(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】光通信装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/32 20060101AFI20220608BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20220608BHJP
G02B 6/34 20060101ALI20220608BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20220608BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G02B6/32
G02B6/42
G02B6/34
H01S5/022
H01S5/40
(21)【出願番号】P 2021017168
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2021-02-05
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林國峰
(72)【発明者】
【氏名】謝錦全
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0218854(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0212921(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0064305(US,A1)
【文献】特表2020-522009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0306079(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0141893(US,A1)
【文献】Yumin Qiu et al.,Efficient crystalline Silicon planar metalens towards fiber optical tweezers,Asia Communications and Photonics Conference ,米国,OSA,2017年11月,Su1F.5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
6/30-6/34
6/42-6/43
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号に従って、異なる波長を有する複数のレーザービームを同じ方向に伝送する複数のレーザー
光源、
前記レーザービームを受光し、第1の基板内で、前記レーザービームを焦点に屈折させて混合レーザービームを生成する複数の第1のメタレンズ、
伝送対象の前記混合レーザービームを受光し前記焦点が光ファイバの入力端に配置される光ファイバ
、及び、
前記レーザー光源と前記第1のメタレンズの間に配置された複数の第2のメタレンズを含
み、
前記第2のメタレンズは、前記レーザービームを屈折させて前記レーザービームのビームプロファイルが楕円形から円形に変化するようにする光通信装置。
【請求項2】
前記レーザービームの波長は、1530ナノメートル~1565ナノメートルの間である請求項1に記載の光通信装置。
【請求項3】
前記第1のメタレンズと前記光ファイバとの間の距離は、前記第1の基板の厚さと等しい請求項1に記載の光通信装置。
【請求項4】
前記第1および前記第2のメタレンズのそれぞれは、異なる直径を有する複数のシリンダーを含む請求項
1に記載の光通信装置。
【請求項5】
前記混合レーザービームは、前記光ファイバ内でシングルモードで伝送される請求項1に記載の光通信装置。
【請求項6】
前記第1のメタレンズのそれぞれは、前記第1のメタレンズを通過する前記レーザービームの屈折角が前記光ファイバの開口数(NA)と一致するように個別に設計されている請求項1に記載の光通信装置。
【請求項7】
前記光ファイバから混合レーザービームを受光し、前記混合レーザービームを平行光化する第3のメタレンズ、
前記混合レーザービームを分散させ、異なる波長の前記レーザービームを復元するグレーティング、
前記レーザービームを受光し、前記レーザービームを屈折させ、異なる波長のそれぞれのレーザービームを受光する複数の第2の光ファイバに集光させる複数の第4のメタレンズをさらに含む請求項1に記載の光通信装置。
【請求項8】
前記第4のメタレンズのそれぞれは、前記第4のメタレンズを通過する前記レーザー
ビームの屈折角が前記第2の光ファイバの開口数(NA)と一致するように個別に設計される請求項
7に記載の光通信装置。
【請求項9】
前記レーザー光源は半導体レーザーである請求項1に記載の光通信装置。
【請求項10】
前記レーザー光源と前記第1および第2のメタレンズは、第2の基板上に形成され、前記第1および第2のメタレンズは、緩衝層の上面に形成され、前記緩衝層は、前記第1および第2のメタレンズと前記第2の基板との間にある請求項
1に記載の光通信装置。
【請求項11】
前記緩衝層の厚さは、前記レーザー光源の高さが前記第1および第2のメタレンズの高さと一致するように調整されることができる請求項
10に記載の光通信装置。
【請求項12】
