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特許7085222不動産情報検索装置、方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】不動産情報検索装置、方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20220609BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20220609BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220609BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20220609BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20220609BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/10 100
G06F30/20
G06Q50/08
G06T19/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019191720
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021068078
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】513248382
【氏名又は名称】横田 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】横田 幸一
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136914(JP,A)
【文献】特開2014-044742(JP,A)
【文献】特開2001-338037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
G06Q 50/08
G06T 19/00 -19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の土地上に建築可能な建物を提案する装置であって、
前記所定の土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、
前記所定の土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、
前記土地に建築する建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、
前記所定の土地上に建築する候補となる建物を検索する検索処理手段と、を有し、
前記検索処理手段は、
前記周辺環境情報記憶手段を参照して、前記所定の土地に建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定機能部と、
前記所定の土地上に建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建物の建築の適否を判別する第一判別機能部と、によって構成される、
不動産情報検索装置。
【請求項2】
前記建物情報記憶手段は、前記建物の窓のレイアウトについて、変更可能な範囲に係る変更許容情報を記憶し、
前記検索処理手段を構成する第一判別機能部は、前記建物情報記憶手段を参照して、前記窓について変更可能なレイアウトの範囲において、建物の建築の適否を判別する、
請求項1記載の不動産情報検索装置。
【請求項3】
前記建物情報記憶手段は、前記建物を土地上に建築する際、土地の条件に応じて調整可能な建物の配置に係る情報を記憶し、
前記検索処理手段はさらに、前記建物情報記憶手段を参照して、前記所定の土地の条件に応じ、建物について調整可能な配置の範囲において、建物の建築の可否を判別する第二判別機能部、を構成要素として含む、
請求項1又は2に記載の不動産情報検索装置。
【請求項4】
前記建物の検索結果に対し、前記建物内に届く視線の量に応じた推奨順を設定する順序設定手段、をさらに有する、
請求項2又は3に記載の不動産情報検索装置。
【請求項5】
前記所定の土地の周辺環境の三次元イメージに対し、前記建物の三次元イメージを合成した合成イメージを生成する合成処理手段と、をさらに有する、
請求項1乃至4いずれかの項に記載の不動産情報検索装置。
【請求項6】
前記所定の土地の周辺環境の撮影画像から、前記所定の土地の周辺環境の三次元イメージを生成する生成処理手段、をさらに有する、
請求項5記載の不動産情報検索装置。
【請求項7】
前記合成イメージに基づき、前記建物を所定の土地に建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して、建物内に届く視線の向きと角度を特定する特定処理手段、をさらに有する、
請求項5又は6に記載の不動産情報検索装置。
【請求項8】
前記視点設定機能部はさらに、前記所定の土地の周辺環境の三次元イメージに含まれる所定の対象物を識別すると共に、当該所定の対象物の存する位置に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する、
請求項5乃至7いずれかの項に記載の不動産情報検索装置。
【請求項9】
前記合成イメージにおいて、所定の立脚点を仮想上の視点としたイメージを表示する第一の表示処理手段、をさらに有する、
請求項5乃至8いずれかの項に記載の不動産情報検索装置。
【請求項10】
前記合成イメージにおいて、前記窓を介して建物内に入射する日照の建物内におけるイメージを表示する第二の表示処理手段、をさらに有する、
請求項5乃至9いずれかの項に記載の不動産情報検索装置。
【請求項11】
所定の土地上に建築可能な建物を提案する方法であって、
前記所定の土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、
前記所定の土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、
前記土地に建築する建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、を有するコンピュータが、
前記所定の土地上に建築する候補となる建物を検索する検索処理、を実行し、
前記検索処理は、
前記周辺環境情報記憶手段を参照して、前記所定の土地に建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定処理と、
前記所定の土地上に建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建物の建築の適否を判別する判別処理と、によって構成される、
不動産情報検索方法。
【請求項12】
所定の土地上に建築可能な建物を提案するためのコンピュータプログラムであって、
前記所定の土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、
前記所定の土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、
前記土地に建築する建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、を有するコンピュータに対し、
前記所定の土地上に建築する候補となる建物を検索する検索処理、を実行させ、
前記検索処理は、
前記周辺環境情報記憶手段を参照して、前記所定の土地に建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定処理と、
前記所定の土地上に建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建物の建築の適否を判別する判別処理と、によって構成される、
コンピュータプログラム。
【請求項13】
所定の建物を建築可能な土地を提案する装置であって、
前記土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、
前記土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、
前記所定の建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、
前記所定の建物を建築可能な土地を検索する検索処理手段と、を有し、
前記検索処理手段は、
前記周辺環境情報記憶手段を参照して、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定機能部と、
土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建築可否を判別する判別機能部と、によって構成される、
不動産情報検索装置。
【請求項14】
所定の建物を建築可能な土地を提案する方法であって、
前記土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、
前記土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、
前記所定の建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、を有するコンピュータが、
