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特許7085028可撓管挿入装置、内視鏡システム、および可撓管挿入装置の作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】可撓管挿入装置、内視鏡システム、および可撓管挿入装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/005 20060101AFI20220608BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A61B1/005 513
A61B1/005 512
A61B1/00 552
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020569237
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2019003191
(87)【国際公開番号】W WO2020157866
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 諒
(72)【発明者】
【氏名】高橋 毅
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-248794(JP,A)
【文献】特開2014-113320(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216142(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/122977(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/212615(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性及び細長形状を有して構成された挿入部と、
前記挿入部の少なくとも一部の範囲に相当する剛性可変範囲において前記挿入部の長手方向に沿って設けられ、前記長手方向に沿って、中央部と両端部を有しているとともに、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を変化させることができるように構成された剛性可変機構と、
前記挿入部が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を前記剛性可変機構に対して行うことができるように構成された剛性制御部と、
を有し、
前記剛性可変機構は、前記剛性制御部の制御に応じ、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を前記剛性可変範囲の前記中央部から前記両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を行うように構成されていることを特徴とする可撓管挿入装置。
【請求項2】
前記剛性可変機構は、前記剛性可変範囲全体を1つのセグメントとして曲げ剛性を変化させることができるように構成されているとともに、前記剛性制御部の制御に応じ、前記1つのセグメントの中央部の曲げ剛性を高めた後に、前記1つのセグメントの両端部へ向かって順次曲げ剛性を高めるような動作を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管挿入装置。
【請求項3】
前記剛性可変機構は、
前記1つのセグメントの中央部から両端部へ向かう方向において巻線密度が漸次減少するようなコイル形状を有しているととともに、前記剛性制御部の制御に応じて発熱するように構成されたコイルヒータと、
前記コイルヒータの内部空間に挿通された状態で配置されているとともに、前記コイルヒータから発せられる熱に応じて弾性を変化させることができるように構成された形状記憶部材と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の可撓管挿入装置。
【請求項4】
前記被検体内に挿入されている前記挿入部の挿入形状を示す挿入形状情報を取得するように構成された挿入形状情報取得部をさらに有し、
前記剛性制御部は、前記挿入形状情報取得部により得られた前記挿入形状情報に基づいて前記1つのセグメントの曲率または曲率半径を算出するとともに、当該算出した曲率が閾値以上である場合に、あるいは、当該算出した曲率半径が閾値以下である場合に、前記コイルヒータを発熱させるための制御を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の可撓管挿入装置。
【請求項5】
前記剛性可変機構は、
前記挿入部の内部に固定された状態で配置されているとともに、前記1つのセグメントの中央部から両端部へ向かう方向において長さが漸次増加する複数のスリットが外被に形成されたシース部材と、
前記シース部材の内部において摺動可能な状態で配置され、前記複数のスリット各々の長さのうちの最大の長さ以上の長さを有するとともに相対的に太い径を有する太径部と、相対的に細い径を有する細径部と、が交互に設けられているとともに、前記剛性制御部の制御に応じて前記シース部材に対する相対位置を変化させることができるように構成された棒部材と、を有して構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の可撓管挿入装置。
【請求項6】
前記被検体内に挿入されている前記挿入部の挿入形状を示す挿入形状情報を取得するように構成された挿入形状情報取得部をさらに有し、
前記剛性制御部は、前記挿入形状情報取得部により得られた前記挿入形状情報に基づいて前記1つのセグメントの曲率または曲率半径を算出するとともに、当該算出した曲率が閾値以上である場合に、あるいは、当該算出した曲率半径が閾値以下である場合に、前記複数のスリットの位置と前記太径部の位置とが揃うように前記棒部材を変位させるための制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の可撓管挿入装置。
【請求項7】
前記剛性可変機構は、前記剛性可変範囲全体を複数のセグメントに区切った状態でセグメント毎に曲げ剛性を変化させることができるように構成されており、
前記剛性制御部は、前記複数のセグメントのうちの前記剛性可変範囲の中央部に属する1つ以上のセグメントの曲げ剛性を高めた後に、前記複数のセグメントのうちの前記剛性可変範囲の両端部に属するセグメントへ向かって順次曲げ剛性を高めるように前記剛性可変機構を動作させる制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の可撓管挿入装置。
【請求項8】
前記剛性可変機構は、
前記複数のセグメント各々に対応する位置に設けられているとともに、前記剛性制御部の制御に応じて発熱するように構成された複数のコイルヒータと、
前記複数のコイルヒータの内部空間に挿通された状態で配置されているとともに、前記複数のコイルヒータのうちの少なくとも1つのコイルヒータから発せられる熱に応じて弾性を変化させることができるように構成された形状記憶部材と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の可撓管挿入装置。
【請求項9】
前記被検体内に挿入されている前記挿入部の挿入形状を示す挿入形状情報を取得するように構成された挿入形状情報取得部をさらに有し、
前記剛性制御部は、前記挿入形状情報取得部により得られた前記挿入形状情報に基づいて前記1つ以上のセグメントに含まれる所定のセグメントの曲率または曲率半径を算出するとともに、当該算出した曲率が閾値以上である場合に、あるいは、当該算出した曲率半径が閾値以下である場合に、前記剛性可変範囲の中央部に配置された1つ以上のコイルヒータを発熱させるための所定の制御を行った後で、前記1つ以上のコイルヒータ以外の各コイルヒータに対して前記剛性可変範囲の中央部から近い順に前記所定の制御を行う
ことを特徴とする請求項8に記載の可撓管挿入装置。
【請求項10】
前記剛性可変機構は、前記複数のセグメント各々に対応する位置に設けられた複数の剛性可変構造を有し、
前記複数の剛性可変構造各々は、
前記挿入部の内部に固定された状態で配置されているとともに、相対的に硬質な硬性部と、相対的に軟質な軟性部と、を交互に設けて構成されたシース部材と、
前記シース部材の内部において摺動可能な状態で配置され、相対的に太い径を有する太径部と、相対的に細い径を有する細径部と、が交互に設けられているとともに、前記剛性制御部の制御に応じて前記シース部材に対する相対位置を変化させることができるように構成された棒部材と、を有して構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の可撓管挿入装置。
【請求項11】
前記被検体内に挿入されている前記挿入部の挿入形状を示す挿入形状情報を取得するように構成された挿入形状情報取得部をさらに有し、
前記剛性制御部は、前記挿入形状情報取得部により得られた前記挿入形状情報に基づいて前記1つ以上のセグメントに含まれる所定のセグメントの曲率または曲率半径を算出するとともに、当該算出した曲率が閾値以上である場合に、あるいは、当該算出した曲率半径が閾値以下である場合に、前記剛性可変範囲の中央部に配置された1つ以上の剛性可変構造における前記軟性部の位置と前記太径部の位置とが揃うように前記棒部材を変位させるための所定の制御を行った後で、前記1つ以上の剛性可変構造以外の各剛性可変構造に対して前記剛性可変範囲の中央部から近い順に前記所定の制御を行う
ことを特徴とする請求項10に記載の可撓管挿入装置。
【請求項12】
可撓性及び細長形状を有して構成された挿入部と、
前記挿入部の少なくとも一部の範囲に相当する剛性可変範囲において前記挿入部の長手方向に沿って設けられ、前記長手方向に沿って、中央部と両端部を有しているとともに、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を変化させること ができるように構成された剛性可変機構と、
を備える内視鏡と、
前記挿入部が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を前記剛 性可変機構に対して行うことができるように構成された剛性制御部と、
を有し、
前記剛性可変機構は、前記剛性制御部の制御に応じ、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を前記剛性可変範囲の前記中央部から前記両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を行うように構成されている
ことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項13】
可撓性及び細長形状を有して構成された挿入部と、前記挿入部の少なくとも一部の範囲 に相当する剛性可変範囲において前記挿入部の長手方向に沿って設けられ、前記長手方向に沿って、中央部と両端部を有しているとともに 、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を変化させることができるように構成された剛性可変機構 と、前記挿入部が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を前記 剛性可変機構に対して行うことができるように構成された剛性制御部と、を有する可撓管挿入装置の作動方法であって、
