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特許7084980ドクターブレードチャンバ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】ドクターブレードチャンバ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 31/08 20060101AFI20220608BHJP
   B41F 35/04 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
B41F31/08
B41F35/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020500063
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 FR2018051702
(87)【国際公開番号】W WO2019008295
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-03-30
(31)【優先権主張番号】17/56404
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】17/57253
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514053077
【氏名又は名称】ボブスト リヨン
(73)【特許権者】
【識別番号】506427783
【氏名又は名称】エプシロン コンポジット
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バザン ルネ
(72)【発明者】
【氏名】フルリ フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マットランド ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィレムス スティーブ ピーター ダニエル
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/192735(WO,A1)
【文献】特表2008-514462(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0266256(US,A1)
【文献】特開2005-067202(JP,A)
【文献】特開2001-277474(JP,A)
【文献】特開平9-123413(JP,A)
【文献】中国実用新案第204801113(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0066803(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00-35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(2)と、第1ドクターブレード(3)と、第2ドクターブレード(4)と、加圧水路(11)と、を備えたドクターブレードチャンバ(1)であって、
前記本体(2)は、
第1ドクターブレード(3)を保持するように構成された第1部分(2a)と、第2ドクターブレード(4)を保持するように構成された第2部分(2b)と、前記第1部分(2a)と前記第2部分(2b)とを接続する第3部分(2c)と、により区画された単一の中空閉鎖異形材と、
少なくとも前記第1部分(2a)の一部、前記第2部分(2b)の一部及び前記第3部分(2c)により区画され、前記単一の中空閉鎖異形材の外側に設けられた、インクを受けるためのキャビティ(2e)と、を備え、
前記単一の中空閉鎖異形材は、前記本体(2)の長手方向の主軸X-Xに沿って延びており、
前記単一の中空閉鎖異形材は、引抜成形された複合材料からなり、
前記第1ドクターブレード(3)は、前記本体(2)の前記第1部分(2a)に取り付けられており、
前記第2ドクターブレード(4)は、前記第1ドクターブレード(3)に対向して、前記本体(2)の前記第2部分(2b)に取り付けられており、
前記加圧水路(11)は、前記本体(2)の前記単一の中空閉鎖異形材の中空部(2d)内に配置され且つ前記長手方向の主軸X-Xに沿って延びており、