前記所定の建物を建築可能な土地を検索する検索処理、を実行し、
前記検索処理は、
前記周辺環境情報記憶手段を参照して、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定処理と、
土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建築可否を判別する判別処理と、によって構成される、
不動産情報検索方法。
【請求項15】
所定の建物を建築可能な土地を提案するためのコンピュータプログラムであって、
前記土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、
前記土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、
前記所定の建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、を有するコンピュータに対し、
前記所定の建物を建築可能な土地を検索する検索処理、を実行させ、
前記検索処理は、
前記周辺環境情報記憶手段を参照して、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定処理と、
土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建築可否を判別する判別処理と、によって構成される、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の土地に建築可能な建物や所定の建物が建築可能な土地を検索する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、建設業界では、消費増税や円安による資材費の高騰といったマイナス要因を抱えつつも、各種の補助金や過去最低水準を記録する住宅ローン金利など、戸建住宅や住宅用土地の販売はなお、後押しされている。
【0003】
一般に、住宅メーカーが顧客に住宅を販売する場合、注文住宅では、住宅メーカーが提案する間取りの中から顧客が所望の間取りを指定し、当該指定された間取りの建物が建築可能な土地を探すことがよくある。しかし、建ぺい率や容積率など、土地ごとに建築条件等があるため、そのようなことに慣れていない顧客が、所定の間取りの建物が建築可能な土地を探すのは難しい。一方、住宅メーカー側が土地を探すにしても、土地の周辺環境等、顧客の詳細な希望を把握しながら探すのは手間がかかる。
【0004】
また、建物や土地を購入する際には、購入後の建物の建築イメージを予め想定するが、特に不慣れな個人の購入者等では、実際のイメージを正確に認識することが難しい。特に、建物を建築した後、建物外から建物内に届く視線や日照はイメージし難く、実際に建物で生活するに至って初めて戸惑うことになる場合も少なくない。
そのため、建物や土地の購入の際に、土地上に建物を建築したイメージを正確に認識することができれば、購入者は安心して建物や土地といった不動産の購入契約を結ぶことができる。また、イメージしにくい建物外からの視線等を踏まえて、快適に住むことのできる不動産を検索することができれば、そのような検索システムは不動産を探している者にとって利便性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-316819号公報
【文献】特開2001-325321号公報
【文献】特開2003-216976号公報
【文献】特開2018-092503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献では、住宅の容積率や建ぺい率といった情報に基づき、所定の土地に対して所定の間取りからなる建物が建築可能かどうかを判別したり、日照等によって建物を評価したりするシステムが提案されている。
しかしながら、土地に建物を建築した際の具体的なイメージに基づいて、建物外から建物内に届く視線を考慮し、所定の土地上に建築するのが好適な建物、あるいは所定の建物を建築するのが好適な土地を効率よく検索するものは提供されていない。
【0007】
そこで、本発明は、土地に建物を建築した際の具体的なイメージに基づいて、建物外から建物内に届く視線を考慮し、所定の土地上に建築するのが好適な建物、あるいは所定の建物を建築するのが好適な土地を効率よく検索する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る不動産情報検索装置は、所定の土地上に建築可能な建物を提案する装置であって、前記所定の土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、前記所定の土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、前記土地に建築する建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、前記所定の土地上に建築する候補となる建物を検索する検索処理手段と、を有し、前記検索処理手段は、前記周辺環境情報記憶手段を参照して、前記所定の土地に建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定機能部と、前記所定の土地上に建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建物の建築の適否を判別する第一判別機能部と、によって構成される。
【0009】
また、前記建物情報記憶手段は、前記建物の窓のレイアウトについて、変更可能な範囲に係る変更許容情報を記憶し、前記検索処理手段を構成する第一判別機能部は、前記建物情報記憶手段を参照して、前記窓について変更可能なレイアウトの範囲において、建物の建築の適否を判別するものとしてもよい。
【0010】
また、前記建物情報記憶手段は、前記建物を土地上に建築する際、土地の条件に応じて調整可能な建物の配置に係る情報を記憶し、前記検索処理手段はさらに、前記建物情報記憶手段を参照して、前記所定の土地の条件に応じ、建物について調整可能な配置の範囲において、建物の建築の可否を判別する第二判別機能部、を構成要素として含むものとしてもよい。
【0011】
また、前記建物の検索結果に対し、前記建物内に届く視線の量に応じた推奨順を設定する順序設定手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0012】
また、前記所定の土地の周辺環境の三次元イメージに対し、前記建物の三次元イメージを合成した合成イメージを生成する合成処理手段と、をさらに有するものとしてもよい。
【0013】
また、前記所定の土地の周辺環境の撮影画像から、前記所定の土地の周辺環境の三次元イメージを生成する生成処理手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0014】
また、前記合成イメージに基づき、前記建物を所定の土地に建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して、建物内に届く視線の向きと角度を特定する特定処理手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0015】
また、前記視点設定機能部はさらに、前記所定の土地の周辺環境の三次元イメージに含まれる所定の対象物を識別すると共に、当該所定の対象物の存する位置に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定するものとしてもよい。
【0016】
また、前記合成イメージにおいて、所定の立脚点を仮想上の視点としたイメージを表示する第一の表示処理手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0017】
また、前記合成イメージにおいて、前記窓を介して建物内に入射する日照の建物内におけるイメージを表示する第二の表示処理手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0018】
また、本発明の別の観点に係る不動産情報検索方法は、所定の土地上に建築可能な建物を提案する方法であって、前記所定の土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、前記所定の土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、前記土地に建築する建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、を有するコンピュータが、前記所定の土地上に建築する候補となる建物を検索する検索処理、を実行し、前記検索処理は、前記周辺環境情報記憶手段を参照して、前記所定の土地に建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定処理と、前記所定の土地上に建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建物の建築の適否を判別する判別処理と、によって構成される。
【0019】
