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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】電池パックの消火システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/16 20060101AFI20220609BHJP
   A62C 37/44 20060101ALI20220609BHJP
   H01M 10/00 20060101ALI20220609BHJP
   A62D 1/00 20060101ALI20220609BHJP
   A62D 1/08 20060101ALI20220609BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A62C3/16 C
A62C37/44
H01M10/00
A62D1/00
A62D1/08
B01D46/10 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021001152
(22)【出願日】2021-01-06
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】17/133,116
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521010344
【氏名又は名称】烟台創為新能源科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Yantai Chungway New Energy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 163 Jinshajiang Road, Economic and Technological Development Zone, Yantai City, Shandong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 立磊
(72)【発明者】
【氏名】趙 怡鋒
(72)【発明者】
【氏名】李 明明
(72)【発明者】
【氏名】畢 岩偉
(72)【発明者】
【氏名】李 昭君
(72)【発明者】
【氏名】時 暁▲とん▼
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-160573(JP,A)
【文献】特開2017-060805(JP,A)
【文献】特開2014-158508(JP,A)
【文献】特開2014-165026(JP,A)
【文献】中国実用新案第211789233(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111834581(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111957128(CN,A)
【文献】中国実用新案第211455884(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 3/16
A62C 37/44
H01M 10/00
H01M 50/20
H01M 50/342
H01M 50/30
A62D 1/00
A62D 1/08
B01D 46/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知制御装置、火災抑制装置および水消火装置を含み、前記検知制御装置が火災抑制装置に接続され、前記水消火装置が火災抑制装置に接続され
前記火災抑制装置は、初期火災を抑制し、前記水消火装置は、末期再発火を抑制する
ことを特徴とする、電池パックの消火システム。
【請求項2】
前記検知制御装置は、複合型検知制御装置であり、温度センサ、煙センサ、COセンサ、光電センサ、水素センサ、VOCセンサおよびタクタイルスイッチうちの1種または複数種を有する検知素子を含み、検知素子により検知されたパラメーター信号を火災抑制装置に転送する
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの消火システム。
【請求項3】
前記火災抑制装置は、排気フィルターである
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの消火システム。
【請求項4】
前記火災抑制装置は、媒体として、凝縮エアロゾル、ドライパウダー、ヘプタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパンまたはペルフルオロ(2-メチル-3-ペンタノン)を選定し、媒体噴射として単回噴射または複数回噴射を選定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの消火システム。
【請求項5】
複数回噴射とされる前記火災抑制装置は、ポンプ式消火器である
ことを特徴とする、請求項4に記載の電池パックの消火システム。
【請求項6】
前記水消火装置は、筐体、係合機構、開閉制御ユニットおよびコネクタ機構を含み、前記係合機構、開閉制御ユニットおよびコネクタ機構は、筐体に設けられ、前記筐体は、メイン筐体と該メイン筐体に蝶着するゲートを有し、開閉制御ユニットは、係合機構がゲートをオン/オフにするように制御する
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの消火システム。
【請求項7】
前記係合機構は、電子ロックである
ことを特徴とする、請求項6に記載の電池パックの消火システム。
【請求項8】
前記開閉制御ユニットは、電子制御によって係合スイッチをオンにする電子制御モジュール、機械的伝達によって係合スイッチをオンにする連動ユニットおよび係合スイッチを含む
ことを特徴とする、請求項6に記載の電池パックの消火システム。
【請求項9】
前記コネクタ機構は、ボルトにより筐体に固着される開口部と、ボルトにより筐体に固着され筐体の側壁にシールして接続する継手を含む
ことを特徴とする、請求項6に記載の電池パックの消火システム。
【請求項10】