前記剛性制御部の制御により、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を前記剛性可変範囲の前記中央部から前記両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を、前記剛性可変機構に行わせることを特徴とする可撓管挿入装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓管挿入装置、内視鏡システム、および可撓管挿入装置の作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡観察においては、可撓性を有する細長な挿入部を被検体内の深部へ挿入するための挿入操作が行われる。また、医療分野の内視鏡観察においては、例えば、被検体内に挿入された挿入部の挿入操作を支援するための技術が従来提案されている。
【0003】
具体的には、国際公開第2017/0109987号には、可撓管部を有する細長な挿入部が設けられた内視鏡と、当該可撓管部の曲げ剛性を予め区切られたセグメント単位で制御するように構成された挿入制御装置と、を備えた内視鏡装置が開示されている。
【0004】
ここで、被検体内における屈曲部位の通過または当該被検体内において発生した座屈の解消を目的として挿入部の曲げ剛性を増加させる場合には、当該曲げ剛性の増加に応じて生じる力が当該被検体内の局所領域に対して集中的に加えられることを極力防ぐことが望ましい。
【0005】
しかし、国際公開第2017/0109987号には、前述の観点を考慮しつつ可撓管部の曲げ剛性を制御するための具体的な手法について特に開示等されていない。そのため、国際公開第2017/0109987号に開示された構成によれば、可撓性を有する細長な挿入部を被検体内の深部へ挿入する際の挿入性が低下するおそれがある、という課題が生じている。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、可撓性を有する細長な挿入部を被検体内の深部へ挿入する際の挿入性を向上させることが可能な可撓管挿入装置、内視鏡システム、および可撓管挿入装置の作動方法を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の可撓管挿入装置は、可撓性及び細長形状を有して構成された挿入部と、前記挿入部の少なくとも一部の範囲に相当する剛性可変範囲において前記挿入部の長手方向に沿って設けられ、前記長手方向に沿って、中央部と両端部を有しているとともに、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を変化させることができるように構成された剛性可変機構と、前記挿入部が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を前記剛性可変機構に対して行うことができるように構成された剛性制御部と、を有し、 前記剛性可変機構は、前記剛性制御部の制御に応じ、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を前記剛性可変範囲の前記中央部から前記両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を行うように構成されている。
本発明の一態様の内視鏡システムは、可撓性及び細長形状を有して構成された挿入部と、前記挿入部の少なくとも一部の範囲に相当する剛性可変範囲において前記挿入部の長手方向に沿って設けられ、前記長手方向に沿って、中央部と両端部を有しているとともに、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を変化させること ができるように構成された剛性可変機構と、を備える内視鏡と、前記挿入部が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を前記剛 性可変機構に対して行うことができるように構成された剛性制御部と、を有し、前記剛性可変機構は、前記剛性制御部の制御に応じ、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を前記剛性可変範囲の前記中央部から前記両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を行うように構成されている。
本発明の一態様の可撓管挿入装置の作動方法は、可撓性及び細長形状を有して構成された挿入部と、前記挿入部の少なくとも一部の範囲 に相当する剛性可変範囲において前記挿入部の長手方向に沿って設けられ、前記長手方向に沿って、中央部と両端部を有しているとともに 、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を変化させることができるように構成された剛性可変機構 と、前記挿入部が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を前記 剛性可変機構に対して行うことができるように構成された剛性制御部と、を有する可撓管挿入装置の作動方法であって、前記剛性制御部の制御により、前記剛性可変範囲の曲げ剛性を前記剛性可変範囲の前記中央部から前記両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を、前記剛性可変機構に行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る可撓管挿入装置を含む内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】第1の実施形態に係る内視鏡システムの具体的な構成を説明するためのブロック図。
図3】第1の実施形態に係る剛性可変機構及び剛性制御部の構成等を説明するための図。
図4A】被検者の内部に挿入された挿入部において座屈が発生している場合の一例を示す図。
図4B】被検者の内部に挿入された挿入部が屈曲部位を通過する場合の一例を示す図。
図5】第1の実施形態の変形例に係る剛性可変機構及び剛性制御部の構成等を説明するための図。
図6A】被検者の内部に挿入された挿入部において座屈が発生している場合の一例を示す図。
図6B】被検者の内部に挿入された挿入部が屈曲部位を通過する場合の一例を示す図。
図7】第2の実施形態に係る内視鏡システムの具体的な構成を説明するためのブロック図。
図8】第2の実施形態に係る剛性可変機構及び剛性制御部の構成等を説明するための図。
図9】第2の実施形態に係る剛性可変機構の動作を説明するための図。
図10】第2の実施形態に係る剛性可変機構の動作を説明するための図。
図11】第2の実施形態の変形例に係る剛性可変機構及び剛性制御部の構成等を説明するためのブロック図。
図12】第2の実施形態の変形例に係る剛性可変機構の構成を説明するための図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0010】
(第1の実施形態)
図1から図6Bは、本発明の第1の実施形態に係るものである。
【0011】
内視鏡システム1は、例えば、図1に示すように、内視鏡10と、光源装置20と、本体装置30と、挿入形状検出装置40と、入力装置50と、表示装置60と、を有して構成されている。
【0012】
内視鏡10は、被検体内に挿入される挿入部11と、挿入部11の基端側に設けられた操作部12と、操作部12から延設されたユニバーサルコード13と、を有して構成されている。また、内視鏡10は、ユニバーサルコード13の端部に設けられているスコープコネクタ13Aを介し、光源装置20に対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、内視鏡10は、スコープコネクタ13Aから延出した電気ケーブル14の端部に設けられている電気コネクタ14Aを介し、本体装置30に対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、挿入部11、操作部12及びユニバーサルコード13の内部には、光源装置20から供給される照明光を伝送するためのライトガイド(不図示)が設けられている。
【0013】
挿入部11は、可撓性及び細長形状を有して構成されている。また、挿入部11は、硬質の先端部11Aと、湾曲自在に形成された湾曲部11Bと、可撓性を有する長尺な可撓管部11Cと、を先端側から順に設けて構成されている。また、先端部11A、湾曲部11B及び可撓管部11Cの内部には、本体装置30から供給されるコイル駆動信号に応じた磁界を発生する複数のソースコイルを挿入部11の長手方向に沿って所定の間隔で配置したソースコイル群113(図1では不図示)が設けられている。
【0014】
先端部11Aには、挿入部11の内部に設けられたライトガイドにより伝送された照明光を被写体へ出射するための照明窓(不図示)が設けられている。また、先端部11Aには、本体装置30から供給される撮像制御信号に応じた動作を行うとともに、照明窓を経て出射される照明光により照明された被写体を撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部111(図1では不図示)が設けられている。撮像部111は、例えば、カラーCCD等のイメージセンサを有して構成されている。
【0015】
湾曲部11Bは、操作部12に設けられたアングルノブ121の操作に応じて湾曲することができるように構成されている。
【0016】
可撓管部11Cにおける所定の範囲に相当する剛性可変範囲の内部には、本体装置30の制御に応じて当該剛性可変範囲の曲げ剛性を変化させることができるように構成された剛性可変機構112(図1では不図示)が、挿入部11の長手方向に沿って設けられている。なお、以降においては、説明の便宜上、「曲げ剛性」を単に「剛性」として適宜略記するものとする。また、本実施形態においては、前述の剛性可変範囲が挿入部11の少なくとも一部の範囲に設けられていればよい。また、剛性可変機構112の具体的な構成等については、後程説明する。
【0017】
操作部12は、ユーザが把持して操作することが可能な形状を具備して構成されている。また、操作部12には、挿入部11の長手軸に対して交差する上下左右の4方向に湾曲部11Bを湾曲させるための操作を行うことができるように構成されたアングルノブ121が設けられている。また、操作部12には、ユーザの入力操作に応じた指示を行うことが可能な1つ以上のスコープスイッチ122が設けられている。
【0018】
光源装置20は、例えば、1つ以上のLEDまたは1つ以上のランプを光源として有して構成されている。また、光源装置20は、挿入部11が挿入される被検体内を照明するための照明光を発生するとともに、当該照明光を内視鏡10へ供給することができるように構成されている。また、光源装置20は、本体装置30から供給されるシステム制御信号に応じて照明光の光量を変化させることができるように構成されている。
【0019】
