IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アゾーラ セラピューティクス,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7085073炎症性皮膚疾患を処置するための局所組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-07
(45)【発行日】2022-06-15
(54)【発明の名称】炎症性皮膚疾患を処置するための局所組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/404 20060101AFI20220608BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220608BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220608BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220608BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220608BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A61K31/404
A61K47/06
A61K47/08
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/44
A61P17/00
A61P37/06
A61P43/00 111
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021560597
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 US2020028581
(87)【国際公開番号】W WO2020214855
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】62/835,451
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/924,611
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521444125
【氏名又は名称】アゾーラ セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッドソン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】サイキ,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアソン,ヨハン
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104435505(CN,A)
【文献】British Journal of Dermatology,2018年,Volume 178, Issue 1,p.124-131
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 ~ 33/44
A61P 1/00 ~ 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化膿性汗腺炎(HS)を処置するために用いられる組成物であって、前記組成物は、合成インジルビンを含み、治療有効量の前記組成物を対象に投与することで対象のHSを処置する効果のある組成物。
【請求項2】
前記組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記薬学的に許容される担体は、ミツロウ、パラフィンワックス及びラノリンから選択されるワックス成分である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記薬学的に許容される担体は、23~25℃で油性液体の化合物である請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記油性液体は、オレイン酸又はセバシン酸ジエチルである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、非プロトン性溶媒を含む請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記非プロトン性溶媒は、ミリスチン酸イソプロピル又はジメチルスルホキシドである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記投与は、HSに罹患した前記対象上の領域に前記組成物を局所投与することを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記投与は、HurleyステージIのHS又はHurleyステージIIのHS又はHurleyステージIIIのHSと診断された対象からなる群から選択される対象に対する投与である請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、約0.001~0.5重量パーセントの合成インジルビンを含む請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、合成インジルビンが溶解している溶媒を含む請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記溶媒は、非プロトン性溶媒を含む2以上の溶媒の混合物である請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記非プロトン性溶媒は、アミド、酸のエステル、アルコールのエステル、エーテル、ケトン、ラクトン及びスルホキシドからなる群から選択される溶媒である請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記非プロトン性溶媒は、アミド、カルボン酸エステル、脂肪酸エステル及びスルホキシドからなる群から選択される溶媒である請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記非プロトン性溶媒は、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、乳酸メチル、ジメチルスルホキシド及びデシルメチルスルホキシドからなる群から選択される溶媒である請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記混合物は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オレイン酸、Nーメチル-2-ピロリドン及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される溶媒を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
さらにワックス成分を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物は、約15~60重量パーセントの前記ワックス成分を含む請求項17に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年10月22日に出願された米国仮特許出願第62/924,611号及び2019年4月17日に出願された米国仮特許出願第62/835,451号の利益を主張し、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
[0002] 本明細書に記載の主題は、炎症性皮膚疾患を有する対象を処置するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 多くの炎症性疾患は、患者の生活に深刻な影響を及ぼし、皮膚及び/又は粘膜に症状を示す。これらの疾患の多くは、自己タンパク質又は共生微生物叢を標的とする自己炎症性である。これらの疾患には、乾癬(Ps)、アトピー性皮膚炎(AD)、接触性皮膚炎、化膿性汗腺炎(HS)、壊疽性膿皮症(PG)、スウィート症候群、PSTPIP-1遺伝子の変異(PAPA症候群、PAPSH症候群及びPASH症候群)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、尋常性天疱瘡、皮膚クローン病、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、結節性痒疹(PN)、慢性苔癬状粃糠疹、掌蹠膿疱症(PPP)、壊疽性膿皮症(PG)及び紅皮症が含まれるが、これらに限定されない。多くの場合、疾患の病態生理は、よく理解されておらず、合理的な処置アプローチが制限される。興味深いことに、これらの疾患の多くは、関節リウマチ及び潰瘍性大腸炎又はクローン病などの炎症性腸疾患に関連しており、Th17型応答並びに浸潤性リンパ球及び好中球を特徴とする根底にある病態生理学を共有している可能性がある。
【0004】
[0004] 例えば、HSは、アポクリン腺を有する皮膚の濾胞性毛嚢脂腺ユニットの濾胞性部分が関与する慢性の濾胞性閉塞性疾患である。患者は、再発性の結節、洞管の形成、膿瘍及び/又は瘢痕を呈し得る。この疾患は、脇の下、鼠径部、臀部、胸の下を含む、アポクリン腺又は毛包があるところであればいずれの箇所でも発症し得る。症状は、膿が充満した丘疹、嚢胞又は結節を含も得、これは、痛みを伴う場合があり、多くの場合に不快な臭いを発し得る。HSは、生活の質に深刻な悪影響を与える治療法のない慢性疾患である。
【0005】
[0005] アリール炭化水素受容体(AhR)アゴニストは、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎及び乾癬を含む自己炎症性疾患の処置に臨床的に使用されている。AhRアゴニストには、例えば、インジゴ及びインジゴ誘導体などの化合物が含まれ、これは、インジルビン、メイソインジゴ、ナチュラアルファ(グリコシル化イソインジゴチン);タピナロフ、リノミド(ロキニメックス)及びラキニモドなどの臨床段階の薬剤;イトラコナゾール、ケトコナゾール、オメプラゾール及びレフルノミドなど、規制当局が承認した薬剤;FICZ(5,11-ジヒドロ-インドロ[3,2-b]カルバゾール-6-カルボキシアルデヒド、6-ホルミルインドロ[3,2-b]カルバゾール)及びインドール誘導体など、天然に存在する化合物;及び2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(TCDD)、コールタール、精製コールタール及びタバコ燃焼の成分などの多環芳香族炭化水素を含む。乾癬及びアトピー性皮膚炎を除いて、AhRアゴニストは、皮膚に現れる自己炎症性疾患の処置に臨床的に使用されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
[0006] 以下に説明及び図示される以下の態様及びその実施形態は、範囲を限定するものではなく、例示的且つ説明的であることを意図するものである。
【0007】
[0007] 一態様において、油性化合物、溶媒及び約0.001~0.3重量パーセントのインジルビンを含む局所組成物が提供される。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態において、組成物は、任意選択により、ワックスを含み、一実施形態において、ワックスは、天然に存在しないワックスである。ワックスは、存在する場合、いくつかの実施形態において、組成物中に約12~60重量%で存在する。いくつかの実施形態において、ワックスは、室温(約25℃)で固体である。例示的なワックスには、ミツロウ、パラフィンワックス、セチルアルコール及びラノリンが含まれる。
【0009】
[0009] 一実施形態において、油性化合物は、室温(約25℃)で液体である。一実施形態において、油性化合物は、組成物中に約8~90重量%、10~80重量%、10~65重量%、15~80重量%又は20~65重量%で存在する。いくつかの実施形態において、油性化合物は、少なくとも約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は20個の炭素原子を有する合成化合物である。実施形態において、油性化合物は、オレイン酸、セバシン酸ジエチルである。他の実施形態において、油性化合物は、オリーブ油又はヒマシ油などの植物ベースの油である。他の実施形態において、油性化合物は、鉱油などの石油ベースの油である。
【0010】
[0010] 一実施形態において、溶媒は、非プロトン性溶媒である。別の実施形態において、溶媒は、約100g/モル未満の分子量を有する。いくつかの実施形態において、溶媒は、組成物中に約2.5~35重量%又は5~35重量%で存在する。他の実施形態において、溶媒は、非油性である。
【0011】
[0011] 別の実施形態において、溶媒は、ジメチルスルホキシド、Nーメチル-2-ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、グリセロール及び/又はプロピレングリコールからなる群から選択される。別の実施形態において、溶媒は、ジメチルスルホキシド、Nーメチル-2-ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びミリスチン酸イソプロピルからなる群から選択される非プロトン性溶媒である。別の実施形態において、溶媒は、グリセロール及びプロピレングリコールから選択される。
【0012】
[0012] さらに他の実施形態において、溶媒は、2つ以上の溶媒である。いくつかの実施形態において、2つ以上の溶媒は、プロピレングリコール及びジメチルスルホキシドであるか又はそれらを含む。
【0013】
[0013] 他の実施形態において、組成物は、界面活性剤、増粘剤又は両方をさらに含む。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態において、インジルビンは、合成インジルビンである。いくつかの実施形態において、合成インジルビンは、インジゴ、トリプタンスリン及びチンジアノンなどの不純物を本質的に含まない。一実施形態において、合成インジルビンは、約0.1重量%未満のインジゴ、トリプタンスリン及びチンジアノンを含む。
【0015】
[0015] 他の実施形態において、組成物は、インビトロ又はインビボで、10mg/cmでヒト皮膚に局所適用された場合、(i)非治療的全身血中レベルのインジルビン、(ii)24時間にわたって皮膚に適用された場合、表皮への1cmあたり約14.7ng超のインジルビン、(iii)24時間にわたって皮膚に適用された場合、真皮への1cmあたり約16.9ng超のインジルビン、及び(iv)合成インジルビンを欠く同じ組成物に対して、皮膚において100倍を超えるCYP1A1のアップレギュレーション、の1つ以上を提供する。
【0016】
[0016] 別の態様において、約0.01重量%を超え、且つ0.2重量%以下の量の合成インジルビンと、軟膏を形成する薬学的に許容される担体であって、インジルビンは本質的に軟膏に完全に溶解されている担体と、を含む局所組成物が提供される。一実施形態において、合成インジルビンは、0.1重量%未満のインジゴ、トリプタンスリン及びチンジアノンを含み、他の実施形態において、インビトロ又はインビボで、10mg/cmでヒト皮膚に局所適用された組成物は、(i)非治療的全身血中レベルのインジルビン、(ii)24時間にわたって皮膚に適用された場合、表皮への1cmあたり約14.7ng超のインジルビン、(iii)24時間にわたって皮膚に適用された場合、真皮への1cmあたり約16.9ng超のインジルビン、及び(iv)合成インジルビンを欠く同じ組成物に対して、皮膚において100倍を超えるCYP1A1のアップレギュレーション、の1つ以上を提供する。
【0017】
[0017] 別の態様において、炎症性皮膚疾患に関連する症状を緩和するための方法が提供される。方法は、治療有効量の、AhRアゴニストを含む組成物を対象に投与することを含む。
【0018】
[0018] 別の態様において、炎症性皮膚疾患について、AhRアゴニストでない活性剤を含む組成物の投与による処置が以前になされた対象における、炎症性皮膚疾患を処置するための方法が提供される。この方法は、治療有効量の、AhRアゴニストを含む組成物を対象に投与し、それにより対象の炎症性皮膚疾患を処置することを含む。
【0019】
[0019] さらに別の態様において、炎症性皮膚疾患に関連する症状の再発を予防するか、又は炎症性皮膚疾患の頻度を低減するか、又は炎症性皮膚疾患と診断された対象における炎症性皮膚疾患に関連する新しい病変、膿瘍又は結節の頻度を低減するための方法が提供される。方法は、治療有効量の、AhRアゴニストを含む組成物を対象に投与し、それにより炎症性皮膚疾患に関連する症状の再発を防止するか、又は対象における炎症性皮膚疾患の頻度を低減することを含む。
【0020】
[0020] 一実施形態において、炎症性皮膚疾患は、壊疽性膿皮症である。
【0021】
[0021] 別の実施形態において、炎症性皮膚疾患は、乾癬である。
【0022】
[0022] さらに別の実施形態において、炎症性皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎である。
