(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】機械学習を使用する付加製造プロセスのリアルタイム適応制御
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20220608BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20220608BHJP
B29C 64/141 20170101ALI20220608BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20220608BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220608BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20220608BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20220608BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20220608BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20220608BHJP
B23K 15/00 20060101ALI20220608BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20220608BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/106
B29C64/141
B33Y50/00
B33Y10/00
B22F3/105
B22F3/16
B23K26/21 Z
B23K26/34
B23K15/00 501B
G06N20/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020125437
(22)【出願日】2020-07-22
(62)【分割の表示】P 2019565319の分割
【原出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-05-24
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519415764
【氏名又は名称】リラティビティ スペース,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】メーア,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】エリス,ティム
(72)【発明者】
【氏名】ヌーン,ジョーダン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-533925(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0032281(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0102689(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0178953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力設計幾何学的形状を有する物体を製造するための堆積プロセス制御パラメータの予測された最適なセットを生成するための方法であって、
a)堆積プロセスを使用して物理的に製造される物体の入力設計幾何学的形状を提供する工程と、
b)トレーニングデータセットを提供する工程であって、
(i)前記物理的に製造される物体とは異なる少なくとも1つの物体を含む複数の物体の過去の構築後の物理的検査データ、および
(ii)複数のプロセス制御パラメータのそれぞれの値を無作為に選択し、前記複数の
プロセス制御パラメータへの調整を、望ましくない結果または望ましい結果のいずれかをもたらすものとしてスコア付けする反復プロセスを通じて生成されたトレーニングデータを含み、結果は、前記プロセス制御パラメータの調整から生じる製造される物体で検出された欠陥の有無にそれぞれ基づいている、トレーニングデータセットを提供する工程と、
c)提供されたトレーニングデータセットを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングする工程と、
d)前記物体を製造するための堆積プロセスを開始および実施するための前記複数のプロセス制御パラメータの予測される最適なセットを生成する工程であって、ここで、前記複数のプロセス制御パラメータの予測される最適なセットは、前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して得られる、生成する工程と
を含む方法。
【請求項2】
機械学習アルゴリズムをトレーニングする工程が、プロセスウインドウの指定された範囲内の値を無作為に選択すること、前記無作為に選択された値を使用して、製造プロセスをシミュレートするための
プロセスシミュレーションツールを用いてプロセスシミュレーションデータを生成すること、および、前記生成されたプロセスシミュレーションデータをトレーニングデータセットに組み込んで、プロセス制御パラメータ値をプロセス結果にマッピングする学習モデルを改善することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
トレーニングデータセットを提供する工程が、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、複数の設計幾何学的形状またはその一部のインプロセス検査データ、または過去の構築後の物理的検査データを提供することをさらに含み、これは、熟練した操作者により複数のプロセス制御パラメータの1つ以上が手動で調整される間に生成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
物体が物理的に製造されているときに、複数のセンサのそれぞれから複数の物体特性データを受信する工程をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法であって、
ここで、トレーニングデータセットを提供する工程が、データを提供することをさらに含み、
ここで、複数のプロセス制御パラメータの予測される最適なセットを生成する工程は、物体が物理的に製造されているときに、複数のプロセス制御パラメータのうちの1つ以上を調整することを含む、方法。
【請求項5】
製造された物体で検出された欠陥が、指定された閾値よりも大きい物体特性データと基準データセットとの間の差として検出され、1クラスサポートベクターマシンと、欠陥のある物体と欠陥のない物体の物体特性データを含むトレーニングデータセットとを使用して分類される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
機械によって実行されると、機械に操作を実行させる命令をその中に有する機械可読媒体であって、前記操作は、
堆積プロセス制御パラメータの予測された最適なセットを使用して、堆積プロセスによって物理的に製造される物体の入力設計幾何学的形状を受け取る工程、
トレーニングデータセットを受け取る工程であって、前記トレーニングデータセットは、
前記物理的に製造される物体とは異なる少なくとも1つの物体を含む複数の物体の過去の構築後の物理的検査データ、および
複数のプロセス制御パラメータのそれぞれの値を無作為に選択し、複数のプロセス制御パラメータへの調整を、望ましくない結果または望ましい結果のいずれかをもたらすものとしてスコア付けする反復プロセスを通じて生成されたトレーニングデータであって、結果は、プロセス制御パラメータの調整から生じる製造された物体で検出された欠陥の有無
にそれぞれ基づいている、トレーニングデータを含む、受け取る工程と、
提供されたトレーニングデータセットを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングする工程、および
物体を製造するための堆積プロセスを開始および実施するための前記複数のプロセス制御パラメータの予測される最適なセットを生成する工程であって、ここで、前記複数のプロセス制御パラメータの予測される最適なセットは、トレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して得られる、生成する工程と
を含む機械可読媒体。
【請求項7】
機械学習アルゴリズムをトレーニングする工程が、プロセスウインドウの指定された範囲内の値を無作為に選択すること、前記無作為に選択された値を使用して、製造プロセスをシミュレートするためのプロセスシミュレーションデータを生成すること、および前記生成されたプロセスシミュレーションデータを、トレーニングデータセットに組み込んで、プロセス制御パラメータ値をプロセス結果にマッピングする学習モデルを改善することをさらに含む、請求項6に記載の機械可読媒体。
【請求項8】
プロセスシミュレーションデータを生成することが、有限要素解析を使用してプロセスシミュレーションデータを生成することを含む、請求項7に記載の機械可読媒体。
【請求項9】
堆積プロセスを制御するためのシステムであって、前記システムは、
a)堆積プロセスを使用して、および入力設計幾何学的形状に基づいて、物体を製造するように構成された堆積装置、
b)堆積装置の堆積プロセスを特性評価するように構成された1つ以上のセンサであって、1つ以上のセンサは、1つ以上のプロセスパラメータまたは物体特性に関するデータを提供する、センサ、ならびに
c)プロセッサであって、
(i)物体の製造中に堆積プロセスパラメータを制御するための1つ以上の入力プロセス制御パラメータの予測された最適なセットを提供し、前記1つ以上の入力プロセス制御パラメータの予測された最適なセットは、トレーニングデータセットを使用してトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して得られるようにプログラムされ、
(ii)機械学習アルゴリズムへの入力として、1つ以上のセンサからデータを受信するようにプログラムされ、
(iii)1つ以上のセンサからのデータを使用して、物体の製造中に物体欠陥を検出するようにプログラムされ、
(iv)機械学習アルゴリズムを使用して、検出された物体欠陥を分類するようにプログラムされ、
(v)機械学習アルゴリズムへの入力として、検出された物体欠陥の分類を提供するようにプログラムされ、
(vi)検出された物体欠陥の分類に基づいて、1つ以上の入力プロセス制御パラメータを調整し、前記調整は、機械学習アルゴリズムを使用して得られるようにプログラムされ、そして
(vii)物体の製造中に1つ以上の入力プロセス制御パラメータを調整するように堆積装置に命令を与えるようにプログラムされる、
プロセッサを備える、システム。
【請求項10】
プロセッサは、反復的に実行し、各反復について検出された物体欠陥の分類をトレーニングデータセットに組み込むようにさらにプログラムされる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
第1の堆積装置、第1のセンサ、および第1のプロセッサを含む分散型モジュラーシス
テムとして実装され、ここで、前記第1の堆積装置、前記第1のセンサ、および前記第1のプロセッサは、トレーニングデータを共有し、かつネットワークを介して第2のプロセッサを用いて特性評価データを処理するように構成される、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
方法であって、前記方法は、
(a)物体の製造中に堆積製造プロセスパラメータを制御するための1つ以上の入力プロセス制御パラメータの予測される最適なセットを提供する工程であって、ここで、前記1つ以上の入力プロセス制御パラメータの予測される最適なセットは、トレーニングデータセットを使用してトレーニングされた、機械学習アルゴリズムを使用して得られる、提供する工程、
(b)前記機械学習アルゴリズムへの入力として、1つ以上のセンサから製造されている物体特性を使用して、堆積プロセスを特性評価するデータを受信する工程、
(c)1つ以上のセンサからのデータを使用して、物体の製造中に物体欠陥を検出する工程、
(d)前記機械学習アルゴリズムを使用して、前記検出された物体欠陥を分類する工程、
(e)前記機械学習アルゴリズムへの入力として、前記検出された物体欠陥の分類を提供する工程、
(f)前記検出された物体欠陥の分類に基づいて、1つ以上の入力プロセス制御パラメータを調整する工程であって、ここで、前記調整は、機械学習アルゴリズムを使用して得られる、工程、および
(g)前記物体の製造中に、1つ以上の入力プロセス制御パラメータを調整するための命令を与える工程
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記方法は、
(h)トレーニングデータセットを提供する工程であって、前記データセットは
(i)前記物理的に製造される物体とは異なる少なくとも1つの物体を含む複数の物体の過去の構築後の物理的検査データ、および
(ii)複数のプロセス制御パラメータのそれぞれの値を無作為に選択し、前記複数のプロセス制御パラメータへの調整を、望ましくない結果または望ましい結果のいずれかをもたらすものとしてスコア付けする反復プロセスを通じて生成されたトレーニングデータを含み、結果は、前記プロセス制御パラメータの調整から生じる製造される物体で検出された欠陥の有無にそれぞれ基づいている、トレーニングデータセットを提供する工程と、
(i)提供されたトレーニングデータセットを使用して、機械学習アルゴリズムをトレーニングする工程と
をさらに含む、方法。
【請求項14】
自由形式の堆積プロセスの適応制御のための方法であって、前記方法は、
a)自由形式の堆積プロセスを使用して物理的に製造される物体の入力設計幾何学的形状を提供する工程と、
b)トレーニングデータセットを提供する工程であって、
(i)前記物理的に製造される物体とは異なる少なくとも1つの物体を含む複数の物体のプロセス特性評価データ、および
(ii)複数のプロセス制御パラメータのそれぞれの値を無作為に選択し、前記複数のプロセス制御パラメータへの調整をスコア付けして、望ましくない結果または望ましい結果のいずれかをもたらすものとしてスコア付けする反復プロセスを通じて生成されたトレーニングデータを含み、結果は、前記プロセス制御パラメータの調整から生じる製造される物体で検出された欠陥の有無にそれぞれ基づいている、トレーニングデータセットを提供する工程と、
c)自由形式の堆積プロセスを開始するための複数のプロセス制御パラメータの予測された最適なセットを提供する工程であって、ここで、複数のプロセス制御パラメータの予測された最適なセットは、トレーニングデータセットを使用してトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して得られる、工程、
(d)トレーニングデータを使用してトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して、検出された物体欠陥の分類を提供する工程であって、ここで、複数のセンサからのデータは、機械学習アルゴリズムへの入力として提供され、前記検出された物体欠陥の分類は、機械学習アルゴリズムからの出力である、工程、および
(e)物体を製造するために自由形式の堆積プロセスを実行するための命令を与える工程であって、ここで、前記機械学習アルゴリズムは、自由形式の堆積プロセスを物理的に実行しながら、複数のプロセス制御パラメータを調整する、工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本出願は、2017年5月24日に出願された米国特許出願第15/604,473号の利益を主張するものであり、これは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
付加製造プロセスは、鋳型又はダイスを使用することなく、機能的な複雑部品を層ごとに生成することを可能にする製造技術である。様々なタイプの付加製造に使用される方法及び装置の最近の進歩にもかかわらず、プロセス又は環境パラメータの変化に応じて使用されるプロセス制御パラメータの迅速な最適化及び調整を可能にし、かつ生成される部品の品質を改善するための方法に対するニーズが存在する。機械学習アルゴリズムを使用して、物体欠陥の自動分類を実施するための方法及びシステムが開示される。さらに、プロセスの歩留まり、スループット、及び品質を改善するために、付加製造あるいは溶接プロセスを含む自由形式の堆積又は接合プロセスのリアルタイム適応制御を実施するための方法及びシステムが開示される。
【発明の概要】
【0003】
自由形式の堆積プロセス又は接合プロセスのリアルタイム適応制御のための方法が本明細書に開示され、上記方法は:a)物体に関する入力設計幾何学的形状を提供する工程と;b)トレーニングデータセットを提供する工程であって、ここで、該トレーニングデータセットは、工程(a)の入力設計幾何学的形状と同じ又は異なる複数の設計幾何学的形状あるいはそれらの一部に関するプロセスシュミレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又は任意のそれらの組み合わせを含む、工程と;c)上記物体を製造するための1つ以上のプロセス制御パラメータの予測された最適なセット又はシーケンスを提供する工程であって、ここで、1つ以上のプロセス制御パラメータの予測された最適なセットは、工程(b)のトレーニングデータセットを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して得られる、工程と;d)上記物体を製造するために自由形式の堆積プロセス又は接合プロセスを実施する工程であって、ここで、上記1つ以上のプロセス制御パラメータをリアルタイムで調整するためのリアルタイムプロセス特性評価データが、入力として機械学習アルゴリズムに提供される、工程とを含む。
【0004】
幾つかの実施形態では、工程(b)-(d)は反復して実行され、各反復に関するプロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせは、トレーニングデータセットに組み込まれる。幾つかの実施形態では、上記自由形式の堆積プロセス又は接合プロセスは、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理法(DLP)、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザー焼結法(SLS)、選択的レーザー溶融法(SLM)、あるいは電子ビーム溶解法(EBM)、又は溶接プロセスである。幾つかの実施形態では、上記自由形式の堆積プロセスは液体-個体自由形式の堆積プロセスである。幾つかの実施形態では、液体-個体自由形式の堆積プロセスはレーザー金属ワイヤー積層プロセスである。幾つかの実施形態では、プロセスシュミレーションデータは、有限要素解析(FEA)、有限体積解析(FVA)、有限差分解析(FDA)、数値流体力学(CFD)計算、又は任意のそれらの組み合わせの実行によって提供される。幾つかの実施形態では、予測又は制御される1つ以上のプロセス制御パラメータは、物質堆積のレート、堆積装置の変異のレート、堆積装置の加速率、堆積装置の変異の方向、時間に応じた堆積装置の位置(ツールパス)、堆積方向に対する堆積装置の角度、意図した幾何学的形状におけるオーバーハングの角度、堆積中の物質への熱流束の強度、熱流束表面のサイズ及び形状、シールドガス流の流量及び角度、ベースプレートの温度、堆積プロセス間の周囲温度制御、堆積前の堆積物質の温度、抵抗加熱装置の電流又は電圧の設定、誘導加熱装置の電圧周波数又は振幅、堆積物質の選択、1つを超える堆積材料が使用される場合の堆積材料の体積比率あるいは重量比、又は任意のそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、プロセスシュミレーションデータは、指定された入力処理制御パラメータのセットに応じて、堆積物の容積又は頂点温度、堆積物の冷却速度、堆積物の化学組成、堆積物中の成分の分離状態、堆積物の幾何学的特性、堆積中の物質から出る熱流束の強度、堆積物からの電磁放射、堆積物からのアコースティックエミッション、又は任意のそれらの組み合わせの予測を含む。幾つかの実施形態では、プロセス特性評価データは、堆積物の容積又は頂点温度、堆積物の冷却速度、堆積物の化学組成、堆積物中の成分の分離状態、堆積物の幾何学的特性、物質堆積のレート、堆積装置の変異のレート、堆積装置の位置(ツールパス)、堆積方向に対する堆積装置の角度、堆積装置の状態標識、堆積した幾何学的形状におけるオーバーハングの角度、意図した幾何学的形状におけるオーバーハングの角度、堆積中の物質への熱流束の強度、堆積中の物質から出る熱流束の強度、堆積物からの電磁放射、堆積材料からのアコースティックエミッション、堆積材料の電気伝導率、堆積物質の熱伝導率、製造されている物体の幾何学的形状における欠陥、又は任意のそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、インプロセス又は構築後検査データは、表面仕上げの視覚的又はマシンビジョンベースの検査、表面の亀裂あるいは気孔の視覚的又はマシンビジョンベースの検査、強度、硬度、延性、疲労などの機械的特性のテスト、組成などの化学的特性のテスト、構成物質の分離、X線回折又は画像化、CTスキャン、超音波映像、渦電流センサアレイ測定、あるいはサーモグラフィーなどの欠陥の特性評価方法、又は任意のそれらの組み合わせからのデータを含む。幾つかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、半教師あり学習アルゴリズム、強化学習アルゴリズム、ディープ学習アルゴリズム、又は任意のそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズム、ガウスプロセス回帰アルゴリズム、ロジスティックモデルツリーアルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、ファジィクラシファイアアルゴリズム、デシジョンツリーアルゴリズム、階層的クラスタリングアルゴリズム、K平均法アルゴリズム、ファジィクラスタリングアルゴリズム、ディープボルツマン機械学習アルゴリズム、ディープ畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム、ディープ再帰ニューラルネットワーク、又は任意のそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは人工ニューラルネットワークを含む。