本体装置30は、ケーブル15を介し、挿入形状検出装置40に対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、本体装置30は、ケーブル16を介し、挿入力装置50に対して着脱自在に接続されるように構成されている。本体装置30は、ケーブル17を介し、表示装置60に対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、本体装置30は、入力装置50及びスコープスイッチ122からの指示に応じた動作を行うように構成されている。また、本体装置30は、内視鏡10から出力される撮像信号に基づいて内視鏡画像を生成するとともに、当該生成した内視鏡画像を表示装置60に表示させるための動作を行うように構成されている。また、本体装置30は、内視鏡10及び光源装置20の動作を制御するための様々な制御信号を生成して出力するように構成されている。また、本体装置30は、挿入形状検出装置40から出力される挿入形状情報(後述)等に基づき、剛性可変機構112の駆動状態を制御するように構成されている。
【0020】
挿入形状検出装置40は、挿入部11に設けられたソースコイル群113から発せられる磁界を検出するとともに、当該検出した磁界の強度に基づいてソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々の位置を取得するように構成されている。また、挿入形状検出装置40は、前述のように取得した複数のソースコイル各々の位置に基づいて挿入部11の挿入形状を算出するとともに、当該算出した挿入形状を示す挿入形状情報を生成して本体装置30へ出力するように構成されている。
【0021】
入力装置50は、例えば、マウス、キーボード及びタッチパネル等のような、ユーザにより操作される1つ以上の入力インターフェースを有して構成されている。また、入力装置50は、ユーザの操作に応じた指示を本体装置30へ出力することができるように構成されている。
【0022】
表示装置60は、例えば、液晶モニタ等を有して構成されている。また、表示装置60は、本体装置30から出力される内視鏡画像等を画面上に表示することができるように構成されている。
【0023】
本体装置30は、図2に示すように、画像処理部301と、剛性制御部302と、制御部303と、を有して構成されている。図2は、第1の実施形態に係る内視鏡システムの具体的な構成を説明するためのブロック図である。
【0024】
画像処理部301は、制御部303から出力されるシステム制御信号に応じ、内視鏡10から出力される撮像信号に対して所定の処理を施すことにより内視鏡画像を生成するとともに、当該生成した内視鏡画像を表示装置60へ出力するように構成されている。
【0025】
剛性制御部302は、挿入形状検出装置40から出力される挿入形状情報に基づき、剛性可変機構112の駆動状態を制御するための動作を行うように構成されている。なお、剛性制御部302の具体的な構成等については、後程説明する。
【0026】
制御部303は、撮像部111の撮像動作を制御するための撮像制御信号を生成して出力するように構成されている。また、制御部303は、ソースコイル群113に含まれる各ソースコイルを駆動させるためのコイル駆動信号を生成して出力するように構成されている。また、制御部303は、入力装置50及びスコープスイッチ122からの指示に応じた動作を行わせるためのシステム制御信号を生成するとともに、当該生成したシステム制御信号を光源装置20及び画像処理部301のうちの少なくとも一方へ出力するように構成されている。
【0027】
本実施形態においては、本体装置30の各部が、個々の電子回路として構成されていてもよく、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路における回路ブロックとして構成されていてもよい。また、本実施形態においては、例えば、本体装置30が1つ以上のプロセッサ(CPU等)を具備して構成されていてもよい。
【0028】
挿入形状検出装置40は、図2に示すように、受信アンテナ401と、挿入形状情報取得部402と、を有して構成されている。
【0029】
受信アンテナ401は、例えば、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々から発せられる磁界を3次元的に検出するための複数のコイルを有して構成されている。また、受信アンテナ401は、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々から発せられる磁界を検出するとともに、当該検出した磁界の強度に応じた磁界検出信号を生成して挿入形状情報取得部402へ出力するように構成されている。
【0030】
挿入形状情報取得部402は、受信アンテナ401から出力される磁界検出信号に基づき、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々の位置を取得するように構成されている。また、挿入形状情報取得部402は、前述のように取得した複数のソースコイル各々の位置に基づいて挿入部11の挿入形状を算出するとともに、当該算出した挿入形状を示す挿入形状情報を生成して剛性制御部302へ出力するように構成されている。
【0031】
具体的には、挿入形状情報取得部402は、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々の位置として、例えば、挿入部11が挿入される被検体の所定の位置(肛門等)が原点または基準点となるように仮想的に設定された空間座標系における複数の3次元座標値を取得する。また、挿入形状情報取得部402は、挿入部11の挿入形状を算出するための処理として、例えば、前述のように取得した複数の3次元座標値を補間するための補間処理を行う。
【0032】
本実施形態においては、挿入形状検出装置40の各部が、電子回路として構成されていてもよく、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路における回路ブロックとして構成されていてもよい。また、本実施形態においては、例えば、挿入形状検出装置40が1つ以上のプロセッサ(CPU等)を具備して構成されていてもよい。
【0033】
ここで、本実施形態における剛性可変機構112及び剛性制御部302の具体的な構成等について、図3を参照しつつ説明する。図3は、第1の実施形態に係る剛性可変機構及び剛性制御部の構成等を説明するための図である。
【0034】
剛性可変機構112は、図3に示すように、コイルヒータ114と、形状記憶部材115と、を有するアクチュエータとして構成されている。
【0035】
コイルヒータ114は、例えば、ニクロム線等のような熱伝導率の高い巻線を円筒状に巻回することにより形成されている。また、コイルヒータ114は、挿入部11における剛性可変範囲全体に相当する1つのセグメントの中央部から両端部へ向かう方向において巻線密度が漸次減少するようなコイル形状を有している。また、コイルヒータ114の中央部は、剛性可変機構112の中央部、すなわち、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に位置合わせされた状態で配置されている。また、コイルヒータ114の表面には、絶縁膜114Aが設けられている。また、コイルヒータ114の両端は、剛性制御部302の駆動回路304(後述)に対して電気的に接続されている。また、コイルヒータ114は、剛性制御部302の制御に応じて発熱するように構成されている。
【0036】
形状記憶部材115は、例えば、ニッケルチタン等の形状記憶合金を含む細長の部材として形成されている。また、形状記憶部材115は、コイルヒータ114の内部空間に挿通された状態で配置されている。また、形状記憶部材115は、コイルヒータ114から発せられる熱に応じて弾性を変化させることができるように構成されている。具体的には、形状記憶部材115は、例えば、コイルヒータ114から発せられる熱により、少なくとも常温よりも高い温度TN以上に加熱された場合に、予め記憶された形状に相当する直線形状に復帰するための復元力を有する高弾性状態になるように構成されている。また、形状記憶部材115は、例えば、コイルヒータ114から熱が発せられていない等の要因により、温度TN以上に加熱されていない場合に、予め記憶された形状に相当する直線形状に復帰するための復元力を有しない低弾性状態になるように構成されている。また、形状記憶部材115の表面のうちの少なくともコイルヒータ114に囲まれている部分には、絶縁膜115Aが設けられている。
【0037】
剛性制御部302は、図3に示すように、駆動回路304と、メモリ305と、制御回路306と、を有して構成されている。
【0038】
駆動回路304は、コイルヒータ114の両端に対して電気的に接続されている。また、駆動回路304は、コイルヒータ114を駆動させるための駆動電流を生成する電源304Aと、電源304Aに対して直列接続されているとともに制御回路306の制御に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わるスイッチ304Bと、を有して構成されている。
【0039】
メモリ305には、制御回路306によるスイッチ304Bの制御に用いられる剛性制御情報が格納されている。具体的には、メモリ305には、例えば、挿入部11における剛性可変範囲を示す情報と、剛性可変機構112の制御用に算出される所定のパラメータに対応する閾値を示す情報と、を含む剛性制御情報が格納されている。
【0040】
制御回路306は、メモリ305から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、スイッチ304Bをオン状態またはオフ状態に設定するための制御を行うように構成されている。
【0041】
すなわち、本実施形態に係る可撓管挿入装置は、挿入部11と、剛性可変機構112と、剛性制御部302と、を有して構成されている。
【0042】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構112は、剛性制御部302の制御に応じ、挿入部11における剛性可変範囲の曲げ剛性を当該剛性可変範囲の中央部から両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を行うことができるように構成されている。
【0043】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構112は、挿入部11における剛性可変範囲全体を1つのセグメントPGとして曲げ剛性を変化させることができるように構成されているとともに、剛性制御部302の制御に応じ、当該1つのセグメントPGの中央部の曲げ剛性を高めた後に、当該1つのセグメントPGの両端部へ向かって順次曲げ剛性を高めるような動作を行うことができるように構成されている。
【0044】
以上に述べた構成によれば、剛性制御部302は、メモリ305から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、挿入部11が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を剛性可変機構112に対して行うことができるように構成されている。
【0045】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
【0046】
術者等のユーザは、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、例えば、被検者の肛門から腸管内へ挿入部11を挿入するための操作を行う。そして、このようなユーザの操作に伴い、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々から磁界が発せられ、当該磁界の強度に応じた磁界検出信号が受信アンテナ401から出力される。