【0023】
[0023] さらに別の実施形態において、炎症性皮膚疾患は、接触性皮膚炎である。
【0024】
[0024] 別の実施形態において、炎症性皮膚疾患は、掌蹠膿疱症である
【0025】
[0025] 別の実施形態において、炎症性皮膚疾患は、結節性痒疹である。
【0026】
[0026] 別の実施形態において、炎症性皮膚疾患は、化膿性汗腺炎である。
【0027】
[0027] 他の態様において、化膿性汗腺炎(HS)、壊疽性膿皮症(PG)、乾癬(Ps)、アトピー性皮膚炎(AD)、掌蹠膿疱症(PPP)及び/又は結節性痒疹(PN)を処置するための方法が提供される。方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤を含む組成物を対象に投与し、それにより対象におけるHS、PG、乾癬及び/又はアトピー性皮膚炎を処置又は予防することを含む。
【0028】
[0028] 別の態様において、HS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNに関連する症状を緩和するための方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤を含む組成物を対象に投与し、それにより対象におけるHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNに関連する症状を緩和することを含む。
【0029】
[0029] さらに別の態様において、以前にHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNについて処置された対象において、例えば抗生物質、レチノイド、ヤヌスキナーゼ阻害剤、PDE-4阻害剤、補体阻害剤、抗TNF-アルファ抗体、抗IL-17抗体、抗IL-23抗体、抗アンドロゲン及び/又はステロイドなど、アリール炭化水素受容体アゴニスト以外の活性剤の投与により、HS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNを処置するための方法である。方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤を含む組成物を対象に投与し、それにより抵抗性の対象におけるHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNを処置することを含む。
【0030】
[0030] さらに別の態様において、HS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNに関連する症状の再発を防止するための方法並びにHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNと診断された対象におけるHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNの頻度を低減するための方法が提供される。方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤を含む組成物を対象に投与し、それにより症状の再発を予防するか、又は対象におけるHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNの頻度を減少させることを含む。
【0031】
[0031] 本明細書に記載の態様のいずれかに適した実施形態において、組成物は、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤としてタピナロフ、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体を含む。一実施形態において、アリール炭化水素受容体アゴニストは、インジゴのプロドラッグ又はインジゴ誘導体のプロドラッグである。
【0032】
[0032] 本明細書に記載の態様のいずれかに適した一実施形態において、組成物はインジゴナチュラリスである。本明細書に記載の態様のいずれかに適した別の実施形態において、組成物は、インジゴナチュラリスではなく、組成物は、AhR受容体アゴニストであるインジゴを含まず、及び/又は組成物は、AhR受容体アゴニストである天然インジルビンを含まない。本明細書に記載の態様のいずれかに適した別の実施形態において、組成物は、AhR受容体アゴニストとしてインジゴナチュラリスの成分のいずれも含まない。むしろ、本明細書に記載の組成物は、一実施形態において、塩基又は塩の形態の合成インジルビンを含む。
【0033】
[0033] 本明細書に記載の態様のいずれかに適した一実施形態において、組成物は、炎症性皮膚疾患に罹患した対象の皮膚領域に局所的に投与される。
【0034】
[0034] 本明細書に記載の態様のいずれかに適した別の実施形態において、組成物は、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体を含む。一実施形態において、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体は、インジゴ、インジルビン及び/又はイサチンの1つ以上である。一実施形態において、インジゴ、インジルビン及び/又はイサチンの1つ以上を含む組成物は、インジゴナチュラリスではない。別の実施形態において、インジゴ、インジルビン及び/又はイサチンの1つ以上を含む組成物は、1つ以上の合成的に生成されたインジゴ、インジルビン及び/又はイサチンを含む組成物である。別の実施形態において、インジゴ、インジルビン及び/又はイサチンの1つ以上を含む組成物は、1つ以上の合成的に生成されたインジゴ、インジルビン及び/又はイサチンのプロドラッグを含む組成物である。
【0035】
[0035] 一実施形態において、方法は、自己免疫疾患又は障害(例えば、HS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPN)に罹患した対象上の領域に組成物を局所投与することを含む。一実施形態において、疾患又は障害に罹患した領域は、無傷でない皮膚である。別の実施形態において、疾患又は障害に罹患した領域は、無傷の皮膚である。
【0036】
[0036] 上記の実施形態のいずれかにおいて、処置される疾患は、乾癬、壊疽性膿皮症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、掌蹠膿疱症及び/又は結節性痒疹を含むが、これらに限定されない任意の自己免疫疾患又は自己炎症性疾患から選択される。
【0037】
[0037] 別の実施形態において、方法は、組成物を少なくとも1日1回、少なくとも1日2回、少なくとも1日3回投与することを含む。一実施形態において、組成物は、少なくとも4週間、6週間、8週間、10週間又は12週間の期間投与される。
【0038】
[0038] さらに別の実施形態において、組成物は、ゲル、クリーム、ローション、懸濁液、半固体、フォーム、オイル、ラッカー、フォームフィルム溶液又は軟膏として製剤化される。
【0039】
[0039] さらに別の実施形態において、局所組成物は、AhRのEC50を下回る、治療量以下の血中又は血漿レベルをもたらし得る。特にインジルビンの場合、局所組成物は、約0.1ng/mL未満、約0.5ng/mL未満、約1ng/mL未満、約2ng/mL未満、約5ng/mL未満、約10ng/mL未満又は約20ng/mL未満の血中レベルをもたらし得る。別の実施形態において、局所組成物から生じる血中レベルは、前文で列挙された値の任意の2つの間にある。
【0040】
[0040] 一実施形態において、組成物は、キツネノマゴ(Acanthacaea)科のリュウキュウアイ(Baphicacanthus cusia (Nees) Bremek)の抽出物である。
【0041】
[0041] さらに別の実施形態において、抽出物は、リュウキュウアイ(Baphicacanthus cusia (Nees) Bremek)の茎及び葉からのものである。
【0042】
[0042] さらに別の実施形態において、組成物は、植物である、タイワンコマツナギ(Indigofera tinctoria)、ナンバンコマツネギ(Indigofera suffruticosa)、アイ(Polygonum tinctorium)、タイセイ(Isatis indigotica)の1つ以上の抽出物である。
【0043】
[0043] さらに別の実施形態において、組成物は、インジゴ、インジルビン及びイサチンから選択される化合物並びに薬学的に許容される担体を含み、ここで、組成物は、インジゴナチュラリスではない。別の実施形態において、組成物は、インジゴ、インジルビン及びイサチンから選択される少なくとも2つの化合物並びに薬学的に許容される担体を含み、ここで、組成物は、インジゴナチュラリスではない。
【0044】
[0044] 一実施形態において、組成物中の化合物の重量パーセントに対する少なくとも2つの化合物の重量パーセントは、
(i)約55~95%のインジルビン、5~45%のインジゴ及び0~40%のイサチン;
(ii)約40~80%のインジルビン、20~60%のインジゴ及び0~40%のイサチン;
(iii)約20~60%のインジルビン、40~80%のインジゴ及び0~40%のイサチン;
(iv)約0~40%のインジルビン、55~95%のインジゴ及び5~45%のイサチン;
(v)約0~40%のインジルビン、40~80%のインジゴ及び20~60%のイサチン;
(vi)約0~40%のインジルビン、20~60%のインジゴ及び40~80%のイサチン;
(vii)約5~45%のインジルビン、0~40%のインジゴ及び55~95%のイサチン;
(viii)約20~60%のインジルビン、0~40%のインジゴ及び40~80%のイサチン;及び
(ix)約40~80%のインジルビン、0~40%のインジゴ及び20~60%のイサチン
から選択される。
【0045】
[0045] 一実施形態において、化合物は、合成的に生成される。別の実施形態において、化合物は、適切な処理によって、抽出物から単離されるか、又は抽出物が濃縮される。
【0046】
[0046] 別の実施形態において、方法に従って処置される対象は、HurleyステージIのHS、HurleyステージIIのHS及びHurleyステージIIIのHSと診断された対象からなる群から選択される。
【0047】
[0047] 別の態様において、局所組成物が提供される。組成物は、インジゴ、インジルビン及びイサチンから選択される1つ又は2つ以上の化合物及び薬学的に許容される担体を含む。一実施形態において、組成物は、インジゴナチュラリスではない。組成物は、一実施形態において、インジゴナチュラリスの組成物によって提供されるものと実質的に同じ治療効果を提供する。
【0048】
[0048] 別の態様において、組成物は、インジゴ、インジルビン、イサチン及びそれらの組み合わせから選択される化合物並びに薬学的に許容される担体を含み、ここで、化合物は、合成的に生成され、組成物は、インジゴナチュラリスの組成物によって提供されるものと実質的に同じである、HSの処置に関する治療効果を提供する。
【0049】
[0049] 一実施形態において、組成物は、インジゴナチュラリスの組成物によって提供される効果と比較して、自己免疫疾患又は障害の処置に関して相乗効果を提供する。
【0050】
[0050] 別の実施形態において、組成物は、インジゴナチュラリスの投与後に観察される副作用と比較して、観察される副作用の減少を提供する。一実施形態において、組成物は、インジゴナチュラリスの副作用である、皮膚刺激、皮膚色素沈着、毛嚢炎、皮膚炎、紅斑、掻痒症、肝酵素の変化、肺動脈性高血圧又は皮膚の変色若しくは染色などの肺又は血管系の有害事象の発生、の1つ以上の低減を提供する。
【0051】
[0051] さらに別の実施形態において、組成物は、担体及びインジゴ、インジルビン又はイサチンの組成物によって個別に提供される効果と比較して、自己免疫疾患又は障害の処置に関して相乗効果を提供する。
【0052】
[0052] 一実施形態において、少なくとも2つの化合物の少なくとも1つは、インジゴナチュラリスよりも少なくとも10%多い量で組成物中に存在する。
【0053】
[0053] 別の実施形態において、少なくとも2つの化合物の少なくとも1つは、インジゴナチュラリスよりも少なくとも10%少ない量で組成物中に存在する。
【0054】
[0054] 一実施形態において、少なくとも2つの化合物は、インジルビン及びインジゴである。
【0055】
[0055] 別の実施形態において、インジルビン及びインジゴは、約1:30~30:1のインジルビン対インジゴの比率で組成物中に存在する。
【0056】
[0056] 一実施形態において、少なくとも2つの化合物は、インジルビン及びイサチンである。
【0057】
[0057] 別の実施形態において、インジルビン及びイサチンは、約1:30~30:1のインジルビン対イサチンの比率で組成物中に存在する。
【0058】
[0058] 一実施形態において、少なくとも2つの化合物は、インジゴ及びイサチンである。
【0059】
[0059] 別の実施形態において、インジゴ及びイサチンは、約1:30~30:1のインジゴ対イサチンの比率で組成物中に存在する。
【0060】
[0060] 別の態様において、インジルビン及び薬学的に許容される担体からなる局所組成物が提供され、ここで、インジルビンは、合成インジルビンであり、組成物は、本質的にインジゴ及び/又はイサチンを含まない。一実施形態において、組成物は、約3%未満のインジゴ及び/又はイサチンを含む。一実施形態において、組成物は、インジルビンを含み、約2.9%未満、2.8%未満、2.7%未満、2.6%未満、2.5%未満、2.4%未満、2.3%未満、2.2%未満、2.1%未満、2.0%未満、1.9%未満、1.8%未満、1.7%未満、1.6%未満、1.5%未満、1.4%未満、1.3%未満、1.2%未満、1.1%未満、1.0%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満又は0.01%未満のインジゴ及び/又はイサチンを含む。
【0061】
[0061] 一実施形態において、合成インジルビンを含む組成物は、局所適用されるインジゴナチュラリスの組成物によって提供されるものと実質的に同じ治療効果を提供する。
【0062】
[0062] 別の実施形態において、組成物は、局所送達に適している。
【0063】
[0063] 一実施形態において、局所送達は、無傷又は破壊された皮膚への局所送達である。
【0064】
[0064] 一実施形態において、局所送達は、皮膚パッチ又はマイクロニードルパッチを介して行われる。
【0065】
[0065] 一実施形態において、局所送達は、ドレッシング材を介する。
【0066】
[0066] 一実施形態において、組成物は、局所適用された場合、合成インジルビン、インジゴ及び/又はイサチンの非治療的血中レベルをもたらす。
【0067】
[0067] 別の実施形態において、組成物は、本明細書に記載の状態の処置のための本明細書に記載の処置方法に従い、例えば局所投与の24時間又は48時間後、合成インジルビン、インジゴ及び/又はイサチンの測定可能な全身血中レベルを生じない。別の実施形態において、組成物は、本明細書に記載の状態の処置のための本明細書に記載の処置方法に従い、例えば局所投与の24時間又は48時間後、合成インジルビン、インジゴ及び/又はイサチンの生理学的に関連する全身血中レベルを生じない。
【0068】
[0068] 一実施形態において、担体は、局所投与に適している。
【0069】
[0069] 上記の例示的な態様及び実施形態に加えて、さらなる態様及び実施形態は、以下の説明の研究によって明らかになるであろう。
【0070】
[0070] 本発明の方法及び組成物などの追加の実施形態は、以下の説明、実施例及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。前述及び以下の説明から理解できるように、本明細書に記載の全ての特徴及びそのような特徴の2つ以上の全ての組み合わせは、そのような組み合わせに含まれる特徴が相互に矛盾しないことを条件として、本開示の範囲内に含まれる。さらに、任意の特徴又は特徴の組み合わせは、他の任意の実施形態から具体的に除外され得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図面の簡単な説明
図1A】[0071]本明細書に記載されるように調製及び試験された10個の製剤について、表皮(白棒)及び真皮(網目棒)において回収された薬物の平均量をngで示す棒グラフである。
図1B】[0072]本明細書に記載されるように調製及び試験された10個の製剤について、受容体溶液中の薬物の平均蓄積量(ng/cm)を時間(時間単位)の関数として示すグラフである。
図2A】[0073]AhR調節又は抗炎症性又は抗菌性応答のバイオマーカーであるCYPIA1の、ヒト死体皮膚におけるパーセント活性を示す棒グラフであり、ここで、活性パーセントは、合成インジルビンを含み、24時間の刺激前に合計16時間又は40時間にわたって皮膚に適用された(分極の40時間前及び16時間前の両方で適用)、本明細書で「OO14」として識別される局所製剤について、Th17刺激と比較した特定のバイオマーカーの刺激のパーセント増加又は減少として計算された。製剤「BMV」は、抗菌ペプチドS100A7を除くバイオマーカーの阻害剤であるベタメタゾンステロイドの対照製剤である。
