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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】電子部品の実装構造体
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20220609BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20220609BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H05K1/18 J
H05K3/34 502D
H01L23/12 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019012600
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020120090
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】木下 惠介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊一
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-263796(JP,A)
【文献】特開平04-176191(JP,A)
【文献】特開2016-001717(JP,A)
【文献】特開平08-046349(JP,A)
【文献】特開平02-065293(JP,A)
【文献】特開2003-347713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 3/34
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向して配置された第1導体パターンおよび第2導体パターンと、
前記第1導体パターンの一部、および、前記第2導体パターンの一部を、それぞれ覆う、はんだレジストと、
高さ方向において表裏対向する第1主面および第2主面と、幅方向において表裏対向する第1側面および第2側面と、長さ方向において表裏対向する第1端面および第2端面とを備え、少なくとも、実装面である前記第1主面に第1外部電極および第2外部電極が形成された電子部品と、
前記第1導体パターンと前記第1外部電極、および、前記第2導体パターンと前記第2外部電極を、それぞれ接合する、はんだ合金と、を備えた、電子部品の実装構造体であって、
前記第1主面に直交する前記高さ方向からみたとき、
前記第1主面に形成された前記第1外部電極は、前記第1端面に接する辺と、前記第1側面に接する辺と、前記第2側面に接する辺と、前記第1端面、前記第2端面、前記第1側面、前記第2側面のいずれにも接しない辺とを備えた矩形形状からなり、
前記第1主面に形成された前記第2外部電極は、前記第2端面に接する辺と、前記第1側面に接する辺と、前記第2側面に接する辺と、前記第1端面、前記第2端面、前記第1側面、前記第2側面のいずれにも接しない辺とを備えた矩形形状からなり、
前記第1導体パターンにおける、前記第1主面に形成された前記第1外部電極の前記第1側面に接する辺が重なる領域、および、前記第2側面に接する辺が重なる領域が、それぞれ、前記はんだレジストによって完全に覆われ、
前記第2導体パターンにおける、前記第1主面に形成された前記第2外部電極の前記第1側面に接する辺が重なる領域、および、前記第2側面に接する辺が重なる領域が、それぞれ、前記はんだレジストによって完全に覆われ、
前記第1導体パターンと、前記第1主面に形成された前記第1外部電極とが重なり、かつ、前記第1導体パターンが前記はんだレジストによって覆われていない領域においては、前記第1導体パターンと、前記第1主面に形成された前記第1外部電極とが、両者の間に設けられた前記はんだ合金によって接合され、
前記第2導体パターンと、前記第1主面に形成された前記第2外部電極とが重なり、かつ、前記第2導体パターンが前記はんだレジストによって覆われていない領域においては、前記第2導体パターンと、前記第1主面に形成された前記第2外部電極とが、両者の間に設けられた前記はんだ合金によって接合され
前記第1導体パターンにおける、前記第2導体パターン側の端部が、前記はんだレジストに覆われ、
前記第2導体パターンにおける、前記第1導体パターン側の端部が、前記はんだレジストに覆われ、
前記第1導体パターンの前記第2導体パターン側の端部を覆う前記はんだレジストの縁部、および、前記第2導体パターンの前記第1導体パターン側の端部を覆う前記はんだレジストの縁部が、それぞれ、第1部分と、前記第1部分の両側にそれぞれ繋がる第2部分とを有し、
前記第1部分が、前記第1方向に直交する第2方向に対して平行であり、
前記第2部分が、前記第2方向に対して平行でなく、
前記第1導体パターンおよび前記第2導体パターンが、それぞれ、矩形形状からなり、前記第1方向に延びる相互に平行な1対の第1方向辺を有し、
前記第1方向辺と前記第2部分とは交差し、または、接し、
前記第1主面に直交する方向からみたとき、
前記第1方向辺と前記第2部分とが交差する点、または、接する点が、
前記電子部品の前記第1端面および前記第2端面をそれぞれ含む仮想面と重なっているか、または、前記第1方向において前記仮想面よりも外側に位置している、電子部品の実装構造体。
【請求項2】
前記第2部分が、直線状である、請求項に記載された電子部品の実装構造体。
【請求項3】