また、本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、所定の土地上に建築可能な建物を提案するためのコンピュータプログラムであって、前記所定の土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、前記所定の土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、前記土地に建築する建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、を有するコンピュータに対し、前記所定の土地上に建築する候補となる建物を検索する検索処理、を実行させ、前記検索処理は、前記周辺環境情報記憶手段を参照して、前記所定の土地に建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定処理と、前記所定の土地上に建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建物の建築の適否を判別する判別処理と、によって構成される。
【0020】
また、本発明の別の観点に係る不動産情報検索装置は、所定の建物を建築可能な土地を提案する装置であって、前記土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、前記土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、前記所定の建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、前記所定の建物を建築可能な土地を検索する検索処理手段と、を有し、前記検索処理手段は、前記周辺環境情報記憶手段を参照して、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定機能部と、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建築可否を判別する判別機能部と、によって構成される。
【0021】
また、本発明の別の観点に係る不動産情報検索方法は、所定の建物を建築可能な土地を提案する方法であって、前記土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、前記土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、前記所定の建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、を有するコンピュータが、前記所定の建物を建築可能な土地を検索する検索処理、を実行し、前記検索処理は、前記周辺環境情報記憶手段を参照して、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定処理と、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建築可否を判別する判別処理と、によって構成される。
【0022】
また、本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、所定の建物を建築可能な土地を提案するためのコンピュータプログラムであって、前記土地に関する情報を記憶した土地情報記憶手段と、前記土地の周辺環境に係る情報を記憶した周辺環境情報記憶手段と、前記所定の建物の情報として、少なくとも建物における窓のレイアウトに係る窓情報を記憶した建物情報記憶手段と、を有するコンピュータに対し、前記所定の建物を建築可能な土地を検索する検索処理、を実行させ、前記検索処理は、前記周辺環境情報記憶手段を参照して、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する視点設定処理と、土地上に前記所定の建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、前記建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、所定の閾値と比較して建築可否を判別する判別処理と、によって構成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、建物に設定されている東西南北の向きや道路が面すべき方向を勘案して、所定の土地に現実的に建築可能な建物を検索し、その検索結果としての建物情報を一括して提案することができる。
また、建物に設定されている東西南北の向きや道路が面すべき方向を勘案して、当該建物が現実的に建築可能な土地を検索し、その検索結果としての土地情報を一括して提案することができる。
さらに、いずれの場合においても、建物を土地上に建築した際の具体的イメージを分かりやすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一の実施形態に係る不動産情報検索装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
図2】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、土地情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
図3】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、建物情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
図4】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、設定方角及び土地方角の概念を説明する模式図である。
図5】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、道路の道路方向及び接道方向の概念を説明する模式図である。
図6】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、建物形状と土地形状の一致を判断する処理の概念を模式的に示した模式図である。
図7】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、建物形状と土地形状の一致を判断する処理の概念を模式的に示した模式図である。
図8】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、建物形状と土地形状の一致を判断する処理の概念を模式的に示した模式図である。
図9】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、建物形状と土地形状の一致を判断する処理の概念を模式的に示した模式図である。
図10】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、所定の土地周りの周辺環境の三次元イメージを説明する模式図である。
図11】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、所定の土地周りの周辺環境の三次元イメージに建物の三次元イメージを合成させた状態を説明する模式図である。
図12】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、所定の土地周りの周辺環境の三次元イメージに建物の三次元イメージを合成させた状態を説明する模式図である。
図13】本実施形態に係る不動産情報検索装置による処理の全体の流れを示した処理フロー図である。
図14】本実施形態に係る不動産情報検索装置による処理のうち、第二判別機能部による検索処理の流れを示した処理フロー図である。
図15】本実施形態に係る不動産情報検索装置による処理のうち、第一判別機能部による検索処理の流れを示した処理フロー図である。
図16】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、検索者が土地を指定する際、所為の端末上で表示される画面の例を示した図である。
図17】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、検索結果を示す画面の例を示した図である。
図18】本実施形態に係る不動産情報検索装置において、検索結果を示す画面の例を示した図である。
図19】本発明の第二の実施形態に係る不動産情報検索装置による処理の全体の流れを示した処理フロー図である。
図20】本実施形態に係る不動産情報検索装置による処理のうち、第二判別機能部による検索処理の流れを示した処理フロー図である。
図21】本実施形態に係る不動産情報検索装置による処理のうち、第一判別機能部による検索処理の流れを示した処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る不動産情報検索装置について、図を参照して説明する。
本実施形態に係る不動産情報検索装置は、所定の土地に建築する建物や所定の建物を建築するための土地を検索するための装置である。具体的な使用場面としては、建物、特に注文住宅を販売等するハウスメーカーや土地を販売する不動産事業者等が、顧客に建物や土地を提案するために用いたり、不動産の購入を考えている者が希望に合った不動産を探すために用いたりすることが想定されている。
【実施例1】
【0026】
●機能構成
図1に示される第一の実施形態に係る不動産情報検索装置1は、所定の土地に建築可能且つ好適な建物を検索する。