前記第1の基板はガラスを含み、前記第2の基板はリン化インジウム(InP)、砒化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、およびサファイアを含む請求項
10に記載の光通信装置。
【請求項13】
前記第1、第2、および第4のメタレンズ、前記第3のメタレンズ、並びに前記グレーティングは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、窒化シリコン(Si
3N
4)、リン化ガリウム(GaP)、二酸化チタン(TiO
2)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、砒化アルミニウム(AlAs)、砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、リン化ガリウムインジウムアルミニウム(AlGaInP)、リン化ホウ素(BP)、またはリン化ゲルマニウム亜鉛(ZnGeP
2)を含む請求項
7に記載の光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信装置に関するものであり、特に、小型でメタレンズを有する光通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の光通信システムでは、電気光学変換器が電気信号を異なる波長の光信号に変換し、光マルチプレクサが異なる波長の光信号を収集し、それらを光ファイバに送信し、伝送を行う。波長分割多重(WDM)は、シングルモードの光ファイバの低損失領域の広帯域幅を用いて、さまざまな波長の光信号を送信する方法である。
【0003】
光ファイバは、それらの内部コアの直径に従って、シングルモードまたはマルチモードに分類される。シングルモードファイバは、Cバンドなど、1つの特定の波長で最低次モードのみを伝搬させることができ、Cバンドは、損失が最も少なく、長距離デジタル通信で最も一般的な帯域である。半導体プロセス技術の進化に伴い、光通信システム(電気光学変換器や光マルチプレクサを含む)のサイズをいかに小型化するかが重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型でメタレンズを有する光通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の問題を解決するために、本発明の実施形態は、光通信装置を提供する。光通信装置は、複数のレーザー源、複数の第1のメタレンズ、および光ファイバを含む。レーザー光源は、電気信号に従って複数のレーザービームを同じ方向に伝送し、レーザービームは異なる波長を有する。第1のメタレンズはレーザービームを受光し、第1の基板内で、レーザービームを焦点に屈折させて混合レーザービームを生成する。光ファイバは伝送対象の混合レーザービームを受光し、焦点は光ファイバの入力端に配置される。
【0006】
上述の光通信装置では、光通信装置は、複数の第2のメタレンズをさらに含む。第2のメタレンズは、レーザー光源と第1のメタレンズの間に配置され、レーザービームを屈折させてレーザービームのビームプロファイルが楕円形から円形に変化するようにする。
【0007】
上述の光通信装置によれば、レーザービームの波長は、1530ナノメートル~1565ナノメートルの間である。
【0008】
上述の光通信装置によれば、第1のメタレンズと光ファイバとの間の距離は、第1の基板の厚さと等しい。
【0009】
上記の光通信装置によれば、第1および第2のメタレンズのそれぞれは、それぞれ異なる直径を有する複数のシリンダーを含む。
【0010】
上記の光通信装置によれば、第1のメタレンズと光ファイバとの間の距離は、第1のメタレンズの直径よりも大きい。
【0011】
上述の光通信装置によれば、混合レーザービームは、光ファイバ内でシングルモードで伝送される。
【0012】
上述の光通信装置によれば、第1のメタレンズのそれぞれは、個別に設計され、それにより第1のメタレンズを通過するレーザービームの屈折角が光ファイバの開口数(numerical aperture;NA)と一致する。
【0013】
上述の光通信装置によれば、光通信装置は、第3のメタレンズ、グレーティング(grating)、および複数の第4のメタレンズをさらに含む。第3のメタレンズは、光ファイバから混合レーザービームを受光し、混合レーザービームを平行光化する。グレーティングは、混合レーザービームを分散させ、異なる波長のレーザービームを復元(recover)する。第4のメタレンズはレーザービームを受光し、レーザービームを屈折させて複数の第2の光ファイバに集光させる。第2の光ファイバは、異なる波長のそれぞれのレーザービームを受光する。
【0014】
上述の光通信装置によれば、第4のメタレンズのそれぞれは、個別に設計され、それにより第4のメタレンズを通過するレーザー光の屈折角が第2の光ファイバの開口数(NA)と一致する。
【0015】
上記の光通信装置によれば、レーザー光源は半導体レーザーである。
【0016】
上述の光通信装置によれば、レーザー光源と第1および第2のメタレンズは、第2の基板上に形成され、第1および第2のメタレンズは、緩衝層の上面に形成され、緩衝層は、第1および第2のメタレンズと第2の基板との間にある。
【0017】
上述の光通信装置によれば、緩衝層の厚さは、レーザー光源の高さが第1および第2のメタレンズの高さと一致するように調整されることができる。
【0018】
上述の光通信装置によれば、第1の基板はガラスを含み、第2の基板はリン化インジウム(InP)、砒化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、およびサファイアを含む。
