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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220609BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220609BHJP
   F21V 17/02 20060101ALI20220609BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20220609BHJP
   B05C 9/12 20060101ALI20220609BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20220609BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220609BHJP
   F21W 131/403 20060101ALN20220609BHJP
   F21Y 107/50 20160101ALN20220609BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21S2/00 330
F21S2/00 311
F21S2/00 355
F21V5/04 100
F21V17/02
F21V17/00 250
B05C9/12
F21Y113:10
F21Y115:10
F21W131:403
F21Y107:50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017172567
(22)【出願日】2017-09-07
(65)【公開番号】P2019050082
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】506032473
【氏名又は名称】株式会社アイテックシステム
(72)【発明者】
【氏名】出島 孚
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049111(JP,A)
【文献】特開2012-119094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/04
F21V 17/02
F21V 17/00
B05C 9/12
F21W 131/403
F21Y 107/50
F21Y 113/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に延びるロッドレンズであって、前記X方向と直交するY方向に曲率を有する凸曲面を有し、該凸曲面に照射される光を前記Y方向に集光するロッドレンズと、
前記X方向にLEDが並び、前記凸曲面における前記Y方向の第1の所定範囲に光を照射する第1のLEDアレイと、
前記X方向にLEDが並び、前記凸曲面における前記Y方向の第2の所定範囲に光を照射する第2のLEDアレイと、
前記ロッドレンズを通過した前記第2のLEDアレイからの光を反射する反射部材とを備え、
該反射部材は、前記ロッドレンズを通過した前記第1のLEDアレイからの光が帯状に照射される所定の照射位置に、前記ロッドレンズを通過した前記第2のLEDアレイからの光を帯状に照射できるものである光照射装置。
【請求項2】
X方向に延びるロッドレンズであって、前記X方向と直交するY方向に曲率を有する凸曲面を有し、該凸曲面に照射される光を前記Y方向に集光するロッドレンズと、
前記X方向に並び、前記凸曲面における前記Y方向の第1の所定範囲を照射する第1のLEDアレイと、
前記X方向に並び、前記凸曲面における前記Y方向の第2の所定範囲を照射する第2のLEDアレイと、
前記ロッドレンズを通過した前記第1のLEDアレイからの光を反射し所定の照射位置に帯状に照射する第1の反射部材と、
前記ロッドレンズを通過した前記第2のLEDアレイからの光を反射し前記所定の照射位置に帯状に照射できる第2の反射部材とを備える光照射装置。
【請求項3】
前記X方向に並び、前記凸曲面における前記Y方向の第3の所定範囲に光を照射する第3のLEDアレイと、
前記ロッドレンズを通過した前記第3のLEDアレイからの光を反射する他の反射部材とを備え、
該他の反射部材は、前記所定の照射位置に前記ロッドレンズを通過した前記第3のLEDアレイからの光を帯状に照射できるものである請求項1に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記各反射部材の前記Y方向の傾きを調整する調整機構をさらに備える請求項1~3の何れかに記載の光照射装置。
