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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】自動原点復帰が可能なスイベルパッド
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/04 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
B23Q3/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020196360
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2021084225
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】10-2019-0157629
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0145554
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520466249
【氏名又は名称】ソン、ジョン ス
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジョン ス
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0075640(KR,A)
【文献】特開2002-120122(JP,A)
【文献】実開平01-119914(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/04,
B25B 1/00-11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物を固定又は移動するために、クランプの一端面に締め付けられたスイベルパッドであって、
上部面と下部面がフラットに加工され、下部面の中央に所定深さの第1の弾性体挿入孔が形成された圧着ボールと、
一側に、前記圧着ボールを収容する挿入溝が形成され、前記挿入溝の下方側に第1の戻し空間と、前記第1の戻し空間の中央に所定深さの第2の弾性体挿入孔が形成され、他側には、クランプと連結される連結部が形成された支持部材と、
前記第1の弾性体挿入孔と第2の弾性体挿入孔にそれぞれ一側端が挿入して、圧着ボールを弾持する弾性部材とを含み、
前記圧着ボールの上部面が工作物を圧着して固定又は移動し、回転した圧着ボールが圧着解除後、水平に復帰される構成において、
前記第1の戻し空間の内周面には、前記圧着ボールが一定の角度以上回転することを制限することができるように、段差形状の回転防止鍔が備えられる
こと特徴とする自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項2】
工作物を固定又は移動するために、クランプの一端面に締め付けられたスイベルパッドであって、
上部面と下部面がフラットに加工され、下部面の中央に所定深さの第1の弾性体挿入孔が形成された圧着ボールと、
一側に、前記圧着ボールを収容する挿入溝が形成され、前記挿入溝の下方側に第1の戻し空間と、前記第1の戻し空間の中央に所定深さの第2の弾性体挿入孔が形成され、外周面に雄ねじ山が形成される支持部材と、
前記第1の弾性体挿入孔と第2の弾性体挿入孔にそれぞれ一側端が挿入して、圧着ボールを弾持する弾性部材と、
中空の内周面に前記支持部材の雄ねじ山と螺合されるように雌ねじ山が形成され、下部にクランプと連結される連結部が形成された蓋体と、
前記支持部材の外周面に締め付けられて、前記蓋体に前記支持部材を固定するロックナットとを含み、
前記圧着ボールの上部面が工作物を圧着して固定又は移動し、回転した圧着ボールが圧着解除後、水平に復帰され、
前記蓋体に締め付けられた支持部材の締付け程度により、前記圧着ボールの高低が調節されることを特徴とする自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項3】
前記弾性部材は、コイル形状の引張コイルバネであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項4】