図2B】[0073]AhR調節又は抗炎症性又は抗菌性応答のバイオマーカーであるIL17-アルファの、ヒト死体皮膚におけるパーセント活性を示す棒グラフであり、ここで、活性パーセントは、合成インジルビンを含み、24時間の刺激前に合計16時間又は40時間にわたって皮膚に適用された(分極の40時間前及び16時間前の両方で適用)、本明細書で「OO14」として識別される局所製剤について、Th17刺激と比較した特定のバイオマーカーの刺激のパーセント増加又は減少として計算された。製剤「BMV」は、抗菌ペプチドS100A7を除くバイオマーカーの阻害剤であるベタメタゾンステロイドの対照製剤である。
図2C】[0073]AhR調節又は抗炎症性又は抗菌性応答のバイオマーカーであるIL1-ベータの、ヒト死体皮膚におけるパーセント活性を示す棒グラフであり、ここで、活性パーセントは、合成インジルビンを含み、24時間の刺激前に合計16時間又は40時間にわたって皮膚に適用された(分極の40時間前及び16時間前の両方で適用)、本明細書で「OO14」として識別される局所製剤について、Th17刺激と比較した特定のバイオマーカーの刺激のパーセント増加又は減少として計算された。製剤「BMV」は、抗菌ペプチドS100A7を除くバイオマーカーの阻害剤であるベタメタゾンステロイドの対照製剤である。
図2D】[0073]AhR調節又は抗炎症性又は抗菌性応答のバイオマーカーであるIL8の、ヒト死体皮膚におけるパーセント活性を示す棒グラフであり、ここで、活性パーセントは、合成インジルビンを含み、24時間の刺激前に合計16時間又は40時間にわたって皮膚に適用された(分極の40時間前及び16時間前の両方で適用)、本明細書で「OO14」として識別される局所製剤について、Th17刺激と比較した特定のバイオマーカーの刺激のパーセント増加又は減少として計算された。製剤「BMV」は、抗菌ペプチドS100A7を除くバイオマーカーの阻害剤であるベタメタゾンステロイドの対照製剤である。
図2E】[0073]AhR調節又は抗炎症性又は抗菌性応答のバイオマーカーであるS100A7の、ヒト死体皮膚におけるパーセント活性を示す棒グラフであり、ここで、活性パーセントは、合成インジルビンを含み、24時間の刺激前に合計16時間又は40時間にわたって皮膚に適用された(分極の40時間前及び16時間前の両方で適用)、本明細書で「OO14」として識別される局所製剤について、Th17刺激と比較した特定のバイオマーカーの刺激のパーセント増加又は減少として計算された。製剤「BMV」は、抗菌ペプチドS100A7を除くバイオマーカーの阻害剤であるベタメタゾンステロイドの対照製剤である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
詳細な説明
I.定義
[0074] 以下では、様々な態様についてさらに詳細に説明する。しかしながら、そのような態様は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細且つ完全であり、その範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0073】
[0075] 値の範囲が提供される場合、その範囲の上限及び下限間の各介在値並びにその記載された範囲内の他の任意の記載値又は介在値は、本開示に包含されることが意図される。例えば、1μm~8μmの範囲が記載されている場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm及び7μm並びに1μm以上の値の範囲及び8μm以下の値の範囲も明示的に開示されることが意図される。
【0074】
[0076] 単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」には、文脈で明確に指示されていない限り、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「ポリマー」への言及は、単一のポリマー並びに2つ以上の同じ又は異なるポリマーを含み、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤並びに2つ以上の同じ又は異なる賦形剤を含むなどである。
【0075】
[0077] 数値の直前の「約」という語は、本開示の内容がそうでないことを示しているか、又はそのような解釈と矛盾していない限り、その値のプラスマイナス10%の範囲を意味し、例えば、「約50」は、45~55を意味し、「約25,000」は、22,500~27,500を意味する。例えば、「約49、約50、約55」などの数値の一覧において、「約50」とは、前後の値の間隔の半分未満、例えば49.5超~52.5未満にわたる範囲を意味する。さらに、値の「約~未満」又は「約~より大きい」という句は、本明細書で提供される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。
【0076】
[0078] 全てのパーセンテージ、部及び比率は、局所組成物の総重量に基づくものであり、特に指定がない限り、行われる全ての測定は、約25℃で行われる。
【0077】
[0079] 本明細書で使用される場合、「インジゴ」という用語は、一般に、「インジゴ」として識別される、以下の式を有する化合物を指す。
【0078】
[0080] 「インジゴ誘導体」は、ロイコインジゴ、ロイコインジルビン、インジルビン、メイソインジゴ及び/又はイサチン(インジゴ分子の半分の酸化バージョン)として以下に特定される化合物によって例示されるものなどのインジゴの誘導体を指す。
【化1】
インジゴ誘導体の追加の非限定的な例には、チオインジゴ、インジゴカルマイン、インジルビン-3’-モノオキシム、インジルビン-5-スルホン酸又は5-クロロ-インジルビン、ブロモインジルビン-3-オキシム、5-ハロゲノインジルビン、N-エチル-インジルビン、N-メチルイソインジゴ、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0304381号に記載されている化合物、参照により本明細書に組み込まれるHubbard, T.D. et al., Drug Metabolism and Disposition, 43:1522-1535 (2015)に記載されている化合物が含まれる。「インジゴ誘導体」という用語は、「インジゴのプロドラッグ」又は「インジゴ誘導体のプロドラッグ」に明示的に言及されていない限り、インジゴ及びインジゴ誘導体のプロドラッグを除外する。
【0079】
[0081] 「インジゴナチュラリス」(IN)は、インジゴ及び他のインジゴ誘導体を含む植物抽出物を指す。この抽出物は、粗製又は高度に精製して、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体を濃縮することができる。植物抽出物は、タイワンコマツナギ(Indigofera tinctoria)、ナンバンコマツネギ(Indigofera suffruticosa)、アイ(Polygonum tinctorium)、タイセイ(Isatis indigotica)、リュウキュウアイ(Baphicacanthus cusia)種又はインジゴを含む他の植物、又は酵母、又は細菌からのものであり得る。
【0080】
[0082] 「阻害する」又は「低減する」という用語は、障害を有する対象の未処置の対照集団と比較して、障害を有する集団における障害の臨床症状を阻害又は低減する方法に関して使用される。
【0081】
[0083] 「薬学的に許容される」という句は、本明細書において、健全な医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症を伴わず、合理的な利益/リスク比に見合った、ヒト及び/又は他の哺乳動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、塩、組成物、剤形などを指すために使用される。いくつかの態様において、「薬学的に許容される」とは、アメリカ合衆国連邦政府若しくは州政府の規制当局によって承認されたか、又は哺乳動物(例えば、動物)、より具体的にはヒトにおける使用について米国薬局方若しくは他の一般に認められた薬局方にリストされていることを意味する。
【0082】
[0084] 「薬学的に許容される塩」は、薬物若しくは有効成分の塩形態又は患者に重大な有害毒性効果を生じない塩形成に適した少なくとも1つの基を有する他の成分を意味する。インジルビンなどのAhRアゴニスト化合物への言及は、その薬学的に許容される塩並びにその溶媒和物及び水和物を包含することを意味する。薬学的に許容される塩には、薬物中の官能基の性質に応じて、無機酸、有機酸、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸との反応によって調製された塩が含まれる。適切な薬学的に許容される塩には、例えば、塩基性薬物の溶液を、薬学的に許容される塩基性薬物の塩形態を形成することができる酸の溶液と混合することによって形成され得る、塩酸、ヨウ素酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、硫酸などの酸付加塩が含まれる。プロトン化された形態の場合、塩基性薬物の典型的な陰イオンには、塩化物、硫酸塩、臭化物、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩が含まれる。そのような塩を同定するための適切な薬学的に許容される塩形態及び方法は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection and Use, Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA, 2002; P. H.Stahl and C. G.Wermuth, Eds.に見出される。
【0083】
[0085] 「実質的に」又は「本質的に」とは、所与の量のほぼ完全又は完全、例えば95%以上を意味する。
【0084】
[0086] 「処置する」という用語は、本明細書において、例えば炎症性皮膚障害を処置する方法に関して使用され、一般に、化合物又は組成物を投与されていない対象と比較して、対象における病状(例えば、HS)の症状の頻度を低減するか、又は発症を遅らせる化合物又は組成物の投与を含む。これは、対象の状態を改善又は安定化する方法において、症状、臨床徴候及び/又は状態の根底にある病状を逆転、軽減、緩和又は抑止することを含み得る。
【0085】
[0087] 「局所組成物」という用語は、活性インジゴ剤を含む薬学的に許容される成分を含み、動物又はヒト対象への投与を目的としており、経口又は静脈内(皮下)注射によって摂取される物質とは対照的に皮膚の表面に適用される。局所組成物は、一般に、適用部位でその意図された効果を有することを意図しており、血流又は他の組織に有意な濃度の薬物をもたらさない(例えば、経皮組成物の場合のように)。本明細書で提供される局所組成物は、典型的には、皮膚疾患若しくは状態に関連する症状の緩和、皮膚疾患若しくは状態の処置又は皮膚疾患若しくは状態の予防を目的として投与される。
【0086】
[0088] 特定の特徴又は実体に関する「実質的に」又は「本質的に」という用語は、その特徴又は実体に関してかなりの程度又はほぼ完全に(すなわち85%以上の程度まで)を意味する。
【0087】
[0089] 本開示の組成物は、開示された成分を含み得るか、それから本質的に構成され得るか又はそれから構成され得る。
【0088】
[0090] 範囲に応じて又は任意の同様の態様で特許請求され得る、任意の群内の部分範囲又は部分範囲の組み合わせを含む、そのような群の個々の構成要素を条件付きで除くか又は除外する権利を留保することにより、本開示の完全な尺度に満たないものを任意の理由で特許請求することができる。さらに、任意の個々の置換基、類似体、化合物、リガンド、構造若しくはそれらの基又は特許請求される群の任意の構成要素を条件付きで除くか又は除外する権利を留保することにより、本開示の完全な尺度に満たないものを任意の理由で特許請求することができる。
【0089】
[0091] 本開示を通して、様々な特許、特許出願及び刊行物が参照される。これらの特許、特許出願及び刊行物の全体の開示は、本開示の日付の時点で当業者に公知の従来技術をより詳細に説明するために、参照により本開示に組み込まれる。引用された特許、特許出願及び刊行物と本開示との間に何らかの矛盾がある場合、本開示が適用される。
【0090】
[0092] 便宜上、本明細書、実施例及び特許請求の範囲で使用される特定の用語がここにまとめられる。別段の定義がない限り、本開示で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0091】
II.処置方法
[0093] 自己炎症性皮膚疾患を処置するため、自己炎症性皮膚疾患に関連する症状を軽減するため、自己炎症性皮膚疾患に関連する症状の再発を予防するため、及び/又は自己炎症性皮膚疾患の頻度を低減するための方法が提供される。この方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤及び薬学的に許容される担体を含む組成物を対象に投与することを含む。この方法は、部分的には、アリール炭化水素受容体(AhR)系が免疫応答を調節できるという発見及びAhRのアゴニストが自己免疫疾患を処置するための有用な治療剤であるという発見に基づく。方法における使用のための組成物、組成物を投与するためのアプローチ及び方法に関連する他の詳細を以下に説明する。
【0092】
A.組成物
[0094] 本明細書に記載の方法における使用のための組成物は、AhRアゴニスト又は調節剤を含む。
【0093】
[0095] AhRアゴニストの例には、タピナロフ(3,5-ジヒドロキシ-4-イソプロピル-トランス-スチルベン;Smith, et al., J. Invest.Dermatol., 137(1):2110-2119 (2017));3-メチルコランスレン、ダイオキシン、3’,4’-ジメトキシ-a-ナフトフラボン(DiMNF)、3,3’-ジインドリルメタン(DEVI)、レスベラトロール、クルクミン、インジゴ及びインジゴ誘導体が含まれる。他の例示的なAhRアゴニストは、Hubbard, T.D. et al., Drug Metabolism and Disposition, 43:1522-1535 (2015)及び国際公開第2012/015914号に記載され、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。AhRを刺激する化合物は、例えば、国際公開第2016/168685号に記載されているように同定することができる。
【0094】
[0096] いくつかの場合、AhRアゴニストは、承認された薬物、承認された薬物の塩又はAhRアゴニスト活性を有する承認された薬物に分解又は代謝されるプロドラッグを含み得、イトラコナゾール、ケトコナゾール、オメプラゾール及びレフルノミドを含み得る。
【0095】
[0097] 一実施形態において、組成物は、タピナロフ、その塩又はプロドラッグ及び許容される担体を含む。例示的な担体は、以下に記載されている。
【0096】
[0098] 一実施形態において、組成物は、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体並びに許容される担体を含む。一実施形態において、組成物は、インジゴナチュラリスである。他の実施形態において、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体を含む組成物は、インジゴナチュラリスではないが、インジゴ、インジルビン及び/又はイサチンの1つ以上を含む組成物である。例えば、組成物は、インジゴ又はインジルビン及び/又はイサチンなどのインジゴ誘導体の1つ以上が豊富な抽出物であり得る。代わりに、組成物は、合成的に製造されたインジゴ及び/又はインジゴ誘導体の1つ以上から構成される製剤であり得る。ここで、AhRアゴニストを含む組成物の例として、インジゴ及びインジゴ誘導体の例示的な組成物について説明する。
【0097】
[0099] インジゴナチュラリス又はその抽出物から構成される組成物は、方法における使用が企図される。インジゴナチュラリス(Qing Daiとも呼ばれる)は、植物タイワンコマツナギ(Indigofera tinctoria)、ナンバンコマツネギ(Indigofera suffruticosa)、アイ(Polygonum tinctorium)及び/又はタイセイ(Isatis indigotica)からの乾燥及び発行材料から調製される。インジゴナチュラリスの例示的な組成物の1つは、インジルビンが高度に濃縮されたキツネノマゴ(Acanthacaea)科のリュウキュウアイ(Baphicacanthus cusia (Nees) Bremek)の抽出物である。いくつかの場合、抽出物は、リュウキュウアイ(Baphicacanthus cusia (Nees) Bremek)の茎及び葉からのものである。
【0098】
[0100] インジゴナチュラリス組成物は、HSの処置に使用するために局所的に適用され、必要に応じて、局所適用を容易にし、及び/又は浸透を高めるために担体と共に製剤化することができる。例示的な担体を以下に記載する。
【0099】