【0047】
挿入形状情報取得部402は、受信アンテナ401から出力される磁界検出信号に基づき、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々の位置を取得する。また、挿入形状情報取得部402は、前述のように取得した複数のソースコイル各々の位置に基づいて腸管内における挿入部11の挿入形状を算出するとともに、当該算出した挿入形状を示す挿入形状情報を生成して剛性制御部302へ出力する。
【0048】
制御回路306は、メモリ305から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、挿入部11における剛性可変範囲を特定し、当該特定した剛性可変範囲の曲率CVAを算出するとともに、当該算出した曲率CVAが閾値TVA以上であるか否かを判定する。すなわち、このような場合には、挿入部11における剛性可変範囲の曲率CVAに対応する閾値TVAが剛性制御情報に含まれている。
【0049】
制御回路306は、例えば、曲率CVAが閾値TVA未満であるとの判定結果を得た場合に、スイッチ304Bをオフ状態に設定するための制御を行う。そして、このような制御回路306の制御によれば、電源304Aにより生成された駆動電流がコイルヒータ114に印加されず、形状記憶部材115が低弾性状態になるため、挿入部11における剛性可変範囲の剛性が低くなる。
【0050】
制御回路306は、曲率CVAが閾値TVA以上であるとの判定結果を得た場合に、スイッチ304Bをオン状態に設定するための制御を行う。換言すると、制御回路306は、挿入部11における剛性可変範囲全体に相当する1つのセグメントの曲率CVAが閾値TVA以上であるとの判定結果を得た場合に、コイルヒータ114を発熱させるための制御を行う。そして、このような制御回路306の制御に応じ、電源304Aにより生成された駆動電流がコイルヒータ114に印加される。
【0051】
ここで、本実施形態によれば、コイルヒータ114における巻線の疎密に起因し、形状記憶部材115のうちのコイルヒータ114の中央部から発せられる熱により加熱される部分が、形状記憶部材115のうちのコイルヒータ114の両端部から発せられる熱により加熱される部分よりも先に低弾性状態から高弾性状態に遷移する。
【0052】
そのため、本実施形態によれば、形状記憶部材115がコイルヒータ114から発せられる熱に応じて低弾性状態から高弾性状態へ遷移する際に生じる復元力を、剛性可変機構112の中央部から挿入部11の先端部へ向かう方向と、剛性可変機構112の中央部から挿入部11の基端部へ向かう方向と、の2つの方向に対して略同時に発生させることができる。従って、本実施形態によれば、前述の復元力の発生に伴う剛性の変化が前述の2つの方向に対して略同時に発生することに起因し、被検者に対して過度な負荷を与えることなく、当該被検者の内部において座屈した挿入部11を効率的に直線化することができるとともに、挿入部11の剛性可変範囲のうちの当該被検者の内部における屈曲部位の先端側に位置している部分の剛性を高めることができる。
【0053】
具体的には、本実施形態によれば、例えば、被検者の腸管内に挿入された挿入部11において図4Aに示すような座屈が発生した場合に、挿入部11を効率的に直線化することができる。また、本実施形態によれば、例えば、被検者の腸管内に挿入された挿入部11が図4Bに示すような屈曲部位を通過する場合に、挿入部11の剛性可変範囲の略全体が当該屈曲部位の先端側に位置している状態で剛性可変機構112の剛性を高めることにより、挿入部11の推進性を向上させることできる。そして、このような場合には、剛性可変機構112のうちの被検者の内部における屈曲部位の先端側に位置している部分の剛性の増加に伴い、挿入部11のうちの当該屈曲部位の先端側に位置している部分の形状が直線形状に近づくように変形する。従って、本実施形態によれば、可撓性を有する細長な挿入部を被検体内の深部へ挿入する際の挿入性を向上させることができる。図4Aは、被検者の内部に挿入された挿入部において座屈が発生している場合の一例を示す図である。図4Bは、被検者の内部に挿入された挿入部が屈曲部位を通過する場合の一例を示す図である。
【0054】
なお、本実施形態によれば、例えば、挿入部11における剛性可変範囲の曲率半径CRAに対応する閾値TRAが剛性制御情報に含まれていてもよい。そして、このような場合において、曲率半径CRAが閾値TRA以下であるとの判定結果が得られた場合にスイッチ304Bをオン状態に設定するための制御(コイルヒータ114を発熱させるための制御)が行われるとともに、当該曲率半径CRAが当該閾値TRAより大きいとの判定結果が得られた場合にスイッチ304Bをオフ状態に設定するための制御が行われるようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態によれば、例えば、挿入形状情報取得部402から制御部303へ挿入形状情報が出力され、当該挿入形状情報を用いて挿入部11の挿入形状を可視化した挿入形状画像を生成させるための制御が制御部303により行われ、当該挿入形状画像と内視鏡画像とを併せて表示装置60に表示させるための処理が画像処理部301により行われるようにしてもよい。
【0056】
また、本実施形態によれば、例えば、挿入部11(可撓管部11C)における剛性を変化させるための指示が入力装置50またはスコープスイッチ122において行われたことが制御部303により検出された際に、当該指示に応じてスイッチ304Bをオン状態またはオフ状態に設定するための制御が制御回路306により行われるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態によれば、挿入部11の挿入形状を示す挿入形状情報が、挿入部11に設けられたソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々から発せられる磁界の検出結果に応じて取得されるものに限らず、例えば、挿入部11に設けられたライトガイドから漏れる光の検出結果に応じて取得されるものであってもよく、または、挿入部11に設けられた複数の超音波振動子各々から発せられる超音波の検出結果に応じて取得されるものであってもよい。
【0058】
また、本実施形態によれば、例えば、制御回路306が、画像処理部301により生成された内視鏡画像に基づき、被検体内に挿入されている挿入部11の先端部が当該被検体内の所定の部位に到達したことを検出した際に、スイッチ304Bをオフ状態からオン状態に切り替えるための制御を行うようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態によれば、例えば、制御回路306が、アングルノブ121の操作状態と、被検体内への挿入部11の挿入量と、に基づき、当該被検体内に挿入されている挿入部11の先端部が当該被検体内の所定の部位に到達したことを検出した際に、スイッチ304Bをオフ状態からオン状態に切り替えるための制御を行うようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態は、適宜の変形を加えることにより、挿入部11における剛性可変範囲を1つのセグメントとして剛性を変化させることが可能な剛性可変機構112が設けられている場合に限らず、例えば、当該剛性可変範囲を複数のセグメントに区切った状態でセグメント毎に剛性を変化させることが可能な剛性可変機構が設けられている場合に対しても適用することができる。具体的には、本実施形態は、剛性可変機構112の代わりに、例えば、図5に示すような3つのコイルヒータ141、142及び143を有する剛性可変機構132が可撓管部11Cの所定の範囲(剛性可変範囲)に設けられている場合に対しても適用することができる。このような本実施形態の変形例に係る構成等について、以下に説明する。なお、以降においては、簡単のため、既述の構成または動作等を適用可能な部分に関する具体的な説明を適宜省略するものとする。図5は、第1の実施形態の変形例に係る剛性可変機構及び剛性制御部の構成等を説明するための図である。
【0061】
剛性可変機構132は、図5に示すように、コイルヒータ141、142及び143と、形状記憶部材144と、を有するアクチュエータとして構成されている。
【0062】
コイルヒータ141は、例えば、ニクロム線等のような熱伝導率の高い巻線を円筒状に巻回することにより形成されている。また、コイルヒータ141は、巻線密度が略一定のコイル形状に形成されている。また、コイルヒータ141は、例えば、挿入部11における剛性可変範囲のうち、コイルヒータ142よりも挿入部11の先端部に近い位置に位置合わせされた状態で配置されている。また、コイルヒータ141は、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイルのうちの1つのソースコイルに相当するソースコイルSA(図示省略)の近傍に設けられている。また、コイルヒータ141の表面には、絶縁膜141Aが設けられている。また、コイルヒータ141の両端は、剛性制御部322の駆動回路331(後述)に対して電気的に接続されている。また、コイルヒータ141は、剛性制御部322の制御に応じて発熱するように構成されている。
【0063】
コイルヒータ142は、例えば、ニクロム線等のような熱伝導率の高い巻線を円筒状に巻回することにより形成されている。また、コイルヒータ142は、巻線密度が略一定のコイル形状に形成されている。また、コイルヒータ142は、コイルヒータ141とコイルヒータ143との間に配置されている。また、コイルヒータ142は、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に配置されている。具体的には、コイルヒータ142の中央部は、剛性可変機構132の中央部に位置合わせされた状態で配置されている。また、コイルヒータ142は、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイルのうちのソースコイルSAよりも挿入部11の基端側に配置された1つのソースコイルに相当するソースコイルSB(図示省略)の近傍に設けられている。また、コイルヒータ142の表面には、絶縁膜142Aが設けられている。また、コイルヒータ142の両端は、剛性制御部322の駆動回路332(後述)に対して電気的に接続されている。また、コイルヒータ142は、剛性制御部322の制御に応じて発熱するように構成されている。
【0064】
コイルヒータ143は、例えば、ニクロム線等のような熱伝導率の高い巻線を円筒状に巻回することにより形成されている。また、コイルヒータ143は、巻線密度が略一定のコイル形状を有している。また、コイルヒータ143は、例えば、挿入部11における剛性可変範囲のうち、コイルヒータ142よりも挿入部11の基端部に近い位置に位置合わせされた状態で配置されている。また、コイルヒータ143は、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイルのうちのソースコイルSBよりも挿入部11の基端側に配置された1つのソースコイルに相当するソースコイルSC(図示省略)の近傍に設けられている。また、コイルヒータ143の表面には、絶縁膜143Aが設けられている。また、コイルヒータ143の両端は、剛性制御部322の駆動回路333(後述)に対して電気的に接続されている。また、コイルヒータ143は、剛性制御部322の制御に応じて発熱するように構成されている。
【0065】