前記引張コイルバネが前記第1の弾性体挿入孔及び第2の弾性体挿入孔に挿入されずに露出した露出部の長さは、引張コイルバネの巻数が6~8回であることを特徴とする請求項3に記載の自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項5】
前記圧着ボールの中心から前記回転防止鍔の内側上端隅までの長さは、前記圧着ボールの半径よりも小さく形成されることを特徴とする請求項に記載の自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項6】
前記連結部は、前記支持部材の他側面に突出し、雄ねじ山が形成されたボルトタイプであるか、前記支持部材の他側面を貫通し、内周面に雌ねじ山が形成されたねじ穴タイプであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項7】
前記圧着ボールの下部面には、前記第1の弾性体挿入孔の外側を取り囲んで凹な第2の戻し空間が形成され、前記第2の戻し空間の中央に前記第1の弾性体挿入孔が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項8】
工作物を固定又は移動するために、クランプの一端面に締め付けられたスイベルパッドであって、
上部面と下部面がフラットに加工され、下部面の中央に所定深さの第1の弾性体挿入孔が形成された圧着ボールと、
一側に、前記圧着ボールを収容する挿入溝が形成され、前記挿入溝の下方側に第1の戻し空間が形成され、他側には、クランプと連結される連結部が形成され、前記第1の戻し空間内の前記連結部の周囲に、第3の弾性体挿入溝が形成された支持部材と、
前記第1の弾性体挿入孔と第3の弾性体挿入溝にそれぞれ一側端が挿入して、圧着ボールを弾持する弾性部材とを含み、
前記圧着ボールの上部面が工作物を圧着して固定又は移動し、回転した圧着ボールが圧着解除後、水平に復帰され、
前記弾性部材は、前記第1の弾性体挿入孔に挿入される第1のコイル部と、前記第3の弾性体挿入溝に挿入され、前記第1のコイル部の外径よりも大きい外径を有する第2のコイル部と、前記第1のコイル部と第2のコイル部を連結するように、円錐状をなす第3のコイル部とからなる引張コイルバネであることを特徴とする自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項9】
前記圧着ボールの下部面には、前記第1の弾性体挿入孔の外側を取り囲んで凹な第2の戻し空間が形成され、前記第2の戻し空間の中央に、前記第1の弾性体挿入孔が形成されることを特徴とする請求項に記載の自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【請求項10】
前記連結部は、前記支持部材の他側面を貫通し、内周面に雌ねじ山が形成されたねじ穴タイプであることを特徴とする請求項に記載の自動原点復帰が可能なスイベルパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原点復帰が可能なスイベルパッドに関し、より詳しくは、フラットでない工作物を変形することなく、効率よく固定又は支持するように、様々な角度で作動することができる自動原点復帰が可能なスイベルパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、工作物を固定して締め付けた状態で、切削加工又は移動作業を行うためには、工作物の形状と作業の環境によって、様々な固定クランプの変形が必要であり、更に、工作物の外形と勾配により適用されたクランプの変形が求められる。
【0003】
クランプは、対向する一対又は一側で締め付ける構造であって、工作物が重い場合、高圧で圧着固定した状態で作業が行われなければならないため、変形や破損の虞があり、耐久性が強く、硬度の高い材料で製作している。
【0004】
近年は、球状のヘッド部を覆って回転する蓋体が工作物を圧着して締め付けるスイベルパッドが使われているが、蓋体の変形破損のため、入れ替えなければならないという面倒がある。
【0005】
このようなスイベルパッドに関して、公開特許第2011-0032408号公報に開示されている技術は、クランプと結合される連結部と、連結部の上端で外側に突設したフランジ部と、フランジ部の上部面に固定結合される球面状のヘッド部と、ヘッド部を覆い、回転自在に結合されるように内部に球面部が形成された蓋体部とを含み、工作物の引入すると、ヘッド部を覆う蓋体部が自然に回転することで、様々な角度で供給される工作物を変形することなく、精度よく固定することができるが、ヘッド部に加えられる締付け圧力により、蓋体の変形や破損が生じ、工作物の形状によって、回転した蓋体が原点に自動復帰しないため、手動で復帰しなければならず、復帰させない場合、蓋体と工作物の締付けに際して、工作物に損傷が生じるという不都合がある。
