(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】折り畳まれた使い捨ておむつおよびおむつ包装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20220608BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20220608BHJP
B65D 85/07 20170101ALI20220608BHJP
A61F 13/62 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A61F13/56 210
A61F13/15 210
B65D85/07
A61F13/62 120
(21)【出願番号】P 2021045183
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福元 淳生
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-010990(JP,A)
【文献】特開2013-208324(JP,A)
【文献】登録実用新案第3229343(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/56
A61F 13/15
B65D 85/07
A61F 13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれたテープタイプの使い捨ておむつであって、
前記使い捨ておむつは、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有するおむつ本体と、前記おむつ本体の後側部の幅方向の両側に設けられた止着テープと、前記おむつ本体の前側部の外面側に設けられたターゲットテープとを有し、
前記使い捨ておむつは、平面状に広げた状態で肌面側を内側にして、前記おむつ本体の幅方向の両側部がそれらの間の中央部と重なるように前後方向に延びる折り目(以下、「前後方向折り目」と称する)で折り返されて幅方向に3つ折りされ、この状態から、折り返された幅方向の両側部を内側にして幅方向に延びる折り目(以下、「幅方向折り目」と称する)で折り返されて、前後方向に3つ折りまたは4つ折りされており、
前記幅方向折り目のうちの少なくとも1つが、前記吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置
に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
折り畳まれたテープタイプの使い捨ておむつであって、
前記使い捨ておむつは、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有するおむつ本体と、前記おむつ本体の後側部の幅方向の両側に設けられた止着テープと、前記おむつ本体の前側部の外面側に設けられたターゲットテープとを有し、
前記使い捨ておむつは、肌面側を内側にして第1の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされ、さらに折り返された前側部を内側にして第2の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされることにより、前後方向に4つ折りされており、
前記第1の幅方向折り目より後側の前記第2の幅方向折り目は、前記吸収性コアが存在する位置に形成され、
前記第1の幅方向折り目より前側の前記第2の幅方向折り目は、前記吸収性コアが存在しかつ前記ターゲットテープが設けられた位置に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記使い捨ておむつは、平面状に広げた状態で肌面側を内側にして、前記おむつ本体の幅方向の両側部がそれらの間の中央部と重なるように第1の前後方向折り目と第2の前後方向折り目で折り返されて幅方向に3つ折りされ、この状態から、折り返された幅方向の両側部を内側にして前記第1の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされ、さらに前記第2の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされることにより、前後方向に4つ折りされている請求項
2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記吸収性コアは上側吸収層と下側吸収層を有し、
前記上側吸収層と前記下側吸収層は親水性繊維を含み、前記下側吸収層に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量が前記上側吸収層に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量よりも小さい請求項
2または
3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記吸収性コアには開口または凹部が設けられ、
前記開口または凹部は、前記第1の幅方向折り目より後側の前記第2の幅方向折り目が形成される位置に形成され、前記第1の幅方向折り目より前側の前記第2の幅方向折り目が形成される位置には形成されない請求項
2~
4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記第1の幅方向折り目より後側の前記第2の幅方向折り目において、前記開
口または凹部の幅方向の長さは、前記吸収性コアの幅方向の長さの10%以上60%以下である請求項
5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記ターゲットテープは、フィルム基材上に平面状の網目構造のループ部が設けられて形成されている請求項1~
6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の折り畳まれた使い捨ておむつが複数、包装容器内に収容されていることを特徴とするおむつ包装体。
【請求項9】
請求項
2~
6のいずれか一項に記載の折り畳まれた使い捨ておむつが複数、包装容器内に収容されているおむつ包装体であって、
前記折り畳まれたおむつは、前記第1の幅方向折り目を上側、前記第2の幅方向折り目を下側にして、前記包装容器内に収容されており、
前記包装容器は、前記第1の幅方向折り目が向いている側に取出部が形成可能となっていることを特徴とするおむつ包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプの使い捨ておむつが展開可能に折り畳まれることにより形成された折り畳まれた使い捨ておむつと、折り畳まれた使い捨ておむつが包装容器内に収容されたおむつ包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープタイプの使い捨ておむつは通常、包装容器内に収容されて店頭などで販売され、この際、使い捨ておむつは折り畳まれた状態で包装容器内に収容されている。例えば特許文献1~3には、テープタイプの使い捨ておむつであって、幅方向に3つ折りした後、さらに前後方向に3つ折りすることにより折り畳まれた使い捨ておむつが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-41307号公報
【文献】特開2014-4173号公報
【文献】特開2018-51140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープタイプの使い捨ておむつは、おむつ本体の後側部の幅方向の両側に止着テープが設けられ、おむつ本体の前側部にターゲットテープが設けられて構成され、使用の際、止着テープをおむつ本体の前側部に設けられたターゲットテープに止着することで、パンツ形状に形成して装着する。この際、ターゲットテープは、おむつ本体から剥がれることなく、おむつ本体に強固に取り付けられていることが望まれ、これにより安心して使い捨ておむつを使用することができる。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、おむつ本体の前側部にターゲットテープが設けられたテープタイプの使い捨ておむつが折り畳まれた使い捨ておむつであって、使用の際、ターゲットテープがおむつ本体にしっかりと取り付けられた使い捨ておむつと、当該折り畳まれた使い捨ておむつが包装容器内に収容されたおむつ包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の使い捨ておむつとは、折り畳まれたテープタイプの使い捨ておむつであって;使い捨ておむつは、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有するおむつ本体と、おむつ本体の後側部の幅方向の両側に設けられた止着テープと、おむつ本体の前側部の外面側に設けられたターゲットテープとを有し;使い捨ておむつは、吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置で、幅方向に延びる折り目(以下、「幅方向折り目」と称する)で折り返されているところに特徴を有する。
【0007】