【請求項5】
前記第1のLEDアレイのLEDに対し前記第2のLEDアレイのLEDは異なる波長に光量のピークを有する請求項1~4の何れかに記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光照射装置として、紫外線を出す放電管と、放電管からの紫外線を帯状の照射位置に向かって反射する凹湾曲した反射部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、放電管の代わりに複数の紫外線LEDをX方向およびY方向に並べ、複数の紫外線LEDによって照射位置を照射する光照射装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-107190号公報
【文献】特開2006-136859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前者の光照射装置は、放電管として1cm当たり数百Wの出力を有するものを用いるので、紫外線硬化樹脂(以下、単に「樹脂」とも称する。)の硬化速度を上げるのに優れているが、放電管の寿命が短い。光照射装置は樹脂の硬化工程の奥深くに配置されている場合が多いので、放電管の交換には手間と時間を要する。また、放電管の交換により樹脂の硬化速度等が変化する可能性があるので、交換の度に樹脂硬化工程の再設定を行う必要が生ずる場合もある。また、放電管が高温になるため照射位置から離さなければならないという制約もある。
【0005】
一方、後者の光照射装置は紫外線LEDを用いており、紫外線LEDは放電管に比べ十数倍から数十倍の寿命を有する。しかし、パワーLEDと呼ばれるLEDでも1つ当たり数Wの出力であるため、後者の光照射装置のように紫外線LEDをX方向およびY方向に並べただけでは放電管を用いた光照射装置と同等の樹脂の硬化速度を得ることはできない。
【0006】
例えば、図7に示すように、光照射装置100を複数設け、各光照射装置100に、パワーLEDと呼ばれる紫外線LEDがX方向に並べられたLEDアレイ110と、LEDアレイ110に沿うように配置され、LEDアレイ110からの光をX方向と直交するY方向に集光する石英等から成る円柱レンズ120とを設け、複数の光照射装置100からの光を1つの帯状の照射位置で重ねることも考えられる。これにより、帯状の照射位置の光のエネルギー密度を高くすることができる。
【0007】
ここで、紫外線は通常のガラスや透明プラスチックのレンズにより大幅に減衰するため、レンズの材質としては減衰が小さい石英等を用いる必要がある。なお、石英を用いても10%程度の減衰が生じる。
また、LEDから出た光は放射状に広がり、円柱レンズ120はX方向には集光しない。このため、光のロスを防ぐためには光照射装置と照射位置との距離をできるだけ近付ける必要があり、具体的には50mm程度まで近付けることが要求される場合が多い。
【0008】
一方、このようなパワーLEDは発熱量が多いため、LEDアレイ110が実装された基板を水冷式のヒートシンクに接触させる必要がある。つまり、各光照射装置100に水冷式のヒートシンクを設ける必要があるので、各光照射装置のY方向の寸法が大きくなる。具体的には、紫外線のパワーLEDはかなりの発熱量があるので、ヒートシンクのY方向の寸法は50mm程度、またはそれ以上になる場合が多い。従って、図7のように3つの光照射装置100をY方向に並べる場合、照射位置に対し光を45°程度の角度から斜めに入射させる光照射装置100が存在することになる。水冷のヒートシンクの代わりに空冷のヒートシングが使われる場合もあるが、発熱量が大きいためヒートシンクの寸法が大きくなる傾向に変わりはない。
【0009】
硬化対象の樹脂の形状、色、表面状態は様々であるが、樹脂印刷における樹脂の硬化の場合、黒色は内部まで光が入射し難いため、他の色に比べて硬化が遅い傾向がある。つまり、照射位置に光を斜めに入射させると反射が生じ易く、入射深度も浅くなる傾向があるので、このようなロスが生じないよう樹脂の内部まで光を入れるために、照射位置に対し光をできるだけ90°に近い方向から入射させることが好ましい。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、照射位置に照射される光量を増加させると共に光のロスの低減を図ることのできる光照射装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る光照射装置は、X方向に延びるロッドレンズであって、前記X方向と直交するY方向に曲率を有する凸曲面を有し、該凸曲面に照射される光を前記Y方向に集光するロッドレンズと、前記X方向にLEDが並び、前記凸曲面における前記Y方向の第1の所定範囲に光を照射する第1のLEDアレイと、前記X方向にLEDが並び、前記凸曲面における前記Y方向の第2の所定範囲に光を照射する第2のLEDアレイと、前記ロッドレンズを通過した前記第2のLEDアレイからの光を反射する反射部材とを備え、該反射部材は、前記ロッドレンズを通過した前記第1のLEDアレイからの光が帯状に照射される所定の照射位置に、前記ロッドレンズを通過した前記第2のLEDアレイからの光を帯状に照射できるものである。
