(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】エレベータかご及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20220609BHJP
B66B 7/00 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
B66B11/02 A
B66B7/00 A
B66B7/00 F
B66B11/02 G
B66B11/02 W
(21)【出願番号】P 2020181526
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桐谷 澄子
(72)【発明者】
【氏名】白澤 正博
(72)【発明者】
【氏名】御子神 健太郎
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-321627(JP,A)
【文献】特開平10-273276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00-11/08
B66B 7/00ー 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を上下動するエレベータかごであって、
前記かごは、かご室を構成するかご壁の少なくとも一部に、かご外部の光をかご内部へ透過させうる透光壁部を有し、
前記透光壁部の
内外両面に、複数の傾斜面を有するとともに透光性を有する複数の透光凸
部が散在するように配置されている、エレベータかご。
【請求項2】
昇降路内を上下動するエレベータかごであって、
前記かごは、かご室を構成するかご壁の少なくとも一部に、かご外部の光をかご内部へ透過させうる透光壁部を有し、
前記透光壁部の内面及び外面の少なくとも何れか一方に、
複数の傾斜面を有するとともに透光性を有する複数の透光凸部が
散在するように配置され、
前記複数の透光凸部が、ガラス材で構成され、
前記透光凸部を構成するガラス材は、表面に前記傾斜面を有する略円錐台状又は略半球状の粒状体であって、底面の直径が1mm以上20mm以下であり、該底面が前記透光壁部に当接するように固定されている、エレベータかご。
【請求項3】
昇降路内を上下動するエレベータかごであって、
前記かごは、かご室を構成するかご壁の少なくとも一部に、かご外部の光をかご内部へ透過させうる透光壁部を有し、
前記透光壁部の内面及び外面の少なくとも何れか一方に、複数の傾斜面を有するとともに透光性を有する複数の透光凸部が散在するように配置され、
前記複数の透光凸部が、ガラス材又は樹脂部材で構成され、
前記透光凸部を構成するガラス材又は樹脂部材は、表面に前記傾斜面を有する略円錐台状又は略半球状の粒状体であって、該粒状体の底面が前記透光壁部に当接するように固定されている、エレベータかご。
【請求項4】
昇降路内を上下動するエレベータかごであって、
前記かごは、かご室を構成するかご壁の少なくとも一部に、全体がかご外部の光をかご内部へ透過させうる透光壁部を有し、
前記透光壁部の内面及び外面の少なくとも何れか一方に、複数の傾斜面を有するとともに透光性を有する複数の透光凸部、及び、複数の傾斜面を有するとともに透光性を有する複数の透光凹部の少なくともいずれか一方が散在するように配置されている、エレベータかご。
【請求項5】
前記エレベータかごは、前記かご壁を複数有し、
前記複数の透光凸
部は、複数の前記かご壁の壁面に亘って設けられている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータかご。
【請求項6】
請求項1乃至請求項
5のいずれか1項に記載のエレベータかごと、
前記エレベータかごが上下動する昇降路と、を備え、
前記昇降路は、前記エレベータかごに光が当たるように構成されている、エレベータ。
【請求項7】
前記昇降路の少なくとも一部が、外部からの光が入るように構成されている、請求項
6に記載のエレベータ。
【請求項8】
前記昇降路の少なくとも一部が、外部からの光が入るように開放されている、請求項