不動産情報検索装置1は、いわゆるサーバコンピュータ等によって実現され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブといったハードウェア資源、CPUが実行するコンピュータプログラム等のソフトウェア資源により、土地情報記憶部1A、周辺環境情報記憶部1B、建物情報記憶部1C、検索処理部11、生成処理部12、合成処理部13、特定処理部14、順序設定部15、及び表示処理部16からなる機能ブロックを構成する。
【0027】
・土地情報記憶部1A
土地情報記憶部1Aは、顧客が所有している土地や不動産業者から顧客に対して販売等される土地など、建物を建築可能な土地に関する土地情報を記憶した記憶部である。
この土地情報記憶部1Aには例えば、図2に示されるように、土地の区画を個々に識別可能な土地IDごとに、少なくとも基本情報、土地条件に係る情報が関連付けて記憶されている。
【0028】
基本情報には、土地そのものに関する情報であって、土地の住所や価格等の情報などが含まれる。そのほか、最寄駅から所定の土地までの距離やスーパーマーケット等が近所にあるかないかといった近隣の情報などが含まれていてもよい。
土地条件は、土地上に建物を建築する際に必要となる情報であって、例えば建ぺい率、容積率、敷地面積、土地形状、土地方角、接道方向等によって構成される。この土地条件には、土地上に建物を建築するにあたり、物理的あるいは法令等に基づいて制限あるいは規制を受けるか否かを判断し得る情報が含まれている。
【0029】
土地形状は、土地の形状に係る情報であり、これにより、どのような形状の建物が敷地内に収まるかを把握することができる。
土地方角は、土地の方角に係る情報であり、これにより、土地形状のどの部分が東西南北のどの向きに向いているのかを把握することができる。
接道方向は、土地が面する道路の向きに関する情報である。
【0030】
・周辺環境情報記憶部1B
周辺環境情報記憶部1Bは、土地の周辺環境に係る情報を記憶した記憶部である。
この周辺環境情報記憶部1Bには例えば、所定の土地の周りに存する建物や隣接する道路などの情報が含まれており、当該所定の土地を中心とした周囲の三次元イメージが記憶されている。
所定の土地を中心とした周囲の三次元イメージは、予め周辺環境情報記憶部1Bに登録されていてもよいほか、後述する生成処理部12により、当該所定の土地の周囲の撮影画像から生成された上で登録されたものであってもよい。
【0031】
なお、周辺環境情報として、土地の周りの平面的あるいは立体的な地図が含まれていてもよい。立体的な地図とは、地図を構成する個々の土地や建物等が立体的イメージをもち、所定の場所を三次元的に観察することのできる地図のほか、所定の場所を所定の角度から三次元的に観察した地図をいう。所定の場所を所定の角度から三次元的に観察した地図とは例えば、Google Inc.が提供するSTREET VIEW(登録商標)による地図であり、道路等から観察者が土地等を撮影した場合の写真あるいは画像等によって構成される。
【0032】
・建物情報記憶部1C
建物情報記憶部1Cは、建物に関する建物情報を記憶した記憶部である。
この建物情報記憶部1Cには例えば、図3に示されるように、建物を個々に識別可能な建物IDごとに、建物の基本情報、建物条件、建物の三次元イメージ、及び窓情報が関連付けて記憶されている。
【0033】
基本情報は、建物そのものに関する情報であって、建物の供給メーカーや価格、間取りなどの情報が含まれる。
建物条件は、土地上に建物を建築する際に必要となる情報であって、建築面積、延べ床面積、外観形状、設定方角、設定方角許容度、道路方向、及び道路方向許容度等によって構成される。この建物条件には、土地上に建物を建築するにあたり、物理的あるいは法令等に基づいて制限あるいは規制を受けるか否かを判断し得る情報が含まれている。
【0034】
設定方角は、建物に設定されている東西南北の方角に係る情報であり、建物の間取りの中心からの方向等によって予め設定されている。この設定方角は実際的には、水回りの位置や居室等の窓の向き等によって決定される。
設定方角許容度は、建物に設定されている東西南北の向きについて、傾ける若しくはずらすことが許容可能な角度に係る情報である。即ち、図4に示されるように、設定方角許容度は、土地の東西南北に係る土地方角に対し、建物ごとに設定されている東西南北の設定方角を傾けることが許容される角度(許容角度)である。
土地上に所定の建物を建築する際、建物に設定されている東西南北の向きは、厳密に実際の東西南北と一致する必要はなく、所定の許容角度の範囲でのずれが許容される。
【0035】
道路方向は、建物が道路に面すべき向きに係る情報であり、建物の間取りの中心からの方向等によって予め設定されている。この道路方向は実際的には、玄関が設けられている位置等によって決定される。
道路方向許容度は、建物に設定されている道路の向きについて、ずらすことが許容可能な角度に係る情報である。即ち、図5に示されるように、道路方向許容度は、土地における接道方向に対し、建物ごとに設定されている道路方向を傾けることが許容される角度(許容角度)である。
【0036】
この建物条件と土地の土地条件とを照らし合わせることで、所定の建物を所定の土地上に建築する場合に、物理的あるいは法令等に基づく制限をクリアできるか否かを把握することができる。
【0037】
三次元イメージは、建物の立体形状を示すデータである。この建物の三次元イメージを、所定の土地の周辺環境を表す三次元イメージと合成することで、所定の土地とそこに建築された建物の三次元イメージが生成される。
また、三次元イメージには、建物の外観のみならず、建物の内観も含まれ、内観の三次元イメージを参照することにより、建物の内部の間取り等を三次元的に把握することができる。
【0038】
窓情報は、建物の窓に係る情報であり、窓のレイアウトに係る情報と変更許容情報を含む。
レイアウトは、建物のどこにどのようなサイズの窓が設けられているかを把握可能な情報である。窓のレイアウトを把握することにより、建物外から届く視線がどこから建物内に入ってくるのかを把握することができる。
なお、レイアウトには、建物に設けられている窓の規格あるいは供給メーカーといった情報が含まれていてもよい。
【0039】
変更許容情報は、窓のレイアウトについて、変更可能な範囲に係る情報である。即ち、建物にデフォルトで設けられている窓の位置やサイズについて変更可能な位置やサイズ、あるいは代替可能な窓の規格等に係る情報である。この変更許容情報を参照することにより、建物にデフォルトで設けられている窓をどのように変更することができるのか、また、変更することによって、建物外から建物内に届く視線がどのように変わるかを把握することができる。
【0040】
・検索処理部11
検索処理部11は、所定の土地上に建築する候補となる建物を検索する処理を実行する。
この検索処理部11は視点設定機能部111、第一判別機能部112、及び第二判別機能部113から構成され、検索者からの検索要求又は所定のシステムからの検索要求に応じて建物を検索する。
【0041】
視点設定機能部111は、周辺環境情報記憶部1Bを参照して、所定の土地に建物を建築した場合に、建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する。より具体的には、所定の土地の周辺環境の三次元イメージに含まれる所定の対象物を識別すると共に、当該所定の対象物の存する位置に仮想上の視点を設定する。また、所定の土地の周辺環境の三次元イメージにおいて、所定の箇所に仮想上の視点を設定する。
【0042】
所定の対象物とは例えば、所定の土地の周りに建てられている建物の窓やベランダ、マンション等における外階段や通路等、人がいる可能性のあり、それにより視点があると合理的にみなし得るものや場所をいう。当該所定の対象物は例えば、予め保持しておいた基準画像に基づき、三次元イメージから、あるいは三次元イメージを平面化したイメージから識別する。
また、所定の箇所とは例えば、所定の土地の周りの道路において、地上から一定の高さ、即ち、人の目線の高さに相当する箇所である。
これら、人の視点があると合理的にみなせる所定の対象物や所定の箇所に仮想上の視点を設定することにより、建物を所定の土地上に建築した際、建物内に届くことが想定される視線の向きや角度を把握することができる。
【0043】
第一判別機能部112は、所定の土地上に建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度について、所定の閾値と比較して建物の建築の適否を判別する。
即ち、後述する特定処理部14により、建物情報記憶部1Cに記憶されている建物の窓のレイアウト情報に基づき、視点設定機能部111によって設定された仮想上の視点から、建物の窓を介して視線が建物内にどのように届くかが特定される。第一判別機能部112はこの視線の情報に基づき、窓を介して建物内に届く視線の向きと角度を所定の閾値と比較する。閾値は例えば、視線が窓に対して真正面から建物内に対して入る角度から一定の角度傾いた角度までを不可としたり、鉛直方向の角度において、鉛直方向下方から入る視線の角度は許容しつつ、鉛直方向情報から入る視線の角度は不可としたりするように設定される。このような閾値との対比において許容された場合には、建物の建築は適切なものと判別される。
なお、視線の向きや角度のみならず、視点から窓までの距離についても、所定の閾値を設定することができ、一定の距離よりも遠い視点については許容するように設定してもよい。
【0044】
また、第一判別機能部112は、建物情報記憶部1Cを参照して、窓について変更可能なレイアウトの範囲において、建物の建築の適否を判別する。