[0101] 別の実施形態において、インジゴナチュラリス又はインジゴナチュラリスの抽出物ではなく、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体から構成される組成物が企図される。これらの組成物において、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体は、植物から合成的に生成、抽出及び/又は単離され得るか、又は発酵若しくはバイオリアクターを介して作製され得る。インジゴ及び/又はインジゴ誘導体の化学合成及び生合成は、例えば、Ensley et al., Science, 167 (1983)に記載されている。インジゴ及び/又はインジゴ誘導体の1つ以上で抽出物を濃縮するための植物の処理は、インジゴナチュラリスではなく、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体から構成される組成物を生成するための別のアプローチである。
【0100】
[0102] 第1の実施形態において、組成物は、インジゴ、インジルビン、イサチン及びそれらの組み合わせから選択される化合物及び薬学的に許容される担体を含み、ここで、組成物は、インジゴナチュラリスの組成物によって提供されるものと実質的に同じである、HSの処置に関する治療効果を提供する。代わりに、組成物は、インジゴナチュラリスの組成物によって提供される効果と比較して、HSの処置に関して相乗効果を提供し得る。代わりに、組成物は、インジゴナチュラリスの投与後に観察される副作用と比較して、観察される副作用の減少及び/又は効力の増加を提供し得る。インジゴナチュラリス又はインジゴナチュラリスの抽出物の局所適用時に観察される副作用の例は、例えば、皮膚刺激、皮膚色素沈着の変化、紅斑、掻痒症、毛嚢炎、皮膚炎及び/又は皮膚の変色又は染色であり得る。代わりに、組成物は、担体及びインジゴ、インジルビン又はイサチンの組成物によって個別に提供される効果と比較して、HSの処置に関して相乗効果を提供する。
【0101】
[0103] 一実施形態において、組成物中の活性剤化合物、例えばインジゴ、インジルビン及び/又はイサチンは、合成的に生成又は合成された化合物である。別の実施形態において、組成物中の活性剤化合物、例えばインジゴ、インジルビン及び/又はイサチンは、植物抽出物から単離され、及び/又は1つ以上の化合物からなる精製抽出物を得るために植物抽出物を処理することから得られる。すなわち、処理技術は、特に所望の化合物以外の治療活性を有する化合物を抽出物から除去する。治療的に活性な化合物は、合成的に生成されたものでも、植物抽出物の処理技術から得られたものでも、薬学的に許容される担体と組み合わされて組成物を提供する。
【0102】
[0104] 単一の治療用化合物を含む組成物は、いくつかの実施形態において、組成物の総重量に基づいて約0.001~15重量%、0.001~10重量%、0.001~5重量%、0.001~3重量%、0.001~0.1重量%、0.001~0.3重量%、0.001~0.2重量%、0.01~15重量%、0.01~10重量%、0.01~5重量%、0.05~15重量%、0.05~10重量%、0.05~5重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、0.1~5重量%、0.2~15重量%、0.2~10重量%、0.2~5重量%、0.3~15重量%、0.3~10重量%、0.3~5重量%、0.4~15重量%、0.4~10重量%、0.4~5重量%、0.5~15重量%、0.5~10重量%、0.5~5重量%、0.6~15重量%、0.6~10重量%、0.6~5重量%、0.7~15重量%、0.7~10重量%、0.7~5重量%、0.8~15重量%、0.8~10重量%、0.8~5重量%、0.9~15重量%、0.9~10重量%、0.9~5重量%、1~15重量%、1~10重量%又は1~5重量%の単一の治療用化合物を含む。治療用化合物は、インジゴ、インジゴ誘導体又は他の任意のAhRアゴニストであり得る。一実施形態において、化合物は、合成化合物であり、植物又は発酵植物製品からの抽出物ではない。
【0103】
[0105] 組成物が、インジゴ、インジルビン及び/又はイサチンから選択される少なくとも2つの化合物を含む実施形態において、化合物は、いくつかの実施形態において、組成物中の活性剤(治療用)化合物の重量に基づく(例えば、組成物の総重量に基づかない)以下の重量パーセントの1つで存在する:
(i)約55~95%のインジルビン、5~45%のインジゴ及び0~40%のイサチン;
(ii)約40~80%のインジルビン、20~60%のインジゴ及び0~40%のイサチン;
(iii)約20~60%のインジルビン、40~80%のインジゴ及び0~40%のイサチン;
(iv)約0~40%のインジルビン、55~95%のインジゴ及び5~45%のイサチン;
(v)約0~40%のインジルビン、40~80%のインジゴ及び20~60%のイサチン;
(vi)約0~40%のインジルビン、20~60%のインジゴ及び40~80%のイサチン;
(iv)約5~45%のインジルビン、0~40%のインジゴ及び55~95%のイサチン;
(v)約20~60%のインジルビン、0~40%のインジゴ及び40~80%のイサチン;又は
(vi)約40~80%のインジルビン、0~40%のインジゴ及び20~60%のイサチン。
【0104】
[0106] インジゴ、インジルビン及び/又はイサチンからなるいくつかの組成物において、化合物の少なくとも1つは、インジゴナチュラリスよりも少なくとも10%、15%、20%又は25%多い量で組成物中に存在する。インジゴ、インジルビン及び/又はイサチンからなるいくつかの組成物において、化合物の少なくとも1つは、組成物中に存在し、化合物の少なくとも1つは、インジゴナチュラリスよりも少なくとも10%、15%、20%又は25%未満の量で組成物中に存在する。
【0105】
[0107] 一実施形態において、組成物中の活性剤は、インジルビン及びインジゴ;又はインジルビン及びイサチン;又はインジゴ及びイサチンを含むか、本質的にそれらから構成されるか又はそれらから構成される。インジルビン及びインジゴが組成物中に存在する場合、それらは、約1:30~30:1、1:25~25:1、1:20~20:1、1:15~15:1、1:10~10:1のインジルビン対インジゴの比率で存在する。インジルビン及びイサチンが組成物中に存在する場合、それらは、約1:30~30:1、1:25~25:1、1:20~20:1、1:15~15:1、1:10~10:1のインジルビン対イサチンの比率で存在する。インジゴ及びイサチンが組成物中に存在する場合、それらは、約1:30~30:1、1:25~25:1、1:20~20:1、1:15~15:1、1:10~10:1のインジゴ対イサチンの比率で存在する。代わりに、活性剤の様々な組み合わせは、約10:1~50:1、15:1~50:1、20:1~50:1、25:1~50:1、15:1~45:1、20:1~45:1、25:1~45:1、30:1~45:1、20:1~30:1、20:1~35:1、20:1~40:1又は30:1~35:1の第1の活性剤対第2の活性剤の比率であり得る。別の実施形態において、第1の活性剤対第2の活性剤の比率は、約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1又は60:1である。
【0106】
[0108] 別の実施形態において、組成物は、インジゴ、インジルビン及びイサチンから選択される少なくとも2つの化合物並びに薬学的に許容される担体を含み、ここで、組成物は、インジゴナチュラリスではない。
【0107】
[0109] 実施形態において、組成物中の活性剤の総重量に基づく第1の活性剤(例えば、任意のAhRアゴニスト)の重量パーセントは、約25~99重量%、25~98重量%、25~96重量%、25~95重量%、25~90重量%、25~85重量%、25~75重量%、25~70重量%、25~65重量%、25~60重量%、25~55重量%、25~50重量%、25~45重量%、25~40重量%又は25~35重量%である。他の実施形態において、組成物中の活性剤の総重量に基づく第2の活性剤(例えば、第1のAhRアゴニストと異なる任意のAhRアゴニスト)の重量パーセントは、約25~99重量%、25~98重量%、25~96重量%、25~95重量%、25~90重量%、25~85重量%、25~75重量%、25~70重量%、25~65重量%、25~60重量%、25~55重量%、25~50重量%、25~45重量%、25~40重量%又は25~35重量%である。
【0108】
[0110] 本明細書に記載の組成物のいずれにおいても、インジゴ及びインジゴ誘導体は、ホウ素、H又は放射性部分で置換され得る。本明細書に記載の組成物のいずれにおいても、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体は、薬学的に許容される塩形態であり得る。
【0109】
[0111] 別の実施形態において、AhRアゴニスト化合物は、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体又は他のAhRアゴニストに分解又は代謝される、インジゴのプロドラッグ又はインジゴ誘導体のプロドラッグである。そのようなプロドラッグの例には、インジカン、インドキシル、ロイコインジゴなどが含まれる。一実施形態において、組成物は、インジゴ、インジゴ誘導体、インジゴのプロドラッグ、インジゴ誘導体のプロドラッグ及び/又は前述のいずれかの組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、インジゴ誘導体のプロドラッグを除いて、インジゴ、インジゴ誘導体、インジゴのプロドラッグ及び/又はそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、組成物は、インジゴ誘導体インジルビンのプロドラッグを除いて、インジゴ誘導体、インジゴのプロドラッグ、インジゴ誘導体のプロドラッグ及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0110】
[0112] 本明細書に記載の組成物のいずれにおいても、AhRアゴニスト化合物は、固体の形態であり得る。この固体は、高度に結晶性であり得るか、又は溶液から結晶化したか若しくは蒸発して固体になった無機及び有機材料に結合し得る。この材料は、粉末に加工され得る。粉末は、均一な又は広く分布した平均粒子サイズを有し得る。粒子サイズは、ナノメートルスケール、マイクロメートルスケール又はそれより大きいものであり得る。均一な粒子サイズの粉末は、その結晶構造又はその欠如、表面積、共結晶又はアイソフォームに基づいて異なる溶解度又はバイオアベイラビリティを有し得る。この相対的なバイオアベイラビリティ又はその欠如により、これらの薬剤は、溶液中で特定の濃度を有する薬物を用いて製剤化しやすくなり、疾患の処置を受けた患者においてより効果的であるか、より効果的でないか、又は安全性がより低くなる可能性がある。特に、より大きい粒子サイズ又は減少した表面積は、溶解性が低く、したがってバイオアベイラビリティが低く、全身曝露が少なく、したがって局所的な活性及び有効性を維持しながら、より良好な安全性をもたらす可能性がある。特に、これらの形態のいくつかから作製された製剤で患者を処置すると、インジゴナチュラリスで見られ得るものなどのよりバイオアベイラビリティの高い粒子と比較して、肝臓毒性の低下、セロトニンレベルの低下、又は肺の圧力の低下、又は肺動脈性肺高血圧症を発症する可能性の低下を生じ得る。
【0111】
[0113] インジゴ及び/又はインジゴ誘導体などのAhRアゴニスト化合物の固体粒子は、約5000nm未満、3000nm未満、2000nm未満又は1500nm未満の平均粒子サイズを有し得る。他の実施形態において、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体の固体粒子は、約1500nm以上、2000nm以上、2500nm以上、3000nm以上又は5000nm以上の平均粒子サイズを有し得る。いくつかの実施形態において、粒子の約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超又は90%超は、約1500nm超、2000nm超、2500nm超、3000nm超又は5000nm超である。いくつかの実施形態において、粒子の約60%超、70%超、75%超、80%超、85%超又は90%超は、約1500nm未満、2000nm未満、2500nm未満、3000nm未満又は5000nm未満である。いくつかの実施形態において、粒子は、任意選択により、表面安定剤を含むことができるか又は表面安定剤を含まなくてもよい。粒子は、懸濁した又は完全に溶解した状態で薬物を含有し得る。粒子は、結晶形態又はアモルファス形態のAhRアゴニスト化合物を含有し得る。
【0112】
[0114] いくつかの実施形態において、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体などのAhRアゴニスト化合物は、炭酸カルシウム、セルロース、有機樹脂、無機樹脂、粘土又はゼオライトを含む粒子に結合又は混合することができる。いくつかの実施形態において、インジゴ及びインジゴ誘導体は、炭酸カルシウム又はセルロースを含まないものであり得る。
【0113】
[0115] いくつかの実施形態において、固体粉末は、同じ粒子又は粒子の同じ集団内において、インジゴ及び/又は1つ以上のインジゴ誘導体などの複数の活性剤を含む。いくつかの実施形態において、固体粉末は、それぞれがインジゴ又は特定のインジゴ誘導体の活性剤を含む別個の粒子の混合物を含む。いくつかの実施形態において、粒子は、少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%純粋であるか又は99.9%超純粋である。固体粒子は、それぞれ同じ平均粒子サイズを有し得るか、又は異なる平均粒子サイズを有し得る。他の実施形態において、固体粒子は、選択された溶媒(例えば、水又はエタノール)に対して同じ溶解度を有し得るか、又は同じバイオアベイラビリティを有し得る。
【0114】
[0116] いくつかの実施形態において、組成物は、同量の所与の活性剤(例えば、インジゴ若しくはインジゴ誘導体又はそのプロドラッグなどのAhRアゴニスト化合物)を含有するインジゴナチュラリスと溶解度又はバイオアベイラビリティが異なる。この溶解度の違いは、水、低pH水又は、エタノール、Nーメチルピロリドン、ポリエチレングリコール若しくはジメチルスルホキシドなどの特定の製剤溶媒を含む溶媒で見られ得る。溶解性又はバイオアベイラビリティのこの差は、所与の製剤に含まれる粒子又は賦形剤の粒子表面積、粒子サイズ、粒子形状、汚染物質、純度及び/又は疎水性に起因し得る。
【0115】
[0117] インジゴ、インジゴ誘導体及び/又はそのプロドラッグなどのAhRアゴニスト化合物は、不純物を含まないか又は実質的に削減され得る。例えば、AhRアゴニスト化合物がインジゴ、インジゴ誘導体及び/又はそのプロドラッグである場合、これは、インジゴナチュラリスに見られる不純物を含まない。いくつかの例において、不純物は、アレルゲン又は毒素であり得る。いくつかの実施形態において、不純物は、ブタン二酸、イサチン、2,3-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1H-インドール-3-酢酸、デオキシバスシノン、10H-インドロ[3,2-b]キノロン、3-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(3H)-キナゾリノン、10H-インドロ[3,2-b]キノロン-11-カルボン酸アミド、トリプタンスリン、シリンギン、3-(2-カルボキシフェニル)-4(3H)-キナゾリノン、インジゴ、インジカン、インジルビン、2-[シアノ(3-インドリル)メチレン]-3-インドロン、オクタデカン酸、オクタデカン酸、ビスインジゴチン、チンダイノン、ボツリヌス、スギオール、ロテノール、シトステロール、ダウコステロール、クレロステロール、インドスピシン及び/又は3-ニトロプロピオネートであり得る。いくつかの実施形態において、不純物は、無機であり得るか、又はヒ素、カドミウム、鉛及び/又は水銀などの重金属であり得る。不純物は、農薬、除草剤、アフラトキシン、溶媒(水、エタノール、エタノール、THF、石油エーテル、クロロホルム又は酢酸など)、二酸化ケイ素、石灰石、セルロース又は炭酸カルシウムでもあり得る。一実施形態において、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体は、そのような不純物の1つ以上を実質的に含まない。一実施形態において、合成インジルビンを含む組成物が企図され、ここで、組成物は、約0.1重量%未満の不純物インジゴ、トリプタンスリン及びチンジアノンを含む。別の実施形態において、合成インジルビンを含む組成物が企図され、ここで、合成インジルビンは、98重量%を超える純粋な合成インジルビンである。すなわち、合成インジルビンは、約2重量%未満の不純物を含む。他の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、細菌及び抽出溶媒を含まない。
【0116】
