(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】表示装置、表示制御方法及び内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A61B1/045 622
(21)【出願番号】P 2020557522
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2018044269
(87)【国際公開番号】W WO2020110310
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田尻 祐介
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-177216(JP,A)
【文献】特開2016-86341(JP,A)
【文献】特開2006-259287(JP,A)
【文献】特開2014-202855(JP,A)
【文献】米国特許第5589874(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡により撮像されて得られる内視鏡画像を含む表示用画像が与えられて表示に用いる表示画像を生成
して表示部に出力する映像信号処理部と、
比較情報を記憶する情報記憶部と、
前記表示用画像が入力され、前記表示用画像に含まれる内視鏡画像の情報と前記情報記憶部に記憶されている比較情報とを比較し、比較結果を出力する比較部と、
前記比較結果に応じて前記映像信号処理部を焼き付き防止モードで動作させるか否かを制御する制御部と
を具備したことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示画像を表示する表示部を更に具備し、
前記情報記憶部は、前記比較情報として前記比較部に入力される所定期間前の表示用画像に関する情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記情報記憶部は、前記比較部から、前記内視鏡画像の情報と前記比較情報との比較において所定の条件を満足していないことを示す比較結果が出力されると前記表示用画像に関する情報を更新する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記比較部は、入力された前記表示用画像中の内視鏡画像の色情報と前記情報記憶部に記憶されている表示用画像中の内視鏡画像の色情報とを比較する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記比較部は、入力された前記表示用画像中の内視鏡画像の輝度情報と前記情報記憶部に記憶されている表示用画像中の内視鏡画像の輝度情報とを比較する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記比較部は、入力された前記表示用画像中の内視鏡画像のエッジパターンと前記情報記憶部に記憶されている表示用画像中の内視鏡画像のエッジパターンとを比較する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
前記情報記憶部は、前記比較情報として前記内視鏡画像の平均輝度値を記憶し、
前記比較部は、入力された前記表示用画像中の内視鏡画像の平均輝度値と前記情報記憶部に記憶されている平均輝度値とを比較する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項8】
前記比較部は、前記表示用画像に含まれる内視鏡画像の情報と前記情報記憶部に記憶されている比較情報とが所定の比較条件を満足した場合に、前記焼き付き防止モードに移行させるための比較結果を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記比較部は、前記表示用画像に含まれる内視鏡画像の情報と前記情報記憶部に記憶されている比較情報とが連続して所定回数一致した場合に、所定の条件を満足したものとして、前記焼き付き防止モードに移行させるための比較結果を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示部に対する無操作状態を検知し、検知結果を出力する操作状態検知部を更に具備し、
前記制御部は、前記比較結果及び前記検知結果に基づき焼き付き防止モードの処理を行うか否かを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記比較部は、入力された前記表示用画像中の内視鏡画像の色情報と前記情報記憶部に記憶されている表示用画像中の内視鏡画像の色情報との比較、入力された前記表示用画像中の内視鏡画像の輝度情報と前記情報記憶部に記憶されている表示用画像中の内視鏡画像の輝度情報との比較、入力された前記表示用画像中の内視鏡画像のエッジパターンと前記情報記憶部に記憶されている表示用画像中の内視鏡画像のエッジパターンとの比較及び入力された前記表示用画像中の内視鏡画像の平均輝度値と前記情報記憶部に記憶されている平均輝度値との比較の少なくとも1つの比較に基づく比較結果を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項12】
表示装置と、
内視鏡により撮像されて得られる内視鏡画像を含む表示用画像が与えられて表示に用いる表示画像を生成して、前記表示装置に出力する映像信号処理部と、
比較情報を記憶する情報記憶部と、
前記表示用画像が入力され、前記表示用画像に含まれる内視鏡画像の情報と前記情報記憶部に記憶されている比較情報とを比較し、比較結果を出力する比較部と、
前記比較結果に応じて前記映像信号処理部を焼き付き防止モードで動作させるか否かを制御する制御部と
を具備したことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項13】
映像信号処理部が、内視鏡により撮像されて得られる内視鏡画像を含む表示用画像が与えられて表示に用いる表示画像を生成し、
比較部が、所定期間前の前記表示用画像に関する情報を比較情報として、入力された前記表示用画像に含まれる内視鏡画像の情報と前記比較情報とを比較して比較結果を出力し、
制御部が、前記内視鏡画像の情報と前記比較情報との比較において所定の条件を満足していないことを示す比較結果が出力されると前記表示用画像に関する情報を更新し、前記内視鏡画像の情報と前記比較情報とが連続して所定回数一致した場合に、前記所定の条件を満足したものとして、焼き付き防止モードに移行する
表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼き付き防止モードを備えた表示装置、表示制御方法及び内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡システムは、例えば医療分野、工業分野等、様々な分野において用いられている。医療分野においては、内視鏡システムは、例えば体腔内の臓器の観察、処置具を用いての治療処置、内視鏡観察下における外科手術等に用いられる。内視鏡システムには、撮像素子によって患者体腔内の撮像画像を撮像可能に構成された電子内視鏡が採用されることが多い。内視鏡システムは、電子内視鏡によって撮像して得た撮像画像(撮像信号)を映像処理する画像処理装置を有しており、画像処理装置は撮像信号を表示等に用いる観察画像の映像信号に変換して、モニタに出力したり記録したりすることができる。