【0006】
一方、上記のようなことを考慮して、公開特許第2019-0027082号公報には、球面のヘッド部を覆う蓋体部である回転加圧部材において、後方側に圧縮バネを設けることで、回転加圧部材の原点復帰が可能なスイベルパッドが開示されている。
【0007】
しかし、このような従来のスイベルパッドの構造の場合、ボールに蓋体である蓋体を安着して、蓋体が直接工作物を圧着させているため、蓋体に圧着される力が球の先に集中して、厚さの薄い蓋体は破損又は変形することがある。
【0008】
また、蓋体の下側に設けられた圧縮バネの設置により、蓋体部の原点復帰が可能であるが、回転支持部の下端部の径が回転支持部よりも小さいため、工作物の傾斜した面を圧着させる場合、回転支持部材の首部が弱いため、反り又は破損が生じるという不都合がある。
【0009】
一方、現在、原点復帰が可能なスイベルパッドは各種の問題で使用していないが、産業現場では、様々な角度で工作物を固定又は支持して切削加工するか、移動作業のために、原点復帰が可能なスイベルパッドの需要が増加している実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】大韓民国特許公開10-2011-0032408(2011.03.30.) “トグルジョー及びその製造方法”
【文献】大韓民国特許登録10-2020820(2019.11.04.)“自動原点復帰が可能なスイベルパッド及びこれを含むグリッパー装置”
【文献】大韓民国特許公開10-2019-0060728(2019.06.03.) “作業物クランプ装置”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、工作物を締付けて固定又は移動する場合、軸受け鋼からなる圧着ボールが直接工作物を押圧して、高重量の工作物を締付けることができ、締付け解除に際しては、回転された圧着ボールが原点に復帰して、常時水平を保持することができるので、工作物を損傷することなく締付けることができる自動原点復帰が可能なスイベルパッドを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、弾性部材である引張コイルバネの長期間の作動に伴う破損による圧着ボールの無限回転を防止して、工作物の損傷や破損を防止することができる自動原点復帰が可能なスイベルパッドを提供することである。
【0013】
また、本発明の更に他の目的は、工作物の高さに対応して、圧着ボールの高低を調節することができる構造の自動原点復帰が可能なスイベルパッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的達成のための本発明による自動原点復帰が可能なスイベルパッドは、工作物を固定又は移動するために、クランプの一端面に締め付けられたスイベルパッドであって、上部面と下部面がフラットに加工され、下部面の中央に所定深さの第1の弾性体挿入孔が形成された圧着ボールと、一側に、前記圧着ボールを収容する挿入溝が形成され、前記挿入溝の下方側に第1の戻し空間と、前記第1の戻し空間の中央に所定深さの第2の弾性体挿入孔が形成され、他側には、クランプと連結される連結部が形成された支持部材と、前記第1の弾性体挿入孔と第2の弾性体挿入孔にそれぞれ一側端が挿入して、圧着ボールを弾持する弾性部材とを含み、前記圧着ボールの上部面が工作物を圧着して固定又は移動し、回転した圧着ボールが圧着解除後、水平に復帰される。
【発明の効果】
【0015】
前記のような構成からなる本発明は、以下のような効果を奏する。
第一に、圧着ボールにより工作物を圧着固定するか、高重量の工作物の移動作業においても、使用が可能である。すなわち、軸受鋼からなる圧着ボールで工作物を圧着することにより、力が軸受ボールに集中されるので、高圧で圧着を要する高重量の工作物移動が可能である。
【0016】
第二に、圧着ボールと支持部材内に弾性部材を内蔵することにより、圧着ボールの回転後に、自動で原点復帰が可能であるので、様々な工作物の外形形状にも使用可能である。
【0017】