前記第2部分が、円弧状である、請求項に記載された電子部品の実装構造体。
【請求項4】
前記第1導体パターンおよび前記第2導体パターンが、それぞれ、矩形形状からなり、前記第1方向に延びる相互に平行な1対の第1方向辺を有し、
前記第1方向辺と前記第2部分とは非直角で交差し、または、接し、前記第1方向辺が延びる方向と前記第2部分が延びる方向との間に鈍角と鋭角とが形成され、
前記鋭角が、30°以上、70°以下である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された電子部品の実装構造体。
【請求項5】
第1方向に対向して配置された第1導体パターンおよび第2導体パターンと、
前記第1導体パターンの一部、および、前記第2導体パターンの一部を、それぞれ覆う、はんだレジストと、
高さ方向において表裏対向する第1主面および第2主面と、幅方向において表裏対向する第1側面および第2側面と、長さ方向において表裏対向する第1端面および第2端面とを備え、少なくとも、実装面である前記第1主面に第1外部電極および第2外部電極が形成された電子部品と、
前記第1導体パターンと前記第1外部電極、および、前記第2導体パターンと前記第2外部電極を、それぞれ接合する、はんだ合金と、を備えた、電子部品の実装構造体であって、
前記第1主面に直交する前記高さ方向からみたとき、
前記第1主面に形成された前記第1外部電極は、前記第1端面に接する辺と、前記第1側面に接する辺と、前記第2側面に接する辺と、前記第1端面、前記第2端面、前記第1側面、前記第2側面のいずれにも接しない辺とを備えた矩形形状からなり、
前記第1主面に形成された前記第2外部電極は、前記第2端面に接する辺と、前記第1側面に接する辺と、前記第2側面に接する辺と、前記第1端面、前記第2端面、前記第1側面、前記第2側面のいずれにも接しない辺とを備えた矩形形状からなり、
前記第1導体パターンにおける、前記第1主面に形成された前記第1外部電極の前記第1側面に接する辺が重なる領域、および、前記第2側面に接する辺が重なる領域が、それぞれ、前記はんだレジストによって完全に覆われ、
前記第2導体パターンにおける、前記第1主面に形成された前記第2外部電極の前記第1側面に接する辺が重なる領域、および、前記第2側面に接する辺が重なる領域が、それぞれ、前記はんだレジストによって完全に覆われ、
前記第1導体パターンと、前記第1主面に形成された前記第1外部電極とが重なり、かつ、前記第1導体パターンが前記はんだレジストによって覆われていない領域においては、前記第1導体パターンと、前記第1主面に形成された前記第1外部電極とが、両者の間に設けられた前記はんだ合金によって接合され、
前記第2導体パターンと、前記第1主面に形成された前記第2外部電極とが重なり、かつ、前記第2導体パターンが前記はんだレジストによって覆われていない領域においては、前記第2導体パターンと、前記第1主面に形成された前記第2外部電極とが、両者の間に設けられた前記はんだ合金によって接合され、
前記第1導体パターンにおける、前記第2導体パターン側の端部が、前記はんだレジストに覆われ、
前記第2導体パターンにおける、前記第1導体パターン側の端部が、前記はんだレジストに覆われ、
前記第1導体パターンの前記第2導体パターン側の端部を覆う前記はんだレジストの縁部、および、前記第2導体パターンの前記第1導体パターン側の端部を覆う前記はんだレジストの縁部が、それぞれ、第1部分と、前記第1部分の両側にそれぞれ繋がる第2部分とを有し、
前記第2部分は、直線状であり、
前記第1部分が、前記第1方向に直交する第2方向に対して平行であり、
前記第2部分が、前記第2方向に対して平行でなく、
前記第1導体パターンおよび前記第2導体パターンが、それぞれ、矩形形状からなり、前記第1方向に延びる相互に平行な1対の第1方向辺を有し、
前記第1方向辺と、前記第2部分を延長した仮想線とは交差し、
前記第1主面に直交する方向からみたとき、
前記第1方向辺と、前記第2部分を延長した仮想線とが交差する点が、
前記電子部品の前記第1端面および前記第2端面をそれぞれ含む仮想面と重なっているか、または、前記第1方向において前記仮想面よりも外側に位置している、電子部品の実装構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電子部品の実装構造体に関し、更に詳しくは、電子部品を実装した基板に、斜め方向の曲りや、捻じれなどの歪みが発生しても、実装された電子部品に亀裂が発生しにくい、電子部品の実装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から広く実施されている電子部品の実装構造体が、特許文献1(特開2004-207287号公報)に開示されている。図14(A)、(B)に、特許文献1に開示された電子部品の実装構造体1000を示す。ただし、図14(A)は実装構造体1000の要部平面図であり、図14(B)は電子部品の実装構造体1000の断面図である。なお、図14(A)は、後述する電子部品105、第1外部電極106、第2外部電極107を破線で示すとともに、はんだ合金108、109を省略した状態を示している。
【0003】
実装構造体1000は、基板101を備えている。基板101上に、第1導体パターン102と第2導体パターン103とが対向して形成されている。そして、第1導体パターン102および第2導体パターン103の外縁部をそれぞれ覆って、基板101上にはんだレジスト104が形成されている。
【0004】
実装構造体1000は、電子部品105を備えている。電子部品105の両端に、第1外部電極106および第2外部電極107が形成されている。