【0019】
上述の光通信装置によれば、第1、第2、および第4のメタレンズ、第3のメタレンズ、並びにグレーティングは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、窒化シリコン(Si3N4)、リン化ガリウム(GaP)、二酸化チタン(TiO2)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、砒化アルミニウム(AlAs)、砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、リン化ガリウムインジウムアルミニウム(AlGaInP)、リン化ホウ素(BP)、またはリン化ゲルマニウム亜鉛(ZnGeP2)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、添付の図面を参照しながら後続の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解することができる。これらの図面は、業界の標準的な慣行に従って縮尺通りに描かれるとは限らないことを理解されたい。部品のサイズは、明確な図を提供するために拡大または縮小することができる。
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、光通信装置100の概略図である。
【
図2】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、光通信装置200の概略図である。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、メタレンズの概略図である。
【
図4】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、光通信装置400の概略図である。
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、光通信装置500の概略図である。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、
図4のメタレンズの断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の他の実施形態による光通信装置100の概略図である。
【
図8】
図8は、本開示の他の実施形態による光通信装置400の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、光通信装置100の概略図である。
図1に示すように、光通信装置100は、複数のレーザー光源(例えば、レーザー光源102-1、102-2、102-3、…、102-n)、複数のメタレンズ(例えば、メタレンズ104-1、104-2、104-3、…、104-n)、基板108、および光ファイバ106を含む。レーザー光源102-1は、波長λ
1のレーザービーム120-1をメタレンズ104-1に透過させ、レーザー光源102-2は、波長λ
2のレーザービーム120-2をメタレンズ104-2に透過させ、レーザー光源102-3は、波長λ
3のレーザービーム120-3をメタレンズ104-3に透過させ、且つレーザー光源102-nは、波長λ
nのレーザービーム120-nをメタレンズ104-nに透過させる。いくつかの実施形態では、nは40に等しいが、本発明はそれに限定されない。波長λ
1、λ
2、λ
3、…、λ
nは全てCバンド内にある。即ち、波長λ
1、λ
2、λ
3、…、λ
nは、1530ナノメートル~1565ナノメートルの間にある。いくつかの実施形態では、Cバンドは平均的に40のチャネルに分割され、それによりレーザー源102-1、102-2、102-3、…、102-n(n = 40)は、40チャネルで互いに異なる波長を有するレーザービーム120-1、120-2、120-3、…、120-nをそれぞれ生成する。
【0022】
いくつかの実施形態では、レーザー光源102-1、102-2、102-3、…、102-nは、異なる電気信号に従って異なる波長のレーザービームを透過させる半導体レーザーである。言い換えると、レーザー光源102-1、102-2、102-3、…、102-nは、電気信号を光信号(レーザービームなど)に変換することができる。メタレンズ104-1は、波長λ1のレーザービーム120-1を受光し、レーザービーム120-1を屈折させて、基板108内の焦点110に集光(focus)レーザービーム130-1を形成する。メタレンズ104-2は、波長λ2のレーザービーム120-2を受光し、レーザービーム120-2を屈折させて、基板108内の焦点110に集光レーザービーム130-2を形成する。メタレンズ104-3は、波長λ3のレーザービーム120-2を受光し、レーザービーム120-2を屈折させて、基板108内の焦点110に集光レーザービーム130-2を形成する。同様に、メタレンズ104-nは、波長λnのレーザービーム120-nを受光し、レーザービーム120-nを屈折させて、基板108内の焦点110に集光レーザービーム130-nを形成する。