幾つかの実施形態では、人工ニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び少なくとも1つの隠れた層を含む。幾つかの実施形態では、人工ニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び少なくとも5つの隠れた層を含む。幾つかの実施形態では、人工ニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び少なくとも10の隠れた層を含む。幾つかの実施形態では、入力層におけるノードの数は少なくとも10である。幾つかの実施形態では、入力層におけるノードの数は少なくとも100である。幾つかの実施形態では、入力層におけるノードの数は少なくとも1,000である。幾つかの実施形態では、プロセス特性評価データの少なくとも1つのストリームは、少なくとも10Hzのレートで機械学習アルゴリズムに提供される。幾つかの実施形態では、プロセス特性評価データの少なくとも1つのストリームは、少なくとも100Hzのレートで機械学習アルゴリズムに提供される。幾つかの実施形態では、プロセス特性評価データの少なくとも1つのストリームは、少なくとも1,000Hzのレートで機械学習アルゴリズムに提供される。幾つかの実施形態では、1つ以上のプロセス制御パラメータは、少なくとも10Hzのレートで調整される。幾つかの実施形態では、1つ以上のプロセス制御パラメータは、少なくとも100Hzのレートで調整される。幾つかの実施形態では、1つ以上のプロセス制御パラメータは、少なくとも1,000Hzのレートで調整される。幾つかの実施形態では、上記方法は、堆積装置、センサ、及びプロセッサを有する単一の統合システムを使用して実施される。幾つかの実施形態では、上記方法は、第1の堆積装置、第1のセンサ、及び第1のプロセッサを含む分散型モジュラーシステムを使用して実施され、ここで、第1の堆積装置、第1のセンサ、及び第1のプロセッサは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、あるいはインターネットを介して、トレーニングデータ及び/又はリアルタイムプロセス特性評価データを共有するように構成される。幾つかの実施形態では、トレーニングデータセットはインターネットクラウド内に存在する。幾つかの実施形態では、第1の堆積装置、第1のセンサ、及び第1のプロセッサ間のデータの共有は、データ圧縮アルゴリズム、データ特徴抽出アルゴリズム、あるいはデータ次元削減アルゴリズムの使用により促進される。幾つかの実施形態では、トレーニングデータセットは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、あるいはインターネットを介してデータを共有するように構成される複数の堆積装置及びセンサ間で共有され、上記複数の堆積装置及びセンサからのデータを用いて更新される。幾つかの実施形態では、トレーニングデータセットは、入力プロセス制御パラメータを手動で調整する間に熟練オペレータによって生成される、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、あるいは任意のそれらの組み合わせをさらに含む。幾つかの実施形態では、機械学習アルゴリズムのトレーニングの一部として、機械学習アルゴリズムは、1つ以上のプロセス制御パラメータのセットの各々について指定された範囲内の値を無作為に選択し、結果として生じるプロセスシュミレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、あるいは任意のそれらの組み合わせをトレーニングデータセットへと組み込み、プロセス結果に対して、プロセス制御パラメータ値をマッピングする学習されたモデルを改善する。
【0005】
さらに、自由形式の堆積プロセスあるいは接合プロセスを制御するためのシステムが本明細書において開示され、上記システムは:a)入力設計幾何学的形状に基づいて物体を製造することができる第1の堆積装置と;b)1つ以上のプロセスパラメータあるいは物体の特性に関するリアルタイムデータを提供する、1つ以上のプロセス特性評価センサと;c)(i)1つ以上の入力プロセス制御パラメータの予測された最適なセットを提供し、(ii)1つ以上のプロセス特性評価センサによって提供されるリアルタイムプロセス特性評価データのストリームに基づいて、1つ以上のプロセス制御パラメータをリアルタイムで調整するようにプログラムされるプロセッサと、を含み、ここで、予測及び調整は、トレーニングデータセットを使用してトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して得られる。
【0006】
幾つかの実施形態では、システムは、コンピュータメモリーデバイスを機械学習アルゴリズムソフトウェア内に含み、1つ以上のプロセス特性評価センサからのセンサデータ、1つ以上のプロセス制御パラメータの予測又は調整された値、トレーニングデータセット、あるいはそれらの任意の組み合わせが記憶される。幾つかの実施形態では、第1の堆積装置、1つ以上のプロセス特性評価センサ、及びプロセッサは、単一の統合システムに組み込まれる。幾つかの実施形態では、第1の堆積装置、1つ以上のプロセス特性評価センサ、及びプロセッサは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、あるいはインターネットを介して、トレーニングデータ及び/又はリアルタイムプロセス特性評価データを共有する分散型システムモジュールとして構成される。幾つかの実施形態では、トレーニングデータセットは、インターネットクラウド内に存在し、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、あるいはインターネットを介してデータを共有するように構成される複数の堆積装置及びセンサ間で共有され、上記複数の堆積装置及びセンサからのデータを用いて更新される。幾つかの実施形態では、工程(a)の物体と同じ又は異なる複数の物体に関するプロセスシュミレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、あるいは任意のそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上のプロセス特性評価センサは、温度センサ、位置センサ、運動センサ、タッチ/近接センサ、加速度計、プロフィルメータ、ゴニオメーター、イメージセンサ及びマシンビジョンシステム、電気伝導率センサ、熱伝導率センサ、ストレインゲージ、ジュロメーター、X線回折、イメージング デバイス、CTスキャン装置、超音波映像装置、渦電流センサアレイ、サーモグラフ、堆積装置の状態標識、あるいは任意のそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上のプロセス特性評価センサは、少なくとも1つのレーザー干渉計、マシンビジョンシステム、あるいは、物体によって反射、散乱、吸収、透過、又は放出される電磁放射線を検出するセンサを含む。幾つかの実施形態では、マシンビジョンシステムは、物体寸法の測定に使用される可視光ベースのシステムとして構成される。幾つかの実施形態では、マシンビジョンシステムは、物体表面仕上げの測定に使用される可視光ベースのシステムとして構成される。幾つかの実施形態では、マシンビジョンシステムは、物体内の物体温度あるいは熱流束の測定に使用される赤外線ベースのシステムとして構成される。幾つかの実施形態では、マシンビジョンシステムは、物体の物質特性の測定に使用されるX線回折ベースのシステムとして構成される。幾つかの実施形態では、予測あるいは調整される1つ以上のプロセス制御パラメータは、物質堆積のレート、堆積装置の変異のレート、堆積装置の加速率、堆積装置の変異の方向、堆積方向に対する堆積装置の角度、堆積中の物質への熱流束の強度、熱流束表面のサイズ及び形状、シールドガス流の流量及び角度、堆積装置の温度、堆積プロセス間の周囲温度制御、堆積前の堆積物質の温度、抵抗加熱装置の電流又は電圧の設定、誘導加熱装置の電圧周波数又は振幅、堆積物質の選択、1つを超える堆積材料が使用される場合の堆積材料の体積比率あるいは重量比、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、半教師あり学習アルゴリズム、強化学習アルゴリズム、ディープ学習アルゴリズム、又は任意のそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは人工ニューラルネットワークを含む。幾つかの実施形態では、人工ニューラルネットワークは、入力層、出力層、及び少なくとも5つの隠れた層を含む。幾つかの実施形態では、入力層におけるノードの数は少なくとも100である。幾つかの実施形態では、リアルタイムプロセス特性評価データの少なくとも1つのストリームは、少なくとも100Hzのレートで機械学習アルゴリズムに提供される。幾つかの実施形態では、1つ以上のプロセス制御パラメータは、少なくとも100Hzのレートで調整される。
【0007】
物体欠陥の自動分類のための方法が本明細書において開示され、上記方法は:b)トレーニングデータセットを提供する工程であって、ここで、該トレーニングデータセットは、物体の設計幾何学的形状と同じ又は異なる複数の設計幾何学的形状に関する製造プロセスシュミレーションデータ、製造プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又は任意のそれらの組み合わせを含む、工程と;b)1つ以上のプロセスパラメータあるいは物体の特性に関するリアルタイムデータを提供する、1つ以上のセンサを提供する工程と;c)工程(a)のトレーニングデータセットを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して、検出された物体欠陥の分類を提供するようにプログラムされるプロセッサを提供する工程であって、ここで、1つ以上のセンサからのリアルタイムデータが、入力として機械学習アルゴリズムに提供され、検出された物体欠陥の分類をリアルタイムで調整することを可能にする、工程とを含む。
【0008】
幾つかの実施形態では、上記方法は、機械学習アルゴリズムに提供される前に、1つ以上のセンサによって提供される物体の特性データからノイズを除去する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、ノイズは、信号平均化アルゴリズム、平滑化フィルタアルゴリズム、カルマンフィルタアルゴリズム、非線形フィルタアルゴリズム、全変動最小化アルゴリズム、あるいは任意のそれらの組み合わせを使用して、物体特性データから除去される。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサは、物体によって反射、散乱、吸収、透過、あるいは放出される電磁放射線に関するデータを提供する。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサは、イメージセンサあるいはマシンビジョンシステムを含む。幾つかの実施形態では、電磁放射線は、紫外線、可視光、あるいは赤外線である。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサは、物体によって反射、散乱、吸収、透過、あるいは放出される音響エネルギー又は力学的エネルギーに関するデータを提供する。幾つかの実施形態では、基準データセットの減算は、物体の正常な特徴と欠陥のある特徴と間の対比を増加させるために使用される。幾つかの実施例では、1つ以上のセンサは、電気伝導率あるいは物体の熱伝導率に関するデータを提供する。幾つかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、半教師あり学習アルゴリズム、強化学習アルゴリズム、ディープラーニングアルゴリズム、又は任意のそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサの少なくとも1つは、少なくとも100Hzのレートで機械学習アルゴリズムに入力として提供される。幾つかの実施形態では、検出された物体欠陥の分類は、少なくとも100Hzのレートで調整される。幾つかの実施形態では、検出された物体欠陥は、サポートベクターマシン(SVM)、人工ニューラルネットワーク(ANN)、あるいは決定木ベースのエキスパート学習システムを使用して分類される。幾つかの実施形態では、物体欠陥は、指定された閾値より大きい物体特性データと基準データセットの間の差として検出され、1クラスサポートベクターマシン(SVM)あるいは自動エンコーダアルゴリズムを使用して分類される。幾つかの実施形態では、物体欠陥は、教師なし1クラスサポートベクターマシン(SVM)、自動エンコーダ、クラスタリング、あるいは最近傍(kNN)機械学習アルゴリズム、及び欠陥がある物体と欠陥がない物体に関する物体特性データを含むトレーニングデータセットを使用して、検出及び分類される。
【0009】
自由形式の堆積プロセス又は接合プロセスのリアルタイム適応制御のための方法が本明細書に開示され、上記方法は:a)物体に関する入力設計幾何学的形状を提供する工程と;b)トレーニングデータセットを提供する工程であって、ここで、上記トレーニングデータセットは、工程(a)の入力設計幾何学的形状と同じ又は異なる複数の設計幾何学的形状あるいはそれらの一部に関するプロセスシュミレーションデータ、特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又は任意のそれらの組み合わせを含む、工程と;c)物体を製造するために、自由形式の堆積プロセス又は接合プロセスを開始するための1つ以上のプロセス制御パラメータの1セット又はシーケンスを提供する工程と;d)上記物体を製造するために自由形式の堆積プロセス又は接合プロセスを実施する工程であって、ここで、上記1つ以上のプロセス制御パラメータをリアルタイムで調整するためのリアルタイムプロセス特性評価データが、入力として、工程(b)のトレーニングデータセットを使用してトレーニングされている機械学習アルゴリズムに提供される、工程とを含む。幾つかの実施形態では、自由形式の堆積プロセスあるいは接合プロセスを開始するための1つ以上のプロセス制御パラメータの予測された最適なセットあるいはシーケンスはさらに、機械学習アルゴリズムを使用して得られる。
【0010】
<引用による組み込み>
本明細書で言及されるすべての出版物、特許、及び、特許出願は、各々の出版物、特許、又は、特許出願が、具体的かつ個別に参照することによってその全体が組み込まれると意図されるのと同じ程度まで、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書の用語と組み込まれた参照の用語との間に矛盾がある場合には、本明細書の用語が支配する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の新しい特徴は、特に、添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
【0012】
【
図1】自由形式の堆積プロセス(例えば、付加製造プロセス)のリアルタイム適応制御を提供するための機械学習ベースシステムの概略図を提供する。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態にかかる、物質堆積プロセス(例えば、レーザー金属ワイヤー積層プロセス)のための例示的セットアップの概略図である。
【
図3】A-Cは、付加製造プロセスを使用した材料堆積のための、連続的な渦巻形の「二次元」層(有限厚)及び関連する螺旋形のツールパス(
図3のA)、あるいは積み重ねられた一連の「二次元」層及び関連する円形の層ごとのツールパス(
図3のB)への、三次元物体に対するCAD設計の変換の概略図を提供する。Cは、ロボット操作された堆積ツールのためのツールパス、及び付加製造プロセスを使用して製造された結果としてもたらされる物体のシミュレーションを例証する。
【
図4A】レーザー金属ワイヤー積層の溶融プールのモデリングのFEAシミュレーションデータの例を提供する。レーザー金属ワイヤー積層プロセスによって堆積されている溶融プール中の材料の液体画分について、色分けされた三次元のFEAシミュレーションデータの等角図である。
【
図4B】レーザー金属ワイヤー積層の溶融プールのモデリングのFEAシミュレーションデータの例を提供する。溶融プール中の材料の液体画分についてのFEAシミュレーションデータの断面図である。
【
図4C】レーザー金属ワイヤー積層の溶融プールのモデリングのFEAシミュレーションデータの例を提供する。溶融プール中の材料の静温度について色分けされた三次元のFEAシミュレーションデータの断面図である。
【
図5】付加製造システム(つまり、レーザー金属ワイヤー積層システム)の特定のタイプの非限定的例の図である。
【
図6】A-Bは、干渉計使用法を使用して、製造過程の特徴監視の1つの非限定的な例を示す。Aは、ワイヤー供給及びレーザー金属ワイヤー積層プロセスの光で覆われた溶融プールの幾何学的形状を調査するために使用されるレーザービームの概略図を示す。Bは、ワイヤー供給(実線;ピーク)及び以前に堆積した層(実線;肩)ならびに結果としてもたらされる溶融プール(破線)の断面プロファイル(つまり、堆積の幅にわたる高さプロファイル)を示す。X軸(幅)次元は任意単位でプロットされる。Y軸(高さ)次元は、堆積層より下の固定基準点に関してミリメートルの単位でプロットされる。
【
図7】A-Cは、マシンビジョンシステムを使用して得られたレーザー金属ワイヤー積層プロセスの画像からのインプロセス特徴抽出の1つの非限定的な例を示す。Aは、マシンビジョンシステムから得た生の画像ストリームである。Bは、ノイズ除去、フィルタリング、及びエッジ検出アルゴリズムが適用された後の処理画像である。Cは、特徴抽出アルゴリズムを適用した後の処理画像である。
【
図8】本開示の幾つかの実施形態にかかる、強化学習アルゴリズムの行動予測-報酬ループを例示する。
【
図9】手動で制御された堆積プロセス中に人間オペレータが選択する行動の監視に基づく報酬関数の構築を例示する。
【
図10】本開示の幾つかの実施形態にかかる人工ニューラルネットワーク、及び付加製造の堆積プロセスのリアルタイム適応制御を提供するために使用されるニューラルネットワークの入力と出力の例の概略図を提供する。
【
図11】人工ニューラルネットワークの層内におけるノードの機能の概略図を提供する。
【
図12】付加製造の堆積装置、マシンビジョンシステム及び/又は、他のプロセス監視ツール、プロセスシュミレーションツール、構築後検査ツール、ならびに機械学習アルゴリズムを実行するためのプロセッサを含む統合システムの概略図を提供し、ここで、上記プロセッサは、堆積プロセスのリアルタイム適応制御を提供するために、マシンビジョン及び/又はプロセス監視ツール、プロセスシュミレーションツール、構築後検査ツール、あるいはそれらの任意の組み合わせからのデータを利用する。
【
図13】付加製造の堆積装置、マシンビジョンシステム及び/又は、他のプロセス監視ツール、プロセスシュミレーションツール、構築後検査ツール、ならびに機械学習アルゴリズムを実行するためのプロセッサを含む分散型システムの概略図を提供し、ここで、上記プロセッサは、堆積プロセスのリアルタイム適応制御を提供するために、マシンビジョン及び/又はプロセス監視ツール、プロセスシュミレーションツール、構築後検査ツール、あるいはそれらの任意の組み合わせからのデータを利用する。幾つかの実施形態では、システムの異なるコンポーネントあるいはモジュールは、異なるワークスペース及び/又はワークサイトに物理的に置かれ、及び、プロセスデータ(例えば、トレーニングデータ、プロセスシュミレーションデータ、プロセス制御データ、及び構築後検査データ)ならびにプロセス制御命令が、様々なモジュール間で共有及び交換され得るように、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、あるいはインターネットを介して関連づけられてもよい。
【
図14】教師なし特徴抽出及びデータ圧縮プロセスの非限定的な例を示す。
【
図15】物体欠陥の分類のための教師なし機械学習プロセスの非限定的な例について、予測された結果を例示する。
【
図16】A-Cは、処理後画像の特徴抽出、及び構築時の動作との相関の例を提供する。Aは、構築プロセスが完了した後の部品の画像である。Bは、構築後検査の出力(CTスキャン)である。Cは、自動特徴抽出後のBのCTスキャン画像であり;自動特徴抽出は、部品特徴と構築時の動作を相関させることを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
物体、例えば、付加製造プロセス又は溶接プロセスを用いて製造された物体欠陥の自動分類のための方法が本明細書に開示され、上記方法は:b)トレーニングデータセットを提供する工程であって、ここで、上記トレーニングデータセットは、上記物体と同じ又は異なる複数の物体の設計幾何学的形状に関する、製造プロセスシュミレーションデータ、製造プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又は任意のそれらの組み合わせを含む、工程と;b)1つ以上のプロセスパラメータあるいは物体の特性に関するリアルタイムデータを提供する、1つ以上のセンサを提供する工程と;c)工程(a)のトレーニングデータセットを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して、検出された物体欠陥の分類を提供するようにプログラムされるプロセッサを提供する工程であって、ここで、1つ以上のセンサからのリアルタイムデータが、入力として機械学習アルゴリズムに提供され、検出された物体欠陥の分類をリアルタイムで調整することを可能にする、工程とを含む。さらに、物体欠陥の自動分類を実施するように設計されたシステムが開示される。
【0014】