【0012】
上記第1の態様では、同一のロッドレンズに第1のLEDアレイからの光と第2のLEDアレイからの光が照射され、第1のLEDアレイからの光が帯状に照射される照射位置に、第2のLEDアレイからの光が反射部材により反射されて帯状に照射される。このため、帯状の照射位置に第1および第2のLEDアレイからの光が照射されることになり、照射位置に照射される光量を増加することができる。
【0013】
また、例えば、第1のLEDアレイと第2のLEDアレイとのY方向の距離を近付けることや、ロッドレンズと反射部材とのY方向の距離を近付けることにより、ロッドレンズを通過した第1のLEDアレイからの光の光軸と、反射部材により反射した第2のLEDアレイからの光の光軸とがなす角度の差を小さくすることができる。
【0014】
本発明の第2の態様に係る光照射装置は、X方向に延びるロッドレンズであって、前記X方向と直交するY方向に曲率を有する凸曲面を有し、該凸曲面に照射される光を前記Y方向に集光するロッドレンズと、前記X方向に並び、前記凸曲面における周前記Y方向の第1の所定範囲を照射する第1の紫外線LEDアレイと、前記X方向に並び、前記凸曲面における周前記Y方向の第2の所定範囲を照射する第2の紫外線LEDアレイと、前記ロッドレンズを通過した前記第1の紫外線LEDアレイからの光を反射し所定の照射位置に帯状に照射する第1の反射部材と、前記集光ロッドレンズを通過した前記第2の紫外線LEDアレイからの光を反射し前記所定の照射位置に帯状に照射できる第2の反射部材とを備える。
【0015】
上記第2の態様では、同一のロッドレンズに第1のLEDアレイからの光と第2のLEDアレイからの光が照射され、第1のLEDアレイからの光が第1の反射部材により帯状に照射される照射位置に、第2のLEDアレイからの光が第2の反射部材により照射位置に帯状に照射される。このため、帯状の照射位置に第1および第2のLEDアレイからの光が照射されることになり、照射位置に照射される光量を増加することができる。
【0016】
また、例えば、第1のLEDアレイと第2のLEDアレイとのY方向の距離を近付けることや、ロッドレンズと第1および第2の反射部材とのY方向の距離を近付けることにより、第1の反射部材により反射した第1のLEDアレイからの光の光軸と、第2の反射部材により反射した第2のLEDアレイからの光の光軸とがなす角度の差を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、照射位置に照射される光量を増加させると共に光のロスの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置の概略構成図である。
図2】第1の実施形態の光照射装置により照射した光の分布を示す図である。
図3】第1の実施形態の光照射装置により照射した光の分布を示す図である。
図4】第1の実施形態の第1の変形例の光照射装置の概略構成図である。
図5】第1の実施形態の第2の変形例の光照射装置の概略構成図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る光照射装置の概略構成図である。
図7】従来の光照射装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態に係る光照射装置について図面を参照して以下に説明する。
この光照射装置は、図1に示すように、X方向(図1の紙面厚さ方向)に延びる円柱レンズであるロッドレンズ10を有する。ロッドレンズ10は石英、ホウケイ酸ガラス等の紫外線の減衰が少ない材質から成ることが好ましい。
【0020】
光照射装置は、紫外線LEDがX方向に並び、ロッドレンズ10の上面(凸曲面)におけるY方向(図1の左右方向)の第1の所定範囲A1に光を照射する第1のLEDアレイ21と、紫外線LEDがX方向に並び、ロッドレンズ10の上面におけるY方向の第2の所定範囲A2に光を照射する第2のLEDアレイ22と、紫外線LEDがX方向に並び、ロッドレンズ10の上面におけるY方向の第3の所定範囲A3に光を照射する第3のLEDアレイ23とを有する。