7に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾性を高めたエレベータかご及びそれを備えるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かごに蛍光塗料を用いて図柄を描くことによりかごの装飾性を高めたエレベータが知られている(特許文献1)。このかごは、天井及び壁を含むかご本体と、かご本体の出入口に設けられたドアと、かご本体の天井に取り付けられた可視光ランプ及び紫外光ランプと、ドアの開閉を検知するセンサーと、を備える。かご本体の壁面には、蛍光塗料の塗布により図柄が描かれている。このエレベータでは、センサーがドアの開状態を検知すると、紫外光ランプが消灯するとともに可視光ランプが点灯し、図柄がかすかに視認される。一方、センサーがドアの閉状態を検知すると、可視光ランプが消灯するとともに紫外光ランプが点灯し、紫外光ランプから紫外線が照射されることによって、図柄が浮かび上がったように視認される。
【0003】
また、かごにレンズを配置することによりかごの装飾性を高めたエレベータが知られている(特許文献2)。このかごは、天井及び壁を含むかご本体と、天井に設けられたLED照明装置と、を備える。かごの壁は、基材と、基材の内面を被覆し且つ図絵が印刷されたシート材と、基材とともにシート材を挟むように配置されたレンチキュラレンズと、を有する。このエレベータでは、LED照明装置が点灯すると、レンチキュラレンズの背面に設けられた図絵が立体的に突出して視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平6-14182号公報
【文献】登録実用新案第3162777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなエレベータの装飾は、エレベータの昇降動作とは関係無く施されたものであり、エレベータ特有の美観を呈し得るものではない。
【0006】
そこで、本発明は、エレベータ特有の美観を呈し得る優れた装飾性を備えたエレベータかご及びエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレベータかごは、昇降路内を上下動するエレベータかごであって、前記かごは、かご室を構成するかご壁の少なくとも一部に、かご外部の光をかご内部へ透過させうる透光壁部を有し、前記透光壁部の内面及び外面の少なくとも何れか一方に、複数の傾斜面を有するとともに透光性を有する複数の透光凸部、及び、複数の傾斜面を有するとともに透光性を有する複数の透光凹部の少なくともいずれか一方が散在するように配置されている。
【0008】
かかる構成によれば、かご外部の光は、透光壁部を透過してかご内部に入射し、その際、透光凸部や透光凹部の傾斜面で反射、屈折する。また、エレベータかごは昇降路に沿って上下動するため、かごの上下動にともなって光源からの光の入射角度が変化し、それによって入射光が反射、屈折する傾斜面が次々と変化することとなる。つまり、エレベータの乗客には、透光壁部に散在して配置された複数の透光凸部又は透光凹部が、エレベータかごの上下動に伴ってキラキラと輝くように見え、エレベータ特有の優れた装飾性を呈するものとなる。
【0009】
前記エレベータかごでは、前記透光壁部の内外両面に、前記複数の透光凸部が配置されていてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、透光壁部の内外両面に配置された透光凸部がエレベータかごの上下動に伴ってキラキラと輝くように見えることにより、エレベータの装飾性を向上できる。
【0011】
前記エレベータかごでは、前記透光壁部の内面及び外面の少なくとも何れか一方に、前記複数の透光凸部が配置され、前記複数の透光凸部が、ガラス材で構成され、前記透光凸部を構成するガラス材は、表面に前記傾斜面を有する略円錐台状又は略半球状の粒状体であって、底面の直径が1mm以上20mm以下であり、該底面が前記透光壁部に当接するように固定されていてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、透光凸部を構成するガラス材が略円錐台状又は略半球状の粒状体であり、且つその底面が透光壁部に固定されているため、かごの上下動の際に空気抵抗や振動が生じても、このガラス材が透光壁部から剥がれにくい。また、万一剥がれてこのガラス材が落下しても、一つ一つの粒状体の大きさが比較的小さいため、その落下速度が速くなりにくく、安全性が確保できる。
【0013】
