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  • 特許-亜酸化チタンの多孔質セラミック生成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】亜酸化チタンの多孔質セラミック生成物
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/04 20060101AFI20220608BHJP
   C04B 35/46 20060101ALI20220608BHJP
   C04B 38/06 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
C01G23/04 Z
C04B35/46
C04B38/06 D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019554029
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 FR2017053745
(87)【国際公開番号】W WO2018115749
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】1662930
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】310009890
【氏名又は名称】サン-ゴバン サントル ドゥ ルシェルシェ エ デトゥードゥ ユーロペン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ ラフィー
(72)【発明者】
【氏名】ブリス オベール
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ユルフェ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル マルラン
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/121801(WO,A1)
【文献】特表平11-512869(JP,A)
【文献】特表平06-505469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251956(US,A1)
【文献】特開2004-156130(JP,A)
【文献】Li, Xiaolei et al.,Investigation of fabrication of Ti4O7 by carbothermal reduction in argon atmosphere and vacuum,Journal of Materials Science: Materials in Electronics,27,2016年,pp.3683-3692,doi:10.1007/s10854-015-4208-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/04
C04B 35/46
C04B 38/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、一般式TiOで示され、xの値が1.6~1.9である、本質的に、一つ又は複数の亜酸化チタンからなる多孔質生成物の製造方法:
(a)少なくとも一つの二酸化チタン源、及び炭素を含有する還元剤を混合すること;
(b)生成物を成形すること;
(c)任意に、特に工程(a)の間に有機物質が使用されたときに、一つ又は複数の前記有機物質を高い割合で除去するのに十分な温度であって、前記還元剤の蒸発温度よりも低い温度で、空気又は酸化雰囲気下で熱処理を行うこと;
(d)1200℃を超えるが、1430℃を超えない温度で、中性又は還元雰囲気下で焼結を行うこと;
ここで、
前記二酸化チタン源は、少なくとも55重量%のアナターゼからなり、かつ
前記初期混合物が、二酸化チタンの全重量に対して、1.5~5.0重量%の炭素を含む
【請求項2】
前記多孔質生成物が、xの値が1.6~1.9、好ましくは、1.75~1.85である一般式TiOに相当するように、前記還元剤の量を調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期混合物が、前記二酸化チタン源として、90重量%を超えるアナターゼを含み、好ましくは、アナターゼ型のみを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
炭素を含有する前記還元剤が、カーボンブラック、コークス、又は少なくとも50重量%の炭素、若しくは少なくとも70重量%の炭素、若しくは80重量%の炭素を含有する任意のその他の有機化合物から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記還元剤が、カーボンブラックである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記初期混合物が、二酸化チタンの全重量に対して、2.0重量%を超え、かつ4.5重量%未満の炭素を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(d)が、中性雰囲気下で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(d)が、還元雰囲気下で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