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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/00 20210101AFI20220609BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220609BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20220609BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20220609BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
G03B11/00
G03B15/00 P
G03B15/00 U
G03B17/56 A
H04N5/222 100
H04N5/232
H04N5/232 030
H04N5/232 990
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020116414
(22)【出願日】2020-07-06
(62)【分割の表示】P 2019221893の分割
【原出願日】2017-05-24
(65)【公開番号】P2020170195
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-074836(JP,A)
【文献】特開2002-162208(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073310(WO,A1)
【文献】特表2015-533109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
G03B 17/56
G03B 15/00
H04N 5/232
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円偏光フィルタが取り付けられた撮影部及び制御部を備える電子機器の制御方法であって、
前記制御部により、
前記撮影部の撮影方向に係る情報を取得することと、
前記電子機器の位置に係る情報及び前記撮影部による撮影時点の太陽の位置に係る情報を取得することと、
予めユーザの設定保持操作により設定された偏光強度となるように、前記電子機器の位置に係る情報、前記太陽の位置に係る情報及び前記撮影方向に係る情報に基づいて、前記円偏光フィルタの偏光を制御することと、
を含む、電子機器の制御方法。
【請求項2】
円偏光フィルタが取り付けられた撮影部及び制御部を備える電子機器であって、
前記制御部は、
前記撮影部の撮影方向に係る情報を取得することと、
前記電子機器の位置に係る情報及び前記撮影部による撮影時点の太陽の位置に係る情報を取得することと、
予めユーザの設定保持操作により設定された偏光強度となるように、前記電子機器の位置に係る情報、前記太陽の位置に係る情報及び前記撮影方向に係る情報に基づいて、前記円偏光フィルタの偏光を制御することと、
を実行する、電子機器。
【請求項3】
円偏光フィルタが取り付けられた撮影部及び制御部を備える電子機器の制御方法を前記制御部に実行させるプログラムであって、
前記制御部により、
前記撮影部の撮影方向に係る情報を取得することと、
前記電子機器の位置に係る情報及び前記撮影部による撮影時点の太陽の位置に係る情報を取得することと、
予めユーザの設定保持操作により設定された偏光強度となるように、前記電子機器の位置に係る情報、前記太陽の位置に係る情報及び前記撮影方向に係る情報に基づいて、前記円偏光フィルタの偏光を制御することと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体に関し、特に撮影部を備えた構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル一眼レフカメラ等を用いて、余計な光源(日光)の反射を防ぐための円偏光フィルター(サーキュラーPLフィルター)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-006367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表される円偏光フィルタは、偏光を調整するためのリングを備えており、使用者が当該リングを回転することによって偏光度合い(偏光の強さ)が調整される。しかしながら、このような方法では、撮影する方向が変わる度に偏光を調整する必要がある。
【0005】
本発明は、撮影時における円偏光フィルタの利便性を向上することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
撮影部を備えた電子機器であって、
前記撮影部に取り付けられた円偏光フィルタと、
少なくとも前記撮影部の撮影方向を取得する方向取得部と、
前記撮影方向に応じて、前記円偏光フィルタの偏光を制御する制御部とを備える、
電子機器が得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮影時における円偏光フィルタの利便性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態による電子機器に取り付けられる撮影部である。
図2図1の制御部の機能を表すブロック図である。
図3図1の駆動部付近を示す部分断面図である。
図4図1の電子機器と撮影部とを部分的に示す図である。
図5図1の電子機器と撮影部とを部分的に示す他の図である。
図6】本発明の操作処理を示すフロー図である。
図7】本発明の撮影部とそれをさなえた飛行体を示す図である。
図8】従来技術の円偏光フィルターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による構造体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
撮影部を備えた構造体であって、
前記撮影部に取り付けられた円偏光フィルタと、
少なくとも前記撮影部の撮影方向を取得する方向取得部と、
前記撮影方向に応じて、前記円偏光フィルタの偏光を制御する制御部とを備える、
構造体。
[項目2]
請求項1に記載の構造体であって、
前記構造体の位置を取得する第1の位置取得部と、
太陽の方向を取得する第2の位置取得部とを更に備え、
前記制御部は、前記構造体の位置と、前記太陽の位置との位置関係に基づいて、前記偏光制御する、
構造体。
[項目3]
請求項2に記載の構造体であって、