前記エレベータかごは、前記かご壁を複数有し、前記複数の透光凸部及び複数の透光凹部の少なくとも一方は、複数の前記かご壁の壁面に亘って設けられていてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、かごに広がりを持った装飾を施すことができ、かごの装飾性をさらに高めることができる。
【0015】
本発明のエレベータは、前記エレベータかごと、前記エレベータかごが上下動する昇降路と、を備え、前記昇降路は、前記エレベータかごに光が当たるように構成されている。
【0016】
かかる構成によれば、かご外部の光は、透光壁部を透過してかご内部に入射し、その際、透光凸部や透光凹部の傾斜面で反射、屈折する。エレベータかごは昇降路に沿って上下動するため、かごの上下動にともなって光源からの光の入射角度が変化し、それによって入射光が反射、屈折する傾斜面が次々と変化することとなる。つまり、エレベータの乗客には、透光壁部に散在して配置された複数の透光凸部又は透光凹部が、エレベータかごの上下動に伴ってキラキラと輝くように見え、エレベータ特有の優れた装飾性を呈するものとなる。
【0017】
前記エレベータでは、前記昇降路の少なくとも一部が、外部からの光が入るように構成されていてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、透光凸部や透光凹部に光を照射するための光源を設置しなくても、昇降路の外部からの光を利用して、かごの装飾性を高めることができる。
【0019】
前記エレベータでは、前記昇降路の少なくとも一部が、外部からの光が入るように開放されていてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、昇降路の外部からの光が、透光凸部や透光凹部に直接入射するため、この光をかごの装飾性を高めるために有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上より、本発明によれば、エレベータ特有の美観を呈し得る優れた装飾性を備えたエレベータかご及びエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るエレベータかごを備えるエレベータの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、前記エレベータかごの背面図である。
【
図3】
図3は、前記エレベータかごの右側面図である。
【
図4】
図4は、前記エレベータかごの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、
図1~
図6を参照しつつ説明する。
【0024】
エレベータ1は、
図1に示すように、昇降路2と、昇降路2内を上下動するエレベータかご3(以下、単に「かご3」とも称する)と、を備える。
【0025】
昇降路2は、建物内を複数の階層に跨って上下方向に延びる。本実施形態のエレベータ1では、昇降路2は、かご3に光が当たるように構成されている。例えば、昇降路2の少なくとも一部が、外部からの光が入るように構成されている。具体的には、昇降路2の少なくとも一部(例えば、昇降路2の上部及び側方)が、外部からの光が入るように開放されている。
【0026】
かご3は、昇降路2を備えるエレベータ1に取り付けられている。また、かご3は、出入口40を有するかご室4と、出入口40に配置されるかごドア5と、を有する。
【0027】
以下、かごドア5の開閉方向を「ドア開閉方向」とも称する。また、かご3に対する乗客の昇降方向を「奥行き方向」とも称する。
【0028】
また、かご3は、かご室4を構成するかご壁41を有する。本実施形態のかご3は、かご壁41を複数(例えば4つ)有する。また、かご3は、かご壁41とともにかご室4を構成するかご天井42を有する。
【0029】
かご3は、かご壁41の少なくとも一部(例えば、4つのかご壁41のうち3つのかご壁41)に、かご3の外部の光をかご3の内部へ透過させうる透光壁部43を有する。このかご3は、かご壁41に、透光壁部43に加えて、かご3の外部の光をかご3の内部へ透過させない非透光壁部44を有する。
【0030】
本実施形態のかご3では、
図2及び
図5に示すように、4つのかご壁41のうち奥側に配置されたかご壁41は、透光壁部43のみで構成されている。
【0031】
また、本実施形態のかご3では、
図3及び