【0005】
はんだ合金108によって、第1導体パターン102と第1外部電極106が接合されている。はんだ合金109によって、第2導体パターン103と第2外部電極107が接合されている。
【0006】
なお、実装構造体1000においては、はんだレジスト104が、第1導体パターン102および第2導体パターン103の外縁部をそれぞれ覆っているので、このレジストを「オーバーレジスト」と呼ぶ場合がある。これに対し、はんだレジスト104が第1導体パターン102や第2導体パターン103の外縁部を覆わず、はんだレジスト104と第1導体パターン102や第2導体パターン103の間にクリアランスを設けたレジストを、「クリアランスレジスト」と呼ぶ場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-207287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子機器の製造工程等においては、電子部品を実装した基板が変形し、基板に、曲りや、捻じれなどの歪みが発生する場合がある。そして、基板に発生した曲りや、捻じれなどの歪みが、はんだ合金を介して実装された電子部品に伝搬し、電子部品に亀裂が発生する場合がある。
【0009】
図15(A)は、上述した電子部品の実装構造体1000の基板101に、実装された電子部品105の長さ方向(第1外部電極106と第2外部電極107とを結ぶ方向)の曲りが発生した場合を示している。図15(B)は、基板101に、電子部品105の幅方向(第1外部電極106と第2外部電極107とを結ぶ方向に対して垂直な方向)の曲りが発生した場合を示している。図15(C)は、基板101に、電子部品105の斜め方向の曲りが発生した場合を示している。図15(D)は、基板101に、捻じれが発生した場合を示している。なお、図15(A)~(D)は、本件出願人が説明のために作製したものであり、特許文献1に記載されたものではない。また、図15(A)~(D)においては、はんだレジスト104、はんだ合金108、109の図示を省略している。
【0010】
従来から、電子部品の実装構造体の設計においては、実装された電子部品の長さ方向や幅方向の曲りに重点をおいて対策がとられてきた。しかしながら、電子機器の製造工程等において、基板に曲りが発生する方向は、実装された電子部品の長さ方向や幅方向には限られず、斜め方向に発生する場合も多い。しかも、電子部品の斜め方向に発生した基板の曲りは、電子部品を基板(導体パターン)に接合している支点間距離が長くなるため、電子部品の長さ方向や縦方向に発生した基板の曲りに比べて、小さな歪みで電子部品に亀裂が入る傾向がある。
【0011】
また、基板に捻じれが発生した場合も、電子部品の長さ方向や縦方向に発生した基板の曲りに比べて、小さな歪みで電子部品に亀裂が入る傾向がある。
【0012】
そこで、本願発明は、導体パターンと電子部品の外部電極との接合強度を十分に確保したうえで、電子部品を実装した基板に、斜め方向の曲りや、捻じれなどの歪みが発生しても、実装された電子部品に亀裂が発生しにくい、電子部品の実装構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明の一実施形態にかかる電子部品の実装構造体は、上述した従来の課題を解決する手段として、第1方向に対向して配置された第1導体パターンおよび第2導体パターンと、第1導体パターンの一部、および、第2導体パターンの一部を、それぞれ覆う、はんだレジストと、高さ方向において表裏対向する第1主面および第2主面と、幅方向において表裏対向する第1側面および第2側面と、長さ方向において表裏対向する第1端面および第2端面とを備え、少なくとも、実装面である第1主面に第1外部電極および第2外部電極が形成された電子部品と、第1導体パターンと第1外部電極、および、第2導体パターンと第2外部電極を、それぞれ接合する、はんだ合金と、を備え、第1主面に直交する高さ方向からみたとき、第1主面に形成された第1外部電極は、第1端面に接する辺と、第1側面に接する辺と、第2側面に接する辺と、第1端面、第2端面、第1側面、第2側面のいずれにも接しない辺とを備えた矩形形状からなり、第1主面に形成された第2外部電極は、第2端面に接する辺と、第1側面に接する辺と、第2側面に接する辺と、第1端面、第2端面、第1側面、第2側面のいずれにも接しない辺とを備えた矩形形状からなり、第1導体パターンにおける、第1主面に形成された第1外部電極の第1側面に接する辺が重なる領域、および、第2側面に接する辺が重なる領域が、それぞれ、はんだレジストによって完全に覆われ、第2導体パターンにおける、第1主面に形成された第2外部電極の第1側面に接する辺が重なる領域、および、第2側面に接する辺が重なる領域が、それぞれ、はんだレジストによって完全に覆われ、第1導体パターンと、第1主面に形成された第1外部電極とが重なり、かつ、第1導体パターンがはんだレジストによって覆われていない領域においては、第1導体パターンと、第1主面に形成された第1外部電極とが、両者の間に設けられたはんだ合金によって接合され、第2導体パターンと、第1主面に形成された第2外部電極とが重なり、かつ、第2導体パターンがはんだレジストによって覆われていない領域においては、第2導体パターンと、第1主面に形成された第2外部電極とが、両者の間に設けられたはんだ合金によって接合され、第1導体パターンにおける、第2導体パターン側の端部が、はんだレジストに覆われ、第2導体パターンにおける、第1導体パターン側の端部が、はんだレジストに覆われ、第1導体パターンの第2導体パターン側の端部を覆うはんだレジストの縁部、および、第2導体パターンの第1導体パターン側の端部を覆うはんだレジストの縁部が、それぞれ、第1部分と、第1部分の両側にそれぞれ繋がる第2部分とを有し、第1部分が、第1方向に直交する第2方向に対して平行であり、第2部分が、第2方向に対して平行でなく、第1導体パターンおよび第2導体パターンが、それぞれ、矩形形状からなり、第1方向に延びる相互に平行な1対の第1方向辺を有し、第1方向辺と前記第2部分とは交差し、または、接し、第1主面に直交する方向からみたとき、第1方向辺と第2部分とが交差する点、または、接する点が、電子部品の第1端面および第2端面をそれぞれ含む仮想面と重なっているか、または、第1方向において前記仮想面よりも外側に位置しているものとする。