(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
F24D 15/00 20220101AFI20220609BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20220609BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20220609BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220609BHJP
F24H 15/40 20220101ALI20220609BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20220609BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20220609BHJP
F24F 11/58 20180101ALI20220609BHJP
【FI】
F24D15/00 B
A47K4/00
E04H1/12 301
H04Q9/00 301D
F24H15/40
F24F7/06 B
F24F7/007 B
F24F11/58
(21)【出願番号】P 2018139403
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】園畑 勲
(72)【発明者】
【氏名】原口 俊尚
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187219(JP,A)
【文献】特開2014-229362(JP,A)
【文献】特開2005-328295(JP,A)
【文献】特開2007-187339(JP,A)
【文献】中国特許第101090580(CN,B)
【文献】特開2005-328296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 15/00
A47K 4/00
E04H 1/12
H04Q 9/00
F24H 15/40
F24F 7/06
F24F 7/007
F24F 11/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を含む壁によって構成される浴室又は洗面所に設けられる浴室機器と、
前記浴室機器を動作させるための制御信号を送信する電波式の遠隔リモコンと、
前記浴室の外側に設けられ、前記遠隔リモコンからの前記制御信号を受信する受信部と、
前記受信部から前記制御信号を受け、前記遠隔リモコンからの前記制御信号に基づいて前記浴室機器の動作を制御する制御部と、
前記制御部と有線接続される有線リモコンと、
を備え、
前記遠隔リモコンは、ペアリングを行うためのペアリング信号を送信可能であり、
前記制御部は、前記有線リモコンの操作に応じて前記遠隔リモコンからの前記ペアリング信号を受け付けるペアリング認可モードに移行し、ペアリングされた前記遠隔リモコンからの前記制御信号のみを受け付けることを特徴とする浴室システム。
【請求項2】
前記有線リモコンは、ペアリングを許可するか否かを報知可能なペアリング報知部を有し、
前記制御部は、前記受信部において受信された前記ペアリング信号の電波強度が第1閾値を超えた場合に、ペアリングを許可するか否かを前記有線リモコンの前記ペアリング報知部に報知させることを特徴とする請求項1記載の浴室システム。
【請求項3】
前記有線リモコンは、ペアリングを許可するか否かの操作を入力するための操作部を有し、
前記制御部は、前記有線リモコンの前記操作部の操作に応じて、ペアリングの可否を決定することを特徴とする請求項2記載の浴室システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1閾値よりも低い第2閾値を有し、前記ペアリング認可モードにおいて、前記ペアリング信号の電波強度が前記第1閾値を複数回超えない場合に、前記第2閾値を設定し、前記第2閾値を超えた場合に、ペアリングを許可するか否かを前記有線リモコンの前記ペアリング報知部に報知させることを特徴とする請求項2又は3に記載の浴室システム。
【請求項5】
前記有線リモコンは、ペアリングの完了を報知可能な完了報知部を有し、
前記制御部は、ペアリングの完了に応じて、ペアリングの完了を前記有線リモコンの前記完了報知部に報知させることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の浴室システム。
【請求項6】
前記制御部は、ペアリングの完了に応じて前記ペアリング認可モードを自動的に終了することを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