形状記憶部材144は、例えば、ニッケルチタン等の形状記憶合金を含む細長の部材として形成されている。また、形状記憶部材144は、コイルヒータ141、142及び143の内部空間に挿通された状態で配置されている。また、形状記憶部材144は、コイルヒータ141、142及び143のうちの少なくとも1つのコイルヒータから発せられる熱に応じて弾性を変化させることができるように構成されている。具体的には、形状記憶部材144は、コイルヒータ141、142及び143のうちの少なくとも1つのコイルヒータから発せられる熱に応じ、温度TN以上に加熱された部分が高弾性状態になるとともに、当該温度TN以上に加熱されていない部分が低弾性状態になるように構成されている。また、形状記憶部材144の表面のうちの少なくともコイルヒータ141、142及び143に囲まれている部分には、絶縁膜144Aが設けられている。
【0066】
すなわち、以上に述べたような剛性可変機構132の構成によれば、挿入部11の剛性可変範囲全体が、ソースコイルSAの位置に対応するセグメントPA(図示省略)と、ソースコイルSBの位置に対応するセグメントPB(図示省略)と、ソースコイルSCの位置に対応するセグメントPC(図示省略)と、を有する3つのセグメントに区切られる。また、以上に述べたような剛性可変機構132の構成によれば、コイルヒータ141がセグメントPAに対応する位置に配置され、コイルヒータ142がセグメントPBに対応する位置に配置されるとともに、コイルヒータ143がセグメントPCに対応する位置に配置される。また、以上に述べたような構成によれば、剛性可変機構132は、セグメントPA、PB及びPCの3つのセグメントにおけるセグメント毎に剛性を変化させることができるように構成されている。
【0067】
剛性制御部322は、剛性制御部302の代わりに本体装置30に設けられている。また、剛性制御部322は、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報に基づき、剛性可変機構132の駆動状態を制御するための動作を行うように構成されている。また、剛性制御部322は、図5に示すように、駆動回路331、332及び333と、メモリ334と、制御回路335と、を有して構成されている。
【0068】
駆動回路331は、コイルヒータ141の両端に対して電気的に接続されている。また、駆動回路331は、コイルヒータ141を駆動させるための駆動電流を生成する電源(図5ではPSと略記)331Aと、電源331Aに対して直列接続されているとともに制御回路335の制御に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わるスイッチ331Bと、を有して構成されている。
【0069】
駆動回路332は、コイルヒータ142の両端に対して電気的に接続されている。また、駆動回路332は、コイルヒータ142を駆動させるための駆動電流を生成する電源(図5ではPSと略記)332Aと、電源332Aに対して直列接続されているとともに制御回路335の制御に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わるスイッチ332Bと、を有して構成されている。
【0070】
駆動回路333は、コイルヒータ143の両端に対して電気的に接続されている。また、駆動回路333は、コイルヒータ143を駆動させるための駆動電流を生成する電源(図5ではPSと略記)333Aと、電源333Aに対して直列接続されているとともに制御回路335の制御に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わるスイッチ333Bと、を有して構成されている。
【0071】
メモリ334には、制御回路335によるスイッチ331B、332B及び333Bの制御に用いられる剛性制御情報が格納されている。具体的には、メモリ334には、例えば、挿入部11における剛性可変範囲を示す情報と、当該剛性可変範囲に含まれる3つのセグメントPA、PB及びPCを特定可能な情報と、剛性可変機構132の制御用に算出される所定のパラメータに対応する閾値を示す情報と、を含む剛性制御情報が格納されている。
【0072】
制御回路335は、メモリ334から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、スイッチ331B、332B及び333Bを個別にオン状態またはオフ状態に設定するための制御を行うように構成されている。
【0073】
すなわち、本変形例に係る可撓管挿入装置は、挿入部11と、剛性可変機構132と、剛性制御部322と、を有して構成されている。
【0074】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構132は、剛性制御部322の制御に応じ、挿入部11における剛性可変範囲の曲げ剛性を当該剛性可変範囲の中央部から両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を行うことができるように構成されている。
【0075】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構132は、挿入部11における剛性可変範囲全体を複数のセグメントに区切った状態でセグメント毎に曲げ剛性を変化させることができるように構成されている。
【0076】
以上に述べた構成によれば、剛性制御部322は、メモリ334から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、挿入部11が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を剛性可変機構132に対して行うことができるように構成されている。
【0077】
続いて、本変形例の作用について説明する。
【0078】
制御回路335は、メモリ334から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、挿入部11における剛性可変範囲に含まれるセグメントPA、PB及びPCをそれぞれ特定する。また、制御回路335は、前述のように特定したセグメントPBの曲率CVBを算出するとともに、当該算出した曲率CVBが閾値TVB以上であるか否かを判定する。すなわち、このような場合には、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に位置するセグメントSBの曲率CVBに対応する閾値TVBが剛性制御情報に含まれている。
【0079】
制御回路335は、例えば、曲率CVBが閾値TVB未満であるとの判定結果を得た場合に、スイッチ331B、332B及び333Bをオフ状態に設定するための制御を行う。そして、このような制御回路335の制御によれば、電源331A、332A及び333Aにより生成された駆動電流がコイルヒータ141、142及び143に印加されず、形状記憶部材144が低弾性状態になるため、挿入部11における剛性可変範囲の剛性が低くなる。
【0080】
制御回路335は、曲率CVBが閾値TVB以上であるとの判定結果を得た場合に、スイッチ332Bをオン状態に設定するための制御を行う。また、制御回路335は、スイッチ332Bをオン状態に設定するための制御を行ってから一定時間が経過した後に、スイッチ331B及び333Bを同時にオン状態に設定するための制御を行う。そして、このような制御回路335の制御によれば、曲率CVBが閾値TVB以上であるとの判定結果が得られたタイミングTAにおいて、電源332Aからコイルヒータ142に対する駆動電流の印加が開始される。また、前述のような制御回路335の制御によれば、タイミングTAよりも一定時間後のタイミングTBにおいて、電源331Aからコイルヒータ141に対する駆動電流の印加が開始されるとともに、電源333Aからコイルヒータ143に対する駆動電流の印加が開始される。
【0081】
すなわち、制御回路335は、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に属するセグメントPBの曲げ剛性を高めた後に、当該剛性可変範囲の両端部に属するセグメントPA及びPCへ向かって順次曲げ剛性を高めるように前記剛性可変機構を動作させる制御を行う。
【0082】
ここで、本変形例によれば、コイルヒータ142に対する駆動電流の印加が開始された後でコイルヒータ141及び143に対する駆動電流の印加が開始されることに起因し、形状記憶部材144のセグメントSBが高弾性状態に遷移した後で形状記憶部材144のセグメントSA及びSCが略同時に高弾性状態に遷移する。
【0083】
そのため、本変形例によれば、形状記憶部材144がコイルヒータ141、142及び143から発せられる熱に応じて低弾性状態から高弾性状態へ遷移する際に生じる復元力を、剛性可変機構132の中央部から挿入部11の先端部へ向かう方向と、剛性可変機構132の中央部から挿入部11の基端部へ向かう方向と、の2つの方向に対して略同時に発生させることができる。従って、本変形例によれば、前述の復元力の発生に伴う剛性の変化が前述の2つの方向に対して略同時に発生することに起因し、被検者に対して過度な負荷を与えることなく、当該被検者の内部において座屈した挿入部11を効率的に直線化することができるとともに、挿入部11の剛性可変範囲のうちの当該被検者の内部における屈曲部位の先端側に位置している部分の剛性を高めることができる。
【0084】
具体的には、本変形例によれば、例えば、被検者の腸管内に挿入された挿入部11において図6Aに示すような座屈が発生した場合に、挿入部11を効率的に直線化することができる。また、本変形例によれば、例えば、被検者の腸管内に挿入された挿入部11が図6Bに示すような屈曲部位を通過する場合に、挿入部11の剛性可変範囲の略全体が当該屈曲部位の先端側に位置している状態で剛性可変機構132の剛性を高めることにより、挿入部11の推進性を向上させることできる。そして、このような場合には、剛性可変機構132のうちの被検者の内部における屈曲部位の先端側に位置している部分の剛性の増加に伴い、挿入部11のうちの当該屈曲部位の先端側に位置している部分の形状が直線形状に近づくように変形する。従って、本変形例によれば、可撓性を有する細長な挿入部を被検体内の深部へ挿入する際の挿入性を向上させることができる。図6Aは、被検者の内部に挿入された挿入部において座屈が発生している場合の一例を示す図である。図6Bは、被検者の内部に挿入された挿入部が屈曲部位を通過する場合の一例を示す図である。
【0085】
なお、本変形例によれば、例えば、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に位置するセグメントSBの曲率半径CRBに対応する閾値TRBが剛性制御情報に含まれていてもよい。そして、このような場合において、曲率半径CRBが閾値TRB以下であるとの判定結果が得られた場合にスイッチ331B、332B及び333Bの3つのスイッチを前述の順番でオン状態に設定するための制御が行われるとともに、当該曲率半径CRBが当該閾値TRBより大きいとの判定結果が得られた場合に当該3つのスイッチを前述の順番とは逆の順番でオフ状態に設定するための制御が行われるようにしてもよい。
【0086】
また、本変形例によれば、例えば、挿入部11における剛性可変範囲が4つ以上のセグメントに区切られている場合に、当該剛性可変範囲の中央部に複数のセグメントが属するものとして制御が行われるようにしてもよい。
【0087】