前記加圧水路(11)は、前記加圧水路(11)に開口するとともに、前記単一の中空閉鎖異形材の前記第3部分(2c)を通じて前記加圧水路(11)から突出する少なくとも1つの洗浄ノズル(10)を備え、
複合材料の縦弾性係数又はヤング率と複合材料の密度との比に対応する比弾性率について、厳密に60%超の繊維率を有し引抜成形により前記本体が形成される前記複合材料は、樹脂の低圧射出成形における同一の複合材料の性能比と比較して、112%超の性能比を有する
ことを特徴とする、ドクターブレードチャンバ
【請求項2】
前記複合材料は、引抜成形された複合炭素材料である、請求項1に記載のドクターブレードチャンバ
【請求項3】
前記本体が形成される前記複合材料は、前記複合材料の体積の厳密に60%超の体積の繊維を含む、請求項1又は2のいずれか1つに記載のドクターブレードチャンバ
【請求項4】
前記繊維の体積は、前記複合材料の体積の61%~70%である、請求項3に記載のドクターブレードチャンバ
【請求項5】
前記本体(2)の表面に一体化された不織布(16)を備える、請求項1~4のいずれか1つに記載のドクターブレードチャンバ
【請求項6】
加圧水路(11)の第1側部(2.3)は、前記本体(2)の第1内側面(2.1)に対向して配置され、
前記加圧水路(11)の前記第1側部(2.3)に対向する前記加圧水路(11)の第2側部(2.4)は、前記本体(2)の第2内側面(2.2)に対向して配置されている、請求項1~5のいずれか1つに記載のドクターブレードチャンバ。
【請求項7】
前記加圧水路(11)は、炭素を含む複合材料からなる異形材である、請求項のいずれか1つに記載のドクターブレードチャンバ。
【請求項8】
請求項のいずれか1つに記載のドクターブレードチャンバの製造方法であって、
前記製造方法は、前記本体(2)を引抜成形する少なくとも1つのステップを含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項9】
前記ドクターブレードチャンバ(1)の前記本体(2)内に前記加圧水路(11)を、挿入及び組立てる少なくとも1つの追加ステップを含む、請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記加圧水路(11)は、前記ドクターブレードチャンバ(1)の前記本体(2)内に接着により組立てられる、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、フレキソ印刷の回転印刷ユニットのためのドクターブレードチャンバの技術分野、及び特にそのようなドクターブレードチャンバ及び当該ドクターブレードチャンバの本体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、ボール紙又はプラスチック材料からなる、例えばシート状又はウェブ状の多くの基材に使用でき、可撓性のレリーフ版又は印刷版の使用を要する回転印刷プロセスである。
【0003】
フレキソ印刷において、印刷ユニットは、印刷版を運ぶように構成されたプレートシリンダと、複数のセルの容積によって調整される量のインクを集めるための当該複数のセルをその表面上に有し且つ前記インクを前記版上に移動させるように構成されたスクリーンローラ又はアニロックスローラと、前記スクリーンローラの前記セルを満たすように構成されたドクターブレードチャンバと、インクタンクから前記ドクターブレードチャンバへの前記インクの供給を確実にするポンプと、前記プレートシリンダに対して印刷される媒体を保持する背圧シリンダと、を備える。
【0004】
図1には、この印刷ユニットの構造が概略的に示されている。印刷機は、交互に配置されたいくつかの印刷ユニットを備えており、各々が特定色専用に用いられる。
【0005】
本発明において、フレキソ印刷の用語は、多くの媒体に使用でき、比較的可撓性のあるレリーフ版又は印刷版の使用を要する回転印刷方法を意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最新技術
従来、ドクターブレードチャンバは、金属製、好ましくはアルミニウム製であり、これは、製造上の理由で、金属は押出成形により加工できるからである。
【0007】
しかしながら、ドクターブレードチャンバは、長さが数メートルに達し得る部材であり、その製造に用いられる材料及び体積により、重く、特に保守:洗浄、部品交換等の間における取り扱い及び輸送が困難な部材である。
【0008】