入浴行為の際に、洗面所と浴室内との温度差によって、使用者の血圧が大きく変動し、使用者が心筋梗塞や脳梗塞などを起こしてしまうことがある。こうした温度差に起因する身体への影響は、例えば、ヒートショックと呼ばれており、ヒートショックを抑制するための技術の開発が行われている。
【0003】
ヒートショックを抑制するための対策の一例としては、浴室近傍に設けられている浴室機器(暖房装置など)のリモコンを操作して、事前に温度差を低下させることが考えられるが、リビングなどにいる使用者が、その度に浴室や洗面所にリモコンを操作しに行くのは使い勝手が悪い。そこで、リビングなどから浴室機器を操作することができるリモコンが望まれている。さらに、使いやすさを考えると、手持ち式のリモコンが望ましい。
【0004】
例えば、特許文献1では、赤外線式のリモコンによってリビングなどから浴室機器を操作できるようにしている。しかしながら、特許文献1の技術では、壁などを透過しない赤外線式であるため、リビングなどにリモコンの受信機を配置しなければならない。例えば、受信機をリビングなどから浴室や洗面所などまで配線しなければならず、設置に手間がかかってしまう。そのため、通信方式としては、壁などを透過可能な電波式が望ましい。
【0005】
しかしながら、浴室の壁には、金属(鋼板)が用いられている場合がある。このため、電波式のリモコンからの信号を受信する受信部を浴室内に設置すると、電波での通信ができなくなってしまう可能性がある。従って、受信部は、どの部屋からもリモコンの電波が届くように浴室の外側に設置する必要がある。受信部の設置場所としては、スペース確保の容易性やメンテナンスの容易性などから、例えば、浴室天井の上が望ましい。
【0006】
受信部は、受信した信号を浴室機器の制御部に入力する。制御部は、入力された信号に応じて浴室機器の動作を制御する。これにより、リモコンとの電波通信を介して浴室機器の動作が操作される。この際、電波通信を介する浴室機器の操作を適切に行うためには、隣家などから送信された不要な信号による誤動作を抑制するために、制御部とリモコンとを関連付けるペアリングを行う必要がある。ペアリングは、例えば、受信部のペアリングスイッチを押すことによって実行される。この際、上記のように浴室天井の上などに受信部を設置してしまうと、受信部の操作によるペアリングの作業性が、非常に悪くなってしまう。このため、浴室システムでは、電波式のリモコンとの電波通信を適切に行えるようにしつつ、ペアリングの作業性を向上させることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、電波式のリモコンとの電波通信を適切に行えるようにしつつ、ペアリングの作業性を向上させた浴室システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、金属を含む壁によって構成される浴室又は洗面所に設けられる浴室機器と、前記浴室機器を動作させるための制御信号を送信する電波式の遠隔リモコンと、前記浴室の外側に設けられ、前記遠隔リモコンからの前記制御信号を受信する受信部と、前記受信部から前記制御信号を受け、前記遠隔リモコンからの前記制御信号に基づいて前記浴室機器の動作を制御する制御部と、前記制御部と有線接続される有線リモコンと、を備え、前記遠隔リモコンは、ペアリングを行うためのペアリング信号を送信可能であり、前記制御部は、前記有線リモコンの操作に応じて前記遠隔リモコンからの前記ペアリング信号を受け付けるペアリング認可モードに移行し、ペアリングされた前記遠隔リモコンからの前記制御信号のみを受け付けることを特徴とする浴室システムである。
【0010】
この浴室システムによれば、有線リモコンの操作によって制御部をペアリング認可モードに移行させることができ、作業性の悪い位置に受信部や制御部を配置した場合であっても、ペアリングの操作性を向上させることができる。また、浴室の外側に受信部が配置されているため、どの部屋から送信された遠隔リモコンの信号も受信部に受信させ易くすることができる。これにより、ペアリングをより確実に行うことができる。従って、電波式の遠隔リモコンとの電波通信を適切に行えるようにしつつ、ペアリングの作業性を向上させた浴室システムを提供することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記有線リモコンは、ペアリングを許可するか否かを報知可能なペアリング報知部を有し、前記制御部は、前記受信部において受信された前記ペアリング信号の電波強度が第1閾値を超えた場合に、ペアリングを許可するか否かを前記有線リモコンの前記ペアリング報知部に報知させることを特徴とする浴室システムである。
【0012】