図4に示すように、4つのかご壁41のうちドア開閉方向に並ぶ一対のかご壁41は、透光壁部43と非透光壁部44とを有する。具体的に、この一対のかご壁41は、それぞれ、奥行き方向における中央に配置され且つ上下方向に延びる非透光壁部44と、非透光壁部44を挟んで配置され且つ上下方向に延びる一対の透光壁部43と、を有する。この一対のかご壁41の各々において、かご壁41全体の面積に対する透光壁部43の面積の比率は、50%以上であることが好ましい。
【0032】
さらに、本実施形態のかご3は、かご天井42の少なくとも一部(例えば、かご天井42の一部)に、かご3の外部の光をかご3の内部へ透過させうる透光天井部45を有する(
図1参照)。本実施形態のかご3は、具体的には、かご天井42の残部に、かご3の外部の光をかご3の内部へ透過させない非透光天井部46を有する。
【0033】
本実施形態のかご3では、かご天井42は、透光天井部45と非透光天井部46とを有する。具体的に、かご天井42は、奥行き方向における中央に配置され且つドア開閉方向に延びる非透光天井部46と、非透光天井部46を挟んで配置され且つドア開閉方向に延びる一対の透光天井部45と、を有する。非透光天井部46は、例えば、一対のかご壁41の各々に設けられた非透光壁部44と連続し、門型の枠体を構成している。かご天井42において、かご天井42全体の面積に対する透光天井部45の面積の比率は、50%以上であることが好ましい。なお、かご天井42(具体的には、非透光壁部44)には、かご3内を照射するために、照明装置(例えば、LEDダウンライト)が設けられている。
【0034】
透光壁部43は、ガラス材で構成されている。例えば、各透光壁部43は、
図6に示すように、少なくとも1枚のガラス材で構成され、具体的には、2枚のガラス材で構成されている。本実施形態の透光壁部43は、2枚のガラス材が樹脂フィルムを挟んで貼り合わせられた合わせガラスで構成されている。このガラス材は、例えば、透明のガラス材である。
【0035】
非透光壁部44は、金属製部材で構成されている(
図1参照)。また、非透光壁部44は、非透光壁部44を挟んで配置された一対の透光壁部43に接続されている。
【0036】
なお、透光天井部45は、例えば、透光壁部43と同様のガラス材で構成されている。非透光天井部46は、例えば、同様の金属製部材で構成されている。また、非透光天井部46は、非透光天井部46を挟んで配置された一対の透光天井部45に接続されている。
【0037】
一実施形態のかご3では、透光壁部43の内面47及び外面48の少なくとも何れか一方に、透光性を有する複数の透光凸部6が散在するように配置されている(
図6参照)。なお、「複数の透光凸部6が散在するように配置されている」とは、複数の透光凸部6が均一に分散して配置されている場合、及び、複数の透光凸部6が不均一に(ランダムに)分散して配置されている場合の両方を含み、透光凸部6の数については限定するものではない。
【0038】
また、本実施形態のかご3では、複数の透光凸部6は、透光壁部43の内外両面47、48に配置されている。具体的に、複数の透光凸部6は、透光壁部43の2枚のガラス材のうち内側に位置するガラス材の内面、及び、外側に位置するガラス材の外面に配置されている。
【0039】
かご壁41全体の面積に対する透光凸部6の設置面の合計面積の割合は、5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上30%以下であることがより好ましい。なお、透光凸部6の設置面の合計面積とは、透光壁部43の内面47のみに透光凸部6が配置された面積と、透光壁部43の外面48のみに透光凸部6が配置された面積と、透光壁部43の内外両面47、48に透光凸部6が配置された面積との合計であって、内面に配された透光凸部6と外面に配された透光凸部6とが重なる場合は、その面積を差し引いたものである。
【0040】
本実施形態の透光壁部43では、透光壁部43の内面47に設けられる透光凸部6の設置面の面積は、透光壁部43の外面48に設けられる透光凸部6の設置面の面積と略等しいが、これらの面積は異なっていてもよい。
【0041】
さらに、複数の透光凸部6は、複数のかご壁41の壁面に亘って設けられている(
図1参照)。具体的には、複数の透光凸部6は、配置領域ドア開閉方向に並ぶ一対のかご壁41の一方、奥側に設けられたかご壁41、及び、ドア開閉方向に並ぶ一対のかご壁41の他方に亘って設けられている。