本発明の使い捨ておむつは、吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置で、幅方向折り目で折り返されているため、使い捨ておむつが折り畳まれた状態でターゲットテープが当該幅方向折り目でおむつ本体に押し付けられる。そのため、使い捨ておむつの使用前、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態が安定して維持され、また、ターゲットテープが幅方向の端縁から剥がれることが起こりにくくなる。そのため、使い捨ておむつを使用する際、折り畳まれた使い捨ておむつを展開すると、ターゲットテープがおむつ本体にしっかりと取り付けられた状態で、安心して使い捨ておむつを使用することができる。
【0008】
使い捨ておむつは、平面状に広げた状態で肌面側を内側にして、おむつ本体の幅方向の両側部がそれらの間の中央部と重なるように前後方向に延びる折り目(以下、「前後方向折り目」と称する)で折り返されて幅方向に3つ折りされ、この状態から、折り返された幅方向の両側部を内側にして幅方向折り目で折り返されて、前後方向に3つ折りまたは4つ折りされていることが好ましい。このように形成された折り畳まれた使い捨ておむつは、平面視で略矩形状にコンパクトに形成され、取り扱い性に優れるものとなる。
【0009】
本発明の折り畳まれた使い捨ておむつは、次のように構成されることが好ましい。すなわち、使い捨ておむつは、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有するおむつ本体と、おむつ本体の後側部の幅方向の両側に設けられた止着テープと、おむつ本体の前側部の外面側に設けられたターゲットテープとを有し;使い捨ておむつは、肌面側を内側にして第1の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされ、さらに折り返された前側部を内側にして第2の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされることにより、前後方向に4つ折りされており;第1の幅方向折り目より後側の第2の幅方向折り目は、吸収性コアが存在する位置に形成され;第1の幅方向折り目より前側の第2の幅方向折り目は、吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置に形成されていることが好ましい。このように折り畳まれた使い捨ておむつを形成することにより、ターゲットテープがおむつ本体に強く押し付けられ、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態をより安定して維持することができる。
【0010】
上記のように使い捨ておむつが前後方向に4つ折りされる場合、使い捨ておむつは、平面状に広げた状態で肌面側を内側にして、おむつ本体の幅方向の両側部がそれらの間の中央部と重なるように第1の前後方向折り目と第2の前後方向折り目で折り返されて幅方向に3つ折りされ、この状態から、折り返された幅方向の両側部を内側にして第1の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされ、さらに第2の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされることにより、前後方向に4つ折りされることが好ましい。これにより折り畳まれた使い捨ておむつを平面視で略矩形状に形成することができ、折り畳まれた使い捨ておむつの取り扱い性を高めることができる。
【0011】
上記のように折り畳まれた使い捨ておむつは、第2の幅方向折り目でターゲットテープを内側にして折り返されることとなるが、この場合、吸収性コアは上側吸収層と下側吸収層を有し、上側吸収層と前記下側吸収層は親水性繊維を含み、下側吸収層に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量が上側吸収層に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量よりも小さく形成されていることが好ましい。このように吸収性コアが形成されていれば、ターゲットテープが折り返された前側の第2の幅方向折り目において単位面積当たりの親水性繊維の質量が小さい下側吸収層が折り目の内側に位置することにより、使い捨ておむつが前側の第2の幅方向折り目で安定して折り返され、ターゲットテープが歪んで折り返されにくくなる。
【0012】
吸収性コアには開口または凹部が設けられてもよい。この場合、開口または凹部は、第1の幅方向折り目より後側の第2の幅方向折り目が形成される位置に形成され、第1の幅方向折り目より前側の第2の幅方向折り目が形成される位置には形成されないことが好ましい。これにより、折り畳まれた使い捨ておむつを包装容器内に収容した際に、折り畳まれた使い捨ておむつを包装容器から取り出すことが容易になる。また、第1の幅方向折り目より前側の第2の幅方向折り目においてターゲットテープがおむつ本体に強く押し付けられ、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態を安定して維持することができる。この場合、第1の幅方向折り目より後側の第2の幅方向折り目において、開口部の幅方向の長さは、吸収性コアの幅方向の長さの10%以上60%以下であることが好ましい。
【0013】
ターゲットテープは、フィルム基材上に平面状の網目構造のループ部が設けられて形成されていることが好ましい。このようにターゲットテープが形成されていれば、ターゲットテープの厚みを薄く形成することができる。そのため、使い捨ておむつをターゲットテープが設けられた位置で容易に折り返すことができ、また、使い捨ておむつをターゲットテープが設けられた位置で折り返した際に、ターゲットテープがおむつ本体から浮いたりして、ターゲットテープがおむつ本体から剥がれることが起こりにくくなる。さらに、ターゲットテープの厚みが薄く形成されることにより、使い捨ておむつをターゲットテープが設けられた位置で折り返しても、折り畳まれた使い捨ておむつが嵩張りにくくなり、取り扱い性を高めることができる。
【0014】
本発明はまた、上記のように折り畳まれた使い捨ておむつが複数、包装容器内に収容されているおむつ包装体も提供する。本発明のおむつ包装体によれば、上記のように折り畳まれた使い捨ておむつが包装容器内にパッキングされるため、ターゲットテープが設けられた幅方向折り目でターゲットテープがおむつ本体に強く押し付けられ、使い捨ておむつの使用前、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態を安定して維持することができる。
【0015】
本発明のおむつ包装体は、上記に説明したように、第1の幅方向折り目と第2の幅方向折り目で前後方向に4つ折りされることにより折り畳まれた使い捨ておむつが、包装容器内に収容されたものであってもよい。この場合、折り畳まれたおむつは、第1の幅方向折り目を上側、第2の幅方向折り目を下側にして、包装容器内に収容され、包装容器は、第1の幅方向折り目が向いている側に取出部が形成可能となっていることが好ましい。このように構成されたおむつ包装体は、折り目の厚みが厚い第2の幅方向折り目が下側となるようにして、折り畳まれた使い捨ておむつが包装容器内に収容されるため、折り畳まれた使い捨ておむつを立てて並べた状態で安定して包装容器内に収容することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の使い捨ておむつは、吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置で、幅方向折り目で折り返されているため、使い捨ておむつが折り畳まれた状態でターゲットテープが当該幅方向折り目でおむつ本体に押し付けられる。そのため、使い捨ておむつの使用前、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態が安定して維持され、また、ターゲットテープが幅方向の端縁から剥がれることが起こりにくくなる。そのため、使い捨ておむつを使用する際、折り畳まれた使い捨ておむつを展開すると、ターゲットテープがおむつ本体にしっかりと取り付けられた状態で、安心して使い捨ておむつを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る使い捨ておむつの一例を示し、折り畳みを展開した状態の使い捨ておむつをトップシート側から見た平面図を表す。
【
図2】
図1に示した使い捨ておむつのII-II断面図を表す。
【
図3】
図1に示した使い捨ておむつを幅方向に3つ折りした状態の平面図を表す。
【
図4】
図3に示した使い捨ておむつを第1の幅方向折り目で折り返し、前後方向に2つ折りした状態の平面図を表す。
【
図5】
図4に示した使い捨ておむつをさらに第2の幅方向折り目で折り返し、前後方向に4つ折りした状態の斜視図を表す。
【
図6】折り畳まれた使い捨ておむつが包装容器内に収容されたおむつ包装体の一例を表す。
【
図7】折り畳まれた使い捨ておむつが包装容器内に収容されたおむつ包装体の他の一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、折り畳まれた使い捨ておむつに関するものであり、詳細には、テープタイプの使い捨ておむつが折り返されることにより形成された折り畳まれた使い捨ておむつに関するものである。
【0019】