この浴室システムによれば、電波強度が第1閾値を超えた場合にペアリングを許可するか否かを有線リモコンのペアリング報知部に報知させることで、例えば、マンションなどの集合住宅において、隣人宅の遠隔リモコンなどから送信されたペアリング信号を受信し、制御部が関係の無い遠隔リモコンなどとペアリングしてしまうことを抑制することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、前記有線リモコンは、ペアリングを許可するか否かの操作を入力するための操作部を有し、前記制御部は、前記有線リモコンの前記操作部の操作に応じて、ペアリングの可否を決定することを特徴とする浴室システムである。
【0014】
この浴室システムによれば、有線リモコンの操作部の操作によってペアリングの可否を決定することにより、制御部が関係の無い遠隔リモコンなどとペアリングしてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0015】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記制御部は、前記第1閾値よりも低い第2閾値を有し、前記ペアリング認可モードにおいて、前記ペアリング信号の電波強度が前記第1閾値を複数回超えない場合に、前記第2閾値を設定し、前記第2閾値を超えた場合に、ペアリングを許可するか否かを前記有線リモコンの前記ペアリング報知部に報知させることを特徴とする浴室システムである。
【0016】
この浴室システムによれば、制御部が第2閾値を有し、ペアリング信号の電波強度が第1閾値を複数回超えない場合に、第2閾値を設定し、第2閾値を超えた場合に、ペアリング報知部で報知を行う。これにより、ペアリングの作業性をより向上させることができる。例えば、第1閾値を超えることでペアリングするか否かを判断することで、関係の無い遠隔リモコンなどとペアリングしてしまうことを抑制できるが、壁の厚みや住宅の大きさなどの当人宅の環境によっても、受信部に到達するペアリング信号の電波強度は変わってしまう。電波強度の判定の閾値が一定であると、ペアリングを実行したいのにペアリングできない状態が続いてしまう可能性がある。そのため、ペアリングを複数回実行し、第1閾値を複数回超えない場合には、第2閾値を設定し、第2閾値を超えた場合に、ペアリングを許可できるようにする。これにより、ペアリングを実行したいのにペアリングできない状態が続いてしまうことを抑制することができる。
【0017】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記有線リモコンは、ペアリングの完了を報知可能な完了報知部を有し、前記制御部は、ペアリングの完了に応じて、ペアリングの完了を前記有線リモコンの前記完了報知部に報知させることを特徴とする浴室システムである。
【0018】
この浴室システムによれば、作業性の悪い位置に受信部や制御部を配置した場合であっても、有線リモコンの完了報知部にペアリングの完了を報知させることにより、ペアリングの完了を作業者に容易に認識させることができる。
【0019】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、前記制御部は、ペアリングの完了に応じて前記ペアリング認可モードを自動的に終了することを特徴とする浴室システムである。
【0020】
この浴室システムによれば、制御部が、ペアリングの完了に応じてペアリング認可モードを自動的に終了することにより、作業者の作業を減らすことができ、ペアリングの作業性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の態様によれば、電波式のリモコンとの電波通信を適切に行えるようにしつつ、ペアリングの作業性を向上させた浴室システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係る浴室システムを模式的に表す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る浴室システムを模式的に表すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る浴室システムの動作を模式的に表すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態に係る浴室システムの動作を模式的に表すフローチャートである。
【
図5】第3の実施形態に係る浴室システムの動作を模式的に表すフローチャートである。
【