記原料の混合物が、少なくとも90重量%のアナターゼ型の二酸化チタン、及び少なくとも3重量%のカーボンブラックを含有し、かつ前記焼結温度を1300℃~1450℃に調整する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記多孔質生成物は、本質的に、Ti及び/又はTiから選択されるマグネリ相からなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記原料の初期混合物が、全無機物質の重量の5.0%を下回る量で、二酸化チタン以外の無機物質を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記原料の初期混合物が、二酸化チタン以外の無機物質を含み、前記無機物質が、SiOであるシリカ;Nb若しくはTa、V、ZrOである酸化物;又はBa、Sr、Mn、Cr、Feの酸化物;又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物;からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
以下の特徴を有する、多孔質生成物:
- 前記生成物を構成する材料は、一般式TiOに対応しており、ここで、xの値が1.75~1.85である;
- 細孔径分布が、およそ単峰性である:
- 細孔のメジアン径d50が、0.5~2.5μmである;
- 開放気孔率が、34%を上回る。
【請求項14】
Ti、Ti、Ti11、又はこれらの相の少なくとも2つの混合物から選択されるマグネリ相を、合計で、90重量%を超えて含んでいる、請求項13に記載の多孔質生成物。
【請求項15】
細孔のメジアン径d50が、1~2.5μmである、請求項13又は14に記載の多孔質生成物。
【請求項16】
全無機物質の重量の5.0%を下回る量で、二酸化チタン以外の無機物質をさらに含み、追加の前記無機物質が、SiOであるシリカ;Nb若しくはTa、V、ZrOである酸化物;Ba、Sr、Mn、Cr、Feの酸化物;又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物;からなる群から選択される、請求項13~15のいずれか一項に記載の多孔質生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、亜酸化チタンからなる多孔質セラミック生成物に関する。一般的に、「亜酸化チタン」とは、もっぱら、一般式TiOで示され、xが1~2である、特に、いわゆるマグネリ相の酸化チタンを意味する。また、本発明は、これらの多孔質セラミック生成物の製造方法、及びその使用、特に、電気化学的装置のための使用であって、特に液体の処理、例えば水の精製に有用な装置のための使用に関する。
【0002】
もちろん、これらの生成物を提供することによって得られる利点のおかげで、多くの他の用途において、特に、高度な、及び/又は均一な、及び/又は単峰性の、多孔性が要求される任意の分野において、これらの生成物を有利に使用することができる。これらの用途に限定されるものではないが、特に、層としての、若しくは膜としての、若しくは活性分散相としての、若しくは触媒の分野のための、特に、揮発性有機化合物の酸化のための、電気化学的システムにおける電極や、導電性支持体に言及することができる。
【背景技術】
【0003】
従来の方法によっては取り除かれない難生分解性の汚染物質(例えば、抗生物質や抗炎症性物質など)を含んでいる廃液の処理を改善するためには、膜システムを使用することが想定される。この膜システムは、以下の機能、すなわち、一方では、処理される化合物を保持することができ、他方では、処理される化合物の電気化学的分解を保証する、という2つの機能を有していなければならない。このため、これらの膜システムで使用される生成物は、汚染粒子の大きさに対して適切な多孔率を有しており、かつ処理されている廃液が、減速しながら膜システムを通過することができるものでなければならず、それによって、過度の水頭損失を生じさせることなく、分解される化合物と膜との接触時間を長くするようになっている。また、膜システムは、電気的に活性であり、つまり、電気化学による分解(汚染化合物の有機炭素を、毒性を示さない無機炭素に変換すること)を可能にするものでなければならない。亜酸化チタンをベースとする多孔質生成物、特に、Ti、Ti、又はTi11のマグネリ相をベースとする材料、とりわけ、Tiをベースとする材料からなるか、又はこれを含むものは、本発明によるこうした用途に使用されることが想定される。
【0004】
欧州特許第047 595 B1号明細書(又はそれと同等である米国特許第4,422,917号明細書)には、TiO型であって、xが1.55~1.95である亜酸化物からなる、電極を作製するための材料が提案されている。この材料は、TiO粉末から出発して、還元剤化合物の性質に応じ、1150~1450℃の温度で、この粉末を、Ti、TiN、TiSi、C、TiO、又はTiの種類の還元剤化合物と混合することで合成されている。
【0005】
国際公開第2014/049288号は、Ti及びTi11のマグネリ相の混合物から本質的になる溶融粒子に関する。特に、この公報には、アルゴン下、1450℃で、2時間焼結された、ルチルと4重量%のカーボンブラックとの混合物であって、一般式TiO1.82である混合物から作製された比較例が記載されている。この公報には、アルゴン下、1450℃で、2時間焼結された、アナターゼと1重量%のカーボンブラックとの混合物から作製された別の比較例も記載されており、この混合物は、一般式TiO1.79であって、Ti(生成物の全重量の25%)、Ti(30重量%)、Ti11(20重量%)、及びTi(25重量%)から構成されている。この国際出願には、本発明による、ろ過及び/又は電気化学的用途を目的とする多孔質生成物は、記載されていない。