第三に、段差形状の回転防止鍔が設けられているので、圧着ボールが一定の角度以上回転することを防止することができる。そこで、引張コイルバネが過度に折れることなく、寿命が延長され、長期間の使用で引張コイルバネが破損しても、圧着ボールが無限回転しないので、工作物の損傷や事故を防止することができる。
【0018】
第四に、蓋体内に締め付けられる支持部材の締付け程度によって、圧着ボールの高低を調節することができるので、工作物の高さに対応して、圧着ボールを使用することができる。また、長期間の作動に伴い、引張コイルバネに累積した疲労で疲労破壊が発生すると、蓋体からスイベルパッド(支持部材及び圧着ボール)のみを取外して、入替え可能である。
【0019】
第五に、工作物のいずれの角度にも対応可能であり、圧着ボールの様々な角度回転又は大きい角度回転が必要であるときは、回転防止鍔のない構造を選択して使用可能であり、回転防止鍔がない場合にも、支持部材の上枠が、過度な回転を制限できるからである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、従来の原点復帰が可能なスイベルパッドを示す断面図である。
図2図2は、本発明の一実施例による自動原点復帰が可能なスイベルパッドを示す斜視図である。
図3図3は、図2における本発明の部品組立図である。
図4図4は、本発明において、圧着ボールの実施例による断面図である。
図5図5は、図2における本発明の作動状態図である。
図6図6は、図5における本発明の他の実施例を示す断面図である。
図7図7は、図6における本発明の作動状態比較図である。
図8図8は、本発明の他の実施例による自動原点復帰が可能なスイベルパッドを示す断面図である。
図9図9は、図8における本発明の更に他の実施例を示す断面図である。
図10図10は、図6における本発明の更に他の実施例を示す断面図である。
図11図11は、図8における本発明の更に他の実施例を示す断面図である。
図12図12は、図9における本発明の更に他の実施例を示す断面図である。
図13図13は、本発明の更に他の実施例による自動原点復帰が可能なスイベルパッドを示す断面図である。
図14図14は、図13における本発明の他の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明による一実施例を、添付の図面を参照して、より詳しく説明することにする。
【0022】
図面を参照する説明は、本発明を容易に理解するためのものであり、本発明の範疇がこれに限定されるものではない。また、本発明を説明することに当たり、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を濁していると判断される場合、詳細な説明は省略することにする。
【0023】
図1は、従来の原点復帰が可能なスイベルパッドを示す断面図である。
【0024】
本発明は、工作物を固定又は移動するために、クランプの一側に締め付けられるものであって、圧着ボールの上部面が、工作物の表面に圧着して、工作物を固定するスイベルパッドに関する。
【0025】
詳しくは、工作物の外形が平面ではない場合、工作物の外形に沿って、圧着ボールの上部面が工作物の表面と水平になるように回転しながら圧着され、工作物を移動してから、スイベルパッドの圧着を解除すると、スイベルパッドの圧着ボールの上部面が、自動に原点である水平方向に自動復帰が可能なスイベルパッドに関する。
【0026】
本発明におけるスイベルパッドとは、工作物を移動するために、工作物を固定する一対の対向するクランプの両端面に締め付けられて、工作物を圧縮、固定する装置であって、トグルジョー、固定チャックなどを包括する用語をいう。
【0027】
以下において、図2乃至図5を参照して、本発明を具体的に説明する。図2は、本発明の一実施例による自動原点復帰が可能なスイベルパッドを示す斜視図であり、図3は、図2における本発明の部品組立図であり、 図4は、本発明において、圧着ボールの実施例による端面図であり、図5は、図2におけるA-Aに沿う断面図である。
【0028】
本発明は、大きく、圧着ボール10と、支持部材20と、弾性部材30とを含む。
【0029】
まず、前記圧着ボールについて、説明する。
【0030】
前記圧着ボール10は、軸受けボールの上部面12と下部面13を一定の部分切削して、フラットに加工した形状からなる。
【0031】