図6】第4の実施形態に係る浴室システムの動作を模式的に表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る浴室システムを模式的に表す斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係る浴室システムを模式的に表すブロック図である。
図1及び
図2に表したように、浴室システム10は、浴室機器12と、遠隔リモコン14と、受信部16と、制御部18と、有線リモコン20と、を備える。
【0025】
浴室機器12は、金属を含む壁によって構成される浴室2又は洗面所4に設けられる。浴室システム10は、例えば、複数の浴室機器12を備える。但し、浴室システム10に設けられる浴室機器12の数は、複数に限ることなく、1つでもよい。
【0026】
浴室2は、建築の浴室部6に設けられる。浴室2の天井には、天井裏(浴室2と浴室部6の天井面との間の空間)に通じる点検口2aが設けられている。浴室2は、例えば、浴槽、洗い場床、壁パネル、及び天井パネルなどをユニット化した、いわゆるユニットバスやシステムバスである。浴室2では、例えば、壁パネルや天井パネルに鋼板が用いられる。このため、浴室2の内部の空間は、金属によって覆われる。洗面所4は、浴室部6に隣接する建築の洗面室部8に設けられる。洗面所4は、例えば、脱衣所であってもよい。
【0027】
浴室システム10は、例えば、浴室空調機器30、掃除機器31、給湯器32、浴槽の排水栓33、浴室2の照明34、マッサージ機器35、及び洗面所空調機器36などを浴室機器12として有する。また、
図1では、便宜的に洗面所空調機器36のみを浴室機器12の一例として図示している。
【0028】
浴室空調機器30は、例えば、浴室2の天井に設けられる。浴室空調機器30は、温風を吹き出して浴室2内を暖める暖房機能、風(例えば温風)を吹き出して浴室2内に吊るされた衣類等を乾燥させる乾燥機能、及び、浴室2内を換気する換気機能、の少なくともいずれかを有する。浴室空調機器30は、例えば浴室換気暖房乾燥機である。浴室空調機器30は、換気扇でもよい。
【0029】
掃除機器31は、浴室2の内部に設けられる。掃除機器31は、例えば、浴槽の内壁に洗剤や水(湯)を散布する機器である。または、掃除機器31は、浴室2の床(洗い場)に水や除菌水等を散布する機器でもよい。
【0030】
給湯器32は、例えば浴室2の外部に設けられ、浴槽や浴室2内の水栓装置に湯を供給する。排水栓33は、浴槽に設けられる。排水栓33が開くことで、浴槽内の水や湯が排出される。照明34は、例えば、浴室2の天井や壁面等に設けられる照明である。
【0031】
マッサージ機器35は、例えば浴槽に設けられ、浴槽内の水(湯)に泡を発生させる気泡発生装置である。または、マッサージ機器35は、浴槽内に水流を発生させる水流発生装置である。
【0032】
洗面所空調機器36は、例えば、洗面所4の壁面の上部に設けられる。洗面所空調機器36は、例えば、温風を吹き出して洗面所4内を暖める暖房機能、涼風を吹き出す涼風機能、及び温風を吹き出して髪などを乾かし易くするドライヤ機能の少なくともいずれかを有する。洗面所空調機器36は、例えば、換気扇でもよい。
【0033】
但し、浴室機器12は、これらに限ることなく、浴室2又は洗面所4に設けられる任意の機器でよい。浴室機器12は、例えば、浴槽内の使用者の肩に向けて湯を吐出する吐水装置(肩湯装置)などであってもよい。
【0034】
遠隔リモコン14は、各浴室機器12を動作させるための制御信号を送信する電波式のリモコンである。遠隔リモコン14は、使用者などからの操作を受け付けるための操作部40を有する。使用者は、遠隔リモコン14の操作部40を操作することにより、各浴室機器12の動作を操作することができる。操作部40は、複数のボタンやスイッチなどで構成してもよいし、タッチパネルなどで構成してもよい。操作部40は、各浴室機器12の種々の動作を制御可能な任意の構成でよい。
【0035】
浴室機器12が複数設けられた場合、遠隔リモコン14は、複数の浴室機器12の少なくともいずれかを動作させる。遠隔リモコン14は、各浴室機器12のそれぞれの動作を操作できるようにしてもよい。浴室システム10は、各浴室機器12に対応した複数の遠隔リモコン14を有してもよい。
【0036】
遠隔リモコン14は、例えば浴室2の外部で用いられる。遠隔リモコン14は、例えば、リビングルームやキッチンで用いられる。これにより、リビングやキッチンなどの外部の部屋から各浴室機器12の動作を操作することができる。浴室システム10では、例えば、使用者が、リビングルームなどから遠隔リモコン14を操作することにより、浴室空調機器30及び洗面所空調機器36を動作させる。これにより、使用者に浴室2や洗面所4に逐一向かわせる手間をかけさせることなく、温度差を低下させることができる。なお、遠隔リモコン14は、持ち運び可能であってもよいし、浴室2の外部の部屋などに設置してもよい。