【0003】
しかしながら、モニタに長時間同一のパターンを表示し続けると、表示パターンに応じた焼き付きが生じる。特に、内視鏡画像は、モニタの所定の領域(以下、内視鏡画像表示領域という)に表示されるようになっており、この内視鏡画像表示領域の境界はコントラストが大きいことから焼き付きが生じやすい。しかも、内視鏡システムでは、使用するスコープに応じて内視鏡画像表示領域が変化することから、異なる内視鏡画像表示領域に生じた焼き付きによって、内視鏡画像の視認性が著しく悪化してしまう。
【0004】
このような焼き付きを防止するために、表示の必要がない場合にはユーザがモニタの電源をオフにする方法が考えられる。しかし、この対策は手間がかかる。そこで、日本国特開2014-202855号公報においては、表示部に表示させる時間的に隣接する第1および第2の表示データに変化がないと判定した場合、第1の表示データと第2の表示データとの間に、表示データと異なるパターンを持つ焼付防止データを表示させる技術が提案されている。また、日本国特開平3-231796号公報においては、静止画が所定時間に亙って表示された場合に、自動的に表示状態が変化させられ、又は使用者に対して表示状態を変化させるように催促がなされる技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、内視鏡システムのモニタの画面上には、内視鏡画像を表示する内視鏡画像表示領域だけでなく、患者情報や時刻表示等の各種ステータス情報を表示するステータス表示領域が設けられる。ステータス表示領域内の表示は、内視鏡画像に変化がない場合であっても変化する場合があり、日本国特開2014-202855号公報又は日本国特開平3-231796号公報の技術を採用したとしても、必要なタイミングで焼き付き防止モードに移行できるとは限らない。
【0006】
また、内視鏡検査時には、操作が長時間行われないこともある。この場合においても、検査中には内視鏡画像の表示を継続させる必要がある場合があり、日本国特開2014-202855号公報の技術を採用したとしても、必要なタイミングで焼き付き防止モードに移行できるとは限らない。
【0007】
なお、パーソナルコンピュータ等のモニタでは、マウス操作等の無操作状態が長時間継続することでスクリーンセーバーを起動させる等の焼き付き防止モードが実行されるが、上述したように、内視鏡検査時には内視鏡の挿入操作は行われても、モニタの表示を制御するための各種操作は長時間行われないことがあり、長時間の無操作状態のみによって焼き付き防止モードに移行することはできない。
【0008】
本発明は、画像中の内視鏡画像表示領域中の画像部分について比較を行うことで、適切なタイミングで焼き付き防止モードに移行することができる表示装置、表示制御方法及び内視鏡システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による表示装置は、内視鏡により撮像されて得られる内視鏡画像を含む表示用画像が与えられて表示に用いる表示画像を生成して表示部に出力する映像信号処理部と、比較情報を記憶する情報記憶部と、前記表示用画像が入力され、前記表示用画像に含まれる内視鏡画像の情報と前記情報記憶部に記憶されている比較情報とを比較し、比較結果を出力する比較部と、前記比較結果に応じて前記映像信号処理部を焼き付き防止モードで動作させるか否かを制御する制御部とを具備する。
【0010】
本発明の一態様による内視鏡システムは、表示装置と、内視鏡により撮像されて得られる内視鏡画像を含む表示用画像が与えられて表示に用いる表示画像を生成して、前記表示装置に出力する映像信号処理部と、比較情報を記憶する情報記憶部と、前記表示用画像が入力され、前記表示用画像に含まれる内視鏡画像の情報と前記情報記憶部に記憶されている比較情報とを比較し、比較結果を出力する比較部と、前記比較結果に応じて前記映像信号処理部を焼き付き防止モードで動作させるか否かを制御する制御部とを具備する。
本発明の一態様による表示制御方法は、映像信号処理部が、内視鏡により撮像されて得られる内視鏡画像を含む表示用画像が与えられて表示に用いる表示画像を生成し、比較部が、所定期間前の前記表示用画像に関する情報を比較情報として、入力された前記表示用画像に含まれる内視鏡画像の情報と前記比較情報とを比較して比較結果を出力し、制御部が、前記内視鏡画像の情報と前記比較情報との比較において所定の条件を満足していないことを示す比較結果が出力されると前記表示用画像に関する情報を更新し、前記内視鏡画像の情報と前記比較情報とが連続して所定回数一致した場合に、前記所定の条件を満足したものとして、焼き付き防止モードに移行する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る表示装置を含む内視鏡システムの要部の構成を示す図。
【
図2】第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【
図3】変形例において採用される動作フローを示すフローチャート。
【
図5A】表示部33の表示画面33aに表示される画像の一例を示す説明図。
【
図5B】表示部33の表示画面33aに表示される画像の一例を示す説明図。
【
図6A】
図5Aに対応した表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示す説明図。
【
図6B】
図5Bに対応した表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示す説明図。
【
図7A】
図6Aの内視鏡画像表示領域の内視鏡画像Ria1の各画素のRGB値を示す説明図。
【
図7B】
図6Bの内視鏡画像表示領域の内視鏡画像Ria2の各画素のRGB値を示す説明図。
【
図10】連続して入力される表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示す説明図。
【
図11】連続して入力される表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示す説明図。
【
図12】本発明の第4の実施形態を示すブロック図。
【
図13】本発明の第5の実施形態を示すブロック図。
【
図14】連続して入力される表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示す説明図。
【
図15】連続して入力される表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示す説明図。
【
図16】
図14に対応した内視鏡画像表示領域から抽出したエッジパターンを示す説明図。
【
図17】
図15に対応した内視鏡画像表示領域から抽出したエッジパターンを示す説明図。
【
図18】本発明の第5の実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る表示装置を含む内視鏡システムの要部の構成を示す図である。本実施形態は、表示装置に表示される画像中の内視鏡画像表示領域の画像部分について画像を所定の比較条件で比較し、比較結果が所定の条件を満足することで、焼き付き防止モードに移行するようになっている。これにより、内視鏡検査の休憩時等においても、確実に焼き付き防止モードに移行して、表示装置の焼き付きを防止することができる。
【0014】