また、前記圧着ボール10は、高重量の工作物を固定又は移動する場合、高圧で工作物に直接圧着が行われるため、軸受鋼として硬度がHRC60以上を用いることで、圧着ボール10の破損や変形を防ぐことができる。
【0032】
さらに、圧着ボール10の上部面12は、工作物に密着して工作物を固定する部分であり、図4(a)でのように、工作物の面にムラがある場合、上部面に凹凸が形成されたダイヤモンドタイプとするか、図4(b)でのように、工作物の面が平面である場合、フラットタイプとして選択して、使用することができる。
【0033】
また、前記圧着ボール10の下部面13の中央には、弾性部材30が挿入される第1の弾性体挿入孔11が設けられる。ここで、前記第1の弾性体挿入孔11は、弾性部材30が容易にずれないように、一定の深さ以上挿入され、挿入された状態で、支持部材20に安着される。
【0034】
ついて、前記支持部材20は、一側に、前記圧着ボール10を収容する挿入溝21が形成され、前記挿入溝21の下方側に、第1の戻し空間23が形成され、前記第1の戻し空間23の中央に、所定深さの第2の弾性体挿入孔24が形成され、他側には、クランプに締め付けられる連結部26が形成される。
【0035】
ここで、前記挿入溝21は、前記圧着ボール10が安着して回転できるように、内部面22が圧着ボール10の外形と同様に、球(sphere)形状からなる。
【0036】
そして、前記挿入溝21の上部は、開放した状態で圧着ボール10が挿入された後、上枠25を圧入して、前記圧着ボール10が前記挿入溝21からずれないようにする。
【0037】
一方、前記挿入溝21内における前記圧着ボール10の自由回転角度は、一定の角度以内となるようにするのが重要であるが、一定角以上に前記圧着ボール10が回転される場合、工作物と密着される前記圧着ボール10がスリップする現象が生じることがある。そこで、前記圧着ボール10の自由回転角度は、20°以内であるのが望ましい。
【0038】
また、前記挿入溝21の下方側の中心には、前記弾性部材30が収容されて、弾性部材30に柔軟性を確保してくれる空間である第1の戻し空間23が設けられ、前記第1の戻し空間23の床中央には、第2の弾性体挿入孔24が設けられる。
【0039】
前記第2の弾性体挿入孔24は、前記弾性部材30の一部が所定深さ分だけ嵌入して、容易に抜けない程度の深さと内径を有する。
【0040】
そこで、前記弾性部材30の一端は、前記第1の弾性体挿入孔11に挿入され、他端は、前記第2の弾性体挿入孔24に挿入される。
【0041】
ところが、前記第1の戻し空間23の深さは、所定長さの範囲内である1~10mmに形成可能であるが、望ましくは、2~8mmの場合、前記圧着ボール10の原点復帰が円滑であり、1mm以下の場合は、前記弾性部材30の変形空間が短いことで、弾性部材30の折れが発生して、前記圧着ボール10の回転がよく行われず、また、10mm以上になると、回転した圧着ボール10の復帰が遅くて、迅速性が落ちる。
【0042】
望ましくは、前記第1の戻し空間23の深さを、前記長さに代えて、露出する引張コイルバネの巻数の範囲に設定することができる。
【0043】
具体的に、前記弾性部材30は、引張コイルバネを使用可能であり、前記第1の弾性体挿入孔11と第2の弾性体挿入孔24に両端がそれぞれ挿入して設けられる。
【0044】
ここで、挿入される部分を除いた残りの部分は外部に露出し、該当露出する露出部(H)の長さは、前記第1の戻し空間23の深さと同一である。
【0045】
また、前記露出部(H)の長さは、引張コイルバネの巻回数を基準に、6~8回であることが望ましい。
【0046】
万一、前記露出部(H)の巻回数が6回より少ないと、引張コイルバネが自由に変形する空間が狭くなって、引張コイルバネの折れが生じるので、前記圧着ボール10の回転が円滑でなくなる。
【0047】
一方、前記露出部(H)の巻回数が8回より多いと、回転した前記圧着ボール10の復帰が遅延して、迅速性が落ちる。
【0048】
一方、前記支持部材20の他側には、スイベルパッドをクランプの一端面に締め付ける連結部26が設けられる。
【0049】
前記連結部26は、図6に示しているように、雄ねじ山が形成されたボルト26aタイプであるか、雌ねじ山が形成されたねじ穴26bタイプである。ねじ穴26bタイプは、後述することにする。
【0050】
ついで、前記弾性部材30は、前記圧着ボール10の第1の弾性体挿入孔11と前記支持部材20の第2の弾性体挿入孔24とにそれぞれ挿入されて、前記圧着ボール10を弾持しながら、回転した前記圧着ボール10を原点に復帰することができる。
