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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】まつ毛用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/91 20060101AFI20220609BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220609BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220609BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A61K8/91
A61K8/36
A61K8/41
A61Q1/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019095209
(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公開番号】P2020189796
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000112266
【氏名又は名称】ピアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 航
(72)【発明者】
【氏名】野村 毅
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-041673(JP,A)
【文献】特開2014-101343(JP,A)
【文献】国際公開第2008/062530(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/122756(WO,A1)
【文献】特開2019-14706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸構造単位及び単糖単位を分子中に有するポリマーと、飽和脂肪酸と、アルカリ剤と、液状炭化水素油とを含み、水の含有量が1質量%未満であり、
前記ポリマーは、前記(メタ)アクリル酸構造単位として(メタ)アクリル酸モノマーの構成単位を有し且つ前記単糖単位としてグルコース単位を分子中に有し、
前記飽和脂肪酸は、炭素数が12以上22以下の飽和脂肪酸であり、且つ、
前記アルカリ剤は、ヒドロキシ基を分子中に有する有機アミン化合物である、まつ毛用化粧料。
【請求項2】
前記ポリマー(A)に対する前記飽和脂肪酸(B)の質量比(B/A)が1以上6以下であり、
前記ポリマー(A)に対する前記アルカリ剤(C)の質量比(C/A)が0.3以上2.0以下であり、且つ、
前記アルカリ剤(C)に対する前記飽和脂肪酸(B)の質量比(B/C)が1以上7以下である、請求項1に記載のまつ毛用化粧料。
【請求項3】
前記ポリマーを1質量%以上6質量%未満含み、
前記飽和脂肪酸を1質量%よりも多く16質量%以下含み、且つ、
前記アルカリ剤を1質量%以上4質量%以下含む、請求項1又は2に記載のまつ毛用化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマスカラなどのまつ毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、まつ毛用化粧料として、例えば、非イオン性界面活性剤と、多価アルコールとを含有し、非イオン性界面活性剤の配合量が1~10質量%であり、多価アルコールの配合量が1~10質量%であるマスカラが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されたマスカラは、まつ毛等に塗布された後、市販の洗顔料を使ったり、湯で洗い流したりすることによって、容易にまつ毛から除去され得る。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたマスカラは、常温の水に対して必ずしも耐水性が十分でない。従って、常温の水に対して耐水性を有する性能と、湯で容易に除去できる性能とを兼ね備えていないという問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-160253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点等に鑑み、常温の水に対して耐水性を有し且つ湯で容易に除去できるまつ毛用化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るまつ毛用化粧料は、(メタ)アクリル酸構造単位及び単糖単位を分子中に有するポリマーと、飽和脂肪酸と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るまつ毛用化粧料では、水の含有量が5質量%未満であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のまつ毛用化粧料は、常温の水に対して耐水性を有し且つ湯で容易に除去できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るまつ毛用化粧料の一実施形態について以下に説明する。