付加製造あるいは溶接プロセスのリアルタイム適応制御のための方法が本明細書において開示され、上記方法は:a)物体に関する入力設計幾何学的形状を提供する工程と;b)トレーニングデータセットを提供する工程であって、ここで、上記トレーニングデータセットは、工程(a)又はその任意の一部の入力設計幾何学的形状と同じ又は異なる複数の設計幾何学的形状に関するプロセスシュミレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又は任意のそれらの組み合わせを含む、工程と;c)上記物体を製造するための1つ以上のプロセス制御パラメータの予測された最適なセット/シーケンスを提供する工程であって、ここで、上記1つ以上のプロセス制御パラメータの予測された最適なセットは、工程(b)のトレーニングデータセットを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して得られる、工程と;d)上記物体を製造するために付加製造あるいは溶接プロセスを実施する工程であって、ここで、上記1つ以上のプロセス制御パラメータをリアルタイムで調整するためのリアルタイムプロセス特性評価データが、入力として機械学習アルゴリズムに提供される工程と、を含む。さらに、
図1で概略的に例示されるように、これらの方法を実施するように設計されたシステムが開示される。
図1に示されるように、幾つかの実施形態では、付加製造あるいは溶接プロセスの適応リアルタイム制御のための開示される方法は、例えば、システムの異なるコンポーネント又はモジュールが異なるワークスペース、異なるワークサイト、あるいは異なる地理的位置に物理的に置かれ、ならびに、プロセスシュミレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データを処理し、及び/又は適応プロセス制御命令が電気通信ネットワークあるいはインターネットを用いて場所間で共有及び交換される、分散型システムを使用して実施され得る。
【0015】
本明細書で使用されるように、用語「堆積プロセス」及び「自由形式の堆積プロセス」は、様々な液体-個体の自由形式の堆積プロセス、個体-個体の自由形式の堆積プロセス、付加製造プロセス、溶接プロセスなどのいずれかを指し得る。幾つかの実施形態では、以下により詳細に記載されるように、開示される方法及びシステムは、限定されないが、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザー焼結法(SLS)、あるいは選択的レーザー溶融法(SLM)を含む、様々な付加製造プロセスのいずれかを指し得る。幾つかの好ましい実施形態では、付加製造プロセスは、液体-個体の自由形式の堆積プロセス(例えば、レーザー金属ワイヤー堆積プロセス)あるいは溶接プロセス(例えば、レーザ溶接プロセス)を含み得る。
【0016】
幾つかの実施形態では、プロセスシュミレーションデータは、物体欠陥の自動分類、プロセス制御パラメータの最適なセット又はシーケンスの予測、プロセス制御パラメータのリアルタイムでの調整、あるいはそれらの任意の組み合わせを可能にする機械学習アルゴリズムによって使用されるトレーニングデータセットに組み込まれてもよい。例えば、有限要素解析(FEA)などのプロセスシュミレーションツールは、プロセス制御パラメータの指定されたセットの機能として様々な製造材料のいずれかから、物体あるいはその特定の部分(例えば、特徴)を製造するプロセスをシミュレートするために使用されてもよい。幾つかの実施形態では、プロセスシュミレーションツールは、指定された物体あるいは物体の特徴を製造するためのプロセス制御パラメータの最適なセット又はシーケンスを予測するために使用されてもよい。
【0017】
幾つかの実施形態では、プロセス特性評価データは、物体欠陥の自動分類、プロセス制御パラメータの最適なセット又はシーケンスの予測、プロセス制御パラメータのリアルタイムでの調整、あるいはそれらの任意の組み合わせを可能にする機械学習アルゴリズムによって使用されるトレーニングデータセットに組み込まれてもよい。例えば、以下でより詳細に記載されるように、プロセス特性評価データは、様々なセンサあるいはマシンビジョンシステムのいずれかによって提供され得る。幾つかの実施形態では、プロセス特性評価データは、付加製造装置のプロセス制御パラメータをリアルタイムで更新するために、機械学習アルゴリズムに供給され得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、インプロセスあるいは構築後検査データは、物体欠陥の自動分類、プロセス制御パラメータの最適なセット又はシーケンスの予測、プロセス制御パラメータのリアルタイム調整、あるいはそれらの任意の組み合わせを可能にする機械学習アルゴリズムによって使用されるトレーニングデータセットに組み込まれても良い。例えば、インプロセスあるいは構築後検査データは、以下により詳細に記載されるように、物体の寸法、表面仕上げ、表面亀裂又は気孔の数などの視覚的あるいはマシンビジョンベースの測定からのデータを含み得る。幾つかの実施形態では、インプロセス検査データ(例えば、自動欠陥分類データ)は、例えば、最初に検出された時に欠陥を是正するように、是正処置を実行するプロセス制御パラメータ調整のセット又はシーケンスを決定する、例えば、層の寸法又は厚さを調整するための機械学習アルゴリズムによって使用されてもよい。幾つかの実施形態では、インプロセス検査データ(例えば、自動欠陥分類データ)は、警告又はエラー信号をオペレータに送るために、あるいは随意に、堆積プロセス(例えば、付加製造プロセス)を自動的にアボートするために、機械学習アルゴリズムによって使用されてもよい。
【0019】
幾つかの実施形態では、トレーニングデータセットは、反復して実施される付加製造プロセスの各反復後に、追加のプロセスシュミレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、あるいはそれらの任意の組み合わせを用いて更新される。幾つかの実施形態では、トレーニングデータセットは、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、あるいはそれらの任意の組み合わせをさらに含み、それは、指定された物体又は部品のセットを生成するために、付加製造プロセスの入力プロセス制御パラメータを手動で設定しながら、あるいは、生成されている物体又は部品の指定された質を維持するために、プロセスパラメータ又は環境変数の変化に応じてプロセス制御パラメータを手動で調整する間に熟練オペレータによって生成される。幾つかの実施形態では、トレーニングデータセットは、連続的にあるいは並行して動作する複数の付加製造装置から収集されるプロセスシュミレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、あるいはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0020】
当業者に既知の様々な機械学習アルゴリズムが、付加製造あるいは溶接プロセスの自動物体欠陥分類及び適応制御のための開示された方法を実施するために使用されてもよい。以下により詳細に記載されるように、例としては、限定されないが、人工ニューラルネットワークアルゴリズム、ガウス過程による回帰アルゴリズム、ファジイ論理ベースのアルゴリズム、デシジョンツリーアルゴリズムなどが挙げられる。幾つかの実施形態では、1つを超える機械学習アルゴリズムが使用される場合もある。例えば、物体欠陥の自動分類は、あるタイプの機械学習アルゴリズムを使用して実施されてもよく、適応リアルタイムプロセス制御は、異なるタイプの機械学習アルゴリズムを使用して実施されてもよい。幾つかの実施形態では、2、3、4、あるいは5つ以上の異なるタイプの機械学習アルゴリズムから引き出された特徴及び特性を含むハイブリッド機械学習アルゴリズムが、開示される方法ならびにシステムを実施するために使用され得る。
【0021】
幾つかの実施形態では、物体欠陥の自動分類及び適応リアルタイム制御のための開示される方法は、特定のワークスペースにおいて共存し、ならびに、スタンドアローンの自己内蔵型システムを形成するために統合されるコンポーネント(例えば、付加製造装置及び/又は溶接装置、プロセス制御モニターあるいはセンサ、マシンビジョンシステム、及び/又は構築後検査ツール)を使用して実施されてもよい。幾つかの実施形態では、開示される方法は、プロセスデータ(例えば、トレーニングデータ、プロセスシュミレーションデータ、プロセス制御データ、ならびに構築後検査データ)及びプロセス制御命令が、異なるモジュール間で共有及び交換され得るように、異なるワークスペース及び/又は異なるワークサイトに分配され、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、あるいはインターネットを介して関連づけられるモジュラーコンポーネント(例えば、付加製造装置及び/又は溶接装置、プロセス制御モニターあるいはセンサ、マシンビジョンシステム、及び/又は構築後検査ツール)を使用して実施されてもよい。幾つかの実施形態では、プロセスデータが2つ以上の付加製造及び/又は溶接装置制御システム間で共有され、かつ分散型システム全体に関するトレーニングデータセットを更新するために使用されるように、複数の付加製造装置及び/又は溶接装置が同じ分散型システムに関連づけられる。
【0022】
付加製造装置及び/又は溶接装置の自動物体欠陥分類及び適応リアルタイム制御用システムのための開示される方法は、プロセスの歩留まり、プロセススループット、ならびに生成される部品の質の改善と同様に、プロセス又は環境パラメータの変化に応じて使用されるプロセス制御パラメータの迅速な最適化及び調整のために提供され得る。方法及びシステムは、様々な技術分野、及び、限定されないが、自動車産業、航空機産業、医療機器産業、家電業界などを含む産業の部品製造に適用可能である。
【0023】
別段の定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を持つ。本明細書及び添付の請求項で使用されるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈上明確に指示されない限り、複数の言及も含む。本明細書の「又は」へのあらゆる言及は、特に他に明記のない限り、「及び/又は」を包含することを意図している。
【0024】
本明細書において使用されるように、用語「自由形式の堆積プロセス」は、様々な液体-個体の自由形式の堆積プロセス、個体-個体の自由形式の堆積プロセス、付加製造プロセス、溶接プロセスなどのいずれかを指し得る。
【0025】
本明細書において使用されるように、用語「接合プロセス」は、様々な溶接プロセスのいずれかを指し得る。
【0026】
本明細書において使用されるように、用語「データストリーム」は、情報を送信あるいは受信するために使用される連続的又は不連続的あるいは一連のアナログ又はデジタルコードされた信号(例えば、電圧信号、電流信号、空間的にコードされた光強度及び/又は波長データを含む画像データなど)を指す。
【0027】
本明細書において使用されるように、用語「プロセスウインドウ」は、特定の製造プロセスが定義された結果をもたらすプロセス制御パラメータ値の範囲を指す。幾つかの例において、プロセスウインドウは、複数のプロセス制御パラメータに応じてプロットされるプロセス出力のグラフによって例示することができ、それは、プロセスがうまく作動するパラメータ値の範囲を示す中央領域と、プロセスが不安定になるか、又は好ましくない結果をもたらす領域を定義する外側の境界とを含む。
【0028】
本明細書において使用されるように、用語「機械学習」は、教師あり学習、教師なし学習、強化学習、あるいはそれらの任意の組み合わせを実施するために使用される、様々な人工知能又はソフトウェアアルゴリズムのいずれかを指す。
【0029】
本明細書において使用されるように、用語「リアルタイム」は、物体欠陥の分類を更新するか、あるいは、プロセスシュミレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の入力プロセスデータストリームの変化に応じて、プロセス制御パラメータのセット又はシーケンスを更新するために、センサデータが、機械学習アルゴリズムを用いたフィードバックループにおいて取得、処理、及び/又は使用される速度を指す。
【0030】
<付加製造プロセス>
用語「付加製造」は、一連の二次元の断面堆積マップに従って、材料の多数の薄い層を堆積することにより、三次元デジタルモデル(CAD設計)を三次元物体に変換することを可能にする、部品のラピッドプロトタイピング及びマニュファクチャリング(rapid prototyping and manufacturing)のための汎用的な製造技術の集合を指す。付加製造は、「ダイレクト・デジタル・マニュファクチュアリング」「固体自由形式製造」、「液固体自由形式製造」、あるいは「3Dプリンティング」とも呼ばれ、液体、粉体、及び溶融物を含む様々な状態の材料の堆積を含み得る。金属、合金、セラミック、ポリマー、複合材、風通しのよい構造物、多相材料を含む様々な物質が、付加製造を使用して処理され得る。付加製造プロセスの主な利点の1つは、仮想設計をすぐに使える(あるいは、ほとんどすぐに使える)部品に変換するのに必要な製造工程数が少ないことである。他の主な利点は、従来の機械加工、押出、あるいは成形技術を使用して製造するのが容易でない複雑な形状を処理できることである。
【0031】
開示される物体欠陥の分類及び適応プロセス制御の方法が適用され得る付加製造技術の特定の例としては、限定されないが、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理法(DLP)、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザー焼結法(SLS)、選択的レーザー溶融法(SLM)、あるいは電子ビーム溶解法(EBM)が挙げられる。
【0032】
ステレオリソグラフィ(SLA):ステレオリソグラフィでは、液体紫外線硬化性樹脂のタンクを、スキャンされたレーザービームと組み合わせて使用して、二次元露光パターンに従って、樹脂の1つの薄層を一度に硬化させる。1層が完了すると、硬化したベッド又はベースがわずかにタンクへと下がり、別の層が硬化する。部品が完成するまで、構築プラットフォームは層を硬化し、下降する工程のサイクルを繰り返す。プロセスの各サイクルに必要な時間は、部品の断面積及び必要な空間分解能に依存する。部品が完成するまでに、部品は未硬化樹脂に完全に沈められる。その後、それはタンクから引き出され、紫外線オーブンにおいて随意にさらに硬化され得る。
【0033】
デジタル光処理法(DLP):デジタル光処理法は、液体のポリマーのバットが、セーフライト状況下で、DLPプロジェクタ(例えば、1つ以上のデジタマイクロミラーアレイデバイスを使用する)からの光にさらされる、ステレオリソグラフィの変形である。DLPプロジェクタは、3Dモデルの画像を液体ポリマーに投影する。露光した液体ポリマーは硬化し、構築プレートは下へと移動し、液体ポリマーはもう一度光にさらされる。上記プロセスは、3D物体が完成し、バットから液体が排出されて、固形化したモデルを明らかにするまで繰り返される。DLPの3Dプリンティングは高速であり、かつ他の技術よりも高い分解能で物体をプリントすることができる。
【0034】
熱溶解積層法(FDM):熱溶解積層法は、3Dプリンティングの最も一般的な形態の1つであり、熱溶解フィラメント製法(FFF)とも呼ばれることもある。FDMプリンタは、様々なプラスチックあるいはポリマーでプリントすることができ、典型的には、支持材を用いてプリントすることができる。FDMプリンタは、入力プラスチックフィラメントが液体になるように過熱し、その後、材料を薄い層に押し出して、層ごとのプロセスで物体をゆっくりと製造する押出機ヘッドを使用する。
【0035】
選択的レーザー焼結法(SLS):選択的レーザー焼結法は、レーザーを使用して、層ごとに材料を一緒に融合する。粉体の層が構築プラットフォームに押し出され、それが液体状態を通過することなく融合するように、レーザーによって加熱される(場合によっては、圧縮もされる)。それが完了すると、粉体の別の層が適用され、再び加熱される。残りの材料がそれを真っ直ぐに保持するため、上記プロセスは支持材を必要としない。部品の完成後、部品をパウダーベッドから取り除き、余分な材料を落とす。
【0036】
選択的レーザー溶融法(SLM):選択的レーザー溶融法は、選択的レーザー焼結法及び直接金属レーザー焼結法(DMLS)(Yap, et al. (2015), “Review of Selective Laser Melting: Materials and Applications”, Applied Physics Reviews 2:041101)の変形である。高出力レーザーを使用して、金属粉末を融解及び融合する。層内ならびに層間で粉末を選択的に融解及び融合させることによって、部品が構築される。上記技術は直接書き込み技術(direct write technique)であり、最大99.9%の相対密度でニアネットシェイプ部品(つまり、最終(ネット)シェイプに非常に近い製造された部品であるため、表面処理の必要性を減少させ、生産コストを大幅に減少させる)を生産することが証明されている。これにより、上記プロセスは、ほぼ完全な密度の機能部品を構築することができる。光ファイバー及び高出力レーザーの分野における最近の発展により、SLMが、銅、アルミニウム、及びタングステンなどの様々な金属材料を処理することをさらに可能にし、セラミック及び複合材料のSLMにおける研究の機会を開いた。
【0037】
電子ビーム溶解法(EBM):電子ビーム溶解法は、選択的レーザー溶融法と類似する付加製造技術である。EBM技術は、高真空下で、電子ビームで金属粉末を層ごとに溶解することによって、部品を製造する。焼結技術とは対照的に、EBM及びSLMの両方は、金属粉末の完全な溶解を達成する。このパウダーベッド方法は、ターゲット材の特徴を有する金属粉末から直接、高密度の金属部品を生成する。EBM堆積装置は、3DのCADモデルからデータを読み取り、粉末材料の連続する層を配置する。これらの層は、コンピュータ制御の電子ビームを利用して一緒に溶解され、部品を層ごとに構築する。上記プロセスは真空下で行なわれ、酸素への高い親和性を有する反応性物質(例えば、チタン)を使用した部品の製造に適している。上記プロセスは、多くの他の技術(最大1000℃)よりも高い温度で動作し、それは、固化及び固相移転による相形成の相違へとつながることもある。粉末原料は混合物ではなく、典型的に、あらかじめ合金化される。SLM及びDMLSと比較して、EBMは、そのより高いエネルギー密度ならびに走査法のため、一般に、より速い形成速度を有する。
【0038】
レーザー金属ワイヤー積層:ある好ましい実施形態において、開示される欠陥分類ならびに適応制御方法が適用され得る付加製造プロセス及びシステムは、レーザー金属ワイヤー堆積である。レーザー金属ワイヤー堆積の中心的なプロセスは、高出力レーザーソースと金属ワイヤーの形態の添加材とを使用して、堆積材料のビーズ(単一の層を形成するために複数の堆積材料のビーズが必要とされる場合もある)を生成することである(Heralic (2012), Monitoring and Control of Robotized Laser Metal-Wire Deposition, Ph.D. Thesis, Department of Signals and Systems, Chalmers University of Technology, Goteborg, Sweden)。レーザーは、基板材料上に溶融プールを生成し、そこに、金属ワイヤーが供給されて溶解され、上記基板との冶金学的境界(metallurgical bound)を形成する。レーザー加工ヘッド及びワイヤー供給装置、つまり、堆積(又は、溶接)ツールを基板に対して移動させることによって、固化中にビーズが形成される。上記堆積ツール及び基板の相対運動は、例えば、6軸産業用ロボットアームを使用して制御され得る。以下により詳細に記載されるように、堆積層の形成が
図2に例示される。
【0039】
堆積を始める前に、典型的に、プロセスパラメータのセットが選択される必要があり、それに応じて機器を調整する必要がある。レーザー金属ワイヤー堆積のための重要なプロセス制御パラメータは、レーザー出力設定、ワイヤー供給速度、及び移動速度を含む。これらは、エネルギー入力、堆積レート、及び堆積される層の断面プロファイル、つまり層の高さ及び幅を制御する。堆積層の高さ(又は厚さ)は、移動速度及びレーザー出力に関連して、溶融プールに供給されるワイヤーの量によって決定される。名目上のレーザー出力、移動速度、及びワイヤー供給速度が指定されると、例えば、所与の移動速度のためのレーザービーム及び基板に対するワイヤー供給の相対的な方向を設定するための追加のパラメータが存在する場合もある。平坦面上の安定した堆積を達成するために、これらのパラメータの注意深い調整が必要である。
【0040】
平坦面上の材料の均一ビーズの安定した堆積を達成するために考慮される必要があり得る、プロセス制御パラメータの例としては、制限されないが、以下のものが挙げられる。
【0041】
レーザー出力:主要なプロセス制御パラメータの1つであり、レーザー出力設定は最大エネルギー入力を決定する。レーザービームのサイズ及び移動速度に応じて、レーザー出力は溶融プールのサイズも制御し、結果的に堆積ビーズの幅を制御する。
【0042】
レーザー出力分布:溶融プールのダイナミクスに影響する。様々なレーザー出力(又は、ビームプロファイル)分布の非限定的な例は、階段関数及びガウス分布を含む。
【0043】
レーザー/ワイヤー又はレーザー/基板の角度:プロセスウインドウ及び正確なエネルギー入力に影響する。レーザービームとワイヤー供給との間の角度は、ワイヤー供給速度の変化、及びワイヤーノズルと基板との間の距離の変動に対する堆積プロセスの感度に影響を与える。レーザービームと基板との間の角度は、基板表面からのレーザービームの反射に影響を与え、したがって、吸収されるエネルギーの量に影響を与える。
【0044】
レーザービームのサイズ及び形状:溶融プールのサイズ及び形状を(レーザパワーならびに移動速度と一緒に)制御する。円形のビーム形状の使用が一般的であるが、長方形の形状も同様に使用されている(例えば、ダイオードレーザーとともに)。上記サイズは、所望のビーズ幅を反射するために選択される。
【0045】