さらに、電池パックに接続され、電池パックの内部に燃焼を起こす場合に、燃焼ガスを排出する排気フィルターを含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の電池パックの消火システム。
【請求項11】
前記排気フィルターは、一端が電池パックに接続され、他端が下記のろ過装置に接続される防爆弁、および、筐体の一端に配置される入力口、筐体の他端に配置される出力口、筐体ならびに筐体に配置され複数のフィルターホールが開設されているろ過機構を有するろ過装置を含む
ことを特徴とする、請求項10に記載の電池パックの消火システム。
【請求項12】
前記フィルターホールは、最小径が0.428 mm未満である
ことを特徴とする、請求項11に記載の電池パックの消火システム。
【請求項13】
前記ろ過機構は、ろ過機構の転送方向の一側に配置され、離間して設けられる少なくとも2つの第1ろ過板を備える第1ろ過ユニットおよび、ろ過機構の転送方向の他側に配置され、離間して設けられる少なくとも2つの第2ろ過板を備える第2ろ過ユニットを含み、ろ過機構の転送方向において、少なくとも2つの第1ろ過板がフィルターホールの穴径の大きい順に並び、少なくとも2つの第2ろ過板がフィルターホールの穴径の大きい順に並ぶ
ことを特徴とする、請求項12に記載の電池パックの消火システム。
【請求項14】
単一の前記第1ろ過板における穴径のガス透過面積と、隣接する第2ろ過板における穴径のガス透過面積と、単一の隙間のガス透過有効面積との和は、入力口の断面積よりも大きいろ過機構における単一層のガス透過面積になる
ことを特徴とする、請求項13に記載の電池パックの消火システム。
【請求項15】
前記第1ろ過板は、筐体の長尺方向の側壁と0°より大きく180°より小さい交差角が設置され、そのガス透過面積が、入力口の断面積よりも大きく、第2ろ過板は、筐体の長尺方向の側壁と0°より大きく180°より小さい交差角が設置され、そのガス透過面積が、入力口の断面積よりも大きい
ことを特徴とする、請求項14に記載の電池パックの消火システム。
【請求項16】
前記出力口に、水消火機構が設けられる
ことを特徴とする、請求項11に記載の電池パックの消火システム。
【請求項17】
前記防爆弁は、枠体、枠体に配置され防爆弁と電池パックのシール接続に用いられるシールガスケット、および、枠体に配置され電池パックの熱暴走の場合における圧力放出に用いられるガス透過性防水膜を含む
ことを特徴とする、請求項11に記載の電池パックの消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック消火の技術分野に関し、具体的には、電池パックの消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2020年5月12日に、工業情報化部により策定されたGB 18384-2020《電気自動車安全要求》、GB 38032-2020《電気バス安全要求》およびGB 30381-2020《電気自動車用動力蓄電池安全要求》の三つの強制的国家標準(以下、“三つの強力な標準”と単に呼ばれる)が国家市場監督管理総局、国家標準化管理委員会から承認、公布され、2021年1月1日から施行される。
【0003】
三つの強力な標準は、電池セルが熱暴走に入ると、電池システムが5分間以内にアラーム信号を出力することを規定しており、乗員の安全避難時間を確保する要求が、強制的標準になるため、新エネルギー車に対してより高い安全性を求めている。但し、GB 7258-2017《原動機付車両運転安全技術的条件》12.10.3条として、全長6 m以上の純電気バス、プラグインハイブリッドバスが、パワー電池の動作状態を監視し、異常の場合にアラームを発すると共に、アラーム後5 min内に電池ケースが発火して爆発しないようにする必要がある。JT/T1240-2019《都市バス車両専用安全実施技術要件》11.3条として、熱暴走を起こした場合、電池ケース消火装置は、熱故障に関する信号を発した後5 min内に電池ケースの外部に火事や爆発が発生しないようにする必要がある。《電気バス動力リチウムイオン電池ケース火災予防制御装置通用技術要件》(CCCF/XFJJ-01)において、電気バス動力リチウムイオン電池ケースにおける火災予防制御装置中に、危険源同定製品、データ情報収集、伝送、連携、フィードバック装置、音響光学アラーム、火災抑制剤および保存、放出装置などを含むことが提案された。電池の熱暴走を抑制する三つの強力な標準を満足することは、新エネルギー車の安全分野における至急に解決しなければならない難しい問題となる。
【0004】
従来の熱暴走技術的対策は、単一の複合型検知コントローラーによりアラーム信号を与えるか、または、複合型検知コントローラーと火災抑制装置より構成されるかのどちらかである。上記のいくつかの技術的対策において、単一の複合型検知コントローラーの対策は、早期警報信号しか提供しないため、熱暴走を抑制することができない。複合型検知コントローラーと火災抑制装置より構成される対策は、初期の火災を抑制することができるが、末期の再発火を解決できず、三元電池などの急激な熱暴走によって圧力が大きくなり過ぎてしまい、ひいては、パワー電池パックケース本体が破裂することにより、火災を一瞬に起こす可能性がある。
【0005】
複合型検知コントローラー+火災抑制装置という対策は、現在、その市場応用が最多になり、初期反応の遅い熱暴走を抑制することができるが、末期再発火、激しい燃焼反応といった熱暴走を抑制不能である。
【0006】
熱暴走の末期再発火および急激な熱暴走への対策は、当業者にとって、現在の急務になり、これによって、初期火災も、末期再発火も解決することができるように保証し、財産損害低減および死傷者防止を達成することができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術の欠点を克服するために、火災抑制装置が、初期火災の消火および抑制を保証することができ、水消火装置および/または水消火機構を増加することによって、電池パックが再発火した場合に、消火を行えるように、消防水を速やかに接続して、電池パックの内部に直接に搬送する電池パックの消火システムを提供することを目的とする。当然ながら、電池パックにおける初期火災消火から消防水接続までは時間が掛かるため、電池パックが再発火した後、電池パックの内部の熱暴走、爆発の発生を解決するために、本発明は、電池パックの内部における熱暴走が発生した場合に形成された多量の燃焼ガスや爆発物をスムーズに電池パックから排出することによって、圧力放出をして電池パックを保護すると共に、時間を無駄にせず消防水を接続する排気フィルターを提供する。