【0021】
本実施形態では、X方向は各LEDアレイ21,22,23のLEDの並設方向と一致しており、X方向およびY方向に直交する方向がZ方向である。また、ロッドレンズ10はその上面に照射される光をY方向に集光するものであり、一例として、LEDから放射状に出る光を図1のように略平行光となるようにY方向に屈折する。ここで言う集光とは、LEDからの光をLEDの光軸L1,L2,L3に向けてY方向に屈折させることを言い、ロッドレンズ10を通った後の光が若干拡がりながら進む場合も含む。なお、図1に示す破線は光線軌跡のイメージを示すものであり、完全に正確な光線軌跡を示すものではない。
【0022】
この光照射装置は、第1~第3のLEDアレイ21,22,23がそれぞれ実装された基板21a,22a,23aを有する。また、基板21a,22a,23aが固定されたヒートシンク31と、ヒートシンク31のY方向の両端にそれぞれ一端が取付けられ、Z方向に延びる一対の側板32と、側板32の他端に取付けられた透明なカバー33と、一対の側板32の間に形成される空間をX方向の一端および他端で閉鎖する一対の端部材(図示せず)とを備えた照射装置本体30を有する。ヒートシンク31は内部に冷却水が通る冷却水通路(図示せず)が設けられ、冷却水通路に冷却水供給装置から冷却水が供給される。また、ロッドレンズ10の両端は例えば照射装置本体30の一対の端部材により支持されている。
【0023】
本実施形態では、第1のLEDアレイ21の光軸L1はZ軸に平行であり、光軸L1に対して第2および第3のLEDアレイ22,23の光軸L2、L3はY方向に45°傾いている。
光照射装置は、ロッドレンズ10を通過した第2のLEDアレイ22からの光を反射する反射部材42と、ロッドレンズ10を通過した第3のLEDアレイ23からの光を反射する反射部材43とを有する。
【0024】
各反射部材42,43は照射装置本体30に取付けられている。具体的には、各反射部材42,43のZ方向の一端(各LEDアレイ21,22,23に近い側)は照射装置本体30に固定され、各反射部材42,43のZ方向の他端側はねじ部材(調整機構)42b,43bによってY方向に位置決めされている。
【0025】
反射部材42のロッドレンズ10側の面には第2のLEDアレイ22からの光を反射する平面状の反射面42aが設けられ、反射部材43のロッドレンズ10側の面には第3のLEDアレイ23からの光を反射する平面状の反射面43aが設けられている。各反射面42a,43aは、例えば、基材表面にアルミニウムを蒸着して形成された白色の反射面や、基材表面を研磨して形成された鏡面である。基材はガラス、金属、プラスチック等である。Z方向の一端側から他端側に向かって反射面42a,43aの間隔が徐々に離れるように、各反射部材42,43が形成されている。
【0026】
ねじ部材42b,42bはそれぞれX方向に間隔をおいて複数設けられている。また、ねじ部材42b,43bは側板32に螺合すると共に、各反射部材42,43のZ方向の他端側にY方向に当接している。この構造により、ねじ部材42b,43bは各反射部材42,43のZ方向の他端側を互いに近付くようにY方向に弾性変形させ、反射面42a,43aのY方向の傾きの角度αを調整することができる。例えば、ねじ部材42bを回転させてねじ部材42bの照射装置本体30内の突出量を増加させると、反射部材42の弾性変形量が大きくなり角度αが小さくなる。
【0027】
第1のLEDアレイ21からの光はロッドレンズ10によりY方向に集光され、所定の搬送方向Aに向かって搬送される樹脂P上における所定の照射位置に帯状に照射される。また、第2のLEDアレイ22からの光は、ロッドレンズ10によりY方向に集光されると共に反射部材42により反射され、樹脂P上に帯状に照射される。第3のLEDアレイ23からの光は、ロッドレンズ10によりY方向に集光されると共に反射部材43により反射され、樹脂P上に帯状に照射される。
【0028】
このように、本実施形態によれば、同一のロッドレンズ10に第1のLEDアレイ21からの光と、第2のLEDアレイ22からの光と、第3のLEDアレイ23からの光とが照射され、第1のLEDアレイ21からの光が帯状に照射される照射位置に、第2のLEDアレイ22からの光が反射部材42により反射されて帯状に照射され、また、第3のLEDアレイ23からの光も反射部材43により反射されて帯状に照射される。このため、帯状の照射位置に第1、第2、および第3のLEDアレイ21,22,23からの光が照射されることになり、照射位置に照射される光量を増加することができる。
【0029】