すなわち、本変形例によれば、剛性制御部322が、挿入部11における剛性可変範囲を構成する複数のセグメントのうちの当該剛性可変範囲の中央部に属する1つ以上のセグメントの曲げ剛性を高めた後に、当該複数のセグメントのうちの当該剛性可変範囲の両端部に属するセグメントへ向かって順次曲げ剛性を高めるように剛性可変機構132を動作させる制御を行うように構成されていればよい。また、本変形例によれば、剛性制御部322が、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に属する1つ以上のセグメントに含まれる所定のセグメントの曲率が閾値以上である場合に、または、当該所定のセグメントの曲率半径が閾値以下である場合に、当該剛性可変範囲の中央部に配置された1つ以上のコイルヒータを発熱させるための所定の制御を行った後で、当該1つ以上のコイルヒータ以外の各コイルヒータに対して当該剛性可変範囲の中央部から近い順に当該所定の制御を行うように構成されていればよい。
【0088】
(第2の実施形態)
図7から図12は、本発明の第2の実施形態に係るものである。
【0089】
なお、本実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成等を有する部分に関する詳細な説明を適宜省略するとともに、第1の実施形態と異なる構成等を有する部分に関して主に説明を行う。
【0090】
内視鏡システム1Aは、図7に示すように、内視鏡10Aと、光源装置20と、本体装置30Aと、挿入形状検出装置40と、入力装置50と、表示装置60と、を有して構成されている。図7は、第2の実施形態に係る内視鏡システムの具体的な構成を説明するためのブロック図である。
【0091】
内視鏡10Aは、内視鏡10における剛性可変機構112の代わりに剛性可変機構152を設けたものと同様の構成を有している。すなわち、内視鏡10Aの挿入部11(可撓管部11C)における剛性可変範囲の内部には、剛性可変機構152が設けられている。
【0092】
本体装置30Aは、本体装置30における剛性制御部302の代わりに剛性制御部342を設けたものと同様の構成を有している。
【0093】
剛性制御部342は、挿入形状検出装置40から出力される挿入形状情報に基づき、剛性可変機構152を制御するための動作を行うように構成されている。
【0094】
ここで、本実施形態における剛性可変機構152及び剛性制御部342の具体的な構成等について、図8を参照しつつ説明する。図8は、第2の実施形態に係る剛性可変機構及び剛性制御部の構成等を説明するための図である。
【0095】
剛性可変機構152は、可撓管部11Cにおける剛性可変範囲の内部において、挿入部11の長手方向に沿って設けられている。また、剛性可変機構152は、本体装置30Aの制御に応じ、挿入部11における剛性可変範囲の曲げ剛性を変化させることができるように構成されている。また、剛性可変機構152は、図8に示すように、シース部材153と、棒部材154と、を有して構成されている。換言すると、剛性可変機構152は、シース部材153と、棒部材154と、を含む1つの剛性可変構造を有して構成されている。
【0096】
シース部材153は、例えば、細長の円筒形状を有して形成されている。また、シース部材153は、挿入部11(可撓管部11C)の内部に固定された状態で配置されている。また、シース部材153の外被153Aには、例えば、3つのスリット153B、153C及び153Dが形成されている。
【0097】
スリット153Bは、例えば、挿入部11における剛性可変範囲のうち、スリット153Cよりも挿入部11の先端部に近い位置に形成されている。また、スリット153Bは、例えば、外被153Aをシース部材153の長手方向に沿って長さLAだけ切り込むことにより形成されている。
【0098】
スリット153Cは、挿入部11における剛性可変範囲の中央部、すなわち、剛性可変機構132の中央部に形成されている。また、スリット153Cは、例えば、外被153Aをシース部材153の長手方向に沿って長さLB(<LA)だけ切り込むことにより形成されている。
【0099】
スリット153Dは、例えば、挿入部11における剛性可変範囲のうち、スリット153Cよりも挿入部11の基端部に近い位置に形成されている。また、スリット153Dは、例えば、外被153Aをシース部材153の長手方向に沿って長さLAだけ切り込むことにより形成されている。
【0100】
すなわち、シース部材153の外被153Aには、挿入部11における剛性可変範囲全体に相当する1つのセグメントの中央部から両端部へ向かう方向において長さが漸次増加する複数のスリットが形成されている。
【0101】
棒部材154は、シース部材153の内部空間に挿通された状態で配置されている。また、棒部材154は、例えば、細長の円柱形状を有して形成されている。また、棒部材154は、シース部材153の内部において摺動可能な状態で配置されている。また、棒部材154の基端側の端部は、ワイヤ等の牽引部材TMを介して剛性制御部342に接続されている。また、棒部材154は、シース部材153の内部において、牽引部材TMとともに進退移動することができるように構成されている。また、棒部材154の長手方向には、長さLA以上の長さLCを有するとともに相対的に太い径を有する太径部154Aと、相対的に細い径を有する細径部154Bと、が交互に設けられている。なお、棒部材154における太径部154Aの長さLCは、シース部材153の外被153Aに形成された複数のスリット各々の長さのうちの最大の長さ以上であればよい。
【0102】
剛性制御部342は、図8に示すように、モータ351と、エンコーダ352と、メモリ353と、制御回路354と、を有して構成されている。
【0103】
モータ351は、牽引部材TMを介して棒部材154の基端側の端部に接続されている。また、モータ351は、制御回路354の制御に応じて回転することにより、牽引部材TMの牽引量(牽引部材TMを巻き取る長さ)を変化させることができるように構成されている。
【0104】
エンコーダ352は、例えば、モータ351の現在の回転量及び現在の回転方向をモータ351の回転状態として検出するとともに、当該検出したモータ351の回転状態を示す回転状態情報を制御回路354へ出力するように構成されている。
【0105】
メモリ353には、制御回路354によるモータ351の制御に用いられる剛性制御情報が格納されている。具体的には、メモリ353には、例えば、挿入部11における剛性可変範囲を示す情報と、剛性可変機構152の制御用に算出される所定のパラメータに対応する閾値を示す情報と、を含む剛性制御情報が格納されている。
【0106】
制御回路354は、エンコーダ352から出力される回転状態情報と、メモリ353から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、モータ351の回転量及び回転方向を制御するように構成されている。
【0107】
すなわち、本実施形態に係る可撓管挿入装置は、挿入部11と、剛性可変機構152と、剛性制御部342と、を有して構成されている。
【0108】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構152は、剛性制御部342の制御に応じ、挿入部11における剛性可変範囲の曲げ剛性を当該剛性可変範囲の中央部から両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を行うことができるように構成されている。
【0109】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構152は、挿入部11における剛性可変範囲全体を1つのセグメントPHとして曲げ剛性を変化させることができるように構成されているとともに、剛性制御部342の制御に応じ、当該1つのセグメントPHの中央部の曲げ剛性を高めた後に、当該1つのセグメントPHの両端部へ向かって順次曲げ剛性を高めるような動作を行うことができるように構成されている。
【0110】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構152の棒部材154は、剛性制御部342の制御に応じてシース部材153に対する相対位置を変化させることができるように構成されている。
【0111】
以上に述べた構成によれば、剛性制御部342は、メモリ353から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、挿入部11が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を剛性可変機構152に対して行うことができるように構成されている。
【0112】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
【0113】
術者等のユーザは、内視鏡システム1Aの各部を接続して電源を投入した後、例えば、被検者の肛門から腸管内へ挿入部11を挿入するための操作を行う。そして、このようなユーザの操作に伴い、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々から磁界が発せられ、当該磁界の強度に応じた磁界検出信号が受信アンテナ401から出力される。
【0114】
挿入形状情報取得部402は、受信アンテナ401から出力される磁界検出信号に基づき、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイル各々の位置を取得する。また、挿入形状情報取得部402は、前述のように取得した複数のソースコイル各々の位置に基づいて腸管内における挿入部11の挿入形状を算出するとともに、当該算出した挿入形状を示す挿入形状情報を生成して剛性制御部342へ出力する。
【0115】
制御回路354は、メモリ353から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、挿入部11における剛性可変範囲を特定し、当該特定した剛性可変範囲の曲率CVCを算出するとともに、当該算出した曲率CVCが閾値TVC以上であるか否かを判定する。すなわち、このような場合には、挿入部11における剛性可変範囲の曲率CVCに対応する閾値TVCが剛性制御情報に含まれている。
【0116】
制御回路354は、例えば、曲率CVCが閾値TVC未満であるとの判定結果を得た場合に、エンコーダ352から出力される回転状態情報に基づき、牽引部材TMの牽引量が牽引量PKになるようにモータ351を回転させるための制御を行う。そして、このような制御回路354の制御に応じ、棒部材154が牽引されるとともに、シース部材153と棒部材154との相対的な位置関係が変化することにより、例えば、剛性可変機構152が図8に示すような状態になる。
【0117】
図8に示すような状態の剛性可変機構152によれば、外被153Aに囲まれるような位置に太径部154Aが配置されているとともに、スリット153B、153C及び153Dの3つのスリット各々を塞ぐような位置に細径部154Bが配置されている。そのため、剛性可変機構152が図8に示すような状態になった場合には、挿入部11における剛性可変範囲全体の剛性が一様に低くなる。
【0118】
制御回路354は、例えば、曲率CVCが閾値TVC以上であるとの判定結果を得た場合に、エンコーダ352から出力される回転状態情報に基づき、牽引部材TMの牽引量が牽引量PM(>PK)になるようにモータ351を回転させるための制御を行う。換言すると、制御回路354は、挿入部11における剛性可変範囲全体に相当する1つのセグメントの曲率CVCが閾値TVC以上であるとの判定結果を得た場合に、スリット153B、153C及び153Dの位置と太径部154Aの位置とが揃うように棒部材154を変位させるための制御を行う。