【0006】
Journal of Membrane Science、510~523頁(2016年)において発表された論文、「準化学量論的TiOの反応性電気化学的膜における膜の汚染と電気化学的再生についての電気化学的インピーダンス分光法による研究(Electrochemical impedance spectroscopy study of membrane fouling and electrochemical regeneration at a sub-stoichiometric TiO reactive electrochemical membrane)」には、3.27μmのメジアン細孔径及び二峰性の細孔分布を有し、28.2%の多孔率を有する、Ti及びTi11膜の使用が記載されている。
【0007】
刊行物「Environ Science and Technologie」、50(3)、1428~1436頁(2016年)における論文、「TiOマグネリ相反応性電気化学膜の限外ろ過の開発と特性評価(Development and Characterization of Ultrafiltration TiO Magneli Phase Reactive Electrochemical Membranes)」には、多孔質生成物が記載されており、特に、30%のレベルの多孔率及び2.99μmのメジアン細孔径を有する、限外ろ過に使用される多孔質電気化学膜が記載されている。このような膜を得るための方法は、上記マグネリ相を得るために、高温(1080℃)の雰囲気を使った水素下での処理を含む、複数の工程を伴っている。したがって、このような方法を実施することは、危険であると思われる。
【0008】
これらの方法はすべて、最終的には酸化チタンの多孔質膜をもたらし、この膜の孔隙の大きさはナノメーターサイズであり、したがって、あまりにも小さすぎて、ろ過に要求される機能にとって有用なものにはならない。さらに、この付加的な多孔率は、膜の機械的強度を減少させることの一因となる。
【0009】
上述した分析から、一般式TiOを有し、特に、xが1.50~1.95、とりわけ、xが1.75~1.85であるものに相当する、一つ又は複数の亜酸化チタンをベースとする、これらの多孔質生成物を製造するための安全な方法に対する必要性が、依然として存在する、ということが示されている。
【0010】
さらに、増大した多孔率、すなわち、その有効な開放気孔率(つまり、分解される化合物が到達できる孔隙の割合)が、上述した文献に記載されているものを超えるような、一つ又は複数の亜酸化チタンをベースとするセラミック生成物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、こうした問題に対する効果的な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、第一の態様によれば、本発明は、一般式TiOで示され、xの値が1.6~1.9である、本質的に、一つ又は複数の亜酸化チタンからなる多孔質生成物の製造方法に関し、この方法は以下の工程を含む:
(a)少なくとも一つの二酸化チタン源、炭素を含有する還元剤、及び好ましくは水のような溶媒と混合された、任意の一つ又は複数の有機物質、例えば、結合剤、可塑剤、潤滑剤などを含む原料を混合すること;
(b)例えば、押出成形、加圧成形、テープ成形、又は造粒によって、生成物を成形すること;
(c)任意に、特に工程(a)の間に有機物質が使用されたときに、一つ又は複数の有機物質を高い割合で除去するのに十分な温度であって、還元剤の蒸発温度よりも低い温度で、空気又は酸化雰囲気下で熱処理を行うこと;
(d)例えば、1150℃を超えるが、1430℃を超えない温度で、中性雰囲気又は還元雰囲気下で焼結を行うこと。
【0013】
本発明による方法の本質的な特徴によれば、二酸化チタン源は、少なくとも55重量%のアナターゼ型のものからなる。
【0014】
本発明による方法のもう一つの本質的な特徴によれば、還元剤の量及び焼結温度が、共に調節され、それによって、最終的な多孔質生成物が、一般式TiOで示され、xの値が1.6~1.9、好ましくは1.75~1.85であるものに相当するようにされており、より詳細には、最終的な多孔質生成物が、本質的に、Ti2n-1型の相からなり、nが4を超えるか又はこれに等しく、かつ9未満であるか又はこれに等しく、特に、Ti、Ti、Ti11の相の中からなるものに相当するようにされている。
【0015】
上記の方法における二酸化チタン源、還元剤の量、及び最終的な焼結温度という、この三重の選択により、直接的かつ完全に安全に、多孔質生成物を得ることができ、このために、存在する相の性質を容易に調整することができるだけでなく、この生成物は、本明細書の以降の記載、特に実施例に明示されているように、改善されたポロシメトリー特性をも有するということが判明した。したがって、二酸化チタン源、プロセスパラメーター、特に、還元剤の量、焼結温度、及び任意に、工程(c)での熱処理の温度と継続時間を調整することによって、本発明に従い、有利に、その組成を調整可能な生成物を得ることが可能になり、特に、Ti、Ti、Ti、Ti11、Ti13、Ti15、Ti17、又はこれらの相の少なくとも2つを主として含有する混合物から選択されるマグネリ相を主に含み、その多孔率が、前述した従来法によって得られる多孔率よりも大きく、特に、34%を超えるか又はこれに等しく、さらには、より有利なことに、その細孔径分布が実質的に単峰性である生成物を得ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明による実施例7、10及び11について、試料の細孔径分布曲線及び電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の方法の好ましい実施態様を以下に記載する。