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の電子部品の実装構造体は、電子部品を実装した基板に、斜め方向の曲りや、捻じれなどの歪みが発生しても、実装された電子部品に亀裂が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態にかかる電子部品の実装構造体100の斜視図である。
図2】実装構造体100の図1におけるS1-S1部分の断面図である。
図3図3(A)、(B)は、それぞれ、実装構造体100の作製工程の1つの工程を示す斜視図である。
図4図4(C)、(D)は、図3(B)の続きであり、それぞれ、実装構造体100の作製工程の1つの工程を示す斜視図である。
図5図5(E)、(F)は、図4(D)の続きであり、それぞれ、実装構造体100の作製工程の1つの工程を示す斜視図である。
図6図6(A)、(B)は、それぞれ、実装構造体100の要部平面図である。
図7図7(A)は、比較例にかかる実装構造体1100の分解斜視図である。図7(A)は、実装構造体1100の斜視図である。
図8】実験1の結果を示す説明図(表)である。
図9】実験2の結果を示すグラフである。
図10図10(A)、(B)は、それぞれ、実装構造体100の要部平面である。
図11図11(A)は、図1における実装構造体100のS2-S2部分の断面図である。図11(B)は、実装構造体100の要部断面図である。図11(C)は、参考構造の要部断面図である。
図12】第2実施形態にかかる実装構造体200の要部平面図である。
図13】第3実施形態にかかる実装構造体300の要部平面図である。
図14図14(A)は、特許文献1に開示された実装構造体1000の要部平面図である。図14(B)は、実装構造体1000の断面図である。
図15図15(A)は、基板に発生した長さ方向の曲りを示す平面図である。図15(B)は、基板に発生した幅方向の曲りを示す平面図である。図15(C)は、基板に発生した斜め方向の曲り示す平面図である。図15(D)は、基板に発生した捻じれを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面とともに、本願発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
なお、各実施形態は、本願発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本願発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本願発明に含まれる。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0018】
[第1実施形態]
第1実施形態にかかる電子部品の実装構造体100を、図1図2図3(A)~図5(F)に示す。ただし、図1は、実装構造体100の斜視図である。図2は、実装構造体100の断面図であり、図1に一点鎖線矢印で示したS1-S1部分を示している。図3(A)~図5(F)は、それぞれ、実装構造体100の作製工程を示す斜視図である。なお、各図には、相互に垂直である、第1方向X、第2方向Y、第3方向Zを示しており、以下においては、これらの方向に言及して説明をする場合がある。
【0019】
以下においては、まず、図1の斜視図と図2の断面図を参照して、実装構造体100の概略について説明する。そして、その後に、製造工程を示す図3(A)~図4(F)を参照して、実装構造体100の詳細について説明する。
【0020】
図1図2に示すように、実装構造体100は、絶縁性の基板1を備えている。基板1の主面に、第1導体パターン2と第2導体パターン3が、第1方向Xに対向して形成されている。基板1の主面に、第1導体パターン2および第2導体パターン3を、それぞれ、部分的に覆って、はんだレジスト4が形成されている。
【0021】
実装構造体100は、内部に内部電極5aが形成された表面実装型の電子部品5を備えている。電子部品5は、一方の端部に第1外部電極6が形成され、他方の端部に第2外部電極7が形成されている。電子部品5は、直方体形状からなり、第1外部電極6と第2外部電極7が対向している方向である長さ方向と、長さ方向に対して垂直な幅方向と、長さ方向および幅方向に対してそれぞれ垂直な高さ方向とを備えている。
【0022】
はんだ合金8によって第1導体パターン2と第1外部電極6が接合され、はんだ合金9によって第2導体パターン3と第2外部電極7が接合され、電子部品5が基板1に実装されている。実装後の電子部品5は、第1方向Xに長さ方向、第2方向Yに幅方向、第3方向Zに高さ方向が配置されている。
【0023】
実装構造体100は、たとえば、次の工程によって作製される。
【0024】