前記第2の位置取得部は、前記構造体の前記位置と、前記撮影方向と、現在時刻とに基づいて前記太陽の位置を算出された
[項目4]
請求項1乃至請求項3に記載の構造体であって、
前記制御部は、前記撮影部のパン方向の変位に基づいて前記偏光を制御する、
構造体。
[項目5]
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の構造体であって、
前記制御部は、前記円偏光フィルタに取り付けられた駆動部によって、前記偏光を制御する、
構造体。
[項目6]
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の構造体であって、
前記方向取得部は、電子コンパスである、
構造体。
[項目7]
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の構造体であって、
遠隔操作によって移動可能に構成されている、
構造体。
[項目8]
請求項7に記載の構造体であって、
前記撮影部の前記撮影方向と、前記構造体の移動方向は独立して制御可能に構成されている、
構造体。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の第1の実施の形態による構造体について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<概要>
本発明の電子機器は、例えば、デジタルカメラ、スマートフォン、無人移動体(無人飛行体:Unmanned aerial vehicle, UAV)、車載カメラ等、撮影部(カメラ)を備えた機器であるがこれに限られず。カメラを搭載可能なすべての電子機器を含む。
【0012】
図1に示されるように、本実施の形態による電子機器300は撮影部10が取り付けられている。撮影部10は、円偏光フィルタ(サーキュラーPLフィルタ)102と、レンズ104と、受光素子106と、駆動部202と、制御部204とを備えている。なお、図1は説明を容易にするために、それぞれの要素の外形、位置関係は簡素化して示している。
【0013】
図2に示されるように、本実施の形態による制御部204は、少なくとも方向取得部と、位置取得部と、記憶部と、制御部とを備えている。
【0014】
方向取得部は、少なくとも撮影部10の撮影方向(光軸方向)を取得するものであり、例えば、電子コンパス等を採用することができる。電子コンパスは、少なくともパン方向の角度を検出することができるものである。
【0015】
位置取得部は、電子機器300の位置(位置情報)を取得するものであり、GPS(Global Positioning System, GPS)機能を有する。位置取得部は、当該電子機器の位置と、上述した撮影方向と、現在時刻とに基づいて算出された現在の太陽の位置及び方角を取得する。
【0016】
制御部204は、少なくとも電子機器300の位置又は撮影方向D(図1参照)と、太陽の位置との相対的な位置関係・方向関係に基づいて円偏光フィルタ102の偏光の強度を調整・制御する(制御の仕方は後述する)。なお、本実施の形態による制御部204は、撮影部10のパン方向(Z方向と回転軸都市、XY平面に沿った回転方向)の変位に基づいて偏光を制御する。
【0017】
記憶部は、ある時点(初期位置)における撮影方向と電子機器の位置と、太陽の位置と、偏光の強度(詳しくは後述する)を記憶する。
【0018】
図3に示されるように、本実施の形態による円偏光フィルタ102は、少なくとも、偏光板110と、偏光板の光軸に対するロール角を調整するための調整リング112とを有している。本実施の形態による偏光板110は、その内部の結晶構造が同一方向に並んでいるため、当該結晶方向に一致した振幅成分の光しか透過しない性質を持ったものである。
【0019】
駆動部202は、アクチュエータ206を有している。アクチュエータ206は、制御部204からの制御信号によって、調整リング112を回転させることにより、偏光の強度を調整する。
【0020】
図3乃至図6を参照して実際の使用方法を説明する。使用者は、撮影部10による画像を図示しない表示部によって確認し、調整リング112を手動操作して偏光の強度を調整する(ステップS602:初期位置)。この時、使用者によって設定保持の操作がなされると、撮影部10の方向(撮影方向)と太陽の位置と調整リングの位置(=偏光強度)が記憶部に記憶される(ステップS604)。使用者が撮影部10の向きを変えたり、移動等することによって撮影場所を変更するなどして、初期位置からの変位を測位した場合(ステップS606)、制御部10は、方向取得部と、位置取得部と、記憶部とから必要な情報を取得し、撮影部10のパン方向における回転方向θに基づいて、調整リング112の回転方向θを自動で制御する(ステップ608)。
【0021】
このように、本実施の形態によれば、撮影部の方向に応じて、最適な偏光強度を自動で制御することができるため、特に、陸上又は空中を遠隔操作によって移動可能に構成されている移動体等に撮影部が搭載された場合において、当該移動体の向き(撮影部10の向き)や位置に応じて、最適な偏光状態の画像を撮影することができる。
【0022】
図7は、空中を遠隔で操作可な能飛行体400に、本実施の形態による撮影部10を取り付けた図を示している。撮影部10は、飛行体の本体部とジンバル(図示せず)で接続されている。そのため、撮影部10の撮影方向(θ)と、飛行体400の移動方向(θ)とは独立して制御可能に構成されている。このような場合であっても、本実施の形態によれば、飛行体が飛行中に撮影した画像の偏光強度は、初期位置にて一度設定した偏光強度を維持することができる。
【0023】
図7に示されるような飛行体400に本発明を適用した場合、一般的な撮影用途(静止画・動画を問わない)の他、測量、橋梁検査等も効果的に行うことが可能となる。特に、屋外で使用されることを想定される場合には本発明は有効である。
【0024】
また、上述した制御部は、撮影部のパン方向の角度(順光における180度以内の任意の範囲)に応じて偏光を制御することとしているが、チルト角やロール角に応じて制御することとしてもよい。しかしながら、円偏光フィルタの特性を考慮すれば、撮影部のパン方向の角度に応じて偏光を制御することがより好ましい。
【0025】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0026】
10 撮影部
102 円偏光フィルタ
104 レンズ
106 受光素子
110 偏光板
112 調整リング
202 駆動部
204 制御部
206 アクチュエータ
300 電子機器
400 飛行体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8