【0119】
ここで、牽引部材TMの牽引量が牽引量PL(PK<PL<PM)に達した場合においては、例えば、剛性可変機構152が図8に示すような状態から図9に示すような状態へ変化する。図9は、第2の実施形態に係る剛性可変機構の動作を説明するための図である。
【0120】
図9に示すような状態の剛性可変機構152によれば、スリット153Cを塞ぐような位置に太径部154Aが配置されている一方で、スリット153B及び153Dを塞ぐような位置には太径部154A及び細径部154Bの両方が配置されている。そのため、剛性可変機構152が図9に示すような状態になった場合には、挿入部11における剛性可変範囲の中央部の剛性が最も高くなる一方で、当該剛性可変範囲の剛性が中央部から両端部にかけて漸次低くなる。
【0121】
また、牽引部材TMの牽引量が牽引量PMに達した場合においては、例えば、剛性可変機構152が図9に示すような状態から図10に示すような状態へ変化する。図10は、第2の実施形態に係る剛性可変機構の動作を説明するための図である。
【0122】
図10に示すような状態の剛性可変機構152によれば、外被153Aに囲まれるような位置に細径部154Bが配置されているとともに、スリット153B、153C及び153Dの3つのスリット各々を塞ぐような位置に太径部154Aが配置されている。そのため、剛性可変機構152が図10に示すような状態になった場合には、挿入部11における剛性可変範囲全体の剛性が一様に高くなる。
【0123】
以上に述べたように、本実施形態によれば、シース部材153と棒部材154との相対的な位置関係を変化させることにより、挿入部11を直線形状に近づけるための力を発生させることができる。また、本実施形態によれば、挿入部11を直線形状に近づけるための力を、剛性可変機構152の中央部から挿入部11の先端部へ向かう方向と、剛性可変機構152の中央部から挿入部11の基端部へ向かう方向と、の2つの方向に対して略同時に発生させることができる。従って、本実施形態によれば、前述の力の発生に伴う剛性の変化が前述の2つの方向に対して略同時に発生することに起因し、被検者に対して過度な負荷を与えることなく、当該被検者の内部において座屈した挿入部11を効率的に直線化することができるとともに、挿入部11の剛性可変範囲のうちの当該被検者の内部における屈曲部位の先端側に位置している部分の剛性を高めることができる。
【0124】
具体的には、本実施形態によれば、例えば、被検者の腸管内に挿入された挿入部11において図4Aに示したような座屈が発生した場合に、挿入部11を効率的に直線化することができる。また、本実施形態によれば、例えば、被検者の腸管内に挿入された挿入部11が図4Bに示したような屈曲部位を通過する場合に、挿入部11の剛性可変範囲の略全体が当該屈曲部位の先端側に位置している状態で剛性可変機構152の剛性を高めることにより、挿入部11の推進性を向上させることできる。そして、このような場合には、剛性可変機構152のうちの被検者の内部における屈曲部位の先端側に位置している部分の剛性の増加に伴い、挿入部11のうちの当該屈曲部位の先端側に位置している部分の形状が直線形状に近づくように変形する。従って、本実施形態によれば、可撓性を有する細長な挿入部を被検体内の深部へ挿入する際の挿入性を向上させることができる。
【0125】
なお、本実施形態によれば、例えば、挿入部11における剛性可変範囲の曲率半径CRCに対応する閾値TRCが剛性制御情報に含まれていてもよい。そして、このような場合において、曲率半径CRCが閾値TRC以下であるとの判定結果が得られた場合に牽引部材TMの牽引量が牽引量PMになるようにモータ351を回転させるための制御が行われるとともに、当該曲率半径CRCが当該閾値TRCより大きいとの判定結果が得られた場合に当該牽引部材TMの牽引量が牽引量PKになるようにモータ351を回転させるための制御が行われるようにしてもよい。
【0126】
また、本実施形態によれば、例えば、挿入部11(可撓管部11C)における剛性を変化させるための指示が入力装置50またはスコープスイッチ122において行われたことが制御部303により検出された際に、当該指示に応じてモータ351による牽引部材TMの牽引量を変化させるための制御が制御回路354により行われるようにしてもよい。
【0127】
また、本実施形態は、適宜の変形を加えることにより、挿入部11における剛性可変範囲を1つのセグメントとして剛性を変化させることが可能な剛性可変機構152が設けられている場合に限らず、例えば、当該剛性可変範囲を複数のセグメントに区切った状態でセグメント毎に剛性を変化させることが可能な剛性可変機構が設けられている場合に対しても適用することができる。具体的には、本実施形態は、剛性可変機構152の代わりに、例えば、図11に示すような、3つの剛性可変構造171、172及び173を有する剛性可変機構162が可撓管部11Cの所定の範囲に設けられている場合に対しても適用することができる。このような本実施形態の変形例に係る構成等について、以下に説明する。なお、本変形例に係る剛性可変構造171、172及び173は、互いに略同様の構成を有しているとともに、互いに略同様の制御方法により制御される。そのため、以降においては、剛性可変構造172の具体的な構成等に主眼を置いて説明する一方で、剛性可変構造171及び173の具体的な構成等については適宜省略しつつ説明するものとする。図11は、第2の実施形態の変形例に係る剛性可変機構及び剛性制御部の構成等を説明するためのブロック図である。
【0128】
剛性可変機構162は、図11に示すように、剛性可変構造171、172及び173を有して構成されている。
【0129】
剛性可変構造171は、例えば、挿入部11における剛性可変範囲のうち、剛性可変構造172よりも挿入部11の先端部に近い位置に位置合わせされた状態で配置されている。また、剛性可変構造171は、ワイヤ等の牽引部材TMAを介して剛性制御部362に接続されている。また、剛性可変構造171は、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイルのうちの1つのソースコイルに相当するソースコイルSD(図示省略)の近傍に設けられている。すなわち、剛性可変構造171は、挿入部11における剛性可変範囲のうち、ソースコイルSDの位置に対応する範囲として区切られたセグメントPD(図示省略)の剛性を変化させることができるように構成されている。
【0130】
剛性可変構造172は、挿入部11における剛性可変範囲の中央部、すなわち、剛性可変機構162の中央部に位置合わせされた状態で配置されている。また、剛性可変構造172は、ワイヤ等の牽引部材TMBを介して剛性制御部362に接続されている。また、剛性可変構造172は、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイルのうちのソースコイルSDよりも挿入部11の基端側に配置された1つのソースコイルに相当するソースコイルSE(図示省略)の近傍に設けられている。すなわち、剛性可変構造172は、挿入部11における剛性可変範囲のうち、ソースコイルSEの位置に対応する範囲として区切られたセグメントPE(図示省略)の剛性を変化させることができるように構成されている。
【0131】
剛性可変構造173は、例えば、挿入部11における剛性可変範囲のうち、剛性可変構造172よりも挿入部11の基端部に近い位置に位置合わせされた状態で配置されている。また、剛性可変構造173は、ワイヤ等の牽引部材TMCを介して剛性制御部362に接続されている。また、剛性可変構造173は、ソースコイル群113に含まれる複数のソースコイルのうちのソースコイルSEよりも挿入部11の基端側に配置された1つのソースコイルに相当するソースコイルSF(図示省略)の近傍に設けられている。すなわち、剛性可変構造173は、挿入部11における剛性可変範囲のうち、ソースコイルSFの位置に対応する範囲として区切られたセグメントPF(図示省略)の剛性を変化させることができるように構成されている。
【0132】
すなわち、以上に述べたような剛性可変機構162の構成によれば、挿入部11の剛性可変範囲全体が、ソースコイルSDの位置に対応するセグメントPDと、ソースコイルSEの位置に対応するセグメントPEと、ソースコイルSFの位置に対応するセグメントPFと、を有する3つのセグメントに区切られる。また、以上に述べたような剛性可変機構162の構成によれば、剛性可変構造171がセグメントPDに対応する位置に配置され、剛性可変構造172がセグメントPEに対応する位置に配置されるとともに、剛性可変構造173がセグメントPFに対応する位置に配置される。また、以上に述べたような構成によれば、剛性可変機構162は、セグメントPD、PE及びPFの3つのセグメントにおけるセグメント毎に剛性を変化させることができるように構成されている。
【0133】
剛性可変構造172は、図12に示すように、シース部材183と、棒部材184と、を有して構成されている。図12は、第2の実施形態の変形例に係る剛性可変機構の構成を説明するための図である。
【0134】
シース部材183は、例えば、細長の円筒形状を有して形成されている。また、シース部材183は、挿入部11(可撓管部11C)の内部に固定された状態で配置されている。また、シース部材183には、相対的に硬質な硬性部183Aと、相対的に軟質な軟性部183Bと、が交互に設けられている。
【0135】
棒部材184は、シース部材183の内部空間に挿通された状態で配置されている。また、棒部材184は、例えば、細長の円柱形状を有して形成されている。また、棒部材184は、シース部材183の内部において摺動可能な状態で配置されている。また、棒部材184の基端側の端部は、牽引部材TMBを介して剛性制御部362に接続されている。また、棒部材184は、シース部材183の内部において、牽引部材TMBとともに進退移動することができるように構成されている。また、棒部材184の長手方向には、相対的に太い径を有する太径部184Aと、相対的に細い径を有する細径部184Bと、が交互に設けられている。
【0136】
剛性制御部362は、剛性制御部342の代わりに本体装置30Aに設けられている。また、剛性制御部362は、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報に基づき、剛性可変機構162を制御するための動作を行うように構成されている。また、剛性制御部362は、図11に示すように、モータ371A、371B及び371Cと、エンコーダ372A、372B及び372Cと、メモリ373と、制御回路374と、を有して構成されている。
【0137】
モータ371Aは、牽引部材TMAを介して剛性可変構造171(における棒部材184の基端側の端部)に接続されている。また、モータ371Aは、制御回路374の制御に応じて回転することにより、牽引部材TMAの牽引量(牽引部材TMAを巻き取る長さ)を変化させることができるように構成されている。
【0138】
モータ371Bは、牽引部材TMBを介して剛性可変構造172(における棒部材184の基端側の端部)に接続されている。また、モータ371Bは、制御回路374の制御に応じて回転することにより、牽引部材TMBの牽引量(牽引部材TMBを巻き取る長さ)を変化させることができるように構成されている。