[0118] いくつかの実施形態において、インジゴ、インジゴ誘導体及び/又はそれらのプロドラッグは、インジゴナチュラリスよりも少ない1グラムあたりのバイオバーデンを有し得ることも企図される。例えば、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体は、インジゴナチュラリスの調製物又は抽出物よりも減少した細菌数、減少した酵母数、減少したカビ数、減少した大腸菌(e-coli)数及び/又は減少したサルモネラ(salmonella)数を有し得る。いくつかの実施形態において、インジゴ及びインジゴ誘導体は、微生物の増殖に対してより耐性があり得る。いくつかの実施形態において、インジゴ及び/又はインジゴ誘導体は、1グラムあたり約15,000、25,000、35,000又は50,000のコロニー形成単位未満を有し得る。いくつかの実施形態において、インジゴ及びインジゴ誘導体は、無菌であり得る。いくつかの実施形態において、インジゴ及びインジゴ誘導体は、経時的に細菌及び/又は微生物の増殖を阻害する防腐剤を含み得る。
【0117】
[0119] インジゴ、インジゴ誘導体及び/又はプロドラッグは、インジゴナチュラリスと色が異なり、より紫、赤、濃青、淡青又は黒っぽい色であり得る。いくつかの実施形態において、インジゴ及びインジゴ誘導体は、紫がかった、赤みがかった、オレンジがかった、ピンクがかった又は茶色がかったものであり得る。いくつかの実施形態において、インジゴ、インジゴ誘導体及び/又はプロドラッグは、色がより明るく、白色又は透明であり得る。インジゴ、インジゴ誘導体及び/又はプロドラッグは、その還元形態に還元され、その色を変えるか、又はそれらを、着色を薄くするか又は無色若しくは白色にさえし得る。いくつかの実施形態において、インジゴ、インジゴ誘導体及び/又はプロドラッグは、ナノメートル範囲の粒子サイズを有し得るか、又はインジゴナチュラリスに見られるもの若しくは合成調製物から精製されたものと比較してそれらの色を変える独特の構造を有し得る。
【0118】
[0120] インジゴ及びインジゴ誘導体並びにそれらのプロドラッグは、例示的なAhRアゴニストである。上記のように、組成物は、AhRアゴニスト化合物を含み、一実施形態において、AhRアゴニスト化合物は、約10nM未満、8nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満又は0.25nM未満の半数効果濃度(EC50)を有する。
【0119】
[0121] 一例において、AhRアゴニストは、人体の血漿、肝臓、尿、皮膚上又は腸内に内因的に見出され得る。これらの内因性AhRアゴニストは、食品の代謝、前駆体のUV光(UVBを含む)への曝露又は人体上又は体内に生息する微生物を介して人体によって産生され得る。
【0120】
[0122] インジゴ及びインジゴ誘導体並びにそれらのプロドラッグは、例示的なキナーゼ及び転写因子阻害剤である。上記の組成物は、キナーゼ又は転写因子も阻害する薬剤を含み得る。これらのキナーゼ又は転写因子は、リン酸化又は非リン酸化形態であることを含むが、これらに限定されない、翻訳後修飾又は非修飾形態であり得る。それらは、遊離し得るか、又は複合体の一部として他の酵素若しくは補因子と結合し得る。一実施形態において、薬剤は、約100μM、50μM、25μM、10μM、5μM又は1μM未満の半数効果濃度(IC50)の、STAT3などのシグナル伝達兼転写因子(STAT)、JAK2などのヤヌスキナーゼ(JAK)、ERK2などの細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)を含むマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、C-srcチロシンキナーゼなどのチロシンプロテインキナーゼ、カゼインキナーゼ1などのカゼインキナーゼ、CDK1、CDK2、CDK5などのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)又はGSK3Bなどのグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK)であり得る。
【0121】
[0123] インジゴ及びインジゴ誘導体(及びそれらのプロドラッグ)は、急速に分裂する細胞に対して細胞毒性でもあり得る。上記の組成物は、約100μM、50μM、25μM、10μM、5μM又は1μM未満の半数効果濃度(IC50)で、CD4+T細胞など、急速に分裂する細胞に対して細胞毒性を有する薬剤を含み得る。
【0122】
[0124] 前述のように、組成物は、局所適用又は投与を容易にするために、担体又は薬学的に許容されるビヒクル又は賦形剤も含む。一実施形態において、局所投与が好ましい。他の実施形態において、組成物は、経口であり得、担体は、そのような経口投与のために選択される。局所組成物に関して、担体は、所望の組成物に応じて変化し、これは、例えば、溶液、液体、スプレー、フォーム、ローション、ゲルなどを含む多くの異なる形態をとることができる。好ましくは、局所組成物は、液体であり、良好な安定性を有し、皮膚に付着し、滑らかな感触を有する。適切な製剤に関する情報は、例えば、“Remington: The Science and Practice of Pharmacology,”22nd edition, (Pharmaceutical Press, 2013)に記載されている。
【0123】
[0125] 組成物は、比較的少量、例えば約10%(w/w)未満の、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、ゲル形成剤、乳化剤、酸化防止剤、香料などを含むが、これらに限定されない、局所使用に適した1つ以上の補助賦形剤も含み得る。組み込みに適した化合物は、例えば、R.C. Rowe, et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients (4th Ed.) Pharmaceutical Press, London, 2003に見られ得る。
【0124】
[0126] 組成物において使用され得るゲル化剤には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル;ビニルアルコール;ビニルピロリドン;カラヤガム、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、トラガカンスガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムなどの天然ゴム及びRohm PharmaからEudragit(登録商標)の商品名で入手可能なものなどのメタクリレートなど、ゲル化特性で周知の従来のゲル化剤が含まれる。他のゲル化剤には、「Lutrol(登録商標)」の商品名で入手可能なものなどのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロキサマー)などが含まれる。好ましいゲル化剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、有機/冷水溶性セルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース、エチル(ヒドロキシエチル)セルロースなど、遊離カルボキシル基が存在しないものである。置換セルロースの場合、いくつかの実施形態において、中程度~高度の置換が好ましい。好ましい置換度は、少なくとも1.0、又は好ましくは1.2~6.0の範囲、又はより好ましくは2.5~4.5の範囲である。
【0125】
[0127] 組成物は、抗酸化剤も含み得る。抗酸化剤が存在する場合、その量は、典型的には、組成物の約0.005重量%~約3.0重量%の範囲である。例示的な範囲には、約0.01重量%~約2.5重量%の酸化防止剤、約0.05重量%~約2重量%の酸化防止剤及び約0.1重量%~約1.5重量%の酸化防止剤が含まれる。適切な抗酸化剤には、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、第三級ブチルヒドロキノン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウムなどが含まれる。
【0126】
[0128] 組成物は、典型的には、組成物の約0.01重量%~約2.0重量%の範囲の量で1つ以上の防腐剤をさらに含み得る。例示的な防腐剤には、例えば、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ベンジルアルコールなどが含まれる。他の香料には、アミリス、カロン、クマリン、フランジパニ、ミューゲ、ナルキッソスなどが含まれ得る。いくつかの香料は、ユーカリプトール、オイゲノール、酢酸ゲラニル、リナロール、ネロリドール、チモール又はフェニルエチルアルコールなどの化学物質に由来し得る。
【0127】
[0129] 組成物は、天然油又は他の適切な薬剤などの好ましい香り、芳香又はアロマを導入するのに有効である、少量、例えば0.1重量%~10重量%の1つ以上の化合物も含み得る。適切なエッセンシャルオイルには、例えば、ユーカリ、フランキンセンス、パチョリ、ペパーミント、レモン、ラベンダー、オレンジ、ローズヒップ、ローズマリー、ティーツリー、ジャスミンなどからの植物エッセンシャルオイルが含まれる。
【0128】
[0130] ゲルの形態の組成物が企図される。ゲルは、コロイド状の固体粒子のネットワークに大量の水性又は水性アルコール性液体を閉じ込めることによって形成される。これらのコロイドは、典型的には、10%w/w未満の濃度で存在し、本明細書において上記でも言及されたゲル化剤又は増粘剤とも呼ばれる。ゲル化剤の例には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、寒天、粘土、ケイ酸アルミニウム、カルボマーなどが含まれる。例示的なゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロースである。約50,000~150,000ダルトン若しくは約60,000~約125,000ダルトン又は好ましくは約80,000~約100,000ダルトンの重量平均分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースが例示的である。
【0129】
[0131] 様々な他の構造マトリックス形成剤、例えば白色ワセリン(ワセリン、Vaseline(登録商標))、黄色ワセリン(ワセリン)、パラフィン(パラフィンワックス、硬質パラフィン)、微結晶ワックス、セレシン(ミネラルワックス、精製オゾケライト)などの炭化水素;ヒュームドシリカ(CAB-O-SIL)、ベントナイト(コロイド状ケイ酸アルミニウム)、ビーガム(コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などのシリコーン;ポリオール及び固体ポリエチレングリコールなどのポリグリコール;コレステロール、ラノリン、無水ラノリン及び半合成ラノリンなどのステロール及びステロールエステル;並びにミツロウ、白色ミツロウ(漂白ミツロウ)、カルナウバワックス、コレステロールエステル(ステアリン酸)、ラード又は水素化油などのエステル又はポリエステルを組成物に添加することができる。
【0130】
[0132] 組成物は、クリームの形態でもあり得る。クリームは、油性物質及び水(すなわち担体)のエマルジョンである。クリームは、水相が油相に分散している油中水(w/o)又は水性ベースに油が分散している水中油(o/w)であり得る。
【0131】
[0133] 軟膏も企図され、典型的には、o/wクリームよりも粘性が高く、水を含まないものであり得る。従来の軟膏基剤(すなわち担体)には、炭化水素(ワセリン、ミツロウなど)、植物油(例えば、キャノーラ油、オリーブ油)、脂肪アルコール(コレステロール、ラノリン、羊毛アルコール、ステアリルアルコールなど)、PEG又はシリコーンが含まれる。軟膏は、薬物が完全に溶解し得、完全に又は部分的に懸濁し得る。
【0132】
[0134] ペーストは、不溶性粒子状固形物が高いパーセンテージ、最大50重量%で添加された製剤の一種である。デンプン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム又はタルクなどの不溶性固形物が使用され得る。一実施形態において、組成物は、オリーブオイル、ワックス又はワセリンの1つ以上を含まない。別の実施形態において、組成物は、軟膏ではない。
【0133】
[0135] 局所組成物は、フォーム又はエアロゾル化された若しくはエアロゾル化可能な組成物でもあり得る。製剤は、推進剤及びエタノール、アセトン、ヘキサデシルアルコールなどの共溶媒に溶解され得る。発泡剤を組み込んでムース又はシャンプーを製造し得る。
【0134】
[0136] 組成物は、皮膚に擦ることができる棒又はスティックなどの固体形態であるようにも調製され得る。組成物は、液体、クリーム、軟膏又は固体であるかどうかにかかわらず、皮膚上の標的部位への組成物の適用を可能にする適用デバイスで使用され得る。例えば、最初に組成物を指にとることなく組成物を適用することを可能にするデバイスを使用し得る。適切なデバイスには、へら、綿棒、針のないシリンジ、硬膏剤及び貼付剤が含まれる。へら又は綿棒などの使用は、組成物を含む容器にデバイスを挿入することを必要とし得る。シリンジ又はブラシ又は綿棒の使用は、シリンジ、又はブラシ、又は綿棒に製剤を充填することによって達成され得る。次に、組成物は、デバイスによって局所的に広げられ得るか、又はデバイスから人の皮膚の所望の位置に放出され得る。
【0135】
[0137] 上記の組成物を調製するために、多様な方法が使用され得る。概して、組成物は、薬学的に有効且つ洗練された組成物を提供するのに十分な温度及び時間で成分を一緒に組み合わせることによって調製され得る。本明細書で使用される「一緒に組み合わせる」という用語は、組成物の全ての成分をほぼ同時に組み合わせて一緒に混合し得ることを意味する。「一緒に組み合わせる」という用語は、様々な成分を1つ以上の順序で組み合わせて所望の生成物を提供し得ることも意味する。製剤は、最終剤形の形態に応じて、重量/重量(w/w)又は重量/体積(w/v)に基づいて調製することができる。
【0136】
[0138] モデルAhRアゴニストとして合成インジルビンから構成される例示的な組成物を調製することによって研究を行った。組成物は、皮膚への局所適用に適した担体に組み込まれたインジルビンを用いて調製された。実施例2に詳述される第1の研究において、20の局所製剤が調製された。製剤成分を表Aに要約し、成分の詳細を実施例2の表2-1、2-2及び2-3に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
[0139] 製剤は、最初に合成インジルビン及び任意の抗酸化剤を非油性溶媒に添加して、他の成分(油性成分及びワックス成分は、添加前にまず約75℃に加熱された)を添加する前に合成インジルビンを溶媒に溶解又は懸濁することによって調製された。例示的な製剤は、0.001~0.5重量%、0.001~0.4重量%、0.001~0.3重量%、0.001~0.25重量%、0.002~0.5重量%、0.002~0.4重量%、0.002~0.3重量%、0.002~0.25重量%、0.005~0.5重量%、0.005~0.4重量%、0.005~0.3重量%、0.005~0.25重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.4重量%、0.01~0.3重量%、0.01~0.25重量%のインジルビン(合成又は天然)を含んでいた。一実施形態において、組成物は、約0.01重量%を超えるインジルビン及び約0.4重量%、0.3重量%又は0.2重量%以下のインジルビンを含む。
【0139】
[0140] 製剤識別番号OO14及びPO03は、それぞれ溶媒として少なくとも約20重量パーセントのジメチルスルホキシドを含み、インジルビンは、溶解した形態であった。すなわち、合成インジルビンは、組成物中で完全に可溶化された。0.025重量%のインジルビン及び約18重量%の溶媒系(ジエチレングリコールモノエチルエーテル、Nーメチル-2-ピロリドン及びミリスチン酸イソプロピル)を含む製剤識別番号OO02も、インジルビンが組成物中(23~25℃の室温で)で溶解した(又は完全に可溶化されている)最終組成物を提供した。一実施形態において、局所組成物は、約0.025~0.30重量パーセント、0.25~0.25重量パーセント、0.075~0.30重量パーセント又は0.75~0.25重量パーセントの合成インジルビンを含み、ここで、インジルビンは、組成物中で本質的に十分に溶解しているか、本質的に完全に溶解しているか、又は十分に若しくは完全に溶解している。換言すれば、例えばヒトの目及び/又は顕微鏡で検査した場合に薬剤の可視粒子がないことから明らかであるように、インジルビンは、組成物中に溶解している。一実施形態では、組成物は、ジメチルスルホキシド、Nーメチル-2-ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、グリセロール及び/又はプロピレングリコールから選択される、約2.5~50重量%、2.5~35重量%、5~50重量%、5035重量%、15~35重量%、17~32重量%、18~32重量%、19~31重量%又は20~30重量%の溶媒を含む。
【0140】