まず、図3(A)に示すように、絶縁性の基板1を用意する。基板1の材質は任意であるが、たとえば、エポキシ樹脂などの樹脂、アルミナなどのセラミックなどを使用することができる。基板1の寸法は任意である。基板1は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。また、基板1は、主面や内部に、配線が形成されていてもよい。
【0025】
次に、図3(B)に示すように、基板1の主面に、第1導体パターン2、第2導体パターン3を形成する。第1導体パターン2、第2導体パターン3は、たとえば、基板1の表面に金属箔を貼り、その金属箔を所望の形状にエッチングすることによって形成することができる。あるいは、第1導体パターン2、第2導体パターン3は、基板1の表面に導電性ペーストを所望の形状に印刷し、焼付けることによって形成することができる。あるいは、第1導体パターン2、第2導体パターン3は、基板1を作製するためのグリーンシートを用意し、グリーンシートの表面に導電性ペーストを所望の形状に印刷し、グリーンシート、または、グリーンシートの積層体を焼成し、そのときに同時に導電性ペーストを焼成することによって形成することができる。
【0026】
第1導体パターン2、第2導体パターン3の形状は任意であるが、本実施形態においては、第1導体パターン2、第2導体パターン3を、それぞれ、第1方向Xに延びる1対の辺と、第2方向Yに延びる1対の辺とを備えた矩形形状とした。
【0027】
第1導体パターン2、第2導体パターン3の材質は任意であるが、たとえば、銅、銀などを使用することができる。これらの金属は、合金であってもよい。また、金属以外の材質を含んでいてもよい。また、第1導体パターン2、第2導体パターン3の表面に、ニッケル、スズ、金など各種材料からなるめっき層が形成されていてもよい。
【0028】
第1導体パターン2、第2導体パターン3は、通常、基板1の主面や内部に形成された配線と接続されるが、図においては配線の図示を省略している。
【0029】
次に、図4(C)に示すように、はんだレジストを所望の形状に印刷し、乾燥させて、はんだレジスト4を形成する。はんだレジスト4の材質は任意であり、電子機器の基板用のはんだレジストとして市販されているものを使用することができる。
【0030】
本実施形態における、はんだレジスト4の形状を、図6(A)に示す。
【0031】
はんだレジスト4は、第1導体パターン2の第2導体パターン3側の第2方向Yに延びる辺を覆っている。また、はんだレジスト4は、第2導体パターン3の第1導体パターン2側の第2方向Yに延びる辺を覆っている。すなわち、はんだレジスト4は、第1導体パターン2の第2導体パターン3側の端部と、第2導体パターン3の第1導体パターン2側の端部を、それぞれ覆っている。
【0032】
はんだレジスト4と、第1導体パターン2の第2導体パターン3と反対側の第2方向Yに延びる辺との間に、クリアランスCが形成されている。同様に、はんだレジスト4と、第2導体パターン3の第1導体パターン2と反対側の第2方向Yに延びる辺との間に、クリアランスCが形成されている。
【0033】
はんだレジスト4と、第1導体パターン2の第1方向Xに延びる1対の辺との間に、それぞれクリアランスCが形成されている。同様に、はんだレジスト4と、第2導体パターン3の第1方向Xに延びる1対の辺との間に、それぞれクリアランスCが形成されている。
【0034】
第1導体パターン2の第2導体パターン3側の端部を覆うはんだレジスト4の縁部、および、第2導体パターン3の第1導体パターン2側の端部を覆うはんだレジスト4の縁部が、それぞれ、第1部分4aと、第1部分の両側にそれぞれ繋がる第2部分4bを有している。本実施形態においては、第1部分4a、および、第2部分4bは、それぞれ、直線状である。第1部分4aは、第2方向Yと平行である。第2部分4bは、第2方向Yと非平行である。
【0035】
次に、図4(D)に示すように、はんだレジスト4から外部に露出した第1導体パターン2の主面に所望の量のペースト状のはんだ合金58を印刷し、はんだレジスト4から外部に露出した第2導体パターン3の主面に所望の量のペースト状のはんだ合金59を印刷する。はんだ合金58、59の組成は任意である。はんだ合金58、59は、錫、鉛、銀以外の材質を含んでいてもよい。
【0036】
次に、図5(E)に示すように、表面実装型の電子部品5を用意する。電子部品5の種類は任意であり、たとえば、コンデンサ、インダクタ、抵抗、サーミスタ、複合部品など、種々の電子部品を使用することができる。
【0037】
電子部品5は直方体形状からなり、高さ方向において表裏対向する第1主面5Aおよび第2主面5Bと、幅方向において表裏対向する第1側面5Cおよび第2側面5Dと、長さ方向において表裏対向する第1端面5Eおよび第2端面5Fとを備えている。電子部品5においては、第1主面5Aが実装面である。電子部品5の本体部分の材質は任意であるが、たとえば、セラミックや樹脂などが使用されている。
【0038】
第1端面5Eに、第1外部電極6が形成されている。第1外部電極6は、第1端面5Eから、第1主面5A、第2主面5B、第1側面5C、第2側面5Dに、それぞれ延出して形成されている。また、第2端面5Fに、第2外部電極7が形成されている。第2外部電極7は、第2端面5Fから、第1主面5A、第2主面5B、第1側面5C、第2側面5Dに、それぞれ延出して形成されている。
【0039】
第1外部電極6および第2外部電極7の主成分の材質は任意であるが、たとえば、銅や銀などが使用されている。第1外部電極6および第2外部電極7の表面に、ニッケルや錫などのめっき層が、単層または複数層に形成されていてもよい。