即ち、後述する特定処理部14は、建物のデフォルトの窓の位置やサイズを変更可能な範囲で変更した場合に、建物内に仮想上の視点から届く視線の角度や向きがどのように変わるかを特定することができる。建物のデフォルトの窓の位置やサイズでは所定の閾値との対比において許容されない場合であっても、この変更後の視線の角度や向きに係る情報に基づき、所定の閾値との対比において当該視線の角度や向きが許容された場合には、第一判別機能部112は当該建物の建築を適切なものと判別する。
【0045】
第二判別機能部113は、建物情報記憶部1Cに記憶されている建物について、検索者あるいは所定のシステムが任意に指定した検索条件に合致する基本情報を備えているか、さらには、検索者あるいは所定のシステムによって指定された所定の土地の土地条件に適合する建物条件を備えているか否かを判断する。
【0046】
この第二判別機能部113は、所定の土地の土地条件に合致する建物を検索する際、建物情報記憶部1Cに記憶されている建物について、その外観形状と当該所定の土地の土地形状に基づき、当該所定の土地の土地方角と建物に設定されている設定方角とを一致させた状態で、当該所定の土地に収まるか否かを判断する。さらに、建物が所定の土地に収まるか否かを判断する際には、建物の設定方角を許容可能な角度の範囲で傾けた状態で収まるか否かを判断することができる。
【0047】
この処理について、図6及び図7を参照して説明する。この例ではまず、図6(a)あるいは図7(a)に示されるように、所定の土地の土地形状に対し、建物情報記憶部1Cに記憶されている建物の外観形状を、予め建物に設定されている設定方角と土地の土地方角とを一致させて当てはめる。このとき、土地の土地方角と建物の設定方角とを一致させた状態で建物の外観形状が土地形状に収まった場合には、当該建物は、当該処理における検索条件を満たしたものと扱われる。
【0048】
一方で、土地の土地方角と建物の設定方角とを一致させた状態で当該建物の外観形状が土地形状に収まらなかった場合にはさらに、図6(b)あるいは図7(b)に示されるように、設定方角を許容角度の範囲で傾けた状態で、建物の外観形状が土地形状に収まるか否かを判断する。これにより、図7(b)のように、建物の外観形状が土地形状に収まった場合には、当該建物は、この処理における検索条件を満たしたものと扱われる。他方、図6(b)のように、これでも建物の外観形状が土地形状に収まらなかった場合には、当該建物は検索条件を満たさないものとして扱われる。
【0049】
また、この第二判別機能部113は、建物情報記憶部1Cに記憶されている建物について、所定の土地の接道方向と建物の道路方向が一致した状態で、当該所定の土地に収まるか否かを判断する。建物が当該所定の土地に収まるか否かを判断する際にはさらに、建物の道路方向を許容可能な角度の範囲で傾けた状態で収まるか否かを判断することができる。
【0050】
この処理について、図8及び図9を参照して説明する。この例ではまず、図8(a)あるいは図9(a)に示されるように、所定の土地の土地形状に対し、建物情報記憶部1Cに記憶されている建物の外観形状を、予め建物に設定されている道路方向と所定の土地の接道方向とを一致させて当てはめる。このとき、所定の土地の接道方向と建物の道路方向とを一致させた状態で建物の外観形状が土地形状に収まった場合には、当該建物は、この処理における検索条件を満たしたものと扱われる。
【0051】
一方で、土地の接道方向と建物の道路方向とを一致させた状態で建物の外観形状が土地形状に収まらなかった場合にはさらに、図8(b)あるいは図9(b)に示されるように、建物の道路方向を許容角度の範囲で傾けた状態で、建物の外観形状が土地形状に収まるか否かを判断する。これにより、図9(b)のように、建物の外観形状が土地形状に収まった場合には、当該建物は、この処理における検索条件を満たしたものと扱われる。他方、図8(b)のように、これでも建物の外観形状が土地形状に収まらなかった場合には、当該建物は検索条件を満たさないものとして扱われる。
【0052】
・生成処理部12
生成処理部12は、所定の土地の周辺環境の撮影画像から、当該所定の土地の周辺環境の三次元イメージを生成する。
生成処理部12によって三次元イメージを生成する手法は特に限定されないが、例えば、所定の土地やその周辺において一定の高さごとに全方位型の撮影カメラを搭載したドローンを飛ばして撮影を行うと共に、撮影画像を合成することによって三次元イメージを生成することができる。また、複数の地点から撮影された二次元の撮影画像を、当該撮影画像の撮影された地点に係る座標や撮影方角に係る情報に応じて合成することによっても三次元イメージを生成することができる。
【0053】
・合成処理部13
合成処理部13は、所定の土地の周辺環境の三次元イメージに対し、建物の三次元イメージを合成し、所定の土地と建物が一体的に表された三次元の合成イメージを生成する処理を実行する。
この処理の具体例を図10及び図11に示す。図10は、所定の土地とその周辺環境の三次元イメージを示している。なお、図中、空き地として表されている部分が、ここにう「所定の土地」である。
ここにおいて合成処理部13は、建物情報記憶部1Cを参照して、建物の三次元イメージを当該所定の土地の撮影画像やイメージに合成する。図11は、これにより生成された三次元イメージを示しており、所定の土地上に建物が三次元的に重ねられている。
【0054】
なお、三次元イメージは、土地の接道方向と土地方角、及び建物の道路方向と設定方向を一致させた状態のものが生成される。建物の道路方向や設定方向を許容角度の範囲で角度を変えることにより、当該建物が土地に収まる場合には、土地に対して当該許容角度の範囲で建物の角度が変えられて、当該土地に建物が収まった状態の三次元イメージが生成される。
【0055】
また、この三次元イメージは、利用者端末2における利用者による操作に基づき、様々な角度から見ることができるようになっていてもよい。この場合、利用者端末2上における画面の出力は、具体的にはAjax(エイジャックス)等によって実現される。
また、この三次元イメージには、図12に示されるように、車など(車のほか、植栽やフェンス等、建物に付随的に設けられるもの)のオプションパーツを自由に選択配置することができるようになっていてもよい。
【0056】
・特定処理部14
特定処理部14は、合成処理部13によって生成された合成イメージに基づき、建物を所定の土地に建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、建物の窓を介して、建物内に届く視線の向きと角度を特定する。例えば、仮想上の視点と一定の面積を有する窓の外縁とを直線で結ぶと共に、当該直線と窓、あるいは当該窓が窓に対して直角をなす仮想上の直線と形成するなす角を求めることにより、視線の向きと角度が特定される。
また、特定処理部14は、建物のデフォルトの窓の位置や大きさを変更可能な範囲で変更した場合において、建物内に仮想上の視点から届く視線の向きや角度がどのように変わるかを特定することもできる。
【0057】
さらに、特定処理部14は、窓を介して建物内に入射する日照の起点を所定の位置に設定し、当該所定の位置から、建物に対して入射する日照の向きや角度を特定することができる。日照の向きや角度を特定することにより、窓を介して建物内にどのような日照がもたらされるのかを把握することができる。
なお、日照の起点となる位置は、季節や時間帯、所定の土地が存する場所などの情報に応じて設定することができる。
【0058】
・順序設定部15
順序設定部15は、所定の土地に対する建物の検索結果について、所定の項目ごとあるいは所定の項目を総合的に勘案した定性的な評価によって建物の推薦順を設定することができる。
例えば、特定処理部14によって特定された仮想上の視点から窓を介して建物内に届く視線の向きと角度に基づき、建物外から視認可能な建物内の範囲を視線の量として数値化し、当該視線の量に応じた推薦順を検索結果に反映することができる。このほか、例えば、窓の位置やサイズを変更可能な範囲で変更した場合の変更量、所定の土地に対する建物の方角を許容範囲内で変更した場合の変更量などに応じた推薦順を検索結果に反映することもできる。
【0059】
・表示処理部16
表示処理部16は、三次元の合成イメージにおいて、所定の地点を仮想上の視点としたイメージを生成し、これをディスプレイ等の所定の表示用デバイスに表示させることができる。当該仮想上の視点は例えば、検索者や不動産情報検索装置1のユーザ等によって任意に設定される。ユーザ等が、任意に設定した当該仮想上の視点からのイメージを参照することにより、所定の土地上に建物を建築した場合にどこからどのように視線が建物内に入ってくるのか、あるいは当該建物が建物外からどのように見えるのかを直感的に把握することができる。
【0060】
また、表示処理部16は、三次元の合成イメージにおいて、窓を介して建物内に入射する日照の建物内におけるイメージを表示することもできる。日照の角度や向きや特定処理部14によって特定することができ、特定された日照の角度や向きと、建物の窓情報に基づいて、建物内において日照が届く範囲等を合成イメージ上に反映させて表示することもできる。
【0061】
なお、上述した機能部を構成する不動産情報検索装置1において、インターネット等のネットワークを介して通信可能に構成された所定の端末を設け、当該所定の端末により、不動産情報検索装置1が備える機能の実行結果を得ることもできる。このような所定の端末は例えば、所謂パーソナルコンピュータ、データの送受信が可能なタブレット型あるいは携帯型端末等によって構成され、データの送受信処理を実行するウェブブラウザ等の通信処理部や、データの入出力を行ためのディスプレイや、タッチパネルあるいはキーボードといった入出力処理部を有したものである。