【0139】
モータ371Cは、牽引部材TMCを介して剛性可変構造173(における棒部材184の基端側の端部)に接続されている。また、モータ371Cは、制御回路374の制御に応じて回転することにより、牽引部材TMCの牽引量(牽引部材TMCを巻き取る長さ)を変化させることができるように構成されている。
【0140】
エンコーダ372Aは、例えば、モータ371Aの現在の回転量及び現在の回転方向をモータ371Aの回転状態として検出するとともに、当該検出したモータ371Aの回転状態を示す回転状態情報を制御回路374へ出力するように構成されている。
【0141】
エンコーダ372Bは、例えば、モータ371Bの現在の回転量及び現在の回転方向をモータ371Bの回転状態として検出するとともに、当該検出したモータ371Bの回転状態を示す回転状態情報を制御回路374へ出力するように構成されている。
【0142】
エンコーダ372Cは、例えば、モータ371Cの現在の回転量及び現在の回転方向をモータ371Cの回転状態として検出するとともに、当該検出したモータ371Cの回転状態を示す回転状態情報を制御回路374へ出力するように構成されている。
【0143】
メモリ373には、制御回路374によるモータ371A、371B及び371Cの制御に用いられる剛性制御情報が格納されている。具体的には、メモリ373には、例えば、挿入部11における剛性可変範囲を示す情報と、当該剛性可変範囲に含まれる3つのセグメントPD、PE及びPFを特定可能な情報と、剛性可変機構162の制御用に算出される所定のパラメータに対応する閾値を示す情報と、を含む剛性制御情報が格納されている。
【0144】
制御回路374は、エンコーダ372A、372B及び372Cから出力される回転状態情報と、メモリ373から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、モータ371A、371B及び371C各々の回転量及び回転方向を制御するように構成されている。
【0145】
すなわち、本変形例に係る可撓管挿入装置は、挿入部11と、剛性可変機構172と、剛性制御部362と、を有して構成されている。
【0146】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構172は、剛性制御部362の制御に応じ、挿入部11における剛性可変範囲の曲げ剛性を当該剛性可変範囲の中央部から両端部に至る方向に沿って順次増加させるための動作を行うことができるように構成されている。
【0147】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構172は、挿入部11における剛性可変範囲全体を複数のセグメントに区切った状態でセグメント毎に曲げ剛性を変化させることができるように構成されている。
【0148】
以上に述べた構成によれば、剛性可変機構172の棒部材184は、剛性制御部362の制御に応じてシース部材183に対する相対位置を変化させることができるように構成されている。
【0149】
以上に述べた構成によれば、剛性制御部362は、メモリ373から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、挿入部11が被検体内に挿入されている際の挿入形状を変化させるための制御を剛性可変機構162に対して行うことができるように構成されている。
【0150】
以上に述べた構成によれば、例えば、牽引部材TMBの牽引量が牽引量PXになるようにモータ371Bを回転させるための制御が制御回路374により行われた場合に、シース部材183と棒部材184との相対的な位置関係が変化することにより、硬性部183Aの位置と太径部184Aの位置とが揃えられるとともに、軟性部183Bの位置と細径部184Bの位置とが揃えられる。そのため、牽引部材TMBの牽引量が牽引量PXである場合には、挿入部11における剛性可変範囲のうちのセグメントPEの剛性が低くなる。
【0151】
また、以上に述べた構成によれば、例えば、牽引部材TMBの牽引量が牽引量PZ(>PX)になるようにモータ371Bを回転させるための制御が制御回路374により行われた場合に、シース部材183と棒部材184との相対的な位置関係が変化することにより、硬性部183Aの位置と細径部184Bの位置とが揃えられるとともに、軟性部183Bの位置と太径部184Aの位置とが揃えられる。そのため、牽引部材TMBの牽引量が牽引量PZである場合には、挿入部11における剛性可変範囲のうちのセグメントPEの剛性が高くなる。
【0152】
続いて、本変形例の作用について説明する。
【0153】
制御回路374は、メモリ373から読み込んだ剛性制御情報と、挿入形状情報取得部402から出力される挿入形状情報と、に基づき、挿入部11における剛性可変範囲に含まれるセグメントPD、PE及びPFをそれぞれ特定する。また、制御回路374は、前述のように特定したセグメントPEの曲率CVEを算出するとともに、当該算出した曲率CVEが閾値TVE以上であるか否かを判定する。すなわち、このような場合には、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に位置するセグメントPEの曲率CVEに対応する閾値TVEが剛性制御情報に含まれている。
【0154】
制御回路374は、例えば、曲率CVEが閾値TVE未満であるとの判定結果を得た場合に、エンコーダ372A、372B及び372Cから出力される回転状態情報に基づき、牽引部材TMA、TMB及びTMCの牽引量が牽引量PXになるようにモータ371A、371B及び371Cをそれぞれ回転させるための制御を行う。そして、このような制御回路374の制御によれば、挿入部11における剛性可変範囲全体の剛性が一様に低くなる。
【0155】
制御回路374は、例えば、曲率CVEが閾値TVE以上であるとの判定結果を得た場合に、エンコーダ372Bから出力される回転状態情報に基づき、牽引部材TMBの牽引量が牽引量PZになるようにモータ371Bを回転させるための制御を行う。また、制御回路374は、牽引部材TMBの牽引量が牽引量PZになるようにモータ371Bを回転させるための制御を行ってから一定時間が経過した後に、エンコーダ372A及び372Cから出力される回転状態情報に基づき、牽引部材TMAの牽引量が当該牽引量PZになるようにモータ371Aを回転させるための制御と、牽引部材TMCの牽引量が当該牽引量PZになるようにモータ371Cを回転させるための制御と、を同時に行う。そして、このような制御回路374の制御によれば、曲率CVEが閾値TVE以上であるとの判定結果が得られたタイミングTCから一定時間が経過するまでの期間において、挿入部11における剛性可変範囲のうちのセグメントPEの剛性が相対的に高くなるとともに、当該剛性可変範囲のうちのセグメントPD及びPFの剛性が相対的に低くなる。また、前述のような制御回路374の制御によれば、タイミングTCから一定時間が経過した後のタイミングTD以降の期間において、挿入部11における剛性可変範囲全体の剛性が一様に高くなる。
【0156】
すなわち、制御回路374は、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に属するセグメントPEの曲げ剛性を高めた後に、当該剛性可変範囲の両端部に属するセグメントPD及びPFへ向かって順次曲げ剛性を高めるように前記剛性可変機構を動作させる制御を行う。
【0157】
以上に述べたように、本変形例によれば、シース部材183と棒部材184との相対的な位置関係を変化させることにより、挿入部11を直線形状に近づけるための力を発生させることができる。また、本変形例によれば、挿入部11を直線形状に近づけるための力を、剛性可変機構162の中央部から挿入部11の先端部へ向かう方向と、剛性可変機構162の中央部から挿入部11の基端部へ向かう方向と、の2つの方向に対して略同時に発生させることができる。従って、本変形例によれば、前述の力の発生に伴う剛性の変化が前述の2つの方向に対して略同時に発生することに起因し、被検者に対して過度な負荷を与えることなく、当該被検者の内部において座屈した挿入部11を効率的に直線化することができるとともに、挿入部11の剛性可変範囲のうちの当該被検者の内部における屈曲部位の先端側に位置している部分の剛性を高めることができる。
【0158】
具体的には、本変形例によれば、例えば、被検者の腸管内に挿入された挿入部11において図6Aに示したような座屈が発生した場合に、挿入部11を効率的に直線化することができる。また、本変形例によれば、例えば、被検者の腸管内に挿入された挿入部11が図6Bに示したような屈曲部位を通過する場合に、挿入部11の剛性可変範囲の略全体が当該屈曲部位の先端側に位置している状態で剛性可変機構162の剛性を高めることにより、挿入部11の推進性を向上させることできる。そして、このような場合には、剛性可変機構132のうちの被検者の内部における屈曲部位の先端側に位置している部分の剛性の増加に伴い、挿入部11のうちの当該屈曲部位の先端側に位置している部分の形状が直線形状に近づくように変形する。従って、本変形例によれば、可撓性を有する細長な挿入部を被検体内の深部へ挿入する際の挿入性を向上させることができる。
【0159】
なお、本変形例によれば、例えば、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に位置するセグメントSEの曲率半径CREに対応するに対応する閾値TREが剛性制御情報に含まれていてもよい。そして、このような場合において、曲率半径CREが閾値TRE以下であるとの判定結果が得られた場合に各牽引部材の牽引量が牽引量PXになるように各モータを回転させるための制御が行われるとともに、当該曲率半径CREが当該閾値TREより大きいとの判定結果が得られた場合に当該各牽引部材の牽引量が牽引量PZになるように当該各モータを回転させるための制御が行われるようにしてもよい。
【0160】
また、本変形例によれば、例えば、挿入部11における剛性可変範囲が4つ以上のセグメントに区切られている場合に、当該剛性可変範囲の中央部に複数のセグメントが属するものとして制御が行われるようにしてもよい。
【0161】
すなわち、本変形例によれば、剛性制御部362が、挿入部11における剛性可変範囲を構成する複数のセグメントのうちの当該剛性可変範囲の中央部に属する1つ以上のセグメントの曲げ剛性を高めた後に、当該複数のセグメントのうちの当該剛性可変範囲の両端部に属するセグメントへ向かって順次曲げ剛性を高めるように剛性可変機構172を動作させる制御を行うように構成されていればよい。また、本変形例によれば、剛性制御部362が、挿入部11における剛性可変範囲の中央部に属する1つ以上のセグメントに含まれる所定のセグメントの曲率が閾値以上である場合に、または、当該所定のセグメントの曲率半径が閾値以下である場合に、当該剛性可変範囲の中央部に配置された1つ以上の剛性可変構造における軟性部183Bの位置と太径部184Aの位置とが揃うように棒部材184を変位させるための所定の制御を行った後で、当該1つ以上の剛性可変構造以外の各剛性可変構造に対して当該剛性可変範囲の中央部から近い順に当該所定の制御を行うように構成されていればよい。
【0162】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
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図10
図11
図12