いくつかの実施形態では、基板108はガラスを含むが、本発明はそれに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態では、メタレンズ104-1、104-2、104-3、…、104-nは、それぞれ個別に設計され、それにより、メタレンズ104-1、104-2、104-3、…、104-nに対応して通過するレーザービーム120-1、120-2、120-3、…、120-nの屈折角が光ファイバ106の開口数(numerical aperture;NA)と一致する。焦点110には、混合(mixed)レーザービーム(図示せず)が形成される。いくつかの実施形態では、焦点110が光ファイバ106の入力端に配置されているため、混合レーザービームが光ファイバ106内に伝送されることができる。いくつかの実施形態では、光ファイバ106は、6~9マイクロメートルのコア径を有するシングルモード光ファイバであり、それにより、混合レーザービームが光ファイバ106内でシングルモードで伝送される。いくつかの実施形態では、メタレンズ104-1、104-2、104-3、…、104-nと光ファイバ106との間の距離は、基板108の厚さにと等しい。
【0024】
図1では、レーザー光源102-1、102-2、102-3、…、102-nおよびメタレンズ104-1、104-2、104-3、…、104-nは、x方向に沿って配置される。しかしながら、レーザー光源102-1、102-2、102-3、…、102-nおよびメタレンズ104-1、104-2、104-3、…、104-nは、同時にx方向とy方向に沿って配置されることもできる。言い換えれば、レーザー光源およびメタレンズの配置は3次元(3D)である。
【0025】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、光通信装置200の概略図である。
図2に示すように、光通信装置200は、複数のレーザー光源(例えば、レーザー光源202-1、202-2、202-3、…、202-n)、複数の第1のメタレンズ(例えば、メタレンズ204-1、204-2、204-3、…、204-n)、複数の第2のメタレンズ(例えば、メタレンズ214-1、214-2、214-3、…、214-n)、基板208、および光ファイバ206を含む。レーザー光源202-1は、波長λ
1のレーザービーム220-1をメタレンズ214-1に透過させ、レーザー光源202-2は、波長λ
2のレーザービーム220-2をメタレンズ214-2に透過させ、レーザー光源202-3は、波長λ
3のレーザービーム220-3をメタレンズ214-3に透過させ、且つレーザー光源202-nは、波長λ
nのレーザービーム220-nをメタレンズ214-nに透過させる。いくつかの実施形態では、nは40に等しい。
【0026】
いくつかの実施形態では、メタレンズ214-1、214-2、214-3、…、210-nは、レーザー光源202-1、202-2、202-3、…、202-nとメタレンズ204-1、204-2、2104-3、…、204-nとの間に配置される。メタレンズ214-1は、波長λ1のレーザービーム220-1を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム220-1のビームプロファイルが楕円形から円形(例えば、ビームプロファイル240からビームプロファイル250に)に変化する。同様に、メタレンズ214-2は、波長λ2のレーザービーム220-2を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム220-2のビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。メタレンズ214-3は、波長λ3のレーザービーム220-3を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム220-3のビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。メタレンズ214-nは、波長λnのレーザービーム220-nを受光して屈折させ、それにより、レーザービーム220-nのビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。
【0027】
その後、メタレンズ204-1は、レーザービーム220-1を屈折させて、基板208内の焦点210に集光レーザービーム230-1を形成する。同様に、メタレンズ204-2は、レーザービーム220-2を屈折させて、基板208内の焦点210に集光レーザービーム230-2を形成する。メタレンズ204-3は、レーザービーム220-3を屈折させて、基板208内の焦点210に集光レーザービーム230-3を形成する。メタレンズ204-nは、レーザービーム220-nを屈折させて、基板208内の焦点210に集光レーザービーム230-nを形成する。
図1の焦点110と同様に、焦点210は、光ファイバ206の入力端に配置されており、それにより、混合レーザービームが光ファイバ206内に伝送されることができる。
【0028】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、メタレンズ(例えば、メタレンズ104-1)の概略図である。
図3に示されるように、メタレンズ104-1、104-2、104-3、…、104-n、204-1、204-2、204-3、…、204-n、214-1、214-2、214-3、…、214-nのそれぞれは、異なる直径を有する複数のシリンダー(cylinder)を含む。シリンダーはx方向とy方向に沿って不規則に配置される。例えば、