【0008】
本発明の目的は、以下の技術的手段によって、検知制御装置、火災抑制装置および水消火装置を含み、上記の検知制御装置が火災抑制装置に接続され、上記の水消火装置が火災抑制装置に接続される電池パックの消火システムを達成することである。
【0009】
さらに、上記の検知制御装置は、複合型検知制御装置であり、温度センサ、煙センサ、COセンサ、光電センサ、水素センサ、VOCセンサおよびタクタイルスイッチうちの1種または複数種を有する検知素子を含み、検知素子により検知されたパラメーター信号を、複合判断で火災抑制装置に転送する。
さらに、上記の火災抑制装置は、排気フィルターである。
【0010】
さらに、上記の火災抑制装置は、媒体として、凝縮エアロゾル、ドライパウダー、ヘプタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパンまたはペルフルオロ(2-メチル-3-ペンタノン)を選定し、媒体噴射として単回噴射または複数回噴射を選定する。
さらに、複数回噴射とされる上記の火災抑制装置は、ポンプ式消火器である。
【0011】
さらに、上記の水消火装置は、筐体、係合機構、開閉制御ユニットおよびコネクタ機構を含み、上記の係合機構、開閉制御ユニットおよびコネクタ機構は、筐体に設けられ、上記の筐体は、メイン筐体と該メイン筐体に蝶着するゲートを有し、開閉制御ユニットは、係合機構がゲートをオン/オフにするように制御する。
さらに、上記の係合機構は、電子ロックである。
【0012】
さらに、上記の開閉制御ユニットは、電子制御によって係合スイッチをオンにする電子制御モジュール、機械的伝達によって係合スイッチをオンにする連動ユニットおよび係合スイッチを含む。
さらに、上記のコネクタ機構は、ボルトにより筐体に固着される開口部と、ボルトにより筐体に固着され筐体の側壁にシールして接続する継手を含む。
【0013】
さらに、上記の電池パックの消火システムは、さらに、電池パックに接続され、電池パックの内部に燃焼を起こす場合に、燃焼ガスを排出する排気フィルターを含む。
【0014】
さらに、上記の排気フィルターは、一端が電池パックに接続され、他端が下記のろ過装置に接続される防爆弁、および、筐体の一端に配置される入力口、筐体の他端に配置される出力口、筐体ならびに筐体に配置され複数のフィルターホールが開設されているろ過機構を有するろ過装置を含む。
さらに、上記のフィルターホールは、最小径が0.428 mm未満である。
【0015】
さらに、上記のろ過機構は、ろ過機構の転送方向の一側に配置され、離間して設けられる少なくとも2つの第1ろ過板を備える第1ろ過ユニットおよび、ろ過機構の転送方向の他側に配置され、離間して設けられる少なくとも2つの第2ろ過板を備える第2ろ過ユニットを含み、ろ過機構の転送方向において、少なくとも2つの第1ろ過板がフィルターホールの穴径の大きい順に並び、少なくとも2つの第2ろ過板がフィルターホールの穴径の大きい順に並ぶ。
【0016】
さらに、単一の上記の第1ろ過板における穴径のガス透過面積と、隣接する第2ろ過板における穴径のガス透過面積と、単一の上記の隙間のガス透過有効面積との和は、入力口の断面積よりも大きいろ過機構における単一層のガス透過面積になる。
【0017】
さらに、上記の第1ろ過板は、筐体の長尺方向の側壁と0°より大きく180°より小さい交差角が設置され、そのガス透過面積が、入力口の断面積よりも大きく、第2ろ過板は、筐体の長尺方向の側壁と0°より大きく180°より小さい交差角が設置され、そのガス透過面積が、入力口の断面積よりも大きい。
さらに、上記の出力口に、水消火機構が設けられる。上記の水消火機構は、具体的構成が水消火装置と同一である。
【0018】
さらに、上記の防爆弁は、枠体、枠体に配置され防爆弁と電池パックのシール接続に用いられるシールガスケット、および、枠体に配置され電池パックの熱暴走の場合における圧力放出に用いられるガス透過性防水膜を含む。
【0019】
本発明は、従来の技術と比べて、火災抑制装置が、初期火災の消火および抑制を保証することができ、水消火装置および/または水消火機構を増加することによって、電池パックが再発火した場合に、消火を行えるように、消防水を速やかに接続して、電池パックの内部に直接に搬送することができる点で有用な効果が発揮される。電池パックにおける初期火災消火から消防水の接続までは時間が掛かることが勿論、電池パックが再発火した後、電池パックの内部の熱暴走、爆発の発生を解決するために、本発明は、電池パックの内部における熱暴走が発生した場合に形成された多量の燃焼ガスや爆発物をスムーズに電池パックから排出することによって、圧力放出をして電池パックを保護すると共に、時間を無駄にせず消防水を接続する排気フィルターを提供する。
以下、本発明は、図面と具体的実施形態に合わせて詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】電池パックの消火システムの構造模式図である。
図2】消火システムにおける火災抑制装置の一部構造模式図である。
図3】消火システムにおける排気フィルターの一部構造模式図である。
図4】水消火装置の内部構造模式図である。
図5】水消火装置における第2チャンバーの内部構造模式図である。
図6】防爆弁の構造模式図である。
図7A-7C】複数の実施例におけるろ過装置の構造模式図である。
図8】隙間ガス透過有効面積の模式図である。
図9】153Ah三元電池を例とする燃焼温度検出図である。