まず、本発明で用いられる使い捨ておむつの基本構成について説明する。使い捨ておむつは、おむつ本体と、おむつ本体の幅方向の両側に設けられた止着テープとを有する。おむつ本体は、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有し、止着テープがおむつ本体の後側部の幅方向の両側に取り付けられている。前側部と股部と後側部は、おむつ本体を平面状に広げた状態で前後方向に3つに区分することにより規定される。使い捨ておむつは、着用の際、前側部を着用者の腹部に、股部を着用者の股間部に、後側部を着用者の背部に当て、止着テープをおむつ本体の前側部の外面側に設けられたターゲットテープに止着することで、パンツ形状に形成して装着することができる。
【0020】
使い捨ておむつは、前後方向と幅方向を有する。前後方向とは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向とは、使い捨ておむつと同一面上にあり前後方向と直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。また本発明において、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
【0021】
おむつ本体は、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する。トップシートは吸収性コアの肌面側に配され、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートである。バックシートは吸収性コアの外面側に配され、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシートを透過して吸収性コアに収容される。バックシートは、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0022】
トップシートは液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0023】
バックシートは液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。バックシートとして、不織布とプラスチックフィルムの積層体を用いることもできる。
【0024】
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コアは、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていることが好ましい。
【0025】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収性材料に親水性繊維が含まれることにより、折り畳んだ使い捨ておむつの折り目における弾性が高まり、使い捨ておむつの折り畳みの展開が容易になる。一方、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コアは、親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましく、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。この場合、吸収性コアは、親水性繊維100質量部に対して、吸水性樹脂が10質量部以上含まれることが好ましく、15質量部以上がより好ましく、また150質量部以下が好ましく、130質量部以下がより好ましい。
【0026】
吸収性コアの形状(平面形状)は特に限定されず、例えば、長方形、砂時計形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収性コアは、着用者の大腿部に挟まれて幅方向に圧迫されても歪みにくくする点から、砂時計形に形成されることが好ましい。
【0027】
吸収性コアの単位面積あたりの質量は、例えば、60g/m2以上が好ましく、75g/m2以上がより好ましく、80g/m2以上がさらに好ましく、また500g/m2以下が好ましく、450g/m2以下がより好ましく、400g/m2以下がさらに好ましい。吸収性コアに含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量は、60g/m2以上が好ましく、75g/m2以上がより好ましく、80g/m2以上がさらに好ましく、また450g/m2以下が好ましく、400g/m2以下がより好ましく、350g/m2以下がさらに好ましい。吸収性コアが複数層から構成される場合は、複数層の吸収性コアまたはそこに含まれる親水性繊維の合計の単位面積当たりの質量がこのような範囲にあることが好ましい。このように吸収性コアが構成されていれば、吸収性コアが存在する位置で使い捨ておむつを折り畳みやすくなり、また使い捨ておむつを折り畳んだ際に折り目が強く付きにくくなる。なお、上記に説明した吸収性コアまたは吸収性コアに含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量は、後述するように吸収性コアに開口または凹部が設けられる場合は、開口または凹部以外の部分の吸収性コアまたは吸収性コアに含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量を意味する。
【0028】
吸収性コアは、単層から構成されてもよく、複数層から構成されてもよい。後者の場合、吸収性コアは、上側吸収層と下側吸収層を有するものであってもよい。吸収性コアが複数層から構成されていれば、吸収性コアの単位面積当たりの質量が大きい場合でも、使い捨ておむつを所定の折り目で折り返しやすくなる。
【0029】
使い捨ておむつは、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、前後方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向の内方部分に起立用弾性部材を設けることにより形成することができる。このようにサイドシートと起立用弾性部材とを設けることにより、起立用弾性部材の収縮力によりサイドシートの幅方向の内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
【0030】
上記に説明した各シートを構成する不織布としては、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、トウ開繊不織布、SMS不織布等を用いることができる。これらの各シートの単位面積あたりの質量は、8g/m2以上が好ましく、10g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
【0031】
止着テープは、テープ基材の肌面側に留め具が設けられて構成されることが好ましく、おむつ本体の前側部に設けられたターゲットテープと着脱可能となっている。テープ基材は任意のシート部材から構成することができ、例えば、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。留め具としては、面ファスナーのフック部材や粘着テープを用いることができる。留め具として面ファスナーのフック部材を用いる場合は、ターゲットテープとして面ファスナーのループ部材を用いることが好ましく、留め具として粘着テープを用いる場合は、ターゲットテープとして樹脂フィルムを用いることが好ましい。面ファスナーのフック部材は、例えば、基盤から、錨形や鉤形やきのこ形等の形状の係合素子が多数突出して構成される。なお、留め具は面ファスナーのフック部材であり、テープ基材は不織布から構成されることが好ましい。
【0032】
止着テープは、おむつ本体の後側部の幅方向の両側に設けられ、例えば、サイドシートとバックシートの間またはトップシートとバックシートの間に配され、これらのシート部材に接着剤により接合されることが好ましい。ターゲットテープはおむつ本体の前側部の外面側に設けられ、接着剤によりおむつ本体に取り付けられることが好ましい。
【0033】
ターゲットテープは面ファスナーのループ部材から構成されることが好ましい。この場合、止着テープの留め具として面ファスナーのフック部材が用いられ、ターゲットテープである面ファスナーのループ部材は、基盤上に、フック部材の係合素子と係合可能なループ部が設けられて構成される。ループ部は一部が基盤に固定され他部が基盤と非固定とされ、これによりフック部材の係合素子がループ部の基盤との非固定部分に係合することができる。各ループ部は、閉じた環を形成してもよく、環の一部が開いて形成され、隣接するループ部と接続して設けられていてもよい。
【0034】
使い捨ておむつは、使用前、幅方向に延びる折り目(以下、「幅方向折り目」と称する場合がある)で折り返されている。これにより、使い捨ておむつをコンパクトに折り畳むことができる。使い捨ておむつは、例えば、折り畳まれた状態で包装容器に収容され、店舗等で販売されたり運搬される。本発明ではこのように使い捨ておむつを折り畳む際、使い捨ておむつが、吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置で、幅方向折り目で折り返されている。これによりターゲットテープが幅方向折り目でおむつ本体に押し付けられ、使い捨ておむつの使用前、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態を安定して維持することができる。すなわち、吸収性コアが存在する箇所でターゲットテープが幅方向折り目で折り返されることにより、吸収性コアのクッション性により幅方向折り目でターゲットテープがおむつ本体に押し付けられてターゲットテープがおむつ本体に強固に取り付けられ、その状態が維持されやすくなる。また、おむつ本体に取り付けられたターゲットテープが、ターゲットテープの幅方向の端縁から剥がれることが起こりにくくなる。そのため、折り畳まれた使い捨ておむつを包装容器から取り出して折り畳まれた使い捨ておむつを展開すると、ターゲットテープがおむつ本体にしっかりと取り付けられた状態で、安心して使い捨ておむつを使用することができる。