図3では、シリンダーは放射状に配置される。シリンダーの直径と配置は、調整されてレーザービームの屈折角を微調整することができる。各シリンダーは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、窒化シリコン(Si
3N
4)、リン化ガリウム(GaP)、二酸化チタン(TiO
2)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、砒化アルミニウム(AlAs)、砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、リン化ガリウムインジウムアルミニウム(AlGaInP)、リン化ホウ素(BP)、リン化ゲルマニウム亜鉛(ZnGeP
2)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0029】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、光通信装置400の概略図である。通信装置400は、複数のレーザー光源(例えば、レーザー光源402-1、402-2、402-3、…、402-n)、複数の第1のメタレンズ(例えば、メタレンズ404-1、404-2)、および複数の第2のメタレンズ(例えば、メタレンズ414-1、414-2、414-3、…、414-n)を含む。いくつかの実施形態では、レーザー光源402-1、402-2、402-3、…、402-n、メタレンズ404-1、404-2、およびメタレンズ414-1、414-2、414-3、…、414-nは全て、半導体プロセスによって共通の基板(図示せず)上に形成される。即ち、
図4は、通信装置400の上面図である。
【0030】
レーザー光源402-1は、波長λ1のレーザービーム420-1をメタレンズ414-1に透過させ、メタレンズ414-1は、レーザービーム420-1を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム420-1のビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。同様に、レーザー光源402-2は、波長λ2のレーザービーム420-2をメタレンズ414-2に透過させ、メタレンズ414-2は、レーザービーム420-2を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム420-2のビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。レーザー光源402-3は、波長λ3のレーザービーム420-3をメタレンズ414-3に透過させ、メタレンズ414-3は、レーザービーム420-3を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム420-3のビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。レーザー光源402-nは、波長λnのレーザービーム420-nをメタレンズ414-nに透過させ、メタレンズ414-nは、レーザービーム420-nを受光して屈折させ、それにより、レーザービーム420-nのビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。その後、レーザービーム420-1、420-2、420-3、…、420-nは、メタレンズ404-1、404-2に伝搬して集光し、それにより、それらは全て焦点410に屈折され、混合レーザービームを形成する。焦点410は、光ファイバ406の入力端に配置されているため、混合レーザービームが光ファイバ406内に伝送されることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、レーザー光源402-1、402-2、402-3、…、402-nおよびメタレンズ414-1、414-2、414-3、…、414-nは、y方向に沿って配置される。いくつかの実施形態では、メタレンズ414-1、414-2、414-3、…、414-n、404-1、404-2のそれぞれは、y方向に沿って配置された複数の立方体(cuboids)を含む。立方体間の距離、および各立方体の長さと幅が調整されて、レーザービームの屈折角およびレーザービームのビームプロファイルが微調整されることができる。
【0032】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、光通信装置500の概略図である。通信装置500は、複数のレーザー光源(例えば、レーザー光源502-1、502-2、502-3、…、502-n)、複数の第1のメタレンズ(例えば、メタレンズ504-1、504-2)、および複数の第2のメタレンズ(例えば、メタレンズ514-1、514-2、4514-3、…、514-n)を含む。いくつかの実施形態では、レーザー光源502-1、502-2、502-3、…、502-n、メタレンズ504-1、504-2、およびメタレンズ514-1、514-2、514-3、…、514-nは全て、半導体プロセスによって共通の基板(図示せず)上に形成される。即ち、
図5は、通信装置500の上面図である。
【0033】
図4と同様に、レーザー光源502-1は、波長λ