【0018】
初期混合物は、二酸化チタン源として、40重量%未満、又は35重量%未満、又は30重量%未満、又は20重量%未満、さらには10重量%未満のルチルを含有する。
【0019】
初期混合物は、二酸化チタン源として、60重量%を超えるアナターゼを含有し、好ましくは、二酸化チタン源として、65重量%を超える、又は70重量%を超える、又は80重量%を超える、さらに好ましくは90重量%を超えるアナターゼを含有し、あるいは、不可避的な不純物は別として、二酸化チタン源としてアナターゼのみを含有する。
【0020】
初期混合物中のアナターゼは、好ましくは、0.2~0.5μmのメジアン径を有する粉末の形態である。
【0021】
炭素を含有する還元剤は、カーボンブラック、コークス、活性炭、グラファイト、あるいは少なくとも50重量%の炭素、又は少なくとも70重量%若しくは80重量%の炭素を含む、任意のその他の有機化合物から選択される。炭素を含有する還元剤は、炭化チタン(TiC)を含んでいても、又はこれからなるものであってもよい。
【0022】
還元剤は、好ましくは、0.2~0.5μmのメジアン径を有する粉末の形態である。
【0023】
初期混合物は、有利には、二酸化チタンの重量に対して、1.5~5.0重量%の炭素を含むことができる。極めて明確なように、この炭素は、実質的に又は完全に、上述した還元剤に由来するものである。
【0024】
したがって、好ましくは、二酸化チタンの重量に対して、この混合物の炭素含量は、1.5%を超えるか、又は2.0%を超え、さらには、2.5%を超える。
【0025】
より好ましくは、二酸化チタンの重量に対して、この混合物の炭素含量は、4.5%を下回り、さらには、4.0重量%を下回る。
【0026】
本発明の好ましい実施態様によれば、成形工程前の初期混合物の粉末粒子のメジアン径は、1μm未満又はこれに等しく、さらには0.5μm未満又はこれに等しい。
【0027】
好ましくは、成形工程前の初期混合物の粉末粒子のメジアン径は、0.1~1μmであり、非常に好ましくは、0.2~0.5μmである。
【0028】
初期混合物は、還元剤としてカーボンブラックを含むことができ、より好ましくは、還元剤は、カーボンブラックである。
【0029】
初期混合物は、二酸化チタンの重量に対して、1.5~5.0重量%のカーボンブラックを含むことができる。好ましくは、カーボンブラックの含量は、二酸化チタンの重量に対して、1.5%を超え、若しくは2.0%を超え、若しくは2.5%を超え、かつ/又は4.5%未満、若しくは4.0重量%未満である。
【0030】
二酸化チタンは、好ましくは、初期混合物中に存在する全無機物質(無機炭素は別とする)の質量の90%を超えており、好ましくは、初期混合物中に存在する無機物質のすべてを占める。
【0031】
しかしながら、本発明の範囲内にありつつ、この初期混合物は、二酸化チタン以外の無機物質を含んでいてもよく、例えば、全無機物質の質量の5.0%未満、又は4.0%未満、又は3.0%未満、又は1.0%未満、さらには0.5%未満の量で含むことができる。
【0032】
この無機物質は、例えば、シリカ(SiO);Nb若しくはTa、V、ZrOのような酸化物;Ba、Sr、Mn、Cr、Feの酸化物;Ca、Na、K、Liの種類のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、特に、酸化カリウム若しくは酸化ナトリウムであってよい。
【0033】
この無機物質は、例えば、全無機物質の質量の1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.8%未満、さらには0.5%未満の量の、Ca、Na、K、Liの種類のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、さもなければ、Alのような不純物(特に、使用される原料に付随するもの)であってよい。
【0034】
本発明の方法は、使用される原料の粉砕又は解凝集(デアグロメレーション)の追加の工程(工程(a)の前又は後)を含むことができ、それによって、これらの原料が、この方法及びこの用途に適したメジアン径、好ましくは、1μm未満の、又は0.5μm未満の、さらには、0.2~0.5μmのメジアン径を有する。
【0035】
工程(b)において、成形は、好ましくは押出成形によってなされ、本明細書の以降で記載するように、例えば、チューブの形状又はハニカム形状に成形することができる。
【0036】
基本的に、上記成形の間に、工程(a)からの混合物は追加の有機物質を含まず、この成形工程の直後に、中間の熱処理なしで、焼結を実施する。
【0037】