【0040】
次に、図5(F)に示すように、基板1に電子部品5を搭載する。具体的には、第1導体パターン2の主面に形成されたペースト状のはんだ合金58の上に、電子部品5の第1外部電極6を搭載し、第2導体パターン3の主面に形成されたペースト状のはんだ合金59の上に、電子部品5の第2外部電極7を搭載する。
【0041】
次に、電子部品5が搭載された基板1を加熱し、続いて冷却(たとえば自然冷却)する。この結果、ペースト状のはんだ合金58が溶融(リフロー)し、続いて固化してフィレット状のはんだ合金8となり、第1導体パターン2と第1外部電極6を接合する。同様に、ペースト状のはんだ合金59が溶融し、続いて固化してフィレット状のはんだ合金9となり、第2導体パターン3と第2外部電極7を接合する。以上により、図1図2に示す、第1実施形態にかかる電子部品の実装構造体100が完成する。
【0042】
図6(B)に、実装構造体100における、第1導体パターン2、第2導体パターン3、はんだレジスト4、電子部品5の第1外部電極6、第2外部電極7の位置関係を示す。ただし、図6(B)においては、第1導体パターン2の一部分、第2導体パターン3の一部分、電子部品5、第1外部電極6、第2外部電極7を、それぞれ破線で示している。
【0043】
図6(B)から分かるように、実装構造体100においては、電子部品5の第1主面5Aに直交する方向から見て、第1導体パターン2における、第1主面5Aに形成された第1外部電極6の第1側面5Cに接する辺が重なる領域F1、および、第2側面5Dに接する辺が重なる領域F2が、それぞれ、はんだレジスト4に覆われている。また、第2導体パターン3における、第1主面5Aに形成された第2外部電極7の第1側面5Cに接する辺が重なる領域F3、および、第2側面5Dに接する辺が重なる領域F4が、それぞれ、はんだレジスト4に覆われている。
【0044】
領域F1、F2は、その領域で、第1導体パターン2と第1外部電極6とをはんだ合金8によって接合したと仮定した場合に、基板1に斜め方向の曲りが発生したときや、基板1に捻じれが発生したときに、応力が集中する領域である。同様に、領域F3、F4は、その領域で、第2導体パターン3と第2外部電極7とをはんだ合金9によって接合したと仮定した場合に、基板1に斜め方向の曲りが発生したときや、基板1に捻じれが発生したときに、応力が集中する領域である。
【0045】
実装構造体100は、基板1に斜め方向の曲りが発生したときや、基板1に捻じれが発生したときに、応力が集中する、第1導体パターン2上の領域F1、F2、および、第2導体パターン3上の領域F3、F4に、はんだレジスト4を形成し、それらの領域で、第1導体パターン2と第1外部電極6が接合されず、第2導体パターン3と第2外部電極7が接合されないようにしているため、基板1に斜め方向の曲りが発生したり、基板1に捻じれが発生したりしても、電子部品5に亀裂が発生しにくい。
【0046】
本願発明の有効性を確認するために、以下の実験1、実験2を実施した。
【0047】
(実験1)
上述した電子部品の実装構造体100を作製して実施例とした。
【0048】
また、比較のために、図7(A)、(B)に示す、比較例にかかる実装構造体1100を作製した。ただし、図7(A)は実装構造体1100の分解斜視図であり、図7(B)は実装構造体1100の斜視図である。
【0049】
実装構造体1100は、基板111を備えている。基板111の主面に、第1導体パターン112と第2導体パターン113が、第1方向Xに対向して形成されている。第1導体パターン112および第2導体パターン113は、それぞれ矩形形状をしている。基板111の主面に、第1導体パターン112および第2導体パターン113をそれぞれ開口から外部に露出させて、はんだレジスト114が形成されている。実装構造体1100は、上述したクリアランスレジストであり、はんだレジスト114と第1導体パターン112との間、および、はんだレジスト114と第2導体パターン113との間に、それぞれクリアランスCが形成されている。
【0050】
実装構造体1100においても、基板111に、実装構造体100に使用したのと同じ電子部品5を実装した。すなわち、はんだ合金118によって第1導体パターン112と電子部品5の第1外部電極6を接合し、はんだ合金119によって第2導体パターン113と電子部品5の第2外部電極7を接合した。実装構造体1100においては、電子部品5の底面(第1主面5A)部分の第1外部電極6の全面が第1導体パターン112に接合され、電子部品5の底面部分の第2外部電極7の全面が第2導体パターン113に接合されている。
【0051】
次に、FEM(Finite Element Method;有限要素法)を用い、実施例にかかる実装構造体100の基板1に斜め方向の曲りを発生させた場合に、電子部品5の底面に発生する引張応力を解析した。また、同じ方法で、比較例にかかる実装構造体1100の基板111に斜め方向の曲りを発生させた場合に、電子部品5の底面に発生する引張応力を解析した。解析の結果を、図8に示す。
【0052】
図8から分かるように、実施例にかかる実装構造体100の電子部品5の底面に発生する引張応力は、比較例にかかる実装構造体1100の電子部品5の底面に発生する引張応力に対して、50%以下に低減されている。これは、実装構造体1100では、電子部品5の底面部分の第1外部電極6、第2外部電極7の全面が第1導体パターン112、第2導体パターン113に接合されているのに対し、実装構造体100では、応力が集中する領域F1、F2、F3、F4にはんだレジスト4を設け、これらの部分で、電子部品5の底面部分の第1外部電極6、第2外部電極7が、第1導体パターン2、第2導体パターン3と接合されないようにしたからだと考えられる。