レーザービームの焦点距離:レーザービームが基板表面でどの程度コリメートされるかを制御する。結果的に、それは、焦点レンズと基板との間の距離変動に対する堆積プロセスの感度に影響を与える。
【0046】
レーザー波長:堆積材料によるレーザービームの吸光度を制御する。金属について、レーザー光の吸光度は波長(及び、特定の材料)により変わる。
【0047】
ワイヤー供給速度:主要なプロセス制御パラメータの1つであり、ワイヤー供給速度は、単位時間当たりの堆積した質量に影響を与える。ワイヤー供給速度は、主にビーズの高さに影響を与え、レーザー出力と移動速度に関連して選択される必要がある。
【0048】
ワイヤー径:適切な溶解及び柔軟なプロセスを保証するために、レーザービームのサイズに関連して選択されるべきである。
【0049】
ワイヤー/基板の角度:ワイヤーの溶解に影響し、それによって堆積プロセスの安定性にも影響する。適切な条件下で、ワイヤーと溶融プールとの間の金属の移行はスムーズで連続的である。不適切なワイヤー/基板の角度の使用は、金属移行プロセスが、結果として、(例えば、基板表面上の一連の溶滴として)球状の堆積を生じさせるか、あるいは、ワイヤーは、溶融プールに入る際に固体のままである場合がある。より大きい角度の使用は、堆積方向の感度を減少させるが、同時に、許容されるワイヤー供給速度のより小さなプロセスウインドウを結果としてもたらす。
【0050】
溶融プールに対するワイヤー先端位置:ワイヤーの溶融速度に影響し、したがって、プロセスの安定性に影響する。
【0051】
ワイヤーの突き出し:典型的に、ワイヤー角度あるいはワイヤー先端位置ほど重要ではでないが、突き出し距離は予想される堆積条件に応じて調整される必要があり得る。それは、主に、ワイヤーノズルと基板との間の高さの変動に対するプロセスの感度に影響する。
【0052】
シールドガス:シールドガスの使用は、汚染物質及び/又は欠陥が堆積層に導入される程度に影響を与ええ得る。幾つかの実施形態では、組成、流量、及び/又は入射角は調整されてもよい。
【0053】
供給方向:どの方向からワイヤーが溶融プールに入るかを決定し、それによってワイヤーの溶解に影響し、したがって金属移行プロセスに影響する。供給方向の様々な選択は、使用され得る許容されるワイヤー供給速度の範囲を変更する。場合によっては、それは、堆積ビーズの形状にも影響する場合もある。
【0054】
移動速度:主要プロセス制御パラメータの1つであり、移動速度は、単位長当たりの堆積材料の量及び単位長当たりの入力エネルギーに影響を与える。より低い移動速度では、堆積材料の温度が高すぎない限り、堆積プロセスは典型的により安定している。速い移動速度では、単位長当たりの同じ量の堆積材料について、より低いエネルギー入力が得られることもある。しかし、モーション制御システムの加速及びパスの精度がより重要になる。
【0055】
プロセスの安定性:上記のプロセス制御パラメータの適切な調製は、ソリッドワイヤーと溶融プールとの間の金属の移行速度に影響を与え、これは、堆積プロセスの安定性にとって重要である。一般的に:グロビュール(小滴状)移行、スムーズな移行、あるいは突入(つまり、溶融プールに入る前のワイヤーの不完全な溶解)によって金属ワイヤーを堆積することができる3つの方法がある。スムーズな移行だけが、安定した堆積プロセスを結果としてもたらす。
【0056】
ワイヤー先端がレーザービーム中で長時間費やすように堆積装置がセットアップされる場合(例えば、他のプロセス制御パラメータに対して高すぎる供給角度を選択することによって)、溶融プールに入る前に溶解温度に達するだろう。その後、ソリッドワイヤーと溶融プールとの間の金属の移行は、表面張力がもはや金属の流れを維持できないポイントにまで引き伸ばされ、表面張力により引き起こされた球状の溶滴の形成及び分離を結果としてもたらすことができる。このタイプの堆積は、非常に不規則なビーズ形状及び不十分な堆積プロセスを引き起こす。一旦、グロビュール移行が開始すると、典型的にアボートするのが困難である。溶融ワイヤー先端と溶融プールとの間の物理的な接触は再確立されなければならず、プロセス制御パラメータは適切な値に調整されなければならない。
【0057】
あるいは、ワイヤーが溶融プールとの交差点近くで溶解されるようにワイヤー供給角度が注意深く調整される場合、ソリッドワイヤーから溶融プールの液体金属への金属のスムーズな移行があるだろう。結果としてもたらされる堆積金属のビーズは、滑面及び基板に対して安定した冶金的結合を有するだろう。
【0058】
ワイヤーを融解する別の方法は、溶融プールからの熱伝導、つまり、溶融プールへとワイヤーを突入することによる。ワイヤーを完全に溶解する溶融プール中の熱エネルギーによって提供される溶解速度に比べて、十分に低い値にワイヤー供給速度を調整するための予防措置を講じなければならない。不完全な溶解は、例えば、融合不良(LOF)欠陥を結果としてもたらし得る。LOF欠陥は、結果としてもたらされるビーズが通常のビーズ堆積と多かれ少なかれ区別ができない低いワイヤー供給速度であっても、生じ得ることに留意しなければならない。
【0059】
プロセスパラメータの調整:上記のプロセス制御パラメータは、材料の選択及び上記材料を溶解するのに必要なエネルギー入力に応じて調整され、これは、順に、所望の堆積レート、変形制限、材料の粘性、及び利用可能なレーザー出力ならびにビームスポットのサイズに基づいて決定される。これらの要因は、レーザー出力、移動速度、及びワイヤー供給速度の設定を必要とする。レーザービームは、光学システムへの後方反射を回避しながら反射を最小化するために、好ましくは、溶融プールにできるだけ直交でなければならない。溶融プールに対するワイヤー先端位置は、時間単位当たりの堆積材料の選択された量に関して調整されなければならない。前方供給(front feed)構成が使用され、及び堆積レートが低い場合、ワイヤーは先端に近い溶融プールに入らなければならない。このパラメータの変更は、主に、選択されたレーザー出力ならびに移動速度について最大及び最小のワイヤー供給速度に影響する。ワイヤー先端位置に密接に関連するパラメータは、ワイヤー/基板の角度である。角度が低い場合、突入をより良い方法で利用することができるため、高いワイヤー供給速度が可能となるかもしれない。しかし、極端なワイヤー供給速度については、前方供給のみが実行可能である。その後、これは、ジグザグ又は螺旋パターンなどの複雑な堆積パスの選択を制限する。供給方向に対する堆積プロセスの感度を減少させ、それによって、任意の堆積パターンを可能にするために、ワイヤーと基板との間の角度が増加されなければならない。しかし、許容される堆積パターンに関する柔軟性の増加は、より小さなプロセスウインドウを犠牲にしてしばしば達成される。
【0060】
多層の堆積:上で議論されるように、平らな基板上に材料の単一のビーズを安定して堆積させるには、プロセス制御パラメータの注意深い調整を必要とする。しかし結局、ゴールは三次元部品を堆積すること、つまり、層内に幾つかの隣接するビーズを堆積させ、層の数に対して堆積を繰り返すことである。単一のビーズの堆積から三次元部品の堆積への移行は、しばしば簡単ではない。個々の層の正確な形状、幾つかの追加の要因、例えば、堆積パターン、隣接するビーズ間の距離、及びモーション制御システムの速度ならびにパスの精度によって影響を受ける。これらの要因と結果としてもたらされる層のそれらの影響との間の関係は、複雑で予測が難しく、所与の堆積設計特微(例えば、層の高さ)を達成するのに必要なプロセス制御パラメータの調整を複雑にする。三次元部品の堆積を複雑にする要因の別の例は、熱の蓄積による部品の局所温度の潜在的な上昇であり、これは、多層の堆積中に考慮される必要がある。熱は、例えば、隣接する層の堆積間の過度に短い休止の使用により、堆積された部品に蓄積されることもある。
【0061】
三次元の堆積中に生じる追加の不確実性は、プロセス安定性の視点から見て、問題を引き起こす可能性がある。例えば、達成されるべき層の高さの推定が正しくなければ、ワイヤー先端と基板との関係は、元々設定されたプロセスパラメータについて予想されたものとは異なるだろう。その結果、堆積プロセスは、溶融ワイヤーのスムーズな移行から、球状の堆積モードあるいはワイヤー突入モードのいずれかへと変更するかもしれない。結果的に、堆積プロセスが、個々の層の寸法が正確に予測できるほど十分に理解されている及び/又は厳密に制御されていない限り、三次元の堆積が連続的なオンライン監視及び/又はプロセス制御パラメータ調整を必要とすることもある。
【0062】
付加製造プロセスを最適化する困難:さらに、レーザー金属ワイヤー堆積の文脈において議論された困難の幾つかは、他の付加製造プロセス(Guessasma, et al., (2015) “Challenges of Additive Manufacturing Technologies from an Optimisation Perspective”, Int. J. Simul. Multisci. Des. Optim. 6, A9)にも適用可能である。三次元のCADモデルからのツールパスの生成は、第1の課題を表す。ほとんどの付加製造技術は、連続した層ごとの製造プロセスに依存し、したがって、部品の三次元表現(つまり、部品の実際の表面のモザイク模様のバージョン)から始まり、二次元構築戦略で終わることは、エラーを引き起こす可能性がある。その問題は、溶滴ベースの三次元プリンティングのアプローチにおいて特に多く見られる。なぜなら、融合した材料の不連続性が、層ごとの堆積プロセスの結果、すべての構築方角に現われ、ならびに、寸法の不正確さ、許容できない仕上がり状態、及び構造的ならびに機械的な異方性に結びつく可能性があるためである。異方性は、特定の粒質の発達(development)、例えば、金属レーザー溶融堆積あるいはアーク溶接で生じる場合もある。異方性の減少は、仮想設計の適切な構築方向の選択により達成される場合がある。
【0063】
加えて、仮想設計と製造されたまま状態の物体との間の差異は、使用される付加製造ツーリングで利用可能な有限の空間分解能により、あるいは堆積材料の固化中の部品の収縮により時々大きくなり、それは、部品の寸法ならびに変形の両方の変化を引き起こす場合がある。例えば、ツールパスが有限次元のフィラメントパスの集合を含む熱溶解積層法を検討する。これは、製造された物体に3つの主な結果をもたらす:(i)内部構造的特徴は、それらのサイズに応じてうまく捕捉されない場合があり;(ii)局所的な曲率に応じて不連続性が現われる場合があり;及び、(iii)表面の仕上がり状態は、多数のフィラメントの融合から生じる粗いプロファイルによって制限される場合がある。
【0064】
不連続の製造プロセス及び付加製造プロセスエラーに関連する他の問題の1つの結果は、多孔性である。多くの技術刊行物が、プリントされた部品における多孔性の影響の評価に関連している。特定の1つの結果は、例えば、多孔度レベルの増加に伴う剛性の低下により、あるいはマイクロクラックの形態の多孔度強化損傷の発生による張力下での機械的強度の低下により、多孔性が部品の機械的性能を低下させる場合があることである。多孔性は、例えば、幾つかの用途で透過性を向上させるために使用することができるため、付加製造プロセスのマイナスの結果として必ずしも見られるとは限らないことに留意すべきである。
【0065】
幾つかの付加製造プロセスで遭遇する別のタイプの欠陥は、内部表面間で捕捉された支持材の存在である。支持材は、プリントプロセス中に、壊れやすいプリント構造を強化するために時々必要とされる。これらの物質は、堆積材料への制限された粘着を示すために典型的に選択されるが、部品の支持材の残量を結果としてもたらす不完全な除去は、例えば、部品の重量の増加及び耐荷重性分布の修正の一因となり得、それは、元の設計に基づいて予想される性能に対して部品の性能を変更することができる。加えて、最適化されない支持堆積は、部品の仕上がり状態、材料消費、製造時間などに影響することもある。支持材の使用に対する付加製造プロセスの依存を減少させるための様々な戦略が文献に記載されている。上記戦略は、部品の幾何学的形状及び堆積される材料の選択に応じて変わり得る。
【0066】
溶接プロセス:幾つかの実施形態では、開示される欠陥分類とプロセス制御方法ならびにシステムは、付加製造プロセス及び装置の代わりに、あるいは付加製造プロセス及び装置と組み合わせて、溶接プロセス及び装置に適用されさてもよい。開示されるプロセス制御方法及びシステムと共に使用され得る溶接プロセス及び装置の例としては、限定されないが、レーザービーム溶接プロセス及び装置、MIG(金属不活性ガス)溶接プロセス及び装置(ガスメタルアーク溶接とも呼ばれる)、TIG(タングステン不活性ガス)溶接プロセス及び装置などが挙げられる。
【0067】
レーザービーム溶接(LBW):速い溶接速度、薄くて小さな接合線、及び低い熱変形で接合する必要のある金属部品を接合するために使用される溶接技術である。レーザービームは、集束した熱源を提供し、狭くて深い溶接及び高い溶接レートを可能にする。速い溶接速度、自動化された操作、及びプロセス中の接合品質のフィードバック制御を実行する機能により、レーザー溶接は、現代の工業生産において一般的な接合方法となっている。自動化された多くの用途の例は、車体の溶接のための自動車産業での使用を含む。他の用途は、医療技術における微細な非多孔性のシームの溶接、電子機器又は宝石産業における精密なスポット溶接、ならびに工具及び金型の製造における溶接を含む。
【0068】
MIG溶接:連続的なソリッドワイヤー電極が溶接ガンによって溶接プールへと供給され、2つの母材をともに接合するアーク溶接プロセスである。シールドガスも溶接ガンによって送られ、汚染から溶接プールを保護し、したがって「金属不活性ガス」(MIG)溶接と呼ばれる。MIG溶接は、薄い~中間の厚さの金属のシートを接合するために典型的に使用される。
【0069】
TIG溶接:TIG溶接(技術的には、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)と呼ばれる)は、非消耗タングステン電極を使用して、溶接アークに電流を送達するプロセスである。タングステン及び溶接パドルは保護され、不活性ガス、典型的にアルゴンで冷却される。TIG溶接は、典型的には、MIG溶接よりも多少きれいで、制御された溶接を生成する。
【0070】
<3DのCADファイルの層への変換及びツールパス>
コンピュータ支援設計:付加製造プロセスなどの典型的な自由形式の堆積プロセスの第一の工程は、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアパッケージを使用して、製造される物体の三次元モデルを作成することである。様々な市販のCADソフトウェアパッケージのいずれかを使用してもよく、それは、限定されないが、ソリッドワークス(Dassault Systemes SolidWorks Corporation, Waltham, MA)、オートデスク フュージョン360(Autodesk, Inc., San Rafael, CA)、オートデスク インベンター(Autodesk, Inc., San Rafael, CA)PTC クリオ パラメトリック(Needham, MA)などを含む。
【0071】
STLファイル形式への変換:一旦、CADモデルが完成すると、それは、3Dシステム(Rock Hill, SC)によって元々開発された標準のSTL(ステレオリソグラフィ)ファイル形式(「スタンダード トライアングル ランゲージ(standard triangle language)」あるいは「スタンダード テセレーション ランゲージ(standard tessellation language)」のファイル形式としても知られている)に典型的に変換される。このファイル形式は、他の多くのソフトウェアパッケージによりサポートされ、ラピットプロトタイピング、3Dプリンティング、及びコンピュータ支援製造に広く使用される。STLファイルは、色、質感、あるいは他の一般的なCADモデル属性を示さずに、三次元の物体の表面の幾何学的形状だけを記載する。ASCII STLファイルでは、CADモデルは、3つの頂点のx座標、y座標、及びZ座標(右手の法則に従って順序づけられる)及び単位ベクトルによって記載される三角形のファセットを使用して表わされ、ファセットの外側を示す法線方向を示す(Ding, et al. (2016), “Advanced Design for Additive Manufacturing: 3D Slicing and 2D Path Planning”, Chapter 1in New Trends in 3D Printing, I. Shishkovsky, Ed., Intech Open)。
【0072】
層を作成するためにSTL型をスライスすること:一旦、STLファイルが作成されると、一方向あるいは多方面のスライスアルゴリズムを使用して、構築方向に従って一連の層へとSTLモデルをスライスする。均一スライス方法は、一定の厚さを有する切断層を作成する。付加製造された部品の精度は、層の厚みを変更することにより時々改善され得る。典型的には、層の厚みが薄いほど、達成される精度はより高くなるだろう。さらに、材料堆積のレートは、スライスされた層の厚みと非常に関連する。したがって、適応スライスアプローチは、可変厚さでSTL型をスライスする。モデルの表面の幾何学的形状に基づいて、このアプローチは自動的に層の厚みを調整して、製造された部品の精度を改善するか、あるいは構築時間を改善する。
【0073】
上記のように、多くの付加製造プロセスが、3DのCADモデルを、一定の厚さ又は適応厚さのいずれかを有する二次元の層のセットへとスライスすることを利用し、ここで、上記層は単一の構築方角に積み重ねられる。しかし、複雑な形状を有する部品を製造する場合、一方向のスライス戦略は、オーバーハング特徴の製造のために支持構造を含む必要があるため一般に制限される。支持構造を堆積させる必要性は、より長い構築時間、材料廃棄物の増加、及び支持物を除去するための後処理の増加(及び、時々高価である)を結果としてもたらす。幾つかの付加製造技術は、複数の構築方向に沿って材料を堆積することができる。多方向の堆積の使用は、複雑な物体の製造において支持構造の要件を排除するか、あるいは著しく減少させるのに役立つ。多方向の付加製造での重要な課題は、より支援が少なく(support-less)、衝突のない(collision-free)層堆積の要件を満たすあらゆる3Dモデルを層のセットへと自動的にスライスすることができる、頑丈なアルゴリズムを開発することである。これを達成するための多くの戦略が技術文献に記載されている (Ding, et al. (2016), “Advanced Design for Additive Manufacturing: 3D Slicing and 2D Path Planning”, Chapter 1in New Trends in 3D Printing, I. Shishkovsky, Ed., Intech Open)。
【0074】
ツールパス計画:自由形式の堆積あるいは付加製造の別の重要な工程は、スライスアルゴリズムにより識別された層に基づいたツールパス戦略の開発である。微細な統計的に分布した粒子を利用する粉末ベースの付加製造プロセスのためのツールパス計画は、幾何学的な複雑さからある程度独立している。しかし、堆積材料のより大きくて時々粗いビーズを利用する付加製造プロセスのためのツールパス計画は、幾何学的な複雑さによって直接影響を受けることもある。加えて、堆積材料の特性(ビーズの高さと幅、表面仕上げなど)は、堆積ツールパスの軌跡によって影響を受けることもある。様々なツールパス計画の戦略が技術文献に述べられており、限定されないが、ラスタツールパス、ジグザグツールパス、輪郭ツールパス、ツールパス、ハイブリッドツールパス、連続ツールパス、ハイブリッド及び連続ツールパス、中心軸変換(MAT)ツールパス、及び適応MATツールパスの使用を含む。
【0075】
ラスタツールパス:ラスター走査ツールパス技術は、一方向に沿った平面のレイキャスティングに基づく。このツールパスアプローチを使用して、所与の層の二次元領域は、有限幅を有する材料ビーズのセットを堆積させることによって埋められる。それは、市販の付加製造システムにおいて一般的に使用され、簡易な実装を特徴とし、ほとんどあらゆる境界の使用に適している。
【0076】
ジグザグツールパス:ラスタアプローチに由来するジグザグツールパスの生成は、市販の付加製造システムで使用される最も一般的な方法である。ラスタアプローチと比較して、ジグザグアプローチは、別々の平行線を単一の連続したジグザグ通路に組み合わせることにより、幾何学的形状を線ごとに埋めるために必要なツールパスの通路の数(したがって、構築時間)を有意に減少させる。ラスタツールパスのアプローチのように、部品の輪郭精度は、ツール運動方向と平行ではない任意の端部における離散化誤差により、時々不十分である。
【0077】
輪郭ツールパス:別の頻繁に用いられているツールパス方法である輪郭ツールパスは、部品の境界輪郭に従うことによって、上記の幾何学的な輪郭精度の問題に対処するのに役立つ。開口部あるいは「島」(所与の層内でモデルの単離セクション)をさらに有し得る、主に、凸形状を含む部品のための最適なツールパスパターンを開発するための、様々な等高線地図のパターンが文献に記載されている。
【0078】
螺旋ツールパス:螺旋ツールパスは、コンピュータ数値制御された(CNC)加工において広く適用されてきており、例えば、二次元ポケットミリング(つまり、指定された深さに対するワークピースの平面上の任意に閉じた境界内部の材料の除去)に関する。この方法は、付加製造プロセスと共に使用してジグザグツールパスの境界問題を克服することもできるが、典型的には、ある特別な幾何学的モデルのみに適している。
【0079】
ハイブリッドツールパス:ハイブリッドツールパスは、1つを超えるアプローチの特徴の幾つかを共有する。例えば、輪郭ツールパスパターンとジグザグツールパスパターンの組み合わせは、部品の両方の幾何学的精度の要件を満たし、かつ全体的な構築効率を改善するために開発され得る。
【0080】
連続ツールパス:連続ツールパスのアプローチのゴールは、1つの連続したパス(つまり、それ自体と交差せずに、全体領域を埋めることができるツールパス)を使用して、堆積層を埋めることである。このアプローチは、幾つかの付加製造プロセス中に収縮を減少させるのに特に役立つことがわかっている。しかし、上記アプローチはパスの方角の頻繁な変化をしばしば必要とし、これは、幾つかの堆積プロセスに適さない場合がある。さらに、埋められるべき領域が大きく、精度要件が高い場合、要求される処理時間は容認できないほど長い場合がある。加えて、非常に複雑なツールパスは、部品の特定の領域において熱の過剰蓄積を結果としてもたらし、それによって、部品の許容できない歪みを引き起こす。