【0042】
各透光凸部6は、傾斜面60を有する(
図6参照)。なお、傾斜面60は、かご壁41の壁面(例えば、透光壁部43の内面47や外面48)に対して傾斜している。本実施形態の透光凸部6は、角度は略同じ複数の傾斜面60を有している。
【0043】
本実施形態の各透光凸部6は、ガラス材で構成されている。透光凸部6を構成するガラス材は、例えば、クリスタルガラスである。クリスタルガラスは、酸化鉛、酸化カリウム、酸化バリウム、酸化チタニウム等を主要成分として含むガラス材であって、高い透明度を有し、且つ、屈折率が1.520以上のガラス材である。
【0044】
なお、透光凸部6の色は、透光壁部43の色と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、複数の透光凸部6は、異なる色の透光凸部を含んでいてもよいし、同じ色の透光凸部のみで構成されていてもよい。本実施形態の複数の透光凸部6の色は、複数(例えば、5種類)である。
【0045】
なお、透光壁部43に配置される複数の透光凸部6のサイズは、同じであってもよいし異なっていてもよい。本実施形態の透光壁部43に配置される複数の透光凸部6のサイズは、複数(例えば、4種類)である。
【0046】
透光凸部6を構成するガラス材は、表面に傾斜面60を有する略円錐台状又は略半球状の粒状体であり、底面61が透光壁部43に当接するように固定されていることが好ましい。本実施形態の透光凸部6を構成するガラス材は、略円錐台状であり、表面として複数(例えば、14)の傾斜面60と、底面61と、天面62と、を有する。
【0047】
また、透光凸部6を構成するガラス材は、底面61の直径が1mm以上10mm以下の略円錐台状又は略半球状の粒状体であることが好ましく、底面61の直径が2mm以上8mm以下の略円錐台状又は略半球状の粒状体であることがより好ましい。
【0048】
本実施形態のかご3では、かご壁41には、透光凸部6が設けられている配置領域63と、透光凸部6が設けられていない非配置領域64とが設けられている(
図2~
図4参照)。また、複数のかご壁41(例えば、3つのかご壁41)において、配置領域63が連続している(
図1参照)。例えば、配置領域63は、かご壁41の上下方向と直交する方向における一端から他端まで延びた形状であり、具体的には、天の川を模した形状である。
【0049】
本実施形態のかご天井42には、透光凸部6が設けられていない。そのため、かご天井42の透光天井部45に入射した光の一部は、透光壁部43の透光凸部6に入射して、かご3の装飾性向上に寄与する。なお、かご天井42に透光凸部6を設けることで、かご天井42にきらめき感を付与してもよい。
【0050】
以上のエレベータ1によれば、例えば、エレベータ1が設置された建物の外部から差し込む太陽光等の自然光や、建物照明などの周辺光(以下、単に「光源からの光」という)が、昇降路2の開放された部分(例えば、昇降路2の上部や側方)を通ってかご3に到達し、さらに、透光壁部43を透過してかご3の内部に入射し、その際、透光凸部6の傾斜面60で反射、屈折する。かご3は昇降路2に沿って上下動するため、かご3の上下動にともなって上記光源からの光の入射角度が変化し、それによって入射光が反射、屈折する傾斜面60が次々と変化することとなる。つまり、エレベータ1の乗客には、透光壁部43に散在して配置された複数の透光凸部6が、かご3の上下動に伴ってキラキラと輝くように見え、エレベータ特有の優れた装飾性を呈するものとなる。
【0051】
また、かご3が上下動すると、光源からの光が透光凸部6(例えば、クリスタルガラス)により反射、屈折することにより、複数の透光凸部6が群星のようにきらびやかに光る。具体的に、太陽光を利用する場合、透光凸部6の輝きは太陽の高度(時間帯)や日光の強さ(天候)によって変化し、見る人を飽きさせない。
【0052】
本実施形態のかご3によれば、ガラス材で構成された透光凸部6がかご3の上下動に伴ってキラキラと輝くように見えることにより、エレベータ1の装飾性を向上できる。
【0053】
また、本実施形態のかご3によれば、透光壁部43の内外両面47、48に配置された透光凸部6がかご3の上下動に伴ってキラキラと輝くように見えることにより、エレベータ1の装飾性を向上できる。
【0054】