【0053】
以上より、実施例にかかる実装構造体100は、比較例にかかる実装構造体1100に比べて、基板1、111に斜め方向の曲りが発生しても、電子部品5に亀裂が発生しにくいものと考えられる。
【0054】
(実験2)
上述した、実施例にかかる実装構造体100および比較例にかかる実装構造体1100を、それぞれ10個ずつ作製した。
【0055】
次に、10個の実装構造体100および10個の実装構造体1100、それぞれに対し、5段階で歪の大きさを強めながら、基板1、111に斜め方向の曲りを発生させ、電子部品5に亀裂が発生したか否かを調べた。なお、各実装構造体100、1100においては、電子部品5に亀裂が発生したことを認めた場合には、そこで実験を終了し、それ以上、大きな歪の曲りを発生させることはしなかった。
【0056】
図9に、実装構造体100、1100、それぞれにつき、歪みの大きさと亀裂の発生率との関係を示す。図9からわかるように、実施例にかかる実装構造体100は、比較例にかかる実装構造体1100に比べて、基板1、111に斜め方向の曲りが発生しても、電子部品5に亀裂が発生しにくかった。すなわち、実施例にかかる実装構造体100は、比較例にかかる実装構造体1100に比べて、大きな歪の曲りを発生させなければ、電子部品5に亀裂が発生しなかった。
【0057】
以上より、本願発明の有効性が確認できた。
【0058】
本実施形態にかかる電子部品の実装構造体100は、図10(A)に示すように、第1導体パターン2が、矩形形状からなり、第1方向Xに延びる相互に平行な1対の第1方向辺2Xを有し、第1方向辺2Xと、はんだレジスト4の縁部の第2部分4bが、非直角で接している。そして、その結果、第1方向辺2Xが延びる方向と、第2部分4bが延びる方向との間に、鈍角OAと鋭角AAが形成されている。同様に、第2導体パターン3が、矩形形状からなり、第1方向Xに延びる相互に平行な1対の第1方向辺3Xを有し、第1方向辺3Xと、はんだレジスト4の縁部の第2部分4bが、非直角で接している。そして、この結果、第1方向辺3Xが延びる方向と、第2部分4bが延びる方向との間に、鈍角OAと鋭角AAが形成されている。
【0059】
鋭角AAは、30°以上、70°以下であることが好ましい。鋭角AAが、30°以上、70°以下であれば、第1導体パターン2と第1外部電極6の接合強度、および、第2導体パターン3と第2外部電極7の接合強度を良好に維持したうえで、領域F1、F2、F3、F4を、それぞれ、はんだレジスト4で良好に覆うことができるからである。
【0060】
また、図10(B)に示すように、第1方向辺2Xとはんだレジスト4の縁部の第2部分4bが接している点P1、および、第1方向辺3Xとはんだレジスト4の縁部の第2部分4bが接している点P2は、それぞれ、第3方向Z(平面方向)に見た電子部品5の第1端面5Eを含む仮想面、および、第2端面5Fを含む仮想面と重なっているか、または、第1方向Xにおいて、第1端面5Eを含む仮想面、および、第2端面5Fを含む仮想面よりも、外側に位置していることが好ましい。この場合には、領域F1、F2における第1導体パターン2と第1外部電極6の接合、および、領域F3、F4における第2導体パターン3と第2外部電極7の接合を、良好に防止することができるからである。
【0061】
なお、本実施形態においては、第1方向辺2Xとはんだレジスト4の縁部の第2部分4b、および、第1方向辺3Xとはんだレジスト4の縁部の第2部分4bが、それぞれ接しているが、第1方向辺2Xとはんだレジスト4の縁部の第2部分4b、および、第1方向辺3Xとはんだレジスト4の縁部の第2部分4bは、それぞれ交差していてもよい。すなわち、はんだレジスト4の縁部の第2部分4bは、第1方向辺2Xまたは第1方向辺3Xで終端するのではなく、第1方向辺2Xまたは第1方向辺3Xを越えて、そのまま直線状に延びているものであってもよい。
【0062】
図11(A)に、実装構造体100の断面図を示す。ただし、図11(A)は、図1に一点鎖線矢印で示したS2-S2部分を示している。すなわち、図11(A)は、実装構造体100の幅方向(第2方向Y)の中央部分を切断した断面図である。また、図11(B)に、図11(A)において一点鎖線円Tで囲んだ部分を拡大して示す。
【0063】
図11(A)、(B)から分かるように、実装構造体100は、幅方向の中央部分においても、はんだレジスト4が、第1導体パターン2および第2導体パターン3に対して、それぞれオーバーレジストになっている。図11(C)の参考構造に示すように、はんだレジスト4を、この部分においてクリアランスレジストにした場合には、基板1に曲りや捻じれが発生したときに、はんだ合金8から第1外部電極6に大きな引張応力が発生し、はんだ合金9から第2外部電極7に大きな引張応力が発生する。これに対し、実装構造体100のように、この部分をオーバーレジストにしておけば、基板1に曲りや捻じれが発生したときに、はんだ合金8から第1外部電極6に小さな引張応力しか発生せず、はんだ合金9から第2外部電極7に小さな引張応力しか発生しない。このことも、本実施形態にかかる電子部品の実装構造体100が、基板1に曲りや捻じれが発生しても、電子部品5に亀裂が発生しにくい理由の1つになっている。
【0064】
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる電子部品の実装構造体200を、図12に示す。ただし、図12は、実装構造体200の要部平面図である。なお、図12においては、電子部品5、はんだ合金8、9の図示を省略している。