【0035】
なお、使い捨ておむつは通常ある程度の厚みを有することから、使い捨ておむつを所定の折り目で折り返しても明確な折り目が付くとは限らず、折り目で折れ曲がることにより折り返される場合もあり、本発明ではそのような場合も折り目に含まれる。使い捨ておむつの折り目は、使い捨ておむつが折り畳まれた状態での折り目の位置、例えば折り目の延在方向の垂直断面における折り目の先端の位置をマーキングするなどして、決定することができる。また、使い捨ておむつの折り目間の長さなどは、折り目の位置をマーキングした上で、使い捨ておむつを完全に広げて計測することにより求めることができる。使い捨ておむつに弾性部材が設けられる場合は、弾性部材を細かく切断するなどして、弾性部材の収縮力が発現しない状態で長さを計測する。
【0036】
使い捨ておむつをターゲットテープが設けられた位置で折り返すことが容易になる点から、ターゲットテープとして用いられるループ部材は、基盤としてフィルム基材が用いられ、フィルム基材上に平面状の網目構造のループ部が設けられて形成されることが好ましい。フィルム基材上に糸条による網目構造が形成され、網目構造は一部が基材に固定され他部が基材に非固定とされることにより、非固定とされた部分がループ部として機能する。面ファスナーのループ部材は通常、基盤とループ部がある程度の厚みを有するように形成されるが、基盤がフィルム基材から構成され、ループ部が当該基材上に平面状の網目構造を有するように形成されていれば、面ファスナーであるターゲットテープの厚みを薄く形成することができる。そのため、ターゲットテープをこのように構成することにより、使い捨ておむつをターゲットテープが設けられた位置で容易に折り返すことができる。また、使い捨ておむつをターゲットテープが設けられた位置で折り返した際に、ターゲットテープがおむつ本体から浮いたりして、ターゲットテープがおむつ本体から剥がれることが起こりにくくなる。さらに、ターゲットテープの厚みが薄く形成されることにより、使い捨ておむつをターゲットテープが設けられた位置で折り返しても、折り畳まれた使い捨ておむつが嵩張りにくくなり、取り扱い性を高めることができる。
【0037】
フィルム基材や網目構造を形成する糸条は、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の樹脂材料から構成することができる。フィルム基材の単位面積当たりの質量は、35g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましく、28g/m2以下がさらに好ましく、これにより、ターゲットテープが設けられた位置で使い捨ておむつを折り返すことが容易になる。フィルム基材の単位面積当たりの質量の下限値は、ターゲットテープの強度を確保する点から、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましい。ターゲットテープ全体の単位面積当たりの質量は、15g/m2以上が好ましく、20g/m2以上がより好ましく、また60g/m2以下が好ましく、55g/m2以下がより好ましく、50g/m2以下がさらに好ましい。
【0038】
ターゲットテープは、接着剤によりおむつ本体の前側部に取り付けられることが好ましい。接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤は、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレン等のゴム系接着剤;スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン系エラストマー;ウレタン系接着剤等がベースポリマーとして用いられることが好ましい。また、ベースポリマーに、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリエステル、アクリル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等を配合して、粘着性や流動性を調節してもよい。
【0039】
ターゲットテープにおける接着剤の塗布パターンは特に限定されない。ターゲットテープには、接着剤が略全面にわたって塗布されてもよく、接着剤が所定のパターンで塗布されてもよい。接着剤の塗布方法としては、例えば、ビード法、スロットコート法、カーテンスプレー法、オメガコーティング法、スパイラルコーティング法、パターンコート等を用いることができる。例えば、接着剤がターゲットテープの略全面に塗布されていれば、ターゲットテープをおむつ本体に強固に接着することができる。一方、接着剤がストライプ状のパターンでターゲットテープに塗布されていれば、ターゲットテープとおむつ本体との非接着部分を通気路として機能させることができ、おむつ本体の前側部における通気性を高めることができる。ストライプ状の接着パターンのストライプの延在方向は、幅方向であってもよく、前後方向であってもよい。前者の場合、ターゲットテープが設けられた位置で使い捨ておむつを幅方向折り目で折り返しやすくなる。後者の場合、ターゲットテープが設けられた位置で使い捨ておむつを幅方向折り目で折り返した際に、ターゲットテープのおむつ本体への接着が維持されやすくなり、またターゲットテープが幅方向折り目で縒れにくくなる。
【0040】
使い捨ておむつが、吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置で安定して折り返されるようにする観点から、吸収性コアは複数層から構成されていることが好ましい。このように吸収性コアが構成されることにより、使い捨ておむつを折り畳んだ際に、折り目において使い捨ておむつが真っ直ぐに折り返されやすくなり、ターゲットテープが歪んで折り返されにくくなる。特に、ターゲットテープを内側にして使い捨ておむつを折り返す際は、このように吸収性コアが複数層から構成されていることが好ましい。この場合、吸収性コアは上側吸収層と下側吸収層を有し、上側吸収層と下側吸収層は親水性繊維を含み、下側吸収層に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量が上側吸収層に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量よりも小さく形成されていることが好ましい。このように吸収性コアが形成されていれば、ターゲットテープが折り返された幅方向折り目において単位面積当たりの親水性繊維の質量が小さい下側吸収層が折り目の内側に位置することにより、使い捨ておむつが当該幅方向折り目で安定して折り返され、ターゲットテープが歪んで折り返されにくくなる。
【0041】
使い捨ておむつは、吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置に形成された幅方向折り目で少なくとも折り返されていればよく、さらにそれ以外の折り目で折り返されていてもよい。例えば、使い捨ておむつは、2以上の幅方向に延びる折り目で折り返されていてもよく、前後方向に延びる折り目(以下、「前後方向折り目」と称する場合がある)でさらに折り返されていてもよい。なお、使い捨ておむつは、2以上の幅方向折り目で折り返されていることが好ましく、当該幅方向折り目の数は3以上がより好ましく、また6以下が好ましく、5以下がより好ましく、これにより使い捨ておむつを平面視でコンパクトに折り畳むことができる。特に好ましくは、使い捨ておむつは、2または3の幅方向折り目で折り返されていることが好ましく、これにより使い捨ておむつを平面視でコンパクトに折り畳むことができるとともに、折り畳まれた使い捨ておむつの厚みが過度に厚くならないようにすることができる。使い捨ておむつを折り畳む際の折り目の数は、使い捨ておむつを展開した状態で折り目が形成される箇所の数を数えることにより求める。
【0042】
使い捨ておむつは、ターゲットテープが設けられた幅方向折り目において、ターゲットテープを内側にして折り返されていてもよく、ターゲットテープを外側にして折り返されていてもよい。使い捨ておむつが前後方向に延びる折り目でさらに折り返され、かつ前後方向折り目がターゲットテープが設けられた位置に形成される場合は、使い捨ておむつは、ターゲットテープが設けられた前後方向折り目において、ターゲットテープを内側にして折り返されていてもよく、ターゲットテープを外側にして折り返されていてもよい。なお、使い捨ておむつは、ターゲットテープが設けられた幅方向折り目において、ターゲットテープを内側にして折り返されていることが好ましい。
【0043】
使い捨ておむつは、幅方向折り目で折り返されるとともに、前後方向折り目で折り返されていることが好ましい。これにより、折り畳まれた使い捨ておむつを平面視で略矩形状に形成することができ、折り畳まれた使い捨ておむつの取り扱い性を高めることができる。また、ターゲットテープが前後方向の端縁から剥がれることが起こりにくくなる。より好ましくは、使い捨ておむつは、平面状に広げた状態で肌面側を内側にして、幅方向の両側部がそれらの間の中央部と重なるように前後方向折り目で折り返されて幅方向に3つ折りされ、この状態から、折り返された幅方向の両側部を内側にして幅方向折り目で折り返されて、前後方向に3つ折りまたは4つ折りされ、このようにして折り畳まれた使い捨ておむつが形成される。このように形成された折り畳まれた使い捨ておむつは、平面視で略矩形状にコンパクトに形成され、また厚みが過度に厚くならないため、取り扱い性に優れるものとなる。この場合、折り畳まれた使い捨ておむつは、2以上の幅方向折り目で折り返されることとなるが、幅方向折り目のうちの少なくとも1つが吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置に形成されればよい。