あるいは、工程(b)において、成形を圧縮成形によって行うことができる。特に、成形を加圧成形によって実施することができる。この成形において、工程(a)からの混合物は、好ましくは水のような溶媒と混合された、一つ又は複数の有機物質を含有し、この場合には、工程(c)の間に、この一つ又は複数の有機物質を高い割合で除去するのに十分な温度であって、還元剤の蒸発温度よりも低い温度で、空気又は酸化雰囲気下で熱処理を実施する。
【0038】
工程(b)において、成形はまた、造粒することから構成され、例えば、インテンシブミキサー、又は懸濁液噴霧器、又は流動床噴霧器を使用して、造粒することができる。
【0039】
工程(b)において、成形はまた、任意の他の成形法から構成され、例えば、懸濁液を用いた方法、例えば、テープ成形、又は浸漬被覆を用いた方法とすることができる。
【0040】
任意の工程(c)において、温度は、好ましくは、150℃を超え、又は170℃を超え、さらには200℃を超え、かつ/又は480℃未満、又は450℃未満、さらには430℃未満である。
【0041】
工程(d)において、温度は、好ましくは、1180℃を超え、又は1200℃を超え、さらには1230℃を超え、かつ/又は1400℃未満、又は1380℃未満、さらには1360℃未満である。
【0042】
工程(d)において、雰囲気は、例えば、アルゴン雰囲気のように、中性であり、あるいは、雰囲気は、例えば、水素分圧下にある雰囲気のように、還元性である。
【0043】
本発明の特定の実施態様によれば、原料の混合物は、重量で、アナターゼ型の二酸化チタンを少なくとも90%、及びカーボンブラックを少なくとも3%含み、好ましくは、中性雰囲気下で、焼結温度を1300~1450℃に調整する。
【0044】
本発明の方法を使用することで、本質的に亜酸化チタンからなる多孔質生成物であって、一般式TiOで示され、初期混合物の組成に応じて、xの値を容易に調整することができ、特に、xの値が1.6~1.9、より詳細には、1.75~1.85であるものに相当する、多孔質生成物を製造することが可能であることが見いだされた。有利には、このような調整を、混合物に初期に存在するカーボンブラックの割合と併せた調節に応じて、本発明に従って直接的に行うことができる。
【0045】
さらに、上述のとおり、本発明の方法を適用することで得られる多孔質生成物は、その他の手法によって得られた多孔質生成物に比較して、相当程度の改善された多孔率を有することが示された。特に、本発明による方法を用いることで、多孔率のレベルが全体的により高く、その細孔径分布が、およそ単峰性であり、かつ細孔径がマイクロメーターの位の大きさに集中している生成物を得ることが可能となった。
【0046】
これらの特性は、非常に多数の分野での用途において、特に、廃液を処理するための用途において、本発明による生成物の使用を極めて有利なものにする。
【0047】
したがって、本発明は、本発明による方法によって得られた多孔質生成物にも関する。
【0048】
また、本発明は、本発明による方法によって得られた、膜で被覆された多孔質生成物にも関する。
【0049】
特に、本発明は、特許請求の範囲の請求項のいずれか一項に記載された方法によって得られる多孔質生成物に関し、この生成物は、以下を特徴とする:
- この生成物を構成する材料は、一般式TiOに対応しており、ここで、xの値が1.6~1.9、好ましくは1.75~1.85である;
- 細孔径分布が、およそ単峰性である:
- 細孔のメジアン径d50が、0.5~5μm、特に1~2.5μmである;
- 開放気孔率が、34%を上回る。
【0050】
本発明による多孔質生成物は、一般式Ti2n-1であって、nが3を超えるか又はこれに等しく、かつ9未満であるか又はこれに等しいものに相当する、一つ又は複数の亜酸化チタンを、合計で90重量%を超えて含有する。
【0051】
本明細書に記載されている多孔率のデータはすべて、水銀ポロシメトリーによって測定されている。その開放気孔率は、34%を超えるか、又はこれに等しい。
【0052】
本発明による生成物を構成する一つ又は複数の亜酸化チタンの細孔径分布は、単峰性である。また、水銀ポロシメトリーによって測定されるメジアン細孔径は、0.5~5μm、好ましくは、0.8~2.5μmである。
【0053】
好ましくは、多孔質生成物は、一つ又は複数の亜酸化チタンを、合計で92重量%を超えて、又は94重量%を超えて、さらには95重量%を超えて含む。
【0054】
しかしながら、本発明の範囲内にありつつ、この生成物は、その他の相を含んでいてよく、特に、シリカ(SiO)、あるいは、酸化物の形態で、又は規定された化合物(例えば、KTi16)の形態で、又は一つ若しくは複数の亜酸化チタンの固溶体として実質的に存在するその他の元素、特に、Al、Cr、Zr、Nb、Ta、Li、Fe、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属であるCa、Sr、Na、K、Baの種類の元素を含んでいてもよい。対応する単純酸化物に基づく、存在するこうした元素の全体量は、好ましくは、この生成物の全重量の10重量%を下回り、例えば、この生成物の全重量の5%を下回るか、又は4%を下回るか、さらには3重量%を下回る。こうした元素の存在量は、特に、望ましいものとすることができ、あるいは単純に、使用される原料に存在する不純物に付随するものであってよい。
【0055】
本発明の生成物は、さらに、微量の窒化物(窒化チタン、酸窒化物、又は窒化炭素)を含むことができる。
【0056】
好ましい実施態様によれば、本発明に従う多孔質生成物は、上記の亜酸化チタンのみからなり、その他の相は、不可避的な不純物の形態としてのみ存在する。
【0057】