[0141] したがって、実施形態において、組成物は、油性液体(又は油性化合物)及び/又はポリエチレングリコールポリマー(好ましくは、分子量が約2500~10,000ダルトン、2500~8000ダルトン、2500~7500ダルトン、2500~6000ダルトン、2500~5000ダルトン、3000~4500ダルトン又は3500~4500ダルトンである)を含む。一実施形態において、油性液体は、例えば、合成油、植物油又は動物性脂肪である。特定の実施形態において、油性液体は、鉱油、オレイン酸、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油又はラノリンである。一実施形態において、油性液体(又は油性化合物)は、周囲温度(例えば、23~25℃)の液体である。例示的な油性液体には、オレイン酸及びセバシン酸ジエチルが含まれる。一実施形態において、油性化合物は、石油化学製品ベースの化合物である。すなわち、これは、動物又は植物起源のものではない。別の実施形態において、油性化合物は、少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は20個の炭素原子を含む合成化合物又は石油化学ベースの化合物である。一実施形態において、組成物は、オリーブ油を含まない。一実施形態において、組成物は、ヒマシ油を含まない。一実施形態において、油性液体は、約8~90重量%、15~80重量%、15~75重量%、15~70重量%、15~65重量%、20~80重量%、20~75重量%、20~65重量%、20~60重量%又は20~55重量%の量で組成物中に存在する。
【0141】
[0142] 一実施形態において、組成物は、任意選択により、ワックス成分を含む。組成物中のワックス成分の量は、存在する場合、約8~65重量%、10~55重量%、12~60重量%、12~50重量%、12~45重量%、12~40重量%、12~35重量%、12~25重量%、15~60重量%、15~55重量%、15~50重量%、15~45重量%、15~40重量%、15~35重量%、15~25重量%、16~55重量%、16~50重量%、16~45重量%、16~40重量%、16~35重量%又は16~25重量%である。一実施形態において、ワックス成分は、周囲温度(例えば、23~25℃)で固体である。一実施形態において、ワックス成分は、ミツロウ、パラフィンワックス(例えば、CH2n+2、n=20~30)、セチルアルコール、アルキルシリコーン及びラノリンワックスから選択される。一実施形態において、組成物は、ミツロウを含まない。別の実施形態において、ワックス成分は、合成ワックスである。すなわち、ワックスは、自然に生成されたものではなく、実験室又は工業プロセスで化学的に製造されたものである。
【0142】
[0143] 別の実施形態において、企図される組成物は、少なくとも約25重量%且つ約99重量%未満の油性液体及びワックス成分から構成される。特定の実施形態において、油性液体及びワックス成分は、組成物の約95重量%未満、90重量%未満、85重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満又は55重量%未満、且つ約25重量%超、30重量%超、35重量%、40重量%超、45重量%超又は50重量%超を含む。
【0143】
[0144] 一実施形態において、組成物は、溶媒をさらに含み、ここで、溶媒は、単一の溶媒若しくは2つ以上の溶媒の組み合わせ(若しくは混合物)であり得る。一実施形態において、溶媒は、非プロトン性溶媒であり、水混和性、部分的に水混和性又は水混和性が不十分のいずれかであり得る。一実施形態において、溶媒は、非油性である。溶媒が無毒性であることも望ましい。非プロトン性溶媒の非限定的な例を表Bに示す。
【0144】
【表2】
【0145】
[0145] 一実施形態において、非プロトン性溶媒は、約2.5D超、又は約3.0D超、又は約3.5D超の双極子モーメントを有する溶媒である。一実施形態において、非プロトン性溶媒は、約2.5D超、又は約3.0D超、又は約3.5D超の双極子モーメントを有する溶媒であり、水混和性である。別の実施形態において、非プロトン性溶媒は、約2.5D超、又は約3.0D超、又は約3.5D超の双極子モーメントを有する溶媒であり、水との混和性が低い。一実施形態において、溶媒は、室温(20~25℃)において、全ての比率で水と均一な溶液を形成する場合、水と混和性である。溶媒は、室温(20~25℃)において、ある割合で水と均一な溶液を形成する場合、部分混和性である。溶媒は、水(20~25℃)と均一な溶液を形成しない場合、混和性が低い。一実施形態において、溶媒は、双極性非プロトン性溶媒である。
【0146】
[0146] 非プロトン性溶媒は、アミド、酸のエステル、アルコールのエステル、エーテル、ケトン、ラクトン及びスルホキシドからなる群から選択されるクラスの溶媒からのものであり得る。表Bを参照すると、アミド溶媒のクラスの溶媒には、2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、Nーシクロヘキシル-2-ピロリドン及びカプロラクタムが含まれる。酸のエステルのクラスの溶媒には、例えば、酢酸エチル、安息香酸ベンジル、酢酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、乳酸メチル及び乳酸エチルなど、カルボン酸エステル及び脂肪酸エステルが含まれる。アルコールのエステルである非プロトン性溶媒には、炭酸プロピレン(4-メチル-1,3-ジオロラン-2-オン)が含まれる。スルホキシドクラスの非プロトン性溶媒には、ジメチルスルホキシド及びデシルメチルスルホキシドが含まれる。
【0147】
[0147] 別の実施形態において、溶媒は、約150g/モル未満、約125g/モル未満、約110g/モル未満、約100g/モル未満、約90g/モル未満の分子量を有する。例えば、DMSOの分子量は、約78g/モルであり、NMPの分子量は、99g/モルである。
【0148】
[0148] 一実施形態において、溶媒は、ジメチルスルホキシド、Nーメチル-2-ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びミリスチン酸イソプロピルからなる群から選択される非プロトン性溶媒である。別の実施形態において、溶媒は、グリセロール及びプロピレングリコールから選択される。
【0149】
[0149] いくつかの実施形態において、溶媒は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、グリセリルジベヘネート、トリベヘニン又はグリセリルベヘネート、グリセリルステアレート、PPG-15ステアリルエーテル、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシル化又はプロポキシル化ジグリコール又は環状ポリオールではない。
【0150】
[0150] 上記のように、インジルビン(合成又は天然)などのAhRアゴニストは、溶媒系及び/又は組成物に懸濁又は溶解することができる。一実施形態において、AhRアゴニストは、溶媒系及び組成物中に溶解され、その結果、AhRアゴニストの結晶形態又は粒子形態は、組成物中で(視覚的に又はXRPDを介して)観察されない。別の実施形態において、AhRアゴニストは、溶媒系中に溶解され、その結果、AhRアゴニストの結晶形態又は粒子形態は、溶媒系中で(視覚的に)観察されず、AhRアゴニストは、組成物中に溶解又は溶液化しても又はしなくてもよい。
【0151】
[0151] 組成物は、任意選択により、界面活性剤又は増粘剤を含む。界面活性剤は、イオン性又は非イオン性界面活性剤であり得、一実施形態において、ポロキサマーなどの非イオン性トリブロックコポリマー界面活性剤である。別の実施形態において、増粘剤が組成物に含まれ、例示的な薬剤には、ポリセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドンなどのポリマー並びにグアーガムなどの他の公知の薬剤が含まれるが、これらに限定されない。ポリセルロースには、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロースが含まれる。アクリル酸及びメタクリル酸のポリマー及びコポリマーには、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸が含まれる。ポリアクリルアミドには、ポリアクリルアミド(ポリ(2-プロペンアミド)及びポリアクリルアミドとのコポリマーが含まれ、これは、コポリマー分散ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー(SEPINEO(商標)P600)を含む。
【0152】
[0152] 一実施形態において、組成物は、本質的に水を含まない。別の実施形態において、組成物は、約2重量%、1重量%、0.5重量%又は0.025重量%未満の水を含む。別の実施形態において、組成物は、本質的に水を含まず、0.01~0.5重量%、0.01~0.4重量%、0.01~0.3重量%、0.01~0.25重量%、0.05~0.5重量%、0.05~0.4重量%、0.05~0.3重量%、0.05~0.25重量%、0.075~0.5重量%、0.075~0.4重量%、0.075~0.3重量%、0.075~0.25重量%のインジルビン(合成又は天然)を含む。
【0153】
[0153] 別の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、約25℃での保存時に少なくとも約2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月又は12ヶ月間、物理的及び/又は化学的に安定である。一実施形態において、化学的安定性は、インジルビンの量が、例えば、分解により、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月又は12ヶ月間の25℃での保存後、1%、2%、3%、4%又は5%を超えて変化することを意図する。一実施形態において、物理的に安定であるとは、例えば、別個の相への分離のために、製剤の物理的状態が変化しないこと又は25℃で2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月若しくは12ヶ月の保存後に凝集若しくは沈殿を示さないことを意図する。
【0154】
[0154] 表Aの組成物は、表皮、真皮及び経皮の皮膚浸透を測定するためにインビトロで試験された。実施例2に記載されているように、ヒト死体皮膚を、角質層側を上に向けてインビトロ拡散装置上に置いた。既知量の各製剤約10mgを、定義された皮膚表面積に適用して、約10mg/cmの用量を提供した。皮膚サンプルの下の受容体液のサンプルを採取して、24時間の試験期間にわたる活性剤の皮膚フラックスを測定した。24時間後、残留製剤を皮膚から除去し、角質層を皮膚から除去し、表皮と真皮とを分離した。表皮、真皮及び受容体溶液のそれぞれにおけるAhRアゴニストであるインジルビンの量を決定した。結果を表1A~1C及び図1A~1Bに示す。
【0155】
[0155] 図1Aは、各製剤について、表皮(白棒)及び真皮(網目棒)において回収された薬物の平均量をngで示す。製剤識別番号OO09、OO14、OO17及びPO01は、24時間の試験期間で50ngを超える合成インジルビン(モデルAhRアゴニストとして)を表皮に送達した。製剤識別番号OO14は、24時間で50ngを超える合成インジルビンを表皮及び真皮の両方に送達し、表皮よりも真皮に多くの薬物が存在した。したがって、一実施形態において、真皮及び表皮への送達のために、合成インジルビンなどのAhRアゴニストの局所投与を提供する組成物が企図され、ここで、組成物の局所適用の24時間後の真皮中のアゴニストの量は、表皮中の量の25%、20%、15%又は10%以内である。好ましい実施形態において、組成物の局所適用の24時間後の真皮中のアゴニストの量は、表皮中の量に等しいか、又は少なくとも約5%、10%若しくは15%多い。
【0156】
[0156] 図1Bは、各製剤について、時間(時間単位)の関数としての、受容体溶液中の薬物の平均蓄積量(ng/cm)を示す。製剤識別番号OO14は、皮膚への局所適用の10時間後に約5ng/cmを超え、皮膚への局所適用の20時間後に約12ng/cmを超え、皮膚への局所適用の24時間後に約15ng/cmを超えるフラックスを生じた。したがって、一実施形態において、皮膚への局所適用の10時間後に少なくとも約5ng/cmのインビトロ皮膚フラックス(ヒト死体皮膚を使用する)を提供する組成物が企図される。他の実施形態において、皮膚への局所適用の10時間後に少なくとも約5ng/cmのインビトロ皮膚(ヒト死体皮膚)フラックス及び皮膚への局所適用の25時間後に少なくとも約15ng/cmのインビトロ皮膚フラックスを提供する組成物が企図される。
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
【表5】
【0160】
[0157] 他の実施形態において、24時間で少なくとも約0.7μMのインジルビンの真皮へのインビトロ皮膚(ヒト死体皮膚)送達を提供する組成物が企図される。別の実施形態において、24時間で少なくとも約6.5μM又は約6.5μMを超えるインジルビンの表皮へのインビトロ皮膚(ヒト死体皮膚)送達を提供する組成物が企図される。別の実施形態において、インジルビンの約0.1、0.3又は0.5ng/cm/時間を超える平均フラックスをインビトロ皮膚(ヒト死体皮膚)に提供する組成物が企図される。一実施形態において、インジルビンの約0.1、0.3又は0.5ng/cm/時間を超える平均インジルビンインビトロフラックスは、ヒト皮膚の上部500ミクロンを通過する。
【0161】
[0158] 図1A~1B及び表1A~1Cのデータは、天然型のインジルビンを含む製剤識別番号483Nが、合成インジルビンを含む製剤識別番号483Sと比較して、それらが両方とも同じ賦形剤及び同じ合計量のインジルビンを含有していたにもかかわらず、インビトロ浸透アッセイで優れた性能を有していたことを示す。これは、溶液中において、製剤識別番号483Sのおよそ4倍以上のインジルビンが製剤識別番号483N中に存在するという事実に起因し得る。また、2つの製剤の製造方法は、異なっていた。製剤識別番号483Nは、複合固体混合物の一部としてインジルビンを含有するインジゴナチュラリスから作製され、製剤識別番号483Sは、高純度の結晶性合成インジルビンから作製された。
【0162】
[0159] 製剤識別番号OO09(0.08%)及びOO09(0.2%)は、組成物中のインジルビンの量の約2.5倍の違いにもかかわらず、真皮及び受容体溶液(図1B及び表1C)においてほぼ同様の濃度のインジルビンを有していた。このデータは、組成物中に溶解したインジルビンの量が、インジルビン皮膚フラックスに関連する要因であることを裏付けるものであり、インジルビンが本質的に完全に溶解しているか又は十分に溶解している組成物は、本明細書に記載の状態の処置に十分な皮膚フラックスを達成し、治療有効量のインジルビンを表皮と真皮に送達する。
【0163】
[0160] 実施例3は、別のAhRアゴニストであるタピナロフを使用した例示的な製剤を記載している。タピナロフ組成物は、乾癬(Ps)、アトピー性皮膚炎(AD)、接触性皮膚炎、化膿性汗腺炎(HS)、壊疽性膿皮症(PG)、スウィート症候群、PSTPIP-1遺伝子の変異(PAPA症候群、PAPSH症候群及びPASH症候群)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、尋常性天疱瘡、皮膚クローン病、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、結節性痒疹(PN)、慢性苔癬状粃糠疹、掌蹠膿疱症(PPP)、壊疽性膿皮症(PG)及び紅皮症を含む、本明細書に記載の状態のいずれかの処置に適している。
【0164】
[0161] 実施例5は、製剤識別番号OO14として特定される組成物の薬力学に関する研究の結果を記載している。この研究では、静的なインビトロ拡散セルにヒトの皮膚を置き、一定量の製剤を皮膚に適用した。製剤は、Th17刺激の16時間前又は、40時間前及び16時間前の両方で、皮膚に適用された。受容体溶液をTh17刺激培地と交換し、回収前に24時間インキュベートした。Th17刺激培地は、Th17分極を誘導するサイトカインと抗体との混合物を含有していた(Smith S.H. et al., PLoS ONE 11(2): e0147979)。qPCRを使用して、GAPDHの内部標準と比較した皮膚のサイトカインレベルを測定し、CYP1A1は、通常の条件下では発現が不十分であり、活性化されたAhRによってアップレギュレートされるため、AhR活性化の指標として選択された。IL-17アルファ、IL-1ベータ、S100A7及びIL-8は、Th17型炎症に関連する炎症誘発性サイトカイン又は抗菌分子であり、HS病変でアップレギュレートされる(Frew et al., F1000 Research 2018, 7:1930)。対照として、0.01%ベタメタゾン(BMV)をTh17刺激の40時間前及び16時間前の両方で受容体溶液に添加した。結果を表2及び図2A~2Eに示す。
【0165】
【表6】
【0166】