【0065】
第2実施形態にかかる実装構造体200は、上述した第1実施形態にかかる実装構造体100の構成の一部に変更を加えた。具体的には、実装構造体100では、はんだレジスト4の縁部の第2部分4bが直線状であったが、実装構造体200では、はんだレジスト24の縁部の第2部分24bを円弧状にした。実装構造体200の他の構成は、実装構造体100と同じにした。
【0066】
実装構造体200においても、第1導体パターン2上の応力が集中する領域F1、F2、および、第2導体パターン3上の応力が集中する領域F3、F4に、はんだレジスト24が良好に形成されている。
【0067】
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる電子部品の実装構造体300を、図13に示す。ただし、図13は、実装構造体200の要部平面図である。なお、図13においては、電子部品5、はんだ合金8、9の図示を省略している。
【0068】
第3実施形態にかかる実装構造体300も、上述した第1実施形態にかかる実装構造体100の構成の一部に変更を加えた。具体的には、実装構造体300では、はんだレジスト34の形状を、実装構造体100のはんだレジスト4の形状から変更した。すなわち、実装構造体100では、はんだレジスト4の縁部と第1導体パターン2の3つの辺との間、および、はんだレジスト4の縁部と第2導体パターン3の3つの辺との間に、それぞれクリアランスCが設けられていたが、実装構造体300では、これらのクリアランスCを設けず、はんだレジスト34をオーバーレジストにした。実装構造体300の他の構成は、実装構造体100と同じにした。
【0069】
このように、本願発明の実装構造体においては、はんだレジスト34を、完全なオーバーレジストにしてもよい。すなわち、第1導体パターン2の外縁部の全周、および、第2導体パターン3の外縁部の全周を、それぞれ、はんだレジスト34の縁部で覆うようにしてもよい。
【0070】
以上、第1実施形態~第3実施形態にかかる電子部品の実装構造体100、200、300について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って種々の変更をなすことができる。
【0071】
本発明の一実施態様にかかる電子部品の実装構造体は、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0072】
この実装構造体において、第1導体パターンにおける、第2導体パターン側の端部が、はんだレジストに覆われ、第2導体パターンにおける、第1導体パターン側の端部が、はんだレジストに覆われることも好ましい。この場合には、基板に曲りや捻じれが発生しても、更に、電子部品に亀裂が発生しにくくなる。
【0073】
また、第1導体パターンの第2導体パターン側の端部を覆うはんだレジストの縁部、および、第2導体パターンの第1導体パターン側の端部を覆うはんだレジストの縁部が、それぞれ、第1部分と、第1部分の両側にそれぞれ繋がる第2部分とを有し、第1部分が、第1方向に直交する第2方向に対して平行であり、第2部分が、第2方向に対して平行ではないことも好ましい。この場合には、第1導体パターンと第1外部電極の接合強度、および、第2導体パターンと第2外部電極の接合強度を、それぞれ良好に維持したうえで、第1導体パターン上および第2導体パターン上のそれぞれ必要な領域(はんだ合金によって第1外部電極や第2外部電極と接合されると、基板に斜め方向の曲りや捻じれが発生した場合に、応力が集中してしまう領域)に、はんだレジストを形成することができる。
【0074】
第2部分は、たとえば直線状とすることができる。あるいは、第2部分は、円弧状とすることができる。
【0075】
また、第1導体パターンおよび第2導体パターンが、それぞれ、矩形形状からなり、第1方向に延びる相互に平行な1対の第1方向辺を有し、第1方向辺と第2部分とは非直角で交差し、または、接し、第1方向辺が延びる方向と第2部分が延びる方向との間に鈍角と鋭角とが形成され、鋭角が、30°以上、70°以下であることも好ましい。鋭角が、30°以上、70°以下であれば、第1導体パターンと第1外部電極の接合強度、および、第2導体パターンと第2外部電極の接合強度を、それぞれ良好に維持したうえで、第1導体パターン上および第2導体パターン上のそれぞれ必要な領域に、はんだレジストを良好に形成することができるからである。
【0076】
また、第1導体パターンおよび第2導体パターンが、それぞれ、矩形形状からなり、第1方向に延びる相互に平行な1対の第1方向辺を有し、第1方向辺と第2部分とは交差し、または、接し、第1主面に直交する方向からみたとき、第1方向辺と第2部分とが交差する点、または、接する点が、電子部品の第1端面および第2端面をそれぞれ含む仮想面と重なっているか、または、第1方向において仮想面よりも外側に位置していることも好ましい。この場合には、基板に斜め方向の曲りや捻じれが発生した場合に、応力が集中してしまう領域における、第1導体パターンと第1外部電極6の接合、および、第2導体パターンと第2外部電極の接合を、良好に防止することができる。
【符号の説明】
【0077】
1・・・基板
2・・・第1導体パターン
3・・・第2導体パターン
4、24、34・・・はんだレジスト
4a・・・第1部分
4b、24b・・・第2部分
5・・・電子部品
6・・・第1外部電極
7・・・第2外部電極
8、9・・・はんだ合金
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15