【0044】
上記のように使い捨ておむつが前後方向折り目で折り返されて幅方向に3つ折りされる場合、折り畳まれた使い捨ておむつの幅方向の長さは、折り畳む前の使い捨ておむつの幅方向の長さの30%以上であることが好ましく、35%以上がより好ましく、また60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、45%以下がさらに好ましい。
【0045】
使い捨ておむつが前後方向折り目で折り返される場合、前後方向折り目は、吸収性コアが存在しかつターゲットテープが設けられた位置に形成されることが好ましい。このように前後方向折り目が形成されることにより、ターゲットテープが前後方向折り目でおむつ本体に押し付けられ、使い捨ておむつの使用前、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態をさらに安定して維持することができる。また、おむつ本体に取り付けられたターゲットテープが、ターゲットテープの前後方向の端縁から剥がれることも起こりにくくなる。
【0046】
幅方向折り目は幅方向に対して略平行に延びるように形成されていればよく、例えば幅方向に対して±10°以内の角度で延在していることが好ましく、±5°以内がより好ましい。前後方向折り目は前後方向に対して略平行に延びるように形成されていればよく、例えば前後方向に対して±10°以内の角度で延在していることが好ましい。なお、使い捨ておむつに弾性部材が設けられる場合、幅方向折り目や前後方向折り目は、当該弾性部材の収縮力によって、一部が幅方向や前後方向に対して斜めの方向に延びるように形成されることが起こりうる。例えば、使い捨ておむつの前後方向の端部に幅方向に延びる弾性部材が設けられるような場合は、前後方向折り目は、前後方向の端部において、前後方向に対して斜めに延びるように形成されることが起こりうる。このように、幅方向折り目や前後方向折り目は一部が幅方向や前後方向に対して略平行に延びないように形成されてもよい。
【0047】
使い捨ておむつは、肌面側を内側にして第1の幅方向折り目で折り返されて前後方向に2つ折りされ、さらに折り返された前側部を内側にして第2の幅方向折り目で前後方向に2つ折りされることにより、前後方向4つ折りされていることが好ましい。この際、第2の幅方向折り目は、ターゲットテープが設けられた位置に形成されることが好ましい。このように折り畳まれた使い捨ておむつが形成されることにより、ターゲットテープがおむつ本体に強く押し付けられ、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態がより安定して維持される。より好ましくは、使い捨ておむつは、平面状に広げた状態で肌面側を内側にして幅方向に3つ折りされ、この状態から肌面側を内側にして第1の幅方向折り目で折り返されて前後方向に2つ折りされ、さらに折り畳まれた前側部を内側にして前後方向に2つ折りされることにより、前後方向に4つ折りされる。このように折り畳まれて形成された使い捨ておむつの構成例について、
図1~
図5を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0048】
図1は、使い捨ておむつをトップシート側から見た平面図を表し、
図2は、
図1に示した使い捨ておむつのII-II断面図を表す。
図1では、図面の上側が使い捨ておむつの前側に相当し、図面の下側が使い捨ておむつの後側に相当する。
図3は、
図1に示した使い捨ておむつを幅方向に3つ折りした状態の平面図を表し、
図4は、
図3に示した使い捨ておむつを第1の幅方向折り目で折り返し、前後方向に2つ折りした状態の平面図を表し、
図5は、
図4に示した使い捨ておむつをさらに第2の幅方向折り目で折り返し、前後方向に4つ折りした状態の斜視図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
【0049】
使い捨ておむつ1は、おむつ本体2と、おむつ本体2の後側部12の幅方向xの両側に設けられた止着テープ20と、おむつ本体2の前側部10に設けられたターゲットテープ19とを有する。
図1では、おむつ本体2の右側に取り付けられた止着テープ20は展開状態となっており、おむつ本体2の左側に取り付けられた止着テープ20は折り畳まれた状態となっている。
【0050】
おむつ本体2は、トップシート3とバックシート4の間に吸収性コア5が配されて構成され、前後方向yに対して前側部10と後側部12とこれらの間に位置する股部11とを有する。
図1では、幅方向xの長さが短く形成された部分が股部11となり、それより前側の部分が前側部10で後側の部分が後側部12となる。おむつ本体2の前側部10の外面側にはターゲットテープ19が設けられ、使い捨ておむつ1の着用の際、前側部10を着用者の腹部に、股部11を着用者の股間部に、後側部12を着用者の背部に当て、止着テープ20をターゲットテープ19に止着することで、使い捨ておむつ1を着用することができる。
【0051】
トップシート3の幅方向xの両側には、前後方向yに延在するサイドシート8が設けられることが好ましい。サイドシート8は、トップシート3と接合部8Aで接合され、接合部8Aよりも幅方向xの内方部分がトップシート3から起立可能に形成され、接合部8Aよりも幅方向xの外方部分がバックシート4に積層されている(
図2を参照)。サイドシート8の幅方向xの内方部分には前後方向yに延びる起立用弾性部材9が設けられ、起立用弾性部材9の収縮力によりサイドシート8の幅方向xの内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップ7が形成される。
【0052】
止着テープ20は、テープ基材21に留め具22が設けられて構成される。留め具22は、止着テープ20を展開した状態で、テープ基材21の肌面側に設けられる。
【0053】
使い捨ておむつ1の幅方向xの両側には、前後方向yに延びる脚用弾性部材17が設けられることが好ましい。脚用弾性部材17により、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
【0054】
使い捨ておむつ1の前後方向yの端部には、幅方向xに延びるウェスト用弾性部材18が設けられることが好ましい。ウェスト用弾性部材18により着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、腹部や背部からの尿等の漏れが防止される。
【0055】
図1に示した使い捨ておむつ1は、平面状に広げた状態から、肌面側を内側にして、幅方向xの両側部13がそれらの間の中央部14と重なるように第1の前後方向折り目FA1と第2の前後方向折り目FA2で折り返され、これにより
図3に示すように幅方向xに3つ折りされる。具体的には、使い捨ておむつ1を幅方向xに3分割し幅方向xの両側部13とその間の中央部14とに区分したときに、使い捨ておむつ1をトップシート3を上面にして広げた状態で、使い捨ておむつ1の幅方向xの両側部13が肌面側を内側にして折り返され、中央部14と重ねられる。このとき、使い捨ておむつ1は、幅方向xの両側部13の一方が第1の前後方向折り目FA1に沿って折り返され、幅方向xの両側部13の他方が第2の前後方向折り目FA2に沿って折り返される。使い捨ておむつ1は、第1の前後方向折り目FA1または第2の前後方向折り目FA2よりも幅方向xの外方の部分が両側部13となり、第1の前後方向折り目FA1と第2の前後方向折り目FA2の間の部分が中央部14となる。
【0056】
使い捨ておむつ1は、
図3に示すように、幅方向xに3つ折りされた状態から、
図4に示すように、折り返された幅方向xの両側部13を内側にして第1の幅方向折り目FB1で折り返されて前後方向yに2つ折りされ、さらにこの状態から、折り返された前側部10を内側にして第2の幅方向折り目FB2で折り返されて前後方向yに2つ折りされ、これにより
図5に示すように前後方向yに4つ折りされる。第2の幅方向折り目FB2は、使い捨ておむつ1を展開した状態で、第1の幅方向折り目FB1より前側と後側にそれぞれ形成され、第1の幅方向折り目FB1より後側の第2の幅方向折り目FB2は吸収性コア5が存在する位置に形成され、第1の幅方向折り目FB1より前側の第2の幅方向折り目FB2は吸収性コア5が存在しかつターゲットテープ19が設けられた位置に形成される。
【0057】
使い捨ておむつ1は上記のように前後方向yに4つ折りされて折り畳まれることにより、使い捨ておむつ1の使用前、第2の幅方向折り目FB2でターゲットテープ19がおむつ本体2に押し付けられ、ターゲットテープ19がおむつ本体2に強固に取り付けられ、その状態が維持されやすくなる。使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1より前側と後側の第2の幅方向折り目FB2が形成される位置にそれぞれ吸収性コア5が存在するため、使い捨ておむつ1が折り畳まれた状態で第2の幅方向折り目FB2で吸収性コア5が複数重ねられ、またターゲットテープ19は、この状態で第2の幅方向折り目FB2の内側に存在する。そのため、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、第2の幅方向折り目FB2でターゲットテープ19がおむつ本体2に強く押し付けられ、ターゲットテープ19がおむつ本体2に取り付けられた状態で安定して維持されやすくなる。また、おむつ本体2に取り付けられたターゲットテープ19は、ターゲットテープ19の幅方向xの端縁から剥がれることが起こりにくくなる。