【0081】
ハイブリッド連続ツールパス:ジグザグツールパスのパターンと連続ツールパスのパターンの長所を組み合わせるツールパス戦略が開発されている。これらのアプローチでは、二次元の幾何学的形状は、単調多角形のセットへと最初に分解される。その後、各単調多角形について、閉じたジグザグ曲線が生成される。最後に、閉じたジグザグ曲線のセットが共に組み合わされて、統合された連続的な曲がりくねったパスになる。ジグザグツールパスのパターン、輪郭ツールパスのパターン、連続ツールパスのパターンの利点を組み合わせる別の連続パスのパターンが最近開発された。
【0082】
中心軸変換(MAT)ツールパス:ツールパスを生成するための代替的な方法は、部品の幾何学的形状の中心軸変換(MAT)を使用して、層の境界から内側に向かって埋める代わりに、内側から始まり外側に向かって埋めることによってオフセット曲線を生成する。物体の中心軸は、物体の境界の上に1つを超える最も接近したポイントを有するすべてのポイントのセットである。二次元において、例えば、平面曲線Cによって境界が画された円のサブセットSの中心軸は、2つ以上のポイントで曲線Cと接線方向に交差するS内のすべての円の中心の位置である。単純な多角形の中心軸は木のようなスケルトンであり、その枝が多角形の頂点である。最大内接円の関連する半径関数を有する中心軸は中心軸変換(MAT)と呼ばれる。中心軸変換は、元のドメインの形状を再構成するために使用することができる完全な形状記述子である。
【0083】
このアプローチは、層の幾何学的形状の内部領域を完全に埋めることができるツールパスを計算するのに役立ち、及び、後処理によってその後除去することができる境界の外側に、余分な材料を堆積させることによって間隙を生まないようにする。外側から内側へと走る従来の輪郭ツールパスのパターンが加工にしばしば使用されるのに対して、内側からはじまり外側へと向かうMATツールパスは、多くの場合、ボイドフリー部品の付加製造により適している。MATベースのツールパスを生成するための主な工程は以下とおりである:(i)中心軸を計算すること;(ii)1以上の領域あるいはドメインへと幾何学的形状を分解することであって、ここで、各ドメインは、中心軸の一部及び境界ループによって境界を画される、こと;(iii)適切なステップオーバー距離で、中心軸ループから対応する境界ループに向かってオフセットすることによって、各ドメインのためのツールパスを生成すること。ドメインが完全にカバーされるまで、オフセットが繰り返され;及び、(iv)閉ループパスのセットを、好ましくは、スタート/ストップシーケンスを用いることなく生成するために、各ドメインについて工程(iii)を繰り返すこと。MATパス計画は、例えば、アーク溶接システムとともに頻繁に使用され、特に、ボイドフリー付加製造に好ましい。
【0084】
適応MATツールパス:従来の輪郭ツールパスはしばしば間隙又はボイドを生成する。MATツールパス計画は、堆積中に内部ボイドの生成を回避するように導入され、複雑な幾何学的形状に対処するために拡張される。上記のように、MATツールパスは、幾何学的形状の中心軸を中心から層の境界へと向かってオフセットすることによって生成される。MATツールパスは、内部ボイドの発生を減少させるが、これは、パスの不連続性及び層境界での余分な材料堆積を作り出すことを犠牲にして達成される。余分な材料を除去し、部品の寸法精度を改善するための後処理加工は、余分な時間を必要とし、コストを増加させる。従来の輪郭ツールパス及びMATツールパスの両方について、ステップオーバー距離(つまり、次の堆積パスと前の堆積パスとの間の距離)は、一定に保持される。一部の部品の幾何学的形状については、一定のステップオーバー距離で、ツールパスを用いて、高寸法精度及びボイドフリー堆積の両方を達成することは不可能である。しかし、ワイヤー供給付加製造プロセスなどの幾つかの付加製造プロセスは、一定の堆積高さを維持しながら、移動速度及びワイヤー供給速度などのプロセス制御パラメータを変えることによって、層内に異なる堆積ビーズ幅を生成することができる。適応MATツールパス計画は、上記プロセスパラメータを調整することにより継続的に変化するステップオーバー距離を使用して、所与のツールパス内の可変幅でビーズを堆積させる。適応MATパス計画アルゴリズムは、部品の幾何学的形状を分析することによって、変化するステップオーバー距離でパスのパターンを自動的に生成することができ、より良い部品品質(ボイドフリー堆積)、境界での精度、及び材料の効率的な使用を達成する。
【0085】
ツールパス生成ソフトウェア:ツールパス生成ソフトウェアの例は、Repetier(Hot-World, GmbH, Germany)及びCatalystEx(Stratasys Inc. Eden Prairie MN, USA)を含む。
【0086】
図3のA-Cは、付加製造プロセスを使用して材料を堆積するための連続的な渦巻形の「二次元」層(有限厚さ)及び関連する螺旋形のツールパス(
図3のA)、あるいは積み重ねられた一連の「二次元」層及び関連する円形の層ごとのツールパス(
図3のB)への、三次元物体のCAD設計の変換の概略図を提供する。
図3のCは、ロボット操作された堆積ツール、及び付加製造プロセスを使用して製造された結果としてもたらされる物体のシミュレーションを例証する。Octopuz(Jupiter, FL)などのソフトウェアパッケージを使用したツールパス及び部品のシミュレーションは、実際の堆積システムで堆積プロセスを実行する前に実施される。幾つかの例において、予測される最適なツールパスは、閉ループフィードバック制御に応じて、堆積プロセス中に局所的に変更され得る。幾つかの例において、堆積プロセスが完了した後、ツールパスは、構築されたままの状態の部品の幾何学的形状に基づいて再構成されてもよい。
【0087】
<プロセスシュミレーションツール>
開示される適応プロセス制御方法及びシステムの幾つかの実施形態では、プロセスシュミレーションツールは、自由形式の堆積プロセス(あるいは、接合プロセス)をシミュレートするために、及び/又はプロセス制御パラメータ設定(及び、調整)の最適なセット(及び/又はシーケンス)の推定を提供するために使用され得る。当業者に既知の様々なプロセスシュミレーションツールのいずれかが使用されてもよく、限定されないが、有限要素解析(FEA)、有限体積解析(FVA)、有限差分解析(FDA)、数値流体力学(CFD)など、あるいは任意のそれらの組み合わせを含む。開示される方法及びシステムの幾つかの実施形態では、過去の製造実行からのプロセスシュミレーションデータが、プロセス制御を実行するために使用される機械学習アルゴリズムに「教える」ために使用されるトレーニングデータセットの一部として使用される。
【0088】
有限要素解析(FEA):有限要素解析(有限要素法(FEM)とも呼ばれる)は、例えば、構造分析、あるいは熱伝達、流体の流れ、質量輸送、及び電磁ポテンシャルに関する研究に使用するためのエンジニアリング及び数理物理学の問題を解決するための数値法である。これらのタイプの問題の分析的解決は、解決可能あるいは解決不可能な偏微分方程式を含む境界値問題の解決を一般に必要とする。コンピュータ化された有限要素アプローチは、その問題を代数方程式のシステムとして定式化することを可能にし、その解は、対象の幾何学的形状又はドメイン上の離散数のポイントにおいて、未知のパラメータの近似値をもたらす。解決される問題は、より小さく単純なコンポーネント(つまり、有限要素)へと細分化(離散化)されて、システムの動作を管理する式を単純化する。その後、個々の有限要素をモデル化する比較的単純な方程式は、全問題をモデル化するより大きな連立方程式へと組み立てられる。変分法から引き出された数値解法は、関連する誤差関数を最小化することにより、連立方程式の解決に接近するために使用される。FEAは、現実世界の力、例えば、応力(1単位当たり、あるいは1単位長当たりの力)、振動、熱、流体の流れ、あるいは他の物理的な影響を受けた時に、製品がどのように反応するかを予測するためにしばしば使用される。
【0089】
上述のように、開示された適応プロセス制御方法の幾つかの実施形態において、FEAは、堆積プロセスをシミュレートするために、及び/又は、プロセス制御パラメータ設定及びその調節の最適なセット及び/又はシーケンスの推定値を提供するために使用され得る。FEA分析(又は他のシミュレーション技術)を用いて推定され得る堆積プロセスパラメータの例は、限定されないが、特定の入力プロセス制御パラメータに応じて、堆積された材料のバルク温度又はピーク温度、堆積された材料の冷却速度、堆積された材料の化学組成、堆積された材料中の成分の分離状態、堆積された材料の幾何学的特性、堆積された幾何学的形状におけるオーバーハングの角度、堆積中の材料からの熱流束の強度、堆積材料からの電磁気放射、堆積材料からのアコースティックエミッション、又はそれらの任意の組み合わせの予測を含む。計算のために入力として使用されるプロセス制御パラメータが、それらがシミュレートされた堆積プロセスにどのように影響を与えるかを判定するように調整され得るので、プロセスシミュレーションの反復的な使用は、プロセス制御パラメータ設定及びその調節の最適なセット及び/又はシーケンスの推定値を提供するために使用され得る。
【0090】
有限体積分析(FVA):有限体積分析(有限体積方法(FVM)とも称される)は、偏微分方程式、具体的に物理的な保存則から発生する方程式を解くために用いられる有限要素分析に関連する別の数的技術である。FVMは、本来の問題を表わす方程式を離散化するために分割体積(partitioning volumes)の有限集合に関する問題の体積積分定式を用いる。FVAは、例えば、一般的に計算流体力学方程式を離散化するために用いられる。
【0091】
有限差分分析(FDA):有限差分分析(有限差分方法(FDM)とも称される)は、有限差分が導関数に近似する差分方程式に近似させることにより微分方程式を解くための別の数的方法である。
【0092】
計算流体力学(CFD):計算流体力学は、気体又は液体が加圧力に応じてどのように流れるのか、或いは、気体又は液体が通過した際に物体にどのように影響を与えるかを視覚化するための、応用数学、物理学、及び計算のソフトウェア(例えば、有限体積分析ソフトウェア)の使用を指す。計算流体力学は、ナビエ-ストークス方程式の解法に基づいており、これは、動く流体の速度、圧力、温度、及び密度がどのように関連づけられるかを説明するものである。例えば、CFDに基づく分析は様々な産業及び用途で使用され、例えば、計算流体力学は、プラスチック射出成形における融解温度の制御のためのモデル予測制御に使用されている。
【0093】
図4A-Cは、レーザー金属ワイヤー堆積溶融プールのモデリングのためのFEAシミュレーションデータの例を提供する。
図4A:レーザー金属ワイヤー堆積プロセスにより堆積されている溶融プールにおける材料の液体分画に関する、色分けされた三次元FEAシミュレーションデータの等角図である。金属は、ワイヤー先端が溶融プールに溶け込む場所で、完全に液体状態であり、且つ、ワイヤーの位置から下流に凝固するにつれて液体画分が徐々に少なくなるように移行する。
図4B:溶融プールにおける材料の液体分画に関するFEAシミュレーションデータの断面図である。
図4C:溶融プールにおける材料の静温度に関する色分けされた三次元FEAシミュレーションデータの断面図である。温度は、レーザービームがワイヤー先端に当たり、且つ、ワイヤー先端から直下流の材料により示される高温度を伴う堆積装置の動作経路に沿って非対称的に分散される点で、最大値(この例においておよそ2,900°K)である。
【0094】
<プロセス制御パラメータ>
開示された適応プロセス制御方法の幾つかの実施形態において、1つ以上の自由形式の堆積プロセス制御パラメータ(又は接合プロセス制御パラメータ)は、機械学習アルゴリズムの使用を介してリアルタイムで設定及び/又は調節され、前記機械学習アルゴリズムは、リアルタイムの堆積又は溶接プロセス監視データ、例えばマシンビジョンシステム又はレーザー干渉法測定システムからのデータを処理し、及び、プロセスの効率及び/又は製造されている部品の品質を改善するべく1つ以上のプロセス制御パラメータを調整するためにその情報を使用する。
【0095】
一般的に、適応プロセス制御システムにより設定及び/又は調整され得るプロセス制御パラメータのタイプは、使用されている自由形式堆積、付加製造、又は溶接プロセスの特定種類に応じて変動する。設定及び/又は調製され得るプロセス制御パラメータの例は、限定されないが、材料堆積の割合、堆積装置に対する変位の割合、堆積装置に対する加速度の割合、堆積装置に対する変位の方向、時間に応じた堆積装置の位置(即ち、パスツール)、堆積方向に対する堆積装置の角度、意図した幾可学的形状でのオーバーハングの角度、堆積中の材料への熱流束の強度、熱流束表面のサイズ及び形状、シールドガス流の流量及び角度、材料が堆積されるベースプレートの温度、堆積プロセス中の周囲温度、堆積前の堆積材料の温度、抵抗加熱法装置における電流又は電圧の設定、誘導加熱装置中の電圧周波数又は振幅、堆積材料の選択、1より多くの堆積材料が用いられる場合の体積材料の体積比又は重量比、或いはそれらの組み合わせを含む。
【0096】
上記に示されるように、本開示の適応プロセス制御システムによって設定及び/又は調整され得るレーザー金属ワイヤー堆積プロセスのためのプロセス制御パラメータの例は、限定されないが、レーザー出力、レーザー出力分散(又はビームプロフィール)、レーザー/ワイヤー又はレーザー/基板の角度、レーザービームのサイズ及び形状、レーザービーム焦点距離、レーザー波長、ワイヤー供給、ワイヤー直径、ワイヤー/基板の角度、溶融プールに対するワイヤー先端位置、ワイヤー突出(stick-out)、シールドガス設定、補給方向、及び移動速度を含む。
【0097】
開示された適応プロセス制御方法及びシステムの幾つかの実施形態において、1つ以上のプロセス制御パラメータは、制御プロセスを実行するために使用される機械学習アルゴリズムによって設定及び/又は調整され得る。幾つかの実施形態において、設定及び/又は調整されるべき様々なプロセス制御パラメータの数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、又は少なくとも20であり得る。当業者は、開示されたプロセス制御方法及びシステムによって設定及び/又は調整されるべき様々なプロセス制御パラメータの数が、この範囲、例えば12のプロセス制御パラメータ内の任意の値を有し得ることを認識する。
【0098】
<プロセス監視ツール>
開示された適応プロセス制御方法及びシステムの幾つかの実施形態において、1つ以上のプロセス監視ツールが、本明細書で「プロセス特性評価データ」と称される、製造されている物体のプロセスパラメータ又は特性に関するリアルタイムデータを提供するために使用され得る。開示された方法及びシステムの幾つかの実施形態において、過去の製造の実行からのプロセス特性評価データは、プロセス制御を実行するために使用される機械学習アルゴリズムを「教育する」ために使用されるトレーニングデータセットの一部として使用される。幾つかの実施形態において、リアルタイム(又は「インプロセス」)のプロセス特性評価データは、リアルタイムで1つ以上のプロセス制御パラメータを適応的に調整するように機械学習アルゴリズムへ供給される。
【0099】
温度センサ、位置センサ、運動センサ、タッチセンサ/近接センサ、加速度計、プロフィルメータ、ゴニオメーター、画像センサ及びマシンビジョンシステム、電気伝導率センサ、熱伝導率センサ、歪みゲージ、ジュロメーター、X線回折装置又は撮像装置、CTスキャニング装置、超音波撮像装置、渦電流センサアレイ、サーモグラフ、堆積装置状態標識、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、当業者に既知の様々なプロセス監視ツールの何れかが使用され得る。幾つかの実施形態において、プロセス特性評価センサは、物体により反射され、散乱され、吸収され、透過され、又は放たれる電磁放射線を検出する、1つ以上のセンサを含み得る。幾つかの実施形態において、プロセス特性評価センサは、物体により反射され、散乱され、吸収され、透過され、又は放たれる音響エネルギー又は力学的エネルギーに関するデータを提供する、1つ以上のセンサを含み得る。
【0100】
堆積された材料のバルク温度又はピーク温度、堆積された材料の冷却速度、堆積された材料の化学組成、堆積された材料中の成分の分離状態、堆積された材料の幾何学的特性(例えば、プリント部分の局所的な曲率)、材料堆積のレート、堆積装置に対する変位のレート、堆積装置の位置(パスツール)、堆積方向に対する堆積装置の角度、堆積装置状態標識、堆積された幾何学的形状におけるオーバーハングの角度、意図した幾何学的形状におけるオーバーハングの角度、堆積中の材料への熱流束の強度、堆積中の材料からの熱流束の強度、堆積材料からの電磁気放射、堆積材料からのアコースティックエミッション、堆積材料の電気伝導率、堆積材料の熱伝導率、製造されている物体の幾可学的形状における欠陥、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々なプロセスパラメータの何れかが、適切なセンサ、測定ツール、及び/又はマシンビジョンシステムを使用して(即ち、プロセス特性評価データを生成するために)監視され得る。
【0101】
適応プロセス制御のための開示された方法及びシステムは、任意の数の使用及び組み合わせのセンサ又はプロセス監視ツールの使用を含み得る。例えば、幾つかの実施形態において、本開示の適応堆積プロセス制御システムは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4つ、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10のセンサ又はプロセス監視ツールを含み得る。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサ又はプロセス監視ツールは、少なくとも0.1Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、100HZ、250Hz、500Hz、750Hz、1,000Hz、2,500Hz、5,000Hz、10,000Hz、又はそれ以上の更新レートでプロセス制御アルゴリズムにデータを提供する。当業者は、1つ以上のセンサ又はプロセス監視ツールが、この範囲、例えば約225Hz内の任意の値を有する更新レートでデータを提供し得ることを認識する。
【0102】
レーザー干渉法:例えば、レーザー金属ワイヤー堆積システムと共に使用され得る自由形式堆積又は接合プロセス監視ツールの特異的な1つの例は、部品寸法、屈折率変化、及び/又は表面異常の正確なインプロセス測定のためのレーザー干渉計である。単一源からのレーザー光線は、干渉を引き起こすために、サンプル、例えば製造されている部品によるビームの1つの透過又は反射後に再度組み合わせられるまで、別個の光学経路に従い2つのビームへと分割される。結果としてもたらされる干渉縞は、2つのビームに対する光路長の差異に関する正確な情報を提供し、従って、部品寸法、変位、表面異常などの正確な測定を提供する。干渉計はナノメートル精度で寸法又は変位を測定することができる。
【0103】
図5は、レーザー金属ワイヤー堆積システムの1つの非限定的な例を例示し、該システムは、ロボット制御装置、レーザー出力ユニット、ワイヤー供給及びシールドガスモジュール、ワイヤー予熱器、及び環境制御装置、テレメトリデータベース(堆積システムに送信されるプロセス制御命令及び堆積システムから読み取られるプロセス監視データの送信と記録用)、及びプログラマブルロジックコントローラ(システムコンポーネントの全体動作を調整する)の他、レーザー干渉計を含む。レーザー干渉計は、溶融プール特性に関するリアルタイムフィードバックを提供する。幾つかの実施形態において、堆積システムは更に、金属堆積プロセスのリアルタイムの適応制御のために、機械学習アルゴリズム、例えば人工ニューラルネットワークを利用するためのプロセッサプログラマーを含む。幾つかの実施形態において、堆積システムはまた、プロセスパラメータを監視し及び/又は物体の欠陥(構築後、又はインプロセス)の自動分類を提供するための、マシンビジョンシステム又は他の検査ツールを含み、且つ、堆積プロセスによる次の動作の予測における機械アルゴリズムによる使用に対して、そのようなプロセス監視又は欠陥分類を組み込むことができる。
【0104】
図2は、本開示の幾つかの実施形態に係る、材料堆積プロセス、例えばレーザー金属ワイヤー堆積プロセスに対するセットアップの例の概略図を提供する。レーザービームは、交点に溶融プールを作成し且つ基板に材料を堆積させるために、金属ワイヤーに当たる。溶融プール材料はその後、レーザー及びワイヤー供給部(即ち、プリントヘッド)が基板に対して動かされると、新たな層を形成するべく硬化する。ワイヤーは、シールドガスのシースの使用により空気伝達される汚染物質から遮蔽される。
図4Cに示されるFEAシミュレーションデータ(date)の例により示されるように、熱は、基板に対するプリントヘッドの並進運動により、非対称的な様式で基礎となる基板(又は以前に堆積された層)を通って溶融プールの位置から伝播する。新たに堆積された層は、融合部と称される領域に基板(又は以前に堆積された層)との冶金的接合を形成する。新たに堆積された層を介した基板(又は以前に堆積された層)への熱の伝播は、幾つかの例において、熱影響部と称される領域内の物質特性に影響を与える場合がある。固化プロセスも、穴及びクラックなどの冶金的欠陥を堆積された層に形成しかねない。発生する欠陥の量及び種類は、熱量入力、高温で消費される時間、プリント部分の幾可学的形状、及び溶融プールに近い汚染物質の存在に依存する。
【0105】
図6のA-Bは、レーザー金属ワイヤー堆積プロセスにおける溶融プール及び堆積層特性を監視するためのレーザー干渉法の使用を例示する。
図6のAは、レーザービームが金属ワイヤーに当たる位置での堆積プロセスの顕微鏡写真図を示す。垂線は、ワイヤー供給部、以前に堆積された層、及び結果としてもたらされる溶融プールの高さプロファイルを監視するために使用されるときの、干渉計プローブビームの位置を示す。