図10】ポンプ式消火器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~10に示すように、電池パック1の内部または外部に設置されワイヤハーネス6を介して火災抑制装置3と接続される検知制御装置2、電池パック1の内部または外部に設置される火災抑制装置3、および、電池パック1の外部に設置される水消火装置4を含み、上記の火災抑制装置3は、消火パイプライン9、ノズル10、および消火剤タンク8を備え、消火剤タンク8が消火パイプライン9を介して上記のノズル10の一端と接続され、上記のノズル10の他端が電池パック1の内部に入り込み、検知制御装置2が火災抑制装置3に接続され、水消火装置4が火災抑制装置3に接続され、具体的に、水消火装置4が三方弁7を介して消火パイプライン9に接続される電池パックの消火システムである。上記の検知制御装置2は、複合型検知制御装置2であり、温度センサ、煙センサ、COセンサ、光電センサ、水素センサ、VOCセンサおよびタクタイルスイッチうちの1種または複数種を有する検知素子を含み、検知素子により検知されたパラメーター信号を複合判断で火災抑制装置に転送することによって、消火剤の噴出を開始させる。上記の検知制御装置2は、電池パック1の内部の初期火災を覚知して知能的に判断し、検知されたパラメーター信号を火災抑制装置3に転送する。火災抑制装置3は、検知制御装置2からの作動信号を受信後、消火剤タンク8内の火災抑制媒体を消火パイプライン9、ノズル10を介して電池パック1の内部に転送することによって、初期火災を抑制し、電池パック1の熱暴走初期における早期警報、自動消火の機能を発揮し、また、手動でスイッチをオンにすることによって火災抑制装置3の手動制御を達成することができる。末期再発火または激しい熱暴走の場合、水消火装置4または水消火機構11に消火ホースを外付けて通水後、水を電池パック1にスムーズに入力することによって、火災の完全抑制を保証することもできる。水消火機構11に接続される排気フィルター5は、電池パック1からの燃焼ガスをスムーズに排出すると共に、圧力を放出し、それにより、熱暴走が遅延される。さらに、上記の検知制御装置2は、1つまたは複数であって、1つの検知制御装置2は、1つまたは複数の電池セルを対応して検出する。
【0022】
上記の火災抑制装置3は、排気フィルター5である。本発明における排気フィルター5は、火災抑制装置3の形態のうちの1種でありうり、電池パックの消火システムのうちの1つの個別機器、すなわち、火災抑制装置3における並列したもう1つの機器で存在してもよい。具体的に、異なる電池について、異なる消火計画で消火を行う。リン酸鉄リチウム電池を例として、検知制御装置2と、火災抑制装置3(この場合、火災抑制装置3が請求項に記載の媒体のいずれか1種、例えばペルフルオロ(2-メチル-3-ペンタノン)を選んでよい)と水消火装置4との組み合わせを選んで消火してよく、上記組み合わせに基づき、排気フィルター5を追加して消火を行ってもよく、三元電池を例として、検知制御装置2と、火災抑制装置3(この場合、火災抑制装置3が排気フィルター5を選ぶ)と水消火装置4との組み合わせを選んで消火してもよい。
【0023】
上記の火災抑制装置3は、媒体として凝縮エアロゾル、ドライパウダー、ヘプタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパンまたはペルフルオロ(2-メチル-3-ペンタノン)を選定し、媒体噴射として単回噴射または複数回噴射を選定する。単回噴射とされる火災抑制装置3は、当該技術分野においてよく利用され、例えば、爆破式(凝縮エアロゾル)、空圧ピストン式(非蓄圧)、メカニカルピストン式(非蓄圧)、蓄圧式(ドライパウダー消火器)などのようなものであって、複数回噴射とされる火災抑制装置3は、ポンプ式消火器などのようなものである。
【0024】
上記のポンプ式消火器は、液体導入経路2および液体排出経路3が形成されており、内部に消火剤を充填した薬剤タンク60が配置され、上記の液体導入経路2を介して上記の薬剤タンク60に接続される薬剤入力配管61、および、上記の液体排出経路3に接続され末端に薬剤出口63が形成されている薬剤出力配管62を接続しているポンプセット59が設けられる外枠体56を備える。外枠体56は、内部にコントローラー64がさらに設けられ、上記の薬剤タンク60は、内部に上記のコントローラー64との間で電気回路により接続され、薬剤タンク60の内部の消火剤液面を監視するための液面センサ65が設けられ、上記のポンプセット59は、上記のコントローラー64との間で電気回路により接続され、薬剤タンク60の内部の消火剤を薬剤出口63を通してポンプアウトするために用いられる。
【0025】
具体的に、ポンプセット59およびコントローラー64は、本来、従来の技術に属し、必要に応じて、例えばコントローラー64が単一経路で汚染を排出し定常圧力で制御されるインテリジェント水ポンプコントローラー64GYK-1LP230Xを利用するように適当な型番を選択してもよい。
【0026】
外枠体56には、上記のコントローラー64との間で電気回路により接続され、上記のコントローラー64が電池パック熱暴走危険早期警報信号を受信するための外部監視ポート66が接続される。外枠体56には、上記のコントローラー64との間で電気回路により接続され、上記のコントローラー64が電池熱暴走アラーム情報を出力するための早期警報ポート67が接続される。
【0027】
具体的に、コントローラー64は、外部監視ポート66により電池パック熱暴走危険早期警報信号を受信し、従来のコントローラー64に整合されるアルゴリズムに基づき、降温または消火を開始させるレベルになるように、早期警報データレベルを認識・解析・判断すると共に、熱暴走モデルおよびプリセット危険レベルと比較し、また、アルゴリズムが始動命令を出すことによって、ポンプセット59は電流を通すと動作し始め、薬剤タンク60の出口から消火薬剤を吸い込み、ポンプセット59を経由して薬剤出口63から薬剤フローを出力することで、薬剤噴出を達成する。
【0028】
コントローラー64は、早期警報ポート67によって日常監視データ、機器異常データ、目標危険データをバックグラウンドに長距離伝送して遠隔監視をなすことによって、実際の適用において障害情報や危険情報が放置される課題を解決することができる。
【0029】
1つの実施例において、ポンプ式消火器は、さらに、上記のコントローラー64との間で電気回路により接続され、ポンプセット59が起動するか、または外部電源が停電する場合、ポンプ式消火器に対して給電するための予備電源68を含む。予備電源68は、ポンプセット59のモーターが起動するか、または外部電源が停電する場合にのみ一時的に給電する。また、非危険、すなわち正常状態の場合、外部電源によりコントローラー64に給電する。