【0011】
本実施形態のまつ毛用化粧料は、(メタ)アクリル酸構造単位及び単糖単位を分子中に有するポリマーと、飽和脂肪酸と、アルカリ剤とを含む。本実施形態のまつ毛用化粧料では、水の含有量が5質量%未満であることが好ましい。
【0012】
本実施形態のまつ毛用化粧料は、まつ毛などに塗布された状態では、常温の水に対して耐水性を有する。これに対して、比較的温度の高い水(湯)と接触したときは、飽和脂肪酸が熱によって軟化すると考えられる。また、飽和脂肪酸がアルカリ剤の塩基性によって脂肪酸塩になり、湯に溶解する。脂肪酸塩が溶解することで、上記ポリマーと水の接触が可能となる。上記ポリマーは、吸水すると大きく膨潤するため、まつ毛用化粧料内部まで湯が浸透する。このような理由により、まつ毛用化粧料を湯で容易に除去できると考えられる。
【0013】
上記のポリマーは、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリレートのうち少なくともいずれかが重合したポリマー鎖と、単糖類が結合した糖鎖とを分子中に有する化合物である。以下、上記のポリマーを単に“A成分”と称する場合がある。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸構造単位とは、メタクリレート(メタクリル酸エステル)モノマー、アクリレート(アクリル酸エステル)モノマー、メタクリル酸モノマー、及びアクリル酸モノマーから選択される少なくとも1種が重合したポリマー分子の主鎖を構成する単位である。
また、本明細書において、単糖単位とは、糖鎖を構成する単糖類由来の単位である。
【0014】
上記のポリマーとしては、(メタ)アクリル酸モノマーの構造単位とグルコース単位とを分子中に有するポリマーが好ましい。具体的には、アクリル酸塩グラフトデンプンが好ましい。
【0015】
仮に、上記のポリマーに代えて、(メタ)アクリル酸モノマーの構造単位のみを有するポリマー(例えば、アクリレーツクロスポリマー-2-Naなどの合成ポリマー)のみ、又は、単糖単位のみを有するポリマー(例えば、キサンタンガムなどの水溶性多糖類)のみをまつ毛用化粧料に配合すると、まつ毛用化粧料を湯で洗い流すことが困難になり、除去が困難となるおそれがある。
【0016】
上記の飽和脂肪酸は、炭素数が12以上22以下の飽和脂肪酸である。上記の飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸からなる群より選択された少なくとも1種が好ましい。上記の飽和脂肪酸は、塩の状態であってもよい。
以下、上記の飽和脂肪酸を単に“B成分”と称する場合がある。
【0017】
仮に、上記の飽和脂肪酸に代えて、不飽和脂肪酸のみをまつ毛用化粧料に配合すると、耐水性が不良となったり、まつ毛用化粧料を湯で洗い流すことが困難になったりするおそれがある。
【0018】
上記のアルカリ剤としては、アンモニアやアルカリ金属水酸化物などの無機アルカリ剤、又は、有機アミン化合物などの有機アルカリ剤が挙げられる。上記のアルカリ剤としては、有機アルカリ剤が好ましい。以下、上記のアルカリ剤を単に“C成分”と称する場合がある。
有機アルカリ剤としては、有機アミン化合物が好ましい。有機アミン化合物としては、有機第一級アミン化合物、有機第二級アミン化合物、有機第三級アミン化合物などが挙げられる。
【0019】
有機第一級アミン化合物としては、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、モノエタノールアミン(MEA)などが挙げられる。
有機第二級アミン化合物としては、ジエタノールアミン(DEA)などが挙げられる。
有機第三級アミン化合物としては、トリエタノールアミン(TEA)などが挙げられる。
有機アミン化合物としては、有機第一級アミン化合物が好ましい。これにより、まつ毛用化粧料が湯で洗浄されるときに、水との接触によって、有機アミン化合物がより強く塩基性を発揮できる。
【0020】
有機アミン化合物としては、ヒドロキシ基を有する有機アミン化合物が好ましく、ヒドロキシ基を有する有機第一級アミン化合物がより好ましい。ヒドロキシ基を有することによって、アルカリ剤と水との親和性がより高くなることから、まつ毛用化粧料が湯で洗浄されるときに、より強く塩基性を発揮できる。従って、飽和脂肪酸がより十分に脂肪酸塩となり、洗浄剤としてより十分に機能できる。
【0021】
具体的には、有機アミン化合物としては、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、及び、トリエタノールアミン(TEA)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)がより好ましい。有機アミン化合物が2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)であることによって、常温の水に対して耐水性を有する性能と、湯で容易に除去できる性能とをよりバランス良く兼ね備えることができるという利点がある。
【0022】
本実施形態のまつ毛用化粧料は、上記のポリマー(A成分)を1質量%以上含むことが好ましく、2質量%以上含むことがより好ましい。また、上記のポリマー(A成分)を6質量%未満含むことが好ましく、4質量%以下含むことがより好ましく、3質量%以下含むことがさらに好ましい。