【0058】
使い捨ておむつ1はまた、上記のように、幅方向xに3つ折りされた後、前後方向yに4つ折りされることが好ましく、これにより、平面視で略矩形状に折り畳むことができ、折り畳まれた使い捨ておむつ1の取り扱い性を高めることができる。
【0059】
第1の幅方向折り目FB1は、使い捨ておむつ1の前後方向yの略中心に形成されてもよく、使い捨ておむつ1の前後方向yの中心からずれた位置に形成されてもよい。なお、ターゲットテープ19が設けられた位置に第2の幅方向折り目FB2が形成されやすくする点から、第1の幅方向折り目FB1は、使い捨ておむつ1の前後方向yの中心よりも前側に形成されていることが好ましい。また、このように第1の幅方向折り目FB1を形成することにより、使い捨ておむつ1の折り畳みを展開することが容易になる。これについて、以下に詳しく説明する。
【0060】
第1の幅方向折り目FB1を、使い捨ておむつ1の前後方向yの中心よりも前側に形成した場合、使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1を挟んで、前側部10を含む短尺部15と後側部12を含む長尺部16とが形成される。長尺部16は、短尺部15よりも前後方向yの長さが長く形成される。第2の幅方向折り目FB2は短尺部15と長尺部16とが重なる位置に形成され、使い捨ておむつ1が折り畳まれた状態で、第2の幅方向折り目FB2において、前側部10を含む短尺部15が後側部12を含む長尺部16の内側に位置する。これにより、短尺部15は、第2の幅方向折り目FB2で、使い捨ておむつ1の前後方向yの端部側の端部側短尺部15Aと、使い捨ておむつ1の前後方向yの中央側の中央側短尺部15Bとに区分され、長尺部16は、第2の幅方向折り目FB2で、使い捨ておむつ1の前後方向yの端部側の端部側長尺部16Aと、使い捨ておむつ1の前後方向yの中央側の中央側長尺部16Bとに区分される。
【0061】
上記のように折り畳まれた使い捨ておむつ1を展開する際、使い捨ておむつ1はまず第2の幅方向折り目FB2を展開する。この際、端部側長尺部16Aを掴んで、長尺部16の第2の幅方向折り目FB2での折り返しを展開することにより、長尺部16の内側に重ねられた短尺部15が現れる。短尺部15は、第2の幅方向折り目FB2が形成される位置に吸収性コア5が存在するため、長尺部16の第2の幅方向折り目FB2での折り返しを展開すると、短尺部15は第2の幅方向折り目FB2での折り返しが自然に展開されやすくなり、その結果、端部側短尺部15Aが立ち上がりやすくなる。また短尺部15は、端部側短尺部15Aの前後方向yの長さが比較的短く形成されており、このことも、端部側短尺部15Aが立ち上がりやすくなることに寄与する。そのため使い捨ておむつ1は、長尺部16の第2の幅方向折り目FB2での折り返しを展開することにより、端部側短尺部15Aを掴みやすくなる。そして、端部側長尺部16Aと端部側短尺部15Aをそれぞれ手で掴んで使い捨ておむつ1を前後方向yに広げることで、使い捨ておむつ1の折り畳みを展開することが容易になる。
【0062】
使い捨ておむつ1は、短尺部15の前後方向yの長さが、長尺部16の前後方向yの長さの55%以上90%以下となるように、第1の幅方向折り目FB1で折り返されることが好ましい。このように第1の幅方向折り目FB1が形成されることにより、第2の幅方向折り目FB2を短尺部15と長尺部16が重なる位置に形成しやすくなるとともに、第2の幅方向折り目FB2をターゲットテープ19が設けられた位置に形成することが容易になる。また、使い捨ておむつ1を第2の幅方向折り目FB2で折り返した際に、端部側短尺部15Aが前後方向yに対して適当な長さで形成されやすくなる。そのため、折り畳まれた使い捨ておむつ1を展開する際、長尺部16の第2の幅方向折り目FB2での折り返しを展開すると、長尺部16の内側に重ねられた端部側短尺部15Aが自然に立ち上がりやすくなるとともに、立ち上がった端部側短尺部15Aを手で掴みやすくなる。短尺部15の前後方向yの長さは、長尺部16の前後方向yの長さの60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、また85%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。
【0063】
第1の幅方向折り目FB1には、吸収性コア5が存在することが好ましい。すなわち使い捨ておむつ1は、第2の幅方向折り目FB2が形成される位置に吸収性コア5が存在するとともに、第1の幅方向折り目FB1が形成される位置にも吸収性コア5が存在することが好ましい。なお、吸収性コア5は、第2の幅方向折り目FB2が形成される位置の少なくとも一部に存在していればよく、第1の幅方向折り目FB1に吸収性コア5が存在する場合は、吸収性コア5は、第1の幅方向折り目FB1が形成される位置の少なくとも一部に存在していればよい。例えば、後述するように、吸収性コア5に開口または凹部が設けられ、開口または凹部が第1の幅方向折り目FB1および/または第2の幅方向折り目FB2と交差するように設けられていてもよい。
【0064】
第2の幅方向折り目FB2は、第1の幅方向折り目FB1で折り返され第2の幅方向折り目FB2で折り返されていない状態の使い捨ておむつ1の前後方向yの略中心に形成されることが好ましい。上記のように、使い捨ておむつ1が第1の幅方向折り目FB1で折り返されることにより短尺部15と長尺部16が形成される場合は、第2の幅方向折り目FB2は、長尺部16の前後方向yの略中心に形成されることが好ましい。このように第2の幅方向折り目FB2が形成されることにより、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、後側部12の端縁と第1の幅方向折り目FB1の位置が略一致し、折り畳まれた使い捨ておむつ1の取り扱い性を高めることができる。例えば、端部側長尺部16Aの前後方向yの長さは、中央側長尺部16Bの前後方向yの長さの80%以上であることが好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましく、また120%以下が好ましく、110%以下がより好ましく、105%以下がさらに好ましい。
【0065】
短尺部15は、第2の幅方向折り目FB2で折り返されることにより、端部側短尺部15Aの前後方向yの長さが、中央側短尺部15Bの前後方向yの長さよりも短くなることが好ましい。これにより、長尺部16の第2の幅方向折り目FB2での折り返しを展開すると、端部側短尺部15Aが自然に立ち上がりやすくなる。端部側短尺部15Aの前後方向yの長さは、中央側短尺部15Bの前後方向yの長さの10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、また80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。
【0066】
第1の前後方向折り目FA1と第2の前後方向折り目FA2は、前側部10、股部11および後側部12にわたって形成されていることが好ましく、使い捨ておむつ1の前後方向yの全体にわたって形成されることがより好ましい。また、第1の前後方向折り目FA1と第2の前後方向折り目FA2は、第1の幅方向折り目FB1と交差するように形成されることが好ましく、第2の幅方向折り目FB2と交差するように形成されることが好ましい。この場合、第1の前後方向折り目FA1と第2の前後方向折り目FA2は、前側の第2の幅方向折り目FB2および/または後側の第2の幅方向折り目FB2と交差するように形成されればよく、前側の第2の幅方向折り目FB2と後側の第2の幅方向折り目FB2の両方と交差するように形成されることが好ましい。
【0067】
使い捨ておむつ1は、第1の前後方向折り目FA1が形成される位置、および第2の前後方向折り目FA2が形成される位置において、吸収性コア5が存在していてもよく、存在していなくてもよい。好ましくは、使い捨ておむつ1は、第1の前後方向折り目FA1が形成される位置の少なくとも一部において吸収性コア5が存在し、第2の前後方向折り目FA2が形成される位置の少なくとも一部において吸収性コア5が存在する。これにより折り畳まれた使い捨ておむつ1を平面視で略矩形状に形成しやすくなり、折り畳まれた使い捨ておむつ1の取り扱い性が向上する。なお、使い捨ておむつ1は通常、前後方向yの両端部において吸収性コア5は存在しないことから、使い捨ておむつ1の前後方向yの両端部の第1の前後方向折り目FA1が形成される位置および第2の前後方向折り目FA2が形成される位置には、吸収性コア5が存在しなくてもよい。第1の前後方向折り目FA1と第2の前後方向折り目FA2はまた、吸収性コア5の全体を前後方向yに横切るように設けられてもよく、あるいは、股部11の少なくとも一部において、第1の前後方向折り目FA1と第2の前後方向折り目FA2が吸収性コア5よりも幅方向xの外方に位置するように形成されてもよい。
【0068】