図1に示すように、内視鏡システム1は、内視鏡スコープ10と、ビデオプロセッサ20と、表示装置30と、を有して構成されている。
【0015】
内視鏡スコープ10は、被検者の体腔内に挿入可能な細長形状の図示しない挿入部を有しており、挿入部の先端部には撮像部11が設けられている。また、挿入部には図示しない光源装置12が設けられており、光源装置12は被写体に照明光を照射することができるように構成されている。撮像部11は、カラーCCDまたはカラーCMOSセンサ等のイメージセンサを有して構成されており、被写体から反射した光が受光部に結像するようになっている。撮像部11は、被写体から反射した光学像を光電変換して撮像信号を取得し、取得した撮像信号をビデオプロセッサ20に出力する。また、内視鏡スコープ10には、メモリ13が設けられており、メモリ13には、スコープ種別を示すスコープ情報が記憶されている。
【0016】
ビデオプロセッサ20は、撮像部11及び光源装置12の駆動を制御すると共に、撮像部11からの撮像信号を受信する。また、ビデオプロセッサ20は、メモリ13からのスコープ情報を読み出すようになっている。ビデオプロセッサ20は、受信した撮像信号に対して所定の信号処理を施すことにより被写体の内視鏡画像を生成し、生成した内視鏡画像に対して強調処理やホワイトバランス補正処理を施す。更に、ビデオプロセッサ20は、患者情報や時刻情報等のステータス情報を表示するステータス情報表示領域と内視鏡画像を表示する内視鏡画像表示領域とを有する表示用画像の映像信号を生成する。ビデオプロセッサ20は生成した表示用画像(映像信号)を表示装置30に出力する。また、ビデオプロセッサ20は、スコープ情報についても表示装置30に出力するようになっている。
【0017】
表示装置30は、制御部31、映像信号処理部32、表示部33、映像比較部34、映像情報記憶部35及び操作検知部36により構成されている。制御部31、映像信号処理部32、映像比較部34及び操作検知部36は、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。制御部31は、表示装置30内の各部を制御する。
【0018】
映像信号処理部32は、ビデオプロセッサ20から送られてくる映像信号(表示用画像)に対して、所定の映像信号処理を施して生成した表示画像を表示部33に出力する。映像信号処理部32は、制御部31によって焼き付き防止モードが指定されると、表示用画像に対して所定の焼き付き防止処理を施す。例えば、映像信号処理部32は、焼き付き防止モードとして、入力される表示用画像とは別の焼き付きにくい表示画像を生成して表示部33に出力してもよく、また、所定の白レベルの表示画像を出力してもよく、また、表示画像の表示部33への映像信号の出力を停止させてもよい。
【0019】
比較部としての映像比較部34には、映像信号処理部32から焼き付き防止処理を施していない入力映像信号(表示用画像)が入力される。映像比較部34は、入力された映像信号(表示用画像)を映像情報記憶部35に出力する。情報記憶部としての映像情報記憶部35は、映像比較部34の比較処理に用いる比較情報を記憶するようになっている。例えば、映像記憶部35は、映像比較部34から送られてくる表示用画像を比較情報として記憶する。映像情報記憶部35は、記憶した表示用画像を所定期間保持して映像比較部34に出力すると共に、映像比較部34から入力された表示用画像によってそれ以前に記憶されている表示用画像を更新する。映像比較部34は、後述する所定の比較条件を満足しない場合に映像記憶部35に記憶されている比較情報(表示用画像)の更新を行うようになっている。なお、映像比較部34に表示用画像が入力される毎に映像記憶部35の比較情報の更新を行ってもよい場合もある。
【0020】
映像比較部34は、映像情報記憶部35に記憶させた比較情報(表示用画像)と、入力された表示用画像とを比較する。これにより、例えば、映像比較部34は、所定期間前後の表示用画像の比較を行う。本実施形態においては、映像比較部34は、内視鏡画像表示領域について比較を行うようになっている。
【0021】
映像比較部34は、この比較を所定の比較条件に基づいて実施し、比較結果が所定の条件を満足するか否かを判定する。映像比較部34は、比較結果が所定の条件を満足すると、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を制御部31に送信する。例えば、映像比較部34は、画像解析処理及びカウント処理の処理部を備えて、内視鏡画像表示領域について所定期間前後の2つの画像の一致不一致の比較を行い、一致判定が所定回数に到達すると、所定の条件を満足したものとして、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を送信するようになっていてもよい。
【0022】
通常、ビデオプロセッサ20は、内視鏡スコープ10のスコープ種別毎に異なる内視鏡画像表示領域を設定する。そこで、映像情報記憶部35は、スコープ種別と各スコープ種別のスコープを用いる場合の内視鏡画像表示領域の画像中の位置(領域)との対応関係を記述したテーブルを記憶するようになっている。
【0023】
映像比較部34は、映像信号処理部32からスコープ情報も与えられるようになっている。映像比較部34は、映像信号処理部32から取得したスコープ情報を用いて、映像情報記憶部35のテーブルを参照することで、現在使用中の内視鏡スコープに対応した内視鏡画像表示領域を把握し、当該領域について画像の比較を行うようになっている。
【0024】
表示装置30には、図示しないスイッチ、ボタン、ダイヤル等の各種操作部が配設されている。操作検知部36は、表示装置30に対するこれらの操作部に対する操作の有無を検知すると共に、無操作状態の継続期間を求めるようになっている。操作検知部36は、操作部に対する無操作状態が一定時間継続したことを検出すると、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第2指示信号を送信する。
【0025】
制御部31は、映像比較部34から焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を受信すると共に、操作検知部36から焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第2指示信号を受信すると、映像信号処理部32に焼き付き防止モードに移行するための命令を送信するようになっている。
【0026】
なお、制御部31は、操作検知部36からの第2指示信号に拘わらず、映像比較部34からの第1指示信号を受信することによって、映像信号処理部32に焼き付き防止モードに移行するための命令を送信するようになっていてもよい。
【0027】
次に、このように構成された実施形態の動作について
図2を参照して説明する。
図2は第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0028】
内視鏡スコープ10は、ビデオプロセッサ20に制御されて、被写体を撮像し、撮像信号をビデオプロセッサ20に出力する。ビデオプロセッサ20は、内視鏡スコープ10からの撮像信号を受信すると共に、内視鏡スコープ10のメモリ13に記憶されているスコープ情報を取得する。ビデオプロセッサ20は、撮像信号に対して所定の信号処理を施して、表示用画像の映像信号を生成し、表示装置30に出力する。ビデオプロセッサ20は、スコープ情報についても表示装置30に出力する。このスコープ情報は、表示装置30の映像信号処理部32によって受信され、映像比較部34に供給される。映像比較部34は、スコープ情報に基づいて映像情報記憶部35に記憶されたテーブルを参照することで、内視鏡スコープ10に対応した内視鏡画像表示領域の情報を取得する。