設計を簡易にし、ドクターブレードチャンバを軽量化するために、後者は、文献WO2016192735A1に記載されるように、特に本体を含むいくつかの部品に分けて設計されることが多い。にもかかわらず、部品の数が増加するにつれて、生産コストは増加し、特に少なくとも1つの取付動作が必要になるために、この本体及び部品の取扱いは依然として難しくなる。また、接着及び取付部材は組み立てた部品を圧迫し、これにより、組み立てた接合部の圧壊及び疲労のリスクが増加する。さらに、追加の組立/接着工程は、ドクターブレードチャンバの製造工程における生産性を低下させる。また、これらの部品は液状樹脂射出成形(RTM)により製造されることが多く、この方法には、断面厚さが一定ではなく、繊維圧縮が不均一な部品が得られるという欠点がある。
【0009】
本発明の目的
本発明は、上述した欠点の全部又は一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、ドクターブレードチャンバの本体であって、第1ドクターブレードを保持するように構成された第1部分と、第2ドクターブレードを保持するように構成された第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分と、少なくとも前記第1部分、前記第2部分及び前記第3部分により区画された、インクを受けるためのキャビティと、を備え、前記本体は、長手方向の主軸X-Xに沿って延びる単一の中空閉鎖異形材であり、前記本体は、引抜成形された複合材料からなることを特徴とする、本体である。
【0011】
本発明に係るドクターブレードチャンバの本体の構成によれば、ドクターブレードチャンバは、引抜成形された複合材料の使用により、より軽量化され、より強く、より耐性がある。また、単一異形材の構成により、複雑且つ時間のかかる、それゆえ高コストの取付け/組み立て作業が不要になる。また、引抜成形により、安定した機械的特性、及び、断面の全ての位置において且つ異形材の長さ全体に亘って一定の均一な厚みを得ることができる。さらに、引抜成形により、2%未満及び好ましくは1%未満の気孔率を有する部品、この場合は本体を有することができる。
【0012】
本発明において、引抜成形は、複合材料からなる管及び異形材を連続的に製造するための方法を意味する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記本体は、一定の厚みを有する断面を有する。この特徴は、本体の製造に用いられる引抜成形法に固有のものである。
【0014】
本発明の特徴によれば、引抜成形された複合材料は、熱可塑性繊維及び/又はアラミド繊維及び/又はガラス繊維及び/又は高弾性炭素繊維及び/又は高強度炭素繊維を含む。好ましくは、引抜成形された複合材料は、引抜成形された複合炭素材料である。
【0015】
本発明の特徴によれば、本体が形成される複合材料は、前記複合材料の体積の厳密に60%超の体積の繊維を含む。好ましくは、前記繊維の体積は、前記複合材料の体積の61%~70%である。
【0016】
本構成によれば、引抜成形された複合材料が有する、複合材料の縦弾性係数又はヤング率と複合材料の密度との比に対応する比弾性率は、プリプレグ成形された複合材料の比弾性率に比べて、複合材料の体積に対して60%以下の繊維を含む引抜成形された複合材料のものに比べて、及び、樹脂の低圧射出成形により成形された複合材料のものに比べて、極めて大きな値になる。
【0017】
好ましくは、引抜成形された複合材料は、複合材料の体積に対して61%~70%の高強度炭素繊維を含む。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
上記表1に記載された例に示すように、60%超の繊維を含む引抜成形された複合材料は、プリプレグ成形された複合材料の比弾性率に比べて、複合材料の体積に対して60%以下の繊維を含む引抜成形された複合材料のものに比べて、及び、樹脂の低圧射出成形により成形された複合材料のものに比べて、極めて大きな比弾性率を有する。
【0021】
本発明の特徴によれば、厳密に60%超の繊維率を有し引抜成形により本体が形成される複合材料は、樹脂の低圧射出成形における同一の複合材料の性能比と比較して、112%超の性能比を有する。
【0022】
本発明の特徴によれば、本体は、本体の大部分に一体化され、本体の外側表面と同一平面に配置された不織布を含む。本体の表面への不織布の一体化は、インクが、以前に使用したインクの色の残渣と混合することを回避するためのドクターブレードチャンバの洗浄を容易にするという効果を有する。また、不織布により、流体の表面張力を低減し、特に機械加工及び剥離における本体の異形材の特性を向上できる。