【0037】
受信部16は、浴室2の外側に設けられ、遠隔リモコン14からの制御信号を受信する。また、受信部16は、例えば、浴室2の外側において、さらに浴室機器12の金属を含む筐体の外側に設けられる。例えば、浴室機器12の筐体が、樹脂などの電波を透過可能な材料で形成されている場合などには、浴室2の外側に設置された浴室機器12の内部に受信部16を設けてもよい。受信部16は、制御部18と接続されている。受信部16は、遠隔リモコン14から送信された電波を受信すると、その電波に含まれる無線信号の制御信号を電気信号の制御信号に変換し、変換後の制御信号を制御部18に入力する。
【0038】
受信部16は、例えば、浴室2の壁よりも上方に配置される。換言すれば、受信部16は、浴室2の天井の上に配置される。但し、受信部16の位置は、これに限ることなく、金属を含む浴室2や各浴室機器12の影響を受けることなく遠隔リモコン14からの信号を受信することができる任意の位置でよい。
【0039】
制御部18は、受信部16から制御信号を受け、遠隔リモコン14からの制御信号に基づいて、各浴室機器12の動作を制御する。これにより、使用者の遠隔リモコン14の操作に基づいて、各浴室機器12が動作する。
【0040】
この例において、制御部18は、各浴室機器12及び受信部16と別体に設けられている。制御部18は、例えば、各浴室機器12及び受信部16と有線を介して接続されることにより、受信部16から制御信号を受け、制御信号に基づいて各浴室機器12の動作を制御する。制御部18は、例えば、受信部16と同様に、浴室2の天井の上に配置される。但し、制御部18の位置は、これに限ることなく、浴室2又は洗面所4の任意の位置でよい。
【0041】
なお、制御部18の構成は、上記に限定されるものではない。制御部18は、例えば、各浴室機器12のいずれかと一体的に設けてもよいし、受信部16と一体的に設けてもよい。例えば、制御部18が浴室機器12に一体的に組み込まれている場合には、制御部18は、浴室機器12を介して受信部16から制御信号を受けてもよい。このように、制御部18は、受信部16から直接的に制御信号を受ける構成でもよいし、他の機器などを介して受信部16からの制御信号を受ける構成でもよい。
【0042】
また、浴室システム10は、例えば、各浴室機器12のそれぞれに対応した複数の制御部18を有してもよい。この場合、受信部16は、複数の制御部18のそれぞれに遠隔リモコン14の制御信号を入力してもよいし、複数の制御部18のいずれか1つのみに遠隔リモコン14の制御信号を入力してもよい。
【0043】
電波通信には、例えば、300メガヘルツ(MHz)以上5ギガヘルツ(GHz)以下程度の周波数帯域の電波が用いられる。遠隔リモコン14と受信部16との間の電波通信には、例えば2.4GHzの電波が用いられる。受信部16と制御部18との間の通信は、有線通信であっても無線通信(例えば電波通信)であってもよい。制御部18とその他の浴室機器12との間の通信は、有線通信であっても無線通信(例えば電波通信)であってもよい。
【0044】
有線リモコン20は、制御部18と有線接続される。有線リモコン20は、例えば、浴室2内の壁面又は洗面所4内の壁面に設けられる。有線リモコン20は、各浴室機器12を動作させるための制御信号を制御部18に送信する。例えば、浴室システム10が、各浴室機器12のそれぞれに対応した複数の制御部18を有する場合などには、浴室システム10は、各浴室機器12及び各制御部18のそれぞれに対応した複数の有線リモコン20を有してもよい。有線リモコン20は、例えば、浴室機器12などを介して制御部18と有線接続してもよい。
【0045】
制御部18は、遠隔リモコン14からの制御信号に基づいて各浴室機器12の動作を制御するとともに、有線リモコン20からの制御信号によっても、各浴室機器12の動作を制御する。これにより、浴室システム10では、使用者がリビングなどにいる場合には、遠隔リモコン14を操作することによって各浴室機器12の動作を操作することができ、使用者が浴室2又は洗面所4にいる場合には、有線リモコン20を操作することによって各浴室機器12の動作を操作することができる。例えば、複数の浴室機器12のうちの1つに対応させて有線リモコン20を設け、1つの浴室機器12のみを有線リモコン20で操作し、他の浴室機器12を遠隔リモコン14で操作する構成などとしてもよい。
【0046】
有線リモコン20は、報知部50(ペアリング報知部、完了報知部)と、操作部52と、を有する。報知部50は、使用者などに対して種々の報知を行う。報知部50は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置である。報知部50は、例えば、光によって報知を行う発光素子や、音声によって報知を行うスピーカなどでもよい。報知部50は、使用者などに対して所定の報知を行うことが可能な任意の部材でよい。