【0029】
表示装置30の映像信号処理部32は、
図2のステップS1において、ビデオプロセッサ20からの表示用画像を受信する。映像信号処理部32は受信した表示用画像に基づく表示画像を生成して順次表示部33に出力する。また、映像信号処理部32は、受信した表示用画像を順次映像比較部34に出力する。表示部33は、表示画像に基づく表示、即ち、ステータス情報と内視鏡画像表示領域とを有する画像を表示画面上に表示する。
【0030】
映像比較部34は、入力された表示用画像を映像情報記憶部35に出力して記憶させると共に、映像情報記憶部35から所定期間前の表示用画像を読み出して、現在入力されている表示用画像と過去の表示用画像との内視鏡画像表示領域についての比較を行う。
【0031】
映像比較部34は、比較している画像同士が所定の比較条件を満たしているか否かを判定する。例えば、映像比較部34は、内視鏡画像表示領域の画像同士が一致しているか否かを比較の条件とする一致条件を採用する。
【0032】
いま、内視鏡検査を休憩するものとする。この場合でも、内視鏡スコープ10、ビデオプロセッサ20及び表示装置30の電源がオン状態のことがある。しかし、この場合には、内視鏡画像表示領域中の画像は、変化が生じることはない。従って、このような状況では、映像比較部34は、一致条件を満足しているものと判定する。
【0033】
また、映像比較部34は、比較条件を所定回数連続して満足したか否かの回数条件を更に判定する。この判定のために、映像比較部34は、ステップS3において比較条件(例えば一致条件)を満足したものと判定すると、ステップS4においてカウント数を1回カウントアップするようになっている。映像比較部34は、次のステップS5において、カウント数が所定回数に到達したか否かを判定する。到達していない場合には、ステップS10において、表示部33は、現在の表示画像の表示を継続する。
【0034】
ステップS10の処理の後、ステップS1以降の処理が繰り返される。映像比較部34は、ステップS3において、内視鏡画像表示領域についての2つの画像が所定の比較条件を満足しないと判定した場合には、処理をステップS8に移行してカウント数をリセットする。映像比較部34は、次のステップS9において、映像情報記憶部35の比較情報(表示用画像)を更新してステップS10に進む。
【0035】
映像比較部34により、内視鏡画像表示領域についての2つの画像が所定の比較条件を満足した回数が所定回数以上になったことが判定されると、映像比較部34は、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を制御部31に出力する。これにより、制御部31は、映像信号処理部32に対して焼き付き防止モードへの移行を指示する(ステップS7)。
【0036】
映像信号処理部32は、例えば、表示画像の表示部33への出力を停止したり、所定の白レベルの表示画像を表示部33に出力したりすることで、表示部33の焼き付きを防止する。
【0037】
なお、
図2では、比較条件と回数条件とを満足することを焼き付き防止モードへの移行の条件とする例を説明したが、1回の比較条件を満足することによって焼き付き防止モードへ移行するようになっていてもよい。
【0038】
このように本実施形態においては、表示装置に表示される画像中の内視鏡画像表示領域の画像部分について所定期間前後の画像を所定の比較条件で比較することによって、焼き付き防止モードに移行するようになっている。これにより、内視鏡検査の休憩時等においても、焼き付き防止モードに移行することが可能となり、表示装置の焼き付きを確実に防止することができる。
【0039】
(変形例)
図3は変形例において採用される動作フローを示すフローチャートである。本変形例は、第1指示信号及び第2指示信号によって焼き付き防止モードに移行する例である。
【0040】
図3はステップS11~S13を追加した点が
図2と異なる。比較条件を満足した回数が所定回数以上になると、ステップS5から処理がステップS11に移行して、操作検知部36は、ユーザにより表示装置30に対する操作が行われているか否かを判定する。操作が行われていない場合には、操作検知部36は、ステップS12において時間のカウントを開始し、ステップS13において所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、操作検知部36は、ステップS11に処理を戻して表示装置30に対する操作の有無を判定する。ステップS11~S13において、表示装置30に対する操作が所定時間行われていないことが判定されると、操作検知部36は、制御部31に焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第2指示信号を出力する。なお、表示装置30に対する操作が所定時間継続しない場合には、ステップS11から処理がステップS10に移行して表示用画像に基づく表示画像が表示部33に表示される。
【0041】
他の作用は、第1の実施形態と同様である。
【0042】
なお、
図3では、映像比較部34により焼き付き防止モードに移行すべきと判定された後、操作検知部36による操作の有無を判定しているが、映像比較部34及び操作検知部36の判定は、独立して同時に行われてもよい。
【0043】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。本実施形態の内視鏡システムは、表示装置30において映像比較部34に代えて映像比較部40を採用した点が
図1と異なる。他の構成は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
図4は映像比較部40の具体的な構成の一例を示している。本実施形態は、映像の色情報の一致を比較条件とする例を示している。
【0044】
映像比較部40は、制御部41、色情報取得部42、色情報比較部43及びカウント部44により構成されている。制御部41及び色情報比較部43は、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。制御部41は映像比較部40の各部を制御する。
【0045】
色情報取得部42は、映像信号処理部32から供給された表示用画像について、内視鏡画像表示領域内の全画素の色情報(例えばRGB値)を1画素ずつ取得する。色情報取得部42は、取得した内視鏡画像表示領域内のRGB値を色情報比較部43に出力する。
【0046】
色情報比較部43は、所定期間前に記憶されている比較情報であるRGB値を映像情報記憶部35から読み出して、色情報取得部42から入力された現在のRGB値と比較する。色情報比較部43は、色情報に関する後述の比較条件を満足しない場合には、入力されたRGB値を映像情報記憶部35に与えて記憶を更新させる。色情報比較部43は、所定期間前後の表示用画像の内視鏡画像表示領域の各画素位置のRGB値が一致しているか否かを判定する。色情報比較部43は、内視鏡画像表示領域内の各画素位置のRGB値が全画素について一致している場合には、比較条件を満足したものと判定する。なお、色情報比較部43は、所定数以内の画素が不一致である場合でも、比較条件を満足したものと判定してもよい。