1のレーザービーム520-1をメタレンズ514-1に透過させ、メタレンズ514-1は、レーザービーム520-1を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム520-1のビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。同様に、レーザー光源502-2は、波長λ
2のレーザービーム520-2をメタレンズ514-2に透過させ、メタレンズ514-2は、レーザービーム520-2を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム520-2のビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。レーザー光源502-3は、波長λ
3のレーザービーム520-3をメタレンズ514-3に透過させ、メタレンズ514-3は、レーザービーム520-3を受光して屈折させ、それにより、レーザービーム520-3のビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。レーザー光源502-nは、波長λ
nのレーザービーム520-nをメタレンズ514-nに透過させ、メタレンズ514-nは、レーザービーム520-nを受光して屈折させ、それにより、レーザービーム520-nのビームプロファイルが楕円形から円形に変化する。その後、レーザービーム520-1、520-2、520-3、…、520-nは、メタレンズ504-1、504-2に伝搬して集光し、それにより、それらは全て焦点510に屈折され、混合レーザービームを形成する。焦点510は、光ファイバ506の入力端に配置されているため、混合レーザービームが光ファイバ506内に伝送されることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、レーザー光源502-1、502-2、502-3、…、502-nおよびメタレンズ514-1、514-2、514-3、…、514-nは、y方向に沿って配置される。いくつかの実施形態では、メタレンズ514-1、514-2、514-3、…、514-n、504-1、504-2のそれぞれは、y方向に沿って配置された複数のシリンダー(cuboids)を含む。シリンダー間の距離、および各シリンダーの直径が調整されて、レーザービームの屈折角およびレーザービームのビームプロファイルが微調整されることができる。
【0035】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、
図4のメタレンズ(例えば、メタレンズ414-1)の断面図である。
図6に示されるように、メタレンズ414-1は、基板600(共通基板など)および基板602上に形成される。基板602は緩衝層であり、メタレンズ414-1と基板600との間にある。詳細には、メタレンズ414-1は、基板602の上面に形成されている。誘電材料604がメタレンズ414-1に充填されてメタレンズ414-1の立方体構造を保護することができる。いくつかの実施形態では、誘電材料604はポリマーである。いくつかの実施形態では、誘電材料604は空気であることもできる。基板602の厚さは、レーザー光源402-1の高さがメタレンズ414-1の高さと一致するように調整されることができる。いくつかの実施形態では、基板600は、リン化インジウム(InP)、砒化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、サファイア、またはそれらの組み合わせを含む。
【0036】
図7は、本開示のもう1つの実施形態による
図1の光通信装置100(
図2の光通信装置200)の概略図である。
図7に示されるように、光通信装置100(または
図2の通信装置200)は、メタレンズ700、グレーティング(grating)702、複数のメタレンズ(例えば、メタレンズ704-1、704-2、…、704-n)、および複数の光ファイバ(例えば、光ファイバ706-1、706-2、…、706-n)をさらに含む。混合レーザービームは、光ファイバ106(または光ファイバ206)からメタレンズ700に伝送される。メタレンズ700は、光ファイバ106(または光ファイバ206)からの混合レーザービームを平行光化する。その後、グレーティング702は、混合レーザービームを分散させて、波長λ
1のレーザービーム710-1、波長λ
2のレーザービーム710-2、…、および波長λ
nのレーザービーム710-nを形成する。いくつかの実施形態では、nは40に等しいが、本発明はそれに限定されない。
【0037】
メタレンズ704-1は、波長λ1のレーザービーム710-1を受光し、屈折させて、レーザービーム710-1を光ファイバ706-1に集光させる。メタレンズ704-2は、波長λ2のレーザービーム710-2を受光し、屈折させて、レーザービーム710-2を光ファイバ706-2に集光させる。メタレンズ704-nは、波長λnのレーザービーム710-nを受光し、屈折させて、レーザービーム710-nを光ファイバ706-nに集光させる。いくつかの実施形態では、メタレンズ700、704-1、704-2、…、704-nのそれぞれは、異なる直径を有する複数のシリンダーを含む。シリンダーはx方向とy方向に沿って不規則に配置される。いくつかの実施形態では、グレーティング702も異なる直径を有する複数のシリンダーを含む。しかしながら、グレーティング702のシリンダーは、x方向およびy方向に沿って規則的に配置される。いくつかの実施形態では、メタレンズ700の開口数(NA)は、WG(Whispering Gallery)モード(LP01)と一致する必要がある。シリンダー間の距離、および各シリンダーの直径が調整されて、レーザービームの屈折角が微調整されることができる。