図6のBは、ワイヤー供給部(実線;ピークはワイヤーを示し、一方で肩部は以前に堆積された層の高さを示す)及び溶融プール(破線)の位置でレーザー干渉法を用いて測定されるようなワイヤー供給部、以前に堆積された層、及び溶融プールの断面プロファイル(即ち、堆積の幅にわたる高さプロファイル)の例を提供する。X軸(幅)寸法は任意単位でプロットされる。Y軸(高さ)寸法は、堆積層未満の固定基準点に対してミリメートルの単位でプロットされる。開示された適応プロセス制御方法の幾つかの実施形態において、そのようなリアルタイムのプロセス監視データは、例えば、層の寸法精度、層の表面仕上げ及び/又は接着特性、及び/又は堆積プロセスの全体効率を改善するために、1つ以上のプロセス制御パラメータの調節を行うための機械学習アルゴリズムを実行するプロセッサによって、使用され得る。
【0106】
幾つかの実施形態において、レーザー干渉法は、溶融プールの寸法及び/又は特性、溶融プールから下流の堆積された層、又は1つ以上の位置で製造されている部品の他の特徴を監視するために使用され得る。幾つかの実施形態において、レーザー干渉法は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10の異なる位置で製造されている部品の寸法及び/又は特性を監視するために使用され得る。幾つかの実施形態において、部品の寸法及び/又は他の特性に関するレーザー干渉法データは、少なくとも0.1Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、100HZ、250Hz、500Hz、750Hz、1,000Hz、2,500Hz、5,000Hz、10,000Hz、25,000Hz、50,000Hz、100,000Hz、150,000Hz、200,000Hz、250,000Hz、又はそれ以上のレートで更新され得る。当業者は、干渉法データが更新され得るレートはこの範囲内の任意の値、例えば約800Hzを有し得ることを認識する。
【0107】
マシンビジョンシステム:例えばレーザー金属ワイヤー堆積システムと共に使用され得る自由形式堆積又は接合プロセス監視ツールの別の特異的な例は、マシンビジョンである。マシンビジョンシステムは、様々な工業検査、プロセス制御、及びロボットガイダンスアプリケーション用の撮像ベースの自動検査及び分析を提供し、且つ、様々な画像センサ又はカメラ、光源又は照射システム、及び追加の撮像光学コンポーネントの他、プロセッサ及び画像処理ソフトウェアの何れかを含み得る。
【0108】
図7のA-Cは、マシンビジョンシステムを用いて得られたレーザー金属ワイヤー堆積プロセスの画像からの、インプロセスの特徴抽出を例示する。
図7のAは、ワイヤーの先端に隣接する溶融プールの生の画像(例えば、ビデオレートデータストリームから捕らえられた1つの画像フレーム)を示す。
図7のBは、ノイズ除去、フィルタリング、及びエッジ検出アルゴリズムの適用後に処理された画像を示す。
図7のCは、例えば構造プレートに対するワイヤーの角度及び新たな層の高さ(厚み)を識別するために使用される特徴抽出アルゴリズムの適用後に処理された画像を示す。マシンビジョンシステム及び関連する画像処理能力により、リアルタイムで堆積プロセスの詳細を監視できる。
【0109】
幾つかの実施形態において、1つ以上のマシンビジョンシステムは、単一画像を獲得且つ処理するために、開示された適応プロセス制御方法及びシステムと共に使用され得る。幾つかの実施形態において、1つ以上のマシンビジョンシステムは、定められた時間間隔で一連の1つ以上の画像を獲得且つ処理するために、開示された適応プロセス制御方法及びシステムと共に使用され得る。多数の実施形態において、1つ以上のマシンビジョンシステムは、ビデオレート画像データを獲得且つ処理するために、開示された適応プロセス制御方法及びシステムと共に使用され得る。通常、1つ以上のマシンビジョンシステムにより供給される画像データは、少なくとも0.1Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、100HZ、250Hz、500Hz、750Hz、1,000Hz、2,500Hz、5,000Hz、又はそれ以上のレートで獲得及び/又は処理され得る。当業者は、画像データが獲得及び/又は処理され得るレートはこの範囲内の任意の値、例えば95Hzを有し得ることを認識する。
【0110】
幾つかの実施形態において、開示された適応プロセス制御方法及びシステムと共に使用される1つ以上のマシンビジョンシステムは、特定の波長(又は特定の波長帯内)で、又は異なる画像化モードで画像を獲得するように構成され得る。例えば、幾つかの実施形態において、1つ以上のマシンビジョンシステムは、X線領域、紫外領域、可視領域、近赤外領域、赤外領域、テラヘルツ領域、マイクロウェーブ領域、又は電磁気的スペクトルの無線周波領域、又はそれらの任意の組み合わせにおいて画像を獲得するように構成され得る。幾つかの実施形態において、1つ以上のマシンビジョンシステムは、蛍光画像を獲得するように構成され得る(例えばそこでは、励起光に対する波長帯は集められた蛍光放射光に対するものと異なる)。幾つかの実施形態において、1つ以上のマシンビジョンシステムは、堆積層又は製造されている部品のラベルなしの化学的撮像を提供するために、凝集ラマン散乱(CRS)画像(例えば、誘導ラマン効果(SRS)又は抗ストークラマン散乱(CARS)画像)を獲得するように構成され得る。
【0111】
<構築後検査ツール及び自動欠陥分類>
本明細書には、製造部品における欠陥を識別し且つ特性評価するために使用される、自動物体欠陥分類の方法及びシステムが開示される。この手法は、欠陥の検出及び分類のための機械学習アルゴリズムの使用に基づくものであり、そこでは、機械学習アルゴリズムは、熟練の操作者により提供される構築後検査データ及び/又は当業者に既知の様々な自動検査ツールの何れかより提供される検査データを含む、トレーニングデータセットを用いてトレーニングされる。開示された自動物体欠陥分類の方法及びシステムは、当業者に既知の様々な自由形式の堆積又は接合プロセスの何れかに適用され得る。幾つかの実施形態において、開示された自動物体欠陥分類の方法及びシステムは、新たな部品の構築後検査のために厳密に使用され得る。幾つかの実施形態において、これらは、1つ以上のプロセス制御パラメータがリアルタイムで調整され得るように、プロセス制御の実行に使用される機械学習アルゴリズムにリアルタイムのプロセス特性評価データを提供するために、インプロセスで使用され得る。幾つかの実施形態において、開示された自動物体欠陥分類の方法及びシステムは共に、リアルタイムのプロセス特性評価データを提供するために、及び構築後検査のために、インプロセスで使用され得る。幾つかの実施形態において、インプロセスの自動欠陥分類データは、最初の検出時の欠陥を是正するように、是正措置を実施するプロセス制御パラメータ調節のセット又はシーケンスを決定するための、例えば、層の寸法又は厚みを調整するための機械学習アルゴリズムによって使用され得る。幾つかの実施形態において、インプロセスの自動欠陥分類は、操作者に警告又はエラー信号を送信するための、又は随意に、堆積プロセス、例えば付加製造プロセスを自動的にアボートするための機械学習アルゴリズムによって使用され得る。幾つかの実施形態において、一旦トレーニングされると、自動欠陥分類システムは、インプロセスで及び/又は構築後に欠陥を検出且つ分類するために、更なるユーザー入力(例えば、熟練した操作者又は検査員からの更なる入力)を必要としない。
【0112】
自動物体欠陥分類方法は一般的に、a)トレーニングデータセットを提供する工程であって、トレーニングデータセットは、物体と同じ又は異なる複数の設計幾何学的形状に関する、製造プロセスシミュレーションデータ、製造プロセス特性評価データ、及び/又は構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせを含む、工程;b)1つ以上のセンサを提供する工程であって、1つ以上のセンサは1つ以上の物体特性に関するリアルタイムデータを提供する、工程;c)工程(a)のトレーニングデータセットを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して検出された物体欠陥の分類を提供するようにプログラムされたプロセッサを提供する工程であって、1つ以上のセンサからのリアルタイムデータは機械学習アルゴリズムへの入力として提供され、検出された物体欠陥の分類がリアルタイムで調整されるのを可能とする、工程を含む。
【0113】
トレーニングデータセット:上述のように、トレーニングデータセットは、現在製造されている物体と同じ又は異なる複数の設計幾何学的形状の過去の製造に関する、製造プロセスシミュレーションデータ、製造プロセス特性評価データ、構築後検査データ(熟練した操作者により提供される検査データ及び/又は様々な自動検査ツールの何れかにより提供される検査データを含む)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。1つ以上のトレーニングデータセットは、物体欠陥の検出及び分類のために使用される機械学習アルゴリズムをトレーニングするために使用されてもよい。場合によっては、以下でより詳細に説明されるように、トレーニングデータセットに含まれるデータのタイプは、利用される特定のタイプの機械学習アルゴリズムに応じて変動し得る。例えば、専門家システム(又は専門家学習システム)の場合、トレーニングデータセットは、同じタイプの部品、又は幾つかの共通の特徴のセットを共有する様々な異なる部品に関する物体欠陥を視覚的に識別及び分類する際に熟練した操作者又は技術者により提供される、主な欠陥分類データを含み得る。幾つかの例において、トレーニングデータセットは、所定のシステムで実行されると、物体欠陥及び物体欠陥の日付と共にリアルタイムで更新され得る。幾つかの例において、トレーニングデータは、複数の自動欠陥分類システムから取り出された物体欠陥データ及び物体分類データと共に更新され得る。
【0114】
幾つかの実施形態において、トレーニングデータセットは、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。幾つかの実施形態において、トレーニングデータセットは、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、及び構築後検査データから成る群から選択されたデータの1つのタイプを含み得る。幾つかの実施形態において、トレーニングデータセットは、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、及び構築後検査データから成る群から選択されたデータの何れか2つ又は3つのタイプの組み合わせを含み得る。幾つかの実施形態において、トレーニングデータセットは、これらのタイプのデータ全て、即ち、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、及び構築後検査データを含み得る。
【0115】
物体特性測定:一般的にプロセス監視のための上記に列挙されるものの幾つかを含む、様々なセンサ又は他の検査ツールの何れかが使用され得る。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサ(例えば、画像センサ又はマシンビジョンシステム)は、物体によって反射され、散乱され、吸収され、透過され、又は放たれる電磁放射線に関するデータを提供する。幾つかの実施形態において、電磁放射線は、X線、紫外線、可視光線、近赤外線、又は赤外線である。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは、物体により反射され、散乱され、吸収され、透過され、又は放たれる音響エネルギーに関するデータを提供する。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは、物体の電気伝導率又は熱伝導率に関するデータを提供する。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは、少なくとも0.1Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、100HZ、250Hz、500Hz、750Hz、1,000Hz、2,500Hz、5,000Hz、10,000Hz、又はそれ以上の更新レートで、機械学習アルゴリズムを使用して検出された物体欠陥の分類を提供するようにプログラムされたプロセッサにデータを提供することができる。当業者は、1つ以上のセンサ又はプロセス監視ツールが、この範囲内の任意の値、例えば約400Hzを有する更新レートでデータを提供し得ることを認識する。
【0116】
好ましい実施形態において、本開示の自動物体欠陥分類の方法及びシステムは、画像センサ及び/又はマシンビジョンシステムを用いて実施され得る。その後、キャプチャした画像の自動画像処理が、様々な物体特性、例えば、寸法(全体寸法、又は特定特徴の寸法)、特徴角度、特徴領域、表面仕上げ(例えば、光反射率の程度、単位面積ごとのピット及び/又はスクラッチの数)の何れかを監視するために使用され得る。幾つかの実施形態において、欠陥を是正される局所の過剰な温度、或いはプリント部分又は溶接部分における欠陥生成などの物体特性は、赤外線又は可視波長のカメラを用いて監視され得る。
【0117】
センサデータからのノイズ除去:幾つかの実施形態において、自動欠陥分類方法は更に、機械学習アルゴリズムへの提供の前に1つ以上のセンサによって提供される物体特性データからノイズを除去する工程を含み得る。1つ以上のセンサによって提供される物体特性データからノイズを除去する際に使用するのに適したデータ処理アルゴリズムの例は、限定されないが、信号平均化アルゴリズム、平滑化フィルタアルゴリズム、カルマンフィルタアルゴリズム、非線形フィルタアルゴリズム、全変動最小化アルゴリズム、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0118】
基準データセットの控除:開示された自動欠陥分類方法の幾つかの実施形態において、センサデータからの基準データの控除は、物体の正常な特徴と欠陥のある特徴との対比を増大させ、それにより欠陥の検出及び分類を容易にするために使用され得る。例えば、基準データセットは、製造される物体の理想的な欠陥のない例に関する、1つ以上のセンサによって記録されたセンサデータを含み得る。画像センサ又はマシンビジョンシステムが欠陥検出のために使用される場合、基準データセットは、理想的な欠陥のない物体の画像(又は、例えば異なる視野を表す画像のセット)を含み得る。
【0119】
欠陥の検出及び分類のための機械学習アルゴリズム:様々な機械学習アルゴリズムの何れかが、開示された自動物体欠陥の検出及び分類の方法の実施に使用され得る。利用される機械学習アルゴリズムは、教師付き学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、半教師付き学習アルゴリズム、強化学習アルゴリズム、ディープラーニングアルゴリズム、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。好ましい実施形態において、欠陥の識別及び分類のために利用される機械学習アルゴリズムは、サポートベクターマシン(SVM)、人工ニューラルネットワーク(ANN)、又はデシジョンツリーベースの専門学習システムを含み、そのうちの幾つかは以下に詳述される。幾つかの好ましい実施形態において、物体欠陥は、物体特性データセットと特定の閾値よりも大きい基準データセットとの差として検出され、且つ、1クラスサポートベクターマシン(SVM)又は自動エンコーダアルゴリズムを用いて分類され得る。幾つかの好ましい実施形態において、物体欠陥は、教師なしの1クラスサポートベクターマシン(SVM)、自動エンコーダ、クラスタリング、又は最近傍(例えばkNN)の機械学習アルゴリズム、及び、欠陥のある物体及び欠陥のない物体の両方に関する物体特性データを含むトレーニングデータセットを用いて、検出且つ分類され得る。
【0120】
<機械学習アルゴリズムを用いた適応リアルタイム堆積プロセス制御>
本明細書には、堆積プロセス、例えば付加製造又は溶接プロセスのリアルタイムの適応制御を提供するための方法及びシステムが開示される。一般的に、開示された方法は、a)物体(例えば3DのCADモデル)に関する入力設計幾可学的形状を提供する工程;b)トレーニングデータセットを提供する工程であって、トレーニングデータセットは、工程(a)の入力設計幾何学的形状と同じ又は異なる複数の設計幾何学的形状又はその部品に関する、プロセスシミュレーションデータ、製造プロセス特性評価データ、構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせを含む、工程;c)物体を製造するための1つ以上のプロセス制御パラメータの予測された最適なセット又はシーケンスを提供する工程であって、1つ以上のプロセス制御パラメータの予測された最適なセットは、工程(b)のトレーニングデータセットを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用して導かれる、工程;及びd)物体を製造するための堆積プロセス、例えば付加製造プロセスを実行する工程であって、リアルタイムのプロセス特性評価データは、リアルタイムで1つ以上のプロセス制御パラメータを調整するために機械学習アルゴリズムへの入力として1つ以上のセンサにより提供される、工程を含む。幾つかの実施形態において、工程(b)-(d)は繰り返し実行され、各繰り返しに関するプロセス特性評価データ、構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせは、トレーニングデータセットへと組み込まれる。開示されたプロセス制御方法は、当業者に既知の付加製造プロセス、例えば、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理法(DLP)、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザー焼結法(SLS)、選択的レーザー融解法(SLM)、電子ビーム溶解(EBM)プロセス、レーザービーム溶接、MIG(金属不活性ガス)溶接、TIG(タングステン不活性ガス)溶接などを含む様々な堆積プロセスの何れかに対して使用され得る。好ましい実施形態において、開示されたプロセス制御方法は、液体-固体自由形式堆積プロセス、例えばレーザー金属ワイヤー堆積プロセスに適用される。
【0121】
トレーニングデータセット:上述の自動欠陥分類方法と同様に、プロセス制御機械学習アルゴリズムの教育に使用されるトレーニングデータセットは、現在製造されている物体と同じ又は異なる複数の設計幾何学的形状の過去の製造に関する、製造プロセスシミュレーションデータ、製造プロセス特性評価データ、構築後検査データ(熟練した操作者により提供される検査データ及び/又は様々な自動検査ツールの何れかにより提供される検査データを含む)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。1つ以上のトレーニングデータセットは、適応リアルタイム堆積プロセス制御のために使用される機械学習アルゴリズムをトレーニングするために使用され得る。場合によっては、以下でより詳細に説明されるように、トレーニングデータセットに含まれるデータのタイプは、利用される特定のタイプの機械学習アルゴリズムに応じて変動し得る。例えば、場合によっては、トレーニングデータセットは主に、多くの同じタイプの部品、又は幾つかの共通の特徴のセットを共有する様々な異なる部品を成功裡に製造する際の、熟練した操作者又は技術者によって提供されるプロセス制御設定を含み得る。幾つかの例において、トレーニングデータセットは、製造が所定のシステムで実行されると、プロセスシミュレーションデータ、プロセス制御データ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、及び/又は構築後検査データを用いてリアルタイムで更新され得る。幾つかの例において、トレーニングデータは、製造が複数の堆積及び/又は溶接システムで実行されると、プロセスシミュレーションデータ、プロセス制御データ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、及び/又は構築後検査データを用いて更新され得る。
【0122】
幾つかの実施形態において、トレーニングデータセットは、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。幾つかの実施形態において、トレーニングデータセットは、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、及び構築後検査データから成る群から選択されたデータの1つのタイプを含み得る。幾つかの実施形態において、トレーニングデータセットは、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、及び構築後検査データから成る群から選択されたデータの何れか2つ又は3つのタイプの組み合わせを含み得る。幾つかの実施形態において、トレーニングデータセットは、これらのタイプのデータ全て、即ち、プロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、及び構築後検査データを含み得る。
【0123】