【0051】
前記弾性部材30は、弾性力がある合成樹脂や金属も可能であり、ゴム材質からなることもできる。望ましくは、引張コイルバネを使うことである。
【0052】
そこで、引張コイルバネの一端は、前記第1の弾性体挿入孔11に挿入し、他端は、前記第2の弾性体挿入孔24に挿入することで、引張コイルバネが前記圧着ボール10を弾持することができる。
【0053】
以下では、図6及び図7を参照して、本発明の他の実施例を説明しようとする。図6は、図5における本発明の他の実施例を示す端面図であり、図7は、図6における本発明の作動状態比較図である。ここで、図7(a)は、回転防止鍔がない場合を示し、図7(b)は、回転防止鍔がある場合を示している。
【0054】
本発明の他の実施例は、前述した本発明の前記第1の戻し空間内に、前記圧着ボール10の回転を制限する回転防止鍔が更に設けられる構造を有する。
【0055】
一般に、自動スイベルパッドは一種の消耗品であって、引張コイルバネにより原点復帰されるが、図7(a)に示しているように、長時間の作動で引張コイルバネに疲労破壊が発生すると、前記圧着ボールが無限回転することがある。
【0056】
このような状態で工作物を続けて締め付けると、圧着ボールの無限回転で、工作物が破損又は不良を招くことがあるので、前記圧着ボール10が一定の角度以上回転することを防止して、工作物の破損を予防する前記回転防止鍔27が必要である。
【0057】
前記回転防止鍔27は、第1の戻し空間23内の縁に沿って、段差形状からなる。
【0058】
そこで、前記第1の戻し空間23内で前記圧着ボール10が回転しても、前記圧着ボール10の切削した下部面13が前記回転防止鍔27に係止されるので、一定の角度以上回転することを防止することができる。
【0059】
具体的に、前記圧着ボール10の中心から前記回転防止鍔27の内側上端隅までの長さ(L)は、前記圧着ボール10の半径(B)よりも小さく形成されることで、前記回転防止鍔27に前記圧着ボール10を係止させることができる。
【0060】
ここで、前記回転防止鍔27により、前記第1の戻し空間23の下部、つまり前記回転防止鍔27の中央に、孔形状の第3の戻し空間27aが設けられる。
【0061】
前記第3の戻し空間27aは、前記圧着ボール10の回転時、弾性部材30である引張コイルバネが傾斜して引張されるとき、前記回転防止鍔27と衝突又は接触しないように、余裕空間を形成してくれる。
【0062】
このため、前記第3の戻し空間27aの内径は、前記第2の弾性体挿入溝24の内径よりも大きく形成するのが望ましい。
【0063】
そこで、前記圧着ボール10が回転しても、前記弾性部材30である引張コイルバネが前記回転防止鍔27と衝突又は接触しないので、引張コイルバネの寿命は保証される。
【0064】
以下では、図8を参照して、本発明の他の実施例を説明する。 図8は、本発明の他の実施例による自動原点復帰が可能なスイベルパッドを示す断面図である。
【0065】
本発明の他の実施例は、スイベルパッドがクランプに単純連結した状態ではなく、工作物の高さに合わせて高低が調節される構造を有する。このような構造の本発明は、図8に示しているように、大きく、圧着ボール10と、支持部材20と、弾性部材30と、蓋体40と、ロックナット50とを含む。
【0066】
前記圧着ボール10及び弾性部材30は、上述した構造と同様であるので、詳細な説明は省略し、前記支持部材20、蓋体40、ロックナット50について説明する。
【0067】
但し、前記支持部材20の一側に、前記圧着ボール10を収容する挿入溝21と、上部が開放した構造と、第1の戻し空間及び第2の弾性体挿入孔と、前記第1の戻し空間が設けられる回転防止鍔に関する説明は、前述した通りである。
【0068】
しかし、前記支持部材20の外周面には、雄ねじ山が設けられる。
【0069】
前記支持部材20の雄ねじ山は、後述する蓋体40と螺合するためのものである。
【0070】
ついで、前記蓋体40は、前記支持部材20を収容し且つ螺合されるものであって、中空状からなり、内周面に雌ねじ山が設けられる。そこで、前記蓋体40の内部に、前記支持部材20の下端が挿入し且つねじ締結される。
【0071】
そして、前記蓋体40の下部には、クランプの一端面に締め付けて連結される連結部41が設けられる。前記連結部41は、前述したように、雄ねじ山が設けられたボルト41aタイプであり得る。
【0072】