【0047】
色情報比較部43は、所定期間毎、例えば、毎フレームにRGB値の比較を行って、比較条件を満足したか否かの比較結果をカウント部44に出力する。カウント部44は、色情報比較部43からの比較結果をカウントする。カウント部44は、比較条件を満足したことを示す比較結果が与えられる毎にカウントアップし、比較結果を満足しないことを示す比較結果が与えられるとカウント値を初期化する。カウント部44はカウント値を制御部41に出力する。
【0048】
制御部41は、カウント値が所定値に到達したか否かを判定する。カウント部44は、カウント値が所定値に到達した場合、即ち、色情報比較部43から比較条件が所定回数連続して満足したことを示す比較結果が出力された場合には、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生して制御部31に出力するようになっている。
【0049】
次に、このように構成された実施の形態の動作について
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、
図7A、
図7B及び
図8の説明図を参照して説明する。
図5A及び
図5Bは表示部33の表示画面33aに表示される画像の一例を示している。また、
図6A及び
図6Bは、それぞれ
図5A及び
図5Bに対応した表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示すものである
いま、所定の1フレーム前後の表示画像が
図5A及び
図5Bに示す画像であるものとする。
図5Aに示す1フレーム前の表示画像は、内視鏡画像表示領域Ri及びステータス情報表示領域Rdを有しており、内視鏡画像表示領域Riには、内視鏡画像Ria1が表示され、ステータス情報表示領域Rdにはステータス情報表示Rda1が表示されている。
【0050】
図5Bは、
図5Aの1フレーム後の現在の表示画像を示している。
図5Bに示す現在の表示画像においても、内視鏡画像表示領域Ri及びステータス情報表示領域Rdを有しており、内視鏡画像表示領域Riには、内視鏡画像Ria2が表示され、ステータス情報表示領域Rdにはステータス情報表示Rda2が表示されている。
【0051】
色情報取得部42は、映像信号処理部32から表示用画像が入力され、入力された表示用画像の内視鏡画像表示領域におけるRGB値を取得する。
図6A及び
図6B中の四角印は、内視鏡画像表示領域中の一部の画素を示しており、例えば、内視鏡画像表示領域は水平1443画素(px)×垂直1080画素(px)にて構成される。
図6A中の画素Pria1-4,Pria1-l,Pria1-m,Pria1-nの内視鏡画像表示領域内における各画素位置と、
図6B中の画素Pria2-4,Pria2-l,Pria2-m,Pria2-nの内視鏡画像表示領域内の各画素位置とは同一である。
【0052】
図7Aは
図6Aの内視鏡画像表示領域の内視鏡画像Ria1の各画素のRGB値を示し、
図7Bは
図6Bの内視鏡画像表示領域の内視鏡画像Ria2の各画素のRGB値を示している。
図7A及び
図7Bにおいて、「・・・」は、1又は複数の行や列を示している。
図7Aの例では内視鏡画像Ria1中の画素Pria1-4,Pria1-l,Pria1-m,Pria1-nのRGB画素値は、それぞれ(10,5,1),(50,5,1),(10,40,38),(25,60,3)である。また、
図7Bの例では内視鏡画像Ria2中の画素Pria2-4,Pria2-l,Pria2-m,Pria2-nのRGB画素値は、それぞれ(20,70,30),(25,60,3),(101,13,5),(20,80,40)である。
【0053】
いま、映像信号処理部32から色情報取得部42に、
図5Bに対応する表示用画像が入力されるタイミングにおいて、映像情報記憶部35に
図5Aに示す内視鏡画像Ria1に基づく
図7Aに示すRGB値が記憶されているものとする。色情報取得部42は、
図7Bに示すRGB値を取得して色情報比較部43に出力する。
【0054】
色情報比較部43は、
図7Aに示すRGB値と
図7Bに示すRGB値とを同一位置の画素毎に比較し、全画素位置において一致している否かを判定する。
図7A及び
図7Bの例では不一致であると判定される。
【0055】
図8は表示の切換りを説明するためのものである。
図8に示すように、色情報取得部42に、フレーム毎に内視鏡画像表示領域Riの内視鏡画像Ria1,Ria2,Ria3,・・・,Ria18001,Ria18002,・・・が順次入力されるものとする。内視鏡画像Ria1と内視鏡画像Ria2とは、内視鏡画像表示領域Ri内の全画素のRGB値が一致していない。内視鏡画像Ria2以降に入力される内視鏡画像Ria3,Ria4,・・・は、内視鏡画像表示領域Ri内の各画素位置のRGB値が全画素について一致しているものとする。従って、内視鏡画像Ria3に基づくRGB値が色情報比較部43に入力される時点以降は、色情報比較部43からは比較条件を満足していることを示す比較結果がカウント部44に出力される。カウント部44は、比較条件を満足していないことを示す比較結果によって初期化されながら、比較条件を満足したことを示す比較結果が与えられる毎にカウントアップし、カウント値を制御部41に出力する。
【0056】
いま、フレーム周波数が60fps(フレーム/秒)であるものとし、5分間連続して比較条件を満足した場合に焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生するものとすると、制御部41は、カウント値が(60×300)=18000回に到達したか否かを判定する。
図8の例では、色情報比較部43において、内視鏡画像Ria2と内視鏡画像Ria18002について一致判定が行われると、制御部41から焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号が出力される。
【0057】
第1指示信号が発生するまでは、映像信号処理部32は、入力された表示用画像に基づく表示画像を生成して表示部33に出力しており、
図8に示すように、内視鏡画像Ria1,Ria2,・・・,Ria18001が順次表示される。内視鏡画像Ria18002が入力されて、第1指示信号が発生すると、映像信号処理部32は、焼き付き防止用の表示画像を表示部33に出力する。
図8の例では、所定の白レベルの表示画像RiaSが表示されることを示している。
【0058】
このように本実施の形態においては、内視鏡画像表示領域の各画素についてRGB値を求め、所定期間前後の表示用画像について、内視鏡画像表示領域の同一位置の画素同士のRGB値が内視鏡画像表示領域内の全画素について一致することを比較条件とし、比較条件を所定期間連続して満足することによって焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生するようになっている。これにより、内視鏡検査の休憩時等においても、焼き付き防止モードに移行することが可能となり、表示装置の焼き付きを確実に防止することができる。
【0059】
なお、本実施形態においても、
図3の変形例を採用して、第1及び第2指示信号に基づいて焼き付き防止モードを設定するようになっていてもよい。
【0060】
(第3の実施形態)
図9は本発明の第3の実施形態を示すブロック図である。本実施形態の内視鏡システムは、表示装置30において映像比較部34に代えて映像比較部50を採用した点が