使い捨ておむつ1は、短尺部15の第1の前後方向折り目FA1が形成される位置、および短尺部15の第2の前後方向折り目FA2が形成される位置に、吸収性コア5が存在することが好ましい。これにより、使い捨ておむつ1が折り畳まれた状態で短尺部15の厚みが厚く形成され、短尺部15の第2の幅方向折り目FB2での折り返しが自然に展開されやすくなる。より好ましくは、使い捨ておむつ1は、短尺部15において、第1の前後方向折り目FA1が第2の幅方向折り目FB2と交差する位置と、第2の前後方向折り目FA2が第2の幅方向折り目FB2と交差する位置において、吸収性コア5が存在する。
【0069】
使い捨ておむつ1は、長尺部16の第1の前後方向折り目FA1が形成される位置、および長尺部16の第2の前後方向折り目FA2が形成される位置において、吸収性コア5が存在することが好ましい。これにより、使い捨ておむつ1が折り畳まれた状態で長尺部16の厚みが厚く形成されてクッション性が高まり、折り畳まれた使い捨ておむつ1の外側から短尺部15が強く圧迫されにくくなる。そのため、長尺部16の第2の幅方向折り目FB2での折り返しを展開すると、長尺部16の内側に重ねられた短尺部15の第2の幅方向折り目FB2での折り返しが自然に展開されやすくなる。短尺部15の第2の幅方向折り目FB2での折り返しが自然に展開されやすくなる観点から、使い捨ておむつ1は、長尺部16において、第1の前後方向折り目FA1が第2の幅方向折り目FB2と交差する位置と、第2の前後方向折り目FA2が第2の幅方向折り目FB2と交差する位置において、吸収性コア5が存在することがより好ましい。
【0070】
一方、使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1とそれより後側の第2の幅方向折り目FB2との間の部分あるいは中央側長尺部16Bにおいて、第1の前後方向折り目FA1が形成される位置の少なくとも一部で吸収性コア5が存在していなくてもよく、第2の前後方向折り目FA2が形成される位置の少なくとも一部で吸収性コア5が存在していなくてもよい。これにより折り畳まれた使い捨ておむつ1の厚みが過度に厚くならないように形成され、折り畳まれた使い捨ておむつ1の取り扱い性を高めることができる。この場合、使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1とそれより後側の第2の幅方向折り目FB2との間の部分あるいは中央側長尺部16Bにおいて、第1の前後方向折り目FA1が形成される位置の全体にわたって吸収性コア5が存在しないことが好ましく、第2の前後方向折り目FA2が形成される位置の全体にわたって吸収性コア5が存在しないことが好ましい。
【0071】
吸収性コア5には開口6が設けられていてもよい。吸収性コア5に開口6が設けられることにより、開口6が尿等の拡散路として機能し、尿等が開口6に沿って拡散しやすくなる。その結果、尿等が吸収性コア5に速やかに吸収されるとともに、吸収性コア5が広範囲にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなる。なお図面には示されていないが、吸収性コア5には、開口6の代わりに凹部が設けられてもよい。
【0072】
開口6は、吸収性コア5を厚み方向zに貫通して設けられる。凹部は、吸収性コア5の目付(単位面積当たりの質量)が部分的に減らされることにより形成される。この場合、凹部は、目付けが、凹部以外の部分よりも60質量%以下、より好ましくは50質量%以下となるように形成されることが好ましい。吸収性コア5に凹部が形成される場合、凹部は吸収性コア5のトップシート3側の表面に形成されても、バックシート4側の表面に形成されてもよい。吸収性コア5がトップシート3側の上側吸収層とバックシート4側の下側吸収層から構成される場合は、上側吸収層に開口が形成され、当該開口を覆うように下側吸収層が設けられることにより、吸収性コア5に凹部が形成されてもよく、逆に下側吸収層に開口が形成され、当該開口を覆うように上側吸収層が設けられることにより、吸収性コア5に凹部が形成されてもよい。好ましくは、凹部は吸収性コア5のトップシート3側の表面に形成される。
【0073】
以下、吸収性コア5に設けられる開口6の好適態様について説明するが、下記の開口6の説明は、吸収性コア5に凹部が設けられる場合の凹部にも適用される。
【0074】
開口6は前後方向yに延びるように設けられることが好ましい。これにより、尿等が開口6に沿って前後方向yに拡散しやすくなり、吸収性コア5が前後方向yの広い範囲にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなる。
【0075】
吸収性コア5には、開口6が1つのみ設けられてもよく、2つ以上設けられてもよいが、吸収性コア5に設けられる開口6の数は、3つ以下が好ましく、2つ以下がより好ましく、1つのみがさらに好ましい。吸収性コア5に開口6が1つのみ設けられる場合は、開口6は、吸収性コア5の幅方向xの中央部に、前後方向yに延びるように設けられることが好ましい。吸収性コア5に開口6が2つ設けられる場合は、開口6は、吸収性コア5の幅方向xの中央部には設けられず、吸収性コア5の幅方向xの中央部を挟んだ一方側と他方側に、それぞれ前後方向yに延びるように設けられることが好ましい。吸収性コア5に開口6が3つ設けられる場合は、開口6は、吸収性コア5の幅方向xの中央部とその両側に、それぞれ前後方向yに延びるように設けられることが好ましい。なお、吸収性コア5の幅方向xの中央部とは、吸収性コア5の幅方向xの中心線を含み、当該中心線に沿って前後方向yに延びる部分を意味する。
【0076】
開口6は、第1の幅方向折り目FB1より後側の第2の幅方向折り目FB2が形成される位置に形成されることが好ましい。この場合、第1の幅方向折り目FB1より後側の第2の幅方向折り目FB2では吸収性コア5が断続的に存在することとなり、吸収性コア5が存在しない部分が形成される。そのため、後述するように、折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器内に収容した際に、折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器から取り出すことが容易になる。また、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、第2の幅方向折り目FB2で短尺部15が長尺部16によって強く圧迫されにくくなるため、長尺部16の第2の幅方向折り目FB2での折り返しを展開すると、長尺部16の内側に重ねられた端部側短尺部15Aが自然に立ち上がりやすくなる。この場合、第1の幅方向折り目FB1より後側の第2の幅方向折り目FB2において、開口6の幅方向xの長さは、吸収性コア5の幅方向xの長さの10%以上であることが好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、また60%以下が好ましく、55%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。
【0077】
一方、開口6は、第1の幅方向折り目FB1より前側の第2の幅方向折り目FB2が形成される位置には形成されないことが好ましい。これにより、第1の幅方向折り目FB1より前側の第2の幅方向折り目FB2では吸収性コア5が連続的に存在することとなり、第2の幅方向折り目FB2においてターゲットテープ19がおむつ本体2に強く押し付けられ、ターゲットテープ19がおむつ本体2に取り付けられた状態を安定して維持することができる。また、折り畳まれた使い捨ておむつ1を展開する際、長尺部16の第2の幅方向折り目FB2での折り返しを展開すると、長尺部16の内側に重ねられた端部側短尺部15Aが自然に立ち上がりやすくなる。
【0078】
開口6は、第1の幅方向折り目FB1が形成される位置に、形成されてもよく形成されなくてもよい。なお、
図1に示すように、開口6が、後側の第2の幅方向折り目FB2から第1の幅方向折り目FB1にかけて設けられていれば、折り畳まれた使い捨ておむつ1の厚みが部分的に減り、この厚みが減った部分が折り畳まれた使い捨ておむつ1の前後方向yの全体にわたって形成される。そのため、折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器内に収容した際に、折り畳まれた使い捨ておむつ1が開口6が形成された部分で強く圧迫されず、折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器から取り出すことが容易になる。また、使い捨ておむつ1を使用する際に、尿等が開口6に沿って前後方向yのより広い範囲に拡散されやすくなる。
【0079】
次に、本発明のおむつ包装体について説明する。本発明は、上記のように折り畳まれた使い捨ておむつが複数、包装容器内に収容されたおむつ包装体も提供する。おむつ包装体では、折り畳まれた使い捨ておむつが複数重ねられ、包装容器内で密にパッキングされる。そのため、ターゲットテープが設けられた幅方向折り目でターゲットテープがおむつ本体に強く押し付けられ、使い捨ておむつの使用前、ターゲットテープがおむつ本体に取り付けられた状態を安定して維持することができる。
【0080】
包装容器は、折り畳まれた使い捨ておむつを収容できるものであれば特に限定されず、例えば、プラスチックフィルム製の袋、紙製の袋、プラスチック製の硬質容器、段ボール等が挙げられる。なかでも、包装容器が軟質材料(例えば、プラスチックフィルムや紙など)から構成されている場合は、包装容器内に折り畳まれた使い捨ておむつを密に圧迫した状態で収容できるため、ターゲットテープをより強固におむつ本体に取り付けることができる。