プロセス特性評価データ:様々なセンサ、測定ツール、又は検査ツールの何れかは、上記に列挙されるものを含む、様々なプロセスパラメータをリアルタイムで監視するために使用され得る。幾つかの実施形態において、例えば、レーザー干渉計が、部品が製造されているときに溶融プールの寸法(レーザー金属ワイヤー堆積の場合)又は他の部品寸法を監視するために使用され得る。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサ(例えば、画像センサ又はマシンビジョンシステム)は、物体によって反射され、散乱され、吸収され、透過され、又は放たれる電磁放射線に関するデータを提供する。幾つかの実施形態において、電磁放射線は、X線、紫外線、可視光線、近赤外線、又は赤外線である。幾つかの実施形態において、リアルタイム画像取得及び処理は、例えば、ベースプレート又は以前に堆積された層に対するワイヤー供給部の角度、又は堆積された層の厚みを監視するために使用される。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは、物体により反射され、散乱され、吸収され、透過され、又は放たれる音響エネルギーに関するデータを提供する。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは、物体の電気伝導率又は熱伝導率に関するデータを提供する。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは、少なくとも0.1Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、100HZ、250Hz、500Hz、750Hz、1,000Hz、2,500Hz、5,000Hz、10,000Hz、又はそれ以上のレートで、更新され得る機械学習アルゴリズムを実行するようにプログラムされたプロセッサにプロセス特性評価データを提供することができる。当業者は、1つ以上のプロセス特性評価センサが、この範囲内の任意の値、例えば約8000Hzを有する更新レートでデータを提供し得ることを認識する。
【0124】
好ましい実施形態において、プロセス制御を実行するために使用される機械学習アルゴリズムに供給されるリアルタイムのプロセス特性評価データは、堆積プロセス制御パラメータが、欠陥が構築プロセス中に生じる部品欠陥を補償又は是正するためにリアルタイムで調整され得るように、上述のような自動物体欠陥分類システムにより供給されるデータを含み得る。自動プロセス制御を実行するために使用される機械学習アルゴリズムは、以下に詳述されるように、報酬関数を最大化する(又は損失関数を最小化する)のに必要なものとして、リアルタイムでプロセス制御パラメータを調整するように構成され得る。
【0125】
自動堆積プロセス制御のための機械学習アルゴリズム:様々な機械学習アルゴリズムの何れかが、開示されたプロセス制御方法の実施に使用され、且つ、上述の自動物体欠陥分類方法を実施するために用いられるアルゴリズムと同じ又は異なるものであり得る。利用される機械学習アルゴリズムは、教師付きアルゴリズム、教師なしアルゴリズム、半教師付きアルゴリズム、強化アルゴリズム、ディープラーニングアルゴリズム、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。好ましい実施形態において、利用される機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークアルゴリズム、ガウスプロセス回帰アルゴリズム、ロジスティックスモデルツリーアルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、ファジイクラシファイヤーアルゴリズム、デシジョンツリーアルゴリズム、階層クラスタリングアルゴリズム、k平均法アルゴリズム、ファジイクラスタリングアルゴリズム、ディープボルツマン機械学習アルゴリズム、ディープ畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム、ディープ再帰ニューラルネットワーク、又はそれらの任意の組み合わせを含み、そのうちの幾つかは以下に詳述される。
【0126】
報酬関数及び損失関数:上述のように、幾つかの実施形態において、自動プロセス制御を実行するために使用される機械学習アルゴリズムは、堆積プロセスを最適化するために、報酬関数を最大化する(又は損失関数を最小化する)のに必要なものとして、リアルタイムでプロセス制御パラメータを調整するように構成され得る。本明細書で使用されるように、報酬関数(又は反対に、費用関数又は誤差関数とも称される損失関数)は、所定の製造事象に関連付けられる「報酬」(又は損失関数の場合には「費用」)を表わす実数に、1つ以上の付加製造プロセス変数及び/又は製造事象結果の値をマッピングする、関数を指す。報酬(又は損失)関数を定める際に使用され得るプロセスパラメータ及び製造事象結果の例は、限定されないが、プロセス処理量(例えば、単位時間ごとの製造された部品の数)、プロセス収率(例えば、特定のセットの品質基準を満たす、生産された部品のパーセンテージ)、生産品質(例えば、生産された部品と理想的な欠陥のない基準部品との間の部品寸法の平均二乗偏差、又は生産された部品ごとに検出された欠陥の平均数)、生産コスト(例えば、生産された部品ごとのコスト)などを含む。場合によっては、最大化される(又は最小化される)べき報酬関数(又は損失関数)の定義は、プロセス制御方法を実行するために使用される機械学習アルゴリズムの選択に依存する場合があり、又はその逆の場合もある。例えば、目的が報酬/価値関数の合計を最大化することである場合、強化学習アルゴリズムが選択され得る。目的が平均二乗誤差費用(又は損失)関数を最小化することである場合、デシジョンツリー回帰アルゴリズム又は線形回帰アルゴリズムが選択され得る。一般的に、プロセス制御方法を実行するために使用される機械学習アルゴリズムは、(i)製造時に部品の現在の「状態」を識別すること(例えば、1つ以上のセンサによって供給されたプロセス特性評価データのリアルタイムストリームに基づく)、(ii)現行の「状態」を設計対象(又は基準「状態」)と比較すること、及び(iii)2つの状態間の差を最小化するために1つ以上のプロセス制御パラメータを調整すること(例えば、トレーニングデータセットによって提供された過去の「学習」に基づく)により、報酬関数を最適化(又は損失関数を最小化)を最適化しようと努める。
【0127】
図8は、開示された堆積又は溶接プロセス制御方法の幾つかの実施形態に係る強化学習アルゴリズムに対する行動予測-報酬のループを説明する。堆積プロセスの場合、例えば、層堆積(行動a
j)の間に又はその完了後の任意の時点で、製造されている部品は、部品の現行の構築「状態」(状態s
j)を判定するために、上述のような様々なセンサ、測定ツール、検査ツール、及び/又はマシンビジョンシステムの何れかを使用して監視される。好ましい実施形態において、部品は、本明細書に開示されるような自動物体欠陥分類システムを用いてリアルタイムで監視される。一旦、部品の現行の構築状態が判定されると、強化学習アルゴリズムは、現行状態の情報s
j、及び過去のトレーニングデータを用いて発達されたモデルを使用し、報酬関数を最大化する提唱された行動a
j+1(例えば、プロセス制御パラメータのセット又はシーケンスの調整)を予測する。現行の構築状態s
jが比較的乏しい場合(即ち、低い値の報酬関数に関連付けられる)、次の構築状態s
j+1における最高の報酬をもたらす行動のセットを単に講ずることは望ましくない場合があり、なぜならばそれが長期的に最大の報酬をもたらさない場合があるためである。場合によっては、即時の次の構築状態s
j+1に対する報酬の最大化は、後に次の少数の構造状態、例えばs
j+2、s
j+3、s
j+4に対する非常に低い報酬状態間の決定を強制し得る。少し先へと検討するために学習されたプロセスモデルを使用することにより、単に即時の次の状態と対照的に次のN構築状態に対するプロセス制御パラメータ調節を最適化することができる。状態s
iから始まる「次のN状態」の各セットには、動作とその結果として生じる状態との相関を予測する以前にトレーニングされたモデルを用いて予測可能である、対応する報酬(即ち、次のN行動に対する報酬スペース)がある。故に、学習されたモデルは、次のN状態に対する報酬値の合計(又は重み付きの合計)を最適化する、行動のシーケンスを判定するために使用され得る。ループは部品が完成するまで繰り返され、且つ、堆積プロセスの付加制御を提供して、プロセス又は環境のパラメータに応じて使用されるプロセス制御パラメータの急速な最適化及び調整の他、プロセス収率、プロセス処理量、及び部品の品質の改善を提供する。
【0128】
図9は報酬関数の構築を例示しており、そこでは、報酬関数に基づく状態予測モデルを生成するために使用されるトレーニングデータが、手動制御の堆積プロセス中に人間の操作者が選択する行動を監視することにより獲得される。幾つかの実施形態において、機械学習アルゴリズムは、全体的又は部分的に自己トレーニングされ得る。例えば、幾つかの実施形態において、機械学習アルゴリズムのトレーニングの一部として、機械学習アルゴリズムは、1つ以上のプロセス制御パラメータのセットの各々に対して特定の範囲内の値を無作為に選択し、結果として生じるプロセスシミュレーションデータ、プロセス特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせをトレーニングデータセットに組み込んで、プロセス制御パラメータ値をプロセス結果にマッピングする学習されたモデルを改善する。
【0129】
一般的に、本明細書に開示される堆積プロセスの適応リアルタイム制御のための方法及びシステムは、静的データの探索操作(例えば、以前の実行からのプロセス制御パラメータ又はプロセス特性評価データの探索)に依存しない。むしろ、機械学習アルゴリズムは、プロセスシミュレーション及び/又は実際の部品製造中に1つ以上のプロセス制御パラメータに対する入力値の範囲を探索するために使用され、様々な異なるプロセス及び環境条件の下でプロセス結果に入力プロセス制御パラメータをマッピングする学習されたモデルを生成する。
【0130】
プロセス制御パラメータの更新レート:幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは、1つ以上のプロセス制御パラメータが少なくとも0.1Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、100HZ、250Hz、500Hz、750Hz、1,000Hz、2,500Hz、5,000Hz、10,000Hz、又はそれ以上の更新レートで調整できるように、機械学習アルゴリズムを実行するようにプログラムされたプロセッサにデータを提供することができる。当業者は、1つ以上のプロセス制御パラメータが、この範囲内の任意の値、例えば約8000Hzを有するレートで調整又は更新され得ることを認識する。
【0131】
<適応プロセス制御のための機械学習アルゴリズム>
上述のように、開示された自動欠陥分類及び付加製造のプロセス制御方法に利用される機械学習アルゴリズムは、教師付き学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、半教師付き学習アルゴリズム、強化学習アルゴリズム、ディープラーニングアルゴリズム、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0132】
教師付き学習アルゴリズム:本開示の状況下で、教師付き学習アルゴリズムは、所定の物体に対して識別される1つ以上の欠陥のセットと特定のセットの品質基準に従う物体の分類との間の関係を推測するために、或いは、付加製造プロセス制御パラメータのセットと所望の製造結果のセットとの間の関係を推測するために、標識されたトレーニングデータのセットの使用に依存するアルゴリズムである。トレーニングデータは、対になったトレーニング例のセットを含んでおり、例えば、各例は、所定の物体に対して検出された欠陥及び所定の物体の結果として生じる分類のセットを含み、或いは、各例は、製造プロセスの既知の結果と対になった製造プロセスに使用されたプロセス制御パラメータのセットを含む。
【0133】
教師なし学習アルゴリズム:本開示の状況下で、教師なし学習アルゴリズムは、標識された物体分類データと対にならない物体欠陥データセット、又は標識された製造結果と対にならない入力付加製造プロセス制御パラメータデータから成るトレーニングデータセットから推測を導くために使用されるアルゴリズムである。最も一般的に使用される教師なし学習アルゴリズムはクラスター分析であり、これは多くの場合、プロセスデータの隠れたパターン又はグループ分けを見出すための探究データ分析に対して使用される。
【0134】
半教師付き学習アルゴリズム:本開示の状況下で、半教師付き学習アルゴリズムは、(典型的に大量の未標識データを伴う比較的少量の標識データを用いる)トレーニングのために標識された及び未標識の物体分類又は付加製造のプロセスデータを使用するアルゴリズムである。
【0135】
強化学習アルゴリズム:本開示の状況下で、強化学習アルゴリズムは、例えば、特定の製造プロセス報酬関数を最大化するように取られるべき付加製造プロセス工程(又は行動)のセットを判定するために使用されるアルゴリズムである。機械学習環境において、強化学習アルゴリズムは多くの場合、マルコフ決定過程として公式化される。強化学習アルゴリズムは、正確なトレーニングデータの入力/出力の対が提示されず、且つ最適以下の行動が明確に是正されていないという点で、教師付き学習アルゴリズムと相違する。これらアルゴリズムは、更新された入力データに基づく起こりうる結果の探索と過去のトレーニングの探索との平衡を見出すことを通じて、リアルタイムのパフォーマンスに焦点をおいて実施される傾向がある。
【0136】
ディープラーニングアルゴリズム:本開示の状況下で、ディープラーニングアルゴリズムは、物体分類決定に欠陥データをマッピングする、又は所望の製造結果に入力付加製造プロセス制御パラメータをマッピングするために使用される、人工ニューラルネットワーク(ANN)、具体的には多くの層を含む大きなニューラルネットワークと呼ばれる人間の脳の構造及び機能によって引き出されたアルゴリズムである。人工ニューラルネットワークは以下に詳述される。
【0137】
デシジョンツリーに基づく専門家システム:本開示の状況下で、専門家システムは、一連のif-thenの規則の適用によって物体欠陥分類の問題又は付加製造プロセス制御の問題を解決するように設計される、教師付き学習アルゴリズムの一例である。専門家システムは典型的に2つのサブシステムを含む:推測エンジン及び知識ベース。知識ベースは、事実(例えば、一連の製造された部品に関する物体欠陥データ、及び熟練したオペレータ、技術者、又は検査員により提供される関連する物体分類データを含むトレーニングデータセット)及び派生規則(例えば、派生した物体分類規則)のセットを含む。その後、推測エンジンは、物体の分類又は次のプロセス制御調整のセットを判定するために、現行の物体分類の問題又はプロセス制御の問題に関するデータに規則を適用する。
【0138】
サポートベクターマシン(SVM):本開示の状況下で、サポートベクターマシンは、物体欠陥分類データの分類及び回帰分析又は付加製造プロセス制御のために使用される、教師付き学習アルゴリズムである。トレーニングデータ例のセット(例えば物体欠陥データ)を考慮すると、各々は2つのカテゴリー(例えば、良好又は悪い、合格又は失敗)の何れか属するように印付けられ、SVMトレーニングアルゴリズムは、何れかのカテゴリーに新たな例(例えば、新たに製造された物体に関する欠陥データ)を割り当てるモデルを構築する。
【0139】
自動エンコーダ:本開示の状況下で、自動エンコーダ(時折、自動アソシエータ(autoassociator)又はディアボロネットワークとも呼ばれる)は、入力データ、例えば物体欠陥データの、出力値、例えば物体分類への教師なしの効率的なマッピングのために使用される、人工ニューラルネットワークである。自動エンコーダは多くの場合、寸法縮小、即ち、主なコンポーネントの変数のセットを推定することにより検討中の確率変数の数を減少させるプロセスの目的のために使用される。寸法縮小は、例えば、特徴選択(即ち、元の変数の部分集合)又は特徴抽出(即ち、高次元空間におけるデータの、より少ない次元の空間への変換)の目的のために実行され得る。
【0140】
人工ニューラルネットワーク(ANN):場合によっては、開示された自動物体欠陥分類又は適応プロセス制御の方法のために使用される機械学習アルゴリズムは、人工ニューラルネットワーク(ANN)、例えばディープマシンラーニングアルゴリズムを含み得る。本開示の自動物体分類方法は、例えば、物体分類データに物体欠陥データをマッピングするために人工ニューラルネットワークを利用することができる。本開示の付加製造プロセス制御システムは、例えば、1つ以上のセンサによって提供されるプロセス監視データ及び/又は物体欠陥分類データのストリームに基づいて、リアルタイムでの付加製造プロセスの適応制御に対するプロセス制御パラメータ設定の最適なセット又はシーケンスを判定するための人工ニューラルネットワーク(ANN)を利用することができる。人工ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、放射基底関数ネットワーク、再帰ニューラルネットワーク、又は畳み込みニューラルネットワークなどの任意のタイプのニューラルネットワークモデルを含み得る。幾つかの実施形態において、本開示の自動物体欠陥分類及び付加製造プロセス制御の方法及びシステムは、予めトレーニングされたANNアーキテクチャを利用することができる。幾つかの実施形態において、本開示の自動物体欠陥分類及び付加製造プロセス制御の方法及びシステムはANNアーキテクチャを利用することができ、ここで、トレーニングデータセットは、単一のローカルシステム、複数のローカルシステム、或いは複数の地理的分散システムからの、リアルタイムの物体分類データ又はリアルタイムの堆積プロセス制御及び監視データと共に絶えず更新される。
【0141】
本開示の全体にわたり使用されるように、用語「リアルタイム」は、センサデータ(例えば、プロセス制御データ、プロセス監視データ、及び/又は物体欠陥識別及び分類のデータ)が、入力センサデータストリームの1つ以上における変化に応じて物体分類の予測、又は最適なプロセス制御パラメータの予測を更新するために、機械学習アルゴリズム、例えば人工ニューラルネットワーク又はディープマシンラーニングアルゴリズムにより獲得され、処理され、及び/又は使用されるレートを指す。一般的に、開示された物体欠陥分類及び付加製造プロセス制御の方法及びシステムにより提供される物体分類又はプロセス制御のパラメータに関する更新レートは、約0.1Hz~約10,000Hzに及び得る。幾つかの実施形態において、更新レートは、少なくとも0.1Hz、少なくとも1HZ、少なくとも10Hz、少なくとも50Hz、少なくとも100Hz、少なくとも250Hz、少なくとも500Hz、少なくとも750Hz、少なくとも1,000Hz、少なくとも2,000Hz、少なくとも3,000Hz、少なくとも4,000Hz、少なくとも5,000Hz、又は少なくとも10,000Hzであり得る。幾つかの実施形態において、更新レートは、多くとも10,000Hz、多くとも5,000Hz、多くとも4,000Hz、多くとも3,000Hz、多くとも2,000Hz、多くとも1,000Hz、多くとも750Hz、多くとも500Hz、多くとも250Hz、多くとも100Hz、多くとも50Hz、多くとも10Hz、多くとも1Hz、又は多くとも0.1Hzであり得る。当業者は、更新レートがこの範囲内の任意の値、例えば約8,000Hzを有し得ることを認識する。
【0142】
人工ニューラルネットワークは一般的に、ノードの多層へと組織化されたノードの相互連結群を含む(
図10を参照)。例えば、ANNアーキテクチャは、少なくとも1つの入力層、1つ以上の隠された層、及び出力層を含み得る。ANNは、任意の総数の層、及び任意数の隠された層を含み、隠された層は、好ましい出力値又は出力値のセットへの入力データのマッピングを可能にする、トレーニング可能な特徴抽出器として機能する。ニューラルネットワークの各層は多数のノード(又はニューロン)を含む。ノードは、入力データ(例えば、本開示の方法の場合、センサデータ、画像データ、物体欠陥データなど)、又は先の層のノードの出力から直接生じる入力を受け取り、特定の操作、例えば要約操作を実行する。場合によっては、入力からノードへの接続は、重み(又は重み計数)に関連付けられる。場合によっては、ノードは、全ての対の入力x
i、及びそれらの関連する重みw
iの積を要約することができる(
図11)。場合によっては、加重合計は、
図11に例示されるようにバイアスbで補われる。場合によっては、ニューロンの出力は、線形又は非線形の関数であり得る、閾値又は活性化関数fを用いてゲート制御され得る。活性化関数は、例えば、正規化線形ユニット(ReLU)活性化関数、又は、飽和双曲線正接、同一性、二進法工程、記号論理学、arcTan、ソフトサイン、パラメトリック正規化線形ユニット、指数関数的線形ユニット、softPlus、湾曲同一性(bent identity)、softExponential、シヌソイド、Sinc、ガウス、又はシグモイド関数、又はそれらの任意の組み合わせなどの他の関数であり得る。
【0143】
重み係数、バイアス値、及び閾値、又は、ニューラルネットワークの他の計算パラメータは、トレーニングデータの1つ以上のセットを用いてトレーニングフェーズにおいて「教示」又は「学習」され得る。例えば、パラメータは、ANNが算出する出力値(例えば、プロセス制御パラメータ設定に対する予測された調整のセット)がトレーニングデータセットに含まれる例に一致するように、トレーニングデータセットからの入力データ、及び勾配降下又はバックプロパゲーションの方法を使用してトレーニングされ得る。パラメータは、自動物体欠陥分類又は適応リアルタイム堆積プロセス制御のために使用されるものと同じハードウェアを用いて実行される、又は実行されない場合がある、バックプロパゲーションニューラルネットワークトレーニングプロセスから得られ得る。
【0144】
ディープマシンラーニングアルゴリズムの他の特定のタイプ、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)(例えば、マシンビジョンシステムから画像データを処理するためのもの)も、開示された方法及びシステムにより使用され得る。CNNは一般的に、異なるタイプの層:畳み込み、プーリング、アップスケーリング、及び完全に接続されたノードの層で構成される。場合によっては、正規化線形ユニットなどの活性化関数は、層の一部に使用され得る。CNNアーキテクチャにおいて、実行される操作の各タイプに対して1つ以上の層が存在し得る。CNNアーキテクチャは、合計で任意数の層、及び実行される操作の異なるタイプに対する任意数の層を含み得る。最も単純な畳み込みニューラルネットワークアーキテクチャは、畳み込み層及びプーリング層のシーケンスが後続する入力層から始まり、完全に接続された層で終わる。各畳み込み層は、畳み込み操作の実行のために使用される複数のパラメータを含み得る。各畳み込み層はまた、次いで1つ以上の重み係数又は他の調整可能なパラメータを含み得る1つ以上のフィルタを含む場合がある。幾つかの例において、パラメータは、バイアス(即ち、活性化関数の推移を許容するパラメータ)を含み得る。場合によっては、畳み込み層は、ReLU活性化関数の層に後続する。他の活性化関数、例えば、飽和双曲線正接、同一性、二進法工程、記号論理学、arcTan、ソフトサイン、パラメトリック正規化線形ユニット、指数関数的線形ユニット、softPlus、湾曲同一性(bent identity)、softExponential、シヌソイド、Sinc、ガウス、シグモイド関数なども使用され得る。畳み込み、プーリング、及びReLUの層は学習可能な特徴抽出器として機能し、一方で完全に接続された層は機械学習クラシファイヤーとして機能し得る。