図1と異なる。他の構成は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
図9は映像比較部50の具体的な構成の一例を示しており、色情報取得部42及び色情報比較部43にそれぞれ代えて輝度情報取得部52及び輝度情報比較部53を採用し、基準値メモリ55を追加した点が
図4の映像比較部40と異なる。本実施形態は、映像の輝度の大小を比較条件とする例を示している。
【0061】
輝度情報比較部53は、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。制御部41は映像比較部50の各部を制御する。
【0062】
輝度情報取得部52は、映像信号処理部32から供給された表示用画像について、内視鏡画像表示領域内の全画素の輝度値を1画素ずつ取得する。輝度情報取得部52は、取得した内視鏡画像表示領域内の輝度値を輝度情報比較部53に出力する。
【0063】
情報記憶部としての基準値メモリ55は、焼き付き防止モードへの移行を決定するための基準輝度値を比較情報として記憶している。例えば、基準輝度値は、所定の黒レベルに設定される。例えば、基準輝度値としては、光源装置12が消灯した場合に映像信号処理部32から出力される表示用画像の内視鏡画像表示領域の平均輝度値よりも若干高い値に設定してもよい。
【0064】
輝度情報比較部53は、輝度情報取得部52から入力された輝度値の平均値(以下、平均輝度値という)を算出する。輝度情報比較部53は、算出した平均輝度値と、基準値メモリ55から読み出した基準輝度値とを比較し、平均輝度値が基準輝度値以下になると、平均輝度値が基準輝度値以下に低下したことを示す比較結果をカウント部44に出力する。カウント部44は、この比較結果のカウントを行って制御部41に出力する。
【0065】
本実施形態においては、制御部41は、カウント部44から平均輝度値が基準輝度値以下に低下したことを示す比較結果が1回又は連続して数回発生したことを示すカウント値が与えられると、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を制御部31に出力するようになっている。
【0066】
次に、このように構成された実施の形態の動作について
図10及び
図11の説明図を参照して説明する。
図10及び
図11は連続して入力される表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示すものである。
【0067】
いま、所定の1フレーム前後の表示画像が
図10及び
図11に示す画像であるものとする。
図10に示す1フレーム前の表示用画像中の内視鏡画像表示領域の画像は、内視鏡画像Rib1であり、
図11に示す
図10の1フレーム後の現在の表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像は、内視鏡画像Rib2である。
【0068】
なお、
図10の内視鏡画像Rib1は通常の内視鏡検査時に得られる表示用画像を示しており、ハッチングによって比較的明るい画像であることを示している。また、
図11の内視鏡画像Rib2は光源装置12の消灯時に得られる表示用画像を示しており、ハッチングによって暗い画像であることを示している。
【0069】
輝度情報取得部52は、映像信号処理部32から表示用画像が入力され、入力された表示用画像の内視鏡画像表示領域における輝度値を取得する。
図10及び
図11中の四角印は、内視鏡画像表示領域中の一部の画素を示しており、例えば、内視鏡画像表示領域は水平1443画素(px)×垂直1080画素(px)にて構成される。
図10中の画素Prib1-4,Prib1-l,Prib1-m,Prib1-nの内視鏡画像表示領域内における各画素位置と、
図11中の画素Prib2-4,Prib2-l,Prib2-m,Prib2-nの内視鏡画像表示領域内の各画素位置とは同一である。
【0070】
輝度情報取得部52は、映像信号処理部32から順次表示用画像が入力され、内視鏡画像表示領域内の各画素の輝度値を取得して輝度情報比較部53に出力する。輝度情報比較部53は、入力された内視鏡画像表示領域内の輝度値を加算して内視鏡画像表示領域の画素数で除算することにより、平均輝度値を算出する。輝度情報比較部53は、基準値メモリ55から基準輝度値を読み出し、平均輝度値と基準輝度値とを比較する。輝度情報比較部53は、平均輝度値が基準輝度値以下になると、その旨を示す比較結果をカウント部44に出力する。
【0071】
カウント部44は、平均輝度値が連続して基準値以下になった回数を制御部41に出力する。制御部41は、カウント部44のカウント値が1になった場合、又はカウント値が例えば2になった場合には、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生して制御部31に出力する。
【0072】
他の作用は、第1の実施の形態と同様である。
【0073】
このように本実施の形態においては、内視鏡画像表示領域の各画素について輝度値を求め、内視鏡画像表示領域の平均輝度値が所定の基準輝度値以下になった否かを比較条件とし、比較条件を1回又は数回連続して満足することによって焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生するようになっている。これにより、内視鏡検査の休憩時等において、光源装置のみがオフになる場合でも、焼き付き防止モードに移行することが可能となり、表示装置の焼き付きを確実に防止することができる。
【0074】
なお、本実施形態においても、
図3の変形例を採用して、第1及び第2指示信号に基づいて焼き付き防止モードを設定するようになっていてもよい。
【0075】
(第4の実施形態)
図12は本発明の第4の実施形態を示すブロック図である。本実施形態の内視鏡システムは、表示装置30において映像比較部34に代えて映像比較部60を採用した点が
図1と異なる。他の構成は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
図12は映像比較部60の具体的な構成の一例を示しており、基準値メモリ55を省略すると共に、輝度情報比較部53に代えて輝度情報比較部63を採用した点が
図9の映像比較部50と異なる。本実施形態も、映像の輝度の大小を比較条件とする例を示している。
【0076】
輝度情報比較部63は、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。制御部41は映像比較部60の各部を制御する。
【0077】
輝度情報比較部63は、輝度情報取得部52から入力された輝度値の平均値(平均輝度値)を算出する。輝度情報比較部63は、所定期間前(例えば1フレーム前)に記憶されている平均輝度値(比較情報)を映像情報記憶部35から読み出して、輝度情報取得部52の出力から求めた現在の平均輝度値と比較する。輝度情報比較部63は、所定期間前後の表示用画像の内視鏡画像表示領域の平均輝度値が所定の閾値以上低下しているか否かを判定する。輝度情報比較部63は、内視鏡画像表示領域内の平均輝度値が所定期間前の平均輝度値よりも所定値以上低下している場合には、比較条件を満足したものと判定する。また、輝度情報比較部63は、比較条件を満足しない場合には、算出した平均輝度値を映像情報記憶部35に与えて記憶を更新させる。
【0078】