【0062】
●処理の流れ
次に、本実施形態に係る不動産情報検索装置1によって実行される一連の処理について説明する。
まず、図13により、所定の土地上に建築可能な建物を検索する処理の流れの全体を示す。
不動産情報検索装置1は、所定の土地の指定と共に、当該所定の土地上に建築可能な建物の検索要求を受け付ける(S101)。
これに応じて、検索処理部11は第二判別機能部113により、土地情報記憶部1Aと建物情報記憶部1Cを参照して、所定の土地と建物の基本情報や条件に基づき、当該所定の土地に建築可能な建物を検索する(S102)。
さらに、第二判別機能部113によって絞り込まれた建物について、検索処理部11は第一判別機能部112により、土地情報記憶部1Aと建物情報記憶部1Cを参照して、建物外から建物内に届く視線に基づいて建築が適切と判断できる建物を検索する(S103)。
以上の検索処理部11による検索処理の結果、建築が適切と判断された建物が検索結果として提示される(S104)。
【0063】
なお、以上の検索処理においては、第二判別機能部113によって検索対象たる建物を絞り込んだ後、第一判別機能部112によってさらに建物を絞り込んだが、第一判別機能部112と第二判別機能部113による処理の先後は問わず、第一判別機能部112によって検索対象たる建物を絞り込んだ後、第二判別機能部113によってさらに建物を絞り込んでもよい。
【0064】
また、所定の土地の指定は例えば、図16に示されるように、土地情報記憶部1Aの土地情報や、土地周りの地図情報(地図情報記憶部を設けて保持するようにしてもよい)を参照して土地が区画化された地図を表示し、当該地図から、ユーザが所定の土地を指定できるようにしてもよい。また、他の例では、所定の入力フォームから住所の入力を受け付け、これにより当該住所によって特定される土地を指定されたものとすることもできる。この際、土地の指定と共に、任意で建物の基本情報に基づく条件の指定を受け付け、予めユーザが希望する価格帯や建物のメーカーなどで建物を絞り込めるようにすることもできる。また、検索条件としての価格は、ユーザによって指定された土地と、建物の建築費用とを合わせた合計価格が選択できてもよい。
また、所定の土地の指定はユーザによるものに限らず、所定のウェブサイト等において、不動産情報検索装置がユーザに対して広告的に建物を提案すべく、所定の建物を指定して当該所定の建物上に建築可能な建物の検索を要求するものであってもよい。
【0065】
次に、上述したS102の処理の詳細について、図14を参照して説明する。
まず、検索処理部11の第二判別機能部113は、建物情報記憶部1Cに記憶されている建物について、所定の土地の基本情報に適合する基本条件を備えているか否かを判別する(S201)。さらに、土地の土地条件に適合する建物条件を備えた建物を絞り込む(S202)。ここでは、土地ごとに決められている建ぺい率や容積率といった情報と、各建物の敷地面積や建築面積といった情報とを対比し、当該建ぺい率や容積率といった制限をオーバーすることなく、指定された土地に建築可能な建物が絞り込まれる。
【0066】
それから第二判別機能部113はさらに、上記のとおり絞り込んだ建物について、所定の土地の土地方角と建物の設定方角とを一致させた状態において、当該土地形状に当該建物の建物形状が収まるか否かを判断する(S203)。
また、土地の土地方角と建物の設定方角とを一致させた状態で建物の建物形状が土地形状に収まらなかった場合には、建物に設定されている設定方角について許容可能な角度の範囲で建物を傾けることで、当該土地形状に当該建物の建物形状が収まるか否かを判断する(S204)。
【0067】
この結果、建物に設定された許容可能な角度の範囲によっても、当該建物の建物形状が土地形状に収まらなかった場合には、当該建物は検索条件を満たさないものとして扱われる。
一方、S203の処理において、土地の土地方角と建物の設定方角とを一致させた状態で当該建物の建物形状が土地形状に収まった場合、及び、S204の処理において、建物の設定方角を許容角度の範囲で傾けた状態で、当該建物の建物形状が土地形状に収まった場合には、当該建物は、第二判別機能部113による処理における検索条件を満たすものと判断される。
【0068】
それから第二判別機能部113は続けて、上記のとおり絞り込んだ建物について、利用者によって指定された土地の接道方向と建物の道路方向とが一致した状態において、当該土地形状に当該建物の建物形状が収まるか否かを判断する(S205)。
さらに、土地の接道方向と建物の道路方向とを一致させた状態で当該建物の建物形状が土地形状に収まらなかった場合には、当該建物の道路方向を許容角度の範囲で傾けた状態で、土地形状に当該建物の建物形状が収まるか否かを判断する(S206)。
【0069】
この結果、建物に設定された許容可能な角度の範囲によっても、当該建物の建物形状が土地形状に収まらなかった場合には、当該建物は検索条件を満たさないものとして扱われる。
一方、S205の処理において、土地の接道方向と建物の道路方向とを一致させた状態で当該建物の建物形状が土地形状に収まった場合、及びS206の処理において、建物の道路方向を許容角度の範囲で傾けた状態で、当該建物の建物形状が土地形状に収まった場合には、当該建物は、第二判別機能部113による処理における検索条件を満たすものと判断される。
【0070】
なお、S201における基本条件に基づく処理、S202における土地条件と建物条件に基づく処理、S203とS204における建物の設定方角に基づく処理、S205とS206における建物の道路方向に基づく処理については、その順序が本例で説明した順序に限られることはなく、本例とは異なる順序で実行されてもよい。また、これらの処理は、その一つあるいは一部の処理のみを実行するものとすることもできる。
【0071】
次に、上述したS103の処理の詳細について、図15を参照して説明する。
生成処理部12は、周辺環境情報記憶部1Bを参照して、所定の土地の周辺環境の撮影画像から、当該所定の土地の周辺環境の三次元イメージを生成する(S301)。
これに応じて合成処理部13は、所定の土地の周辺環境の三次元イメージに対し、建物の三次元イメージを合成し、所定の土地と建物が一体的に表された三次元の合成イメージを生成する(S302)。これにより、所定の土地上に建物が三次元的に重ねられた三次元イメージが生成される。
【0072】
視点設定機能部111は、所定の土地の周辺環境の三次元イメージに含まれる所定の対象物を識別する(S303)。即ち、所定の土地の周りに建てられている建物の窓や外階段等、人がいる可能性のあり、それにより視点があると合理的にみなし得るものや場所を所定の対象物を識別する。
視点設定機能部111は、かかる所定の対象物を含む所定の箇所に仮想上の視点を設定する(S304)。これらの仮想上の視点は、人の視点があると合理的にみなせるものや箇所であり、かかる仮想上の視点を設定することにより、建物を所定の土地上に建築した際、建物内に届くことが想定される視線の向きや角度を把握することができる。
【0073】
第一判別機能部112は建物情報記憶部1Cに記憶されている窓のレイアウトに基づき、所定の土地上に建物を建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度について、所定の閾値と比較して許容範囲か否かを判別する(S305)。
この結果、仮想上の視点からの視線の向きと角度が許容範囲内のものであれば、検索条件を満たすものと扱われる。
【0074】
一方S305において、仮想上の視点からの視線の向きと角度が許容範囲内のものでなかった場合には、第一判別機能部112は建物情報記憶部1Cに記憶されている窓の変更許容情報を参照して、変更が許容される範囲内において窓のレイアウトを変更した結果、仮想上の視点から建物内に届く視線の向きと角度について、所定の閾値と比較して許容範囲か否かを判別する(S306)。
この結果、許容範囲内で窓のレイアウトを変更すれば、仮想上の視点からの視線の向きと角度が許容範囲内となるのであれば、検索条件を満たすものと扱われる。一方、許容範囲内で窓のレイアウトを変更しても、仮想上の視点からの視線の向きと角度が許容範囲内とならない場合には、検索条件を満たさないものと扱われる。
【0075】
●検索処理結果の表示
以上の検索処理の結果は、例えば、図17に示す例によって提示される。なお、図17の例は、所定のウェブサイトや端末上において、ユーザが指定した所定の土地上に建築可能な建物を検索した結果を示している。
この例では、所定の土地に建築可能な建物として、順序設定部15によって設定された推薦順に従い、上位3件の建物が一覧的に示されている。3つの建物はそれぞれ、所定の土地上に配置された三次元イメージ101、102、103として表示されており、一覧的に示された三次元イメージ101、102、103は、いずれかを選択することによって拡大表示欄104に大きく表示することができる。なお、図17の例では、三次元イメージ101が拡大表示欄104に拡大表示された場合を示しており、一覧に示されている三次元イメージ101は、点線表示によって選択されたことが分かるようになっている。
【0076】
各三次元イメージ101、102、103は、建物の設定方角や道路方角を許容範囲内で変更した結果、及び/又は建物の窓のレイアウトを変更可能な範囲で変更した結果、建築可能な建物とみなされた建物の三次元イメージである場合には、設定方角や道路方角、窓のレイアウトを変更した状態で合成した三次元イメージを表示するものとしてもよい。