【0145】
他の人工ニューラルネットワークと同様に、CNNアーキテクチャの畳み込み層及び完全に接続された層は典型的に、上述のようなトレーニングフェーズにおいてトレーニングされる、様々な計算パラメータ、例えば重み、バイアス値、及び閾値を含む。
【0146】
一般的に、(多数のセンサデータストリームからのデータの入力、及び/又は、例えば画像フレームのサブサンプリングを可能にする)ANNの入力層に使用されるノードの数は、約10~約10,000のノードに及ぶ場合がある。幾つかの例において、入力層に使用されるノードの数は、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1000、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、少なくとも6000、少なくとも7000、少なくとも8000、少なくとも9000、又は少なくとも10,000であり得る。幾つかの例において、入力層に使用されるノードの数は、多くとも10,000、多くとも9000、多くとも8000、多くとも7000、多くとも6000、多くとも5000、多くとも4000、多くとも3000、多くとも2000、多くとも1000、多くとも900、多くとも800、多くとも700、多くとも600、多くとも500、多くとも400、多くとも300、多くとも200、多くとも100、多くとも50、又は多くとも10であり得る。当業者は、入力層に使用されるノードの数がこの範囲内の任意の値、例えば約512のノードを有し得ることを認識する。
【0147】
幾つかの例において、(入出力層を含む)ANNに使用される層の合計数は、約3~約20に及び得る。幾つかの例において、層の合計数は、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、又は少なくとも20であり得る。幾つかの例において、層の合計数は、多くとも20、多くとも15、多くとも10、多くとも5、多くとも4、又は多くとも3であり得る。当業者は、ANNに使用される層の合計数がこの範囲内の任意の値、例えば8の層を有し得ることを認識する。
【0148】
幾つかの例において、ANNに使用される学習可能又はトレーニング可能なパラメータ、例えば重み係数、バイアス、又は閾値の合計数は、約1~約10,000に及び得る。幾つかの例において、学習可能なパラメータの合計数は、少なくとも1、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも4,000、少なくとも5,000、少なくとも6,000、少なくとも7,000、少なくとも8,000、少なくとも9,000、又は少なくとも10,000であり得る。代替的に、学習可能なパラメータの合計数は、100未満の任意数、100~10,000の間の任意数、又は10,000を超える数であり得る。幾つかの例において、学習可能なパラメータの合計数は、多くとも10,000、多くとも9,000、多くとも8,000、多くとも7,000、多くとも6,000、多くとも5,000、多くとも4,000、多くとも3,000、多くとも2,000、多くとも1,000、多くとも500、多くとも100、多くとも10、又は多くとも1であり得る。当業者は、使用される学習可能なパラメータの合計数がこの範囲内の任意の値、例えば約2,200のパラメータを有し得ることを認識する。
【0149】
<統合及び分散型付加製造システム>
幾つかの実施形態において、本開示の適応リアルタイムプロセス制御方法は、単一の物理的/地理的位置に存在する、統合された付加製造及び/又は溶接システム(即ち、自由形式の堆積又は接合システム)に対して使用され得る。
図12は、堆積プロセスのリアルタイム適応制御を提供するための、堆積装置、1つ以上のマシンビジョンシステム、及び/又は他のプロセス監視ツール、プロセスシミュレーションツール、構築後検査ツール、及び、プロセスシミュレーションツール、マシンビジョン及び/又はプロセス監視ツール(インプロセス検査及び/又は欠陥分類ツールを含む)、構築後検査ツール、又はそれらの任意の組み合わせからデータを利用する機械学習アルゴリズムを実行するための1つ以上のプロセッサを含む、統合された付加製造システムの概略図を提供し、ここでシステムのコンポーネントは同じ物理的/地理的位置に位置する。これらの実施形態において、プロセッサは、直接のハードワイヤード接続を介して、及び/又はblue tooth又はwifi接続などの近距離通信リンクを介して、個々のシステムコンポーネントと通信することができる。幾つかの実施形態において、システムコンポーネントの2つ以上は、温度、圧力、大気の組成などの製造環境パラメータのより厳格な制御を可能とする筐体又はハウジング(破線)内に収容され得る。
【0150】
図13は、堆積プロセスのリアルタイム適応制御を提供するための、分散型自由形式堆積システム、例えば付加製造システムの概略図を提供し、該システムは、1つ以上の堆積装置、プロセスシミュレーションツール、マシンビジョンシステム、及び/又は他のプロセス監視ツール、インプロセス検査ツール、構築後検査ツール、及び、マシンビジョン及び/又はプロセス監視ツール、プロセスシミュレーションツール、構築後検査ツール、又はそれらの任意の組み合わせからデータを利用する機械学習アルゴリズムを実行するための1つ以上のプロセッサを含み、ここで、システムの異なるコンポーネント又はモジュールは、異なるワークスペース及び/又はワークサイト(即ち、異なる物理的/地理的位置)に物理的に位置し、且つ、プロセスデータ(例えば、トレーニングデータ、プロセスシミュレーションデータ、プロセス制御データ、インプロセス検査データ、及び/又は構築後検査データ)及びプロセス制御命令が異なるモジュール間で共有され且つ交換できるように、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットを介して接続され得る。幾つかの実施形態において、共局在化システムコンポーネントの幾つか(例えば、堆積装置及びプロセス監視ツール)は、温度、圧力、大気の組成などの製造環境パラメータのより厳格な制御を可能とする、局所の筐体又はハウジング(図示せず)内に収容され得る。
【0151】
分散システムについて、1つ以上の堆積装置、1つ以上のプロセス監視センサ、マシンビジョンシステム、及び/又はインプロセス検査ツール間のデータの共有は、データ圧縮アルゴリズム、データ特徴抽出アルゴリズム、又はデータ寸法縮小アルゴリズムの使用を介して容易にされ得る。
図14は、特徴抽出及びデータ圧縮を画像化するための教師なしANNベースの手法の1つの非限定的な例であり、これにより画像データは、データが獲得される異なる物理的/地理的位置において都合よく圧縮され、送信され、且つ再構成される。
【0152】
<プロセッサ&コンピュータシステム>
1つ以上のプロセッサが、本明細書に開示される機械学習アルゴリズム、自動物体欠陥分類方法、及び付加製造プロセス制御方法を実施するために利用され得る。1つ以上のプロセッサは、中央処理装置(CPU)、映像処理装置(GPU)、汎用処理装置、又はコンピューティングプラットフォームなどのハードウェアプロセッサを含み得る。1つ以上のプロセッサは、様々な適切な集積回路、マイクロプロセッサ、論理回路などの何れかで構成され得る。本開示はプロセッサに対する言及と共に記載されるが、他のタイプの集積回路及び論理回路も適用可能であり得る。プロセッサは任意の適切なデータ演算能力を有し得る。例えば、プロセッサは、512ビット、256ビット、128ビット、64ビット、32ビット、又は16のビットのデータ演算を実行することができる。1つ以上のプロセッサは、シングルコア又はマルチコアプロセッサ、或いは並列処理用に構成された複数のプロセッサでもよい。
【0153】
1つ以上のプロセッサ、或いは自動付加製造堆積装置及び制御システム自体は、より大きなコンピュータシステムの一部であり、及び/又は、データ及び予測結果の送信と共有を容易にするために通信インターフェースの補助によりコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)に動作可能に接続され得る。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、及び/又はエクストラネット、インターネットと通信するイントラネット及び/又はエクストラネット、或いはインターネットであり得る。場合によっては、ネットワークは、電気通信及び/又はデータのネットワークである。ネットワークは、場合によってはクラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にする、1つ以上のコンピュータサーバーを含み得る。ネットワークは、場合によってはコンピュータシステムの補助により、ピアツーピア・ネットワークを実施することができ、このネットワークは、コンピュータシステムに連結されたデバイスが、クライアント又はサーバーとして作動することを可能にし得る。
【0154】
コンピュータシステムはまた、メモリ又はメモリ位置(例えばランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置(例えばハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース(例えばネットワークアダプタ)、及び、キャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置、及び/又は電子ディスプレイアダプタなどの周辺機器も含み得る。メモリ、記憶装置、インターフェース、及び周辺機器は、例えば、マザーボード上で見出されるように、通信バスを介して、1つ以上のプロセッサ、例えばCPUと通信することができる。記憶装置は、データを記憶するためのデータ記憶ユニット(又はデータリポジトリ)であり得る。
【0155】
1つ以上のプロセッサ、例えばCPUは、一連の機械可読命令を実行し、この命令はプログラム(又はソフトウェア)で具体化される。この命令はメモリ位置に記憶される。命令は、本開示の方法を実行するようにCPUを引き続きプログラムする或いはそのように構成する、CPUに向けられる。CPUによって実行される操作の例は、フェッチ、デコード、実行、及びライトバックを含む。CPUは集積回路などの回路の一部であり得る。システムの1つ以上の他のコンポーネントを回路に含めてもよい。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0156】
記憶装置は、ドライバ、ライブラリ、及び保存されたプログラムなどのファイルを記憶する。記憶装置は、ユーザーデータ、例えばユーザー指定の嗜好性、及びユーザー指定のプログラムを記憶する。コンピュータシステムは、場合によっては、イントラネット又はインターネットを通じてコンピュータシステムと通信状態にあるリモートサーバー上に位置付けられるなど、コンピュータシステムの外部にある1つ以上の追加のデータ記憶ユニットを含み得る。
【0157】
開示された物体欠陥分類又は付加製造プロセス制御のアルゴリズムなどの、本明細書に提供される方法及びシステムの幾つかの態様は、例えばメモリ又は電子記憶ユニットなど、コンピュータシステムの電子記憶場所に記憶された機械(例えばプロセッサ)実行可能なコードとして実施される。機械実行可能又は機械可読コードは、ソフトウェアの形で提供される。使用中に、コードは1つ以上のプロセッサによって実行される。場合によっては、コードは記憶装置から検索され、1つ以上のプロセッサによる即時のアクセスのためにメモリに記憶される。場合によっては、電子記憶ユニットは排除され、機械実行可能な命令がメモリに記憶される。コードは、コードを実行するように適合された1つ以上のプロセッサを有する機械との使用のために事前にコンパイルされ且つ構成され、或いは実行時にコンパイルされ得る。コードは、事前にコンパイルされた又はアズコンパイルされた(as-compiled)様式でのコードの実行を可能にするために選択される、プログラミング言語で供給され得る。
【0158】
この技術の様々な態様が、典型的に一種の機械可読媒体に記憶される機械(又はプロセッサ)実行可能コード及び/又は関連データの形で、「製品」又は「製造用品」として考慮され得る。機械実行可能コードは、光ディスク、CD-ROM、DVD、又はブルーレイディスクなどの光学的に読み取り可能な媒体を含む光記憶ユニットに記憶され得る。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)などの電子記憶ユニットに、又はハードディスクに記憶され得る。「記憶」型の媒体は、様々な半導体メモリチップ、光学ドライブ、テープドライブ、ディスクドライブなどの、コンピュータやプロセッサなどの有形メモリ、或いはその関連するモジュールの何れか又は全てを含み、これらは、本明細書に開示される方法及びアルゴリズムをコードするソフトウェアに対して任意の時点で非一時的な記憶を提供することができる。
【0159】
ソフトウェアコードの全て又は一部が時折、インターネット又は様々な他の電気通信ネットワークを介して通信され得る。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータ又はプロセッサから別のものへのソフトウェアのローディング、例えば、管理サーバー又はホストコンピュータからアプリケーションサーバーのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのローディングを可能にする。故に、ソフトウェアでコードされた命令を伝えるために使用される媒体の他のタイプは、有線及び光地上通信線ネットワークを介した、及び様々な大気リンク(atmospheric link)上での、ローカルデバイス間の物理インターフェースにわたって使用されるものなどの、光波、電波、及び電磁波を含む。有線又は無線リンク、光リンクなどの、前記波を運ぶ物理要素も、本明細書に開示される方法を実行するためのソフトウェアでコードされた命令を伝える媒体として考慮される。本明細書で使用されるように、非一時的で有形の「記憶」媒体に制限されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する媒体を指す。
【0160】
コンピュータシステムは典型的に、例えばマシンビジョンシステムによりキャプチャされた画像を提供するための電子ディスプレイを含むか、或いはそれと通信状態にあってもよい。ディスプレイは典型的に、ユーザーインターフェース(UI)を提供することもできる。UIの例は、限定されないが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、ウェブベースユーザーインターフェースなどを含む。
【0161】
<用途>
開示された自動物体欠陥分類及び適応リアルタイム自由形式堆積又は接合(付加製造及び溶接を含む)プロセス制御の方法及びシステムは、自動車産業、航空産業、医療機器産業、家電業界などにおける部品及びアセンブリの製造を含むがこれらに限定されない、様々な工業用の用途の何れかに使用され得る。例えば、溶接プロセスに対する高容量の用途は、車体の溶接のための自動車産業における使用の他、井戸及び精油所の構築のためのオイル及びガス産業における、及び船舶(造船)産業における使用も含む。
【実施例】
【0162】
これら実施例は例示目的のためだけに提供され、本明細書に提供される請求の範囲を制限するように意図したものではない。
【0163】
予測的な実施例1-自動物体欠陥分類
本明細書に開示される機械学習アルゴリズムベースの自動物体欠陥分類の方法及びシステムは、適応リアルタイム付加製造(又は溶接)プロセス制御を可能とするための主要なコンポーネントを提供する。前記方法は、物体欠陥を識別し且つ特定のセットの製造品質基準に従い欠陥を分類する目的でインプロセス又は構築後の検査データを分析するための機械学習アルゴリズムの使用を含み、及び、幾つかの実施形態において、リアルタイム適応プロセス制御に関する入力データを更に提供する。
【0164】
図15は、物体欠陥の分類のための教師なし機械学習プロセスに対して予想される結果の概略図を提供する。1つ以上の自動検査ツール、例えば自動画像処理アルゴリズムと連結されるマシンビジョンシステムは、特徴寸法、角度、表面仕上げ、及び/又は、インプロセス及び構築後の製造された部品の他の特性を監視及び測定するために使用される。欠陥は、例えば、検査データからノイズを除去し且つ基準データセット(例えば、マシンビジョンツールが検査のために利用されている場合の欠陥のない部品の基準画像)を控除することによって識別され、且つ、クラスター分析又は人工ニューラルネットワークなどの教師なし機械学習アルゴリズムを使用して分類され、それにより、個々の物体を、欠陥が監視されている特徴スペースにおける決定基準(例えば決定境界)の特定のセットを満たすもの又は満たすことができないものとして分類する。(決定基準を満たす物体及び満たさない物体の両方を含む)物体のセットを製造するために使用されたプロセス制御パラメータ及びプロセス監視データの追跡は、製造プロセス制御の実行に使用される機械学習アルゴリズムに関するトレーニングデータを提供する。
【0165】
予測的な実施例2-適応リアルタイム付加製造プロセス制御
図10は、付加製造(又は溶接)プロセスのリアルタイム適応プロセス制御のために使用されるANNアーキテクチャの1つの非限定的な例を示す。
図10において、入力層は、製造プロセス及び/又は製造されている部品の現在状況の指標を提供するプロセス及び/又は物体特性データの、1つ以上のリアルタイムストリームを含む。適切な入力データストリームの例は、限定されないが、プロセスシミュレーションデータ(例えば、FEAシミュレーションデータ)、プロセス監視又は特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせの他、標的(又は将来の)製造状態を達成するために次の工程動作を実行するように調整され得るプロセス制御パラメータのリストも含む。このデータは、同じ又は異なるタイプの部品の以前の製造の実行からのプロセスシミュレーションデータ、プロセス監視又は特性評価データ、インプロセス検査データ、構築後検査データ、又はそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上のトレーニングデータセットを使用して、多くの場合に以前にトレーニングされた、ANNに供給される。ANNの隠された又は中間の層は、トレーニングされた特徴抽出器として作用し、一方で
図10の例における出力層は、予測された将来の構築状態の判定を提供する。上述のように、ANNモデルは、現行の構築状態及び動作のセットに基づいて将来の構築状態を予測するようにトレーニングされる。一旦、ANNモデルが開発されると(即ち、モデルは将来の状態へと現行の状態及びプロセスパラメータをマッピングすることができる)、その使用は、次のN状態に対するプロセス制御パラメータ調節のセットの判定へと拡張され得る。ANNモデルは動作値関数の作成における第1の工程であり、(
図8に図示されるような)所定の構築工程に対する動作の次のシーケンスの判定は、適応リアルタイムプロセス制御を進行における第2の工程である。
【0166】
幾つかの実施形態において、ニューラルネットワークモデルは、プロセス制御パラメータへの調節を判定するために直接使用され得る。これは典型的に、より困難な「トレーニング」又は「学習」プロセスに関与する。最初に、マシンは、各入力処理制御パラメータ又は動作に関する値の範囲から無作為に選択されることが可能となる。プロセス制御パラメータの調節又は動作のシーケンスは、不具合又は欠陥をもたらす場合、好ましくない(又は負の)結果をもたらすものとしてスコア付けされる。各プロセス制御パラメータ又は動作に関して無作為に選択された値の異なるセットを使用したプロセスの繰り返しは、望ましい(又は正の)結果をもたらすそれらのシーケンスの強化をもたらす。最終的に、ニューラルネットワークモデルは、標的の結果、即ち欠陥なしのプリント部分を達成するために、堆積プロセス制御パラメータ又は動作のセット又はシーケンスに対しどのような調整が行われるのかを「学習する」。
【0167】
実施例3-製造後画像特徴抽出、及び構築時間動作との相関
図16A-Cは、インプロセス及び製造後の画像特徴抽出、及び部品特徴の構造時間動作との相関の例を提供する。
図16A:構築プロセス後の部品の画像が完成している。
図16B:構築後検査出力の例(この場合、部品のコンピュータ断層撮影装置(CT)スキャン)。
図16C:
図16Bに示されるCTスキャンを処理するために特徴抽出アルゴリズムを用いて得られた画像。幾つかの実施形態において、自動特徴抽出により、部品特徴を構造時間動作と相関させることが可能となる。構造中(例えば、プリント時)、プロセス制御パラメータ(例えば、レーザー出力、供給速度、移動速度など)及び堆積プロセスの結果(例えば、溶融プールの形状、溶融プールにおける欠陥など)を相関させる機械学習モデルの構築に加えて、プロセス制御パラメータと部品の特定位置との間にマッピングを作成することもできる。これにより、部品に対し構築後検査データを引き続きインデクシングし、且つ、構築後検査からの所見を対象の領域に特異的なプロセス制御パラメータに相関させ、それにより、構築後検査データを含むように機械学習モデルを拡張することができる。
【0168】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され且つ記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、及び置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において任意の組み合わせで利用される得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲及びその同等物の範囲内の方法及び構造は、それにより包含されることが、意図されている。