なお、輝度情報比較部63において比較に用いる所定値は、通常の内視鏡検査時と、光源装置12の消灯時とにおける映像信号処理部32から出力される表示用画像の内視鏡画像表示領域の平均輝度値との差よりも若干小さい値に設定される。
【0079】
輝度情報比較部63は、所定期間毎、例えば、毎フレームに平均輝度値の比較を行って、比較条件を満足したか否かの比較結果をカウント部44に出力する。カウント部44は、比較条件を連続して満足した回数を求めて、制御部41に出力する。
【0080】
本実施形態においても、制御部41は、カウント部44から平均輝度値が基準輝度値以下に低下したことを示す比較結果が1回又は連続して数回発生したことを示すカウント値が与えられると、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を制御部31に出力するようになっている。
【0081】
このように構成された実施の形態においては、輝度情報比較部63が現在の平均輝度値を、記憶されている所定期間前の平均輝度値と比較する点が第3の実施形態と異なる。例えば、内視鏡検査の休憩時等において、内視鏡スコープ10の光源装置12のみ消灯され、ビデオプロセッサ20及び表示装置30の電源はオン状態となる場合がある。この場合には、光源装置12がオフになった直後に、現在の平均輝度値が1フレーム前の平均輝度値よりも所定値以上低下することになり、比較結果を満足したことを示す比較結果が輝度情報比較部63からカウント部44に出力される。
【0082】
こうして、光源装置12がオフになった直後に、制御部41から焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号が制御部31に出力される。
【0083】
他の作用は第3の実施形態と同様である。
【0084】
このように本実施の形態においても、内視鏡画像表示領域の各画素について輝度値を求め、内視鏡画像表示領域の平均輝度値が所定期間前の平均輝度値よりも所定値以上低下することを比較条件とし、比較条件を1回又は数回連続して満足することによって焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生するようになっている。これにより、内視鏡検査の休憩時等において、光源装置のみがオフになる場合でも、焼き付き防止モードに移行することが可能となり、表示装置の焼き付きを確実に防止することができる。
【0085】
本実施形態においては、最初に平均輝度値が所定値以上低下した場合には、映像記憶部35の更新を停止して、映像記憶部35に平均輝度値が所定値以上低下する以前の平均輝度値を記憶させておくようにしてもよい。この場合には、例えば、制御部41は、60fpsの場合カウント数が600になった(10秒間経過)ときに、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生するようになっていてもよい。そうすると、10秒間光源がオフになった場合に、焼き付き防止モードに移行することが可能となる。
【0086】
なお、本実施形態においても、
図3の変形例を採用して、第1及び第2指示信号に基づいて焼き付き防止モードを設定するようになっていてもよい。
【0087】
(第5の実施形態)
図13は本発明の第5の実施形態を示すブロック図である。本実施形態の内視鏡システムは、表示装置30において映像比較部34に代えて映像比較部70を採用した点が
図1と異なる。他の構成は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
図13は映像比較部70の具体的な構成の一例を示しており、色情報取得部42及び色情報比較部43にそれぞれ代えてエッジ情報取得部72及びエッジパターン比較部73を採用した点が
図4の映像比較部40と異なる。本実施形態は、映像の形状の一致を比較条件とする例を示している。
【0088】
エッジ情報取得部72及びエッジパターン比較部73は、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。制御部41は映像比較部70の各部を制御する。
【0089】
エッジ情報取得部72は、映像信号処理部32から供給された表示用画像について、内視鏡画像表示領域内の内視鏡画像の形状の情報を取得する。例えば、エッジ情報取得部72は、画像形状の情報として、内視鏡画像のエッジ情報を用いる。例えば、エッジ情報取得部72は、内視鏡画像表示領域の全画素の画素値を1画素ずつ取得し、隣接した画素の画素値の差分によってエッジを検出し、エッジパターンの情報を取得する。エッジ情報取得部72は取得したエッジパターン情報をエッジパターン比較部73に出力する。
【0090】
エッジパターン比較部73は、所定期間前に記憶されているエッジパターン情報を映像情報記憶部35から読み出して、エッジ情報取得部72から入力された現在のエッジパターン情報と比較する。エッジパターン比較部73は、エッジパターン情報による後述の比較条件を満足しない場合には、入力されたエッジパターン情報を比較情報として映像情報記憶部35に与えて記憶を更新させる。エッジパターン比較部73は、所定期間前後の表示用画像の内視鏡画像表示領域のエッジパターンが一致しているか否かを判定する。エッジパターン比較部73は、内視鏡画像表示領域のエッジパターンが一致している場合には、比較条件を満足したものと判定する。なお、エッジパターン比較部73は、エッジパターンの比較に所定の誤差を許容してもよく、所定数以内のエッジパターンの不一致がある場合でも、比較条件を満足したものと判定してもよい。
【0091】
エッジパターン比較部73は、所定期間毎、例えば、毎フレームにエッジパターン情報の比較を行って、比較条件を満足したか否かの比較結果をカウント部44に出力する。カウント部44は、比較条件を連続して満足した回数を制御部41に出力する。
【0092】
制御部41は、カウント値が所定値に到達したか否かを判定する。カウント部44は、カウント値が所定値に到達した場合、即ち、エッジパターン比較部73から比較条件が所定回数連続して満足したことを示す比較結果が出力された場合には、焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生して制御部31に出力するようになっている。
【0093】
次に、このように構成された実施の形態の動作について
図14から
図16の説明図を参照して説明する。
図14及び
図15は連続して入力される表示用画像の内視鏡画像表示領域の画像部分を示すものである。また、
図16及び
図17は、それぞれ
図14及び
図15に対応した内視鏡画像表示領域から抽出したエッジパターンを示すものである。
【0094】
いま、所定の1フレーム前後の表示用画像Ric1,Ric2が
図14及び
図15に示す画像であるものとする。
図15は、
図14の1フレーム後の現在の表示用画像Ric2を示している。エッジ情報取得部72は、映像信号処理部32から表示用画像が入力され、入力された表示用画像の内視鏡画像表示領域におけるエッジ情報を取得する。
図14及び
図15中の太線は、検出されたエッジEP1,EP2を示している。エッジ情報取得部72は、エッジ情報からエッジパターンを生成する。
図16及び
図17はそれぞれ
図14及び
図15から抽出されたエッジパターンEP1,EP2を含むパターン画像Rid1,Rid2を示している。なお、映像記憶部35には、パターン画像が記憶されていてもよく、パターン画像中のエッジパターンの情報が記憶されていてもよい。