[0162] 図2A~2Eは、それぞれAhR調節のバイオマーカーであるCYPIA1(図2A)、IL17-アルファ(図2B)、IL1-ベータ(図2C)、IL8(図2D)及びS100A7(図2E)のヒト死体皮膚におけるパーセント活性を示す棒グラフであり、ここで、活性パーセントは、合成インジルビンを含み、刺激前に16時間又は40時間にわたって皮膚に適用された、本明細書で「OO14」として識別される局所製剤について、Th17刺激と比較した特定のバイオマーカーのパーセント減少として計算された。製剤「BMV」は、受容体溶液に適用され、抗菌ペプチドS100A7を除くバイオマーカーの発現を阻害したベタメタゾンステロイドの対照製剤である。
【0167】
[0163] 図2Aは、本明細書で企図及び記載されている組成物からのAhRアゴニストの局所投与がCYP1A1をアップレギュレートすることを示す。図2Bは、本明細書で企図及び記載されている組成物からのAhRアゴニストの局所投与が炎症誘発性サイトカインIL17-アルファをダウンレギュレートすることを示す。図2C~2Eは、本明細書で企図及び記載されている組成物からのAhRアゴニストの局所投与が炎症誘発性サイトカイン又は抗菌ペプチド、それぞれIL-1ベータ及びIL-8及びS100A7をダウンレギュレートすることを示す。したがって、実施形態において、皮膚への局所適用の8、12、16、24又は40時間後に1つ以上の炎症誘発性サイトカインをダウンレギュレートする組成物が企図される。
【0168】
[0164] したがって、一実施形態において、皮膚に局所的に適用される場合、AhRアゴニストを含有する組成物は、AhRアゴニストを欠く同じ組成物と比較して、皮膚において100倍を超えるCYP1A1のアップレギュレーションを達成する。別の実施形態において、皮膚に局所的に適用される場合、AhRアゴニストを含む組成物は、例えば、免疫組織化学によって測定されるように、角質層から500、750又は1000μMを超える距離で核へのAhR転移を達成する。別の実施形態において、皮膚に局所的に適用される場合、AhRアゴニストを含む組成物は、例えば、免疫組織化学又はqPCRを介して測定されるように、角質層から500、750又は1000μMを超える距離で皮膚におけるCYP1A1のアップレギュレーションを達成する。別の実施形態において、CYP1A1のアップレギュレーション及び/又はAhRの核への転移は、皮脂腺及び/又は毛包脂腺単位内で起こる。
【0169】
[0165] したがって、本明細書のデータから見ると、10mg/cmでヒト皮膚に局所的に適用された場合、合成インジルビンを含む組成物は、(i)非治療的全身血中レベルのインジルビン;(ii)24時間にわたって皮膚に適用された場合、表皮への1cmあたり約10ng超、1cmあたり約12ng超、1cmあたり約14ng超、1cmあたり約14.5ng超又は1cmあたり約14.7ng超のインジルビン、(iii)24時間にわたって皮膚に適用された場合、真皮への1cmあたり約10ng超、1cmあたり約12ng超、1cmあたり約14ng超、1cmあたり約16.0ng超、1cmあたり約16.5ng超又は1cmあたり約16.9ng超のインジルビン;及び(iv)合成インジルビンを欠く同じ組成物と比較して、皮膚において50倍、75倍、100倍又は125倍を超えるCYP1A1のアップレギュレーション、の1つ以上の特徴を提供する。達成される特徴は、インビトロでのヒトの皮膚上であるか又はインビボでのヒトの皮膚であり得る。皮膚は、無傷であるか又は破壊されたものであり得る。
【0170】
[0166] 組成物は、医療現場で使用するか又は消費者に直接小売り配布するために包装され得る(すなわち製造品又はキット)。そのような物品は、治療のために製品を使用する方法を患者に助言する態様でラベルを付され、包装される。そのような説明書には、処置期間、投与スケジュール、注意事項などが含まれる。これらの説明書は、画像、書面による説明又はそれらの組み合わせの形式であり得る。これは、パッケージの側面に印刷されているか、挿入物であるか、又は小売市場に適した他の任意の形態の情報伝達手段であり得る。
【0171】
[0167] 組成物は、投与単位の形態で便宜的に提示され得、薬局の技術分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。例えば、組成物は、軟膏及びクリームを分配するためのキャップを備えたスクイーズチューブなどの適切な容器又は制御された所定の投与量の組成物を標的領域へ分配するボトル若しくはドロッパーなどの製剤の単位用量を分配するためのデバイスに入れることができる。好ましい実施形態において、標的領域は、ヒトの皮膚上にある。
【0172】
[0168] 組成物は、ユーザーが顔料を製剤に添加して、それを肌の色調に近づけることを可能にするキットの一部であり得る。キットは、組成物をより目立たなくするために、組成物の適用前又は後に使用するための化粧品又はメイクアップ用品を含み得る。
【0173】
[0169] 記載されている組成物において、AhRアゴニストは、HSなど、皮膚の状態、病気及び/又は疾患のための量で存在する。一実施形態において、組成物は、治療有効量のAhRアゴニストを含む。投与される化合物の量は、例えば、処置される患者におけるHSの重症度、投与様式、患者の年齢及び体重、特定の活性化合物のバイオアベイラビリティなどを含む様々な要因に依存するであろう。有効な投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。当業者であれば、特定の個人に最適な用量を決定することができるであろう。有効な投与量は、最初にインビトロアッセイから推定され得る。
【0174】
[0170] 一実施形態において、組成物の局所適用は、例えば、局所投与の24時間後又は48時間後、AhRアゴニスト化合物の測定可能な全身血中レベルを生じない。一実施形態において、測定可能な全身血中レベルは、組成物で処置されていない対象からの対照血液サンプルよりも実質的に高くないAhRアゴニスト化合物の濃度を意図したものではなく、及び/又は治療上有意でない血中レベルではない。
【0175】
[0171] 一実施形態において、担体は、局所投与に適している。一実施形態において、担体は、軟膏である。一実施形態において、担体は、油性化合物及び溶媒であり、任意選択によりワックスを含む。
【0176】
[0172] 本明細書に記載の組成物は、一態様において、HSを処置するためのものである。この組成物は、HS(又は処置される別の炎症性疾患)の徴候及び症状が明らかである皮膚の局所領域に局所適用される。一実施形態において、製剤は、罹患していない皮膚上にいかなる実質的な量も適用することなく、影響を受けた皮膚領域に直接局所製剤で投与される。
【0177】
[0173] 組成物は、様々な実施形態において、少なくとも1日1回又は少なくとも1日2、3若しくは4回、皮膚に適用される。一実施形態において、局所製剤は、少なくとも1日1回、約4~12週間の期間にわたって適用される。他の実施形態において、局所製剤は、1日1~3回、約4~12週間の期間にわたって適用される。他の実施形態では、組成物は、約1~2週間、1~3週間、1~4週間、1~6週間、1~8週間、1~10週間、1~12週間、1~16週間、1~20週間、1~24週間、1~2ヶ月間、1~3ヶ月間、1~4ヶ月間、1~6ヶ月間、1~8ヶ月間、1~10ヶ月間、1~12ヶ月間の期間にわたって1日1~2回、1~3回、1~4回又は1~5回局所適用される。投与スケジュールは、理解されるように、製剤中の薬物化合物の用量、障害の重症度及び患者の健康を含む、医学技術で周知の要因に依存するであろう。
【0178】
B.処置の例示的条件
[0174] 前述に基づいて理解できるように、AhRアゴニストを含む組成物が企図される。組成物は、AhRの活性化に応答する状態を処置するのに適している。組成物は、好ましくは、皮膚障害の処置のために、皮膚障害に罹患した皮膚に適用するための局所組成物である。一実施形態において、局所組成物は、1つ以上の炎症誘発性サイトカインをダウンレギュレートして、症状又は障害の症状を処置、緩和又は再発を予防する。組成物による処置のために企図される障害又は状態には、特定の実施形態において、化膿性汗腺炎(HS)、壊疽性膿皮症(PG)、乾癬(Ps)、アトピー性皮膚炎(AD)、掌蹠膿疱症(PPP)及び/又は結節性痒疹(PN)が含まれる。
【0179】
[0175] 第1の態様において、HS、PG、Ps、AD、PPP及びPNを処置するための方法が企図される。方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤を含む組成物を対象に投与し、それにより対象におけるHS、PG、乾癬及び/又はアトピー性皮膚炎を処置又は予防することを含む。別の態様において、HS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNに関連する症状を緩和するための方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤を含む組成物を対象に投与し、それにより対象におけるHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNに関連する症状を緩和することを含む。
【0180】
[0176] さらに別の態様において、以前にHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNについて処置された対象において、例えば抗生物質、レチノイド、ヤヌスキナーゼ阻害剤、PDE-4阻害剤、補体阻害剤、抗TNF-アルファ抗体、抗IL-17抗体、抗IL-23抗体、抗アンドロゲン及び/又はステロイドなど、アリール炭化水素受容体アゴニスト以外の活性剤の投与により、HS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNを処置するための方法である。方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤を含む組成物を対象に投与し、それにより難治性の対象におけるHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNを処置することを含む。
【0181】
[0177] 別の態様において、HS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNに関連する症状の再発を防止するための方法又はHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNと診断された対象におけるHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNの頻度を低減するための方法が提供される。方法は、治療有効量の、アリール炭化水素受容体アゴニスト又は調節剤を含む組成物を対象に投与し、それにより症状の再発を予防するか、又は対象におけるHS、PG、Ps、AD、PPP及び/又はPNの頻度を減少させることを含む。
【0182】
[0178] 本明細書で言及される壊疽性膿皮症(PG)は、脚によく発生する典型的な潰瘍性形態及び/又はより表面的であり、体の他の部分によく発生する非定型形態である。この用語は、特に明記しない限り、ストーマ周囲壊疽性膿皮症、膿疱性壊疽性膿皮症又は栄養性壊疽性膿皮症も包含する。特発性又は既知の原因であるPGの形態が含まれ、外科的創傷を含む外傷の部位に現れるPGの形態も含まれる。
【0183】
[0179] アトピー性皮膚炎(AD)は、湿疹とも呼ばれる。これは、びまん性であるか、又は体の特定の部分に限られるものであり得る。これは乳幼児、小児及び成人で発生し得る。接触性皮膚炎、異汗性湿疹、貨幣状湿疹、脂漏性皮膚炎及び鬱滞性皮膚炎など、いくつかの異なるタイプの湿疹がある。一実施形態において、本明細書に記載の組成物の局所適用によって処置される状態は、ADである。アトピー性皮膚炎は、赤いかゆみを伴う、ときに薄片状の皮膚を特徴とする、子供に最初に発生することが多い一般的な皮膚疾患であり、アレルギー又はTh2型免疫応答の形態であると考えられている。病態生理学では異なり得るが、アトピー性皮膚炎の形態と見なされる特定の疾患が存在する。これらには、脂漏性皮膚炎及び手湿疹が含まれる。
【0184】
[0180] 結節性痒疹(PN)は、皮膚に、硬くかゆみを伴うしこり(結節)を生じさせる皮膚疾患である。かゆみ(掻痒)は激しく、罹患した人が出血又は痛みが出るまで引っ掻く原因となり得る。激しいかゆみを伴う皮膚は、睡眠又は日常活動に支障をきたし得る。結節のサイズは、直径が非常に小さいものから約0.5インチまで様々である。結節は、粗く乾燥した上部を有することが多く、数は、数個~数百個の範囲であり得る。結節は、最も一般的には外腕、肩及び脚に形成されるが、首及び胴体にも発生し得、顔及び掌に形成されることは、稀である。それらは、周囲の皮膚よりも明るい色又は暗い色であり得る。結節が治癒し始めた後、瘢痕が生じ得る。PNの症状は、いずれの年齢でも発症し得るが、20~60歳の成人で最もよく見られる。一実施形態において、本明細書に記載の組成物の局所適用によって処置される状態は、PNである。
【0185】
[0181] 掌蹠膿疱症(PPP)は、主に掌及び足裏に現れる皮膚の状態である。一部の罹患者は、乾癬も有するため、PPPは、掌及び足裏の膿疱性乾癬と呼ばれることもある。これは、遺伝することもあり、稀に成人になる前に発症する。皮膚は、少量の膿を有し、褐色に変化し、その後鱗状になる、液体で満たされた小さい水疱を発症する。スケーリングが非常に顕著であり、発赤及びスケーリングのみが見られる場合がある。これは、片方又は両方の手及び/又は足に波状又は群で出現し、痛みを伴うひび(裂傷)を容易に発症する肥厚した鱗状の赤い皮膚を生じる。この状態は、重症度が異なり、長年にわたって持続し得る。一実施形態において、処置される状態は、PNNである。
【0186】
[0182] 一実施形態において、処置される状態は、HSである。HSは、慢性、炎症性、再発性、衰弱性の皮膚疾患であり、典型的には、思春期後に体のアポクリン腺を有する領域に痛みを伴う炎症を起こした病変を示す。HSの重症度は、Hurley分類、修正Sartoriusスコア、国際化膿性汗腺炎重症度スコアシステム(Zouboulis, C.C. et al., British Journal of Dermatology, 177(5)L1401 (2017))などの様々な指標によって分類される。Hurley病期分類システムが一般的に使用されており、これは、HSを3つのステージに分ける。洞管の形成又は瘢痕化のない単一又は複数の膿瘍を特徴とするステージI;1つ以上の洞管を伴う再発性膿瘍及び正常な皮膚によって広く分離された瘢痕を特徴とするステージII;及び複数の洞管へのびまん性の関与及び介在する正常な皮膚がないことを特徴とするステージIIIである(Hurley H.J., In:Roenigk RK, Roenigk HH Jr, eds.Roenigk and Roenigk’s Dermatologic Surgery:Principles and Practice.2nd ed. New York, NY:Marcel Dekker; 1996:623-645)。本明細書に記載の方法は、HurleyステージIのHS、HurleyステージIIのHS及び/又はHurleyステージIIIのHSを有する対象の処置を企図している。
【0187】
[0183] 実施例7~9は、HSを有する対象の処置を説明する。一実施形態において、AhR受容体アゴニストを含む組成物は、1日2回患部に適用される。顕著な改善が7日以内に観察され、1ヶ月の長い研究期間にわたって症状の継続的な減弱を伴う。別の実施形態において、AhR受容体アゴニストを含む組成物は、1日1回、8週間にわたって適用される。新しい炎症性結節の数の減少が観察される。プラセボ製剤と比較して、炎症性結節、膿瘍及び瘻の消散が観察された。この減少により、HSのHiScoreグレーディングが50%以上減少する。別の実施形態において、AhR受容体アゴニストを含む組成物は、1日1回、8週間にわたって適用される。新しい炎症性結節の数の減少が観察される。プラセボ製剤と比較して、炎症性結節、膿瘍及び瘻の消散が観察された。この減少により、HSのHiScoreグレーディングが50%以上減少する。
【0188】
[0184] 一実施形態において、処置される状態は、壊疽性膿皮症(PG)である。PGは、潰瘍になり、徐々に成長する、痛みを伴う結節又は膿疱によって定義される稀な慢性炎症性皮膚疾患である。原因が不明であるが、広範な免疫浸潤を伴う病変を特徴とする。PGは、誤診され、抗生物質で不適切に処置されることが多い。PG病変は、長期間にわたって出たり消えたりするか又は長く残り得る。多くの場合、病変は、長期間にわたって治癒しない開放創を生じる。多くの場合、外傷は、新しい病変の発生をもたらす。一実施形態において、本明細書に記載の組成物の局所適用によって処置される状態は、PNである。
【0189】
[0185] 別の実施形態において、処置される状態は、皮膚潰瘍で現れる可能性のある好中球性皮膚疾患である。これらの疾患には、HS、PG、ざ瘡が含まれ得るが、PSTPIP-1遺伝子の変異に関連するPAPA、PASH、PAPASH症候群などの希少疾患も含まれ得る。これらの疾患の全ては、無菌又は非無菌の好中球に富む炎症の皮膚領域によって定義される。
【0190】