【0030】
1つの実施例において、ポンプ式消火器は、さらに、上記のポンプセット59と上記のコントローラー64の間に接続される継電器を含む。継電器のオン・オフ動作によってポンプセット59の動作を制御する。
【0031】
1つの実施例において、ポンプ式消火器は、上記の薬剤タンク60の側部にスタンドストッパー70が設けられ、上記の薬剤タンク60が上記のスタンドストッパー70の間に局在化され、その天井部にレバー71が接続される。スタンドストッパー70は、薬剤タンク60に対して位置リミットを行うように機能することによって、振動変位による配管損害を回避しつつ、ポンプ式消火器の安定性を保証する。レバー71は、薬剤を補足するための薬剤タンク60の装着が容易になるように設計されている。
【0032】
具体的に、上記の外枠体56は、側部に、固定穴69が設置されている固定台72が接続される。固定台72は、ボルトによって固定穴69を通して外枠体56を固定することによって、外枠体56の内部部材の安定性を保証しつつ、外枠体56の変位を回避する。薬剤タンク60と外枠体56は、共に個別に固定されることによって、両者間における距離の安定を保証しつつ、振動による配管の損害を回避する。
【0033】
本発明において、ポンプセット59は、消火剤を充填した薬剤タンク60が配置され、液体導入経路2を介して薬剤タンク60に接続される薬剤入力配管61、および、液体排出経路3に接続され且つ末端に薬剤出口63が形成される薬剤出力配管62が接続されている。外枠体56の内部は、コントローラー64がさらに設置されており、薬剤タンク60の内部は、コントローラー64との間で電気回路により接続され、薬剤タンク60の内部の消火剤液面を監視するための液面センサ65が設置されており、ポンプセット59は、コントローラー64との間で電気回路により接続され、薬剤タンク60の内部の消火剤を薬剤出口63を通してポンプアウトするために用いられる。継電器のオン・オフ動作によってポンプセット59の動作を制御する。コントローラー64は、外部監視ポート66により電池パック熱暴走危険早期警報信号を受信し、従来のコントローラー64に整合されるアルゴリズムに基づき、降温または消火を開始させるレベルになるように、早期警報データレベルを認識・解析・判断すると共に、熱暴走モデルおよびプリセット危険レベルと比較し、また、アルゴリズムが始動命令を出すことによって、ポンプセット59は電流を通すと動作し始め、薬剤タンク60の出口から消火薬剤を吸い込み、ポンプセット59を経由して薬剤出口63から薬剤フローを出力することで、薬剤噴出を達成する。コントローラー64は、早期警報ポート67により日常監視データ、機器異常データ、目標危険データをバックグラウンドに長距離伝送して遠隔監視をなすことによって、実際の適用において障害情報や危険情報が放置される課題を解決することができる。予備電源68は、ポンプセット59のモーターが起動するか、または外部電源が停電する場合にのみ一時的に給電する。また、非危険、すなわち正常状態の場合、外部電源によりコントローラー64に給電する。本発明は、信頼性の高いポンプ式の態様で従来の技術における動力供給および圧縮噴出の課題を解決し、基本的に、技術上の信頼性および複数回噴出の目的を果たした。第1、ポンプセット59による連続的送液で圧力を与えて、従来の予備蓄圧製品からの噴出が1回でおしまいである限界性を解決し、第2、同時に、予備蓄圧製品が圧力蓄積のため年度監査の産業規制に直面する悩みを解決し、第3、ポンプセット59と薬剤タンク60の分散レイアウトは、より柔軟で、より多くの車種に適用可能で、実装箇所の適合性が良い。本発明は、従来態様における単回噴出の弊害を打ち破り、電池パックの温度変化や周辺電池パックへの影響を有効に抑制し、電池パックの熱暴走後の熱伝達リスクを減少する。
【0034】
上記の水消火装置4は、電池パック1の消火パイプライン9に連通しており、外筐体52と、係合機構と、開閉制御ユニット53と、コネクタ機構54とを備え、上記の係合機構、開閉制御ユニット53およびコネクタ機構54は、メイン筐体30およびメイン筐体30に蝶着するゲート28を含む外筐体52に配置され、開閉制御ユニット53は、係合機構がゲート28をオン/オフにするように制御する。上記の係合機構は、電子ロック37である。上記の水消火装置4は、電池パック1の消火パイプライン9に連通しており、消防水を電池パック1に直接に転送して消火を行い、電気自動車コア部への直接消火が可能になる。水消火装置4が発火信号を受信した場合に、開閉制御ユニット53は、電子ロック37の解除を制御することで、電子ロック37を開き、さらに、ゲート28をオンにして開いた後、外付け消火配管をコネクタ機構54に連通して、該水消火装置4を用いて消防水を電気自動車のコア部(電池パック1)に直接に搬送して、速やかな消火効果を達成する。
【0035】
上記のメイン筐体30は、第1チャンバー50と第2チャンバー51との2つのチャンバーに分けられ、コネクタ機構54は、第1チャンバー50に設けられ、ゲート28は、第1チャンバー50を閉めるために用いられ、コネクタ機構54は、ゲート28から離間する一端で第1チャンバー50に延長して、電池パック1の消火パイプライン9に接続すると共に、電子ロック37と開閉制御ユニット53を第2チャンバー51に設ける。上記のコネクタ機構54は、消防水に関連し、上記の電子ロック37および開閉制御ユニット53は、電気に更に関連し、コネクタ機構54を個別に離間して設置することによって、水消火装置4全体の安全性を保証しつつ、電子ロック37と開閉制御ユニット53の安全も保護することができる。ゲート28は、第1シールリング29を介して、第1チャンバー50にシールして接続する。
【0036】
上記の第2チャンバー51には、一端が第2チャンバー51の側壁に延長して、開閉制御ユニット53と接続されるブザー46がさらに設けられる。水消火装置4が発火信号を受信した場合、電子制御モジュール39は、ブザー46およびライト表示をオンにすることによって、ブザー46がアラーム音を鳴りながら、赤い光を点灯することによって、人が消火するよう促し、また、水コネクタの場所を速やかに見つけるために救助隊員に音と光の案内を与える。