【0023】
好ましくは、不織布の一体化は、ドクターブレードチャンバの本体の製造と同時に行われる。
【0024】
本発明の特徴によれば、不織布は、0.05mm~1mmの厚みを有するベールである。
【0025】
本発明の特徴によれば、不織布は、少なくとも部分的に本体の表面の一部を覆う。好ましくは、不織布は、少なくとも本体の第1部分及び/又は第2部分及び/又は第3部分の表面を覆う。より好ましくは、不織布は、本体の表面全体を覆う。
【0026】
本発明の特徴によれば、不織布は、少なくとも、例えば有機、無機、又は熱可塑性繊維等の繊維を含む布である。
【0027】
本発明の特徴によれば、ドクターブレードチャンバは、本体内に配置された少なくとも1つの加圧水路を含む。水路の目的は、ドクターブレードチャンバを洗浄し、残りのインクを除去することである。
【0028】
本発明の特徴によれば、水路は、本体の長さの少なくとも一部に亘って、好ましくは本体の長さ全体に亘って延びる。水路は、本体の中空部内における第3部分の位置に収容される。
【0029】
本発明の特徴によれば、水路は、本体のキャビティに開口するとともに、本体の第3部分を通じて水路から突出する少なくとも1つの洗浄ノズルを備える。
【0030】
好ましくは、水路は、複数の洗浄ノズルを含む。好ましくは、複数の洗浄ノズルは、水路に沿って全て等間隔で配置される。
【0031】
本発明の特徴によれば、第3部分は、第1部分及び第2部分の間にキャビティが形成されるように、本体の第1部分及び第2部分に対して後方に配置されている。
【0032】
本発明の特徴によれば、洗浄ノズルは、本体の第1部分、第2部分、及び第3部分により形成されたキャビティに開口している。
【0033】
本発明の特徴によれば、第1ドクターブレード及び第2ドクターブレードは、本体の第1部分、第2部分、及び第3部分により形成されたキャビティを部分的に閉じる。第1ドクターブレード及び第2ドクターブレードの目的は、部分的にドクターブレードチャンバ内に配置されるように構成されたスクリーンローラの表面を掻くことである。
【0034】
本発明の特徴によれば、本体は、スクリーンローラに対向するように構成された第1面と、第1面に対向する第2面と、を備える。
【0035】
本発明の特徴によれば、水路は、本体の異形材の中空部内に配置されており、水路の第1側部は、本体の第1内側面に対向して配置され、水路の第1側部に対向する水路の第2側部は、本体の第2内側面に対向して配置されている。
【0036】
本発明の特徴によれば、水路は、本体に接着される。好ましくは、水路の接着は、シールするための膨脹性の接着剤を用いて行われる。水路を接着するために用いられる接着剤は、例えば熱硬化性接着剤である。
【0037】
本発明の特徴によれば、水路は、例えば炭素を含む複合材料からなる。本発明の特徴によれば、水路は、異形材である。
【0038】
本発明の特徴によれば、水路は、実質的に矩形の断面を有する。
【0039】
本発明の特徴によれば、ドクターブレードチャンバは、少なくとも部分的に本体に沿って、好ましくは本体の全体に沿って延びるインクチャンネルをさらに含む。インクチャンネルの目的は、フレキソ印刷による印刷ユニットのインク充填を達成することである。
【0040】
好ましくは、インクチャンネルは、本体の異形材の中空部に配置され、インクチャンネルに開口し、本体の第3部分を通じてインクチャンネルから突出する少なくとも1つのインク出口を有する。
【0041】
本発明の特徴によれば、インクチャンネルは、例えば炭素を含む複合材料からなる。本発明の特徴によれば、インクチャンネルは、異形材である。
【0042】
本発明の特徴によれば、インクチャンネルは、実質的に円形の断面を有する。
【0043】
本発明の特徴によれば、ドクターブレードチャンバは、第1端部及び第2端部を備え、各端部は、ドクターブレードチャンバの本体の一端に配置される。
【0044】
本発明の特徴によれば、第1端部の一部は、本体の異形材の第1端に挿入される。
【0045】
本発明の特徴によれば、第2端部の一部は、本体の異形材の第2端に挿入される。
【0046】
好ましくは、各端部は、本体に挿入され、接着される。
【0047】
本発明の特徴によれば、第1端部は、水路と水タンクとを接続するパイプを収容するように形成された少なくとも1つの開口部を有する。
【0048】