また、第1のLEDアレイ21の位置と第2のLEDアレイ22の位置とをY方向に近付けることや、ロッドレンズ10の位置と反射部材42の位置とをY方向に近付けることにより、第1のLEDアレイ21からの光の光軸L1と、反射部材42により反射した第2のLEDアレイ22からの光の光軸L2とがなす角度βを小さくすることができる。第3のLEDアレイ23および反射部材43についても同様である。
【0030】
また、図1の状態では、LED基板22a,23aは光軸L2および光軸L3がY方向に45°傾くようにヒートシンク31に取付けられると共に、第1~第3のLEDアレイ21,22,23からの光が同一の照射位置に照射されている状態で、角度βが15°程度であるが、光軸L2,L3のY軸方向の傾きを小さくし、LED基板22aおよびLED基板23aの位置とLED基板21aの位置とをY方向に近付けることにより、角度βをより小さくすることができる。
【0031】
また、反射部材42,43のZ方向の他端側(反射面42a,43a)のY方向の傾きを調整する調整機構としてねじ部材42b,43bを有する。このため、ねじ部材42b,43bにより反射面42a,43aのY方向の傾きを調整して、第2のLEDアレイ22からの光の帯状の照射位置を例えば搬送方向Aの上流側に移動させ、第3のLEDアレイ23からの光の帯状の照射位置を例えば搬送方向Aの下流側に移動させることができる。
【0032】
例えば、図1では第1、第2、および第3のLEDアレイ21,22,23の帯状の照射位置が一致しているので、図2のように照射位置内の各々の位置の光量が多い状態であるが、第2のLEDアレイ22の光の照射位置をその幅の分だけ搬送方向Aの上流側に移動させ、第3のLEDアレイ23の光の照射位置を移動させない場合は、図3のように照射位置が搬送方向Aに広くなると共に、照射位置内の各々の位置における光量が変化する。なお、第2のLEDアレイ22の光の照射位置を搬送方向Aの上流側に移動させ、第3のLEDアレイ23の光の照射位置を搬送方向Aの下流側に移動させると、照射幅が広がり、同時に角度βをより小さくすることができる。
【0033】
このように、反射部材42,43のZ方向の他端側のY方向の傾きを調整することにより、照射位置の照射幅や光量の分布を調整することができる。硬化する樹脂の種類、形状、特性、搬送方向Aへの搬送速度等により、照射位置の幅や光量の最適な条件が異なるので、当該構成は様々な状況に対応する上で極めて有利である。
【0034】
また、例えば第1のLEDアレイ21の紫外線LEDの種類と第2のLEDアレイ22の紫外線LEDの種類を異ならせることも可能である。例えば、第1のLEDアレイ21に405nmの近傍に光量のピークがある紫外線LEDを使用し、第2のLEDアレイ22に365nmの近傍に光量のピークがある紫外線LEDを使用することができる。この場合に図3の状態にすると、搬送方向Aに搬送される樹脂Pに最初に第2のLEDアレイ22の光が照射され、その後に第1および第3のLEDアレイ21,23の光が照射されることになる。樹脂の種類、形状、特性等によっては、硬化のきっかけを作る紫外線の波長と硬化を進める紫外線の波長とが異なる場合もあり得る。このような状況の時に、各LEDアレイ21,22,23の紫外線LEDの種類を異ならせることは有効である。
【0035】
なお、本実施形態において、第3のLEDアレイ23を設けない仕様とすることも可能である。一方、例えば図4に示すように、第4のLEDアレイ24および第5のLEDアレイ25のように、さらに他のLEDアレイを設けることも可能である。この場合、第4のLEDアレイ24からの光と第5のLEDアレイ25からの光もそれぞれ光軸L4,L5に沿って樹脂P上に照射される。
【0036】
さらに、反射面42a,42bは、凹湾曲した反射面、複数の平面から成る反射面等であってもよい。例えば、図5に示すように反射面42a,42bを凹湾曲面としてもよい。凹湾曲の程度を調整することにより、図5のように照射位置における光軸L2およびL3と光軸L4およびL5との距離を近付けることも可能であり、一致させることも可能である。
【0037】
本発明の第2の実施形態に係る光照射装置について図面を参照して以下に説明する。
この光照射装置は、図6に示すように、第1の実施形態において第1のLEDアレイ21を設けない仕様である。また、第2の実施形態では、第1のLEDアレイ21を設けていないので、第2のLEDアレイ22を第1のLEDアレイと称し、第3のLEDアレイ23を第2のLEDアレイと称する。また、反射部材42を第1の反射部材と称し、反射部材43を第2の反射部材と称する。