上記のポリマー(A成分)を1質量%以上含むことによって、湯によって、より容易にまつ毛用化粧料を洗い流しやすくなり、より十分な除去性を発揮させることができるという利点がある。また、上記のポリマー(A成分)を6質量%未満含むことによって、塗布されたまつ毛用化粧料がより良好な耐水性を発揮できるという利点、また、まつ毛用化粧料が塗布されたまつ毛のカールキープ力をより良好にできるという利点がある。
【0023】
本実施形態のまつ毛用化粧料は、上記の飽和脂肪酸(B成分)を1質量%よりも多く含むことが好ましく、4質量%以上含むことがより好ましい。また、上記の飽和脂肪酸(B成分)を16質量%以下含むことが好ましく、10質量%以下含むことがより好ましく、8質量%以下含むことがさらに好ましい。
上記の飽和脂肪酸(B成分)を1質量%よりも多く含むことによって、湯によって、より容易にまつ毛用化粧料を洗い流しやすくなり、より十分な除去性を発揮させることができるという利点がある。また、上記の飽和脂肪酸(B成分)を16質量%以下含むことによって、塗布されたまつ毛用化粧料がより良好な耐水性を発揮できるという利点がある。
【0024】
本実施形態のまつ毛用化粧料は、上記のアルカリ剤(C成分)を1質量%以上含むことが好ましく、2質量%以上含むことがより好ましい。また、上記のアルカリ剤(C成分)を4質量%以下含むことが好ましく、3質量%以下含むことがより好ましい。
上記のアルカリ剤(C成分)を1質量%以上含むことによって、湯によって、より容易にまつ毛用化粧料を洗い流しやすくなり、より十分な除去性を発揮させることができるという利点がある。また、上記のアルカリ剤(C成分)を4質量%以下含むことによって、塗布されたまつ毛用化粧料がより良好な耐水性を発揮できるという利点がある。
【0025】
本実施形態のまつ毛用化粧料において、上記のアルカリ剤(C成分)に対する、上記の飽和脂肪酸(B成分)の質量比(B/C)は、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。斯かる質量比は、7以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
上記の質量比が、1以上7以下であることによって、湯によって、より容易にまつ毛用化粧料を洗い流しやすくなり、より十分な除去性を発揮させることができるという利点がある。
【0026】
本実施形態のまつ毛用化粧料において、上記のポリマー(A成分)に対する、上記の飽和脂肪酸(B成分)の質量比(B/A)は、1以上であることが好ましい。斯かる質量比は、6以下であることが好ましい。
【0027】
本実施形態のまつ毛用化粧料において、上記のポリマー(A成分)に対する、上記のアルカリ剤(C成分)の質量比(C/A)は、0.3以上であることが好ましい。斯かる質量比は、2.0以下であることが好ましい。
【0028】
本実施形態のまつ毛用化粧料は、アクリル酸塩グラフトデンプンを上記のポリマーとして含み、且つ、ヒドロキシ基を有する有機第一級アミン化合物を上記アルカリ剤として含むことが好ましい。これにより、常温の水に対して耐水性を有する性能と、湯で容易に除去できる性能とをよりバランス良く兼ね備えることができるという利点がある。
【0029】
本実施形態のまつ毛用化粧料は、上記の成分の他に、液状油や固形ワックスなどの油性成分、液状油の増粘剤、界面活性剤、シリコーン樹脂などの被膜剤、タルクなどの粉体、顔料、抗菌剤などをさらに含んでもよい。
【0030】
油性成分としての液状油は、20℃において流動する油である。液状油としては、液状炭化水素油、液状エステル油などが挙げられる。
液状炭化水素油としては、流動パラフィン、水素添加ポリイソブテン、イソドデカンなどが挙げられる。
油性成分としての固形ワックスは、20℃において流動しない。固形ワックスとしては、炭化水素ワックス、シリコーンワックス、植物由来ワックスなどが挙げられる。
炭化水素ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックスなどが挙げられる。
シリコーンワックスとしては、例えば、ビスPEG-18エチルエーテルジメチルシランなどが挙げられる。
植物由来ワックスとしては、例えば、カルナバワックス、キャンデリラワックス、木蝋、ライスワックスなどが挙げられる。
【0031】
液状油の増粘剤としては、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、ジステアルジモニウムヘクトライトなどが挙げられる。
【0032】
界面活性剤としては、例えば、(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、(ポリオキシエチレン)ソルビット脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0033】
被膜剤としては、例えば、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサンなどが挙げられる。
【0034】
粉体としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカなどが挙げられる。
【0035】
顔料としては、例えば、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0036】