本発明の特徴によれば、第1端部は、インクチャンネルとインクタンクとを接続するパイプを収容するように形成された第2開口部を有する。
【0049】
本発明の別の目的は、ドクターブレードチャンバの本体を製造する方法であって、当該製造方法は、それが本発明に係る本体を引抜成形する少なくとも1つのステップを含むことを特徴とする。
【0050】
本発明の別の目的は、本発明に係るドクターブレードチャンバを製造する方法であって、当該製造方法は、引抜成形により本発明に係る本体を得る少なくとも1つのステップを含む。
【0051】
本発明の特徴によれば、製造方法は、ドクターブレードチャンバの本体内に水のネットワークを形成するように形成された水路を、挿入及び好ましくは接着により組立てる少なくとも1つの追加ステップを含む。
【0052】
本発明の特徴によれば、水路は、本体の異形材のキャビティ内において、特に本体の異形材の第1面及び第2面に対向して、組み立てられ、好ましくは接着される。
【0053】
好ましくは、水路を接着するために用いられる接着剤は、組立品をシールするための膨脹性の接着剤である。
【0054】
本発明の特徴によれば、製造方法は、本体及び水路に少なくとも1つの開口部を穿設するステップを含む。穿設ステップにより、その後の洗浄ノズルの位置決めが可能になる。
【0055】
本発明の特徴によれば、製造方法は、ドクターブレードチャンバ内にインクチャンネルを挿入するステップをさらに含む。
【0056】
本発明の特徴によれば、製造方法は、ドクターブレードチャンバの本体の一端において第1端部を、及び、本体の他端において第2端部を、挿入及び好ましくは接着により組立てる一方、第1端部を水路及びインクチャンネルに接続するステップを含む。
【0057】
図面の簡単な説明
本発明は、非限定的な例として提供され、添付の概略図を参照して説明される、本発明に係る実施形態に関する以下の記載により、よりよく理解されるであろう。なお、以下の説明において、同一の参照番号は、構造的及び/又は機能的に同一又は類似の部材に対応する。添付の概略図は、以下に挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、従来のドクターブレードチャンバを備えたフレキソ印刷の印刷ユニットの概略図である。
図2図2は、本発明に係るドクターブレードチャンバの斜視図である。
図3図3は、図2に示す、本発明に係るドクターブレードチャンバの本体の斜視図である。
図4図4は、図2及び図3に示す、本発明に係るドクターブレードチャンバの部分斜視図である。
図5図5は、図4の囲みAの詳細図である。
図6図6は、図2図5に示す、本発明に係るドクターブレードチャンバの部分詳細図である。
図7図7は、本発明に係るドクターブレードチャンバの本体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図の詳細な説明
本発明の内容を示すために上記したように、印刷ユニット100は、以下を含む:
- 版又は印刷版108を支持するように構成されたプレートシリンダ104、
- 複数のセルの容積によって調整される量のインクを集めるための当該複数のセルをその表面上に有し且つ前記インクを前記版108上に移動させるように構成された、スクリーンローラ又はアニロックスローラ103、
- スクリーンローラ103のセルを満たすように構成されたドクターブレードチャンバ101、
- インクタンク107からドクターブレードチャンバ101への前記インクの供給を確実にするポンプ102、及び、
- プレートシリンダ104、延いては版108に対して印刷される担体106を保持する背圧シリンダ105。
【0060】
本発明のドクターブレードチャンバは、参照番号1によって示され、図2図7を参照して、詳細に示される。
【0061】
特に図3に示すように、本発明に係るドクターブレードチャンバ1は、中空の閉鎖異形材である、一体成形された本体2を含む。特に図3図6及び図7に示すように、本体2は、断面の全ての位置において且つ異形材の長さ全体に亘って一定の均一な厚みを有する。特に図2及び図3に示すように、本体2は、長手方向の主軸X-Xに沿って延びる。また、本体2は、引抜成形された複合炭素からなる。
【0062】
図3に示すように、本体2は、第1部分2a、第2部分2b及び第3部分2cを有する。第3部分2cは、第1部分2a及び第2部分2bを接続しており、第3部分2cは、その中に部分的にスクリーンローラを受けるように形成及び構成されている。図3に示すように、第3部分2cは、第1部分及び第2部分の間にキャビティ2eが形成されるように、本体2の第1部分2a及び第2部分2b対して後方に配置されている。