【0047】
操作部52は、使用者などからの操作を受け付ける。使用者は、有線リモコン20の操作部52を操作することにより、各浴室機器12の動作を操作することができる。操作部52は、複数のボタンやスイッチなどで構成してもよいし、タッチパネルなどで構成してもよい。報知部50に表示装置を用い、操作部52にタッチパネルを用いる場合には、これらを一体的に構成してもよい。操作部52は、各浴室機器12の種々の動作を制御可能な任意の構成でよい。
【0048】
電波を用いて通信を行う遠隔リモコン14では、例えば、隣人宅の別の遠隔リモコン14などから送信された制御信号による誤動作を抑制するために、遠隔リモコン14と制御部18とを相互に関連付けるペアリングと呼ばれる作業を行う必要がある。
【0049】
遠隔リモコン14は、ペアリングを行うためのペアリング信号を送信可能である。遠隔リモコン14は、例えば、操作部40において所定の操作が行われることにより、ペアリング信号を送信する。ペアリング信号は、例えば、遠隔リモコン14を識別するための識別情報を含む。
【0050】
制御部18は、有線リモコン20の操作部52における所定の操作に応じて遠隔リモコン14からのペアリング信号を受け付けるペアリング認可モードに移行する。制御部18は、例えば、ペアリング認可モードの状態で受信部16からペアリング信号が入力された場合に、ペアリング信号に含まれる識別情報を記憶する。これにより、制御部18と遠隔リモコン14とのペアリングが行われる。
【0051】
制御部18は、ペアリングされた遠隔リモコン14からの制御信号のみを受け付ける。遠隔リモコン14は、制御信号にも自身の識別情報を含める。制御部18は、制御信号に含まれる識別信号と記憶した識別情報とが一致する場合にのみ、その制御信号を受け付ける。これにより、隣人宅の別の遠隔リモコン14からの制御信号などによる誤動作を抑制することができる。
【0052】
図3は、第1の実施形態に係る浴室システムの動作を模式的に表すフローチャートである。
浴室システム10において遠隔リモコン14と制御部18とをペアリングする場合には、まず、有線リモコン20の操作部52で所定の操作を行うことにより、ペアリング認可モードへの移行を制御部18に指示する。
【0053】
制御部18は、有線リモコン20からのペアリング認可モードへの移行指示の入力に応じて、各浴室機器12の動作を制御する通常の動作モードからペアリング認可モードに移行する(
図3のステップS101)。
【0054】
制御部18をペアリング認可モードに移行させた後、遠隔リモコン14の操作部40で所定の操作を行うことにより、遠隔リモコン14からペアリング信号を送信する。
【0055】
制御部18は、受信部16が遠隔リモコン14からのペアリング信号を受信したか否かを判断する。(
図3のステップS102)。ペアリング信号を受信した場合、制御部18は、ペアリング認可モードであるため、ペアリング信号を送信した遠隔リモコン14とのペアリングを行う。制御部18は、例えば、ペアリング信号に含まれる識別情報を記憶することにより、ペアリングを行う。これにより、制御部18は、遠隔リモコン14とのペアリングを成立させる(
図3のステップS103)。
【0056】
一方、制御部18は、ペアリング信号を受信しない場合、ペアリングを行わずに、ペアリングを不成立とする(
図3のステップS104)。制御部18は、例えば、ペアリング認可モードに移行した後、ペアリング信号を所定時間受信しない場合に、ペアリングを不成立とする。また、制御部18は、ペアリング認可モードに移行していない状態でペアリング信号を受信した場合にも、ペアリングを不成立とする。これにより、意図しない遠隔リモコン14などとの不適切なペアリングを抑制することができる。
【0057】
以上、説明したように、本実施形態に係る浴室システム10では、有線リモコン20の操作によって制御部18をペアリング認可モードに移行させることができ、作業性の悪い位置に受信部16や制御部18を配置した場合であっても、ペアリングの操作性を向上させることができる。また、浴室2の外側に受信部16が配置されているため、どの部屋から送信された遠隔リモコン14の信号も受信部16に受信させ易くすることができる。これにより、遠隔リモコン14によって各浴室機器12を適切に操作できるとともに、ペアリングをより確実に行うことができる。従って、電波式の遠隔リモコン14との電波通信を適切に行えるようにしつつ、ペアリングの作業性を向上させた浴室システム10を提供することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る浴室システムの動作を模式的に表すフローチャートである。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は、省略する。