また、拡大表示欄104中の三次元イメージ101は、所定の操作によって回転表示させたり、拡大・縮小表示等させたりすることができ、様々な角度から見ることができる。
【0077】
各三次元イメージ101、102、103に対しては、所定の項目に分けた建物の評価情報101a、102a、103aが付されている。所定の項目は例えば、予算、日照、人目、間取り、エリア、開放感等、所定の土地や建物の購入予定者等による購入に対して影響を与える項目である。人目の項目では、視線の量や周辺に他の建物の窓やバルコニーといった視点がどのくらいどのように存在しているかを把握でき、開放感の項目では、近隣に住居が密集していないといったことを把握できる。
本例では、各項目の定性的な評価が星印の多寡によって示されている。評価基準は例えば、予算であれば、金額が相場よりも安いほど高評価としたり、日照であれば、日照を確保できる建物上の面積が広いほど高評価としたりすることができる。また、人目は仮想上の視点に基づく視線の向きや角度により、建物の窓を介して建物内に届く視線の量が少ないほど高評価としている。
【0078】
なお、順序設定部15による推薦順は、各項目の総合評価によって決定することもできるし、各項目のうちの任意の一つ又は複数の評価によって決定することもできる。したがって、人目、即ち、建物内に届く視線の量のみに応じた推薦順によって検索結果を表示することもできる。
また、図17の例で示した評価情報101a、102a、103aを構成する星印は一例であって、棒グラフや数値、あるいは評価内容を識別可能な図柄やマーク等によって構成することもできる。
【0079】
また、本例では車のオブジェクト105が用意されており、図18に示されるように、このオブジェクト105を所定の土地上に適宜に配置させて、車を敷地内に駐車させた場合をイメージすることができる。この場合、オブジェクト105の三次元イメージを予め保持しておくことで、合成処理部13は三次元イメージからなるオブジェクト105を所定の土地と建物によって構成された三次元イメージに合成することができる。
【0080】
ダウンロードボタン106は、これを押下することにより、拡大表示欄104に表示されている三次元イメージ101を所定のフォーマットのデータとして取り出すことができる。
また、「検索結果をさらに表示する」ボタン107が押下されると、検索処理部11によって検索された建物であって、所定の優先順位に基づいて新たに表示される。
【0081】
なお、本例にかかわらず、合成処理部13により、所定の土地上に建物が建てられ、当該所定の土地周りの周辺環境が一体的に反映された三次元イメージを生成するとともに、当該三次元イメージを所定の操作によって建物の内外を問わない任意の位置から確認できるようにすることができる。また、視点設定機能部111によって設定された仮想上の視点を三次元イメージ上に識別可能に表示させ、三次元イメージにおいて、当該仮想上の視点からの見え方を確認できるようにすることもできる。また、所定の位置からの日照を確認できるようにすべく、所定の位置に日照の起点を設定するとともに、日の当たるところと当たらないところで色分けするなど、当該起点からの日照に識別効果を付与し、日照を確認できるようにすることもできる。
【0082】
以上の本実施形態に係る不動産情報検索装置1によれば、所定の土地上にどのような建物を建てられるのか、具体的な三次元イメージによって把握することができる。また、所定の土地に建物を建てた場合に、建物外から建物内にどのように視線が届くのかを把握することができるし、視線を踏まえて、所定の土地に建築するのが好適な建物を検索することができる。
【実施例2】
【0083】
本発明の第二の実施形態では、所定の建物が建築可能且つ好適な土地を検索する。
この第二の実施形態は、第一の実施形態と同様の機能部を有する不動産情報検索装置1によって実現される。即ち、本例においても、不動産情報検索装置1は、土地情報記憶部1A、周辺環境情報記憶部1B、建物情報記憶部1C、検索処理部11、生成処理部12、合成処理部13、特定処理部14、順序設定部15、及び表示処理部16からなる機能ブロックを構成する。なお、本例において、各機能部によって実行される機能のうち、第一の実施形態において説明した機能の説明は省略する。
【0084】
・検索処理部11
検索処理部11は、所定の建物を建築する候補となる土地を検索する処理を実行する。
この検索処理部11は視点設定機能部111、第一判別機能部112、及び第二判別機能部113から構成され、検索者からの検索要求又は所定のシステムからの検索要求に応じて建物を検索する。
【0085】
視点設定機能部111は、周辺環境情報記憶部1Bを参照して、所定の建物を土地上に建築した場合に、当該所定の建物に対して視線を送る立脚点としての仮想上の視点を設定する。なお、仮想上の視点の設定は上述したのと同様である。
【0086】
第一判別機能部112は、所定の建物を土地上に建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、当該所定の建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度について、所定の閾値と比較して当該所定の建物を建築する土地の適否を判別する。
【0087】
また、第一判別機能部112は、建物情報記憶部1Cを参照して、窓について変更可能なレイアウトの範囲において、所定の建物の建築する土地の適否を判別する。
即ち、後述する特定処理部14は、所定の建物のデフォルトの窓の位置やサイズを変更可能な範囲で変更した場合に、建物内に仮想上の視点から届く視線の角度や向きがどのように変わるかを特定することができる。所定の建物のデフォルトの窓の位置やサイズでは所定の閾値との対比において許容されない場合であっても、この変更後の視線の角度や向きに係る情報に基づき、所定の閾値との対比において当該視線の角度や向きが許容された場合には、第一判別機能部112は当該所定の建物を建築する土地として適切なものと判別する。
【0088】
第二判別機能部113は、土地情報記憶部1Aに記憶されている土地について、検索者あるいは所定のシステムが任意に指定した検索条件に合致する基本情報を備えているか、さらには、検索者あるいは所定のシステムによって指定された所定の建物の建物条件に適合する土地条件を備えているか否かを判断する。
【0089】
この第二判別機能部113は、所定の建物の建物条件に合致する土地を検索する際、土地情報記憶部1Aに記憶されている土地について、その外観形状と当該所定の建物の建物形状に基づき、土地の土地方角と当該所定の建物に設定されている設定方角とを一致させた状態で、当該所定の建物が土地に収まるか否かを判断する。さらに、所定の建物が土地に収まるか否かを判断する際には、建物の設定方角を許容可能な角度の範囲で傾けた状態で収まるか否かを判断することができる。
【0090】
また、この第二判別機能部113は、土地情報記憶部1Aに記憶されている土地について、所定の土地の接道方向と建物の道路方向が一致した状態で、当該所定の建物が収まるか否かを判断する。当該所定の建物が土地に収まるか否かを判断する際にはさらに、建物の道路方向を許容可能な角度の範囲で傾けた状態で収まるか否かを判断することができる。
【0091】
・合成処理部13
合成処理部13は、土地の周辺環境の三次元イメージに対し、所定の建物の三次元イメージを合成し、土地と所定の建物が一体的に表された三次元の合成イメージを生成する処理を実行する。
【0092】
・特定処理部14
特定処理部14は、合成処理部13によって生成された合成イメージに基づき、所定の建物を土地に建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、当該所定の建物の窓を介して、建物内に届く視線の向きと角度を特定する。
また、特定処理部14は、所定の建物のデフォルトの窓の位置や大きさを変更可能な範囲で変更した場合において、建物内に仮想上の視点から届く視線の向きや角度がどのように変わるかを特定することもできる。
なお、本例においても、特定処理部14は、窓を介して建物内に入射する日照の起点を所定の位置に設定し、当該所定の位置から、所定の建物に対して入射する日照の向きや角度を特定することができる。
【0093】
・順序設定部15
順序設定部15は、所定の建物を建築可能な土地の検索結果について、所定の項目ごとあるいは所定の項目を総合的に勘案した定性的な評価によって土地の推薦順を設定することができる。
【0094】
なお、本実施形態においても、インターネット等のネットワークを介して通信可能に構成された所定の端末を設け、当該所定の端末により、不動産情報検索装置1が備える機能の実行結果を得ることができる。
【0095】
●処理の流れ
次に、本実施形態に係る不動産情報検索装置1によって実行される一連の処理について説明する。
まず、図19により、所定の建物を建築可能な土地を検索する処理の流れの全体を示す。
不動産情報検索装置1は、所定の建物の指定と共に、当該所定の建物を建築可能な土地の検索要求を受け付ける(S401)。
これに応じて、検索処理部11は第二判別機能部113により、土地情報記憶部1Aと建物情報記憶部1Cを参照して、所定の建物と土地の基本情報や条件に基づき、当該所定の建物を建築可能な土地を検索する(S402)。