【0063】
また、図3に示すように、本体2は、スクリーンローラに対向するように構成された第1面2.1と、第1面2.1に対向する第2面2.2と、を有する。
【0064】
本発明によれば、ドクターブレードチャンバ1は、第1ドクターブレード3をさらに含む。図2及び図7に示すように、第1ドクターブレード3は、第1ドクターブレードフランジ5により、本体2の第1部分2aに取り付けられる。各フランジは、例えば、図2に示すネジ又はピンと、図4及び図7に示す挿入部材7aとの協働からなる固定システム7により保持される。また、ドクターブレードチャンバ1は、第2ドクターブレード4を含む。図2及び図7に示すように、第2ドクターブレード4は、第2ドクターブレードフランジ6により、第1ドクターブレード3に対向して、本体2の第2部分2bに取付られる。図2及び図7に示す例では、第1ドクターブレード3及び第2ドクターブレード4は、本体2の第1部分2a、第2部分2b及び第3部分2cにより形成されたキャビティ2eを、部分的に閉じる。
【0065】
本発明によれば、図7中実線で示すように、本体2は、本体2の表面に配置された不織布16を含む。図7に示す例では、不織布16は、本体2の表面全体を覆うように記載されているが、図示しない変形例において、例えば、第1面2.1のみ、又は第2面2.2のみ、又は本体2の部分2a、2b、2cの1つのみ等、不織布は本体2の一部のみを覆ってもよい。
【0066】
本発明によれば、特に図7に示すように、ドクターブレードチャンバ1は、本体2に、より具体的には本体2の異形材の中空部2dにおける第3部分2cの位置に配置された加圧水路11を含む。好ましくは、水路11は、本体2の長さ全体に亘って延びる。好ましくは、水路11は、実質的に矩形の断面を有する異形材である。
【0067】
図7に示すように、水路11の第1側部2.3は、本体2の第1内側面2.1に対向して配置され、水路11の第1側部に対向する水路11の第2側部2.4は、本体2の第2内側面2.2に対向して配置される。
【0068】
本発明によれば、図2及び図7に示すように、水路11は、水路11に開口するとともに、本体2の第3部分2cを通じて水路11から突出する少なくとも1つ又は複数の洗浄ノズル(10)を備える。図7に示す例では、水路11は、シールするための膨脹性の接着剤17により本体2に接着される。好ましくは、複数の洗浄ノズル10は、水路11に沿って全て等間隔で配置される。図7に示すように、洗浄ノズル10は、本体2の第1部分2a、第2部分2b、及び第3部分2cにより形成されたキャビティ2eに開口している。
【0069】
さらに、本発明に係るドクターブレードチャンバ1は、本体2の全体に沿って延び、本体2の異形材の中空部2d内に配置されたインクチャンネル12を含む。インクチャンネル12は、図6に示すように、インクチャンネル12に開口するとともに、本体2の第3部分2cを通じてインクチャンネル12から突出する少なくとも1つのインク出口13を備える。好ましくは、インクチャンネル12は、実質的に円形の断面を有する異形材である。
【0070】
本発明によれば、ドクターブレードチャンバは、第1端部8a及び第2端部8bを備え、各端部8a、8bは、ドクターブレードチャンバ1の本体2の一端に配置される。特に図4に示すように、第1端部8aの一部は本体2の異形材の第1端に挿入され、第2端部8bの一部は本体2の異形材の第2端に挿入される。
【0071】
好ましくは、図7及び図2に示すように、第1端部8aは、水路11と水タンクとを接続するパイプ9aを収容するように形成された少なくとも1つの開口部と、インクチャンネル12とインクタンクとを接続するパイプ9bを収容するように形成された第2開口部と、を有する。
【0072】
さらに、図2図5及び図7に示すように、ドクターブレードチャンバ1は、本体2の第2面2.2に配置され、ドクターブレードチャンバ1を強化するように構成された支持部材14を含む。また、ドクターブレードチャンバ1は、ドクターブレードチャンバシステム1を掛けることを可能にするためのフック15を含む。
【0073】
当然ながら、本発明は、添付の図に記載され、示された実施形態に限定されない。本発明の範囲から逸脱することなく、特に種々の部材の構成に関し、又は、技術的等価物との置換により、変形は依然として可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7