本実施形態のまつ毛用化粧料において、水の含有量が5質量%未満であることが好ましく、3質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることがさらに好ましい。まつ毛用化粧料が水をほとんど含まないことによって、親水性を有する上記のポリマーが水に膨潤することを抑制できる。水がほとんどない状態における上記のポリマーは、水にほとんど膨潤していないため、常温の水との親和性が低い。従って、塗布されたまつ毛用化粧料は、常温の水に対してより良好な耐水性を発揮できる。一方で、湯で洗浄されるときに、湯によって上記のポリマーが膨潤して、体積が増大する。これにより、塗布されたまつ毛用化粧料を湯で容易に除去できる。
【0037】
続いて、上記のまつ毛用化粧料の製造方法について説明する。
【0038】
上記のまつ毛用化粧料は、配合する各成分を混合し、撹拌することによって製造できる。撹拌するための装置としては、一般的なものを使用できる。必要に応じて、加温しつつ撹拌してもよい。
【0039】
上記のまつ毛用化粧料は、通常、マスカラとして使用される。マスカラは、まつ毛に塗布されて使用される。上記のまつ毛用化粧料は、薬事法上の化粧料、医薬部外品、医薬品等の分類には特に拘束されない。
【0040】
上記のまつ毛用化粧料は、常温の水に対して耐水性を有し、且つ、湯によって容易に洗い流される。
通常、常温の水とは、5℃以上25℃以下の水であり、湯とは、35℃以上45℃以下の水である。
【0041】
本発明のまつ毛用化粧料は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の実施形態に限定されるものではない。また、本発明では、一般の化粧料及び皮膚外用剤等において採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
【実施例
【0042】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
(試験例1~16)
表1又は表2にそれぞれ示す配合処方に従って、各原料を混合することによって、マスカラをそれぞれ製造した。
詳しくは、各原料を、加熱溶解させてから混合し、マスカラを製造した。
【0044】
表1及び表2における各原料の詳細については、下記を参照。
「ポリマー」(A成分)
・アクリル酸ナトリウムグラフトデンプン:
デンプンにアクリル酸をグラフト重合した化合物のナトリウム塩
・アクリレーツクロスポリマー-2-ナトリウム:
(メタ)アクリル酸又はその単純エステル1種以上のモノマーの共重合体を架橋した化合物のナトリウム塩
・ポリビニルアルコール:
ビニルアルコールモノマーの単独重合体
・キサンタンガム:
グルコースが連なる主鎖にマンノース及びグルクロン酸を有する側鎖が結合した構造
「脂肪酸」(B成分)
・各表中の( )内において、前段の数値は炭素数、後段の数値は不飽和結合数を示す
「アルカリ剤(いずれも有機アミン化合物)」(C成分)
・2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール:AMPD
(第一級アミン ヒドロキシ基含有)
・2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール:AMP
(第一級アミン ヒドロキシ基含有)
・トリエタノールアミン:TEA(第三級アミン ヒドロキシ基含有)
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
<常温における耐水性の評価>
ガラス板に、上記のごとくそれぞれ製造したマスカラを塗布し、室温で6時間乾燥させることによって形成した塗膜を、試験サンプルとした。
試験サンプル(塗膜)に約20℃の水を1分間流下させた後、試験サンプル(塗膜)を指でこすり、塗膜の崩れ具合を目視で評価した。下記の評価基準によって、4段階で評価した。
◎:指に塗膜が付かない
〇:指にわずかに塗膜が付く
△:指に塗膜が付く
×:ガラス板から塗膜が流れ落ちる
【0048】
<40℃の湯による洗い流し性の評価>
流下させる水の温度を40℃に変更した点以外は、上記の評価試験と同様にして評価した。
【0049】
<基本性能(カールキープ力)の評価>
パネラー5名によって使用テストを行い、下記に示す絶対評価基準にて評価した。具体的には、評点をつけて、平均値を算出して、判定した。
非常に満足 5
やや満足 4
どちらでもない 3
やや不満 2
非常に不満 1
(平均値による判定)
◎:≧4
〇:<4,>3
△:≦3,>2
×:≦2
【0050】
上記の使用性能の評価結果を表1及び表2に示す。
【0051】
実施形態(実施例)に相当するマスカラは、常温の水に対して耐水性を有し、しかも、湯によって容易にまつ毛から除去された。
一方、比較例に相当するマスカラは、常温の水に対して耐水性を有しないか、又は、湯によって容易にはまつ毛から除去されなかった。
なお、マスカラの基本性能であるカールキープ力については、飽和脂肪酸を配合した試験例の方が、不飽和脂肪酸を配合した試験例よりも、良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のまつ毛用化粧料は、例えば、マスカラであり、まつ毛の見栄えを良くするために、まつ毛に塗布されて好適に使用される。