特に、この亜酸化チタンは、好ましくは、主にTi2n-1の相であって、nが4~6を含めたものであり、すなわち、最も良好な電子伝導性を有する、Ti、Ti、Ti11の相であり、これらの相は、好ましくは、合計で、本発明による多孔質生成物の重量の80%、又は85%、さらには90%を超える量を占める。
【0058】
この亜酸化チタンは、好ましくは、主となる相として、Ti及び/又はTiの相を含む。
【0059】
「主となる(主として、主に)」とは、X線回折像で観察された主となる回折ピークが、これらのマグネリ相に相当するものであることを意味する。
【0060】
特に、本発明の意味するところでは、生成物の重量の25%を超える場合、好ましくは、生成物の重量の少なくとも35%、さらには少なくとも45%を占める場合に、相は、「主となる」相と見なされる。
【0061】
特に好ましい実施態様によれば、この主となる相は、一般式Ti、若しくはTi、若しくはTi11であるTi2n-1相、又はこれらの相の混合物である。
【0062】
特に、本発明の有利な実施態様による多孔質生成物において、Ti及び/又はTi及び/又はTi11の相は、合計で、この生成物の重量の60%を超える量を占め、好ましくは、この生成物の重量の70%を超える量を占め、特に好ましくは、この生成物の重量の80%を超える量を占め、さらにはこの生成物の重量の90%を超える量を占める。
【0063】
本発明による生成物の特定の形態によれば、本発明に従う多孔質生成物は、平らな断片であり、例えば、矩形又は円形の形状をしており、特に、圧縮成形、あるいは加圧成形又はキャスティングといった工程(b)の最後で得られた形状をしている。
【0064】
本発明による生成物の特定の形態によれば、本発明に従う多孔質生成物は、チューブであり、特に、押出成形により工程(b)の最後で得られた形状をしている。このチューブでは、処理される化合物の保持及びその電気化学的分解を、チューブの表面で及び/又は細孔中で行うことができる。電気化学的反応を実施するためには、このチューブは、カソード、例えば、チューブの形状のカソードを備えることができ、例えば、カソードを、本発明によるチューブの内部の同軸上に設置することができる。
【0065】
特に、押出成形により工程(b)の最後で得られたものである、本発明による生成物の特定の形態によれば、本発明に従う多孔質生成物は、ハニカム形状である。ハニカムとは、一般的に、互いにおよそ平行であり、かつ互いに壁で分離されている複数のチャネルを含む構造を意味し、特に、この壁が、本発明による一つ又は複数の亜酸化チタンでできており、一般式TiOで示され、xの値が1.6~1.9である多孔質壁であることを意味する。
【0066】
ハニカムでは、処理される化合物の保持及びその電気化学的分解を、そのチャネルの表面で及び/又はそれぞれのチャネルの細孔中で行うことができる。保持は、チャネルが、それらの末端の一つで選択的に塞がれている場合には「貫通流」の種類の保持であり、さもなければ、チャネルが塞がれていない場合には、「接線流」の種類の保持である。ハニカムは、矩形、円形、又は楕円形の断面であってよい。電気化学的反応を実施するためには、ハニカムは、カソードを備えることができ、一つ又は複数のその他のモジュールと任意に結合したモジュールを構成して、より大きなシステムを形成することができる。
【0067】
本発明による生成物を構成する様々な相のそれぞれの重量の割合は、この分野で周知の手法により測定することができ、特に、X線回折によって、例えば、存在する様々な相の回折ピーク間の強度比率の単純な比較によって、又はより正確にはリートベルト分析によって、この分野で周知の手法により測定することができる。
【0068】
不必要に本明細書の記載量が増加することを避けるために、上述したような、本発明による生成物の組成の様々な好ましい実施態様間での、本発明に従うすべての可能な組み合わせまでは提示しない。しかしながら、言うまでもなく、上述した範囲並びに初期の及び/又は好ましい値のすべての可能な組み合わせを、本願出願時において構想しているものであり、かつ本明細書の記載に照らして、こうした可能な組み合わせのすべては、本願の出願人によって記載されたものと見なされなければならない(特に、2つ、3つ、又はこれらを超える組み合わせについて)。
【0069】
本発明及びその利点は、以下に与えられている非制限的な実施例を読むことでより良く理解される。実施例では、すべての割合は、重量%として定められている。
【実施例
【0070】
すべての実施例において、(SEM分析により確認された)0.2~0.3μmのレベルの粒子のメジアン径を有する、キャボットコーポレーションから販売されているカーボンブラック粉末、並びにアナターゼ型(表中でAと記載する)及び/又はルチル型(表中でRと記載する)であって、両者ともに96%を超えるTiOを含有する市販の二酸化チタン粉末からなる無機原料を、1~2時間、ジャーの中で混合することによって得られた均一な混合物から、試料を調製した。この2つの粉末は、0.2~0.5μmのレベルの粒子のメジアン径を有している。
【0071】
実施例23及び24で使用した酸化ニオブ又は酸化タンタルの粉末は、純度が98%を超えるものであり、あらかじめ粉砕して、0.3μmのメジアン径の粒子を得た。
【0072】
初期混合物における二酸化チタン100gに対するカーボンブラック(表中でカーボンと記載する)の量は、表に示されている。
【0073】
その他の添加剤を加えることなく、初期反応物質の混合物を加圧成形(表中でPと記載する)によって、直径13mm、高さ7mmの円形のプレートの形態に成形することができる。
【0074】