さらに、第二判別機能部113によって絞り込まれた土地について、検索処理部11は第一判別機能部112により、土地情報記憶部1Aと建物情報記憶部1Cを参照して、建物外から建物内に届く視線に基づいて適切に所定の建物を建築できると判断できる土地を検索する(S403)。
以上の検索処理部11による検索処理の結果、所定の建物の建築が適切と判断された土地が検索結果として提示される(S404)。
【0096】
なお、以上の検索処理においては、第二判別機能部113によって検索対象たる土地を絞り込んだ後、第一判別機能部112によってさらに土地を絞り込んだが、第一判別機能部112と第二判別機能部113による処理の先後は問わず、第一判別機能部112によって検索対象たる土地を絞り込んだ後、第二判別機能部113によってさらに土地を絞り込んでもよい。
また、所定の建物の指定はユーザによるものに限らず、所定のウェブサイト等において、不動産情報検索装置がユーザに対して広告的に土地を提案すべく、所定の建物を指定して当該所定の建物が建築可能な土地の検索を要求するものであってもよい。
【0097】
次に、上述したS402の処理の詳細について、図20を参照して説明する。
まず、検索処理部11の第二判別機能部113は、土地情報記憶部1Aに記憶されている土地について、所定の建物の基本情報に適合する基本条件を備えているか否かを判別する(S501)。さらに、所定の建物の建物条件に適合する土地条件を備えた土地を絞り込む(S502)。ここでは、土地ごとに決められている建ぺい率や容積率といった情報と、各建物の敷地面積や建築面積といった情報とを対比し、当該建ぺい率や容積率といった制限をオーバーすることなく、指定された所定の建物を建築可能な土地が絞り込まれる。
【0098】
それから第二判別機能部113はさらに、上記のとおり絞り込んだ土地について、土地の土地方角と所定の建物の設定方角とを一致させた状態において、当該土地形状に当該所定の建物の建物形状が収まるか否かを判断する(S503)。
また、土地の土地方角と所定の建物の設定方角とを一致させた状態で当該所定の建物の建物形状が土地形状に収まらなかった場合には、所定の建物に設定されている設定方角について許容可能な角度の範囲で建物を傾けることで、当該土地形状に当該所定の建物の建物形状が収まるか否かを判断する(S504)。
【0099】
この結果、所定の建物に設定された許容可能な角度の範囲によっても、当該所定の建物の建物形状が土地形状に収まらなかった場合には、当該土地は検索条件を満たさないものとして扱われる。
一方、S503の処理において、土地の土地方角と所定の建物の設定方角とを一致させた状態で当該所定の建物の建物形状が土地形状に収まった場合、及び、S254の処理において、所定の建物の設定方角を許容角度の範囲で傾けた状態で、当該所定の建物の建物形状が土地形状に収まった場合には、当該土地は、第二判別機能部113による処理における検索条件を満たすものと判断される。
【0100】
それから第二判別機能部113は続けて、上記のとおり絞り込んだ土地について、土地の接道方向と所定の建物の道路方向とが一致した状態において、当該土地形状に当該所定の建物の建物形状が収まるか否かを判断する(S505)。
さらに、土地の接道方向と所定の建物の道路方向とを一致させた状態で当該所定の建物の建物形状が土地形状に収まらなかった場合には、当該所定の建物の道路方向を許容角度の範囲で傾けた状態で、土地形状に当該所定の建物の建物形状が収まるか否かを判断する(S506)。
【0101】
この結果、所定の建物に設定された許容可能な角度の範囲によっても、当該所定の建物の建物形状が土地形状に収まらなかった場合には、当該土地は検索条件を満たさないものとして扱われる。
一方、S505の処理において、土地の接道方向と所定の建物の道路方向とを一致させた状態で当該所定の建物の建物形状が土地形状に収まった場合、及びS506の処理において、所定の建物の道路方向を許容角度の範囲で傾けた状態で、当該所定の建物の建物形状が土地形状に収まった場合には、当該土地は、第二判別機能部113による処理における検索条件を満たすものと判断される。
【0102】
なお、S501における基本条件に基づく処理、S502における土地条件と建物条件に基づく処理、S503とS504における建物の設定方角と土地の土地方角に基づく処理、S505とS506における建物の道路方向と土地の接道方向に基づく処理については、その順序が本例で説明した順序に限られることはなく、本例とは異なる順序で実行されてもよい。また、これらの処理は、その一つあるいは一部の処理のみを実行するものとすることもできる。
【0103】
次に、上述したS503の処理の詳細について、図21を参照して説明する。
生成処理部12は、周辺環境情報記憶部1Bを参照して、検索対象たる土地の周辺環境の撮影画像から、土地の周辺環境の三次元イメージを生成する(S601)。
これに応じて合成処理部13は、土地の周辺環境の三次元イメージに対し、所定の建物の三次元イメージを合成し、土地と所定の建物が一体的に表された三次元の合成イメージを生成する(S602)。これにより、土地上に所定の建物が三次元的に重ねられた三次元イメージが生成される。
【0104】
視点設定機能部111は、土地の周辺環境の三次元イメージに含まれる所定の対象物を識別する(S603)。即ち、土地の周りに建てられている建物の窓や外階段等、人がいる可能性のあり、それにより視点があると合理的にみなし得るものや場所を所定の対象物を識別する。
視点設定機能部111は、かかる所定の対象物を含む所定の箇所に仮想上の視点を設定する(S604)。これらの仮想上の視点は、人の視点があると合理的にみなせるものや箇所であり、かかる仮想上の視点を設定することにより、所定の建物を土地上に建築した際、建物内に届くことが想定される視線の向きや角度を把握することができる。
【0105】
第一判別機能部112は建物情報記憶部1Cに記憶されている窓のレイアウトに基づき、所定の建物を土地上に建築した場合に、建物外における仮想上の立脚点としての視点から、建物の窓を介して建物内に届く視線の向きと角度について、所定の閾値と比較して許容範囲か否かを判別する(S605)。
この結果、仮想上の視点からの視線の向きと角度が許容範囲内のものであれば、検索条件を満たすものと扱われる。
【0106】
一方S605において、仮想上の視点からの視線の向きと角度が許容範囲内のものでなかった場合には、第一判別機能部112は建物情報記憶部1Cに記憶されている窓の変更許容情報を参照して、変更が許容される範囲内において窓のレイアウトを変更した結果、仮想上の視点から建物内に届く視線の向きと角度について、所定の閾値と比較して許容範囲か否かを判別する(S606)。
この結果、許容範囲内で窓のレイアウトを変更すれば、仮想上の視点からの視線の向きと角度が許容範囲内となるのであれば、検索条件を満たすものと扱われる。一方、許容範囲内で窓のレイアウトを変更しても、仮想上の視点からの視線の向きと角度が許容範囲内とならない場合には、検索条件を満たさないものと扱われる。
【0107】
以上の本実施形態に係る不動産情報検索装置1によれば、所定の建物について、どのような土地に建てられるのか、具体的な三次元イメージによって把握することができる。また、所定の建物に土地に建てた場合に、建物外から建物内にどのように視線が届くのかを把握することができるし、視線を踏まえて、所定の建物を建築するのが好適な土地を検索することができる。
【0108】
なお、本実施形態においても、第一の実施形態と同様に検索処理結果を表示させたり、三次元イメージを表示させたりすることができる。
【0109】
また、以上の本発明の実施形態により建物又は土地を検索する処理において、土地が広く、建物の配置に自由度がある場合には、第一判別機能部112は、土地条件や建物条件、さらには窓のレイアウトの変更が許容される限り、建物の配置を様々にシミュレートし、視線が許容範囲に収まるか否かを判別するようにしてもよい。
【0110】
また、以上の本発明の実施形態において、敷地内の建物にルーバー、フェンス、塀、植栽、エクステリアや車庫など、視線を回避することのできる視線遮蔽物を三次元イメージに入れ込み、建物外からの視線がどのように回避できるかをシミュレーションできるようにしてもよい。
また、第一判別機能部112について、このような視線遮蔽物を設けた場合に、建物内に届く視線の向きや角度が許容範囲となるかを判定できるようにしてもよい。
【0111】
また、検索結果等において、所定の土地の近隣の建物や商業施設等の情報が把握できるように情報提供するようにしてもよい。
【0112】
また、以上の本発明の実施形態に係る不動産情報検索装置1の検索結果として示される評価(日照、人目、開放感など)を不動産の価格査定に反映させるようにしてもよい。即ち、不動産の相場や収益予測、さらには実際的な売買希望の情報に基づいた実需などから算定される不動産の価格に対し、上記した評価を算定基準として加える。これにより、例えば、日照や人目、開放感といった住みやすさに直結する指標が価格に反映され、より適切な査定を提示することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 不動産情報検索装置
1A 土地情報記憶部
1B 周辺環境情報記憶部
1C 建物情報記憶部
11 検索処理部
111 視点設定機能部
112 第一判別機能部
113 第二判別機能部
12 生成処理部
13 合成処理部
14 特定処理部
15 順序設定部
16 表示処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21