さらに、本実施形態のかご3によれば、透光凸部6を構成するガラス材が略円錐台状の粒状体であり、且つこのガラス材の底面61が透光壁部43に固定されているため、かご3の上下動の際に空気抵抗や振動が生じても、このガラス材が透光壁部43から剥がれにくい。また、万一剥がれてこのガラス材が落下しても、一つ一つの粒状体の大きさが比較的小さいため、その落下速度が速くなりにくく、安全性が確保できる。
【0055】
本実施形態のかご3によれば、複数の透光凸部6は、複数のかご壁41の壁面に亘って設けられているため、かご3に広がりを持った装飾を施すことができ、かご3の装飾性をさらに高めることができる。
【0056】
また、本実施形態のエレベータ1によれば、昇降路2の一部に外部からの光が入るため、透光凸部6に光を照射するための光源を使用しなくても、この外部からの光を利用して、かご3の装飾性を高めることができる。しかも、昇降路2の開放された部位を介して外部からの光が、透光凸部6に直接入射するため、この光をかご3の装飾性を高めるために有効に利用することができる。
【0057】
本実施形態のかご3によれば、透光壁部43が配置領域63及び非配置領域64を有するため、非配置領域64からかご3の外の景色を見ることができ、建物の高層階に設置される展望エレベータとして好適である。本実施形態のかご3を備えた展望エレベータは、非配置領域64からかご3の外の景色を見ることができるという特性と、配置領域63に設けられた透光凸部6によるかご3の装飾性とを両立したものとなる。
【0058】
尚、本発明のエレベータかごは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0059】
上記実施形態のかご3では、透光凸部6は、傾斜角度が略同じ複数の傾斜面60を有しているが、傾斜角度が異なる複数の傾斜面60を有していてもよい。透光凸部6の傾斜面60の角度が異なる場合、透光凸部6の異なる角度で傾斜した傾斜面60で光の反射角や屈折角が異なることにより、かご3の装飾性をさらに高めることができる。
【0060】
上記実施形態のかご3では、透光壁部43の内面47及び外面48に、透光凸部6に加えて、又は、透光凸部6の代わりに、複数の傾斜面を有するとともに透光性を有する複数の透光凹部が散在するように配置されていてもよい。透光凸部は、例えば、透光壁部43をカッティング加工することにより構成されてもよい。また、複数の透光凹部は、複数のかご壁41に亘って設けられていてもよい。
【0061】
さらに、かご3では、透光壁部43の内面47及び外面48の両方に透光凸部6が設けられていたが、透光壁部43の内面47及び外面48の何れか一方、例えば、外面48のみに設けられてもよい。
【0062】
本実施形態のかご3において、透光凸部6はガラス材であったが、これに限定されず、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレンといった高い透光性を有する樹脂部材等であってもよい。
【0063】
また、複数の透光凸部6は、複数のかご壁41の壁面(例えば、3つのかご壁41の壁面)に亘って配置領域63が連続するように設けられていたが、配置領域63がかご壁41の壁面にそれぞれ別々に設けられていてもよい。例えば、3つのかご壁41の壁面のそれぞれの中央領域にのみ、透光凸部6が設けられていてもよい。
【0064】
上記実施形態のかご3は、3つのかご壁41を有していたが、1つ、2つ、乃至、4つ以上のかご壁41を有してもよい。例えば、かご壁41が1つである場合、かご室4が円柱状であることが考えられる。
【0065】
上記実施形態のエレベータ1では、昇降路2の一部が開放されることによりかご3に光が当たるように構成されていたが、昇降路2をガラス材で構成したり、昇降路2内にかごに向けて光を照射する光源(LED等)を備えたりしてもよい。昇降路2に光源を備える場合、例えば、昇降路2における太陽光が届かない部分に、上下方向において等間隔に間隔を空けて光源を配置してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…エレベータ、2…昇降路、3…エレベータかご(かご)、4…かご室、5…かごドア、6…透光凸部、40…出入口、41…かご壁、42…かご天井、43…透光壁部、44…非透光壁部、45…透光天井部、46…非透光天井部、47…内面、48…外面、60…傾斜面、61…底面、62…天面、63…配置領域、64…非配置領域