また、前記蓋体40の下端には、レンチやスパナで前記蓋体40を締めることができる締付部42が設けられる。
【0073】
ついで、前記ロックナット50は、前記支持部材20の外周面に締め付けられて、前記蓋体40の上端に密着するように締められて、前記蓋体40に締め付けられた前記支持部材20を固定させる。
【0074】
すなわち、前記蓋体40内で前記支持部材20が回転しないように閉じる。
【0075】
ここで、前記ロックナット50の一側面には、1つ以上のレンチ孔51が設けられる。
【0076】
そこで、前記連結部41がクランプに連結した状態で前記支持部材20を正転又は逆転させると、前記支持部材20が前記蓋体40内部に出入りしながら、前記圧着ボールが工作物に圧着するように、前記支持部材20及び圧着ボールの高低を調節することができる。
【0077】
そして、前記支持部材20の高低が決められると、前記ロックナット50を閉じて、前記支持部材20が回転しないように固定する。
【0078】
以下では、図9を参照して、本発明の更に他の実施例を説明する。
【0079】
図9は、図8における本発明の更に他の実施例を示す断面図である。
【0080】
本発明の更に他の実施例は、図9に示しているように、前記蓋体40の連結部構造が異なる場合である。
【0081】
前記蓋体40の下部に設けられる前記連結部41は、ねじ穴41bであり得る。すなわち、前記蓋体40の下部床を上下に貫通し、内周面に雌ねじ山が形成されたねじ穴41bタイプである。
【0082】
そして、前記支持部材20の下部面には、前記ねじ穴41bを貫通して締め付けられるクランプのボルトと衝突又は干渉を防止するために、干渉防止溝29を設けるのが望ましい。
【0083】
図10乃至図12を参照して、本発明の更に他の実施例を説明する。図10は、図6における本発明の他の実施例を示す断面図であり、図11は、図8における本発明の更に他の実施例を示す断面図であり、図12は、図9における本発明の更に他の実施例を示す断面図である。
【0084】
図10における本発明の更に他の実施例は、圧着ボール10、支持部材20、弾性部材30からなるが、前記支持部材20と弾性部材30は、上述した構造と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0085】
但し、前記圧着ボール10は、フラットな下部面13に凹な第2の戻し空間14が更に設けられる構造である。
【0086】
前記第2の戻し空間14の中央に、前記第1の弾性体挿入孔11が所定深さで形成される。
【0087】
そこで、前記第2の戻し空間14は、前記第1の弾性体挿入孔11の外側を取り囲んで、円形に形成される空間である。
【0088】
前記第2の戻し空間14は、前記第1の戻し空間23が狭い場合、前記弾性部材30が移動可能な空間を確保してくれる。
【0089】
この場合も、前記第1の弾性体挿入孔11と第2の弾性体挿入溝24に挿入した引張コイルバネの露出部の長さは、引張コイルバネの巻回数を基準に、6~8回であるのが望ましい。
【0090】
ここで、前記第1の戻し空間23の底面が、前記圧着ボール10の回転を制限する前述した回転防止鍔のような役割を果たすことができる。
【0091】
図11及び図12に示している本発明の更に他の実施例は、圧着ボール10、支持部材20、弾性部材30、蓋体40、ロックナット50から構成されるが、前記支持部材20、弾性部材30、蓋体40、ロックナット50は、上述した構造と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0092】
但し、前記圧着ボール10も、図10でのように、フラットな下部面に凹な第2の戻し空間14が更に設けられる構造である。
【0093】
そして、前記第2の戻し空間14の中央に、前記第1の弾性体挿入孔11が所定深さで形成されるので、前記第2の戻し空間14は、前記第1の弾性体挿入孔11の外側を取り囲んで円形からなる空間である。
【0094】
前記第2の戻し空間14は、前記第1の戻し空間23が狭い場合、前記弾性部材30が移動可能な空間を確保する。
【0095】
この場合も、前記第1の弾性体挿入孔11と第2の弾性体挿入溝24に挿入した引張コイルバネの露出部の長さは、引張コイルバネの巻回数を基準に、6~8回であるのが望ましい。
【0096】
同様に、前記第1の戻し空間234の底面が、前記圧着ボール10の回転を制限する前記回転防止鍔のような役割を果たすことができる。