【0037】
上記の係合機構は、第1締結具40により第2チャンバー51に固定接続される電子ロック37である。電子ロック37は、第1締結具40の一端に固定され、第1締結具40は、他端が第2チャンバー51に固定される。上記の電子ロック37がゲート28をオフにすることが一般的である。
【0038】
上記の開閉制御ユニット53は、手動または電子制御で電子ロック37を開くことによってゲート28をオンにする。具体的に、上記の開閉制御ユニット53は、電子制御モジュール39、連動ユニット55および係合スイッチ41を備え、上記の電子制御モジュール39は、電子制御で係合スイッチ41をオンにし、上記の連動ユニット55は、機械的伝達で係合スイッチ41をオンにする。機械的伝達は、上記の連動ユニット55は、スイッチロッド49、ロッド44および係合ロッド42を含み、上記のスイッチロッド49、ロッド44および係合ロッド42は、順次に接続され、上記の係合ロッド42の他端が係合スイッチ41に接続され、スプリング47がスイッチロッド49に套設され、実装位置がスイッチロッド49と対応するパネルが外筐体52上に設けられる。上記のパネルは、アクリルパネル48である。上記のアクリルパネル48は、第2チャンバー51の側壁に埋設されている。電子制御モジュール39は、第2チャンバー51と固定した第2締結具38に固着されている。スイッチロッド49とロッド44は、第3締結ナット45によって一体に固定されており、係合ロッド42とロッド44は、第2締結ナット43によって一体に固定されており、電子制御モジュール39に電気接続されるエアプラグ継手36が第2チャンバー51の側壁に接続される。
【0039】
上記のコネクタ機構54は、開口部31と継手33とを備え、上記の開口部31と継手33は、ボルトにより外筐体52に固着され、継手33は、外筐体52の側壁にシールして接続される。継手33と外筐体52は、第2シールリング32および第3シールリング35によってシールして接続されている。継手33は、第1締結ナット34によって外筐体52に固着されている。継手33は、消火パイプライン9に接続されている。
【0040】
排気フィルター5は、一端が電池パック1に接続され、他端がろ過装置12に接続される防爆弁13、および、筐体18の一端に配置される入力口16、筐体18の他端に配置される出力口15、筐体18ならびに筐体18に配置され最小径が0.428 mmより小さい複数のフィルターホール19が開設されるろ過機構17を有するろ過装置12を含む。上記の電池パック1の排気フィルター5は、さらに、防爆弁13とろ過装置12の間の接続に用いられる排気管14、および、ろ過装置12の出力口15に接続される水消火機構11を含む。上記の水消火機構11は、標準的な水消火機構11が用いられ、熱暴走の場合、ろ過装置12は、消防車の到来に乗客を待たせる時間を十分に稼ぐことによって、消防士が消防水を水消火機構11に直接に速やかに繋ぐことができる。ろ過機構17におけるフィルターホール19は、大きな破裂圧力の放出、特に、大容量電池および電池モジュールに瞬間に発生した多量の燃焼ガスの放出を良好に保証し、ろ過装置12、ひいては電池パック1の構造の破損を回避することができる。フィルターホール19の形状は、長尺状、丸穴、角穴などであってよく、1つの第1ろ過板22または1つの第2ろ過板23における複数のフィルターホールは、穴径が同一でも異なってもよく、前から後ろまで大きい順に並べればよい。
【0041】
上記のろ過機構17は、ろ過機構17の転送方向の一側に配置され、離間して設けられる少なくとも2つの第1ろ過板22を備える第1ろ過ユニット20、および、ろ過機構17の転送方向の他側に配置され、離間して設けられる少なくとも2つの第2ろ過板23を備える第2ろ過ユニット21を含み、ろ過機構17の転送方向において、少なくとも2つの第1ろ過板22がフィルターホール19の穴径の大きい順に並べ、少なくとも2つの第2ろ過板23がフィルターホール19の穴径の大きい順に並べる。各第1ろ過板22には、それぞれ複数のフィルターホール19が設けられ、各第2ろ過板23には、それぞれ複数のフィルターホール19も設けられ、1つの第1ろ過板22または1つの第2ろ過板23における複数のフィルターホール19は、穴径が同一であってよく、ろ過機構17の転送方向において、平行に設置されている第2ろ過板23の穴径が前から後ろまで順次に小さくなり、平行に設置されている第1ろ過板22の穴径も前から後ろまで順次に小さくなることを満足すれば、第2ろ過ユニット21または第1ろ過ユニット20の段階的ろ過を達成することができる。ろ過装置12の入力口16の端に近いろ過機構17は、大きい穴径が用いられることで、大きい固体粒子、例えば銅箔、防爆弁13が爆発して燃焼したプラスチック部品などを遮断することができ、転送方向に向かうにつれて末端の穴径が小さくなり、小さい固体粒子、例えば火花、埃などが小さい穴径によってろ過され、本願の技術的実験によると、多元系電池の熱暴走により噴出された固体粒子は、粒径≧0.428 mmのものが95%以上であることを判明し、そのため、ろ過装置12は、ろ過効果を最適に発揮させ、排出される排ガスに固体粒子がないようにするために、ろ過装置12における転送方向の最末端の穴径を0.428 mmより小さくすることによって、大きい固体粒子、火花、埃などのろ過機能を発揮するだけではなく、電池パック1の熱暴走の場合の大きい破裂圧力を放出することによって、燃焼ガスの順調な排出を保証する。
【0042】
少なくとも2つの上記の第1ろ過板22の間が平行に設置され、少なくとも2つの第2ろ過板23の間が平行に設置されている。第1ろ過板22または第2ろ過板23の具体な数は、3つ、4つ、5つなどであってよく、第1ろ過板22または第2ろ過板23の具体な数が幾つであるかにかかわらず、ろ過機構17の転送方向の末端における第1ろ過板22または第2ろ過板23の穴径は、0.428 mmより小さい。第1ろ過板22と隣接する第2ろ過板23は、千鳥状に配置され、すなわち、隣接する2つの平行な第1ろ過板22の間に1つの第2ろ過板23が挟まれているが、第2ろ過板23は、第1ろ過板22に接触せずに、第1ろ過板22に接続されている筐体18の反対側に設置されている。さらに、ろ過機構17に垂直な転送方向において、上記の第1ろ過板22と最も近接する第2ろ過板23の間に、電池パック1の熱暴走した場合における燃焼ガスの通過に用いられる隙間が設けられる。