その他の実施例では、以下の有機物質からなる添加剤を使用している:可塑剤(Methocel A4M、約2.5重量%の無機混合物)、潤滑剤(Putroil、約3.0重量%の無機混合物)、分散剤(Darvan C-N、約1.5重量%の無機混合物)、及び水。それから、成形を押出成形(表中でEと記載する)によって実施し、焼結後に、6.2mmのレベルの内径、約4mmの厚さ、162mmのレベルの長さを有するチューブの形態とする。
【0075】
また別の実施例では、成形を造粒(表中でGと記載する)によって実施する。すなわち、初期の反応物質をボールミルで5時間混合し、その後、作業開始時にPVA溶液(約15重量%の無機混合物)を徐々に添加しながら、反応物質を、向流で4分間、造粒機に通過させる。
【0076】
有機添加剤を使用するときには、表に記載した温度Tで、(表中で別段の記載がない限り)空気下で30分間、試料をおいたままにし、高い割合で有機物質を取り除き、該当する場合には、還元剤の揮発性化合物を中間的な加熱によって取り除く。最後に、表に記載した温度Tで、2時間、99.7%のアルミナからなるチューブを有する炉、Nabertherm RHTC 80-710/15の中で、アルゴン流の下で焼結を行う。
【0077】
得られた様々な試料の組成及び性質を特性評価するために使用された実験手順は、以下の通りである:
1)難分解性の生成物中に存在する結晶相を、X線回折によって特徴付けた。得られた結果を表に示す。これらの表において、PPは、一つ又は複数の主となる相を指し、PMは、一つ又は複数の少量の相を指す。本発明の意味するところにおいて、相は、生成物の全重量の少なくとも25%を占めるときに「主となる」相と見なされる。相は、生成物の重量の5%を超えるが25%未満の量を占めるとき、特に、生成物の重量の5%を超えるが20%未満の量を占めるとき、好ましくは、生成物の重量の5%を超えるが15%未満の量を占めるときに、「少量の」相と見なされ、少量の相の重量の合計は、通常、生成物の重量の50%未満であり、好ましくは、生成物の重量の30%未満、さらには20%未満である。
【0078】
2)多孔率とメジアン径は、水銀ポロシメーターによって、既知の方法により測定している。細孔体積は、水銀圧入法によって、1cmの試料について、Autopore IV水銀ポロシメーター、シリーズ9520 Micromeriticsを使用し、2000barで測定する。適用可能な基準は、ISO15901-1:2016 part 1である。圧力を高圧へと増加させることは、水銀を、ますます小さな細孔へと「押し込む」。メジアン細孔径(表中でD50と記載する)は、体積を基準とした集団の50%の閾値に相当する。表中の「Mono」は、細孔径分布が単峰性であり、表にも記載されているD50を中心とすることを示している。
【0079】
3)残留炭素は、株式会社堀場製作所からの分析器を使用して、赤外線吸収によって測定し、ここで、粉末の形態である試料は、高純度の酸素流中での燃焼を経ている。
【0080】
4)初期混合物中に組み込まれた酸化チタン粒子のメジアン径を測定するために使用された機器は、屈折率が2.61である、株式会社堀場製作所からの粒度計、モデルLA-950V2である。
【0081】
【表1】
【0082】
表1の実施例1、8、及び9は、比較例である:
- 実施例1では、カーボンブラックの水準が、必要とされるマグネリ相を得るためには不十分である。
- 実施例8及び9では、二酸化チタン源が、粉末状のルチルである。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例14及び15は、比較例である:
- 実施例14では、焼結するための熱処理の温度が高すぎる。
- 実施例15では、有機化合物を取り除くための熱処理の温度が高すぎ、これは、一部の還元剤の除去をもたらす。
【0085】
本発明による実施例7、10、及び11について、生成物の細孔径分布に関して得られた曲線、及び電子顕微鏡写真を、図1に示す。マイクロメーターの位での細孔直径の値を中心とした、単峰性の細孔径分布であることがわかる。
【0086】
【表3】
【0087】
実施例19は、比較例である。すなわち、ルチルの割合が高すぎる。
【0088】
【表4】
【0089】
実施例20は、比較例である。すなわち、焼結温度が低すぎ、残留炭素の存在をもたらし、これは、電気化学的反応に対して有害なものとなり得る。
【0090】
次の実施例23及び24(表5)では、少ない割合の酸化物、Nb又はTaを、アナターゼ型のTiOに添加した。いずれの場合においても、特に、実施例4及び5に比べて、最終的な多孔率が、かなり増加したことがわかる。
【0091】
【表5】
【0092】
X線回折像のリートベルト分析により、実施例25の生成物は、80重量%のTi、及び20重量%のTiを含有することが示された。
【0093】
表に示したデータを分析すると、以下のことが判明した:
- ルチル相は、本発明による生成物を構成する材料に望ましい多孔率をもたらさないので、二酸化チタン源として、二酸化チタンのアナターゼ型を、少なくとも55重量%を超える割合で使用することが必要である;
- 還元剤の必要な量は、望ましいマグネリ相を得るために調整しなければならない;
- 有機物質の存在下に、空気又は酸化雰囲気下での熱処理を、酸化チタンの還元剤の蒸発温度を下回る温度で行わなければならず、例えば、還元剤がカーボンブラックであるときには、450℃を下回る温度で行わなければならない;
- 本発明による方法で得られた生成物は、34%を超えるか又はこれに等しい多孔率を有する;