[0186] 乾癬(Ps)は、皮膚上の赤い、ときにかゆみを伴う鱗状の斑点によって定義される一般的な慢性炎症性皮膚疾患である。この状態には、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬(掌又は他の位置)又は乾癬性紅皮膚が含まれる。また、頭皮、手、足、腕の下又は鼠径部、肘、膝、腰、爪又は爪床などの特定の解剖学的領域及び乾癬性関節炎に限局される乾癬も含まれる。したがって、別の実施形態において、処置される状態は、Psである。重症度は、病変で覆われた体表面積(BSA)のパーセンテージにより又は乾癬領域及び重症度指数(PASI)若しくは医師の全体的評価(PGA)を介して確立されるが、他の多くの評価ツールも使用されている。乾癬を処置するためにFDA承認された療法剤は、多くあるが、それらは、不便であるか、効果がないか、高額であるか又は有害事象の発生につながる場合が多い。病態生理学では異なり得るが、乾癬の形態と見なされる特定の乾癬性疾患が存在する。これらには、掌蹠膿疱症、頭皮乾癬及び爪乾癬が含まれる。一実施形態において、本明細書に記載の組成物の局所適用によって処置される状態は、Psである。
【0191】
[0187] 別の実施形態において、処置される状態は、掻痒性又はかゆみを伴う皮膚である。全身性掻痒症、結節性痒疹、乾癬及び湿疹を含む多くの疾患が掻痒症を引き起こす。多くの処置は、掻痒症又は基礎疾患のいずれかのみを処置するものである。結節性痒疹は、皮膚のかゆみを伴う硬いしこりを特徴とする皮膚疾患である。疾患の原因が不明であり、ひっかき行動によって悪化する。
【0192】
[0188] 組成物は、対象におけるHSに関連する症状を緩和すること及び/又はHSの再発を防止することにおいて使用することも企図される。組成物は、AhRアゴニスト以外の活性剤でHSについて以前に処置された対象においてHSを処置することも企図される。一実施形態において、HSを有する対象は、AhRアゴニストでない薬剤による処置では難治であった。他の実施形態において、HSを有する対象は、例えば、抗生物質、抗アンドロゲン(例えば、スピロノラクトン)、レチノイド、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、補体阻害剤(例えば、補体成分5a)、抗TNF-アルファ抗体(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ)、IL-17、IL-8又はIL-23などのTh17型サイトカイン又はケモカイン遮断抗体(例えば、セクキヌマブ、ビミキズマブ、グセルクマブ、ウステキヌマブ)、IL-1(例えば、ベルメキマブ)、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤(例えば、クリサボロール、アプレミラスト、ロフルミラスト)及び/又はステロイドによる処置では難治であった。
【0193】
[0189] 方法及び組成物は、任意選択により、1つ以上の治療薬、手術及び/又は放射線などの1つ以上の他の治療法と組み合わせて使用することができる。治療剤には、抗生物質(経口又は局所)、消毒剤などが含まれる。他の実施形態において、本明細書で提供される方法及び組成物は、1つ以上の治療剤と組み合わせて使用される。
【0194】
[0190] 本明細書に記載されているものなどのAhRアゴニストを含む組成物は、ざ瘡、反対型ざ瘡、肢端被角線維腫、腸性肢端皮膚炎、尖端角化類弾力線維症、光線性角化症(日光角化症)、皮脂腺腫、被角血管腫、アトピー性皮膚炎、基底細胞癌、ベーチェット病、良性線維性組織球腫、膀胱癌、ボーエン病、乳癌、ブシュケ・オレンドルフ症候群、水疱性類天疱瘡、子宮頸癌、子宮頸部異形成、老年性血管腫、慢性結節性軟骨皮膚炎、接触性皮膚炎、皮膚クローン病、皮膚子宮内膜症、皮膚白血病、皮膚リンパ腫、皮膚髄膜腫、皮膚粘液腫、ダリエー病、皮膚樹状突起細胞腫、皮膚線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、エクリン血管腫性過誤腫、外胚葉異形成、表皮封入嚢胞、表皮母斑(脂腺母斑、面皰母斑、プロテウス症候群ベッカー母斑を含むが、これらに限定されない)、類上皮細胞組織球腫、紅皮症、家族性粘液血管線維腫、真菌性皮膚疾患(ロボミコーシスを含む)、顆粒細胞腫、グルカゴノーマ症候群、生殖器疣贅、ヘイリー・ヘイリー病、魚鱗癬(尋常性魚鱗癬、葉状魚鱗癬、X連鎖魚鱗癬、表皮剥離性角化症、後天性魚鱗癬及び掌蹠角化症を含むが、これらに限定されない)、特発性滴状低メラニン症、膿痂疹、乳児先端膿疱症、乳児線維腫症、カポジ肉腫、ケロイド、角化棘細胞腫、角化嚢胞、指結節、シラミ、黒子、黒色腫、微小静脈血管腫、モートン神経腫、粘膜類天疱瘡、多発性リンパ管内皮腫症、多核細胞血管組織球腫、多発性皮膚平滑筋腫、流行性耳下腺炎、菌状息肉腫、爪乾癬、ネザートン症候群、皮膚神経腫、神経莢腫、焔状母斑、表在性脂肪腫性母斑、強皮指症、柵状被包性神経腫、寄生虫性皮膚疾患(疥癬、シラミ寄生症、スナノミ症、鉤虫関連の皮膚幼虫移行症を含むが、これらに限定されない)、毛孔性紅色粃糠疹、皮膚平滑筋腫、叢状線維組織球性腫瘍、ポロケラト性エクリン口及び真皮管母斑、進行性結節性組織球腫性乾癬(乾癬性紅皮症、掌蹠性乾癬、掌蹠膿疱症、ツンブッシュ全身性膿疱性乾癬、地図舌を含むが、これらに限定されない)、PAPA症候群、PAPSH症候群、PASH症候群、尋常性天疱瘡、慢性苔癬状粃糠疹、汗孔角化症、直腸炎、結節性痒疹、壊疽性膿皮症、脂漏性皮膚炎、脂漏性角化症、鼻瘤、酒さ、孤立性皮膚平滑筋腫、シェーグレン症候群、クモ状血管腫、標的型ヘモシデローシス性血管腫、扁平上皮癌、スウィート症候群、全身性エリテマトーデス、房状血管腫、静脈湖、白斑、色素性蕁麻疹、黄色腫様肥満細胞症又は帯状疱疹様転移などの他の皮膚疾患の処置に使用することも企図される。
【0195】
[0191] アナフィラキシー様紫斑病、関節炎関連発疹、良性表皮嚢胞、出生痕、皮膚硬結、鶏眼、湿疹、そばかす、遺伝性対側性色異常症、遺伝性汎発性色素異常症、糖尿病性足部潰瘍、家族性進行性色素沈着過剰、Galli Galli病、ヘモジデリン色素沈着過剰、特発性滴状低メラニン症、鉄金属性変色、白斑、狼瘡関連発疹、肝斑、黒子、ムカメル症候群、ヴィーナスのネックレス、貧血性母斑、脱色素性母斑、パリスター・キリアン症候群、葉状低メラニン症、限局性白皮症、網状顔面色素沈着、色素沈着障害(薬物誘発性色素沈着過剰)、毛髪嚢腫、白色粃糠疹、バラ色粃糠疹、シヴァット多形皮膚萎縮症、血管性多形皮膚萎縮症、炎症後色素沈着過剰、進行性黄斑低メラニン症、掻痒症、弯曲部細網状色素性異常症、網状肢端色素沈着症、リール黒皮症、シャー・ワールデンブルグ症候群、シイタケ皮膚炎、タール黒皮症、チタン金属性変色、一過性新生児膿疱性黒皮症、バガボンド白斑黒皮症、血管攣縮性斑、ウェンデ・バックス症候群、X連鎖網状色素障害、イエメン視聴覚障害者低色素沈着症候群、瘢痕、懸垂線維腫、入れ墨の除去又は白斑(非分節型白斑を含むが、これに限定されない)を含むが、これらに限定されない他の皮膚疾患もAhRアゴニストで処置することができる。
【実施例
【0196】
III.実施例
[0192] 以下の例は、本質的に例示的なものであり、決して限定することを意図したものではない。
【0197】
実施例1
例示的な組成物
[0193] インジゴから構成される組成物は、表1-1に示すように成分及び量(製剤の総重量に基づく重量パーセント)を含む局所製剤として調製される。
【0198】
【表7】
【0199】
実施例2
インビトロでのヒト皮膚における合成インジルビンを含む局所組成物の浸透及び薬物動態
[0194] 合成インジルビンから構成される組成物は、表2-1、2-2及び2-3に示される量(製剤の総重量に基づく重量パーセント)の成分を含む局所製剤として調製された。
【0200】
[0195] 製剤は、最初に合成インジルビン及び任意の抗酸化剤を非油性溶媒に添加して、合成インジルビンを溶媒に溶解又は懸濁することによって調製された。次に、油性成分(油性液体又はポリエチレングリコール成分)及びワックス成分を、溶解/懸濁されたインジルビン-溶媒混合物に添加した。油性成分は、添加前に約75℃に加熱した。混合物を、Silverson L4RTホモジナイザーを10,000RPMで使用して2分間均質化し、次にIKAホットプレート上において、550RPMで周囲温度に冷却されるまで撹拌した。製剤番号438Sとして識別される製剤は、この実施例に記載されているように調製され、製剤番号438Nとして識別される製剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,833,438号に記載されるように調製された。
【0201】
【表8】
【0202】
【表9】
【0203】
【表10】
【0204】
[0196] 各製剤は、ヒト死体の皮膚を使用して、インビトロでの皮膚浸透について試験した。皮膚は、角質層を無傷で厚さ500ミクロンに切除され、角質層側がドナーウェルに面するようにインビトロ拡散装置上に置かれた。1cmの皮膚表面積に各製剤10mgを適用して、10mg/cmの用量を提供した。0.01%のBRIJ98を含むクエン酸塩/リン酸緩衝液pH5.6の受容体溶液を、装置に取り付けられた皮膚の下に8μL/分で連続的に流した。24時間後、KIMWIPE(商標)を使用して残留製剤を皮膚から除去した。角質層は、D-SQUAME(登録商標)テープによるテープ剥離によって皮膚から除去された。60℃で2分間加熱した後、表皮と真皮とを分離し、均質化し、次いで90:10のアセトニトリル/水を使用して抽出した。表皮、真皮及び受容体溶液のそれぞれにおけるAhRアゴニストであるインジルビンの量をLC-MS/MSを介して決定した。受容体溶液は、試験のために2時間ごとに自動的に収集した。比較対照として、インジゴナチュラリス植物抽出物の軟膏を調製し(米国特許第9,833,438号に記載の通り、調製方法は、参照により本明細書に組み込まれる)、インジゴナチュラリスから作製した場合には製剤識別番号438Nとして及び合成インジルビンで作製した場合には製剤識別番号438Sとして本明細書で識別される。
【0205】
[0197] 結果を上記の表1A~1C及び図1A~1Bに示す。
【0206】
実施例3
インビトロでのヒト皮膚における合成インジルビンを含む局所組成物の浸透及び薬物動態
[0198] 製剤番号OO29、OO75、OO76、OO40、OO54、OO61、OO77、OO65、OO67及びOO73として識別される組成物は、実施例2に記載されるように試験され、製剤番号438Nと比較された。製剤(438Nを除く)には、完全に溶液中であり、25℃で2、4、6又は12ヶ月にわたって化学的及び物理的に安定している合成インジルビンが含まれていた。試験製剤は、試験製剤に含まれるインジルビンのレベルが対照以下であっても、真皮、表皮及び受容体溶液において、24時間で比較対照製剤番号438Nよりも有意に多くのインジルビンを送達する。試験製剤は、24時間後に約14.7ng/cm超のインジルビン(6.4μM)を表皮に、約16.9ng/cm超のインジルビン(0.7μM)を真皮に送達することが見出される。処置された皮膚では、24時間後に受容体溶液中のインジルビンの蓄積量が1.10ng/cmを超えるが、全ての製剤のフラックスは、0.1ng/cm/時間を有意に上回る。
【0207】
実施例4
例示的な組成物
[0199] タピナロフから構成される組成物は、例えば、実施例2の手順に従って局所製剤として調製される。製剤は、表4-1及び4-2に指定された成分を有する。
【0208】
【表11】
【0209】
【表12】
【0210】
[0200] 上記の表の組成物は、乾癬(Ps)、アトピー性皮膚炎(AD)、接触性皮膚炎、化膿性汗腺炎(HS)、壊疽性膿皮症(PG)、スウィート症候群、PSTPIP-1遺伝子の変異(PAPA症候群、PAPSH症候群及びPASH症候群)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、尋常性天疱瘡、皮膚クローン病、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、結節性痒疹(PN)、慢性苔癬状粃糠疹、掌蹠膿疱症(PPP)及び紅皮症を含む、本明細書に記載の状態のいずれかを処置するために使用される。組成物は、実施例2に記載されているように、ヒト死体皮膚を使用するインビトロ皮膚浸透アッセイで試験される。組成物は、安定性アッセイを使用して安定性について試験される。組成物は、実施例4に記載されているように、インビトロ薬力学アッセイ皮膚で使用される。
【0211】
実施例5
薬力学
[0201] 新鮮に切除されたヒトの皮膚は、角質層を無傷として750ミクロンに切除され、約0.6cmの皮膚を使用する静的なフランツセル上に置いた。0.079%の合成インジルビンを含有する10μLの局所製剤OO14を刺激の16時間前又はTh17刺激の40時間前及び16時間前の両方で皮膚に適用した。対照として、0.01%ベタメタゾン(BMV)をTh17刺激の40時間前及び16時間前の両方で受容体溶液に添加した。Th17刺激培地は、Th17分極を誘導することが示されているサイトカインと抗体との混合物を含有し、Smith S.H. et al., PLoS ONE 11(2): e0147979の皮膚常在免疫細胞活性化アッセイに記載されているように作成及び添加された。皮膚をさらに24時間培養した後、qPCRのために回収し、AhR活性化のために染色した。CYP1A1は、通常の条件下では発現が不十分であり、活性化されたAhRによってアップレギュレートされるため、AhR活性化の読み取り値として選択された。IL-17a、IL-1B、S100A7及びIL-8は、Th-17型炎症に関連するメディエーターであり、HS病変で有意にアップレギュレートされることが示されているため選択された(Frew et al., F1000 Research 2018, 7:1930)。結果を表2及び図2A~2Eに示す。
【0212】
実施例6
薬力学
[0202] 製剤番号OO29、OO75、OO76、OO40、OO54、OO61、OO77、OO65、OO67、OO73として識別される組成物及びそれらの対応するプラセボは、実施例5に記載されている薬力学的(PD)研究で皮膚ドナーの数を増やし、qPCR分析物を追加して試験する。表皮及び真皮のPDは、Th17分極の16時間前に、製剤を皮膚に10μLで1回適用した後に測定される。追加のqPCR分析物には、IL-22、CCL20、TNFα及びS100A9が含まれる。一致したプラセボ対照と比較して、処置されたサンプルでCYP1A1及びIL-22の有意な増加が認められる。IL-17α、IL-1β、S100A1、S100A9、IL-8、CCL20及びTNFαの有意な減少がある。
【0213】
[0203] 製剤番号OO29、OO75、OO76、OO40、OO54、OO61、OO77、OO65、OO67、OO73及びそれらの対応するプラセボは、HS患者の病変生検で試験される。この皮膚を2つの等しい部分に分割し、上記の実施例2で説明したようにフランツセルに置き、10μLの各製剤又は対応するプラセボで処置する。24時間後、qPCR分析のために皮膚を回収する。一致したプラセボ対照と比較して、処置されたサンプルでCYP1A1及びIL-22の有意な増加が認められる。IL-17α、IL-1β、S100A1、S100A9、IL-8、CCL20及びTNFαの有意な減少がある。
【0214】
[0204] 製剤番号OO29、OO75、OO76、OO40、OO54、OO61、OO77、OO65、OO67、OO73及びそれらの対応するプラセボは、別個の活性HS病変で試験される。0.5gの各組成物又はプラセボを、活動性病変を含む直径10cmの領域に1日2回、7日間にわたって適用する。7日後、qPCR分析のために皮膚生検を回収する。一致したプラセボ対照と比較して、処置されたサンプルでCYP1A1及びIL-22の有意な増加が認められる。IL-17α、IL-1β、S100A1、S100A9、IL-8、CCL20及びTNFαの有意な減少がある。
【0215】
実施例7
HSの処置
[0205] 合成インジルビンを含む組成物は、実施例2に記載されるように調製され、HSを有する対象の皮膚に局所適用される。組成物は、患部に1日2回適用される。顕著な改善が7日以内に観察され、1ヶ月の長さの研究期間にわたって症状の継続的な減弱を伴う。
【0216】
実施例8
HSの処置
[0206] OO14として識別される実施例2の組成物が調製され、HSを有する対象の皮膚に局所適用される。組成物は、1日1回、8週間にわたって適用される。新しい炎症性結節の数の減少が観察される。プラセボ製剤と比較して、炎症性結節、膿瘍及び瘻の消散が観察された。この減少により、HSのHiScoreグレーディングが50%以上減少する。
【0217】
実施例9
HSの処置
[0207] タピナロフを含む組成物は、実施例4に記載されるように調製され、HSを有する対象の皮膚に局所適用される。組成物は、1日1回、8週間にわたって適用される。新しい炎症性結節の数の減少が観察される。プラセボ製剤と比較して、炎症性結節、膿瘍及び瘻の消散が観察された。この減少により、HSのHiScoreグレーディングが50%以上減少する。
【0218】
[0208] いくつかの例示的な態様及び実施形態が上で論じられてきたが、当業者は、それらの特定の修正形態、置換形態、追加形態及び副次的組み合わせを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲及び以下に導入される特許請求の範囲は、それらの真の趣旨及び範囲内にあるような全ての修正形態、置換形態、追加形態及び副次的組み合わせを含むと解釈されることが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E