【0043】
単一の上記の第1ろ過板22における穴径のガス透過面積S1と、隣接する第2ろ過板23における穴径のガス透過面積S2と、単一の上記の隙間のガス透過有効面積Sとの和は、入力口16の断面積S3より大きいろ過機構17の単一層のガス透過面積St1になる。入力口16と排気管14は、直径が同一でも異なってもよい。直径が異なる場合に、上記の単一層のガス透過面積St1は、排気管14の直径が入力口16より大きい場合、排気管14の断面積S4より大きく、排気管14の直径が入力口16より小さい場合、入力口16の断面積S3より大きければよい。単一層のガス透過面積St1を計算すると、1つの穴径の面積をn1として、単一の上記の第1ろ過板22または隣接する第2ろ過板23にホールが12個設けられる場合、単一の上記の第1ろ過板22における穴径のガス透過面積がS1=12*n1になり、隣接する第2ろ過板23における穴径のガス透過面積がS2=12*n1になる。隙間のガス透過有効面積をSとする場合、St1=12*2* n1+Sになる。第1ろ過板22および第2ろ過板23の面積を一定とする場合に、異なる穴径に応じて、ホール数を設定することができる。12個のホールは、単に第1ろ過板22または隣接する第2ろ過板23の実施例の1つである。
【0044】
上記の隙間のガス透過有効面積Sは、入力口16の断面積S3より大きい。ガス透過有効面積Sとは、燃焼ガスが隙間を通す最小の断面積を指し、図8において、第1ろ過板22における長尺方向の底辺をabとして、上記の底辺abを第1ろ過板22の長尺方向で第2ろ過板23の表面に延長した交線をcdとして、ガス透過有効面積S、すなわち底辺abと交線cdにより形成される平面面積が示される。
【0045】
上記の第1ろ過板22は、筐体18の長尺方向の側壁と0°<β<180°の交差角βが設置され、単一の上記の第1ろ過板22のガス透過面積が、入力口16の断面積より大きくなり、第2ろ過板23は、筐体18の長尺方向の側壁と0°<β<180°の交差角βが設置され、単一の上記の第2ろ過板23のガス透過面積が、入力口16の断面積より大きくなる。入力口16の断面積とは、燃焼ガスの噴出面積であり、単一の上記の第2ろ過板23のガス透過面積または単一の上記の第1ろ過板22のガス透過面積が燃焼ガス噴出面積より大きく設計される場合に、単一の第1ろ過板22または第2ろ過板23によって噴出される燃焼ガスの第1段階のろ過を実施することができ、複数の第1ろ過板22または第2ろ過板23の場合に、噴出される燃焼ガスの多段階のろ過を実施することができるため、ろ過効果が保証される。
【0046】
上記の入力口16に隣接する第1ろ過板22は、入力口16の燃焼ガスライン経路を完全にカバーする。これによって、第1ろ過板22による燃焼ガスの有効ろ過面積を増大し、カバーが不能であれば、第1ろ過板22による燃焼ガスの有効ろ過面積が低下し、燃焼ガスライン経路が第1ろ過板22と隣接する第2ろ過板23の間に介在し、すなわち、入力口16を経由して噴出される燃焼ガスの一部が第1ろ過板22を通してろ過され、他の一部が第2ろ過板23を通してろ過され、もう一部が隙間から後のろ過機構17に直接に進出しうる場合に、第1ろ過板22と第2ろ過板23のろ過面積の一部が無駄になってしまう。
【0047】
ろ過機構17の転送方向において、前後に隣接する2つの上記の第1ろ過板22におけるフィルターホール19は、ホール中心がずれて設置され、前後に隣接する2つの上記の第2ろ過板23におけるフィルターホール19は、ホール中心がずれて設置されている。ホール中心をずれて設置することによって、燃焼ガスが隣接する2つの第1ろ過板22から直接に通過することを回避し、燃焼ガスが隣接する2つの第2ろ過板23から直接に通過することも回避すると共に、燃焼ガスの流れを第1ろ過ユニット20と第2ろ過ユニット21の間にバッフルすることを保証し、より良いろ過を達成する。
【0048】
153Ahの三元電池を例として、実験から、153Ahの三元電池が熱暴走した場合に、燃焼が激しく、防爆弁13の弁口の温度が最高1022.20℃になるため、大容量電池では、燃焼ガスの排ガスの要求を良好に満足させるため、燃焼ガスを排出する上記の排気管14に対して材質を選ぶと共に、瞬間に発生する多量の燃焼ガスが高い圧力を持ち込み、そのため、排気管14は、できるだけ高耐圧のものであって、上記大容量電池の熱暴走の特徴に基づき、ステンレス鋼304の材質、耐高温、高耐圧、さらに軽質化のものを最適に選択する。ステンレス鋼304の材質として、特性が優れ、使用要求が満足されている場合、管壁の厚さを薄くすることによって、排気フィルター5の全体重量を下がると共に、コストを低下することができる。
【0049】
上記の排気管14の断面積S4≦ろ過装置12の断面積S5である。
【0050】
図3に示すように、上記の防爆弁13は、中部に貫通する経路を開設した枠体24、枠体24の周辺の縁部に設けられるシールガスケット25、および、枠体24に設けられ経路を被覆するためのガス透過性防水膜26を含み、シールガスケット25は、防爆弁13と電池パック1との間のシール接続に用いられ、ガス透過性防水膜26は、電池パック1の熱暴走の場合における圧力放出に用いられる。枠体24の周辺の縁部に、ボルトホール27が少なくとも2つ設けられ、防爆弁13が少なくとも2つのボルトホール27を介して電池パック1に接続され、電池パック1の筐体18に、ガス透過性防水膜26の面積に合わせて、ガス透過性防水膜26に完全にカバーされる少なくとも1つのスルーホールが開設されている。本願は、大容量電池および電池モジュールが多量の燃焼ガスを瞬間に発生する特徴について、ガス透過性防水膜26が水から守ると共にガスを透過させるように、従来の防爆弁13を新たに改善し、電池パック1内外圧力のバランスを良好に維持し、熱暴走の場合、防爆弁13のガス透過性防水膜26が爆破され、枠体24の中部に貫通する経路が開かれ、爆発された粒子が経路を経由して電池パック1からスムーズに排出されることによって、圧力が十分に放出され、燃焼ガスの円滑な排ガスが保証されている。複数のスルーホールの場合、各スルーホールにそれぞれ防爆弁13を1つ実装し、数の対応する排気管を介してろ過装置12に一括して接続することができる。スルーホールは、1対1でろ過装置12を実装することが言うまでもない。