- 細孔径分布は、単峰性であり、かつマイクロメーターの位である。
【0094】
これらのポロシメトリー特性は、一緒になって、液体のより良好な処理及びより高いろ過効率をもたらす。なぜならば、本発明による生成物は、このように、同一の細孔容積及び/又は増大した細孔容積に対して、そのすべてがマイクロメーターの位にあるメジアン径を有している多数の細孔によって特徴付けられることはもちろん、損失水頭を制限することによっても特徴付けられるからである。あるいは、これらの特性は、マイクロメーターの位にある小さなサイズの汚染種の、保持に対する向上した選択性及びより容易な除去をもたらす。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]以下の工程を含む、一般式TiO で示され、xの値が1.6~1.9である、本質的に、一つ又は複数の亜酸化チタンからなる多孔質生成物の製造方法:
(a)少なくとも一つの二酸化チタン源、炭素を含有する還元剤、及び好ましくは水のような溶媒と混合された、任意の一つ又は複数の有機物質を含む原料を混合すること;
(b)生成物を成形すること;
(c)任意に、特に工程(a)の間に有機物質が使用されたときに、一つ又は複数の前記有機物質を高い割合で除去するのに十分な温度であって、前記還元剤の蒸発温度よりも低い温度で、空気又は酸化雰囲気下で熱処理を行うこと;
(d)例えば、1150℃を超えるが、1430℃を超えない温度で、中性又は還元雰囲気下で焼結を行うこと;
ここで、二酸化チタン源は、少なくとも55重量%のアナターゼからなる。
[2]前記多孔質生成物が、xの値が1.6~1.9、好ましくは、1.75~1.85である一般式TiO に相当するように、前記還元剤の量を調整する、上記[1]に記載の方法。
[3]前記初期混合物が、前記二酸化チタン源として、90重量%を超えるアナターゼを含み、好ましくは、アナターゼ型のみを含む、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]炭素を含有する前記還元剤が、カーボンブラック、コークス、又は少なくとも50重量%の炭素、若しくは少なくとも70重量%の炭素、若しくは80重量%の炭素を含有する任意のその他の有機化合物から選択される、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の方法。
[5]前記還元剤が、カーボンブラックである、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の方法。
[6]前記初期混合物が、二酸化チタンの全重量に対して、1.5~5.0重量%の炭素を含む、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の方法。
[7]工程(d)が、中性雰囲気下で行われる、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の方法。
[8]工程(d)が、還元雰囲気下で行われる、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の方法。
[9]前記原料の混合物が、少なくとも90重量%のアナターゼ型の二酸化チタン、及び少なくとも3重量%のカーボンブラックを含有し、かつ前記焼結温度を、好ましくは、中性雰囲気下で、1300℃~1450℃に調整する、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の方法。
[10]前記多孔質生成物は、本質的に、Ti 及び/又はTi から選択されるマグネリ相からなる、上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の方法。
[11]前記原料の初期混合物が、全無機物質の重量の5.0%を下回る量で、二酸化チタン以外の無機物質を含む、上記[1]~[10]のいずれか一つに記載の方法。
[12]前記原料の初期混合物が、二酸化チタン以外の無機物質を含み、前記無機物質が、SiO であるシリカ;Nb 若しくはTa 、V 、ZrO である酸化物;又はBa、Sr、Mn、Cr、Feの酸化物;又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物;からなる群から選択される、上記[1]~[11]のいずれか一つに記載の方法。
[13]以下の特徴を有する、多孔質生成物:
- 前記生成物を構成する材料は、一般式TiO に対応しており、ここで、xの値が1.6~1.9、好ましくは1.75~1.85である;
- 細孔径分布が、およそ単峰性である:
- 細孔のメジアン径d 50 が、0.5~5μmである;
- 開放気孔率が、34%を上回る。
[14]Ti 、Ti 、Ti 11 、又はこれらの相の少なくとも2つの混合物から選択されるマグネリ相を、合計で、90重量%を超えて含んでいる、上記[13]に記載の多孔質生成物。
[15]細孔のメジアン径d 50 が、1~2.5μmである、上記[13]又は[14]に記載の多孔質生成物。
[16]全無機物質の重量の5.0%を下回る量で、二酸化チタン以外の無機物質をさらに含み、追加の前記無機物質が、SiO であるシリカ;Nb 若しくはTa 、V 、ZrO である酸化物;Ba、Sr、Mn、Cr、Feの酸化物;又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物;からなる群から選択される、上記[13]~[15]のいずれか一つに記載の多孔質生成物。
図1