図2に例示するように、燃焼領域221は希釈領域222の上流にあり、希釈領域は燃焼領域の下流にある。燃焼に関連する1つ以上の特性を正常化するために、希釈剤283cが希釈領域222において燃焼器220内へ注入され得る。たとえば希釈剤283cの量は、可変燃料207aの燃料化学性が発電プロセスの動作中に変化すると変化し、一貫した燃料特性を維持する必要に応じて燃焼排気に冷却をもたらす。追加される希釈剤283cの量は、可変燃料207a、酸化剤203、および(使用可能な場合)正常化燃料207bの1つ以上の流量が変化した場合も変化し得る。このように、希釈領域222への希釈剤283cの入力は、燃焼を正常化するための手段として1つ以上の更なる流れの流量における変動を埋め合わせるために用いられ得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、燃焼器220の希釈領域222内への希釈剤の入力は、様々な動作に関連して発電プロセスにおける燃焼の正常化に関する制御機能として用いられ得る。典型的な実施形態において、これは、希釈領域において燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が燃焼器へ供給される可変燃料の質量流量を上回るように制御するために役立ち得る。更なる典型的な実施形態において、これは、希釈領域において燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が燃焼器へ供給される酸化剤の質量流量を上回るように制御するために役立ち得る。他の典型的な実施形態において、これは、希釈領域において燃焼器内へ注入される希釈剤の質量流量が燃焼器へ供給される可変燃料および燃焼器へ供給される酸化剤の両方の質量流量を上回るように制御するために役立ち得る。また更なる典型的な実施形態において、これは、発電プロセスの動作中に可変燃料の組成が変化すると、希釈領域において燃焼器内へ注入される希釈剤の温度を変化させるために役立ち得る。燃焼器の希釈領域内へ注入される希釈剤の質量流量は、燃料化学性における変化に基づいて必要な調整を行うために温度が変更されても実質的に一定に維持され得るが、希釈チャンバ内への希釈剤流量は、希釈剤の温度の変化に伴って変化し得る。好適な実施形態において、希釈剤283cは、実質的に純粋な二酸化炭素であってよい。ただし、更なる実施形態において、様々な希釈剤または希釈剤の組み合わせが用いられてよい。いくつかの実施形態において、希釈領域に追加される希釈剤の量は、燃焼領域の長さに対する希釈領域の長さに依存し得る。たとえば、希釈領域の長さに対する燃焼領域の長さの比は、約0.25乃至1.5であってよい。
【0057】
様々な燃料化学性にわたり実質的に一定の燃焼器出力を維持する能力は、発電システムにおいて単一のタービンを使用することを可能にするという点で重要であり得る。一般に、燃料化学性における変化は、燃料化学性に基づいて異なる燃焼器出力の特徴を理由として、タービンに対する変更を必要とし得る。よって、発電プラントは、様々な燃料化学性に適応するために、複数のタービン(および一般に複数の燃焼器)を用いなければならない。あるいは、単一の燃焼器および/または単一のタービンを有する発電プラントは、化学性の変動の余地がほとんどない、単一の燃料化学性のみの燃焼に限定され得る。本開示に係る、異なる様々な燃料化学性にわたり実質的に一定の燃焼器出力を提供する能力により、単一のタービン(および単一の燃焼器)しか含まない発電システムによって発電方法を実行することが可能である。したがって本開示の方法は、規定の動作パラメータのセットの下で機能するように設計された発電システムおよび方法が、動作条件が所定の動作パラメータの1つ以上を超える原因となることがそうでなければ予想されることになるだろう異なる燃料化学性の使用にもかかわらず、パラメータセット内で十分に機能し得るように、燃料化学性のスペクトルにわたり燃焼特性を有利に正常化することができる。これは特に、たとえば半閉鎖ループCO2サイクルなどの比較的狭い範囲の許容可能な動作パラメータを一般に有するシステムおよび方法を用いる場合でも、異なる燃料化学性を用いて発電が実現され得るという点で有利であり得る。制御パラメータの1つ以上の実行を通して各個々の燃料混合物組成の性能を実質的に同一にすることができるため、燃焼特性およびこれらの混合物にわたる火炎における摂動を緩和することができる。
【0058】
本開示の主要部の多数の修正および他の実施形態が、この主要部が関与し上記説明および添付図面において提示された教示の利益を得る当業者に想起されるものである。したがって、本開示は、本明細書で説明された特定の実施形態に限定されるものではないこと、および修正および他の実施形態は添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとして意図されることを理解すべきである。本明細書において特定の用語が用いられるが、それらは一般的かつ記述的意味において用いられたものにすぎず、限定を目的として用いられたものではない。