【0097】
図13は、本発明の更に他の実施例による自動原点復帰が可能なスイベルパッドを示す断面図であり、図14は、図13における本発明の他の実施例を示す断面図である。
【0098】
本発明の更に他の実施例は、図13に示してるように、大きく、圧着ボール10と、支持部材20と、弾性部材30とを含む。
【0099】
まず、前記圧着ボール10の構造と形状は、上述したことと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0100】
ついで、前記支持部材20は、上述したように、一側に球形の挿入溝21が設けられ、前記挿入溝21の下方側に、第1の戻し空間23及び第3の戻し空間27aが設けられる。そして、前記支持部材20の他側には、クランプに連結される連結部26が設けられる。
【0101】
但し、前記連結部26は、前記支持部材20の下部、詳しくは、前記第3の戻し空間27aの床を上下に貫通し、内周面に雌ねじ山が形成されたねじ穴26bタイプであり得る。
【0102】
そして、前記第3の戻し空間27a内の床には、第3の弾性体挿入溝28が設けられる。
【0103】
ここで、前記第3の弾性体挿入溝28は、前記ねじ穴26bタイプの周囲を円状に取り囲む形状からなる。すなわち、前記第3の弾性体挿入溝28の内径は、前記ねじ穴26bの外径よりも大きく形成され、前記第1の弾性体挿入孔11の内径よりも大きく形成される。
【0104】
合わせて、前記第3の弾性体挿入溝28の幅は、コイルバネの線径よりやや大きくすることで、コイルバネがほとんど遊隙なく、嵌入することになる。
【0105】
ついで、前記弾性部材30は、引張コイルバネを用いるが、互いに外径が異なる第1のコイル部31と、第2のコイル部32と、第3のコイル部33とからなる引張コイルバネ形状を有することができる。
【0106】
前記第1のコイル部31は、前記前記第1の弾性体挿入孔11に嵌入するように、一定の外径を有する形状を成し、前記第2のコイル部32は、前記第3の弾性体挿入溝28に嵌入する一定の外径を有する形状である。
【0107】
ここで、前記第2のコイル部32の外径は、第1のコイル部31の外径よりも大きく形成される。
【0108】
そして、前記第3のコイル部33は、前記第1のコイル部31と第2のコイル部32を連結するものであって、互いに異なる外径を連結するために、外径が拡張される円錐状又は鐘状からなる。
【0109】
図14に示している他の実施例は、前記圧着ボール10に前記第2の戻し空間14が設けられる構造である。
【0110】
すなわち、前記支持部材20の挿入溝21の下方側に第1の戻し空間23が設けられ、前記第1の戻し空間23の床に前記第3の戻し空間27aを設けることなく、前記ねじ穴26bが設けられ、前記ねじ穴26bの周囲に、前記第3の弾性体挿入溝28が円状からなる構造である。
【0111】
ここで、前記第2の戻し空間14は、前記第1の戻し空間23が狭い場合、前記弾性部材30が移動可能な空間を確保する。
【0112】
以上で図面を参照して、本発明の代表的な実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であると、前記内容を基に、本発明の範疇内で多様な応用及び変形を行うことが可能である。その故、本発明の権利範囲は、説明された実施例に限定して決めてはいけず、後述する請求の範囲だけでなく、この請求の範囲と均等なものによって決められるべきである。
【符号の説明】
【0113】
10 : 圧着ボール
11 : 第1の弾性体挿入孔
12 : 上部面
13 : 下部面
14 : 第2の戻し空間
20 : 支持部材
21 : 挿入溝
22 : 内部面
23 : 第1の戻し空間
24 : 第2の弾性体挿入孔
25 : 上枠
26 : 連結部
26a : ボルト
26b : ねじ穴
27 : 回転防止鍔
27a : 第3の戻し空間
28 : 第3の弾性体挿入溝
29 : 干渉防止溝
30 : 弾性部材
31 : 第1のコイル部
32 : 第2のコイル部
33 : 第3のコイル部
40 : 蓋体
41 : 連結部
41a : ボルト
41b : ねじ穴
42 : 締付け部
50 : ロックナット
51 : レンチ孔
B : 圧着ボールの外径
L : 圧着ボールの中心から回転防止鍔の内側上端隅までの長さ
H: 露出部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14