【0038】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、同一のロッドレンズ10に第1のLEDアレイ22からの光と、第2のLEDアレイ23からの光とが照射され、第1のLEDアレイ22からの光が第1の反射部材42により帯状に照射される照射位置に、第2のLEDアレイ23からの光が反射部材43により反射されて帯状に照射される。このため、帯状の照射位置に第1および第2のLEDアレイ22,23からの光が照射されることになり、照射位置に照射される光量を増加することができる。
【0039】
また、第1の実施形態と同様に、第1のLEDアレイ22の位置と第2のLEDアレイ23の位置とをY方向に近付けることや、ロッドレンズ10の位置と反射部材42,43の位置とをY方向に近付けることや、光軸L2,L3のY軸方向の傾きを小さくすることが可能である。
また、第1の実施形態と同様に、ねじ部材42b,43bにより反射部材42,43のZ方向の他端側(反射面42a,43a)のY方向の傾きを調整して、各LEDアレイ22,23からの光の照射位置を搬送方向Aに調整することが可能である。
【0040】
また、第1の実施形態と同様に、第1のLEDアレイ22の紫外線LEDの種類と第2のLEDアレイ23の紫外線LEDの種類を異ならせることも可能であり、LEDアレイ24およびLEDアレイ25を設けることも可能であり、反射面42a,42bを凹湾曲した反射面、複数の平面から成る反射面等としてもよい。
【0041】
なお、第1の実施形態において、第1のLEDアレイ21の各紫外線LEDの位置と、第2のLEDアレイ22の各紫外線LEDの位置とを、X方向にずらすと共に、第2のLEDアレイ22の各紫外線LEDの位置と、第3のLEDアレイ23の各紫外線LEDの位置とを、X方向にずらすことも可能である。これにより、照射位置における光量のムラが低減される。
同様に、第2の実施形態において、第1のLEDアレイ22の各紫外線LEDの位置と、第2のLEDアレイ23の各紫外線の位置とを、X方向にずらすことも可能である。
【0042】
また、第1および第2の実施形態において、照射位置の光量のムラを低減するために、ロッドレンズ10および反射部材42,43と照射位置との間に光を拡散させる拡散レンズを配置することも可能である。拡散レンズとしては、例えばフライアイレンズを用いることができ、カバー33の近傍やカバー33の代わりに拡散レンズを設けることができる。
【0043】
また、第1および第2の実施形態では、ねじ部材42b,43bが、反射部材42,43の弾性変形の反力に抗して、反射部材42,43のZ方向の他端側をY方向に移動させるものを示した。これに対し、反射部材42,43のZ方向の他端側を互いに離れる方向に付勢するスプリング等の付勢部材を設け、ねじ部材42b,43bが付勢部材の付勢力に抗して反射部材42,43のZ方向の他端側をY方向に移動させるように構成してもよい。この場合、反射部材42,43自体が弾性変形するものでなくても、ねじ部材42b,43bの照射装置本体30内の突出量を変化させることにより、反射部材42,43のZ方向の他端側の傾きを調整することができる。なお、ねじ部材42b,43bの代わりにモータ、歯車等の他の機構を用いて反射部材42,43のY方向の傾きを調整する調整機構を構成することも可能である。
【0044】
また、第1および第2の実施形態では、反射部材42,43のZ方向の他端側のY方向の位置を調整可能に構成しているが、反射部材42,43のZ方向の一端側のY方向の位置を調整するように構成してもよい。
また、第1および第2の実施形態において、各LEDアレイ21,22,23,24,25のLEDが可視光を射出するLEDとし、光照射装置により検査対象に帯状に光を照射するように構成してもよい。この場合、帯状の照射位置を検査用センサを用いて観察し、光量の増加によって検査の高速化を図ることができる。
【0045】
さらに、各LEDアレイ21,22,23,24,25を互いに異なる色を照射するLEDアレイとすることもできる。例えば、図1において第1のLEDアレイ21を青色の光を照射するLEDアレイとし、第2のLEDアレイ22を緑色の光を照射するLEDアレイとし、第3のLEDアレイ23を赤色の光を照射するLEDアレイとすることができる。これにより、照射位置に青、緑、又は赤色の光を照射することが可能となり、さらに青、緑、赤色の光が混合された光を照射することも可能となる。
【符号の説明】
【0046】
10…ロッドレンズ、21…第1のLEDアレイ、22…第2のLEDアレイ、23…第3のLEDアレイ、30…照射装置本体、31…ヒートシンク、32…側板、42,43…反射部材、42a,43a…反射面、42b,43b…ねじ部材、P…樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7