【0081】
包装容器内には、折り畳まれた使い捨ておむつが複数積み重ねられて束となった状態で収容されていることが好ましい。当該束においては、複数の折り畳まれた使い捨ておむつが全て同じ方向を向くように積み重ねられることが好ましく、例えば、ターゲットテープが折り返された幅方向折り目が同じ側に位置するように積み重ねられることが好ましい。
【0082】
包装容器に収容される使い捨ておむつの束は1つのみでも、2つ以上でもよい。後者の場合、折り畳まれた使い捨ておむつの束は、包装容器内で上下に複数段積まれてもよく、左右に並んで配置されてもよく、またこれらの組み合わせでもよい。
【0083】
包装容器は、取出部が形成可能となっていることが好ましい、包装容器の取出部は、例えば、包装容器にミシン目が形成され、ミシン目に沿って包装容器を切断することで形成することができる。あるいは、包装容器に切断線を設け、この切断線を含んでシールを貼り、シールを剥がすことにより包装容器が切断線に沿って切断され、取出部が形成されるものでもよい。また、取出部として包装容器に開口が設けられ、この開口を塞ぐように蓋を設けたりシールを貼り、蓋を取ったりシールを剥がすことにより取出部が形成されるものでもよい。いずれの場合も、包装容器は取出部が形成可能となっていればよい。取出部は、包装容器の上面や側面に形成されることが好ましい。
【0084】
図6および
図7には、本発明のおむつ包装体の構成例を示した。
図6および
図7では、
図5のように前後方向に4つ折りに折り畳んだ使い捨ておむつを包装容器内に収容したおむつ包装体を側面から見た図が模式的に示されている。容器内に収容された折り畳まれた使い捨ておむつは容器の外側から不可視である場合があるが、
図6および
図7では、理解を容易にするために折り畳まれた使い捨ておむつを実線で表している。図中の「・・・」は、折り畳まれた使い捨ておむつがその両側と同様に複数配置されていることを表している。
【0085】
折り畳まれた使い捨ておむつ1は複数積み重ねられて束を形成し、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、束の状態で包装容器32内に収容されることで、おむつ包装体31が形成される。このように折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器32内に収容することで、折り畳まれた使い捨ておむつ1を密にパッキングできる。
【0086】
折り畳まれた使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1が同じ方向を向き、また第2の幅方向折り目FB2が同じ方向を向くように、複数積み重ねられることが好ましい。複数積み重ねられた折り畳まれた使い捨ておむつ1は、後側部の端部を含む面(
図6および
図7では端部側長尺部16Aを含む面)が同一方向を向いていてもよく、一部が反対方向を向いていてもよい。
図6および
図7では、前者の態様で折り畳まれた使い捨ておむつ1が複数積み重ねられている。
【0087】
包装容器32は、内部に収容された折り畳まれた使い捨ておむつ1を取り出すための取出部が形成可能となっている。
図6および
図7に示したおむつ包装体31では、包装容器32にミシン目33が形成され、ミシン目33に沿って包装容器32を切断することで、包装容器32の上面(図面における上側)に取出部が形成される。
【0088】
包装容器32は、第1の幅方向折り目FB1が向いている側または第2の幅方向折り目FB2が向いている側に取出部が形成可能となっていることが好ましい。このようにおむつ包装体31が形成されることにより、包装容器32から折り畳まれた使い捨ておむつ1を取り出す際に、第1の幅方向折り目FB1または第2の幅方向折り目FB2を掴んで折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器32から取り出すことができる。特に、第1の幅方向折り目FB1が使い捨ておむつ1の前後方向yの中心からずれた位置に形成されていれば、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1側よりも第2の幅方向折り目FB2側の方が、厚みが厚く形成される。そのため、折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器32内に収容した際、折り畳まれた使い捨ておむつ1は全体が強く圧迫されずに、第1の幅方向折り目FB1側があまり強く圧迫されない。これにより、包装容器32から折り畳まれた使い捨ておむつ1を取り出す際に、折り畳まれた使い捨ておむつ1を容易に取り出すことができる。
【0089】
図6に示したおむつ包装体31では、包装容器32は、第1の幅方向折り目FB1が向いている側に取出部が形成可能となっている。詳細には、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1が上側、第2の幅方向折り目FB2を下側にして、包装容器32内に収容されており、包装容器32は、第1の幅方向折り目FB1が向いている上側に取出部が形成可能となっている。
図6に示したおむつ包装体31では、第1の幅方向折り目FB1側を掴んで折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器32から取り出すことができるが、第1の幅方向折り目FB1側は包装容器32内で強く圧迫されていないため、取出部に近い第1の幅方向折り目FB1側を手で掴むことが容易になる。そのため、包装容器32から折り畳まれた使い捨ておむつ1を簡単に取り出すことができる。また、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、折り目の厚みが厚い第2の幅方向折り目FB2が下側となるように包装容器32内に収容されているため、折り畳まれた使い捨ておむつ1を立てて並べた状態で安定して包装容器32内に収容することができる。特に、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1より後側の第2の幅方向折り目FB2(すなわち、折り畳まれた使い捨ておむつ1において外側に面する第2の幅方向折り目FB2)において、吸収性コア5に開口または凹部が形成されていれば、折り畳まれた使い捨ておむつ1を立てて並べた状態でより安定して包装容器32内に収容することができる。そのため、折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器32から取り出すことが容易になる。
【0090】
図7に示したおむつ包装体31では、包装容器32は、第2の幅方向折り目FB2が向いている側に取出部が形成可能となっている。詳細には、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、第2の幅方向折り目FB2が上側、第1の幅方向折り目FB1を下側にして、包装容器32内に収容されており、包装容器32は、第2の幅方向折り目FB2が向いている上側に取出部が形成可能となっている。
図7に示したおむつ包装体31では、第2の幅方向折り目FB2側を掴んで折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器32から取り出すことができるが、取出部とは反対側の第1の幅方向折り目FB1側は包装容器32内で強く圧迫されていないため、第2の幅方向折り目FB2側を掴んで少し引き抜けば、その後スムーズに包装容器32から折り畳まれた使い捨ておむつ1を取り出すことができる。特に、折り畳まれた使い捨ておむつ1は、第1の幅方向折り目FB1より後側の第2の幅方向折り目FB2(すなわち、折り畳まれた使い捨ておむつ1において外側に面する第2の幅方向折り目FB2)において、吸収性コア5に開口または凹部が形成されていれば、第2の幅方向折り目FB2側が包装容器32内で強く圧迫されていても、第2の幅方向折り目FB2側を掴むことが容易になる。そのため、折り畳まれた使い捨ておむつ1を包装容器32から取り出すことが容易になる。
【符号の説明】
【0091】
1:使い捨ておむつ
2:おむつ本体
3:トップシート
4:バックシート
5:吸収性コア
6:開口
10:前側部
11:股部
12:後側部
13:両側部
14:中央部
15:短尺部、15A:端部側短尺部、15B:中央側短尺部
16:長尺部、16A:端部側長尺部、16B:中央側長尺部
19:ターゲットテープ
20:止着テープ
31:おむつ包装体
32:包装容器
FA1:第1の前後方向折り目(第1の前後方向に延びる折り目)
FA2:第2の前後方向折り目(第2の前後方向に延びる折り目)
FB1:第1の幅方向折り目(第1の幅方向に延びる折り目)
FB2:第2の幅方向折り目(第2の幅方向に延びる折り目)
【要約】
【課題】テープタイプの使い捨ておむつが折り畳まれた使い捨ておむつであって、使用の際、ターゲットテープがおむつ本体にしっかりと取り付けられた使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】折り畳まれたテープタイプの使い捨ておむつ1であって、使い捨ておむつ1は、トップシート3とバックシート4とこれらの間に配された吸収性コア5とを有するおむつ本体2と、おむつ本体2の後側部12の幅方向の両側に設けられた止着テープ20と、おむつ本体2の前側部10の外面側に設けられたターゲットテープ19とを有し、使い捨ておむつ1は、吸収性コア5が存在しかつターゲットテープ19が設けられた位置で、幅方向に延びる折り目FB2で折り返されている。
【選択図】
図1