図4に表したように、この例においては、まず、上記第1の実施形態と同様に、有線リモコン20の操作によるペアリング認可モードへの移行指示と、制御部18のペアリング認可モードへの移行と、遠隔リモコン14の操作によるペアリング信号の送信と、を行う(
図4のステップS201)。
【0059】
制御部18は、受信部16がペアリング信号を受信すると、受信されたペアリング信号の電波強度が第1閾値を超えたか否かを判定する(
図4のステップS202)。そして、制御部18は、ペアリング信号の電波強度が第1閾値を超えた場合に、ペアリングを許可するか否かを有線リモコン20の報知部50に報知させる(
図4のステップS203)。
【0060】
例えば、報知部50が表示装置である場合には、報知部50は、ペアリングを許可するか否かを使用者などに問い合わせる文字列を画面に表示することによって、報知を行う。このように、報知部50は、ペアリングを許可するか否かを報知可能なペアリング報知部として機能する。報知部50による報知の態様は、上記に限ることなく、ペアリングを許可するか否かを報知可能な任意の態様でよい。
【0061】
一方、制御部18は、ペアリング信号の電波強度が第1閾値を超えなかった場合、上記の報知を行わない(
図4のステップS204)。なお、この場合には、例えば、第1閾値を超えなかったことなどを報知部50で報知し、ペアリング信号の再送を促すようにしてもよい。また、例えば、第1閾値を超えないと判定したことに応答して、制御部18のペアリング認可モードを終了するようにしてもよい。例えば、第1閾値を超えない場合、ペアリング認可モードへの移行から所定時間経過後にペアリング認可モードを終了することにより、ペアリング認可モードの期間中にペアリング信号を数回受信できるようにしてもよい。
【0062】
ペアリングの作業者は、報知部50の報知を基に、ペアリング対象の遠隔リモコン14か否かを判定する。そして、作業者は、有線リモコン20の操作部52を操作することにより、ペアリングの可否を決定する。このように、操作部52は、ペアリングを許可するか否かの操作を入力するための操作部として機能する。
【0063】
制御部18は、操作部52の操作に応じて、ペアリングの可否を決定する(
図4のステップS205)。制御部18は、操作部52によってペアリングの許可が操作された場合、ペアリング信号を送信した遠隔リモコン14とのペアリングを行い、遠隔リモコン14とのペアリングを成立させる(
図4のステップS206)。
【0064】
一方、制御部18は、操作部52によってペアリングの拒否が操作された場合、ペアリングを行わずに、ペアリングを不成立とする(
図4のステップS207)。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態に係る浴室システム10では、電波強度が第1閾値を超えた場合にペアリングを許可するか否かを有線リモコン20の報知部50に報知させることで、例えば、マンションなどの集合住宅において、隣人宅の遠隔リモコン14などから送信されたペアリング信号を受信し、制御部18が関係の無い遠隔リモコン14などとペアリングしてしまうことを抑制することができる。
【0066】
また、浴室システム10では、有線リモコン20の操作部52の操作によってペアリングの可否を決定することにより、制御部18が関係の無い遠隔リモコン14などとペアリングしてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る浴室システムの動作を模式的に表すフローチャートである。
図5において、ステップS301~S306は、
図4に関して説明したステップS201~S203、及びステップS205~S207と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0068】
図5に表したように、この例において、制御部18は、ペアリング信号の電波強度が第1閾値を超えないと判定した場合に、続いて、第1閾値以下のペアリング信号を複数回以上受信したか否かを判定する(
図5のステップS307)。
【0069】
制御部18は、複数回未満であると判定した場合には、ステップS302に戻り、次のペアリング信号の送信を待機する。一方、制御部18は、複数回以上であると判定した場合、ペアリング信号の電波強度の判定の閾値を第1閾値から変更し、第1閾値よりも低い第2閾値に設定する(
図5のステップS308)。
【0070】