【0038】
図8は、本開示のもう1つの実施形態による光通信装置400の概略図である。
図8に示されるように、光通信装置400は、メタレンズ800、グレーティング802、複数のメタレンズ(メタレンズ804-1、804-2、…、804-nなど)、複数の光ファイバ(光ファイバ806-1、806-2、…、806-nなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、メタレンズ800、グレーティング802、およびメタレンズ804-1、804-2、…、804-nは、半導体プロセスによって共通の基板(図示せず)上に形成される。混合レーザービームは、光ファイバ406からメタレンズ800に伝送される。同様に、メタレンズ800は、光ファイバ406からの混合レーザービームを平行光化する。その後、グレーティング802は、混合レーザービームを分散させて、波長λ
1のレーザービーム810-1、波長λ
2のレーザービーム810-2、…、および波長λ
nのレーザービーム810-nを形成する。
【0039】
メタレンズ804-1は、波長λ1のレーザービーム810-1を受光し、屈折させて、レーザービーム810-1を光ファイバ806-1に集光させる。メタレンズ804-2は、波長λ2のレーザービーム810-2を受光し、屈折させて、レーザービーム810-2を光ファイバ806-2に集光させる。メタレンズ804-nは、波長λnのレーザービーム810-nを受光し、屈折させて、レーザービーム810-nを光ファイバ806-nに集光させる。いくつかの実施形態では、メタレンズ800、804-1、804-2、…、804-nのそれぞれは、複数の立方体を含む。立方体はy方向に沿って不規則に配置される。グレーティング802も複数の立方体を含む。しかしながら、グレーティング802の立方体は、y方向に沿って規則的に配置される。立方体間の距離、および各立方体の長さと幅が調整されて、レーザービームの屈折角が微調整されることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、
図4および
図5のレーザー光源およびメタレンズ、ならびに
図8のレーザー光源、メタレンズ、およびグレーティングは、集積回路(例えば、チップまたはSoC)内に組み込まれることができ、それにより各レーザー光源がメタレンズに容易かつ正確に位置合わせされることができ、光通信システムの小型化を図ることができる。
【0041】
「第1」、「第2」、「第3」などの本発明の明細書および特許請求の範囲の序数は、連続した関係を持たず、同じ名前の2つの異なる構成要素を区別するためだけのものである。本発明の明細書において、「結合(couple)」という用語は、あらゆる種類の直接的または間接的な電子的接続を意味する。本発明は、上述の好ましい実施形態で開示されているが、本発明の幅および範囲は、上述の実施形態のいずれによっても制限されるべきではない。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、小さな変更および修正を行うことができる。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの同等物に従って定義されるべきである。
【符号の説明】
【0042】
100 光通信装置
102-1、102-2、102-3、…、102-n レーザー光源
104-1、104-2、104-3、…、104-n メタレンズ
106 光ファイバ
108 基板
110 焦点
120-1、120-2、120-3、…、120-n レーザービーム
130-1、130-2、130-3、…、130-n 集光レーザービーム
X、Y、Z 方向
200 光通信装置
202-1、202-2、202-3、…、202-n レーザー光源
204-1、204-2、204-3、…、204-n メタレンズ
206 光ファイバ
208 基板
210 焦点
214-1、214-2、214-3、…、214-n メタレンズ
220-1、220-2、220-3、…、220-n レーザービーム
230-1、230-2、230-3、…、230-n 集光レーザービーム
240、250 ビームプロファイル
400 光通信装置
402-1、402-2、402-3、…、402-n レーザー光源
404-1、404-2 メタレンズ
406 光ファイバ
410 焦点
414-1、414-2、414-3、…、414-n メタレンズ
420-1、420-2、420-3、…、420-n レーザービーム
500 光通信装置
502-1、502-2、502-3、…、502-n レーザー光源
504-1、504-2 メタレンズ
506 光ファイバ
510 焦点
514-1、514-2、514-3、…、514-n メタレンズ
520-1、520-2、520-3、…、520-n レーザービーム
600、602 基板
604 誘電材料
700 メタレンズ
702 グレーティング
704-1、704-2、…、704-n メタレンズ
706-1、706-2、…、706-n 光ファイバ
710-1、710-2、…、710-n レーザービーム
λ1、λ2、λ3、…、λn 波長
800 メタレンズ
802 グレーティング
804-1、804-2、…、804-n メタレンズ
806-1、806-2、…、806-n 光ファイバ
810-1、810-2、…、810-n レーザービーム