【0095】
映像信号処理部32からエッジ情報取得部72に、
図15に対応する表示用画像Ric2が入力されるタイミングにおいて、映像情報記憶部35に
図14に示す内視鏡画像Ric1に基づく
図16のエッジパターンEP1が記憶されているものとする。エッジ情報取得部72は、
図15に示すエッジ情報を取得してエッジパターンEP2を求めて、エッジパターン比較部73に出力する。
【0096】
エッジパターン比較部73は、
図16に示すエッジパターンEP1と
図17に示すエッジパターンEP2とを比較し、内視鏡画像表示領域全体でパターンが一致している否かを判定する。
図16及び
図17の例では不一致であると判定される。
【0097】
内視鏡画像表示領域全体でパターンが一致している場合には、エッジパターン比較部73は、比較条件を満足していることを示す比較結果をカウント部44に出力する。カウント部44は、比較条件を連続して満足した回数をカウントして、カウント値を制御部41に出力する。
【0098】
制御部41は、例えば、カウント値が18000回に到達した場合に、第1指示信号を出力する。例えば、フレーム周波数が60fps(フレーム/秒)である場合には、5分間連続して比較条件を満足した場合に焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号が発生することになる。
【0099】
【0100】
このように本実施の形態においては、内視鏡画像表示領域のエッジ情報を求めてエッジパターンを取得し、所定期間前後の表示用画像について、内視鏡画像表示領域のエッジパターンが一致することを比較条件とし、比較条件を所定期間連続して満足することによって焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生するようになっている。これにより、内視鏡検査の休憩時等においても、焼き付き防止モードに移行することが可能となり、表示装置の焼き付きを確実に防止することができる。
【0101】
なお、本実施形態においても、
図3の変形例を採用して、第1及び第2指示信号に基づいて焼き付き防止モードを設定するようになっていてもよい。
【0102】
(第6の実施形態)
図18は本発明の第6の実施形態を示すフローチャートである。
図18において
図2と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。本実施形態の内視鏡システムは、
図1の映像比較部34、
図4の色情報比較部43及び
図13のエッジパターン比較部73における判定動作が異なる。他の構成は
図1と同様であり、説明を省略する。
図18は
図1の映像比較部34、
図4の色情報比較部43及び
図13のエッジパターン比較部73における判定動作を示している。本実施形態は、比較対象を水平及び垂直方向の少なくとも一方向に所定画素数だけずらしながら比較条件を満足するか否かを判定する例を示している。
【0103】
図18は、ステップS1とS2との間にステップS21を設け、ステップS3とステップS8との間にステップS22を設けた点が
図2と異なる。ステップS21では、比較対象について画像位置をずらす処理が行われる。上記各実施の形態においては、比較条件を満足するか否かを所定期間前後で比較する場合には、2つの画像間の内視鏡画像表示領域内における同一位置の情報を用いて比較を行った。しかしながら、内視鏡検査の休止時であっても、風の影響等によって、内視鏡スコープ10が動き、表示用画像が画面内で動くことが考えられる。この場合には、内視鏡画像表示領域に表示する内視鏡画像は、全体的に画像位置がシフトしたものとなる。従って、このような場合においても、比較条件を満足させるために、比較対象の2つの画像又はその情報のうち、一方を画素単位でシフトさせて、判定を行うようになっている。
【0104】
ステップS21は、比較対象の2つの画像又はその情報のうち一方を例えば、1画素分だけずらす処理を行うものである。ステップS2では、入力された表示用画像の情報または映像記憶部35から読み出された比較情報はステップS21により所定画素だけずれた状態で比較が行われる。
【0105】
この状態でステップS3において比較条件を満足したか否かが判定される。比較条件を満足した場合には、処理をステップS4に進めて、連続して比較条件を満足する数をカウントアップさせる。また、比較条件を満足しない場合には、処理をステップS22に移行して、ステップS21の位置ずらしが予め設定された規定位置まで進んでいるか否かが判定される。
【0106】
ステップS21の位置ずらしは、水平及び垂直方向の少なくとも一方向に所定画素数だけ行われる。位置ずらしが許された全ての画素位置について比較が行われた場合には、処理はステップS8に移行して、カウント数はリセットされる。位置ずらしが許された全ての画素位置について比較が行われていない場合には、処理をステップS21に戻して、例えば1画素分だけずらす処理を行う。
【0107】
こうして、所定の範囲で位置をずらしながら比較条件を満足する否かの判定が行われる。これにより、例えば風等によって、数画素分だけ画像がずれるような場合においても、確実に焼き付き防止モードに移行してもよいことを示す第1指示信号を発生することが可能である。
【0108】
他の構成及び作用は上記各実施形態と同様である。
【0109】
なお、本実施形態においても、
図3の変形例を採用して、第1及び第2指示信号に基づいて焼き付き防止モードを設定するようになっていてもよい。
【0110】
このように本実施形態においては、内視鏡検査の休憩時等において、風等によって内視鏡が動く場合でも、確実に焼き付き防止モードに移行することができる。
【0111】
なお、上記第2から第6実施の形態は、互いに組み合わせて用いることが可能である。
【0112】
例えば、先ず輝度情報を利用した第3又は第4実施形態を採用し、次いで、色情報を利用する第2実施形態、エッジパターンを利用する第5実施形態を採用するようになっていてもよい。この場合には、輝度情報を用いた判定ではカウント数が1で焼き付き防止モードに移行させてもよく、光源装置をオフにすることで、直ちに焼き付き防止モードを設定することができる。次いで、色の比較やパターンの比較によって、焼き付き防止モードへの移行を判定することで、光源装置がオフしない場合でも、確実に焼き付き防止モードへの移行が可能である。
【0113】
また、上記各実施形態では、表示装置内に映像比較部、映像記憶部、操作検知部及び制御部を構成した例を説明したが、これらの構成をビデオプロセッサに設けて、ビデオプロセッサによって、焼き付き防止モードに対応した表示画像を表示装置に出力するようになっていてもよい。
【0114】
なお、明細書中で説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
【0115】
また、フローチャート中の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。
【0116】
なお、実施形態中で、「部」として記載した部分は、専用の回路や、複数の汎用の回路を組み合わせて構成してもよく、必要に応じて、予めプログラムされたソフトウェアに従って動作を行うマイコン、CPUなどのプロセッサ、あるいはFPGAなどシーケンサを組み合わせて構成されてもよい。
【0117】
本発明は、上記各実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。