このように、制御部18は、第1閾値よりも低い第2閾値を有する。閾値を変更するペアリング信号の受信回数は、例えば、3回である。制御部18は、例えば、第1閾値以下の電波強度のペアリング信号を3回受信した場合に、閾値を第1閾値から第2閾値に変更する。
【0071】
制御部18は、第2閾値を設定した後、再びペアリング信号を受信するまで待機する(
図5のステップS309)。そして、制御部18は、受信部16が再びペアリング信号を受信すると、受信されたペアリング信号の電波強度が第2閾値を超えたか否かを判定する(
図5のステップS310)。
【0072】
制御部18は、第2閾値を超えたと判定した場合、ステップS303の処理に移行し、ペアリングを許可するか否かを有線リモコン20の報知部50に報知させる。以下、第1閾値を超えた場合と同様の処理を実行する。
【0073】
一方、制御部18は、ペアリング信号の電波強度が第2閾値を超えなかった場合、報知部50でのペアリングを許可するか否かの報知を行わないようにする(
図5のステップS311)。
【0074】
以上、説明したように、本実施形態に係る浴室システム10では、制御部18が第2閾値を有し、ペアリング信号の電波強度が第1閾値を複数回超えない場合に、第2閾値を設定し、第2閾値を超えた場合に、報知部50で報知を行う。これにより、ペアリングの作業性をより向上させることができる。例えば、第1閾値を超えることでペアリングするか否かを判断することで、関係の無い遠隔リモコン14などとペアリングしてしまうことを抑制できるが、壁の厚みや住宅の大きさなどの当人宅の環境によっても、受信部16に到達するペアリング信号の電波強度は変わってしまう。電波強度の判定の閾値が一定であると、ペアリングを実行したいのにペアリングできない状態が続いてしまう可能性がある。そのため、ペアリングを複数回実行し、第1閾値を複数回超えない場合には、第2閾値を設定し、第2閾値を超えた場合に、ペアリングを許可できるようにする。これにより、ペアリングを実行したいのにペアリングできない状態が続いてしまうことを抑制することができる。
【0075】
(第4の実施形態)
図6は、第4の実施形態に係る浴室システムの動作を模式的に表すフローチャートである。
図6において、ステップS401~S404は、
図3に関して説明したステップS101~S104と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0076】
図6に表したように、この例において、制御部18は、遠隔リモコン14とのペアリングを成立させ、ペアリングが完了した後、ペアリングの完了に応じて、ペアリングの完了を有線リモコン20の報知部50に報知させる(
図6のステップS405)。換言すれば、制御部18は、ペアリングの成立を報知部50に報知させる。
【0077】
例えば、報知部50が表示装置である場合には、報知部50は、ペアリングの完了を表す文字列を画面に表示することによって、報知を行う。このように、報知部50は、ペアリングの完了を報知可能な完了報知部としても機能する。報知部50による報知の態様は、上記に限ることなく、ペアリングの完了を報知可能な任意の態様でよい。また、この例では、ペアリング報知部と完了報知部とを同じ報知部50で構成している。これに限ることなく、ペアリング報知部と完了報知部とは、それぞれ別の部材で構成してもよい。
【0078】
また、制御部18は、ペアリングの完了に応じて、ペアリング認可モードを自動的に終了する(
図6のステップS406)。
【0079】
また、制御部18は、ペアリングを不成立とした場合に、ペアリングの不成立を報知部50に報知させる(
図6のステップS407)。
【0080】
以上、説明したように、本実施形態に係る浴室システム10では、作業性の悪い位置に受信部16や制御部18を配置した場合であっても、有線リモコン20の報知部50にペアリングの完了を報知させることにより、ペアリングの完了を作業者に容易に認識させることができる。
【0081】
また、本実施形態に係る浴室システム10では、制御部18が、ペアリングの完了に応じてペアリング認可モードを自動的に終了することにより、作業者の作業を減らすことができ、ペアリングの作業性をより向上させることができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室システムが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0083】
2 浴室、 4 洗面所、 6 浴室部、 8 洗面室部、 10 浴室システム、 12 浴室機器、 14 遠隔リモコン、 16 受信部、 18 制御部、 20 有線リモコン、 30 浴室空調機器、 31 掃除機器、 32 給湯器、 33 排水栓、 34 照明、 35 マッサージ機器、 36 洗面所空調機器、 40 操作部、 50 報知部、 52 操作部