【0051】
実施例1におけるろ過装置は、1Aに示すように、第1ろ過板22と第2ろ過板23の配置角度が、135°であり,ろ過装置12の左側配管が、ろ過装置12の天井部の1/3に近接する燃焼ガス入口の排気管14であって、上層にある第1ろ過ユニット20が燃焼ガス入口のライン経路をカバーすることができる。右側配管は、ろ過装置12の底部の1/3に近接する燃焼ガス出口の排気管14であって、同じく、下層にある第2ろ過ユニット21が燃焼ガス出口のライン経路をカバーすることができる。入力口16における第1ろ過板22のフィルターホール19は、長尺穴が用いられ、他のフィルターホール19は丸穴が用いられ、それにより、大きな銅箔、防爆弁13が破裂燃焼して得られたプラスチックピース、シールガスケット25などを効果的に分けることができる。そして、大きな固体は、ろ過装置12の底部における空き箇所に滑り落ちる。続く第1ろ過板22と第2ろ過板23にフィルターホール19が穴径の大きい順に開設されており、段階的ろ過が実現される。前後のろ過板において、フィルターホール19をずれて配置することによって、ろ過効果が効果的に増強されている。第1ろ過板22と筐体18の長尺方向の天井部の側壁の交差角βは45度であり、第2ろ過板23と筐体18の長尺方向の底部の側壁の交差角βは45度であり、第1ろ過板22と第2ろ過板23が交互に垂直に並んでいるが互いに接触せず、間にガス透過有効面積が排気管14の断面積S4よりも小さくない隙間を開けることによって、ガス排出や圧力放出の経路がスムーズになることを保証し、第1ろ過板22と第2ろ過板23が固体粒子により完全に塞がれても排ガスをスムーズに行える。
【0052】
実施例2のろ過装置は、図1Bに示すように、第1ろ過板22と第2ろ過板23は、配置角度が45°であり、固体粒子をろ過しつつ、燃焼ガスをスムーズに排出する。フィルターホール19は、長尺穴と丸穴の組み合わせに用いられる。
【0053】
実施例3のろ過装置は、図1Cに示すように、第1ろ過板22と第2ろ過板23は、上下で千鳥状に配置され、筐体18の長尺方向の側壁との交差角が、90度であり、固体粒子を効果的に分けてろ過し、燃焼ガスをスムーズに排出することができる。フィルターホール19のすべては、丸穴が用いられる。
【0054】
圧力放出プロセスでは、防爆弁13のガス透過性防水膜26は、電池パック1の熱暴走による多量の燃焼ガスによって爆破され、燃焼ガスは、防爆弁13の経路から排気管14に沿ってろ過装置12に入り、ろ過装置12の筐体18に降圧され、第1ろ過ユニット20および第2ろ過ユニット21で多段階にろ過されて、バッフルろ過が行われ、目詰まりなく十分にろ過後、水消火機構11により最終的に排出される。消防車を水消火機構11に接続後、水が水消火機構11からろ過装置12に入り、ろ過装置12でフィルターホール19と隙間を経由して防爆弁13の経路に流し、最終的に電池パック1に入って降温および消火をする。
【0055】
本発明は、当該技術分野における当業者にとって、上記例示的実施例の詳細に限定されず、本発明の趣旨または基本的な特徴を逸脱しない範囲において、他の具体的態様で達成されることは言うまでもない。従って、実施例は、いずれかの点において、決して限定的ではなく例示的ものであって、本発明の範囲が上記の説明ではなく添付の請求項により限定され、そのため、請求項における同等要素の意味および範囲におけるすべての変化が本発明に含まれている。請求項におけるいずれの図面符号も、係る請求項を限定しないとする。
【0056】
なお、本明細書は、実施形態に従って解釈を行ったが、各実施形態は、それぞれ独立な技術的形態を1つしか含まないわけではなく、また、明細書は、このような記載は、詳しい説明のためのものに過ぎず、当該技術分野における当業者が、該明細書を1つの全体として、各実施例における技術的態様を適切に組み合わせることによって、想到の容易な他の実施形態を形成することができる。
【符号の説明】
【0057】
1.電池パック、2.検知制御装置、3.火災抑制装置、4.水消火装置、5.排気フィルター、6.ワイヤハーネス、7.三方弁、8.消火剤タンク、9.消火パイプライン、10.ノズル、11. 水消火機構、12.ろ過装置、13.防爆弁、14.排気管、15.出力口、16.入力口、17.ろ過機構、18.筐体、19.フィルターホール、20.第1ろ過ユニット、21.第2ろ過ユニット、22.第1ろ過板、23.第2ろ過板、24.枠体、25.シールガスケット、26.ガス透過性防水膜、27.ボルトホール、28.ゲート、29.第1シールリング、30.メイン筐体、31.開口部、32.第2シールリング、33.継手、34.第1締結ナット、35.第3シールリング、 36.エアプラグ継手、 37.電子ロック、 38.第2締結具、39.電子制御モジュール、40.第1締結具、41.係合スイッチ、42.係合ロッド、43.第2締結ナット、44.ロッド、45.第3締結ナット、46.ブザー、47.スプリング、48.アクリルパネル、49.スイッチロッド、50.第1チャンバー、51.第2チャンバー、52.外筐体、53.開閉制御ユニット、54.コネクタ機構、55.連動ユニット、56.外枠体、57.液体導入経路、58.液体排出経路、59.ポンプセット、60.薬剤タンク、61.薬剤入力配管、62.薬剤出力配管、63.薬剤出口、64.コントローラー、65.液面センサ、66.外部監視ポート、67.早期警報ポート、68.予備電源、69.定ホール、70.スタンドストッパー、71.レバー、72.固定台。
【要約】      (修正有)
【課題】電池パックの初期火災および再発火した場合の消火および抑制を可能にする、電池パックの消火システムを提供する。
【解決手段】電池パック1の内部または外部に配置される検知制御装置2、電池パック1の外部に配置される火災抑制装置3および電池パック1の外部に配置される水消火装置4を含み、上記の検知制御装置2が火災抑制装置3に接続され、水消火装置4が火災抑制装置3に接続されることにより、消防水を速やかに、電池パック1の内部に直接に搬送する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10